説明

掘削土砂の脱水装置

【課題】掘削土砂の搬送荷重を支持するとともに該掘削土砂による目詰まりを防止しながら、掘削土砂の脱水を効率よく行う。
【解決手段】本発明に係るベルトコンベヤ1は、脱水機構1aと加圧機構1bとから構成してある。脱水機構1aの透水性ベルト2及び透水性シート3は、両者の搬送速度が等しくなるように構成してあるとともに、透水性シート3の裏面を搬送区間Aにおいて透水性ベルト2の表面に重ねてある。加圧機構1bの加圧ベルト32は、循環経路が透水性ベルト2及び透水性シート3の循環経路と逆回りに配置してあり、加圧機構1bは、加圧ベルト32が搬送区間Aにおける透水性シート3の表面から所定距離だけ離間するように加圧ベルト32の走行角度を調整する一対の走行角度調整ローラ35,35と、該一対の走行角度調整ローラの間に配置された加圧ローラ36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水比の高い掘削土砂を脱水する掘削土砂の脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
泥土圧シールド工法において、シールドマシンのチャンバー内に取り込まれた掘削土砂は、排泥ポンプ、スクリューコンベヤ、ベルトコンベヤ等によって地上に搬出され、土砂ピットに貯留される。
【0003】
ここで、泥土圧シールドは、泥土圧によって切羽の安定を図っている関係上、掘削土砂の含水比が高く、それゆえ産業廃棄物扱いとなって処分費用が高くなる。加えて、土粒子の間隙に多くの水を含むため、単位体積当たりの重量が大きく、運搬費用も高くなる。さらには、トンネル掘削であるため、掘削土砂の発生量は膨大である。
【0004】
ここで、天日干し等の方法で掘削土砂を乾燥させれば、含水比が低下し、一般残土としての利用も可能ではあるが、天日干しのための広大な敷地を都市部に確保することは現実的ではない。また、石灰等のセメント系材料を添加することで含水比の低下と強度の改善とを図れば、建設資材としての再利用も可能であるが、発生土が膨大であるため、セメント系材料の材料コストや添加のための作業コストが高くなり、処理用地の確保とも相まって、やはり経済性の面で適用が困難となる。また、セメント系材料の添加によってpHが大きくなるため、一般残土としての処分が困難になる場合がある。
【0005】
そのため、掘削土砂の減容化・軽量化を効率よく図ることができるさまざまな試みが従来からなされてきた。
【0006】
【特許文献1】特開平9−206759号公報
【特許文献2】特開平7−214094号公報
【特許文献3】実開平6−66890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、特許文献1には、メッシュベルトと該メッシュベルトの下側から強制的に真空吸引するバキュームユニットを備えた真空吸引式脱水コンベアが開示されており、かかる真空吸引式脱水コンベアによれば、脱水機のイニシャルコストを下げることができる旨、記載されている。
【0008】
しかしながら、かかる構成においては、掘削土砂の脱水、目詰まり防止及び土砂の搬送荷重支持という3つの役割をメッシュベルトにすべて持たせる必要があるため、メッシュベルトを製作するにあたってはどうしても制約が多くなり、コストや機能あるいは設計自由度の面で十分ではないという問題を生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、掘削土砂の搬送荷重を支持するとともに該掘削土砂による目詰まりを防止しながら、掘削土砂の脱水を効率よく行うことが可能な掘削土砂の脱水装置を提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る掘削土砂の脱水装置は請求項1に記載したように、第1のヘッドプーリと第1のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす透水性ベルトと、搬送速度が前記透水性ベルトの搬送速度と等しくなるようにかつ裏面が所定の搬送区間において前記透水性ベルトの表面に重ねられるように第2のヘッドプーリと第2のテールプーリとに掛け渡された透水性と土粒子遮断性とを有する無端状をなす透水性シートと、前記搬送区間において前記透水性シートに載置された掘削土砂中の水分を前記透水性シート及び前記透水性ベルトを介して吸引除去する吸引機構とからなる脱水機構と、
前記脱水機構の上方に配置され循環経路が前記透水性ベルト及び前記透水性シートの循環経路と逆回りとなるようにかつ循環速度が前記透水性ベルト及び前記透水性シートの搬送速度と等しくなるように第3のヘッドプーリと第3のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす加圧ベルトと、該加圧ベルトが前記搬送区間における前記透水性シートの表面から所定距離だけ離間するように前記加圧ベルトの走行角度を調整する一対の走行角度調整ローラと、該一対の走行角度調整ローラの間に配置された加圧ローラとからなる加圧機構とを備えたものである。
【0011】
また、本発明に係る掘削土砂の脱水装置は請求項2に記載したように、第1のヘッドプーリと第1のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす透水性ベルトと、搬送速度が前記透水性ベルトの搬送速度と等しくなるようにかつ裏面が所定の搬送区間において前記透水性ベルトの表面に重ねられるように第2のヘッドプーリと第2のテールプーリとに掛け渡された透水性と土粒子遮断性とを有する無端状をなす透水性シートと、前記搬送区間において前記透水性シートに載置された掘削土砂中の水分を前記透水性シート及び前記透水性ベルトを介して吸引除去する吸引機構とからなる脱水機構と、
【0012】
前記脱水機構の上方に配置され循環経路が前記透水性ベルト及び前記透水性シートの循環経路と逆回りとなるようにかつ循環速度が前記透水性ベルト及び前記透水性シートの搬送速度と等しくなるように第3のヘッドプーリと第3のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす加圧ベルトと、該加圧ベルトの裏側に設置され前記搬送区間における前記加圧ベルトと前記透水性シートとの離間距離を調整自在な加圧ローラとからなる加圧機構とからなる加圧機構とを備えたものである。
【0013】
また、本発明に係る掘削土砂の脱水装置は、前記搬送区間の上流側から下流側にかけて前記離間距離が減少するように前記加圧ローラの設置高さを調整したものである。
