説明

排熱回収サイレンサー及び排熱回収サイレンサーシステム

【課題】システムの規模を増大させることなく、船舶におけるエネルギー利用効率を向上させる。
【解決手段】内燃機関の排気ガスを排出する排気経路の途中に設けられた筐体(サイレンサー本体)80と、筐体80の内部で排気ガスと熱交換を行う熱交換器と、を備え、熱交換用配管(熱交換器)86を流れる熱交換用の熱媒の全体的な流れの方向が排気ガスの流れの方向の下流側から上流側に向かうように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内燃機関に用いられる排熱回収サイレンサー及び排熱回収サイレンサーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
温暖化対策と運航コスト削減の観点から、海運分野においても様々な省エネルギー対策が進められている。
【0003】
船舶のような内燃機関を有するシステムでは、内燃機関から生じ排出される排気ガスを伝搬して放出される騒音を低減するためのサイレンサーが用いられている。サイレンサーでは、高圧の排気ガスを急激に膨張、収縮させることで圧力と流速を下げ、反射や共鳴も利用して消音を行う。船舶において最大の排気ガスエネルギーを有する推進駆動用の主機関については、その排気ガスの排気管に設けられた主機エコノマイザーを用いて排気ガスとの熱交換を行い、それによって発生させた蒸気が有効利用されている。また、入港時の荷役用等の電力は、専用の補機関を稼働させ発電機を回して得ているが、周辺への騒音の放出を防止するため、排気管にサイレンサーを用いている。
【0004】
また、特許文献1には、内燃機関用サイレンサーを集塵部と排熱回収部とを別々に設け、排熱回収部には集塵部で濾過された排気ガスを導いて排熱との熱交換を行うシステムが開示されている。また、特許文献2には、ガスエンジンを利用したヒートポンプシステム及びコージェネレーションシステム用の熱交換装置において、消音空間に熱媒を循環させる循環パイプを配し、その消音空間にガスエンジンからの排気ガスを通すことによって消音と排熱回収を行う技術が開示されている。また、特許文献3には、消音器とは別に排熱回収用の熱交換器を排気管に対して並列に設け、熱交換器における排気ガスの流れ方向と対向する方向に熱媒を流して排気ガスとの熱交換を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−133918号公報
【特許文献2】特開2001−73874号公報
【特許文献3】特開2006−77741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、船舶を推進駆動するための主機関は船舶が停泊している間は推進の必要がないために停止され、一般電力の供給や荷役機械運転の電力の供給のために補助の内燃機関である補機関を用いた発電機関のみが運転されている。今まで、この補機関からの排気ガスは、主機関からの排気ガスのように有効に利用されることなく無駄に捨てられていた。
【0007】
一方、停泊時のデッキサービス等には油焚補助ボイラによって発生させた蒸気が利用されている。しかしながら、海運分野においても省エネルギー対策が必要であり、補助ボイラで使用される燃料の削減が要望されている。
【0008】
また、船舶においては貨客用の空間を少しでも大きくするために、搭載されるシステムの機械的な容量をできるだけ小さくする必要もある。
【0009】
本発明は、上記の課題を鑑み、システムの規模を増大させることなく、船舶におけるエネルギー利用率を向上させることができる排熱回収サイレンサー及び排熱回収サイレンサーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に対応した排熱回収サイレンサーは、内燃機関の排気ガスを排出する排気経路の途中に設けられたサイレンサー本体と、前記サイレンサー本体の内部で排気ガスと熱交換を行う熱交換器と、を備え、前記熱交換器を流れる熱交換用の熱媒の全体的な流れの方向が前記排気ガスの流れの方向の下流側から上流側に向かうように前記熱交換器における前記熱媒の流路を設けたことを特徴とする。これにより、前記内燃機関の排気ガスの排熱を前記熱媒によって効率的に熱媒の温度を高めることができる。
【0011】
請求項2に対応した排熱回収サイレンサーは、前記熱交換器の前記熱媒の出口において前記熱媒を蒸気として取り出すことが好適である。前記熱媒を蒸気として取り出すことで、高温の排気ガスから有効に排熱を回収することができる。
【0012】
請求項3に対応した排熱回収サイレンサーは、前記熱媒の流量を制御する流量制御手段と、前記熱媒の温度を検出する温度検出手段と、をさらに備え、前記温度検出手段で検出される温度に応じて前記流量制御手段によって前記熱媒の流量を調整することが好適である。例えば、排熱回収サイレンサーの熱媒出口の温度を測定する温度センサを設け、その温度に応じて前記流量制御手段を制御して前記熱媒の流量を調整する。また、排熱回収サイレンサーから熱媒が送られるボイラの熱媒出口の温度を測定する温度センサを設け、その温度に応じて前記流量制御手段を制御して前記熱媒の流量を調整する。また、ボイラの蒸気出口の温度を測定する温度センサを設け、その温度に応じて前記流量制御手段を制御して前記熱媒の流量を調整する。これにより、排熱回収サイレンサーから出力される前記熱媒の温度を適切に制御することができる。特に、前記熱媒を蒸気として確実に取り出したい場合等において効果的である。
【0013】
