説明

排紙装置および画像形成装置

【課題】複数の画像形成の要求による出力用紙が排紙トレイに混在しているか否かを容易に判断でき、誤って他人の出力用紙を持ち去っていかないよう注意を喚起できる排紙装置を提供する。
【解決手段】排紙装置は、画像形成された出力用紙が排出される排紙トレイ(S12、S13)と、排紙トレイに出力用紙が積載されているか否かを検知する検知手段(S14)と、検知手段により検知された出力用紙の積載状態を報知する報知手段(S16)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排紙装置および画像形成装置に関し、特に、複数のユーザに利用される排紙装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、一般的にネットワークに接続され、複数のユーザに利用されている。各ユーザは、画像形成装置のプリンター機能を利用することにより、ネットワークを介して画像を形成することができる。また、画像形成装置には、画像形成された出力用紙を排出する排紙トレイが設置されている。プリンター機能を利用して画像形成された出力用紙は、排紙トレイに排出される。
【0003】
ここで、複数のユーザがそれぞれ同じ画像形成装置に画像形成を要求した場合、複数の画像形成の要求による出力用紙が、排紙トレイに混在して排出される場合がある。このような場合に、誤って他人の出力用紙を持ち去っていかないよう警告を行う技術が、特開2006−334973号公報(特許文献1)に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されている画像形成装置は、IDが書き込まれた無線タグを出力用紙に貼り付けて排出する。無線タグのIDは、画像形成を要求したユーザのIDと関連付いている。この無線タグのIDをリーダで読取ることにより、画像形成を要求したユーザのIDを判断して、誤って他人の出力用紙を持ち去っている可能性がある場合には、警告を行うことができる。
【特許文献1】特開2006−334973号公報(段落番号0018〜0027)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によると、無線タグを出力用紙に貼り付ける必要がある。しかし、画像形成された出力用紙全てに無線タグを貼り付けるには、多大なコストがかかってしまう。
【0006】
この発明の目的は、複数の画像形成の要求による出力用紙が排紙トレイに混在しているか否かを容易に判断でき、誤って他人の出力用紙を持ち去っていかないよう注意を喚起できる排紙装置および、このような排紙装置を備える画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る排紙装置は、画像形成された出力用紙が排出される排紙トレイと、排紙トレイに出力用紙が積載されているか否かを検知する検知手段と、検知手段により検知された出力用紙の積載状態を報知する報知手段とを備える。
【0008】
一実施形態として、報知手段は、画像形成の要求数を報知する。
【0009】
他の実施形態として、報知手段は、画像形成の要求元の情報を報知する。
【0010】
さらに他の実施形態として、報知手段は、複数のLEDを含み、複数のLEDの明滅パターンによって出力用紙の積載状態を報知する。
【0011】
さらに他の実施形態として、検知手段は、出力用紙に光を照射する発光部と、発光部から照射され、出力用紙で反射した光を受光する受光部とを含み、受光部で光を受光することによって、排紙トレイに出力用紙が積載されていることを検知する。
【0012】
この発明の他の局面においては、画像形成装置は、画像を形成する画像形成手段と、上記のいずれかに記載の排紙装置とを含む。
【発明の効果】
【0013】
この発明によると、ユーザは、報知手段を参照することにより、複数の画像形成の要求による出力用紙が排紙トレイに混在しているか否かを容易に判断することができる。その結果、誤って他人の出力用紙を持ち去る虞を低減した排紙装置および、このような排紙装置を備える画像形成装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置をデジタル複合機10に適用した場合のデジタル複合機10の構成を示すブロック図である。図1を参照して、デジタル複合機10は、デジタル複合機10全体を制御する制御部11と、画像データ等の書き込みや読出しを行うためのDRAM12と、デジタル複合機10の有する情報を表示する表示画面を含み、デジタル複合機10におけるユーザとのインターフェースとなる操作部13と、原稿を自動的に所定の原稿読取り位置へ搬送する原稿送り装置14と、原稿送り装置14によって搬送されてきた原稿を所定の読取り位置でスキャナで読取る画像読取り部15と、画像読取り部15で読取られた原稿等からその画像を形成し、用紙に出力する画像形成手段としての画像形成部16と、画像データ等を格納するハードディスク17と、公衆回線20に接続されるFAX通信部18と、ネットワーク21と接続するためのネットワークIF(インターフェース)部19と、この発明の一実施形態に係る排紙装置23とを備える。
