採血管ストッカー及び採血管準備装置
【課題】簡易小型でポータブルでもあり、机上等にも容易に設置でき、災害時等の緊急対応性にも優れ、且つ医師からの採血指示に応じて種類の異なる採血管を準備することができるようにする。
【解決手段】採血検査の前工程における採血工程での採血管の事前準備作業を行なうものであって、送りベルトを採血管本体の外周側面に当接させてこれに送りを与え、この送りベルトの反対側の採血管本体の外周側面において、側面支持板による点接触で送りベルトに対向して支持し、また送りベルト側の採血管キャップの下端面エッジ部を傾斜支持板で点接触により吊下げ支持し、これらの機構部を容易に脱着可能なモジュール方式にしている。吊下げ支持方式であり、簡易小型でポータブルでもある。またモジュール方式であるので、故障した場合やメンテナンス時の作業が極めて容易である。
【解決手段】採血検査の前工程における採血工程での採血管の事前準備作業を行なうものであって、送りベルトを採血管本体の外周側面に当接させてこれに送りを与え、この送りベルトの反対側の採血管本体の外周側面において、側面支持板による点接触で送りベルトに対向して支持し、また送りベルト側の採血管キャップの下端面エッジ部を傾斜支持板で点接触により吊下げ支持し、これらの機構部を容易に脱着可能なモジュール方式にしている。吊下げ支持方式であり、簡易小型でポータブルでもある。またモジュール方式であるので、故障した場合やメンテナンス時の作業が極めて容易である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血検査の前工程における採血工程での採血管の事前準備作業を行なうものであって、送りベルトを採血管本体の外周側面に当接させてこれに送りを与えると共に、この送りベルトの反対側の採血管の外周側面において、側面支持板で点接触によりこれを支持し(水平方向)、また送りベルト側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて吊下げ支持し(上下方向)、これらの機構部を容易に脱着可能なモジュール方式にした採血管ストッカーと、当該採血管ストッカーを利用したオールインワンタイプの採血管準備装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院、診療所その他の医療機関における血液検査部門では、採血作業者(看護師等)により、患者から血液を採血管へ採取収容して検査部門へ移送するようにしている。血液検査では、その血液検査項目に応じて、多種類の採血管が準備されており、通常、一人の患者に対して複数種類の検査が同時に行われる。そのため、採血管の準備も一人の患者に対して複数種類のものが採血管準備装置によって自動的に準備されるようになっている。そして、採血室では多数の患者を取り扱うのが当たり前であり、前記採血管準備装置で準備された各採血管には患者情報、採血検査情報等のバーコードが印刷されたラベルが貼付されている。
また患者には、採血受付時に受付番号等のバーコードが印刷された採血受付票が発行されている。採血作業に際しては、これらのラベルや受付票の内容をバーコードリーダ等の光学的機器により読み取って患者及び採血管の取り間違いが起こらないようにしている。
【0003】
このような採血業務の自動化を図り、採血業務を支援する技術として、特許文献1に示す技術がある。この特許文献1の技術は、水平方向に回転駆動する一つのエンドレス状の送りベルトの往復するベルトどうしの間に、試験管保持部材を配設している。この試験管保持部材は、レール状又は板状部材等の平滑面を有するガイドフレームであって、試験管のキャップ下端面の一方側を支持するものである。キャップの対向する他方側下端面は、往き側送りベルトの上端面に支持されている。従って、試験管は、キャップ下端面を、前記試験管保持部材と往き側の送りベルトの上端面とに支持された状態でこれらの部材上を滑って移動するようになる。試験管に送りを与えるのは、前記往き側の送りベルトの上端面と試験管キャップの下端面との接合によってなされる。なお、送りベルトは、試験管の外周側面とは僅かの隙間を有しており、接触していない。
試験管は、試験管保持部材の終端側において、その係合が解かれ、往き側の送りベルトの上端面に片持支持された状態となり、係合が開放された試験管保持部材の方向へキャップ(頭部)側が傾斜してやがて落下する。そして、排出される。
【0004】
