掘削装置
【課題】埋設物の直下の地盤を透かし掘りすることができる掘削装置を提供し、連続地中壁等を形成する際に不連続部分を無くして地中壁の品質を確保し、追加工事を不要にしてコストアップを抑えることを目的とする。
【解決手段】地盤Gに形成された縦孔Hの中から縦孔Hの側壁を掘削して透かし掘りする掘削装置1において、縦孔Hの中に挿入されるロッド2…に装着されるアタッチメント3と、アタッチメント3に鉛直方向に回動可能に取り付けられたトレンチャー式掘削機4とが備えられ、トレンチャー式掘削機4は、鉛直面内で回転する環状のカッターチェーン12の内側にカッターチェーン12を周方向に回転させる駆動機構が設けられた構成からなる。
【解決手段】地盤Gに形成された縦孔Hの中から縦孔Hの側壁を掘削して透かし掘りする掘削装置1において、縦孔Hの中に挿入されるロッド2…に装着されるアタッチメント3と、アタッチメント3に鉛直方向に回動可能に取り付けられたトレンチャー式掘削機4とが備えられ、トレンチャー式掘削機4は、鉛直面内で回転する環状のカッターチェーン12の内側にカッターチェーン12を周方向に回転させる駆動機構が設けられた構成からなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透かし掘りを行うための掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばSMW(Soil Mixing Wall)などの連続地中壁をSMW機で施工する際に、地盤内に既設の埋設配管等の埋設物があると、その埋設物と交差する箇所ではSMW機による掘削が行えないため、埋設物がある箇所を飛ばして地中壁を形成することになる。このように埋設物のところで生じた連続地中壁の不連続部分には、別の土留めを別途施工する必要がある。従来、連続地中壁の不連続部分における土留めの技術として、不連続部分の背面側の地盤を高圧噴射攪拌工法や薬液注入工法等により地盤改良し、掘削時に不連続部分の両側の鋼材(H形鋼等)間にあて板を嵌め込む技術がある。
【0003】
また、近年、地盤を透かし掘りする掘削装置が提案されている。この掘削装置は、縦孔の中からその縦孔の側壁を掘削して透かし掘りする機械であり、カッターチェーンを周方向に回転させて地盤を掘削するバー状のトレンチャー式掘削機(チェーンローダ)と、トレンチャー式掘削機を鉛直方向に回転させる回転機構と、トレンチャー式掘削機を収容するとともにトレンチャー式掘削機を出し入れするための開口が形成された円筒形状の外殻部とが備えられた構成からなる。この掘削装置によれば、埋設物の側方までSMW機で溝を形成した後、この溝の中に上記した透かし掘り用の掘削装置を挿入し、溝の中で回転機構によりトレンチャー式掘削機を鉛直回転させて開口から外殻部の外に張り出させ、張り出されたトレンチャー式掘削機によって溝の側壁を掘削する。これによって、埋設物直下の地盤を掘削することができ、埋設物を避けるように連続地中壁を連続的に形成することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−30245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した前者の従来技術では、対象地盤によっては地盤改良体が不完全な状態(不連続、不均一な状態)になるおそれがある。この場合、地中壁としての品質が低くなり、追加工事によるコストアップの問題も生じる。
また、上記した後者の従来技術では、トレンチャー式掘削機を駆動させる駆動装置がトレンチャー式掘削機の側方に配設されているため、掘削縦孔内に配置される掘削装置が駆動装置の分だけ掘削幅よりも大きくなるという問題がある。したがって、この掘削装置を用いて、埋設物等による不連続部分を透かし掘りする場合には、当該掘削装置が入れられるように、予め、その不連続部分に隣接する連続地中壁用の掘削縦孔の幅を通常の幅よりも大きくしなければならない。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、埋設物の直下の地盤を透かし掘りすることができる掘削装置を提供し、連続地中壁等を形成する際に不連続部分を無くして地中壁の品質を確保し、追加工事を出来るだけ少なく或いは不要にしてコストアップを抑えることを目的としている。また、本発明は、上述したような掘削縦孔内に配置されて地盤を透かし掘りする掘削装置をコンパクト化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る掘削装置は、地盤に形成された縦孔の中から該縦孔の側壁を掘削して透かし掘りする掘削装置において、前記縦孔の中に挿入されるロッドに装着されるアタッチメントと、該アタッチメントに鉛直方向に回動可能に取り付けられたトレンチャー式掘削機とが備えられ、該トレンチャー式掘削機は、鉛直面内で回転する環状のカッターチェーンの内側に該カッターチェーンを周方向に回転させる駆動機構が設けられた構成からなることを特徴としている。
【0007】
このような特徴により、トレンチャー式掘削機を縦向きに配置した状態で本願に係る掘削装置を縦孔内に挿入した後、縦孔の中でトレンチャー式掘削機を回動させてトレンチャー式掘削機を横向きに配置するとともに駆動機構を稼動させてカッターチェーンを周方向に回転させることで、縦孔の側壁が掘削されて縦孔の側方の地盤が透かし掘りされる。
【0008】
また、本発明に係る掘削装置は、前記カッターチェーンが、その幅方向にくの字状に屈曲可能な構成からなり、前記トレンチャー式掘削機には、前記駆動機構のところで前記カッターチェーンをガイドして平坦状態の該カッターチェーンの一方の側端部を立ち上げて該カッターチェーンをくの字状に屈曲変形させるガイド部が備えられている構成とすることが好ましい。なお、本発明においては、回動するトレンチャー式掘削機の回動中心軸に平行する方向を「カッターチェーンの幅方向」としている。
【0009】
これにより、ガイドによって、周方向に回転するカッターチェーンの一方の側端部が駆動機構のところで立ち上げられるため、カッターチェーンを、該カッターチェーンの内側に配置された駆動機構に干渉させることなく、周方向に回転させることができる。
【0010】
また、本発明に係る掘削装置は、前記トレンチャー式掘削機が、前記アタッチメントに設けられたブラケットと前記トレンチャー式掘削機に設けられた支持部材とが回転軸を介して鉛直方向に回転自在に連結されることで、前記アタッチメントに回動可能に支持されており、前記回転軸を中心に前記トレンチャー式掘削機を鉛直方向に回動させる回動機構が備えられている構成とすることが好ましい。
【0011】
これにより、トレンチャー式掘削機がアタッチメントから支持されつつ、鉛直方向に回動可能となる。
【0012】
また、本発明に係る掘削装置は、前記支持部材が、前記トレンチャー式掘削機の側方の一方又は両方から該トレンチャー式掘削機を支持する構成とすることができる。
【0013】
これにより、カッターチェーンと支持部材とを干渉させることなく、トレンチャー式掘削機をアタッチメントに回動可能に支持させることができる。
【0014】
さらに、本発明に係る掘削装置は、前記カッターチェーンが、該カッターチェーンの幅方向に間隔をあけて複数設けられ、該カッターチェーン間に前記支持部材が配設されている構成としてもよい。
【0015】
これにより、カッターチェーンと支持部材とを干渉させることなく、トレンチャー式掘削機をアタッチメントに回動可能に支持させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る掘削装置によれば、埋設物の直下の地盤を透かし掘りすることができるため、連続地中壁等を形成する際に不連続部分を無くすことができ、地中壁の品質を確保し、追加工事を出来るだけ少なく或いは不要にしてコストアップを抑えることができる。
また、本発明に係る掘削装置によれば、カッターチェーンの内側に駆動機構が設けられているため、駆動機構がカッターチェーンの側方に配置されている場合と比較して、掘削装置をコンパクト化することができる。これにより、掘削縦孔の幅が小さくても掘削装置を入れることができるため、掘削装置を掘削縦孔内に入れる前に行う掘削縦孔の拡幅作業が小さく或いは不要となり、作業手間を軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る掘削装置の第1、第2、第3の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
まず、本発明に係る掘削装置の第1の実施の形態について、図1〜図9を用いて説明する。
【0019】
図1は第1の実施の形態における掘削装置1の側面図である。
図1に示すように、掘削装置1は、例えばSMW機等のロッド2…に装着されて、地盤Gに形成された縦孔Hの中から縦孔Hの側壁を掘削する装置であり、埋設物Xの直下の地盤G´を透かし掘りするための掘削装置である。この掘削装置1には、主に、縦孔Hの中に挿入されるロッド2…に装着されるアタッチメント3と、アタッチメント3に鉛直方向に回動可能に取り付けられたトレンチャー式掘削機4とが備えられている。
【0020】
複数のロッド2…には、ロッド2…同士を連結する連結バンド22…がロッド軸方向に複数装着されている。この連結バンド22…は、連結部22b…を介して複数の筒部22a…を連結させた構成からなる。上記した筒部22a…は各ロッド2…にそれぞれ緩く外装されており、筒部22a…に緩挿されたロッド2…は軸回転自在の状態で保持されている。また、連結バンド22の一方の側面(図1における右側の側面)には、後述する油圧配管16…を把持する配管把持部9が付設されている。
【0021】
アタッチメント3は、複数のロッド2…に脱着自在にそれぞれ取り付けられた部材であり、アタッチメント3の概略構成は、上側に配置されて複数のロッド2…を連結させる上側連結バンド5と、下側に配置されて複数のロッド2…を連結させる下側連結バンド6と、上側連結バンド5と下側連結バンド6とを繋ぐ繋ぎ材7と、一方の側部に設けられて縦孔Hの側壁に沿って延在する反力板8とからなる。上側連結バンド5及び下側連結バンド6は、連結部5b…,6b…を介して複数の筒部5a…,6a…を連結させた構成からなる。上記した筒部5a…,6a…は各ロッド2…にそれぞれ緩く外装されており、筒部5a…,6a…に緩挿されたロッド2…は軸回転自在の状態で保持されている。また、上側連結バンド5の一方の側面および下側連結バンド6の一方の側面(図1における右側の側面)には、後述する油圧配管16…を把持する配管把持部9,9がそれぞれ設けられている。
【0022】
図2は本実施の形態におけるトレンチャー式掘削機4を表す側面図である。
図1,図2に示すように、トレンチャー式掘削機4は、環状のカッターチェーン12を周方向に回転させて掘削するロッド状の掘削機であり、アタッチメント3の他方(反力板8の反対側)の側部に鉛直回動可能に取り付けられている。具体的には、トレンチャー式掘削機4の一端は、下側連結バンド6の他方の側面に鉛直回転自在に取り付けられている。
【0023】
図3は本実施の形態におけるトレンチャー式掘削機4の断面図であり、(a)は図2に示すA−A間の断面図であり、(b)は図2に示すB−B間の断面図であり、(c)は図2に示すC−C間の断面図であり、(d)は図2に示すD−D間の断面図であり、(e)は図2に示すE−E間の断面図である。
図2,図3(a)〜図3(e)に示すように、トレンチャー式掘削機4には、主に、アーム10と、スプロケット11…と、環状のカッターチェーン12,12と、一方のスプロケット11a,11aを回転させる油圧モータ13(駆動機構)とが備えられている。
【0024】
アーム10は、断面矩形の長尺のロッド状部材であり、その一方側の端部を基端として張り出されている。また、アーム10はその基端を中心にして鉛直方向に回転自在に設けられている。
【0025】
スプロケット11…は、アーム10の両端部にそれぞれ配設されている。アーム10の一端側(基端側)に設けられた第1のスプロケット11a,11aは、油圧モータ13を両側から挟み込むように配置されており、その油圧モータ13の駆動軸13a,13aにそれぞれ取り付けられている。また、アーム10の他端側(先端側)に設けられた第2のスプロケット11b,11bは、アーム10の他端部を両側から挟み込むように配置されており、アーム10に貫設された回転軸24により鉛直方向に回転自在に取り付けられている。
【0026】
カッターチェーン12は、スプロケット11,11に噛合される無端帯状のチェーン部材であり、第1のスプロケット11aと第2のスプロケット11bとの間に巻回されている。また、2つのカッターチェーン12,12は、間隔をあけずに並列に並べて設けられており、全面が削孔面となっている。また、スプロケット11,11間のカッターチェーン12の中間部は、アーム10の表面に沿って延在されており、カッターチェーン12は、アーム10の表面(摺動面10a,10b)上を摺動するように周方向に連続移動する。
【0027】
図4はカッターチェーン12を表す拡大断面図である。
図2,図3(a)〜図3(e),図4に示すように、カッターチェーン12は、図1に示す地盤G´を掘削するための環状の部材であり、板状のチェーン本体12aの表面に複数の掘削ビット12b…が突設された構成からなる。また、カッターチェーン12は、その幅方向(トレンチャー式掘削機4の回動中心軸に平行する方向。図3における左右方向)にくの字状に屈曲可能な構成からなる。具体的には、カッターチェーン12は、チェーン幅方向に2つに分割されており、外側寄りの側端部12cと中央寄りの側端部12dとがヒンジ12eを介して回転自在に連結されている。そして、外側寄りの側端部12cと中央寄りの側端部12dとの間には板バネ12fが介装されており、この板バネ12fによりカッターチェーン12の平坦な状態が保持されている。つまり、板バネ12fは、外側寄りの側端部12cと中央寄りの側端部12dとがそれぞれ同一平面上に横並びに配置されるように付勢している。
