説明

排泄物処理用品のための消臭剤組成物及び排泄物収容装具

【課題】 排泄物処理用品中の排泄物を取り出す際にも臭気が発生せず、容易に排泄物を取り出すことを可能にする排泄物処理用品用消臭剤組成物及びこの消臭剤組成物を収納してなる排泄物収容装具を提供する。
【解決手段】 植物油、鉱油、動物油及び合成油からなる群から選ばれる少なくとも1種の油(A)、親水性高分子化合物(B)及び消臭性化合物(C)を含有してなり、(1)(A)、(B)及び(C)成分の含有量が、それぞれ、1.0〜65.0重量%、5.0〜60.0重量%、20.0〜94.0重量%であるか、又は(2)動摩擦係数が0.05〜0.25であることを特徴とする排泄物処理用品用消臭剤組成物。この消臭剤組成物は、粒状であり、その平均粒径が0.1〜1,900μm範囲にあることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体からの排泄物、排泄液、ガス、滲出液、分泌液等(以下、これらを総称して「排泄物」という。)を処理するために使用する排泄物収容装具、おむつ、尿パッド、生理用ナプキン、医療用吸収パッド等(以下、これらを総称して「排泄物処理用品」という。)のための消臭剤組成物に関する。
本発明は、特に、排泄物収容装具のための消臭剤組成物及び該消臭剤組成物を含んでなる排泄物収容装具に関する。
【背景技術】
【0002】
便や尿の排泄を自らの意志により制御できない場合や、消化器系又は泌尿器系器官の疾患がある場合に、外科的手術を行い腸管や尿管を体表まで導き体表面にストーマを造設した人は、ストーマからの排泄物を一時的に貯留できるオストミーパウチをストーマの周囲に装着する。
また、その他の疾患で体表面に開孔や傷を有する人も、ドレナージ等により排出された排泄物を処理するために、ドレナージパウチを開孔や傷の周囲に装着する。
通常、これらの排泄物収容装具は、防臭性の材料(例えばポリ塩化ビニリデン等)で外界に対し密封状態に形成されるものであるから、たとえ排泄物がパウチ内に収容されているような状態にあっても臭気が漏れることはない。しかしながら、パウチを再利用又は廃棄するために、パウチから排泄物を取り出す際には、排泄物から強い臭気が発生するため、このような排出操作に不快感をもつ装着者は少なくない。
また、おむつ、尿パッド、生理用ナプキン、医療用吸収パッド等の排泄物処理用品においても、これら用品を装着している間は、排泄物の臭いが漏れることはさほどないが、用品を適用部位から取り外した途端に臭気が拡散するため、排泄物収容装具と同様の不快感に対する問題があった。
こうしたことから、排泄物処理用品中の排泄物臭気を除去するために、様々な消臭剤や消臭方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、木粉等の吸水剤と、グリオキザール等の防臭剤と、吸水性ポリマー等の固化剤とを含む看護用排便処理剤が開示されている。しかしながら、この看護用排便処理剤は、排泄物中の水分を吸収してゲル状となった固化剤と、排泄物の粘性とが相俟って、排泄物と処理剤との混合物が排泄物処理用品の内面にべったりと付着し、排泄物処理用品から容易に排出できないことが多い。このため、排出操作に時間が掛かる場合があり、臭気による不快感が増大する。
特許文献2には、吸湿性マトリックスと添加成分とからなる吸湿性組成物を含有するオスミーパウチが開示されている。ここで、添加成分は、食品防腐剤、悪臭拮抗作用体芳香剤、消毒薬及び臭気吸収剤から選ばれる少なくとも一種であり、吸湿性マトリックスは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロールから選ばれる少なくとも一種である。この吸湿性マトリックスは、90%以上の相対湿度下において、液体層を形成するものであり、やはり、排泄物のパウチ内面への付着等の問題を有する。
特許文献3には、有機化合物と粘土との混合物を真空中で加熱して炭化させて得られる多孔質の炭化物と多孔質のセラミックスとの複合物であるストーマ用消臭剤が開示されている。この消臭剤は、排泄物との十分な接触面積や密着性が得られにくい場合があり、消臭性が十分ではない。
【0004】
【特許文献1】特開平10−66866号公報
【特許文献2】特開平9−308645号公報
【特許文献3】特開2004−230051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、排泄物処理用品中の排泄物臭気に関する上記問題を解決するには、単に、排泄物の臭気を除去するだけでは足らず、排泄物を排泄物処理用品から取り出すときの操作の容易性等をも勘案しなければならない。
従って、本発明の目的は、排泄物処理用品中の排泄物を取り出す際にも臭気が発生せず、容易に排泄物を取り出すことを可能にする排泄物処理用品用消臭剤組成物を提供することにある。
本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物は、排泄物収容装具用に用いるのに好適である。
また、本発明の他の目的は、排泄物を収容するためのパウチを備えた排泄物収容装具であって、パウチ内に上記の消臭剤組成物を収納してなる排泄物収容装具を提供することにある。
