説明

掛止具

【課題】取り付け、取り外しが容易で、フックの負荷耐力を向上させた掛止具を提供する。
【解決手段】ケース本体10の底面11に形成した連通孔11hを取り付けパネル80の貫通孔80hと対峙させ、挿入側に一対の爪部21が形成され、爪部21を貫通孔80hと連通孔11hとに連通してケース本体10を取り付けパネル80に固定する留め具20と、軸部31が留め具20に回動可能に支持されたフック30と、留め具20または軸部31に回動可能に支持されたレバー40とをケース本体10内に取り付けて掛止具1を構成し、レバー40の傾倒時に、留め具20が抜去方向へ後退して爪部21が貫通孔80hの縁と係合し、起立時に、留め具20が挿入方向に進入して爪部21との係合を解除させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロープ等を引っ掛けるための掛止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワゴンタイプ等の自動車のラゲッジルームに取り付けられ、積まれた荷物を固定するためのロープやネットを引っ掛ける掛止具として、下記特許文献1に記載の掛止具が提案されている。
【0003】
上記の掛止具は、被取り付け部材に固定される所定深さの凹部を有するハウジングと、このハウジングの凹部に収容可能に取付けられるフックと、前記凹部に組み付けられるカバーとを備えており、前記ハウジングは、その凹部の両側面に拡径孔部と、この拡径孔部に連通する縮径孔部とを有し、前記フックは、前記ハウジングの拡径孔部に挿入可能な一対の軸部を備え、この軸部を前記拡径孔部に挿入した後、前記縮径孔部にスライドさせることによって、回動可能に装着されている。
【0004】
また、上記のフックは略U字形状をなしており、U字形状の外側には、一対の軸部が形成され、この軸部の反対方向には、一対の突起が対向して形成されている。
【0005】
さらに、上記のカバーの周壁両側面には、カバーを取り外す際の、取り外し用溝が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−7983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記した掛止具においては、以下のような課題がある。
この掛止具によれば、フックの取り付け時に軸部を拡径孔部から縮径孔部にスライドさせる必要があり、また、カバーをハウジングに組み込む際の位置決めの確認などの手間がかかる。
【0008】
また、U字形状のフックは、環状のフックと比較すれば格段に軸が弱いため負荷耐力が弱く、また、軸がハウジングの外に露出しているため、掛止具の取り付け時に引っ掛かり破損するおそれもある。
【0009】
さらに、カバーを取り外す際、スペースが狭いカバー側面からドライバー等を取り外し用溝に差し込まなければならないため、作業が困難となる。
【0010】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、取り付け、取り外しが容易で、フックの負荷耐力を向上させた掛止具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、取り付けパネルの貫通孔と対峙する連通孔が底面に形成されたケース本体と、挿入側に一対の爪部が形成され、この爪部を前記貫通孔と前記連通孔とに連通して前記ケース本体を前記取り付けパネルに固定する留め具と、軸部を有し、この軸部が前記留め具に回動可能に支持されたフックと、前記留め具または前記軸部に回動可能に支持されたレバーと、から構成され、前記レバーは、傾倒時に前記留め具を抜去方向へ後退させ、前記爪部を前記貫通孔の縁に係合させ、起立時に前記留め具を挿入方向に進入させ、前記爪部の係合を解除させる、ことを特徴としている。
【0012】
また、前記軸部は、前記レバーの回動軸を兼ねている、ことを特徴としている。
【0013】
また、前記レバーは、傾倒側先端に係合解除部が形成された、ことを特徴としている。
【0014】
また、前記留め具には、前記爪部が形成された複数の脚部が形成され、前記底面には、前記連通孔近傍に前記留め具の挿入方向に向けて前記脚部に挟まれたガイド部が形成され、
前記脚部は、前記レバーの傾倒時に前記ガイド部により位置決めされ、前記レバーの起立時に前記ガイド部による位置決めが解除される、ことを特徴としている。
【0015】
また、前記底面または前記レバーのいずれか一方には凹部が形成され、他方には前記レバーの傾倒時に前記凹部と係合する凸部が形成された、ことを特徴としている。
【0016】
また、前記ケース本体の内壁には、回動する前記フックと接触し、前記ケース内に収納された前記フックを仮留する1または複数の係合爪が形成された、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る掛止具では、取り付けパネルの貫通孔と対峙する連通孔が底面に形成されたケース本体と、挿入側に一対の爪部が形成され、この爪部を貫通孔と連通孔とに連通してケース本体を取り付けパネルに固定する留め具と、軸部を有し、この軸部が留め具に回動可能に支持されたフックと、留め具または軸部に回動可能に支持されたレバーと、から構成され、レバーは、傾倒時に留め具を抜去方向へ後退させ、爪部を貫通孔の縁に係合させ、起立時に留め具を挿入方向に進入させ、爪部の係合を解除させる構成とした。
