説明

掘進機、並びに掘進機の分解および回収方法

【課題】 セミシールド工法に用いられる掘進機の分解作業性を向上する。
【解決手段】 掘進機のカッタヘッド2は、スポーク部20とリング部とが分離可能に結合されている。スポーク部20は、ボス25、及びボス25から放射状に延びカッタビット21a〜24a等が突設されるスポーク21〜24を有する。スポーク21〜24は、ストッパを外したとき、可動部21b〜24bが固定部21a〜24aに対し、シャフト21e〜24eを軸として回転可能である。そのため、スポーク部20は、リング部が分離された状態で、スポーク21〜24がボス25に近づく方向に折りたたみ可能である。これにより、特に既設人孔で掘進機の分解および回収作業をする場合、スポークを切断したり、多数の連結箇所を分解したりする必要がなく、短時間で安全に分解作業をすることができ、回収したカッタヘッド2を有効に再使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に横坑を構築するセミシールド工法に用いる掘進機、並びにその分解および回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、推進管により地中に横坑を構築するセミシールド工法、及び、この工法に用いる掘進機が知られている。このセミシールド工法は、発進立坑から到達立坑まで、掘進機によって泥土を掘削して横坑を構築しつつ、掘進機に後続する推進管(ヒューム管)を前方に押し込み、順次継ぎ足していくものである。
【0003】
掘進機の先端部が到達立坑に到達した後、掘進機を分解して地上に回収すれば、部品を再使用することができる。しかし、到達立坑は、十分な開口径を有する立坑が掘進機回収用に築造されるとは限らず、既設人孔を到達立坑として用いる場合も多い。その場合、既設人孔の開口径が仮に600mmであるとすると、例えば980mmの直径を有する掘進機の部品を、600mmの穴を通過できる大きさに分解可能に構成する必要がある。
例えば、特許文献1、2には、掘進機の外殻管を、長さ方向に対して複数に分割するとともに、径方向にも複数に分割することにより、既設人孔を通過できる大きさに設定したセグメントを分割可能に結合する掘進機の構成が開示されている。
【0004】
ここで、分解しにくい部品の一つに、掘進機の先端に設けられるカッタヘッドがある。一般に、カッタヘッドは、外縁をなすリング部と、中心のボスから径外方向に放射状に延びる複数のスポークとから構成される。例えば、4つのスポークが十字状に配置される。
従来このようなカッタヘッドは、作業者が人孔内で溶断等により切断していた。また、特許文献1には、4つのスポーク(カッターアーム)のうち180°対向する2つのスポークをボルトで取付可能とする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−76581号公報
【特許文献2】特開2002−339687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カッタヘッドを切断すると、回収後そのまま再使用することができなくなる。また、修理して再使用したり、部分的に再使用したりするとしても、無駄なコストが発生する。さらに、狭い人孔内で溶断することは、作業の時間短縮や安全面からも好ましくない。
一方、特許文献1の技術のようにボルト取付とすれば、回収した部品を再組立し有効に再使用することができる。しかし、分解箇所が多く、人孔内での分解作業性が悪い。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、セミシールド工法での分解作業性を向上する掘進機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の掘進機は、筒状のフードと、フードの中心に固定されるインナーコーンと、インナーコーンの径外方向に回転可能に設けられ、インナーコーンの外壁との間に挟まれる被掘削物を圧縮可能なアウターコーンと、アウターコーンに連結され、アウターコーンと一体に回転し泥土を掘削するカッタヘッドと、アウターコーンを回転駆動する駆動モータとを備え、発進立坑から到達立坑まで地中に横坑を構築する掘進機である。
ここで、「到達立坑」は、回収用に築造された立坑以外に既設人孔を含む。
【0009】
この掘進機のカッタヘッドは、スポーク部とリング部とが分離可能に結合されている。スポーク部は、中心に設けられるボス、及び当該ボスから放射状に延びカッタビットが突設される複数のスポークを有する。リング部は、複数のスポークを周方向に連結する。
ここで、リング部は、例えば、隣接するスポーク同士の間隔に対応してスポークと同数のリング要素に分割されてもよい。或いは、隣接するスポーク同士の間隔2つ分に対応するリング要素に分割されてもよい。
そして、スポーク部は、リング部が分離された状態で、複数のスポークがボスに近づく方向に折りたたみ可能であることを特徴とする。
【0010】
これにより、掘進機のカッタヘッドを分解するとき、従来のように、スポークを溶断等で切断したり、多数の連結箇所を分解したりする必要がなく、短時間で安全に分解作業をすることができる。また、スポークを切断しないため、回収したカッタヘッドをそのままの状態で有効に再使用することができる。