請求項4に対応した排熱回収サイレンサーは、前記サイレンサー本体を複数室から構成し、前記複数室間で前記排気ガスを一旦収縮させた後に再膨張させると共に、前記熱交換器を前記複数室に亘って設けることが好適である。これにより、前記排気ガスの騒音をより低減すると共に熱交換効率を向上することができる。
【0014】
請求項5に対応した排熱回収サイレンサーは、前記熱交換器を複数有することが好適である。これにより、前記排気ガスからの排熱を前記熱媒により効果的に回収することができる。
【0015】
請求項6に対応した排熱回収サイレンサーシステムは、船舶を推進する主機関以外に設けられた補機用の内燃機関と、前記内燃機関の排気ガスを排出する排気経路と、前記排気経路の途中に設けられたサイレンサー本体と、前記サイレンサー本体の内部で排気ガスと熱交換を行う熱交換器と、を備えることを特徴とする。これにより、前記補機用の内燃機関の排気ガスから排熱のエネルギーを前記熱媒によって回収することができる。
【0016】
請求項7に対応した排熱回収サイレンサーシステムは、前記熱交換器を流れる熱交換用の熱媒の全体的な流れの方向が前記排気ガスの流れの方向の下流側から上流側に向かうように前記熱交換器における前記熱媒の流路を設けることが好適である。これにより、前記内燃機関の排気ガスの排熱を前記熱媒によって効率的に回収し、熱媒の温度を高めることができる。
【0017】
請求項8に対応した排熱回収サイレンサーシステムは、前記熱交換器の前記熱媒の出口において前記熱媒を蒸気として取り出すことが好適である。前記熱媒を蒸気として取り出すことで、高温の排気ガスから有効に排熱を回収することができる。
【0018】
請求項9に対応した排熱回収サイレンサーシステムは、前記熱媒の流量を制御する流量制御手段と、前記熱媒の温度を検出する温度検出手段と、をさらに備え、前記温度検出手段で検出される温度に応じて前記流量制御手段によって前記熱媒の流量を調整することが好適である。例えば、排熱回収サイレンサーの熱媒出口の温度を測定する温度センサを設け、その温度に応じて前記流量制御手段を制御して前記熱媒の流量を調整する。また、ボイラの熱媒出口の温度を測定する温度センサを設け、その温度に応じて前記流量制御手段を制御して前記熱媒の流量を調整する。また、排熱回収サイレンサーから熱媒が送られるボイラの蒸気出口の温度を測定する温度センサを設け、その温度に応じて前記流量制御手段を制御して前記熱媒の流量を調整する。これにより、排熱回収サイレンサーから出力される前記熱媒の温度を適切に制御することができる。特に、前記熱媒を蒸気として確実に取り出したい場合等において効果的である。
【0019】
請求項10に対応した排熱回収サイレンサーシステムは、前記主機関の運転停止時においても前記補機用の内燃機関を運転可能とする運転制御手段を備えることが好適である。これにより、船舶が停泊中であっても、荷役作業等に内燃機関のエネルギーを利用でき、前記補機用の内燃機関の排気ガスから排熱のエネルギーを前記熱媒によって回収することができる。
【0020】
請求項11に対応した排熱回収サイレンサーシステムは、前記補機用の内燃機関と、前記排気経路と、前記サイレンサー本体と、前記熱交換器と、からなる系統を複数備え、前記複数の系統毎の前記熱媒の供給開始及び停止を行う供給開始停止手段と、前記供給開始停止手段を制御して、前記複数の系統のうち運転していない系統への前記熱媒の供給を停止する熱媒供給制御手段と、を備えることが好適である。これにより、前記補機用の内燃機関の排気ガスから排熱のエネルギーを前記熱媒によって効率良く回収することができる。
【0021】
請求項12に対応した排熱回収サイレンサーシステムは、前記熱交換器に付着した煤を除去する煤除去手段をさらに備えることが好適である。これにより、前記熱交換器に付着した煤を除去することができ、前記補機用の内燃機関の排気ガスから排熱のエネルギーを前記熱媒によって効率的に回収し、熱媒の温度を高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の排熱回収サイレンサーでは、内燃機関の排気ガスの排熱を熱媒によって効率的に回収することにより、内燃機関のエネルギー利用効率を高め、温室効果ガスの排出量を削減することができる。また、熱媒の全体的な流れ方向を排気ガスの流れ方向の下流側から上流側に向かうようにすることにより、熱交換器出口で熱媒を高い温度で取り出すことができる。また、サイレンサー本体の内部に熱交換器を備えることによって、システム全体の省スペース化を図ると共に、熱媒が高温になったときに発生する局部沸騰音や気化音等を低減できる。
【0023】
また、本発明の排熱回収サイレンサーシステムによれば、船舶に搭載された主機関以外の補機用の内燃機関の排気ガスから今まで無駄に捨てられていた排熱のエネルギーを回収することができ、船舶のエネルギー利用効率を高め、温室効果ガスの排出量を削減することができる。また、熱交換器出口で熱媒を高い温度で取り出すことができる。また、入港時の荷役等における補機用の内燃機関からの騒音や熱交換器での発生騒音等を有効に低減できる。
【0024】
なお、熱交換器の熱媒の出口において熱媒を蒸気として取り出した場合、高温の排気ガスから有効に排熱が回収でき、内燃機関のエネルギー利用がより高効率になる。また、熱媒の蒸気化に伴う発生騒音をサイレンサー本体で低減できる。
【0025】
また、熱媒の流量を制御する流量制御手段と、熱媒の温度を検出する温度検出手段と、をさらに備え、温度検出手段で検出される温度に応じて流量制御手段によって熱媒の流量を調整した場合、排熱回収サイレンサーから出力される熱媒の温度を適切に制御でき、排気ガスからの排熱の回収及びその利用をより適切に行うことができる。