このように従来公知の発明にあっては、一つの搬送ベルトの往復するベルトどうしの中に試験管のキャップ下端面を支持するハンガータイプのストッカーを構成している。そのため、ストッカーにおける試験管の搬送装置を、一種類の試験管について一つのもので構成することができ、搬送装置の数を必要最小限のものとすることができる。また一つの搬送ベルトの往復するベルトどうしの中に試験管のストッカーを構成しているので、一つのストッカーの幅は僅か数センチメートルであり、多種類の試験管に対応すべく複数種類のストッカーを併設した場合でも全体としての幅寸法は従来技術に比較して格段に小さくできるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4356096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記特許文献1に示す技術では、搬送ベルトの駆動力は、往き側の搬送ベルトの上端面を通じて当該上端面に載置された採血管のキャップ下端面に伝達される。一方、採血管キャップの下端面における他方側は、支持レール上を滑りながら移動している。そのため、支持レールとキャップ下端面の両者間において、摩擦抵抗が大きいと、往き側搬送ベルトの上端面から採血管キャップの下端面に伝達される採血管搬送のための駆動力よりも当該摩擦抵抗の方が大きくなる。その結果、採血管キャップの下端面と、搬送ベルトの上端面との間で滑りが発生し、採血管の搬送ができなくなるという問題があった。
この問題は摩擦係数が大きいゴムキャップ採血管においては顕著であり、全く搬送できないという問題があった。
【0007】
また従来の前記特許文献1に示す技術では、採血管キャップ下端面の支持を、一方は支持レールで支持し、他方は搬送ベルトの上端面で支持し、搬送ベルトの送りをキャップ下端面との当接により直接伝達している。そのため、キャップ下端面と搬送ベルトの端面との接触による磨耗に起因する耐久性の問題があり、更には搬送ベルトがこじれて採血管のキャップがベルトの中へ引き込まれて採血管が落下するという虞があった。
【0008】
更にまた、採血管の外径寸法よりもわずかに大きい外径寸法を有するシール状のキャップもあるが、この場合はキャップ下端面に搬送ベルトの端面の上に載るために必要な幅寸法の余裕がなく、実施が不可能であるという問題があった。
【0009】
本発明は、従来の前記問題点に鑑みてこれを改良除去したものであって、採血検査の前工程における採血工程での採血管の事前準備作業を行なうものであって、送りベルトを採血管(試験管を含む。)本体の外周側面に当接させてこれに送りを与えると共に、この送りベルトの反対側の採血管本体の外周側面において、側面支持板による点接触で送りベルトに対向して支持し、また送りベルト側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板で点接触させて吊下げ支持し、これらの機構部を容易に脱着可能なモジュール方式にした採血管ストッカーを提供せんとするものである。
また本発明は、医師からの採血指示に応じて種類の異なる採血管を前記モジュール方式のストッカーから選択し、患者IDや前記採血指示内容等の採血情報を印字したラベルを貼り付け、ラベル貼付後の採血管を患者別に受皿へ収容することのできる小型且つ簡単な構造で移動性に優れた採血管準備装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設けると共に、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結したことを特徴とする採血管ストッカーである。
【0011】
本発明が採用した請求項2の手段は、両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設けると共に、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結して成り、これらの送りベルト、傾斜支持板、採血管の排出部、第一と第二のストッパー及び二つのアーム並びにソレノイドが、一つの筐体に収納されたモジュール方式であることを特徴とする採血管ストッカーである。
【0012】
本発明が採用した請求項3の手段は、両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設け、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結し、前記排出部の下方には採血管の搬送ベルトを配設し、該搬送ベルトの終端側にラベルの印字・貼付手段を設け、該印字・貼付手段の排出部近傍に採血管収納用の受皿載置部を設けたことを特徴とする採血管準備装置である。
【0013】
本発明が採用した請求項4の手段は、両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設けると共に、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結して成り、これらの送りベルト、採血管支持部材、採血管の排出部、第一と第二のストッパー及び二つのアーム並びにソレノイドが、一つの筐体であるモジュールに収納されている採血管ストッカーを複数個準備し、当該複数個の採血管ストッカーを複数個の並行して設けられたレーンにモジュール方式で脱着自在に収納し、各採血管ストッカーの排出部の領域におよぶ排出部の下方に搬送ベルトを配設し、該搬送ベルトの終端側にラベルの印字・貼付手段を設け、該印字・貼付手段の排出部近傍に採血管収納用の受皿載置部を設けたことを特徴とする採血管準備装置である。
【0014】
本発明が採用した請求項5の手段は、受皿載置部には、受皿の有無を検出するセンサーが配設されており、一人の患者に対して採血管を受皿へ収容した後、次の患者の採血管を収容するに際しては、一旦受皿が取り出されたことを検知した後、別の受皿が検知された場合でなければ各部の動作が起動しないようになされている前記請求項3及び4に記載の採血管準備装置である。
