説明

排風分配ボックス

【課題】エアコンユニットからの排出される空気を効率的に室内に循環させることが可能な排風分配ボックスを提供する。
【解決手段】エアコンユニット41とキャビン31内に設けるデフロスタ43、排気グリル45・45との間に配設される排風分配ボックス50であって、エアコンユニット41からの空気を直接吹き出す吹出し開口部51aと、デフロスタ43、排気グリル45・45に接続されるデフロスタ用ダクト42、排気グリル用ダクト44・44に連結される左右分配開口部51b・51b、下分配開口部51cと、左右分配開口部51b・51bの上方に配設される吸気開口部51d・51dと、エアコンユニット41の吐出ダクトに接続される接続開口部54aとを具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両のキャビン内に配置して、空調装置(エアコン)の室内機またはヒータユニットから送られる空気を分配させるボックスの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアコンの室内機(以下エアコンユニット)からダクトに中継するためのボックスの技術は公知となっている。
このようなボックスは、エアコンユニットから送られる空気を効率的に室内に循環させる技術が求められている。
【0003】
上記のような問題を解消するボックスとして、以下に示す特許文献1のような技術が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示された技術は、エアコンユニットから送られる空気を分配させるボックスを具備するダクトの配設構造に関する技術であり、エアコンユニット、ボックス、ダクト、ダンパ、およびアクチュエータにより構成され、建設機械のキャビン等に取り付けられる。
前記エアコンユニットは、前記キャビンの下部に配置され、前記ボックスと一体的に形成される。
前記ボックスは、空洞形状であって、開口部を有する。前記開口部は、前記ボックスの正面に2つ、および上面に1つ、それぞれ前記ダクトと接続可能に前記ボックスに穿設することで形成される。
前記ダクトは、一端部が前記開口部と接続され、他端部および中途部にエアコンユニットからの空気を吹き出すための吹出し口を有する。前記ダクトは、前記開口部にそれぞれ取り付けられる。つまり、キャビン等に3つ取り付けられる。
前記ダンパは、前記ボックスの内側に取り付けられる。より詳細には、前記開口部の周囲に取り付けられる。また、前記ダンパは、軸および遮断部を有する。前記軸の一端部は、前記ボックスの開口部の周囲に回動可能に取り付けられる。前記遮断部は、前記開口部と略同一の大きさを有する板状部材により構成され、前記軸の他端部に取り付けられる。前記軸が回動すると、前記遮断部が前記開口部を塞ぐように回動して、前記ダクトと前記ボックスとは遮断される。つまり、前記エアコンユニットから送られる空気が前記ダクトに流れなくなる。
前記アクチュエータは、前記ダンパの近傍に取り付けられ、前記ダンパの回動を制御する。また、前記アクチュエータは、前記ダンパにそれぞれ1つずつ取り付けられる。
【0005】
特許文献1に開示された技術によれば、前記エアコンユニットから送られる空気を前記ボックスを介して、前記複数のダクトから送ることができる。つまり、前記エアコンユニットから送られる空気を効率的に室内に送ることができる。
また、前記アクチュエータを制御することで、前記ボックスと前記ダンパとの接続を制御できる。つまり、前記エアコンユニットから送られる空気を制御することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたボックスには、エアコンユニットの吸気に関して特に記載がなく、エアコンユニットの吸気を行うための開口部も形成されていない。このため、キャビン内の空気は、ボックスから排気を行い、エアコンユニットから吸気を行うことで循環される。つまり、ボックスは、エアコンユニットの吸気と排気とを一体的に行うことができず、キャビン内の空気を効率的に循環させることができないという点で不利であった。
【0007】
また、エアコンユニットとボックスとは、一体的に形成されるため、既存のエアコンユニットに対して適用できず、汎用性が低かった。さらに、エアコンユニットのフィルターを交換する際等において、ボックスを外してからエアコンユニットのフィルターを交換する必要があり、メンテナンス性が低いという点で不利であった。
