採血システム
ランセット保管ケース(6)に保管され、分析目的または診断目的のための血液サンプル採取に使用されるランセット(5)を再使用可能にし、穿刺動作実施に到るまでの時間を短縮するために、ランセット(5)の待機ポジション(6)内にランセット先端保護素子(13)を備え、ランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分析目的または診断目的に血液を採取するための採血システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液状試料、特に人間または動物体液の構成成分の定性および定量分析には、テストエレメントでの作業によるテスト方法が広範囲に使用されている。テストエレメントには試薬が含まれている。反応の実施には、試料をテストエレメントに接触させる。試料と試薬の反応により、テストエレメントに分析上特徴的な変化が現われ、適当な分析装置によりその評価が行なわれる。当該分析装置は、通例では特定メーカーの完全に特定されたタイプのテストエレメントに対する評価に適している。テストエレメントと評価装置は相互間で調和の取れた構成要素であって、全体で分析システムと称される。
【0003】
テストエレメントは様々な多数のタイプが公知であり、それぞれ測定原理、使用試薬および構成形態によって区別される。
【0004】
測定原理面で言えば、比色分析システムが特に広範に普及している。この場合では、試料とテストエレメントに含まれる試薬との反応で変色が現われるが、これは肉眼で、または測光装置により測定可能である。それらと並んで、電気化学分析システムも重要になってきており、この場合では試料とテストエレメント試薬との反応で電気的に測定し得る変化(電圧または電流の変化)が現われるが、それを然るべき計測電子機器により測定する。
【0005】
テストエレメントの構造面で言えば、特に帯状のテストエレメント(いわゆるテストストリップ)が有用である。その主要構成部は合成素材製の縦長担体層とその上に設置されたテストフィールドである。テストフィールドは、通例、試薬を含む単一または複数のテスト層から成っている。そのようなテストストリップは、特に血液検査および尿検査で広範に使用されている。
【0006】
テストエレメントの第2のタイプでは、写真スライドと同じようにテストフィールドがフレームで囲まれている。当タイプのテストエレメントにおけるテストフィールドは、通例、フレームで保持され、かつ比色テストに適した試薬を含む、単一または複数のテスト層から成っている。テストフィールドへの試料塗布およびテスト反応の経過後には、色形成の観察または比色測定が可能である。
【0007】
このような分析、診断目的に微量の血液を身体の一部(通例、指または耳たぶ)から採取するには、然るべき身体部分に穿刺されるランセットが使用される。手操作によりランセットで皮膚を傷付けて穿刺する限り、特別な訓練を受けた担当員が必要である。いずれにしろ、穿刺には相当な苦痛を伴う。
【0008】
既に随分前から、穿刺器とそれぞれの穿刺器に個別適合する対応のランセットから成る採血システムが使用されている。穿刺器のケーシングには、ランセットを機械的に皮膚に刺し込むランセット駆動装置が含まれている。しかしこの場合も苦痛は避けられない。できる限り苦痛のない採血を実現するために、様々な開発がなされている。
【0009】
特定の血液分析値について定期的観察が必要な場合には、特にこのことが要望される。これは特に、血糖量の検査がしばしば必要になる糖尿病患者に当てはまる。当患者の場合、インスリン注射の所要量が大きく変動するが、血糖量をできる限り定められた限界内に常々維持するにはそれに対応しなければならないからである。
【0010】
しかし実際には、採血システムに期待されるのは、最小限の苦痛感という要求を満たすことだけではなく、それと同時に操作が簡単であること、コンパクトでスリムな構成であることおよびコスト的に有利に簡易に製造可能であることも要求される。現場からのこの要求を受けて、一部相反するところのあるこれら要求に対してできる限り広範囲に応える血液分析器の開発が従来から続けられている。
【0011】
なかでも、いわゆる「ホームモニタリング」の領域、つまり医療の素人でも簡単に血液分析の行われる領域、特に糖尿病患者によるグルコース血中濃度の検査のための1日数度に及ぶ規則的採血の行われる領域には、ランセットおよびそれに適合する機器、つまりできる限り苦痛のない、再現可能な採血を可能にする、いわゆる「穿刺補助具」が提供されている。
【0012】
病院や開業医では、多数のラボテストの実施のため、被検者から静脈穿刺によりしばしば数ミリリットルの分析用血液が採取されているが、1つのパラメータに照準した個別分析には、今日数μlの血液で十分なことが多い。分析パラメータ測定のための試料採取量を数μlあるいはそれ以下にするのは、特に血中グルコース量の測定で普及しているが、そのほかたとえば、凝固パラメータ、トリグリセリド、HBA 1c(糖化ヘモグロビン)または乳酸塩の測定においてもその方法が適用されている。
【0013】
そのような微量の血液量であれば、静脈穿刺は必要でなく、被検者の皮膚を通して、たとえば指頭腹面または耳たぶに刺し込まれた無菌でシャープなランセットにより採血することができる。この方法は、特に、採血直後に血液試料の分析を行い得る場合に適している。
【0014】
小さな刺し傷を作って身体の一部から体液を採取するのに用いられるランセットは、先端が傾斜している1本の金属製ランセット針を有している。このランセットは使用までは無菌状態で保管されねばならず、また使用後は、好ましくは毀損することがないように処分しなければならない。以上の状況より、ランセットがランセット保管ケースから取り出せるように複数のランセットが当ケースの取り出しポジションに配置されている、ランセット保有の採血システムが提案された。
【0015】
この種ランセット保管ケースの可能な実施態様として、ランセットが個別に取り出せるドラム型収納器がある。この場合ランセットはドラム型収納器のそれぞれが個別に閉鎖されている仕切内に配置されている。使用済みのランセットは機器または分析器の外部で処分するか、または使用後安全な処分のためにランセット保管ケースに戻すこともできる。
【0016】
独国特許出願公開第19840856号明細書は、採血システム用のランセット・ディスペンサおよびランセット収納器からのランセットの然るべき取り出し方法について記述している。ランセット・ディスペンサは、その中に配置されたランセット収納ケース、ランセット誘導部およびランセット駆動装置を有している。
【0017】
血液分析器の現動向は、上記の要求に応えるため、好ましくはすべての機能が集約され、高度に統合された機器の提供という方向に向かっている。この種の血液分析器、たとえばグルコース計量計は、できる限りコンパクトな機器内にランセットを含む採血システム、ランセット用収納器、分析装置または分析システムを、および好ましくは同じように収納器内に、必要なテストエレメントを有している。その場合、好ましくは、収納材料全体、つまりランセットとテストエレメントは使用後機器内で処理し、たとえば利用後収納器に戻して収納器全体の交換までそこに保管する。
【0018】
たとえば別な様式による公知の血液分析器の場合、それぞれ1つずつのランセットとテストエレメントの統合された組み合せである統合「配列体」の使用がコンセプトになっている。つまり、1つのテストエレメントに対して1つのランセットが用意または装備されていて、テストエレメントの中に統合されている。
【0019】
このように統合もしくは高度に統合された測定器の場合、特にホームモニタリングなど移動式での使用が想定された測定器の場合、以下のような様々な問題が発生する。
先行技術では各採血毎に新たなランセットが使用されている。そのため、血液分析器内で占めるランセット収納器の空間はテストエレメント収納器の空間より大きくする必要があるが、血液分析器の小型化のためには、ランセット保管ケースの空間を縮小するのが望ましい。
幾例かのコスト償還システムでは分析の実施に必要な消耗品、たとえば使用済みのテストエレメントまたはテスト担体についての費用だけが償還され、ランセットなどの付属部品はその対象外である。そのことから、採血におけるランセットの反復使用、つまり複数回の穿刺利用を望む声が出てきている。
ランセットの繰返し使用では、ランセットを最初の使用までのあいだメカニカル面からも衛生面からも防護する必要があるばかりか、次の反復使用に到るまでもメカニカル面および衛生面から防護しなければならない。その場合、ランセットの最初の利用時に付いた血液および皮膚の残滓が残っていればそれらを除去しておくべきであろう。
最終的にはまた、ランセット保管ケースに戻される、またはそうでなく血液分析器または採血システムの内外で処置される最終回使用のランセットが汚れているために、ランセット保管ケースに置かれた未使用のランセットが汚染危険に曝されるという事態は防止する必要があろう。
高度に統合された血液分析器の場合では、測定過程開始時から皮膚内への穿刺実施までの時間的間隔が時として比較的長くなるという問題が存する。測定過程開始時点からランセットが皮膚内に穿刺されるまでに最大10秒間経過する場合がある。この時間のあいだ、身体の穿刺部分、たとえば指を血液分析器の操作出口に圧し当てて穿刺処置を待たねばならない。
この時間は多くの被検者には長過ぎると感じられる。しかし、先行技術レベルの常用採血システムではこの時間の大幅な短縮は不可能である。それは、ランセット駆動装置によってランセットをランセット保管ケースから取り出し、それをランセット先端用操作出口の穿刺ポジションまで運ばなければならないからである。
【発明の開示】
【0020】
本発明の目的は、ランセットの繰返し使用に伴って発生する、公知採血システムの抱える問題点を解決することにある。
【0021】
この課題は、添付の独立請求項の特徴を持つ、本発明に基づく採血システムおよび採血法によって解決される。本発明の有利な実施態様および改良形態は、従属請求項、下記明細書および対応図面から読み取られる。
【0022】
以上のように、本発明に基づく分析目的用または診断目的用の採血システムは、予備設定された穿刺路に沿ってケーシング内を移動することのできるランセットのランセット針のランセット先端用操作出口を持つケーシング、予備設定された穿刺路上でランセットを誘導することのできるランセット誘導部、ランセットを操作運転することができ、穿刺ポジションでランセットの先端が操作出口から外に出るまで、予備設定された穿刺路に沿ってランセットを穿刺方向に移動させることのできるランセット駆動装置およびケーシング内に配置され、その中に複数のランセットが取り出せるように取り出しポジションに待機配置されているランセット保管ケースを備えるほか、穿刺処置の前後にランセットの先端を導き入れておくことのできるランセット先端保護素子の装備されていることが特徴になっている。当保護素子はその中に収納したランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護している。ランセット先端保護素子はランセットの待機ポジションでランセット先端部に配置されているが、この待機ポジションは取出しポジションや穿刺ポジションとは一致していない。
【0023】
本発明に基づく血液採取方法では分析目的または診断目的に採血システムが使用される。当採血システムは、予備設定された穿刺路に沿ってケーシング内を移動するランセット針のランセット先端用操作出口を持つケーシング、予備設定された穿刺路上でランセットを誘導するランセット誘導部、ランセットを操作運転することができ、穿刺ポジションでランセットの先端が操作出口から外に出るまで、予備設定された穿刺路に沿ってランセットを穿刺方向に移動させるランセット駆動装置およびケーシング内に配置され、その中に複数のランセットが取り出せるように取り出しポジションに待機配置されているランセット保管ケースを備えるほか、穿刺処置の前後にランセットを導き入れるランセット先端保護素子の装備されていることが特徴になっている。当保護素子はその中に収納したランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護している。ランセット先端保護素子はランセットの待機ポジションでランセット先端部に配置されているが、この待機ポジションは取出しポジションや穿刺ポジションとは一致していない。
【0024】
本発明の本質的な特徴は、ランセットのポジションが保管ポジション(ランセット保管ケース内またはその取り出しポジション)と適用ポジション(操作出口での穿刺ポジション)に加えて、もう1つ、ランセットがランセット先端保護素子に導き入れられ、それによって保護される準備ポジション(待機ポジション)が設けられているところにある。
【0025】
採血を目的とするランセットの初回使用では、通例どおりランセットをランセット保管ケースから取り出して操作出口に直接当てることができる。それに代る方法として、初回使用の前に既に待機ポジションに置いておくことも可能である。しかしながら、ランセットの繰返し使用の場合では、初回使用後およびそれ以降の使用後には最終処分がなされるまでは毎回待機ポジションから反復使用される。採血用ランセットは、最終回の使用後には、たとえばランセット保管ケース内で、あるいは機器の外で直接処分することができる。しかしまた、処分の前にもう一度待機ポジションに戻してそこで清浄化し、それによってたとえばランセット保管ケースの他の素子への汚染を回避することもできる。