【0015】
本発明が採用した請求項6の手段は、搬送ベルトの最も上流側に位置する採血管ストッカーの排出部の近傍には、手作業で採血管を前記搬送ベルト上に挿入できる開口部が形成されている前記請求項3乃至5のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【0016】
本発明が採用した請求項7の手段は、印字・貼付手段の近傍で且つ受皿載置部に臨む位置には、他用途の別置きプリンターが内蔵されている前記請求項3乃至6のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【0017】
本発明が採用した請求項8の手段は、採血管準備装置本体には、上位コンピューターと通信可能で、各種のユーザーインターフェースが設けられたボードコンピューターが内臓されている前記請求項3乃至7のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【0018】
本発明が採用した請求項9の手段は、印字・貼付手段は、プリンターユニットとして採血管準備装置本体に対してスライド自在に取り付けられており、プリンターユニットを採血管準備装置本体から引き出して市販品のものに交換して搭載できるようになっている前記請求項3乃至8のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【0019】
本発明が採用した請求項10の手段は、採血管準備装置の起動用のスイッチがリモートコントロールによりON,OFF制御されるようにした前記請求項3乃至9のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【0020】
本発明が採用した請求項11の手段は、装置本体の外表面には当該採血管準備装置の設定状態の表示及び各操作スイッチに連動して設定変更案内の表示をするための設定状態表示部が設けられている前記請求項3乃至10のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【0021】
本発明が採用した請求項12の手段は、当該採血管準備装置は内臓又は外部接続されたCPUを有し、当該CPUには採血管準備装置を制御するためのソフトプログラムがインストールされており、装置本体の外表面若しくは外部側には前記CPUの入力部及びモニターを兼用するタッチパネルディスプレイが設けられている前記請求項3乃至11のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明にあっては、水平方向に回転駆動する一つのエンドレス状の送りベルトの往復するベルトどうしの間に、採血管を吊下げ保持するための傾斜支持板を配設している。この傾斜支持板は、レール状又は板状部材等の平滑面を有するガイドフレームであって、採血管のキャップ下端面の一方側のエッジを点接触で支持するためのものである。この傾斜支持板の下方には、採血管の外周側面に当接してこれを支持する側面支持板が配設されている。傾斜支持板と側面支持板とは連続した一枚の平板を折り曲げ形成して製作することも可能である。
またこれらの傾斜支持板と側面支持板とが配設されているサイドとは、反対側の採血管の外周側面には、エンドレス状の送りベルトが当接している。送りベルトは、その種類は問わないが、平ベルトよりも採血管への駆動力の伝達に優れた丸ベルトを上下方向に複数段設けるようにした方がよい。
採血管は、その上下方向においては、採血管キャップの一方側の下端面のエッジ部が傾斜支持板に点接触で係合して支持されている。また水平方向においては、前記傾斜支持板が配置された側では、折り曲げた側面支持板の先端エッジ部が採血管の外周側面に点接触で接触している。一方、前記傾斜支持板が配置されている側とは反対側では、送りベルトがある程度の付勢力をもって採血管本体の外周側面に当接している。
【0023】
従って、採血管は、送りベルトの付勢力によって側面支持板のエッジ部に押し付けられながら、これらの送りベルトと側面支持板とによって水平方向の支持がなされる。また送りベルトは、採血管の外周側面との接触を通じて採血管に送りを与える。そのため、採血管は、採血管キャップの下端面エッジ部が傾斜支持板に点接触した状態で傾斜支持板上を滑動し、また採血管の外周側面では側面支持板のエッジ部が点接触した状態で滑って移動することになる。このように傾斜支持板と側面支持板とのそれぞれが点接触することで採血管を支持しているので、支持する部材と採血管との間の摩擦力は極めて小さくなる。そのため、送りベルトから採血管へ伝達される駆動力の方が、採血管を支持するための摩擦力よりも大きくなり、スムーズな搬送が可能となり、ゴム管の搬送も実現できるものである。
採血管は、傾斜支持板及び側面支持板の終端側において、その係合が解かれ、落下する。そして、排出される。
【0024】
