説明

採水装置

【課題】水道管を断水することなく既存の設備に装備することができ、かつ水道管内の水道水のより正確な水質調査を必要に応じて容易に行なえる採水装置を提供する。
【解決手段】水道管15から分岐された管路を開閉する弁装置である補修弁12の下流側に接続可能に形成された収容ケース本体2と、この収容ケース本体の内外を貫通するように設けられ上記水道管を流れる水を外部に取出すための被検水取出部3と、この被検水取出部の上記収容ケース本体の内部側端部に一端部が連結され、他端部側は先端部に採水口部4を有し、かつ該採水口部が上記補修弁を経て上記水道管の管芯部まで伸びるように伸縮自在に形成された採水管部5とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は採水装置に係り、さらに詳細には、水道管、特に地下に埋設された水道管内を流れる水道水の水質を検査する場合などに用いられる採水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水は生活に欠かせないものであり、その水質は人体に何らの悪影響も及ぼさないような状態で高水準に維持する必要がある。そこで、定期的に、あるいは必要に応じて水道水の水質検査が行なわれている。この水質検査としては、例えば、大腸菌の有無、カドミウム等有害金属の混入の有無、PH値、水圧検査等、法規に基づいて行われる。地下に埋設された水道管内を流れる水道水の水質検査を行なうには、その埋設水道管内を流れる水道水を何らかの手法で採取しなければならない。第1の手法として、採水装置を備えた水質検査用の機器を埋設水道管に装備させ、必要に応じて取水して水質検査を行うことが知られている。また、第2の手法として、埋設水道管に直結された既設の消火栓装置を利用して水道水を取水し、その水道水の水質検査を行うことも知られている。
一方、公道の地下に設けられた下水路を流れる下水の採水又は下水の上方にあるガスを捕集する下水用採水装置及び下水用採水・捕集装置として、マンホールの蓋からテレスコピック状の伸縮可能なノズルを下水まで伸ばし、その下水を採水するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−53124号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記第1の手法では、採水装置を備えた水質検査用の機器を埋設水道管に装備させるためには、水道管の所定区間を断水しておいて、所定箇所に穴の掘削工事を行い、その後、水質検査用の機器を取り付けるため、準備が大変であり、また、大掛かりな工事が必要となり、供給先や周囲に与える影響が大きく採用し難い。また、第2の手法では、水質検査用の機器を、消火栓部の止め蓋部に設けるようになっているので、止め蓋部の構造を改造しなければならないという問題がある。また、この構造では、水道管の管芯付近の水を採水するためには、消火栓装置の補修弁の上部まで常時到達して滞留している水を取り出して廃棄し、その後、水道管内を流れる水を採水しなくてはならず、操作が面倒で多くの手間がかかるという問題があった。
さらに、上記特許文献1に開示された技術では、マンホールの蓋から伸縮自在なノズルを伸ばして取水する構成となっているので、マンホールがない場所では使用することができない。また、伸縮自在なノズルは剥き出し状態であり、このようなノズルを消火栓装置に取り付けることはできない。
【0005】
本発明は上記のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、水道管を断水することなく既存の設備に装備することができ、かつ水道管内を流れている水道水の水質調査を必要に応じてより正確に容易に行なえる採水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の採水装置は、水道管から分岐された管路を開閉する弁装置の下流側に接続可能に形成された収容ケース本体と、この収容ケース本体の内外を貫通するように設けられ上記水道管を流れる水を外部に取出すための被検水取出部と、この被検水取出部の上記収容ケース本体の内部側端部に一端部が連結され、他端部側は先端部に採水口部を有し、かつ該採水口部が上記弁装置を経て上記水道管の管芯部まで伸びるように伸縮自在に形成された採水管部と、を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の採水装置においては、収容ケース本体を消火栓などを取り付ける弁装置を止水状態にして装着した後、弁装置を開弁して採水管部の採水口部を水道管の管芯付近まで伸ばすことにより、水道管の管芯付近の水を被検水取出部から採水することができるので、水道管を断水することなく既存の消火栓装置などに装備することができ、かつ水道管内を流れている水道水の水質調査を必要に応じてより正確に容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1による採水装置を埋設された水道管に設けられた既設の消火栓装置に組み込み採水管部を伸長したときの全体構成を概念的に示す部分断面図。
