説明

排紙装置及び画像形成装置

【課題】排紙トレイの大型化や、駆動源や駆動機構を有する可動用紙ガイドを用いずに簡単な構成で、排出用紙のカール量が大きい条件においても堆積用紙の落下やページ順狂いの発生しない排紙装置を提供する。
【解決手段】回転可能な上側排紙ローラ2bと下側排紙ローラ5a,5bからなる排紙ローラ対が少なくとも2つ設けられ、排紙ローラ対により用紙4を用紙積載部3に排出する排紙装置1であって、排紙ローラ対のニップ部よりも用紙の排出方向下流側において用紙に当接する回動可能な用紙押さえ手段11を備え、用紙押さえ手段の先端は、非退避時において下側排紙ローラの下端部と用紙積載部の上面との間に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排紙ローラ対により排紙トレイ上に用紙を排出・堆積する排紙装置、特に、熱定着方式などを用いることで用紙にカールが発生するプリンターやコピーなどの画像形成装置の排紙装置及びこれを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成プロセスにおいてトナー像を定着させる定着装置において、加熱ローラと加圧ローラによる定着処理を受けた用紙は、熱ストレスや雰囲気温度によって排紙方向に対して直交する方向に用紙両端部が上昇するようにカールすることがある(図10参照)。定着装置から搬送されてきた用紙を排紙ローラにより排出し、排紙トレイ上に印刷済用紙を堆積させる排紙装置においては、特に堆積用紙のサイド部分の上向きのカール量が大きい場合、後から出てくる排出用紙の先端が排紙トレイ上の堆積用紙の後端を押して又はその下に潜り込むことで、堆積用紙の落下又はページ順狂いが発生する場合がある。このような不具合を解消するために、排紙トレイを大型化し又は排紙ローラ近傍に可動用紙ガイドを追加してきた。
【0003】
例えば、特許文献1では、ソレノイドなどの駆動源により動作する可動用紙ガイドを設け、これにより、用紙先端排出時は排出用紙が堆積用紙を用紙先端で押さないように上方を向かせ、用紙後端排出時は堆積用紙の後端が浮き上り排出用紙の先端で押されにくいように下方を向かせることで堆積用紙の落下やページ順狂いを防止している。
しかしながら、排紙トレイを大きくするとその分マシンサイズも大きくなり、また特許文献1のような可動用紙ガイドを用いると駆動源、ギヤ又はスプリングを必要とするのでその分のスペースを確保する必要がある。そこで、大きな排紙トレイや可動用紙ガイドを用いなければさらなる小型化及び低コスト化が可能になる。
【0004】
また、特許文献2では、用紙を押さえ付けるためのシート部材を用紙の両側に設け、シート部材の下端を用紙が排出されてくる排紙ローラとその対向ローラのニップより下に位置させることで用紙の両側のカールを防止し、それで排紙トレイ上にある用紙の後端が次に排出される用紙の先端によって押されるのを防止している。
しかしながら、この場合両端側のシート部材が用紙に対して長いため、用紙に折れなどが発生する恐れがある。
【0005】
特許文献3では、排紙駆動コロと排紙従動コロの外側に、腰付けコロ、これを揺動させるためのアーム部材、アーム部材を付勢するための引っ張りスプリングなどを別個に設け、腰付けコロによって薄紙及び厚紙に対して適度に腰を付ける手段を開示している。しかし、腰付けコロなどを配置するためのコストとスペースが必要になる。
【0006】
特許文献4では、排紙ローラ対の軸と異なる軸に設置された2個のスプーン状のフィラー部、積載された用紙がバックカールかカール無しかを検出するバックカール検知センサ、バックカール用満杯検知板などを設けて、バックカールの有無を判断している。しかし、やはりこれらを設けるためのコストとスペースが必要になる。
【0007】
特許文献5は、保持部材としてのフレーム部材に一方の端部を固定され、他方の端部を摺動可能に保持されたシート押さえ部材であって、その両端部間に積載台方向に突出した折り曲げ部を有し、折り曲げ部が積載台の面受け部に近接するように構成されたものを開示している。しかし、排出ローラが設けられた軸と別個に当該フレーム部材を設けるためのコストとスペースが必要になる。
【0008】
特許文献6は、排紙ローラによって排出される用紙の先端部分には接触せず、排紙ローラによって既に排出された用紙の後端部分に接触する位置に設置された押さえ部材を開示している。
【0009】
また、定着装置から搬送されてきた用紙を排紙ローラにより排出し、排紙トレイ上に印刷済用紙を堆積させる排紙装置を有する画像形成装置では、従来から排紙ローラから排出する用紙にコシ付けを行い、排紙トレイ形状に合わせて排紙トレイへの排出用紙の着地点をコントロールしてスタック用紙の揃い性を良くすることが行なわれている。この用紙へのコシ付けを行なう手段として、排紙ローラ対のニップ部に対して径の大きな部分を駆動ローラ又は従動ローラ軸上に設けることが多い。また、排紙ローラ対近傍に用紙後端が滞留するのを防止して排紙トレイ上に確実に用紙をスタックさせるために、排紙ローラ対のニップ部よりも大径で凹凸形状を有する蹴りだし部材により用紙後端を蹴りだすことも行なわれている。
【0010】