また、この請求項1の発明は、先頭の採血管を一本ずつ切り出して排出するようにした機構であり、第一のストッパーと第二のストッパーとを有している。第一のストッパーは、先頭の採血管のキャップ前面側に当接し得るように進退自在に構成されている。第二のストッパーは、先頭と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して進退自在に構成されている。
【0025】
第一のストッパーが先頭の採血管のキャップ前面側に当接し、第二のストッパーが先頭と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に進入している。この状態から第一のストッパーが退出動作をし、先頭の採血管のキャップ前面側との係合を解放すると、先頭の採血管は往き側送りベルトとの接合による送りによって更に前進し、やがて採血管を支持する傾斜支持板及び側面支持板の終端側との係合が解放される。そのため、先頭の採血管は、その自重により落下排出される。二番目以降の採血管は、第二のストッパーによって停止のままである。先頭の採血管が排出された後、第一のストッパーが復帰動作し、第二のストッパーが退出動作をしたときに、残りの採血管は全部のものが押せ押せで採血管一個分だけ前進し、第一のストッパーによって移動が停止される。その後、第二のストッパーが元の状態へ復帰動作する。
【0026】
更に、請求項1の発明にあっては、第一及び第二のストッパーは例えばアームの一端側に取り付けられており、アームの中間部分を揺動自在に枢支されており、アームの他端側にソレノイド(ソレノイドのロッド先端)が連結されている。従って、ソレノイドをON,OFF制御することにより、ソレノイドのロッドが本体ケースに対して突出退入動作をし、アームの一端側に取り付けられた第一及び第二のストッパーが、それぞれ採血管のキャップに対して進退自在の動作を行うように構成されている。
前述した通り、第一及び第二のストッパーの進退動作を制御することにより、先頭の採血管を一本ずつ切り出して排出することが可能である。
【0027】
請求項2の発明にあっては、前記請求項1に記載の採血管ストッカーを構成する送りベルト、傾斜支持板、側面の支持板、採血管の排出部、第一と第二のストッパー及び二つのアーム並びにソレノイドの各構成部材を、一つの筐体に収納したモジュール方式としている。このようなモジュール方式にすることにより、採血管の種類に対応したモジュールを準備しておけば、採血管の管種の変更があった場合でもモジュールを交換するだけでよく、極めて簡単且つ迅速な対処作業が可能である。しかも、故障した場合に、モジュール単位でセンドバック方式による修理が行え、遠隔地対応も容易である。
【0028】
請求項3に記載された採血管準備装置の発明は、請求項1の発明の採血管ストッカーを用い、ストッカーから一本ずつ切り出されて排出された採血管を、その底部側が先になるように寝かしてラベルの印字・貼付手段の位置まで搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトの終端側に設けられたラベルの印字貼付手段と、印字貼付手段の排出部近傍に設けられた採血管収納用受皿の配置部とを有している。ラベルの印字貼付手段では、例えば上位システム又は医師のパソコン端末から当該採血患者の採血情報を入手し、ラベルに印字し、印字後のラベルを採血管の外周面に貼着する。貼着後は、同一の患者ごとに受皿に収容される。
このような採血管用のストッカーを用いた採血管準備装置であれば、多種類の採血管を取り扱うことができるように構成した場合であっても、その大きさは極めて小さく、全体の軽量小型化という点に関して優れた特徴を有している。
【0029】
従って、請求項3に記載の採血管準備装置は、コンパクト且つポータブルで移動も容易である。そのため、災害時などにおいて、現場の救急施設などへ搬入設置することが極めて容易であり、医師が使用するノート型パソコン等のコンピュータ端末に接続して医師が診察した患者の採血に関する情報を取り込み、当該採血に必要な採血管をストッカーから選択的に取り出し、これに患者の採血情報を印字したラベルを貼り付けて患者ごとに受皿へ収容し、採血の準備を自動的に行うことが可能である。また個人経営の病院等においても、採血管準備装置の導入が可能となる等の利点がある。更には、入院病棟においては、移動できるワゴンに当該採血管準備装置を載置し、各病室の患者のベッドサイドまで行って、本装置で採血管を自動的に準備し、採血を行うようにすることも可能である。
【0030】
請求項4に記載の採血管準備装置の発明は、請求項2に記載の発明のモジュール方式の採血管ストッカーと、当該ストッカーから一本ずつ切り出されて排出された採血管を、その底部側が先になるように寝かしてラベルの印字・貼付手段の位置まで搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトの終端側に設けられたラベルの印字貼付手段と、印字貼付手段の排出部近傍に設けられた採血管収納用受皿の配置部とを有している。従って、モジュール方式であることの作用効果と、前記請求項3の発明の作用効果とを併せ持っている。
【0031】