この掘進機は、開口径が比較的小さい既設人孔を到達立坑とするセミシールド工法に用いる場合に、特に効果を発揮する。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によると、掘進機は、外側リング、内側リングおよび複数のボールからなるベアリングユニットを備える。
外側リングは、内周に外案内溝が形成される。内側リングは、外側リングの外案内溝に対向する内案内溝が外周に形成される。複数のボールは、外側リングの外案内溝と内側リングの内案内溝との間に収容され、内側リングを外側リングに対して回転可能に支持する。
ここで、ベアリングユニットは、複数のベアリングユニット要素が周方向に分割可能に接合されてなる。具体的には、例えば2つのベアリングユニット要素の内側リング同士、および外側リング同士を、それぞれ連結板で連結する構成があり得る。
【0012】
複数のボールは、ベアリングユニットの軸方向に係合孔が形成される。
複数のベアリングユニット要素は、接合端部であって、複数のボールのうち分割境界面を跨ぐ一方および他方に位置する末端ボールの係合孔に対応する位置に、係合孔に係合する係合ピンを外部から挿入可能なピン挿入孔が形成される。
この構成により、ベアリングユニットを分解するとき、ピン挿入孔を通して係合ピンを末端ボールの係合孔に係合させてから分解することで、複数のボールの脱落を防止することができる。ボールの脱落を防止する状態でベアリングユニット要素を回収することにより、再使用が容易となる。また、脱落したボールが紛失したり、作業領域に転がって作業の障害となったりすることを防止することができる。
【0013】
一般に外側リング、内側リングおよびボールは鉄等の磁性体で形成されるため、さらに係合ピンとしてマグネットピンを使用すれば、ピン挿入孔を通して末端ボールの係合孔に挿入されたマグネットピンが、ピン挿入孔および係合孔の内壁に磁力で吸引される。したがって、挿入した係合ピンの脱落を防止することができ、分解作業性がより向上する。
さらに、ベアリングユニットを分解可能に構成することにより、ベアリングユニットを比較的大きく作ることができ、駆動モータからの減速比を大きく設定することができる。これにより、礫の破砕に適した出力トルクの増大に有利となる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明によると、インナーコーンを支持する隔壁、又はアウターコーンを支持するバルクヘッドの少なくとも一方は、複数の分割要素が周方向に接合されてなる筒状体を構成する。
複数の分割要素は、一方の分割要素の接合端部に固定される固定ボルトと、他方の分割要素の接合端部に固定ボルトに対応して設けられ、固定ボルトに螺合するよう回転自在に、且つ、当該他方の分割要素からの脱落が防止されるように保持される着脱ナットとによって締結される。
【0015】
隔壁またはバルクヘッドの一方または両方は、例えば2つの分割要素が周方向に接合され、筒状体を構成する。この場合、第1分割要素の接合端部には固定ボルトが設けられ、第2分割要素の接合端部には着脱ナットが設けられる。着脱ナットは、具体的には、次のような構成により、回転自在であって、かつ第2分割要素からの脱落が防止される。
【0016】
第1の構成では、着脱ナットは、ナット部材と保持部材とからなる。ナット部材は、保持部材側の端部に鍔部が形成され、鍔部の反保持部材側に鍔部よりも小径の小径部が形成される。保持部材は、内径が小径部の外径よりも大きく鍔部の外径よりも小さい挿通孔を有している。小径部が挿通孔に挿通することで、ナット部材は、回転自在で、かつ、反保持部材側への抜け止めがされる。
【0017】
第2の構成では、着脱ナットと一体に、着脱ナットのねじ方向に対し逆ねじの雄ねじ部が形成される。また、第2分割要素側に、この雄ねじ部と螺合する逆ねじの雌ねじ部が形成される。そして、逆ねじの雄ねじ部と雌ねじ部との螺合長は、着脱ナットと固定ボルトとの螺合長より長くなるように設定される。そのため、着脱ナットを固定ボルトに締付けると共に雄ねじ部が雌ねじ部に締付けられ、着脱ナットを固定ボルトから緩めると共に雄ねじ部が雌ねじ部から緩められる。すなわち、着脱ナットは回転自在であり、また、着脱ナットが使用される回転範囲で、雄ねじ部は常に雌ねじ部に螺合している。したがって、着脱ナットは、第2分割要素からの脱落が防止される。
【0018】
これにより、隔壁またはバルクヘッドの分解作業時、通常のボルトを挿通孔に通してナットで締結する一般的な構造のように、外したボルトやナットを落とすおそれがない。したがって、分解作業性が向上する。また、落としたボルトやナットが隙間等に挟まれることによって発生する不具合を防止することができる。なお、着脱ナットは、例えば隔壁またはバルクヘッドの径内方向からスパナを掛けて回転させることができるように取り付けられる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の掘進機を使用するセミシールド工法において、到達立坑に到達した掘進機を地中で分解し到達立坑の開口から地上に回収する方法に係る発明である。
この分解および回収方法は、掘進機の本体からカッタヘッドを分解する工程と、カッタヘッドをスポーク部とリング部とに分解し、リング部を回収する工程と、スポーク部の複数のスポークをボスに近づけるように折りたたみ、スポーク部を回収する工程とを含む。
