説明

排泄用着用体

【課題】製造負担を軽減することのできる排泄用着用体を提供する。
【解決手段】排泄用着用体3は、洗浄水と乾燥用空気を供給すると共に排泄物を吸引する処理装置本体2にホース4を介して連通する。排泄用着用体3は、股下域Aを覆う着用体本体15と、前記ホース4と前記着用体本体15とを連通するマニホールド16と、前記着用体本体15の形状を保持する保持部材17とからなる。着用体本体15は、肌対向側に形成した環状のバルーン27と前記バルーン27の表面に設けたシール部材28とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老人、病人、幼児などが使用する排泄用着用体に関し、特に、寝たままの状態で排泄しその排泄物を処理するとともに局部の洗浄、乾燥を行なうことができる排泄用着用体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、寝たままの状態で排泄物を処理する排泄用処理装置として、洗浄水と乾燥用空気を供給すると共に排泄物を吸引する処理装置本体と、前記処理装置本体にホースを介して連通された排泄用着用体とからなるものが開示されている。この排泄用処理装置に用いられる着用体は、シリコン樹脂からなる着用体本体と、処理装置本体に連通されたホースと前記着用体本体とを連結するマニホールドとからなる(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところが、この着用体本体は軟らかい素材で構成されているので、着用体本体の形状を保持する必要があった。これに対し、実際には、着用体本体と同様のシリコン樹脂で形成した保持部材を、マニホールドを装着する部分に接着し、当該部分の強度を補強し着用体本体の形状を保持していた。
【特許文献1】特開2006−55513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1においても、排泄用着用体は、保持部材を着用体本体に接着するため、保持部材を着用体本体と同様のシリコン樹脂で形成する必要があり、材料選択の幅が狭くなる面がある。また、保持部材を着用体本体に接着する作業が煩雑になることが予想される。
【0005】
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、製造負担を軽減することのできる排泄用着用体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、洗浄水と乾燥用空気を供給すると共に排泄物を吸引する処理装置本体にホースを介して連通する排泄用着用体において、股下域を覆う着用体本体と、前記ホースと前記着用体本体とを連通するマニホールドと、
前記着用体本体の形状を保持する保持部材とからなる。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、前記着用体本体は、肌対向側に形成した環状のバルーンと前記バルーンの表面に設けたシール部材とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、前記着用体本体は、着用者の腰に当接する位置にシート部材を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、前記マニホールドは、洗浄水と乾燥用空気とを噴出するノズルと、排泄物吸込口とを備え、前記排泄物吸込口は、前記排泄物吸込口の下端が前記着用体本体の肌対向側表面と当接する位置に形成したことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、前記排泄物吸込口に切断部材を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、前記排泄物吸込口の下端は、平坦部を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る発明は、前記マニホールドに温風用ヒータを設けたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る発明は、前記ホースと前記マニホールドとは、回動自在に連結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1記載の排泄用着用体では、着用体本体とマニホールドと保持部材とにより構成したから、着用体本体と、保持部材とを容易に固定することができるので、製造負担を軽減することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の排泄用着用体では、着用体本体と肌とを密着させることができるので、漏れを防止することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の排泄用着用体では、着用者の腰を所定高さに保持することができるので、バルーンが膨張して股下域を密閉する前の漏れを防止することができる。
【0017】
また、請求項4に記載の排泄用着用体では、着用体本体内の排泄物を確実に吸引することができる。