したがって、掛止具を容易に取り付けることができる。また、フックの負荷耐力を向上させることができる。
【0018】
また、軸部は、レバーの回動軸を兼ねていることが好ましい。
この構成により、レバーを支持する軸を別途に設ける必要がなく、材料費を抑えつつ作業性を向上させることができる。
【0019】
また、レバーは、傾倒側先端に係合解除部が形成されていることが好ましい。
この構成により、作業性がよく、容易に係合を解除して掛止具を容易に取り外すことができる。
【0020】
また、留め具には、爪部が形成された複数の脚部が形成され、底面には、連通孔近傍に留め具の挿入方向に向けて脚部に挟まれたガイド部が形成され、脚部は、レバーの傾倒時にガイド部により位置決めされ、レバーの起立時にガイド部による位置決めが解除されることが好ましい。
この構成により、掛止具を取り付けパネルに確実に係合させ、また、係合の解除時には容易に取り外すことができる。
【0021】
また、底面またはレバーのいずれか一方には凹部が形成され、他方には前記レバーの傾倒時に前記凹部と係合する凸部が形成されていることが好ましい。
この構成により、レバーをケース本体に確実に固定することができる。
【0022】
また、ケース本体の内壁には、回動する前記フックと接触し、ケース内に収納されたフックを仮留する1または複数の係合爪が形成されていることが好ましい。
この構成により、フック回動時のクリック感と収納時の仮保持を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る掛止具の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明に係る掛止具の一実施形態を示す分解側面図である。
【図3】図1(a)のA−A断面図であり、(a)は係合解除状態を示す断面説明図、(b)は係合過程を示す断面説明図、(c)は係合状態を示す断面説明図である。
【図4】フックを収納した状態を示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態の変形例を示す斜視図であり、(a)は第一の変形例を示す斜視図であり、(b)は第二の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の実施形態の一つを例示するものである。したがって、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0025】
図1(a)、(b)、図2において、本実施形態に係る掛止具1は、ケース10本体、留め具20、フック30、レバー40、から構成されている。
【0026】
ケース本体10は、略長方形状の底面11と、この底面11の四辺から立設された内壁12とから構成され、留め具20、フック30、およびレバー40を収容可能な浴槽状に形成されている。底面11の一方の短辺寄り略中央には、連通孔11hが形成され、この連通孔11hは取り付けパネル80の貫通孔80hと対峙している(図3参照)。連通孔11hの近傍には、留め具20の挿入方向に向けてガイド部13が、ケース本体10の垂直外側に突出して形成されている。連通孔11hは、このガイド部13に横切られて2つに分断され、スリット状に形成されている。連通孔11hは、幅が留め具20の脚部22よりも広く形成されている。底面11の他方の短辺寄り略中央には、取り付けパネル80に取り付けるための挿入突起14がケース本体10の垂直外側に突出して形成されている。底面11の一対の長辺寄り略中央には、レバー40に係合する凸部15がケース本体10の垂直内側に突出して形成されている。
【0027】
内壁12で、底面11の長辺から立設された一対の長側壁12nの略中央には、フック30に接触する一対の係合爪16が形成されている。なお、係合爪16の数は、一対に限られず、複数構成としてもよい。
【0028】
ガイド部13は、底面11と連接する基部13bと、この基部13bから先端に向けて窄まって形成された逃げ部13eと、先端であり基部13bよりも幅広な先頭部13tとから構成されている。基部13bには、縮径されたことで形成された段部13sが形成されている。
【0029】
留め具20は、向かい合う2つの脚部22と、この脚部22を連接するヒンジ部23とから構成され、側面視して略U字状に形成されている。脚部22同士の間隔は、ガイド部13を構成する基部13bの幅と略同一に形成され、脚部22同士によってガイド部13の基部13bは挟まれている。脚部22の先端には、一対の爪部21が形成されている。爪部21は、向かい合う脚部22の内側で対峙するガイド側爪部21gと、脚部22の外側でガイド側爪部21gの背面に形成されたパネル側爪部21pとから構成されている。
【0030】
