説明

採光部及びそのような採光部を用いた採光装置

【課題】採光部の屋内側の結露の発生を防止すると共に、採光部の美観の低下を抑制する採光装置を提供する。
【解決手段】本発明の採光装置10は、建物の屋根21に配置される天窓12aと、天窓12aに入射した光を受光するために建物の屋内側に配置される採光部13aと、を備える。採光部13aは、開閉自在な可動枠14と、可動枠14を開閉自在に嵌め込むための固定枠15と、可動枠14に配置されて可動枠14の開口を覆う透光性の光拡散性部材16と、光拡散性部材16と対向して配置され、光拡散性部材16に対して屋外側に配置される透光性部材17とを有し、光拡散性部材16と透光性部材17との間は密閉されており、閉じた空間14eが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採光部及びそのような採光部を用いた採光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の屋外の太陽光等の外光を採光して、建物の屋内に光を導く採光装置が用いられている。このような採光装置を用いると、外光を利用して屋内を照らすことが可能となる。
【0003】
採光装置には、建物の屋外と屋内とを連通する導光路を規定する導光路壁と、導光路壁の屋外側の開口端部に配置される天窓と、導光路壁の屋内側の開口端部に配置される採光部と、を有するものがある。採光部は、屋内の天井に露出しており、屋外から導かれた外光を屋内に照射する。また、採光部は、導光路に対して開閉可能になっており、導光路内及び天窓を点検又は修理する際には、開けられて使用され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−160646号公報
【特許文献2】登録実用新案第3111930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、導光路内と建物の屋内との温度差が大きい場合、採光部の屋内側の面に結露が生じる場合がある。このように、採光部の屋内側の面に結露が生じると、生じた結露が屋内に落下するおそれがある。
【0006】
また、建物の屋外と導光路内との温度差が大きい場合、天窓の導光路側の面に結露が生じる場合がある。このように、天窓の導光路側の面に結露が生じると、天窓の結露が採光部の上に落下する場合がある。そして、透光性の採光部の上に落下した水滴は、屋内側から視認され得るので、美観上好ましくないおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、採光部の屋内側に結露の発生を防止すると共に、採光部の美観の低下を抑えることができる採光部を備えた採光装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、上記課題を解決するために、採光部の屋内側の結露の発生を防止すると共に、採光部の美観の低下を抑えることができる採光部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る採光装置は、建物に配置される天窓と、天窓に入射した光を受光するために建物の屋内側に配置される採光部と、を備え、採光部は、開閉自在な可動枠と、可動枠に配置され、可動枠の開口を覆う透光性の光拡散性部材と、光拡散性部材と対向して配置され、光拡散性部材に対して屋外側に配置される透光性部材と、を有し、光拡散性部材と透光性部材との間は密閉されていることを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る採光部は、天窓に入射した光を受光するために建物の屋内側に配置される採光部であって、開閉自在な可動枠と、可動枠に配置され、可動枠の開口を覆う透光性の光拡散性部材と、光拡散性部材と対向して配置され、光拡散性部材に対して屋外側に配置される透光性部材と、を有し、光拡散性部材と透光性部材との間は密閉されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述した採光装置によれば、採光部の屋内側の結露の発生を防止すると共に、採光部の美観の低下を抑えることができる。
【0012】
また、上述した採光部によれば、採光部の屋内側の結露の発生を防止すると共に、採光部の美観の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本明細書に開示する採光装置の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す採光装置の天窓の平面図である。