【0026】
また、サイレンサー本体を複数室から構成し、複数室間で排気ガスを一旦収縮させた後に再膨張させると共に、熱交換器を複数室に亘って設けた場合、排熱回収サイレンサーを搭載した船舶等からの騒音をより低減できる。また、収縮、再膨張に伴う排気ガスの乱流化促進が図れ、熱交換効率を向上することができる。
【0027】
また、熱交換器を複数設けた場合、排気ガスからの排熱を熱媒により効果的に回収することができ、排熱回収サイレンサーを搭載した船舶のエネルギー利用効率をより高めることができる。
【0028】
また、主機関の運転停止時においても補機用の内燃機関を運転可能とする運転制御手段を備えた場合、船舶の停泊中の荷役作業等に補機用の内燃機関のエネルギーが利用でき、これまで不可能であった停泊中における補機用の内燃機関の排気ガスからの排熱エネルギーの回収を可能とすることができる。
【0029】
また、熱交換器に付着した煤を除去する煤除去手段をさらに備えた場合、補機用の内燃機関の排気ガスから排熱のエネルギーをより効率的に回収することができ、船舶のエネルギー利用効率をより高め、温室効果ガスの排出量をより削減することができる。また、煤除去に伴う発生騒音をサイレンサー本体で低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態における排熱回収サイレンサーシステムの構成を示す熱利用系統図である。
【図2】本発明の実施の形態における排熱回収サイレンサーシステムの構成を示す制御ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における排熱回収サイレンサーの構成を示す一部透視斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における排熱回収サイレンサーの構成の別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、図面に従って説明する。図1は、本発明の実施の形態における排熱回収サイレンサーを搭載した船舶の熱利用系統図を示す。また、図2に、船舶の制御ブロック図を示す。
【0032】
船舶には、船舶の推進駆動や航行中の電力を得るための主機関10を含む主機関系100と、停泊中の一般電力の供給や荷役機械運転の電力の供給のために補助の内燃機関である補機関30を含む補助発電系200と、が含まれる。
【0033】
主機関系100は、主機関10、軸発電機12、プロペラ14、排ガスエコノマイザー16、メインボイラ18、燃料油加熱器20、高粘性貨物加熱器22、機関加熱器24、清水加熱器26及びポンプ28を含んで構成することができる。
【0034】
補助発電系200は、補機関30−1,30−2,30−3、発電機32−1,32−2,32−3、排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3、流量制御弁36、三方弁38−1,38−2、ポンプ40、温度センサ42−1,42−2,42−3、補助ボイラ44、燃料油加熱器46、清水加熱器48、ポンプ50、温度センサ52−1,52−2及び煤除去手段であるスートブロア54−1,54−2,54−3を含んで構成される。ここでは、補助発電系200は、3系統の発電機32−1,32−2,32−3を備える構成を例として示している。
【0035】
主機関系100及び補助発電系200は、制御部300によって制御される。制御部300は、図2に示すように、メインボイラ運転設定手段60、排ガスエコノマイザー運転設定手段62、主機関運転設定手段64、軸発電設定手段66、温度設定手段68、発電機運転設定手段70−1,70−2,70−3及びスートブロー設定手段72として機能する。制御部300は、運転制御盤として船舶に配置され、ユーザ(船員)による各部の制御のパラメータの入力及び各部に設けられたセンサの出力信号等を受けて、主機関系100及び補助発電系200の制御を行う。
【0036】
制御部300は、中央処理装置、記憶部、入力部、出力部、インターフェース等を備えた一般的なコンピュータによって、以下に説明する制御を行う制御プログラムを実行することで実現することができる。
【0037】
主機関10は、ディーゼルエンジン等の内燃機関であり、船舶の推進力を得るための主となる動力発生部分である。主機関10の駆動軸は軸発電機12及びプロペラ14に接続され、主機関10が発生する駆動力によって軸発電機12及びプロペラ14が駆動される。制御部300の主機関運転設定手段64に入力される運転開始、停止の設定や燃料の供給量等の運転パラメータの設定に応じて、主機関10の運転や出力が制御される。
【0038】
軸発電機12は、主機関10からの駆動力を受けて、航行中に船舶内で使用される電力を発電する。軸発電設定手段66は、軸発電の開始、停止や船舶内で使用される電力量に応じて、軸発電機12の運転や出力される電力を調整する。また、主機関10の駆動力はプロペラ14にも伝達され、プロペラ14が回転駆動される。これにより、船舶に対する推進力が得られる。
【0039】
