説明

掘削装置及び掘削工法

【課題】簡易な構成で、回転駆動源(アースオーガ)を迅速かつ確実に回転止めする手段を提供する。
【解決手段】回転駆動源EGの機器枠体EG2と柱状ケーシング13とを軸回り方向に係合させる第1回転止め手段RCを介して連結するとともに、装置固定枠体BFに対して柱状ケーシング13を軸回り方向に係合させる第2回転止め手段RL,13bを介して支持し、回転駆動源EGの機器枠体EG2に発生した回転駆動力を第1回転止め手段RCで柱状ケーシング13に伝達させ、その柱状ケーシング13を第2回転止め手段RL,13bにより回転方向に係止して回転駆動源EGの機器枠体EG2を回転方向に係止させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地層内に柱状ケーシングを引き込みながら削孔を行うように構成された掘削装置に関する。
【0002】
従来から、地層の削孔を行う掘削工法には種々のものがあるが、近年、削孔時に柱状ケーシングを地層に立てた状態で残すことが出来るようにした、いわゆる二重管式ダウンザホールハンマー工法が採用されつつある。その二重管式ダウンザホールハンマー工法によれば、急斜面で狭隘な土地や、崩壊しやすい現地等においても、杭打ちを行うことができるという利点がある。
【0003】
そのような二重管式ダウンザホールハンマー工法を実際に行うにあたっては、例えば図18に示されているように、回転駆動源としてのアースオーガ(電動モータ)1に、スクリューロッド2及びダウンザホールハンマー3を介して接続されたガイドビット4を、中空状部材からなる柱状ケーシング5の内部に挿入していき、当該ガイドビット4の先端部分に設けられた拡径ビット6が柱状ケーシング5の下端から突出した状態でガイドビット4が回転可能に取り付けられる。そして、装置全体を立設して杭芯に位置合せした状態で、アースオーガ(電動モータ)1を起動させ、その回転駆動力によって拡径ビット6が径方向の外方側に張り出した状態としながらガイドビット4を削孔方向に回転させながら削孔を行うようにしている。
【0004】
このように回転駆動源としてのアースオーガ(電動モータ)1を回転駆動させるにあたっては、当該アースオーガ1のハウジングを構成している機器枠体1aを回転止めしておく必要があるが、そのため従来装置においては、アースオーガ1の機器枠体1aに、略水平に突出する複数のアーム部1bを設けておき、それらの各アーム部1bに固定ワイヤー7をそれぞれ通した後に、地層の適宜の位置に打設したアンカー8に各固定ワイヤー7の下端部を接続して固定状態とすることが行われている。
【0005】
しかしながら、このようにアースオーガ1に対して固定ワイヤー7を配備するに際しては、固定ワイヤー7の取り回しなどに相当の作業時間を要するとともに、固定ワイヤー7を接続するアンカー8の打込み作業等に多大な労力を要しており、工期の短縮化や安全性を阻害する原因の一つになっている。
【0006】
一方、下記の特許文献1に記載されているように、アースオーガに連結された柱状ケーシングの外周面に、外方に突出する回転止め板(連結補強部材)を設け、その回転止め板を、地層上に設置した反力止め手段に係合させることによって柱状ケーシング及びアースオーガの回転止めを行うようにした提案も従来からなされている。このような提案にかかる装置によれば、上述したような固定ワイヤーを用いることなくアースオーガの回転止めを行うことができる。しかしながら、削孔の際に、柱状ケーシングの外周面が孔壁面に接触しながら掘り進んでいく、いわゆるクリッド工法においては、柱状ケーシングから外方に突出するよう設けられた回転止め板が地層に衝突することになってしまい、それが重大な障害となって削孔を行うことが困難になるという問題がある。また、固定された部材同士の接触によって回転止めが行われていることから、削孔工程の進展により柱状ケーシングが下降していく際に固定部材同士が擦れ合う状態となり、その固定部材同士の擦れ音が騒音となって、環境上使用することができない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−355381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、簡易な構成で、回転駆動源(アースオーガ)を迅速かつ確実に回転止めすることができるようにした掘削装置及び掘削工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明にかかる掘削装置では、削孔される地層の内部に向かって挿入される長尺中空状部材からなる柱状ケーシングと、前記柱状ケーシングの中空内部に当該柱状ケーシングの略中心軸回りに回転可能に挿入されるガイドビットと、このガイドビットにおける前記柱状ケーシングの挿入方向の下端部に径方向の外方側に張り出し可能となるように設けられた拡径ビットと、機器枠体から延出する出力軸の回転駆動力を前記ガイドビット及び拡径ビットに付与する回転駆動源とを備え、前記地層上に構築された装置固定枠体を介して前記柱状ケーシングを削孔位置に立設し、前記ガイドビット及び拡径ビットを前記回転駆動源により回転駆動させて前記地層に対して削孔を行い、前記ガイドビットのヘッド部の外周面上に軸方向に延びるように設けられた掘削屑排出溝を通して削孔時に生じる廃土が排出されるように構成された掘削装置において、前記回転駆動源の機器枠体と前記柱状ケーシングとを、前記中心軸に関する軸方向に分離可能としつつ軸回り方向に係合させるように連結する第1回転止め手段と、前記装置固定枠体に対して前記柱状ケーシングを、前記中心軸に関する軸方向に移動可能としつつ軸回り方向に係合させるように支持する第2回転止め手段とを備えたものであって、前記第1回転止め手段は、前記回転駆動源の機器枠体に取り付けられて前記柱状ケーシングに外方側から被せられるように装着される中空円筒状部材を有し、その中空円筒状部材の内周面及び前記柱状ケーシングの外周面に、前記中心軸に関する軸方向に分離可能で軸回り方向に係合させる回転係合板がそれぞれ設けられている一方、前記第2回転止め手段は、前記装置固定枠体に回転自在に取り付けられた回転ローラを有しているとともに、前記柱状ケーシングの外周面には、前記回転ローラを受け入れることにより当該回転ローラを前記中心軸の軸方向に移動可能としつつ軸回り方向に係合させる回転係合溝が前記柱状ケーシングの外周面から内方に窪むように凹設され、その回転係合溝は、前記ガイドビットのヘッド部と対向する部位を除いた部位に延在しているとともに、前記軸回り方向において前記ガイドビットの掘削屑排出溝に対応する位置に配置され、且つ前記掘削屑排出溝より小さい外形状に形成されていることによって、前記柱状ケーシングの内部を前記ガイドビットが軸方向に移動する際に前記回転係合溝と干渉しないようにした構成が採用されている。
【0010】
また、本発明にかかる掘削工法では、削孔される地層の内部に向かって挿入される長尺中空状部材からなる柱状ケーシングと、前記柱状ケーシングの中空内部に当該柱状ケーシングの略中心軸回りに回転可能に挿入されるガイドビットと、このガイドビットの挿入方向の下端部に径方向外方側に張り出し可能となるように設けられた拡径ビットと、機器枠体から延出する出力軸の回転駆動力を前記ガイドビット及び拡径ビットに付与する回転駆動源とを備えた掘削装置を用いる工法であって、前記地層上に構築された装置固定枠体を介して前記柱状ケーシングを削孔位置に立設し、前記ガイドビット及び前記拡径ビットを前記回転駆動源により回転駆動させて前記地層に対して削孔を行い、前記ガイドビットのヘッド部の外周面上に軸方向に延びるように設けた掘削屑排出溝を通して削孔時に生じる廃土を排出する掘削工法において、請求項1記載の掘削装置の第1回転止め手段を用いることによって、前記回転駆動源の機器枠体と前記柱状ケーシングとを、前記中心軸に関する軸方向に分離可能としつつ軸回り方向に係合させるように連結し、請求項1記載の掘削装置の第2回転止め手段を用いることによって、前記装置固定枠体に対して前記柱状ケーシングを、前記中心軸に関する軸方向に移動可能としつつ軸回り方向に係合させるように支持する一方、請求項1記載の掘削装置の第2回転止め手段の回転係合溝及びガイドビットを用いることによって、前記柱状ケーシングの内部を前記ガイドビットが軸方向に移動する際に前記回転係合溝と干渉しないようにした構成が採用されている。
【0011】
このような構成を有する掘削装置及び掘削工法によれば、回転駆動源の機器枠体において発生した回転駆動力が、第1回転止め手段を介して柱状ケーシングに伝達されるが、当該柱状ケーシングは、第2回転止め手段により回転方向に係止されるため、回転駆動源の機器枠体が回転方向に係止されることとなる。その結果、回転駆動源の出力軸並びにガイドビット及び拡径ビットが駆動方向に円滑に回転され、回転駆動源の機器枠体に対する回転止めが、柱状ケーシングを介して簡易な回転止め手段により行われることから、従来のような回転駆動源に対する固定ワイヤーの配備や、アンカーの打ち込みなどの大がかりな作業が不要となり、工期の短縮及び安全性が高められる。
【0012】
また、上述した構成を有する本発明によれば、第1回転止め手段及び第2回転止め手段を簡易な構成としつつ、確実な回転止め作用が得られる。特に、第2回転止め手段を構成する回転係合溝が柱状ケーシングの外周面から内方に窪んで設けられているため、柱状ケーシングの外周面から外方に突出する従来の回転止め板のように削孔を行う際の邪魔になることがなく、削孔作業が円滑に行われる。また、削孔行程の進展により柱状ケーシングが下降していく際に、第2回転止め手段を構成する回転ローラの転動によって柱状ケーシングの下降が円滑に案内されることとなり、従来のような擦れ音等の騒音がほとんど発生しなくなって、環境上極めて良好な削孔作業が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように本発明にかかる掘削装置及び掘削工法は、回転駆動源の機器枠体と柱状ケーシングとを軸方向に分離可能としつつ軸回り方向に係合させるように回転係合板からなる第1回転止め手段を介して連結するとともに、装置固定枠体に設けた回転ローラと、その回転ローラに対して柱状ケーシングの外周面に内方に窪むように設けられた回転係合溝とを軸方向に移動可能としつつ軸回り方向に係合させるように第2回転止め手段を介して支持する構成によって、回転駆動源の機器枠体に発生した回転駆動力を第1回転止め手段を介して柱状ケーシングに伝達させ、かつ柱状ケーシングを第2回転止め手段