説明

掘削作業監視システムおよび掘削作業監視方法

【課題】 掘削作業を行う際に、より確実かつ容易に、地下埋設物への損傷を監視する。
【解決手段】 地下埋設物100の上方に埋設された光ファイバ2と、光ファイバ2の一端から光パルスを入射し、反射された光に基づいて光ファイバ2における曲げや切断などの異常を検出する検出器3とを備える。地下埋設物100の埋設場所を油圧ショベル101で掘削すると、バケット101aがまず光ファイバ2に当たり、光ファイバ2が曲がったり切れたりし、検出器3によって光ファイバ2の異常が検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、掘削作業を行う場合に、既設の地下埋設物への損傷を監視する掘削作業監視システムおよび掘削作業監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路や私有地などを掘削する場合、誤って既設の電力線、通信線、ガス管、水道管などの地下埋設物に損傷を与えるおそれがある。このため、地下埋設物が埋設されていることを示す埋設標示テープを、地下埋設物の上方に埋設することで、掘削作業者に注意を喚起する予防方法が採られている。また、表示テープ本体に長手方向に沿って電線が配設された埋設標示テープが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この埋設標示テープは、地下埋設物の上方に埋設された状態で、電線に電流を流して磁界を発生させ、この磁界を地上から検知することで、地下埋設物の位置を探知できる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06−65677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電力線や通信線、水道管などは、重要なライフラインであり、誤って損傷を与えた場合には、その影響が大きい一方、地中に埋設されているため、位置の確認や復旧に長時間を要する。このため、誤って損傷を与えないような予防措置や、損傷を与えてしまった場合の迅速な対応などが、より求められる。これに対して、従来の予防方法では、地下埋設物の上方を誤って掘削しても、そのことが地下埋設物の所有者・管理者などには通知されず、しかも、掘削した場所やその程度も把握することができず、適切な対応が困難であった。
【0005】
また、特許文献1に記載の埋設標示テープでは、電線に電流を流して地上から磁界を検知するため、地下埋設物の存在を認識している掘削作業者のみが行えるものである。つまり、地下埋設物の存在を認識していない掘削作業者が、電線に電流を流して磁界を検知する、という行為を行うことはなく、従って、認識していない者が誤って地下埋設物に損傷を与える、という不具合を防止することができない。しかも、磁界検知器を地面に接近、走査させて磁界を検知するため、地下埋設物の探知に多大な時間と労力を要する。
【0006】
そこでこの発明は、掘削作業を行う場合に、より確実かつ容易に、地下埋設物への損傷を監視することが可能な掘削作業監視システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、地下埋設物の上方に埋設された光ファイバと、前記光ファイバの一端から光パルスを入射し、反射された光に基づいて前記光ファイバにおける曲げや切断などの異常を検出する検出手段と、を備えることを特徴とする掘削作業監視システムである。
【0008】
この発明によれば、地下埋設物が埋設されている場所を油圧ショベル・ショベルカーなどで掘削した場合、バケットがまず光ファイバに当たり、光ファイバが曲がったり、切れたりする。このとき、検出手段によって、光ファイバの一端から入射された光パルスの反射光(後方散乱光)に基づいて、光ファイバの異常が検出される。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の掘削作業監視システムにおいて、前記検出手段は、前記反射された光に基づいて前記異常の位置を検出する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の掘削作業監視システムにおいて、前記検出手段による検出結果を、予め登録された監視センタに送信する通信手段を備える、ことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、油圧ショベルのバケットなどが光ファイバに当たり、光ファイバが曲がったり、切れたりすると、その異常などが検出手段によって検出され、異常が発生したことなどが、通信手段によって監視センタに送信される。