説明

掘削パターン変更方法、削岩装置、およびソフトウェア製品

本発明は、掘削パターン変更方法およびソフトウェア製品、ならびに削岩装置に関するものである。掘削を行う前に、位置を変更すべき1または複数の穴(23)を、掘削パターン(22)から選択してよい。穴の新たな位置(37)が掘削ユニット(5)によって割り当てられ、次いで掘削パターンが更新される。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、掘削パターンを変更する方法に関するものである。本方法では、操作者が、削岩装置の制御ユニットにダウンロードされた掘削パターンを、その実行前に変更する。本発明はまた、制御ユニットにダウンロードされた変更可能な掘削パターンを備える削岩装置に関する。本発明はさらに、前記方法を実行するソフトウェア製品に関するものである。本発明の要旨は、本願の独立請求項の前段に、さらに詳細に規定されている。
【0002】
通常、岩盤は所定の計画に従って掘削する。岩盤を爆破によって所望の方法で破壊するために、穴をあらかじめ設定した掘削パターンに応じて一回毎に掘削する。一般的に、このような掘削パターンは、少なくとも掘削する穴の開始点および方向を定める。また、掘削深度や穴の直径など、掘削に関するその他の情報を定めてもよい。掘削パターンの設計は掘削現場外で行われる室内での作業であるため、掘削パターンの設計者は、個々の掘削現場の状態に関する正確な情報を持っているわけではない。また、掘削パターンは事前に設計されるので、爆破時に起こり得る失敗を掘削パターンの設計時に考慮するのは不可能である。そのため、掘削パターンを掘削現場でも変更できるようにする必要がある。操作者が、削岩装置の制御ユニットの表示装置上で、キーボード、マウス、またはその他の表示ユニットのユーザ・インターフェースのポインティング・デバイスを使用して掘削パターンを変更することは周知のことである。しかし、問題は、少なくとももっと複雑な変更を行う場合、表示装置で予定外の変更を行うことも有り得るということであり、こういった変更を行うことは実際問題として困難であるか、実行不可能でさえある。これは少なくとも、掘削が三次元で行われる作業であるのに対し、表示装置は状態を二次元パターンで示すという事実が一因となっている。
【発明の簡単な説明】
【0003】
本発明は、掘削現場において掘削パターンを変更する、新規で改善された方法およびソフトウェア製品、ならびに掘削現場で掘削パターンを変更する新規で改善された手段を実行可能な削岩装置を提供することを目的とする。
【0004】
本発明による方法は、掘削パターン中の少なくとも1つの穴を選択して、選択した穴の開始点の位置を掘削ユニットの位置に関連付け、掘削ユニットを手動で掘削現場の目的の位置に移動させ、選択した穴の開始点を、元の位置から掘削ユニットが示す新たな位置に再位置決めして、掘削パターンを変更することを特徴とする。
【0005】
本発明による削岩装置は、制御ユニットがユニット自体にソフトウェア製品をダウンロードし、ソフトウェア製品を実行すると、次の一連の手順を行うものである。すなわち、操作者が示す掘削パターン中の少なくとも1つの穴を選択し、選択した穴の開始点の位置を掘削ユニットの位置と関連付け、掘削パターンにおいて、選択した穴の開始点を、手動で移動される掘削ユニットに対応して、当初の位置から新しい位置に変更し、掘削パターンを実行された変更に基づいて更新することを特徴とする。
【0006】
本発明によるソフトウェア製品は、実行により次の一連の手順を行うものである。すなわち、操作者が示す掘削パターン中の少なくとも1つの穴を選択し、選択した穴の開始点の位置を掘削ユニットの位置と関連付け、掘削パターンにおいて、選択した穴の開始点を、手動で移動される掘削ユニットに対応して元の位置から新しい位置に変更し、掘削パターンを実行された変更に基づいて更新することを特徴とする。
【0007】
