説明

排紙装置及び画像形成装置

【課題】高速の搬送の速度で排紙されるの先行の枚葉紙と後の枚葉紙の追突して、画像形成装置内でジャムが発生するのを回避させる排紙装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1から排紙台16へ印刷用紙7を排出する排紙装置16であって、印刷用紙7が排出される画像形成装置の1排出口近傍に設けられ、排出時に印刷用紙7の後端側を下方に押し下げる衝突回避手段461を有し、さらに、衝突回避手段461は、印刷用紙7の後端側の両側縁部と当接して下方に押し下げる複数の羽根状部材51を有する複数の回転体49を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速な搬送速度で印刷する枚葉紙を排紙する場合の排紙部における枚葉紙のジャムを抑制する排紙装置及びこの排紙装置を用いる印刷機や複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、孔版印刷装置、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置は、枚葉紙に画像を形成する画像形成部と、画像形成装置本体から排出される枚葉紙を積載する排紙台とを有しており、このような画像形成装置において、画像形成部から排紙台へ向けて枚葉紙を搬送する手段を有する画像形成装置が知られている。排紙台においては、積載する枚葉紙の揃えを良くする必要があり、そのためには搬送手段によって搬送/排出される枚葉紙を排紙台に取り付けてあるエンドフェンスにて衝突させ、又その時の衝撃を吸収して定位置から自然下降させる方法が効果的であることが一般的に知られている。
【0003】
しかし、従来技術である搬送手段は、枚葉紙の排紙の速度が低い場合は、排出された枚葉紙をエンドフェンスによって受止め後に下降させ、枚葉紙を揃え積載しても問題は発生しない。一方、この枚葉紙の排紙の速度が速くなる場合は、従来技術である搬送手段では反訴有情の問題が生ずる。
図12は、排紙装置を備える画像形成装置の排紙の状態を説明する概念図である。
この枚葉紙の排紙の速度が速くなる場合、例えば、150cpmより以上の速度では、排紙台のエンドフェンスに枚葉紙が衝突して、次に、排紙台に下降して積載されるのに一定の時間が必要である。このため、次に排紙される枚葉紙が、先行する枚葉紙の後端部に追突してしまい、枚葉紙が排紙台に順序よく又は整然と積載されないことがある。または、次に排紙される枚葉紙が排紙されず排紙装置内でジャムとなってしまうことがある。
【0004】
また、エンドフェンスに衝突した枚葉紙の次枚葉紙は、先の枚葉紙に追突しない十分な時間差をもって排出される。
これに対応して、排出された枚葉紙が、より効率的かつ高速に下降させる手段として、特許文献1が開示されている。
特許文献1では、印刷装置から順次排紙される枚葉紙の上面に気流を吹き付けることにより当該枚葉紙の下降速度を増加させつつ順次積み重ねて枚葉紙パイルを形成するように構成された排紙装置の気流吹付け構造であって、前記気流を、枚葉紙の幅方向の略中央部に向け且つ紙送り方向の全長に亘って略鉛直に吹き付けるとともに、前記略中央部を境にして枚葉紙の左右の面に外方に向かい且つ互いに離間する方向に向けて斜めに吹き付けるように構成されてなる排紙装置の気流吹付け構造が開示されている。これで、エアーシャワーを枚葉紙に吹き付けることによって、枚葉紙の下降を促進させるものである。
また、 後で排出される枚葉紙との衝突を避けるものではないが、排出された枚葉紙が、より効率的かつ高速に下降させる手段として、特許文献2が開示されている。
引用文献2では、シートを搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段から送り出された前記シートが積載される積載手段と、前記第1搬送手段のシート搬送方向の下流側で前記シートを搬送する第2搬送手段と、前記第1搬送手段から送り出された前記シートの搬送方向を前記積載手段と前記第2搬送手段とに選択的に切り替える切替部材と、を備え、前記切替部材が、前記シートの搬送方向を前記積載手段に切り替える上位の位置から、前記積載手段に排出されるシートを押圧して落下させる下位の位置に移動可能であるシート搬送切替装置が開示されている。これで、シートの搬送方向を切り替えられるようにするものである。
