説明

掘削装置

【課題】ダウンザホールハンマーを用いた掘削装置において、作業性の向上と作業の確実性及び作業コストの低廉化等を実現する。
【解決手段】作業機1に吊下支持されたオーガー3と、ダウンザホールハンマー5を備えるとともに、コンプレッサー装置11からの圧縮空気と流体供給装置13からの流体を合流させて供給ホース23によりダウンザホールハンマー6側へ供給するようにした掘削装置において、圧縮空気と噴霧水を合流させる合流部16に、圧縮空気の供給管路16Aを開閉する第1電動開閉弁18と噴霧水の供給管路16Bを開閉する第2電動開閉弁19を備えるとともに、上記第1電動開閉弁18と第2電動開閉弁19を共に遠隔操作する構成とする。係る構成によれば、例えば、各電動開閉弁18,19の遠隔操作を作業機1の運転室10に乗り込んだオペレータが行なうことで、作業の的確性が確保されるとともに、オペレータが作業中に頻繁に移動する必要がなく作業性及び操作性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ダウンザホールハンマーを用いた掘削装置における圧縮空気と噴霧水の供給構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、地中に埋没した岩石を穿孔して掘削する手段としてダウンザホールハンマーを用いることが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
このダウンザホールハンマーは、削孔ヘッドにピストンハンマーによって打撃力を与えるように構成されたものであって、図3にはこのダウンザホールハンマーを用いた従来一般的な掘削装置Z0を示している。
【0004】
図3において、符号1はブーム2を備えた作業機であって、該ブーム2の先端にはオーガー3が吊下支持されるとともに、該オーガー3の下側には、接続ロッド4を介してダウンザホールハンマー5が取付けられている。このダウンザホールハンマー5は、シリンダ7内に、削孔ヘッド8と該削孔ヘッド8の打撃力を与えるピストンハンマー6を収容して構成される。
【0005】
一方、図3において、符号11は圧縮空気を供給するコンプレッサー装置、13は噴霧水を供給する流体供給装置、15はオイラーであり、上記コンプレッサー装置11からの圧縮空気はエアホース31を介して、また上記流体供給装置13からの噴霧水は水ホース32を介して、それぞれ上記オイラー15に送給される。このオイラー15においては、上記コンプレッサー装置11から供給される圧縮空気に潤滑油が添加供給される。そして、このオイラー15において潤滑油が添加された後の圧縮空気に、さらに上記流体供給装置13から供給される噴霧水を噴霧状態で混合させ、この混合流体を、供給ホース33を介して上記ダウンザホールハンマー5側へ供給し、圧縮空気によって上記ピストンハンマー6を作動させて上記削孔ヘッド8に打撃を与え、該削孔ヘッド8で岩石等を穿孔掘削するとともに、噴霧水を上記削孔ヘッド8部分から噴出させて上記削孔ヘッド8の冷却作用とか粉塵の飛散防止作用を行なわせるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−2485号公報
【特許文献2】特開2006−342614号公報
【特許文献3】特開2002−364280号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、圧縮空気は、上記ダウンザホールハンマー5の作動時のみに供給され、その非作動時には上記供給ホース33の保護等の観点から供給が停止される。また、上記噴霧水は、上記ダウンザホールハンマー5の作動時には常に供給されるものではなく、例えば、掘削対象物が粉塵の発生が少ない性状のものであるとか、上記削孔ヘッド8の昇温作用が少ないものであるような場合には、上記ダウンザホールハンマー5の作動中といえどもその供給が停止される。即ち、作業状況に応じて、圧縮空気と噴霧水の供給・供給停止操作を細かく行うことが必要である。
【0008】
この場合、従来の掘削装置Z0においては、上記オイラー15の下流側における圧縮空気と噴霧水の合流部位に圧縮空気の供給管路を開閉する開閉弁34と噴霧水の供給管路を開閉する開閉弁35を備え、該各開閉弁34,35の開閉操作によって、圧縮空気と噴霧水の供給・供給停止を行なうようにしている。
【0009】
しかし、従来は、これら各開閉弁34,35が共に手動弁で構成されていたため、掘削作業に際しては、これら各開閉弁34,35を作業者が直接手動にて行なう必要があり、その作業性は低いものであった。また、このような作業者による上記各開閉弁34,35の開閉操作は、上記作業機1の運転室10に搭乗し作業状況あるいは作業の進行状況を最も把握しているオペレータの指示を受けて行なうことが必要であり、例えば、作業者とオペレータの間における意思疎通が十分でないと的確な開閉操作ができなくなるなど、作業の信頼性及び的確性という点においても問題があった。
【0010】
そこで本願発明は、ダウンザホールハンマーを用いた掘削装置において、作業性の向上を図るとともに、作業の信頼性及び的確性を確保することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として、作業機1に吊下支持されたオーガー3と、下端に設けた削孔ヘッド8にピストンハンマー6によって打撃力を与えるようにしたダウンザホールハンマー5を備えるとともに、コンプレッサー装置11から供給される圧縮空気と流体供給装置13から供給される流体を合流させて供給ホース23により上記ダウンザホールハンマー6側へ供給し、上記ハンマーヘッド8により穿孔掘削を行なう掘削装置において、上記コンプレッサー装置11からの圧縮空気と上記流体供給装置13からの噴霧水を合流させる合流部16に、上記圧縮空気の供給管路16Aを開閉する第1電動開閉弁18と上記噴霧水の供給管路16Bを開閉する第2電動開閉弁19を備えるとともに、上記第1電動開閉弁18と第2電動開閉弁19を共に遠隔操作する構成としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、上記コンプレッサー装置11からの圧縮空気と上記流体供給装置13からの噴霧水を合流させる合流部16に、圧縮空気の供給管路16Aを開閉する第1電動開閉弁18と上記噴霧水の供給管路16Bを開閉する第2電動開閉弁19を備えるとともに、上記第1電動開閉弁18と第2電動開閉弁19を共に遠隔操作する構成としているので、例えば、上記各電動開閉弁18,19の遠隔操作を上記作業機1の運転室10に乗り込んだオペレータが行なうようにすれば、該オペレータは作業状況あるいは作業の進行状況等を直接確認しながら圧縮空気及び噴霧水の供給・供給停止操作を自動的に行わせることができる。この結果、例えば、従来のように作業者がオペレータの指示を受けて手動にて開閉弁の開閉操作を行なう場合に比して、作業性が格段に向上するとともに、オペレータと作業者との意思疎通の良否によって作業の的確性が左右されることがなく作業上の信頼性及び的確性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0014】