【特許文献1】特許第3603043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、エアコンユニットからの排出される空気を効率的に室内に循環させることが可能な排風分配ボックスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1においては、エアコンユニットとキャビン内に設ける複数の吹出口との間に配設される排風分配ボックスであって、前記エアコンユニットからの空気を直接吹き出す吹出し開口部と、前記吹出口に接続されるダクトに連結される分配開口部と、前記分配開口部の上方に配設される吸気開口部と、前記エアコンユニットの吐出ダクトに接続される接続開口部とを具備したものである。
【0010】
請求項2においては、前記吸気開口部は、フィルターを備えたものである。
【0011】
請求項3においては、前記吹出し開口部を正面に備え、前記分配開口部を左右側面および下面に備え、前記吸気開口部を左右側面の上方に備え、前記接続開口部を背面に備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、エアコンユニットからの排出される空気を効率的に室内に循環させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる排風分配ボックスを適用した作業車両の実施の一形態である作業車両1の全体的な構成について、図1を参照して説明する。
なお、本実施形態にかかる排風分配ボックス50は、アーティキュレート式ホイルローダのキャビン31内に配設される空調装置40に適用されたものとして説明を行うが、本発明はこれに限るものでなく、例えば、パワーショベル等に適用することも可能である。
また、図1における矢印A方向を前方向として前後方向を規定し、かかる前後方向と水平方向に直交する方向を左右方向と規定する。また、かかる前後方向と垂直方向に直交する方向を上下方向と規定する。
【0014】
作業車両1は、主として走行部10、作業部20、および操作部30等を具備する。
【0015】
走行部10は、作業車両1を走行させるためのものである。
走行部10は、主として、前フレーム11、後フレーム12、前輪13、後輪14、および枢支軸15等で構成される。
前フレーム11および後フレーム12は、走行部10の主たる構造をなす部材である。前フレーム11には前輪13が懸架され、後フレーム12には後輪14が懸架されている。
枢支軸15は、前フレーム11と後フレーム12を左右回転自在に枢支する。
【0016】
作業部20は、土砂等を掬いあげて運搬等の作業を行うものである。
作業部20は、主として、支持フレーム21、アーム22、およびバケット23等で構成される。
支持フレーム21は、側面視において後辺が垂直である台形状に形成され、その上端部には上枢支軸21aが枢支され、下端部には下枢支軸21bが枢支される。支持フレーム21は、下端部が前フレーム11の上部と連結され、上端部がアーム22と連結される。
アーム22は、バケット23と前輪13とが干渉しないような湾曲形状に形成されている。アーム22の一端部は、上枢支軸21aを介して支持フレーム21の上端部と連結され、アーム22の他端部は、ステーを介してバケット23と連結される。
【0017】
操作部30は、作業車両1の走行や操向操作、作業部20による作業操作等を行うためのものである。
操作部30は、主として、運転席33、ステアリングハンドル34および図示しない操作レバー(変速レバーや作業レバー)や操作ペダル(アクセルペダルやブレーキペダル)等で構成され、キャビン31で覆われる。
キャビン31は、略箱状に形成され、後フレーム12上の前部から後フレーム12上の後部にかけて上方に突出するように配置されている。
ステアリングハンドル34は、後フレーム12の前部上に取り付けられ、ステアリングハンドル34を回動することにより、油圧シリンダとを作動させて前フレーム11を枢支軸15を中心に左または右に回動して操向可能に構成される。
運転席33は、キャビン31内の後部のボンネット32上に取り付けられる。また、運転席33の下方にはエアコンユニット41が取り付けられる。
前記ボンネット32は、後フレーム12上の中途部から後方にかけて配置され、エンジン(不図示)等の機器を覆っている。
【0018】
次に、図2を参照して本発明にかかる排風分配ボックスの実施の一形態について説明する。
【0019】
空調装置40は、キャビン31内の温度調節やフロントガラスに発生する曇り除去(デフロスト)を行うためのものである。
空調装置40は、エアコンユニット(室内機)41と、排風分配ボックス50と、吹き出し口となるデフロスタ43および排気グリル45・45と、デフロスタ用ダクト42と、排気グリル用ダクト44・44と、室外機(不図示)等により構成される。
【0020】