また、主機関系100には、メインボイラ18が設けられる。メインボイラ18としては、例えば、油焚ボイラが用いられる。メインボイラ18は、制御部300のメインボイラ運転設定手段60の設定により運転の開始、停止や入力される運転パラメータの設定に応じた燃焼条件となるようにメインボイラ18の燃焼が制御される。メインボイラ18で発生した蒸気は、ポンプ28によって配管を通じて燃料油加熱器20、高粘性貨物加熱器22、機関加熱器24及び清水加熱器26へ供給される。燃料油加熱器20、高粘性貨物加熱器22、機関加熱器24及び清水加熱器26では、蒸気によってそれぞれ燃料、高粘性貨物、船舶に搭載された機関及び清水の加熱が行われる。なお、メインボイラ18からの蒸気でこれら以外の被加熱物の加熱を行ってもよい。
【0040】
さらに、主機関10の排気ガス用の配管には排ガスエコノマイザー16が設けられる。排ガスエコノマイザー16は、主機関10の排気ガスからの排熱を利用するための熱交換器を備える。
【0041】
排ガスエコノマイザー16の筐体内にはメインボイラ18からの蒸気配管の一部が通され、排ガスエコノマイザー16を流れる排気ガスの排熱との熱交換が行われる。排ガスエコノマイザー16における熱交換は、制御部300の排ガスエコノマイザー運転設定手段62によって制御される。制御部300の排ガスエコノマイザー運転設定手段62には運転操作盤によるユーザからの運転の開始、停止等の運転パラメータの設定やメインボイラ18からの蒸気の状態の測定値が入力され、これらの入力値に応じて排ガスエコノマイザー16に流れる蒸気の量等を調整して排気ガスの排熱との熱交換の制御が行われる。
【0042】
次に、本発明の特徴である排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3を含む補助発電系200について説明する。
【0043】
補機関30−1,30−2,30−3は、ディーゼルエンジン等の内燃機関であり、主機関10とは別に船舶に搭載される。補機関30−1,30−2,30−3は、主として停泊中の電力を賄うものである。本実施の形態では、3つの補機関30−1,30−2,30−3は、それぞれ一般電力用、一般高負荷電力用及び荷役機械運転用の発電機32−1,32−2,32−3を駆動するために設けられている。補機関30−1及び発電機32−1、補機関30−2及び発電機32−2、補機関30−3及び発電機32−3はそれぞれ組み合わされ、補機関30−1の駆動力が発電機32−1に伝達されて発電が行われ、補機関30−2の駆動力が発電機32−2に伝達されて発電が行われ、補機関30−3の駆動力が発電機32−3に伝達されて発電が行われる。
【0044】
補機関30−1,30−2,30−3及び発電機32−1,32−2,32−3は、制御部300の発電機運転設定手段70−1,70−2,70−3によって制御され、停泊中の船舶の状況や荷役状況に応じて補機関及び発電機を選択し、運転開始、停止を設定する。発電機運転設定手段70−1は、停泊中に船舶で使用される一般電力量等の測定値の入力を受けて、補機関30−1への燃料の供給量や燃料の燃焼温度等を調整して、発電機32−1から出力される電力量を制御する。発電機運転設定手段70−2は、停泊中に船舶で使用される一般高負荷電力量等の測定値の入力を受けて、補機関30−2への燃料の供給量や燃料の燃焼温度等を調整して、発電機32−2から出力される電力量を制御する。発電機運転設定手段70−3は、停泊中に船舶で使用される荷役機械で使用される電力量等の測定値の入力を受けて、補機関30−3への燃料の供給量や燃料の燃焼温度等を調整して、発電機32−3から出力される電力量を制御する。
【0045】
なお、補機関30−3及び発電機32−3は、船舶が停泊中において荷役時以外の場合であってもデッキサービス等のために運転されることがある。また、航行中において軸発電機12の出力だけでは船舶で使用される電力量を賄えない場合は、補機関30−1,30−2,30−3及び発電機32−1,32−2,32−3を運転する場合もある。
【0046】
補機関30−1,30−2,30−3の排気ガスの排気配管には、それぞれ排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3が設けられる。排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3は、補機関30−1,30−2,30−3の排気ガスに対するサイレンサー(消音器)と排気ガスからの排熱を利用した熱交換器とを組み合わせたものである。
【0047】
排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3は、図3に示すように、筐体(サイレンサー本体)80、排気ガス入口82、排気ガス出口84、熱交換用配管(熱交換器)86、熱媒入口88及び熱媒出口90を含んで構成される。なお、図3は、排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3の1つの外観図であり、その内部構成を明確にするために筐体80に一部を取り除いた内部透視図として示している。
【0048】
補機関30−1,30−2,30−3から排出された排気ガスは排気ガス入口82から筐体80内に導入される。排気ガスは、細い排気ガス配管から筐体80に導入されることで急膨張し、また筐体80から急収縮して導出されることや、筐体80内での音の反射や共鳴等により排気ガスを伝搬してくる補機関30−1,30−2,30−3の騒音が低減される。筐体80からは排気ガス出口84を通して排気ガスが放出される。また、筐体80の内部に補機関30−1,30−2,30−3の排気ガス用の配管に接続されたパンチングパイプを配置した構成としてもよい。この場合、パンチングパイプの周壁に設けられた多数の穴から筐体80の内部空間へ排気ガスを通すことによって排気ガスを伝搬してくる騒音を低減させる。