フック30は、略四角形状で無端環状に形成されている。略四角形状の一辺であるフック30の一部は、軸部31として留め具20のヒンジ部23に回動可能に支持され、フック30が回動する軸となる。軸部31と向かい合う他辺は、引掛け部32として積荷を固定するロープなどが通される。フック30は、軸部31と、向かい合う引掛け部32とを連結する連結辺33が屈曲し、側面視してへの字状に形成されている。なお、フックの形状は無端環状に限られず、例えば棒状から環状に変形することで向かい合う端部の間に隙間が形成された有端の略環状としてもよい。
【0031】
レバー40は、先端42と、この先端42に向うにつれて幅広側から幅狭側へと、一方の縁が徐々に他方の縁へ近づくように傾斜して形成された一対の側面43と、この側面43の傾斜する縁同士を連接する上面とから構成されている。レバー40には、先端42、側面43、および上面に囲まれて収納スペース40sが形成され、この収納スペース40s内に留め具20が収納される。レバー40の全長は、フック30の内径よりも小さく形成されている。先端42には、係合解除部である溝44が形成されている。係合解除部としては、溝44の他、穴、または突起であってもよい。側面43の幅広側には、フック30の軸部31を回動可能に支持する軸支持部41と、傾倒時の支点となる支部45が形成されている。側面43には、ケース本体10の底面11に形成された凸部15と係合する凹部46が形成されている。なお、凹部46は穴であってもよい。
【0032】
次に、本実施形態に係る掛止具1の組み立て方法について説明する。
【0033】
図2、図3(a)において、ヒンジ部23で軸部31を挟み込むように留め具20にフック30を装着する。留め具20は略U字状に形成されているため、ヒンジ部23によって回動可能に軸部31を支持することができる。
【0034】
フック30を挟み込んだ留め具20を、脚部22側から本体ケース10の底面11に近づけ、脚部22を連通孔11hに挿入する。連通孔11hは、幅が脚部22よりも広いため、脚部22を挿入させることができる。留め具20は、脚部22がガイド部13の先頭部13tに至るまで挿入されると、脚部22間にガイド部13の基部13bが挟まれ、ヒンジ部23と底面11とでフック30の軸部31が挟持される。
【0035】
レバー40を、軸支持部41側から、収納スペース40s内に収納するように留め具20に被せる。同時に、軸支持部41にフック30を構成する軸部31を支持させる。すなわち、軸部31はレバー40の回動軸を兼ねている。このとき、レバー40は、軸支持部41を底にして底面11上に起立した状態である。軸支持部41で軸部31を支持することによって、フック30は回動可能となる。
【0036】
次に、本実施形態に係る掛止具1を取り付けパネル80に取り付ける際の作用について、起立状態のレバー40を傾倒させて貫通孔80hの縁に係合させる場合、起立させて係合を解除させる場合の順に説明する。
【0037】
図3(a)、(b)、(c)において、掛止具1を、ケース本体10を構成する底部11の連通孔11hが貫通孔80hと対峙するように取り付けパネル80に設置する。ケース本体10に形成されたガイド部13は、底面11からケース本体10の外側に突出しているため、貫通孔80hを貫通する。留め具20の脚部22もまた、爪部21が連通孔11hと貫通孔80hとを連通する。なお、挿入突起14も取り付けパネル80の他の貫通孔に貫通する。
【0038】
この状態で、上記したように起立させたレバー40を、フック30を構成する軸部31を軸に、倒すように反時計回りに回動させる。レバー40は支部45を支点として、先端42がケース本体10の底部11に向かって倒れ、軸支持部41が軸部31を支持したまま底面11から離れる。レバー40が傾倒することで、軸部31が引き上げられ、支部45が底面11に沿ってスライドする。軸部31が引き上げられることで、支持された留め具20が抜去方向へ後退する。
【0039】
抜去方向に後退した留め具20は、脚部22の先端がガイド部13の先頭部13tから離れる。留め具20は、貫通孔80h近傍に位置するまで後退すると爪部21が逃げ部13eから基部13bに沿って開脚される。脚部22が開脚した留め具20は、ガイド側爪部21gがガイド部13に形成された段部13sに係合し、パネル側爪部21pが貫通孔80hの縁に係合して位置決めされる。また、向かい合う脚部22は、内側で略同一幅の基部13bを挟み、外側が貫通孔80hの縁に挟まれている。したがって、留め具20は、脚部22が内側と外側とから規制され、開脚および閉脚が不能となる。この構成によって、掛止具1を確実に係合させることができる。
【0040】
レバー40は、完全に傾倒されると凹部46が底面11から突出して形成された凸部15に係合される。この凹部46および凸部15によって、レバー40を確実に固定することができる。
【0041】
フック30は、軸部31が軸支持部41に回動可能に支持されており、掛止具1を取り付けパネル80に係合させた後も回動することがきる。フック30は、無端環状に形成されているため、軸部31の強度が高く、負荷耐力が向上し、少なくとも1000N程度の保持力が確保できる。なお、上記したようにフックの形状が略環状であっても同様の保持力を確保することができる。
