説明

採尿蓄量比重測定装置

【課題】 分注容器に分注された尿を、後検査で患者の取り違え、蓄尿条件等の誤診が無いように判定できるように構成した採尿蓄量比重測定装置を提供する。
【解決手段】 採尿蓄量比重測定装置100は、尿の素性に関するデータの記憶を行うためのデータ記憶手段156と、データ記憶手段156が記憶している尿の素性に関するデータを受け入れて、バーコードプリンタの動作を制御するためのバーコードプリンタ制御手段242と、バーコードプリンタ制御手段242が出力する信号により作動して、尿の素性に関するデータを記載したバーコードラベルを発行することができるように設けられたバーコードプリンタ244とを備える。この構成により、尿を収容した分注容器に尿の素性に関するデータを記載したバーコードラベルを添付することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院などの医療施設に設けられる尿測定装置に関する。特に、本発明は、採取尿の取り違えを低減することができるように構成された採尿蓄量比重測定装置のような尿測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄尿検査は、患者の水分の代謝の観察のための手段として、又は、尿中成分の定量検査を行うための手段として用いられている。最近、入院患者の蓄尿検査を行うために、各病室に採尿蓄量比重測定装置を設置し、これらの採尿蓄量比重測定装置をネットワークで結び、ナースステーションに設置した管理システムで蓄尿指示を行えるようになっている。また、従来の採尿蓄量比重測定装置には、各装置メーカーが指定した分注容器が用いられ、看護師はこの容器から、病院内の検体採取用のスピッツ等に移し替える作業を行っていた。近年、採尿蓄量比重測定装置の分注容器にスピッツを用いることが可能になってきた。
【0003】
従来の使用済みハルンカップ処理装置付き尿自動分注装置は、ハルンカップ移送部と、ラック移送部と、バーコード読取部と、ラベル貼着部と、検体分注・廃液部と、カップ排出部とを備える。患者名、患者属性、検査番号、検査に必要なスピッツの数等の被験者に関する情報を2次元バーコード化して印字したラベルがハルンカップに貼り付けられている。バーコード読取部は、ハルンカップに貼り付けられたラベルの情報を読み取る。ラベル貼着部は、バーコードリーダで読み取った情報に基づいて、被験者に関する情報をラベルに印字する。被験者に関する情報を印字したラベルはスピッツの表面に貼り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の尿測定装置は、尿受け槽と、尿受け槽細径部と、尿受け槽細径部に接続された導管と、サンプリングボトル切り替え機とを備える。導管は屈折率計に接続される。尿の温度を測定するための温度センサが尿受け槽細径部に設けられる。屈折率計が出力する信号と、温度センサが出力する信号を用いて、屈折率と比重と温度の関係式により、尿の比重値を演算する。圧力センサは、尿受け槽及び尿受け槽細径部に流入した尿により発生する圧力を測定して、この圧力に関する検出信号を出力する。屈折率計が出力する信号と、温度センサが出力する信号を用いて、屈折率と比重と温度の関係式により、尿の比重値を演算する(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、従来の尿検査装置は、尿を投入する尿投入槽と、ノズル回転モータとノズル上下モータにより移動可能な分注ノズルで尿投入槽に投入された尿を尿カセットに分注する分注部とを備える。尿カセットから検査用容器のスピッツ管に尿を移し替えることができる。患者は自分のIDカードを装置に差し込み、患者確認を行う。患者が尿を尿投入槽に投入した後、蓋が閉じ、尿量がレベルセンサで計測され、尿比重が比重センサで計測される(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平10−142236号公報(第3〜5頁、図1〜図5)
【特許文献2】特開2001−27563号公報(第5〜8頁、図1〜図5)
【特許文献3】特開2001−305133号公報(第3〜5頁、図1〜図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、検査に用いる尿を分注容器に入れ、看護師が患者ID、患者氏名、蓄尿方法、防腐剤の有無等を分注容器に記載し、その分注容器を検査室に送っていた。この方法では、必要項目の記入ミスや、患者の取り違え等の人的要因により医療事故につながる可能性がある。看護師が分注容器を取りに行くためには、必ず採尿蓄量比重測定装置の元へ行かねばならず、その採尿蓄量比重測定装置で採取した尿の情報(患者ID、患者氏名、蓄尿方法、防腐剤の有無等)は採尿蓄量比重測定装置にデータとして存在している。この為、この情報をバーコード等の病院標準のインターフェイスで、分注容器に表示できれば、医療事故を未然に防ぐことが可能になる。また、蓄尿の項目には、24時間蓄尿、早朝尿蓄尿、防腐剤の有無等、検査項目によって検査室に申し送りしなくてはならない項目が複数存在している。
【0008】
本発明の目的は、分注容器に分注された尿を、後検査で患者の取り違え、蓄尿条件等の誤診が無いように判定できるように構成した採尿蓄量比重測定装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、分注容器に採取された尿の識別を間違えることにより生じる医療事故を未然に防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、採尿容器に収容された尿をサンプリングして分注容器に注入する尿サンプリング機構を有する採尿蓄量比重測定装置において、分注容器に採取された尿の素性(患者ID、患者氏名、蓄尿期間、防腐剤の有無、蓄尿方法 等)を記載したバーコードラベルを採尿蓄量比重測定装置で発行できるようにした。すなわち、本発明では、採尿容器に収容された尿をサンプリングして分注容器に注入する尿サンプリング機構を備え、かつ識別子(たとえばバーコードラベル、ICタグ等)を発行する手段を有する採尿蓄量比重測定装置において、採尿容器を取り出した際に、自動的に、若しくは、スイッチなどを操作してマニュアルで識別子が発行されるようにしている。
