説明

掘削スクリュー

【課題】掘削深さに応じて掘削スクリューの長さを可変させながら補助掘削刃を使用することが可能な掘削スクリューを提供する。
【解決手段】本発明の掘削スクリューは、掘削管20と、拡張ユニット10と、スクリュー21と、延長ロード30と、カプラー31とを備える。延長ロード30は、オイル流入通路32およびオイル排出通路32’を備える。また、拡張ユニット10は、シリンダー装着孔12、12’と、シリンダー装着孔12、12’に挿入され、一端に補助掘削刃11、11’が固定された出没軸17と、拡張ユニット10の内部に形成されたメーン流路15、15’と、拡張ユニット10と延長ロード30との間に配置されたオイル管14、14’とを備える。オイル管14、14’は、延長ロード30に連動してオイル流入通路32およびオイル排出通路32’の内部を摺動し、出没軸17に対して持続的に油圧を作用させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱または電柱根枷および支線根枷の埋設孔を機械化掘削するためのオーガークレーン用の掘削スクリューに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、送配電線路および通信線路の作業時には、電柱を設置して電線および通信ケーブルを加線する。この場合、電線および通信ケーブルの不平衡張力を補強するために電柱根枷または支線を設置して、電柱が傾いたり倒れたりしないようにする。電柱根枷は、電柱を立設した後、電柱下部の地表面下約0.5mの位置まで掘削して電柱を同時に埋設される。次いで、支線を設置するために支線根枷埋設のために、人力や機械を利用して掘削作業が行われる。その後、掘削地点に支線根枷が埋設されて電柱と連結される。このような方法により電柱が設置される。
【0003】
このような電柱根枷または支線根枷を設置するための掘削作業は、通常、オーガークレーンに締結される掘削スクリューを利用して実施される。その一方で、より優れた機械作業および作業の効率性を向上させるための多様な技術が当該分野において開示されている。例えば、本発明の出願人が出願した特許文献1〜3には、多様な形態の出没式補助掘削刃を備えるオーガークレーン用掘削スクリューが開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1〜3に開示された掘削スクリューは、補助掘削刃が手動による回転作用を利用して出没する機構的構成を有しているため、複数の作業者が必要であった。さらに、補助掘削刃を調整することが難しく、作業が面倒で、多くの作業時間がかかる等の問題があった。
【0005】
【特許文献1】大韓民国特許第0710649号
【特許文献2】大韓民国実用新案登録第0417120号
【特許文献3】大韓民国特許第0771957号
【特許文献4】特開2001-73664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題を解決するため、上述の掘削スクリューと類似する補助掘削刃を油圧により出没させる掘削スクリューが特許文献4に開示されている。この掘削スクリューは油圧を利用して遠隔地で補助掘削刃の制御が可能であるので、経済的、かつ効果的に使用することができる。しかし、油圧式出没手段を有する補助掘削刃は流体伝達システムが複雑であるため、実用化が困難であるという現実的な問題がある。
【0007】
一方、本発明の出願人が開発した掘削スクリューおよび油圧出没式補助掘削刃を有する全ての掘削スクリューは、限定された深さの掘削地にだけ制限的に使用することができる。したがって、掘削スクリューの長さより深い掘削地を施工しようとする場合は、前述した掘削スクリューの代りに、延長手段を有する延長型掘削スクリューを使用しなければならない。
【0008】
延長型掘削スクリューは、掘削スクリューの内部に挿脱可能な延長ロードがその先端に装着されている。延長ロードの引出し量によって掘削スクリューの全長が可変するので、より一層深い所まで掘削施工が可能な特徴がある。しかし、従来の回転式出没手段を有する補助掘削刃を延長型掘削スクリューに適用する場合、操作が難しくて煩わしいという問題があった。
【0009】