エアコンユニット41は、エバポレータ(熱交換器)や送風ファン(不図示)やヒータコア(不図示)等によって冷却または加熱された空気を生成してキャビン31内に送るためのものである。エアコンユニット41は、運転席33下方に配設され、室外機(コンデンサ)はボンネット32内またはボンネット32上に配置される。
排風分配ボックス50は、エアコンユニット41から送られる空気を分配させるためのものである。排風分配ボックス50は、エアコンユニット41の前方で、運転席33の前下部のステップ25上に配置される。
デフロスタ用ダクト42は、エアコンユニット41から送られる空気をデフロスタ43まで送るためのものである。デフロスタ用ダクト42は、中空状に形成され、一端部が排風分配ボックス50と連結され、他端部がデフロスタ43と連結される。
デフロスタ43は、外気温度が低い時にフロントガラスの内面に発生する曇り(若しくは露)を除去するためのものである。デフロスタ43は、上方向に吹出し可能な吹出し口(不図示)を有し、キャビン31の前部に配置され、下端部がデフロスタ用ダクト42と連結される。
排気グリル用ダクト44・44は、エアコンユニット41から送られる空気を排気グリル45・45まで送るためのものである。排気グリル用ダクト44・44は、中空状に形成され、一端部が排風分配ボックス50と連結され、他端部が排気グリル45・45と連結される。
排気グリル45・45は、エアコンユニット41からの空気をキャビン31内に送るためのものである。排気グリル45・45は、キャビン31内の左右両端にそれぞれ取り付けられ、それぞれ下端部に排気グリル用ダクト44・44が連結される。
【0021】
以下では、図2から図5を参照して本発明の一実施形態である排風分配ボックス50の詳細な構成について説明する。
排風分配ボックス50は、エアコンユニット41の排気通路および吸気通路を確保するためのものである。
図2および図3に示すように、排風分配ボックス50は、本体ケース51、フィルター52、室内吹出部53、排気仕切り板54、および吸気仕切り板55により構成される。
【0022】
本体ケース51は、エアコンユニット41の前部、詳細には、エアコンユニット41を覆うカバー(本実施形態ではボンネット32)の前部に着脱可能に取り付けて、デフロスタ用ダクト42および排気グリル用ダクト44・44と接続可能としている。
図3に示すように、本体ケース51は、後方を開放した箱状に形成され、前面は上部から前上下中途部へ向かって斜め前下方に傾斜するように形成され、足元空間が広くなるように構成している。本体ケース51の左右両側の後部は左右外方へ折り曲げて縁部が形成され、エアコンユニット41の前部にボルト等の固定部材によって縁部をボンネット32の前面に取り付け固定するようにしている。また、本体ケース51は、前面には吹出し開口部51a、側面には左右分配開口部51b・51bおよび左右の吸気開口部51d・51d、下面には下分配開口部51cを有する。
【0023】
吹出し開口部51aは、本体ケース51の正面の下部左右中央に左右方向に長い略長方形状に穿設することで、できるだけ多く吹き出せるように大きな開口として形成される。該吹出し開口部51aに室内吹出部53が取り付けられる。
【0024】
左右分配開口部51b・51bは、左右対称となるように、本体ケース51の右側面および左側面に形成される。該左右分配開口部51b・51bはダクトと接続可能に本体ケース51の左(右)側面の下部を略長方形状に穿設することで形成される。つまり、左右分配開口部51b・51bはステップ25下方を通過させる排気グリル用ダクト44・44と容易に接続できるように下部に配置している。また、本体ケース51の左右分配開口部51b・51bの外側には、それぞれジョイント24・24を介して排気グリル用ダクト44・44の一端が連結される。
【0025】
下分配開口部51cは、本体ケース51の右側前底面に略円状に穿設され、デフロスタ用ダクト42の一端が接続可能に構成される。つまり、下分配開口部51cはステップ25下方を通過させるダクトと容易に接続できるように下面部に配置し、左右分配開口部51b・51bとも干渉しないように配置している。また、後述する接続開口部54aに最も近い本体ケース51の底面に開口して、効率よく流れるようにしている。
【0026】
吸気開口部51d・51dは、本体ケース51の右側面および左側面において、前記左右分配開口部51b・51bの上方に開口して配置される。こうして、作業者の足が置かれるステップ25の左右中央の上面付近に漂う塵埃等は吸込み難くし、作業者の足からできるだけ離れた運転席33に近い後部で、その上層の比較的きれいな空気を吸入できるようにして、フィルター52が短期間で詰まらないようにしている。そして、吸気開口部51d・51dの下端部は、本体ケース51の下面に沿った形状に形成される。吸気開口部51d・51dの上端部は、本体ケース51の上面に沿った形状に形成される。また、吸気開口部51d・51dは、ボルト等を螺挿可能な螺子部(不図示)と干渉しないような多角形状に本体ケース51の左(右)側面を穿設することで形成される。