により回転方向に係止して回転駆動源の機器枠体を回転方向に係止させることにより、回転駆動源の出力軸並びにガイドビット及び拡径ビットを駆動方向に円滑に回転させるとともに、回転駆動源の機器枠体に対する回転止めを柱状ケーシングを介して簡易な回転止め手段により行わせ、従来のような回転駆動源に対する固定ワイヤーの配備や、アンカーの打ち込みなどの大がかりな作業を不要として工期の短縮及び安全性を高めるように構成したものであるから、簡易な構成で、回転駆動源(アースオーガ)を迅速かつ確実に回転止めすることができ、掘削装置及び掘削工法の信頼性を低廉かつ大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態にかかる掘削装置において、拡径ビットを有するガイドビットを柱状ケーシングの内部に挿入する準備段階の状態を表した部分縦断面説明図である。
【図2】図1に示された掘削装置において、拡径ビットを有するガイドビットを柱状ケーシングの内部に挿入した後の状態を表した部分断面説明図である。
【図3】図1及び図2に示された掘削装置の下端部分を表した部分縦断面説明図である。
【図4】図3に示す掘削工具の拡径状態を示す正面図である。
【図5】図3に示す掘削工具の縮径状態を示す正面図である。
【図6】図3におけるX−X断面図である。
【図7】図6におけるY−Y断面図である。
【図8】図7におけるZ方向矢視図である。
【図9】図3に示す掘削工具に備えられた固定部材の上面図である。
【図10】図9に示す固定部材の側面断面図である。
【図11】図3に示す掘削工具に備えられた補助部材の上面図である。
【図12】図11に示す補助部材の側面断面図である。
【図13】図3に示す掘削工具における係止ピンの固定方法を示す説明図である。
【図14】図3に示す掘削工具における係止ピンの固定方法を示す説明図である。
【図15】図1及び図2に示された掘削装置の上端部分に配置された第1回転止め手段を表した縦断面説明図である。
【図16】図15中のXVI−XVI線に沿った横断面説明図である。
【図17】図3中のXVII−XVII線に沿った横断面説明図である。
【図18】一般に用いられている掘削装置において、ガイドビットを柱状ケーシングの内部に挿入した後の状態を表した部分断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明は、削孔時を想定して掘削の推進方向を下方向として行うこととする。
【0016】
まず、図1及び図2に示されている本発明の一実施形態にかかる掘削装置を使用するにあたっては、まず削孔が行われる地層Tの所定の杭芯位置に装置固定枠体BFが構築され、その装置固定枠体BFの内部に、長尺中空状の円形管部材からなる柱状ケーシング13が挿入されることによって、当該柱状ケーシング13が所定の杭芯位置に略鉛直方向に立てられた状態に保持されるようになっている。
【0017】
柱状ケーシング13は、削孔される地層Tの内部に向かって挿入されるものであるが、その柱状ケーシング13の中空内部に、中心軸Oに沿って延び回転駆動される掘削工具10が挿入される。本実施形態にかかる掘削工具10は、図3に示すように、中心軸Oに沿って延びる概略多段円柱状をなすガイドビット20と、このガイドビット20のヘッド部の先端側(図3の下端側、及び図7の左端側)に着脱可能に装着された拡径ビット40と、ガイドビット20のヘッド部の外周側に嵌合されたケーシングシュー11と、ケーシングシュー11の後端側に接続された柱状ケーシング13とを備えている。
【0018】
ケーシングシュー11は、概略円筒状をなしており、ガイドビット20の外周側に嵌合される構成とされており、ガイドビット20から打撃を受けて推進力を与えられるものである。ケーシングシュー11の後端側部分は、外径が一段小さくされており、柱状ケーシング13の接続部12とされている。その柱状ケーシング13は、円筒状をなし、その外径がケーシングシュー11と同一とされ、内径がケーシングシュー11の接続部12の外径と略同一とされている。この柱状ケーシング13は、ケーシングシュー11の接続部12に嵌合された状態で、先端部がケーシングシュー11に溶接されている。
【0019】
ガイドビット20は、先端側に位置するヘッド部21と、そのヘッド部21の後端側に連なり径方向外方に張り出した大径部22と、大径部22の後端側に連なり大きく径方向内方に後退した小径部23と、を有している。なお、ヘッド部21、大径部22及び小径部23は一体に成形されている。小径部23は、図示しない打撃力付与機構(エアハンマ)に接続されるとともに、図示しない回転駆動機構によって回転される構成とされている。このガイドビット20は、中心軸O回りに回転されるとともに、中心軸O方向に打撃力を受けるものである。
【0020】
大径部22の外径は、柱状ケーシング13の内径と略同一とされている。また、ヘッド部21の外周側にケーシングシュー11が嵌合され、大径部22の先端面がケーシングシュー11の後端面に当接させられている。こうして、ケーシングシュー11は、大径部22を介して打撃を受けて推進力を与えられるように構成されている。
【0021】