【0010】
本発明は、採尿容器に収容された尿をサンプリングして分注容器に注入する尿サンプリング機構を有する採尿蓄量比重測定装置において、患者に関する情報、尿測定に関する情報を含む尿の素性に関するデータの記憶を行うためのデータ記憶手段と、データ記憶手段が記憶している尿の素性に関するデータを受け入れて、バーコードプリンタの動作を制御するためのバーコードプリンタ制御手段と、バーコードプリンタ制御手段が出力する信号により作動して、尿の素性に関するデータを記載したバーコードラベルを発行することができるように設けられたバーコードプリンタとを備え、それによって、尿の素性に関するデータを記載したバーコードラベルを尿を収容した分注容器に添付することができるように構成したことを特徴とする。この構成により、バーコードプリンタが発行した識別子(バーコードラベルなど)を分注容器(スピッツなど)に貼り付けることができるので、医療事故を未然に防ぐことができる。
【0011】
本発明の採尿蓄量比重測定装置は、測定したデータを外部システムに送信するための送信用インターフェースと、外部システムからデータを受信するための受信用インターフェースとを備えるのが好ましい。
また、本発明の採尿蓄量比重測定装置は、サンプリングした尿を受け入れることができるように構成された複数のスピッツで構成されるのが好ましい。この構成では、バーコードラベルを前記複数のスピッツにそれぞれ添付することができる。したがって、この構成により、バーコードプリンタが発行した識別子を複数のスピッツなどの分注容器に貼り付けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の採尿蓄量比重測定装置を用いると、分注容器に患者、蓄尿方法の識別を行わせるための識別子を採尿蓄量比重測定装置で発行することができ、発行した識別子を分注容器に貼り付けることができるので、医療事故を未然に防ぐことができる。すなわち、本発明の採尿蓄量比重測定装置を用いることによって、分注容器に分注された尿を、後検査で患者の取り違え、蓄尿条件等の誤診が無いように判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
(1)採尿蓄量比重測定装置の構造
図1および図2を参照すると、本発明の採尿蓄量比重測定装置(尿測定装置)100は、採尿カップ220に入れられた測定すべき尿を受け入れるための尿受け槽101を有する。投入口扉224がの側面又は上面に開閉可能に設けられる。尿受け槽細径部108が尿受け槽101の底部101bに設けられる。尿受け槽101と尿受け槽細径部108とは連通している。尿受け槽細径部108は、収容されている尿の量が少ないときに大きな水頭圧が得られるような内径を有する。尿の温度を測定するための温度センサ114が尿受け槽細径部108に設けられる。導管105の一端が尿受け槽細径部108の底部108bに接続される。導管105の他の一端が屈折率計103に接続される。導管105が屈折率計103に接続される。屈折率計103を配置する位置は、尿受け槽101を配置した位置より低くなるように構成される。
【0014】
尿の排出、尿の収容を切り替えるための尿排出制御バルブすなわちピンチバルブ102が導管106に設けられる。ピンチバルブ102を閉制御することにより、尿は尿受け槽細径部108に導入され、尿受け槽細径部108に貯えられる。尿が尿受け槽細径部108を満たすと、尿は尿受け槽101に貯えられる。ピンチバルブ102を開制御し、続いて、ピンチバルブ102を閉制御することにより、屈折率計103に尿が導入される。屈折率計103が出力する信号と、温度センサ114が出力する信号を用いて、屈折率と比重と温度の関係式により、尿の比重値を演算することができる。尿受け槽細径部108、屈折率計103、温度センサ114は、尿比重測定ブロック262を構成している。導管106はゴム管等で形成される。導管106は、ピンチバルブ102の突出ピンを押圧すると閉状態になり、突出ピンを引っ込めると開通状態になる。尿受け槽101及び尿受け槽細径部108の中に収容されている尿は、ピンチバルブ102を開くことによって、導管105を通って屈折率計103の中に導入され、さらに、導管106を通って排液タンク104の中に自由落下するように構成されている。排液タンク104の中の液面の上限の位置を検出するためのフロートスイッチ115が排液タンク104の中に設けられる。
【0015】
空気貯まり用パイプ136が尿受け槽細径部108の底部108bに接続される。空気貯まり用パイプ136の下端は、の底部108bに連通し、空気貯まり用パイプ136の上端は、尿受け槽細径部108の底部108bより高い位置になるように配置されている。尿受け槽101及び尿受け槽細径部108に流入した尿により発生する圧力を測定するための圧力センサ107が、空気貯まり用パイプ136の上端に設けられる。圧力センサ107は、空気貯まりパイプ136内に滞留する空気を介して、尿受け槽101内の尿の液面を検出する。圧力センサ107は、尿受け槽101及び尿受け槽細径部108に流入した尿により発生する圧力を測定して、この圧力に関する検出信号を出力する。
【0016】
圧力センサ107は、例えば、アンプ内蔵のトランスヂューサであり、日本データ・インスツルメンツ社から「MODEL XCA」として入手することができる。ここで、尿の比重値によって、同じ量の尿量であっても、圧力センサ107で検出される圧力の値が異なることが考えられるけれども、屈折率計103で測定される尿の比重値に対する補正値を尿量に加味することによりり、比重値が異なることによる尿量の差異を補正することができる。