請求項5の発明は、受皿載置部に受皿の有無を検出するセンサーを配置している。そして、一人の患者に対して採血管を受皿へ収容した後、次の患者の採血管を収容するに際しては、一旦受皿が取り出されたことを検知した後、別の受皿が検知された場合でなければ各部の動作が起動しないようになされている。これにより、確実に患者ごとの採血管の収容が可能であり、他の患者との採血管の混同が発生しないようにしている。
【0032】
請求項6の発明は、各採血管ストッカーから排出された採血管をラベルの印字・貼付手段へ供給するための搬送ベルトの上流側に、手作業で採血管を投入できる開口部を設けている。これは、頻度の低い採血検査や特殊な採血検査を必要とする患者に対応するためのものである。各採血管ストッカーでは、頻繁に使用される管種の採血管をストックするようにしている。使用頻度の低い採血検査や特殊な採血検査の場合は、個別に対応する必要がある。そのため、この請求項7の発明においては、使用頻度の低い採血検査や特殊な採血検査に使用する採血管を作業員が手作業で供給できる開口を設け、ラベルの印字・貼付手段の方へ供給するようにしている。
【0033】
請求項7の発明は、採血管準備装置本体内に、他用途の別置きプリンターが内臓されている。これは、例えば、採血指示書をプリントアウトするためのものである。また病棟などにおいて、当該患者が採血を実施できるような状態にあるか不明である場合に、採血管にラベルを貼らずに、ラベルに患者情報や検査情報等の必要事項の印字のみをこの別置き用プリンターで行うようにしたものである。これであれば、当該患者の様子に応じて当該患者のベットで直接採血を行い、採血後に前記手貼りラベルを採血管へ貼り付けることが可能である。当該患者が採血できない状態であれば、手貼りラベルは受皿の中へ入れたままにしておけばよい。
【0034】
請求項8の発明は、上位の医事コンピュータやホストコンピューターなどへLAN接続したり、他のユーザーインターフェースと接続することが可能なコンピューターボードを内臓するようにしている。これにより、上位のコンピュータから患者情報や検査情報等を取得することも可能である。また、オールインワン型の採血管準備装置を構成することが可能である。
【0035】
請求項9の発明は、印字・貼付手段がプリンターユニットとして、装置本体からスライド自在に取り付けられている。そのため、プリンターユニットが故障したとき等においては、これを代替品と交換して装置の機能を維持し、故障したプリンターユニットについてはセンドバック方式で修理の依頼をすることが可能であり、メンテナンス上も便利である。このプリンターユニットは、別置きプリンターが設置されるときは、この別置きプリンターも同じように交換修理及びセンドバック方式の修理が可能である。
【0036】
請求項10の発明にあっては、採血管準備装置の起動用のスイッチがリモートコントロールによりON,OFF制御されるようになっている。例えば、病院などにおいて、採血検査の作業の開始又は終了に際し、採血検査室の技師長又はオペレータは採血管準備装置の起動用のスイッチのON又はOFF操作と、当該採血管準備装置を制御するためのCPUの起動用スイッチのON又はOFF操作とをしなければならない。ところが、この請求項11の発明のようにその起動用スイッチのON,OFFをリモートコントロールできるようにしておけば、CPU及び採血管準備装置の起動又は遮断を上位の操作者が病院内のLANなどを通じてリモートコントロールでき、極めて便利である。
またCPUの入力部から採血管準備装置の起動用スイッチのON,OFF制御を行うことも可能である。この場合は、CPUにおいて、当該CPUと採血管準備装置との電源のON,OFFをCPU側で同時に行うことができ、便利である。
【0037】
請求項11の発明にあっては、装置本体の外表面に設定状態表示部が設けられている。この設定状態表示部は、当該装置の設定状態を表示すると共に、装置本体の各部の機能操作用のスイッチに連動して設定変更の案内表示をするためのものである。これにより、現在の装置の設定状態がどのようになっているかを目視で確認することができ、また設定変更する場合は変更の内容等を表示することができる。
そのため、オペレータは何ら外部付加装置を接続することなく設定状態の確認を確実に行うことができると共に、設定変更が行えるという利点もある。
【0038】
請求項12の発明における採血管準備装置は、内臓又は外部接続されたCPUを有し、当該CPUには採血管準備装置を制御するためのソフトプログラムがインストールされている。そして、装置本体の外表面には、前記CPUの入力部及びモニターを兼用するタッチパネルディスプレイが設けられている。このタッチパネルディスプレイには、当該採血管準備装置の上位システムである病院情報システム(Hospital Information System)及び検査情報システム(Laboratory Information System)から取得した患者情報や検査情報を表示することができる。患者情報としては、患者ID、患者が新型インフルエンザやHIV等の感染症患者であるとかの情報、身障者であるなどの情報である。これにより、オペレータは、患者が誰であるかを認識したり、当該患者用の受皿(トレイ)に特殊病原菌の感染者であるなどの識別用のマークを施したり、通常の患者のトレイと分けて採血現場へ供給するなどの対策を個別に採ることができ、採血作業者にとってもこれらの情報に基づいてそれぞれに対応した対策を採ることができ、安全な採血作業を実施することができる。
