説明

掘削装置及び当該掘削装置に用いられるドリルビット

【課題】 本発明は,形成される穴の底面を平らにすることができる掘削装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 被掘削面を下方に掘削することで穴を形成するための掘削装置1は,ドリル本体11に上方から支持されたドリルビット20を含む。ドリルビット20は,内筒30と,外筒40とを含む。内筒30は,上部が円筒状であり,下部が下端に向かうにつれて先細りとなる形状をなしている。外筒40は,水平な下端面をなしている。掘削装置1は,外筒40の下端面が内筒30の下端の少なくとも一部よりも上方にあるときに,内筒30の下端面に設けた掘進用掘削刃37を用いて穴の穴底を円錐形に掘削する。一方,外筒40の下端面が内筒30の下端面の全ての表面よりも下方にあるときには,掘削装置1は,外筒40の下端に設けた平面形成用掘削刃43を用いて穴の穴底を平面状に掘削する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,被掘削面を下方に掘削することで穴を形成する掘削装置及び当該掘削装置に用いられるドリルビットに関する。
【背景技術】
【0002】
掘削装置を用いて,地面に鉛直方向に沿って穴を形成することが広く行われている。掘削装置のドリルの先端にあるドリルビットの外形は,一般的に,下端(先端)に向かうにつれて先細りとなる円錐形である。このような外形のドリルを用いることで,固い地盤にあたっても先端の頂部で掘削できるとともに,掘削により生じた土砂を上方へとかき出しながら掘削することができる。
【0003】
そして,形成した穴に,芯材としてH鋼杭を配置し,その周囲に,固化材及び充填材などの硬化材料を打設することで,杭状物を作成することができる。このような杭状物は,建築物の支持杭などとして利用される。なお,建築物の支持杭として用いる場合には,支持強度を高めるために,支持杭の下面が地中において最も強固な地盤に接触することが好ましい。
【0004】
しかしながら,上述したような外形のドリルビットを用いると,ドリルによって形成した穴の底面が円錐形をなすこととなる。そして,このような円錐形の頂部にまで硬化材料を打設するのは困難である。また,芯材がH鋼杭である場合,H鋼杭は,円錐形の頂部に到達する前にとどまり,その後の硬化材料の充填を阻害することになる。これらのため,このような穴に作成した杭状物では,地中の最も強固な地盤に対して十分な接触面積を確保することができない。また,杭状物の下部の形状も円錐形に近い形状をなすため,安定性が十分に優れているとはいえないという問題がある。
【0005】
ところで,地面に鉛直方向に沿って穴を形成するにあたり,安定液を供給しながら掘削することが提案されている(たとえば,特許第3471742号公報(下記特許文献1)参照)。安定液を供給することで,掘削によって生じた土砂(スライム)を安定液とともに回収することができる。回収した安定液は,スライムを除去することで再利用される。
【0006】
掘削を終了した後,掘削によって形成した穴に満たされている安定液は,可能な限り回収されるが,全てを回収することは困難であるため,通常は,硬化材料の打設前に放置時間が確保される。この放置時間の長さに応じて,回収できず穴に残存した安定液の量が減少していくことになる。
【0007】
しかしながら,安定液を再利用するにあたり,回収した安定液からスライムを除去しても,完全に除去することはできない。特に,微小な土砂を除去することはほぼ不可能である。つまり,再利用した安定液には,残留スライムが含まれていることになる。そして,このような安定液を用いた場合,硬化材料の打設前の放置時間の間に,安定液に含まれていた残留スライムが,穴の底面に向かって沈殿したり,穴の壁面に再付着したりする。その結果,穴の表面は,泥を塗ったような状態(粘土質)になる。このため,このような穴に硬化材料を打設しても,穴の表面と杭状物が定着しにくいという問題がある。なお,穴の表面に泥が生じる原因としては,安定液に限られることはなく,たとえば,地下水や雨水とともに運ばれてきた土砂なども考えられる。そして,杭状物と穴の表面(特に壁面)とが十分に定着していない場合,建築物の摩擦杭として使用するには適さないものとなる。特に,摩擦杭の作成を,円形の穴にH鋼杭を入れた後に,硬化材料を充填することで行った場合,硬化材料は,H鋼杭のフランジ両面と穴の間に入りこみにくく,硬化材料とH鋼杭との間の定着性も十分に確保できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3471742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで,本発明は,形成される穴の底面を平らにすることができる掘削装置,並びにそのような掘削装置に適したドリルビットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面は,基本的には,被掘削面を下方に掘削することで穴を形成する掘削装置(1)に関する。この掘削装置(1)は,ドリル本体(11)と,ドリルビット(20)を含む。ドリル本体(11)は,ドリルビット(20)を上方から支持し,これにより,ドリルビット(20)は,被掘削面に当たることとなる。
【0011】
上記ドリルビット(20)は,内筒(30)と,内筒(30)の外側に配置される外筒(40)とを含んで構成されている。内筒(30)は,上部が円筒状であり,下部が下端に向かうにつれて先細りとなる形状をなしている。外筒(40)は,水平な下端面をなしている。
