説明

排水路

【課題】自動車の衝突による影響を受けることなく、また路面側の面積が増してバイクのスリップによる事故を起こすことなく通水面積を増やし、一部が目詰まりしても排水することができる排水路を提供する。
【解決手段】排水路1は矩形断面の平箱状で、内部が仕切り2によって2つの流路3a、3bに仕切られ、仕切り上部には長手方向に一定間隔で凹溝4が形成され、流路3aより溢れ出た雨水が凹溝4を通って流路3bに流入しうるようになっている。排水路1は流路3b側の一部が縁石6下部に延出し、上面には集水孔8を有する。排水路1はまた、その長手方向に適当間隔で開閉可能な蓋11を有し、蓋11を開けて流路3a、3b内の清掃が行えるようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁や道路等(以下単に道路等という)に設置される排水路に関する。
【背景技術】
【0002】
道路等の多くには、排水路として路肩に沿って排水溝や排水桝が設置され、道路等に降り注いだ雨水は排水溝や排水桝に流入し、排水桝に流入した雨水は排水桝間の排出管を経て排水されるようにしてある。この種の排水路の多くは路肩に沿って設けられ、そのうちの一つのタイプに下記特許文献1に開示されるように、路肩に内部を雨水の排水路とした鋼又は強化プラスチックよりなる縁石状の地覆を形成し、雨水が地覆の集水口より排水路に流入して排出されるようにしたものが知られる。また下記特許文献2には、路肩に沿って排水桝と排水桝間に溝を形成したのち不透水性基層アスファルトを敷設し、ついで排水桝間の溝にスリット状の通水孔を備えた略コ字形断面の鋼板製排水枠を開口部を下向きにして設置したのち、排水性表層アスファルトを敷設し、雨水を排水桝を経て排出枠より排出すると共に、排水性表層アスファルトを浸透した雨水をスリット状の通水孔を通して排出枠内に流入し排出させるようにしたものが開示されている。
【特許文献1】特公昭57−8922号
【特許文献2】特許第3143782号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された排水路は、鋼又は強化プラスチック製で、縁石状に路肩に露出しているため、自動車の衝突などにより損壊し易く、損壊しないように強度を上げるとコストアップとなる。
【0004】
特許文献2に開示される通水路のように、路肩に通水路が露出していなければ、自動車の衝突による影響を受けることはないが、通水面積の点でなお改善すべき余地がある。
【0005】
本発明は、特許文献2に開示される通水路について改良を加え、該通水路の利点を損うことなく通水面積を増大させることができるようにした排水路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、路肩の縁石に沿って路面と同レベルをなすようにして敷設され、上面及び側面のうち、少なくとも上面に集水孔を備えた鋼又は強化プラスチック製の枠体より構成される排水路であって、枠体の一部が縁石下部に延出して形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明の路肩に露出する排水路には、開閉可能な蓋を儲け、蓋を開けることにより排水路が清掃できるようにするのが望ましい。
【0008】
請求項2に係る発明は請求項1に係る発明において、枠体の断面が矩形状をなし、底を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、枠体の断面が仕切りによって複数に仕切られ、仕切りには上部に通水溝又は通水孔が形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3に係る発明において、枠体が不透水性床版上に設置されると共に、床版上に透水性の表層アスファルトが枠体と同レベルをなすようにして敷設され、枠体上面と共に側面にも集水孔を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
排水路の通水面積を大きくするため、単に排水路の幅を大きくしたのでは、路面での露出面積が大きくなり、自動車、特にバイクが鋼又は強化プラスチック製の枠体上をスリップして転倒し事故を起こし易くなる。また排水路の深さを深くすると、地面の掘削量が増え、排水桝も深く埋めねばならなくなり、施工コストを上昇させるが、請求項1に係る発明の排水路によると、一部が縁石上部に設けられているため、路面での露出面積を増やすことなく、また深さを深くすることなく通水面積を増やすことができる。また本発明の排水路は路面と同レベルをなし、路面より突出していないため、自動車が衝突して損傷することもないし、縁石を含め全体を鋼又は強化プラスチック製とするのと比べ、鋼又は強化プラスチック製部分が少なくなり、安価に製作することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によると、排水路は底を有するため、雨水が床版内に侵入することなく確実に排出されるようになる。