本発明の基礎をなす考えは、掘削ユニットを掘削パターンの変更に利用することにある。最初に、操作者が何らかの理由により開始点の位置を変更したい1または複数の穴を、掘削パターンから選択する。制御ユニットでは、再位置決めされる穴の位置が、掘削ユニットの実際の位置に関連付けられる。操作者は手動で掘削ユニットを操作して、掘削現場の所望の位置に移動させ、次に制御ユニットが、再位置決めされる穴に対して、掘削ユニットによって指定された新たな更新された位置を割り当てる。
【0008】
本発明の利点は、操作者が、簡便で図を用いた方法で、掘削パターンを掘削現場で変更することができることである。穴の位置は掘削ユニットによって再位置決めされるため、再位置決めされた穴を実際に掘削することも可能であることが自動的に保証される。さらに、操作者は、掘削現場におけるすべての許容スペースを有効利用することができる。それに加えて、操作者は、ブームの関節によって可能となる掘削ブームの経路と位置とを確かめることができるとともに、複数の掘削ユニットが同時に掘削に使用されている場合においても、必要なスペースをどのように考慮すればよいかを判断することができる。また、このような図示の利点は、実現される変更の速さにある。
【0009】
実施形態の基礎をなす考えは、再位置決めすべき穴を、制御ユニットの表示装置上でポインティング・デバイスを用いて選択することにある。ポインティング・デバイスは、たとえば、ジョイスティック、マウス、キーボード、タッチスクリーンなどでよく、これにより、掘削パターンにおいて1つ以上の穴を変更のために選択することができる。また、掘削ユニットの手動操作装置を接続して、表示装置のポインティング・デバイスを一時的に操作してもよい。表示装置を使用すれば、迅速かつ具体的に穴を選択することができる。
【0010】
実施形態の基礎をなす考えは、再位置決めする穴を、制御ユニットにその穴のIDタグなどを規定して選択することにある。
【0011】
実施形態の基礎をなす考えは、選択した穴の位置を、掘削ユニットを移動させるのと同時に再位置決めすることにある。
【0012】
実施形態の基礎をなす考えは、掘削ユニットが目的の位置に移動され、操作者が再位置決めを承認した後にのみ、選択した穴の位置を再位置決めすることにある。
【0013】
実施形態の基礎をなす考えは、再位置決めすべき穴の元の位置と新たな位置との両方を制御ユニットの表示装置に表示することにある。これにより、操作者は変更後の状態と元の状態とを容易に比較することができ、変更の度合いおよび影響を判断することができる。
【0014】
実施形態の基礎をなす考えは、穴の群を構成する掘削パターン中の複数の穴を再位置決めのために選択することにある。穴群に属するすべての穴の開始点を、掘削ユニットが新しい位置を示すのと同時に再位置決めする。ただし、互いに対する穴の開始点の相対的な位置は再位置決め中に変更せずにおく。当然のことながら、再位置決め後に、操作者が穴群の穴の相対的な位置も同様に変更してよい。本実施形態では、操作者が掘削パターンを手早く簡単に変更することができる。操作者は、掘削パターンの任意の部分、たとえば、あるカットおよびそこに関連する穴を選択した後、そのカットに新たな位置を割り当ててもよい。
【0015】
実施形態の基礎をなす考えは、再位置決めすべき穴の掘削方向を変更せずにおくことにある。このような場合、掘削ユニットによって実行される変更は、単に穴の開始点の位置のみに関連する。したがって、再位置決め後、穴の掘削方向は元のままである。しかし、必要に応じて、穴の方向を後で変更してもよく、たとえば、新しい掘削方向を制御ユニットのユーザ・インターフェースを用いて入力してもよい。
【0016】
実施形態の基礎をなす考えは、掘削ユニットを、手動で移動させた位置に任意の掘削方向に配置することにある。また、再位置決めすべき1または複数の穴の掘削方向を、掘削ユニットの掘削方向に一致するように変更する。そのため、本実施形態では、掘削ユニットの位置および方向を、掘削パターンの変更に利用する。操作者は掘削場所を確認することができ、掘削ユニットを適切な掘削方向に配置することができる。
【0017】