上記本発明の排泄物収容装具において、消臭剤組成物は、経時的にパウチ内に放出されるように、収納されていることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かくして、本発明によれば、植物油、鉱油、動物油及び合成油からなる群から選ばれる少なくとも1種の油(A)、親水性高分子化合物(B)及び消臭性化合物(C)を含有してなり、(1)(A)、(B)及び(C)成分の含有量が、それぞれ、1.0〜65.0重量%、5.0〜60.0重量%、20.0〜94.0重量%であるか、又は(2)動摩擦係数が0.05〜0.25であることを特徴とする排泄物処理用品用消臭剤組成物が提供される。
本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物は、植物油、鉱油、動物油及び合成油からなる群から選ばれる少なくとも1種の油(A)、親水性高分子化合物(B)及び消臭性化合物(C)を含有してなり、(1)(A)、(B)及び(C)成分の含有量が、それぞれ、1.0〜65.0重量%、5.0〜60.0重量%、20.0〜94.0重量%であって、且つ、(2)動摩擦係数が0.05〜0.25であることが好ましい。
また、本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物は、植物油、鉱油、動物油及び合成油からなるからなる群から選ばれる少なくとも1種の5.0〜15.0重量%、親水性高分子化合物20.0〜55.0重量%、及び消臭性化合物30.0〜65.0重量%を含有してなるものであることが好ましい。
また、本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物は、粒状であり、その平均粒径が0.1〜1,900μmの範囲にあることが好ましい。
また、本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物において、植物油、鉱油、動物油及び合成油からなるからなる群から選ばれる少なくとも1種の油が精油であることが好ましい。
更に、本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物は、4.0〜7.0の範囲のpHを有することが好ましい。
更に、本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物は、25%水溶液の形態において、0.095(g/cm/day)以下の水蒸散量を有することが好ましい。
本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物は、排泄物収容装具に好適に用いられる。
【0007】
また、本発明によれば、排泄物を収容するためのパウチを備えた排泄物収容装具であって、パウチ内に上記本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物を収納してなる排泄物収容装具が提供される。
上記排泄物収容装具において、本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物がパウチ内に経時的に放出されるように排泄物収容装具に収納されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物は、消臭性に優れると共に、排泄物に密着してこれを被覆するので、悪臭成分の拡散を防ぎ高い消臭効果を示す。また、本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物は、排泄物に滑り性を付与するので、排泄物処理用品からの排泄物の取り出しを短時間で済ませることが可能となる。
従って、本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物は、排泄物処理用品中の悪臭成分の拡散を低減し、排泄物排出操作に伴う不快感を軽減することができる。
本発明の排泄物処理用品は、これから排泄物を短時間で取り出すことが容易であって、且つ、この操作時において取扱者に不快臭を感じさせることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の排泄物処理用品用消臭剤組成物(以下、「排泄物処理用品用消臭剤組成物」を単に「消臭剤組成物」ということがある。)は、植物油、鉱油、動物油及び合成油からなる群から選ばれる少なくとも1種の油(A)、親水性高分子化合物(B)及び消臭性化合物(C)を含有してなる。
【0010】
本発明において、消臭剤組成物を構成する油(A)は、植物油、鉱油、動物油及び合成油のいずれであってもよい。
植物油の具体例としては、ペパーミント油、ミント油、スペアミント油、ラベンダー油、ティーツリー油、ユーカリ油、ハッカ油、チョウジ油、ケイヒ油、ローズマリー油、オレンジ油、レモングラス油、レモン油、ユズ油、ライム油、グレープフルーツ油、ヒノキ油、オリーブ油、オリーブスクワラン、マカデミアナッツ油、ホホバ油、アーモンド油、落花生油、ひまし油、やし油、パーム油、サフラワー油、ひまわり油、綿実油、硬化やし油、硬化パーム油、アボガド油、杏仁油、グレープシード油等を挙げることができる。