一方、排出用紙のカール量が大きい場合は、排紙トレイ上の堆積用紙の後端を後から排出される用紙の先端が押して堆積用紙の落下やページ順狂いが発生することがある。このため簡易な構成で排出用紙のカール量を低減させ、また、堆積用紙の後端付近を排紙トレイに押さえ付けて排出用紙先端が堆積用紙後端を押出さないようにするため、用紙押さえ部材を設置する場合がある。
しかし、端側の用紙押え部材の追加により用紙の端が下側に撓められると、幅方向に用紙の波打ち状の撓みが形成されて、前述の用紙のコシ付けや蹴り出しのための大径部分に対して用紙が逃げがちになり、狙いの効果が得られない場合もある。
【0011】
特許文献7は、排出時の用紙の丸まりや前の用紙の押し出しなどの不具合を解消するために、排紙トレイに向かう用紙と摺接する排出爪表面の用紙幅方向略中央部に、用紙に波上の撓みを付けるための突起を設けた手段を開示している。
【0012】
特許文献8は、胴内トレイ上に排出される用紙の端部が用紙の材質や吸湿状態などによって大きくカールする場合でも、カールを抑えるための用紙押さえ機構・用紙押さえ部材を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明では、定着装置から搬送されてきた用紙を排紙ローラにより排出し、排紙トレイ上に印刷済用紙を堆積させる排紙装置を有する画像形成装置において、排紙トレイの大型化や、駆動源や駆動機構を有する可動用紙ガイドを用いずに簡単な構成で、特に排出用紙に上向きの大きなサイドカールが生じる場合でも、堆積した排出用紙がカールによってかさばらず、後から出てくる排出用紙の先端が排紙トレイ上の堆積用紙の後端を押さず又はその下に潜り込まず、従って、堆積用紙の落下又はページ順狂いなどが生じない画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は排紙ローラ対により排紙トレイ上に用紙を排出する排紙装置において、簡易な構成でカールの大きい排出用紙に対して押出しによる排紙トレイからの用紙落下やページ順狂いを防止するとともに、用紙の幅方向の撓みが生じる場合でも排出用紙に狙いのコシ付けを行い又は用紙後端の蹴りだしを確実に行うことができる、様々なカール状態の用紙に対してもスタック性の良い排紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題を解決するため、本発明は、回転可能な上側排紙ローラと下側排紙ローラからなる排紙ローラ対が少なくとも2つ設けられ、該排紙ローラ対により用紙を用紙積載部に排出する排紙装置であって、前記排紙ローラ対のニップ部よりも前記用紙の排出方向下流側において前記用紙に当接する回動可能な用紙押さえ手段を備え、該用紙押さえ手段の先端は、非退避時において前記下側排紙ローラの下端部と前記用紙積載部の上面との間に位置していることを特徴とする排紙装置を提案する。
【0016】
また、前記用紙押さえ手段は、前記用紙から受ける力によって非退避時位置から持ち上げられて退避し、重力により非退避時位置に戻ると好ましい。
【0017】
また、前記上側排紙ローラの直径が、前記下側排紙ローラの直径よりも小さいと好ましい。
【0018】
また、前記用紙押さえ手段は、前記上側排紙ローラの回転軸に回動可能に支持されていると好ましい。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置は前記排紙装置を備えると好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る排紙装置では、回転軸に取り付けられた少なくとも2個の内側排紙ローラ及び少なくとも2個の外側排紙ローラ、これらの排紙ローラにそれぞれ対向する少なくとも2個の内側排紙従動ローラ及び少なくとも2個の外側排紙従動ローラ、排紙ローラと同じ回転軸に外側排紙ローラの外側に隣接して回動可能に配置された排紙される用紙の側面部分を押さえるための少なくとも2個の端側押さえ部、及び排紙ローラと同じ回転軸に内側排紙ローラの外側に隣接して回動可能に配置された用紙の側面部分を押さえるための少なくとも2個の内側押さえ部を備え、内側押さえ部と端側押さえ部は、非退避時において、その先端が前記回転軸から排紙ローラと排紙従動ローラの共通接線を越えて延在し、端側押さえ部は内側押さえ部よりも長く、用紙積載部に堆積した用紙に載るように構成される。これにより、用紙のサイド部分は排出時に内側押さえ部及び端側押さえ部の自重によって下向きに画像形成装置本体側に向かって撓みが形成され、コシが付けられるので、特に排出用紙のサイド部分の上向きのカール量を低減することができ、排出用紙先端の堆積用紙に対する接触領域が減少して堆積用紙が排出用紙先端によって押されにくくなる。さらに、端側押さえ部が自重により堆積用紙の後端付近を排紙トレイに対して押さえ付け平らにすることで、堆積用紙の後端部がカールによりかさばることなく、従って、カールのために、次に排出される用紙の先端が堆積用紙の後端部を押しにくく又は堆積用紙の下に潜り込みにくくなる。このようにして、特にサイドカール量の大きい用紙であっても用紙落下やページ順狂いを発生せずに排出用紙を排紙トレイ上に確実に堆積することができる。
【0021】