【0042】
図4において、フック30は、本体ケース10内で回動させられると、連結辺33が内壁12の長側壁12nに形成された一対の係合爪16と接触して回動が一旦停止される。フック30は、底面11に近づくように更に押して回動させられると、連結辺33が係合爪16を越えてケース本体10内に収納される。フック30は、連結辺33が係合爪16によって上から押さえつけられて仮保持される。係合爪16によって、フック30の回動時にクリック感が得られ、収納後、振動などによってフック30が回動して底面11に打ち付けられて雑音が生じることもない。
【0043】
以上のように、掛止具1を容易に取り付けパネル80に取り付けることができる。
【0044】
図3(a)、(b)、(c)において、傾倒状態のレバー40を起立させて係合を解除させる場合は、図示しない工具を用いると容易に作業を行うことができる。レバー40の先端42に形成された溝44に、例えばマイナスドライバなどの工具を差し込み、レバー40を持ち上げる。同時に、長側壁12nの凹部46と底面11から突出して形成された凸部15との係合が解除される。溝44が先端42に形成されていることで、側面43側よりも広いスペースで作業することができ、先端42の一点のみ係合を解除すればよいため、作業性よく容易にレバー40の係合を解除して掛止具1を取り外すことができる。
【0045】
凸部15との係合が解除されたレバー40を、フック30を構成する軸部31を軸に、起こすように時計回りに回動させる。レバー40は支部45を支点として、先端42がケース本体10の底部11から離れ、軸支持部41が軸部31を支持したまま底面11に近づく。レバー40が起立することで、軸部31が押し下げられ、支部45が底面11に沿ってスライドする。軸部31が押し下げられることで、支持された留め具20が挿入方向へ進入する。
【0046】
挿入方向に進入した留め具20は、脚部22の先端がガイド部13の先頭部13tへ到達する。留め具20は、爪部21が貫通孔80hから離れて逃げ部13eまで進入すると、基部13bから逃げ部13eに沿って閉脚される。脚部22が開脚した留め具20は、ガイド側爪部21gとガイド部13に形成された段部13tとの係合が解除され、パネル側爪部21pと貫通孔80hの縁との係合が解除され、位置決めが解除される。また、向かい合う脚部22は、内側で逃げ部13eを挟んでいる。したがって、留め具20は、逃げ部13eのスペースにより脚部22が内側へ撓めるようになるため、閉脚が可能となる。
【0047】
留め具20は、脚部22が先頭部13tの幅に収まり、また、内側に撓めるため、貫通孔80hの縁に係合されることなく引き抜かれ、取り付けパネル80から容易に掛止具1を取り外すことができる。
【0048】
上記したように、本実施形態では、軸部31をケース本体10の外側に露出させず内側に収める構成とした。したがって、取り付け時に外側で引っ掛かり破損するおそれがない。
【0049】
また、本実施形態では、レバー40を傾倒させることで、取り付けパネル80に掛止具1を取り付けることができ、レバー40を起立させることで、取り外しできる構成とした。したがって、金属ボルトによって固定する必要がなくワンタッチで取り付けることができるため、ボルト締めの工数が減って作業性が向上し、金属部品の減少により軽量化にも資する。
【0050】
また、本実施形態では、ケース本体10は、留め具20、フック30、レバー40を収容可能な浴槽状に形成され、レバー40には、留め具20が収まる収納スペース40sが形成され、レバー40の全長がフック30の内径よりも小さく形成されている。すなわち、フック30の内径にレバー40が収まり、レバー40の収納スペース40s内に留め具20が収まり、これらがケース本体10に収容される。したがって、外観上も好ましい。
【0051】
また、本実施形態では、レバー40は、側面43が軸支持部41が形成された幅広側から幅狭側である先端42に向うにつれて一方の縁が徐々に他方の縁へ近づくように傾斜して形成されている。すなわち、レバー40をケース本体10に取り付けて傾倒させた際、先端42近傍でスペースを広くとることができるため、工具や指を入れやすく操作性がよい。
【0052】
また、本実施形態では、フック30は、軸部31と、向かい合う引掛け部32とを連結する連結辺33が屈曲し、側面視してへの字状に形成されている。したがって、フック30は、軸部31がレバー40の傾倒によって引き上げられても屈曲部分から引掛け部32に向けて底面11に沿うように収められ、引掛け部32が底面11からわずかに浮く。したがって、底面11と引掛け部32との隙間に指や工具を入れやすく、操作性がよい。
【0053】
また、本実施形態では、ケース本体10を構成する底面11の一対の長辺寄り略中央には、レバー40に係合する凸部15がケース本体10の垂直内側に突出して形成されている。一方、レバー40を構成する側面43には、凸部15と係合する凹部46が形成されている。これらの凹部と凸部とは、逆に構成されていてもよい。すなわち、底面11の一対の長辺寄り略中央に、底面凹部を形成し、レバー40の側面43に、底面凹部と係合するレバー凸部を形成してもよい。
