説明

掘り込み式取手、これを用いた機器、画像形成装置

【課題】掘り込み式取手形状の凹形状部分が露出することに伴う問題を、凹形状部分を隠すことで解決し、外装面に発生する凹形状部分をカバーし、組立時の方向性を無くして組立性も良くすることを実現した掘り込み式取手を提供する。
【解決手段】通常時は凹形状を隠し、機器運搬時には持ち手となるカバー11と、カバー11を接合する形状の接合部13と、持ち手を引っ掛けるためのフレーム12と、を備えた掘り込み式取手である。フレーム12は、垂直方向の力を受けるリブと、水平方向の力を受けるリブとを備え、外装カバーの裏側でカバー11上に設ける。リブは、断面二次モーメントが大きくなり破壊に対して強い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘り込み式取手と、これを用いた機器、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置やファクシミリ等のように比較的重量のある機器、装置を持ち運ぶ際に、掘り込み式と呼ばれる運搬用の取手が既に知られている。
【0003】
図1は、公知の画像形成装置の外観を示す斜視図で、画像形成装置の本体1の側面に従来の掘り込み式取手2、2を有している。なお図では一側面にのみ取手2を描いているが、図示せぬ反対側の面にも設けられている。また図中3は原稿読取り部、4は画像形成部、5は給紙部、6は排紙部である。
【0004】
しかしこの従来の掘り込み式の取手は、図示のように、取手部が凹状であることから機器、装置の外観品質を損ねるという問題があった。
【0005】
特許文献1には、垂直、及び水平方向の荷重両方に対応する目的で、リブ、引っ掛け爪が配置された掘り込み式取手が開示されている。垂直及び水平方向の荷重両方に対応できる点で優れるが、やはり、外装面に掘り込み式取手の凹形状ができるため外観品質を損ねるという問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明においては、水平、垂直両方の荷重に対応できる掘り込み式取手を有し、凹形状を隠して外観品質を損ねない取手と、これを用いた機器、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る掘り込み式取手は、通常時は凹形状を隠し、機器運搬時には持ち手となるカバーと、前記カバーを接合する形状の接合部と、前記持ち手を引っ掛けるためのフレームとを備えたことを特徴とする。
【0008】
同請求項2に係るものは、請求項1に記載の掘り込み式取手において、前記接合部に、応力集中を避けるための逃げを設けてなることを特徴とする。
【0009】
同請求項3に係るものは、請求項1に記載の掘り込み式取手において、運搬時に前記持ち手となるカバーがロックされる機構を有することを特徴とする。
【0010】
同請求項4に係るものは、請求項1に記載の掘り込み式取手において、前記持ち手となるカバーの使用後に閉じる開口部を有することを特徴とする。
【0011】
同請求項5に係るものは、請求項1に記載の掘り込み式取手において、 前記持ち手となるカバーが、組立の方向性を制限するリブや引っ掛け形状を備えないことを特徴とする。
【0012】
同請求項6に係るものは、請求項1から5のいずれかに記載の掘り込み式取手を有することを特徴とする機器である。
【0013】
同請求項7に係るものは、請求項1から5のいずれかに記載の掘り込み式取手を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水平、垂直両方の荷重に対応し外観品質を良くすることができ、また、組立性を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】公知の画像形成装置の外観を示す斜視図
【図2】本発明に係る外観品質を損ねない掘り込み式取手の実施例1を示す斜視図
【図3】本発明に係る外観品質を損ねない掘り込み式取手の実施例1を示す斜視図
【図4】外装カバーの開口部を示す断面図
【図5】外装カバーの開口部内側に設けるフレームを示す斜視図
【図6】本発明の実施例3について説明する図
【図7】本発明の実施例3について説明する図
【図8】本発明の実施例4について説明する図
【図9】本発明の実施例4について説明する図
【図10】本発明の実施例4に垂直方向に動きを規制することのできる形状を追加した例を示す図
【図11】本発明の実施例4に垂直方向に動きを規制することのできる形状を追加した例を示す図
【図12】本発明の実施例5について説明する図
【図13】本発明の実施例6について説明する図
【図14】従来取手の組立の方向性の制限について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0016】
掘り込み式取手形状の凹形状部分が露出することに伴う問題を、凹形状部分を隠すことで解決した。また、画像形成装置に用いられている掘り込み式取手形状には、外装面に対して凹形状が発生するが、その凹形状部分をカバーすることができ、また、従来はフレーム等に取手部を引っ掛けていたため、組立時に方向性が決まってしまっていたが、組立時の方向性を無くして組立性も良くすることを実現した。
【0017】
なお後述する実施例では画像形成装置についてのみ説明しているが、本発明はこれに限定されず、その他の種々の機器、装置に利用できるものである。
【実施例】
【0018】
<実施例1>
図2、図3は、本発明に係る外観品質を損ねない掘り込み式取手の実施例1を示す斜視図である。本実施例では、従来の掘り込み式取手でできていた外装カバー10の凹形状部分の内側に符号11で示す目隠しを兼ねた持ち手となるカバーを設けている。このカバー11で、凹形状部分を隠すことができ、取手を使用しない時は、図2の状態となり、凹形状部分が開口10aから外観に現れないため、装置としての外観品質を損ねないようになっている。なお図中12はカバー11の内側に配するフレーム、13はカバー接合部である。図3はフレーム12を図中右方向から見た図である。