【0027】
フィルター52は、キャビン31内からエアコンユニット41に流入する空気に含まれる埃等を取り除くためのものである。
図2に示すように、フィルター52は、本体ケース51の外側、より詳細には、吸気開口部51d・51dの周囲に、フィルター52がボルト等の固定部材によって着脱可能に固設される。
【0028】
室内吹出部53は、排風分配ボックス50の前記吹出し開口部51aに取り付けて開閉可能とし、吹き出し量を調節可能とするものである。
室内吹出部53は、吹出し開口部51aの外側に取り付けられ、複数の孔部をそれぞれ有する外カバー53aとシャッター53bを備える。該シャッター53bの一端にはツマミが前方に突設され、該シャッター53bは外カバー53aに対して左右摺動可能に取り付けられている。そして、本実施形態では、孔部は上下方向に長い長孔として、左右方向に所定間隔をあけて開口されている。但し、孔部の形状および配置構成は限定するものではない。前記外カバー53aの孔部とシャッター53bの孔部を一致させると全開とし、シャッター53bの孔部を外カバー53aの孔部と孔部の間に位置させると全閉となるようにしている。
こうして、ツマミを持ってシャッター53bを左右摺動させて、外カバー53aの孔部とシャッター53bの孔部とが重複する開口面積を調節することで、エアコンユニット41からの吹き出し量(送風量)を調節することができる。
【0029】
図4に示すように、排気仕切り板54と吸気仕切り板55は、本体ケース51内に配置して、排気通路(図4における黒塗り矢印)と吸気通路(図4における白抜き矢印)を仕切るためのものである。
図3および図5に示すように、該排気仕切り板54は本体ケース51内の前後中途部に左右方向に配置され、該排気仕切り板54にはエアコンユニット41の吐出ダクト(図示せず)と接続するための接続開口部54aと、吸気仕切り板55を取り付けるための切欠54b・54cを有する。つまり、図3に示すように、排気仕切り板54は、金属製の板状部材を平面視階段形状に折り曲げ形成され、左右一側(本実施形態では右側)に接続開口部54aが開口され、左右の上部にL字状の切欠54b・54cが設けられている。このように構成した排気仕切り板54が、図4に示すように、本体ケース51の内部に取り付けられ、上端部が本体ケース51の上面と当接され、下端部が本体ケース51の下面と当接されて溶接等によって本体ケース51に固設される。
このように、排気仕切り板54は、本体ケース51の内部に固設することで、本発明にかかる「排風分配ボックスの背面」として形成される。
【0030】
接続開口部54aは、エアコンユニット41から送られる空気を本体ケース51内に通すためのものである。接続開口部54aは、エアコンユニット41の吹出ダクトと略同一の形状を有し、シール部材等によって着脱可能にエアコンユニット41の吹出ダクトの周囲に隙間が生じないように接続される。
また、接続開口部54aの前側部(右側)の折り曲げ面54dは、吹出し開口部51aに向けて斜めに折り曲げられて、室内吹出部53が開けられているときには、スムースにエアコンユニット41からの風が流れるようにしている。また、他側(左側)の折り曲げ面54eは左分配開口部51bを確保できるように折り曲げるとともに、左分配開口部51bへスムースにエアコンユニット41からの風が流れるようにしている。
【0031】
図3および図5に示すように、吸気仕切り板55は、左仕切板55aと右仕切板55bからなり、前記切欠54b・54cと本体ケース51の前板内面に固定することで、排風分配ボックス50内において、排気通路と吸気通路とを分ける構成としている。
つまり、左仕切板55aと右仕切板55bは、金属製の板状部材を正面視略L字状に折り曲げ形成することで構成される。該左仕切板55aと右仕切板55bの上部は、本体ケース51の上面に沿うような、略斜め形状に形成され、左側面および右側面にそれぞれ取り付けられる。また、図4に示すように、左仕切板55aと右仕切板55bの下面の後部が、切欠54b・54cに当接されて、溶接等によって排気仕切り板54に固設される。
【0032】
このように構成される排風分配ボックス50を具備する空調装置40は、エアコンユニット41が稼動した場合において、排風分配ボックス50の吹出し開口部51aと左右分配開口部51b・51bと下分配開口部51cとを介してエアコンユニット41の吹出し口から冷却または加熱された空気がキャビン31内に送られるとともに、排風分配ボックス50の吸気開口部51d・51dからキャビン31内の空気がエアコンユニット41の吸気口に流れる。