【0014】
また、本発明に係る掘削土砂の脱水装置は、前記吸引機構を、吸引ポンプと該吸引ポンプに接続された吸引管と該吸引管に連通接続され内部に減圧空間が形成された吸引部材とで構成するとともに、該吸引部材の開口縁部に沿って気密シールを取り付けて構成し、該気密シールが前記透水性ベルトの裏面と摺動自在になるように前記吸引部材を配置したものである。
【0015】
また、本発明に係る掘削土砂の脱水装置は、前記透水性ベルトの表面に排水溝を形成するとともに該排水溝の溝底面に排水孔を形成し、該排水孔が前記吸引部材の減圧空間と連通するように該吸引部材を配置したものである。
【0016】
また、本発明に係る掘削土砂の脱水装置は、前記第2のヘッドプーリを前記第1のヘッドプーリと兼用したものである。
【0017】
また、本発明に係る掘削土砂の脱水装置は、前記透水性シートの裏側から気体又は液体を噴射する流体噴射機構を前記透水性シートの戻り側に配置したものである。
【0018】
また、本発明に係る掘削土砂の脱水装置は、前記透水性ベルトの裏側に該透水性ベルトの裏面と摺動自在になるように反力部材を配置したものである。
【0019】
また、本発明に係る掘削土砂の脱水装置は、前記掘削土砂に振動を付与する振動付与機構を前記透水性ベルトの裏側に配置したものである。
【0020】
また、本発明に係る掘削土砂の脱水装置は、前記加圧ベルトの表面に吸水材を設けたものである。
【0021】
第1の発明に係る掘削土砂の脱水装置においては、脱水機構を構成する透水性ベルト及び透水性シートで掘削土砂を搬送しつつ吸引機構を作動させるが、透水性シートは透水性と土粒子遮断性とを有し、その搬送速度は透水性ベルトの搬送速度と等しく、その裏面は、搬送区間において透水性ベルトの表面に重ねてある。
【0022】
そのため、透水性ベルト及び透水性シートは、前者が脱水の対象となる掘削土砂の搬送荷重を支持し、後者が土粒子の通過を阻止するという役割分担を果たし、搬送中の掘削土砂に含まれる水分は、吸引機構によって外側に排出されるとともに、透水性シート及び透水性ベルトを介して吸引除去され、かくして掘削土砂の含水比は低下する。
【0023】
一方、加圧機構を構成する加圧ベルトは、透水性ベルト及び透水性シートと同じ搬送速度で循環するとともに、搬送区間における透水性シートの表面から所定距離だけ離間するように一対の走行角度調整ローラによって走行角度を調整してある。
【0024】
そのため、掘削土砂は、加圧ベルトと透水性ベルト及び透水性シートとの間に挟み込まれながら搬送されるとともに、搬送中、一対の走行角度調整ローラの間に配置された加圧ローラで加圧される。
【0025】
そのため、脱水機構による掘削土砂の脱水作用は、加圧機構による加圧作用によって促進され、高い効率で脱水が行われる。
【0026】
ここで、第1の発明に係る一対の走行角度調整ローラは、加圧ベルトが搬送区間における透水性シートの表面から所定距離だけ離間するように加圧ベルトの走行角度を調整できるのであれば、その構成は任意であり、各走行角度調整ローラは例えば、ローラ本体をローラ取付体に取り付け、該ローラ取付体を調整ネジを介して架台に取り付けるようにして構成することができる。
【0027】
第2の発明に係る掘削土砂の脱水装置についても脱水機構に関する作用については第1の発明と同様である。すなわち、透水性ベルト及び透水性シートで掘削土砂を搬送しつつ吸引機構を作動させるが、透水性シートは透水性と土粒子遮断性とを有し、その搬送速度は透水性ベルトの搬送速度と等しく、その裏面は、搬送区間において透水性ベルトの表面に重ねてある。
【0028】
そのため、透水性ベルト及び透水性シートは、前者が脱水の対象となる掘削土砂の搬送荷重を支持し、後者が土粒子の通過を阻止するという役割分担を果たし、搬送中の掘削土砂に含まれる水分は、吸引機構によって外側に排出されるとともに、透水性シート及び透水性ベルトを介して吸引除去され、かくして掘削土砂の含水比は低下する。
【0029】
一方、加圧機構を構成する加圧ベルトは、透水性ベルト及び透水性シートと同じ搬送速度で循環するとともに、該加圧ベルトの裏側には、搬送区間における加圧ベルトと透水性シートとの離間距離を調整自在な加圧ローラを配置してある。
【0030】
そのため、掘削土砂は、加圧ベルトと透水性ベルト及び透水性シートとの間に挟み込まれながら搬送されるとともに、搬送中、加圧ローラによって加圧される。
【0031】
そのため、脱水機構による掘削土砂の脱水作用は、加圧機構による加圧作用によって促進され、高い効率で脱水が行われる。
【0032】
上述した第1の発明及び第2の発明において、吸引機構は、透水性ベルト及び透水性シートを介して搬送中の掘削土砂から水分を吸引除去できる限り、その構成は任意であり、例えば、吸引ポンプと、該吸引ポンプに接続された吸引管と、該吸引管に連通接続され内部に減圧空間が形成された吸引部材とで構成するとともに、該吸引部材の開口縁部に沿って気密シールを取り付けて構成し、該気密シールが前記透水性ベルトの裏面と摺動自在になるように前記吸引部材を配置する構成が考えられる。
【0033】
透水性ベルトは、脱水の対象となる掘削土砂の載荷荷重や搬送荷重を支持しつつ該掘削土砂から吸引された水分を通過させることができる限り、その構成は任意であり、例えば、表面に排水溝を形成するとともに該排水溝の溝底面に排水孔を形成し、かかる排水孔が吸引部材の減圧空間と連通するように該吸引部材を配置する構成が考えられる。
【0034】
第1のヘッドプーリ及び第2のヘッドプーリは、個別に設けるようにしてもよいし、兼用させるようにしてもよいが、個別に設ける場合には、透水性シート及び透水性ベルトが同一の搬送速度となるように両ヘッドプーリを駆動制御する。
【0035】
透水性シートは、透水性と土粒子遮断性とを有するシートである限り、その材質は任意であり、例えば不織布で形成することができる。ここで、透水性シートは、上述したように、水を通しながら掘削土砂を構成する土粒子の通過を阻止する役割を担うため、土粒子による目詰まりが生じないようにメンテナンスが必要となるが、前記透水性シートの裏側から気体又は液体を噴射する流体噴射機構を前記透水性シートの戻り側に配置したならば、透水性シートに付着した土粒子を気体又は液体で吹き飛ばすことができるので、土粒子による透水性シートの目詰まりを未然に防止することが可能となる。
【0036】