【0026】
本発明によれば、血液分析器においてもランセットを複数回使用して、適用前には、すなわち皮膚への穿刺前にはその都度メカニカル面および衛生面の観点から保護することが可能である。同時に、採血準備の段階から穿刺過程実施に到るまでの時間を短縮することもできる。待機ポジションではランセットは広範に清浄化することが可能で、たとえば滅菌することができ、同時に外的影響、たとえば衝撃に対しても保護されている。
【0027】
ランセットが一時的に待機ポジションに配置されていれば、ランセットは利用に備えてそこで準備することができる。その場合、血液分析システム操作出口における穿刺ポジションへは、待機ポジションからの移行のほうがランセット保管ケースにおける取出しポジションからの移行より迅速に行えるように、ランセットの配置および/またはランセットの移動経路が最適化されていれば、穿刺動作実施に到るまでの時間を所望の通り短縮することができる。
【0028】
それに対応してさらに有利な特徴を持つものとして、ランセット先端保護素子と待機ポジションの配置を操作出口の直近にすることが提案される。
【0029】
メカニカル的に簡易で好ましい実施態様として、ランセット先端保護素子を固定式に、すなわち採血システムまたは血液分析器ケーシング内の一定場所に配置することが可能である。しかしまた、ランセット先端保護素子を駆動装置によってランセットの先端に移動させる、別な実施態様も想定できる。
【0030】
さらに別な有利な特徴として、ランセットの先端を挿入することのできる弾性素材によりランセット先端保護素子を包み込むことも提案される。これにはたとえば、ランセット先端に当る領域が弾性素材から成っている合成物質構成体が考えられる。ランセット針の少なくとも先端はこの弾性素材で周囲全体が完全に取り囲まれて、すなわちその中に埋め込まれて周囲から遮断された状態になる。この弾性素材は、たとえば、柔軟で変形可能であって、ランセット針の先端を突き通してもランセット先端を損傷しないという特長を持っている。この弾性素材の場合、その上、ランセット針を必要に応じてランセット先端保護素子から抜き出した際に元どおり閉じるので、穿刺過程終了後には当ランセット針を、あるいは別なランセット針を改めてこの弾性素材の中に挿入できるという別な重要特性を有している。
【0031】
弾性素材はメカニカル面でランセットの先端保護を担い、ランセット先端の損傷を防止する。しかも、周囲を取り囲むことから、ランセット針の未使用、使用済みの別なく、特にそれが病原菌に対し侵入阻止性または回避性のものであるなら、使用前におけるランセット先端の滅菌にも寄与する。
【0032】
適した弾性素材は国際公開第01/66010号パンフレットおよび米国特許出願公開第2001/0041904号明細書に記載されている。これらの文献はこの点に関してのみ引用する。適した弾性素材としては、たとえばシリコン、ゴムまたはエラストマー(たとえば、ポリブタジエンまたはポリイソプレンなどのイソプレン(すなわち、硬度を上げるため必要に応じて加硫したインドゴム))、エラストメリックな共重合体(たとえばスチレン−ブタジエン共重合体)または熱可塑性エラストマー(たとえば、ポリウレタン)がある。これらは柔軟で変形可能であり、ランセット針を刺し通してもランセット針に損傷を与えることなく、使用ランセットの先端周囲を取り巻いて密封状態にする。しかも、熱可塑性エラストマーは射出成形過程によって加工することが可能なのでコスト面で有利に製造することができる。
【0033】
弾性素材によれば、たとえば、特に病原菌/微生物殺傷特性を持つ軟質合成物質によれば、ランセットの初回使用前または使用と使用のあいだその先端を保護して無菌状態で保管することが可能である。軟質合成物質としては、ランセットを沈めた際にランセットの先端または本体を損傷したり、過剰に磨滅させたりすることのないものとすべきであろう。同時にその素材は、ランセットの反復使用後でもランセットを十分に包み込み、バラバラにならずに密封するものとすべきであろう。
【0034】
また別な有利な実施態様として、ランセット先端の清浄または保護のために、ランセット先端保護素子を滅菌性、微生物殺傷性、不活性化性、消毒性、殺細菌性または殺真菌性素材で包み込むことも可能である。その場合上記の弾性素材にこのような特性を持たせるのが好ましい。それにより、待機ポジションのランセットは保護されるだけでなく清浄化もされるので、複数回使用することができる。
【0035】
適した滅菌性素材は、これに関してのみ引用する米国特許出願公開第2001/0041904号明細書に開示されている。適した素材としては、たとえば、酸化剤、フェノール、エポキシド、過酸化物、フォルムアルデヒドのポリマー、その他のモノアルデヒド、ジアルデヒド、ポリアルデヒド(たとえばグルタルアルデヒド)、過酸化水素を含む系、沃素含有錯体および銀または銅の金属塩がある。本発明の枠内で特に有利であると実証されているのは、合成物質に添加混合できるDegussa社のSAMポリマー、たとえばLimago T100またはAmina T100である。
【0036】
本発明に基づく採血システムは、ランセットが採血目的に複数回使用できて、穿刺処置後はランセット先端保護素子へ移動させて次回処置まではそこで保管できるように構成されているのが好ましい。本発明に基づく採血システムまたは対応の血液分析器は、ランセットの持つ複数回使用の可能性により、装備されるランセットの数は対応のテストエレメントの装備数より少なく、ランセット数と同数の対応テストエレメントが装備される先行技術の場合とは異なった構成にすることができる。このようにして、所要場所だけでなくコストも削減することができる。
【0037】
次回の採血ではランセット保管ケースから新しいランセットが使用されるのか、あるいは既に採血目的に使用されたランセットがランセット先端保護素子の待機ポジションから使用されるのかを利用者が設定可能な操作素子が装備されていれば有利である。そのようにすれば、ランセット先端の鋭利度が低下し穿刺痛が大きくなってきた時に、利用者はどの時点で新たなランセットに代えるかの決定をすることができる。これは、たとえば、利用者が1ランセットで実施される採血数をプレセットし、そのプレセット使用回数に達したランセットは処分するという方法で行うこともできる。
【0038】
本発明は高度に統合された分析システムとして有用であることが実証されている。本システムにはランセット収納器に加えてテストエレメントも含まれている。ランセット素子とテストエレメント双方がシステム内に納められていれば、前述のとおり、それに制約されてケーシングから出口までのランセットの移動経過が手間取るようになる。それはランセット収納器をケーシング操作出口の真上にポジション設定することができないからである。その結果、穿刺過程の実施にはXおよびY方向での複雑な移動経過が必要になるが、前記の待機ポジションの利用によりこの移動経過の簡易化が実現できる。したがって、採血システムにテストエレメント用収納器を含み持たせること、つまりテストエレメント用収納器を採血システムに統合し、それも特にケーシング内に配置させることが有利な特長として提案される。テストエレメント用収納器は取換可能なのが好ましい。
【0039】
以下では本発明を図に描かれた実施例に基づきより詳しく説明する。そこに示された特徴は、本発明の好ましい実施態様の形成のために、個別に、または組み合わせて使用することができる。各図は次のとおりである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1は、先行技術による血液分析器2の採血システム1を統合型グルコース計量計の形態で模式化して示したものであり、その中には血液分析に必要な消費材が収納されている上に、血液分析に必要な経路が統合されている。採取血液を分析するテストエレメントは、図を見易くするため描かれていない。
【0041】
採血システム1は、ランセット5による血液試料採取を可能にする操作出口4を持つケーシング3を有している。ランセット5は、図示された実施例では回転型ドラムであるランセット保管ケース6の中に入っている。カートリッジ式のランセット保管ケース6の中には複数のランセット5が収納されているが、それらはその中で、たとえば動きの取れるルーズな状態で、またはホルダー素子で締付固定された状態で配置することができる。ランセット保管ケース6は、ランセット保管ケース6内に収納されているランセット5の中から取出しの順番に当っているものを取出しポジションに移動させるため、回転軸7の周りを回転できるようになっている。
【0042】
ランセット5は、たとえば、適合グリッパー9付のピストン式旋回ユニット形式のランセット駆動装置8によりランセット保管ケース6から取り出して、操作出口4の試料採取、穿刺ポジションの位置に移動させ、そこでの採血後処分するためランセット保管ケース6に戻すことができる。ランセット駆動装置8は回転軸10の周りを旋回することができ、穿刺処置の方向に向いている線軸11に沿って移動することができる。
【0043】
図1に示した先行技術に基づく採血システム1の使用による試料採取の経過を後続の図面を基に説明する。図2に見られるように、まずランセット保管ケース6が回転し、大抵は一番近いポジションにある取出し対象のランセット5が、ランセット駆動装置8のグリッパー9で捕捉し得る取出しポジションに移動させられる。そのためには、図3にしたがって、ランセット駆動装置8が図にはない出発ポジションから先ず回転ポジションへと上方へ移動し、グリッパー9に作用して回転軸10の周りを回転させながら取出し位置、すなわちランセット保管ケース6から取り出される順番に当っているランセット5のポジション下方に回転移動し、続いてそこから上方へさらに移動することによりランセット5をグリッパー9に固定させる。次に、図4に描かれた下方移動によりランセット5はランセット保管ケース6から引き出され、回転軸10の周りを回転できるポジションに達する。
【0044】
次に、ランセット5は図5にしたがい回転運動により試料採取用の操作出口4の下方にポジション設定され、運転操作を通じて上方の操作出口4の近くに、またはその中に運ばれ、穿刺ポジションに置かれる。操作出口4には身体部分、たとえば指先12が当てられる。ランセット5は、ランセット針の先端における、図には描かれていない短い穿刺動作によって指先12または操作出口4に当てられた他の身体部分の皮膚表面を突き刺し、少量の血液試料を採取することができる。
【0045】
採取血液が、図には描かれていない、たとえばテストストリップなどの分析装置または分析システムによって、ケーシング3の中または外で分析された後、ランセット5は図6にしたがいランセット保管ケース6に戻される。そのため、ランセット駆動装置8は先ず回転ポジションに到るまで下方運動を行う。その後ランセット駆動装置8は処分対象のランセット5を伴ったグリッパー9をランセット保管ケース6の、その時点で空席になっている収納ポジションにまで回転移動させ、続いて上方への運転操作により使用済みランセット5をランセット保管ケース6に戻し置く。その後ランセット駆動装置8は再び下方へ少し移動し、図7のとおり旋回して戻り、次に図示されていない下方位置の出発ポジションに移動する。その位置から次の採血操作が行われる。新たな採血では前記工程が繰り返される。その場合、新たなランセット5がその都度ランセット保管ケース6から取り出され、移動区間または運転区間全体を新たに通される。
【0046】
図2〜7に描かれた、先行技術による経過にはいくつか欠点がある。1つには移動距離、したがってまたランセット駆動装置8の運転時間が長過ぎるため、利用者はランセット駆動装置8の開始ポジションにおける採血作業の始動から、ランセット5がランセット保管ケース6より準備されて操作出口4で穿刺処置が行われるまで長いあいだ待たされねばならない。そのほか、採血毎に新たなランセット5が用意されるので、ランセット保管ケース6には比較的大きな収納場所が必要になる。保管ケース6から行うランセット5の反復使用では長い移動距離の問題は残されたままであるし、また、使用済みランセット5の次回使用までの滅菌問題や未使用無菌ランセット5を含むランセット保管ケース6の使用済み回収ランセットによる汚染の回避を巡る問題も発生する。
【0047】
これらの欠点は、図8に描かれた本発明に基づく採血システム1によって解消される。その構造は、穿刺処置の前後の過程ではランセットの先端を中に収納しておくことのできるランセット先端保護素子13を有していて、その保護素子13が中に導き入れられたランセット先端をメカニカル面および衛生面で保護しているという相違点を除けば、図1に描かれた先行技術に基づく採血システムの構造に一致している。保護素子13はランセット5の待機ポジションにおけるランセットの先端に配置されている。すなわち、ランセットの先端は待機ポジションにおいて保護素子13内に引き入れられている。待機ポジションは、ランセット5がランセット保管ケース6から取り出される取出しポジションとも、採血の行われる、操作出口4における穿刺ポジションとも一致しない。
【0048】
ランセット先端の待機ポジション、すなわち保護素子13のポジションは、好ましくはケーシング3の内部で、特に操作出口4の直近位置とする。また別な有利な実施態様として、ランセット先端保護素子13がランセット保管ケース6内に配置されている、すなわち収納器に統合されている場合も想定可能である。