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、エアーシャワーによって排出された枚葉紙を強制的に下降させるため、追突ジャムは回避されるものの、排紙台上部にファン他装置を設置するため、排紙台より積載された枚葉紙を取り出す際、装置を移動させる等、操作性に問題がある。また、特許文献2に開示されている技術では、搬送されるシートの前側を押圧して排紙トレイに強制落下させて、排出されたシートがブリッジするようなことがなくなり、後続シートのジャム発生を防止することができる。これでは、後の排紙されるシートの搬送の速度が速い場合には、前の排紙されているシートとの衝突を避けることができないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、高速の搬送の速度で排紙されるの先行の枚葉紙と後の枚葉紙の追突して、画像形成装置内でジャムが発生するのを回避させる排紙装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の排紙装置は、画像形成装置から排紙台へ枚葉紙を排出する排紙装置であって、前記排紙装置は、枚葉紙が排出される画像形成装置の排出口近傍に設けられ、排出時に枚葉紙の後端側を下方に押し下げる衝突回避手段を有することを特徴とする。
また、本発明の排紙装置は、さらに、前記衝突回避手段は、枚葉紙の後端側の両側縁部と当接して下方に押し下げる複数の羽根状部材を有する複数の回転体を備える飛翔姿勢設定手段であることを特徴とする。
また、本発明の排紙装置は、さらに、前記飛翔姿勢設定手段は、羽根状部材が枚葉紙の側縁部に当接するに際して、羽根状部材の主面と枚葉紙の側縁部の主面とが略直角となるように回転体の駆動タイミングを制御することを特徴とする。
また、本発明の排紙装置は、さらに、前記衝突回避手段は、先に排出されてエンドフェンスに衝突した枚葉紙と次に排出される枚葉紙との間に押下部材を挿入し、この押下部材によって先に排出された枚葉紙の後端側を下方に押し下げる後端押下手段であることを特徴とする。
【0008】
本発明の画像形成装置は、枚葉紙上に画像形成する画像形成装置において、上記のいずれかに記載の排紙装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明の排紙装置又は画像形成装置は、画像形成装置で、150cpm以上の高速印刷において、追突ジャムすることなく、排紙することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した排紙装置を有する画像形成装置としての孔版印刷装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置の孔版印刷装置におけり操作パネルの一形態を示す図である。
【図3】本発明の排紙装置における一実施形態の構成を示す図で、(a)は枚葉紙の搬送方向から本発明の排紙装置における飛翔姿勢設定装置の構成を見た側面図であり、(b)は画像形成装置前面から見た飛翔姿勢設定装置の構成を示す側面図、斜視図、平面図である。
【図4】本発明の排紙装置における飛翔姿勢設定装置の動作を説明する図である。
【図5】本発明の排紙装置における飛翔姿勢設定装置の羽根状部材の動作を説明する図である。
【図6】本発明の排紙装置における飛翔姿勢設定装置の羽根状部材を示す図である。
【図7】(a)が本発明の排紙装置を用いる孔版印刷装置における印刷用紙の搬送状態を示す図であり、(b)が本発明の排紙装置を用いる孔版印刷装置における印刷用紙の搬送状態を示す図である。
【図8】本発明の排紙装置における他の実施形態の構成を示す図で、画像形成装置前面から見た後端側押下装置の構成を示す正面図、側面図、斜視図、平面図である。
【図9】本発明の排紙装置における後端側押下装置の動作を説明する図である。
【図10】本発明の排紙装置における他の実施形態の構成を示す図で、画像形成装置前面から見た後端側押下装置の構成を示す正面図、側面図、斜視図、平面図である。
【図11】本発明の排紙装置における後端側押下装置の動作を説明する図である。
【図12】排紙装置を備える画像形成装置の排紙の状態を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0012】
図1は、本発明を適用した排紙装置を有する画像形成装置としての孔版印刷装置の全体構成を示す図である。