このように、深層掘削に使用する掘削スクリューにおいて、より経済的な掘削を可能にするために、補助掘削刃とその補助掘削刃の油圧式出没手段に対するニーズが高まっている。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、掘削地の掘削深さに応じて掘削スクリューの長さを可変させながら、補助掘削刃を使用することが可能な、新規かつ改良された掘削スクリューを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、筒状の掘削管と、掘削管の一端に結合され、補助掘削刃を有する拡張ユニットと、掘削管と拡張ユニットの外周部に設けられるスクリューと、掘削管の内部に伸縮可能に設けられる延長ロードと、オーガークレーンに取り付けるために延長ロードの拡張ユニットと反対側である他端に設けられるカプラーと、を備える掘削スクリューが提供される。カプラーは、油圧系から圧送された流体が流入するオイルホースを備え、延長ロードは、オイルホースを通じて流体が流入されるオイル流入通路と、オイルホースを通じて流体が排出されるオイル排出通路と、を備える。また、拡張ユニットは、相異なる高さで対称方向に開口するシリンダー装着孔と、シリンダー装着孔に出没可能に挿入され、一端に補助掘削刃が固定された出没軸と、オイル流入通路およびオイル排出通路を通じて流入および排出される流体が流動するように拡張ユニットの内部に形成されたメーン流路と、一端がオイル流入通路およびオイル排出通路に連結され、他端が流体連結手段を介してメーン流路に連結されて掘削管内で拡張ユニットと延長ロードとの間に配置されるオイル管と、を備える。ここで、オイル管は、掘削管の内部に挿脱可能な延長ロードに連動してオイル流入通路およびオイル排出通路の内部に摺動することによって、メーン流路を通じて補助掘削刃を有する出没軸に対して持続的に油圧を作用させることを特徴とする。
【0012】
また、掘削管内で拡張ユニットと延長ロードとの間に配置され、一側にはオイル管の一端が連結される流路連結板と、一端が流路連結板の他側に連結され、他端が拡張ユニットのメーン流路に連通されるように掘削管内で流路連結板と拡張ユニットとの間に配置される流体連結手段である高圧柔軟ホースと、をさらに備えることもできる。
【0013】
さらに、一端がシリンダー装着孔内に固定され、他端が拡張ユニットの一側に突設され、内部には出没軸が摺動可能に装着されるシリンダーと、出没軸の内部に形成された流体チャンバーと、一端に形成されたヘッドが拡張ユニットに固定され、ヘッドから延びるロードが流体チャンバー内部に長手方向に沿って配置されるピストン軸と、出没軸の内壁と摺動接触するようにピストン軸のロードの先端部に固定されるピストンと、をさらに備えるようにしてもよい。ここで、ピストン軸の内部には、一端が拡張ユニットのメーン流路に連通され、他端がピストンの両側に露出する補助流路が形成される。ピストンを挟んで二つに区画された流体チャンバー内に流体が供給されることにより、出没軸の長さが伸縮することができる。
【0014】
また、拡張ユニットの上部内側には、シリンダー装着孔の開口方向に対して直交するように、逆止弁が設けられた弁溝を形成してもよい。ここで、逆止弁は、拡張ユニット内のメーン流路とピストン軸内の補助流路とを選択的に連結させる。これにより、補助掘削刃が外力によりシリンダー内に挿入することを阻止することができる。
【0015】
このように、本発明によれば、掘削スクリューの下側に出没式の補助掘削刃を有する拡張ユニットを装着する。そして、延長管と拡張ユニットに形成された連結流路を通じて供給される流体の圧力によって補助掘削刃を出没作動させることにより、掘削スクリューを経済的、かつ効果的に使用することができる。
【0016】
すなわち、掘削スクリュー内部の延長ロードにオイル流入通路およびオイル排出通路(以下、オイル流路ともいう)を形成し、掘削スクリューの下側に装着される拡張ユニットに別の補助オイル流入通路および補助オイル排出通路を形成する。これにより、延長型掘削スクリューの長さが可変しても下側の拡張ユニットに装着された補助掘削刃に持続的に油圧を作用させることができ、掘削地の掘削深さに応じて掘削スクリューの長さを可変させながら補助掘削刃を使用することができる。したがって、工期を短縮させることができ、施工効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、掘削地の掘削深さに応じて掘削スクリューの長さを可変させながら、補助掘削刃を使用することが可能な掘削スクリューを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