これにより、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。すなわち、開口径が比較的小さい既設人孔での掘進機の分解および回収作業において特に効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による掘進機の前部を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による掘進機の後部を示す断面図である。
【図3】図1のIII矢視図(正面図)である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による掘進機を用いたセミシールド工法を示す模式図である。
【図7】カッタヘッドの折りたたみ構造を示す(a)正面拡大図、(b)側面図、 (c)(a)のc−c線断面図、(d)ストッパの側面図である。
【図8】カッタヘッドのスポーク部の分解状態の(a)正面図、(b)側面図である。
【図9】カッタヘッドのスポーク部の折りたたみ状態の(a)正面図、(b)側面図である。
【図10】バルクヘッド、隔壁、ベアリング押さえ、ベアリングユニットのアセンブリを分解する(a)第1工程、(b)第2工程を示す模式図である。
【図11】図10に続く(a)第3工程、(b)第4工程を示す模式図である。
【図12】フードの(a)接合時の側面図、(b)(a)のb矢視図、(c)分解時の側面図である。
【図13】バルクヘッドの(a)接合時の正面図、(b)(a)のb部拡大図、(c)分解時の要部拡大図である。
【図14】(a)一実施形態の着脱ナットの模式図、(b)別の実施形態の着脱ナットの模式図である。
【図15】(a)隔壁の接合時の側面図、(b)ばね付連結ピンの拡大図、(c)隔壁の分解時の側面図である。
【図16】ベアリング押さえの(a)接合時の正面図、(b)(a)のb部拡大図、 (c)分解時の要部拡大図である。
【図17】ベアリングユニットの(a)接合時、(b)分解時の正面図である。
【図18】(a):図17(a)のXVIIIa部拡大図、(b):(a)のb−b線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態による掘進機を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
本発明の一実施形態による掘進機は、推進管により地中に横坑を構築するセミシールド工法に用いられる。セミシールド工法では、図6に示すように、地表面Gの下に発進立坑91から到達立坑92まで掘進機1に後続する推進管9により横坑93を構築する。
特に、本実施形態の掘進機1は、土質が軟質の場合に限らず、高い「トルク対直径の3乗比の値」により、硬質の砂礫等の掘削に適している。
【0022】
掘進機1の先端部が到達立坑92に達すると、掘進機1を分解して地上に回収し、部品を再使用する。ここで、既設人孔を到達立坑92とする場合には、図6に示すように、一般に開口径Daが内部径Dbよりも小さく、通常600mmである。すると、掘進機1の直径Dsが例えば980mmである場合には、掘進機1の部品を600mm以下の大きさにまで分解できる構成にする必要がある。しかも、狭い人孔92内で短時間に安全な分解作業が可能であることが求められる。
本実施形態の掘進機1は、このような要求を満たすための特徴的な構成を有している。
【0023】
最初に、掘進機1の全体構成について図1〜図5を参照して説明する。
掘進機1は、図1および図2の右方向にある発進立坑から図1および図2の左方向にある到達立坑に向かって泥土を掘削しながら進行する。以下、図1および図2の左方向を「前方」、図1および図2の右方向を「後方」として説明する。図1は、掘進機1の前部を示し、図2は、掘進機1の後部、及び、掘進機1に後続して地中に構築される推進管9を示す。
【0024】
掘進機1の前部に設けられる掘削駆動部は、非回転の固定部と回転部とを含む。固定部は、フード3、ベアリング押さえ35、隔壁18、インナーコーン17等からなり、ベアリングユニット40の外側リング42に連結される。回転部は、カッタヘッド2、アウターコーン12、バルクヘッド13等からなり、ベアリングユニット40の内側リング41に連結される。駆動モータ60は、回転部を回転駆動する。
【0025】
掘進機1の前端側には、円筒状のフード3が、ベアリング押さえ35、ベアリングユニット40の外側リング42、及び隔壁18と共に、隔壁18のフランジ部18bの後方から挿入される長ボルト15によって固定されている。これらのフード3、ベアリング押さえ35、外側リング42及び隔壁18は、本体軸Oに同軸に形成される。
【0026】
隔壁18は、筒状部18a、フランジ部18bおよび円板部18c等から構成されている。
フランジ部18bは、筒状部18aの後端に形成される。フランジ部18bは、長ボルト15によって前方のベアリングユニット40の外側リング42、ベアリング押さえ35、フード3と固定されるとともに、後方には第1制御管6が接続される。また、フランジ部18bには、モータ軸Mを軸として駆動モータ60が固定されている。駆動モータ60の出力軸61には、回転出力を伝達するためのピニオン62が固定されている。
円板部18cは、筒状部18aの内側の空間を前後に区画する。また、円板部18cの中心に形成される挿通孔18dには、インナーコーン17が固定される。
【0027】
インナーコーン17は、筒状部17b、テーパ部17c、固定片17d、挿通部17e等を有している。前端側の筒状部17bは、カッタヘッド2のボス25の筒部材20aに挿入される。筒状部17bの中心に形成された軸受孔17aは、軸体27を回動可能に保持する。テーパ部17cは、筒状部17bから後方に向かって拡径している。