【0017】
傘状整流器116が尿受け槽101の内部に設けられる。傘状整流器116は、尿が尿受け槽101に投入されたときに、気泡が空気貯まりパイプ136内に入り込むのを阻止するために設けられる。傘状整流器116により、投入された尿が尿受け槽101の壁面を沿って流れ込み、空気貯まりパイプ136内の空気を尿でスムーズに置換することができる。ピンチバルブ102を閉制御し、導管106を閉じ、圧力センサ107により、尿受け槽101及び尿受け槽細径部108に収容されている尿の水頭圧を測定することができる。
【0018】
尿受け槽101に入れられた尿量が、尿受け槽細径部108の内容積よりも少ない場合には、尿受け槽細径部108の断面積(A)は一定であるので、圧力センサ107からの出力信号の絶対値(P)を計測することにより、水頭高さhは、以下に示す式1により計算することができる。
P=ρ*h ……(式1)
ここに、Pは圧力であり、ρは比重であり、hは水頭高さである。式1における比重ρは、屈折率計103により測定される。水頭高さhと尿受け槽細径部108の断面積Aとを用いて、尿受け槽細径部108に収容されている尿量V1を測定することができる。尿受け槽101に入れられた尿量が、尿受け槽細径部108の内容積よりも多い場合には、ピンチバルブ102を開制御する。すると、尿受け槽101に入れられた尿は導管105から屈折率計103を通り排液タンク104の中に流れる。すると、尿受け槽101及び尿受け槽細径部108に収容されている尿量に対応した圧力が圧力センサ107により検出される。尿受け槽細径部108、圧力センサ107は尿量測定ブロック260を構成している。
【0019】
流量Qは、尿受け槽101の形状、特に、高さによって変化する。尿受け槽101の形状による流量Qの変化を補正するために、信号継続時間Tに対応した補正値を演算処理の過程において加味することにより、流量Qの誤差を排除して、正確に尿受け槽101内の尿量V2を算出することができる。このようにして演算した尿量V2に、尿受け槽細径部108の内容積V3を加算することによって、尿受け槽101に入れられた尿量V4を求めることができる。そして、ピンチバルブ102を開制御し、続いて、ピンチバルブ102を閉制御することにより、屈折率計103に尿が導入される。屈折率計103が出力する信号と、温度センサ114が出力する信号を用いて、屈折率と比重と温度の関係式により、尿の比重値を演算することができる。
【0020】
尿受け槽細径部108に収容されている尿の一部分を採取するための導管109の一端が尿受け槽細径部108の底部108bに接続される。導管109の他の一端に分注ノズル184が接続される。採取用の尿の排出、尿の収容を切り替えるための尿採取制御バルブすなわちピンチバルブ110が導管109に設けられる。ピンチバルブ109を閉制御することにより、尿は尿受け槽細径部108から排出される。導管109はゴム管等で形成される。導管109は、ピンチバルブ110の突出ピンを押圧すると閉状態になり、突出ピンを引っ込めると開通状態になる。受け槽細径部108の中に収容されている尿は、ピンチバルブ110を開くことによって、導管109を通って分注ノズル184の中に導入されるように構成される。分注ノズル184は、複数個配列された採尿ボトル111の上部を移動される。分注ノズル駆動モータ182が分注ノズル184を移動させる分注ノズル移動機構を作動させるために設けられる。分注ノズル移動機構は、例えば、分注ノズル駆動モータ182が回転することにより回転する歯車(又は、歯車列)と、ピニオン及びラックと、水平方向に直線移動移動可能なように設けられた分注ノズル保持部材などで構成することができる。サンプル採取に適当な採尿ボトル111が、分注ノズル移動機構を作動させることによって選択制御されるように構成される。分注ノズル184により、必要なサンプルを採取する。分注排出容器188が採尿ボトル111の脇に設けられる。排液タンク104の底部は導管131を介して排液タンク132に連結される。外部排出制御バルブ135が導管131に設けられる。分注排出容器188の底部は導管133を介して排液タンク132に連結される。排液タンク132の底部は導管を介して排出口139に連結される。
【0021】
本発明の採尿蓄量比重測定装置100は、尿受け槽101、尿受け槽細径部108、導管109、分注ノズル184は、この順序で、高い位置から低い位置になるように配置される。この構成により、圧力センサ107が出力する圧力に関する信号に基づいて、ピンチバルブ110を開閉制御して、尿受け槽101、尿受け槽細径部108に収容されている尿を分注ノズル184の中に供給し、それによって、尿を採取することができる。図1には、一例として、5個の採尿ボトル111を示すが、採尿ボトル111の数は、1個であってもよいし、2個以上であってもよい。採尿ボトル111への尿の採取は、尿受け槽細径部108内に残っている尿量について圧力センサ107が出力する圧力に関する信号の絶対値を監視しながら、ピンチバルブ110を開閉制御することによって、精度良く行うことができる。
【0022】
採尿蓄量比重測定装置100の内部の洗浄は、水道水などの洗浄水を用いて行うことができる。桶洗浄ポンプ210が洗浄液槽120と尿受け槽101の下方部分とを連結する配管に設けられる。カップ洗浄ポンプ212が洗浄液槽120と尿受け槽101の上方部分とを連結する配管に設けられる。水道水等の洗浄水が給水口214より電磁弁117を介して尿受け槽101に供給される。洗浄液が洗浄液槽120に収容されている。洗浄液の主成分は、例えば、次亜塩素酸ナトリウムである。採尿蓄量比重測定装置100の内部を洗浄するときには、電磁弁117を開き、洗浄水を尿受け槽101に連結された配管に供給する。桶洗浄ポンプ210は、洗浄液槽120からの洗浄剤を洗浄水に混入させる。桶洗浄ポンプ210を作動させないで、電磁弁117を開くことにより、洗浄水だけで尿受け槽101の内部を洗浄することができる。分注ノズル184を洗浄するための分注ノズル洗浄用ノズル(図示せず)が分注排出容器188に設けられる。電磁弁117を通過した洗浄水の一部分は、配管(図示せず)を介して分注ノズル洗浄用ノズルに供給することができる。尿受け槽洗浄用ノズル(図示せず)を尿受け槽101の上方に設けることができる。尿受け槽洗浄用ノズルから噴射水を尿受け槽101の壁面を沿って上方から下方に向かってスパイラル状に流出させることができる。