【0012】
ドリルビット(20)の内筒(30)は,少なくとも1つの掘進用掘削刃(37)を含んでおり,掘進用掘削刃(37)は,下端に向かうにつれて先細りとなる斜面に配置される。外筒(40)は,少なくとも1つの平面形成用掘削刃(43)を含んでおり,平面形成用掘削刃(43)は,下端面に配置される。
【0013】
そして,掘削装置(1)は,外筒(40)の下端面が内筒(30)の下端の少なくとも一部よりも上方にあるときに,掘進用掘削刃(37)及び平面形成用掘削刃(43)を用いて穴の穴底を凹状(例えば円錐形)に掘削する。一方,外筒(40)の下端面が内筒(30)の下端面の全ての表面よりも下方にあるときには,掘削装置(1)は,主として平面形成用掘削刃(43)を用いて穴の穴底を平面状に掘削する。
【0014】
このように,本発明の第1の側面によれば,掘進用掘削刃(37)と平面形成用掘削刃(43)の2種類の掘削刃を使い分けるようにして掘削し,最終的には,穴の穴底を平面状に,つまり平らに形成することができる。このようにして穴底を平らにすることができるので,この穴に,建築物用の支持杭を作成した場合には,穴底に円錐形などの凹部があった場合に比べて,支持杭の安定性を高めることができる。
【0015】
また,本発明の他の側面では,上記掘削装置(1)が,外筒(40)と内筒(30)とを連結する連結機構(50)を含んでいる。この場合,内筒(30)は,ドリル本体(11)に固定するためのシャフト(31)をさらに含む。そして,上記連結機構(50)は,外筒(40)がシャフト(31)の外側を当該シャフト(31)の軸方向に沿って上下方向に摺動可能に,外筒(40)と内筒(30)とを連結する。このように,外筒(40)と内筒(30)が互いに連結されて摺動可能となるので,内筒(30)に設けられた掘進用掘削刃(37)と,外筒(40)に設けられた平面形成用掘削刃(43)との使い分けを確実に行うことができるようになる。
【0016】
さらに,本発明のさらに他の側面では,上記連結機構(50)が,ドリル(10)の軸方向に沿って設けられたスプライン構造によって,外筒(40)と内筒(30)とを互いに連結する。この場合,このスプライン構造には,さらに,外筒(40)がシャフト(31)を回転軸として当該シャフト(31)の外側を摺動する旋回を許容するための段差スペース(34)が設けられている。
【0017】
そして,外筒(40)は,外筒(40)の下端面が内筒(30)の下端よりも下方にある場合には,段差スペース(34)を介してシャフト(31)によって保持されず,これにより,シャフト(31)に対する旋回が禁止される。このため,外筒(40)は,シャフト(31)と一体的に旋回(連動)することで,平面形成用掘削刃(43)を用いた掘削を行うこととなる。一方,外筒(40)の下端面が内筒(30)の下端よりも上方にある場合には,外筒(40)は,段差スペース(34)を介してシャフト(31)によって保持される。このため,外筒(40)は,段差スペース(34)で保持されている間は,その位置よりも下方に摺動できなくなる。これにより,掘進用掘削刃(37)を平面形成用掘削刃(43)の上方に保持することができ,穴底を平面状に形成することが容易になる。
【0018】
さらに,本発明のさらに他の側面では,上記掘削装置(1)が,回転機構(8)と,切替え機構とをさらに含んでいる。ここで,回転機構(8)は,ドリル本体(11)を介して前記シャフト(31)を軸周りに旋回させるためのものである。また,切替え機構は,回転機構(8)により旋回させるときのシャフト(31)の旋回方向を正転方向と逆転方向との間で切り替えるためのものである。このような場合,上記段差スペース(34)が,スプライン構造よりも正転方向に配置されている。
【0019】
そして,掘削装置(1)が,回転機構(8)及び切替え機構を用いてシャフト(31)を正転方向に旋回させると,外筒(40)を段差スペース(34)で保持するようになっている。つまり,シャフト(31)の旋回方向が正転方向であるときには,内筒(30)に設けられた掘進用掘削刃(37)を用いた掘削を行うことができるようになっている。一方,掘削装置(1)が,回転機構(8)及び切替え機構を用いてシャフト(31)を逆転方向に旋回させると,段差スペース(34)に保持された外筒(40)が段差スペース(34)から脱落するようになっている。つまり,シャフト(31)の旋回方向が逆転方向であるときには,外筒(40)に設けられた平面形成用掘削刃(43)を用いて穴底を平面状に形成することができるようになっている。このようにして,シャフト(31)の旋回方向に応じて,掘削刃を使い分けることができる。
【0020】
本発明の別の側面は,上述した第1の側面に係る掘削装置(1)に用いられるドリル用のドリルビット(20)である。通常,ドリルビット(20)は,掘削装置(1)において交換可能であるため,上述した掘削装置(1)に用いられるようなドリルビット(20)であれば,上記効果と同等の効果を奏することができることとなる。
【0021】