【0049】
また、図4に示すように、筐体80内を前室80a及び後室80bに分割し、前室80aと後室80bとを細い通路80cで繋いだ構成としてもよい。なお、図4(a)は図4(c)のA−Aラインに沿った断面図であり、図4(b)は図4(c)のB−Bラインに沿った断面図であり、図4(c)は排熱回収サイレンサー34の横断面図である。
【0050】
筐体80内を前室80a及び後室80bに分割することにより、排気ガス入口82から導入された排気ガスは前室80aで一旦膨張させられ、次に通路80cを通って収縮し、再び後室80bで膨張させられることになる。このように、膨張の段数を複数にすることによって、排気ガスの消音効果がより顕著となる。なお、筐体80の分割数は2段に限定されるものではなく、さらに3段以上としてもよい。
【0051】
また、筐体80内部には熱媒入口88及び熱媒出口90の間を繋ぐ熱交換用配管86が配置される。熱交換用配管86には、補助ボイラ44から循環される熱媒が流される。この熱媒と排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの排熱が熱媒の加熱に利用される。熱媒には、水(蒸気)を用いることが好適である。
【0052】
熱交換用配管86は、筐体80内においてどのように配設してもよいが、螺旋状や波状に配設することが好適である。螺旋状や波状に熱交換用配管86を配設することにより、筐体80内における熱交換用配管86の全長をより長くすることができ、熱交換用配管86の排気ガスに触れる表面積をより増大させることができる。これにより、筐体80内を流れる排気ガスとの熱交換をより効率的に行うことができる。
【0053】
また、図4に示すように、熱交換用配管86、熱媒入口88及び熱媒出口90を複数系統設けることも好適である。これにより、さらに排気ガスに触れる熱交換用配管86の表面積が増え、熱交換をより効率的に行うことができる。なお、図4では、熱交換用配管86、熱媒入口88及び熱媒出口90をそれぞれ3系統独立に設けた構成を示しているが、これに限定されるものではなく、2系統以上であれば熱交換の効率を向上させることができる。また、前室80a及び後室80b内の熱交換用配管86の配置は特に限定されるものでないので、図4では1系統の熱交換用配管86のみを破線で示している。
【0054】
また、熱交換用配管86内を流れる熱媒の全体的な流れの方向が、筐体80内を流れる排気ガスの全体的な流れの方向に対向するように熱媒を流すことが好適である。熱媒及び排気ガスの全体的な流れの方向とは、熱媒及び排気ガスの巨視的にみた流れの方向を意味し、図3及び図4に示した排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3では、排気ガスの全体的な流れは図面の下から上方向であり、これに対して熱媒の全体的な流れは図面の上から下方向である。このように、排気ガスと熱媒との流れを互いに対向させることによって、熱媒出口90付近において排気ガス入口82付近の高温な排気ガスと熱媒との熱交換を行うことができ、熱媒出口90から流れ出る熱媒の温度をより効率的に高めることができる。
【0055】
特に、熱媒を蒸気として取り出す用途の場合、熱媒出口90付近において高温の排気ガスと触れさせることにより、潜熱を得て確実に蒸気化することが可能となる。一般的に補機関30−1,30−2,30−3の排ガス温度は主機関10の排ガス温度より高く、熱媒を蒸気化することが容易であり、高密度な熱回収を行うことができる。また、熱交換用配管86(熱交換器)の伝熱面積を小さくしても有効に熱回収ができる。このように、熱媒を蒸気化して利用することにより、高温の排ガスから有効に排熱を利用することができる。
【0056】
また、熱交換用配管86(熱交換器)を排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3の筐体80内に設けることにより省スペース化を図ることができる。また、サイレンサー本体の内部に熱交換器を備えることによって、熱媒が高温になったときに発生する局部沸騰音や気化音等を低減できる。特に、熱媒の全体的な流れを排気ガスの流れ方向の下流側から上流側に向くように構成した場合、熱媒出口90近傍において熱媒が高温となり局部沸騰や蒸気化が起こり、騒音が発生し易くなるので、このような場合に効果が顕著である。
【0057】
さらに、筐体80内を前室80a及び後室80bのように複数に分割することにより、排気ガスの収縮、再膨張に伴う排気ガスの乱流促進が図れ、熱交換効率を図ることもできる。
【0058】
排熱回収サイレンサー34−1の熱媒出口90と排熱回収サイレンサー34−2の熱媒入口88は三方弁38−1を介して接続される。すなわち、三方弁38−1を切り換えることによって、排熱回収サイレンサー34−1と排熱回収サイレンサー34−2とが直列に接続された状態と、排熱回収サイレンサー34−2がバイパスされた状態とを切り換えることができるように構成される。また、排熱回収サイレンサー34−2の熱媒出口90と排熱回収サイレンサー34−3の熱媒入口88は三方弁38−2を介して接続される。すなわち、三方弁38−2を切り換えることによって、排熱回収サイレンサー34−1と排熱回収サイレンサー34−3とが直列に接続された状態と、排熱回収サイレンサー34−3がバイパスされた状態とを切り換えることができるように構成される。さらに、排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3は、熱媒が補助ボイラ44へ供給され、補助ボイラ44からの熱媒がポンプ40及び流量制御弁36を介して排熱回収サイレンサー34−1の熱媒入口88へ供給されるように配置される。