図1には、本願発明の実施形態に係る掘削装置Zを示している。この掘削装置Zは、作業機1のブーム2の先端にオーガー3を吊下支持するとともに、該オーガー3の下側には、接続ロッド4を介してダウンザホールハンマー5を取付けている。このダウンザホールハンマー5は、シリンダ7内に削孔ヘッド8と該削孔ヘッド8の打撃力を与えるピストンハンマー6を収容して構成される。
【0015】
また、上記作業機1の近傍には、圧縮空気を供給するコンプレッサー装置11が設置されている。このコンプレッサー装置11からの圧縮空気は、その途中にラインオイラー12を備えたエアホース21を介して次述のバルブユニット14に接続されている。また、このオイラー15には、噴霧水を供給する流体供給装置13が水ホース22を介して接続されている。
【0016】
上記バルブユニット14は、図2に示すように、ケース17内に、第1管路16Aと第2管路16BをT形に接続してなる合流部16を収容して構成される。
【0017】
上記第1管路16Aは、その一端が上記エアホース21を介して上記コンプレッサー装置11に、他端が供給ホース23を介して上記ダウンザホールハンマー5側に接続されており、上記第2管路16Bとの接続部位より空気上流側には該第1管路16Aを開閉する第1電動開閉弁18が備えられている。
【0018】
上記第2管路16Bは、その一端が水ホース22を介して上記流体供給装置13側に、他端が上記第1管路16Aに接続されるとともに、その通路途中には該第2管路16Bを開閉する第2電動開閉弁19が備えられている。
【0019】
従って、上記第1電動開閉弁18と第2電動開閉弁19を適宜開閉させることで、上記ダウンザホールハンマー5側への「圧縮空気と噴霧水の同時供給」、「圧縮空気のみの単独供給」、及び「圧縮空気と噴霧水の供給停止」を選択的に行なうことができることになる。
【0020】
さらに、上記第1電動開閉弁18と第2電動開閉弁19は、ターミナル24及び操作ケーブル25を介して遠隔操作スイッチ26に接続され、該遠隔操作スイッチ26でのスイッチ操作によって開閉制御されるようになっている。そして、この実施形態では、上記遠隔操作スイッチ26を上記作業機1の運転室10内に引き込み、該運転室10内においてオペレータが直接操作し得るようにしている。
【0021】
以上のように構成することで、上記ダウンザホールハンマー5を使用した掘削作業時には、オペレータは、上記作業機1の運転室10内で上記ダウンザホールハンマー5の操作を行うとともに、上記遠隔操作スイッチ26を適宜操作して上記各電動開閉弁18,19を必要に応じて開閉作動させることができる。この結果、例えば、従来のように作業者がオペレータの指示を受けて手動にて開閉弁の開閉操作を行なう場合に比して、作業性が格段に向上するとともに、オペレータと作業者との意思疎通の良否によって作業の的確性が左右されることがなく作業上の信頼性及び的確性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願発明の実施の形態に係る掘削装置の全体図である。
【図2】図1に示したバルブユニットの拡大図である。
【図3】従来の掘削装置の全体図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ・・作業機
2 ・・ブーム
3 ・・オーガー
4 ・・接続ロッド
5 ・・ダウンザホールハンマー
6 ・・ピストンハンマー
7 ・・シリンダ
8 ・・削孔ヘッド
10 ・・運転室
11 ・・コンプレッサー装置
12 ・・ラインオイラー
13 ・・流体供給装置
14 ・・バルブユニット
15 ・・オイラー
16 ・・合流部
18 ・・第1電動開閉弁
19 ・・第2電動開閉弁
21 ・・エアホース
22 ・・水ホース
23 ・・供給ホース
24 ・・ターミナル
25 ・・操作ケーブル
26 ・・遠隔操作スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機(1)に吊下支持されたオーガー(3)と、下端に設けた削孔ヘッド(8)にピストンハンマー(6)によって打撃力を与えるようにしたダウンザホールハンマー(5)を備えるとともに、
コンプレッサー装置(11)から供給される圧縮空気と流体供給装置(13)から供給される流体を合流させて供給ホース(23)により上記ダウンザホールハンマー(6)側へ供給し、上記ハンマーヘッド(8)により穿孔掘削を行なう掘削装置であって、
上記コンプレッサー装置(11)からの圧縮空気と上記流体供給装置(13)からの噴霧水を合流させる合流部(16)に、上記圧縮空気の供給管路(16A)を開閉する第1電動開閉弁(18)と上記噴霧水の供給管路(16B)を開閉する第2電動開閉弁(19)が備えられるとともに、
上記第1電動開閉弁(18)と第2電動開閉弁(19)が共に遠隔操作される構成であることを特徴とする掘削装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−231806(P2008−231806A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73886(P2007−73886)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(507000040)有限会社マンダイクレーン (9)
【Fターム(参考)】