また,本発明の第2の側面は,上記第1の側面と同様に,被掘削面を下方に掘削することで穴を形成する掘削装置(1),特にはドリルビット(20)を含むドリル(10)に関するものである。この第2の側面に係るドリル(10)は,内筒(30)と,内筒(30)の外周面上を摺動可能な外筒(40)と,内筒(30)に対する外筒(40)の位置を上下方向において変更するための調節機構とを含む。調節機構としては,上述したスプライン構造を含むものであってもよい。また,調節機構として,油圧シリンダなどの位置決め手段を用いてもよい。この第2の側面によれば,ドリル(10)において,内筒30に設けた掘削刃と,外筒(40)に設けた掘削刃とを使い分けることが容易になる。具体的には,従来では,一旦,ドリルを穴から引き揚げて,他の掘削刃を装着し直すか,又は他のドリルに交換する必要があり,手間のかかるものであったが,本発明の第2の側面によれば,そのような手間がかからない。これにより,掘削作業を円滑に進めることができる。さらに,調節機構によって,外筒(40)と内筒(30)とが相対移動可能に構成されているので,掘削の途中で上記相対移動を行うことで,ドリル(10)内に掘削土が堆積し,ドリル(10)内が閉塞するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の側面に係る掘削装置(1)によれば,掘進用掘削刃(37)と平面形成用掘削刃(43)の2種類の掘削刃を使い分けるようにして掘削し,最終的には,穴の穴底を平面状に,つまり平らに形成することができる。このようにして穴底を平らにすることができるので,建築物用の支持杭を作成した場合には,穴底に円錐形などの凹部がある場合に比べて,支持杭の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の掘削装置1を用いて被掘削面を下方に掘削して穴を形成している状態にあるときの掘削現場の様子を示す図である。
【図2】図1に示すドリル10の構成を詳細に示す側面図である。
【図3】図3は,図2に示すドリルビット20の構成を詳細に示す側面図である。
【図4】図4は,図3に示すドリルビット20の内筒30のシャフト31の構成を詳細に示す図であり,図4(a)は,シャフト31の側面図であり,図4(b)は,図4(a)の線IV(b)−IV(b)に沿って見たときのシャフト31の上面図であり,図4(b)は,図4(a)の線IV(c)−IV(c)に関する,シャフト31の断面図である。
【図5】図5は,図3に示すドリルビット20の内筒30の掘進用ビット35の構成を詳細に示す図であり,図5(a)は,掘進用ビット35の側面図であり,図5(b)は,図5(a)の線V(b)−V(b)に沿って見たときの掘進用ビット35の底面図である。
【図6】図6は,図3に示すドリルビット20の外筒40の構成を詳細に示す図であり,図6(a)は,外筒40の側面図であり,図6(b)は,図6(a)の線VI(b)−VI(b)に沿って見たときの外筒40の底面図であり,図6(c)は,図6(a)の線VI(c)−VI(c)に沿って見たときの外筒40の上面図である。
【図7】図7は,図6(b)の線VII−VIIに沿って見たときの,外筒40に設けられるリブ42及び平面形成用掘削刃43の側面図である。
【図8】図8は,図3に示すドリルビット20の連結機構50の構成を詳細に示す図であり,図8(a)は,連結機構50の側面図であり,図8(b)は,図8(b)の線VIII(b)−VIII(b)に沿って見たときの連結機構50の上面図である。
【図9】図9は,図6(c)に示した外筒40と,図8(b)に示した連結機構50と,図4(c)に示した内筒30のシャフト31との連結状態を説明するための上面図である。
【図10】図10は,図8(b)に示す連結機構50の凸部55が,図4(a)に示す内筒30の段差スペース34に収納されているときの状態を説明するために用いられる図である。
【図11】図11は,図10に示す状態にあった連結機構50の凸部55が,内筒30の段差スペース34から脱落するときの状態を説明するために用いられる図である。
【図12】図12は,図2及び図3に示すドリルビット20の底面図であり,多数の掘削刃の配置を説明するのに有用な図である。
【図13】図13は,図3に示すドリルビット20において,内筒30の掘進用掘削刃37が外筒40内に収納されたときの状態を説明するために用いられる図である。
【図14】図14は,図2に示すドリル10に,位置決め手段を設けた場合の構成を概略的に示す図である。
【図15】図15は,本発明の別の側面に係る掘削装置のドリルの一例の構成を示す部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下,図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。しかしながら,以下説明する形態はある例であって,当業者にとって自明な範囲で適宜修正することができる。
【0025】
図1は,本発明の掘削装置1を用いて被掘削面を下方に掘削して穴を形成している状態にあるときの掘削現場の様子を示す図である。図1に示すように,掘削装置1は,地面を被掘削面として掘削を行う装置,いわゆるボーリングマシンであり,ドリル10を含んでいる。さらに,掘削装置1は,ドリル10を支持する支持手段3と,ドリル10を軸回りに旋回させるための回転手段6とを備えている。
【0026】
支持手段3は,ドリル10の荷重を受けるための手段であり,ドリル10を例えば吊り下げた状態で保持する保持手段4と,保持手段4を介してドリル10を上下方向に昇降させる昇降手段5とを備えている。図1に示す例では,昇降手段5は,クレーンであり,保持手段4は,スイベルジョイント及び吊り具である。ただし,保持手段4及び昇降手段5の例はこれらに限られることはない。また,保持手段4を用いずに,昇降手段5でドリル10を直接的に保持してもよいが,この場合,ドリル10を旋回可能に保持することが好ましい。
【0027】