【図3】図1に示す採光装置の採光部の平面図である。
【図4】図1に示す採光装置の採光部の拡大断面図である。
【図5】図1に示す採光部の可動枠の開閉の状態を示す図である。
【図6】(A)〜(C)は、図1に示す採光装置の変形例を示す図である。
【図7】(A)〜(C)は、図1に示す採光装置の他の変形例を示す図である。
【図8】本明細書に開示する採光装置の第2実施形態を示す断面図である。
【図9】本明細書に開示する採光装置の第3実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本明細書で開示する採光装置の好ましい実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0015】
図1は、本明細書に開示する採光装置の第1実施形態を示す断面図である。図2は、図1に示す採光装置の天窓の平面図である。図3は、図1に示す採光装置の採光部の平面図である。図4は、図1に示す採光装置の採光部の拡大断面図である。図5は、図1に示す採光部の可動枠の開閉の状態を示す図である。
【0016】
本実施形態の採光装置10は、図1に示すように、建物の屋外20aと屋内20bとを連通する導光路11を規定する導光路壁11cと、導光路壁11cの屋外側の開口端部11aに配置される天窓12aと、天窓12aに入射した光を受光するために建物の屋内側に配置される採光部13aと、を備える。導光路11は、鉛直方向に真っ直ぐに形成されている。
【0017】
採光装置10は、建物の屋外の太陽光等の外光を採光して、建物の屋内に光を導く装置である。外光は、建物の折板屋根21に配置された天窓12aの第1の透光性部材12を通して、導光路11内に採り入れられる。導光路11内に採り入れられた光は、採光部13aを通して室内に導かれる。採光部13aは、屋内の天井22に露出し天井22の一部を構成しており、屋外から導かれた外光を屋内に照射する。採光部13aは、導光路11に対して開閉自在である。従って、採光装置10は、採光部13aを開けて、導光路11内及び天窓12aを点検又は修理することが容易になっている。
【0018】
図1に示すように、導光路壁11cの屋外側の開口端部11aには、天窓12aが配置されている。天窓12aは、導光路11を覆う第1の透光性部材12を有する。天窓12aは、図2に示すように、平面視が矩形形状を有する。図2に示す例では、3つの天窓12a、12b、12cが長手方向に連設されて建物の屋根に配置されている。天窓12aは、1つの第1の透光性部材12を有している。天窓12b、12cは、2つの第1の透光性部材12を有している。図1に示す天窓12aの部分は、図2のX−X線拡大断面である。この天窓12aの説明は、天窓12b、12cに対しても適宜適用される。
【0019】
第1の透光性部材12の全光線透過率は、80%以上であることが、外光を採光して導光路11内に導く上で好ましい。また、第1の透光性部材12のヘーズ値は、1%以下であることが、外光を拡散せずに効率良く導光路11内に導く上で好ましい。更に、同様の観点から、第1の透光性部材12の拡散透過率は、1%以下であることが好ましい。上述したように、第1の透光性部材12の全光線透過率が80%以上、ヘーズ値が1%以下、拡散透過率が1%以下であると、十分な量の外光を導光路11内に導くことができ、詳細については後述する採光部13aにおいて、最終的に屋内へ通す外光の量の調整幅を大きくすることができる。なお、上述した光学的特性の数値は、導光路11内に導きたい光の量によって適宜変更することができ、上述の数値範囲に限定されるものではない。
【0020】
ここで、全光線透過率は、第1の透光性部材12に入射した光のうち、第1の透光性部材12を透過する光の割合である。拡散透過率は、入射光に対する拡散透過光の比率である。ヘーズ値は、全光線透過率に対する拡散透過率の割合である。これらの値は、例えば、JIS K 7105やJIS K 7375に規定される方法に基づいて測定される。
【0021】