まず、図1〜図4に基づいて、本発明の実施形態にかかる油圧式補助掘削刃を備える延長型の掘削スクリューについて説明する。なお、図1は、本実施形態にかかる掘削スクリューの分離斜視図である。図2は、本実施形態にかかる掘削スクリューの要部を拡大して示した分離斜視図である。図3は、本実施形態にかかる掘削スクリューの全体組立状態を示す斜視図である。図4は、本実施形態にかかる掘削スクリューの全体組立状態を示す断面図である。
【0020】
本実施形態にかかる油圧式補助掘削刃を備える延長型の掘削スクリューは、チューブ状の掘削管20と、掘削管20の下段に結合され、補助掘削刃11、11’を有する拡張ユニット10と、掘削管20と拡張ユニット10の外周部に外嵌する螺旋状のスクリュー21と、掘削管20の内部に伸縮可能に設けられる延長ロード30と、オーガークレーンに取り付けるために延長ロード30の上部に設けられるカプラー31と、を含む。
【0021】
カプラー31は油圧系(図示せず。)から圧送されたオイルが流入するオイルホース33を含む。延長ロード30は、図5に示すように、オイルホース33を通じてオイルが流入するオイル流入通路32と、オイルホース33を通じてオイルが排出されるオイル排出通路32'とを含む。
【0022】
拡張ユニット10は、相異なる高さで横方向に形成されたシリンダー装着孔12、12'と、シリンダー装着孔12、12'に横方向に出没可能に装着され、一端には補助掘削刃11、11’が固定された出没軸17と、オイル流路32、32’を通じて流入および排出されるオイルが流動するように拡張ユニット10の内部に形成されたメーン流路15、15'(図4参照)と、一端がオイル流路32、32’に連結され、他端が流体連結手段の高圧柔軟ホース51、51'を介してメーン流路15、15'に連結され、掘削管20内で拡張ユニット10と延長ロード30との間に配置されるオイル管14、14’を含む。
【0023】
オイル管14、14'は、掘削管20の内部に挿脱可能な延長ロード30に連動してオイル流路32、32’の内壁に沿って摺動することによって、メーン流路15、15'を通じて補助掘削刃11、11’を有する出没軸17に連続的に油圧を作用させる。
【0024】
また、本実施形態の延長型掘削スクリューは、掘削管20内で拡張ユニット10と延長ロード30との間に配置され、一側にはオイル管14、14'の一端が連結される流路連結板50と、一端が流路連結板50の他側に連結され、他端が拡張ユニット10のメーン流路15、15'に連通するように掘削管20内で流路連結板50と拡張ユニット10との間に配置される流体連結手段の高圧柔軟ホース51、51'と、をさらに含む。
【0025】
ここで、掘削管20の回転により下側の拡張ユニット10との捻りが発生する場合、高圧柔軟ホース51、51'が捻りを相殺する。これにより、延長ロード30の内部に形成されたオイル流路32、32’内に摺動可能に配置されるオイル管14、14’の捻り変形や破損を防止することができる。
【0026】
このとき、図7に拡大して示すように、オイル管14、14'および油圧ホース50、50'の各先端は接続金具により密封して結合されている。また、延長ロード30の下側にはリテーナが封着され、オイル管14、14’がオイル流路32、32’に沿って移動する過程でのオイルの漏れを防ぐと共に、オイル管14、14’が円滑に摺動するように案内する。
【0027】
拡張ユニット10のシリンダー装着孔12、12'には、先端に補助掘削刃11、11’を有する出没軸17を支持するためのシリンダー16が装着される。シリンダー16の一端はシリンダー装着孔12、12'内に固定され、他端は拡張ユニット10の一側に突出して設けられる。シリンダー16の内部には出没軸17が摺動可能に装着される。出没軸17の内部には流体チャンバー17aが形成されており、流体チャンバー17aにはピストン軸18が挿入される。ピストン軸18の一端に形成されたヘッドは拡張ユニット10に固定され、ヘッドから延びるロードは流体チャンバー17a内部に長手方向に沿って配置される。ピストン軸18のロードの先端部には出没軸17の内壁と摺動接触するピストン19が固定されている。ピストン軸18が挿入される流体チャンバー17aの先端には漏油を防止するためのリテーナが封着されている。