【0049】
弾性素材15は使用によって磨滅する。たとえば、合成物質は穴があいたり汚れがつく(血液残滓、鱗屑、環境要因)。この理由から、ランセット先端保護素子13または弾性素材15は不動型、すなわち固定型または定置型の機器構成部品ではなく取換可能なものであれば有利である。たとえば保護素子13または弾性素材15は、利用者が一定間隔で取り換えることのできる交換可能品、つまり消費材として、たとえば別売り製品として、あるいはランセット5各梱包に付けた補充品として形成することが可能である。また、ランセット先端保護素子13はランセット保管ケース6内に統合することも同様に可能である。これは収納器の取り換え毎に同時に交換され、利用者に余分な監視行動などの負担をかけることはない。
【0050】
図9〜11は、固定設置された、すなわちケーシング3内の一定場所に配置された保護素子13の実施態様を図示したものである。図9にはケーシング3の内側に配置された保護素子13が示されている。これは、ランセットの先端を挿入することのできる弾性素材の満たされたソリッド本体14を有している。それには、滅菌性、病原菌殺傷性薬剤の混入された軟質合成物質が満たされている。弾性素材15はその中に挿入されるランセット5の先端を、たとえば汚染、振動およびそれに伴う損傷など環境要因から護り、ランセット5が弾性素材15に入り込んだ際にランセットの汚れを拭い取って清浄化し、また殺菌剤を混入することによって殺菌する。
【0051】
図9に描かれた、ランセット先端保護素子13内におけるランセット5の待機ポジションでは、ランセット5はランセット駆動装置8により、および/またはグリッパー部分16では図には描かれていないホルダー装置により落下防止状態に維持することができる。そのようなホルダー装置は能動機能を持つ、すなわち能動性の捕捉装置を装備することができる。あるいはたとえば締付装置として受動機能性に構成することもできる。
【0052】
図10および11は図9の詳細部分図である。図10ではランセット保護素子13がケーシング3の内側に統合されているが、図11ではそれはケーシング3の内側に載せてある。図23には別な変化形態が描かれている。
【0053】
図12〜19は、図8の採血システム1による採血経過を描いたものである。ランセット5をランセット保管ケース6から取り出し、指先への穿刺移動によって採血を行う先行段階は図示されていない。それらの工程の経過は図2〜5に一致する。これに代り、ランセット保管ケース6から取り出した未使用の新たなランセット5を直接採血に使用せずに、先ずは待機ポジションであるランセット先端保護素子13に移動させ、採血実施時点が来たときに待機ポジションからランセットを取り出すという方法も可能である。これにより、未使用の新たなランセットの初回使用から穿刺処置実施に到るまでの経過時間を短縮することもできる。
【0054】
図12〜19は、ランセット5により採血を実施した後の経過を図解している。図12〜16の実施態様ではランセット5は保護素子13内の待機ポジションで待機しており、ランセット駆動装置8はそれに対応して別な出発ポジションに移動する。図17〜19ではランセット駆動装置8はランセット5と共に待機ポジションに留まっている。
【0055】
図12では穿刺処置後ランセット駆動装置はグリッパー9および捕捉されたランセット5と共に先ず下方へ移動する。グリッパー9は、ランセット5をランセット保管ケース13から取り出すための旋回運動が行われる回転平面にできる限り密着した回転平面で回転運動をなすことによって保護素子13の下方へ回転移動する。下方への移動によりランセット5は待機ポジションに運ばれ、保護素子13の柔軟な合成物質内へ圧入される。その場合、弾性素材15の保持力が十分でなければ、図にはない能動性または受動性のホルダー装置で保持することができる。ランセット5は、好ましくもランセット駆動装置8により、ランセット先端が保護素子13に納まる待機ポジションへ運ぶことができる。構成コスト増が甘受できるのであれば、ランセット保管ケース6からのランセット5運び出しとしては機能しない特別な駆動装置を装備することもできる。
【0056】
ランセットの先端が穿刺動作に平行な動きによってランセット先端保護素子に挿入できるように、ランセット先端保護素子13が配置されていれば、ランセット5の構成コストおよび移動距離は最小化される。
【0057】
ランセット5がランセット駆動装置8を有しない保護素子13内に留まっている図13では、ランセット駆動装置8はランセット5抜きで先ず少し下方に戻り、次に離れた位置の旋回ポジションへと回転移動し、さらに下方へ進み図13の外側にある出発位置に到達する。
【0058】
ランセット駆動装置8が図の外側に位置する出発ポジションにあり、ランセット5がランセット先端保護素子13の待機ポジションにある最終時点の位置関係が図14に描かれている。ランセット5は、後続の採血実施のため待機ポジションからランセット駆動装置8により運び出すことができる。ランセット5をランセット保管ケース6の外側で待機させることで、ランセット保管ケース6またはその中に含まれる、未使用ランセットが使用済みランセット5に付着する試料物質に汚染されることが防止される。さらに、新たな穿刺過程のための、待機ポジションから操作出口までのランセットの移動が迅速化できる。それは、新たなランセットの取り出しに当りランセット保管ケース6の新たなポジション設定は必要ないからである。
【0059】
図15および16には、既に1回または数回使用されたランセット5(または、場合によってはまだ未使用のランセット5)が血液試料の採取のため、保護素子13内の待機ポジションから如何に運び出され、それに続き如何に処置されるかが図解されている。図15のとおり、ランセット駆動装置8は先ず出発ポジションから上方へ移動し、次にグリッパー9を待機ポジションのランセット5下方に旋回移動させ、ランセット5を捕捉するために、そこから少し上方へ移動する。その後、ランセット駆動装置8が図16のとおり少し下方に移動するとランセット5は保護素子13から引き出される。ランセット駆動装置はランセットを指先12に刺し込むため、左に旋回して、上方移動によりランセット5を操作出口4近辺の穿刺ポジションに移動させる。
【0060】
たとえば、使用者が設定した、ランセット5による穿刺過程の回数に達したことで、もはやランセット5が必要でなくなった場合、ランセット5は処分のためランセット保管ケース6に廻される。この操作工程は図6および7にしたがって行われる。
【0061】
本発明に基づく方法の長所は、穿刺処置に使用されたランセット5をランセット保管ケース6へ回収する操作工程を含むことができる点にある。本発明で特に有利なのは、穿刺過程の終了後ランセット5をランセット保管ケース6に収納する前に先ず待機ポジションに移すことで、ランセット保管ケース6を汚すことなく使用済みランセット5を収納することが可能な点である。したがって、好ましい特徴として、使用済みランセット5はランセット保管ケース6に戻す前にランセット先端保護素子13の待機ポジションへ挿入すること、すなわち、使用済みランセット5はそれ以上穿刺過程に使用しない場合でも先ず待機ポジションに移すことが提案される。ランセット保管ケース6は、必要であれば再収納された使用済みランセット5と共に適当な時期に取り換えることができる。
【0062】
このように、ランセット保管ケース6は、採血システム1または血液分析器2へのランセット5の転送、未使用ランセットの収納保持および使用済みランセットの処分にのみ利用される。
【0063】
図17〜19は、ランセット駆動装置8が採血後待機ポジション内のランセット5近傍に留まっている代替変化形態の図解である。図17は、ランセット5が如何にして待機ポジションに運ばれるかを図解したものである。その経過は図12に描いた経過に一致する。しかし図13および14とは異なり、続いてランセット駆動装置8は待機ポジションのランセット5から移動や旋回によって離れることなく、グリッパー9は待機ポジションのランセット5に接しているか、または直近の距離内に留まっている。この模様は図18に描かれている。この場合では、図14に描かれた最終位置に比べて、待機ランセット5による後続の採血での移動時間がさらに短縮されるという長所がある。それは、図15に描かれた移動距離が無いからである。継続して採血を実施するには、図19に図示された、図16と同じ操作工程を行うことができる。もはや使用しないランセット5の処分は上記の第1変化態様の場合と同様にする。
【0064】
図20〜22は、本発明に基づく採血システムを持つ血液分析器2の変化態様を図解したものである。血液分析器2の上側にはリボルバー類似の採取装置18を持つテストエレメント収納器17が存在する。下側には、テストエレメント収納器17から独立して取り換えることのできるランセット保管ケース6がある。別な実施態様として、ランセットとテストエレメントは保管ケースに統合することもできる。
【0065】
ランセット5は、図には描かれていないランセット駆動装置によりランセット保管ケース6内を下から上へ押し入れられる。ランセット保管ケース6の横には、ゲル状の軟質合成物質の満たされたランセット先端保護素子13が並置されている。別な実施態様として、保護素子13の位置で定義付けされる待機ポジションをランセット保管ケース6内の1ポジションを占めることもできよう。保護素子13の下方には、待機ポジション内ランセット用の補助具として、たとえば保持クリップ形態のホルダー装置19が配置されている。
【0066】
図21には操作経過が3段階の操作工程で図示されている。ランセット保管ケース6内のランセット5保管ポジションにランセット駆動装置が下から入り込む。その場合たとえば、この時点まで無菌性を保証してきたシーリング箔が突き破られる。ランセットは採取装置で捕捉され、ランセット保管ケース6から上方に駆動されてたとえばシーリング箔を通って再び外に出される。穿刺処置の終了後、ランセットはランセット駆動装置によりランセット保管ケース6に戻される。先行技術ではそこでランセット駆動装置から切り離されて処分される。先行技術では、次の採血にはランセット保管ケース6が1つ分ポジション移動して、新たなランセットが使用されることになる。
【0067】
しかし図21(中央)によれば、使用済みランセット5はランセット保管ケース6を通って下方へ引き出された後、ランセット駆動装置によって脇へ旋回され、ランセットの継続使用のための準備がなされるランセット先端保護素子13へと上方移動させられる(図21右)。ランセットの待機ポジションからの再使用には、ランセットが逆ルートで運ばれる。すなわち、先ず下方へ引き出されて脇へ旋回され、ランセット保管ケース6内を上方へ誘導される。
【0068】
図22は、殺菌性弾性素材15の満たされたランセット先端保護素子13の中のランセット5を示している。ランセットはホルダー装置19によって固定されている。
【0069】
図23は保護素子13の変化態様例を図解したものである。(採血のための)穿刺過程で毛細管(毛細血管)に命中してしまって、場合によっては予期しないほど多量に出血するということが起こり得る。血液は滴状20になってランセット5に集まろう。この滴20は、ランセット5を(待機ポジションのゲル状)弾性素材15を刺し込んだ際に拭い取られよう。まだ液状を保っている血液はそこから下方へ流れ落ちるか、成層状に集積するので、やがては、弾性素材15の中に入り込んでいないランセット5部分を汚染することになろう。それを救済するのが、たとえばセルロースなどの吸収性素材を含む弾性素材15用カバー21である。これは、必要に応じて血液滴を吸収し、内部で結合させる。カバー21材には十分な強度、高い組織密度(複数の穿刺に対応する吸収力および安定性)および「無綿屑性」が要求される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】先行技術によるグルコース計量計の構造を示す図である。
【図2】図1に基づく試料採取の工程1を示す図である。
【図3】図1に基づく試料採取の工程2を示す図である。
【図4】図1に基づく試料採取の工程3を示す図である。
【図5】図1に基づく試料採取の工程4を示す図である。
【図6】図1に基づく試料採取の工程5を示す図である。
【図7】図1に基づく試料採取の工程6を示す図である。
【図8】本発明に基づくグルコース計量計の構造を示す図である。
【図9】図8の仔細部分図である。
【図10】図8のその他仔細部分図である。
【図11】図10の変化図である。
【図12】図8に基づく試料採取の工程1を示す図である。
【図13】図8に基づく試料採取の工程2を示す図である。
【図14】図8に基づく試料採取の工程3を示す図である。
【図15】図8に基づく試料採取の工程4を示す図である。
【図16】図8に基づく試料採取の工程5を示す図である。
【図17】図8に基づく試料採取の工程1に対する変化形態を示す図である。
【図18】図8に基づく試料採取の工程2に対する変化形態を示す図である。
【図19】図8に基づく試料採取の工程5に対する変化形態を示す図である。
【図20】図8に対する変化形態を示す図である。
【図21】図20の仔細部分図である。
【図22】図20のその他仔細部分図である。