これらのうち芳香性の精油を用いると、精油の香気によって悪臭成分がマスキングされるので、より一層消臭効果を高めることができる。
また、抗菌作用を有する精油を使用すると、その抗菌作用によっても消臭効果が得られる。
【0011】
鉱油の具体例としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ナフテン油等を挙げることができる。
動物油の具体例としては、ラノリン、タートル油、ミツロウ、スクワレン、プリスタン等を挙げることができる。
また、合成油の具体例としては、グリセリントリ−2−エチルヘキサノエート等の脂肪酸トリグリセライド;ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、アミノシリコン等のシリコーンオイル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル等のエステル類;等を挙げることができる。
これらの油は、少なくとも1種類を用いればよく、2種類以上を併用してもよい。
【0012】
消臭剤組成物中の油は、排泄物の表面に広がり、排泄物を被覆するような状態で膜化し、この膜により排泄物の悪臭成分の蒸散が抑制されるものと考えられる。また、この油は、排泄物と排泄物処理用品との間で潤滑作用を発揮し、これにより、排泄物の排泄物処理用品内表面からの除去を容易にすると考えられる。
【0013】
本発明の消臭剤組成物は、親水性高分子化合物(B)を必須成分とする。
親水性高分子化合物としては、天然、半合成又は合成の親水性高分子化合物を使用できる。
天然親水性高分子化合物の具体例としては、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、デンプン(例えば、コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストリン、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子;等が挙げられる。
【0014】
半合成親水性高分子化合物の具体例としては、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0015】
合成親水性高分子化合物の具体例としては、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;等が挙げられる。
【0016】
親水性高分子化合物は、水溶性のものでも非水溶性のものでもよいが、水を吸収してゲル状になるものが好ましい。
非水溶性の親水性高分子化合物としては、水溶性親水性高分子化合物を架橋等によって非水溶性化したものが使用できる。その具体例としては、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプン−アクリルニトリルグラフト共重合体、スターチグリコール酸ナトリウム、架橋デキストラン、架橋ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0017】
本発明の消臭剤組成物において、親水性高分子化合物が排泄物中の水分を吸収してゲル状になると、消臭剤組成物がゲル状となり、皮膜化して排泄物を被覆する。これにより、排泄物中の悪臭成分が蒸散するのを防ぎ、高い消臭効果が得られる。また、ゲル状となった親水性高分子化合物自体が、悪臭成分を吸着して消臭効果を更に高める。
【0018】
本発明で使用し得る消臭性化合物(C)は、特に限定されず、化学的消臭性化合物及び生物的消臭性化合物のいずれであってもよい。
化学的消臭性化合物は、有機系消臭性化合物であっても無機系消臭性化合物であってもよい。
有機系消臭性化合物としては、フェノール化合物、有機酸化合物、エステル化合物、アルデヒド化合物、第4級アンモニウム塩等を使用することができる。
【0019】
フェノール化合物の具体例としては、カテコール、4−メチルカテコール、5−メチルカテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾシノール、ハイドロキノン等のジフェノール類;4,4’−ビフェニルジオール、3,4’−ビフェニルジオール等のビフェニルジオール類;カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート等のカテキン類;ドーパ、ドーパミン、クロロゲン酸、コーヒー酸、パラクマル酸、チロシン等のカテコール誘導体を挙げることができる。
これらのフェノール化合物は、単体でもよいが、これらを含む植物(コーヒー、茶類(緑茶、焙じ茶、紅茶、ウーロン茶、マテ茶等)、ぶどう、柿、大豆、カカオ、ローズマリー、リンゴ等)の抽出物であってもよい。
【0020】
有機酸化合物としては、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸及びこれらの塩を用いることができる。その具体例としては、酢酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、アクリル酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ニコチン酸等を挙げることができる。これらは、ベタイン化合物の形態であってもよい。