【0039】
検査情報としては、例えば、生化学検査、免疫学検査、血糖検査、血液学検査、凝固検査等の検査の種類、患者氏名、採血管の容器の名称、患者に関する任意のIDたるバーコード、採血容量等の採血検査に関する項目を表示することで、オペレータに当該検査用の採血管がセットされているかどうかの確認を目視で行うことができ、セットされていない採血管の場合は手差しの準備を行うことが可能である。
【0040】
またタッチディスプレイには、CPUの機能操作を行うためのタッチキーを表示することができるようになされており、CPUの入力部としての機能も有している。従って、オペレータは内臓CPUの場合は、このタッチディスプレイに表示されたタッチキーから採血管準備装置をコントロールすることが可能であり、また外部接続方式のCPUの場合は外部接続されたCPUのキーボードから入力するか又はこのタッチディスプレイに表示されたタッチキーから入力することが可能である。このタッチディスプレイを利用することにより、オペレータは複数の機器の操作とその為の移動をすることなく、当該採血管準備装置ですべての操作を行うことが可能となり、便利であり、作業者の負担も軽減されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態に係る採血管準備装置の全体を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る採血管準備装置の全体を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る採血管準備装置の全体を示す背面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る採血管準備装置の全体を示す左側面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る採血管ストッカーの基本構成を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る採血管ストッカー全体を示す側面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るものであり、図5のA−A線断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るものであり、図7の部分拡大図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係るものであり、第一及び第二のストッパーを示す平面図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る採血管準備装置を示す縦断面正面図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るものであり、採血管の落下排出部を示す縦断面図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係るものであり、ラベル貼付装置を構成する部材の位置関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本発明の構成を図1〜図12に示す一実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。先ず、採血管準備装置Aを構成する機器及び機構などのレイアウトについて、図1乃至図4を参照して説明する。図1乃至図4は採血管準備装置Aの全体を示すものであり、図1は平面図、図2は正面図、図3は背面図、図4は左側面図である。図1の平面図に示すように、この採血管準備装置Aは、複数個の採血管ストッカー1の装着部Bが左側半分程度の領域を占めて設けられている。この実施例では、ストッカー1は、モジュール方式で六個のものが並行して設置されており、装置本体33側の装着部に対してストッカー1のモジュールを脱着自在に装着するようにしている。このストッカー装着部Bの右側で装置本体内部にはラベルの印字・貼付手段の設置部Cが設けられている。そして、ストッカー装着部Bの各ストッカー1の採血管排出部の下方には、各ストッカー1と直交する方向で、装置本体33の左端側から印字・貼付手段の設置部Cの手前側を横切って装置本体33の右端側へ至る搬送ベルト20の設置部Dが設けられている。
【0043】