【図23】図10に対するその他変化形態を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 採血システム
2 血液分析器
3 ケーシング
4 操作出口
5 ランセット
6 ランセット保管ケース
7 6の回転軸
8 ランセット駆動装置
9 グリッパー
10 8の回転軸
11 8の線軸
12 指先
13 ランセット先端保護素子
14 本体
15 弾性素材
16 捕捉部
17 テストエレメント収納器
18 採取装置
19 ホルダー装置
20 滴
21 カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は分析目的または診断目的に血液を採取するための採血システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液状試料、特に人間または動物体液の構成成分の定性および定量分析には、テストエレメントでの作業によるテスト方法が広範囲に使用されている。テストエレメントには試薬が含まれている。反応の実施には、試料をテストエレメントに接触させる。試料と試薬の反応により、テストエレメントに分析上特徴的な変化が現われ、適当な分析装置によりその評価が行なわれる。当該分析装置は、通例では特定メーカーの完全に特定されたタイプのテストエレメントに対する評価に適している。テストエレメントと評価装置は相互間で調和の取れた構成要素であって、全体で分析システムと称される。
【0003】
テストエレメントは様々な多数のタイプが公知であり、それぞれ測定原理、使用試薬および構成形態によって区別される。
【0004】
測定原理面で言えば、比色分析システムが特に広範に普及している。この場合では、試料とテストエレメントに含まれる試薬との反応で変色が現われるが、これは肉眼で、または測光装置により測定可能である。それらと並んで、電気化学分析システムも重要になってきており、この場合では試料とテストエレメント試薬との反応で電気的に測定し得る変化(電圧または電流の変化)が現われるが、それを然るべき計測電子機器により測定する。
【0005】
テストエレメントの構造面で言えば、特に帯状のテストエレメント(いわゆるテストストリップ)が有用である。その主要構成部は合成素材製の縦長担体層とその上に設置されたテストフィールドである。テストフィールドは、通例、試薬を含む単一または複数のテスト層から成っている。そのようなテストストリップは、特に血液検査および尿検査で広範に使用されている。
【0006】
テストエレメントの第2のタイプでは、写真スライドと同じようにテストフィールドがフレームで囲まれている。当タイプのテストエレメントにおけるテストフィールドは、通例、フレームで保持され、かつ比色テストに適した試薬を含む、単一または複数のテスト層から成っている。テストフィールドへの試料塗布およびテスト反応の経過後には、色形成の観察または比色測定が可能である。
【0007】
このような分析、診断目的に微量の血液を身体の一部(通例、指または耳たぶ)から採取するには、然るべき身体部分に穿刺されるランセットが使用される。手操作によりランセットで皮膚を傷付けて穿刺する限り、特別な訓練を受けた担当員が必要である。いずれにしろ、穿刺には相当な苦痛を伴う。
【0008】
既に随分前から、穿刺器とそれぞれの穿刺器に個別適合する対応のランセットから成る採血システムが使用されている。穿刺器のケーシングには、ランセットを機械的に皮膚に刺し込むランセット駆動装置が含まれている。しかしこの場合も苦痛は避けられない。できる限り苦痛のない採血を実現するために、様々な開発がなされている。
【0009】
特定の血液分析値について定期的観察が必要な場合には、特にこのことが要望される。これは特に、血糖量の検査がしばしば必要になる糖尿病患者に当てはまる。当患者の場合、インスリン注射の所要量が大きく変動するが、血糖量をできる限り定められた限界内に常々維持するにはそれに対応しなければならないからである。
【0010】
しかし実際には、採血システムに期待されるのは、最小限の苦痛感という要求を満たすことだけではなく、それと同時に操作が簡単であること、コンパクトでスリムな構成であることおよびコスト的に有利に簡易に製造可能であることも要求される。現場からのこの要求を受けて、一部相反するところのあるこれら要求に対してできる限り広範囲に応える血液分析器の開発が従来から続けられている。
【0011】
なかでも、いわゆる「ホームモニタリング」の領域、つまり医療の素人でも簡単に血液分析の行われる領域、特に糖尿病患者によるグルコース血中濃度の検査のための1日数度に及ぶ規則的採血の行われる領域には、ランセットおよびそれに適合する機器、つまりできる限り苦痛のない、再現可能な採血を可能にする、いわゆる「穿刺補助具」が提供されている。
【0012】
病院や開業医では、多数のラボテストの実施のため、被検者から静脈穿刺によりしばしば数ミリリットルの分析用血液が採取されているが、1つのパラメータに照準した個別分析には、今日数μlの血液で十分なことが多い。分析パラメータ測定のための試料採取量を数μlあるいはそれ以下にするのは、特に血中グルコース量の測定で普及しているが、そのほかたとえば、凝固パラメータ、トリグリセリド、HBA 1c(糖化ヘモグロビン)または乳酸塩の測定においてもその方法が適用されている。
【0013】
そのような微量の血液量であれば、静脈穿刺は必要でなく、被検者の皮膚を通して、たとえば指頭腹面または耳たぶに刺し込まれた無菌でシャープなランセットにより採血することができる。この方法は、特に、採血直後に血液試料の分析を行い得る場合に適している。
【0014】
小さな刺し傷を作って身体の一部から体液を採取するのに用いられるランセットは、先端が傾斜している1本の金属製ランセット針を有している。このランセットは使用までは無菌状態で保管されねばならず、また使用後は、好ましくは毀損することがないように処分しなければならない。以上の状況より、ランセットがランセット保管ケースから取り出せるように複数のランセットが当ケースの取り出しポジションに配置されている、ランセット保有の採血システムが提案された。
【0015】
この種ランセット保管ケースの可能な実施態様として、ランセットが個別に取り出せるドラム型収納器がある。この場合ランセットはドラム型収納器のそれぞれが個別に閉鎖されている仕切内に配置されている。使用済みのランセットは機器または分析器の外部で処分するか、または使用後安全な処分のためにランセット保管ケースに戻すこともできる。
【0016】
独国特許出願公開第19840856号明細書は、採血システム用のランセット・ディスペンサおよびランセット収納器からのランセットの然るべき取り出し方法について記述している。ランセット・ディスペンサは、その中に配置されたランセット収納ケース、ランセット誘導部およびランセット駆動装置を有している。
【0017】
血液分析器の現動向は、上記の要求に応えるため、好ましくはすべての機能が集約され、高度に統合された機器の提供という方向に向かっている。この種の血液分析器、たとえばグルコース計量計は、できる限りコンパクトな機器内にランセットを含む採血システム、ランセット用収納器、分析装置または分析システムを、および好ましくは同じように収納器内に、必要なテストエレメントを有している。その場合、好ましくは、収納材料全体、つまりランセットとテストエレメントは使用後機器内で処理し、たとえば利用後収納器に戻して収納器全体の交換までそこに保管する。
【0018】
たとえば別な様式による公知の血液分析器の場合、それぞれ1つずつのランセットとテストエレメントの統合された組み合せである統合「配列体」の使用がコンセプトになっている。つまり、1つのテストエレメントに対して1つのランセットが用意または装備されていて、テストエレメントの中に統合されている。
【0019】
このように統合もしくは高度に統合された測定器の場合、特にホームモニタリングなど移動式での使用が想定された測定器の場合、以下のような様々な問題が発生する。
先行技術では各採血毎に新たなランセットが使用されている。そのため、血液分析器内で占めるランセット収納器の空間はテストエレメント収納器の空間より大きくする必要があるが、血液分析器の小型化のためには、ランセット保管ケースの空間を縮小するのが望ましい。
幾例かのコスト償還システムでは分析の実施に必要な消耗品、たとえば使用済みのテストエレメントまたはテスト担体についての費用だけが償還され、ランセットなどの付属部品はその対象外である。そのことから、採血におけるランセットの反復使用、つまり複数回の穿刺利用を望む声が出てきている。
ランセットの繰返し使用では、ランセットを最初の使用までのあいだメカニカル面からも衛生面からも防護する必要があるばかりか、次の反復使用に到るまでもメカニカル面および衛生面から防護しなければならない。その場合、ランセットの最初の利用時に付いた血液および皮膚の残滓が残っていればそれらを除去しておくべきであろう。
最終的にはまた、ランセット保管ケースに戻される、またはそうでなく血液分析器または採血システムの内外で処置される最終回使用のランセットが汚れているために、ランセット保管ケースに置かれた未使用のランセットが汚染危険に曝されるという事態は防止する必要があろう。
高度に統合された血液分析器の場合では、測定過程開始時から皮膚内への穿刺実施までの時間的間隔が時として比較的長くなるという問題が存する。測定過程開始時点からランセットが皮膚内に穿刺されるまでに最大10秒間経過する場合がある。この時間のあいだ、身体の穿刺部分、たとえば指を血液分析器の操作出口に圧し当てて穿刺処置を待たねばならない。
この時間は多くの被検者には長過ぎると感じられる。しかし、先行技術レベルの常用採血システムではこの時間の大幅な短縮は不可能である。それは、ランセット駆動装置によってランセットをランセット保管ケースから取り出し、それをランセット先端用操作出口の穿刺ポジションまで運ばなければならないからである。
【発明の開示】
【0020】
本発明の目的は、ランセットの繰返し使用に伴って発生する、公知採血システムの抱える問題点を解決することにある。
【0021】
この課題は、添付の独立請求項の特徴を持つ、本発明に基づく採血システムおよび採血法によって解決される。本発明の有利な実施態様および改良形態は、従属請求項、下記明細書および対応図面から読み取られる。
【0022】
以上のように、本発明に基づく分析目的用または診断目的用の採血システムは、予備設定された穿刺路に沿ってケーシング内を移動することのできるランセットのランセット針のランセット先端用操作出口を持つケーシング、予備設定された穿刺路上でランセットを誘導することのできるランセット誘導部、ランセットを操作運転することができ、穿刺ポジションでランセットの先端が操作出口から外に出るまで、予備設定された穿刺路に沿ってランセットを穿刺方向に移動させることのできるランセット駆動装置およびケーシング内に配置され、その中に複数のランセットが取り出せるように取り出しポジションに待機配置されているランセット保管ケースを備えるほか、穿刺処置の前後にランセットの先端を導き入れておくことのできるランセット先端保護素子の装備されていることが特徴になっている。当保護素子はその中に収納したランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護している。ランセット先端保護素子はランセットの待機ポジションでランセット先端部に配置されているが、この待機ポジションは取出しポジションや穿刺ポジションとは一致していない。
【0023】
本発明に基づく血液採取方法では分析目的または診断目的に採血システムが使用される。当採血システムは、予備設定された穿刺路に沿ってケーシング内を移動するランセット針のランセット先端用操作出口を持つケーシング、予備設定された穿刺路上でランセットを誘導するランセット誘導部、ランセットを操作運転することができ、穿刺ポジションでランセットの先端が操作出口から外に出るまで、予備設定された穿刺路に沿ってランセットを穿刺方向に移動させるランセット駆動装置およびケーシング内に配置され、その中に複数のランセットが取り出せるように取り出しポジションに待機配置されているランセット保管ケースを備えるほか、穿刺処置の前後にランセットを導き入れるランセット先端保護素子の装備されていることが特徴になっている。当保護素子はその中に収納したランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護している。ランセット先端保護素子はランセットの待機ポジションでランセット先端部に配置されているが、この待機ポジションは取出しポジションや穿刺ポジションとは一致していない。
【0024】
本発明の本質的な特徴は、ランセットのポジションが保管ポジション(ランセット保管ケース内またはその取り出しポジション)と適用ポジション(操作出口での穿刺ポジション)に加えて、もう1つ、ランセットがランセット先端保護素子に導き入れられ、それによって保護される準備ポジション(待機ポジション)が設けられているところにある。
【0025】