【図2】図1に示された採水装置の構成を示す部分断面図。
【図3】図1に示された採水管部の伸長方向先端部の採水口部が水道管の管芯部に達するまで伸ばした状態を拡大して示す部分断面図。
【図4】図2に示された採水管部を最大限伸ばしたときに、それ以上伸びないように互いに係合する係止部を拡大して示す部分断面図。
【図5】図4に示された係止部の変形例を示す部分断面図。
【図6】図1に示された採水管部を最大限縮小した状態を示す部分断面図。
【図7】図2に示された線状部材であるワイヤ部材の一端部が採水管部の伸長方向先端部に固定された部分の近傍を拡大して示す断面図。
【図8】図1に示された線状部材巻取機構とその近傍を拡大して示す部分断面図。
【図9】図2に示す採水装置が装置される一例としての消火栓装置の要部構成を示す部分断面図。
【図10】この発明の実施の形態2に係る採水装置の要部構成を示す図であり、(a)は既設の消火栓装置に組み込み採水管部を伸長したときの全体構成を概念的に示す部分断面図、(b)は図10(a)に示された取水口部を拡大して示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1〜図9は本発明の実施の形態1による採水装置を説明する図であり、図1は、埋設された水道管に設けられた既設の消火栓装置にこの実施の形態1の採水装置を組み込み採水管部を伸長したときの全体構成を概念的に示す部分断面図、図2は、図1に示された採水装置1の構成を示す部分断面図である。図3〜図8は、図2に示された採水装置を構成する部材、該部材相互の関係、または状態を詳細に示す図であり、図示内容は以下の説明文の中で述べる。図9は、図2に示す採水装置が装置される一例としての消火栓装置の要部構成を示す部分断面図である。なお、本書において全ての図を通じて同一または相当部分には同一符号を付している。
【0010】
まず、図9に示すように、消火栓装置10は埋設された水道管15の上部を覆う公道などの地表部から掘り下げられた所定広さの設置空間S内に設置されており、消火栓11と弁装置としての補修弁12と水道管15から分岐された管路を形成する連結管13とを備えて構成されている。埋設された水道管15は、設置空間Sのさらに地下に埋設されており、この埋設水道管15には、消火栓装置10を構成する連結管13が地上方向に向けて分岐されている。消火栓11は、消火の際に消防車のホースに接続される単口あるいは双口タイプの接続口11A及びその接続口11Aを塞ぐ止め蓋部11Bを備え、補修弁12とフランジ同士で結合されている。また、補修弁12は、レバー式ボール弁で構成され、要時に流路を開閉するレバー12aの切り替えにより、埋設水道管15内を流れる水道水を消火栓11に導入し、そこから消防車のホースに供給できるようになっている。
【0011】
実施の形態1の採水装置1は、上記のような消火栓装置10の消火栓11と補修弁12の間に介装可能に形成され、この例では着脱可能に装着されるようになっている。該採水装置1は、詳細を図2に示すように、水道管15から分岐された管路を開閉する弁装置としての補修弁12に対し接続可能に形成された収容ケース本体2と、この収容ケース本体2の内外を貫通するように水平方向に設けられ上記水道管15を流れる水を外部に取出すための被検水取出部3と、この被検水取出部3の上記収容ケース本体2の内部側端部に一端部が連結され、他端部側は先端部に採水口部4を有し、かつ該採水口部4が開弁時の補修弁12を経て上記水道管15の管芯部まで伸びるように伸縮自在に形成された採水管部5とを備えている。
【0012】
収容ケース本体2は、例えばステンレス材などの耐食性に優れた材料を用いた所定径の円筒状の直管部21と、その両端に設けられたフランジ部22、23からなり、フランジ部22が消火栓11のフランジ部11Cに、またフランジ部23が補修弁12のフランジ部12Cと、図示しない取付ボルトにより連結されるようになっている。被検水取出部3は、例えばステンレス製のパイプで形成され、収容ケース本体2の直管部21の上部にあけられた貫通孔21aを水平方向に貫通され、該収容ケース本体2に固着された水平取付管部31と、この水平取付管部31の収容ケース本体2の内部側(図1の右側)端部に、水道管15側に向かって下向きに曲折形成されたエルボ部32を有している。該被検水取出部3は、エルボ部32が形成された端部を収容ケース本体2を構成する直管部21の貫通孔21aから差し込み、該貫通孔21a部で例えば溶接等適宜の固定手段により固定される。また、水平取付管部31の他端部(図の左端部)側は、直管部21の外方に突出している。
【0013】