孔版印刷装置1は、感熱デジタル製版一体型孔版印刷装置1の構造であり、製版済みマスタ2を外周面に巻き付ける版胴3と、版胴3の右方上側に配置されマスタ2を製版する製版装置4と、版胴3の左方上側に配置され使用済みのマスタ2を版胴3から剥ぎ取り排版する排版装置5と、製版装置4の下方に配置され給紙トレイ6上に積載された枚葉紙としての印刷用紙7を給送する給紙装置8と、給紙装置8側から給送されてきた印刷用紙7を所定にタイミングで版胴3に搬送するレジストローラ9を備えている。
なら、さらに、版胴3の下方に配置され給送されてくる枚葉紙である印刷用紙(以下、「印刷用紙」と記す。)7を版胴3上の製版済みのマスタ2に押し付けることにより印刷を行う印圧装置10と、版胴3、製版装置4、排版装置5の上方に位置し原稿11の画像を読み取るための原稿読取装置12と、孔版印刷装置1の左方に配置され印圧装置10で印刷された印刷済みの印刷用紙7を版胴3から剥ぎ取るためのエアナイフ13及び排紙爪14とを、剥ぎ取られた印刷用紙7を画像形成装置1本体外に搬送する排紙装置15とを備えている。
さらに、排紙装置15によって搬送され孔版印刷装置1本体から排出される印刷用紙7を積載する排紙台16とを備えている。
図2は、本発明の画像形成装置の孔版印刷装置におけり操作パネルの一形態を示す図である。
また、孔版印刷装置1の内外を隔離する隔離部材としての面板17と、孔版印刷装置1を操作し印刷を行うための操作パネル18とから主に構成されている。
【0013】
版胴3は、図1に示すように、多孔性円筒状をなし、ドラム軸19の周りに回転自在に支持されている。版胴3は、図示しないメインモータにより回転される。
版胴3の外周部の一母線上には、マスタ2の先端部をクランプする開閉自在なクランパ20が設けられている。
版胴3の内部には、版胴3の内周面から外周面に向けてインクを供給するためのインク供給手段21が配設されている。
マスタ2としては、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムに多孔質の支持体として和紙等を貼り合わせたものが用いられているが、これに限らず、非常に薄い実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからを用いることも可能である。
先ず、オペレータが、原稿読取装置12の図示しない原稿受け台に印刷すべき原稿11をセットし、製版を起動させるための操作パネル18上のスタートキー22を押下すると、排版工程が版胴5において実行される。
版胴3が図中時計回り方向を示す矢印a方向と反対の反時計回り方向に回転し、版胴3の外周面に巻装されていた使用済みのマスタ2が版胴3の外周面から漸次剥され搬送されつつ排版装置5の排版ボックス23内へ排出されることにより排版工程が終了する。
【0014】
排版工程と並行して、原稿読取部12が作動して原稿読み取りが行われる。この原稿読み取りに係る詳細な構成及び動作は、原稿読み取りされた画像は最終的にCCD(電荷結合素子)等の光電変換素子からなる画像センサにより光電変換される。画像センサにより光電変換された電気信号は、図示しないアナログ/デジタル(A/D)変換基板に送信されることによりデジタル画像信号に変換される。
原稿読み取り動作と並行して、デジタル信号化された画像信号に基づき、製版装置4において製版・給版工程が行われる。サーマルヘッド24に押し付けられているプラテンローラ25の回転により、マスタ2がマスタロール26から引き出され、マスタ搬送路の下流側に搬送される。
このように搬送されるマスタ2に対して、サーマルヘッド24の主走査方向に一列に配列された多数の微小な発熱素子が、A/D変換基板およびその後の製版制御基板(図示せず)で各種処理を施されて送られてくるデジタル画像信号に応じて各々選択的に発熱し、発熱した発熱素子に接触しているマスタ2の熱可塑性樹脂フィルムが溶融穿孔される。
このようにして、画像情報に応じたマスタ2の位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パターンとして書き込まれる。画像情報が書き込まれて製版された製版済みのマスタ2の先端は、送り出しローラ対27の回転により版胴3の外周部側へ向かって送り出され、図示の給版位置状態にある版胴3の拡開したクランパ20へ向かって移動する。
【0015】