【0023】
第1の採尿ボトル111aの内容物を第1のスピッツノズル191aに供給するための1番スピッツ配管の途中に1番スピッツポンプ190aが設けられる。1番スピッツポンプ190aを作動させることによって、第1の採尿ボトル111aの内容物は、1番スピッツ配管、第1のスピッツノズル191aを介して第1のスピッツ194aの中に供給することができるように構成される。第2の採尿ボトル111bの内容物を第2のスピッツノズル191bに供給するための2番スピッツ配管の途中に2番スピッツポンプ190bが設けられる。2番スピッツポンプ190bを作動させることによって、第2の採尿ボトル111bの内容物は、2番スピッツ配管、第2のスピッツノズル191bを介して第2のスピッツ194bの中に供給することができるように構成される。第3の採尿ボトル111cの内容物を第3のスピッツノズル191cに供給するための3番スピッツ配管の途中に3番スピッツポンプ190cが設けられる。3番スピッツポンプ190cを作動させることによって、第3の採尿ボトル111cの内容物は、3番スピッツ配管、第3のスピッツノズル191cを介して第3のスピッツ194cの中に供給することができるように構成される。
【0024】
第4の採尿ボトル111dの内容物を第4のスピッツノズル191dに供給するための4番スピッツ配管の途中に4番スピッツポンプ190dが設けられる。4番スピッツポンプ190dを作動させることによって、第4の採尿ボトル111dの内容物は、4番スピッツ配管、第4のスピッツノズル191dを介して第4のスピッツ194dの中に供給することができるように構成される。第5の採尿ボトル111eの内容物を第5のスピッツノズル191eに供給するための5番スピッツ配管の途中に5番スピッツポンプ190eが設けられる。5番スピッツポンプ190eを作動させることによって、第5の採尿ボトル111eの内容物は、5番スピッツ配管、第5のスピッツノズル191eを介して第5のスピッツ194eの中に供給することができるように構成される。1番スピッツポンプ190a、2番スピッツポンプ190b、3番スピッツポンプ190c、4番スピッツポンプ190d、5番スピッツポンプ190eは、どのようなタイプのポンプであっても良いが、自給式ポンプであるのが好ましい。或いは、スピッツポンプを用いる代りに、ピンチバルブを用いて、採尿ボトルの内容物をスピッツノズルに自然落下させることができる。或いは、スピッツポンプを用いる代りに、閉止弁を用いて、採尿ボトルの内容物をスピッツノズルに供給することができる。
【0025】
スピッツノズル駆動モータ192がスピッツノズル191を移動させるスピッツノズル移動機構を作動させるために設けられる。スピッツノズル移動機構は、例えば、スピッツノズル駆動モータ192が回転することにより回転する歯車(又は、歯車列)と、ピニオン及びラックと、水平方向に直線移動移動可能なように設けられたスピッツノズル保持部材などで構成することができる。スピッツノズル移動機構を作動させることによって、スピッツ194はスピッツ排出パイプ196の上に移動することができるように構成される。図1には、一例として、5個のスピッツポンプを示すが、スピッツポンプの数は、1個であってもよいし、2個以上であってもよい。また、図1には、一例として、5個のスピッツノズルを示すが、スピッツノズルの数は、1個であってもよいし、2個以上であってもよい。この場合、スピッツノズルの数は、スピッツポンプの数に対応するように定められる。
【0026】
(2)中央演算装置の構成
図2および図10を参照すると、本発明の採尿蓄量比重測定装置100は中央演算装置180を備える。中央演算装置180は、採尿蓄量比重測定装置100の作動を制御するための作動制御手段140を含む。中央演算装置180は、更に、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、尿排出制御バルブすなわちピンチバルブ102を開閉制御するための尿排出制御バルブ駆動手段142と、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、尿採取制御バルブすなわちピンチバルブ110を開閉制御するための尿採取制御バルブ駆動手段144と、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、圧力センサ107から出力信号を入力して、圧力センサ107が検出した圧力の値を演算するための圧力値演算手段146と、尿が尿受け槽細径部108の内部全体に収容されているときに圧力センサ107から出力される出力信号に対応する圧力基準値を記憶している圧力基準値記憶手段148とを含む。
【0027】