回転手段6は,ドリル10(後述するシャフト31)を軸回りに旋回させるための手段であり,本態様では,テーブル7と,回転機構8と,切替え機構(図示せず)とを含んでいる。テーブル7は,地面上に設置される。このテーブル7には,貫通孔が設けられており,この貫通孔にドリル10を貫通させることで,ドリル10の横方向の揺動を防止することができる。回転機構8は,ドリル10を軸回りに旋回させるために必要な旋回力をドリル10に与えるためのものであり,テーブル7に固定されている。切替え機構は,回転機構8によりドリル10を旋回させるときのドリル10の旋回方向を,正転方向と逆転方向との間で切り替えるためのものであり,具体的には,回転機構8による旋回力の方向を,第1方向と,当該第1方向とは反対の第2方向との間で切り替えるためのものである。回転手段6としては,公知の回転テーブルを用いることができ,いずれの回転テーブルであっても,本態様に適用することが可能である。
【0028】
回転機構8が旋回力を与えることにより,ドリル10は,軸回りに旋回することとなる。また,ドリル10の自重により,ドリル10は鉛直下方へと進行しようとするので,回転機構8によって与えられた旋回力は,下方(掘進方向)への掘削力に変換されることとなる。ここで,切替え機構が旋回力の方向を第1方向としたときのドリル10の旋回方向を正転方向,第2方向としたときのドリル10の旋回方向を逆転方向とする。
【0029】
図2は,図1に示すドリル10の構成を詳細に示す側面図である。図2に示すように,ドリル10は,ドリル本体11と,図3に示すドリルビット20とを有している。
【0030】
ドリル本体11は,たとえば直径90mmの中空円筒状のパイプ材であり,内部に貫通路が形成されている。本態様では,ドリル本体11は,複数の円筒状のパイプ材が直列にボルト及びナットなどの連結手段により連結されることで構成されている。
【0031】
ドリルビット20は,ドリル10の下部に配置されており,ドリル本体11により上方から支持された状態で,被掘削面に当たるようになっている。ドリルビット20は,図3に示すように,内筒30と,内筒30の外側に配置された外筒40とを含む。また,ドリルビット20は,本態様では,内筒30と外筒40とを連結する連結機構50をさらに含んでいる。
【0032】
ドリルビット20の構成について,図4〜図10を用いて,さらに詳細に説明する。
【0033】
内筒30は,ドリル本体11に固定されることで,上方から支持される。内筒30は,図4(a),図4(b)に示すシャフト31(スプラインシャフト)と,図5(a),図5(b)に示す掘進用ビット35とを含む。
【0034】
シャフト31は,内筒30の上部に配置されるものであり,図4(b)の上面図に示すように,円筒状をなすパイプ材31aであって,図4(a)の側面図に示すように,パイプ材の上端と下端には,それぞれ,上端フランジ31b,下端フランジ31cが設けられている。そして,下端フランジ31cに掘進用ビット35を固定し,上端フランジ31bにドリル本体11を固定することで,掘進用ビット35とドリル本体11とを連結することができるようになっている。これにより,掘進用ビット35は,ドリル本体11により上方からシャフト31を介して支持されることとなる。また,ドリル本体11を旋回させることで,掘進用ビット35は,シャフト31を介してドリル本体11と一体的に旋回することとなる。
【0035】
掘進用ビット35は,内筒30の下部に配置される。具体的には,掘進用ビット35は,シャフト31の下端フランジ31cなどを介して固定されており,これにより,取り外し可能となっている。この掘進用ビット35は,図5(a)に示すように,下端に向かうにつれて先細りとなる形状をなすビット本体35aを有する。
【0036】
ビット本体35aには,3枚の金属製のプレート材36が配置されている。3枚のプレート材36は,図5(b)の底面図に示すように,一端をビット本体35aの中心点に合わせ,他端が放射状に広がるように(半径方向に向かって)配置されている。各プレート材36には,少なくとも1つのシース(図示せず)が設けられており,各シースに,掘進用掘削刃37が装着されている。各シース及び掘進用掘削刃37の装着場所は,ビット本体35aの,下端に向かうにつれて先細りとなる斜面である。具体的には,掘進用掘削刃37は,内筒30下部の斜面の近傍においてその斜面から少なくとも一部が被掘削面に向かって突出するように装着されている。なお,掘進用ビット35と,シャフト31とは,一体的に構成されていてもよい。なお,ドリルビット20は,3枚のプレート材36を含むとしたが,プレート材36は,1枚や2枚であってもよいし,4枚以上であってもよい。また,掘進用掘削刃37は,必ずしもシースに装着する必要はなく,たとえばメタル溶着によって直接的にプレート材36上に設置してもよい。
【0037】
外筒40は,図6(a)〜図6(c)に示すように,中空円筒状のパイプ材で構成された外筒本体41を含む。この外筒本体41は,図3に示したように,内筒30の外側に配置できるように,内筒30の外径よりも大きい外径を有している。
【0038】
また,外筒40は,外筒本体41の下部において,外筒本体41を構成するパイプ材の内周面に固定されたリブ42を含む(図6(b)の底面図及び図7参照。)。本態様では,リブ42は,図7等に示すように,3枚であり,3枚のリブ42は,外筒本体41の内周面において等間隔に配置されており,各リブ42は,外筒本体41の中心軸に向かって延出している。また,各リブ42は,各リブ42の下端面と外筒40の下端面がほぼ同一の平面上に配置されるように,外筒本体41に固定されている。各リブ42の外筒本体41への固定は,溶接であってもよいし,ボルト及びナットなどの連結手段を用いてもよい。