加圧ベルトは、加圧ローラからの力を掘削土砂に伝達できる限り、どのように構成するかは任意であるが、加圧ベルトの表面に吸水材を設けた場合、該吸水材が掘削土砂から出た水を吸水するため、吸引機構の負荷を減らすことができるとともに、その結果として全体の脱水効率を向上させることが可能となる。
【0037】
掘削土砂をどういう状態で脱水機構に供給するかは任意であるが、掘削土砂に振動を付与する振動付与機構を透水性ベルトの裏側に配置した場合、かかる振動付与機構を駆動することによって、掘削土砂の土粒子間隙に存在する水を土塊の外側に予め排出させることが可能となり、かかる構成によっても脱水効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明に係る掘削土砂の脱水装置をベルトコンベヤに適用した場合の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
(第1実施形態)
【0040】
図1は、本実施形態に係るベルトコンベヤを示した側面図である。同図に示すように、本実施形態に係るベルトコンベヤ1は、脱水機構1aと加圧機構1bとから構成してある。
【0041】
脱水機構1aは、無端状の透水性ベルト2と、無端状の透水性シート3とを備えており、透水性ベルト2は、第1のヘッドプーリであるヘッドプーリ4と第1のテールプーリであるテールプーリ5とに掛け渡し、駆動モータ31によって両プーリの間を循環するようになっており、ヘッドプーリ4は第2のヘッドプーリを兼用する。
【0042】
一方、透水性シート3は、ヘッドプーリ4、第2のテールプーリであるテールプーリ6及びリターンローラ7a,7b,7cに掛け渡してあり、駆動モータ31によって各プーリ間及び各リターンローラ間を循環するようになっている。
【0043】
脱水機構1aは図2に示すように、透水性ベルト2が内周側を破線矢印方向に循環し、透水性シート3が外周側を実線矢印方向に循環する二重ベルト構造となっている。
【0044】
透水性ベルト2の表面には図3に示すように、搬送方向に平行なベルト中心線を対称軸として、深さ3mm程度の2つの排水溝21,21を搬送方向に直交するように形成してあるとともに、該排水溝の溝底面には、排水孔22をそれぞれ形成してある。
【0045】
かかる透水性ベルト2は、従来公知の材質で構成することができる。なお、透水性ベルト2の両縁には、搬送方向に沿って波桟23,23を立設してあり、脱水の対象となる掘削土砂が搬送中にこぼれ落ちるのを防止するサイドガードの役目を果たしている。
【0046】
透水性シート3は、透水性と土粒子遮断性とを有するように不織布で形成してある。
【0047】
ここで、透水性ベルト2及び透水性シート3は、駆動モータ31でヘッドプーリ4を駆動することで、両者の搬送速度が等しくなるように構成してあるとともに、図2でよくわかるように透水性シート3の裏面が搬送区間Aにおいて透水性ベルト2の表面に重ねられるように、透水性ベルト2をヘッドプーリ4及びテールプーリ5に掛け渡すとともに、透水性シート3をヘッドプーリ4、リターンローラ7a,7b,7c及びテールプーリ6に掛け渡してある。
【0048】
脱水機構1aは図1に示すように、上述した搬送区間Aにおいて透水性シート3に載置された掘削土砂中の水分を該透水性シート及び透水性ベルト2を介して吸引除去する吸引機構12を備えており、該吸引機構は、吸引ポンプ10と、該吸引ポンプに接続された吸引管9と、該吸引管に連通接続され内部に減圧空間が形成されたボックス断面状の吸引部材8とで構成してある。
【0049】
搬送区間Aは、脱水に要求される長さを基本長さとし、ベルトコンベヤとして要求される必要搬送距離に応じて、その基本長さを適宜長くするようにすればよい。
【0050】
吸引部材8は図3に示すように、その開口縁部に沿って気密シール24を取り付けてあり、該気密シールが透水性ベルト2の裏面と摺動自在になるように、かつ透水性ベルト2に形成された排水孔22が吸引部材8の減圧空間と連通するように、透水性ベルト2の搬送方向に沿って配置してある。
【0051】
気密シール24は例えば、摩擦係数の小さい超高分子ポリエチレンで形成すればよい。
【0052】
脱水機構1aは、空気を噴射する流体噴射機構13を透水性シート3の戻り側に配置してあり、かかる空気を透水性シート3の裏側から噴射することによって、該透水性シートに付着した掘削土砂の土粒子を吹き飛ばし、土粒子による透水性シート3の目詰まりを防止することができるようになっている。
【0053】
加圧機構1bは、図1に示したように脱水機構1aの上方に配置してあり、第3のヘッドプーリであるヘッドプーリ33と第3のテールプーリであるテールプーリ34とに掛け渡された無端状をなす加圧ベルト32を備える。
【0054】
ここで、加圧ベルト32は図2でよくわかるように、循環経路が透水性ベルト2及び透水性シート3の循環経路(同図では反時計回り)と逆回り、すなわち同図では時計回りとなるように、かつ循環速度が透水性ベルト2及び透水性シート3の搬送速度と等しくなるようにヘッドプーリ33とテールプーリ34とに掛け渡してある。
【0055】
加圧機構1bは、加圧ベルト32が搬送区間Aにおける透水性シート3の表面から所定距離だけ離間するように加圧ベルト32の走行角度を調整する一対の走行角度調整ローラ35,35と、該一対の走行角度調整ローラの間に配置された加圧ローラ36とを備える。
【0056】
ここで、各走行角度調整ローラ35は図4に示すように、ローラ本体51をローラ取付体52に取り付け、該ローラ取付体を調整ネジ53を介して架台54に取り付けて構成してあり、かかる構成により、ローラ本体51で加圧ベルト32をその裏面から押さえて該加圧ベルトの走行角度を決定するようになっているとともに、調整ネジ53でローラ本体51の据付け高さを調整し、ひいては加圧ベルト32の押さえ位置を調整できるようになっている。
【0057】
加圧ローラ36は、コの字状フレーム55及び調整ネジ56,56を介して架台54に取り付けてあり、かかる構成により、加圧ベルト32にその裏面から圧力を載荷できるようになっているとともに、調整ネジ56,56でコの字状フレーム55の据付け高さを調整し、ひいては加圧ベルト32の圧力作用位置を調整できるようになっている。
【0058】
なお、本実施形態に係るベルトコンベヤ1は、掘削土砂を投入するホッパー14を備えるとともに、その下方に供給フィーダとして機能するベルトコンベヤ15を配置してあり、ホッパー14に投入された掘削土砂をベルトコンベヤ15によって脱水機構1aを構成する透水性ベルト2及び透水性シート3の搬送開始位置に供給できるようになっている。
