説明

排水配管構造

【課題】建築物において火災の上階への延焼を防止しながら横枝管に可燃性の樹脂管を使用することができる排水配管構造を提供する。
【解決手段】排水管および金属製のスラブ上面接合型排水集合管4で構成され、排水管は、床スラブ6の貫通孔7に固定され床スラブの上階に受け口型接続部8を開口させて下端が床スラブの下階に延びた金属で形成された立て管3と、床スラブの上階で生じた排水を排水集合管4に流入させるための可燃性樹脂で形成された横枝管5と、からなり、排水集合管は、下部16が排水立て管の受け口型接続部に接続され、上階に突出する部分に横枝管が接続されており、横枝管接続部には内方に膨張して横枝管から排水集合管への流路を閉じるように熱膨張性耐火材2が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション等の集合住宅または事務所ビル等で各階において発生する排水を集合させ下階に送り出す排水配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばマンションでは、各階において最上階から下に向けて上階と下階との防火区画等である床スラブを貫通して排水集合管および排水立て管が設けられており、各階で発生する生活排水は排水集合管および排水立て管によって上から下に集められながら流下し、ベンド管及び排水横主管を経て下水管に送り出される。
また、近年、横枝管から排水が排水集合管に流入するときに生ずる振動に起因する不快な騒音を軽減することを目的として、床スラブに立て管を固定し、立て管に排水集合管を固定する排水集合管(以下「スラブ上面接合型排水集合管」または単に「排水集合管」という)が提案されている(特許文献1,2)。
【0003】
ところで、このようなスラブ上面接合型排水集合管を用いて構成された建築物の防火区画を貫通する排水配管構造は、下階で発生した火災が排水集合管を通して上階に延焼しないようにすることが求められている。そのため、従来、床スラブを貫通して配管される立て管およびこれに接続される排水集合管として、それぞれ、例えば鋳鉄、鋼等の金属、または耐火二層構造を有する不燃性材料で製作されたものが使用されていた。
【特許文献1】特開2001−4086号公報
【特許文献2】特開2004−36384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属製の排水管および耐火二層管は、不燃性であることからマンション等における排水配管として使用するのに適している。しかし、金属製の排水管および耐火二層管(管材)は運搬性および施工性(作業現場での加工)に若干の難点がある。
一方、上水道および下水道に広く使用される硬質塩化ビニル樹脂等の可燃性樹脂製の管(以下「樹脂管」という)は、金属製または耐火二層構造をもった不燃性の配管材に比べて軽量でありかつ施工性および価格の点で優れる。しかし、樹脂管を横枝管としてのみ用いた場合であっても、横枝管は火災により燃焼し消失するので、開口した排水集合管における横枝管接続部分から高温の熱気が立て管を通って上昇する。そして、上階の横枝管は、上昇する熱気によって発火点以上になると燃焼し始めるおそれがあることから、排水集合管に連接する横枝管に樹脂管を使用して建築物の排水配管構造を構成することには、問題があった。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、スラブ上面接合型排水集合管には金属製の不燃性のものを用いるものの、横枝管として可燃性の樹脂管を使用した場合であっても、下層階で発生した火災が上層階へ達するのを防止することが可能なマンションおよび事務所ビル等の建築物における排水配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る排水配管構造は、建築物内における排水管および排水集合管で構成された排水配管構造であって、前記排水管は、床スラブを貫通する貫通孔内または前記床スラブの上階に受け口型接続部を開口させて前記貫通孔に固定され下端が前記床スラブの下階に延びた金属で形成された立て管と、前記床スラブの上階で生じた排水を前記排水集合管に流入させるための可燃性樹脂で形成された横枝管と、からなり、前記排水集合管は、金属で形成され、下部に下部接続部および前記上階に突出する部分に横枝管接続部を有し、前記下部接続部が前記受け口型接続部に挿入されて前記立て管に接続され、前記横枝管が前記横枝管接続部に接続されており、前記横枝管における前記横枝管接続部に接続された部分もしくはその直近の外周、または前記横枝管接続部の内側の少なくともいずれかに熱膨張性耐火材が設けられており、前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記横枝管接続部内の流路を閉じまたは前記流路の面積を減少させるように構成される。
【0007】