【0039】
そして,各リブ42の下端面には,少なくとも1つの平面形成用掘削刃43が装着されている。平面形成用掘削刃43は,掘削によって形成される穴の穴底を平らに成形するための掘削刃である。平面形成用掘削刃43は,具体的には,リブ42の下端面の近傍においてその下端面から少なくとも一部が被掘削面に向かって突出するように装着されている。また,本態様では,外筒本体41の下端面にも,平面形成用掘削刃43と同等の機能を有する掘削刃が装着されている。
【0040】
また,外筒40は,さらに,外筒本体41の上部において,外筒本体41を構成するパイプ材の内周面に固定された取付金具45を含む(図6(c)の上面図参照。)。本態様では,取付金具45は,図6(c)等に示すように,3つであり,3つの取付金具45は,外筒本体41の内周面において等間隔に配置されており,各取付金具45は,外筒本体41の中心軸に向かって延出している。各取付金具45の外筒本体41への固定は,溶接であってもよいし,ボルト及びナットなどの連結手段を用いてもよい。また,各取付金具45には,連結機構50を固定するためのボルト穴45aが設けられている。
【0041】
連結機構50は,外筒40と内筒30とを連結するためのものであり,具体的には,外筒本体41の上部に設けられた取付金具45と,内筒30のシャフト31とを連結するためのものである。特に,本態様では,この連結機構50は,外筒40がシャフト31の外側を当該シャフト31の軸方向に沿って上下方向に摺動することができるように,外筒40と内筒30とを連結するものであり,外筒40と連動するように構成されている。この連結方式については,後述する。
【0042】
連結機構50の一例が図8(a),図8(b)に示されている。この例では,連結機構50は,中空円筒状のパイプ材51と,パイプ材51の外周面において等間隔に配置された複数のプレート材52とを含んでいる。
【0043】
連結機構50のプレート材52は,外筒本体41の取付金具45に固定するためのものである。そのため,各プレート材52には,ドリル10の軸方向に沿って並ぶように複数のボルト穴52aが形成されている。複数のボルト穴52aのうち,外筒40の取付金具45のボルト穴45aに連通するボルト穴52aにボルトを挿し込み,外筒本体41の取付金具45側でナットを締めることで,連結機構50と外筒40とが一体的に連結される(図9参照。)。したがって,プレート材52の数は,外筒本体41の取付金具45の数に応じたものとなる。
【0044】
連結機構50のパイプ材51の内周面は,内筒30のシャフト31の外周面とほぼ相補的に形成されている(スプライン構造)。具体的には,図8(b)に示すように,連結機構50のパイプ材51の内周面には,凸部55がドリル10の軸方向に沿って形成されており,シャフト31の外周面には連結機構50の凸部55に対応する凹部33(図4(a)などを参照)がドリル10の軸方向に沿って形成されている。このようなスプライン構造によって,連結機構50の内周面は,シャフト31の外周面をドリル10の軸方向に沿って摺動(スライド)可能となっている。その摺動範囲は,シャフト31の上端フランジ31bと,シャフト31の下端フランジ31cの間となる。なお,連結機構50には,外筒40が固定されているため,連結機構50が摺動すると,外筒40も連動して移動する。
【0045】
また,上記スプライン構造のために,基本的には,連結機構50は,シャフト31と一体的に旋回することはできるものの,シャフト31の外周面をドリル10の軸方向に垂直な方向,つまり旋回方向に摺動することはできないようになっている。しかし,本態様では,シャフト31の凹部33の上部には,図4(a)などに示すように,段差スペース34が設けられており,これにより,凹部33が部分的に広くなっている。ここで,段差スペース34の広さは,連結機構50の凸部55を収納可能な広さとなっている。
【0046】
このため,連結機構50の凸部55は,この段差スペース34に収納されることがある。具体的には,シャフト31の上方から連結機構50の凸部55を凹部33に差し込んだとき,凸部55は,まず,段差スペース34に収納されることとなる。(なお,その後に上端フランジ31bがシャフト31のパイプ材31aに固定される。)凸部55は,段差スペース34に収納された場合には,段差スペース34の段差部分(底部)にひっかかるため,凹部33の下部に向かって摺動しにくくなる。すなわち,連結機構50は,凸部55が段差スペース34に収納されているとき,内筒30の上部で保持される。そして,凸部55が段差スペース34に収納されている状態は,図10に示すように,ドリル20の旋回方向を正転方向に維持することで,維持される。
【0047】
一方,凸部55が段差スペース34に収納されていない場合や,ドリル20の旋回方向が正転方向から逆転方向に切り替えられた場合には,凸部55は,図11に示すように,自重により,内筒30の下部にまで脱落するように摺動するようになっている。なお,凸部55の脱落を容易にするために,段差スペース34に,凸部55が段差スペース34に収納されているときに当たる角部に面取りを施したり,凸部55が脱落する際に当たる角部に面取り(R面)を施したりすることが好ましい。
【0048】