実施形態の基礎をなす考えは、制御ユニットが再位置決めした穴の新たな方向を提示することにある。制御ユニットは方向を提示して、その方向を用いることで再位置決めした穴の端部点を元の位置における端部点とほぼ一致するようにしてもよく、あるいは、別の基準に基づいて方向を提示してもよい。操作者は、掘削ユニットが提示する方向を、承認もしくは否認してよい。本実施形態は、掘削パターンの変更をより迅速に行うことができる。
【0018】
実施形態の基礎をなす考えは、穴の位置を制御ユニットの表示装置に第1の記号で示すことにある。さらに、同時に再位置決めする複数の穴を、穴の群を構成するために選択し、共通把握領域を再位置決めする穴群用に一箇所決定し、把握領域の位置を第2の記号で表示装置に示す。次に、手動で掘削ユニットを移動させて掘削パターンを変更し、それにより、第1の記号の位置が表示装置上で更新されるようにする。再位置決めすべき穴群の第2の記号は、第1の記号とともに動くか、または、操作者が再位置決めを承認した後にのみ動く。穴群の変更後、第1の記号および第2の記号を上下に配し、その状態を最終的に表示装置に表示する。
【0019】
実施形態の基礎をなす考えは、掘削パターンを変更するために、ソフトウェア製品を、メモリスティック、メモリディスク、ハードディスク、情報ネットワーク・サーバーなどの記憶装置または記憶手段から削岩装置の制御ユニットにダウンロードすることにあり、制御ユニットにおけるソフトウェア製品を実行すれば、本願で述べる一連の手順が行われる。
【0020】
実施形態の基礎をなす考えは、掘削パターン中の1または複数の穴を新たな位置に再位置決めし、その位置においてこれらの穴に少なくとも新たな開始点座標を割り当てるとともに、新たな終点座標、新たな穴方向角度、および新たな穴の長さのうちの1つ以上を割り当てることにある。
【0021】
実施形態の基礎をなす考えは、掘削パターン中の1または複数の穴を掘削ユニットが示す新たな位置に再位置決めした後、再位置決めした穴に関する限りにおいて、また、再位置決めした穴に起因して必要となる、この特定の方法で再位置決めされない穴の変更を考慮して掘削パターンを更新することにある。掘削パターンの変更に使用されるソフトウェア製品は、再位置決めされた穴の周辺に位置する穴のパラメータを、または他のすべての穴のパラメータも、実行された再位置決めに基づいて変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明のいくつかの実施例を、添付の図面により詳細に描写する。
【図1】削岩装置を示す概略側面図である。
【図2】削岩装置の制御手段を概略的に示す図である。
【図3】xz方向から見た掘削パターンを概略的に示す図である。
【図4】変更前の掘削パターン中のいくつかの穴を、概略的に制御ユニットの表示装置に示した図である。
【図5】変更後の図4による穴を、概略的に制御ユニットの表示装置に示した図である。
【図6】穴面およびさまざまな掘削状態を概略的に示すyz投影図である。
【図7】操作装置のユーザ・インターフェースをより概略的に示す図である。 明確にするため、図面では本発明のいくつかの実施例を簡略的に示す。図中、類似する要素は、同様の参照符号で表す。
【発明のいくつかの実施例の詳細な説明】
【0023】
図1に示す削岩装置1は、1または複数の掘削ブーム3を備えた可動運搬装置2を含む。掘削ブーム3は、1つ以上のブーム部3a、3bで構成されてもよく、このブーム部は、いろいろな方法でさまざまな方向に動くことができるよう関節部4によって相互に連結され、また運搬装置2とも連結されてよい。また、各掘削ブーム3の自由端には掘削ユニット5が備えられていてよく、掘削ユニット5は送りビーム6、送り装置7、削岩機8、および工具9を含んでよく、工具9の外端部にはドリルビット9aが設けられていてよい。削岩機8は、送り装置7によって送りビーム6に対して動いてよく、それにより、掘削時に工具9は岩盤10に向かって送り出される。削岩機8は、工具9に応力パルスを伝える打撃装置を含んでよく、またさらに、工具9をその長手軸方向に対して回転させる回転装置を含んでよい。