【0028】
図5はトレンチャー式掘削機4の基端部の断面図である。
図3(a),図5に示すように、油圧モータ13は、上記した第1のスプロケット11a,11aを回転させてカッターチェーン12を周方向に回転(連続移動)させるための駆動機構である。油圧モータ13は、アーム10の基端部に設けられており、環状のカッターチェーン12,12の内側に配設されている。そして、油圧モータ13は、アタッチメント3の下側連結バンド6の他方側面にブラケット15を介して固定されている。
【0029】
また、油圧モータ13には複数の油圧配管16…が接続されている。これら複数の油圧配管16…は、図1に示すように、複数のロッド2…の一方側(図1における左側の側方)を通って縦孔Hの外まで延在されており、連結バンド22…、上側連結バンド5及び下側連結バンド6に付設された配管把持部9…にそれぞれ把持されている。
【0030】
また、図5に示すように、アーム10の基端部には、油圧モータ13側に突出した係止部(アーム側固定ストッパー17)が付設されている。また、油圧モータ13には、トレンチャー式掘削機4が水平状態になったところでアーム側固定ストッパー17に係止されてトレンチャー式掘削機4の鉛直回動を止める被係止部(モータ側固定ストッパー18)と、トレンチャー式掘削機4が鉛直状態になったところでアーム10に付設されたアーム側固定ストッパー17に係止されてトレンチャー式掘削機4の鉛直回動を止める被係止部(モータ側固定ストッパー19)とがそれぞれ付設されている。
【0031】
また、図2に示すように、上記したアタッチメント3とトレンチャー式掘削機4との間には、トレンチャー式掘削機4をその回動方向(図2に示す矢印方向)に付勢する図示せぬ付勢部材が介装されており、この付勢部材により鉛直状態のトレンチャー式掘削機4は鉛直方向に回動して外側に倒れた斜めの状態になる。また、図2に示すように、アタッチメント3の上側連結バンド5には、鉛直状態(ロッド2…と平行に延在させた状態)のトレンチャー式掘削機4に係止される被係止部21が付設されている。具体的には、被係止部21は、上側連結バンド5の他方側の側面に突設されたピンやフック等からなり、鉛直状態のトレンチャー式掘削機4に備えられたカッターチェーン12に掛止される。これにより、図示せぬ付勢部材により付勢されたトレンチャー式掘削機4を鉛直状態に保持させることができる。
【0032】
一方、図2,図3(a)〜図3(c)に示すように、アーム10の基端部には、カッターチェーン12をガイドするガイド部20が付設されている。このガイド部20は、油圧モータ13のところでカッターチェーン12,12をガイドして平坦状態のカッターチェーン12,12の中央寄りの側端部12d,12d(一方の側端部)を立ち上げてカッターチェーン12,12をくの字状に屈曲変形させるためのものである。具体的には、ガイド部20は、アーム10の基端部の中央位置(カッターチェーン12の幅方向の中央位置)に形成された凸状の部位であり、油圧モータ13の外周に被せるようにU字状に延在されている。
【0033】
上記したガイド部20の両側面には、カッターチェーン12,12の中央寄りの側端部12d,12dをそれぞれ摺動させるガイド面20a,20aがそれぞれ形成されている。このガイド面20a,20aは、アーム10の基端部におけるカッターチェーン12,12の移動方向に沿って延在されている。つまり、ガイド面20a,20aは、アーム10基端部の一方の摺動面10a(図2,図3における上面)側からアーム10の基端側に向けて延在され、アーム10の基端部のところで第1のスプロケット11a,11aの外周に沿って円弧状に延在され、さらにアーム10基端部の他方の摺動面10b(図2,図3における下面)側に向けて延在されている。
【0034】
また、ガイド面20a,20aは、油圧モータ13の方に向かって徐々に傾斜度が大きくなるように形成されている。つまり、ガイド面20a,20aは、アーム10先端側(図2における右側)の端部ではアーム10の摺動面10a,10bに対して少し傾斜された状態になっており、アーム10基端側に向かうに従い徐々に傾斜角度が大きくなって、油圧モータ13の外周部分ではアーム10の摺動面10a,10bに対して垂直になっている。
また、図3(a)に示すように、油圧モータ13の外周に設けられたガイド部20の円弧部分には、ガイド部20の油圧配管16…を通すための開口20bが形成されている。
【0035】
次に、上記した構成からなる掘削装置1による掘削方法について説明する。
【0036】
まず、図6に示すように、地盤G内に埋設された埋設物Xの一方側(図6における左側)に縦孔Hを掘削する工程を行う。具体的には、図6(a)に示すように、所定径の掘削ヘッド23a…が先端にそれぞれ取り付けられているとともに周面に螺旋状の掘削羽根23b…が設けられた複数の掘削ロッド23…で削孔を行う。次に、図6(b)に示すように、埋設物X寄りのロッド23の先端に取り付けられた掘削ヘッド23aを、上記した削孔のときの掘削ヘッド23aよりも大径の掘削ヘッド23a´に付け替えて拡径削孔(再削孔)を行う。次に図6(c)に示すように、トレンチャー式掘削機4の短辺方向寸法に相当する距離だけ程度だけ掘削位置を側方にずらして再度削孔を行う。以上により縦孔Hの掘削を完了する。
【0037】
次に、図7に示すように、ロッド2…に掘削装置1を装着させて縦孔Hの中に掘削装置1を挿入する工程を行う。具体的には、縦孔Hの掘削完了後に図6に示す掘削ロッド23…を縦孔H内から引き上げて、掘削ロッド23…の上部を掘削羽根23b…が無いロッド2…に付け替える。なお、掘削ロッド23…に掘削羽根23b…が無い部分があり、そこに掘削装置1を装着できる場合には、ロッド2…に付け替える必要はなく、ロッド2…に代えて掘削ロッド23…をそのまま利用する。次に、付け替えられたロッド2…に掘削装置1のアタッチメント3を取り付けて掘削装置1をロッド2…に装着させる。このとき、トレンチャー式掘削機4を鉛直状態に配置させるとともに、図2に示す被係止部21をカッターチェーン12に掛止させてトレンチャー式掘削機4の鉛直状態を保持させる。ロッド2…に掘削装置1を装着させた後、ロッド2…を縦孔Hの中に降ろす。このとき、掘削装置1の下端が床付けレベルLと同等のレベルに配置されるまでロッド2…を下降させる。
【0038】
次に、図8に示すように、トレンチャー式掘削機4を回動させて側方に倒し、このトレンチャー式掘削機4で縦孔Hの側壁を掘削する工程を行う。具体的には、図2,図8(a)に示すように、鉛直状態で保持されたトレンチャー式掘削機4の油圧モータ13を駆動させてカッターチェーン12,12を周方向(地山に食い込ませる方向。図8では時計回り。)に回転させ、被係止部21を切断或いはカッターチェーン12から外す。これにより、図示せぬ付勢部材によりトレンチャー式掘削機4は回動方向に付勢され、縦孔Hの側壁の方向に向けて回動して倒れる。そして、反力板8を反対の側壁に当接させて反力をとりつつ、トレンチャー式掘削機4で埋設物X直下の地盤G´を掘削する。続いて、図8(b)に示すように、ロッド2…を引き上げることでトレンチャー式掘削機4を上方に掘進させて引上げ切削する。このとき、カッターチェーン12,12をトレンチャー式掘削機4を倒す時と逆の方向に回転させる(図8では反時計回り。)。掘削装置1が上昇するとともに、トレンチャー式掘削機4は、トレンチャー式掘削機4の自重と地盤G´の掘削抵抗によって、下向きに回動して横に全開した状態(水平状態)となる。そして、図8(c)に示すように、埋設物Xの真下位置までトレンチャー式掘削機4を掘進させたところで、ロッド2…の引き上げを停止し、今度は、図8(d)に示すように、ロッド2…を降下させる。このとき、掘削装置1が下降するとともにトレンチャー式掘削機4を閉じてトレンチャー式掘削機4を鉛直状態にさせる。このようにして、縦孔Hの側方の地盤G´が掘削され、埋設物X直下が透かし掘りされる。なお、上記した掘削工程の時に、掘削の補助として、アタッチメント3の先端または側端から固化材等を高圧で噴射させてもよい。
【0039】
最後に、図9に示すように、ロッド2…を引き上げて掘削装置1を回収する工程を行う。これにより、掘削装置1による掘削を完了する。
また、必要に応じて、反対側からも埋設物X直下の地盤G´の掘削を行ってもよい。つまり、埋設物Xの他方側(図6における右側)にも縦孔を掘削し、その縦孔の中から、掘削装置1によって埋設物X直下の地盤G´を掘削してもよい。
【0040】
上記した構成からなる掘削装置1によれば、縦孔Hの中に挿入されるロッド2…に装着されるアタッチメント3と、アタッチメント3に鉛直方向に回動可能に取り付けられたトレンチャー式掘削機4とが備えられ、トレンチャー式掘削機4は、環状のカッターチェーン12,12の内側にカッターチェーン12,12を周方向に回転させる油圧モータ13が設けられた構成からなるため、トレンチャー式掘削機4を縦向きに配置した状態で縦孔Hに挿入した後、縦孔Hの中でトレンチャー式掘削機4を回動させてトレンチャー式掘削機4を横向きに配置するとともに油圧モータ13を稼動させてカッターチェーン12,12を周方向に回転させることで、縦孔Hの側壁が掘削されて埋設物X直下の地盤G´が透かし掘りされる。これにより、連続地中壁等を形成する際に不連続部分を無くすことができ、地中壁の品質を確保し、追加工事を不要にしてコストアップを抑えることができる。
【0041】
また、上記した構成からなる掘削装置1によれば、カッターチェーン12,12の内側に駆動機構である油圧モータ13が設けられているため、油圧モータ13がカッターチェーン12,12の側方に配置されている場合と比較して、掘削装置1をコンパクト化することができる。これにより、縦孔Hの幅が小さくても掘削装置1を入れることができるため、掘削装置1を縦孔H内に入れる前に縦孔Hの拡幅作業を行う必要がなく、作業手間を軽減させることができる。
【0042】
また、上記した構成からなる掘削装置1によれば、カッターチェーン12,12が、その幅方向にくの字状に屈曲可能な構成からなり、トレンチャー式掘削機4には、油圧モータ13のところでカッターチェーン12,12をガイドして平坦状態のカッターチェーン12,12の中央寄りの側端部12d,12dを立ち上げてカッターチェーン12,12をくの字状に屈曲変形させるガイド部20が備えられているため、トレンチャー式掘削機4の短辺方向寸法を大きくしなくても、カッターチェーン12,12の内側に配置された油圧モータ13と周方向に回転するカッターチェーン12,12とが干渉することがない。これにより、掘削装置1のコンパクト化を図ることができる。
【0043】
なお、上記した第1の実施の形態では、トレンチャー式掘削機4を積極的に回動させる構成ではなく、掘削装置1を引き上げる際のトレンチャー式掘削機4の自重と地盤G´の掘削抵抗とにより、鉛直状態のトレンチャー式掘削機4を回動させて横に全開させる構成になっているが、本発明は、トレンチャー式掘削機を積極的に回動させる機構が備えられていてもよい。例えば、シリンダー等の動力を別途設けてトレンチャー式掘削機を回動させることもできるが、図10,図11に示すように、ロッド102の回転力によりトレンチャー式掘削機を回動させてもよい。具体的には、ロッド102の一部に雄ねじ部102aが形成されている。このロッド102の雄ねじ部102aに、雌ねじ孔130aがあけられた移動部材130が螺合されている。そして、この移動部材130とアーム10との間に、一端が移動部材130に他端がアーム10にそれぞれ鉛直回転自在に取り付けられたロッド131が介装されている。一方、下側連結バンド6の筒部6a上に筒状のケーシング132が立設され、このケーシング132内に上記移動部材130が上下動自在に挿装されている。また、ケーシング132の内周面には軸方向に延在する溝132a,132aが形成されており、移動部材130の外周面にはこの溝132a,132a内に嵌合される突起130b,130bが付設されている。このような構成にすることで、ロッド102を軸回転させると、ねじ機構により移動部材130が上下に移動する。移動部材130が上下動すると、ロッド131を介して移動部材130と繋がったアーム10が引張られたり押し出されたりしてトレンチャー式掘削機4が回動する。なお、ロッド102が軸回転したとき、移動部材130に付設された突起130b,130bがケーシング132の溝132a,132aに嵌合されているため、移動部材130の供回りは防止される。これにより、別途動力を設けることなく、トレンチャー式掘削機4を積極的に回動させることができる。
【0044】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る掘削装置の第2の実施の形態について、図12、図13を用いて説明する。なお、本実施の形態において、上述した第1の実施の形態と同様の構成については、第1の実施の形態と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0045】