採血を目的とするランセットの初回使用では、通例どおりランセットをランセット保管ケースから取り出して操作出口に直接当てることができる。それに代る方法として、初回使用の前に既に待機ポジションに置いておくことも可能である。しかしながら、ランセットの繰返し使用の場合では、初回使用後およびそれ以降の使用後には最終処分がなされるまでは毎回待機ポジションから反復使用される。採血用ランセットは、最終回の使用後には、たとえばランセット保管ケース内で、あるいは機器の外で直接処分することができる。しかしまた、処分の前にもう一度待機ポジションに戻してそこで清浄化し、それによってたとえばランセット保管ケースの他の素子への汚染を回避することもできる。
【0026】
本発明によれば、血液分析器においてもランセットを複数回使用して、適用前には、すなわち皮膚への穿刺前にはその都度メカニカル面および衛生面の観点から保護することが可能である。同時に、採血準備の段階から穿刺過程実施に到るまでの時間を短縮することもできる。待機ポジションではランセットは広範に清浄化することが可能で、たとえば滅菌することができ、同時に外的影響、たとえば衝撃に対しても保護されている。
【0027】
ランセットが一時的に待機ポジションに配置されていれば、ランセットは利用に備えてそこで準備することができる。その場合、血液分析システム操作出口における穿刺ポジションへは、待機ポジションからの移行のほうがランセット保管ケースにおける取出しポジションからの移行より迅速に行えるように、ランセットの配置および/またはランセットの移動経路が最適化されていれば、穿刺動作実施に到るまでの時間を所望の通り短縮することができる。
【0028】
それに対応してさらに有利な特徴を持つものとして、ランセット先端保護素子と待機ポジションの配置を操作出口の直近にすることが提案される。
【0029】
メカニカル的に簡易で好ましい実施態様として、ランセット先端保護素子を固定式に、すなわち採血システムまたは血液分析器ケーシング内の一定場所に配置することが可能である。しかしまた、ランセット先端保護素子を駆動装置によってランセットの先端に移動させる、別な実施態様も想定できる。
【0030】
さらに別な有利な特徴として、ランセットの先端を挿入することのできる弾性素材によりランセット先端保護素子を包み込むことも提案される。これにはたとえば、ランセット先端に当る領域が弾性素材から成っている合成物質構成体が考えられる。ランセット針の少なくとも先端はこの弾性素材で周囲全体が完全に取り囲まれて、すなわちその中に埋め込まれて周囲から遮断された状態になる。この弾性素材は、たとえば、柔軟で変形可能であって、ランセット針の先端を突き通してもランセット先端を損傷しないという特長を持っている。この弾性素材の場合、その上、ランセット針を必要に応じてランセット先端保護素子から抜き出した際に元どおり閉じるので、穿刺過程終了後には当ランセット針を、あるいは別なランセット針を改めてこの弾性素材の中に挿入できるという別な重要特性を有している。
【0031】
弾性素材はメカニカル面でランセットの先端保護を担い、ランセット先端の損傷を防止する。しかも、周囲を取り囲むことから、ランセット針の未使用、使用済みの別なく、特にそれが病原菌に対し侵入阻止性または回避性のものであるなら、使用前におけるランセット先端の滅菌にも寄与する。
【0032】
適した弾性素材は国際公開第01/66010号パンフレットおよび米国特許出願公開第2001/0041904号明細書に記載されている。これらの文献はこの点に関してのみ引用する。適した弾性素材としては、たとえばシリコン、ゴムまたはエラストマー(たとえば、ポリブタジエンまたはポリイソプレンなどのイソプレン(すなわち、硬度を上げるため必要に応じて加硫したインドゴム))、エラストメリックな共重合体(たとえばスチレン−ブタジエン共重合体)または熱可塑性エラストマー(たとえば、ポリウレタン)がある。これらは柔軟で変形可能であり、ランセット針を刺し通してもランセット針に損傷を与えることなく、使用ランセットの先端周囲を取り巻いて密封状態にする。しかも、熱可塑性エラストマーは射出成形過程によって加工することが可能なのでコスト面で有利に製造することができる。
【0033】
弾性素材によれば、たとえば、特に病原菌/微生物殺傷特性を持つ軟質合成物質によれば、ランセットの初回使用前または使用と使用のあいだその先端を保護して無菌状態で保管することが可能である。軟質合成物質としては、ランセットを沈めた際にランセットの先端または本体を損傷したり、過剰に磨滅させたりすることのないものとすべきであろう。同時にその素材は、ランセットの反復使用後でもランセットを十分に包み込み、バラバラにならずに密封するものとすべきであろう。
【0034】
また別な有利な実施態様として、ランセット先端の清浄または保護のために、ランセット先端保護素子を滅菌性、微生物殺傷性、不活性化性、消毒性、殺細菌性または殺真菌性素材で包み込むことも可能である。その場合上記の弾性素材にこのような特性を持たせるのが好ましい。それにより、待機ポジションのランセットは保護されるだけでなく清浄化もされるので、複数回使用することができる。
【0035】
適した滅菌性素材は、これに関してのみ引用する米国特許出願公開第2001/0041904号明細書に開示されている。適した素材としては、たとえば、酸化剤、フェノール、エポキシド、過酸化物、フォルムアルデヒドのポリマー、その他のモノアルデヒド、ジアルデヒド、ポリアルデヒド(たとえばグルタルアルデヒド)、過酸化水素を含む系、沃素含有錯体および銀または銅の金属塩がある。本発明の枠内で特に有利であると実証されているのは、合成物質に添加混合できるDegussa社のSAMポリマー、たとえばLimago T100またはAmina T100である。
【0036】
本発明に基づく採血システムは、ランセットが採血目的に複数回使用できて、穿刺処置後はランセット先端保護素子へ移動させて次回処置まではそこで保管できるように構成されているのが好ましい。本発明に基づく採血システムまたは対応の血液分析器は、ランセットの持つ複数回使用の可能性により、装備されるランセットの数は対応のテストエレメントの装備数より少なく、ランセット数と同数の対応テストエレメントが装備される先行技術の場合とは異なった構成にすることができる。このようにして、所要場所だけでなくコストも削減することができる。
【0037】
次回の採血ではランセット保管ケースから新しいランセットが使用されるのか、あるいは既に採血目的に使用されたランセットがランセット先端保護素子の待機ポジションから使用されるのかを利用者が設定可能な操作素子が装備されていれば有利である。そのようにすれば、ランセット先端の鋭利度が低下し穿刺痛が大きくなってきた時に、利用者はどの時点で新たなランセットに代えるかの決定をすることができる。これは、たとえば、利用者が1ランセットで実施される採血数をプレセットし、そのプレセット使用回数に達したランセットは処分するという方法で行うこともできる。
【0038】
本発明は高度に統合された分析システムとして有用であることが実証されている。本システムにはランセット収納器に加えてテストエレメントも含まれている。ランセット素子とテストエレメント双方がシステム内に納められていれば、前述のとおり、それに制約されてケーシングから出口までのランセットの移動経過が手間取るようになる。それはランセット収納器をケーシング操作出口の真上にポジション設定することができないからである。その結果、穿刺過程の実施にはXおよびY方向での複雑な移動経過が必要になるが、前記の待機ポジションの利用によりこの移動経過の簡易化が実現できる。したがって、採血システムにテストエレメント用収納器を含み持たせること、つまりテストエレメント用収納器を採血システムに統合し、それも特にケーシング内に配置させることが有利な特長として提案される。テストエレメント用収納器は取換可能なのが好ましい。
【0039】
以下では本発明を図に描かれた実施例に基づきより詳しく説明する。そこに示された特徴は、本発明の好ましい実施態様の形成のために、個別に、または組み合わせて使用することができる。各図は次のとおりである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1は、先行技術による血液分析器2の採血システム1を統合型グルコース計量計の形態で模式化して示したものであり、その中には血液分析に必要な消費材が収納されている上に、血液分析に必要な経路が統合されている。採取血液を分析するテストエレメントは、図を見易くするため描かれていない。
【0041】
採血システム1は、ランセット5による血液試料採取を可能にする操作出口4を持つケーシング3を有している。ランセット5は、図示された実施例では回転型ドラムであるランセット保管ケース6の中に入っている。カートリッジ式のランセット保管ケース6の中には複数のランセット5が収納されているが、それらはその中で、たとえば動きの取れるルーズな状態で、またはホルダー素子で締付固定された状態で配置することができる。ランセット保管ケース6は、ランセット保管ケース6内に収納されているランセット5の中から取出しの順番に当っているものを取出しポジションに移動させるため、回転軸7の周りを回転できるようになっている。
【0042】
ランセット5は、たとえば、適合グリッパー9付のピストン式旋回ユニット形式のランセット駆動装置8によりランセット保管ケース6から取り出して、操作出口4の試料採取、穿刺ポジションの位置に移動させ、そこでの採血後処分するためランセット保管ケース6に戻すことができる。ランセット駆動装置8は回転軸10の周りを旋回することができ、穿刺処置の方向に向いている線軸11に沿って移動することができる。
【0043】
図1に示した先行技術に基づく採血システム1の使用による試料採取の経過を後続の図面を基に説明する。図2に見られるように、まずランセット保管ケース6が回転し、大抵は一番近いポジションにある取出し対象のランセット5が、ランセット駆動装置8のグリッパー9で捕捉し得る取出しポジションに移動させられる。そのためには、図3にしたがって、ランセット駆動装置8が図にはない出発ポジションから先ず回転ポジションへと上方へ移動し、グリッパー9に作用して回転軸10の周りを回転させながら取出し位置、すなわちランセット保管ケース6から取り出される順番に当っているランセット5のポジション下方に回転移動し、続いてそこから上方へさらに移動することによりランセット5をグリッパー9に固定させる。次に、図4に描かれた下方移動によりランセット5はランセット保管ケース6から引き出され、回転軸10の周りを回転できるポジションに達する。
【0044】
次に、ランセット5は図5にしたがい回転運動により試料採取用の操作出口4の下方にポジション設定され、運転操作を通じて上方の操作出口4の近くに、またはその中に運ばれ、穿刺ポジションに置かれる。操作出口4には身体部分、たとえば指先12が当てられる。ランセット5は、ランセット針の先端における、図には描かれていない短い穿刺動作によって指先12または操作出口4に当てられた他の身体部分の皮膚表面を突き刺し、少量の血液試料を採取することができる。
【0045】
採取血液が、図には描かれていない、たとえばテストストリップなどの分析装置または分析システムによって、ケーシング3の中または外で分析された後、ランセット5は図6にしたがいランセット保管ケース6に戻される。そのため、ランセット駆動装置8は先ず回転ポジションに到るまで下方運動を行う。その後ランセット駆動装置8は処分対象のランセット5を伴ったグリッパー9をランセット保管ケース6の、その時点で空席になっている収納ポジションにまで回転移動させ、続いて上方への運転操作により使用済みランセット5をランセット保管ケース6に戻し置く。その後ランセット駆動装置8は再び下方へ少し移動し、図7のとおり旋回して戻り、次に図示されていない下方位置の出発ポジションに移動する。その位置から次の採血操作が行われる。新たな採血では前記工程が繰り返される。その場合、新たなランセット5がその都度ランセット保管ケース6から取り出され、移動区間または運転区間全体を新たに通される。
【0046】
図2〜7に描かれた、先行技術による経過にはいくつか欠点がある。1つには移動距離、したがってまたランセット駆動装置8の運転時間が長過ぎるため、利用者はランセット駆動装置8の開始ポジションにおける採血作業の始動から、ランセット5がランセット保管ケース6より準備されて操作出口4で穿刺処置が行われるまで長いあいだ待たされねばならない。そのほか、採血毎に新たなランセット5が用意されるので、ランセット保管ケース6には比較的大きな収納場所が必要になる。保管ケース6から行うランセット5の反復使用では長い移動距離の問題は残されたままであるし、また、使用済みランセット5の次回使用までの滅菌問題や未使用無菌ランセット5を含むランセット保管ケース6の使用済み回収ランセットによる汚染の回避を巡る問題も発生する。
【0047】
これらの欠点は、図8に描かれた本発明に基づく採血システム1によって解消される。その構造は、穿刺処置の前後の過程ではランセットの先端を中に収納しておくことのできるランセット先端保護素子13を有していて、その保護素子13が中に導き入れられたランセット先端をメカニカル面および衛生面で保護しているという相違点を除けば、図1に描かれた先行技術に基づく採血システムの構造に一致している。保護素子13はランセット5の待機ポジションにおけるランセットの先端に配置されている。すなわち、ランセットの先端は待機ポジションにおいて保護素子13内に引き入れられている。待機ポジションは、ランセット5がランセット保管ケース6から取り出される取出しポジションとも、採血の行われる、操作出口4における穿刺ポジションとも一致しない。