【0059】
本実施形態に係るベルトコンベヤ1を用いて掘削土砂を脱水するには、まず、脱水の対象となる掘削土砂をホッパー14に投入する。掘削土砂は、土木建築工事において発生する含水比の高いすべての掘削土砂が対象となり、例えば泥土圧シールド工事で発生する掘削土砂が対象となる。かかる掘削土砂は、例えば上流側に設置されたベルトコンベヤから搬送されてきたものをホッパー14に投入するようにすればよい。
【0060】
次に、ホッパー14に投入された掘削土砂をベルトコンベヤ15で移送し、搬送開始位置(搬送区間Aの始点)で透水性ベルト2及び透水性シート3に載せ替える。
【0061】
ここで、透水性シート3は透水性と土粒子遮断性とを有し、該透水性シートが重ねられている透水性ベルト2には排水孔22を形成してある。また、吸引部材8は、その開口縁部に取り付けられた気密シール24が透水性ベルト2の裏面と摺動自在となるように、かつボックス断面状空間である減圧空間が透水性ベルト2に形成された排水孔22と連通するように配置してある。
【0062】
そのため、吸引ポンプ10を駆動して吸引部材8に形成された減圧空間の空気を引き抜くことにより、掘削土砂中の水分は、土粒子から分離して外側に排出される。そして、かかる水分は、透水性シート3による濾過作用によって土粒子と分離されつつ、該透水性シートを通過し、さらに透水性ベルト2の排水溝21に集められた後、排水孔22を介して吸引管9内を流れて排水される。
【0063】
一方、加圧機構1bを構成する加圧ベルト32は、透水性ベルト2及び透水性シート3と同じ搬送速度で循環するとともに、搬送区間Aにおける透水性シート3の表面から所定距離だけ離間するように、一対の走行角度調整ローラ35,35によって走行角度を調整してある。
【0064】
そのため、図4に示すように掘削土砂57は、加圧ベルト32と透水性ベルト2及び透水性シート3との間に挟み込まれながら搬送されるとともに、搬送中、一対の走行角度調整ローラ35,35の間に配置された加圧ローラ36で加圧される。
【0065】
そのため、掘削土砂57は、加圧機構1bによる加圧作用によって脱水が促進される。そして、水分が除去され含水比が低下した掘削土砂は、搬送区間Aの終点において、図1で言えばその左側に搬出される。
【0066】
加圧ベルト32と透水性ベルト2及び透水性シート3との離間距離は、例えば脱水の程度と掘削土砂の処理効率の兼ね合いで適宜決定すればよく、十分な脱水を行いたい場合には、離間距離を小さくとり、処理効率を重視する場合には、離間距離を大きくとればよい。
【0067】
一方、掘削土砂の搬送を終えた透水性ベルト2及び透水性シート3は、ヘッドプーリ4を回った後、透水性ベルト2はテールプーリ5に戻るが、透水性シート3は、透水性ベルト2から離れてリターンローラ7aに向かう。
【0068】
次いで、透水性シート3は、ヘッドプーリ4とリターンローラ7aとの間に設置された流体噴射機構13による空気の噴射によって土粒子が除去された後、リターンローラ7a,7b,7cを経てテールプーリ6に戻り、テールプーリ5で透水性ベルト2に再び重ねられる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係るベルトコンベヤ1によれば、脱水機構1aのベルト構造を二重構造とし、掘削土砂の搬送荷重を透水性ベルト2に支持させる一方、土粒子の通過を阻止する役目を透水性シート3に負わせたので、それぞれの役割に応じて透水性ベルト2及び透水性シート3を製作することが可能となり、脱水効率を大幅に向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ1によれば、脱水機構1aを構成する透水性シート3の戻りルートを、透水性ベルト2の戻りルートとは別に設けて、透水性シート3の戻りルートに流体噴射機構13を設置するようにしたので、土粒子除去を優先したルート、例えば流体噴射機構13を設置しやすいルートで透水性シート3を循環させることが可能となり、透水性シート3の目詰まりを防止しやすくなる。
【0071】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ1によれば、脱水機構1aのベルト構造を二重構造としたことによって、透水性シート3を適宜交換することが可能となり、透水性シート3の目詰まりによる脱水効率の低下を未然に防止することができる。
【0072】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ1によれば、脱水機構1aを構成する吸引部材8の開口縁部に沿って気密シール24を取り付け、該気密シールが透水性ベルト2の裏面と摺動自在になるように、かつ透水性ベルト2に形成された排水孔22が吸引部材8の減圧空間と連通するように、透水性ベルト2の搬送方向に沿って吸引部材8を配置するようにしたので、吸引部材8と透水性ベルト2の裏面との気密性が高くなり、空気漏れによる圧力ロスを低減して脱水効率を高めることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ1によれば、加圧機構1bを構成する加圧ベルト32を、透水性ベルト2及び透水性シート3と同じ搬送速度で循環させるとともに、搬送区間における透水性シート3の表面から所定距離だけ離間するように一対の走行角度調整ローラ35,35によって走行角度を調整したので、掘削土砂は、加圧ベルト32と透水性ベルト2及び透水性シート3との間に挟み込まれながら搬送されるとともに、搬送中、一対の走行角度調整ローラ35,35の間に配置された加圧ローラ36で加圧される。
【0074】
そのため、脱水機構1aによる掘削土砂の脱水作用は、加圧機構1bによる加圧作用によって促進されることとなり、かくして掘削土砂をさらに高い効率で脱水することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ1によれば、上述したように気密シール24が透水性ベルト2の裏面と摺動自在になるように透水性ベルト2の搬送方向に沿って吸引部材8を配置するようにしたので、加圧機構1bによって載荷された圧力は吸引部材8で支持され、該吸引部材で反力が発生する。ちなみに、吸引部材8は、例えば架台54に固定しておけばよい。
【0076】
すなわち、吸引部材8は、透水性ベルト2に形成された排水孔22の裏側で減圧空間を形成する役目を果たすのみならず、加圧機構1bからの圧力を透水性ベルト2の裏側で支持する反力部材としての役目をも果たす。