図12は第2の実施の形態における掘削装置201の側面図であり、(a)はトレンチャー式掘削機204が開いた状態を示しており、(b)はトレンチャー式掘削機204が閉じた状態を示している。図13は第2の実施の形態における掘削装置201の平面図である。なお、トレンチャー式掘削機204が略水平に張り出された状態が「開」の状態であり、トレンチャー式掘削機204が略鉛直に立てられた状態が「閉」の状態である。
【0046】
図12(a)、図12(b)、図13に示すように、本実施の形態における掘削装置201は、トレンチャー式掘削機204が、アタッチメント3に設けられたブラケット231とトレンチャー式掘削機204に設けられた支持部材232とが回転軸233を介して鉛直方向に回転自在に連結されることで、アタッチメント3に回動可能に支持された構成となっている。しかも、本実施の形態における掘削装置201には、上記した回転軸233を中心にトレンチャー式掘削機204を鉛直方向に回動させる回動機構240が備えられている。
【0047】
具体的に説明すると、掘削装置201には、上述した第1の実施の形態と同様に、主に、アタッチメント3と、トレンチャー式掘削機204とが備えられている。アタッチメント3については、第1の実施の形態のものと同様のものを用いることができる。
【0048】
トレンチャー式掘削機204には、上述した第1の実施の形態と同様に、主に、アーム210と、スプロケット211…と、環状のカッターチェーン212と、一方のスプロケット211aを回転させる油圧モータ213(駆動機構)とが備えられている。
【0049】
アーム210は、断面矩形の長尺のロッド状部材であり、油圧モータ213(駆動側の一方のスプロケット211a)と他方(従動側)のスプロケット211bとの間に架設されている。また、アーム210の上下面(カッターチェーン212の内周面と対向する面)には、カッターチェーン212を案内するガイド220…が複数付設されている。これらのガイド220…は、アーム210の表面に突設されて、カッターチェーン212の内周面(後述するチェーン本体212aの背面)に摺動自在に当接されている。
【0050】
スプロケット211…は、アーム10の両端部にそれぞれ配設されている。アーム10の一端側(基端側)に設けられた第1のスプロケット211aは、油圧モータ213の図示せぬ駆動軸に軸支されて、油圧モータ213が駆動することで鉛直方向に回転する駆動スプロケットである。この第1のスプロケット211aは、アーム210の一方の端面(基端面)よりも基端側(図12、図13における左側)であって平面的にみてカッターチェーン212の幅方向の中央位置に配置されている。また、アーム210の他端側(先端側)に設けられた第2のスプロケット211bは、第1のスプロケット211aに従動して鉛直方向に回転する従動スプロケットである。この第2のスプロケット211bは、アーム210の他方の端面(先端面)よりも先端側(図12、図13における右側)であって平面的にみてカッターチェーン212の幅方向の中央位置に配置されている。第2のスプロケット211bは、カッターチェーン212の幅方向における両側から挟持されてアーム210の先端部に鉛直方向に回転自在に取り付けられている。
【0051】
カッターチェーン212は、スプロケット211a,211bにそれぞれ噛合される無端帯状のチェーン部材であり、チェーン本体212aの表面に複数の掘削ビット212b…が突設された構成からなる。カッターチェーン212は、第1のスプロケット211aと第2のスプロケット211bとの間に巻回されており、スプロケット211,211間に架け渡されたカッターチェーン212の中間部は、アーム210の表面に突設されたガイド210…上を摺動するように周方向に連続移動する。このカッターチェーン212は、上述した第1の実施の形態と異なり、くの字状に屈曲せず、平坦状態のまま回転する。
【0052】
油圧モータ213は、第1のスプロケット211aを回転駆動させるためのものであり、平面的にみて中央部分に軸回転する図示せぬ駆動軸が配設されたモータである。この油圧モータ213は、アーム210の一方の端面に固定されており、カッターチェーン212の内側に配置されている。
【0053】
なお、本実施の形態では、油圧モータ213の長さ寸法(カッターチェーン212幅方向の長さ)が、カッターチェーン212の幅よりも長くなっており、油圧モータ213の両端が平面的にみてカッターチェーン212の外側に突出されているが、油圧モータ213が平面的にみてカッターチェーン212の内側に収められていることが好ましい。つまり、油圧モータ213の長さ寸法が、カッターチェーン212の幅よりも短くなっており、油圧モータ213の両端が平面的にみてカッターチェーン212の外側に出ていない構成が望ましい。
【0054】
また、上記した構成からなるトレンチャー式掘削機204は、回転軸支機構230を介してアタッチメント3の側面に鉛直回転自在に取り付けられている。そして、掘削装置201には、鉛直方向に回転自在のトレンチャー式掘削機204を鉛直方向に回動させるための回動機構240が備えられている。
【0055】
回転軸支機構230には、主に、アタッチメント3に設けられたブラケット231と、トレンチャー式掘削機204に設けられた支持部材232,232と、ブラケット231と支持部材232とを鉛直方向に回転自在に連結する回転軸233とが備えられている。つまり、トレンチャー式掘削機204は、上記したブラケット231と支持部材232とが回転軸233を介して鉛直方向に回転自在に連結されることで、アタッチメント3に回動可能に支持されている。
【0056】
ブラケット231は、鋼板やその他の鋼材などからなる部材であり、アタッチメント3の下側連結バンド6の側面に突設されて張り出されている。このブラケット231の先端には、カッターチェーン212の幅方向に平行する方向に延在する円筒部材234が設けられている。この円筒部材234の中には、棒状の軸材235が軸回転自在に挿通されており、この軸材235の両端部は、円筒部材234の外にそれぞれ突出されている。これら円筒部材234と軸材235とにより上記回転軸233が構成されている。
【0057】
支持部材232,232は、トレンチャー式掘削機204の両側方にそれぞれ配置されており、これらの支持部材232,232によってトレンチャー式掘削機204はその両側から支持されている。具体的には、支持部材232,232は、鉛直に配置されてトレンチャー式掘削機204の側面に対向する板状の部材であり、トレンチャー式掘削機204の基端部を両側から挟み込むように配置されている。支持部材232,232の一端(アタッチメント3側の端部)は、円筒部材234から突出した軸材235の端部に固定されており、支持部材232,232の他端(トレンチャー式掘削機204側の端部)は、アーム210の側面に固定されている。
【0058】
なお、支持部材232は、トレンチャー式掘削機204の側方の一方側からトレンチャー式掘削機204を支持するものであってもよい。つまり、トレンチャー式掘削機204の側方の一方にのみ支持部材232が配置された構成であってもよい。
【0059】
回動機構240は、上記した回転軸233を中心にトレンチャー式掘削機204を鉛直方向に回動させる機構であり、具体的には、ピストン241aを往復動させるシリンダー241と、該シリンダー241に回転自在に取り付けられたリンク部材242とからなる。シリンダー241としては、例えば油圧シリンダー等を用いることができ、アタッチメント3を挟んで両側にそれぞれ配設されている。上記したシリンダー241のシリンダー本体241bの基端が上側連結バンド5に鉛直回転自在に取り付けられているとともに、ピストン241aの先端がリンク部材242に鉛直回転自在に取り付けられている。リンク部材242は、鉛直に配置された板状の部材であり、各シリンダー241のピストン241a先端にそれぞれ設けられている。リンク部材242は、円筒部材234を挟んで円筒部材234の外に突出した軸材235の両端部或いは両側の支持部材232,232にそれぞれ固定されており、平面的にみて円筒部材234と支持部材232,232との間に配置されている。このような構成からなる回動機構240によれば、ピストン241aを往復動させることで、上記したリンク部材242,242が軸材235を中心に鉛直方向に回転し、このリンク部材242,242の回転によりトレンチャー式掘削機204が回動する。
【0060】
また、上記した支持部材232,232には、開口232a,232aから油圧モータ213に油圧配管216…を接続させるための開口232a,232aが形成されている。具体的には、開口232a,232aから油圧モータ213の両端部が外方に突出されており、この突出された部分に油圧配管216…が接続されている。なお、開口232a,232aから油圧モータ213の両端面を露出させるだけでも油圧配管216…を接続させることは可能である。
【0061】
また、上記した支持部材232には、トレンチャー式掘削機204の開閉を検知するための傾斜センサ250が設けられている。当該傾斜センサ250により、トレンチャー式掘削機204の傾斜角度を検知することで、トレンチャー式掘削機204の開閉を検知することができる。
【0062】
また、掘削装置201には、トレンチャー式掘削機204の先端方向に向けて水やスラリー等を噴射させる噴射手段260が備えられている。この噴射手段260は、トレンチャー式掘削機204(アーム210)の先端部に設けられた噴射ノズル261と、この噴射ノズル261に水等を供給するための供給配管262とが備えられた構成からなる。噴射ノズル261は、アーム210を挟んで両側にそれぞれ配設されている。供給配管262は、両側の噴射ノズル261,261にそれぞれ接続されており、この供給配管262によって、図示せぬ圧送ポンプ等で圧送された水やスラリー等が噴射ノズル261,261にそれぞれ供給される。供給配管262は、油圧モータ213に接続された油圧配管216…とともにロッド2に沿って延在されており、掘削装置201のところで、支持部材232の表面からアーム210の側面に沿わせるように配管されている。この噴射手段260によって水やスラリー等を噴射させることで、トレンチャー式掘削機204による掘削を補助する。
【0063】
上記した構成からなる掘削装置201による掘削方法については、上述した第1の実施の形態と同様である。
【0064】
上記した構成からなる掘削装置201によれば、アタッチメント3に設けられたブラケット231とトレンチャー式掘削機204に設けられた支持部材232,232とが回転軸233を介して鉛直方向に回転自在に連結されることで、トレンチャー式掘削機204がアタッチメント3に回動可能に支持されており、そして、回転軸233を中心にトレンチャー式掘削機204を鉛直方向に回動させる回動機構240が備えられているため、トレンチャー式掘削機204がアタッチメント3から支持されつつ、鉛直方向に回動可能となる。これによって、トレンチャー式掘削機204による透かし掘りが可能となる。
【0065】
また、上記した構成からなる掘削装置201によれば、支持部材232,232が、トレンチャー式掘削機204の側方の両方からトレンチャー式掘削機204を支持する構成となっているため、カッターチェーン212と支持部材232,232とを干渉させることなく、トレンチャー式掘削機204をアタッチメント3に回動可能に支持させることができる。また、支持部材232が、トレンチャー式掘削機204の側方の一方からトレンチャー式掘削機204を支持する構成であっても同様である。
【0066】
なお、上述した第2の実施の形態における構成において、上述した第1の実施の形態におけるカッターチェーン12と同様に、カッターチェーン212がその幅方向にくの字状に屈曲可能な構成からなり、このカッターチェーン212が、油圧モータ213のところで平坦状態のカッターチェーン212の一方の側端部が立ち上げられる構成とすることも可能である。この場合、カッターチェーン212の一方の側端部が立ち上げられたところから油圧配管216…を油圧モータ213に接続させることができる。さらに、カッターチェーン212の一方の側端部が立ち上げられたところに、支持部材232を配設させることもできる。
また、上述した第2の実施の形態における構成において、上述した図10、図11に示した構成から回動機構を採用してもよい。
【0067】
[第3の実施の形態]
次に、本発明に係る掘削装置の第3の実施の形態について、図14、図15を用いて説明する。なお、本実施の形態において、上述した第1、第2の実施の形態と同様の構成については、第1、第2の実施の形態と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0068】
図14は第3の実施の形態における掘削装置301の側面図であり、図15は第3の実施の形態における掘削装置301の平面図であり、図16は第2の実施の形態におけるトレンチャー式掘削機304の基端部の断面図である。
図14、図15、図16に示すように、本実施の形態における掘削装置301は、カッターチェーン312,312が、その幅方向(図15における上下方向)に間隔をあけて2列で並設されており、これらのカッターチェーン312,312間に、トレンチャー式掘削機304を支持するための支持部材332が配設されている構成となっている。
【0069】
具体的に説明すると、掘削装置301には、上述した第1、第2の実施の形態と同様に、主に、アタッチメント3と、トレンチャー式掘削機304とが備えられている。アタッチメント3については、第1、第2の実施の形態のものと同様のものを用いることができる。
【0070】