【0048】
ランセット先端の待機ポジション、すなわち保護素子13のポジションは、好ましくはケーシング3の内部で、特に操作出口4の直近位置とする。また別な有利な実施態様として、ランセット先端保護素子13がランセット保管ケース6内に配置されている、すなわち収納器に統合されている場合も想定可能である。
【0049】
弾性素材15は使用によって磨滅する。たとえば、合成物質は穴があいたり汚れがつく(血液残滓、鱗屑、環境要因)。この理由から、ランセット先端保護素子13または弾性素材15は不動型、すなわち固定型または定置型の機器構成部品ではなく取換可能なものであれば有利である。たとえば保護素子13または弾性素材15は、利用者が一定間隔で取り換えることのできる交換可能品、つまり消費材として、たとえば別売り製品として、あるいはランセット5各梱包に付けた補充品として形成することが可能である。また、ランセット先端保護素子13はランセット保管ケース6内に統合することも同様に可能である。これは収納器の取り換え毎に同時に交換され、利用者に余分な監視行動などの負担をかけることはない。
【0050】
図9〜11は、固定設置された、すなわちケーシング3内の一定場所に配置された保護素子13の実施態様を図示したものである。図9にはケーシング3の内側に配置された保護素子13が示されている。これは、ランセットの先端を挿入することのできる弾性素材の満たされたソリッド本体14を有している。それには、滅菌性、病原菌殺傷性薬剤の混入された軟質合成物質が満たされている。弾性素材15はその中に挿入されるランセット5の先端を、たとえば汚染、振動およびそれに伴う損傷など環境要因から護り、ランセット5が弾性素材15に入り込んだ際にランセットの汚れを拭い取って清浄化し、また殺菌剤を混入することによって殺菌する。
【0051】
図9に描かれた、ランセット先端保護素子13内におけるランセット5の待機ポジションでは、ランセット5はランセット駆動装置8により、および/またはグリッパー部分16では図には描かれていないホルダー装置により落下防止状態に維持することができる。そのようなホルダー装置は能動機能を持つ、すなわち能動性の捕捉装置を装備することができる。あるいはたとえば締付装置として受動機能性に構成することもできる。
【0052】
図10および11は図9の詳細部分図である。図10ではランセット保護素子13がケーシング3の内側に統合されているが、図11ではそれはケーシング3の内側に載せてある。図23には別な変化形態が描かれている。
【0053】
図12〜19は、図8の採血システム1による採血経過を描いたものである。ランセット5をランセット保管ケース6から取り出し、指先への穿刺移動によって採血を行う先行段階は図示されていない。それらの工程の経過は図2〜5に一致する。これに代り、ランセット保管ケース6から取り出した未使用の新たなランセット5を直接採血に使用せずに、先ずは待機ポジションであるランセット先端保護素子13に移動させ、採血実施時点が来たときに待機ポジションからランセットを取り出すという方法も可能である。これにより、未使用の新たなランセットの初回使用から穿刺処置実施に到るまでの経過時間を短縮することもできる。
【0054】
図12〜19は、ランセット5により採血を実施した後の経過を図解している。図12〜16の実施態様ではランセット5は保護素子13内の待機ポジションで待機しており、ランセット駆動装置8はそれに対応して別な出発ポジションに移動する。図17〜19ではランセット駆動装置8はランセット5と共に待機ポジションに留まっている。
【0055】
図12では穿刺処置後ランセット駆動装置はグリッパー9および捕捉されたランセット5と共に先ず下方へ移動する。グリッパー9は、ランセット5をランセット保管ケース13から取り出すための旋回運動が行われる回転平面にできる限り密着した回転平面で回転運動をなすことによって保護素子13の下方へ回転移動する。下方への移動によりランセット5は待機ポジションに運ばれ、保護素子13の柔軟な合成物質内へ圧入される。その場合、弾性素材15の保持力が十分でなければ、図にはない能動性または受動性のホルダー装置で保持することができる。ランセット5は、好ましくもランセット駆動装置8により、ランセット先端が保護素子13に納まる待機ポジションへ運ぶことができる。構成コスト増が甘受できるのであれば、ランセット保管ケース6からのランセット5運び出しとしては機能しない特別な駆動装置を装備することもできる。
【0056】
ランセットの先端が穿刺動作に平行な動きによってランセット先端保護素子に挿入できるように、ランセット先端保護素子13が配置されていれば、ランセット5の構成コストおよび移動距離は最小化される。
【0057】
ランセット5がランセット駆動装置8を有しない保護素子13内に留まっている図13では、ランセット駆動装置8はランセット5抜きで先ず少し下方に戻り、次に離れた位置の旋回ポジションへと回転移動し、さらに下方へ進み図13の外側にある出発位置に到達する。
【0058】
ランセット駆動装置8が図の外側に位置する出発ポジションにあり、ランセット5がランセット先端保護素子13の待機ポジションにある最終時点の位置関係が図14に描かれている。ランセット5は、後続の採血実施のため待機ポジションからランセット駆動装置8により運び出すことができる。ランセット5をランセット保管ケース6の外側で待機させることで、ランセット保管ケース6またはその中に含まれる、未使用ランセットが使用済みランセット5に付着する試料物質に汚染されることが防止される。さらに、新たな穿刺過程のための、待機ポジションから操作出口までのランセットの移動が迅速化できる。それは、新たなランセットの取り出しに当りランセット保管ケース6の新たなポジション設定は必要ないからである。
【0059】
図15および16には、既に1回または数回使用されたランセット5(または、場合によってはまだ未使用のランセット5)が血液試料の採取のため、保護素子13内の待機ポジションから如何に運び出され、それに続き如何に処置されるかが図解されている。図15のとおり、ランセット駆動装置8は先ず出発ポジションから上方へ移動し、次にグリッパー9を待機ポジションのランセット5下方に旋回移動させ、ランセット5を捕捉するために、そこから少し上方へ移動する。その後、ランセット駆動装置8が図16のとおり少し下方に移動するとランセット5は保護素子13から引き出される。ランセット駆動装置はランセットを指先12に刺し込むため、左に旋回して、上方移動によりランセット5を操作出口4近辺の穿刺ポジションに移動させる。
【0060】
たとえば、使用者が設定した、ランセット5による穿刺過程の回数に達したことで、もはやランセット5が必要でなくなった場合、ランセット5は処分のためランセット保管ケース6に廻される。この操作工程は図6および7にしたがって行われる。
【0061】
本発明に基づく方法の長所は、穿刺処置に使用されたランセット5をランセット保管ケース6へ回収する操作工程を含むことができる点にある。本発明で特に有利なのは、穿刺過程の終了後ランセット5をランセット保管ケース6に収納する前に先ず待機ポジションに移すことで、ランセット保管ケース6を汚すことなく使用済みランセット5を収納することが可能な点である。したがって、好ましい特徴として、使用済みランセット5はランセット保管ケース6に戻す前にランセット先端保護素子13の待機ポジションへ挿入すること、すなわち、使用済みランセット5はそれ以上穿刺過程に使用しない場合でも先ず待機ポジションに移すことが提案される。ランセット保管ケース6は、必要であれば再収納された使用済みランセット5と共に適当な時期に取り換えることができる。
【0062】
このように、ランセット保管ケース6は、採血システム1または血液分析器2へのランセット5の転送、未使用ランセットの収納保持および使用済みランセットの処分にのみ利用される。
【0063】
図17〜19は、ランセット駆動装置8が採血後待機ポジション内のランセット5近傍に留まっている代替変化形態の図解である。図17は、ランセット5が如何にして待機ポジションに運ばれるかを図解したものである。その経過は図12に描いた経過に一致する。しかし図13および14とは異なり、続いてランセット駆動装置8は待機ポジションのランセット5から移動や旋回によって離れることなく、グリッパー9は待機ポジションのランセット5に接しているか、または直近の距離内に留まっている。この模様は図18に描かれている。この場合では、図14に描かれた最終位置に比べて、待機ランセット5による後続の採血での移動時間がさらに短縮されるという長所がある。それは、図15に描かれた移動距離が無いからである。継続して採血を実施するには、図19に図示された、図16と同じ操作工程を行うことができる。もはや使用しないランセット5の処分は上記の第1変化態様の場合と同様にする。
【0064】
図20〜22は、本発明に基づく採血システムを持つ血液分析器2の変化態様を図解したものである。血液分析器2の上側にはリボルバー類似の採取装置18を持つテストエレメント収納器17が存在する。下側には、テストエレメント収納器17から独立して取り換えることのできるランセット保管ケース6がある。別な実施態様として、ランセットとテストエレメントは保管ケースに統合することもできる。
【0065】
ランセット5は、図には描かれていないランセット駆動装置によりランセット保管ケース6内を下から上へ押し入れられる。ランセット保管ケース6の横には、ゲル状の軟質合成物質の満たされたランセット先端保護素子13が並置されている。別な実施態様として、保護素子13の位置で定義付けされる待機ポジションをランセット保管ケース6内の1ポジションを占めることもできよう。保護素子13の下方には、待機ポジション内ランセット用の補助具として、たとえば保持クリップ形態のホルダー装置19が配置されている。
【0066】
図21には操作経過が3段階の操作工程で図示されている。ランセット保管ケース6内のランセット5保管ポジションにランセット駆動装置が下から入り込む。その場合たとえば、この時点まで無菌性を保証してきたシーリング箔が突き破られる。ランセットは採取装置で捕捉され、ランセット保管ケース6から上方に駆動されてたとえばシーリング箔を通って再び外に出される。穿刺処置の終了後、ランセットはランセット駆動装置によりランセット保管ケース6に戻される。先行技術ではそこでランセット駆動装置から切り離されて処分される。先行技術では、次の採血にはランセット保管ケース6が1つ分ポジション移動して、新たなランセットが使用されることになる。
【0067】
しかし図21(中央)によれば、使用済みランセット5はランセット保管ケース6を通って下方へ引き出された後、ランセット駆動装置によって脇へ旋回され、ランセットの継続使用のための準備がなされるランセット先端保護素子13へと上方移動させられる(図21右)。ランセットの待機ポジションからの再使用には、ランセットが逆ルートで運ばれる。すなわち、先ず下方へ引き出されて脇へ旋回され、ランセット保管ケース6内を上方へ誘導される。
【0068】
図22は、殺菌性弾性素材15の満たされたランセット先端保護素子13の中のランセット5を示している。ランセットはホルダー装置19によって固定されている。
【0069】
図23は保護素子13の変化態様例を図解したものである。(採血のための)穿刺過程で毛細管(毛細血管)に命中してしまって、場合によっては予期しないほど多量に出血するということが起こり得る。血液は滴状20になってランセット5に集まろう。この滴20は、ランセット5を(待機ポジションのゲル状)弾性素材15を刺し込んだ際に拭い取られよう。まだ液状を保っている血液はそこから下方へ流れ落ちるか、成層状に集積するので、やがては、弾性素材15の中に入り込んでいないランセット5部分を汚染することになろう。それを救済するのが、たとえばセルロースなどの吸収性素材を含む弾性素材15用カバー21である。これは、必要に応じて血液滴を吸収し、内部で結合させる。カバー21材には十分な強度、高い組織密度(複数の穿刺に対応する吸収力および安定性)および「無綿屑性」が要求される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】先行技術によるグルコース計量計の構造を示す図である。
【図2】図1に基づく試料採取の工程1を示す図である。
【図3】図1に基づく試料採取の工程2を示す図である。
【図4】図1に基づく試料採取の工程3を示す図である。
【図5】図1に基づく試料採取の工程4を示す図である。
【図6】図1に基づく試料採取の工程5を示す図である。
【図7】図1に基づく試料採取の工程6を示す図である。
【図8】本発明に基づくグルコース計量計の構造を示す図である。
【図9】図8の仔細部分図である。
【図10】図8のその他仔細部分図である。
【図11】図10の変化図である。
【図12】図8に基づく試料採取の工程1を示す図である。
【図13】図8に基づく試料採取の工程2を示す図である。
【図14】図8に基づく試料採取の工程3を示す図である。
【図15】図8に基づく試料採取の工程4を示す図である。
【図16】図8に基づく試料採取の工程5を示す図である。
【図17】図8に基づく試料採取の工程1に対する変化形態を示す図である。
【図18】図8に基づく試料採取の工程2に対する変化形態を示す図である。