インナーコーン17後端側の固定片17dは、隔壁18の円板部18cに、図示しないボルトによって固定される。インナーコーン17の挿通部17eは、隔壁18の中心に形成された挿通孔18dに挿通される。
【0028】
次に、回転部は、ベアリングユニット40の内側リング41、内側リング41に固定されたバルクヘッド13、バルクヘッド13に固定されたアウターコーン12、および、アウターコーン12に固定されたカッタヘッド2等から構成される。
図4に示すように、ベアリングユニット40は、内側リング41の外周に内案内溝41aが形成され、外側リング42の内周に外案内溝42aが形成される。内案内溝41aと外案内溝42aとの間に複数のボール43が配設されることにより、内側リング41が外側リング42に対し、回転自在となっている。
内側リング41の内周のギア41gは、駆動モータ60の出力軸61に固定されたピニオン62の外周のギア62gと噛み合う(図4参照)。これにより、駆動モータ60をモータ軸Mを中心として回転駆動させると、内側リング41と一体に、バルクヘッド13、アウターコーン12およびカッタヘッド2が本体軸Oを中心として回転する。
【0029】
バルクヘッド13は、隔壁18の筒部18aの径外側を摺動しつつ回転する。
アウターコーン12は、フード3の径内側に配置され、内壁に、前端側から後端側に向かって徐々に厚肉となるすり鉢部12aが形成されている。すり鉢部12aの回転中心は、インナーコーン17の中心に対して偏心するように設けられる。これにより、アウターコーン12とインナーコーン17との間に入った礫を挟み込み破砕する。
すり鉢部12aには、図1、図3に示すように、複数(本実施形態では2つ)の掻き上げ板12bが形成されている。掻き上げ板12bは、泥土を掻き上げ、礫をアウターコーン12とインナーコーン17との間に誘導する。
【0030】
カッタヘッド2は、アウターコーン12の前端に固定されている。
図3に示すように、カッタヘッド2は、スポーク部20とリング部29とからなる。スポーク部20は、中心に設けられたボス25、及び、ボス25から径外方向に向かって放射状に延びる4本のスポーク21、22、23、24を含む。リング部29は、スポーク21〜24を周方向に連結する。
スポーク21〜24は、中心側の固定部21a〜21dと外縁側の可動部21b〜24bとから構成される。可動部21b〜24bには、リング部29との接続のためのフランジ部21f〜24fが設けられている。
【0031】
ボス25の前面には中央ビット25cが設けられ、スポーク21〜24の前面には複数のカッタビット21c〜24cが突設されている。また、図3の天地方向のスポーク21、23の径外側の端部にはゲージビット21d、23dが設けられ、図3の水平方向のスポーク22、24の径外側の端部には先行ビット22d、24dが設けられる。これらのビットは、泥土の掘削、特に礫の破砕に用いられる。
また、スポーク21〜24の背面には背面ビット28が突設されている(図1参照)。背面ビット28は、前方から送られた礫を後方のアウターコーン12とインナーコーン17との間に押し込む。また、後方に移動せず前方で停止した大きな礫を破砕する。
【0032】
ボス25は、筒部材25aと蓋体25bとから構成される(図1参照)。筒部材25aは、インナーコーン17の前端側がボス25の後面側から挿入される。蓋体25bは、筒部材25aの前面側に複数のボルトにより固定される。蓋体25bの中心に形成された貫通孔には、軸体27が嵌合固定されている。
【0033】
隔壁18の円板部18cには、本体軸Oに対し図1、図5の上方に土圧計71が設けられている。また、本体軸Oに対し図1の紙面奥側(図5の右側)に排泥口72が形成されている。排泥口72には第1排泥管73の前端が固定されており、第1排泥管73の後端には、第2排泥管74の前端が固定されている。第1排泥管73の内径は、前端から後端に向かって拡径されている。アウターコーン12とインナーコーン17との間に流入した被掘削物は、土圧により、排泥口72、第1排泥管73および第2排泥管74を通って後方の排泥タンク79(図2参照)に排出される。第2排泥管74の後端側には土圧制御弁75および緊急ゲート76(図2参照)が設けられている。
【0034】
第1制御管6には、モータ60の本体部が配設される他、4つの方向修正ジャッキ65、66、67、68が設けられている(図5参照)。これら各方向修正ジャッキ65、66、67、68を適宜駆動させることにより掘進機1の推進方向が制御される。
第1制御管6の後方に連結される第2制御管7には、圧力計77、操作盤78等が設けられている。
【0035】
第2制御管7の後方には、推進管(ヒューム管)9が連結される。推進管9は、一般にコンクリート管である。推進管9の最後方には図示しない推進用のジャッキが設けられ、このジャッキの駆動により推進管9を前方へ推進しつつ、別の推進管9を順次後方に継続する。これにより、セミシールド工法による工事が完了すると、発進立坑91から到達立坑92まで推進管9の管路が構築される。
推進管9の内部には、排泥タンク79が設置される。また、上方にはエアータンク80が設けられている(図2参照)。
【0036】
次に、上述した構成の掘進機1によるセミシールド工法について説明する。