【0077】
そのため、加圧機構1bによる圧力は逃げることなく掘削土砂に作用し、該掘削土砂は、加圧ベルト32と透水性ベルト2及び透水性シート3との間で十分に脱水される。
【0078】
本実施形態では、脱水機構1aのヘッドプーリ4を第1のヘッドプーリ及び第2のヘッドプーリとし、透水性シート3の駆動プーリと透水性ベルト2の駆動プーリを兼用するようにしたが、これに代えて、それぞれ個別にヘッドプーリを設けるようにしてもかまわない。この場合には、透水性シート3の搬送速度と透水性ベルト2の搬送速度を同一にするための制御手段を必要に応じて設置する。
【0079】
また、本実施形態では、気密シール24によって吸引時の気密性を高めるようにしたが、圧力損失が問題とならないのであれば、かかる気密シール24を省略してもかまわない。
【0080】
また、本実施形態では、透水性シート3を不織布で構成したが、土粒子の通過を阻止できる限り、その材質は任意であり、不織布に代えて、メッシュ状に形成されたシートを適宜採用することができる。
【0081】
また、本実施形態では、本発明に係る掘削土砂の脱水装置をベルトコンベヤに適用した場合について説明したが、搬送機能は必ずしも必要ではなく、透水性ベルト及び透水性シートの搬送区間が短くて、実質的にベルトコンベヤとして用いることができなくてもかまわない。
【0082】
これに関連して、本発明に係る掘削土砂の脱水装置の使用の形態としては、ベルトコンベヤとして、他のベルトコンベヤとともに連続ベルコンを構成する、掘削土砂の脱水装置として、ベルトコンベヤ間に適宜配置する、据置型の掘削土砂の脱水装置としてプラント内に設置するといった使用形態が考えられる。
【0083】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、吸引部材8のみでは加圧機構1bによる圧力を支持できない場合、反力部材を別途設けるようにすればよい。
【0084】
図5は、透水性ベルト2の裏面と摺動自在になるように該透水性ベルトの裏側に反力部材52を複数本並設した変形例を示したものである。
【0085】
同図でわかるように、反力部材52は、吸引部材8が配置されている箇所を除いた位置に透水性ベルト2の搬送軸線と平行に配置してあり、キャリアローラ51の動作に支障なきよう、その長さを、例えばキャリアローラ51,51のピッチよりも若干短く設定してある。かかる反力部材52は、吸引部材8と同様、架台54に適宜固定すればよい。
【0086】
反力部材52は、吸引部材8の開口縁部に取り付けた気密シール24と同様、摩擦係数の小さい超高分子ポリエチレンで形成することができる。なお、反力部材52の設置によって気密シール24による吸引部材8と透水性ベルト2との気密性が損なわれないよう、反力部材52を弾性材料で形成し、又はゴム等の弾性部材を介して反力部材52を架台54に取り付けるようにする。
【0087】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、加圧ベルト32の表面に吸水材である多孔質シート、例えばスポンジシートを貼着してもよい。
【0088】
かかる構成によれば、掘削土砂から出た水をスポンジシートが吸水するため、吸引機構12の負荷を減らすことができるとともに、その結果として脱水装置であるベルトコンベヤ1の脱水効率を向上させることが可能となる。
【0089】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、図6に示すように、掘削土砂に振動を付与する振動付与機構としてのバイブレータ61を透水性ベルト2の裏側に配置してもよい。
【0090】
かかる構成においては、バイブレータ61を駆動することによって、掘削土砂の土粒子間隙に存在する水を土塊の外側に予め排出させることが可能となり、かかる構成によっても脱水効率の向上を図ることができる。
【0091】
また、本実施形態では、空気を噴射する流体噴射機構13を透水性シート3の戻り側に配置することで、透水性シート3に付着した掘削土砂の土粒子を吹き飛ばして透水性シート3の目詰まりを防止するようにしたが、流体噴射機構13に代えて又は流体噴射機構13とともに、透水性シート3を洗浄する洗浄機構を設けるようにしてもよい。
【0092】
(第2実施形態)
【0093】
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0094】
図7は、本実施形態に係るベルトコンベヤを示した側面図である。同図に示すように、本実施形態に係るベルトコンベヤ101は、脱水機構1aと加圧機構101bとから構成してある。ここで、脱水機構1aについては第1実施形態で既に説明したので、ここではその説明を省略する。
【0095】
加圧機構101bは、図7に示したように脱水機構1aの上方に配置してあり、ヘッドプーリ33及びテールプーリ34に掛け渡された無端状をなす加圧ベルト32を備える。かかる加圧ベルト32は図8でよくわかるように、循環経路が透水性ベルト2及び透水性シート3の循環経路(同図では反時計回り)と逆回り、すなわち同図では時計回りとなるよう、上述したヘッドプーリ33からテールプーリ34を経て、テンションプーリ103及びベンドプーリ105を通った後、反対側のベンドプーリ104およびテンションプーリ102を経てヘッドプーリ33に戻るように架け渡してあるとともに、循環速度が透水性ベルト2及び透水性シート3の搬送速度と等しくなるように構成してある。
【0096】
ベンドプーリ104,105の間には6本の加圧ローラ136を加圧ベルト32の裏側に配置してあるとともに、該加圧ローラをそれらの設置高さが可変となるように構成してあり、かかる構成によって搬送区間Aにおける加圧ベルト32と透水性シート3との離間距離を任意に調整できるようになっている。
【0097】
すなわち、加圧ローラ136は図9に示すように、二組のコの字状フレーム55,55の横材にそれぞれ3本ずつ取り付けてあるとともに、該横材の両端から立ち上がる一対の縦材の上端を高さ調整機構141,141を介して架台54に取り付けてあり、該高さ調整機構によって、各コの字状フレーム55は、その設置高さを調整できるようになっている。
【0098】