【0028】
ピストン軸18が内部に挿入された流体チャンバー17aは、ピストン19により二つに区画される。ピストン軸18内には二つの補助流路19a、19bが形成されている。補助流路19a、19bの一端は拡張ユニット10のメーン流路15、15'に連通され、他端はピストン19を介して区画された二つの流体チャンバー17a内と連通され、二つの流体チャンバー17a内に選択的にオイルを供給する。ピストン19により区画された二つの流体チャンバー17a内に選択的にオイルを供給することによって、図8に示すように、出没軸17がシリンダー16の内部を伸縮することができる。
【0029】
また、拡張ユニット10の上部内側には、図9に示すように、横状の弁溝40、40’が形成され、その弁溝40、40'にはダブルパイロット逆止弁41、41'が設けられる。ダブルパイロット逆止弁41、41’は、拡張ユニット10内のメーン流路15、15'とピストン軸18内の補助流路19a、19bを選択的に連通させて、補助掘削刃11、11’が外力によりシリンダー16内に挿入することを阻止する。
【0030】
以上、本実施形態の延長型掘削スクリューの概略構成について説明した。このような構成を有する本実施形態の延長型掘削スクリューについてより詳細に説明すると、延長型掘削スクリューは掘削管20を備える。掘削管20の先端には、より深い領域の掘削工事を行うための挿脱式延長ロード30が装着される。この延長ロード30の先端にはカプラー31が形成されており、このカプラー31を利用して一般的なオーガークレーンに掘削スクリューを装着して使用する。
【0031】
また、掘削管20の下側には、出没式補助掘削刃11、11’を有する拡張ユニット10が装着される。掘削管20と拡張ユニット10の外周面には、図3に示すように、掘削管20の回転により掘削土砂を排出するための螺旋状のスクリュー21が長手方向にわたって連続して形成されている。
【0032】
このような掘削スクリューは、オーガークレーンから供給される流圧により補助掘削刃11、11’が出没するように構成されている。このため、延長ロード30には所定間隔をおいて離間した状態でオイル流路32、32’が延長ロード30の長手方向に沿って略平行に形成されている。カプラー31には、油圧系から供給される流体を伝達するオイルホース33が接続されている。したがって、オイルホース33とオイル流路32、32’が互いに連通されると、油圧系で供給されたオイルはオイル流入通路32を通じて流入し、オイル排出通路32'を通じて油圧系(図示せず。)に戻る。このとき、流体の進行方向はオーガークレーンの油圧制御系により制御できる。
【0033】
また、拡張ユニット10の上部には掘削管20が嵌合されており、掘削管20の内部には延長ロード30が伸縮可能に挿入される。すなわち、延長ロード30は、掘削管20から外側に延長したり掘削管内部に挿入して掘削スクリューの全長を調節できる。このとき、掘削管20の内部において、延長ロード30と拡張ユニット10との間にはオイル流路32、32’に連結されるオイル管14、14’が挿入されている。オイル管14、14'は流路連結板50を通じて各高圧柔軟ホース51、51'に連結され、高圧柔軟ホース51、51’は拡張ユニット10内に形成されたメーン流路15、15'に連通される。
【0034】
すなわち、図5に示すように、オイル管14、14'および高圧柔軟ホース51、51'がオイル流路32、32’に連通された状態で掘削管20の内部に挿入されているので、延長ロード30が掘削管20から伸張しても、図6に示すように、オイル管14、14'および高圧柔軟ホース51、51'によってオイル流路32、32’とメーン流路15、15'の流体連通状態がそのまま維持される。これにより、持続的な流体の流入と排出状態を維持することができる。
【0035】
拡張ユニット10の内部には、オイル管14、14'と高圧柔軟ホース51、51'を通じて供給されたオイルの圧力により補助掘削刃11、11’を出没させるためのメーン流路15、15'が形成されている。メーン流路15、15’は、掘削管20の長手方向に対して略垂直方向に拡張ユニット10を挟んで設けられた補助掘削刃11、11’をそれぞれ個別に出没させるために分岐されており、各補助掘削刃にそれぞれオイルを供給可能に形成されている。したがって、相異なる高さと方向を有する補助掘削刃11、11’が流体の作用とともに前進したり後退したりしながら出没することができる。