【0018】
また、請求項5に記載の排泄用着用体では、硬い排泄物を切断して小さくした上で吸引するので、ホースでの詰まりを防止することができる。
【0019】
また、請求項6に記載の排泄用着用体では、着用体本体内の排泄物がスムーズに排泄物吸込口へ移動することができるので、より確実に排泄物を吸引することができる。
【0020】
また、請求項7に記載の排泄用着用体では、温めた乾燥用空気を直ちに着用体本体内へ噴出させるので、乾燥用空気の温度の低下を防止できる。従って、熱効率を向上することができる。
【0021】
また、請求項8に記載の排泄用着用体では、着用体がホースの中心軸に対し回動することが可能なので、着用者が容易に寝返りをうつことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0023】
図1に示す排泄物処理装置1は、処理装置本体2と排泄用着用体3(以下、着用体)とがホース4を介して連通されており、全体として、着用者が寝たままの状態で、排泄後の局部を洗浄すると共に、着用体3に溜まった排泄物、洗浄水を着用体3から吸引し、排出し得るように構成されている。
【0024】
実際には、処理装置本体2は、制御盤5、モータ6、ポンプ7、水タンク8及び貯留タンク9を台車10に設置して構成されている。制御盤5は、所定の電力を供給することにより、モータ6を起動する。モータ6の駆動力はポンプ7へ伝達され、ポンプ7により正圧及び負圧が生成される。このようにポンプ7で生成した正圧を用いてホース4を介して洗浄水又は乾燥用空気を着用体3に供給すると共に、ポンプ7で生成した負圧を用いてホース4を介して着用体3から排泄物を吸引し、貯留タンク9に排泄物を貯留し得るように構成されている。
【0025】
因みにホース4は、用途に応じた複数からなり、例えば、図示しないが、洗浄水および乾燥用空気を供給する洗浄用ホース、圧縮空気を供給する圧縮空気用ホース及び、排泄物を吸引排出する排泄物吸込ホースを備える。
【0026】
上記構成に加えて、排泄物処理装置1は、オムツカバー11により着用者に装着する着用体3を備える。着用体3は、図2に示すように、着用体本体15、マニホールド16及び保持部材17を備え、着用者に密着して股下域Aに密閉空間を形成し得るように構成されている。マニホールド16は、肌非対向側から着用体本体15の開口穴18に設けられた嵌合部19に嵌合して、着用体3に連通される。また、保持部材17は、肌非対向側からマニホールド16を覆うように着用体本体15に当接させ、フック20aに嵌合することにより着用体本体15と一体化される。
【0027】
フック20aは、着用体本体15の肌非対向側に形成した凸部22と、該凸部22に打込む打込ピン23とにより構成される。このフックにより着用体本体15と保持部材17とを固定するには、凸部22に対し後述する嵌合穴を嵌合した後、打込ピン23を該凸部22に打込むことにより、凸部22の先端を基端に対し拡径する。これにより、フック20aは、着用体本体15と保持部材17とを確実に固定することができる。
【0028】
このように組み立てられた着用体3は、下部に腰枕21が配置される。この腰枕21は、前述した処理装置本体2からホース4を介して供給される圧縮空気により、適宜、膨張させ得るように構成される。
【0029】
着用体本体15は、図3に示すように、シリコン樹脂からなり、股下域Aの前側に配置される主壁部25と、該主壁部25に連続して股下域Aの後側(尻側)に配置される副壁部26とを湾曲状に一体化して形成される。主壁部25と副壁部26において、肌に接触する部分には、環状のバルーン27が固設される。このバルーン27は、シリコン樹脂からなり、上述したホース4に連通され、股下域Aの外周を覆うように環状に配置される。
【0030】
かかる構成に加えて、バルーン27の表面には、シール部材28が設けられている。シール部材28はシリコン樹脂からなる発泡材で形成された帯状の部材で構成され、着用者の肌に接触するバルーン27の表面に固着される。このシール部材28は、少なくとも副壁部26及び副壁部26と主壁部25との接続部分におけるバルーン27の表面に、切れ目なく設けられる。因みに、シール部材28の縦断面形状として種々のものが考えられるが、例えば、図4に示すように、バルーン27の表面の肌に接触する部分とバルーン27の側面とを覆うと共に、バルーン27の表面に合わせた円弧状の表面を有する板状のもの(図4(A))や、同じく、バルーン27の表面の肌に接触する部分とバルーン27の側面とを覆うと共に、表面に複数のヒダ29を設けたもの(図4(B))でもよい。
【0031】
このように、バルーン27の表面にシール部材28を設けたことにより、着用者に着用体本体15を密着させることができる。しかも、シール部材28は、少なくとも副壁部26及び副壁部26と主壁部25との接続部分におけるバルーン27の表面に、切れ目なく設けることとしたことにより、寝たままの状態において股下域Aの水密を保持することができる。また、シール部材28は、バルーン27の側面まで覆うことにより、横漏れを確実に防ぐことができる。
【0032】