【0015】
デジタル複合機10は、画像読取り部15により読取られた原稿の画像データを用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、複写機として作動する。また、デジタル複合機10は、ネットワークIF部19を通じて、ネットワーク21に接続されたパソコン(コンピュータ)22から送信された画像データを用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、プリンターとして作動する。さらに、デジタル複合機10は、FAX通信部18を通じて、公衆回線20から送信された画像データを用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、また、画像読取り部15により読取られた原稿の画像データを、FAX通信部18を通じて公衆回線20に画像データを送信することにより、ファクシミリ装置として作動する。すなわち、デジタル複合機10は、画像処理に関し、複写(コピー)機能、プリンター機能、FAX機能等、複数の機能を有する。さらに、各機能に対しても、さらに詳細に設定可能な機能を有する。
【0016】
なお、図1において、太線の矢印は画像データの流れを示しており、細線の矢印は制御信号または制御データの流れを示している。
【0017】
ここで、排紙装置23について具体的に説明する。図2は、排紙トレイ24の一例を示す図である。図3は、操作部13およびLED群25の一例を示す図である。図2および図3を参照して、排紙装置23は、画像形成部16により画像形成された出力用紙27、28が排出される排紙トレイ24と、排紙トレイ24に出力用紙27、28が積載されているか否かを検知する検知手段としてのセンサ26と、センサ26により検知された出力用紙27、28の積載状態を報知する報知手段としてのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)群25とを備える。
【0018】
図2を参照して、センサ26は、排紙トレイ24上に設置される。センサ26は、出力用紙27に光を照射する発光部26aと、発光部26aから照射され、出力用紙27で反射した光を受光する受光部26bとを含む反射型センサである。具体的には、排紙トレイ24に出力用紙27が排出されると、発光部26aから照射された光は、出力用紙27に反射する。この反射光を受光部26bで受光することにより、センサ26は、排紙トレイ24に出力用紙27が積載されたことを検知する。また、排紙トレイ24に積載された出力用紙27、28が移動されると、発光部26aから照射された光は、出力用紙27に反射しなくなる。したがって、受光部26bで発光部26aから照射された光を受光できなくなることにより、センサ26は、排紙トレイ24に積載された出力用紙27、28が移動されたことを検知する。
【0019】
また、センサ26は、検知した内容を制御部11に通知する。具体的には、排紙トレイ24に出力用紙27、28が積載されたことを検知した場合には、出力用紙検知信号を通知する。一方、排紙トレイ24に積載された出力用紙27、28が移動されたことを検知した場合には、出力用紙移動信号を通知する。
【0020】
制御部11は、センサ26からの信号を受信することにより、出力用紙27、28の積載状態を認識する。また、制御部11は、認識した積載状態を報知するようLED群25に通知する。つまり、積載状態に応じてLED群25を点灯させる。
【0021】
図3を参照して、操作部13は、デジタル複合機10に処理の開始を指示するスタートキー31や、画像形成に関する情報を表示する表示画面32等を含む。この操作部13は、ユーザの目に留まりやすい位置に設置されるため、報知手段としてのLED群25は、操作部13に隣接して設置されている。LED群25は、第1のLED25aと、第2のLED25bと、第3のLED25cと、第4のLED25dとを含む構成である。
【0022】
LED群25は、第1〜第4のLED25a〜25dの明滅パターンによって、出力用紙27、28の積載状態を報知する。具体的には、例えばLED群25が画像形成の要求(ジョブ)数を報知する場合、1ジョブ分の出力用紙27が排紙トレイ24に積載されると、第1のLED25aが点灯する。2ジョブ分の出力用紙27、28が排紙トレイ24に積載されると、第1および第2のLED25a、25bが点灯する。4ジョブ分以上の出力用紙が排紙トレイ24に積載されると、第1〜第4全てのLED25a〜25dが点灯する。