また装置本体33の手前側の前面板33bには、ディスプレイ設置部Hが設けられている。ディスプレイ設置部Hは、作業者が装置の前面に立った状態でディスプレイに表示された情報を見やすくするために、傾斜面に形成されている。該ディスプレイ設置部Hには、タッチパネルディスプレイ37と、設定状態表示部38との二種類のディスプレイが設けられている。タッチパネルディスプレイ37は、内臓されたボードコンピュータ(CPU)の入力部及びモニターを兼用するものであり、8インチ程度の大きさのものである。このディスプレイ37には、例えば初期動作画面、メイン画面、詳細ステータス画面、メンテナンスメニュー画面がある。初期動作画面にはロゴとメニューとが表示される。メニューとしては、運用開始、メンテナンス、シャットダウン、再起動、プログラム終了などがある。メイン画面には、ファンクションキーの表示と、各ストッカーが正常であるか異常であるかの状態表示と、メインのプリンタ及び多用途の別置きプリンタの各プリンタエンジンが正常であるか異常であるかの表示とがある。ファンクションキーは、例えばF1〜F6までの六つのキーがあり、F1キーはストップ/再開ボタン、F2キーはリセットボタン、F3〜F6は各画面への切り替えボタンなどに機能設定されている。
【0044】
詳細設定画面には、プリンタエンジンの設定と、ストッカーの設定と、ラベルのフォーマット設定と、上位インターフェース設定とを選択できる画面がある。プリンタエンジン設定を選択すると、メインのプリンタエンジン及び内臓する多目的プリンタの各プリンタエンジンの設定を行うことができる。プリンタエンジンの設定項目としては、プリンタエンジン番号設定、エンジンの有効/無効の選択、バーコードスキャナの有効/無効の選択、在管チェックセンサーの有効/無効の選択、ラベル貼付位置の設定などができるようになっている。ストッカーの設定項目としては、ストッカー番号設定、ストッカー表示名の設定、当該ストッカーの有効/無効の選択、管長の設定、ラベル貼付位置の設定が行えるようになっている。ラベルフォーマットの設定は、ラベルに印字する項目の配置を設定できるようになっている。ラベルに印字する項目としては、生化学検査、免疫学検査、血糖検査、血液学検査、凝固検査等の検査の種類、患者氏名、採血管の容器の名称、バーコード、採血容量などがある。上位インターフェースの設定は、シリアル接続であるか又はソケット接続であるかの設定、TCP/IP通信プロトコルの設定などができるようになっている。
【0045】
設定状態表示部38は、採血管準備装置の各部の設定状態を表示したり、設定変更の案内表示を行うためのものである。この設定状態表示部38は、例えば採血管準備装置自体の操作ボタンと連動して設定状態を表示し、設定を変更するようになっており、操作ボタンの例としてはリスタートボタン、フィードボタン、F1〜F3のファンクションキーボタン等がある。表示される設定状態としては、アイドリング中、初期通信コマンド待ち、印刷コマンド受信済み、メンテナンスモード中、カバーオープン、ラベル切れ検出、ヘッドオープン検出、台紙押し付けローラオープン検出、用紙送りモータエラー、押し込みモータエラー、位置決めモータエラー、幅寄せモータエラー、在管チェックエラー、ストッカ空、ストッパーエラー、コンベア搬送タイムアウト、コンベア詰まり検出、採血管落とし込みエラー等がある。
【0046】
更に、図2の正面図に示すように、印字・貼付手段の設置部Cの手前側には受皿載置部Eが設けられており、患者情報や採血検査情報等が印字されたラベル貼付後の採血管を患者ごとにここに準備された受皿(トレイ)30内へ収容するようにしている。この受皿載置部Eには、受皿30の有無を検知するための光学的センサー36a及び36b(図1参照)が配置されている。センサーは、投光器36aから照射された光を受光器36bで検知するタイプのものを図示しているが、反射型のものであってもよい。
【0047】
更にまた、ストッカー装着部Bの下方には、ボードコンピュータ設置部Fが設けられている。ボードコンピュータ(CPU)には、当該装置全体を制御するための制御ソフトがインストールされており、採血管ストッカー1の制御、ラベル貼付装置7及び印字装置25の制御を行う。またこのボードコンピュータは、上位のHIS又はLISとの情報の送受信を行い、上位からの情報を入力することが可能である。また上位システム側の機器から又はLAN接続された医師や検査技師のPCからリモートコントロールされるようになっている。例えば、採血作業の終了時において、LISにおける採血作業管理者側のPCからボードコンピュータの電源及び採血管準備装置の電源をシャットオフできるように構成したり、タッチパネルディスプレイ37の画面に表示されるボードコンピュータの入力画面からボードコンピュータ自体の電源と採血管準備装置の電源とを同時にシャットオフできるように構成することも可能である。
【0048】
図3の背面図に示すように、装置本体33の背面側には前記ボードコンピュータとのインターフェースとして、無線ボードや外部接続機器用ボード等の差込スロットS1〜S3、R232C端子R、音声入出力端子V1,V2、例えば、FAX等との接続やその他の外部機器との接続に用いられるUSBポートU1〜U4、LAN接続ポートL1〜L3、電源端子Xなどが設けられている。
【0049】
更に、図4に示すように、装置本体33の左側面板33aには、前記搬送ベルト20の設置部Dに臨む開口部Gが設けられている。開口部Gは、通常は、下端側を中心にして回動自在な開閉扉34によって閉塞されている。この開口部Gは、手作業で採血管を搬送ベルト20上へ投入するためのものである。開閉扉34は、オープンにした状態では、採血管4の投入案内通路として機能する。これにより、開口部Gを通じて、滅多に使用されない採血管や特殊サイズの採血管を、個別に印字・貼付手段の方へ供給することが可能である。