また、ガイドビット20の内部には、中心線Oに沿って延びる流体供給路24が、小径部23の後端面に開口してヘッド部21にまで達するように設けられている。この流体供給路24の先端部分には、中心線Oに直交する方向(径方向外方)に向けて延びる連絡路25が連設され、この連絡路25から中心線Oに平行に延びて後述する取付孔部32の底面に開口する連通孔26が形成されている。
【0022】
さらに、流体供給路24の先端部分には、先端側に向かうにしたがい漸次径方向外方に向かう流体吐出孔27が連設されている。
【0023】
ヘッド部21の先端面には、後端側及び径方向内方に向けて凹む収容凹部30が設けられている。本実施形態では、先端面視して図4及び図5に示すように、2つの収容凹部30が中心軸Oに対して点対称となるように設けられている。これにより、ヘッド部21の先端面のうち、収容凹部30以外の部分は、先端面視して概略H字状をなし、先端側に向けて突出することになる。この概略H字状をなす部分には、超硬合金等の硬質材料で構成されたチップ15が複数植設されており、被掘削物を掘削するガイドビット掘削部29とされている。
【0024】
詳述すると、ガイドビット掘削部29は、ヘッド部21の外周面に沿って延びる一対の外周掘削部29Aと、中心軸Oを通過するとともに一対の外周掘削部29Aを連絡する中央掘削部29Bとを備えている。中央掘削部29Bは、中心軸Oに直交するように延在し、5つのチップ15が、それぞれのチップ15の中心軸Oからの径方向距離が互いに異なるように配列されている。また、外周掘削部29Aは、径方向外方に向かうにしたがい漸次後端側へと後退するように僅かに中央掘削部29Bに対して傾斜しており、周方向に沿って6つのチップ15が配列されている。
【0025】
また、収容凹部30の先端側を向く底面のうち、回転方向R1前方側部分には、径方向外側に向かうにしたがい漸次後端側に向けて後退する傾斜面部31がそれぞれ形成されている。この傾斜面部31には、前述した流体吐出孔27が開口させられている。また、この傾斜面部31の径方向外方端に連なるガイドビット20の側面には、図3から図5に示すように、径方向内方に向けて一段凹むとともに中心軸Oに平行に延びる掘削屑排出溝28が形成されている。この掘削屑排出溝28は、ガイドビット20のヘッド部21の外周面上に軸方向に延びるように設けられている。
【0026】
収容凹部30の先端側を向く底面のうち、回転方向R1後方側には、図4及び図5に示すように中心軸Oから偏心するとともに中心軸Oに対して点対称となり、かつ、図1に示すように中心軸Oと平行に延びる2つの回転軸P1、P2に沿ってそれぞれ延びる2つの取付孔部32が形成されている。
【0027】
そして、ヘッド部21には、中心軸O及び回転軸P1、P2に直交する方向に延びて、2つの取付孔部32に貫通するピン孔33が形成されている。このピン孔33は、中心軸Oに直交する断面において図6に示すように、中心軸Oを通過するとともに、2つの取付孔部32の内周面の一部を貫通するように設けられている。つまり、このピン孔33は、ガイドビット20の径方向に延びるように構成されているのである。
【0028】
ピン孔33の一端側(図3及び図7において下側)部分は、一段小径とされている。また、ピン孔33の他端側(図3及び図7において上側)の開口部には、図3及び図7に示すように、ピン孔33の延在方向に直交する方向に延びる(中心軸Oに平行に延びる)スライド溝34が形成されている。
【0029】
スライド溝34の中心軸O方向後端側には、図7及び図8に示すように、ヘッド部21の外周面に開口して断面円形をなす装入凹部35が形成されている。装入凹部35は、底部と内周面との間にリング状溝36が形成されている。
【0030】
また、装入凹部35の中心軸O方向先端側には、装入凹部35の直径よりも小さな幅で延びる係止溝部37が設けられている。本実施形態では、図8に示すように、係止溝部37は装入凹部35に向けて開口したU字状をなしている。そして、スライド溝34の中心軸O先端側に、ピン孔33の開口部が配設されている。
【0031】
次に、拡径ビット40について説明する。
拡径ビット40は、図3から図5に示すように、超硬合金等の硬質材料で構成されたチップ15が複数植設されたビット掘削部41と、このビット掘削部41の後端側に向けて延びる概略円柱状をなす取付軸部45とを備えている。
【0032】
ビット掘削部41は、取付軸部45の先端側に連設され、取付軸部45の軸線に対して直交する方向に延在する平面部42と、この平面部42に連なるテーパ部43と、テーパ部43よりも一段後端側に後退した段部44と、を備えている。なお、本実施形態では、図4及び図5に示すように、平面部42に3つのチップ15が植設され、テーパ部43に2つのチップ15が植設され、段部44に3つのチップ15が一列に植設されている。
【0033】
取付軸部45は、ガイドビット20の先端面に開口した取付孔部32に嵌入される構成とされており、取付軸部45の軸線が回転軸P1、P2とそれぞれ一致することになる。この取付軸部45には、軸線(回転軸P1、P2)に対して直交するとともに取付軸部45の周面に沿った凹溝46が形成されている。本実施形態では、図4から図6に示すように、凹溝46は、取付軸部45の外周面の一部に形成され、取付軸部45の軸線(回転軸P1、P2)方向から見て概略L字状をなしている。なお、この凹溝46は、取付軸部45の軸線(回転軸P1、P2)方向から見てビット掘削部41のテーパ部43及び段部44が設けられた側とは反対側に形成されている。