中央演算装置180は、更に、圧力値演算手段146が出力する圧力値の演算結果と、圧力基準値記憶手段148が記憶している圧力基準値とを比較し、投入された尿量が、尿受け槽細径部108の内容積より大きいか、或いは、尿受け槽細径部108の内容積より小さいかを判定するための圧力比較手段150と、圧力値の演算結果に基づいて、投入尿量を演算するための尿量演算手段152と、データの入出力を制御するためのデータ入出力制御手段154と、データ入出力制御手段154が出力する患者に関する情報に関する信号を受け入れて、患者に関する情報、尿測定に関する情報を含む尿の素性に関するデータの記憶を行うためのデータ記憶手段156と、ピンチバルブ102を開制御してからピンチバルブ102を閉制御するまでの時間、すなわち、信号継続時間Tを計測するための圧力センサ出力信号計時手段160とを含む。中央演算装置180は、更に、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、屈折率計103からの出力信号と、温度センサ114からの出力信号とに基づいて、予め記憶している屈折率、温度、比重の関係式を用いて尿の比重値をするための尿比重値演算手段162と、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、電磁弁117を開閉制御するための電磁弁駆動手段164と、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、分注ノズル駆動モータ182の作動を制御するための分注ノズル駆動モータ制御手段166と、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、桶洗浄ポンプ210の作動を制御するための桶洗浄ポンプ駆動手段250と、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、カップ洗浄ポンプ212の作動を制御するためのカップ洗浄ポンプ駆動手段252とを含む。
【0028】
中央演算装置180は、更に、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、投入口開閉モータ222の作動を制御するための投入口開閉モータ駆動手段232と、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、外部排出制御バルブ135を開閉制御するための外部排出制御バルブ駆動手段234と、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、スピッツポンプ190の作動を制御するためのスピッツポンプ駆動手段236と、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、スピッツノズル駆動モータ192の作動を制御するためのスピッツノズル駆動モータ制御手段238とを含む。中央演算装置180は、更に、作動制御手段が出力する作動信号を受け入れて、データ記憶手段156が記憶している患者に関する情報を受け入れて、バーコードプリンタの動作を制御するためのバーコードプリンタ制御手段242とを含む。バーコードプリンタ244が、バーコードプリンタ制御手段242が出力する信号により作動することができるように設けられる。
【0029】
本発明の採尿蓄量比重測定装置100では、作動制御手段140、尿排出制御バルブ駆動手段142、尿採取制御バルブ駆動手段144、圧力値演算手段146、圧力比較手段150、尿量演算手段152、データ入出力制御手段154、圧力センサ出力信号計時手段160、尿比重値演算手段162、電磁弁駆動手段164、分注ノズル駆動モータ制御手段166、投入口開閉モータ駆動手段222、外部排出制御バルブ駆動手段234、スピッツポンプ駆動手段236、スピッツノズル駆動モータ制御手段238、バーコードプリンタ制御手段242、桶洗浄ポンプ駆動手段250、カップ洗浄ポンプ駆動手段252は、それぞれの処理内容をプログラミングしたソフトウェアとして、中央演算装置180にインストールすることができる。また、本発明の採尿蓄量比重測定装置100では、圧力基準値記憶手段148、データ記憶手段156は、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク、RAMなどで構成することができる。
【0030】
(3)採尿蓄量比重測定装置の作動
次に、本発明の採尿蓄量比重測定装置100の作動について説明する。図2から図7および図10を参照すると、採尿蓄量比重測定装置100の作動の制御は、図2および図10に示す中央演算装置180に内蔵されたソフトウエアによって制御される。採尿蓄量比重測定装置100は中央演算装置180を備え、操作スイッチ170を作動させることにより作動するように構成されている。図10に示すように、尿排出制御バルブすなわちピンチバルブ102、尿採取制御バルブすなわちピンチバルブ110、電磁弁117、外部排出制御バルブ135、分注ノズル駆動モータ182、スピッツポンプ190、スピッツノズル駆動モータ192、桶洗浄ポンプ210、カップ洗浄ポンプ212、バーコードプリンタ244は、中央演算装置180からの制御信号により制御されるように構成されている。圧力センサ107、温度センサ114、屈折率計103、操作スイッチ170からの信号が、中央演算装置180に与えられる。患者が排泄した尿を採尿蓄量比重測定装置100に流入させるとき、操作スイッチ170を操作して、投入口開閉モータ駆動手段222が投入口開閉モータ222を作動させて投入口扉224を開けることができる。
【0031】
図3及び図10を参照すると、採尿蓄量比重測定装置100を作動させるときには、最初に、操作スイッチ170を作動させ、作動制御手段140が出力する初期値設定信号により、採尿蓄量比重測定装置100を初期状態に設定する。すなわち、作動制御手段140が出力する初期値設定信号により、尿排出制御バルブ駆動手段142が尿排出制御バルブすなわちピンチバルブ102を閉制御し、尿採取制御バルブ駆動手段144が尿採取制御バルブすなわちピンチバルブ110を閉制御する(ステップ301)。尿受け槽101の投入口扉224が開く(ステップ302)。患者が尿を尿受け槽101に入れる(ステップ303)。このとき、患者は自分の氏名が記載されているスイッチを押す。或いは、患者は自分の患者番号などを入力することもできる。尿受け槽101の投入口扉224が閉まる(ステップ304)。圧力センサ107から信号が出力される(ステップ305)。圧力センサ107から出力される信号が安定するまで待つ(ステップ306)。
【0032】