ところで,ドリル10の組み立ては以下のように行われる。まず,内筒30に連結機構50を介して外筒40を連結し,上端フランジ31bを固定する。これにより,ドリルビット20が構成される。続いて,ドリルビット20の上端フランジ31bをドリル本体11に固定する。このようにして,ドリル10が構成される。ここで,内筒30と外筒40を連結することで構成したドリルビット20の底面図を図12に示す。図12に示すように,ドリルビット20の下端には,多数の掘削刃が配置されており,これらの掘削刃を用いて掘削が行われることとなる。また,図12に示すように,多数の掘削刃は,ドリルビット20の旋回方向が正転方向であるときに被掘削面に当たりやすい正転時用掘削刃と,旋回方向が逆転方向であるときに被掘削面に当たりやすい逆転時用掘削刃とに分けることができる。本態様では,正転時用掘削刃として,掘進用掘削刃37が採用されており,逆転時用掘削刃として,平面形成用掘削刃43が採用されている。
【0049】
次に,図1に示した掘削装置1の掘削時における動作について説明する。
【0050】
まず,掘削装置1は,回転機構8及び切替え機構を用いて,ドリル10を軸回りに正転方向に向かって旋回させることで,被掘削面である地面を掘削する。ここで,ドリル10を正転方向に旋回させている場合,外筒40は,自重により,内筒30の凹部33に沿って下方に進むようになっているが,図11に示したように,凸部55が段差スペース34に収納された状態にあり旋回力によってその状態が維持されているため,それ以上下方に進まないようになっている。つまり,外筒40の内筒30に対する相対位置が上方で維持されている。
【0051】
そして,このように内筒30の外筒40に対する相対位置が上方にある状態では,図3に示したように,内筒30の下端面から,外筒40の下端の少なくとも一部が露出した状態となる。その結果,掘削は,主に,内筒30の下端に設けた掘進用掘削刃37(つまり,正転時用掘削刃)を用いて行われることとなる。掘進用掘削刃37は,外筒40下端の斜面に設けられているので,ドリル10を旋回させながら掘削を行うと,形成される穴の穴底の形は,完全に平らになることはなく,図1に示したように,凹部状(例えば円錐形)となる。なお,外筒40の下端面に設けた平面形成用掘削刃43や,内筒30の下端面から露出していない掘進用掘削刃37も掘削に寄与する。これらの掘削刃は,具体的には,掘削により生じた土砂(掘削土)を上方にかき出すように寄与する。
【0052】
その後,目的深度まで掘削を行ったら,ドリル10の旋回を一旦停止し,昇降手段5を用いて,ドリル10を例えば30cm程度上方に引き揚げる。ドリル10を引き揚げる高さは,掘削用ビット35の軸方向の長さに相当する高さであればよい。このとき,外筒40と内筒30とが相対移動し,その結果,ドリル10内(特には,内筒30と外筒40の間のスペース)に堆積した掘削土が払い落とされる。これにより,ドリル10内が閉塞するのを防止することができる。
【0053】
続いて,切替え機構を用いて,ドリル10の旋回方向を正転方向から逆転方向に切り替える。なお,ドリル10の引き揚げを行ってから旋回方向の切替えを行ってもよい。これらのようにすることで,図11に示したように,外筒40を固定している連結機構50の凸部55が内筒30の上部にある凹部33の段差スペース34に収納された状態から解放され,旋回力と重力によって,凸部55は,段差スペース34から下方に向かって脱落することとなる。
【0054】
この状態では,外筒40の内筒30に対する相対位置が下方にあるため,図13に示すように,内筒30の掘進用掘削刃37は,外筒40内に収納され,外筒40の下端面に設けられた平面形成用掘削刃43(つまり,逆転時用掘削刃)が被掘削面に当たるようになる。そして,この状態で,掘削を行うことで,穴の穴底を平面状に成形することができる。なお,外筒40内に収納された掘進用掘削刃37も掘削に寄与し,具体的には,掘削により生じた土砂(掘削土)を上方にかき出すように寄与する。
【0055】
掘削終了後には,ドリル10の旋回方向を逆転方向に維持したまま,ドリル10を上方に引き揚げる。このようにすることで,内筒30の掘進用掘削刃37が外筒40の下端面よりも下方に突出することを防止することが可能となる。すなわち,平面状に成形した穴底を,掘進用掘削刃37で傷付けることをなくして,穴底の形状を維持することができる。なお,引き揚げる際に,ドリル10の旋回方向を逆転方向のまま維持する期間は,外筒40が内筒30上を摺動可能な範囲の上限に相当する距離だけドリル10を引き揚げるのに必要な期間であれば十分である。しかし,ドリル10を地上まで引き揚げる期間にわたって,ドリル10の旋回方向を逆転方向に維持してもよい。これにより,作業員は,穴底を確認しなくても,内筒30の掘進用掘削刃37が外筒40内に収納されていることを確認するだけで,穴底が平面状に形成されたことを確認することができる。
【0056】
以上詳細に説明したように,本態様では,主として掘進用掘削刃37を用いて,迅速に掘削を進めることができ,また,目的の深度に到達した後で,主として平面形成用掘削刃43を用いて,穴底を平らに成形することができる。また,掘進用掘削刃37と平面形成用掘削刃43の切り替えを,ドリル10の旋回方向を切り替えるだけで済むので,掘削作業を中断することがなく,円滑に進行することができる。
【0057】
なお,上述した態様において,スプライン構造を構成する凹部33を内筒30側に設け,凸部55を連結機構50側に設けたが,これに代えて,凹部を連結機構50側に設け,凸部を内筒30側に設けてもよい。この場合,段差スペース34は,連結機構50側に設けられる。
【0058】
また,上記態様では,正転方向で内筒30の掘進用掘削刃37を用い,逆転方向で外筒40の平面形成用掘削刃43を用いるとしたが,逆転方向で掘進用掘削刃37を用い,正転方向で平面形成用掘削刃43を用いるように掘削装置を構成してもよい。この場合,段差スペース34は,凹部33よりも逆転方向側に設けられる。