このとき版胴3は、排版工程により使用済みのマスタ2を既に除去されている。製版済みのマスタ2の先端部が、一定のタイミングでクランパ20によりクランプされると、版胴3は図中矢印a方向に回転しつつ外周面に製版済みのマスタ2を徐々に巻き付けていく。製版済みのマスタ2の後端部は、製版完了後に製版装置4に配設されている切断手段28の作動により一定の長さに切断されて、マスタ2が版胴3の外周面に完全に巻装されると、いわゆる給版工程が終了する。
このようにして製版済みのマスタ2が版胴3の外周面にそれぞれ巻装されると製版・給版工程が終了し、印刷工程が開始される。給紙トレイ6上に積載された最上位の印刷用紙7を呼び出しコロ29に接触するまで給紙トレイ6を図示しない周知の手段により上昇させておく。呼び出しコロ29に接触している最上位の枚葉紙である印刷用紙7が、呼び出しコロ29の回転動作により搬送されると共に、分離コロ対30により1枚に分離され、レジストローラ9に向けて給送される。
【0016】
このとき、搬送された印刷用紙7の先端は、レジストローラ9のニップ部直前部位に当接し、撓んだ状態で停止している。
版胴3は、印刷動作が始まると印刷の回転速度で回転され始める。版胴3の内周側では、インク供給ディストリビュータ(図示せず)からインク供給手段としてのインクローラ31とドクタローラ32との間に形成されたインク溜り33にインクが供給され、そのインクはインクローラ31とドクタローラ32とが回転することによって混練され伸ばされると共に、インクローラ31の外周面に均一に付着するようになる。インクの残量は、インク検知手段によって検知され、インクが少なくなったときには上記インク供給ディストリビュータから補給される。
こうして、版胴3の回転方向と同一方向に、かつ、版胴3の回転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインクローラ31により、インクが版胴3の内周側に供給される。
【0017】
印圧装置10は、インクローラ31、プレスローラ34、図示しないプレスローラブラケット、図示しないバネからなるプレスローラテンションおよび図示しないプレスローラカムによって主に構成されている。
プレスローラ34は、レジストローラ9によって所定のタイミングで給送されてきた印刷用紙7を版胴3に押し付けて印刷画像を印刷用紙7上に形成する押圧手段としての機能を有する。プレスローラ34は、プレスローラブラケットの一方の揺動端において回転自在に支持されていて、プレスローラテンションおよびプレスローラカムを含む周知の機構により版胴3の外周面に接離自在に設けられている。
印刷用紙7が、レジストローラ9により版胴3の回転と同期した所定のタイミングで版胴3と、プレスローラ34との間すなわち印刷用紙7に画像を形成する画像形成部としての印刷部35に給送されてくると、これに同期して版胴3の外周面側方に離間していたプレスローラ34が揺動されることにより、版胴3の外周面に巻装されている製版済みのマスタ2に押し付けられる。
これにより、版胴3の多孔部から滲み出たインクの粘性による付着力によって、製版済みのマスタ2が版胴3の外周面上に密着すると同時に、さらに製版済みのマスタ2の穿孔パターン部からインクが滲み出し、この滲み出たインクが印刷用紙7の表面に転移されて、所望の印刷画像が形成される。
【0018】
印刷画像が形成された印刷用紙7は、その先端が、排紙装置15の一部をなし駆動ローラ36と従動ローラ37とこれらローラに掛け渡されたベルト38と、空気を吸引して印刷用紙7をベルト38に密着するためのファン39とを有する搬送手段40近傍の所までくると、エアナイフ13及び排紙爪14によって版胴3から分離・剥離される。
分離・剥離された印刷済みの印刷用紙7は、ベルト38の下方に設けられたファン39によってベルト38に密着して搬送されることにより、排紙装置15によって排紙台16へ向けて搬送され、排紙台16に向けて飛翔しながら排紙される。このようにしていわゆる「版付け工程」、あるいは「試し刷り」が終了する。
次に、操作パネル18上のテンキー41で印刷枚数を設定し、再度スタートキー22を押下すると上記試し刷りと同様の工程で、給紙、印刷および排紙の各工程が設定した印刷枚数分繰り返して行なわれ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0019】