削岩装置1はさらに、掘削を制御する1つ以上の制御ユニット11を含んでよい。制御ユニット11は、ソフトウェア製品を実行する1または複数の処理装置、プログラム可能な論理回路、または同等の装置を含んでいてもよく、このソフトウェア製品の実行が本発明による方法を実現する。また、制御ユニット11には、少なくとも掘削する穴の位置および方向を決定する掘削パターンが規定されていてもよい。下記の図3は、掘削パターン22を示す。さらに制御ユニット11には、少なくとも穴の掘削順序をさらに決定する掘削シーケンスが規定されていてもよい。制御ユニット11は、掘削ブーム3を動かす作動装置、送り装置7、さらには掘削ユニット5の位置決めに作用する他の作動装置に指示を与えてもよい。さらに、1つ以上のセンサ12を掘削ブーム3の関節部4に対して設けてもよく、また、1つ以上のセンサ13を掘削ユニット5に対して設けてもよい。センサ12、13から得られる測定情報は制御ユニット11に伝達されてよく、制御ユニット11は、測定情報に基づいて、制御のために掘削ユニット5の位置決めおよび方向決めを行ってもよい。制御ユニット11は、掘削ユニット5の位置を、ドリルビット9aの位置として、および工具9の長手軸方向として処理するものであってよい。
【0024】
図2には手動操作装置16を示し、手動操作装置16は、削岩装置1の操作室17aまたは掘削プレーン17bに設けられて、掘削を手動で操作する場合に、操作者18が掘削ユニット5を所望の位置に動かすことを可能にする。掘削パターンは、制御ユニット11の表示装置20を用いて操作者に示してもよい。また、掘削ユニット5の位置は、センサ12、13から得られる測定情報に基づいて、表示装置20によって表示されてよい。さらに、ジョイスティックなどの別個のポインティング・デバイス21が、表示装置20に関連して設けられていてもよく、これにより制御ユニット11に指示を与えることができる。操作者18は、ポインティング・デバイス21で1または複数の穴を選択し、掘削ユニット5を手動操作装置16によって所望の位置に動かすことで、表示装置20に表示される掘削パターンを変更してよく、これにより、制御ユニット11に設定された制御計画は、掘削ユニット5の位置に基づいて、選択された穴に新たに更新された位置をどのように割り当てるのか知る。
【0025】
図3は掘削パターン22を示し、掘削パターン22にはいくつかの列24〜26に配列された複数の穴の位置23が規定され、これらの列は、ある列が他の列の内側に位置する。さらに、掘削パターンには、内側の穴列26とカット28の間の部分全体に配された領域穴27も規定されていてよい。2つ以上の領域穴27で領域穴要素を構成してもよい。通常、カット28もいくつかの穴を含んでいる。掘削パターン22では、穴23の位置を丸29で表してもよい。また、各穴23の方向を、方向線30で掘削パターン22に示してもよい。図3に示す掘削パターン22のxz投影またはその他の投影を、制御ユニット11の表示装置20に示してもよい。
【0026】
図4は、表示装置20上に表示された穴群31を示し、穴群31は、4つの穴23a〜23dからなり、操作者が再位置決めのために選択したものである。穴群31の穴は、たとえば表示装置20のカーソルまたは同様のポインティング・デバイスを動かして選択してもよい。あるいは、操作者が、自分で選んだ穴のタグを制御ユニットに与えてもよい。また、掘削パターン22を設計する時点で、2つ以上の穴23が穴群31を構成するように規定することもできる。掘削パターン22は種々の穴群31を含んでもよく、たとえば、領域穴群、カット穴群などが挙げられる。選択された穴群31およびそこに含まれる穴23a〜23dを、たとえば色を用いたり、異なる太さの線を使用したりして、または異なる明度にすることで明示効果を高めて、表示装置20に注意を引き付けるように表示してよい。さらに、制御ユニット11は穴群31用の把握領域32を自動的に決定してもよく、あるいは操作者が手動で把握領域32の位置を決定してもよい。穴群31のすべての穴27は、把握領域32を用いて同時に制御される。さらに、掘削ユニット5の実際の位置を表示装置20に記号34で示し、その位置を方向線35で示してよい。