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1から3に記載の掘削作業監視システムにおいて、前記検出手段による検出結果を表示する表示手段を備える、ことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、油圧ショベルのバケットなどが光ファイバに当たり、光ファイバが曲がったり、切れたりすると、その異常などが検出手段によって検出され、異常が発生したことなどが、表示手段に表示される。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1から4に記載の掘削作業監視システムにおいて、前記光ファイバは、地下埋設物が埋設されていることを示す埋設標示テープに配設されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、地下埋設物の上方に光ファイバを埋設し、前記光ファイバの一端から光パルスを入射し、反射された光に基づいて前記光ファイバにおける曲げや切断などの異常を検出する、ことを特徴とする掘削作業監視方法である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1および6に記載の発明によれば、地下埋設物が埋設されている場所を掘削した場合、まず光ファイバが曲がったり切れたりし、光ファイバの異常が検出される。このため、地下埋設物に損傷を与える前に、地下埋設物の存在を知得して、より確実に掘削を止めることなどが可能となる。しかも、掘削作業の前に予め地下埋設物を探索・探知する必要がなく、容易に監視することが可能となる。このようにして、より確実かつ容易に、地下埋設物への損傷を監視することが可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、検出手段によって光ファイバの異常の位置、つまり掘削位置も検出されるため、地下埋設物に損傷を与えないための予防措置や、損傷を与えてしまった場合の対応などを、適正かつ迅速、容易に行うことが可能となる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、光ファイバに異常が生じた旨、つまり地下埋設物が埋設されている場所が掘削された旨が、監視センタに送信されるため、監視センタの技術員などによって、適正かつ迅速な対応を行うことが可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、光ファイバに異常が生じた旨、つまり地下埋設物が埋設されている場所が掘削された旨が、表示手段に表示されるため、掘削作業現場の監督者などによって、適正かつ迅速な対応を行うことが可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、光ファイバが埋設標示テープに配設されているため、埋設標示テープを地中に埋設することで、光ファイバを容易かつ安定して埋設することができる。しかも、埋設標示テープによって、地下埋設物が埋設されていることを掘削作業者に注意喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1に係る掘削作業監視システムを示す概略構成図である。
【図2】図1のシステムの埋設標示テープを示す平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2の埋設標示テープと地下埋設物との埋設位置関係を示す図である。
【図5】図1のシステムの検出器の概略構成ブロック図である。
【図6】図5の検出器による検出波形を示し、(a)は、光ファイバに曲げが生じた場合の波形、(b)は、光ファイバが切断された場合の波形を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る掘削作業監視システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、この実施の形態に係る掘削作業監視システム1を示す概略構成図である。この掘削作業監視システム1は、掘削作業を行う場合に、既設の地下埋設物100への損傷を監視するシステムであり、主として、光ファイバ2と、検出器(検出手段)3とを備えている。ここで、地下埋設物100として、電力線、通信線、ガス管、水道管などが挙げられるが、この実施の形態では、地下埋設物100が送配電線の場合について、主として説明する。
【0024】
光ファイバ2は、ガラス製やプラスチック製の光伝送路で、地下埋設物100の上方に、地下埋設物100の長手方向・敷設方向に沿って埋設されている。具体的には、図2、3に示すように、埋設標示テープ4の中央部内に、テープ4の長手方向に沿って配設されている。この埋設標示テープ4は、地下埋設物100が埋設されていることを示す帯状のテープであり、表面には、テープ4の下方に送配電線が埋設されているので注意を要する、旨が印刷されている。そして、この埋設標示テープ4が、図4に示すように、地面・地表Gから所定の表示深さH1の位置に、地下埋設物100に沿って埋設されている。