次に、伸縮自在に形成された採水管部5の構成について図1、図2の他に、図3〜図6を参照して説明する。なお、図3は採水管部の伸長方向先端部の採水口部が水道管の管芯部に達するまで伸ばした状態を拡大して示す部分断面図、図4は採水管部を最大限伸ばしたときに、それ以上伸びないように互いに係合する係止部を拡大して示す部分断面図、図5はその係止部の変形例を示す部分断面図、図6は採水管部を最大限縮小した状態を示す部分断面図である。図に示すように、採水管部5は、通流方向に隣接する一方の管材の内部に他方の管材が摺動自在に入り込むことで伸縮可能に連結され、かつ最大限伸ばしたときに、それ以上伸びないように互いに係合する係止部Aが設けられた、外径を順次小さくした複数の管材からなるスライド部材51、固定ロッド52、及び連結ロッド53からなり、図の上側に配設された一端部側の最大外径の管材からなる連結ロッド53が、上記エルボ部32の下端部に連結されている。
【0014】
さらに具体的には、採水管部5は、図2に示すように被検水取出部3のエルボ部32の先端部に連結・固定された連結ロッド53と、この連結ロッド53の下端部に連結された固定ロッド52と、この固定ロッド52の中に収容可能に形成され、伸縮自在に連結された複数本のスライドロッド51A〜51Eで構成されたスライド部材51とを含んで構成されている。これらの連結ロッド53、固定ロッド52、及びスライド部材51はステンレス製の管材からなり、この例では固定ロッド52、及びスライド部材51は伸長方向に順次外径が小さくなるように互いに径寸法が異なっている。スライド部材51は、上記固定ロッド52の内部に入り込むように連結された第1スライドロッド51Aと、その第1スライドロッド51Aから順に上記埋設水道管15側に向かって伸びる第2スライドロッド51B、第3スライドロッド51C、第4スライドロッド51D、及び第5スライドロッド51Eによって構成されている。
【0015】
上記第1スライドロッド51Aは固定ロッド52の内部に、第2スライドロッド51Bは第1スライドロッド51Aの内部に、第3スライドロッド51Cは第2スライドロッド51Bの内部に、というように第5スライドロッド51Eまで順次上方の管材の内部に入り込むようにスライド可能に構成されている。また、固定ロッド52及び各スライドロッド51A〜51Eは、最大限伸ばした状態以上に伸びないような係止部Aをそれぞれ備えている。即ち、隣り合うスライドロッド同士、例えば第1スライドロッド51Aと第2スライドロッド51B、第2スライドロッド51Bと第3スライドロッド51C等、隣接する管材相互の係合端部は、図4に示すような構造となっている。隣り合うスライドロッド同士の連結部の構造は同じなので、ここでは代表して第2スライドロッド51Bと第3スライドロッド51Cとの係合端部に設けられた係止部Aについて説明する。
【0016】
図4において上方に位置する管材、つまり第2スライドロッド51Bの内周面は、図の下端部近傍から上方側の大部分が内径L1の大径部D1に形成され、図の下端部の第3スライドロッド51C側の所定長の短い部分が内径L2の小径部D2に形成され、これら大径部D1と小径部D2の境界に段部B2が形成されている。これに対して、第3スライドロッド51Cの外周面は、第2スライドロッド51B側の図の上端部側の所定長の短い部分が外径L3の大径部D3に形成され、その大径部D3より下側の大部分は外径L4の小径部D4に形成され、これら大径部D3と小径部D4の境界に段部C1が形成されている。そして、上記段部B2と段部C1によって係止部Aが構成されている。ここで、外径L3は内径L1より小さく、かつ内径L2より大きい。また、外径L4は内径L2より小さく設定されている。従って、第2スライドロッド51B内に図の上方から下方向に挿入された第3スライドロッド51Cを図の下方向に伸長したとき、段部B2に対して段部C1が係合されて係止部Aが機能された図4の状態となり、それ以上に伸びることが阻止される。
【0017】
なお、第2スライドロッド51Bの上端部外周面には段部C1に対応する段部B1(図示省略)が設けられ、第3スライドロッド51Cの下端部内周面には段部B2に対応する段部C2(図示省略)が所定寸法で設けられている。また、第2スライドロッド51Bと第3スライドロッド51Cとが伸長方向に係合される係止部Aの構造は、図4に例示したものに限らず、例えば図5に示す変形例のような構造としてもよい。即ち、第2スライドロッド51Bの係合端部に第1リング部材511Bを固着し、第3スライドロッド51Cの係合端部に第2リング部材512Cを固着して、互いがスライド自在ではあるが抜けないような構成としてもよい。ここで、第2スライドロッド51Bと第3スライドロッド51Cの係合端部の各寸法は、上記図4で説明した寸法と同じであり、図4の場合と同様に第2スライドロッド51Bの下端部の小径部D2によって形成された段部B2と、第3スライドロッド51Cの上端部の大径部D3によって形成された段部C1によって、上記係止部Aが形成されている。
【0018】