【0023】
ここで、デジタル複合機10のプリンター機能を利用して、画像形成する場合について説明する。図4は、デジタル複合機10のプリンター機能を利用して、画像形成する場合における、制御部11の動作を示すフローチャートである。図1〜図4を参照して、ユーザは、まず、パソコン22からネットワーク21を介して、デジタル複合機10に第1のジョブを送信する。そうすると、制御部11は、第1のジョブを受け付ける(図4において、ステップS11、以下ステップを省略する)。画像形成部16は、受信した画像データから画像形成し(S12)、出力用紙27を排紙トレイ24に排出する(S13)。
【0024】
出力用紙27が排紙トレイ24に排出されると、検知手段として作動するセンサ26は、受光部26bで反射光を受光することにより、排紙トレイ24に出力用紙27が積載されたことを検知する(S14において、YES)。そして、制御部11に出力用紙検知信号を通知する(S15)。制御部11は、出力用紙検知信号を受信することにより、ステップ11において受け付けた第1のジョブによる出力用紙27が排紙トレイ24に積載されていると認識する。
【0025】
そうすると、制御部11は、出力用紙27の積載状態を報知するようLED群25に通知する。ここでは、ステップ11において受け付けた第1のジョブによる出力用紙27のみが排紙トレイ24に積載されているため、第1のLED25aを点灯させる(S16)。
【0026】
次に、出力用紙27を排紙トレイ24に積載したまま、パソコン22からデジタル複合機10に新たな第2のジョブを送信する。ステップ12およびステップ13において、画像形成部16は、画像データから画像形成し、出力用紙28を排紙トレイ24に排出する。しかし、受光部26bは、既に、第1のジョブによる出力用紙27で反射した反射光を受光している状態であるため、第2のジョブによる出力用紙28が排紙トレイ24に積載されたことによって、新たに出力用紙検知信号を通知することはない(S14において、NO)。
【0027】
したがって、制御部11は、第2のジョブによる出力用紙28を排出したにも拘らず、出力用紙検知信号を受信しないため、第1のジョブによる出力用紙27と、第2のジョブによる出力用紙28との2ジョブ分が排紙トレイ24に積載されていると認識する。
【0028】
そうすると、制御部11は、出力用紙27、28の積載状態を報知するようLED群25に通知する。ここでは、第1のジョブによる出力用紙27と、第2のジョブによる出力用紙28との2ジョブ分が積載されているため、既に点灯している第1のLED25aに加えて、第2のLED25bを点灯させる(S16)。
【0029】
なお、出力用紙27、28を移動させると、センサ26は、受光部26bで光を受光できなくなることにより、排紙トレイ24に積載された出力用紙27、28が移動されたことを検知する。そして、制御部11に出力用紙移動信号を通知する。制御部11は、出力用紙移動信号を受信することにより、出力用紙27、28が移動され、排紙トレイ24に出力用紙27、28が積載されていないと認識する。そして、点灯している第1および第2のLED25a、25bを消灯させる。
【0030】
こうすることにより、ユーザは、LED群25を参照して、複数の画像形成の要求による出力用紙27、28が排紙トレイ24に混在しているか否かを容易に判断することができる。その結果、誤って他人の出力用紙を持ち去る虞を低減することができる。
【0031】
また、上記の実施の形態においては、ジョブ数を報知する例について説明したが、これに限らず、他の情報を報知してもよい。例えばジョブを送信したユーザの情報、具体的には、人数を報知してもよい。この場合、第1のユーザによる出力用紙27が排紙トレイ24に積載されると、第1のLED25aが点灯する。第1および、第1とは異なる第2のユーザ、すなわち2人のユーザによる出力用紙27、28が排紙トレイ24に積載されると、第1および第2のLED25a、25bが点灯する。4人以上のユーザによる出力用紙が排紙トレイ24に積載されると、第1〜第4全てのLED25a〜25dが点灯する。
【0032】
具体的に説明すると、まず、第1のユーザがジョブを送信する。そうすると、制御部11は、第1のユーザからのジョブによる出力用紙27が排紙トレイ24に積載されていると認識する。このとき、制御部11は、第1のLED25aを点灯させる。
【0033】
次に、第1のユーザによる出力用紙27を排紙トレイ24に積載したまま、第1とは異なる第2のユーザが新たなジョブを送信する。そうすると、制御部11は、第1のユーザからのジョブによる出力用紙27と、第2のユーザからのジョブによる出力用紙28との2人のユーザによる出力用紙27、28が排紙トレイ24に積載されていると認識する。このとき、制御部11は、既に点灯している第1のLED25aに加えて、第2のLED25bを点灯させる。