さらに、図3に示すように、着用体3には、副壁部26の端部にシート部材31が設けられている。このシート部材31は、着用者の腰を、バルーン27の高さと略同じ高さに保持し得るように形成されている。シート部材31は、シリコン樹脂からなる発泡材で形成された部材で構成され、一端31aがバルーン27に当接し、他端31bが着用者の腰に配置される。このシート部材31の一端31aは、厚さがバルーン27の外径以上の長さを有すると共に、外縁がバルーン27の外周形状に合わせて切り欠かれている。本実施の形態においては、シート部材31の一端は、副壁部26において円弧状に配置されたバルーン27の外周形状に合わせて円弧状の切欠32が設けられている。このようにシート部材31は、一端に切欠32を設けたことにより、副壁部の中央までシート部材31を配置することができるので、横漏れを防止することができる。また、シート部材31の他端31bは、先端に向かって下方へ傾斜するテーパ面33が形成されている。このようにシート部材31の他端31bにテーパ面33を形成したことにより、着用者の体にぴったりと合わせることができる。
【0033】
このように、副壁部26の端部にシート部材31を設けたことにより、常に着用者の腰を所定高さに保持することができるので、排泄物の漏れを防止できる。また、シート部材31は、シリコン樹脂からなる発泡材により構成し、着用者の腰を支えることとしたから、床ずれを防止することができる。
【0034】
さらに、着用体本体15には、洗浄用ホース4に連通されたノズル34や、排便を検知するショートセンサ30が適所に設置されており、処理装置本体2の制御盤5に電気的に接続されている。
【0035】
その他、着用体本体15の肌非対向側には、オムツカバー11を固定するためのカバー用フック20bが適所に設置されている。
【0036】
また、着用体本体15の副壁部26と主壁部25との接続部分には、嵌合部19を備えた開口穴18が設けられている。嵌合部19は、開口穴18の内面全周にわたり、開口穴18の内面を中心に向かって突出させた突条で構成される。そして、着用体本体15の開口穴18近傍に、保持部材17を固定するためのフック20aが複数形成されている。
【0037】
マニホールド16は、図5に示すように、合成樹脂製(例えば、ナイロン66又はポリアセタール等)のブロックにより構成され、着用体本体15の開口穴18に設けられた嵌合部19に嵌合する嵌合溝35が一端側の外周に形成されている。このマニホールド16には、肌対向側にノズル36、排泄物吸込口37が設けられており、それぞれ肌非対向側に設けられた洗浄用継手38、吸引パイプ39に連通してなる。さらに、洗浄継手38、吸引パイプ39は、それぞれホース4に接続されている。
【0038】
また、マニホールド16の肌対向側には、排泄物の有無を判断するフォトセンサ40が設けられており、制御盤5に電気的に接続されている。これによりノズル36は、フォトセンサ40の判断に基いて制御盤5がモータ6を起動することにより、洗浄水又は乾燥用空気を噴出させることができ、吸引パイプ39は着用体本体15の肌対向側に開口する排泄物吸込口37 から着用体本体15内の排泄物を吸引し得る。
【0039】
排泄物吸込口37は、副壁部26の肌対向側表面に排泄された排泄物を確実に吸引し得るように形成される。本実施の形態では、排泄物吸込口37の下端が前記着用体本体15の副壁部26の肌対向側表面26aと同一面となる位置に設けられる。このように排泄物吸込口37を構成したことにより、着用体3は、副壁部26の肌対向側表面26aに排泄された排泄物を、副壁部26の肌対向側表面26aと同一面となる位置に下端を設けた排泄物吸込口37から確実に吸引することができる。
【0040】
また、排泄物吸込口37には、下端に平坦部41を形成した。平坦部41は、排泄物吸込口37の円周の下端から水平方向に延び、排泄物吸込口37の円周の両側端から下方へ延びる接線と合流する形状に形成される。そして、平坦部41は、滑らかに傾斜するすべり部42を介して吸引パイプ39へ接続される。このように構成した平坦部41を備えることにより、排泄物は排泄物吸込口37付近で溜まることなく、スムーズに吸引パイプ39へ移動させることができる。従って、着用体3は、排泄物吸込口37近傍の排泄物を確実に吸引することができる。
【0041】
排泄物吸込口37は、切断部材43を備え、硬い排泄物を切断し得るように構成される。切断部材43は、排泄物吸込口37の中心を縦方向に横断する鋸刃を備え、排泄物吸込口37を通過する排泄物を切断する。このように排泄物吸込口37に設けた切断部材43により排泄物を切断することにより、排泄物が排泄物吸込ホース4内で詰まることを防止して、確実に排泄物を吸引し貯留タンク9に収容することができる。因みに、切断部材43は、鋸刃の先端が排泄物吸込口37の端部より、肌対向側へ突出しないように設けられる。
【0042】
さらに、排泄物吸込口37は、肌非対向側に位置する他端に、排泄物吸込ホース4と連通する連結部44を備える。連結部44は、吸引パイプ39の軸方向を中心として回動自在となるフレキシブルジョイントが用いられる。このように、連結部44にフレキシブルジョイントを用いることとしたことにより、着用者が寝返りをうつなどした場合でも、ホース4のねじれを防止することができる。従って、着用体3は、着用者が寝返りなどの動作を容易に行なうことが可能になり、利便性を向上することができる。