次に、上記のように伸縮自在に構成された径の異なる複数の管材からなる採水管部5を伸縮させるために具備された採水管部伸縮装置6について図1〜図6の他に、図7、図8を参照して説明する。なお、図7はワイヤ部材からなる線状部材の一端部が採水管部の伸長方向先端部に固定された部分の近傍を拡大して示す断面図、図8は線状部材巻取機構とその近傍を拡大して示す部分断面図である。図において、採水管部伸縮装置6は被検水取出部3の内部及び採水管部5の内部に跨って収容され、一端部が上記採水管部5における伸長方向先端部の管材である第5スライドロッド51Eに固定された線状部材61と、上記被検水取出部3における上記収容ケース本体2の外側部に設けられ線状部材61の他端部を巻き取り、または繰り出す線状部材巻取機構62とで構成されている。
【0019】
線状部材61は例えばステンレス製のワイヤからなり、その一端部は図7に示すように、スライド部材51の伸長方向先端部の第5スライドロッド51E内を横切るように固定されたピン63に固定されている。そして、線状部材61は、そこからスライド部材51の内部、つまり第4スライドロッド51D、第3スライドロッド51C、第2スライドロッド51B、及び第1スライドロッド51Aの内部を通って固定ロッド52及び被検水取出部3の内部に挿通され、線状部材61の他端部は、その線状部材61を巻き取る線状部材巻取機構62に接合されている。
【0020】
線状部材巻取機構62は、線状部材61の他端部が固着されかつ当該線状部材61を巻取りあるいは繰り出す円柱状の巻胴部材621と、上記被検水取出部3の水平取付管部31における図の左側の端部に連結され、上記巻胴部材621を回動可能に水密保持すると共に、採水された水道水を外部に通流させるための流路Rが巻胴部材621のまわりに形成された図の上下両端が塞がれた円筒状のケース体622と、巻胴部材621の軸方向一端部(図の上方部)に同軸に設けられケース体622の外部に図の上方向に突出された回動軸623と、この回動軸623に固定され巻胴部材621を回動させる回動手段としてのハンドル624とで構成されている。
【0021】
また、線状部材巻取機構62による巻取り操作を容易にするために、ケース体622の巻胴部材621に係合され、当該巻胴部材621の回転数の許容範囲を設定するストッパ機構7がケース体622の図の下方部に設けられている。なお、円筒状のケース体622の周壁部には図8の左右に貫通する2つの穴が開けられ、図の右側の一方の穴に水平取付管部31が接続され、他方の穴には図示省略している計測器に水道水を送るための送出管33が連結され、さらに送出管33には、該送出管33の流路を開閉する電磁弁34が介装され、その電磁弁34の下流側には測定前に管路中の空気を排気するための真空ポンプ35が設けられている。またハンドル624の上面部には、握り部624aが連結され、この握り部624aによってハンドル624を回すことで、巻胴部材621が回動するようになっている。また、巻胴部材621の回動軸623等は充分にシールされている。
【0022】
次に、上記ストッパ機構7について主に図8を参照して説明する。ケース体622の下部に設けられているストッパ機構7は、線状部材巻取機構62のハンドル624による操作を容易にするために付加された巻胴部材621の回転数の許容範囲を設定するものである。図に示すように、ストッパ機構7は巻胴部材621の軸方向他端部に同軸に設けられかつケース体622の外方に突出されたネジ軸71と、このネジ軸71に螺合され巻胴部材621の回転に連れてネジ軸71に沿って矢印Eのように図の上下方向に移動するストッパ部材72と、ケース体622に対し上記ネジ軸71に平行に下向きに立設され上記ストッパ部材72をガイドする棒状の複数本のガイド部材73と、このガイド部材73の突出端部に固着され上記ストッパ部材72の移動を制限する板状の固定部材74とを用いて構成されている。なお、ネジ軸71は巻胴部材621の他端に一体的に同軸に突出形成されている。
【0023】
また、ストッパ部材72と2本のガイド部材73とは所定の摩擦力を生じるような係合となっており、上記採水管部5の複数本のスライドロッド51A〜51Eを所定位置で止めた状態でも、ハンドル624を回さない限りスライドロッド51A〜51Eが自重で下がったりすることがないような摩擦力が設定されている。ストッパ部材72は、ネジ軸71の回転に応じてそのネジ軸71に沿って矢印E方向に上下動し、例えば最大限上昇したとき、ケース体622の下面に当接してハンドル624の回転を制止するようになっている。このとき、第5スライドロッド51Eが最大限引き上げられ、図6に示すように、第5スライドロッド51Eを含む全部のスライドロッド51A〜51Eからなるスライド部材51が固定ロッド52内に略収まり、採水口部4を含む全体が収容ケース本体2の直管部21内に収容された状態となる。
【0024】