高さ調整機構141は同図(b)に示すように、架台54を上下に貫通するロッド142と、該ロッドの下端をコの字状フレーム55の縦材に設けられたウェブ143に連結するナット144,144と、下端がロッド142の下方近傍に固定され上端が架台54の下面に当接するようにロッド142と同心状に配置されたコイルバネ145とで構成してあり、ロッド142に対するナット144,144の螺合位置を調整することにより、架台54に対するコの字状フレーム55の設置高さ、ひいては加圧ローラ136の設置高さを所望の位置に調整できるようになっている。
【0099】
なお、本実施形態に係るベルトコンベヤ101は、掘削土砂を投入するホッパー14を備えるとともに、その下方に供給フィーダとして機能するベルトコンベヤ15を配置してあり、ホッパー14に投入された掘削土砂をベルトコンベヤ15によって脱水機構1aを構成する透水性ベルト2及び透水性シート3の搬送開始位置に供給できるようになっている。
【0100】
本実施形態に係るベルトコンベヤ101を用いて掘削土砂を脱水するには、まず、脱水の対象となる掘削土砂をホッパー14に投入する。掘削土砂は、土木建築工事において発生する含水比の高いすべての掘削土砂が対象となり、例えば泥土圧シールド工事で発生する掘削土砂が対象となる。かかる掘削土砂は、例えば上流側に設置されたベルトコンベヤから搬送されてきたものをホッパー14に投入するようにすればよい。
【0101】
次に、ホッパー14に投入された掘削土砂をベルトコンベヤ15で移送し、搬送開始位置(搬送区間Aの始点)で透水性ベルト2及び透水性シート3に載せ替える。
【0102】
ここで、透水性シート3は透水性と土粒子遮断性とを有し、該透水性シートが重ねられている透水性ベルト2には排水孔22を形成してある。また、吸引部材8は、その開口縁部に取り付けられた気密シール24が透水性ベルト2の裏面と摺動自在となるように、かつボックス断面状空間である減圧空間が透水性ベルト2に形成された排水孔22と連通するように配置してある。
【0103】
そのため、吸引ポンプ10を駆動して吸引部材8に形成された減圧空間の空気を引き抜くことにより、掘削土砂中の水分は、土粒子から分離して外側に排出される。そして、かかる水分は、透水性シート3による濾過作用によって土粒子と分離されつつ、該透水性シートを通過し、さらに透水性ベルト2の排水溝21に集められた後、排水孔22を介して吸引管9内を流れて排水される。
【0104】
一方、加圧機構101bを構成する加圧ベルト32は、透水性ベルト2及び透水性シート3と同じ搬送速度で循環するとともに、加圧ベルト32が搬送区間Aにおける透水性シート3の表面から所定距離だけ離間するように該加圧ベルトの裏側に加圧ローラ136を配置してある。
【0105】
このようにすると、図9に示すように掘削土砂57は、加圧ベルト32と透水性ベルト2及び透水性シート3との間に挟み込まれながら搬送されるとともに、搬送中、加圧ローラ136で加圧されるため、加圧機構101bによる加圧作用によって脱水が促進される。そして、水分が除去され含水比が低下した掘削土砂は、搬送区間Aの終点において、図7で言えばその左側に搬出される。
【0106】
加えて、本実施形態に係る加圧機構101bは、透水性シート3からの加圧ベルト32の離間距離を高さ調整機構141によって調整することが可能であり、以下の2パターン、すなわち、
(a)搬送区間Aのうち、一部又は全部の区間において透水性ソート3と平行な関係を保持しつつ、該透水性シートからの離間距離を調整するパターン
【0107】
(b)搬送区間Aのうち、一部又は全部の区間において透水性シート3との離間距離を搬送方向に沿って徐々に小さくなるように調整するパターン
【0108】
を適宜選択し、あるいは組み合わせることができる。
【0109】
例えば、掘削土砂57の搬送量に応じてパターン(a)を適用する場合は、搬送量が多いときに離間距離を大きくし、少ないときには離間距離を小さくするように調整すればよい。このように調整すれば、掘削土砂57の搬送量に関わらず、所定の加圧脱水を行うことができる。
【0110】
本実施形態では特に、土質性状に応じてパターン(b)を採用することができる。すなわち、掘削土砂57が比較的硬い場合、搬送区間Aの途中で生じた、又は当初から生じていた割れ目やひび割れから空気が抜けてしまい、脱水機構1aによる減圧操作を行っても効率的な脱水を行うことができないという事態が生じる。また、脱水プロセスによる収縮に伴って割れ目やひび割れが進行し、搬送区間Aの下流側では、減圧操作がますます困難になることも予想される。さらには、掘削土砂57が硬いため、加圧ベルト32による加圧力が例えばベルト中央付近の掘削土砂にのみ偏り、ベルト縁部付近の掘削土砂には加圧力が及ばないといった事態も予想される。
【0111】
このような場合には図9(a)に示したように、透水性シート3からの加圧ベルト32の離間距離が搬送区間Aの上流側ではh1、下流側ではh2(h2<h1)となるように、各高さ調整機構141を操作する。
【0112】
このようにすると、掘削土砂57は、搬送区間Aに沿って層厚が薄くなり、より体積が収縮するように加圧されることとなり、割れ目やひび割れが生じることはないし、脱水に伴って割れ目やひび割れが生じたとしても、それらは速やかに塞がる。
【0113】
一方、掘削土砂の搬送を終えた透水性ベルト2及び透水性シート3は、ヘッドプーリ4を回った後、透水性ベルト2はテールプーリ5に戻るが、透水性シート3は、透水性ベルト2から離れてリターンローラ7aに向かう。
【0114】
次いで、透水性シート3は、ヘッドプーリ4とリターンローラ7aとの間に設置された流体噴射機構13による空気の噴射によって土粒子が除去された後、リターンローラ7a,7b,7cを経てテールプーリ6に戻り、テールプーリ5で透水性ベルト2に再び重ねられる。
【0115】
以上説明したように、本実施形態に係るベルトコンベヤ101によれば、脱水機構1aのベルト構造を二重構造とし、掘削土砂の搬送荷重を透水性ベルト2に支持させる一方、土粒子の通過を阻止する役目を透水性シート3に負わせたので、それぞれの役割に応じて透水性ベルト2及び透水性シート3を製作することが可能となり、脱水効率を大幅に向上させることができる。
【0116】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ101によれば、脱水機構1aを構成する透水性シート3の戻りルートを、透水性ベルト2の戻りルートとは別に設けて、透水性シート3の戻りルートに流体噴射機構13を設置するようにしたので、土粒子除去を優先したルート、例えば流体噴射機構13を設置しやすいルートで透水性シート3を循環させることが可能となり、透水性シート3の目詰まりを防止しやすくなる。