【0043】
また、ノズル36に連通した洗浄用継手38には、温風用ヒータ45が設けられており、ポンプ7から供給される乾燥用空気を所定温度に温め得るように構成されている。このように、洗浄用継手38に温風用ヒータ45を設けたことにより、温めた乾燥用空気を即座にノズル36から噴出させることができる。従って、従来のように、温めた乾燥用空気がホース4内を移動している間に冷めてしまうことを防止できるので、効率を向上することができる。さらに、従来のように、乾燥用空気を通すホース4を断熱する必要がなく、断熱材を省略できるので、部品点数を低減でき、コストを削減することができる。
【0044】
保持部材17は、図6に示すように、合成樹脂製(例えば、ナイロン66又はポリアセタール等)の部材からなり、着用体本体15の開口穴18と相似形の開口50と、着用体本体15の副壁部26の肌非対向側を保持する底部51と、着用体本体15に設けたフック20aに嵌合する嵌合穴53を穿設したフランジ部52と、着用体本体15に設けたフック20に嵌合する嵌合穴53を形成した固定部54とを備え、底部51の一端に開口50、固定部54が立設されている。
【0045】
底部51は、平面視において、貝形状をなしており、その先端の湾曲した部分にフランジ部52が一体的に形成されている。底部51とフランジ部52とは、底部51の方がフランジ部52より一段下方へ下がった位置に形成されている。底部51の表面には、フランジ部52表面と略同じ高さとなる複数のリブが、基端から先端に向かって延びる方向に設けられている。
【0046】
固定部54は、開口50の上部に形成され、鉛直方向に2個、嵌合穴53が穿設されている。開口50は、外縁にフランジ部52とは逆方向に突出したカバー56が設けられており、該カバー56にはビス挿通穴57が穿設されている。マニホールド16と保持部材17とは、保持部材17のカバー56に穿設したビス挿通穴57に相通したビス(図示しない)を、マニホールド16に予め設けたビス穴(図示しない)に螺合して固定する。
【0047】
上記したように、着用体3は、保持部材17を合成樹脂で形成したことにより、着用体3の形状を保持することができる。従って、着用体3は、肌に接触するため柔軟なシリコン樹脂で形成した着用体本体15を、保持部材17で所定形状に保持することができる。
【0048】
また、着用体3は、着用体本体15と保持部材17とを、従来のように接着ではなく、フック20aを嵌合することにより一体化することとしたので、組立時の作業負担を軽減することができる。従って、本実施の形態に係る着用体3は、上記のように構成したことにより、製造コストを低減することができる。
【0049】
次に上記のように構成した着用体3の動作について説明する。
【0050】
着用体3に設置されたショートセンサ30又はフォトセンサ40が排泄物を検知すると、処理装置本体2の制御盤5がモータ6を起動してポンプ7を駆動する。ポンプ7を駆動すると、圧縮空気がホース4へ供給され、バルーン27及び腰枕21が膨張する(図7(B))。このようにバルーン27及び腰枕21を膨張させることにより、排泄物が漏れるのを防止する。但し、排泄物を検知してからバルーン27及び腰枕21が膨張するまでには所定の時間が必要である。これに対し、本実施形態に係る着用体3は、副壁部26にシート部材31を設けたことにより、着用体3の副壁部26より高い位置に着用者の腰を保持し、従来のようにバルーン27及び腰枕21が膨張するまでの間に着用体3と肌の接触部分から排泄物が漏れるのを防ぐことができる。
【0051】
そして、上記のように、バルーン27が膨張することにより、バルーン27の表面と着用者の肌が密着する。さらに、バルーン27の表面にシール部材28を設けたことにより、バルーン27の表面と着用者の肌との隙間を無くすことができる。特に、シール部材28は、少なくとも副壁部26及び副壁部26と主壁部25との接続部分におけるバルーン27の表面に、切れ目なく設けることとしたことにより、寝たままの状態において股下域Aの水密を保持することができる。従って、着用体3は、排泄物などの漏れを確実に防止することができる。
【0052】
また、腰枕21が膨張することにより、図7(B)に示すように、着用者の腰の位置がさらに上昇する。これにより、ノズル36から洗浄水を噴出させた場合でも、着用者の腰の部分における漏れを防止することができる。
【0053】
さらに、腰枕21が膨張することにより、着用体3の副壁部26がマニホールド16に向かって傾斜する。これにより、副壁部26の肌対向側に溜まった排泄物や洗浄水をマニホールド16に向かって流すことができる。
【0054】