【0034】
次に、スライド溝34に配設される固定部材50と、補助部材53について説明する。
固定部材50は、図9及び図10に示すように、フランジ部51を備えた円板状をなしている。この固定部材50は、容易に弾性変形することがないように鋼材等の剛性体から構成されている。フランジ部51の外径は、スライド溝34の装入凹部35の直径よりも小さく、かつ、係止溝部37の溝幅よりも大きく設定されている。
【0035】
補助部材53は、図11及び図120に示すように、概略円板状をなし、合成ゴム等の弾性部材で構成されている。補助部材53の一端は、テーパ状に形成されるとともに径方向外方へと突出した爪部54が形成されている。
【0036】
次に、拡径ビット40とガイドビット20との連結方法について、図13、図14を参照にして説明する。
【0037】
まず、ガイドビット20の先端面に開口した取付孔部32に、拡径ビット40の取付軸部45を挿入する。このとき、取付孔部32の一部を貫通したピン孔33部分と取付軸部45の外周面に形成された凹溝46とが対向するように、拡径ビット40を配置する。
【0038】
この状態で、スライド溝34に開口されたピン孔33に、円柱状をなす係止ピン56を挿入する(図13(a)、図14(b))。すると、係止ピン56は、中心軸Oと直交して2つの取付孔部32に貫通するように配置される。
【0039】
スライド溝34の装入凹部35から、固定部材50をフランジ部51が径方向内方に向くようにして、スライド溝34内へと装入し、係止溝部37へとスライド移動させる(図13(b)、図14(c))。こうして、係止ピン56の端面に固定部材50が当接されるとともに、フランジ部51が係止溝部37によってピン孔33の延在方向に係合し、固定部材50が固定される。
【0040】
そして、装入凹部35に、弾性変形可能な補助部材53が圧入される(図13(c)(d)、図14(d))。このとき、補助部材53に設けられた爪部54が装入凹部35の内周面に形成されたリング状溝36に係合して補助部材53が固定される。また、補助部材53の外周面が固定部材50の外周面を押圧することになり、固定部材50がスライド溝34内を移動することが防止される。
【0041】
このようにして、ガイドビット20と拡径ビット40とが連結される。拡径ビット40は、取付軸部45の外周面に形成された凹溝46が、係止ピン56によって係止されることで回転軸P1、P2方向先端側には、抜け止めされる。
【0042】
このように構成された掘削工具10においては、ガイドビット20を回転駆動手段によって、図4及び図5に示す回転方向R1へと回転させることで、被掘削物又はケーシングシューとの摩擦力によって拡径ビット40が回転軸P1、P2回りに回転して、拡径ビット40のテーパ部43及び段部44が径方向外方へと突出される。
【0043】
一方、ガイドビット20を回転駆動手段によって、図4及び図5に示す回転方向R2へと回転させることで、被掘削物又はケーシングシューとの摩擦力によって拡径ビット40が回転軸P1、P2回りに回転して、拡径ビット40がガイドビット20の先端面に形成された収容凹部30へと収容される。
【0044】
この掘削工具10は、掘削機械(図示なし)に備えられた打撃装置によって駆動され、掘削工具10に回転力、打撃力及び推力が伝達され、掘削工具10の先端に形成されたガイドビット掘削部29及び拡径ビット40によって岩盤等の被掘削物を破壊して掘削するものである。この掘削作業においては、流体供給路24からエア等の流体が吐出され、被掘削物を破壊して生成された掘削屑を、ヘッド部21に設けられた掘削屑排出溝28を介して掘削工具10の後端側へと排出する。
【0045】
掘削時には、ガイドビット20を回転方向R1に回転させることで、拡径ビット40を径方向外方へと突出させて径の大きな掘削孔を形成するとともに、ケーシングシュー11に推力を与えて柱状ケーシング13を埋設していく。掘削孔の形成が終了したら、ガイドビット20を回転方向R2に回転させることで、拡径ビット40を収容凹部30内へと収容し、掘削工具10を柱状ケーシング13の内径よりも小さくする。この状態で掘削工具10を引き抜くことで、埋設した柱状ケーシング13の内部を通じて掘削工具10を回収する。
【0046】
本実施形態である掘削工具10においては、ガイドビット20と拡径ビット40とを係止する係止ピン56が挿入されるピン孔33の開口部に、鋼材等の剛性体からなる固定部材50が配設され、この固定部材50が係止ピン56の端面に当接されているので、掘削時の衝撃等によって固定部材50が大きく弾性変形することがなく、係止ピン56を強固に固定することが可能となる。また、この固定部材50を、ピン孔33の延在方向(係止ピン56の挿入方向)に係止して固定する係止溝部37が設けられているので、係止ピン56がピン孔33の延在方向(係止ピン56の挿入方向)に向けて移動することが防止され、係止ピン56の抜け落ちを確実に防止できる。
【0047】