図4に示すように、駆動モータ60を駆動させるとモータ出力軸61に固定されたピニオン62が回転し、ピニオン62と噛み合う内側リング41が減速して回転する。すると、内側リング41に接続されたバルクヘッド13、アウターコーン12、及びカッタヘッド2が一体的に回転する。
【0037】
カッタヘッド2が回転し、スポーク21〜24の前面に設けられた複数のビット21a〜24aにより地盤の泥土や礫を掘削する。被掘削物は、スポーク21〜24の間から、アウターコーン12の内壁とインナーコーン17の外壁と隔壁18の円板部18cとにより区画されたシールド空間内に流入され、該シールド空間に充満する。そして、シールド空間内に充満した被掘削物の排泥口72からの排泥と、ジャッキの推進力とにより生ずる土圧により、被掘削物内に混入されている大きな礫が破砕される。
【0038】
また、アウターコーン12の内壁とインナーコーン17の外壁との隙間は、後方側が徐々に幅が狭くなっている。そのため、土圧により破砕されない硬質な礫が混入している場合には、アウターコーン12の回転力により、アウターコーン12の内壁とインナーコーン17の外壁とにより挟まれ圧縮されることにより破砕される。
【0039】
次に、掘進機1の先端部が人孔92に到達した場合を想定し、掘進機1の分解および回収方法について説明する。
(1.カッタヘッドの構造および分解方法)
カッタヘッド2の構造および分解方法について、図7〜図9を参照して説明する。
本実施形態の掘進機1は、カッタヘッド2のスポーク部20に特徴的な折りたたみ構造を有している。図7は、スポーク部20のスポーク21を代表として詳細な構成を示す。
図7に示すように、スポーク21は、中心側の固定部21aと外縁側の可動部21bとの壁部同士が部分的に重なり合い、且つ重なり合った部分でシャフト21eによって連結されている。また、ストッパ26は、凹部26aがシャフト21eに嵌合し、固定部21aと可動部21bとの壁部同士が重なり合った部分の外側を前方から保持することで、固定部21aと可動部21bとを固定している。すなわち、ストッパ26が無い状態では、可動部21bは、固定部21aに対し、シャフト21eを軸として回動可能に連結されている。
【0040】
カッタヘッド2を分解するときは、図8に示すように、まず、各スポーク21〜24のフランジ部21f〜24fとリング部29とを締結しているボルトを外し、スポーク部20とリング部29とを分離する。本実施形態では、リング部29は、4つのリング要素に分割して回収される。
その後、固定部21a〜24aと可動部21b〜24bとの連結部に取り付けられているストッパ26を外す。これにより、可動部21b〜24bは、固定部21a〜24aに対し、シャフト21e〜24eを軸として回動可能となる。
【0041】
そして、図9に示すように、可動部21b〜24bをボス25に近づくように、正面側(前方)へ折りたたむことにより、スポーク部20の外径を小さくし、人孔92を通して回収することができる。
このように、本実施形態の掘進機1は、カッタヘッド2のスポーク部20が折りたたみ可能であるため、従来のように、人孔内の狭い作業環境でスポークを切断したり、多数の連結箇所を分解したりする必要が無く、短時間で安全に分解作業をすることができる。また、スポークを切断しなくて済むため、回収したカッタヘッド2を有効に再使用することができる。
【0042】
(掘進機本体駆動部の分解方法)
(2.コーン等の分解方法)
次に、掘進機1のカッタヘッド2を除く本体を分解する。まず、隔壁18からインナーコーン17、駆動モータ60、土圧制御弁75を取り外す。インナーコーン17は人孔92から回収し、駆動モータ60と土圧制御弁75は発進立坑91から回収する。
続いて、隔壁18の挿通孔18dからアウターコーン12を取り外す。アウターコーン12は、掻き上げ板12b(図3参照)部分のボルトを外し、2分割して人孔92から回収する。
【0043】
(3.バルクヘッド、隔壁、ベアリング押さえ、ベアリングユニットの組立構造および分解方法)
次に、フード3、バルクヘッド13、隔壁18、ベアリング押さえ35、ベアリングユニット40を順次分解する方法について、図10、図11を参照して説明する。
【0044】
図10(a)に示す第1工程では、隔壁18のフランジ部18b、ベアリングユニット40およびベアリング押さえ35を貫通してフード3のタップ孔15hに螺合されている長ボルト15を外す。これにより、フード3が分離される。
図10(b)に示す第2工程では、長ボルト15を抜き取り、隔壁18を後方(図の右方)へ引き抜いて分離する。
【0045】
図11(a)に示す第3工程では、ベアリングユニット40を貫通してバルクヘッド13のタップ孔16hに螺合されている中ボルト16を外す。これにより、ベアリングユニット40が分離される。
図11(b)に示す第4工程では、ベアリング押さえ35を後方(図の右方)へ引き抜いて分離する。
【0046】
以上の工程で分解されたフード3、バルクヘッド13、隔壁18、ベアリング押さえ35、ベアリングユニット40の5部品は、いずれも、半筒状または半リング状の分割要素を周方向に2つ接合して構成したものである。以下、これらの各部品の接合構造および分解方法について説明する。
【0047】
(4.フード等の構造および分解方法)