【0027】
図5は穴群31’を太線で示し、この穴群は当初の位置36から新たな位置37に再位置決めされたものである。本図には把握領域32が示されていないが、これは、この領域の位置が掘削ユニット5を示す記号34の位置と一致するからである。また、穴23の開始点の他に、掘削方向30’を掘削ユニット5の方向35と一致するように変更してもよい。操作者が再位置決めを承認して掘削パターン22を更新したら、元の穴23a〜23dは表示から削除してもよい。ただし、必要に応じて、たとえば元の掘削パターンを後に復帰させる場合などに、削除した穴を後で画面に表示し直すことも可能である。
【0028】
図6は、たとえば、トンネル面10a、天井10b、および床10cを含むトンネルなど、掘削現場の一状態を示す。トンネル面10aまたは天井10bに、発破用の穴が掘られる。岩盤がいつも発破できれいに爆砕されるわけではないため、掘削現場を規定する外面は常に平坦で滑らかなわけではない。したがって、掘削パターン22を掘削現場で変更しなければならないこともある。たとえば、図6による元の掘削パターン中の穴38は、でこぼこした床のせいで掘削ユニット5を定められた開始点および掘削方向に配置できないために、まったく掘削することができない。したがって、特定の穴の位置および方向を変更しなければならない。また、図6における状況では、掘削ユニット5を使用して穴39を掘ることも不可能であり、そのため、掘削パターンを変更して、方向および可能であれば穴の位置を変更して地点39’に再位置決めし、これによって特定の穴を掘削できるようにする。
【0029】
図7は、削岩装置の制御ユニット11の表示装置20、およびそのユーザ・インターフェースを示す。制御指示は、キーボード40およびポインティング・デバイス21を用いて与えてよい。制御ユニット11は1つ以上のデータ通知ユニット41を備えてよく、この通信ユニットを介して、制御ユニット11はセンサ12、13ならびに削岩装置1に属する作動装置に有線接続または無線接続して、測定情報および制御指示の伝達を行ってよい。また、制御ユニット11は、ソフトウェア製品を読み込み、制御パラメータを供給する1つ以上の読取装置を備えていてもよい。あるいは、情報をキーボードまたはデータ通信接続を利用して、制御ユニット11の記憶装置に供給してもよい。制御ユニット11は1つ以上の処理装置または同様の電子装置を備えてもよく、それにより本発明による変更措置を行うソフトウェア製品を実行する。ソフトウェア製品は記憶手段から読み出し可能であり、あるいは他のコンピュータまたは情報網からダウンロードしてもよい。一方、ソフトウェア製品はいわゆるハードウェア方式としてもよい。
【0030】
また、掘削パターン中の1つ以上の穴を、操作者18が、掘削ユニットが示す新たな位置に再位置決めすることも可能であり、その後、制御ユニット11は、再位置決めされた穴に関する限りにおいて、また、再位置決めされた穴に起因して必要となる、掘削ユニットによる新たな位置の割り当てがなされていない穴の変更を考慮に入れて、掘削パターンを更新する。削岩装置の制御ユニット11で実行されて掘削パターンの変更に使用されるソフトウェア製品は、再位置決めされた穴を囲む穴のパラメータを、または掘削パターン中の他のすべての穴のパラメータを、実行した再位置決めに基づいて変更してもよい。あるいは、掘削パターンの穴を他の制御ユニットで更新してもよく、この制御ユニットとは、削岩装置の制御ユニット11がデータ通信接続を通じて通信してもよい。このような場合、たとえば、亀裂の入った岩盤または他の質の悪い岩盤が原因で、操作者18がカット28に対して新たな位置を提示すると、削岩装置の制御ユニット11はカットに新たな更新された位置を示し、さらに、削岩装置の制御ユニット11または外部制御ユニットは、カットの元の位置に新たに位置決めすべき1つ以上の穴を決定するとともに、カットの新たな位置の近くの穴のパラメータを変更してもよい。制御ユニットは掘削パターンに加えられた変更を認識して、必要に応じて、再位置決めされた穴または穴群を考慮に入れて掘削パターン全体の再変更も行ってもよい。これは、岩盤を1回の作業で計画通りに破壊できるか確認するためである。変更を容易にするために、掘削パターンはさらに事前に設定したアルゴリズムを含んでもよく、これにより制御ユニットにおける変更を容易にする。