本発明に係る他の排水配管構造では、前記排水管は、床スラブを貫通する貫通孔内または前記床スラブの上階に受け口型接続部を開口させて前記貫通孔に固定され下端が前記床スラブの下階に延びた金属で形成された立て管と、前記床スラブの上階で生じた排水を前記排水集合管に流入させるための可燃性樹脂で形成された横枝管と、前記横枝管と前記排水集合管とを接続する延焼防止部材と、からなり、前記排水集合管は、金属で形成され、下部に下部接続部および前記上階に突出する部分に横枝管接続部を有し、前記下部接続部が前記受け口型接続部に挿入されて前記立て管に接続され、前記横枝管接続部が前記延焼防止部材を介して前記横枝管に接続されており、前記横枝管における前記延焼防止部材に接続された部分または前記横枝管接続部の内側の少なくともいずれかに熱膨張性耐火材が設けられており、前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記横枝管から前記排水集合管への流路を閉じまたは前記流路の面積を減少させるように構成される。
【0008】
本発明に係る他の排水配管構造では、前記排水管は、床スラブを貫通する貫通孔内または前記床スラブの上階に受け口型接続部を開口させて前記貫通孔に固定され下端が前記床スラブの下階に延びた可燃性樹脂で形成された立て管と、前記床スラブの上階で生じた排水を前記排水集合管に流入させるための可燃性樹脂で形成された横枝管と、からなり、前記排水集合管は、金属で形成され、下部に下部接続部および前記上階に突出する部分に横枝管接続部を有し、前記下部接続部が前記受け口型接続部に挿入されて前記立て管に接続され、前記横枝管が前記横枝管接続部に接続されており、前記貫通孔下端部における前記立て管の外周または前記立て管の前記床スラブの下階に突出する直近の外周の少なくともいずれかに金属製の延焼防止部材に保持された熱膨張性耐火材が設けられており、前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記立て管内の流路を閉じまたは前記流路の面積を減少させるように構成される。
【0009】
また、本発明に係る他の排水配管構造では、前記排水管は、床スラブを貫通する貫通孔内または前記床スラブの上階に受け口型接続部を開口させて前記貫通孔に固定され下端が前記床スラブの下階に延びた可燃性樹脂で形成された立て管と、前記床スラブの上階で生じた排水を前記排水集合管に流入させるための可燃性樹脂で形成された横枝管と、からなり、前記排水集合管は、金属で形成され、下部に下部接続部および前記上階に突出する部分に横枝管接続部を有し、前記下部接続部が前記受け口型接続部に挿入されて前記立て管に接続され、前記横枝管が前記横枝管接続部に接続されており、前記貫通孔内における前記下部接続部の下端部に近接する前記立て管の内周面に熱膨張性耐火材が設けられており、前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記立て管内の流路を閉じまたは前記流路の面積を減少させるように構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、スラブ上面接合型排水集合管には金属製のものを用いるものの、横枝管に樹脂管を使用した場合において、下層階で発生した火災が上層階へ達するのを防止することが可能なマンションおよび事務所ビル等の建築物における排水配管構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[実施例1]
図1は本発明に係る排水配管構造1を示す図、図2は排水配管構造1に熱膨張性耐火材2が取り付けられた様子を示す正面部分断面図である。
図1および図2において、排水配管構造1は、下部立て管3、排水集合管4および横枝管5等を1単位として構成される。通常は、各階を区画する床スラブ6ごとに設置された排水配管構造1がそれぞれ上下で連続するように接続されて、建築物の上から下までの一貫した排水配管システムを構成する。図1は、下階Fdおよび上階Fuに設けられた排水配管構造1が接続された様子を示している。
【0012】
下部立て管3は、建築物の上階と下階とを区画する防火区画である床スラブ6を貫通する貫通孔7内に上端を上階に開口させて埋め戻して固定され、下端は、下階の床スラブ近辺にまで延びている。下部立て管3は、上端部が、排水集合管4の下端を接続するための受け口型の集合管接続部8となっている。
集合管接続部8は、下部立て管3の管内流路における上端近傍に設けられた集合管挿入孔9、および上端に設けられたフランジ部10からなる。集合管挿入孔9は、後に説明する排水集合管4における下部接続部16の外径よりもおおきな内径と下部接続部16の長さに略等しい奥行き(深さ)とを有する。集合管挿入孔9の最深部には、集合管挿入孔9と管内流路との内径の差により、上方を向く環状の面である下部係止面11が形成されている。集合管接続部8の上端部には、鍔状のフランジ部10が設けられている。
【0013】
下部立て管3には、鋳鉄等の金属管が使用される。下部立て管3として、他の耐火性を有する管、例えば硬質塩化ビニル樹脂製の内管を繊維入りモルタルの外管で被覆した耐火二層管を使用してもよい。
排水集合管4は、その内部流路が垂直になるようにして床スラブ6の上面近くに設置されており、管本体15、下部接続部16、横枝管接続部17および上部接続部18等を有する。
管本体15は、上部が略円柱状で下部が下方に向かって内径が小さくなる略円錐台状の外観を有し、内部には流下する排水が横枝管に逆流しないように規制する分流ガイド(図示せず)等が設けられている。
【0014】