図12(a)〜(c)に示すように、長ボルト15がタップ孔15hから外されバルクヘッド13等と分離されたフード3は、半筒状の2つのフード要素31、32が周方向の端部同士で「ほぞ構造」によって接合されている。すなわち、フード要素31、32は、周方向の端部に凸部31a、32aと凹部31b、32bとを交互に設けている。一方のフード要素31の凸部31aと他方のフード要素32の凹部32bとが対応し、一方のフード要素31の凹部31bと他方のフード要素32の凸部32aとが対応するように組み合わされている。長ボルト15を外したフード3は、フード要素31とフード要素32とを径方向に引き離すことにより、容易に分解することができる。よって、分解作業性が向上する。
【0048】
(5.バルクヘッドの組立構造および分解方法)
図13(a)に示すように、バルクヘッド13は、半筒状の2つのバルクヘッド要素131、132が周方向の端部同士で継ぎ手を用いて接合されている。この継ぎ手は、一方(図の上側)のバルクヘッド要素131に固定された固定ボルト51、及び他方(図の下側)のバルクヘッド要素132に固定された着脱ナット53からなる。
【0049】
固定ボルト51は、六角部51aの両側に、バルクヘッド要素131への固定用の雄ねじ部51b、及び、着脱ナット53との着脱用の雄ねじ部51cが設けられる。
着脱ナット53は、ナット部材54と保持部材55とが相対回転自在に組み合わされている。ナット部材54は、固定ボルト51の雄ねじ部51に着脱されることで、バルクヘッド要素132をバルクヘッド要素131に接合し、又はバルクヘッド要素131から分離する。保持部材55は、雄ねじ部55bがバルクヘッド要素132に固定される。
以下、特記する場合を除き、「ねじ」とは、「正ねじ(右ねじ)」、すなわち時計回り方向に回したとき締まるねじをいう。
【0050】
着脱ナット53の構造について、図14(a)を参照して説明する。ナット部材54は、六角部54a、雌ねじ部54b、鍔部54c、小径部54d等を有している。保持部材55は、六角部55a、雄ねじ部55b、リセス55c、挿通孔55d等を有している。鍔部54cの外径は、リセス55cの内径より小さく挿通孔55dの内径より大きく形成されている。また、小径部54dの外径は、挿通孔55dの内径より小さく形成されている。鍔部54cは、保持部材55のリセス55cに回転自在に嵌入され、且つ、挿通孔55dに規制されて抜け止めされている。
【0051】
バルクヘッド要素131、132を組み立てるとき、固定ボルト51の雄ねじ部51と着脱ナット53の雌ねじ部54bとの位置を合わせ、径内方向から着脱ナット53のナット部材54の六角部54aにスパナを掛けて回す。すると、ナット部材54は、その場で回転し、固定ボルト51の雄ねじ部51に締め込まれる。
バルクヘッド要素131、132を分解するときは、同様に、径内方向から着脱ナット53のナット部材54の六角部54aにスパナを掛けて回し、ナット部材54を緩めて固定ボルト51の雄ねじ部51cから外す。このとき、一般のナットを使用する場合のように外したナットが脱落することがないので、分解作業性が向上する。
【0052】
この着脱ナット53に代わる別の実施形態の着脱ナット57を図14(b)に示す。
着脱ナット57は、ナット部材58と保持部材59とが相対回転自在に組み合わされている。ナット部材58は、六角部58a、雌ねじ部58b、逆雄ねじ部58e等を有している。保持部材59は、六角部59a、雄ねじ部59b、逆雌ねじ部59e等を有している。ここで、ナット部材58の逆雄ねじ部58eおよび保持部材59の逆雌ねじ部59eは、「逆ねじ(左ねじ)」、すなわち反時計回り方向に回したとき締まるように形成されている。また、ナット部材58の逆雌ねじ部58eが保持部材59の逆雌ねじ部59eに螺合する長さL2は、ナット部材58の雌ねじ部58bに固定ボルト51の雄ねじ部51cが螺合する長さL1よりも長く設定されている。
【0053】
バルクヘッド要素131、132を組み立てるとき、固定ボルト51の雄ねじ部51と着脱ナット57の雌ねじ部58bとの位置を合わせ、径内方向から着脱ナット57のナット部材58の六角部58aにスパナを掛けて回す。すると、「正ねじ」である固定ボルト51の雄ねじ部51がナット部材58の雌ねじ部58bに締め込まれつつ、「逆ねじ」であるナット部材58の逆雄ねじ部58eが保持部材59の逆雌ねじ部59eに締め込まれる。
【0054】
バルクヘッド要素131、132を分解するときは、同様に、径内方向から着脱ナット57のナット部材58の六角部58aにスパナを掛けて回し、ナット部材58の雌ねじ部58bを固定ボルト51の雄ねじ部51cから外す。このとき、着脱ナット57が使用される回転範囲で、逆雄ねじ部58eは、常に逆雌ねじ部59eに螺合している。したがって、着脱ナット57は、バルクヘッド要素132からの脱落が防止される。
これにより、隔壁18またはバルクヘッド13の分解作業時、通常のボルトを挿通孔に通してナットで締結する一般的な構造のように、外したボルトやナットを落とすおそれがない。したがって、分解作業性が向上する。また、落としたボルトやナットが隙間等に挟まれることによって発生する不具合を防止することができる。
【0055】
(6.隔壁の組立構造および分解方法)
図15(a)に示すように、隔壁18は、半筒状の2つの隔壁要素181、182が周方向の端面同士でばね付連結ピン19を用いて接合されている。隔壁要素181、182の端部には、互いに対向する複数(本実施形態では片側3箇所)の座繰り孔18eが形成されている。また、座繰り孔18eの底には嵌合孔18fが形成されている。