【0031】
トンネル、地下貯蔵ホールおよびその他の地下施設の掘削に加え、本発明による方式をベンチ式掘削などの削岩を要する他の掘削計画に適用してもよい。
【0032】
場合によっては、本願に開示される特徴自体を、他の特徴に関係なく用いてもよい。それとは反対に、必要に応じて、本願に開示される特徴を組み合わせて、別の組み合わせを規定してもよい。
【0033】
図面およびそれに関連する説明は、単に本発明の概念を例示するためのものである。その詳細において、本発明は特許請求の範囲内で変更可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの掘削ブーム(3)と、該掘削ブーム(3)に取り付けられた掘削ユニット(5)と、該掘削ユニット(5)の位置および方向を測定する少なくとも1つのセンサ(12、13)と、ユーザ・インターフェースおよびダウンロードされた掘削パターン(22)を備える少なくとも1つの制御ユニット(11)と、前記掘削ユニット(5)の位置を手動で操作するための少なくとも1つの操作部(16)とを含み、前記掘削パターン(22)は少なくとも掘削する穴(23)の開始点(29)および掘削方向(30)を決定する削岩装置(1)において、
前記制御ユニット(11)の表示装置(20)に前記掘削パターン(22)に応じた穴の開始点(29)を表示し、
掘削に先立って前記削岩装置(1)の該掘削パターン(22)を変更し、
該変更を行う毎に該掘削パターン(22)を更新する前記削岩装置の掘削パターン変更方法において、
該掘削パターン(22)中の少なくとも1つの穴(23)を選択して、該選択した穴の開始点(29)の位置を前記掘削ユニット(5)の位置に関連付け、
該掘削ユニット(5)を手動で掘削現場の所望の位置に移動させ、
前記選択した穴の開始点を、元の位置(36)から該掘削ユニット(5)によって示された新たな位置(37)に再位置決めすることで、該掘削パターン(22)を変更することを特徴とする掘削パターン変更方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記制御ユニット(11)の前記表示装置(20)で再位置決めすべき穴(23)は、ポインティング・デバイス(21)を用いて選択することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記再位置決めすべき穴(23)の元の位置を、その新たな位置とともに前記制御ユニットの前記表示装置(20)に表示することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法において、
再位置決めのため、前記掘削パターン(22)中の穴群を構成する複数の穴(23)を選択し、
該穴群に属するすべての穴の開始点を前記制御ユニット(5)が示す新たな位置に同時に再位置決めし、
再位置決めの際に変更されなかった互いに対する穴の開始点の相対的な位置を維持することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の方法において、
前記再位置決めすべき穴(23)の掘削方向(30)は変更せずにおくことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の方法において、
前記掘削ユニット(5)を、手動で移動された位置において所望の掘削方向に配し、
前記再位置決めすべき穴(23)の掘削方向(30)を変更して、該掘削ユニット(5)の掘削方向に一致させることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の方法において、