エステル化合物の具体例としては、有機酸のエステル化合物を用いることができる。その具体例としては、(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
アルデヒド化合物の具体例としては、グリオキザール等を挙げることができる。
第4級アンモニウム塩の具体例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩等を挙げることができる。
【0021】
無機系消臭性化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化チタン、ミョウバン等の金属酸化物;二酸化塩素等が挙げられる。
【0022】
生物的消臭性化合物としては、酵素、微生物(細菌、酵母等)等の有機物分解作用を有するもの、及びエタノール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン等の防腐・殺菌作用を有する化合物が使用できる。
【0023】
本発明の消臭剤組成物においては、(1)(A)、(B)及び(C)成分の含有量が、それぞれ、1.0〜65.0重量%、5.0〜60.0重量%、20.0〜94.0重量%であるか、又は(2)動摩擦係数が0.05〜0.25であることが必要である。
以下、(1)の要件を満足するものを、「第一の消臭剤組成物」と、(2)の要件を満足するものを「第二の消臭剤組成物」という。また、単に「本発明の消臭剤組成物」というときは、「第一の消臭剤組成物」と「第二の消臭剤組成物」との双方をいう。
【0024】
第一の消臭剤組成物中の油の含有量は、1.0〜65.0重量%であることが必要であり、好ましくは5.0〜15.0重量%である。
油の含有量が上記下限より少ないと、上記機能が十分に発揮されない可能性がある。他方、上記上限よりも多いと、精油を用いた場合には臭気が過剰となり、不快感を与える可能性がある。
【0025】
第一の消臭剤組成物中の親水性高分子化合物の含有量は、5.0〜60.0重量%であることが必要であり、好ましくは20.0〜55.0重量%である。
親水性高分子化合物の含有量が上記下限より少ないと、消臭効果が十分に発揮されない可能性がある。他方、上記上限よりも多いと、ゲル状となった親水性高分子化合物がストーマ袋等の排泄物処理用品の壁に付着して、排泄物の取り出しが困難になる可能性がある。
【0026】
第一の消臭剤組成物中の消臭性化合物の含有量は、20.0〜94.0重量%であり、好ましくは30.0〜65.0重量%である。
消臭性化合物の含有量が上記下限より少ないと、十分な消臭効果が発揮されない可能性がある。他方、上記上限よりも多いと経済的に有利ではない。本発明の消臭剤組成物の消臭効果は、他の成分とのバランスが重要であるので、この消臭性化合物のみを多くしても、消臭効果が発揮されない可能性がある。
【0027】
本発明の第一の消臭剤組成物は、0.05〜0.25の範囲の動摩擦係数を有することが好ましく、動摩擦係数は0.05〜0.20の範囲であることが更に好ましい。動摩擦係数が0.05〜0.25の範囲にあるとき、消臭剤組成物の排泄物処理用品に対する潤滑性が向上し、これにより、排泄物の排泄物処理用品内表面からの除去が容易になる。
第一の消臭剤組成物の動摩擦係数を上記範囲内とするには、油、親水性高分子化合物及び消臭性化合物の3成分の組成比及び種類を適宜選択すればよい。
【0028】
本発明の第二の消臭剤組成物は、植物油、鉱油、動物油及び合成油からなる群から選ばれる少なくとも1種の油(A)、親水性高分子化合物(B)及び消臭性化合物(C)を含有してなり、動摩擦係数が0.05〜0.25であることを特徴とする。
本発明の第二の消臭剤組成物に用いる、植物油、鉱油、動物油及び合成油からなる群から選ばれる少なくとも1種の油(A)、親水性高分子化合物(B)及び消臭性化合物(C)については、本発明の第一の消臭剤組成物に用いるものと、同様である。
本発明の第二の消臭剤組成物は、上記範囲の動摩擦係数を有することにより、消臭剤組成物の排泄物処理用品に対する潤滑性が優れたものになり、これにより、排泄物の排泄物処理用品内表面からの除去が容易になる。動摩擦係数は0.05〜0.20の範囲であることが更に好ましい。
本発明の第二の消臭剤組成物の動摩擦係数を上記範囲内とするには、油、親水性高分子化合物及び消臭性化合物の3成分の組成比及び種類を適宜選択すればよい。
【0029】
本発明の消臭剤組成物は、油、親水性高分子化合物及び消臭性化合物以外の成分を含有していてもよい。
これらの任意成分としては、界面活性剤、粉体、香料、着色剤等を示すことができる。これらの成分を添加することにより、排泄物の潤滑性が向上し、また、消臭性が向上する。
【0030】
界面活性剤は、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれでもよい。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等のエーテル型;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のエーテルエステル型;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型;脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型;等を挙げることができる。