これに対して、ストッパ部材72がネジ軸71に沿って最大限下降したとき、そのストッパ部材72は、固定部材74に当接してハンドル624の回転を制止するようになっており、このとき、第5スライドロッド51Eを含む全部のスライドロッド51A〜51Eが最大限引き出され、第5スライドロッド51Eの先端部に設けられた採水口部4が水道管15の管芯付近まで伸ばされた状態となる。以上のように、ストッパ機構7は、巻胴部材621の回転数の許容範囲を設定する機能を有している。また、採水口部4は図7に示すように第5スライドロッド51Eの先端部に固着され、該第5スライドロッド51Eの中心穴に連通する上下方向の穴からなる流入口41aを有する厚肉円筒状の取水部材41によって構成されている。なお、該取水部材41は、第5スライドロッド51Eと一体に形成し、あるいは第5スライドロッド51Eの先端部の穴を採水口部4としても差し支えない。なお、その場合には取水部材41は不要となる。
【0025】
次に、上記採水管部5を伸縮させるときの操作を容易にするために付加された線状部材61の目印を目視できるようにした覗き窓部について、主に図8を参照して説明する。図に示すように、ワイヤ部材からなる線状部材61の少なくとも1箇所に、採水口部4が水道管15の管芯近傍まで到達したことを示す目安となる目印Mを付すと共に、上記水平取付管部31の収容ケース本体2の外側近傍に、管芯近傍への到達時の目印Mを目視できる覗き窓部65が設けられている。目印Mは線状部材61の少なくとも1箇所に記されており、この目印Mは、線状部材61の他端部となる巻胴部材621から水道管15の管芯近傍までの距離に対応したものであり、例えば平角線など他の部分と異なる材料を当該位置に固着させるなど適宜の手段を用いて目印Mとすることができる。なお、水道管15の管芯までの距離は、埋設箇所によって異なっている場合もあるが、その場合でも、消火栓装置1が設置されている箇所での地上からの距離は把握されているので、線状部材61のどの部位に目印Mを記せばよいかは容易に知ることができる。
【0026】
なお、上記のように、線状部材巻取機構62により線状部材61を繰り出し、第5スライドロッド51E等を任意の位置で止めることができるようになっているので、水道管15の管芯までの距離に対応して2箇所、あるいは3箇所に互いに異なる目印Mを記すようにしてもよい。なお、この線状部材61の目印Mを目視するための覗き窓部65は、水平取付管部31に固着されたパイプ状の取付部材651と、この取付部材651の外方側端部に水圧に耐えるように嵌め込まれた透明部材であるガラス652とで構成されている。
【0027】
次に、上記のように構成された実施の形態1の動作例について説明する。まず、採水装置1を既存の消火栓装置10に組み込むには、採水管部伸縮装置6を具備した収容ケース本体2において、採水管部5を縮小して図6に示すように収容ケース本体2内に収容した状態としておく。次に、レバー式ボール弁からなる補修弁12のレバー12aを止水状態として消火栓11を取外し、消火栓11と補修弁12との間に収容ケース本体2を挟み込んで、消火栓11のフランジ部11Cと収容ケース本体2のフランジ部22、収容ケース本体2のフランジ部23と補修弁12のフランジ部12Cをそれぞれボルト等で締め付け、一体化する。このとき、水道管15内の水道水の流れを止める必要は全くない。
【0028】
水道管15内を流れる水道水の水質検査を実施するには、まず、送出管33の端部に図示省略している所定の計測器を接続させ、電磁弁34を開いた状態として真空ポンプ35により管路内の空気を排気した後、電磁弁34を閉じて準備を終了させる。次いで、補修弁12のレバー12aを開けて補修弁12内を水が流れる状態にしておいて、ストッパ機構7のストッパ部材72が固定部材74に当接するまで回動させ、線状部材61を繰り出す。すると、スライド部材51の第5スライドロッド51Eが補修弁12部分を通過して徐々に水道管15に向かって降下し、最大限伸びたとき、係止部Aの存在により第4スライドロッド51Dが降下され、同様に順次第3スライドロッド51C、第2スライドロッド51B、第1スライドロッド51Aが降下し、所定寸法伸びたときに図1に示すように第5スライドロッド51Eが水道管15内に到達し、ストッパ機構7が作用したときに採水管部5の先端部の採水口部4が水道管15内の管芯付近に到達する。
【0029】
なお、スライド部材51の各5スライドロッド51A〜51Eをスライドさせて伸ばしたとき、各スライドロッド51A〜51Eの端部に係止部Aが形成されているので、最大限伸ばした以上には伸びることはなく、また、各スライドロッド51A〜51E同士が抜けることはない。また、線状部材巻取機構62のハンドル624を回し、採水管部5のスライド部材51を水道管15側に伸ばすとき、線状部材61が伸びた状態を覗き窓部65から覗きながら、採水口部4が水道管15内の管芯部に到達するように操作することができる。採水口部4が水道管15内に到達したことを覗き窓部65から確認した後、電磁弁34を開くと、採水口部4から水道管15の管芯付近の水が流れ込み、水圧によってスライド部材51及び被検水取出部3を経由して送出管33に送り出される。水質検査に際しては、取水した水の必要量を計測器に取り込んで所定の水質検査を行う。