【0036】
また、拡張ユニット10には、図4に示すように、相異なる高さで対称方向に開口したシリンダー装着孔12、12’が形成されている。シリンダー装着孔12、12'の内には筒状のシリンダー16が挿入された状態で拡張ユニット10の半径方向外側に突出して設けられる。シリンダー16の内側には一端に補助掘削刃11、11’を有する出没軸17が挿入される。
【0037】
特に、出没軸17の内部には長手方向に沿って流体チャンバー17aが形成されており、流体チャンバー17aの内部にはピストン軸18が挿入される。ピストン軸18の一端を構成するヘッドにはボルトが締結される複数の締結孔が形成されており、シリンダー装着孔12、12'に対応して形成される。したがって、ピストン軸18は、これらの締結孔に螺合する複数のボルトによってシリンダー装着孔12、12'に強固に固定される。ピストン軸18のヘッドから延びるロードの先端部には、流体チャンバー17aの内壁と密着して摺動するピストン19が設けられる。ピストン軸18の内部には、図7に示すように、その長手方向に沿って延び、相違なる長さを有する補助流路19a、19bが形成されている。
【0038】
補助流路19a、19bの一端はメーン流路15、15'に連通され、他端はピストン19を挟んで両側にそれぞれ露出している。したがって、メーン流路15から供給された流体が補助流路19aを通じてピストン19により区画された一側(例えば、左側)の流体チャンバー17aに流入すると、図7に示すように、油圧によりピストン19が流体チャンバー17aの内壁に沿って摺動しながら出没軸17が矢印方向に沿って突出して、補助掘削刃11が長くなる。これとともに、ピストン19により区画された他側(例えば、右側)の流体チャンバー17a内の流体は、補助流路19bを通じてメーン流路15'から排出される。
【0039】
一方、図8に示すように、補助流路19bを通じてピストン19により区画された他側(例えば、右側)の流体チャンバー17aに流体が供給されると、油圧によりピストン19が流体チャンバー17aの内壁に沿って摺動し、出没軸17が矢印方向に沿って移動する。これにより、補助掘削刃11が短くなる。これとともに、ピストン19により区画された一側(例えば、左側)の流体チャンバー17a内の流体は、補助流路19aを通じてメーン流路15から排出される。
【0040】
前述したように、補助流路19a、19bはメーン流路15、15'に連通されているので、オイル流路32、32’、メーン流路15、15'、および補助流路19a、19bを通じて流体が供給されたり排出されたりする。このとき作用する油圧によって出没軸17が半径方向の外側に向かって伸張したり内側に挿入したりされ、その長さを可変にすることができる。これにより、補助掘削刃11、11'は、流圧を利用して遠隔で伸縮させることができ、所定深さの掘削はもちろん、深層掘削時にも掘削スクリューをより経済的、かつ効果的に使用することができる。
【0041】
このとき、掘削スクリューにより回転する補助掘削刃を利用して拡張掘削を行う場合、掘削管20および延長ロード30には下側に設けられた拡張ユニット10との捻りによるずれが生じる恐れがある。すなわち、掘削管20の内部で長手方向に伸縮する延長ロード30と拡張ユニット10との間には掘削管20の周方向の回転力により相互間に捻りが生じる恐れがある。このような捻りが生じると、金属からなるオイル管14、14'には大きな負荷および捻り応力が作用する。激しい場合にはオイル管14、14’が捻り変形や破損して故障の原因になることもある。
【0042】
特に、前述したように捻りが生じた状態で掘削管20内の延長ロード30が昇降する場合には、捻れた状態のオイル管14、14'の下側で破損や捻り変形による漏油またはオイル管14、14'の破損等の深刻な問題が発生する恐れがある。
【0043】