【0031】
アニオン界面活性剤の具体例としては、脂肪酸石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩;等を挙げることができる。
カチオン界面活性剤の具体例としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩;等を挙げることができる。
両性界面活性剤の具体例としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、レシチン;等を挙げることができる。
【0032】
これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤の使用量は、特に限定されないが、通常、消臭剤組成物全重量に対して0.1〜10重量%の範囲である。
本発明の消臭剤組成物において、界面活性剤も、油と同様に排泄物と排泄物処理用品の間で潤滑作用を発揮し、排泄物の排泄物処理用品内表面からの除去を容易にするものと考えられる。
【0033】
本発明の消臭剤組成物に添加し得る粉体としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体パウダー等のアクリル系パウダー、ナイロンパウダー、フッ素コーティングパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、シルクパウダー、セルロースパウダー、マイカ、セリサイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、ベントナイト、スメクタイト等が挙げられる。
これらのうち、アクリル系パウダー、ナイロンパウダー、フッ素コーティングパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素等の非水溶性の粉体が好ましい。
粉体の形状は、特に限定されず、球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等のいずれであってもよい。
粉体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
粉体の使用量は、特に限定されないが、通常、消臭剤組成物全重量に対して5〜20重量%の範囲である。
消臭剤組成物に、粉体を添加することにより、排泄物の潤滑性がよくなる。
【0034】
本発明の消臭剤組成物の形態は、粒状であることが好ましい。粒状であるとき、排泄物処理用品との接触面積を小さくすることができ、これによって摩擦が低減されるので、排泄物の滑り性を向上させることができる。
また、粒状の消臭剤組成物の平均粒径は、0.1〜1,900μmの範囲であることが好ましく、30〜500μmの範囲であることがより好ましい。平均粒径がこの範囲内にあるとき、消臭性組成物が排泄物収容装具内に均一に分散し易く、良好な滑り性が得られる。
粒状の消臭剤組成物の形状は、特に限定されないが、表面に、微細な凹凸や突起を多数設けると、表面積が増大され、消臭効果を高めることができるので、好適である。
【0035】
本発明の消臭剤組成物は、そのpHが4.0〜7.0の範囲内にあることが好ましく、4.5〜6.5の範囲内にあることが更に好ましい。
pHがこの範囲内にあると、消臭剤組成物が皮膚や粘膜に接触しても、これらに害を及ぼすことがない。
消臭剤組成物のpHを調整するには、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、アスコルビン酸等の有機酸やその塩又はアルカリ金属水酸化物等を用いればよい。
【0036】
本発明の消臭剤組成物は、消臭剤組成物を25%水溶液の形態にしたときに、その水蒸散量が1.00(g/cm/day)以下であることが好ましい。水蒸散量は、0.095(g/cm/day)以下であることが更に好ましい。水蒸散量がこの範囲にあるとき、排泄物中の水分を持続的に保持し、悪臭成分と共に水が蒸散することを防ぐため、高い消臭効果を得ることができる。
【0037】
本発明の消臭剤組成物の調製方法は、特に限定されず、各成分を適宜混合することによって得ることができる。
消臭剤組成物が液状である場合は、油、消臭性化合物及び親水性高分子化合物を、水及び界面活性剤を用いて乳化して、油/水タイプのエマルションとすることができる。
また、粒状の消臭剤組成物を得るには、水、油、親水性高分子化合物及び消臭性化合物を混合して得られた混合物を、熱風中に噴霧し水分を蒸散させて粒状とする方法を挙げることができる。
【0038】
本発明の消臭剤組成物は、排泄物処理用品に適用するのに好適である。
排泄物処理用品としては、排泄物収容装具、おむつ、尿パッド、生理用ナプキン、医療用吸収パッド等を例示することができる。
排泄物処理用品で排泄物を処理する前又は排泄物を処理して再度排泄物処理用品を使用しようとする際に、排泄物が接触する排泄物処理用品の内表面に、本発明の消臭剤組成物を適用することにより、排泄物による不快臭を抑制することができる。