【0030】
一方、所定の水質検査終了後は、上記とは逆の操作を行う。即ち、まず、電磁弁34により被検水取出部3から下流側への水の流れを止めると共に、図示していない計測器を取り外す。次いで、線状部材巻取機構62の巻胴部材621を、ハンドル624によって逆方向に回転させ、線状部材61を巻き取ることで、採水管部5が縮小され、その先端部の採水口部4が水道管15から抜き出されると共に、図6に示すような所定位置に収まる。そして、補修弁12を閉じてその状態で次の定期的な水質検査まで待機する。なお、待機中、必要があればいつでも消火栓11を本来の目的に使用することができる。
【0031】
上記のように実施の形態1によれば、次のような効果が得られる。
(1)採水装置1の収容ケース本体2を消火栓11と補修弁12との間に装備した後、採水管部5を構成する伸縮自在のスライド部材51先端部の採水口部4を水道管15内に伸ばすことで、採水口部4を水道管15の管芯部に到達させることができるので、管芯部を現に流れている水道水を容易に取水することができる。その結果、水道管を断水することなく既存の設備に着脱可能に装備することができ、かつ水道管内の水道水のより正確な水質調査を必要に応じて容易に行なえる。
【0032】
(2)伸縮可能に形成された採水管部5を縮めたときに、採水管部5と採水口部4が収容ケース本体2内に収まるようにしたので、採水装置1を既存の消火栓装置10の消火栓11と補修弁12との間に挟み込ませて取り付けることができる。そのため、消火栓11自体に手を加えることなく、また、消火栓11そのものの機能を全く損なうことなく使用することができ、さらに、容易に設置しあるいは撤去することもできる。
(3)スライド部材51を収容ケース本体2内に収まる寸法に形成したので、収容ケース本体2を消火栓11と補修弁12との間に装備する際、また、装備し水道管内の水道水の水質調査を終了した後、次の検査まで待機する場合等に、スライド部材51を縮小しておくことができる。その結果、スライド部材51が収容ケース本体2で保護された状態となり、他の部品等に干渉したり、破損することがない。また、構造が簡単なので軽量でコンパクトにできる。
【0033】
(4)採水装置1を構成する連結ロッド53、固定ロッド52、及び各スライドロッド51A〜51Eを縮小した状態のスライド部材51を収容ケース本体2内に収めることができるので、組み込む消火栓11と補修弁12とに対応するフランジ部等を形成すればよく、いかなる種類の消火栓装置にも対応することができる。
(5)採水装置1が、既存の消火栓装置10の設置空間Sにおいて補修弁12より上方に設置されているので、補修弁12を操作して採水装置1まで水が流れない状態とすることができる。その結果、採水装置1のメンテナンスが容易となる。
(6)採水装置1を構成する被検水取出部3、採水管部5を腐食に強いステンレス材で形成したので、測定計器類を外したままでも長期的な設置が可能であり、これにより、コストパフォーマンスが図れる。
【0034】
(7)線状部材61を巻き取る線状部材巻取機構62が被検水取出部3の収容ケース本体2の外方に設けられており、線状部材61の先端はスライド部材51の第5スライドロッド51Eにピン63を介して固着されている。従って、線状部材巻取機構62を駆動させ、線状部材61を繰り出し、あるいは巻き取る際、線状部材巻取機構62の操作を収容ケース本体2の外方で行えるので、操作し易く、作業性の向上を図ることができる。
(8)線状部材巻取機構62にストッパ機構7を具備したことにより、線状部材61を巻取りあるいは繰り出すハンドル624を操作したときに、ストッパ機構7が働くまで回すことで、採水口部4を所定位置に移動させることができるので、線状部材61の繰り出し、巻き取り操作が容易である。
【0035】
(9)採水管部5を構成する固定ロッド52、及びスライド部材51の各スライドロッド51A〜51Eは、通流方向に隣接する一方の管材の内部に他方の管材が摺動自在に入り込むようにすることで伸縮可能に連結され、かつ最大限伸ばしたときに、それ以上伸びないように互いに係合される段部からなる係止部Aを設けたので、各スライドロッド51A〜51Eを最大限伸ばしたとき、それ以上には伸びることはなく、また抜けることもないという効果を得ることができる。
【0036】
(10)採水管部5のスライド部材51を水道管15側に伸ばすとき、線状部材61が伸びた状態を覗き窓部65から覗きながら、採水口部4が水道管15内、かつ管芯部に到達するように操作することができる。その結果、収容ケース本体2の外方で、採水口部4が水道管15内の管芯に到達したことを容易に確認することができ、確実に正確な水質検査を行うことができる。
【0037】
実施の形態2.