ばね付連結ピン19は、図15(b)に示すように、2つのピン部19aがばね19bで結合されている。一方のピン部19aは、隔壁要素181の嵌合孔18fに嵌合し、他方のピン部19aは、隔壁要素182の嵌合孔18fに嵌合する。そして、隔壁要素181、182が組み合わされたとき、ばね19bが圧縮された状態となる。
【0056】
掘進機1の分解時、前工程でバルクヘッド13から取り外された隔壁18は、隔壁要素181、182がばね付連結ピン19の嵌合と端面同士の張り付きとによって接合姿勢を維持している。そこで、軽い衝撃を与えることで、圧縮されたばね19bの復元力によって隔壁要素181、182が互いに離間する(図15(c))。よって、迅速に分解することができ、分解作業性が向上する。
なお、ばね19bの力は、作業の安全を考慮し、隔壁要素181、182が勢いよく押し出されることが無いように調節されている。
【0057】
(7.ベアリング押さえの組立構造および分解方法)
図16に示すように、ベアリング押さえ35は、半リング状の2つのベアリング押さえ要素351、352が周方向の端部同士で接合ピン36を用いて接合されている。接合ピン36は、本体36aの一方の端部に雄ねじ36cが形成され、本体36aの外壁にスパナ掛け36bが形成されている。
接合ピン36は、一方(図の上側)のベアリング押さえ要素351に形成された雌ねじ孔35aに雄ねじ36cをねじ込むことにより固定されている。接合ピン36の本体36aを、他方(図の下側)のベアリング押さえ要素352に形成された嵌合孔35bに嵌合させることで、2つのベアリング押さえ要素351、352は、接合されている。
ここで、接合ピン36の本体36aと嵌合孔35bとの嵌め合いは比較的緩く設定されている。したがって、ベアリング押さえ35の分解時には、ベアリング押さえ要素351、352の一方を他方から引き上げることにより、迅速、容易に分割することができる。よって、分解作業性が向上する。
【0058】
(8.ベアリングユニットの組立構造および分解方法)
図17、図18に示すように、ベアリングユニット40は、半リング状の2つのベアリングユニット要素401、402が周方向の端部同士で突き合わされている。ベアリングユニット要素401、402は、それぞれ、内側リング要素411、412、外側リング要素421、422、及び複数のボール43から構成されている。
内側リング要素411、412には連結板451が、外側リング要素421、422には連結板452が、分割境界面PLを跨いで取付部44に取り付けられている。
【0059】
ボール43は、直径に沿って係合孔43hが貫通しており、係合孔43hがベアリングユニット40の軸方向を向くように案内溝41a、42a間に配置されている。内側リング41と外側リング42とが相対回転したとき、ボール43は、係合孔43hを軸として回転する(図18(a)の破線矢印R参照)ため、係合孔43hの向きは維持される。
【0060】
ベアリングユニット40を分解するとき、図17(a)に示すように、内側リング41と外側リング42との分割境界面PLの位置を合わせる。このとき、分割境界面PLを跨ぐ一方および他方に位置する計4個のボール43を末端ボール43Eという。そして、2つのベアリングユニット要素401、402の境界線上のピン挿入孔47から、真下にある末端ボール43Eの係合孔43hに係合ピン46を挿入する。
本実施形態では、係合ピン46は、マグネットピンで構成されているため、磁力によりピン挿入孔47および係合孔43hの内壁に吸引され、脱落が防止される。また、係合ピン46が挿入された末端ボール43Eは、周方向への移動が規制される。
【0061】
この状態で、ベアリングユニット40の表裏の取付部44に取り付けられている連結板451、452を、ボルトを緩めて外し、図17(b)に示すように、ベアリングユニット要素401、402を分離する。このとき、計4個の末端ボール43Eは、係合ピン46によって係止されているため、分割端部からの脱落が防止される。
【0062】
このように、複数のボール43の脱落を防止する状態で、ベアリングユニット40を2つのベアリングユニット要素401、402に分割し回収することができ、再使用が容易となる。また、脱落したボール43が紛失したり、作業領域に転がって作業の障害となったりすることを防止することができる。
さらに、ベアリングユニット40を分解可能に構成することにより、ベアリングユニット40を比較的大きく作ることができ、駆動モータ60からの減速比を大きく設定することができる。これにより、礫の破砕に適した出力トルクの増大に有利となる。
【0063】
(9.本体後部の分解方法)
掘進機1の後部の第1制御管6、第2制御管7を連結しているボルトを外し分解する。第1制御管6、第2制御管7は、フード3と同様、「ほぞ構造」を採用してもよい。
また、推進管9内に設置された油圧や電気制御等の盤、及び配管、配線は、台車に取り付けて発進立坑91に押し出して回収する。
このようにして、掘進機1の分解および回収作業が完了する。
上述のように、本実施形態の掘進機1は、カッタヘッド2のスポーク部20の折りたたみ構造をはじめ、各部品の接合構造に特徴的な構成を有しているため、分解作業性を向上することができる。
【0064】
(その他の実施形態)