【0059】
補助ボイラ44は、例えば、油焚ボイラとされる。補助ボイラ44は、排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3によって加熱された熱媒のエネルギー及び補助ボイラ44の燃焼により得られるエネルギーにより蒸気を発生させたり、蒸気をさらに過熱蒸気とする。補助ボイラ44で発生した蒸気は、ポンプ50によって配管を通じて燃料油加熱器46及び清水加熱器48へ供給される。燃料油加熱器46及び清水加熱器48では、補助ボイラ44からの蒸気によってそれぞれ燃料及び清水の加熱が行われる。なお、補助ボイラ44からの蒸気でこれら以外の被加熱物の加熱を行ってもよい。
【0060】
排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3の熱媒出口90付近には、熱媒の温度を測定するための温度センサ42−1,42−2,42−3がそれぞれ設けられる。また、排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3へ向かう補助ボイラ44の熱媒の出口付近には温度センサ52−1が設けられ、燃料油加熱器46及び清水加熱器48へ向かう蒸気の出口付近には温度センサ52−2が設けられる。制御部300の温度設定手段68に入力設定された温度及びこれらの温度センサ42−1,42−2,42−3,52−1,52−2における温度測定値に応じて流量制御弁36及び三方弁38−1,38−2の制御が行われる。
【0061】
例えば、温度センサ42−1,42−2,42−3によって測定される温度測定値が所定の設定温度T1より低い場合、補助ボイラ44へ流入する熱媒の温度が設定温度T1よりも高くなるように流量制御弁36及び三方弁38−1,38−2の制御を行う。ここでは、設定温度T1は補助ボイラ44へ送られる熱媒が蒸気になる温度とすることが好適である。
【0062】
より具体的には、温度センサ42−1,42−2,42−3によって測定される温度測定値が所定の設定温度T1より低い場合、流量制御弁36をより絞ることによって排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3へ送られる熱媒の量を減少させ、補助ボイラ44へ送られる熱媒を蒸気とすることができる。逆に、温度センサ42−1,42−2,42−3によって測定される温度測定値が所定の設定温度T1より高い場合、流量制御弁36をより開くことによって排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3へ送られる熱媒の量を増加させ、補助ボイラ44へ送られる熱媒蒸気の温度を低下させたり蒸気量を増したりすることができる。また、温度センサ42−1,42−2,42−3によって測定される温度測定値が所定の設定温度T1より高い場合、三方弁38−1又は38−2を切り換えて排熱回収サイレンサー34−2又は34−3をバイパスすることによって、補助ボイラ44へ送られる熱媒蒸気の温度を低下させることができる。逆に、温度センサ42−1,42−2,42−3によって測定される温度測定値が所定の設定温度T1より低い場合、三方弁38−1又は38−2を切り換えて排熱回収サイレンサー34−2又は34−3を排熱回収サイレンサー34−1に直列に接続することによって、補助ボイラ44へ送られる熱媒蒸気の温度を上昇させることができる。
【0063】
また、温度センサ52−1によって測定される温度測定値に応じて流量制御弁36及び三方弁38−1,38−2の制御を行うことも好適である。
【0064】
例えば、温度センサ52−1による温度測定値が所定の設定温度T2より低い場合、流量制御弁36をより絞ることによって排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3へ送られる熱媒の量を減少させ、補助ボイラ44へ送られる熱媒蒸気の温度を上昇させることができる。逆に、温度センサ52−1による温度測定値が所定の設定温度T2より高い場合、流量制御弁36をより開くことによって排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3へ送られる熱媒の量を増加させ、補助ボイラ44へ送られる熱媒蒸気の温度を低下させたり蒸気量を増したりすることができる。また、温度センサ52−1による温度測定値が所定の設定温度T2より高い場合、三方弁38−1又は38−2を切り換えて排熱回収サイレンサー34−2又は34−3をバイパスすることによって、補助ボイラ44へ送られる熱媒蒸気の温度を低下させることができる。逆に、温度センサ52−1による温度測定値が所定の設定温度T2より低い場合、三方弁38−1又は38−2を切り換えて排熱回収サイレンサー34−2又は34−3を排熱回収サイレンサー34−1に直列に接続することによって、補助ボイラ44へ送られる熱媒蒸気の温度を上昇させることができる。
【0065】
さらに、温度センサ52−2によって測定される温度測定値に応じて流量制御弁36及び三方弁38−1,38−2の制御を行うことも好適である。
【0066】