図10はこの発明の実施の形態2に係る採水装置の要部構成を示す図であり、図10(a)は既設の消火栓装置に組み込み採水管部を伸長したときの全体構成を概念的に示す部分断面図、図10(b)は図10(a)に示された取水口部を拡大して示す部分断面図である。この実施の形態2は採水口部4を、水道管15内の水道水を下部から取水する第1取水穴と、この第1取水穴に連通しかつ直交する方向から取水する第2取水穴とを備えて構成し、また、スライド部材を2段式のスライドロッドによって構成したものである。なお、線状部材巻取機構62については概略を示し、ワイヤ部材、電磁弁等については図示省略している。図において、採水管部5を構成する固定ロッド52は被検水取出部3を構成するエルボ部32から図の下方向に連続して伸びるように一体的に形成され、実施の形態1で用いた連結ロッドは省略されている。
【0038】
そして、スライド部材51は、第1スライドロッド51Aと第2スライドロッド51Bの2段伸縮式に構成され、採水口部4は先端部の第2スライドロッド51Bの先端部に固定されている。そして、この採水口部4は、第2スライドロッド51Bの先端部に装着された肉厚パイプ状の第1取水部材42と、この第1取水部材42の側面に取り付けられた小径パイプ状の第2取水部材43とを含み構成されている。そして、第1取水部材42の内径部が、水道水を水道管15の軸方向に直交する下部から取水する第1取水穴42aとされ、第2取水部材43の内径部が、第1取水穴42aに連通されると共に、水道水を水の流れに沿った方向から取水する第2取水穴43aとされている。従って、水道水は、第1取水穴42aと第2取水穴43aとの2箇所から取水されることになる。なお、第2取水部材43は埋設水道管15の水道水の流れの上流を向いて配置されることが好ましい。なお、その他の構成については、上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0039】
上記のように構成された実施の形態2においては、水道管15内の水道水の水質調査を行なう際、上記実施の形態1と同様にして採水装置1を消火栓装置10の消火栓11と補修弁12の間に介装し、同様に採水管部5のスライド部材51を採水管部伸縮装置6によって水道管15側に伸ばすと、採水口部4が水道管15内に到達した時点で採水口部4の第1取水穴42aと第2取水穴43aとから水が流れ込み、水圧によって矢印Fで示すようにスライド部材51及び被検水取出部3を経由して送出管33に送り出される。また、採水口部4を水道管15の管芯付近に到達させたときに、管芯付近を流れる水道水が第1取水穴42aから水道管15の軸方向(図の左右方向)に直交する向きに取水されると同時に、第2取水穴43aから水道管15の軸方向に取水される。
【0040】
上記のように実施の形態2によれば、水道管15内の水道水の水質調査を行なう際、採水管部5のスライド部材51を水道管15側に伸ばすと、採水口部4が水道管15内に到達した時点で採水口部4の第1取水穴42aと第2取水穴43aとの2箇所から水が流れ込む。そのため、無理なく必要量の水を取水することができる。また、採水口部4を水道管15の管芯付近に到達させた場合、管芯付近を流れている水を取水することができるので、水道管内の水道水のより正確な水質調査を行なうことができる。なお、その他、実施の形態1と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0041】
なお、本発明は上記例示した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。例えば、上記各実施の形態では、線状部材61として紐状のワイヤ部材を使用したが、これに限らず、細径のロープ等を使用してもよい。この場合、ストッパ部材72とガイド部材73との係合は、ストッパ部材72にいわゆるばか穴をあけて、摩擦をほとんど生じないようにすることが好ましい。そして、取水口部4を任意の位置に止めたいときは、ハンドル624を動かないように固定しておけばよい。
【0042】