トレンチャー式掘削機304には、上述した第1、第2の実施の形態と同様に、主に、アーム310と、スプロケット311…と、環状のカッターチェーン312と、一方のスプロケット311aを回転させる油圧モータ313(駆動機構)とが備えられている。アーム310、スプロケット311…及び油圧モータ313については、上述した第1の実施の形態におけるアーム10、スプロケット11…及び油圧モータ13と同様のものを用いることができる。
【0071】
カッターチェーン312は、スプロケット311…に噛合される無端帯状のチェーン部材であり、チェーン本体312aの表面に複数の掘削ビット312b…が突設された構成からなる。カッターチェーン312は、第1のスプロケット311aと第2のスプロケット311bとの間に巻回されている。このようなカッターチェーン312,312はその幅方向に間隔(例えば3cm程度)をあけて並列に並べられており、カッターチェーン312の幅方向に2つに振り分けられた構成となっている。このカッターチェーン312,312は、上述した第1の実施の形態と異なり、くの字状に屈曲せず、上述した第2の実施の形態と同様に、平坦状態のまま回転する。なお、カッターチェーン312が3列以上並設されていてもよい。
【0072】
上記した構成からなるトレンチャー式掘削機304には、上記した第2の実施の形態と同様に、回転軸支機構330を介してアタッチメント3の側面に鉛直回転自在に取り付けられている。そして、掘削装置301には、鉛直方向に回転自在のトレンチャー式掘削機304を鉛直方向に回動させるための回動機構340が備えられている。
【0073】
回転軸支機構330には、上記した第2の実施の形態と同様に、アタッチメント3に設けられたブラケット331と、トレンチャー式掘削機304に設けられた支持部材332と、ブラケット331と支持部材232とを鉛直方向に回転自在に連結する回転軸333とが備えられている。
【0074】
ブラケット331は、鉛直に配置された鋼板などからなる複数(本実施の形態では2枚)の板状部材331a,331bからなり、これらの板状部材331a,331bは、アタッチメント3の下側連結バンド6の側面にそれぞれ突設されて対向配置されている。
【0075】
支持部材332は、トレンチャー式掘削機304の幅方向の中央位置に配置されおり、この支持部材232によってトレンチャー式掘削機304は支持されている。具体的には、支持部材332は、鉛直に配置された板状の部材である。この支持部材332は、アーム310の基端部に突設されており、間隔をあけて並べられたカッターチェーン312,312の間から外に突出されている。
【0076】
上記した支持部材332の突出された部分とブラケット331の先端部とは、回転軸333を介して連結されている。この回転軸333を中心にして支持部材332がブラケット331に対して鉛直方向に回転可能となっている。
【0077】
回動機構340は、ピストン341aを往復動させる油圧シリンダー等のシリンダー341からなる。このシリンダー341の側方に配置されており、そのシリンダー本体341bの基端が上側連結バンド5に鉛直回転自在に取り付けられているとともに、ピストン341aの先端が支持部材332に鉛直回転自在に取り付けられている。このピストン341aを往復動させることで、支持部材332が回転軸333を中心にし回転し、これにより、トレンチャー式掘削機304が鉛直方向に回動する。
【0078】
また、油圧モータ313に接続させる図示せぬ油圧配管は、偏平にして、間隔をあけて並べられたカッターチェーン312,312の間に通して、油圧モータ313に接続させることができる。なお、勿論、第2の実施の形態のように、トレンチャー式掘削機304の側方から図示せぬ油圧配管を油圧モータ313に接続させることもできる。
【0079】
上記した構成からなる掘削装置301による掘削方法については、上述した第1の実施の形態と同様である。
【0080】
上記した構成からなる掘削装置301によれば、カッターチェーン312,312が、その幅方向に間隔をあけて複数設けられており、これらのカッターチェーン312,312間に支持部材332が配設されているため、カッターチェーン312,312と支持部材332とを干渉させることなく、トレンチャー式掘削機304をアタッチメント3に回動可能に支持させることができる。これによって、トレンチャー式掘削機304による透かし掘りが可能となる。
【0081】
なお、上述した第3の実施の形態における構成において、上述した第1の実施の形態におけるカッターチェーン12と同様に、カッターチェーン312がその幅方向にくの字状に屈曲可能な構成からなり、このカッターチェーン312が、油圧モータ313のところで平坦状態のカッターチェーン312の一方の側端部が立ち上げられる構成とすることも可能である。これにより、支持部材332を厚くすることができるとともに、図示せぬ油圧配管を偏平にすることなく、カッターチェーン312の一方の側端部が立ち上げられたところから図示せぬ油圧配管を油圧モータ313に接続させることができる。
【0082】
また、上述した第3の実施の形態における構成において、上述した第2の実施の形態のように噴射手段260が備えられていてもよい。また、上述した第3の実施の形態における構成において、回動機構340に、上述した第2の実施の形態のようにリンク部材242が備えられていてもよい。
また、上述した第3の実施の形態における構成において、上述した図10、図11に示した構成から回動機構を採用してもよい。
【0083】
以上、本発明に係る掘削装置の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、油圧モータ13,213に接続された油圧配管16…,216…は複数のロッド2…の側方を通って縦孔Hの外まで延在されているが、本発明は、図17に示すように、油圧モータ等の駆動機構に接続させた配管116をロッド2の中を通して縦孔Hの外まで延在させてもよい。
【0084】
また、上記した実施の形態では、カッターチェーン12,12を2本並列に並べた構成になっているが、本発明は、カッターチェーンの本数に限定されるものではなく、例えば、カッターチェーンが1本だけであってもよく、或いはカッターチェーンが3本以上並列に並べられていてもよい。
【0085】
また、上記した実施の形態では、鉛直状態のトレンチャー式掘削機4,204,304が下に開く構成になっているが、本発明は、鉛直状態のトレンチャー式掘削機が上に開く構成になっていてもよい。
【0086】
また、上記した実施の形態では、アタッチメント3が、上側連結バンド5と下側連結バンド6と繋ぎ材7とから構成されているが、本発明は、アタッチメントの構成は適宜変更可能であり、例えば、一段の連結バンドからなるアタッチメントであってもよく、或いは、一本のロッドに取り付けられるアタッチメントであってもよい。
【0087】
また、上記した実施の形態では、トレンチャー式掘削機4,204,304が、アーム10,210,310の両端にスプロケット11,211,311がそれぞれ設けられ、これら両端のスプロケット11,211,311間にカッターチェーン12,212,312が巻回され、一方のスプロケット11a,211a,311aを油圧モータ13,213,313で回転させることでカッターチェーン12,212,312を周方向に回転させる構成になっているが、本発明は、カッターチェーンを周方向に回転させて地盤G´を切削するトレンチャー式掘削機の構成は適宜変更可能である。例えば、カッターチェーンにラックを付設して、このラックに噛合するピニオンを駆動機構で回転させる構成からなるトレンチャー式掘削機であってもよく、或いは、アームの外周全体に溝を形成して、この溝の中にカッターチェーンを嵌め込み、溝内でカッターチェーンを摺動させる構成からなるトレンチャー式掘削機であってもよく、或いは、3つ以上のスプロケットにカッターチェーンを巻回させた構成からなるトレンチャー式掘削機であってもよい。
【0088】
なお、本発明は、カッターチェーンの内側に駆動機構(油圧モータ等)が設けられた構成であればよく、本発明におけるアタッチメントに対するトレンチャー式掘削機の支持構造(回転軸支機構)は、上記した実施の形態の構成に限定されない。すなわち、上記した実施の形態では、トレンチャー式掘削機4,204,304とアタッチメント3とが平面的にみて地中壁の延在方向に沿って並べられた直列的な配置になっており、カッターチェーン12をくの字に曲げたり、支持部材232,332を取り付けたりすることで、トレンチャー式掘削機4,204,304をアタッチメント3に支持させているが、本発明は、これらと異なる構成で、トレンチャー式掘削機がアタッチメントに取り付けられていてもよい。例えば、本発明は、トレンチャー式掘削機とアタッチメントとが平面的にみて地中壁の延在方向に直交する方向に並べられた並列的な配置にしてもよい。これにより、上記した実施の形態のような構成にしなくても、カッターチェーンがブラケット等の支持構造に干渉せず、トレンチャー式掘削機をアタッチメントに支持させることができる。
【0089】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した第1〜第3の実施の形態及び変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための掘削装置の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明するためのトレンチャー式掘削機の側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を説明するためのトレンチャー式掘削機の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を説明するためのカッターチェーンの断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態を説明するためのトレンチャー式掘削機の端部の断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態を説明するための縦孔の削孔状況を表した断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態を説明するための掘削装置の挿入状況を表した断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態を説明するための掘削装置による掘削状況を表した断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態を説明するための掘削装置の引き上げ状況を表した断面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の他の例を説明するための掘削装置の部分断面図である。
【図11】図10に示すF−F間の断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態を説明するための掘削装置の側面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態を説明するための掘削装置の平面図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態を説明するための掘削装置の側面図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態を説明するための掘削装置の平面図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態を説明するためのトレンチャー式掘削機の断面図である。
【図17】本発明の他の実施の形態を説明するための掘削装置の側面図である。
【符号の説明】
【0091】
1 掘削装置
2,102 ロッド
3 アタッチメント
4 トレンチャー式掘削機
12 カッターチェーン
13 油圧モータ
20 ガイド部
G, G´ 地盤
H 縦孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、透かし掘りを行うための掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばSMW(Soil Mixing Wall)などの連続地中壁をSMW機で施工する際に、地盤内に既設の埋設配管等の埋設物があると、その埋設物と交差する箇所ではSMW機による掘削が行えないため、埋設物がある箇所を飛ばして地中壁を形成することになる。このように埋設物のところで生じた連続地中壁の不連続部分には、別の土留めを別途施工する必要がある。従来、連続地中壁の不連続部分における土留めの技術として、不連続部分の背面側の地盤を高圧噴射攪拌工法や薬液注入工法等により地盤改良し、掘削時に不連続部分の両側の鋼材(H形鋼等)間にあて板を嵌め込む技術がある。
【0003】
また、近年、地盤を透かし掘りする掘削装置が提案されている。この掘削装置は、縦孔の中からその縦孔の側壁を掘削して透かし掘りする機械であり、カッターチェーンを周方向に回転させて地盤を掘削するバー状のトレンチャー式掘削機(チェーンローダ)と、トレンチャー式掘削機を鉛直方向に回転させる回転機構と、トレンチャー式掘削機を収容するとともにトレンチャー式掘削機を出し入れするための開口が形成された円筒形状の外殻部とが備えられた構成からなる。この掘削装置によれば、埋設物の側方までSMW機で溝を形成した後、この溝の中に上記した透かし掘り用の掘削装置を挿入し、溝の中で回転機構によりトレンチャー式掘削機を鉛直回転させて開口から外殻部の外に張り出させ、張り出されたトレンチャー式掘削機によって溝の側壁を掘削する。これによって、埋設物直下の地盤を掘削することができ、埋設物を避けるように連続地中壁を連続的に形成することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−30245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した前者の従来技術では、対象地盤によっては地盤改良体が不完全な状態(不連続、不均一な状態)になるおそれがある。この場合、地中壁としての品質が低くなり、追加工事によるコストアップの問題も生じる。