次に、図4及び図10を参照すると、圧力値演算手段146が圧力センサ107から出力信号を入力して、圧力センサ107が検出した圧力の値を演算する。圧力基準値記憶手段148は、尿が尿受け槽細径部108の内部全体に収容されているときに圧力センサ107から出力される出力信号に対応する圧力基準値を記憶している。圧力比較手段150は、圧力値演算手段146が出力する圧力値の演算結果と、圧力基準値記憶手段148が記憶している圧力基準値とを比較し、投入された尿量が、尿受け槽細径部108の内容積より大きいか、或いは、尿受け槽細径部108の内容積より小さいかを判定する。投入された尿量が尿受け槽細径部108の内容積より小さい場合には、尿量演算手段152は、圧力値の演算結果に基づいて、投入尿量を演算する(ステップ307)。投入尿量の演算結果は、データ入出力制御手段154により、データ記憶手段156に記憶される。投入された尿量が尿受け槽細径部108の内容積より小さい場合には、ステップ312へ進む。
【0033】
ここで、図8は、本発明の採尿蓄量比重測定装置の実施の形態の作動において、圧力センサからの信号がスレッシュホールド電圧より低いときの信号を示す図である。図8を参照すると、圧力センサ107からの信号(V)が、尿受け槽細径部108の内容積が満水時の圧力センサ107からの信号(TV)より低い場合には、総投入尿量は、圧力センサ107からの信号(V)に係数(K)を掛けることによって求められる。
すなわち、
総投入尿量=圧力センサ107からの信号(V)*係数(K)
である。
【0034】
投入された尿量が尿受け槽細径部108の内容積より大きい場合には、ステップ308へ進む。尿排出制御バルブ駆動手段142は、尿排出制御バルブすなわちピンチバルブ102を開制御する(ステップ308)。尿は導管105から屈折率計103を通って排液タンク104の中に流れる。尿受け槽101、尿受け槽細径部108に収容されている尿量の水頭圧に対応する信号が圧力センサ107により検出される(ステップ309)。ピンチバルブ102を開制御してから、圧力センサ107が検出する圧力の絶対値が、尿受け槽細径部108を水で満たしたときに圧力センサ107が検出する圧力の絶対値と等しくなったとき、尿排出制御バルブ駆動手段142は、尿排出制御バルブすなわちピンチバルブ102を閉制御する(ステップ310)。この場合、尿受け槽細径部108を水で満たしたときに圧力センサ107が検出する圧力の絶対値は、予め、圧力基準値記憶手段148に記憶されている。
【0035】
そして、圧力センサ出力信号計時手段160が、ピンチバルブ102を開制御してからピンチバルブ102を閉制御するまでの時間、すなわち、信号継続時間(T)を計測する。信号継続時間(T)を計測することにより、尿受け槽101内の尿量(V2)を、前述した式2、すなわち、V2=Q*Tにより計算する。尿量演算手段152は式2を記憶している。式2を用いて演算された尿量V2に、尿受け槽細径部108の内容積を加算して、投入された尿量を演算する(ステップ311)。
【0036】
、図9は、本発明の採尿蓄量比重測定装置の実施の形態の作動において、圧力センサからの信号がスレッシュホールド電圧より高いときの信号を示す図である。図9を参照すると、圧力センサ107からの信号(V)が、尿受け槽細径部108の内容積が満水時の圧力センサ107からの信号(TV)より高い場合には、ピンチバルブ102を開制御したときからピンチバルブ102を閉制御したときまでの時間(T)を測定する。
そして、このときの流出量は、
流出量=開口面積(一定)*時間(T)*係数(K2)
によって求められる。
総投入尿量は、流出量に尿受け槽細径部108の内容積を加算することによって求められる。
すなわち、
総投入尿量=流出量+尿受け槽細径部108の内容積
である。
【0037】
次に、尿排出制御バルブ駆動手段142は、尿排出制御バルブすなわちピンチバルブ102を開制御する(ステップ312)。そして、一定時間待つ(ステップ313)。次に、尿排出制御バルブ駆動手段142は、尿排出制御バルブすなわちピンチバルブ102を閉制御する(ステップ314)。それによって、尿は屈折率計103に導入される。次に、図2及び図5を参照すると、屈折率計103からの出力信号は尿比重値演算手段162に入力される(ステップ315)。温度センサ114からの出力信号は尿比重値演算手段162に入力される(ステップ316)。尿比重値演算手段162は、屈折率計103からの出力信号と、温度センサ114からの出力信号とに基づいて、予め記憶している屈折率、温度、比重の関係式を用いて尿の比重値を演算する(ステップ317)。ステップ307又はステップ311で演算された尿量を、ステップ317で演算された比重値を用いて補正する(ステップ318)。
【0038】
分注ノズル駆動モータ182が動作して分注ノズル移動機構を作動させることによって、分注ノズル184は分注排出容器188の上部の位置に移動される(ステップ319)。尿採取制御バルブ駆動手段144は、尿採取制御バルブすなわちピンチバルブ110を開制御する(ステップ320)。圧力値演算手段146が圧力センサ107から出力信号を入力して、圧力センサ107が検出した圧力の値を演算する。圧力比較手段150は、圧力基準値記憶手段148が記憶している水頭値と尿量の関係と、圧力値演算手段146が出力する圧力値の演算結果とを比較し、尿受け槽細径部108の中の尿量から減った分の尿量が、所定の採取尿量に達するまで待つ(ステップ321)。
【0039】