【図19】図8に基づく試料採取の工程5に対する変化形態を示す図である。
【図20】図8に対する変化形態を示す図である。
【図21】図20の仔細部分図である。
【図22】図20のその他仔細部分図である。
【図23】図10に対するその他変化形態を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 採血システム
2 血液分析器
3 ケーシング
4 操作出口
5 ランセット
6 ランセット保管ケース
7 6の回転軸
8 ランセット駆動装置
9 グリッパー
10 8の回転軸
11 8の線軸
12 指先
13 ランセット先端保護素子
14 本体
15 弾性素材
16 捕捉部
17 テストエレメント収納器
18 採取装置
19 ホルダー装置
20 滴
21 カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備設定された穿刺路に沿ってケーシング(3)内を移動することのできるランセット(5)のランセット針のランセット先端用操作出口(4)を持つケーシング(3)、予備設定された穿刺路上でランセット(5)を誘導することのできるランセット誘導部、ランセット(5)を操作運転することができ、穿刺ポジションでランセットの先端が操作出口(4)から外に出るまで、予備設定された穿刺路に沿ってランセットを穿刺方向に移動させることのできるランセット駆動装置(8)および
ケーシング(3)内に配置され、その中に複数のランセット(5)が取り出せるように取り出しポジションに待機配置されているランセット保管ケース(6)を有している、分析目的または診断目的に血液を採取するための採血システム(1)であって、
穿刺処置の前後にランセットの先端を導き入れておくことのできるランセット先端保護素子(13)が装備されていて、当保護素子(13)がその中に挿入されたランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護していること、および
ランセット先端保護素子(13)が、取出しポジションや穿刺ポジションとは一致していないランセット(5)待機ポジションでランセット先端部に対応配置されていることを特徴とする採血システム(1)。
【請求項2】
ランセット先端保護素子(13)および待機ポジションが操作素子(4)の直近に配置されていることを特徴とする請求項1記載の採血システム。
【請求項3】
ランセット先端保護素子(13)がケーシング(4)内の一定場所に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の採血システム。
【請求項4】
ランセット先端保護素子(13)が駆動装置を通じてランセット先端へ移動し得ることを特徴とする請求項1、2または3記載の採血システム。
【請求項5】
ランセット(5)がランセット駆動装置を通じて、ランセットの先端がランセット先端保護素子(3)内に来るように待機ポジションへ移動し得ることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の採血システム。
【請求項6】
待機ポジション内にランセット(5)を保持するためのホルダー装置(19)を有していることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の採血システム。
【請求項7】
ランセットの先端が、穿刺動作に平行な方向の運動によってランセット先端保護素子(13)内に挿入できるように、ランセット先端保護素子(13)が配置されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の採血システム。
【請求項8】
ランセット先端保護素子(13)がランセット保管ケース(6)内に配置されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の採血システム。
【請求項9】
ランセット先端保護素子(13)が、ランセットの先端を導き入れることのできる弾性素材(15)を有していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の採血システム。
【請求項10】
ランセット先端の清浄または保護のために、ランセット先端保護素子(13)が滅菌性、微生物殺傷性、不活性化性、消毒性、殺細菌性または殺真菌性素材を含むことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の採血システム。
【請求項11】
弾性素材(15)が請求項10の記載どおりに形成されていることを特徴とする請求項9記載の採血システム。
【請求項12】
弾性素材(15)が吸収性素材から成るカバー(21)を有していることを特徴とする請求項9記載の採血システム。
【請求項13】
ランセット先端保護素子(13)または弾性素材(15)が取換可能であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載の採血システム。
【請求項14】
ランセット(5)が血液採取に複数回使用でき、穿刺処置間ではランセット先端保護素子(13)内に搬入できるように、その構造が形成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13記載の採血システム。
【請求項15】
次回の採血ではランセット保管ケース(6)から新しいランセット(5)が使用されるのか、あるいは既に採血目的に使用されたランセット(5)がランセット先端保護素子(13)の待機ポジションから使用されるのかを利用者が設定可能な操作素子が装備されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14記載の採血システム。
【請求項16】
採血システムに統合された、好ましくはケーシング(3)内に配置されている、テストエレメント収納器(17)を有していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の採血システム。
【請求項17】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16記載の採血システム(1)を有していることを特徴とする血液分析器(2)、それも特に携帯、移動式の血液分析器。
【請求項18】
予備設定された穿刺路に沿ってケーシング(3)内を移動するランセット(5)のランセット針のランセット先端用操作出口(4)を持つケーシング(3)、
予備設定された穿刺路上でランセット(5)を誘導するランセット誘導部、
ランセット(5)を操作運転し、穿刺ポジションでランセットの先端が操作出口(4)から外に出るまで、予備設定された穿刺路に沿ってランセットを穿刺方向に移動させるランセット駆動装置(8)および
ケーシング(3)内に配置され、その中に複数のランセット(5)が取り出せるように取り出しポジションに待機配置されているランセット保管ケース(6)
を有している、分析目的用または診断目的用の採血システム(1)による血液採取のための方法であって、
ランセットの先端が穿刺処置の前後にはランセット先端保護素子(13)に導き入れられ、当保護素子(13)がその中に挿入されたランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護していること、および
ランセット先端保護素子(13)が、取出しポジションや穿刺ポジションとは一致していないランセット(5)待機ポジションでランセット先端部に対応配置されていることを特徴とする方法。
【請求項19】
ランセット先端保護素子(13)および待機ポジションが操作出口(4)の直近に配置されていることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
ランセット先端保護素子(13)がケーシング(4)内の一定場所に配置されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19記載の方法。
【請求項21】
ランセット先端保護素子(13)が駆動装置を通じてランセット先端へ移動させられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の方法。
【請求項22】
ランセット(5)がランセット駆動装置を通じて、ランセットの先端がランセット先端保護素子(13)内に来るように待機ポジションへ移動させられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21記載の方法。
【請求項23】
ランセット(5)が待機ポジション内のホルダー装置(19)により保持されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22記載の方法。
【請求項24】
ランセットの先端が、穿刺動作に平行な方向の運動によってランセット先端保護素子(13)内に挿入されるように、ランセット先端保護素子(13)が配置されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22または23記載の方法。
【請求項25】
穿刺処置を終えたランセット(5)がランセット保管ケース(6)に戻されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24記載の方法。
【請求項26】
使用済みランセット(5)がランセット保管ケース(6)に戻され、待機ポジションに置かれる前にランセット先端保護素子(13)に挿入されることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
ランセット保管ケース(6)の取換が行われる操作工程を含むことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26記載の方法。
【請求項28】
ランセットが血液の採取に複数回使用され、個々の穿刺処置間ではランセット先端保護素子(13)内に運ばれることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26または27記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備設定された穿刺路に沿ってケーシング(3)内を移動することのできるランセット(5)のランセット針のランセット先端用操作出口(4)を持つケーシング(3)、予備設定された穿刺路上でランセット(5)を誘導することのできるランセット誘導部、ランセット(5)を操作運転することができ、穿刺ポジションでランセットの先端が操作出口(4)から外に出るまで、予備設定された穿刺路に沿ってランセットを穿刺方向に移動させることのできるランセット駆動装置(8)および
ケーシング(3)内に配置され、その中に複数のランセット(5)が取り出せるように取り出しポジションに待機配置されているランセット保管ケース(6)を有している、分析目的または診断目的に血液を採取するための採血システム(1)であって、
穿刺処置の前後にランセットの先端を導き入れておくことのできるランセット先端保護素子(13)が装備されていて、当保護素子(13)がその中に挿入されたランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護していること、および
ランセット先端保護素子(13)が、取出しポジションや穿刺ポジションとは一致していないランセット(5)待機ポジションでランセット先端部に対応配置されていることを特徴とする採血システム(1)。
【請求項2】
ランセット先端保護素子(13)および待機ポジションが操作素子(4)の直近に配置されていることを特徴とする請求項1記載の採血システム。
【請求項3】
ランセット(5)がランセット駆動装置を通じて、ランセットの先端がランセット先端保護素子(3)内に来るように待機ポジションへ移動し得ることを特徴とする請求項1または2記載の採血システム。
【請求項4】
ランセット先端保護素子(13)がランセット保管ケース(6)内に配置されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の採血システム。
【請求項5】
予備設定された穿刺路に沿ってケーシング(3)内を移動するランセット(5)のランセット針のランセット先端用操作出口(4)を持つケーシング(3)、
予備設定された穿刺路上でランセット(5)を誘導するランセット誘導部、
ランセット(5)を操作運転し、穿刺ポジションでランセットの先端が操作出口(4)から外に出るまで、予備設定された穿刺路に沿ってランセットを穿刺方向に移動させるランセット駆動装置(8)および
ケーシング(3)内に配置され、その中に複数のランセット(5)が取り出せるように取り出しポジションに待機配置されているランセット保管ケース(6)
を有している、分析目的用または診断目的用の採血システム(1)による血液採取のための方法であって、
ランセットの先端が穿刺処置の前後にはランセット先端保護素子(13)に導き入れられ、当保護素子(13)がその中に挿入されたランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護していること、および
ランセット先端保護素子(13)が、取出しポジションや穿刺ポジションとは一致していないランセット(5)待機ポジションでランセット先端部に対応配置されていることを特徴とする方法。