【0019】
<実施例2>
外装カバー10にカバー接合部13を介して目隠し用のカバー11を取り付けるが、操作者の様々な手の大きさに対応するため、目隠し兼持ち手であるカバー12の大きさ及びカバー11を開放したときの開口部14の大きさは図4のように構成すると良い。
【0020】
図4、図5は、取手使用時(運搬時)を考慮した本発明の実施例2について説明する図である。運搬時は目隠し用のカバー11を、カバー接合部13を回転軸として回転させ、フレーム12に嵌合させる。そうすることでカバー11が運搬時の持ち手ともなるため、運搬に利用できる。このとき、取手となる開口部14には水平、垂直どちらの力も掛かる可能性があるが、持ち手となるカバー11にはそれぞれの方向に対して垂直に爪形状のリブ15(図5のフレーム12参照)が設けられていることになるので、それぞれの力に対する断面二次モーメントが大きくなり破壊に対して強いといえる。
【0021】
<実施例3>
図6、図7は本発明の実施例3について説明する図である。カバー接合部を図6のような形状にして、図7のように寸法設定してやることで、接合部に力が掛かる前にリブ15がフレーム12にあたるため、外装カバー10に応力集中してしまうことも避けられる。なお図中a〜dで示す寸法はできる限り小さな値で設定することが望ましい。図7においては、a<bかつc<dである。
【0022】
<実施例4>
図8、図9は本発明の実施例4について説明する図である。前記した持ち手のカバー11に図8、図9のような形状を加えてやると、運搬時の水平方向の動きを規制することができ、より安定した運搬が可能となる。
【0023】
すなわち、運搬時には、持ち手の垂直方向は爪状部材12aに突き当たっているため比較的安定しているが、図10のように垂直方向に動きを規制することのできる形状を追加することで、運搬時の水平方向の動きを規制することができ、より安定した運搬が可能となり、運搬途中に一度機器を置いた場合でも持ち手カバーが勝手に戻ってしまうことを避けられる。
【0024】
<実施例5>
図11は、本発明の実施例5について説明する図であり、目隠し兼持ち手のカバー11の戻し忘れを防止する機構について説明する図である。機器の運搬後、持ち手の戻し忘れを防止するために、図12のようにねじりばね16を設けると、ねじりばね16復元力で持ち手のカバー11元の位置に戻すことができる。
【0025】
<実施例6>
図12は、本発明の実施例6について説明する図であり、図13に示すように、リブ17を設けてやることによってカバー11が外装カバー10の面よりも外に出ることを防げる。
【0026】
<実施例7>
図13は、本発明の実施例6について説明する図である。図14は目隠し兼持ち手のカバー11を開放したときの、安全性を示す。すなわち、カバー11は容易に開放できるため、機器の内部に手が入れられることとなるが、図14に示すように、カバー11とフレーム12とで庇状の部位18を作れば安全性も問題なくなる。
【0027】
<各実施例と従来例の比較>
なお図14は従来取手の組立の方向性の制限について説明する図であり、図示のように、掘り込み式取手の裏側にリブ19が設けられており、それによって組立の方向性が制限され、外装カバー10のフレームへの引っ掛け形状の向きなども制限されてしまっていたが、上述してきた各実施例では組立を制限する形状がないため、組立性の自由度も向上すると言える。
【符号の説明】
【0028】
1:画像形成装置の本体
2:掘り込み式取手
3:原稿読取り部
4:画像形成部
5:給紙部
6:排紙部
10:外装カバー
11:目隠しを兼ねた持ち手となるカバー
12:フレーム
13:カバー接合部
14:開口部
15:庇状の部位
16:ねじりばね
17:リブ
18:庇状の部位
19:リブ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2006−195000号公報
【特許文献1】特開2010−197477号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常時は凹形状を隠し、機器運搬時には持ち手となるカバーと、
前記カバーを接合する形状の接合部と、
前記持ち手を引っ掛けるためのフレームと、
を備えたことを特徴とする掘り込み式取手。
【請求項2】
請求項1に記載の掘り込み式取手において、
前記接合部に、応力集中を避けるための逃げを設けてなる、
ことを特徴とする掘り込み式取手。
【請求項3】
請求項1に記載の掘り込み式取手において、
運搬時に前記持ち手となるカバーがロックされる機構を有する、
ことを特徴とする掘り込み式取手。
【請求項4】
請求項1に記載の掘り込み式取手において、
前記持ち手となるカバーの使用後に閉じる開口部を有する、
ことを特徴とする掘り込み式取手。
【請求項5】
請求項1に記載の掘り込み式取手において、
前記持ち手となるカバーが、組立の方向性を制限するリブや引っ掛け形状を備えない、
ことを特徴とする掘り込み式取手。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の掘り込み式取手を有することを特徴とする機器。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の掘り込み式取手を有することを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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