排泄物処理用品の内表面に消臭剤組成物を適用する方法は、特に限定されないが、排泄物処理用品に直接含ませておく方法を示すことができる。この方法によれば、使用の都度、排泄物処理用品の内表面に消臭剤を適用する手間を省くことができる。
【0039】
本発明の消臭剤組成物は、排泄物収容装具に適用するのに好適である。排泄物収容装具の具体例としては、オストミーパウチやドレナージパウチを例示することができる。
本発明の排泄物収容装具は、排泄物を収容するためのパウチを備えた排泄物収容装具であって、パウチ内に本発明の消臭剤組成物を収納してなるものである。
本発明の消臭剤組成物を、排泄物収容装具のパウチ内に収納しておくことにより、排泄物収容装具を使用した後、排泄物又は排泄物収容装具を廃棄処理等する際の不快臭を抑制することができる。
【0040】
排泄物収容装具のパウチ内に収納する消臭剤組成物は、使用の都度、必要量をパウチ内に添加してもよく、また、複数回使用可能な量の消臭剤組成物をパウチ内に収納しておいてもよい。
オストミーパウチやドレナージパウチのような排泄物収容装具の場合には、パウチを再使用する場合が多いので、単回使用量だけ必要に応じて添加するのが衛生上好ましく、消臭剤組成物は、パウチ内に挿入しやすい筒状の容器や袋に入れておくのが便利である。
【0041】
本発明の消臭剤組成物を排泄物収容装具のパウチ内に収納するには、単に消臭剤組成物をパウチ内に入れておくだけでもよいし、消臭剤組成物を接着、粘着、溶着等の固定手段によりパウチ内面に固定してもよい。
固定に際して、消臭剤組成物は、パウチ内面のほぼ全体を被覆するように固定してもよいし、少なくとも排泄物導入孔に対向する部分や排泄物排出口等を部分的に被覆するように固定してもよい。
消臭剤組成物の固定の方法は、特に限定されないが、消臭剤組成物を含む溶液、スラリー、エマルション又はディスパーション等を、排泄物収容装具のパウチを構成するフィルムに塗工又は噴霧してパウチ内面に膜を形成する方法を例示することができる。
【0042】
本発明の排泄物収容装具において、消臭剤組成物は、パウチ内に経時的に放出されるように排泄物収容装具に収納することができる。消臭剤組成物をこのように取り付けることにより、消臭剤の消臭効果を有効に働かせることができる。
消臭剤組成物を時間経過に応じて放出させるための方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(1)消臭剤組成物を投入できる投入口をパウチに取り付けて、排泄物収容装具装着者が、必要に応じて、消臭剤組成物をパウチ内に投入する、(2)消臭剤組成物を、例えば、密閉容器に入れ、その密閉容器をパウチ内に取付け、外部からの操作により、この容器を開封して、パウチ内に放出させる、(3)消臭剤組成物を水解性シートに担持させ、時間経過に応じて、この水解性シートが溶解ないし崩壊することにより、担持している消臭剤組成物を放出させる、(4)消臭剤組成物を水解性マイクロカプセルに封入し、このマイクロカプセルが時間経過に応じて溶解ないし崩壊することにより、封入された消臭剤組成物を放出させる、等の方法を例示することができる。
【0043】
排泄物収容装具の基本的な構成は、オストミーパウチであってもドレナージパウチであっても同様であり、体表面の開孔の周囲に粘着固定する面板と、開孔から排出される排泄物を収容するパウチとから構成される。
本発明の排泄物収容装具は、特に、オストミーパウチとして使用するのが好適である。オストミーパウチとしては、面板とパウチとが分離しているツーピースタイプ(二品型装具)のもの及び面板とパウチとが一体になっているワンピースタイプ(一品型装具)のもののどちらも利用できる。また、パウチは、パウチの下部に排泄物の排出口を備えるドレインパウチ(下部開放型)であっても、そのような排出口を持たないクローズパウチ(下部閉鎖型)であってもよい。
【0044】
排泄物収容装具を構成する面板は、編布や不織布等の布帛、フィルム、発泡シート等からなる支持層の片面に、粘着層を設けた従来公知のものでよく、粘着層としては、水を吸着又は吸収する親水性物質を含有させた公知のハイドロコロイド粘着剤を使用することができる。
パウチの形状は、フィルムの外周縁をシールして形成される、略円形、楕円形等の従来からのものであってよい。パウチを構成するフィルム材料としては、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル等の合成樹脂フィルムを挙げることができる。これらの材料は、単一で使用してもよく、二種類以上を混合して使用してもよい。フィルムは単層であっても、複数枚を積層させた複合フィルムであってもよい。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本実施例中、部及び%は、特に言及がない限り、重量基準である。
また、消臭剤組成物の特性評価は、以下に示す方法に従って実施した。
【0046】
[pH]
JIS Z8802に準拠して、校正したpH計電極を洗浄後、消臭剤組成物のpHを3回測定して平均値を求める。
なお、消臭剤組成物が粉体又は固体である場合は、20%水溶液として、そのpHを測定する。
【0047】