下部接続部16は、排水集合管4の下部に断面円形の直管で形成されている。排水集合管4は、下部接続部16が下部立て管3の集合管挿入孔9に挿入されて下部立て管3に接続されている。排水集合管4は、下部接続部16の下端が下部係止面11にシール用のゴムリングのリング状鍔部を介して当接するまで集合管挿入孔9に挿入され、排水配管構造1における排水集合管4の配置が正確に行われる。下部接続部16と集合管接続部8との間は、集合管挿入孔9内に収容されたシール用のゴムリング13aによりシールされるとともに、排水が排水集合管内の壁等に衝突する際に発生する振動がスラブに伝わるのを防止している。
【0015】
横枝管接続部17は、管本体15の側面(周面)に、略水平方向に突出するようにして設けられている。横枝管接続部17は、横枝管5を接続するための横枝管挿入孔20を有する受け口型となっている。横枝管挿入孔20は、その内径が横枝管5の外径に略等しい。横枝管挿入孔20は、その最深部に周方向の溝である膨張材保持溝21と、開口部分近傍にシール収容溝14を有している。膨張材保持溝21とシール収容溝14とは、図2に示されるように壁により隔てられているが、膨張材保持溝21とシール収容溝14とを一体化して(軸方向に連続するように)形成してもよい。横枝管挿入孔20が管本体15の内部流路に連続する部分には、開口側を向く環状の面である横係止面22が形成されている。
【0016】
横枝管接続部17は、横枝管5がその先端が横係止面22に当接するまで横枝管挿入孔20に挿入されることにより、横枝管5と接続されている。膨張材保持溝21には、略円筒状の熱膨張性耐火材2が、シール収容溝14にはシール用のゴムリング13bが、いずれも横枝管5の外周を取り巻くようにして収容されている。
ここで使用される熱膨張性耐火材2は、熱膨張黒鉛を含有するゴム系材料や樹脂製材料などからなり、温度が200℃以上になったときに熱膨張してその体積が5〜40倍に膨張するものが使用される。熱膨張性耐火材2は、横枝管5の外径の40分の1以上の厚みを有し管軸方向の長さが3cm以上であることが好ましく、4cm以上とするのがより好ましい。
【0017】
このような熱膨張性耐火材2として、積水化学工業株式会社の商品「フィブロック」(登録商標)が市販されている。
この他に、温度120℃から熱膨張を開始し体積が4倍以上に膨張する因幡電機産業株式会社製の商品「熱膨張性耐熱シール材IP」、温度850℃で30分加熱後に発泡して4倍以上に膨張するニチアス株式会社製の商品「バーモフレックス」(登録商標)、および温度120℃で変性が開始され温度260℃で顕著に膨張し最終的に体積が4〜8倍になる株式会社古河テクノマテリアル製の商品「ヒートメル」(登録商標)等を熱膨張性耐火材2として使用できる。熱膨張性耐火材2は、上記したものに限られず、同等の機能を有する種々のものを使用することができる。
【0018】
横枝管接続部17は、管本体15に1つまたは複数設けられている。
上部接続部18は、管本体15の上部に設けられており、上方に開口し管本体の内部流路に連通する上部立て管挿入孔23を有する。上部接続部18には、1つ上の階の床スラブ6uに固定された上部立て管24の下端が接続されている。上部立て管挿入孔23は、その内径が上部立て管24の外径よりも大きく、内側には、上部接続部18と上部立て管24とをシールするためにシール用のゴムリング13cが嵌め込まれている。
なお、上部立て管24は、図1を参照して、1つ上の階に設けられた排水配管構造における下部立て管3uであり、下部立て管3と同一の構成を有するものである。
【0019】
排水集合管4の材質は、火炎に対する充分な耐火性を有し、かつ熱伝導率の良い金属で製作される。
排水集合管4は、管本体15、下部接続部16、横枝管接続部17、上部接続部18および管本体15内に横枝管への逆流防止用突起や傾斜板が設けられる場合はその突起や傾斜板を含む排水配管継手4全体が、軟化温度が700℃以上、溶融温度が1100℃以上、熱伝導率は10kW/(m・K)以上である金属材料、例えば、ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄などの鋳物または鋼、ステンレス鋼等で製作されるのが好ましい。
【0020】
横枝管5は、設置された階のトイレ、洗面所および風呂場等で発生する排水を排水集合管4に送るためのものである。横枝管5は、排水の発生場所ごとに、または異なる発生場所の排水が途中で集合されて、1本または複数本が排水集合管4に接続される。横枝管5は硬質塩化ビニル樹脂で製作された円管(以下「塩ビ管」という)が使用される。
図2において、横枝管5を横係止面22に当接するまで挿入するのではなく、熱膨張性耐火材2の内面が露出する程度に浅く挿入して横枝管接続部17に接続してもよい。また、横枝管5と同一材料で形成され、横枝管5と同一の内径、外径および熱膨張性耐火材2の幅(図2における横方向をいう)と略同一の長さを有する短管を挿入して横係止面22に当接させ、横枝管5を短管の端に当接するまで挿入して横枝管接続部8に接続してもよい。
【0021】
図3は熱膨張性耐火材2が機能したときの排水配管構造1の正面部分断面図である。
図1において、下階Fdで火災が発生し排水集合管4が設置された場所近辺に火炎が到達すると、排水集合管4が火炎の熱により加熱され、熱伝導によりまたは横枝管5の燃焼により、横枝管接続部17内に保持された熱膨張性耐火材2が加熱される。熱膨張性耐火材2は200℃以上になると熱膨張を開始し、横枝管接続部17に管径方向外方への熱膨張が阻止されているため管内方に向かって広がり、横枝管5の管内流路を極度に狭めて排水集合管4内に熱気、煙および火炎が流入するのを防止し、やがて管内流路を完全に閉じる。