また、上記した後者の従来技術では、トレンチャー式掘削機を駆動させる駆動装置がトレンチャー式掘削機の側方に配設されているため、掘削縦孔内に配置される掘削装置が駆動装置の分だけ掘削幅よりも大きくなるという問題がある。したがって、この掘削装置を用いて、埋設物等による不連続部分を透かし掘りする場合には、当該掘削装置が入れられるように、予め、その不連続部分に隣接する連続地中壁用の掘削縦孔の幅を通常の幅よりも大きくしなければならない。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、埋設物の直下の地盤を透かし掘りすることができる掘削装置を提供し、連続地中壁等を形成する際に不連続部分を無くして地中壁の品質を確保し、追加工事を出来るだけ少なく或いは不要にしてコストアップを抑えることを目的としている。また、本発明は、上述したような掘削縦孔内に配置されて地盤を透かし掘りする掘削装置をコンパクト化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る掘削装置は、地盤に形成された縦孔の中から該縦孔の側壁を掘削して透かし掘りする掘削装置において、前記縦孔の中に挿入されるロッドに装着されるアタッチメントと、該アタッチメントに鉛直方向に回動可能に取り付けられたトレンチャー式掘削機とが備えられ、該トレンチャー式掘削機は、鉛直面内で回転する環状のカッターチェーンの内側に該カッターチェーンを周方向に回転させる駆動機構が設けられた構成からなることを特徴としている。
【0007】
このような特徴により、トレンチャー式掘削機を縦向きに配置した状態で本願に係る掘削装置を縦孔内に挿入した後、縦孔の中でトレンチャー式掘削機を回動させてトレンチャー式掘削機を横向きに配置するとともに駆動機構を稼動させてカッターチェーンを周方向に回転させることで、縦孔の側壁が掘削されて縦孔の側方の地盤が透かし掘りされる。
【0008】
また、本発明に係る掘削装置は、前記カッターチェーンが、その幅方向にくの字状に屈曲可能な構成からなり、前記トレンチャー式掘削機には、前記駆動機構のところで前記カッターチェーンをガイドして平坦状態の該カッターチェーンの一方の側端部を立ち上げて該カッターチェーンをくの字状に屈曲変形させるガイド部が備えられている構成とすることが好ましい。なお、本発明においては、回動するトレンチャー式掘削機の回動中心軸に平行する方向を「カッターチェーンの幅方向」としている。
【0009】
これにより、ガイドによって、周方向に回転するカッターチェーンの一方の側端部が駆動機構のところで立ち上げられるため、カッターチェーンを、該カッターチェーンの内側に配置された駆動機構に干渉させることなく、周方向に回転させることができる。
【0010】
また、本発明に係る掘削装置は、前記トレンチャー式掘削機が、前記アタッチメントに設けられたブラケットと前記トレンチャー式掘削機に設けられた支持部材とが回転軸を介して鉛直方向に回転自在に連結されることで、前記アタッチメントに回動可能に支持されており、前記回転軸を中心に前記トレンチャー式掘削機を鉛直方向に回動させる回動機構が備えられている構成とすることが好ましい。
【0011】
これにより、トレンチャー式掘削機がアタッチメントから支持されつつ、鉛直方向に回動可能となる。
【0012】
また、本発明に係る掘削装置は、前記支持部材が、前記トレンチャー式掘削機の側方の一方又は両方から該トレンチャー式掘削機を支持する構成とすることができる。
【0013】
これにより、カッターチェーンと支持部材とを干渉させることなく、トレンチャー式掘削機をアタッチメントに回動可能に支持させることができる。
【0014】
さらに、本発明に係る掘削装置は、前記カッターチェーンが、該カッターチェーンの幅方向に間隔をあけて複数設けられ、該カッターチェーン間に前記支持部材が配設されている構成としてもよい。
【0015】
これにより、カッターチェーンと支持部材とを干渉させることなく、トレンチャー式掘削機をアタッチメントに回動可能に支持させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る掘削装置によれば、埋設物の直下の地盤を透かし掘りすることができるため、連続地中壁等を形成する際に不連続部分を無くすことができ、地中壁の品質を確保し、追加工事を出来るだけ少なく或いは不要にしてコストアップを抑えることができる。
また、本発明に係る掘削装置によれば、カッターチェーンの内側に駆動機構が設けられているため、駆動機構がカッターチェーンの側方に配置されている場合と比較して、掘削装置をコンパクト化することができる。これにより、掘削縦孔の幅が小さくても掘削装置を入れることができるため、掘削装置を掘削縦孔内に入れる前に行う掘削縦孔の拡幅作業が小さく或いは不要となり、作業手間を軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る掘削装置の第1、第2、第3の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
まず、本発明に係る掘削装置の第1の実施の形態について、図1〜図9を用いて説明する。
【0019】
図1は第1の実施の形態における掘削装置1の側面図である。
図1に示すように、掘削装置1は、例えばSMW機等のロッド2…に装着されて、地盤Gに形成された縦孔Hの中から縦孔Hの側壁を掘削する装置であり、埋設物Xの直下の地盤G´を透かし掘りするための掘削装置である。この掘削装置1には、主に、縦孔Hの中に挿入されるロッド2…に装着されるアタッチメント3と、アタッチメント3に鉛直方向に回動可能に取り付けられたトレンチャー式掘削機4とが備えられている。
【0020】
複数のロッド2…には、ロッド2…同士を連結する連結バンド22…がロッド軸方向に複数装着されている。この連結バンド22…は、連結部22b…を介して複数の筒部22a…を連結させた構成からなる。上記した筒部22a…は各ロッド2…にそれぞれ緩く外装されており、筒部22a…に緩挿されたロッド2…は軸回転自在の状態で保持されている。また、連結バンド22の一方の側面(図1における右側の側面)には、後述する油圧配管16…を把持する配管把持部9が付設されている。
【0021】
アタッチメント3は、複数のロッド2…に脱着自在にそれぞれ取り付けられた部材であり、アタッチメント3の概略構成は、上側に配置されて複数のロッド2…を連結させる上側連結バンド5と、下側に配置されて複数のロッド2…を連結させる下側連結バンド6と、上側連結バンド5と下側連結バンド6とを繋ぐ繋ぎ材7と、一方の側部に設けられて縦孔Hの側壁に沿って延在する反力板8とからなる。上側連結バンド5及び下側連結バンド6は、連結部5b…,6b…を介して複数の筒部5a…,6a…を連結させた構成からなる。上記した筒部5a…,6a…は各ロッド2…にそれぞれ緩く外装されており、筒部5a…,6a…に緩挿されたロッド2…は軸回転自在の状態で保持されている。また、上側連結バンド5の一方の側面および下側連結バンド6の一方の側面(図1における右側の側面)には、後述する油圧配管16…を把持する配管把持部9,9がそれぞれ設けられている。
【0022】
図2は本実施の形態におけるトレンチャー式掘削機4を表す側面図である。
図1,図2に示すように、トレンチャー式掘削機4は、環状のカッターチェーン12を周方向に回転させて掘削するロッド状の掘削機であり、アタッチメント3の他方(反力板8の反対側)の側部に鉛直回動可能に取り付けられている。具体的には、トレンチャー式掘削機4の一端は、下側連結バンド6の他方の側面に鉛直回転自在に取り付けられている。
【0023】
図3は本実施の形態におけるトレンチャー式掘削機4の断面図であり、(a)は図2に示すA−A間の断面図であり、(b)は図2に示すB−B間の断面図であり、(c)は図2に示すC−C間の断面図であり、(d)は図2に示すD−D間の断面図であり、(e)は図2に示すE−E間の断面図である。
図2,図3(a)〜図3(e)に示すように、トレンチャー式掘削機4には、主に、アーム10と、スプロケット11…と、環状のカッターチェーン12,12と、一方のスプロケット11a,11aを回転させる油圧モータ13(駆動機構)とが備えられている。
【0024】
アーム10は、断面矩形の長尺のロッド状部材であり、その一方側の端部を基端として張り出されている。また、アーム10はその基端を中心にして鉛直方向に回転自在に設けられている。
【0025】
スプロケット11…は、アーム10の両端部にそれぞれ配設されている。アーム10の一端側(基端側)に設けられた第1のスプロケット11a,11aは、油圧モータ13を両側から挟み込むように配置されており、その油圧モータ13の駆動軸13a,13aにそれぞれ取り付けられている。また、アーム10の他端側(先端側)に設けられた第2のスプロケット11b,11bは、アーム10の他端部を両側から挟み込むように配置されており、アーム10に貫設された回転軸24により鉛直方向に回転自在に取り付けられている。
【0026】
カッターチェーン12は、スプロケット11,11に噛合される無端帯状のチェーン部材であり、第1のスプロケット11aと第2のスプロケット11bとの間に巻回されている。また、2つのカッターチェーン12,12は、間隔をあけずに並列に並べて設けられており、全面が削孔面となっている。また、スプロケット11,11間のカッターチェーン12の中間部は、アーム10の表面に沿って延在されており、カッターチェーン12は、アーム10の表面(摺動面10a,10b)上を摺動するように周方向に連続移動する。
【0027】
図4はカッターチェーン12を表す拡大断面図である。
図2,図3(a)〜図3(e),図4に示すように、カッターチェーン12は、図1に示す地盤G´を掘削するための環状の部材であり、板状のチェーン本体12aの表面に複数の掘削ビット12b…が突設された構成からなる。また、カッターチェーン12は、その幅方向(トレンチャー式掘削機4の回動中心軸に平行する方向。図3における左右方向)にくの字状に屈曲可能な構成からなる。具体的には、カッターチェーン12は、チェーン幅方向に2つに分割されており、外側寄りの側端部12cと中央寄りの側端部12dとがヒンジ12eを介して回転自在に連結されている。そして、外側寄りの側端部12cと中央寄りの側端部12dとの間には板バネ12fが介装されており、この板バネ12fによりカッターチェーン12の平坦な状態が保持されている。つまり、板バネ12fは、外側寄りの側端部12cと中央寄りの側端部12dとがそれぞれ同一平面上に横並びに配置されるように付勢している。
【0028】
図5はトレンチャー式掘削機4の基端部の断面図である。
図3(a),図5に示すように、油圧モータ13は、上記した第1のスプロケット11a,11aを回転させてカッターチェーン12を周方向に回転(連続移動)させるための駆動機構である。油圧モータ13は、アーム10の基端部に設けられており、環状のカッターチェーン12,12の内側に配設されている。そして、油圧モータ13は、アタッチメント3の下側連結バンド6の他方側面にブラケット15を介して固定されている。
【0029】
また、油圧モータ13には複数の油圧配管16…が接続されている。これら複数の油圧配管16…は、図1に示すように、複数のロッド2…の一方側(図1における左側の側方)を通って縦孔Hの外まで延在されており、連結バンド22…、上側連結バンド5及び下側連結バンド6に付設された配管把持部9…にそれぞれ把持されている。
【0030】
また、図5に示すように、アーム10の基端部には、油圧モータ13側に突出した係止部(アーム側固定ストッパー17)が付設されている。また、油圧モータ13には、トレンチャー式掘削機4が水平状態になったところでアーム側固定ストッパー17に係止されてトレンチャー式掘削機4の鉛直回動を止める被係止部(モータ側固定ストッパー18)と、トレンチャー式掘削機4が鉛直状態になったところでアーム10に付設されたアーム側固定ストッパー17に係止されてトレンチャー式掘削機4の鉛直回動を止める被係止部(モータ側固定ストッパー19)とがそれぞれ付設されている。
【0031】
また、図2に示すように、上記したアタッチメント3とトレンチャー式掘削機4との間には、トレンチャー式掘削機4をその回動方向(図2に示す矢印方向)に付勢する図示せぬ付勢部材が介装されており、この付勢部材により鉛直状態のトレンチャー式掘削機4は鉛直方向に回動して外側に倒れた斜めの状態になる。また、図2に示すように、アタッチメント3の上側連結バンド5には、鉛直状態(ロッド2…と平行に延在させた状態)のトレンチャー式掘削機4に係止される被係止部21が付設されている。具体的には、被係止部21は、上側連結バンド5の他方側の側面に突設されたピンやフック等からなり、鉛直状態のトレンチャー式掘削機4に備えられたカッターチェーン12に掛止される。これにより、図示せぬ付勢部材により付勢されたトレンチャー式掘削機4を鉛直状態に保持させることができる。
【0032】