また、これらの簡素な構成により排紙トレイを大きくすることなく又は駆動源を要する可動ガイドを追加することなく、用紙落下やページ順狂いを発生することのない高画質な画像形成装置を実現でき、同時に装置の小型化及び低コスト化も実現される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の全体図(中央断面)である。
【図2】本発明の一実施形態である排紙装置を示す模式図である。
【図3】用紙排出時の端側押さえ部の動作と端部押さえ部の詳細を示す模式図である。
【図4】用紙排出時の内側押さえ部の動作と内側押さえ部の詳細を示す模式図である。
【図5】排出中の用紙の形状を示す模式図である。
【図6】排出中の用紙の形状を示す模式図である。
【図7】大径の凸部と、ニップ部と同じ径の凹部とが周方向に交互に並んだ凹凸形状が付された、内側排紙従動ローラの大径部分を示す図である。
【図8】用紙排出時の中央押さえ部の動作と中央押さえ部の詳細を示す模式図である。
【図9】排紙従動ローラの形状を示す模式図である。
【図10】カール用紙を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図1を用いて説明する。
図1は本発明の全体図(中央断面図)を示す。給紙カセット27より給紙ローラ28により給紙された用紙4が、レジストローラ29,30により送り出され、転写駆動ローラ31、転写従動ローラ32に達する。転写駆動ローラ31は、中間転写体ベルト33内にあり中間転写体ベルト33を回転駆動させている。
【0024】
ここで画像形成プロセスについて説明する。
現像剤として夫々色の異なるトナーを収容した4つの現像器34(34a、34b、34c、34d)とこれらの現像器34と組み合わせて配置された感光体35(35a、35b、35c、35d)が配置され、感光体35に当接する帯電ローラ36(36a、36b、36c、36d)が設けられている。これらを一体として感光体ユニット37(37a、37b、37c、37d)が構成されている。帯電ローラ36は、感光体35の表面に接触して感光体35の表面を一様に帯電させる。続いて、露光装置38が、感光体35の表面をレーザ光39で露光して、感光体35の表面に静電潜像を形成する。次いで、現像器34は、感光体35の表面に形成された静電潜像をトナーで顕像化して、感光体35の表面にトナー像を形成する。続いて、感光体35の表面から中間転写体ベルト33の表面にトナー像が転写される。
【0025】
以上のような画像形成プロセスを経て、転写駆動ローラ31、転写従動ローラ32により中間転写ベルト33上のトナー像が用紙に転写され、定着装置26へ搬送されて定着ローラ40、加圧ローラ41で画像が用紙4に定着され、排紙装置1により用紙4が排紙トレイ3上に堆積され印刷が終了する。
【0026】
排紙装置について図2を用いて説明する。
図2(1)は排紙装置1の側面断面図、図2(2)は排紙装置1の斜視図をそれぞれ示す。本発明の排紙装置1は、回転軸2aと上側排紙ローラである外側及び内側排紙ローラ2bから構成される排紙ローラ群2、排紙ローラ群2を駆動させる図示されない駆動源、排紙ローラ群2により従動回転し排紙トレイ3へと用紙4を搬送する下側排紙ローラである外側排紙従動ローラ5a及び内側排紙従動ローラ5b、排紙ローラ群2により従動回転し搬送途中で反転する反転従動ローラ6、排紙ローラ群2と外側排紙従動ローラ5a及び内側排紙従動ローラ5bの当接部に用紙4を搬送するガイド7、排紙ローラ群2と反転従動ローラ6の当接部に用紙4を搬送するガイド8、反転従動ローラ6で反転した用紙4を反転搬送部に導くガイド9、搬送されてきた用紙4を排紙ローラ群2と外側排紙従動ローラ5a及び内側排紙従動ローラ5bの当接部及び排紙ローラ群2と反転従動ローラ6の当接部に切り替える切り替えガイド10、切り替えガイド10を制御する図示しない切り替え制御機構からなる。
【0027】
また、排紙ローラ群2は回転軸2aと外側及び内側排紙ローラ2bから構成されており、外側及び内側排紙ローラ2bはゴム材料で構成することで、外側及び内側排紙ローラ2bと外側排紙従動ローラ5a及び内側排紙従動ローラ5b、及び反転従動ローラ6の当接部に挟持された用紙4と外側及び内側排紙ローラ2bの間で用紙搬送に必要な摩擦力をもたせている。端側押さえ部11a及び内側押さえ部11bが、排紙ローラ群2の回転軸2aに回転可能に、排紙ローラ群2の回転動作には同期しないで固定されている。
【0028】
次いで、図3を用いて用紙排出時の端側押さえ部11aの動作について説明する。
定着装置26から外側及び内側排紙ローラ2bと外側排紙従動ローラ5aに挟持され搬送されてきた用紙4は、その用紙先端4sで、非退避時の位置にある端側押さえ部11aのR形状のついた用紙搬送面12に接触する(図3(3)参照)。ここで、非退避時とは、端側押さえ部11aの回動軌跡A内に排紙トレイ3上に用紙4が堆積していない場合における端側押さえ部11aが自重により下がり、用紙搬送面12がガイド7のストッパ部13に載っているとき、及び端側押さえ部11aの回動軌跡A内に排紙トレイ3上に用紙4が堆積している場合における端側押さえ部11aが自重により下がり、端側押さえ部11aの先端部16が排紙トレイ3上に堆積した用紙4に載っているときをいう(図3(1),(2)参照)。
【0029】