【0022】
このように、熱膨張性耐火材2は比較的低い温度で膨張を開始し、排水集合管4内に高温の熱気が多量に流入する前に横枝管接続部17は閉じられるので、火災が発生した階から排水集合管4および上部立て管24(3u)を経由して上階に上昇する熱気が遮断され、またはその温度が低いうちに速やかに遮断される。そのため、横枝管5に可燃性の塩ビ管を使用しても、上階の横枝管5u(塩ビ管)の温度はその発火点以上にまで上昇することがなく、横枝管5uへの延焼が原因となる上階の火災を防止することができる。
[実施例2]
図4は本発明に係る他の排水配管構造1Bを示す図、図5は排水配管構造1Bに熱膨張性耐火材2が取り付けられた様子を示す正面部分断面図、図6は延焼防止部材25Bの斜視図である。
【0023】
図4および図5において、排水配管構造1Bは、下部立て管3、排水集合管4B、横枝管5および延焼防止部材25B等を1単位として構成される。
下部立て管3および横枝管5は、排水配管構造1におけるものと略同一の構成および機能を有し、排水配管構造1におけるものと同一の材料で製作される。排水配管構造1Bにおいて排水配管構造1におけるものと略同一の構成等を有するものについては、排水配管構造1におけるものと同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
排水集合管4Bは、その内部流路が垂直になるようにして床スラブ6の上面近くに設置されており、管本体15、下部接続部16、横枝管接続部17Bおよび上部接続部18等を有する。排水集合管4Bは、横枝管接続部17Bを除く管本体15、下部接続部16および上部接続部18等の構成が排水集合管4におけるものと略同一である。
【0024】
横枝管接続部17Bは、管本体15の側面(周面)に、略水平方向に突出するようにして設けられ、横枝管5を挿入するための横枝管挿入孔20Bを有する受け口型となっている。横枝管挿入孔20Bは、その内径が横枝管5の外径よりも大きく、その内面と挿入された横枝管5との間にシール用のゴムリング13bが収容されている。
図6において、延焼防止部材25Bは、円筒状の固定部26B、固定部26Bよりも径が小さく固定部26Bに段を介して連続する円筒状の支持部27B、および支持部27Bの固定部26Bとは逆側の端において軸心方向に突出する環状の係止壁28Bからなる。固定部26Bおよび支持部27Bは軸心を共有する。
【0025】
固定部26Bには、周方向に120度間隔をおいてネジ孔29Bが3箇所に設けられている。ネジ孔29B,29B,29Bには雌ネジが設けられている。ネジ孔29Bの設置個数は3つに限られるものではなく、充分に固定することができれば1個でもよい。固定部26Bの内径は、横枝管接続部17Bを挿入可能な程度に、横枝管接続部17Bの外径よりも若干大きくなっている。支持部27Bの内径は、横枝管5の外径よりも充分大きく、環状の係止壁28Bにおける中心部の貫通孔30Bは、横枝管5の外径よりもわずかに大きい。
【0026】
延焼防止部材25Bは、支持部27Bの内側に円筒状の熱膨張性耐火材2を保持し、その貫通孔30Bおよび熱膨張性耐火材2に横枝管5を挿通させて、横枝管接続部17Bに取り付けられている。延焼防止部材25Bの横枝管接続部17Bへの取り付けは、それぞれのネジ孔29B,29B,29Bにネジ31Bを螺合させて締めることにより行われている。延焼防止部材25Bは、変形しにくい金属、例えば鋼板により製作されており、ネジ31Bを締め付けることによりネジ31Bのそれぞれの先端が横枝管接続部17Bの外周に強く当接されて、その移動が制限されている。
【0027】
延焼防止部材25Bに保持される熱膨張性耐火材2は、横枝管5の管外径が50mm以上の場合では、円筒状またはシート状でその厚みが4mm以上、および膨張率が5〜40倍のものが好ましい。
延焼防止部材25Bは、メッキ鋼板、ステンレス鋼板、鋳物等などの熱伝導率の高い金属製材料により製作される。
排水配管構造1Bにおいて、下部立て管3および上部立て管24の排水集合管4Bへの接続方法は、上に説明した排水配管構造1におけるものと同一である。
【0028】
上に説明されなかった排水集合管4B、横枝管5および上部立て管24の構成については、実施例1において説明した排水配管構造1におけるものと略同じである。
次に、排水配管構造1Bにおいて、下階Fdで発生した火災が排水集合管4Bを介して上階Fuに延焼するのを防止する様子を説明する。
図7は熱膨張性耐火材2が機能したときの排水配管構造1Bの正面部分断面図である。
図4において、下階Fdで火災が発生し排水集合管4Bと横枝管5の接続場所近辺に炎が到達した場合、延焼防止部材25Bが火炎の熱により加熱され、その内周に保持されている熱膨張性耐火材2も熱伝導および横枝管5からの熱気により加熱される。熱膨張性耐火材2は、200℃以上になると内方に膨張し、熱により軟化した樹脂製の横枝管5をその膨張圧により管内方に移動させて開口面積を徐々に減少させる。熱膨張性耐火材2は、熱膨張がさらに進むと図7に示されるように延焼防止部材25Bにおける支持部27Bの内側の横枝管5の管内流路を閉じる。
【0029】