一方、図2,図3(a)〜図3(c)に示すように、アーム10の基端部には、カッターチェーン12をガイドするガイド部20が付設されている。このガイド部20は、油圧モータ13のところでカッターチェーン12,12をガイドして平坦状態のカッターチェーン12,12の中央寄りの側端部12d,12d(一方の側端部)を立ち上げてカッターチェーン12,12をくの字状に屈曲変形させるためのものである。具体的には、ガイド部20は、アーム10の基端部の中央位置(カッターチェーン12の幅方向の中央位置)に形成された凸状の部位であり、油圧モータ13の外周に被せるようにU字状に延在されている。
【0033】
上記したガイド部20の両側面には、カッターチェーン12,12の中央寄りの側端部12d,12dをそれぞれ摺動させるガイド面20a,20aがそれぞれ形成されている。このガイド面20a,20aは、アーム10の基端部におけるカッターチェーン12,12の移動方向に沿って延在されている。つまり、ガイド面20a,20aは、アーム10基端部の一方の摺動面10a(図2,図3における上面)側からアーム10の基端側に向けて延在され、アーム10の基端部のところで第1のスプロケット11a,11aの外周に沿って円弧状に延在され、さらにアーム10基端部の他方の摺動面10b(図2,図3における下面)側に向けて延在されている。
【0034】
また、ガイド面20a,20aは、油圧モータ13の方に向かって徐々に傾斜度が大きくなるように形成されている。つまり、ガイド面20a,20aは、アーム10先端側(図2における右側)の端部ではアーム10の摺動面10a,10bに対して少し傾斜された状態になっており、アーム10基端側に向かうに従い徐々に傾斜角度が大きくなって、油圧モータ13の外周部分ではアーム10の摺動面10a,10bに対して垂直になっている。
また、図3(a)に示すように、油圧モータ13の外周に設けられたガイド部20の円弧部分には、ガイド部20の油圧配管16…を通すための開口20bが形成されている。
【0035】
次に、上記した構成からなる掘削装置1による掘削方法について説明する。
【0036】
まず、図6に示すように、地盤G内に埋設された埋設物Xの一方側(図6における左側)に縦孔Hを掘削する工程を行う。具体的には、図6(a)に示すように、所定径の掘削ヘッド23a…が先端にそれぞれ取り付けられているとともに周面に螺旋状の掘削羽根23b…が設けられた複数の掘削ロッド23…で削孔を行う。次に、図6(b)に示すように、埋設物X寄りのロッド23の先端に取り付けられた掘削ヘッド23aを、上記した削孔のときの掘削ヘッド23aよりも大径の掘削ヘッド23a´に付け替えて拡径削孔(再削孔)を行う。次に図6(c)に示すように、トレンチャー式掘削機4の短辺方向寸法に相当する距離だけ程度だけ掘削位置を側方にずらして再度削孔を行う。以上により縦孔Hの掘削を完了する。
【0037】
次に、図7に示すように、ロッド2…に掘削装置1を装着させて縦孔Hの中に掘削装置1を挿入する工程を行う。具体的には、縦孔Hの掘削完了後に図6に示す掘削ロッド23…を縦孔H内から引き上げて、掘削ロッド23…の上部を掘削羽根23b…が無いロッド2…に付け替える。なお、掘削ロッド23…に掘削羽根23b…が無い部分があり、そこに掘削装置1を装着できる場合には、ロッド2…に付け替える必要はなく、ロッド2…に代えて掘削ロッド23…をそのまま利用する。次に、付け替えられたロッド2…に掘削装置1のアタッチメント3を取り付けて掘削装置1をロッド2…に装着させる。このとき、トレンチャー式掘削機4を鉛直状態に配置させるとともに、図2に示す被係止部21をカッターチェーン12に掛止させてトレンチャー式掘削機4の鉛直状態を保持させる。ロッド2…に掘削装置1を装着させた後、ロッド2…を縦孔Hの中に降ろす。このとき、掘削装置1の下端が床付けレベルLと同等のレベルに配置されるまでロッド2…を下降させる。
【0038】
次に、図8に示すように、トレンチャー式掘削機4を回動させて側方に倒し、このトレンチャー式掘削機4で縦孔Hの側壁を掘削する工程を行う。具体的には、図2,図8(a)に示すように、鉛直状態で保持されたトレンチャー式掘削機4の油圧モータ13を駆動させてカッターチェーン12,12を周方向(地山に食い込ませる方向。図8では時計回り。)に回転させ、被係止部21を切断或いはカッターチェーン12から外す。これにより、図示せぬ付勢部材によりトレンチャー式掘削機4は回動方向に付勢され、縦孔Hの側壁の方向に向けて回動して倒れる。そして、反力板8を反対の側壁に当接させて反力をとりつつ、トレンチャー式掘削機4で埋設物X直下の地盤G´を掘削する。続いて、図8(b)に示すように、ロッド2…を引き上げることでトレンチャー式掘削機4を上方に掘進させて引上げ切削する。このとき、カッターチェーン12,12をトレンチャー式掘削機4を倒す時と逆の方向に回転させる(図8では反時計回り。)。掘削装置1が上昇するとともに、トレンチャー式掘削機4は、トレンチャー式掘削機4の自重と地盤G´の掘削抵抗によって、下向きに回動して横に全開した状態(水平状態)となる。そして、図8(c)に示すように、埋設物Xの真下位置までトレンチャー式掘削機4を掘進させたところで、ロッド2…の引き上げを停止し、今度は、図8(d)に示すように、ロッド2…を降下させる。このとき、掘削装置1が下降するとともにトレンチャー式掘削機4を閉じてトレンチャー式掘削機4を鉛直状態にさせる。このようにして、縦孔Hの側方の地盤G´が掘削され、埋設物X直下が透かし掘りされる。なお、上記した掘削工程の時に、掘削の補助として、アタッチメント3の先端または側端から固化材等を高圧で噴射させてもよい。
【0039】
最後に、図9に示すように、ロッド2…を引き上げて掘削装置1を回収する工程を行う。これにより、掘削装置1による掘削を完了する。
また、必要に応じて、反対側からも埋設物X直下の地盤G´の掘削を行ってもよい。つまり、埋設物Xの他方側(図6における右側)にも縦孔を掘削し、その縦孔の中から、掘削装置1によって埋設物X直下の地盤G´を掘削してもよい。
【0040】
上記した構成からなる掘削装置1によれば、縦孔Hの中に挿入されるロッド2…に装着されるアタッチメント3と、アタッチメント3に鉛直方向に回動可能に取り付けられたトレンチャー式掘削機4とが備えられ、トレンチャー式掘削機4は、環状のカッターチェーン12,12の内側にカッターチェーン12,12を周方向に回転させる油圧モータ13が設けられた構成からなるため、トレンチャー式掘削機4を縦向きに配置した状態で縦孔Hに挿入した後、縦孔Hの中でトレンチャー式掘削機4を回動させてトレンチャー式掘削機4を横向きに配置するとともに油圧モータ13を稼動させてカッターチェーン12,12を周方向に回転させることで、縦孔Hの側壁が掘削されて埋設物X直下の地盤G´が透かし掘りされる。これにより、連続地中壁等を形成する際に不連続部分を無くすことができ、地中壁の品質を確保し、追加工事を不要にしてコストアップを抑えることができる。
【0041】
また、上記した構成からなる掘削装置1によれば、カッターチェーン12,12の内側に駆動機構である油圧モータ13が設けられているため、油圧モータ13がカッターチェーン12,12の側方に配置されている場合と比較して、掘削装置1をコンパクト化することができる。これにより、縦孔Hの幅が小さくても掘削装置1を入れることができるため、掘削装置1を縦孔H内に入れる前に縦孔Hの拡幅作業を行う必要がなく、作業手間を軽減させることができる。
【0042】
また、上記した構成からなる掘削装置1によれば、カッターチェーン12,12が、その幅方向にくの字状に屈曲可能な構成からなり、トレンチャー式掘削機4には、油圧モータ13のところでカッターチェーン12,12をガイドして平坦状態のカッターチェーン12,12の中央寄りの側端部12d,12dを立ち上げてカッターチェーン12,12をくの字状に屈曲変形させるガイド部20が備えられているため、トレンチャー式掘削機4の短辺方向寸法を大きくしなくても、カッターチェーン12,12の内側に配置された油圧モータ13と周方向に回転するカッターチェーン12,12とが干渉することがない。これにより、掘削装置1のコンパクト化を図ることができる。
【0043】
なお、上記した第1の実施の形態では、トレンチャー式掘削機4を積極的に回動させる構成ではなく、掘削装置1を引き上げる際のトレンチャー式掘削機4の自重と地盤G´の掘削抵抗とにより、鉛直状態のトレンチャー式掘削機4を回動させて横に全開させる構成になっているが、本発明は、トレンチャー式掘削機を積極的に回動させる機構が備えられていてもよい。例えば、シリンダー等の動力を別途設けてトレンチャー式掘削機を回動させることもできるが、図10,図11に示すように、ロッド102の回転力によりトレンチャー式掘削機を回動させてもよい。具体的には、ロッド102の一部に雄ねじ部102aが形成されている。このロッド102の雄ねじ部102aに、雌ねじ孔130aがあけられた移動部材130が螺合されている。そして、この移動部材130とアーム10との間に、一端が移動部材130に他端がアーム10にそれぞれ鉛直回転自在に取り付けられたロッド131が介装されている。一方、下側連結バンド6の筒部6a上に筒状のケーシング132が立設され、このケーシング132内に上記移動部材130が上下動自在に挿装されている。また、ケーシング132の内周面には軸方向に延在する溝132a,132aが形成されており、移動部材130の外周面にはこの溝132a,132a内に嵌合される突起130b,130bが付設されている。このような構成にすることで、ロッド102を軸回転させると、ねじ機構により移動部材130が上下に移動する。移動部材130が上下動すると、ロッド131を介して移動部材130と繋がったアーム10が引張られたり押し出されたりしてトレンチャー式掘削機4が回動する。なお、ロッド102が軸回転したとき、移動部材130に付設された突起130b,130bがケーシング132の溝132a,132aに嵌合されているため、移動部材130の供回りは防止される。これにより、別途動力を設けることなく、トレンチャー式掘削機4を積極的に回動させることができる。
【0044】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る掘削装置の第2の実施の形態について、図12、図13を用いて説明する。なお、本実施の形態において、上述した第1の実施の形態と同様の構成については、第1の実施の形態と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0045】
図12は第2の実施の形態における掘削装置201の側面図であり、(a)はトレンチャー式掘削機204が開いた状態を示しており、(b)はトレンチャー式掘削機204が閉じた状態を示している。図13は第2の実施の形態における掘削装置201の平面図である。なお、トレンチャー式掘削機204が略水平に張り出された状態が「開」の状態であり、トレンチャー式掘削機204が略鉛直に立てられた状態が「閉」の状態である。
【0046】
図12(a)、図12(b)、図13に示すように、本実施の形態における掘削装置201は、トレンチャー式掘削機204が、アタッチメント3に設けられたブラケット231とトレンチャー式掘削機204に設けられた支持部材232とが回転軸233を介して鉛直方向に回転自在に連結されることで、アタッチメント3に回動可能に支持された構成となっている。しかも、本実施の形態における掘削装置201には、上記した回転軸233を中心にトレンチャー式掘削機204を鉛直方向に回動させる回動機構240が備えられている。
【0047】
具体的に説明すると、掘削装置201には、上述した第1の実施の形態と同様に、主に、アタッチメント3と、トレンチャー式掘削機204とが備えられている。アタッチメント3については、第1の実施の形態のものと同様のものを用いることができる。
【0048】
トレンチャー式掘削機204には、上述した第1の実施の形態と同様に、主に、アーム210と、スプロケット211…と、環状のカッターチェーン212と、一方のスプロケット211aを回転させる油圧モータ213(駆動機構)とが備えられている。
【0049】
アーム210は、断面矩形の長尺のロッド状部材であり、油圧モータ213(駆動側の一方のスプロケット211a)と他方(従動側)のスプロケット211bとの間に架設されている。また、アーム210の上下面(カッターチェーン212の内周面と対向する面)には、カッターチェーン212を案内するガイド220…が複数付設されている。これらのガイド220…は、アーム210の表面に突設されて、カッターチェーン212の内周面(後述するチェーン本体212aの背面)に摺動自在に当接されている。
【0050】
スプロケット211…は、アーム10の両端部にそれぞれ配設されている。アーム10の一端側(基端側)に設けられた第1のスプロケット211aは、油圧モータ213の図示せぬ駆動軸に軸支されて、油圧モータ213が駆動することで鉛直方向に回転する駆動スプロケットである。この第1のスプロケット211aは、アーム210の一方の端面(基端面)よりも基端側(図12、図13における左側)であって平面的にみてカッターチェーン212の幅方向の中央位置に配置されている。また、アーム210の他端側(先端側)に設けられた第2のスプロケット211bは、第1のスプロケット211aに従動して鉛直方向に回転する従動スプロケットである。この第2のスプロケット211bは、アーム210の他方の端面(先端面)よりも先端側(図12、図13における右側)であって平面的にみてカッターチェーン212の幅方向の中央位置に配置されている。第2のスプロケット211bは、カッターチェーン212の幅方向における両側から挟持されてアーム210の先端部に鉛直方向に回転自在に取り付けられている。