【0013】
請求項3に係る発明によると、複数に仕切られた流路のうち、路面側の流路は流入した土砂やごみなどによって目詰まりし易く、排水が損われることが考えられるが、路面側の流路が目詰まりしたとしても、通水溝や通水孔を通して雨水が縁石下の目詰まりしにくい流路に流入して排出されうるようになる。
【0014】
請求項4に係る発明によると、表層アスファルトの透水が集水孔を通して排水路より排出されるようになる。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の実施形態の排水路について図面により説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る排水路1の平面を示すものであり、図2は図1のA−A線断面、図3は同排水路1の一部を示すもので、排水路1は鋼製で、矩形断面の平箱状をなし、内部が仕切り2によって2つの流路3a、3bに仕切られ、仕切り上部には長手方向に一定間隔で通水溝としての凹溝4が形成され、流路3aより溢れ出た雨水が凹溝4を通って流路3bに流入しうるようになっている。
【0017】
排水路1は路肩の床版5上に流路3b側の一部を縁石6下部に延出させて設置し、通水性表層アスファルト7が排水路1に隣接し、排水路1と同レベルに敷設されている。
【0018】
排水路1はまた、流路3a、3bの路面より露出する上面に集水孔8を有すると共に、アスファルト7側の側面下部に集水孔9を有し、路面に降り注いだ雨水が集水孔8より各流路3a、3bに流入すると共に、アスファルト7を浸透した雨水が集水孔9を通して流路3aに流入し排出されるようになっている。
【0019】
排水路1には更に、その長手方向に適当間隔で開閉可能な蓋11(図4参照)が設けられている。この蓋3は図4に示すように、縁石6に隣接したヒンジ12により開閉し、各流路3a、3b内に詰まった土砂やごみ等の清掃が行えるようしてある。
【0020】
図中、13及び14は、コンクリート製の縁石6に埋設されるアンカーとしての取手及びロッドである。
本実施形態の排水路によると、深さはアスファルト7の厚みと同じとし、それより下の地面又はコンクリートを掘削することなく、流路3bの一部を縁石6下部に延出させたことにより通水面積を増やすことができること、縁石6を含め全体を鋼製としたものと比べ、安価であること、排水路1は、路面と同一レベルをなし、路面より突出していないため、自動車が衝突して損傷することもないこと、排水路は底を有するため、雨水が床版内に侵入することなく確実に排出されるようになること、一方の流路3a又は3bが目詰まりしたとしても凹溝4を通して他方の流路3b又は3aに雨水が流入して排出されるようになること、アスファルト7の透水が集水孔9を通して排水路1より排出されるようになることなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る排水路の平面図
【図2】図1のA―A線拡大断面図
【図3】排水路の一部の斜視図
【図4】蓋部分における排水路の断面図
【符号の説明】
【0022】
1・排水路
2・仕切り
3a、3b・流路
4・凹溝
5・床版
6・縁石
7・透水性表層アスファルト
8、9・集水孔
11・蓋
12・ヒンジ
13・取手
14・ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路肩の縁石に沿って路面と同レベルをなすようにして敷設され、上面及び側面のうち、少なくとも上面に集水孔を備えた鋼又はプラスチック製の枠体より構成される排水路であって、枠体の一部が縁石下部に延出して形成されることを特徴とする排水路。
【請求項2】
枠体の断面が矩形状をなし、底を有することを特徴とする請求項1記載の排水路。
【請求項3】
枠体の断面が仕切りによって複数に仕切られ、仕切りには上部に通水溝又は通水孔が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の排水路。
【請求項4】
枠体が不透水性床版上に設置されると共に、床版上に透水性の表層アスファルトに枠体と同レベルをなすようにして敷設され、枠体上面と共に側面にも集水孔を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の排水路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−225945(P2006−225945A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40002(P2005−40002)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)