排水配管構造1Bは、このように、床スラブ6の下階Fdで発生した煙や炎等がその階に設けられた排水集合管4Bに取り付けられた延焼防止部材25Bで遮断され、上部立て管24および排水集合管4Buを経由して上階Fuに設けられた可燃性樹脂製の横枝管5uに燃え移ることがなく、下階Fdで発生した火災が防火区画により隔てられた上階Fuへ延焼するのを防止することができる。
[実施例3]
図8は本発明に係る他の排水配管構造1Cを示す正面部分断面図である。
【0030】
図8において、排水配管構造1Cは、下部立て管3、排水集合管4B、横枝管5および延焼防止部材25C等を1単位として構成される。
下部立て管3、排水集合管4Bおよび横枝管5は、排水配管構造1Bにおけるものと略同一の構成および機能を有し、排水配管構造1Bにおけるものと同一の材料で製作される。下部立て管3、排水集合管4Bおよび横枝管5の各部について、排水配管構造1または排水配管構造1Bにおけるものと略同一の構成等を有するものについては、排水配管構造1または排水配管構造1Bのいずれかにおけるものと同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0031】
排水集合管4Bは、その内部流路が垂直になるようにして床スラブ6の上面近くに設置されており、管本体15、下部接続部16、横枝管接続部17Bおよび上部接続部18等を有する。排水集合管4Bは、横枝管接続部17Bを除く管本体15、下部接続部16および上部接続部18等の構成が排水集合管4におけるものと略同一である。
延焼防止部材25Cは、図8の左側における円管で形成された径小接続部32C、および径小接続部32Cの右側に連続し、径小接続部32Cよりも径の大きな円管で形成された径大接続部33Cからなる。径小接続部32Cは、横枝管5の外径と略等しい外径を有する。径小接続部32Cは、横枝管挿入孔20Bの奥行きと略同一またはそれ以上の長さを有する。
【0032】
径大接続部33Cは、その長さが径小接続部32Cよりも長く、内径が横枝管挿入孔20Bの内径に略等しい。径大接続部33Cには、開口する端から略径小接続部32Cの長さ分奥の部分に、内方に突出してその端縁が横枝管5の外径に略等しい円を形成した保持壁34Cが設けられている。
延焼防止部材25Cは、径小接続部32Cと径大接続部33Cとの間に、これらの径の違いにより生じた段35Cを有している。
延焼防止部材25Cは、径小接続部32Cが横枝管挿入孔20Bに挿入され、径小接続部32Cの外面と横枝管挿入孔20Bの内面との間にシール用のゴムリング13bが収容されて、横枝管接続部17Bに接続されている。段35Cと保持壁34Cとの間には、膨張材保護管36Cの外周を取り巻くようにして筒状の熱膨張性耐火材2が径大接続部33C内に収容されている。熱膨張性耐火材2の内側には、横枝管5と同じ硬質塩化ビニル樹脂製の短管である膨張材保護管36Cが、一端を段35Cに当接させて挿入されている。膨張材保護管36Cは、熱膨張性耐火材2の長さ(図7における横方向長さ)に略等しい長さを有する。
【0033】
延焼防止部材25Cは、横枝管5を径大接続部33C内に膨張材保護管36Cに当接するまで挿入させ、径大接続部33Cと横枝管5との間にシール用のゴムリング13bを収容して、横枝管接続部17Bと横枝管5とを接続している。
延焼防止部材25Cは、排水集合管4Bと同じ金属材料、例えば、ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄などの鋳物、または鋼、ステンレス等で製作される。
図8において、膨張材保護管36Cを使用せず、横枝管5を段35Cに当接するまで挿入してもよい。
【0034】
図9は熱膨張性耐火材2が機能したときの排水配管構造1Cの正面部分断面図である。
横枝管5が設けられた階で火災が発生し、延焼防止部材25Cが火炎の熱により加熱され、その内周に保持されている熱膨張性耐火材2も熱伝導および横枝管5からの熱気により加熱され所定の温度に達すると、熱膨張性耐火材2は内方に膨張して軟化した膨張材保護管36Cを押しのけ、内方に向けて膨張する。その結果、熱膨張性耐火材2は、極めて短時間に延焼防止部材25Cの内部を閉塞させ、排水集合管4Bの内部を火災雰囲気から遮断する。排水配管構造1Cは、排水集合管4Bから上部立て管24を経由して熱気、煙および火炎が上階の横枝管に達するのを防止することができ、下階で発生した火災が防火区画により隔てられた上階へ延焼するのを防止することができる。
[実施例4]
図10は本発明に係る他の排水配管構造1Dを示す図、図11は排水配管構造1Dに熱膨張性耐火材2が取り付けられた様子を示す正面部分断面図、図12は延焼防止部材25Dの斜視図である。
【0035】
図10および図11において、排水配管構造1Dは、下部立て管3D、排水集合管4B、横枝管5および延焼防止部材25D等を1単位として構成される。図10は、下階Fdおよび上階Fuに設けられた排水配管構造1Dが接続された様子を示している。
排水集合管4Bおよび横枝管5は、排水配管構造1B,1Cにおけるものと略同一の構成および機能を有し、これらにおけるものと同一の材料で製作される。下部立て管3Dおよび上部立て管24D(1つ上階の排水配管構造における下部立て管3Du)は硬質塩化ビニル樹脂で製作される。下部立て管3Dおよび上部立て管24Dは、硬質塩化ビニル樹脂で製作された点を除き、排水配管構造1,1B,1Cにおけるものと略同一の構成および機能を有する。
【0036】