【0051】
カッターチェーン212は、スプロケット211a,211bにそれぞれ噛合される無端帯状のチェーン部材であり、チェーン本体212aの表面に複数の掘削ビット212b…が突設された構成からなる。カッターチェーン212は、第1のスプロケット211aと第2のスプロケット211bとの間に巻回されており、スプロケット211,211間に架け渡されたカッターチェーン212の中間部は、アーム210の表面に突設されたガイド210…上を摺動するように周方向に連続移動する。このカッターチェーン212は、上述した第1の実施の形態と異なり、くの字状に屈曲せず、平坦状態のまま回転する。
【0052】
油圧モータ213は、第1のスプロケット211aを回転駆動させるためのものであり、平面的にみて中央部分に軸回転する図示せぬ駆動軸が配設されたモータである。この油圧モータ213は、アーム210の一方の端面に固定されており、カッターチェーン212の内側に配置されている。
【0053】
なお、本実施の形態では、油圧モータ213の長さ寸法(カッターチェーン212幅方向の長さ)が、カッターチェーン212の幅よりも長くなっており、油圧モータ213の両端が平面的にみてカッターチェーン212の外側に突出されているが、油圧モータ213が平面的にみてカッターチェーン212の内側に収められていることが好ましい。つまり、油圧モータ213の長さ寸法が、カッターチェーン212の幅よりも短くなっており、油圧モータ213の両端が平面的にみてカッターチェーン212の外側に出ていない構成が望ましい。
【0054】
また、上記した構成からなるトレンチャー式掘削機204は、回転軸支機構230を介してアタッチメント3の側面に鉛直回転自在に取り付けられている。そして、掘削装置201には、鉛直方向に回転自在のトレンチャー式掘削機204を鉛直方向に回動させるための回動機構240が備えられている。
【0055】
回転軸支機構230には、主に、アタッチメント3に設けられたブラケット231と、トレンチャー式掘削機204に設けられた支持部材232,232と、ブラケット231と支持部材232とを鉛直方向に回転自在に連結する回転軸233とが備えられている。つまり、トレンチャー式掘削機204は、上記したブラケット231と支持部材232とが回転軸233を介して鉛直方向に回転自在に連結されることで、アタッチメント3に回動可能に支持されている。
【0056】
ブラケット231は、鋼板やその他の鋼材などからなる部材であり、アタッチメント3の下側連結バンド6の側面に突設されて張り出されている。このブラケット231の先端には、カッターチェーン212の幅方向に平行する方向に延在する円筒部材234が設けられている。この円筒部材234の中には、棒状の軸材235が軸回転自在に挿通されており、この軸材235の両端部は、円筒部材234の外にそれぞれ突出されている。これら円筒部材234と軸材235とにより上記回転軸233が構成されている。
【0057】
支持部材232,232は、トレンチャー式掘削機204の両側方にそれぞれ配置されており、これらの支持部材232,232によってトレンチャー式掘削機204はその両側から支持されている。具体的には、支持部材232,232は、鉛直に配置されてトレンチャー式掘削機204の側面に対向する板状の部材であり、トレンチャー式掘削機204の基端部を両側から挟み込むように配置されている。支持部材232,232の一端(アタッチメント3側の端部)は、円筒部材234から突出した軸材235の端部に固定されており、支持部材232,232の他端(トレンチャー式掘削機204側の端部)は、アーム210の側面に固定されている。
【0058】
なお、支持部材232は、トレンチャー式掘削機204の側方の一方側からトレンチャー式掘削機204を支持するものであってもよい。つまり、トレンチャー式掘削機204の側方の一方にのみ支持部材232が配置された構成であってもよい。
【0059】
回動機構240は、上記した回転軸233を中心にトレンチャー式掘削機204を鉛直方向に回動させる機構であり、具体的には、ピストン241aを往復動させるシリンダー241と、該シリンダー241に回転自在に取り付けられたリンク部材242とからなる。シリンダー241としては、例えば油圧シリンダー等を用いることができ、アタッチメント3を挟んで両側にそれぞれ配設されている。上記したシリンダー241のシリンダー本体241bの基端が上側連結バンド5に鉛直回転自在に取り付けられているとともに、ピストン241aの先端がリンク部材242に鉛直回転自在に取り付けられている。リンク部材242は、鉛直に配置された板状の部材であり、各シリンダー241のピストン241a先端にそれぞれ設けられている。リンク部材242は、円筒部材234を挟んで円筒部材234の外に突出した軸材235の両端部或いは両側の支持部材232,232にそれぞれ固定されており、平面的にみて円筒部材234と支持部材232,232との間に配置されている。このような構成からなる回動機構240によれば、ピストン241aを往復動させることで、上記したリンク部材242,242が軸材235を中心に鉛直方向に回転し、このリンク部材242,242の回転によりトレンチャー式掘削機204が回動する。
【0060】
また、上記した支持部材232,232には、開口232a,232aから油圧モータ213に油圧配管216…を接続させるための開口232a,232aが形成されている。具体的には、開口232a,232aから油圧モータ213の両端部が外方に突出されており、この突出された部分に油圧配管216…が接続されている。なお、開口232a,232aから油圧モータ213の両端面を露出させるだけでも油圧配管216…を接続させることは可能である。
【0061】
また、上記した支持部材232には、トレンチャー式掘削機204の開閉を検知するための傾斜センサ250が設けられている。当該傾斜センサ250により、トレンチャー式掘削機204の傾斜角度を検知することで、トレンチャー式掘削機204の開閉を検知することができる。
【0062】
また、掘削装置201には、トレンチャー式掘削機204の先端方向に向けて水やスラリー等を噴射させる噴射手段260が備えられている。この噴射手段260は、トレンチャー式掘削機204(アーム210)の先端部に設けられた噴射ノズル261と、この噴射ノズル261に水等を供給するための供給配管262とが備えられた構成からなる。噴射ノズル261は、アーム210を挟んで両側にそれぞれ配設されている。供給配管262は、両側の噴射ノズル261,261にそれぞれ接続されており、この供給配管262によって、図示せぬ圧送ポンプ等で圧送された水やスラリー等が噴射ノズル261,261にそれぞれ供給される。供給配管262は、油圧モータ213に接続された油圧配管216…とともにロッド2に沿って延在されており、掘削装置201のところで、支持部材232の表面からアーム210の側面に沿わせるように配管されている。この噴射手段260によって水やスラリー等を噴射させることで、トレンチャー式掘削機204による掘削を補助する。
【0063】
上記した構成からなる掘削装置201による掘削方法については、上述した第1の実施の形態と同様である。
【0064】
上記した構成からなる掘削装置201によれば、アタッチメント3に設けられたブラケット231とトレンチャー式掘削機204に設けられた支持部材232,232とが回転軸233を介して鉛直方向に回転自在に連結されることで、トレンチャー式掘削機204がアタッチメント3に回動可能に支持されており、そして、回転軸233を中心にトレンチャー式掘削機204を鉛直方向に回動させる回動機構240が備えられているため、トレンチャー式掘削機204がアタッチメント3から支持されつつ、鉛直方向に回動可能となる。これによって、トレンチャー式掘削機204による透かし掘りが可能となる。
【0065】
また、上記した構成からなる掘削装置201によれば、支持部材232,232が、トレンチャー式掘削機204の側方の両方からトレンチャー式掘削機204を支持する構成となっているため、カッターチェーン212と支持部材232,232とを干渉させることなく、トレンチャー式掘削機204をアタッチメント3に回動可能に支持させることができる。また、支持部材232が、トレンチャー式掘削機204の側方の一方からトレンチャー式掘削機204を支持する構成であっても同様である。
【0066】
なお、上述した第2の実施の形態における構成において、上述した第1の実施の形態におけるカッターチェーン12と同様に、カッターチェーン212がその幅方向にくの字状に屈曲可能な構成からなり、このカッターチェーン212が、油圧モータ213のところで平坦状態のカッターチェーン212の一方の側端部が立ち上げられる構成とすることも可能である。この場合、カッターチェーン212の一方の側端部が立ち上げられたところから油圧配管216…を油圧モータ213に接続させることができる。さらに、カッターチェーン212の一方の側端部が立ち上げられたところに、支持部材232を配設させることもできる。
また、上述した第2の実施の形態における構成において、上述した図10、図11に示した構成から回動機構を採用してもよい。
【0067】
[第3の実施の形態]
次に、本発明に係る掘削装置の第3の実施の形態について、図14、図15を用いて説明する。なお、本実施の形態において、上述した第1、第2の実施の形態と同様の構成については、第1、第2の実施の形態と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0068】
図14は第3の実施の形態における掘削装置301の側面図であり、図15は第3の実施の形態における掘削装置301の平面図であり、図16は第2の実施の形態におけるトレンチャー式掘削機304の基端部の断面図である。
図14、図15、図16に示すように、本実施の形態における掘削装置301は、カッターチェーン312,312が、その幅方向(図15における上下方向)に間隔をあけて2列で並設されており、これらのカッターチェーン312,312間に、トレンチャー式掘削機304を支持するための支持部材332が配設されている構成となっている。
【0069】
具体的に説明すると、掘削装置301には、上述した第1、第2の実施の形態と同様に、主に、アタッチメント3と、トレンチャー式掘削機304とが備えられている。アタッチメント3については、第1、第2の実施の形態のものと同様のものを用いることができる。
【0070】
トレンチャー式掘削機304には、上述した第1、第2の実施の形態と同様に、主に、アーム310と、スプロケット311…と、環状のカッターチェーン312と、一方のスプロケット311aを回転させる油圧モータ313(駆動機構)とが備えられている。アーム310、スプロケット311…及び油圧モータ313については、上述した第1の実施の形態におけるアーム10、スプロケット11…及び油圧モータ13と同様のものを用いることができる。
【0071】
カッターチェーン312は、スプロケット311…に噛合される無端帯状のチェーン部材であり、チェーン本体312aの表面に複数の掘削ビット312b…が突設された構成からなる。カッターチェーン312は、第1のスプロケット311aと第2のスプロケット311bとの間に巻回されている。このようなカッターチェーン312,312はその幅方向に間隔(例えば3cm程度)をあけて並列に並べられており、カッターチェーン312の幅方向に2つに振り分けられた構成となっている。このカッターチェーン312,312は、上述した第1の実施の形態と異なり、くの字状に屈曲せず、上述した第2の実施の形態と同様に、平坦状態のまま回転する。なお、カッターチェーン312が3列以上並設されていてもよい。
【0072】
上記した構成からなるトレンチャー式掘削機304には、上記した第2の実施の形態と同様に、回転軸支機構330を介してアタッチメント3の側面に鉛直回転自在に取り付けられている。そして、掘削装置301には、鉛直方向に回転自在のトレンチャー式掘削機304を鉛直方向に回動させるための回動機構340が備えられている。
【0073】
回転軸支機構330には、上記した第2の実施の形態と同様に、アタッチメント3に設けられたブラケット331と、トレンチャー式掘削機304に設けられた支持部材332と、ブラケット331と支持部材232とを鉛直方向に回転自在に連結する回転軸333とが備えられている。
【0074】
ブラケット331は、鉛直に配置された鋼板などからなる複数(本実施の形態では2枚)の板状部材331a,331bからなり、これらの板状部材331a,331bは、アタッチメント3の下側連結バンド6の側面にそれぞれ突設されて対向配置されている。
【0075】
支持部材332は、トレンチャー式掘削機304の幅方向の中央位置に配置されおり、この支持部材232によってトレンチャー式掘削機304は支持されている。具体的には、支持部材332は、鉛直に配置された板状の部材である。この支持部材332は、アーム310の基端部に突設されており、間隔をあけて並べられたカッターチェーン312,312の間から外に突出されている。
【0076】
上記した支持部材332の突出された部分とブラケット331の先端部とは、回転軸333を介して連結されている。この回転軸333を中心にして支持部材332がブラケット331に対して鉛直方向に回転可能となっている。
【0077】