さらに、固定部材50と係止溝部37との係合状態を維持する補助部材53が配設されているので、掘削時の衝撃等によって固定部材50が係止溝部37から外れてしまうことを防止でき、係止ピン56の抜け落ちを確実に防止することができる。また、補助部材53が弾性材で構成されているので、弾性材の弾性力を利用して固定部材50と係止溝部37との係合状態を維持させることが可能となり、固定部材50の位置ずれを防止できる。なお、弾性材で構成された補助部材53には、係止ピン56が直接接触することがないため、係止ピン56からの押圧力によって補助部材53が弾性変形することはなく、係止ピン56を強固に固定することができる。
【0048】
また、ガイドビット20の外周面に、固定部材50がスライド移動されるスライド溝34が形成され、スライド溝34の後端側に固定部材50をスライド溝34内部に装入するための装入凹部35が形成され、この装入凹部35の先端側に係止溝部37が形成されているので、装入凹部35から固定部材50をスライド溝34内に装入し、固定部材50をスライド移動させることで、固定部材50をピン孔33の開口部に配設するとともに係止溝部37によって係止して固定することができる。よって、簡単な操作で固定部材50を配設して、係止ピン56を強固に固定することができる。
【0049】
一方、上述した工具本体10のガイドビット20の上端部には、ダウンザホールハンマDH及びオーガスクリュOSが連設されており、それらの両部材DH,OSを介して上述した工具本体10のガイドビット20が、回転駆動源としてのアースオーガEGの出力軸EG1に連結されている。アースオーガ(回転駆動源)EGは、機器枠体EG2から下方に延出する出力軸EG1の回転駆動力によってガイドビット20及び拡径ビット40が掘削方向に回転されるようになっている。
【0050】
このとき、上述した回転駆動源としてのアースオーガEGの機器枠体EG2は、特に図4に示されているように、第1回転止め手段としての回転止めキャップRCを介して柱状ケーシング12の上端部分に連結されている。その回転止めキャップRCは、中空円筒状部材からなるキャップ本体RC1を有しており、当該キャップ本体RC1の上端側の閉塞端縁部分が、前記アースオーガEGの機器枠体EG2の下端側の外周面に溶接等により固定されている。そして、この回転止めキャップRCを構成しているキャップ本体RC1は、当該キャップ本体RC1の下端側に設けられた開口部から、前記柱状ケーシング13の上端部分の外方側を覆うように外嵌されることによって装着される構成になされている。
【0051】
このとき、図15及び図16に示されているように、上述した回転止めキャップRCを構成するキャップ本体RC1の内周面には、中心軸に向かって内方側に突出するキャップ側回転係合板RC2が円周方向に沿って略等間隔で4体設けられている。これに対応して、前記柱状ケーシング13の外周面には、中心軸から外方向に向かって突出するケーシング側回転係合板13aが円周方向に沿って略等間隔で4体設けられている。そして、上述したように回転止めキャップRCのキャップ本体RC1が柱状ケーシング13に外方側から被せられるようにして装着されると、それらのキャップ側回転係合板RC2とケーシング側回転係合板13aとが、円周方向に対向するように配置される位置関係になされている。
【0052】
そして、回転駆動源としてのアースオーガEGが僅かに回転駆動されることによって、前記両部材RC1,13a同士が円周方向に当接され、その後にアースオーガEGが回転駆動されることによって、その出力軸EG1からの回転駆動力が両部材RC1,13aを介して柱状ケーシング13側に伝達される構成になされている。このように第1回転止め手段を、板状部材からなるキャップ側回転係合板RC2及びケーシング側回転係合板13aにより構成することによって、簡易な構成としつつ、確実な回転止め作用が得られる。
【0053】
また、前述したように柱状ケーシング13は、当該柱状ケーシング13の下端部分が、地層に構築された装置固定枠体BFの内部に挿入されることによって所定の杭芯位置に略鉛直方向に立てられた状態に保持されるようになっている。このときの装置固定枠体BFには、特に図3に示されているように、第2回転止め手段としての一対の回転ローラRL,RLが取り付けられている。それらの各回転ローラRLは、装置固定枠体BFの上面に着脱自在かつ位置移動自在に配置された軸受け板RL1に回転自在にそれぞれ取り付けられており、装置固定枠体BF上において杭芯に相当する位置まで移動されてから、柱状ケーシング13を外方側から直径方向に挟むようにして適宜の固定手段で固定される。
【0054】
一方、図16にも示されているように、柱状ケーシング13の外周面には、上述した一対の回転ローラ(第2回転止め手段)RLを受け入れるための一対の回転係合溝13b,13bが凹設されている。それらの各回転係合溝13bも、第2回転止め手段を構成するものであって、上述した回転ローラRLにおける半径方向の外端部分を収容可能とする溝幅及び溝深さを有しており、前述したガイドビット20のヘッド部21及び拡径ビット14との対向部分を除いた柱状ケーシング13の略全長にわたって延在している。
【0055】
そして、図3に示されているように、柱状ケーシング13の回転係合溝13bの内部に回転ローラRLの一部が収容されることによって、柱状ケーシング13の回転が回転ローラRLにより係止される一方、回転ローラRLが回転係合溝13bの底面を上下方向に転動することによって、柱状ケーシング13の全体が中心軸方向(上下方向)に沿って任意に往復移動可能となるように支持される構成になされている。