採光部13aは、導光路壁11cの屋内側の開口端部11bに配置される。採光部13aは、図3に示すように、平面視が矩形形状を有する。図3は、採光部13aを、屋外側から見た平面図である。図3に示す例では、3つの採光部13a、13b、13cが長手方向に連設されて建物の天井に配置されている。採光部13aは、天窓12aの鉛直下に配置されており、1つの第2の透光性部材17を有している。採光部13bは、天窓12bの鉛直下に配置されており、2つの第2の透光性部材17を有している。同様に、採光部13cは、天窓12cの鉛直下に配置されており、2つの第2の透光性部材17を有している。図1に示す採光部13aの部分は、図3のY−Y線拡大断面である。採光部13aに対する説明は、採光部13b、13cに対しても適宜適用される。
【0022】
なお、採光部13b、13cは、導光路壁11cに開閉不能に固定されていて、採光部13aのみが導光路壁11cに開閉自在に取り付けられていても良い。
【0023】
図4に示すように、採光部13aは、開閉自在な可動枠14と、可動枠14を開閉自在に嵌め込むための固定枠15とを有する。固定枠15は、ビス等を用いて、導光路壁11c及び下地材23に固定されている。
【0024】
更に説明すると、採光部13aは、図4に示すように、可動枠14の屋内側の開口端部14bに配置されて可動枠14の開口を覆う透光性の光拡散性部材16と、光拡散性部材16と対向して可動枠14に配置され、光拡散性部材16に対して屋外側に配置される第2の透光性部材17と、を有する。光拡散性部材16と透光性部材17との間は密閉されており、閉じた空間14eが形成される。
【0025】
採光部13aは、図3に示すように、矩形形状を有しており、可動枠14及び固定枠15も同様に矩形形状を有する。可動枠14は、屋外側の開口端部14a及び屋内側の開口端部14bに矩形の開口を有している。可動枠14の開口を覆う光拡散性部材16も、可動枠14と同様に矩形形状を有する。また、光拡散性部材16と対向して屋外側に配置される第2の透光性部材17も、光拡散性部材16と同様の形状を有している。光拡散性部材16及び第2の透光性部材17は、シート状である。
【0026】
閉じた空間14eは、光拡散性部材16と、第2の透光性部材17と、可動枠14とによって囲まれて形成されている。光拡散性部材16の周囲と可動枠14との間には、気密材19aが配置されている。また、可動枠14の屋外側の開口端の周囲と固定枠15との間には、気密材19bが配置されている。更に、固定枠15の屋内側の開口端の周囲と天井22との間には、気密材19cが配置されている。閉じた空間14e(=空気層)が建物の屋内20bと導光路11との間に存在することで、導光路11内と建物の屋内との温度差が大きい場合でも、光拡散性部材16の屋内側の面及び第2の透光性部材17の屋外側の面に結露が生じることが防止される。また、閉じた空間14eの外部から、内部に水蒸気が入り込むことも防止されるので、閉じた空間14eの内部に結露が生じることもない。閉じた空間14eは、その内部と外部との間に水蒸気の移動を防止する上で、気密性又は水密性を有することが特に好ましい。
【0027】
また、採光部13aは、閉じた空間14eを有するので、防音性を有する。そのため、屋外の音が、導光路11を介して屋内に伝わることが防止される。
【0028】
光拡散性部材16は、屋外から導光路11を通ってきた外光を屋内に通す透光性を有する。また、光拡散性部材16は、屋外から導光路11を通ってきた外光を散乱して屋内に通す光拡散性を有する。光拡散性部材16が光拡散性を有することにより、光拡散性部材16の全面から、外光を屋内に照射することができる。
【0029】
光拡散性部材16のヘーズ値は、60%以上であることが、屋内側から、光拡散性部材16よりも屋外側の部分が視認されることを抑制する上で好ましい。更に、光拡散性部材16のヘーズ値は、80%以上であれば、屋内側から、光拡散性部材16よりも屋外側の部分が視認されることを一層抑制する上で好ましい。光拡散性部材16の全光線透過率や拡散透過率は、上述したヘーズ値を満たすように適宜変更することができる。
【0030】
例えば、採光装置10では、全光線透過率が54%であり、ヘーズ値が93%であり、拡散透過率が50%の光拡散性部材16を用いることができる。
【0031】
また、光拡散性部材16の屋内側の面の全光線反射率は、25〜80%の範囲にあることが好ましい。これは、屋外が、夜間等に照明を使用している屋内よりも暗い場合に、天井22の中で採光部13aの部分が暗く見えることを防止するためである。従って、光拡散性部材16の屋内側の面の全光線反射率は、天井22の全光線反射率と近い値を有することが好ましい。例えば、天井22が白色系の明るい色を有する場合には、光拡散性部材16の屋内側の面の全光線反射率は、35〜80%の範囲にあることが好ましい。また、光拡散性部材16の屋内側の面の全光線反射率が、35〜60%の範囲にあれば、天井に対して、採光部13aの部分が暗く見えることを十分に防止できる。全光線反射率は、例えば、JIS K 7375に規定される方法に基づいて測定される。