ここで、端側押さえ部11aは、回転軸から排紙ローラと排紙従動ローラの共通接線を越えて延在しているため、排出用紙のサイド部分と接触して自重により用紙に下向きの力を加えて腰を付け、用紙の側面部分の上向きのサイドカールを低減する。また、端側押さえ部11aは、トレイに堆積した用紙に載るように構成されており、そのため、自重により堆積用紙4の後端付近を排紙トレイ3に対して押さえ付け平らにする。ここで、A4用紙、レター用紙及びリーガル用紙などの最大印刷用紙幅を有する使用頻度の高い用紙ではカール量も大きいので、カールを矯正する撓みも大きくなるように端側押さえ部11aが内側押さえ部11bよりも長ければ好ましい。このようにして、堆積用紙4の後端部4kはカールによりかさばることなく、従って、カールのために、次に排出される用紙の先端が堆積用紙の後端部4kを押すことが回避される。なお、端側押さえ部11aの先端部16は、用紙が例えばトレイから20mm程の高さまで堆積すると堆積用紙の後端部4kに載ることになる。さもなければ、端側押さえ部11aはガイド7のストッパ部13に載ることになる。
【0030】
次いで、用紙4はさらに搬送される。この際、端側押さえ部11aの先端部16は、端側押さえ部11aの位置決め部14がガイド8に設けられた退避時ストッパ15に接触する最大退避時において、外側及び内側排紙ローラ2bと外側排紙従動ローラ5aの共通接線17の方向(端側押さえ部11a及び内側押さえ部11bが無い場合の用紙の排出方向)よりも外側排紙従動ローラ5a側に距離L1の位置にある(図3(2)参照)。そのため、端側押さえ部11aは回転軸2aを中心に排出用紙のばね力Fによって最大退避時の位置を維持し、排出用紙は排紙トレイ3側へ屈曲し排出される。前記排出方向は搬出範囲A内に予め設定してあり、それで排出用紙が排紙トレイ3側に屈曲し過ぎて、排出用紙の先端4sが排紙トレイ3上に堆積している用紙4の後端4kを押すことはない。
【0031】
排出中の用紙4の用紙後端4kが外側及び内側排紙ローラ2bと外側排紙従動ローラ5aの間から抜けると、端側押さえ部11aは非退避位置に戻り(図3(1)参照)、端側押さえ部11aは自重により用紙4の用紙後端4kを排紙トレイ3又は堆積している用紙4に向かって押し下げる。端側押さえ部11aの長さLaは、堆積している用紙4の用紙後端4kからL2の距離に位置するよう設定してあり、端側押さえ部11aの先端部16は用紙4に接触する。
【0032】
このように、端側押さえ部11aの先端部16は用紙4に接触して押さえ付けることで、図10に示すように上向きにサイドカールをした用紙4においても、排紙トレイ3上に堆積している用紙4の用紙後端4kはカールによってかさばることがない。従って、堆積用紙の高さが外側及び内側排紙ローラ2bと外側排紙従動ローラ5aの共通接線を超えることはないので、排紙されてくる用紙先端4sが排紙トレイ3上の堆積用紙4の用紙後端4kを押して堆積用紙が落下したり、ページ順狂いなどのスタック不良が発生したりするのを未然に防ぐことができる。
【0033】
続いて、図4を用いて用紙排出時の内側押さえ部11bの動作について説明する。
端側押さえ部11aと同様に、定着装置26から外側及び内側排紙ローラ2bと内側排紙従動ローラ5bに挟持され搬送されてきた用紙4は、用紙先端4sが非退避時の内側押さえ部11bのR形状のついた用紙搬送面12に接触する。ここで、非退避時とは、内側押さえ部11bが自重により下がり、用紙搬送面12がガイド7のストッパ部13に載っている状態をいう(図4(1)参照)。排紙トレイ3上に堆積した用紙4の用紙後端4kが内側押さえ部11bの回動軌跡B内に入らないように、内側押さえ部11bの長さLbが決められている。
【0034】
さらに用紙4が搬送されると、内側押さえ部11bの場合は回転軸2aを中心に押し上げられる。この際、内側押さえ部11bの位置決め部14がガイド8に設けてある最大退避時用ストッパ15に接触する最大退避時において、内側押さえ部11bの先端部16は、外側及び内側排紙ローラ2bと内側排紙従動ローラ5bの共通接線17の方向(端側押さえ部11a及び内側押さえ部11bが無い場合の用紙排出方向)よりも外側及び内側排紙ローラ2b側に位置する。よって、内側押さえ部11bは最大退避位置には至らず、先端部16が排出用紙4上に載った位置が退避位置となる(図4(2)参照)。
【0035】
排出中の用紙4は内側押さえ部11bにより排出方向を変えられることはなく、外側及び内側排紙ローラ2bと内側排紙従動ローラ5bの共通接線方向の近傍に排出される。前記のように、内側押さえ部11bも、端側押さえ部11aの場合と同様に回転軸から排紙ローラと排紙従動ローラの共通接線を越えて延在しているため、排出中の用紙4の用紙後端4kが外側及び内側排紙ローラ2bと内側排紙従動ローラ5bの間から抜ける際、排出用紙と接触して自重により用紙に下向きの力を加えて腰を付け、用紙の上向きのサイドカールを低減し、用紙4の用紙後端4kを排紙トレイ3又は堆積している用紙4に向かって押す働きを有する。
【0036】
このようにして、端側押さえ部11aと内側押さえ部11bに対して異なる動作範囲及び形状を与えることで得られる排出中の用紙4の形状を図5に示す。図5(1)は、幅広用紙の排出時における、外側及び内側排紙ローラ2bと外側排紙従動ローラ5a及び内側排紙従動ローラ5bに向かって共通接線方向から見た図である。図5(2)は同様に幅狭用紙の排出時における図を示す。