排紙台16は、印刷用紙7を積載する底板42と、底板42に対し印刷用紙7の幅方向に摺動可能に取り付けられた印刷用紙7の端縁を規制する一対のサイドフェンス43と、印刷用紙7の前端を規制するエンドプレート44とを有している。サイドフェンス43はそれぞれ、図示しない駆動手段によって印刷用紙7の幅に応じて変位されるものであり、また、落下してくる印刷用紙7と、すでに積載されている印刷用紙7もしくは底板42との間の空気を排出して落下してくる印刷用紙7を良好に積載するための孔45を有している。孔45はそれぞれのサイドフェンス43に、矢印bで示す印刷用紙7の排出方向に複数、具体的には3つ設けられている。
【0020】
本発明の排紙装置15は、孔版印刷装置1本体から排紙台16へ印刷用紙7を排出するものであり、用紙形状をU字型にするボディ40と、ファン39と、排紙台16に排出される印刷用紙7の後端側を下方に押し下げる衝突回避手段46を有する。
図12に示したように、この印刷用紙7の排紙の速度が速くなる場合、排紙台16のエンフェンス44に印刷用紙7が衝突して、次に、排紙台16に下降して積載されるのに一定の時間が必要である。このため、次に排紙される次印刷用紙72が、先行する前印刷用紙71の後端部に追突してしまい、印刷用紙7が排紙台16に順序よく又は整然と積載されないことがあり、または、次に排紙される次印刷用紙72が排紙されず排紙装置15内でジャムとなってしまう。
このために、本発明の排紙装置15では、印刷用紙7の後端側を下方に押し下げる衝突回避手段46によって、先行する前印刷用紙71の後端側を下方に押し下げて、高速で搬送される次印刷用紙72の衝突を回避する。
【0021】
図3は、本発明の排紙装置における一実施形態の構成を示す図で、(a)は枚葉紙の搬送方向から本発明の排紙装置における飛翔姿勢設定装置の構成を見た側面図であり、(b)は画像形成装置前面から見た飛翔姿勢設定装置の構成を示す側面図、斜視図、平面図である。
本発明の排紙装置における衝突回避装置46の実施形態では、先行する前印刷用紙71の後端部両側を押し下げ、枚葉紙である印刷用紙7の排出時の飛翔姿勢を、排紙装置15に搬送載置された姿勢に比べて印刷用紙7の後端部が下がった姿勢となるようにする飛翔姿勢設定装置461としている。
(a)に示すように、飛翔姿勢設定装置461は、印刷用紙7を感知するセンサ部47と羽根状部材(凸形状)52を備える回転体48を稼動させるステッピングモータ部49と、回転体48を支持する筐体50とを有しており、設置は面板17もしくは排紙台16等に取り付けられている。
さらに、(b)に示す側面図、斜視図、平面図から、ステッピングモータ部49は、回転体48が羽根状部材(凸形状)52を備えることがわかる。
【0022】
図4は、本発明の排紙装置における飛翔姿勢設定装置の動作を説明する図である。
本発明の排紙装置15の動作に関しては、搬送手段40によって排出された印刷用紙7の後端部をセンサ部47によって感知し、その後、信号により、印刷用紙7の後端部より30〜50mm程度より、ステッピングモータ49を稼動させ、筐体50に支持された回転体48を回転させ、搬送手段40により排出された直後に印刷用紙7の後端側で両側縁部を、羽根状部材51を当接させて、先行する前印刷用紙71の後端末を、次に搬送されてくる次印刷用紙72の先端以下の高さまで除々に下方に押し下げる。
これによって、次に排出される次印刷用紙72の先端部が先行する前印刷用紙71の後端部に追突することで生ずるジャムを防止することができる。
【0023】
図5は、本発明の排紙装置における飛翔姿勢設定装置の羽根状部材の動作を説明する図である。
回転体48の羽根状部材51が印刷用紙7の後端側で両側縁部を押す角度は、90±10°の範囲にあることが望ましい。実際には、羽根状部材51が印刷用紙7の側縁部に当接するに際して、羽根状部材51の主面と印刷用紙7の側縁部の主面とが略直角となるように回転体48の駆動タイミングを制御する。これは、回転体48の回転中心を搬送される印刷用紙7の高さより、高めにしておくことで、羽根状部材51の主面と印刷用紙7の側縁部の主面とが略直角となるようにしても衝突することはない。また、押す角度が90+10°を越えると、回転体48の回転する速度を速くする必要があり印刷用紙7を損傷することがある。また、押す角度を90−10°未満では、羽根状部材51と印刷用紙7とが衝突することがある。