【0032】
第2の透光性部材17は、光拡散性部材16と対向して、可動枠14の屋外側の開口端部14aの開口を覆うように、可動枠14に取り付けられている。第2の透光性部材17は、屋外から導光路11を通ってきた外光を屋内に通す透光性を有する。
【0033】
第2の透光性部材17の全光線透過率は、80%以上であることが、採光した外光を屋内に導く上で好ましい。また、第2の透光性部材17のヘーズ値は、1%以下であることが、外光を拡散せずに効率良く屋内側へ導く上で好ましい。上述したように、第2の透光性部材17の全光線透過率が80%以上、ヘーズ値が1%以下であると、導光路11内に導かれた外光の量をほとんど減らすことなく、光拡散性部材16側へ通すことができ、光拡散性部材16において、最終的に屋内へ通す外光の量の調整幅を大きくすることができる。なお、上述した光学的特性の数値は、屋内に導きたい光の量によって適宜変更することができ、上述の数値範囲に限定されるものではない。
【0034】
例えば、採光装置10では、全光線透過率が89%であり、ヘーズ値が0.20%の第2の透光性部材17を用いることができる。
【0035】
建物の屋外20aと導光路11内との温度差が大きい場合には、天窓12aの導光路11内側の面に生じた結露が、採光部13a上に落下する場合があり得る。また、導光路11内に入りこんだ虫、又はゴミ・埃等が、採光部13a上に落下する場合もあり得る。しかし、採光装置10では、光拡散性部材16が上述した範囲のヘーズ値及び拡散反射率を有すると共に、光拡散性部材16と対向して可動枠14に配置され、空間14eを介して、光拡散性部材16に対して屋外側に配置される第2の透光性部材17上に水滴などが落下するので、屋内側から第2の透光性部材17上の水滴等の影を視認することが抑制されて、屋内の美観の低下を抑制することができる。
【0036】
採光部13aにおいて、光拡散性部材16と第2の透光性部材17との間隔は離れている程、屋内側から、採光部13aを通して光拡散性部材16よりも屋外側の部分が視認されることが抑制される。一方、採光部の厚さとして求められる寸法も考慮すると、光拡散性部材16と第2の透光性部材17との間隔は、15〜150mmの範囲であることが好ましい。光拡散性部材16と第2の透光性部材17との間隔が、15〜150mmの範囲であると、屋内側から第2の透光性部材17上の水滴等の影を視認することが確実に抑制されると共に、可動枠14の厚みを薄くすることができるので、開閉機構をシンプルにすることができる。
【0037】
図1及び図4に示すように、光拡散性部材16の面の位置は、建物の屋内側の天井22の面と一致していることが、天井22の美観を高める上で好ましい。ここで、光拡散性部材16の面の位置と天井22の面とが一致するとは、天井22の美観を損なうおそれがない程度に、2つの面の位置がずれていないことを意味する。例えば、光拡散性部材16の面の位置と天井22の面とが一致するとは、2つの面の位置の差が、鉛直方向に対して2cm以下である場合をいう。
【0038】
図5に示すように、採光部13aでは、可動枠14が、固定枠15に対して回動自在に取り付けられており、導光路11に対して開閉される。可動枠14は、可動枠14の4辺の内の一辺を軸として、取り付けられている固定枠15に対して、屋内側に回動する。また、可動枠14を閉じる際には、留め具14cを用いて、可動枠14が固定枠15に留められる。図5では、開いた採光部13aが、鎖線で示されている。なお、可動枠14は固定枠15に対して、スライド自在又は取り外し自在に取り付けられていてもよく、開閉可能であれば、その取り付け方法は回動自在であることに限定されるものではない。
【0039】
また、図5に示すように、可動枠14の屋外側の開口端14dは、第2の透光性部材17よりも屋外側に向かって延出している。水滴等24が、第2の透光性部材17上に載っている場合、採光部13aが開かれて可動枠14が屋内側に回動すると、水滴等24が下に向かって移動する。しかし、水滴等24は、可動枠14の内側で受け止められるので、水滴等24が屋内に落下することが防止される。