【0054】
図5(a)において、本実施形態の第一の変形例として、レバーが留め具に支持される構成としてもよい。すなわち、第一の変形例では、レバーの回動軸とフック30の回動軸とが別々に構成される。この場合、留め具201に、ヒンジ部231の他に新たにフック用軸支持部241を形成し、レバー401に、軸支持部41に替えて側面43間を渡るレバー軸部411を形成する。そして、ヒンジ部231に、レバー401に形成されたレバー軸部411を支持させ、フック用軸支持部241に、フック30の軸部31を支持させる。なお、他の構成は上記実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0055】
また、図5(b)において、第二の変形例として、留め具がレバー40に支持される構成としてもよい。すなわち、第二の変形例でも、第一の変形例と同様にレバー40の回動軸と、フック30の回動軸とが別々に構成される。この場合、留め具202に、ヒンジ部に代えて新たに留め具軸部232を形成し、別途フック用軸支持部242を形成する。留め具軸部232は、レバー40の軸支持部41に支持させ、フック用軸支持部242に、フック30の軸部31を支持させる。なお、他の構成は上記実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0056】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。他の使用例の一態様として、例えば、床下収納庫のフタの取手などにも利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 掛止具
10 本体ケース
11 底面
11h 連通孔
12 内壁
12n 長側壁
13 ガイド部
13b 基部
13e 逃げ部
13s 段部
13t 先頭部
14 挿入突起
15 凸部
16 係合爪
20 留め具
21 爪部
21g ガイド側爪部
21p パネル側爪部
22 脚部
23 ヒンジ部
30 フック
31 軸部
32 引掛け部
33 連結辺
40 レバー
40s 収納スペース
41 軸支持部
42 先端
43 側面
44 溝
45 支部
46 凹部
80 取り付けパネル
80h 貫通孔
201 留め具
202 留め具
231 ヒンジ部
232 留め具軸部
241 フック用軸支持部
242 フック用軸支持部
401 レバー
411 レバー軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付けパネルの貫通孔と対峙する連通孔が底面に形成されたケース本体と、
挿入側に一対の爪部が形成され、この爪部を前記貫通孔と前記連通孔とに連通して前記ケース本体を前記取り付けパネルに固定する留め具と、
軸部を有し、この軸部が前記留め具に回動可能に支持されたフックと、
前記留め具または前記軸部に回動可能に支持されたレバーと、
から構成され、
前記レバーは、傾倒時に前記留め具を抜去方向へ後退させ、前記爪部を前記貫通孔の縁に係合させ、起立時に前記留め具を挿入方向に進入させ、前記爪部の係合を解除させる、
ことを特徴とする掛止具。
【請求項2】
前記軸部は、前記レバーの回動軸を兼ねている、
ことを特徴とする請求項1に記載の掛止具。
【請求項3】
前記レバーは、傾倒側先端に係合解除部が形成された、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の掛止具。
【請求項4】
前記留め具には、前記爪部が形成された複数の脚部が形成され、
前記底面には、前記連通孔近傍に前記留め具の挿入方向に向けて前記脚部に挟まれたガイド部が形成され、
前記脚部は、前記レバーの傾倒時に前記ガイド部により位置決めされ、前記レバーの起立時に前記ガイド部による位置決めが解除される、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の掛止具。
【請求項5】
前記底面または前記レバーのいずれか一方には凹部が形成され、他方には前記レバーの傾倒時に前記凹部と係合する凸部が形成された、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の掛止具。
【請求項6】
前記ケース本体の内壁には、回動する前記フックと接触し、前記ケース内に収納された前記フックを仮留する1または複数の係合爪が形成された、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の掛止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−11303(P2013−11303A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144257(P2011−144257)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】