【0037】
用紙4の左右端部19は、外側及び内側排紙ローラ2bと外側排紙従動ローラ5aによって挟持された付近を折曲がり点18として排紙トレイ3の方向に変形される(図5参照)。この変形によって用紙にコシを付けながら用紙は排出されるので、図10に示すようなサイドカール用紙を筆頭とする様々なカール用紙のサイド部分のカール量20を低減させることができる。
【0038】
本発明の排紙装置及び画像形成装置においては、A4用紙、レター用紙及びリーガル用紙の幅を最大印刷用紙幅としている。そして、これらの使用頻度の高い用紙の左右端部19が端側押さえ部11aの幅Wa内に入るように設定することで、用紙押さえ手段による排紙トレイ3上に堆積している用紙4の用紙後端4kの押さえ効果やサイドカール量低減効果が、使用頻度の高い用紙において得られる。
【0039】
また、B5用紙などの用紙幅が狭くカール量の少ない用紙の場合、用紙左右端部19が内側押さえ部11bの幅Wb内に入るように設定することで、前記のカール押さえ11bの排出用紙後端及びサイドに対する効果が得られる。
【0040】
特許文献2では用紙に対して両端側の用紙押さえが長いため、用紙が折れる恐れがある。しかし、本発明によれば、用紙の端側を押さえる端側押さえ部に加えて、用紙の内側を押さえる内側押さえ部を有する。この端側押さえ部により、撓みが形成され、用紙にコシを付けることでカール量が低減され、さらに端側押さえ部は排出用紙を上から押さえるので排出用紙先端が堆積用紙を押しにくくなり、落下が防止される。また、内側押さえ部により、用紙端部が用紙にコシを付ける端側押さえ部の内側に入り込み、用紙の折れなどの発生が防止され、さらには端側押さえ部と協働して用紙の後端を押し下げる力が増加される。そのため、A4用紙やレター用紙などの幅が広く大きい重量を有する用紙にも対応することができる。
【0041】
また、端側押さえ部を内側押さえ部よりも長くすることで、特にA4用紙、レター用紙及びリーガル用紙などの最大印刷用紙幅を有する使用頻度の高い用紙であって、カール量も大きい用紙に対してカールを矯正するための大きい撓みを形成することができる。
【0042】
また、端側押さえ部と内側押さえ部は、排出用紙からの力によって非退避時位置から持ち上げられて退避し、重力により非退避時位置に戻るように構成されることで、簡単かつ確実に排出用紙に対して排紙ローラの回転軸方向に撓みを形成することができる。
【0043】
また、端側押さえ部と内側押さえ部が少なくとも2個ずつ設けられ、端側押さえ部は、一対の排紙ローラ及び排紙従動ローラの外側に設置され、内側押さえ部は、一対の排紙ローラ及び排紙従動ローラの外側に設置されることで、小さい用紙でも大きい用紙でもその両側に確実に所望の撓みが付与されるため、排出用紙の先端が堆積用紙の後端を押さず、カール量の大きい用紙においても用紙落下やページ順狂いを発生することなく用紙を排紙トレイ上に堆積することができる。
【0044】
また、少なくとも2個の端側押さえ部は同一形状を有し、最大退避時の端側押さえ部の先端位置が排紙ローラと排紙従動ローラの共通接線よりも排紙従動ローラ側に位置し、用紙から受ける力のため用紙排出時に端側押さえ部は退避時ストッパに常時接触することで、端側押さえ部は回転軸を中心に回転した最大退避時の状態が継続する。そのため、用紙は排紙トレイ側へ屈曲し排出され、用紙落下やページ順狂いが発生することはない。
【0045】
また、少なくとも2個の内側押さえ部は同一形状を有し、最大退避時の内側押さえ部の先端位置が排紙ローラと排紙従動ローラの共通接線よりも排紙ローラ側に位置することで、用紙排出時の内側押さえ部の退避位置は排出用紙の位置に依存し、用紙は共通接線を超えて所望でない位置に堆積することがない。
【0046】
また、少なくとも2個の端側押さえ部は用紙送行面側にR形状を有し、排出用紙の先端がR形状に沿って端側押さえ部の先端に至り、排出用紙は、排紙ローラと排紙従動ローラの共通接線よりも排紙従動ローラ側の領域であって、排出用紙の先端が排紙トレイ上の堆積用紙の後端を押さない領域に排出されることで、用紙は排紙トレイ上に確実に堆積される。
【0047】
また、最大印刷用紙幅を有する用紙の左右の端部が2個の端側押さえ部の幅内に存在することで、最大サイズの用紙の両端部にも撓みが確実に形成され、用紙のカール量が低減される。さらに、最小印刷用紙幅を有する用紙の左右の端部が2個の内側押さえ部の幅内に存在することで、最小サイズの用紙の両端部にも撓みが確実に形成され、用紙のカール量が低減される。
【0048】
図6〜8は本発明の別な実施形態を示す。
図6(1)は幅広用紙の排出時における図であり、前記実施形態と同様に、排紙ローラ群2は回転軸2aと排紙ローラ2bから構成され、搬送基準である用紙搬送中心に対して対称位置に4個の排紙ローラ2bを配置し、外側排紙ローラ2bには外側排紙従動ローラ5aが、内側排紙ローラ2bには内側排紙従動ローラ5bがそれぞれ当接している。排紙ローラ2bはゴムを用いることで排紙ローラ2bと排紙従動ローラ5a,5bの当接部に挟持された用紙4と排紙ローラ2bの間で用紙搬送に必要な摩擦力を持たせている。排紙ローラ群2の回転軸2aには用紙押さえ11a,11cが回動可能であって排紙ローラ群2の回転動作には同期しないように保持されている。