【0040】
天窓12aを形成する第1の透光性部材12の形成材料としては、ガラス又は透光性の合成樹脂等を用いることができる。
【0041】
採光部13aを形成する第2の透光性部材17の形成材料としては、PCやPETやアクリルなどの合成樹脂製の透明板を用いることが、軽量であり好ましい。第2の透光性部材17の厚さは、1.5mm程度あればたわみ等の変形に対しても十分な強度を有する。
【0042】
採光部13aを形成する光拡散性部材16の形成材料としては、乳白色やマット調などの合成樹脂板(例えば、透明PC板の表面にシボ加工を施したもの)、又は、ガラス繊維織布にシリコン系樹脂を含浸した不燃クロスを用いることができる。
【0043】
上述した本実施形態の採光装置10によれば、採光部の屋内側に結露の発生を防止すると共に、採光部の美観の低下を抑制することができる。
【0044】
次に、上述した実施形態の採光装置の変形例を、図6(A)〜(C)を参照して、以下に説明する。
【0045】
図6(A)〜(C)に示す採光装置の変形例は、みな、第2の透光性部材17が屋外側に向かって凸状に形成されている点が、上述した実施形態とは異なっている。
【0046】
図6(A)に示す採光装置の変形例は、第2の透光性部材17の中央が屋外側に向かって凸状に形成されている。第2の透光性部材17は、周辺部から中央に向かって直線状に屋外側に向かって突出している。第2の透光性部材17及び光拡散性部材16が配置された採光部13aは、上述した実施形態と同様に、開閉自在である。
【0047】
図6(B)に示す採光装置の変形例は、第2の透光性部材17の中央が屋外側に向かって凸状に湾曲して形成されている。
【0048】
図6(C)に示す採光装置の変形例は、第2の透光性部材17の中央よりも周辺側に近い部分が屋外側に向かって凸状に形成されている。
【0049】
上述した採光装置の変形例によれば、第2の透光性部材17上に落下した水滴等が周辺の部分に移動するので、屋内側から、採光部13aを見た際に、第2の透光性部材17上の水滴等の影が視認されることが一層抑制される。
【0050】
更に、上述した実施形態の採光装置の変形例を、図7(A)〜(C)を参照して、以下に説明する。
【0051】
図7(A)〜(C)に示す採光装置の変形例は、みな、導光路11の経路が折れ曲がっている点が、上述した実施形態とは異なっている。
【0052】
図7(A)に示す採光装置の変形例では、鉛直方向から斜めに向かって延びる導光路壁11cの屋外側の開口端部11aから外光を採光して、鉛直方向に向かって延びる導光路壁11cの屋内側の開口端部11bに光を導く。
【0053】
図7(B)に示す採光装置の変形例では、鉛直方向に向かって延びる導光路壁11cの屋外側の開口端部11aから外光を採光して、鉛直方向から斜めに向かって延びる導光路壁11cの屋内側の開口端部11bに光を導く。
【0054】
図7(C)に示す採光装置の変形例では、鉛直方向から斜めに向かって延びる導光路壁11cの屋外側の開口端部11aから外光を採光して、鉛直方向に対して直交して延びる導光路壁11cの屋内側の開口端部11bに光を導く。
【0055】
次に、上述した採光装置の他の実施形態を、図8及び図9を参照しながら以下に説明する。他の実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。
【0056】
図8は、本明細書に開示する採光装置の第2実施形態の採光部を示す断面図である。
【0057】
本実施形態の採光装置30は、第2の透光性部材17が、導光路壁11cの内側に固定された枠18に載せられている点が、上述した第1実施形態とは異なっている。採光部13aの可動枠14には、光拡散性部材16のみが配置されている。
【0058】
閉じた空間14eは、光拡散性部材16と、第2の透光性部材17と、可動枠14と、固定枠15と、導光路壁11cの一部分とによって形成されている。
【0059】
導光路11内等を点検する際には、可動枠14を開いた後、枠18上に載置された第2の透光性部材17を屋外側に押し上げることにより、導光路11内が点検される。
【0060】
上述した本実施形態の採光装置30によれば、光拡散性部材16と第2の透光性部材17との間隔をより広げることができるので、屋内側から、採光部13aを通して光拡散性部材16よりも屋外側の部分が視認されることが一層抑制される。また、可動枠14を開けば、固定枠15内の点検を行うことができる。