尿は、導管109、分注ノズル184、分注排出容器188、導管133を通って排液タンク132に導入され、排出口139に排出される。この尿によって、一部尿採取回路が共洗いされる。次に、図6及び図10を参照すると、所定の尿量に達した後、尿採取制御バルブ駆動手段144は、尿採取制御バルブすなわちピンチバルブ110を閉制御する(ステップ322)。共洗い動作が終了すると、分注ノズル駆動モータが動作して分注ノズル移動機構を作動させることによって、分注ノズル184は採尿ボトル111の上部の位置に移動される(ステップ323)。尿採取制御バルブ駆動手段144は、尿採取制御バルブすなわちピンチバルブ110を開制御する(ステップ324)。圧力値演算手段146が圧力センサ107から出力信号を入力して、圧力センサ107が検出した圧力の値を演算する。圧力比較手段150は、圧力基準値記憶手段148が記憶している水頭値と尿量の関係と、圧力値演算手段146が出力する圧力値の演算結果とを比較し、尿受け槽細径部108の中の尿量から減った分の尿量が、所定の採取尿量に達するまで待つ(ステップ325)。
【0040】
所定の尿量に達した後、尿採取制御バルブ駆動手段144は、尿採取制御バルブすなわちピンチバルブ110を閉制御する(ステップ326)。尿採取の動作が終了すると、分注ノズル駆動モータが動作して分注ノズル移動機構を作動させることによって、分注ノズル184は分注排出容器188の上部の位置に移動される(ステップ327)。次に、尿排出制御バルブ駆動手段142は、尿排出制御バルブすなわちピンチバルブ102を開制御し、尿採取制御バルブ駆動手段144は、尿採取制御バルブすなわちピンチバルブ110を開制御する(ステップ328)。
【0041】
次に、図7及び図10を参照すると、尿受け槽101、尿受け槽細径部108の中の尿を排液タンク104の中に排出する。圧力センサ107からの出力信号が無くなるまで待つ(ステップ329)。次に、電磁弁駆動手段164が電磁弁117を開いて、給水口214より給水される水道水で尿受け槽101を洗浄する(ステップ330)。洗浄中に、フロートスイッチ115が導通動作したかどうかを判定する(ステップ331)。フロートスイッチ115が導通動作した場合、電磁弁117をを閉制御する(ステップ332)。そして、フロートスイッチ115が切れるのを待つ(ステップ333)。それによって、採尿蓄量比重測定装置100の内部に洗浄水が溢れるのを防いでいる。フロートスイッチ115が切れると、電磁弁駆動手段164は電磁弁117を開制御し、洗浄の続きを実行する(ステップ334)。所定時間の洗浄を行った後、電磁弁駆動手段164が電磁弁117を閉制御する(ステップ335)。それによって、尿の測定動作は終了する(ステップ336)。複数の患者を測定するとき、それぞれの患者について、上記の動作を同様に行うことができる。
【0042】
本発明の採尿蓄量比重測定装置100は、採尿蓄量比重測定装置100が測定したデータを病院の情報システム(外部システム)に送信するための送信用インターフェースと、病院の情報システム(外部システム)からデータを受信するための受信用インターフェースとを備えている。送信用インターフェースは、データ記憶手段156に記憶されているデータをデータ入出力制御手段154の作動を介して出力するためのデータ出力手段172を含む。受信用インターフェースは、外部からデータを入力し、データ入出力制御手段154の作動を介してデータ記憶手段156に記憶させるためのデータ入力手段174を含む。
【0043】
本発明の採尿蓄量比重測定装置100は、操作ガイダンスの音声データを録音するための録音手段176を備える。この録音手段176が録音するデータは、例えば、患者の氏名などを含む。録音手段176が録音したデータをデータ記憶手段156に記憶するように構成してもよい。データ管理装置200は、データ受信手段202と、データ送信手段204とを備える。データ出力手段172は、データ受信手段202にデータを送信することができるように構成される。データ入力手段174は、データ送信手段204からデータを受信することができるように構成される。病院の情報システムのデータ管理装置200は、例えば、ナースステーションに配置することができる。本発明の採尿蓄量比重測定装置100が送信するデータは、尿量、尿比重、患者の氏名、患者のID、測定の年月日及び又は日時、アラームデータ、各種の設定値(例えば、各種の係数、設定されている洗浄時刻、一部採取尿の設定の有無など)などである。本発明の採尿蓄量比重測定装置100が受信するデータは、患者の氏名、患者のID、操作ガイダンスの音声データ、各種の設定値(例えば、各種の係数、設定されている洗浄時刻、一部採取尿の設定の有無など)などの患者に関する情報と、患者への指示などである。この場合、操作ガイダンスの音声データは、予め、ナースステーションに配置されたデータ管理装置200に録音しておき、そのデータをデータ管理装置200から採尿蓄量比重測定装置100に送信するように構成することもできる。
【0044】
採尿ボトル111に溜められる尿は、測定毎の尿量の定率を採取する場合もあれば、朝起きて最初の尿だけを溜める場合もあり、この指示は病院の情報システムのデータ管理装置200から指示が送られてくる場合と、機器で直接設定する場合とがある。予め設定した時間が経過したとき、操作スイッチ170を操作したとき、データ管理装置200から指示が入ったときなどにおいて、スピッツ194に分注することを指示したトリガ信号が中央演算装置180に入ると、中央演算装置180は、1番スピッツポンプ190a、2番スピッツポンプ190b、3番スピッツポンプ190c、4番スピッツポンプ190d、5番スピッツポンプ190e、スピッツノズル駆動モータ192の作動を制御し、採尿ボトル111に溜まった尿をそれぞれのスピッツ190に分注する。
【0045】