【0049】
当該実施形態では、内側排紙従動ローラ5bは、内側排紙ローラ2bに当接しない幅方向内側部分において、内側排紙ローラ2bと当接するニップ部分のコロ径よりも大きな径の凸部51を有している。回転軸2aには、外側の排紙ローラ対である外側排紙ローラ2b及び外側排紙従動ローラ5aのさらに外側に配置された2個の端側押さえ部11aと、内側の排紙ローラ対である2個の内側排紙ローラ2b及び内側排紙従動ローラ5bの間で用紙搬送中心に配置された中央用紙押さえ部11cの合計3個の用紙押さえ部が配置されている。
【0050】
このような大径部分51を有することで、排出用紙は大径部分によって上方向に力を加えられ、さらに中央用紙押さえ部11cが下方向に力を加えることで、排出用紙の中央部分において撓みが形成される。この撓みにより用紙にコシが付けられるため、用紙は排出と同時に下方に垂れ下がることなく前方に大きく排出される。これにより、カールの大きい排出用紙に対しても十分なコシ付けがなされ、排出用紙が堆積用紙を押出すこともなく排紙トレイからの用紙落下やページ順狂いを防止することができる。
なお、内側排紙従動ローラ5bの大径部分51は、図7に示すように大径の凸部と、ニップ部と同じ径の凹部とが周方向に交互に並んだ凹凸形状として構成されてもよい。これにより、排出用紙の後端は大径部分51の凸部にひっかかり確実に蹴り出されることになり、排出用紙への狙いのコシ付けを行いつつ用紙落下やページ順狂いの防止を強化できる。
【0051】
内側排紙従動ローラの大径部分に周方向に凹凸形状が付されるので、排出用紙へのコシ付けに加えて、排出用紙後端が凹凸部分にひっかかることで後端を蹴り出して用紙を確実に用紙積載部に排出する機能が得られ、排出ローラ近傍における用紙の滞留や用紙落下が生じることはない。
【0052】
また、内側押さえ部に代えて用紙の中央部分を押さえるための少なくとも1個の中央押さえ部によって、用紙の幅方向の撓みが抑制され、当該中央押さえ部と、内側排紙従動ローラの内側排紙ローラと接触しない内側端部に設けられた大径部分とによって、用紙のコシ付けが確実になされる。さらに、最小印刷用紙幅から最大印刷用紙幅までの用紙に対応できる。また、前記と同様に、端側押さえ部による用紙のサイド部分の下向きの撓みの形成により、排出用紙のサイド部分の上向きのカール量の低減が得られ、端側押さえ部の自重による堆積用紙の後端付近の排紙トレイに対する押さえ付けにより、堆積用紙の後端部がカールによりかさばらず、よって、次に排出される用紙の先端が堆積用紙の後端部を押しにくく又は堆積用紙の下に潜り込みにくくなる。
【0053】
図6(2)は、さらに別な実施形態を示しており、図6(1)とは異なり幅狭用紙の排出時を示す図である。ここでは、2個の内側押さえ部11bが、端側押さえ部11aと中央押さえ部11cの間にさらに配置されている。また、後に詳述するように、内側排紙従動ローラ5bと内側排紙ローラ2bの回転軸2aに沿う接触範囲を排紙ローラ幅の回転軸に沿う幅よりも狭くするため、内側排紙従動ローラ5bの軸方向外側の端部はその中央部に比べて直径が減少している。これにより、幅狭用紙の両端部は内側押さえ部11bによって図6(2)に示すように折れ曲がるため、用紙4に加わる力は分散され、画像傷などが確実に回避される。さらに、直径を減少させた従動ローラ5bのローラ端部の湾曲した滑らかな表面に沿って用紙4の画像面側がガイドされるようになるので、急激な折れが生じず、画像傷などが回避される。
【0054】
図8(1),(2)は、軸方向投影面における図であり、用紙排出時の中央押さえ部11cの動作を示す。なお、端側押さえ部11aと内側押さえ部11bについては図3に示される態様と同じであり、ここでは説明を省略する。
定着装置26から排紙ローラ2bと排紙従動ローラ5bに挟持され搬送されてきた用紙4は、用紙先端4sが非退避時の中央押さえ部11cのR形状のついた用紙搬送面12に接触する。ここで、非退避時とは、中央押さえ部11cが自重により下がり、用紙搬送面12がガイド7のストッパ部13に載っている状態をいう(図8(1)参照)。排紙トレイ3上に堆積した用紙4の用紙後端4kが中央押さえ部11cの回動軌跡内に入らないように中央押さえ部11cの長さLcが決められている。
【0055】
さらに用紙4が搬送されると、中央押さえ部11cは回転軸2aを中心に押し上げられるが、中央押さえ部11cの位置決め部14がガイド8に設けてある最大退避時用ストッパ15に接触する最大退避時において、中央押さえ部11cの先端部16は、排紙ローラ2bと排紙従動ローラ5bの共通接線17の方向(端側押さえ部11a及び中央押さえ部11cが無い場合の用紙排出方向)よりも排紙ローラ2b側と、共通接線17と平行な線であって排紙従動ローラ5bの大径部51の接線18との間にあるように設定している(図8(2)参照)。排出中の用紙4は左右の内側排紙従動ローラ5bの間で、大径部分51により用紙中央部分が上側に撓む傾向を持つが、中央押さえ部11cにより撓みの上限を規制されるので、排紙従動ローラ5bの大径部51と中央押さえ部11cにより用紙にコシが付けられる。このコシ付けにより、用紙先端4sの排紙トレイ上に堆積された用紙4上への着地点を排紙ローラ対から遠くに離すことができ、堆積用紙の後端4kを押出すこともなく、よって用紙の落下やページ順狂い等のスタック不良の発生を防ぐことができる。