【0117】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ101によれば、脱水機構1aのベルト構造を二重構造としたことによって、透水性シート3を適宜交換することが可能となり、透水性シート3の目詰まりによる脱水効率の低下を未然に防止することができる。
【0118】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ101によれば、脱水機構1aを構成する吸引部材8の開口縁部に沿って気密シール24を取り付け、該気密シールが透水性ベルト2の裏面と摺動自在になるように、かつ透水性ベルト2に形成された排水孔22が吸引部材8の減圧空間と連通するように、透水性ベルト2の搬送方向に沿って吸引部材8を配置するようにしたので、吸引部材8と透水性ベルト2の裏面との気密性が高くなり、空気漏れによる圧力ロスを低減して脱水効率を高めることが可能となる。
【0119】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ101によれば、上述したように気密シール24が透水性ベルト2の裏面と摺動自在になるように透水性ベルト2の搬送方向に沿って吸引部材8を配置するようにしたので、加圧機構101bによって載荷された圧力は吸引部材8で支持され、該吸引部材で反力が発生する。ちなみに、吸引部材8は、例えば架台54に固定しておけばよい。
【0120】
すなわち、吸引部材8は、透水性ベルト2に形成された排水孔22の裏側で減圧空間を形成する役目を果たすのみならず、加圧機構101bからの圧力を透水性ベルト2の裏側で支持する反力部材としての役目をも果たす。
【0121】
そのため、加圧機構101bによる圧力は逃げることなく掘削土砂に作用し、該掘削土砂は、加圧ベルト32と透水性ベルト2及び透水性シート3との間で十分に脱水される。
【0122】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ101によれば、加圧機構101bによって、掘削土砂57が加圧ベルト32と透水性ベルト2及び透水性シート3との間に挟み込まれながら搬送されるとともに、搬送中、加圧ローラ36で加圧されるため、脱水機構1aによる掘削土砂の脱水作用を促進することが可能となり、かくして掘削土砂をさらに高い効率で脱水することが可能となる。
【0123】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ101によれば、透水性シート3からの加圧ベルト32の離間距離を高さ調整機構141によって調整することができるように加圧機構101bを構成したので、掘削土砂の搬送量や土質性状に応じて最適に調整することが可能となる。
【0124】
特に、高さ調整機構141を、透水性シート3からの加圧ベルト32の離間距離が搬送区間Aの上流側ではh1、下流側ではh2(h2<h1)となるように操作することにより、搬送区間Aに沿ってより体積が縮小するように加圧される。
【0125】
そのため、脱水に伴う体積収縮が原因で、あるいは本来的に土が硬いことが原因で割れ目やひび割れが発生するのを未然に防止し、脱水機構1aの減圧操作を実効あらしめるという顕著な作用効果を奏する。
【0126】
加えて、離間距離を搬送方向に沿って徐々に狭くすることにより、加圧ローラ136による加圧力は、ベルト中央部に偏ることなくベルト縁部にも均等に及ぶこととなり、脱水性能のさらなる向上を図ることも可能となる。
【0127】
なお、本実施形態に係る脱水装置を泥土圧シールド工事現場に設置し、透水性シート3からの加圧ベルト32の離間距離が搬送区間Aの上流側ではh1、下流側ではh2(h2<h1)となるように調整したところ、離間距離が一定である場合に生じていた割れ目やひび割れは全く発生せず、プレス状態にまで脱水が可能であることが確認できた。
【0128】
本実施形態では特に言及しなかったが、第1実施形態で述べた変形例は、すべて本実施形態にも適用することが可能である。例えば、透水性シート3の駆動プーリと透水性ベルト2の駆動プーリとを個別に設けるようにしてもよいし、気密シール24を省略することも可能である。また、透水性シート3は必ずしも不織布である必要はない。また、本発明に係る脱水装置が搬送機能を持つ必要もない。さらに、図5で述べた反力部材52の変形例や、加圧ベルト32の表面に吸水材である多孔質シートを設けた変形例、あるいは透水性シート3を洗浄する洗浄機構を別途設けた変形例も、第2実施形態で可能である。
【0129】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、高さ調整機構141と同様の機能を持つ高さ調整機構を介してベンドプーリ104,105を架台54に取り付け、加圧ローラ136の高さ調整に合わせてベンドプーリ104,105の高さを調整するようにしてもよい。
【0130】
かかる構成においては、例えば、ベンドプーリ104,105及び加圧ローラ136のベルト接触部位が同一平面上にくるように調整することが可能となり、加圧ローラ136は加圧ベルト32の張力を負担せずに済む。なお、かかる場合においては、ベンドプーリ104,105は、加圧ベルト32の走行角度を調整する走行角度調整ローラとして機能する。
【0131】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、図10に示すように、掘削土砂に振動を付与する振動付与機構としてのバイブレータ61を透水性ベルト2の裏側に配置してもよい。
【0132】
かかる構成においては、バイブレータ61を駆動することによって、掘削土砂の土粒子間隙に存在する水を土塊の外側に予め排出させることが可能となり、かかる構成によっても脱水効率の向上を図ることができる。
【0133】
また、本実施形態では、空気を噴射する流体噴射機構13を透水性シート3の戻り側に配置することで、透水性シート3に付着した掘削土砂の土粒子を吹き飛ばして透水性シート3の目詰まりを防止するようにしたが、流体噴射機構13に代えて又は流体噴射機構13とともに、透水性シート3を洗浄する洗浄機構を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本実施形態に係るベルトコンベヤの全体図。
【図2】透水性ベルト2、透水性シート3及び加圧ベルト32の配置状況を示した斜視図。
【図3】透水性ベルト2及び透水性シート3の図であり、(a)は平面図、(b)はB−B断面に沿った断面図。