更に、中央演算装置180はバーコードプリンタ244の作動を制御して、1番スピッツ194a、2番スピッツ194b、3番スピッツ194c、4番スピッツ194d、5番スピッツ194eにそれぞれ採取された患者ID、患者氏名、蓄尿の種類、防腐剤の有無、蓄尿日時などの尿の素性に関するデータを、バーコードプリンタ244によってバーコードラベルに印刷して出力する。複数の患者を測定するとき、それぞれの患者について、1枚ずつバーコードラベルが出力される。バーコードラベルには、尿の素性に関するデータが文字により印刷され、同時に、バーコードによって印刷される。バーコードは、一次元バーコードであってもよいし、二次元バーコードであってもよいし、他のタイプのバーコードであってもよい。看護師は、それぞれのバーコードラベルをそれぞれ対応するスピッツ190に貼り付け、尿をスピッツ190に入れた状態で検査室に送ることができる。例えば、看護師は、1番目の測定に対応する患者IDが記載されているバーコードラベルを1番スピッツ194aに貼り付け、2番目の測定に対応する患者IDが記載されているバーコードラベルを2番スピッツ194bに貼り付け、3番目の測定に対応する患者IDが記載されているバーコードラベルを3番スピッツ194cに貼り付け、4番目の測定に対応する患者IDが記載されているバーコードラベルを4番スピッツ194dに貼り付け、5番目の測定に対応する患者IDが記載されているバーコードラベルを5番スピッツ194eに貼り付ける。このようにすることにより、採取尿の取り違えを効果的に低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の採尿蓄量比重測定装置は病院などの医療施設において使用することができる。この採尿蓄量比重測定装置を用いることによって、採取尿の取り違えを低減することができ、医療事故を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の採尿蓄量比重測定装置の実施の形態において、採尿蓄量比重測定装置の全体構造を示す概略部分断面図である。
【図2】本発明の採尿蓄量比重測定装置の実施の形態において、採尿蓄量比重測定装置装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の採尿蓄量比重測定装置の実施の形態において、採尿蓄量比重測定装置の作動を示すフローチャートの第1の部分を示す図である。
【図4】本発明の採尿蓄量比重測定装置の実施の形態において、採尿蓄量比重測定装置の作動を示すフローチャートの第2の部分を示す図である。
【図5】本発明の採尿蓄量比重測定装置の実施の形態において、採尿蓄量比重測定装置の作動を示すフローチャートの第3の部分を示す図である。
【図6】本発明の採尿蓄量比重測定装置の実施の形態において、採尿蓄量比重測定装置の作動を示すフローチャートの第4の部分を示す図である。
【図7】本発明の採尿蓄量比重測定装置の実施の形態において、採尿蓄量比重測定装置の作動を示すフローチャートの第5の部分を示す図である。
【図8】本発明の採尿蓄量比重測定装置の実施の形態において、採尿蓄量比重測定装置が作動するとき、圧力センサからの信号がスレッシュホールド電圧より低いときの信号を示す図である。
【図9】本発明の採尿蓄量比重測定装置の実施の形態において、採尿蓄量比重測定装置が作動するとき、圧力センサからの信号がスレッシュホールド電圧より高いときの信号を示す図である。
【図10】本発明の採尿蓄量比重測定装置の実施の形態において、採尿蓄量比重測定装置の代表的な構成を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
100 採尿蓄量比重測定装置
101 尿受け槽
107 圧力センサ
108 尿受け槽細径部
110 ピンチバルブ
111 採尿ボトル
114 温度センサ
115 フロートスイッチ
116 傘状整流器
117 電磁弁
136 空気貯まり用パイプ
140 作動制御手段
142 尿排出制御バルブ駆動手段
144 尿採取制御バルブ駆動手段
146 圧力値演算手段
148 圧力基準値記憶手段
150 圧力比較手段
152 尿量演算手段
154 データ入出力制御手段
156 データ記憶手段
160 圧力センサ出力信号計時手段
162 尿比重値演算手段
164 電磁弁駆動手段
170 操作スイッチ
180 中央演算装置
200 データ管理装置
242 バーコードプリンタ制御手段
244 バーコードプリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
採尿容器に収容された尿をサンプリングして分注容器に注入する尿サンプリング機構を有する採尿蓄量比重測定装置において、
患者に関する情報、尿測定に関する情報を含む尿の素性に関するデータの記憶を行うためのデータ記憶手段(156)と、
前記データ記憶手段(156)が記憶している前記尿の素性に関するデータを受け入れて、バーコードプリンタの動作を制御するためのバーコードプリンタ制御手段(242)と、
前記バーコードプリンタ制御手段(242)が出力する信号により作動して、前記尿の素性に関するデータを記載したバーコードラベルを発行することができるように設けられたバーコードプリンタ(244)とを備え、
それによって、尿を収容した分注容器に尿の素性に関するデータを記載したバーコードラベルを添付することができるように構成した、
ことを特徴とする採尿蓄量比重測定装置。
【請求項2】
測定したデータを外部システムに送信するための送信用インターフェースと、外部システムからデータを受信するための受信用インターフェースとを備えることを特徴とする、請求項1に記載の採尿蓄量比重測定装置。
【請求項3】
分注容器は、サンプリングした尿を受け入れることができるように構成された複数のスピッツ(194)で構成され、それによって、バーコードラベルを複数のスピッツにそれぞれ添付することができるように構成したことを特徴とする、請求項1に記載の採尿蓄量比重測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−38736(P2006−38736A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221486(P2004−221486)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(593086506)不二光学機械株式会社 (4)
【Fターム(参考)】