(ア)上記実施形態では、カッタヘッド2のスポーク部20は、スポークの中間位置で正面側(前方)に折りたたまれた。この形態では背面ビットが干渉し、背面側への折りたたみが困難なためである。しかし、その他の実施形態では、背面ビットの位置や形状を変更することで干渉を回避し、背面側に折りたたむようにしてもよい。また、折りたたみの位置をスポークの根元(ボス)寄りとしてもよい。さらに、1つのスポークについて、折りたたみ位置を2箇所以上設けてもよい。
【0065】
(イ)上記実施形態では、隔壁18、ベアリングユニット40等は、周方向に2つの要素に分割される形態について説明した。その他の実施形態では、各部材は、3つ以上の要素に分割されてもよい。
(ウ)上述した特徴的な構成以外の掘進機の構成は、上記実施形態における構成に限らない。また、本発明の掘進機は、土圧式セミシールド機に限らず、他のセミシールド機に適用されてもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 ・・・掘進機、
12 ・・・アウターコーン、
12a・・・すり鉢部、
12b・・・掻き上げ板、
13 ・・・バルクヘッド、
17 ・・・インナーコーン、
18 ・・・隔壁、
2 ・・・カッタヘッド、
20 ・・・スポーク部、
21〜24 ・・・スポーク、
21a〜24a・・・固定部、
21b〜24b・・・可動部、
26 ・・・ストッパ、
29 ・・・リング部、
3 ・・・フード、
31a、32a・・・凸部、
31b、32b・・・凹部、
35 ・・・ベアリング押さえ、
40 ・・・ベアリングユニット
401、402・・・ベアリングユニット要素、
41 ・・・内側リング、
41a・・・内案内溝、
42 ・・・外側リング、
42a・・・外案内溝、
43 ・・・ボール、
43E・・・末端ボール、
43h・・・係合孔、
451、452・・・連結板、
46 ・・・係合ピン(マグネットピン)、
47 ・・・ピン挿入孔、
51 ・・・固定ボルト、
53、57 ・・・着脱ナット、
54、58 ・・・ナット部材、
55、59 ・・・保持部材、
60 ・・・駆動モータ、
65〜68 ・・・方向修正ジャッキ、
9 ・・・推進管、
91 ・・・発進立坑、
92 ・・・到達立坑(人孔)、
93 ・・・横坑、
PL ・・・分割境界面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のフードと、
前記フードの中心に固定されるインナーコーンと、
前記インナーコーンの径外方向に回転可能に設けられ、前記インナーコーンの外壁との間に挟まれる被掘削物を圧縮可能なアウターコーンと、
前記アウターコーンに連結され、前記アウターコーンと一体に回転し泥土を掘削するカッタヘッドと、
前記アウターコーンを回転駆動する駆動モータと、
を備え、発進立坑から到達立坑まで地中に横坑を構築する掘進機であって、
前記カッタヘッドは、
中心に設けられるボス、及び当該ボスから放射状に延びカッタビットが突設される複数のスポークを有するスポーク部と、前記複数のスポークを周方向に連結するリング部とが分離可能に結合されており、
前記スポーク部は、前記リング部が分離された状態で、前記複数のスポークが前記ボスに近づく方向に折りたたみ可能であることを特徴とする掘進機。
【請求項2】
内周に外案内溝が形成される外側リング、
前記外側リングの前記外案内溝に対向する内案内溝が外周に形成される内側リング、
及び、前記外側リングの前記外案内溝と前記内側リングの前記内案内溝との間に収容され、前記内側リングを前記外側リングに対して回転可能に支持する複数のボールからなるベアリングユニットを備え、
前記ベアリングユニットは、複数のベアリングユニット要素が周方向に分割可能に接合されてなり、
前記複数のボールは、前記ベアリングユニットの軸方向に係合孔が形成され、
複数のベアリングユニット要素は、接合端部であって、前記複数のボールのうち分割境界面を跨ぐ一方および他方に位置する末端ボールの前記係合孔に対応する位置に、前記係合孔に係合する係合ピンを外部から挿入可能なピン挿入孔が形成され、
前記ベアリングユニットを分解するとき、前記ピン挿入孔を通して前記係合ピンを前記末端ボールの前記係合孔に係合させてから分解することで、前記複数のボールの脱落を防止することを特徴とする請求項1に記載の掘進機。
【請求項3】
前記インナーコーンを支持する隔壁、又は前記アウターコーンを支持するバルクヘッドの少なくとも一方は、複数の分割要素が周方向に接合されてなる筒状体を構成し、
前記複数の分割要素は、
一方の分割要素の接合端部に固定される固定ボルトと、
他方の分割要素の接合端部に前記固定ボルトに対応して設けられ、前記固定ボルトに螺合するよう回転自在に、且つ、当該他方の分割要素からの脱落が防止されるように保持される着脱ナットと、によって締結されることを特徴とする請求項1または2に記載の掘進機。
【請求項4】
請求項1に記載の掘進機を使用するセミシールド工法において、到達立坑に到達した前記掘進機を地中で分解し前記到達立坑の開口から地上に回収する方法であって、
前記掘進機の本体から前記カッタヘッドを分解する工程と、
前記カッタヘッドを前記スポーク部と前記リング部とに分解し、前記リング部を回収する工程と、
前記スポーク部の前記複数のスポークを前記ボスに近づけるように折りたたみ、前記スポーク部を回収する工程と、
を含むことを特徴とする掘進機の分解および回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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