下部立て管3D、排水集合管4Bおよび横枝管5において、排水配管構造1、排水配管構造1Bまたは排水配管構造1Cにおけるものと略同一の構成等を有するものについては、これらにおけるいずれかのものと同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
延焼防止部材25Dは、図12に示したように2分割された延焼防止部材片25Da,25Dbを組み合わせたものであり、組み合わされた状態で取付部37Dおよび保持部38Dからなる。取付部37Dは、板材により環状に形成され、周方向に等間隔に4つの取付孔39D,39D,39D,39Dが設けられている。保持部38Dは、全体として円筒状であって、上端が取付部37Dの孔の端縁に連続し、その下端は内方に延び円形の貫通する孔40Dが設けられた平板に連続している。
【0037】
延焼防止部材25Dは、下部立て管3Dの外周に円筒状に巻かれた熱膨張性耐火材2を保持部38Dに保持させて、孔40Dに下部立て管3Dが貫通するように延焼防止部材片25Da,25Dbを組み合わせ、取付孔39D,39Dに挿通させたボルト41D,41Dにより床スラブ6の下面に固定されている。なお、ボルト41D,41Dは、床スラブ6に打ち込まれたプラグアンカー42D,42Dに螺合されて延焼防止部材25Dを床スラブ6に固定している。
延焼防止部材25Dは、熱膨張性耐火材2の下端から床スラブ6の下面に至るまでの熱膨張性耐火材2および下部立て管3Dの外面を覆っている。
【0038】
延焼防止部材25Dは、メッキ鋼板、ステンレス鋼板、鋳物等などの熱伝導率の高い金属により製作される。
図13は熱膨張性耐火材2が機能したときの排水配管構造1Dの正面部分断面図である。
図10において、下階Fdで火災が発生し排水集合管4Bが設置されたスラブの貫通孔下部近辺に火炎の熱が到達すると、熱伝導の良い金属製の延焼防止部材25Dの保持部38Dに保持された熱膨張性耐火材2は、火災が上階に燃え広がる前に、加熱され、所定温度以上になると熱膨張する。熱膨張性耐火材2は、円筒状外周面が保持部38Dにより外方への膨張が制限され、延焼防止部材25Dの内側に向けて膨張する。そして、熱膨張性耐火材2は、延焼防止部材25Dの孔40Dを塞ぎ、火災が発生した下階Fdと排水集合管4Bの内部とを遮断する。その結果、火災の熱気、煙および火炎が上階Fuに流入するのを防ぐことによって、上階Fuの横枝管5および上部立て管24Dはその着火点以上にまで加熱されることがなく、横枝管5および上部立て管24Dが燃焼することによる上階Fuへの火災の延焼が防止される。
[実施例5]
図14は本発明に係る他の排水配管構造1Eを示す図、図15は排水配管構造1Eに熱膨張性耐火材2が取り付けられた様子を示す正面部分断面図、図16は延焼防止部材25Eの斜視図である。
【0039】
図14、図15において、排水配管構造1Eは、下部立て管3D、排水集合管4B、横枝管5および延焼防止部材25E等を1単位として構成される。
排水集合管4Bおよび横枝管5は、排水配管構造1B,1C,1Dにおけるものと略同一の構成および機能を有し、これらにおけるものと同一の材料で製作される。下部立て管3Dは、排水配管構造1Dにおける下部立て管3Dと同じものである。
排水配管構造1Eにおいて、排水配管構造1、排水配管構造1B、排水配管構造1Cまたは排水配管構造1Dにおけるものと略同一の構成等を有するものについては、これらにおけるいずれかのものと同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0040】
延焼防止部材25Eは、環状の板材で形成され2分割されている。中心に設けられた孔40Eの内径は、下部立て管3Dの外径に略等しい。延焼防止部材25Eには、取付孔39Eが周方向に等間隔に6つ設けられている。
貫通孔7の床スラブ6下端近傍には、膨張材取付溝43Eが周方向に設けられている。
膨張材取付溝43E内にはテーパ付きリング状の熱膨張製耐火材2が収容されている。熱膨張製耐火材2は、貫通孔7に固定された下部立て管3Dの外周をとりまくように収容されており、床スラブ6の下面に固定された延焼防止部材25Eに、その接触面積が多くなるように保持されている。延焼防止部材25Eは、孔40Eに下部立て管3Dを貫通させ、取付孔39E,39Eに挿通されたボルト41D,41Dがプラグアンカー42D,42Dに螺合されて床スラブ6に固定されている。
【0041】
延焼防止部材25Eは、メッキ鋼板、ステンレス鋼板、鋳物等などの熱伝導率の高い金属により製作される。
排水配管構造1Eは、排水配管構造1Dと同じように、下階に火災が発生すると熱膨張性耐火材2が排水集合管4Bと下階とを遮断し、上階への火災の延焼を防止する。
図15において、熱膨張性耐火材2の一部を床スラブ6の下面から下方に突出させ、延焼防止部材25Eを、延焼防止部材25Dにおける保持部38Dような熱膨張性耐火材2の外面を覆う構成としてもよい。
[実施例6]
図17は本発明に係る他の排水配管構造1Fを示す図である。
【0042】
図17において、排水配管構造1Fは、下部立て管3F、排水集合管4Bおよび横枝管5等を1単位として構成される。排水集合管4Bおよび横枝管5は、排水配管構造1B〜1Eにおけるものと略同一の構成および機能を有し、これらにおけるものと同一の材料で製作される。