例えば、温度センサ52−2による温度測定値が所定の設定温度T3より低い場合、流量制御弁36をより絞ることによって排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3へ送られる熱媒の量を減少させ、補助ボイラ44へ送られる熱媒蒸気の温度を上昇させることができる。逆に、温度センサ52−2による温度測定値が所定の設定温度T3より高い場合、流量制御弁36をより開くことによって排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3へ送られる熱媒の量を増加させ、補助ボイラ44へ送られる熱媒蒸気の温度を低下させたり蒸気量を増したりすることができる。また、温度センサ52−2による温度測定値が所定の設定温度T3より高い場合、三方弁38−1又は38−2を切り換えて排熱回収サイレンサー34−2又は34−3をバイパスすることによって、補助ボイラ44へ送られる熱媒蒸気の温度を低下させることができる。逆に、温度センサ52−2による温度測定値が所定の設定温度T3より低い場合、三方弁38−1又は38−2を切り換えて排熱回収サイレンサー34−2又は34−3を排熱回収サイレンサー34−1に直列に接続することによって、補助ボイラ44へ送られる熱媒蒸気の温度を上昇させることができる。
【0067】
これらの制御によって、排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3において補助ボイラ44で利用される熱量に適した状態で排気ガスからの排熱を回収することができる。特に、本実施の形態では、排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3から補助ボイラ44へ送られる熱媒が蒸気となる状態に制御することができる。
【0068】
なお、これらの温度センサ42−1,42−2,42−3,52−1,52−2による温度測定値に応じた流量制御弁36及び三方弁38−1,38−2の制御は例示であり、これらに限定されるものではない。
【0069】
また、排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3にはそれぞれスートブロア54−1,54−2,54−3を設けることが好適である。スートブロア54−1,54−2,54−3は、それぞれ排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3の筐体80内へ空気を噴射することによって筐体80内部に溜まった煤を除去する装置である。スートブロア54−1,54−2,54−3は、制御部300のスートブロー設定手段72によって制御される。例えば、補機関30−1,30−2,30−3の運転時間がスートブロー設定手段72に入力設定された所定の運転時間に到達する毎にスートブロア54−1,54−2,54−3を起動して排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3の筐体80内部に溜まった煤を除去する。このスートブロア54−1,54−2,54−3の作動時には、極めて高い騒音が発生するが、排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3の筐体80内に設けることにより、大幅に騒音低減が図れる。
【0070】
以上の説明のように、熱交換器をサイレンサーに組み込んだ排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3を用いることによって、排熱回収装置をサイレンサーとは別途設ける構成よりもシステム全体の省スペース化や騒音の低減が合理的に図ることができる。
【0071】
また、補機関30−1,30−2,30−3の排気ガスからの排熱を回収する排熱回収サイレンサー34−1,34−2,34−3を用いることによって、補助ボイラ44とその燃料タンクをより小型化することができる。したがって、船舶の省スペース化に貢献できると共に、船舶の建造コストを低減することができる。
【0072】
本実施の形態における排熱回収サイレンサーシステムを2.0万トン〜5.0万トン程度のバルクキャリアー(BC)に搭載した場合について考察すると、このような規模の船舶には典型的にはそれぞれ400kW〜500kWの発電機32−1,32−2,32−3を駆動できる補機関30−1,30−2,30−3が搭載されており、船舶が停泊中にはこの内の2基が3/4負荷で運転される。発電効率を90%、エンジン効率を45%と仮定すると、排熱の20%(180kW〜234kW)を回収することができれば、7kg/cmGの蒸気を240kg/h〜320kg/hで生産することができる。これの蒸気量は、同規模のバルクキャリアー(BC)の停泊時のデッキサービス等の平均蒸気消費量200kg/hを十分に補うことができるものである。また、これにより、1航海当たり約1.44トンの燃料を節約することができ、これに伴う温室効果ガス(GHG)の排出削減量は1航海当たり約4.5トンとなる。航海頻度を30回/年と仮定すると、温室効果ガス(GHG)の排出削減量は135トン/隻・年に達する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上の実施形態は、船舶用のディーゼルエンジンの排気ガスの処理に適用することができるがこれに限定されるものではなく、他の移動体、例えば鉄道車両、自動車等についても適用することができる。また、ディーゼルエンジン以外の間欠燃焼を行う機関(直噴式のオットー機関等)やガスタービン等についても適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10 主機関、30(30−1,30−2,30−3) 補機関、34(34−1,34−2,34−3) 排熱回収サイレンサー、36 流量制御弁、38(38−1,38−2) 三方弁、42(42−1,42−2,42−3) 温度センサ、44 補助ボイラ、52(52−1,52−2) 温度センサ、54 スートブロア、68 温度設定手段、72 スートブロー設定手段、80 筐体(サイレンサー本体)、80a 前室、80b 後室、80c 通路、82 排気ガス入口、84 排気ガス出口、86 熱交換用配管(熱交換器)、88 熱媒入口、90 熱媒出口、300 制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガスを排出する排気経路の途中に設けられたサイレンサー本体と、