【0056】
また、中央押さえ部11cは排紙従動ローラ5bの大径部51よりも下側に用紙を押圧しているので、図7のような排紙従動ローラ5bを用いた場合には、排出用紙後端4kは大径部の凹凸形状にひっかかり、用紙後端4kは確実に蹴り出される。用紙後端を蹴り出した後に、中央押さえ部11cは、自重により用紙4を排紙トレイ3又は堆積している用紙4上へ押し下げるので、用紙後端4kは排紙ローラ対近傍に滞留せず、次の用紙による押出しや潜り込みによるページ順狂いを防止することができる。
【0057】
このように、端側押さえ部11aと中央押さえ部11cに対し異なる動作範囲及び形状を与えることにより得られる排出中の用紙4の形状は、図6に示したような形状になる。図6は、排紙ローラ2bと排紙従動ローラ5a,5bの共通接線方向から見た図である。
【0058】
端側押さえ部の先端は、排紙ローラと排紙従動ローラの共通接線より下側になる非退避時位置から排出用紙により退避し、用紙排出後に非退避時位置に戻るように支持されることで、簡単な構成で用紙のサイドカールを減少させ、中央押さえ部は内側排紙従動ローラの大径部分と相まって、用紙の中央付近にコシを付けることができる。また、中央押さえ部の先端は、退避時において用紙が排出される方向である排紙ローラと排紙従動ローラの共通接線よりも上側に退避可能であるので、内側排紙従動ローラの大径部分と中央押さえ部との間で用紙に必要以上のストレスを与えるのを防ぐことができる。
【0059】
また、前記の効果に加えて、中央押さえ部の先端は、退避時において排紙ローラと排紙従動ローラの共通接線よりも上側であって、当該共通接線と平行でこれより上側に存在する、内側排紙従動ローラの大径部分同士の接線よりも下側に位置するように規制されるので、用紙の幅方向の撓みを抑えながら排出用紙へのコシ付けを確実に行なうことができる。
【0060】
本発明の画像形成装置においては、A4、レター、リーガル用紙を最大印刷用紙幅とし、前記使用頻度の高い用紙左右端部が端側押さえ部11aの幅内になるように設定し、端側押さえ部11aによる排紙トレイ3上に堆積している用紙4の用紙後端4kの押さえ効果や前記カール量低減効果が使用頻度の高い用紙で得られるようにしている。
また、内側の排紙ローラ2bに圧接する排紙従動ローラ5bの大径部51を用紙搬送中心側に配置しているため、A4、レター、リーガルの最大印刷用紙幅のみならず最小幅の用紙に対しても、排紙ローラ2bと排紙従動ローラ5bによる狭持、排紙従動ローラ5bの大径部と中央押さえ部11cによるコシ付け及び用紙後端蹴りだしの効果を得ることができる。
【0061】
内側排紙従動ローラの大径部分は最小印刷用紙幅を有する用紙の内側に位置するので、最小印刷用紙幅を含むあらゆるサイズの用紙に対して用紙の幅方向の撓みを規制して排出用紙へのコシ付けを行なうことができる。
【0062】
さらに、排紙従動ローラ5bの大径部と中央押さえ部11cにより用紙にコシ付けを行ないつつ、画像傷や用紙へのダメージを防ぐため、排紙従動ローラ5bの大径端部にはテーパ形状を付し、中央押さえ部11cは先端にもテーパ形状を付し、先端に向かって幅をW1からW2に小さくし、用紙を押さえる先端部分の端部の角度を鈍角にし、さらに角部に円弧形状を付加してもよい(図8(3)参照)。また、中央押さえ部11cの最大退避位置における先端位置を排紙ローラ2bと排紙従動ローラ5bの共通接線17よりも排紙ローラ2b側に規制することで、用紙押し込み量を規制して用紙へのストレスを軽減している。
【0063】
内側排紙従動ローラの大径部分の内側に配置された中央押さえ部は、その先端にテーパが付けられ、先端角部の角度が鈍角であるので、用紙に対するストレスを緩和して用紙への筋などのダメージを与えずに用紙の幅方向の撓みを規制して排出用紙へのコシ付けを行なうことができる。
【0064】
次に、図9を用いて外側排紙従動ローラ5aの形状について説明する。
図9(2)は、図5(1)に示された外側排紙従動ローラ5aと端側押さえ部11a部分の拡大図である。前記のように、排出中の用紙4は、外側排紙ローラ2bと外側排紙従動ローラ5aによって挟持された付近を折曲がり点18として変形されるので、用紙4の画像面側21の外側排紙従動ローラ5aのローラ端部22の位置に最も強い力が加わる。特に、用紙が図10のようなサイドカール用紙の場合その傾向は顕著になり、画像傷などが発生する恐れがある。
【0065】
そこで、外側排紙従動ローラ5aと外側排紙ローラ2bの回転軸2aに沿う接触範囲23を排紙ローラ幅24の回転軸に沿う幅よりも狭くし、接触範囲23の終了地点25から従動ローラ5aのローラ端部22まで従動ローラ5aの直径を減少させることで、同位置への力が緩和されるようにした。ローラ端部22と折り曲げ点18を別の場所にすることで、用紙4に加わる力が分散され、画像傷などが確実に回避される。また、直径を減少させた従動ローラ5aのローラ端部22の湾曲した滑らかな表面に沿って用紙4の画像面側21がガイドされるようになり、急激な折れが生じず、画像傷などが回避される。