【0056】
このように第2回転止め手段を、回転ローラRL及び回転係合溝13bにより構成することによって、簡易な構成としつつ、確実な回転止め作用が得られる。また、削孔行程の進展により柱状ケーシング13が下降していく際に、第2回転止め手段を構成する回転ローラRLの転動によって柱状ケーシング13の下降が円滑に案内されることとなり、従来のような擦れ音等の騒音がほとんど発生しなくなって、環境上極めて良好な削孔作業が可能となる。
【0057】
このとき、上述した柱状ケーシング13に設けられた一対の回転係合溝13b,13bは、前述したようにガイドビット20のヘッド部21と対向する部位を除いた部位(図3の上方側部位)に延在しているが、ガイドビット20の掘削屑排出溝28に対応した位置に配置されているとともに、かつその回転係合溝13bの外形状は、掘削屑排出溝28よりやや小さくなるように形成されている。これによって、柱状ケーシング13の内部をガイドビット20が移動する際に、ガイドビット20側の掘削屑排出溝28が柱状ケーシング13側の回転係合溝13bに干渉することがない構成になされている。
【0058】
このような構成を有する掘削装置を用いた掘削によって削孔を形成するにあたっては、次のようなクリッド工法が用いられる。まず、現場に装置を搬入して、削孔を行う地層Tに装置固定枠体BFを構築する一方、柱状ケーシング13の下端部にケーシングシュー(継手部材)11を溶接する。その柱状ケーシング13は、装置固定枠体BFに挿入されて略鉛直方向に立てた状態に保持される。このとき、柱状ケーシング13に設けられた一対の回転係合溝13b,13b内に、装置固定枠体BF側に取り付けた一対の回転ローラ(第2回転止め手段)RL,RLがそれぞれ挿入される。
【0059】
次いで、図1に示されているように、アースオーガEGの出力軸EG1にダウンザホールハンマDH及びオーガスクリュOSを介して連結された工具本体10のガイドビット22が、柱状ケーシング13の上端部から内部に挿入されて下端部分から拡径ビット40が突出した状態で回転可能にチャッキングされる。そして、アースオーガEGを回転起動させてガイドビット22及び拡径ビット40に回転駆動力を付与し、それによってガイドビット22及び拡径ビット40のチップ15で地層Tの掘削を行い、削孔作業が実行される。
【0060】
その際、アースオーガEGの機器枠体EG2に発生した回転駆動力は、回転止めキャップ(第1回転止め手段)20を介して柱状ケーシング13に伝達されるが、当該柱状ケーシング13は、回転ローラ(第2回転止め手段)RLにより回転方向に係止されるため、アースオーガEGの機器枠体EG2が回転方向に係止されることなる。その結果、アースオーガEGの出力軸EG1並びにガイドビット22及び拡径ビット40が駆動方向に円滑に回転される。このように、アースオーガEGの機器枠体EG2に対する回転止めが、柱状ケーシング13を介して簡易な構成の回転止め手段により行われることから、従来のようなアースオーガEGに対する固定ワイヤーの配備や、アンカーの打ち込みなどの大がかりな作業が不要となり、工期の短縮及び安全性が高められる。
【0061】
特に、本実施形態では、第2回転止め手段を構成する回転係合溝13bが、柱状ケーシング13の外周面から内方に窪んで外方に突出することがないので、柱状ケーシングの外周面から外方に突出する従来の回転止め板のように削孔を行う際の邪魔になることがなく、削孔作業が円滑に行われる。また、削孔の進展に伴い、第2回転止め手段を構成する回転ローラRLの転動によって柱状ケーシング11が下降していくため、従来のような擦れ音等の騒音がほとんど発生しなくなり、環境上極めて良好な削孔作業が可能となる。
【0062】
また、このようなガイドビット22及び拡径ビット40の回転駆動による削孔時には、柱状ケーシング13からケーシングシュー(継手部材)11を介して拡径ビット40を有するガイドビット20に下方推進力が付与される。この下方推進力は、ハンマー装置等によって強い軸方向の押圧力として所定の周期で付与され、それによって削孔作業が迅速に行われるようになっている。
【0063】
この削孔作業時には、拡径ビット40を有するガイドビット20に引き込まれるようにして柱状ケーシング13が地層T内に立てられることとなるが、削孔が予定の深さに達したら、拡径ビット40とともにガイドビット22の柱状ケーシング13に対するチャッキングを分離して上方に引き上げる。そして、その引き上げたガイドビット22に替えて、鋼材等からなる杭を柱状ケーシング13の内部に挿入して地層Tに打ち込み、最後に柱状ケーシング13を地層Tから引き抜く。
【0064】
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0065】
例えば、本発明にかかる第1及び第2回転止め手段としては、上述した実施形態のような部材以外の各種の機構や部材を採用することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
T 地層
BF 装置固定枠体
DH ダウンザホールハンマ
OS オーガスクリュ