[粒状消臭剤組成物の平均粒径(単位:μm)]
顕微鏡視野中のおおよそ100個の粒子について、一定方向の最大径を測定して、個数平均として求める。
【0048】
[消臭性官能評価]
オストミーパウチに消臭剤組成物を約1.5g投入し、次いで、約50gの人便を投入する。オストミーパウチの排泄物排出口をクリップ(排出口留め具)で封止し、被服内環境を想定した32℃恒温槽中に静置する。オストミーパウチからの平均取り出し時間である3時間後に、人便をオストミーパウチから取り出した時に感じる臭気を、6段階臭気強度表示法及び9段階快・不快表示法に示す基準により、それぞれ、評価する。
この評価を3人の評価者が行い、その平均点数を求める。
6段階臭気強度表示法による評価は、平均点数が小さいほど、9段階快・不快表示法による評価は、平均点数が大きいほど、消臭性が優れている。
【0049】
(臭気強度表示法)
点数:評価基準
0:無臭
1:やっと感知できるにおい(検知閾値濃度)
2:何のにおいであるかが分かる弱いにおい(認知閾値濃度)
3:らくに感知できるにおい(簡単に感知できるにおい)
4:強いにおい
5:強烈なにおい
【0050】
(快・不快表示法)
点数:評価基準
−4:極端に不快
−3:非常に不快
−2:不快
−1:やや不快
0:快でも不快でもない
+1:やや快
+2:快
+3:非常に快
+4:極端に快
【0051】
[動摩擦係数]
次の手順に従って行う。なお、測定に用いる装置の概略を図1に示す。文中、番号は、図1に示す番号を示す。
50mm×100mmの表面積を有する容器2の表面に、消臭剤組成物3を厚み均一にして載置する(粉体等の固体については2.0g、それ以外については20%水溶液にしたものを5.0〜10.0g使用する)。
その容器を自動記録装置付定速伸長形引張試験機1(インストロン社製)に設置した200mm×450mmの平坦な表面を持つ水平板4の上に固定する。
重さ20g、面積4cmの平滑表面を有する金属製おもり5を用意し、おもり5の前記表面にポリエチレンフィルム6を被覆し、フィルム被覆後の重さを垂直荷重F(N)として測定する。
前記容器の消臭剤組成物3が載置された表面に、フィルム6を被覆した面を下にして、おもり5を載せる。おもりと引張試験機の引張り部7とを、滑車8を通して金属線9でつなぐ。
引張試験機の引張部7を、毎分100.0±0.2mmの速度で引張り、おもりを50mm以上移動させた時の平均摩擦力を測定し、繰返し3回の平均値F(N)を基に、次式より動摩擦係数を算出する。
動摩擦係数=F/F
【0052】
[水蒸散量]
消臭剤組成物の25%水溶液を調製し、表面積63.6cmの容器に8gの前記水溶液を入れて容器ごと重量を測定し、その時の値をWgとして記録する。
その容器を37℃恒温槽中に1日静置する。1日経過後の容器重量Wを測定し、以下の式により単位面積あたりの水蒸散量W(g/cm/day)を算出する。
水蒸散量W(g/cm/day)=(W−W)/63.6
【0053】
[排泄物排出所要時間]
オストミーパウチに消臭剤組成物を約1.5g投入し、次いで、約50gの人便を投入する。オストミーパウチの排泄物排出口をクリップ(排出口留め具)で封止し、被服内環境を想定した32℃恒温槽中に静置する。オストミーパウチからの平均取り出し時間である3時間後に、クリップを取り外し、オストミーパウチの排出口を開放する。パウチから人便が自然落下するのに要する時間を測定する。
【0054】
(実施例1)
ペパーミント油、アラビアガム及びデキストリン(親水性高分子化合物)、並びに水からなる混合物を熱風中に噴霧し、水分を蒸散させて粒体を得た。
この粒体に、フェノール化合物を主成分とするリンゴ抽出物からなる粒状消臭性化合物(商品名アップフェノン。アサヒビール社製)を混合し、表1に示す組成の粒状の消臭剤組成物を得た。平均粒径は92.0μmであった。
この消臭剤組成物について、その特性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】
(実施例2、3)
消臭剤組成物の組成を表1に示すように変える以外は実施例1と同様の方法で粒状の消臭剤組成物を得た。平均粒径は92.0μmであった。
この消臭剤組成物について、その特性を評価した。結果を表1に示す。
【0056】
(実施例4)
実施例1と同様の方法で得た粒状の消臭剤組成物に、精製水を加え均一に混合して、表1に示す組成の液状の消臭剤組成物を得た。
この消臭剤組成物について、その特性を評価した。結果を表1に示す。
【0057】
(比較例1)
フェノール化合物を主成分とするリンゴ抽出物からなる粒状の消臭性化合物(アサヒビール社製、商品名「アップフェノン」)のみからなる消臭性組成物を調製した。
この消臭性組成物について、その特性を評価した。結果を表1に示す。
【0058】
(比較例2)
ペパーミント油、アラビアガム及びデキストリン(親水性高分子化合物)、並びに水からなる混合物を熱風中に噴霧し、水分を蒸散させて粒体を得た。
この粒体に、フェノール化合物を主成分とするリンゴ抽出物からなる粒状消臭性化合物(アサヒビール社製、商品名「アップフェノン」。)を混合し、表1に示す組成の粒状の消臭剤組成物を得た。平均粒径は143.8μmであった。
この消臭剤組成物は、本発明の消臭剤組成物と同様の成分からなるが、その比率又はその動摩擦係数が本発明の消臭剤組成物のそれとは、異なっている。