【0066】
排紙従動ローラと用紙の接触範囲が排紙ローラと用紙の接触範囲よりも小さくなるように、排紙従動ローラの直径が接触範囲の終了地点から排紙従動ローラの端部まで減少することで、排紙従動ローラと排紙ローラに挟持された用紙の折り曲げ点と排紙従動ローラの端部が一致しないため、用紙が急激に折り曲げられることなく、用紙に形成された画像へのダメージを回避することができる。
【0067】
また、図5(2)及び6(2)に示される内側排紙従動ローラ5bについても同様に、内側排紙従動ローラ5bと内側排紙ローラ2bの回転軸2aに沿う接触範囲を排紙ローラ幅の回転軸に沿う幅よりも狭くし、接触範囲の終了地点から従動ローラ5bのローラ端部まで従動ローラ5bの直径を減少させることで、ローラ端部と折り曲げ点を別の場所にすることができ、用紙4に加わる力が分散され、画像傷などが回避される。
【0068】
以上のように、本実施形態の排紙装置により、排紙ローラ群の回転軸上に2種類の用紙押さえ手段を設置し、さらに排紙従動ローラの形状を用紙に対して画像傷などのダメージを与えない形状にすることで、簡単な構成によって排紙スタック性が良好になり、高画質な画像が保証される。また、本発明の画像形成装置が前記の排紙装置を具備することで、簡単な構成によって排紙スタック性が良好になり、高画質な画像を提供することができる。
【0069】
本発明の画像形成装置は、前記排紙装置、用紙を給紙搬送する搬送手段、画像を用紙に転写する転写手段、及び転写された画像を加熱・加圧して用紙に定着させる定着装置を備えることで、用紙落下やページ順狂いが発生しない信頼度の高い装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 排紙装置(排紙部)
2 排紙ローラ群
2a 回転軸
2b 排紙ローラ(上側排紙ローラ)
3 排紙トレイ(用紙積載部)
4 用紙
5a,5b 排紙従動ローラ(下側排紙ローラ)
6 反転従動ローラ
7 ガイド
8 ガイド
9 ガイド
10 切り替えガイド
11 用紙押さえ手段
11a 端側押さえ部
11b 内側押さえ部
12 用紙搬送面
13 板バネ
14 位置決め部
15 退避時ストッパ
16 先端部
17 排紙ローラと排紙従動ローラの共通接線
18 折曲がり点
19 用紙左右端部
20 カール量
21 画像面側
22 ローラ端部
23 接触範囲
24 排紙ローラ幅
25 終了地点
26 定着装置
27 給紙カセット
28 給紙ローラ
29,30 レジストローラ
31 転写駆動ローラ
32 転写従動ローラ
33 中間転写体ベルト
34 現像器
35 感光体
36 帯電ローラ
37 感光体ユニット
38 露光装置
39 レーザ光
40 定着ローラ
41 加圧ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開平5−338899号公報
【特許文献2】特開2001−270642号公報
【特許文献3】特開2002−284441号公報
【特許文献4】特開2000−26005号公報
【特許文献5】特開平11−79519号公報
【特許文献6】特開2002−249270号公報
【特許文献7】特許第3323661号公報
【特許文献8】特許第4116973号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な上側排紙ローラと下側排紙ローラからなる排紙ローラ対が少なくとも2つ設けられ、該排紙ローラ対により用紙を用紙積載部に排出する排紙装置であって、
前記排紙ローラ対のニップ部よりも前記用紙の排出方向下流側において前記用紙に当接する回動可能な用紙押さえ手段を備え、該用紙押さえ手段の先端は、非退避時において前記下側排紙ローラの下端部と前記用紙積載部の上面との間に位置していることを特徴とする排紙装置。
【請求項2】
前記用紙押さえ手段は、排出用紙から受ける力によって非退避時位置から持ち上げられて退避し、重力により非退避時位置に戻ることを特徴とする請求項1に記載の排紙装置。
【請求項3】
前記上側排紙ローラの直径が、前記下側排紙ローラの直径よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の排紙装置。
【請求項4】
前記用紙押さえ手段は、前記上側排紙ローラの回転軸に回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の排紙装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の排紙装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−56776(P2013−56776A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−282040(P2012−282040)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2008−224605(P2008−224605)の分割
【原出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】