【0025】
ここで、表示深さH1は、地下埋設物100の埋設深さH2よりも浅く、後述するようにして油圧ショベル101で掘削した際に、油圧ショベル101のバケット101aが、地下埋設物100に当たる前に、まず埋設標示テープ4に当たるように設定されている。すなわち、油圧ショベル101で無作為に掘削した場合でも、バケット101aが地下埋設物100に当たる前に、必ずバケット101aが光ファイバ2に当たり、光ファイバ2が曲がったり、切れたりするようになっている。また、図4中符号102は、地下埋設物100を保護するための保護板で、地下埋設物100の上方に所定の距離を隔てて、地下埋設物100の敷設方向に沿って埋設されている。
【0026】
このようにして埋設された光ファイバ2は、その一端側が、電柱Pに配設された立ち上げ管P1内を通って地上に立ち上げられ、隣接する電柱Pを介して変電所D側に配設されている。そして、光ファイバ2の一端部は、後述する検出器3に接続されている。ここで、埋設標示テープ4から抜け出た光ファイバ2は、シース・保護被覆が施された光ファイバケーブル21として、変電所D側に配設されている。
【0027】
検出器3は、光ファイバ2の一端から光パルスを入射し、反射された光に基づいて光ファイバ2における曲げや切断などの異常の有無と、異常の位置などを検出する装置であり、この実施の形態では、変電所D内に設置されている。具体的には、OTDR(Optical Time Domain Reflectmeter,光パルス試験器)と同等の構成で、図5に示すように、装着ポート3aに光ファイバ2の一端・入射端が装着された状態で、測定光源31からスイッチ36を介して、光ファイバ2に光パルスを入射する。そして、光ファイバ2の長手方向の各点で反射されて戻ってくる光(後方散乱光)を、スイッチ36を介して受光部32で受光し、後方散乱光の光パワーの距離分布を解析部33で解析する。
【0028】
これにより、光ファイバ2の損失、接続点までの距離、あるいは、光ファイバ2が曲がったり、切れたりした場合の異常点までの距離などを解析、検出する。すなわち、図6のレベルLに示すように、入射端からの距離に対する後方散乱光の光レベルを示す検出波形が得られ、この検出波形は、入射端からの距離が長くなるに従って直線的に下がり、接続点や終端では、急激に降下してその先は検出・観測されなくなる。このような通常状態に対して、光ファイバ2に曲げが生じると、図6(a)に示すように、曲げ部による損失により、受光レベルの波形が段差状に下がるため、光ファイバ2の曲げとその位置とが検出される。また、光ファイバ2が切断されると、図6(b)に示すように、切断部よりも先の後方散乱光・受光レベルの波形が検出・観測されなくなるため、光ファイバ2の切断とその位置とが検出されるものである。
【0029】
また、検出器3は、表示部(表示手段)34と通信部(通信手段)35とを備えている。表示部34は、解析部33による検出結果を表示するディスプレイであり、図6に示すような受光レベルの波形を常時表示するとともに、光ファイバ2の曲げや切断などの異常が検出された場合に、その旨の警報を表示するようになっている。ここで、検出器3に表示部34を備えているが、表示部34を検出器3から切り離して変電所D内などに設け、光ファイバ2に異常が生じたことを周知し、注意喚起しやすいようにしてもよい。
【0030】
通信部35は、解析部33による検出結果を、通信網NWを介して、予め登録された監視センタKに送信する通信装置であり、この実施の形態では、光ファイバ2の異常が検出された場合に、その旨と受光レベルの検出波形(異常位置)とを監視センタKの警報装置に送信する。これにより、警報装置で警報が発せられるとともに、検出波形が表示されるようになっている。ここで、監視センタKには、電力会社の技術員や保守員などが駐在している。このように、検出器3から監視センタKに直接、異常発生の旨を送信しているが、検出器3から変電所D内の通信装置に異常発生の旨を送信・伝送し、これを受けて変電所D内の通信装置から監視センタKに、異常発生の旨を送信するようにしてもよい。これにより、変電所Dと監視センタKとが既に通信可能に接続されている場合には、検出器3による検出結果を容易に監視センタKに送信することが可能となる。また、解析部33による受光レベルの検出波形を、常時監視センタKに送信してもよい。
【0031】
このような光ファイバ2と検出器3とが複数設けられている。すなわち、監視対象である地下埋設物100ごとに、光ファイバ2と検出器3とが設けられ、各光ファイバ2の異常が、検出器3の識別情報とともに監視センタKに送信・通知される。これにより、どの地下埋設物100の埋設場所が掘削されたのかが、監視センタKでわかるようになっている。ここで、複数の光ファイバ2に対してひとつの検出器3を備え、光ファイバ2の識別情報を付加して、検出器3から監視センタKに、光ファイバ2の異常を送信するようにしてもよい。