回動機構340は、ピストン341aを往復動させる油圧シリンダー等のシリンダー341からなる。このシリンダー341の側方に配置されており、そのシリンダー本体341bの基端が上側連結バンド5に鉛直回転自在に取り付けられているとともに、ピストン341aの先端が支持部材332に鉛直回転自在に取り付けられている。このピストン341aを往復動させることで、支持部材332が回転軸333を中心にし回転し、これにより、トレンチャー式掘削機304が鉛直方向に回動する。
【0078】
また、油圧モータ313に接続させる図示せぬ油圧配管は、偏平にして、間隔をあけて並べられたカッターチェーン312,312の間に通して、油圧モータ313に接続させることができる。なお、勿論、第2の実施の形態のように、トレンチャー式掘削機304の側方から図示せぬ油圧配管を油圧モータ313に接続させることもできる。
【0079】
上記した構成からなる掘削装置301による掘削方法については、上述した第1の実施の形態と同様である。
【0080】
上記した構成からなる掘削装置301によれば、カッターチェーン312,312が、その幅方向に間隔をあけて複数設けられており、これらのカッターチェーン312,312間に支持部材332が配設されているため、カッターチェーン312,312と支持部材332とを干渉させることなく、トレンチャー式掘削機304をアタッチメント3に回動可能に支持させることができる。これによって、トレンチャー式掘削機304による透かし掘りが可能となる。
【0081】
なお、上述した第3の実施の形態における構成において、上述した第1の実施の形態におけるカッターチェーン12と同様に、カッターチェーン312がその幅方向にくの字状に屈曲可能な構成からなり、このカッターチェーン312が、油圧モータ313のところで平坦状態のカッターチェーン312の一方の側端部が立ち上げられる構成とすることも可能である。これにより、支持部材332を厚くすることができるとともに、図示せぬ油圧配管を偏平にすることなく、カッターチェーン312の一方の側端部が立ち上げられたところから図示せぬ油圧配管を油圧モータ313に接続させることができる。
【0082】
また、上述した第3の実施の形態における構成において、上述した第2の実施の形態のように噴射手段260が備えられていてもよい。また、上述した第3の実施の形態における構成において、回動機構340に、上述した第2の実施の形態のようにリンク部材242が備えられていてもよい。
また、上述した第3の実施の形態における構成において、上述した図10、図11に示した構成から回動機構を採用してもよい。
【0083】
以上、本発明に係る掘削装置の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、油圧モータ13,213に接続された油圧配管16…,216…は複数のロッド2…の側方を通って縦孔Hの外まで延在されているが、本発明は、図17に示すように、油圧モータ等の駆動機構に接続させた配管116をロッド2の中を通して縦孔Hの外まで延在させてもよい。
【0084】
また、上記した実施の形態では、カッターチェーン12,12を2本並列に並べた構成になっているが、本発明は、カッターチェーンの本数に限定されるものではなく、例えば、カッターチェーンが1本だけであってもよく、或いはカッターチェーンが3本以上並列に並べられていてもよい。
【0085】
また、上記した実施の形態では、鉛直状態のトレンチャー式掘削機4,204,304が下に開く構成になっているが、本発明は、鉛直状態のトレンチャー式掘削機が上に開く構成になっていてもよい。
【0086】
また、上記した実施の形態では、アタッチメント3が、上側連結バンド5と下側連結バンド6と繋ぎ材7とから構成されているが、本発明は、アタッチメントの構成は適宜変更可能であり、例えば、一段の連結バンドからなるアタッチメントであってもよく、或いは、一本のロッドに取り付けられるアタッチメントであってもよい。
【0087】
また、上記した実施の形態では、トレンチャー式掘削機4,204,304が、アーム10,210,310の両端にスプロケット11,211,311がそれぞれ設けられ、これら両端のスプロケット11,211,311間にカッターチェーン12,212,312が巻回され、一方のスプロケット11a,211a,311aを油圧モータ13,213,313で回転させることでカッターチェーン12,212,312を周方向に回転させる構成になっているが、本発明は、カッターチェーンを周方向に回転させて地盤G´を切削するトレンチャー式掘削機の構成は適宜変更可能である。例えば、カッターチェーンにラックを付設して、このラックに噛合するピニオンを駆動機構で回転させる構成からなるトレンチャー式掘削機であってもよく、或いは、アームの外周全体に溝を形成して、この溝の中にカッターチェーンを嵌め込み、溝内でカッターチェーンを摺動させる構成からなるトレンチャー式掘削機であってもよく、或いは、3つ以上のスプロケットにカッターチェーンを巻回させた構成からなるトレンチャー式掘削機であってもよい。
【0088】
なお、本発明は、カッターチェーンの内側に駆動機構(油圧モータ等)が設けられた構成であればよく、本発明におけるアタッチメントに対するトレンチャー式掘削機の支持構造(回転軸支機構)は、上記した実施の形態の構成に限定されない。すなわち、上記した実施の形態では、トレンチャー式掘削機4,204,304とアタッチメント3とが平面的にみて地中壁の延在方向に沿って並べられた直列的な配置になっており、カッターチェーン12をくの字に曲げたり、支持部材232,332を取り付けたりすることで、トレンチャー式掘削機4,204,304をアタッチメント3に支持させているが、本発明は、これらと異なる構成で、トレンチャー式掘削機がアタッチメントに取り付けられていてもよい。例えば、本発明は、トレンチャー式掘削機とアタッチメントとが平面的にみて地中壁の延在方向に直交する方向に並べられた並列的な配置にしてもよい。これにより、上記した実施の形態のような構成にしなくても、カッターチェーンがブラケット等の支持構造に干渉せず、トレンチャー式掘削機をアタッチメントに支持させることができる。
【0089】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した第1〜第3の実施の形態及び変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための掘削装置の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明するためのトレンチャー式掘削機の側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を説明するためのトレンチャー式掘削機の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を説明するためのカッターチェーンの断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態を説明するためのトレンチャー式掘削機の端部の断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態を説明するための縦孔の削孔状況を表した断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態を説明するための掘削装置の挿入状況を表した断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態を説明するための掘削装置による掘削状況を表した断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態を説明するための掘削装置の引き上げ状況を表した断面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の他の例を説明するための掘削装置の部分断面図である。
【図11】図10に示すF−F間の断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態を説明するための掘削装置の側面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態を説明するための掘削装置の平面図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態を説明するための掘削装置の側面図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態を説明するための掘削装置の平面図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態を説明するためのトレンチャー式掘削機の断面図である。
【図17】本発明の他の実施の形態を説明するための掘削装置の側面図である。
【符号の説明】
【0091】
1 掘削装置
2,102 ロッド
3 アタッチメント
4 トレンチャー式掘削機
12 カッターチェーン
13 油圧モータ
20 ガイド部
G, G´ 地盤
H 縦孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に形成された縦孔の中から該縦孔の側壁を掘削して透かし掘りする掘削装置において、
前記縦孔の中に挿入されるロッドに装着されるアタッチメントと、該アタッチメントに鉛直方向に回動可能に取り付けられたトレンチャー式掘削機とが備えられ、
該トレンチャー式掘削機は、鉛直面内で回転する環状のカッターチェーンの内側に該カッターチェーンを周方向に回転させる駆動機構が設けられた構成からなる特徴とする掘削装置。
【請求項2】
請求項1記載の掘削装置において、
前記カッターチェーンは、その幅方向にくの字状に屈曲可能な構成からなり、
前記トレンチャー式掘削機には、前記駆動機構のところで前記カッターチェーンをガイドして平坦状態の該カッターチェーンの一方の側端部を立ち上げて該カッターチェーンをくの字状に屈曲変形させるガイド部が備えられていることを特徴とする掘削装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の掘削装置において、
前記トレンチャー式掘削機は、前記アタッチメントに設けられたブラケットと前記トレンチャー式掘削機に設けられた支持部材とが回転軸を介して鉛直方向に回転自在に連結されることで、前記アタッチメントに回動可能に支持されており、
前記回転軸を中心に前記トレンチャー式掘削機を鉛直方向に回動させる回動機構が備えられていることを特徴とする掘削装置。
【請求項4】
請求項3記載の掘削装置において、
前記支持部材は、前記トレンチャー式掘削機の側方の一方又は両方から該トレンチャー式掘削機を支持することを特徴とする掘削装置。
【請求項5】
請求項3記載の掘削装置において、
前記カッターチェーンは、該カッターチェーンの幅方向に間隔をあけて複数設けられ、
該カッターチェーン間に前記支持部材が配設されていることを特徴とする掘削装置。
【請求項1】
地盤に形成された縦孔の中から該縦孔の側壁を掘削して透かし掘りする掘削装置において、
前記縦孔の中に挿入されるロッドに装着されるアタッチメントと、該アタッチメントに鉛直方向に回動可能に取り付けられたトレンチャー式掘削機とが備えられ、
該トレンチャー式掘削機は、鉛直面内で回転する環状のカッターチェーンの内側に該カッターチェーンを周方向に回転させる駆動機構が設けられた構成からなる特徴とする掘削装置。
【請求項2】
請求項1記載の掘削装置において、
前記カッターチェーンは、その幅方向にくの字状に屈曲可能な構成からなり、
前記トレンチャー式掘削機には、前記駆動機構のところで前記カッターチェーンをガイドして平坦状態の該カッターチェーンの一方の側端部を立ち上げて該カッターチェーンをくの字状に屈曲変形させるガイド部が備えられていることを特徴とする掘削装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の掘削装置において、
前記トレンチャー式掘削機は、前記アタッチメントに設けられたブラケットと前記トレンチャー式掘削機に設けられた支持部材とが回転軸を介して鉛直方向に回転自在に連結されることで、前記アタッチメントに回動可能に支持されており、
前記回転軸を中心に前記トレンチャー式掘削機を鉛直方向に回動させる回動機構が備えられていることを特徴とする掘削装置。
【請求項4】
請求項3記載の掘削装置において、
前記支持部材は、前記トレンチャー式掘削機の側方の一方又は両方から該トレンチャー式掘削機を支持することを特徴とする掘削装置。
【請求項5】
請求項3記載の掘削装置において、
前記カッターチェーンは、該カッターチェーンの幅方向に間隔をあけて複数設けられ、
該カッターチェーン間に前記支持部材が配設されていることを特徴とする掘削装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−95276(P2008−95276A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274329(P2006−274329)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(390036467)株式会社成幸利根 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(390036467)株式会社成幸利根 (6)
【Fターム(参考)】
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