【図4】走行角度調整ローラ35及び加圧ローラ36を示した詳細図。
【図5】反力部材52の設置状況を示した図であり、(a)は平面図、(b)はC−C断面に沿った断面図。
【図6】バイブレータ61の配置状況を示した図。
【図7】本実施形態に係るベルトコンベヤの全体図。
【図8】透水性ベルト2、透水性シート3及び加圧ベルト32の配置状況を示した斜視図。
【図9】加圧ローラ136を示した詳細図。
【図10】バイブレータ61の配置状況を示した図。
【符号の説明】
【0135】
1,101 ベルトコンベヤ(掘削土砂の脱水装置)
1a 脱水機構
1b,101b 加圧機構
2 透水性ベルト
3 透水性シート
4 ヘッドプーリ(第1のヘッドプーリ)
5 テールプーリ(第1のテールプーリ)
6 テールプーリ(第2のテールプーリ)
8 吸引部材
9 吸引管
10 吸引ポンプ
12 吸引機構
13 流体噴射機構
21 排水溝
22 排水孔
24 気密シール
32 加圧ベルト
33 ヘッドプーリ(第3のヘッドプーリ)
34 テールプーリ(第3のテールプーリ)
35 走行角度調整ローラ
36,136 加圧ローラ
52 反力部材
61 バイブレータ(振動付与機構)
141 高さ調整機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のヘッドプーリと第1のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす透水性ベルトと、搬送速度が前記透水性ベルトの搬送速度と等しくなるようにかつ裏面が所定の搬送区間において前記透水性ベルトの表面に重ねられるように第2のヘッドプーリと第2のテールプーリとに掛け渡された透水性と土粒子遮断性とを有する無端状をなす透水性シートと、前記搬送区間において前記透水性シートに載置された掘削土砂中の水分を前記透水性シート及び前記透水性ベルトを介して吸引除去する吸引機構とからなる脱水機構と、
前記脱水機構の上方に配置され循環経路が前記透水性ベルト及び前記透水性シートの循環経路と逆回りとなるようにかつ循環速度が前記透水性ベルト及び前記透水性シートの搬送速度と等しくなるように第3のヘッドプーリと第3のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす加圧ベルトと、該加圧ベルトが前記搬送区間における前記透水性シートの表面から所定距離だけ離間するように前記加圧ベルトの走行角度を調整する一対の走行角度調整ローラと、該一対の走行角度調整ローラの間に配置された加圧ローラとからなる加圧機構とを備えたことを特徴とする掘削土砂の脱水装置。
【請求項2】
第1のヘッドプーリと第1のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす透水性ベルトと、搬送速度が前記透水性ベルトの搬送速度と等しくなるようにかつ裏面が所定の搬送区間において前記透水性ベルトの表面に重ねられるように第2のヘッドプーリと第2のテールプーリとに掛け渡された透水性と土粒子遮断性とを有する無端状をなす透水性シートと、前記搬送区間において前記透水性シートに載置された掘削土砂中の水分を前記透水性シート及び前記透水性ベルトを介して吸引除去する吸引機構とからなる脱水機構と、
前記脱水機構の上方に配置され循環経路が前記透水性ベルト及び前記透水性シートの循環経路と逆回りとなるようにかつ循環速度が前記透水性ベルト及び前記透水性シートの搬送速度と等しくなるように第3のヘッドプーリと第3のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす加圧ベルトと、該加圧ベルトの裏側に設置され前記搬送区間における前記加圧ベルトと前記透水性シートとの離間距離を調整自在な加圧ローラとからなる加圧機構とを備えたことを特徴とする掘削土砂の脱水装置。
【請求項3】
前記搬送区間の上流側から下流側にかけて前記離間距離が減少するように前記加圧ローラの設置高さを調整した請求項2記載の掘削土砂の脱水装置。
【請求項4】
前記吸引機構を、吸引ポンプと該吸引ポンプに接続された吸引管と該吸引管に連通接続され内部に減圧空間が形成された吸引部材とで構成するとともに、該吸引部材の開口縁部に沿って気密シールを取り付けて構成し、該気密シールが前記透水性ベルトの裏面と摺動自在になるように前記吸引部材を配置した請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の掘削土砂の脱水装置。
【請求項5】
前記透水性ベルトの表面に排水溝を形成するとともに該排水溝の溝底面に排水孔を形成し、該排水孔が前記吸引部材の減圧空間と連通するように該吸引部材を配置した請求項4記載の掘削土砂の脱水装置。
【請求項6】
前記第2のヘッドプーリを前記第1のヘッドプーリと兼用した請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の掘削土砂の脱水装置。
【請求項7】
前記透水性シートの裏側から気体又は液体を噴射する流体噴射機構を前記透水性シートの戻り側に配置した請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の掘削土砂の脱水装置。
【請求項8】
前記透水性ベルトの裏側に該透水性ベルトの裏面と摺動自在になるように反力部材を配置した請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の掘削土砂の脱水装置。
【請求項9】
前記掘削土砂に振動を付与する振動付与機構を前記透水性ベルトの裏側に配置した請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の掘削土砂の脱水装置。
【請求項10】
前記加圧ベルトの表面に吸水材を設けた請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の掘削土砂の脱水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−229611(P2008−229611A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324096(P2007−324096)
【出願日】平成19年12月15日(2007.12.15)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】