これを防止するために、本実施形態では掘削管20の下側内部に別の流路連結板50を設け、流路連結板50の上面にオイル管14、14'の下端を結合する。延長ロード30は、掘削管20内部において、流路連結板50の上側空間内で昇降可能となる。流路連結板50の下面には別の高圧柔軟ホース51、51'の先端が結合され、その高圧柔軟ホース51、51'の他端は拡張ユニット10内のメーン流路15、15'に連結される。
【0044】
これにより、回転掘削時に拡張ユニット10と上部掘削管20およびその内部延長ロード30との間に生じる捻りは、高圧柔軟ホース51、51'によって効果的に吸収および相殺されるようになる。高圧柔軟ホース51、51’は比較的軟質の弾性材質で形成されているので、ある程度の捻りが生じても流体の供給には全く支障を与えることがなく、前述のような問題点を根本的に解決できる。さらに、流路連結板50は掘削管20の内部に直接固定されるので、回転掘削時に生じる捻りに全く関係なく掘削管20と共に回転するようになり、上側のオイル管14、14'には捻りが全く加わらない。したがって、長期間にわたって安定に使用することができる。
【0045】
また、本実施形態の油圧式補助掘削刃を有する延長型掘削スクリューは、油圧により補助掘削刃11、11’が拡張して突出すると、その突出状態を維持するために持続的に流体を供給する。このとき、持続的に流体を供給する流体伝達システムに大きな無理があり、掘削時の圧力と衝撃荷重が加わるため、別の逆止弁を通して流体を制御する技術を利用することが好ましい。
【0046】
本実施形態では、図9に示すように、拡張ユニット10の先端に弁溝40、40’をシリンダー装着孔12、12’の開口方向に対して直交する横方向に形成する。そして、弁溝40、40'内には、ダブルパイロット逆止弁41、41'を設ける。ダブルパイロット逆止弁41、41’は、オイル流路32、32’に連結されるメーン流路15、15'とピストン軸18内の補助流路19a、19bとの間に設けられ、流路の開閉を制御する役割をする。
【0047】
すなわち、一側のオイル流入通路32から流体を供給すると、他側のオイル排出通路32’を通じて相当量の流体が排出されるようにしながら、流体の供給が終了すると、ダブルパイロット逆止弁41、41'の機能により開放された流路を遮断して高圧の流体の漏油を阻止する。したがって、流体の供給により突出した状態の補助掘削刃11、11'に外力が作用して逆方向へ挿入されることを防止できる。
【0048】
一方、他側のオイル排出通路32'に流体が供給されると、一側のオイル流入通路32が開放されて流体が排出される。このような状態は補助掘削刃が後退してシリンダー内に挿入する過程で行われる。後退が終了した状態においても、補助掘削刃11、11'はダブルパイロット逆止弁41、41'の流路遮断作用により任意に突出しない。
【0049】
このように、ダブルパイロット逆止弁41、41'により使用者の実質的な制御がある場合にだけ補助掘削刃を出没させることができるので、当該構成品の誤動作を防止でき、非常に経済的である。
【0050】
以上、本実施形態にかかる延長型掘削スクリューについて説明した。本実施形態の延長型掘削スクリューは、掘削長さの可変状態に連動して下側の拡張ユニットの補助掘削刃に持続的に油圧を作用させる。このような油圧により作動する補助掘削刃を有する延長型掘削スクリューを利用して掘削地の深さに応じて効果的に作業することができる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態にかかる掘削スクリューの分離斜視図である。
【図2】同実施形態にかかる掘削スクリューの要部を拡大して示す分離斜視図である。
【図3】同実施形態にかかる掘削スクリューの全体組立状態を示す斜視図である。
【図4】同実施形態にかかる掘削スクリューの全体組立状態を示す断面図である。
【図5】同実施形態にかかる掘削スクリュー内のオイル流入および排出通路を示す要部断面図である。
【図6】同実施形態にかかる掘削スクリューの長さ調節状態によって可変する流路を拡大して示す断面図である。
【図7】同実施形態にかかる掘削スクリューの補助掘削刃が油圧により前進して拡張した状態を示す断面図である。
【図8】同実施形態にかかる掘削スクリューの補助掘削刃が油圧により後退して縮小した状態を示す断面図である。
【図9】同実施形態にかかる掘削スクリューに形成された流路の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0053】