【0034】
このように、排紙トレイ24に何人のユーザによる出力用紙が積載されているかを報知することによって、誤って他人の出力用紙を持ち去る虞を低減することができる。
【0035】
また、上記の実施の形態においては、報知手段はLEDである例を説明したが、操作部13に含まれる表示画面32等であってもよいし、音声等で報知してもよい。例えば、ユーザのコンピュータ名および、そのコンピュータから送信されたジョブ数を表示画面32に表示する。こうすることにより、ユーザは、表示画面32を参照して、複数の画像形成の要求による出力用紙が排紙トレイ24に混在しているか否かを容易に判断することができる。
【0036】
また、上記の実施の形態においては、報知手段としてのLED群25は、操作部13に隣接して設置される例を説明したが、これに限らず、ユーザが参照しやすい位置であればよい。例えば、排紙トレイ24の周辺に設置してもよい。
【0037】
また、上記の実施の形態においては、検知手段としてのセンサ26は、反射型センサである例を説明したが、これに限らず、排紙トレイの出力用紙を検知可能なあらゆるセンサを利用することができる。例えば、出力用紙を挟む位置に配置される発光部と受光部とによって構成される透過型センサであってもよい。透過型センサとしては、PI(Photo Interrupter)センサ等が挙げられる。
【0038】
この透過型センサは、発光部から照射された光を受光部で受光できなくなることによって、出力用紙が積載されたことを検知する。一方、発光部から照射された光を受光部で受光することによって、出力用紙が移動されたことを検知する。
【0039】
また、上記の実施の形態においては、排紙装置23は、デジタル複合機10に備えられる例を説明したが、その他の機器に備えられてもよい。
【0040】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像形成装置をデジタル複合機に適用した場合のデジタル複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】排紙トレイの一例を示す図である。
【図3】操作部およびLED群の一例を示す図である。
【図4】デジタル複合機のプリンター機能を利用して、画像形成する場合における、制御部の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
10 デジタル複合機、11 制御部、12 DRAM、13 操作部、14 原稿送り装置、15 画像読取り部、16 画像形成部、17 ハードディスク、18 FAX通信部、19 ネットワークIF部、20 公衆回線、21 ネットワーク、22 パソコン、23 排紙装置、24 排紙トレイ、25 LED群、25a,25b,25c,25d LED、26 センサ、26a 発光部、26b 受光部、27,28 出力用紙、31 スタートキー、32 表示画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成された出力用紙が排出される排紙トレイと、
前記排紙トレイに前記出力用紙が積載されているか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された前記出力用紙の積載状態を報知する報知手段とを備える、排紙装置。
【請求項2】
前記報知手段は、前記画像形成の要求数を報知する、請求項1に記載の排紙装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記画像形成の要求元の情報を報知する、請求項1または2に記載の排紙装置。
【請求項4】
前記報知手段は、複数のLEDを含み、
前記複数のLEDの明滅パターンによって前記出力用紙の積載状態を報知する、請求項1〜3のいずれかに記載の排紙装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記出力用紙に光を照射する発光部と、前記発光部から照射され、前記出力用紙で反射した光を受光する受光部とを含み、
前記受光部で光を受光することによって、前記排紙トレイに前記出力用紙が積載されていることを検知する、請求項1〜4のいずれかに記載の排紙装置。
【請求項6】
画像を形成する画像形成手段と、
請求項1〜5のいずれかに記載の排紙装置とを含む、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−96149(P2009−96149A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272527(P2007−272527)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】