前記サイレンサー本体の内部で排気ガスと熱交換を行う熱交換器と、を備え、
前記熱交換器を流れる熱交換用の熱媒の全体的な流れの方向が前記排気ガスの流れの方向の下流側から上流側に向かうように前記熱交換器における前記熱媒の流路を設けたことを特徴とする排熱回収サイレンサー。
【請求項2】
請求項1に記載の排熱回収サイレンサーであって、
前記熱交換器の前記熱媒の出口において前記熱媒を蒸気として取り出すことを特徴とする排熱回収サイレンサー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の排熱回収サイレンサーであって、
前記熱媒の流量を制御する流量制御手段と、
前記熱媒の温度を検出する温度検出手段と、をさらに備え、
前記温度検出手段で検出される温度に応じて前記流量制御手段によって前記熱媒の流量を調整することを特徴とする排熱回収サイレンサー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の排熱回収サイレンサーであって、
前記サイレンサー本体を複数室から構成し、前記複数室間で前記排気ガスを一旦収縮させた後に再膨張させると共に、
前記熱交換器を前記複数室に亘って設けたことを特徴とする排熱回収サイレンサー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の排熱回収サイレンサーであって、
前記熱交換器を複数有することを特徴とする排熱回収サイレンサー。
【請求項6】
船舶を推進する主機関以外に設けられた補機用の内燃機関と、
前記内燃機関の排気ガスを排出する排気経路と、
前記排気経路の途中に設けられたサイレンサー本体と、
前記サイレンサー本体の内部で排気ガスと熱交換を行う熱交換器と、
を備えることを特徴とする排熱回収サイレンサーシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の排熱回収サイレンサーシステムであって、
前記熱交換器を流れる熱交換用の熱媒の全体的な流れの方向が前記排気ガスの流れの方向の下流側から上流側に向かうように前記熱交換器における前記熱媒の流路を設けたことを特徴とする排熱回収サイレンサーシステム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の排熱回収サイレンサーシステムであって、
前記熱交換器の前記熱媒の出口において前記熱媒を蒸気として取り出すことを特徴とする排熱回収サイレンサーシステム。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1つに記載の排熱回収サイレンサーシステムであって、
前記熱媒の流量を制御する流量制御手段と、
前記熱媒の温度を検出する温度検出手段と、をさらに備え、
前記温度検出手段で検出される温度に応じて前記流量制御手段によって前記熱媒の流量を調整することを特徴とする排熱回収サイレンサーシステム。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1つに記載の排熱回収サイレンサーシステムであって、
前記主機関の運転停止時においても前記補機用の内燃機関を運転可能とする運転制御手段を備えたことを特徴とする排熱回収サイレンサーシステム。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか1つに記載の排熱回収サイレンサーシステムであって、
前記補機用の内燃機関と、前記排気経路と、前記サイレンサー本体と、前記熱交換器と、からなる系統を複数備え、
前記複数の系統毎の前記熱媒の供給開始及び停止を行う供給開始停止手段と、
前記供給開始停止手段を制御して、前記複数の系統のうち運転していない系統への前記熱媒の供給を停止する熱媒供給制御手段と、
を備えたことを特徴とする排熱回収サイレンサーシステム。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれか1つに記載の排熱回収サイレンサーシステムであって、
前記熱交換器に付着した煤を除去する煤除去手段をさらに備えたことを特徴とする排熱回収サイレンサーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−185151(P2011−185151A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51011(P2010−51011)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(501204525)独立行政法人海上技術安全研究所 (185)
【出願人】(395008333)株式会社大晃産業 (12)
【出願人】(591083118)ツネイシホールディングス株式会社 (18)