10 拡張ユニット
11、11' 補助掘削刃
12、12' シリンダー装着孔
14、14' オイル管
15、15' メーン流路
16 シリンダー
17 出没軸
17a 流体チャンバー
18 ピストン軸
19 ピストン
19a、19b 補助流路
20 掘削管
21 スクリュー
30 延長ロード
31 カプラー
32、32' オイル流入通路およびオイル出通路
33 オイルホース
40、40' 弁溝
41、41' ダブルパイロット逆止弁
50 流路連結版
51、51' 高圧柔軟ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の掘削管と、
前記掘削管の一端に結合され、補助掘削刃を有する拡張ユニットと、
前記掘削管と前記拡張ユニットの外周部に設けられるスクリューと、
前記掘削管の内部に伸縮可能に設けられる延長ロードと、
前記延長ロードの前記拡張ユニットと反対側である他端に設けられるカプラーと、
を備え、
前記カプラーは、油圧系から圧送される流体が流入するオイルホースを備え、
前記延長ロードは、
前記オイルホースを通じて流体が流入されるオイル流入通路と、
前記オイルホースを通じて流体が排出されるオイル排出通路と、
を備え、
前記拡張ユニットは、
相異なる高さで対称方向に開口するシリンダー装着孔と、
前記シリンダー装着孔に出没可能に挿入され、一端に前記補助掘削刃が固定された出没軸と、
拡張ユニットの内部に形成され、前記オイル流入通路および前記オイル排出通路を通じて流入および排出される流体が通過するメーン流路と、
一端が前記オイル流入通路および前記オイル排出通路に連結され、他端が流体連結手段を介して前記メーン流路に連結されており、前記掘削管内で前記拡張ユニットと前記延長ロードとの間に配置されるオイル管と、
を備え、
前記オイル管は、前記掘削管の内部に挿脱可能な前記延長ロードに連動して前記オイル流入通路および前記オイル排出通路の内部を摺動し、前記メーン流路を通じて前記出没軸に対して持続的に油圧を作用させることを特徴とする、掘削スクリュー。
【請求項2】
前記掘削管内で前記拡張ユニットと前記延長ロードとの間に配置され、一側には前記オイル管の一端が連結される流路連結板と、
一端が前記流路連結板の他側に連結され、他端が前記拡張ユニットの前記メーン流路に連通され、前記掘削管内で前記流路連結板と前記拡張ユニットとの間に配置される前記流体連結手段である高圧柔軟ホースと、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の掘削スクリュー。
【請求項3】
一端が前記シリンダー装着孔内に固定され、他端が前記拡張ユニットの一側に突出して設けられ、内部には前記出没軸が摺動可能に装着されるシリンダーと、
前記出没軸の内部に形成された流体チャンバーと、
一端に形成されたヘッドが前記拡張ユニットに固定され、前記流体チャンバー内部に長手方向に沿って前記ヘッドから延びるロードが形成されるピストン軸と、
前記出没軸の内壁と摺動接触するように前記ピストン軸の前記ロードの先端部に固定されるピストンと、
をさらに備え、
前記ピストン軸の内部には、一端が前記拡張ユニットの前記メーン流路に連通され、他端が前記ピストンの両側に露出する補助流路が形成されており、
前記ピストンを挟んで二つに区画された前記流体チャンバー内に流体が供給されることにより、前記出没軸の長さが伸縮することを特徴とする、請求項1に記載の掘削スクリュー。
【請求項4】
拡張ユニットの上部内側には、前記シリンダー装着孔の開口方向に対して直交するように、逆止弁が設けられた弁溝が形成され、
前記逆止弁は、前記拡張ユニット内の前記メーン流路と前記ピストン軸内の前記補助流路とを選択的に連結させることを特徴とする、請求項3に記載の掘削スクリュー。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−291634(P2008−291634A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45248(P2008−45248)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(508059557)デウォン エレクトリック カンパニー リミッテッド (5)
【Fターム(参考)】