このように、次に排出される次印刷用紙72の先端部が先行する前印刷用紙71の後端部に追突するのを防止して、ジャムを回避した直後にステッピングモータ49を停止させ、次印刷用紙72の後端部両側を押し下げる準備を行う。印刷中はその繰り返しを行う。
その制御は、印刷速度、ここでは、印刷用紙7の搬送速度によってタイミングを変化させることができる。
また、ここでは、画像形成装置1が備える排紙装置15が、印刷用紙7をファン39によって吸引しながら、ボディ40に沿わせて配置している線状又は細い帯状のベルト38を配置している。この線状又は細い帯状のベルト38で印刷用紙7の搬送を行なうことで、印刷用紙7が飛翔姿勢設定装置46で用紙形状をU字型にしても、所定の搬送速度で搬送を行なうことができる。
【0024】
図6は、本発明の排紙装置における飛翔姿勢設定装置の羽根状部材を示す図である。
また、回転体48に配置して印刷用紙7の両側縁部を押す部分の羽根状部材51は、印刷用紙7との摩擦係数が少ないPOM等の材質が望ましく、ゴム系の摩擦係数が高いものは望ましくない。さらに、羽根状部材51に対して、図6に示すように、高さ1mm以下の半球上の凸形状や波型状の形状を設定することで、印刷用紙7の両端面をより確実に押し下げることができる。
図7は、(a)が本発明の排紙装置を用いる孔版印刷装置における印刷用紙の搬送状態を示す図であり、(b)が本発明の排紙装置を用いる孔版印刷装置における印刷用紙の搬送状態を示す図である。
(a)に示すように、本発明の排紙装置15では、印刷用紙7の飛翔状態における姿勢が、排紙装置15に搬送して載置される状態に比べて、印刷用紙7の後端部が下がった姿勢となるように設定されている。したがって、孔版印刷装置1で印刷された印刷用紙7は、本発明の排紙装置15における飛翔姿勢設定装置461で、後端側の両側縁部を押し下げられて、底板42に対して傾いた状態のまま、落下して積載される。
それに対して、(b)に示すように、従来の排紙装置では、孔版印刷装置で排紙された状態のままで底板42に対して落下して積載される。
【0025】
図8は、本発明の排紙装置における他の実施形態の構成を示す図で、画像形成装置前面から見た後端側押下装置の構成を示す正面図、側面図、斜視図、平面図である。
図9は、本発明の排紙装置における後端側押下装置の動作を説明する図である。
後端側押下装置462は、図1及び8に示すように、複数又は単数の凸部を設けたベルト又は回転ガイド部材52と、それを動作させるステッピングモータ49と、印刷用紙7を感知するセンサ部47という構成である。この凸部は、先の羽根状部材51と同じ構造、材質にして用いることができる。
また、後端側押下装置462は、図1に示す孔版印刷装置1で、飛翔姿勢設定装置461より排紙台16側に設置される。
その動作は、図9に示すように、搬送手段40によって排出された印刷用紙7の後端部をセンサ部47によって感知し、その後、信号により、ステッピングモータ49を稼動させる。このステッピングモータ49の回転により、回転ガイド部材52の凸先端部を、位置(1)から、エンドプレート44に衝突した先行する前印刷用紙71の後端部と次に排出される次印刷用紙72間の差込み位置(2)に移動させる。この差込み位置(2)で先行する前印刷用紙71の後端部が通過したと同時に、位置(1)に回転させて前印刷用紙71に当接して、先行する前印刷用紙71の後端部を押し下げる。
その後、さらに回転させ先行する前印刷用紙71の後端部を押し下げながら、次の次印刷用紙72の後端部に次の回転ガイド部材52の凸部先端を差し込む。これにより、より確実に追突ジャムを避けることが可能である。
なお、複数の回転ガイド部材52を、羽根状部材5と同様に、図9では反時計方向に回転させながら、先行する前印刷用紙71の後端部と次に排出される次印刷用紙72間の差込み位置(2)に移動させてもよい。
また、飛翔姿勢設定装置461は先に排出された前印刷用紙71の後端部と次に排出される次印刷用紙72の先端部との追突は防止できるが、印刷速度によって前印刷用紙71の印刷面と次印刷用紙72の裏面が擦れる場合がある。孔版印刷装置1はインキが乾燥するのに時間を要するため、この印刷用紙7同士の擦れによりインキ汚れが発生してしまうおそれがあるが、後端側押下装置462によりこの擦れによるインキ汚れを防止することができる。
【0026】
図10は、本発明の排紙装置における他の実施形態の構成を示す図で、画像形成装置前面から見た後端側押下装置の構成を示す正面図、側面図、斜視図、平面図である。