【0059】
さらに,図14に示すように,位置決め手段によって,外筒40の内筒30に対する相対位置を調節してもよい。位置決め手段の例としては,油圧シリンジなどの昇降機構を挙げることができる。油圧シリンジを用いると,掘削方向への掘削力が不足しているときに,掘削力を増大させることも可能となる。なお,この場合には,段差スペース34を設ける必要はない。
【0060】
次に,本発明の別の側面について説明する。上記態様では,穴底を平面状に形成する掘削装置や掘削方法について説明した。この別の側面では,上述したような掘削装置1において,ドリル10の外筒40と内筒30の相対位置を上下方向において変更することができることを利用する。すなわち,この側面に係る掘削装置は,外筒40と内筒30の相対位置を上下方向において変更する調節機構を備えている。このように,外筒40と内筒30の相対位置を変更することができると,被掘削面に当たる掘削刃を,2種類の掘削刃(外筒40に設けた掘削刃,及び内筒30に設けた掘削刃)から選択することができる。すなわち,この側面では,穴底を平面状に形成する場合だけに限定されることはない。以下,この側面の具体例について説明する。
【0061】
図15は,本発明の別の側面に係る掘削装置のドリルの一例の構成を示す部分拡大側面図である。
【0062】
図15に示すように,外筒40の下端面のうち,内周側の下端面を被掘削面に対して凹レンズ状に形成し,それらの下端面に掘削刃を設けてもよい。内筒30には,図5(a),図5(b)に示した掘進用掘削刃37と同様の掘削刃が設けられている。このようなドリルビット20を含む掘削装置で掘削を行う場合,地盤の硬度などに応じて,内筒30の掘削刃を用いるか,又は外筒40の掘削刃を用いるかを,ドリル10の旋回方向を設定するだけで変更することができる。
【0063】
具体例を挙げて説明する。被掘削面の硬度が一端側では硬く,他端側では柔らかいといったように,被掘削面において硬度に差がある場合がある。この場合,直進的に掘削を行うことは困難である。このような場合には,図15に示す外筒40の掘削刃を用いる。この掘削刃は,凹レンズ状の下端面に配置されているので,外筒40の外周面で被掘削領域を確定しながら掘削を進めていくことができる。そのため,被掘削面の硬度に差があっても,直進的に掘削を行うことができる。そして,被掘削面において硬度の差がほとんどない場合や,非常に硬い地盤が現れた場合などには,ドリル10の旋回方向を切り替えて,内筒30の掘削刃を用いる。このように,被掘削面の硬度に応じて,掘削方法を柔軟に変更することができる。そのため,事前に行う地質調査を簡略化することもできる。
【0064】
なお,2種類の掘削刃の組み合わせは,図15に示したものに限られることはない。例えば,内筒30に,平面形成用掘削刃43を採用し,外筒40に,図15に示した外筒40の凹レンズ状の下端面に配置した掘削刃を採用してもよい。この場合,外筒40の掘削刃を用いた場合には,直進的な掘削を行うことができ,内筒30の掘削刃を用いた場合には,穴底を平面状に形成することができることとなる。
【0065】
別の例を挙げると,内筒30及び外筒40の双方に,掘進用掘削刃37を採用してもよい。ただし,内筒30と外筒40とで,掘進用掘削刃37が装着される下端面の斜面の傾斜角度が異なっている。このように2種類の掘進用掘削刃37を備えるドリルビットを備える掘削装置では,ドリル10に同じ旋回力を与えても,用いる掘進用掘削刃37によって被掘削面に当たる領域の広さを変更することができる。そして,被掘削面の硬度が高い場合には,傾斜角度が大きい方の掘進用掘削刃37(図14(c)では外筒40)を主に用いることで,被掘削面に当たる領域を狭くして集中的に掘削を行うことが可能となる。一方,被掘削面の硬度が低く粘土質である場合には,傾斜角度が小さい方の掘進用掘削刃37(図14(c)では内筒30)を用いることで,被掘削面に当たる領域を広くして掘削を行うことが可能となる。
【0066】
以上詳細に説明したように,本発明の別の側面によれば,外筒40と内筒30を相対移動可能に構成することで,2種類の掘削刃を搭載することができる。さらには,外筒40と内筒30とが相対移動可能に構成されているので,相対移動を掘削の途中で行うことで,ドリル10内(特には,内筒30と外筒40の間のスペース)に掘削土が堆積し,ドリル10内が閉塞するのを防止することができる。
【0067】
なお,上述した別の側面においても,図14を用いて説明したように,位置決め機構からの外圧によって外筒40を駆動してもよい。
【0068】
上述した態様及び別の側面において,掘削により生じた土砂(掘削土)を穴から除去するために,形成した穴に向けて水などの安定液を,正循環方式又は逆循環方式により,供給してもよい。ここで,正循環方式とは,ドリル10の軸方向に設けた内孔に安定液を供給して,穴とドリル10との間から安定液とともに掘削土を回収する方式であり,逆循環方式とは,穴とドリル10との間に安定液を供給し,ドリル10の軸方向に設けた内孔から安定液とともに掘削土を回収する方式である。
【0069】
形成した穴には,例えば硬化材を注入して芯材を建て込むことで,建築物の支持杭を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は,掘削装置1のドリル10を用いて被掘削面を下方に掘削することで穴を形成する技術分野に利用できる。また,本発明の第1の側面に係る掘削装置1は,穴の穴底を平らに形成する場合に利用できる。本発明の第2の側面に係るドリルは,2種類の掘削刃を使い分けて穴を形成する場合に利用できる。また,本発明は,ドリル10の直径がどのようなスケールであっても適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 掘削装置