【0033】
以下では、図4を参照して、エアコンユニット41から送られる冷却または加熱された空気の流れについて説明する。
【0034】
前記エアコンユニット41から送られる空気は、排気仕切り板54の接続開口部54aから排気仕切り板54と本体ケース51との間の空間の排風分配ボックス50内に流入し、キャビン31内の空気がフィルター52を介して吸気開口部51d・51dからエアコンユニット41に吸い込まれる。
まず、キャビン31内を温める場合、デフロスタ43および排気グリル45・45の吐出口が閉じられて、シャッター53bを摺動させて室内吹出部53を所望の風量となるように開ける。こうして、ヒータユニットにより温められた空気がエアコンユニット41より接続開口部54a、排気通路を介して室内吹出部53よりキャビン31内の下側より吹き出すことになる。この温かい空気は作業者の足元を温め、温かい空気は上昇してキャビン31内全体を温める。そして、温度が低い空気は下降して排風分配ボックス50両側の吸気開口部51d・51dからエアコンユニット41に吸い込まれ、キャビン31内の空気は対流してキャビン31内を効率よく温めることができる。なお、室内吹出部53からは前方に吹き出し、吸気開口部51d・51dは側方を向いているので、室内吹出部53から吹き出した温かい空気を直接吸い込むことはない。但し、ヒータユニットからの温度調節は空調装置40の操作部で調整されているものとする。
【0035】
フロントガラスの内面の曇りをとる場合には、デフロスタ43の吐出口が開けられて、排気グリル45・45の吐出口が閉じられて、シャッター53bを摺動させて室内吹出部53を閉じる。こうして、ヒータユニットにより温められた空気(または冷房として乾燥した空気)がエアコンユニット41より接続開口部54a、排気通路、デフロスタ用ダクト42を介してデフロスタ43に至り、デフロスタ43の吹出し口からはフロントガラスの内面向けて吹き出されることになり、曇りをとることができる。なお、デフロスタ43はフロントガラスの後下部の左右中央に配置され、吐出口から吹き出す風がフロントガラスの内面全面に広がるように構成している。よって、温風は上方に吹き出されて曇りの原因となる結露が乾燥されて蒸発して除去され、視界を確保することが可能となる。
キャビン31内を冷やす場合、デフロスタ43の吐出口が閉じられて、排気グリル45・45の吐出口を所望の風量および風向となるように開け、シャッター53bを摺動させて室内吹出部53を閉じる。こうして、エアコンユニット41により冷やされた空気がエアコンユニット41より接続開口部54a、排気通路、排気グリル用ダクト44・44を介して排気グリル45・45に至り、排気グリル45・45の吹出し口から運転席33に着座した作業者に向けて冷風が送風されて、キャビン31内も冷やすことになる。なお、排気グリル45・45は運転席33の左右斜め前方に配置され、冷風を斜め上方左右中央に向けて吹き出されることになり、キャビン31内の上部空間に漂う温かい空気を冷やすことができるのである。
【0036】
以下では、図4を参照して、エアコンユニット41が取り込むキャビン31内の空気の流れついて説明する。
【0037】
キャビン31内からエアコンユニット41に取り込まれる空気は、排風分配ボックス50の吸気開口部51d・51dから排風分配ボックス50内に流入する。このとき、本体ケース51の外側に取り付けられるフィルター52により、埃等が取り除かれる。
そして、排気仕切り板54と吸気仕切り板55と本体ケース51とによって仕切られた空間を通って、エアコンユニット41の吸気口(不図示)に流れる。
【0038】
上記のような構成によれば、エアコンユニット41の排気と吸気とを排風分配ボックス50を介して一体的に行うことができ、キャビン31内の空気の循環を効率的に行うことができる。
また、排風分配ボックス50は、着脱可能に取り付けられるため、既存の建設機械等に適用する場合においても、エアコンユニットの吹出し口の前方に取り付けるだけでよいため、容易に取り付けることができる。つまり、排風分配ボックス50の汎用性を向上させることができる。
エアコンユニット41内に取り付けられるフィルター52には、排風分配ボックス50の吸気開口部51d・51dの外側に取り付けられるフィルター52によって埃等が取り除かれた空気が流入するため、エアコンユニット41のフィルター52を取り替える頻度を減らすことができる。つまり、エアコンユニット41のフィルター52のメンテナンスにかかる手間を軽減することができる。
【0039】