EG アースオーガ
EG1 出力軸
EG2 機器枠体
RC 回転止めキャップ(第1回転止め手段)
RC1 キャップ本体
RC2 キャップ側回転係合板
RL 回転ローラ(第2回転止め手段)
RL1 軸受け板
10 掘削工具
11 ケーシングシュー
13 柱状ケーシング
13a ケーシング側回転係合板
13b 回転係合溝(第2回転止め手段)
20 ガイドビット(工具本体)
21 ヘッド部
28 掘削屑排出溝
32 取付孔部
33 ピン孔
34 スライド溝
35 装入凹部(装入部)
37 係止溝部(係止部)
40 拡径ビット(取付部材)
41 ビット掘削部
45 取付軸部
46 凹溝
50 固定部材
53 補助部材
56 係止ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
削孔される地層の内部に向かって挿入される長尺中空状部材からなる柱状ケーシングと、
前記柱状ケーシングの中空内部に当該柱状ケーシングの略中心軸回りに回転可能に挿入されるガイドビットと、
このガイドビットの挿入方向の下端部に径方向外方側に張り出し可能に設けられた拡径ビットと、
機器枠体から延出する出力軸の回転駆動力を前記ガイドビット及び拡径ビットに付与する回転駆動源と、を備え、
前記地層上に構築された装置固定枠体を介して前記柱状ケーシングを削孔位置に立設し、前記ガイドビット及び拡径ビットを前記回転駆動源により回転駆動させて前記地層に対して削孔を行い、前記ガイドビットのヘッド部の外周面上に軸方向に延びるように設けられた掘削屑排出溝を通して削孔時に生じる廃土が排出されるように構成された掘削装置において、
前記回転駆動源の機器枠体と前記柱状ケーシングとを、前記中心軸に関する軸方向に分離可能としつつ軸回り方向に係合させるように連結する第1回転止め手段と、
前記装置固定枠体に対して前記柱状ケーシングを、前記中心軸に関する軸方向に移動可能としつつ軸回り方向に係合させるように支持する第2回転止め手段と、
を備えたものであって、
前記第1回転止め手段は、前記回転駆動源の機器枠体に取り付けられて前記柱状ケーシングに外方側から被せられるように装着される中空円筒状部材を有し、その中空円筒状部材の内周面及び前記柱状ケーシングの外周面に、前記中心軸に関する軸方向に分離可能で軸回り方向に係合させる回転係合板がそれぞれ設けられている一方、
前記第2回転止め手段は、前記装置固定枠体に回転自在に取り付けられた回転ローラを有しているとともに、
前記柱状ケーシングの外周面には、前記回転ローラを受け入れることにより当該回転ローラを前記中心軸の軸方向に移動可能としつつ軸回り方向に係合させる回転係合溝が前記柱状ケーシングの外周面から内方に窪むように凹設され、
その回転係合溝は、前記ガイドビットのヘッド部と対向する部位を除いた部位に延在しているとともに、前記軸回り方向において前記ガイドビットの掘削屑排出溝に対応する位置に配置され、且つ前記掘削屑排出溝より小さい外形状に形成されていることによって、前記柱状ケーシングの内部を前記ガイドビットが軸方向に移動する際に前記回転係合溝と干渉しないように構成されていることを特徴とする掘削装置。
【請求項2】
削孔される地層の内部に向かって挿入される長尺中空状部材からなる柱状ケーシングと、前記柱状ケーシングの中空内部に当該柱状ケーシングの略中心軸回りに回転可能に挿入されるガイドビットと、このガイドビットの挿入方向の下端部に径方向外方側に張り出し可能に設けられた拡径ビットと、機器枠体から延出する出力軸の回転駆動力を前記ガイドビット及び拡径ビットに付与する回転駆動源とを備えた掘削装置を用いる工法であって、
前記地層上に構築された装置固定枠体を介して前記柱状ケーシングを削孔位置に立設し、前記ガイドビット及び前記拡径ビットを前記回転駆動源により回転駆動させて前記地層に対して削孔を行い、前記ガイドビットのヘッド部の外周面上に軸方向に延びるように設けた掘削屑排出溝を通して削孔時に生じる廃土を排出する掘削工法において、
請求項1記載の掘削装置の第1回転止め手段を用いることによって、前記回転駆動源の機器枠体と前記柱状ケーシングとを、前記中心軸に関する軸方向に分離可能としつつ軸回り方向に係合させるように連結し、
請求項1記載の掘削装置の第2回転止め手段を用いることによって、前記装置固定枠体に対して前記柱状ケーシングを、前記中心軸に関する軸方向に移動可能としつつ軸回り方向に係合させるように支持する一方、
請求項1記載の掘削装置の第2回転止め手段の回転係合溝及びガイドビットを用いることによって、前記柱状ケーシングの内部を前記ガイドビットが軸方向に移動する際に前記回転係合溝と干渉しないようにしたことを特徴とする掘削工法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−11078(P2013−11078A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143387(P2011−143387)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(599040115)青葉建機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】