【請求項1】
予備設定された穿刺路に沿ってケーシング(3)内を移動することのできるランセット(5)のランセット針のランセット先端用操作出口(4)を持つケーシング(3)、予備設定された穿刺路上でランセット(5)を誘導することのできるランセット誘導部、ランセット(5)を操作運転することができ、穿刺ポジションでランセットの先端が操作出口(4)から外に出るまで、予備設定された穿刺路に沿ってランセットを穿刺方向に移動させることのできるランセット駆動装置(8)および
ケーシング(3)内に配置され、その中に複数のランセット(5)が取り出せるように取り出しポジションに待機配置されているランセット保管ケース(6)を有している、分析目的または診断目的に血液を採取するための採血システム(1)であって、
穿刺処置の前後にランセットの先端を導き入れておくことのできるランセット先端保護素子(13)が装備されていて、当保護素子(13)がその中に挿入されたランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護していること、および
ランセット先端保護素子(13)が、取出しポジションや穿刺ポジションとは一致していないランセット(5)待機ポジションでランセット先端部に対応配置されていることを特徴とする採血システム(1)。
【請求項2】
ランセット先端保護素子(13)および待機ポジションが操作素子(4)の直近に配置されていることを特徴とする請求項1記載の採血システム。
【請求項3】
ランセット先端保護素子(13)がケーシング(4)内の一定場所に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の採血システム。
【請求項4】
ランセット先端保護素子(13)が駆動装置を通じてランセット先端へ移動し得ることを特徴とする請求項1、2または3記載の採血システム。
【請求項5】
ランセット(5)がランセット駆動装置を通じて、ランセットの先端がランセット先端保護素子(3)内に来るように待機ポジションへ移動し得ることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の採血システム。
【請求項6】
待機ポジション内にランセット(5)を保持するためのホルダー装置(19)を有していることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の採血システム。
【請求項7】
ランセットの先端が、穿刺動作に平行な方向の運動によってランセット先端保護素子(13)内に挿入できるように、ランセット先端保護素子(13)が配置されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の採血システム。
【請求項8】
ランセット先端保護素子(13)がランセット保管ケース(6)内に配置されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の採血システム。
【請求項9】
ランセット先端保護素子(13)が、ランセットの先端を導き入れることのできる弾性素材(15)を有していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の採血システム。
【請求項10】
ランセット先端の清浄または保護のために、ランセット先端保護素子(13)が滅菌性、微生物殺傷性、不活性化性、消毒性、殺細菌性または殺真菌性素材を含むことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の採血システム。
【請求項11】
弾性素材(15)が請求項10の記載どおりに形成されていることを特徴とする請求項9記載の採血システム。
【請求項12】
弾性素材(15)が吸収性素材から成るカバー(21)を有していることを特徴とする請求項9記載の採血システム。
【請求項13】
ランセット先端保護素子(13)または弾性素材(15)が取換可能であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載の採血システム。
【請求項14】
ランセット(5)が血液採取に複数回使用でき、穿刺処置間ではランセット先端保護素子(13)内に搬入できるように、その構造が形成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13記載の採血システム。
【請求項15】
次回の採血ではランセット保管ケース(6)から新しいランセット(5)が使用されるのか、あるいは既に採血目的に使用されたランセット(5)がランセット先端保護素子(13)の待機ポジションから使用されるのかを利用者が設定可能な操作素子が装備されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14記載の採血システム。
【請求項16】
採血システムに統合された、好ましくはケーシング(3)内に配置されている、テストエレメント収納器(17)を有していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の採血システム。
【請求項17】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16記載の採血システム(1)を有していることを特徴とする血液分析器(2)、それも特に携帯、移動式の血液分析器。
【請求項18】
予備設定された穿刺路に沿ってケーシング(3)内を移動するランセット(5)のランセット針のランセット先端用操作出口(4)を持つケーシング(3)、
予備設定された穿刺路上でランセット(5)を誘導するランセット誘導部、
ランセット(5)を操作運転し、穿刺ポジションでランセットの先端が操作出口(4)から外に出るまで、予備設定された穿刺路に沿ってランセットを穿刺方向に移動させるランセット駆動装置(8)および
ケーシング(3)内に配置され、その中に複数のランセット(5)が取り出せるように取り出しポジションに待機配置されているランセット保管ケース(6)
を有している、分析目的用または診断目的用の採血システム(1)による血液採取のための方法であって、
ランセットの先端が穿刺処置の前後にはランセット先端保護素子(13)に導き入れられ、当保護素子(13)がその中に挿入されたランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護していること、および
ランセット先端保護素子(13)が、取出しポジションや穿刺ポジションとは一致していないランセット(5)待機ポジションでランセット先端部に対応配置されていることを特徴とする方法。
【請求項19】
ランセット先端保護素子(13)および待機ポジションが操作出口(4)の直近に配置されていることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
ランセット先端保護素子(13)がケーシング(4)内の一定場所に配置されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19記載の方法。
【請求項21】
ランセット先端保護素子(13)が駆動装置を通じてランセット先端へ移動させられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の方法。
【請求項22】
ランセット(5)がランセット駆動装置を通じて、ランセットの先端がランセット先端保護素子(13)内に来るように待機ポジションへ移動させられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21記載の方法。
【請求項23】
ランセット(5)が待機ポジション内のホルダー装置(19)により保持されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22記載の方法。
【請求項24】
ランセットの先端が、穿刺動作に平行な方向の運動によってランセット先端保護素子(13)内に挿入されるように、ランセット先端保護素子(13)が配置されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22または23記載の方法。
【請求項25】
穿刺処置を終えたランセット(5)がランセット保管ケース(6)に戻されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24記載の方法。
【請求項26】
使用済みランセット(5)がランセット保管ケース(6)に戻され、待機ポジションに置かれる前にランセット先端保護素子(13)に挿入されることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
ランセット保管ケース(6)の取換が行われる操作工程を含むことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26記載の方法。
【請求項28】
ランセットが血液の採取に複数回使用され、個々の穿刺処置間ではランセット先端保護素子(13)内に運ばれることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26または27記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備設定された穿刺路に沿ってケーシング(3)内を移動することのできるランセット(5)のランセット針のランセット先端用操作出口(4)を持つケーシング(3)、予備設定された穿刺路上でランセット(5)を誘導することのできるランセット誘導部、ランセット(5)を操作運転することができ、穿刺ポジションでランセットの先端が操作出口(4)から外に出るまで、予備設定された穿刺路に沿ってランセットを穿刺方向に移動させることのできるランセット駆動装置(8)および
ケーシング(3)内に配置され、その中に複数のランセット(5)が取り出せるように取り出しポジションに待機配置されているランセット保管ケース(6)を有している、分析目的または診断目的に血液を採取するための採血システム(1)であって、
穿刺処置の前後にランセットの先端を導き入れておくことのできるランセット先端保護素子(13)が装備されていて、当保護素子(13)がその中に挿入されたランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護していること、および
ランセット先端保護素子(13)が、取出しポジションや穿刺ポジションとは一致していないランセット(5)待機ポジションでランセット先端部に対応配置されていることを特徴とする採血システム(1)。
【請求項2】
ランセット先端保護素子(13)および待機ポジションが操作素子(4)の直近に配置されていることを特徴とする請求項1記載の採血システム。
【請求項3】
ランセット(5)がランセット駆動装置を通じて、ランセットの先端がランセット先端保護素子(3)内に来るように待機ポジションへ移動し得ることを特徴とする請求項1または2記載の採血システム。
【請求項4】
ランセット先端保護素子(13)がランセット保管ケース(6)内に配置されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の採血システム。
【請求項5】
予備設定された穿刺路に沿ってケーシング(3)内を移動するランセット(5)のランセット針のランセット先端用操作出口(4)を持つケーシング(3)、
予備設定された穿刺路上でランセット(5)を誘導するランセット誘導部、
ランセット(5)を操作運転し、穿刺ポジションでランセットの先端が操作出口(4)から外に出るまで、予備設定された穿刺路に沿ってランセットを穿刺方向に移動させるランセット駆動装置(8)および
ケーシング(3)内に配置され、その中に複数のランセット(5)が取り出せるように取り出しポジションに待機配置されているランセット保管ケース(6)
を有している、分析目的用または診断目的用の採血システム(1)による血液採取のための方法であって、
ランセットの先端が穿刺処置の前後にはランセット先端保護素子(13)に導き入れられ、当保護素子(13)がその中に挿入されたランセットの先端をメカニカル面および衛生面の観点から保護していること、および
ランセット先端保護素子(13)が、取出しポジションや穿刺ポジションとは一致していないランセット(5)待機ポジションでランセット先端部に対応配置されていることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2006−527033(P2006−527033A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515760(P2006−515760)
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004467
【国際公開番号】WO2004/110274
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004467
【国際公開番号】WO2004/110274
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]