【0061】
図9は、本明細書に開示する採光装置の第3実施形態の採光部を示す断面図である。
【0062】
本実施形態の採光装置40は、第2の透光性部材17が、固定枠15上に載せられている点が、上述した第1実施形態とは異なっている。採光部13aの可動枠14には、光拡散性部材16のみが配置されている。
【0063】
閉じた空間14eは、光拡散性部材16と、第2の透光性部材17と、可動枠14と、固定枠15とによって形成されている。
【0064】
導光路11内等を点検する際には、可動枠14を開いた後、固定枠15上に載置された第2の透光性部材17を屋外側に押し上げることにより、導光路11内が点検される。
【0065】
上述した本実施形態の採光装置40によれば、第2実施形態と同様の効果が奏される。
【0066】
本発明では、上述した実施形態の採光部及びそのような採光部を用いた採光装置は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。また、一の実施形態が有する構成要件は、他の実施形態にも適宜適用することができる。
【0067】
例えば、図2及び図3に示す天窓及び採光部の平面視した形状は、矩形形状には限られず、円形、楕円形、多角形等の他の形状に適宜設定され得る。
【0068】
また、第2の透光性部材のヘーズ値又は拡散透過率を調整することにより、導光路壁内の構造が屋内側から影となって視認される程度を抑制しても良い。
【符号の説明】
【0069】
10、30、40 採光装置
11 導光路
11a 導光路壁の屋外側の開口端部
11b 導光路壁の屋内側の開口端部
11c 導光路壁
12 第1の透光性部材
12a、12b、12c 天窓
13a、13b、13c 採光部
14 可動枠
14a 可動枠の屋外側の開口端部
14b 可動枠の屋内側の開口端部
14c 留め具
14d 可動枠の屋外側の開口端
14e 空間
15 固定枠
15a 固定枠の屋外側の開口端部
16 光拡散性部材
17 第2の透光性部材
19a 19b 19c 気密材
18 枠
20a 建物の屋外
20b 建物の屋内
21 屋根
22 天井
23 下地材
24 水滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に配置される天窓と、
前記天窓に入射した光を受光するために建物の屋内側に配置される採光部と、
を備え、
前記採光部は、
開閉自在な可動枠と、
前記可動枠に配置され、前記可動枠の開口を覆う透光性の光拡散性部材と、
前記光拡散性部材と対向して配置され、前記光拡散性部材に対して屋外側に配置される透光性部材と、
を有し、
前記光拡散性部材と前記透光性部材との間は密閉されていることを特徴とする採光装置。
【請求項2】
前記光拡散性部材は、前記可動枠の屋内側の開口端部に配置され、
前記透光性部材は、前記可動枠に配置されて、前記可動枠の開口を覆う請求項1に記載の採光装置。
【請求項3】
前記可動枠の屋外側の開口端は、前記透光性部材よりも屋外側に向かって延出している請求項2に記載の採光装置。
【請求項4】
前記採光部は、前記可動枠を開閉自在に嵌め込むための固定枠を更に有する請求項1〜3の何れか一項に記載の採光装置。
【請求項5】
前記光拡散性部材の屋内側の全光線反射率は、25〜80%の範囲にある請求項1〜4の何れか一項に記載の採光装置。
【請求項6】
前記透光性部材は、屋外側に向かって凸状に形成されている請求項1〜5の何れか一項に記載の採光装置。
【請求項7】
前記光拡散性部材のヘーズ値は、60%以上である請求項1〜6の何れか一項に記載の採光装置。
【請求項8】
前記光拡散性部材は面状に形成されており、前記光拡散性部材の面の位置は、建物の屋内側の天井の面と一致している請求項1〜7の何れか一項に記載の採光装置。
【請求項9】
天窓に入射した光を受光するために建物の屋内側に配置される採光部であって、
開閉自在な可動枠と、
前記可動枠に配置され、前記可動枠の開口を覆う透光性の光拡散性部材と、
前記光拡散性部材と対向して配置され、前記光拡散性部材に対して屋外側に配置される透光性部材と、
を有し、
前記光拡散性部材と前記透光性部材との間は密閉されていることを特徴とする採光部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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