さらに、上記実施の形態では、被検水取出部3、採水管部5、採水口部4、連結ロッド53、固定ロッド52、及びスライド部材51をステンレス製としたが、これに限らず、例えば各部材を耐腐食性に優れた合成樹脂製としてもよい。また、上記実施の形態では、線状部材としてステンレス材を使用したが、これに限らず、例えば樹脂製のロープなどを用いるようにしてもよい。さらに、スライド部材51を第一スライドロッド51A〜第5スライドロッド5Eの5段構成、または第一スライドロッド51A〜第2スライドロッド5Bの2段構成としたが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1 採水装置、 2 収容ケース本体、 21 直管部、 3 被検水取出部、 31 水平取付管部、 33 送出管、 34 電磁弁、 35 真空ポンプ、 4 採水口部、 41 取水部材、 42 第1取水部材、 43 第2取水部材、 5 採水管部、 51 スライド部材、 51A〜51E スライドロッド、 511B 第1リング部材、 512C 第2リング部材、 52 固定ロッド、 6 採水管部伸縮装置、 61 線状部材、 62 線状部材巻取機構、 621 巻胴部材、 622 ケース体、 7 ストッパ機構、 71 ネジ軸、 72 ストッパ部材、 73 ガイド部材、 74 固定部材、 65 覗き窓部、 10 消火栓装置、 11 消火栓、 12 補修弁(弁装置)、 12a レバー、 15 水道管、 A 係止部、 B2 段部、 C1 段部、 M 目印、 R 流路、 S 設置空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道管から分岐された管路を開閉する弁装置の下流側に接続可能に形成された収容ケース本体と、この収容ケース本体の内外を貫通するように設けられ上記水道管を流れる水を外部に取出すための被検水取出部と、この被検水取出部の上記収容ケース本体の内部側端部に一端部が連結され、他端部側は先端部に採水口部を有し、かつ該採水口部が上記弁装置を経て上記水道管の管芯部まで伸びるように伸縮自在に形成された採水管部と、を備えたことを特徴とする採水装置。
【請求項2】
上記採水管部は、通流方向に隣接する一方の管材の内部に他方の管材が摺動自在に入り込むことで伸縮可能に連結され、かつ最大限伸ばしたときに、それ以上伸びないように互いに係合される係止部が設けられた径の異なる複数の管材からなることを特徴とする請求項1に記載の採水装置。
【請求項3】
上記採水管部は、上記複数の管材の全部を縮小したとき、上記収容ケース本体内に収まる寸法に形成したことを特徴とする請求項2に記載の採水装置。
【請求項4】
上記被検水取出部の内部及び上記採水管部の内部に跨って収容され、一端部が上記採水管部における伸長方向先端部の管材に固定された線状部材と、上記被検水取出部における上記収容ケース本体の外側部に設けられ上記線状部材の他端部を巻き取り、または繰り出す線状部材巻取機構を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の採水装置。
【請求項5】
上記線状部材巻取機構は、上記被検水取出部における上記収容ケース本体の外側部に固定されたケース体と、このケース体の内部に回動可能に水密保持され上記線状部材の他端部を巻き取り、または巻き取った線状部材を繰り出す巻胴部材と、この巻胴部材の軸方向一端部に同軸に設けられ上記ケース体の外部に突出された回動軸と、この回動軸に係合され上記巻胴部材を回動させる回動手段を用いて構成されてなることを特徴とする請求項4に記載の採水装置。
【請求項6】
上記回動手段により上記採水管部を伸ばしたときに、上記採水口部が上記水道管内の所定部に到達した時点で上記回動手段の回動を阻止するストッパ機構を備えたことを特徴とする請求項5に記載の採水装置。
【請求項7】
上記ストッパ機構は、上記巻胴部材の軸方向他端部に同軸に設けられかつ上記ケース体の外方に突出されたネジ軸と、このネジ軸に螺合され上記巻胴部材の回転に連れて上記ネジ軸に沿って移動するストッパ部材と、上記ケース体に対し上記ネジ軸に平行に立設され上記ストッパ部材をガイドするガイド部材と、このガイド部材の突出端部に固着され上記ストッパ部材の移動を制限する固定部材とを用いて構成されていることを特徴とする請求項6に記載の採水装置。
【請求項8】
上記線状部材の少なくとも1箇所に上記水道管の管芯近傍までの距離に応じた目印を付すと共に、上記被検水取出部の上記収容ケース本体外側に上記目印を目視できる覗き窓部を設けたことを特徴とする請求項4から請求項7までの何れかに記載の採水装置。
【請求項9】
上記採水口部は、上記水道管内の水道水を上記水道管の軸方向に直交する方向から取水する第1取水穴と、この第1取水穴に連通され、かつ上記水道管の軸方向に直交する方向から取水する第2取水穴を有することを特徴とする請求項1から請求項8までの何れかに記載の採水装置。
【請求項10】
上記弁装置は補修弁からなることを特徴とする請求項1から請求項9までの何れかに記載の採水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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