このようにマニホールド16付近に集められた排泄物や洗浄水は、ポンプ7によって生成された負圧により排泄物吸込口37から吸引される。しかも、排泄物吸込口37は、副壁部26の表面26aと同一面となるように形成したことにより、確実に吸引することができる。また、排泄物吸込口37の下端には平坦部41を設けたことにより、スムーズに吸引パイプ39へ排泄物や洗浄水を移動させることができる。さらに、保持部材17の底部51は、フランジ部52より一段下方へ下がった位置に形成したことにより、排泄物及び洗浄水の逆流を防止することができる。
【0055】
また、排泄物吸込口37には、切断部材43を設けたことにより、硬い排泄物を排泄物吸込口37で切断し、吸引パイプ39及びホース4での詰まりを確実に防止することができる。
【0056】
本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、本実施の形態では排泄物の有無を判断する手段として、ショートセンサ30、フォトセンサ40を設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、着用者の排泄意思を示す脳波を検出する脳波センサを用いてもよい。排泄物の有無を判断する手段として、脳波センサを用いることにより、排泄に備えて予めバルーン27や腰枕21に圧縮空気を供給することができる。
【0057】
また、着用体3とオムツカバー11、又は着用体本体15と保持部材17は、それぞれフック20a、20bにより固定するとした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、面ファスナーなどの貼着手段により固定することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の着用体を用いる排泄物処理装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の着用体の構成を示す図であり、(a)縦断面図,(b)B部拡大図である。
【図3】本発明の着用体本体の構成を示す図であり、(a)縦断面図,(b)横断面図,(c)正面図である。
【図4】本発明の着用体に係るシール部材の構成を示す図である。
【図5】本発明の着用体に係るマニホールドを示す図であり、(a)正面図,(b)縦断面図である。
【図6】本発明の着用体に係る保持部材を示す図であり、(a)縦断面図,(b)平面図,(c)正面図,(d)背面図である。
【図7】本発明の着用体の使用状態を示す図であり、(a)腰枕が膨らんでいない状態図,(b)腰枕が膨らんだ状態図である。
【符号の説明】
【0059】
2 処理装置本体
3 着用体(排泄用着用体)
4 ホース
15 着用体本体
16 マニホールド
17 保持部材
26A 肌対向側表面
27 バルーン
28 シール部材
31 シート部材
36 ノズル
37 排泄物吸込口
41 平坦部
43 切断部材
45 温風用ヒータ
A 股下域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水と乾燥用空気を供給すると共に排泄物を吸引する処理装置本体にホースを介して連通する排泄用着用体において、
股下域を覆う着用体本体と、
前記ホースと前記着用体本体とを連通するマニホールドと、
前記着用体本体の形状を保持する保持部材とからなる
ことを特徴とする排泄用着用体。
【請求項2】
前記着用体本体は、
肌対向側に形成した環状のバルーンと
前記バルーンの表面に設けたシール部材と
を備えたことを特徴とする請求項1記載の排泄用着用体。
【請求項3】
前記着用体本体は、着用者の腰に当接する位置にシート部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の排泄用着用体。
【請求項4】
前記マニホールドは、洗浄水と乾燥用空気とを噴出するノズルと、排泄物吸込口とを備え、
前記排泄物吸込口は、前記排泄物吸込口の下端が前記着用体本体の肌対向側表面と当接する位置に形成した
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の排泄用着用体。
【請求項5】
前記排泄物吸込口に切断部材を設けたことを特徴とする請求項4記載の排泄用着用体。
【請求項6】
前記排泄物吸込口の下端は、平坦部を備えることを特徴とする請求項4又は5記載の排泄用着用体。
【請求項7】
前記マニホールドに温風用ヒータを設けたことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の排泄用着用体。
【請求項8】
前記ホースと前記マニホールドとは、回動自在に連結することを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の排泄用着用体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−109998(P2008−109998A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293842(P2006−293842)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(590005678)
【出願人】(506364662)
【Fターム(参考)】