下部立て管3Fは、上端部に、排水集合管4Bの下部接続部16を接続するための集合管挿入孔9Fを備えた受け口型の集合管接続部8Fを有する。集合管挿入孔9Fは、その内径が下部接続部16の外径に略等しい。集合管挿入孔9Fは、最深部に周方向の溝である膨張材保持溝44Fと、開口部分近傍にシール収容溝14Fとを有している。膨張材保持溝44Fとシール収容溝14Fとは壁により隔てられているが、膨張材保持溝44Fとシール収容溝14Fとを一体化して(軸方向に連続するように)形成してもよい。集合管挿入孔9Fが下部立て管3Fの内部流路に連続する部分には、開口側を向く環状の面である下部係止面11Fが形成されている。
【0043】
膨張材保持溝44Fには、略円筒状の熱膨張性耐火材2が収容されている。熱膨張性耐火材2の内側には、硬質塩化ビニル樹脂製の短管である膨張材保護管45Fが下端を下部係止面11Fに当接させて挿入されている。膨張材保護管45Fの長さは、膨張材保持溝44Fの幅に略等しい。
集合管接続部8Fは、下部接続部16の先端を膨張材保護管45Fの上端に当接するまで集合管挿入孔9Fに挿入させることにより、排水集合管4Bと接続されている。シール収容溝14Fには、集合管接続部8Fと下部接続部16とをシールするためのゴムリング13aが収容されている。
【0044】
排水配管構造1Fは、下階に火災が発生すると下部立て管3F内を上昇する熱気および火炎等により熱膨張性耐火材2が図17において波線で示されるように膨張して集合管挿入孔9F内の流路を狭めまたは流路を閉じ、排水集合管4Bと下階とを遮断して上階への火災の延焼を防止する。熱膨張性耐火材2が膨張するまでの短時間の間に、下階からの炎が下部立て管内3Fを伝わってくる場合があっても、排水集合管4Bが金属製であるため延焼防止領域として機能し、排水集合管より上部に燃え広がることを防ぐことが可能である。
【0045】
上述の実施形態において、排水集合管1,1B〜1Fの横枝管接続部17,17Bと横枝管5との接続、下部接続部16と下部立て管3,3D,3Fとの接続、および上部接続部18と上部立て管24,24D,24Fとの接続に上記以外の他の公知の接続方法を用いて、排水配管構造を構成することができる。
横枝管5、下部立て管3,3D,3F、および上部立て管24,24D,24Fのうち任意のものについて遮音効果または保温効果を有する材料、例えばガラス繊維等で被覆することができる。
【0046】
また、横枝管5は、前記したような排水集合管1,1B〜1Fから水平方向に突出して形成された形態に限られず、排水集合管1,1B〜1Fから水平方向に突出した後上向きに方向を変えて開口する形態であってもよく、さらに、排水集合管1,1B〜1Fから斜め上方に突出する形態であってもよい。
熱膨張性耐火材2は、シート状のものが使用されるときは、矩形状に裁断され筒状に丸めて取り付けられるが、厚みを有するものをより小さな矩形状に裁断し、これを環状に連続的にまたは間欠的に配置してもよい。
【0047】
排水配管構造1,1B〜1Fは、上部立て管24,24D,24F(3,3D,3F)を排水集合管4,4Bの上端ではなく上部の側方に接続させることができる。排水集合管4,4Bの上部側方に複数の横枝管接続部を設けて2以上の横枝管5を接続させることができる。
また、排水集合管4,4Bは、管本体15で上下に2分割し、分割された管本体15をその間にパッキングを介してフランジ接合した分割形態であってもよい。
その他、排水配管構造1,1B〜1F、および排水配管構造1,1B〜1Fの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、マンション等の集合住宅または事務所ビル等で各階において発生する排水を集合させ下階に送り出す排水配管構造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明に係る排水配管構造を示す図である。
【図2】図2は図1において熱膨張性耐火材が取り付けられた様子を示す正面部分断面図である。
【図3】図3は図2において熱膨張性耐火材が機能したときの排水配管構造の正面部分断面図である。
【図4】図4は本発明に係る他の排水配管構造を示す図である。
【図5】図5は排水配管構造に熱膨張性耐火材が取り付けられた様子を示す正面部分断面図である。
【図6】図6は延焼防止部材の斜視図である。
【図7】図7は図6において熱膨張性耐火材が機能したときの排水配管構造の正面部分断面図である。
【図8】図8は本発明に係る他の排水配管構造の正面部分断面図である。
【図9】図9は図8において熱膨張性耐火材が機能したときの排水集合管の正面部分断面図である。
【図10】図10は本発明に係る他の排水配管構造を示す図である。
【図11】図11は排水配管構造に熱膨張性耐火材が取り付けられた様子を示す正面部分断面図である。
【図12】図12は延焼防止部材の斜視図である。
【図13】図13は図11において熱膨張性耐火材が機能したときの排水集合管の正面部分断面図である。
【図14】図14は本発明に係る他の排水配管構造を示す図である。
【図15】図15は排水配管構造に熱膨張性耐火材が取り付けられた様子を示す正面部分断面図である。
【図16】図16は延焼防止部材の斜視図である。
【図17】図17は図16において熱膨張性耐火材が機能したときの排水集合管の正面部分断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1,1B〜1F 排水配管構造