【0032】
次に、このような構成の掘削作業監視システム1の作用および、このシステム1による掘削作業監視方法について説明する。
【0033】
まず、電力線や通信線、ガス管などの地下埋設物100を保有、管理などしている電力会社や通信事業者などに、掘削作業者が掘削予定場所や予定期間などを通知する。これを受けて、掘削予定場所周辺に例えば送配電線が埋設されている場合、電力会社の変電所Dにおいて、該当する検出器3を起動する。つまり、掘削予定場所周辺の地下埋設物100の上方に埋設されている光ファイバ2に接続されている検出器3を起動する。これにより、上記のように、測定光源31から光ファイバ2に光パルスが入射され、光ファイバ2から反射された光が受光部32で受光されて、解析部33で光パワーの距離分布が解析される。このように、掘削作業者からの通知を受けて検出器3を起動しているが、通知されない場合などを考慮して、より安全性を期するために、各検出器3を常時起動し、常に検出器3から光ファイバ2に光パルスを入射して後方散乱光を解析する、ようにしてもよい。
【0034】
このような状態で、地下埋設物100が埋設されている場所が油圧ショベル101で掘削されると、上記のように、油圧ショベル101のバケット101aが、地下埋設物100に達する前に、まず光ファイバ2に当たり、光ファイバ2が曲がったり、切れたりする。このとき、検出器3によって、上記のようにして光ファイバ2の異常とその位置とが検出され、その旨が、表示部34に警報表示されると同時に、検出器3の識別情報とともに監視センタKの警報装置に送信される。これにより、警報装置で警報が発せられるとともに、異常位置・掘削位置を示す検出波形が表示され、技術員や保守員などによって、光ファイバ2の異常や地下埋設物100の種類などに応じた必要な措置が行われるものである。
【0035】
以上のように、この掘削作業監視システム1によれば、地下埋設物100が埋設されている場所を掘削した場合、まず光ファイバ2の異常とその位置とが検出されて、監視センタKに通知されるため、地下埋設物100への損傷をより確実に防止することが可能となる。すなわち、監視センタKの技術員などによって、地下埋設物100に損傷を与えないための予防措置を、適正かつ迅速な対応を行うことが可能となる。また、掘削作業者が埋設標示テープ4に気付かずに掘削を進めてしまい、地下埋設物100に損傷を与えてしまった場合であっても、掘削の旨と掘削位置とが監視センタKに通知されているため、適正かつ迅速な対応を行うことが可能となる。さらに、光ファイバ2に異常が生じた旨、つまり地下埋設物100の埋設場所が掘削された旨が、表示部34に警報表示されるため、変電所Dの監視員などに注意を喚起し、適正かつ迅速な対応を行うことが可能となる。
【0036】
また、掘削作業の前に予め地下埋設物100を探索・探知する必要がないため、掘削作業者等の負担が軽減されるとともに、地下埋設物100の存在を認識せずに無作為に掘削しても、地下埋設物100への損傷を防止することが可能となる。このようにして、より確実かつ容易に、地下埋設物100への損傷を監視することが可能となる。
【0037】
一方、光ファイバ2が埋設標示テープ4に配設されているため、埋設標示テープ4を地中に埋設することで、光ファイバ2を容易かつ安定して埋設することができる。しかも、埋設標示テープ4によって、地下埋設物100が埋設されていることを掘削作業者に注意喚起することができる。
【0038】
(実施の形態2)
図7は、この実施の形態に係る掘削作業監視システム10を示す概略構成図である。この実施の形態では、立会者Mが検出器3を携帯する点で実施の形態1と構成が異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することで、その説明を省略する。
【0039】
この実施の形態の検出器3は、実施の形態1の検出器3と基本的構成が同等であるが、通信部35を備えずに警報部を備える点で構成が異なる。この警報部は、解析部33によって光ファイバ2の曲げや切断などの異常が検出された場合に、その旨の警報音を発するものあり、光ファイバ2に曲げが生じた場合と切断が生じた場合とで、異なる警報音を発するようになっている。
【0040】
この実施の形態では、電力会社などのライフライン管理者に対して掘削作業者から、掘削予定場所や掘削作業日時などが通知されると、ライフライン管理者の立会者Mが、検出器3を携帯して掘削現場に立ち会う。そして、掘削場所の該当する光ファイバ2を検出器3に装着し、検出器3を起動する。これにより、常時、解析部33による解析・検出波形が表示部34に表示される。
【0041】