また、排風分配ボックス50の正面と左右側面と下面とに開口部を形成したことにより、キャビン31の下部にエアコンユニット41を取り付けた場合において、キャビン31全体に空気を送ることができる。つまり、キャビン31の上部にエアコンユニット41を取り付けることなくキャビン31内の空気を効率的に循環させることができる。
【0040】
以上の如く、本発明にかかる排風分配ボックス50の実施の一形態である排風分配ボックス50は、エアコンユニット41とキャビン31内に設けるデフロスタ43、排気グリル45・45(複数の吹出口)との間に配設される排風分配ボックス50であって、エアコンユニット41からの空気を直接吹き出す吹出し開口部51aと、デフロスタ43、排気グリル45・45に接続されるデフロスタ用ダクト42、排気グリル用ダクト44・44(ダクト)に連結される左右分配開口部51b・51b、下分配開口部51c(分配開口部)と、左右分配開口部51b・51b(分配開口部)の上方に配設される吸気開口部51d・51dと、エアコンユニット41の吐出ダクトに接続される接続開口部54aとを具備したものである。
このように構成することにより、排風分配ボックス50一ヶ所でエアコンユニット41で調整した空気を分配し、エアコンユニット41からの空気を効率的にキャビン31内に循環させることができる。
【0041】
また、吸気開口部51d・51dは、フィルター52を備えたものである。
このように構成することにより、空調装置40のメンテナンス性を向上させることができる。
【0042】
さらに、吹出し開口部51aを正面に備え、左右分配開口部51b・51bを左右側面および下面に備え、吸気開口部51d・51dを左右側面の上方に備え、接続開口部54aを排気仕切り板54(背面)に備え、内部に排気仕切り板54および吸気仕切り板55を設けたものである。
このように構成することにより、エアコンユニット41をキャビン31の下部に取り付けた場合において、簡単な構成でキャビン31内の空気を効率的に循環させることができる。また、キャビン31の下部のスペースを有効に活用できる。さらに、作業車両1の車高を低くすることができる。
【0043】
なお、本実施形態にかかる排風分配ボックス50は、本体ケース51に排気仕切り板54および吸気仕切り板55を固設する構成としたが、本発明にかかる排風分配ボックスは、排風分配ボックス内において、吸気通路と排気通路とを分割するような構成であればよく、例えば、本体ケース、排気仕切り板、および吸気仕切り板を一体的に形成するようなボックスによって構成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態にかかる作業車両の全体的な構成を示した側面図である。
【図2】キャビン内の構造を示した概略斜視図である。
【図3】排風分配ボックスの分解斜視図である。
【図4】排風分配ボックス内における空気の流れを示した斜視図である。
【図5】排風分配ボックスの背面の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 作業車両
41 エアコンユニット
42 デフロスタ用ダクト(ダクト)
43 デフロスタ(吹出し口)
44 排気グリル用ダクト(ダクト)
45 排気グリル(吹出し口)
50 排風分配ボックス
51 本体ケース
51a 吹出し開口部
51b 左右分配開口部(分配開口部)
51c 下分配開口部(分配開口部)
51d 吸気開口部
54 排気仕切り板
54a 接続開口部
55 吸気仕切り板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコンユニットとキャビン内に設ける複数の吹出口との間に配設される排風分配ボックスであって、
前記エアコンユニットからの空気を直接吹き出す吹出し開口部と、
前記吹出口に接続されるダクトに連結される分配開口部と、
前記分配開口部の上方に配設される吸気開口部と、
前記エアコンユニットの吐出ダクトに接続される接続開口部と、
を具備する、
ことを特徴とする排風分配ボックス。
【請求項2】
前記吸気開口部は、フィルターを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の排風分配ボックス。
【請求項3】
前記吹出し開口部を正面に備え、
前記分配開口部を左右側面および下面に備え、
前記吸気開口部を左右側面の上方に備え、
前記接続開口部を背面に備える、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排風分配ボックス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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