2 熱膨張性耐火材
3,3D,3F 立て管(下部立て管)
4,4B 排水集合管
5 横枝管
6,6u,6d 床スラブ
7 貫通孔
8,8F 受け口型接続部(集合管接続部)
16 下部接続部
17,17B 横枝管接続部
25C 延焼防止部材
Fu 上階
Fd 下階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物内における排水管および排水集合管で構成された排水配管構造であって、
前記排水管は、
床スラブを貫通する貫通孔内または前記床スラブの上階に受け口型接続部を開口させて前記貫通孔に固定され下端が前記床スラブの下階に延びた金属で形成された立て管と、
前記床スラブの上階で生じた排水を前記排水集合管に流入させるための可燃性樹脂で形成された横枝管と、からなり、
前記排水集合管は、
金属で形成され、
下部に下部接続部および前記上階に突出する部分に横枝管接続部を有し、
前記下部接続部が前記受け口型接続部に挿入されて前記立て管に接続され、
前記横枝管が前記横枝管接続部に接続されており、
前記横枝管における前記横枝管接続部に接続された部分もしくはその直近の外周、または前記横枝管接続部の内側の少なくともいずれかに熱膨張性耐火材が設けられており、
前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記横枝管接続部内の流路を閉じまたは前記流路の面積を減少させるように構成された
ことを特徴とする排水配管構造。
【請求項2】
建築物内における排水管および排水集合管で構成された排水配管構造であって、
前記排水管は、
床スラブを貫通する貫通孔内または前記床スラブの上階に受け口型接続部を開口させて前記貫通孔に固定され下端が前記床スラブの下階に延びた金属で形成された立て管と、
前記床スラブの上階で生じた排水を前記排水集合管に流入させるための可燃性樹脂で形成された横枝管と、
前記横枝管と前記排水集合管とを接続する延焼防止部材と、からなり、
前記排水集合管は、
金属で形成され、
下部に下部接続部および前記上階に突出する部分に横枝管接続部を有し、
前記下部接続部が前記受け口型接続部に挿入されて前記立て管に接続され、
前記横枝管接続部が前記延焼防止部材を介して前記横枝管に接続されており、
前記横枝管における前記延焼防止部材に接続された部分または前記横枝管接続部の内側の少なくともいずれかに熱膨張性耐火材が設けられており、
前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記横枝管から前記排水集合管への流路を閉じまたは前記流路の面積を減少させるように構成された
ことを特徴とする排水配管構造。
【請求項3】
建築物内における排水管および排水集合管で構成された排水配管構造であって、
前記排水管は、
床スラブを貫通する貫通孔内または前記床スラブの上階に受け口型接続部を開口させて前記貫通孔に固定され下端が前記床スラブの下階に延びた可燃性樹脂で形成された立て管と、
前記床スラブの上階で生じた排水を前記排水集合管に流入させるための可燃性樹脂で形成された横枝管と、からなり、
前記排水集合管は、
金属で形成され、
下部に下部接続部および前記上階に突出する部分に横枝管接続部を有し、
前記下部接続部が前記受け口型接続部に挿入されて前記立て管に接続され、
前記横枝管が前記横枝管接続部に接続されており、
前記貫通孔下端部における前記立て管の外周または前記立て管の前記床スラブの下階に突出する直近の外周の少なくともいずれかに金属製の延焼防止部材に保持された熱膨張性耐火材が設けられており、
前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記立て管内の流路を閉じまたは前記流路の面積を減少させるように構成された
ことを特徴とする排水配管構造。
【請求項4】
建築物内における排水管および排水集合管で構成された排水配管構造であって、
前記排水管は、
床スラブを貫通する貫通孔内または前記床スラブの上階に受け口型接続部を開口させて前記貫通孔に固定され下端が前記床スラブの下階に延びた可燃性樹脂で形成された立て管と、
前記床スラブの上階で生じた排水を前記排水集合管に流入させるための可燃性樹脂で形成された横枝管と、からなり、
前記排水集合管は、
金属で形成され、
下部に下部接続部および前記上階に突出する部分に横枝管接続部を有し、
前記下部接続部が前記受け口型接続部に挿入されて前記立て管に接続され、
前記横枝管が前記横枝管接続部に接続されており、
前記貫通孔内における前記下部接続部の下端部に近接する前記立て管の内周面に熱膨張性耐火材が設けられており、
前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記立て管内の流路を閉じまたは前記流路の面積を減少させるように構成された
ことを特徴とする排水配管構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2008−248594(P2008−248594A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92225(P2007−92225)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】