このような状態で、地下埋設物100の埋設場所が油圧ショベル101で掘削されると、実施の形態1と同様に、油圧ショベル101のバケット101aが、まず光ファイバ2に当たり、光ファイバ2が曲がったり、切れたりする。このとき、検出器3によって光ファイバ2の異常とその位置とが検出され、その旨が、表示部34に警報表示されると同時に、警報部から警報音が発せられる。これにより、立会者Mが油圧ショベル101のオペレータなどに対して、掘削操作を停止するように指示することで、地下埋設物100への損傷を防止するものである。
【0042】
このように、実施の形態によれば、掘削現場に立ち会っている立会者Mが検出器3を携帯しているため、光ファイバ2の異常の有無を常時リアルタイムに監視することができる。また、光ファイバ2に異常が生じと、警報部から警報音が発せられるため、より迅速な対応が可能となり、地下埋設物100への損傷をより確実に防止することが可能となる。しかも、光ファイバ2に曲げが生じた場合と切断が生じた場合とで、異なる警報音が発せられるため、光ファイバ2の異常の程度、掘削の程度などに応じたより適正な対応を行うことが可能となる。
【0043】
また、検出器3として既存・既製のOTDRを使用することで、容易に本システム10を構築することができる。すなわち、既存のOTDRに、光コードを介して光ファイバ2を接続することで、本システム10を構築することができ、これにより、地中での状態変化(光ファイバ2の異常)やその予兆を知得することができる。
【0044】
さらに、立会者Mが検出器3を携帯しているが、油圧ショベル101のオペレータが検出器3を携帯してもよい。これにより、オペレータが常時地中の状態変化を知得できるとともに、警報部からの警報音がオペレータに直接届くため、より注意喚起することができる。この結果、より迅速な対応が可能となり、地下埋設物100への損傷をより確実に防止することが可能となる。
【0045】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、地下埋設物100の上方に1本の光ファイバ2を配設、埋設しているが、地下埋設物100の大きさや敷設ルートなどに応じて複数の光ファイバ2を配設したり、地下埋設物100の側方や斜め上方などにも光ファイバ2を配設してもよい。また、検出器3と油圧ショベル101とを連携するようにしてもよい。すなわち、検出器3によって光ファイバ2の曲がりや切断などを検出した場合に、検出器3から油圧ショベル101に対して警報信号を送り、この警報信号を受けてバケット101aの動作を自動的・強制的に止めるようにしてもよい。これにより、地下埋設物100への損傷をより確実に防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1、10 掘削作業連絡システム
2 光ファイバ
3 検出器(検出手段)
31 測定光源
32 受光部
33 解析部
34 表示部(表示手段)
35 通信部(通信手段)
36 スイッチ
4 埋設標示テープ
100 地下埋設物
101 油圧ショベル
D 変電所
K 監視センタ
P 電柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下埋設物の上方に埋設された光ファイバと、
前記光ファイバの一端から光パルスを入射し、反射された光に基づいて前記光ファイバにおける曲げや切断などの異常を検出する検出手段と、
を備えることを特徴とする掘削作業監視システム。
【請求項2】
前記検出手段は、前記反射された光に基づいて前記異常の位置を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の掘削作業監視システム。
【請求項3】
前記検出手段による検出結果を、予め登録された監視センタに送信する通信手段を備える、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の掘削作業監視システム。
【請求項4】
前記検出手段による検出結果を表示する表示手段を備える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の掘削作業監視システム。
【請求項5】
前記光ファイバは、地下埋設物が埋設されていることを示す埋設標示テープに配設されている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の掘削作業監視システム。
【請求項6】
地下埋設物の上方に光ファイバを埋設し、
前記光ファイバの一端から光パルスを入射し、反射された光に基づいて前記光ファイバにおける曲げや切断などの異常を検出する、
ことを特徴とする掘削作業監視方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−60804(P2012−60804A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202643(P2010−202643)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】