図11は、本発明の排紙装置における後端側押下装置の動作を説明する図である。
後端側押下装置462は、印刷用紙7を感知するセンサ部47とシート状のシート状ガイド部材53を稼動させるステッピングモータ49と、シート状ガイド部材53を支持する筐体50とを有している。
また、後端側押下装置462は、図1に示す孔版印刷装置1で、飛翔姿勢設定装置461より排紙台16側に設置される。
動作に関しては、図11に示すように、搬送手段40によって排出された印刷用紙7の後端部をセンサ部47によって感知し、その後、信号により、ステッピングモータ49を稼動させ、筐体50に支持されたシート状ガイド部材53をエンドプレート44に衝突した印刷用紙7の後端部と次に排出される次印刷用紙72間の差込み位置(2)に移動させ、その後ステッピングモータ49を再稼動させ、位置(1)にシート状ガイド部材53を移動させて、先行する前印刷用紙71の後端部を押し下げる。印刷中はその繰り返しを行う。その制御は、印刷速度によってタイミングを変化させることが出来る。これにより、図8の後端側押下装置462と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0027】
1 画像形成装置/孔版印刷装置
2 マスタ
3 版胴
4 製版装置
5 排版装置
6 給紙トレイ
7 枚葉紙/印刷用紙
71 前印刷用紙
72 次印刷用紙
8 給紙装置
9 レジストローラ
10 印圧装置
11 原稿
12 原稿読取装置
13 エアナイフ
14 排紙爪
15 排紙装置
16 排紙台
17 面板
18 操作パネル
19 ドラム軸
20 クランパ
21 インク供給手段
22 スタートキー
23 排版ボックス
24 サーマルヘッド
25 プラテンローラ
26 マスタロール
27 送り出しローラ対
28 切断手段
29 呼び出しコロ
30 分離コロ対
31 インクローラ
32 ドクタローラ
33 インク溜り
34 プレスローラ
35 印刷部
36 駆動ローラ
37 従動ローラ
38 ベルト
39 ファン
40 ボディ
41 テンキー
42 底板
43 サイドフェンス
44 エンドプレート
45 孔
46 衝突回避装置
461 飛翔姿勢設定装置
462 後端側押下装置
47 センサ部
48 回転体
49 ステッピングモータ
50 筐体
51 羽根状部材
52 回転ガイド部材
53 シート状ガイド部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2004−217359
【特許文献2】特開2007−039150

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置から排紙台へ枚葉紙を排出する排紙装置であって、
前記排紙装置は、枚葉紙が排出される画像形成装置の排出口近傍に設けられ、
排出時に枚葉紙の後端側を下方に押し下げる衝突回避手段を有する
ことを特徴とする排紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排紙装置において、
前記衝突回避手段は、枚葉紙の後端側の両側縁部と当接して下方に押し下げる複数の羽根状部材を有する複数の回転体を備える飛翔姿勢設定手段である
ことを特徴とする排紙装置。
【請求項3】
請求項2に記載の排紙装置において、
前記飛翔姿勢設定手段は、
羽根状部材が枚葉紙の側縁部に当接するに際して、羽根状部材の主面と枚葉紙の側縁部の主面とが略直角となるように回転体の駆動タイミングを制御する
ことを特徴とする排紙装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の排紙装置において、
前記衝突回避手段は、先に排出されてエンドフェンスに衝突した枚葉紙と次に排出される枚葉紙との間に押下部材を挿入し、この押下部材によって先に排出された枚葉紙の後端側を下方に押し下げる後端押下手段である
ことを特徴とする排紙装置。
【請求項5】
枚葉紙上に画像形成する画像形成装置において、
前記画像形成装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の排紙装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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