3 支持手段
4 保持手段
5 昇降手段
6 回転手段
7 テーブル
8 回転機構
10 ドリル
11 ドリル本体
20 ドリルビット
30 内筒
31 シャフト(スプラインシャフト)
31a パイプ材
31b 上端フランジ
31c 下端フランジ
33 凹部
34 段差スペース
35 掘進用ビット
35a ビット本体
36 プレート材
37 掘進用掘削刃
40 外筒
41 外筒本体
42 リブ
43 平面形成用掘削刃
45 取付金具
45a ボルト穴
50 連結機構(スプラインホルダー)
51 パイプ材
52 プレート材
52a ボルト穴
55 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被掘削面を下方に掘削することで穴を形成する掘削装置(1)であって,
前記掘削装置(1)は,
前記被掘削面に当たるドリルビット(20)と,
前記ドリルビット(20)を上方から支持するドリル本体(11)と,
を含み,
前記ドリルビット(20)は,
上部が円筒状であり,下部が下端に向かうにつれて先細りとなる形状をなす内筒(30)と,
前記内筒(30)の外側に配置され,水平な下端面をなす外筒(40)と,
を含み,
前記内筒(30)は,
前記下端に向かうにつれて先細りとなる斜面に配置された少なくとも1つの掘進用掘削刃(37)を含み,
前記外筒(40)は,
前記下端面に配置された少なくとも1つの平面形成用掘削刃(43)を含み,
前記掘削装置(1)は,
前記外筒(40)の下端面が前記内筒(30)の下端の少なくとも一部よりも上方にあるときに,前記掘進用掘削刃(37)及び前記平面形成用掘削刃(43)を用いて前記穴の穴底を凹状に掘削し,
前記外筒(40)の下端面が前記内筒(30)の下端面の全ての表面よりも下方にあるときに,主として前記平面形成用掘削刃(43)を用いて前記穴の穴底を平面状に掘削する,
掘削装置(1)。
【請求項2】
前記外筒(40)と前記内筒(30)とを連結する連結機構(50)を含み,
前記内筒(30)は,
前記ドリル本体(11)に固定するためのシャフト(31)をさらに含み,
前記連結機構(50)は,
前記外筒(40)が前記シャフト(31)の外側を当該シャフト(31)の軸方向に沿って上下方向に摺動可能に,前記外筒(40)と前記内筒(30)とを連結する,
請求項1に記載の掘削装置(1)。
【請求項3】
前記連結機構(50)は,
前記ドリル(10)の軸方向に沿って設けられたスプライン構造によって,前記外筒(40)と前記内筒(30)とを互いに連結するものであり,
前記スプライン構造には,さらに,
前記外筒(40)が前記シャフト(31)を回転軸として当該シャフト(31)の外側を摺動する旋回を許容するための段差スペース(34)が設けられており,
前記外筒(40)は,
前記外筒(40)の下端面が前記内筒(30)の下端よりも下方にある場合には,前記段差スペース(34)を介して前記シャフト(31)によって保持されず,これにより,前記旋回が禁止され,
前記外筒(40)の下端面が前記内筒(30)の下端よりも上方にある場合には,前記段差スペース(34)を介して前記シャフト(31)によって保持される,
請求項2に記載の掘削装置(1)。
【請求項4】
前記ドリル本体(11)を介して前記シャフト(31)を軸周りに旋回させる回転機構(8)と,
前記回転機構(8)により旋回させるときの前記シャフト(31)の旋回方向を正転方向と逆転方向との間で切り替える切替え機構と,
をさらに含み,
前記段差スペース(34)は,
前記スプライン構造よりも正転方向に配置されており,
前記掘削装置(1)は,
前記回転機構(8)及び前記切替え機構を用いて前記シャフト(31)を前記正転方向に旋回させることにより,前記外筒(40)を前記段差スペース(34)に保持し,
前記回転機構(8)及び前記切替え機構を用いて前記シャフト(31)を前記逆転方向に旋回させることにより,前記段差スペース(34)に保持された前記外筒(40)を当該段差スペース(34)から脱落させる,
請求項3に記載の掘削装置(1)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の掘削装置(1)に用いられるドリル用のドリルビット(20)であって,
上部が円筒状であり,下部が下端に向かうにつれて先細りとなる形状をなす内筒(30)と,
前記内筒(30)の外側に配置され,水平な下端面をなす外筒(40)と,
を含み,
前記内筒(30)は,
前記下端に向かうにつれて先細りとなる斜面に配置された少なくとも1つの掘進用掘削刃(37)を含み,
前記外筒(40)は,
前記下端面に配置された少なくとも1つの平面形成用掘削刃(43)を含む,
ドリルビット(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−180606(P2010−180606A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24690(P2009−24690)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(509036805)MT製作所株式会社 (1)
【Fターム(参考)】