この消臭性組成物について、その特性を評価した。結果を表1に示す。
【0059】
(比較例3)
市販品の家庭向け布用消臭剤(シクロデキストリンが配合された液状の消臭剤。P&G社製、商品名「ファブリーズ」)について、その特性を評価した。結果を表1に示す。
【0060】
(比較例4)
市販品のオストミー用の液状消臭剤(金属塩化合物及び香料が配合されていると考えられる。コロプラスト社製、商品名「デオドロップ」)について、その特性を評価した。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1に示す結果から、以下のことが分かる。
消臭性化合物のみからなる消臭性組成物を用いた比較例1では、消臭効果は殆ど認められなかった。また、実施例に比べ排泄物の排出に多くの時間を要した。これは、動摩擦係数が高く、消臭性組成物が油を含有していないため、十分な滑り性を発揮できなかったことが原因と考えられる。
【0063】
本発明の消臭剤組成物と同様の成分から構成されるが、その構成比率が本発明の規定を外れる消臭剤組成物を用いた比較例2では、消臭効果は殆ど認められなかった。また、本発明実施例に比べ排泄物の排出に多くの時間を要した。これは、消臭剤組成物の動摩擦係数が高く、組成物中における親水性高分子化合物の割合が高く水を吸収してべたつきを生じたため、十分な滑り性を発揮できなかったことが原因と考えられる。
【0064】
市販の消臭剤(比較例3及び4)も、消臭効果は殆ど認められなかった。水蒸散量が高く、悪臭成分も多量に蒸散したためと考えられる。また、本発明実施例に比べ排泄物の排出に多くの時間を要した。これは、消臭剤の動摩擦係数が高く、十分な滑り性を発揮できなかったことが原因と考えられる。
【0065】
これに対して、本発明の実施例は、消臭効果が高く、排泄物の排出所要時間も短く、排泄物の取り出しを短時間で済ませることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】動摩擦係数の測定方法を示す図
【符号の説明】
【0067】
1 引張試験機
2 容器
3 消臭剤組成物
4 水平板
5 おもり
6 フィルム
7 引張り部
8 滑車
9 金属線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物油、鉱油、動物油及び合成油からなる群から選ばれる少なくとも1種の油(A)、親水性高分子化合物(B)及び消臭性化合物(C)を含有してなり、(1)(A)、(B)及び(C)成分の含有量が、それぞれ、1.0〜65.0重量%、5.0〜60.0重量%、20.0〜94.0重量%であるか、又は(2)動摩擦係数が0.05〜0.25であることを特徴とする排泄物処理用品用消臭剤組成物。
【請求項2】
植物油、鉱油、動物油及び合成油からなる群から選ばれる少なくとも1種の油(A)、親水性高分子化合物(B)及び消臭性化合物(C)を含有してなり、(1)(A)、(B)及び(C)成分の含有量が、それぞれ、1.0〜65.0重量%、5.0〜60.0重量%、20.0〜94.0重量%であって、且つ、(2)動摩擦係数が0.05〜0.25であることを特徴とする排泄物処理用品用消臭剤組成物。
【請求項3】
植物油、鉱油、動物油及び合成油からなるからなる群から選ばれる少なくとも1種の油(A)5.0〜15.0重量%、親水性高分子化合物(B)20.0〜55.0重量%、及び消臭性化合物(C)30.0〜65.0重量%を含有してなる排泄物処理用品用消臭剤組成物。
【請求項4】
粒状であり、その平均粒径が0.1〜1,900μm範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の排泄物処理用品用消臭剤組成物。
【請求項5】
油が精油である請求項1〜3のいずれかに記載の排泄物処理用品用消臭剤組成物。
【請求項6】
4.0〜7.0の範囲のpHを有する請求項1〜3のいずれかに記載の排泄物処理用品用消臭剤組成物。
【請求項7】
25%水溶液の形態の消臭剤組成物が0.095(g/cm/day)以下の水蒸散量を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の排泄物処理用品用消臭剤組成物。
【請求項8】
排泄物処理用品が排泄物収容装具である請求項1〜7のいずれかに記載の排泄物処理用品用消臭剤組成物。
【請求項9】
排泄物を収容するためのパウチを備えた排泄物収容装具であって、パウチ内に請求項8に記載の排泄物処理用品用消臭剤組成物を収納してなる排泄物収容装具。
【請求項10】
排泄物処理用品用消臭剤組成物がパウチ内に経時的に放出されるように排泄物収容装具に収納されている請求項9の排泄物収容装具。

【図1】
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【公開番号】特開2007−508(P2007−508A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186517(P2005−186517)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】