前記制御ユニットの前記表示装置(20)に、前記掘削ユニット(5)の位置を第1の記号で表示し、
穴群を構成すると共に、再位置決めすべき複数の穴を選択し、
該再位置決めすべき穴群の共通の把握領域を一箇所決定して、その位置を前記表示装置(20)に第2の記号で表示し、
該表示装置(20)に、該再位置決めすべき穴群の再位置決め後の状況を、第1の記号および第2の記号を上下に表示することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の方法において、
前記再位置決めされた少なくとも1つの穴に基づいて、前記掘削パターン中の少なくとも1つの別の穴を変更することを特徴とする方法。
【請求項9】
可動運搬装置(2)と、
少なくとも1つの掘削ブーム(3)と、該掘削ブーム(3)に取り付けられた送りビーム(6)、送り装置(7)によって該送りビーム(6)に対して移動可能な削岩機(8)、および該削岩機(8)に連結可能な工具(9)を含む掘削ユニット(5)と、
少なくとも掘削すべき穴の開始点(29)および掘削方向(30)を決定する掘削パターン(22)を与えられた少なくとも1つの制御ユニット(11)と、
前記掘削パターン(22)を表示可能な該制御ユニットの表示装置(20)と、
前記掘削ユニット(5)を手動で操作する少なくとも1つの操作部(16)と、
該掘削ユニット(5)の位置および方向を決定する少なくとも1つのセンサ(12、13)とを含む削岩装置において、
前記制御ユニット(11)は、該ユニットにソフトウェア製品をダウンロードし、該ソフトウェア製品を実行すると、
操作者(18)が示す前記掘削パターン中の少なくとも1つの穴(23)を選択し、該選択した穴の前記開始点(29)の位置を前記掘削ユニット(5)の位置と関連付け、
該掘削パターン(22)において、該選択した穴の開始点を、手動で移動される前記掘削ユニット(5)に対応して、元の位置(36)から新しい位置(37)に変更し、
該掘削パターン(22)を実行された変更に基づいて更新する一連の手順を行うことを特徴とする削岩装置。
【請求項10】
可動運搬装置(2)と、少なくとも1つの掘削ブーム(3)と、該掘削ブーム(3)に取り付けられた送りビーム(6)、送り装置(7)によって該送りビーム(6)に対して移動可能な削岩機(8)、および該削岩機(8)に連結可能な工具(9)を含む少なくとも1つの掘削ユニット(5)と、少なくとも掘削すべき穴の開始点(29)および掘削方向(30)を決定する掘削パターン(22)を有する少なくとも1つの制御ユニット(11)と、前記掘削パターン(22)を表示可能な該制御ユニットの表示装置(20)と、前記掘削ユニット(5)を手動で操作する少なくとも1つの操作部(16)と、該掘削ユニット(5)の位置および方向を決定する少なくとも1つのセンサ(12、13)とを含む削岩装置(1)における掘削パターンを掘削に先立って変更するソフトウェア製品において、
該ソフトウェア製品は、実行すると、
操作者(18)が示す前記掘削パターン中の少なくとも1つの穴(23)を選択し、該選択した穴の前記開始点(29)の位置を前記掘削ユニット(5)の位置と関連付け、
該掘削パターン(22)において、該選択した穴(23)の開始点(29)を、手動で移動される前記掘削ユニット(5)に対応して、元の位置(36)から新しい位置(37)に変更し、
該変更を行う毎に該掘削パターン(22)を更新する一連の手順を行うことを特徴とするソフトウェア製品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−525192(P2010−525192A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503535(P2010−503535)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050188
【国際公開番号】WO2008/125735
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】