【0050】
次に、採血管準備装置Aを構成する各機器及び機構について、個別に説明する。先ず、採血管ストッカー1について、図5乃至図9を参照して説明する。図5はストッカー1の平面図、図6は同側面図、図7は図5のA−A線断面図、図8は図7の部分拡大図、図9はストッパーの拡大平面図である。図7の縦断面図に示すように、この実施の形態の採血管ストッカー1は、ステンレスやアルミ合金、鋼板等の薄い金属板を折り曲げることで断面U字状の採血管搬送用の通路(溝)を形成した筐体1Aを有している。この筐体に各構成部材を連結結合して採血管ストッカー1の全体を一つのモジュールMとして構成している。従って、採血管ストッカー1の交換修理などは、モジュールMを単位としてワンタッチ式で行うことが可能であり、モジュールMのみをセンドバックすることにより、遠隔地の保守・交換修理作業が行える。しかも、モジュールMの代替品を先に準備しておくことで、採血業務を停止する必要もない。
【0051】
図5の平面図に示すように、採血管ストッカー1は、両端に平置きで配置した駆動プーリー8A及び従動プーリー8B間に跨ってエンドレス状の送りベルト2が懸架されている。送りベルト2は、この実施の形態では、丸ベルトを二本上下に配置して構成されている。上下に配置する段数は、三本などであってもよい。2Aは往き側送りベルトであり、2Bは戻り側送りベルト2Bである。尚、この送りベルト2は、平ベルトであってもよい。
送りベルト2は、図7の縦断面図に示すように、往き側の送りベルト2Aが採血管ストッカー1の筺体1A内に配置されており、戻り側の送りベルト2Bは筺体1Aの外側に配置されている。他方、筺体1A内にあって、往き側送りベルト2Aと対向する位置には傾斜支持板3と、側面支持板11とが配設されている。この実施の形態では、傾斜支持板3と側面支持板11とは一枚の鋼板を板金により折り曲げて形成している。
【0052】
傾斜支持板3は、筺体1Aの上端面に接合して取り付けられる平坦部を有し、該取付平坦部の長孔3Aを通じて図7の左右方向に進退自在に取り付けられている。また傾斜支持板3は、採血管キャップ10の下端面のエッジ部と点接触し、これを吊下げ支持するようになされている。このように、採血管4はそのキャップ10の下端面エッジ部が傾斜支持板3に点接触することで、上下方向において片持ち状態で吊下げ支持されるようになっている。
【0053】
一方、側面支持板11は、筺体1Aの内側へ向けて折り曲げた部分を有し、その先端部が往き側送りベルト2Aと対向する位置で、採血管本体4Aの外周側面に点接触で当接するようになっている。そして、往き側の送りベルト2Aの上端面と、前記側面支持板11が採血管本体外周面へ接触している点との間に、高低差Hを設けるようにしている。また、往き側送りベルト2Aと、側面支持板11とが採血管本体外周面へ接触している点との間の水平方向の距離を、採血管本体4Aの外径寸法よりも小さくなるようにしている。この間隔調整は、傾斜支持板3の長孔3Aを通じて傾斜支持板3を前後させて行うようにしている。
これにより、採血管の中心線Qは垂線Pに対して角度Rだけ傾斜するようになる。このように設定することにより、採血管4と往き側送りベルト2Aとの接触位置の調整を無調整にすることが可能である。すなわち、採血管4を往き側送りベルト2Aと側面支持板11との間に、若干斜めに挿入するだけで、往き側送りベルト2Aを採血管4の外周側面にある程度の押圧力をもって当接させることが可能であり、両者間の間隔調整は不要である。
【0054】
採血管4のサイズは、一般的には、生化学検査、免疫学検査、血糖検査、血液学検査、凝固検査などについては、直径13mmと、直径16mmのものとがあり、血沈検査用としては直径8mmのものがある。
採血管4は、チューブ状の採血管本体4Aとキャップ10とからなり、キャップ10の下端面は採血管本体4Aの外径寸法よりも大きい外径寸法を有している。図7及び図8に示すように、この採血管4は、往き側の送りベルト2Aと側面支持板11とにより、水平方向での支持がなされ、傾斜支持板3により上下方向の支持がなされている。しかも、傾斜支持板3と側面支持板11とが採血管4を支持しているのは、いずれも点接触方式であり、この接触部における各部材間の摩擦抵抗は非常に小さいものとなる。
そのため、往き側送りベルト2Aから採血管本体4Aに駆動力が伝達されると、採血管4は自転しながら点接触状態で傾斜支持板3と側面支持板11上を滑りながら移動し、搬送されるようになる。このように、搬送ベルト2との駆動伝達部分を除いて、採血管4を支持する部分を点接触方式にすることで、その摩擦抵抗を著しく少なくすることができ、僅かな搬送力でもって採血管4の搬送が可能である。これにより、従来では成し得なかったゴムキャップ管であっても搬送が可能である。
【0055】
往き側送りベルト2Aの背面側は、図7に示すように、モジュールMの筐体1Aを構成する部材がバックアップ部材を兼用しており、ベルトが撓まないようになされている。往き側の送りベルト2Aの背面側をバックアップすることにより、このベルト2Aを採血管4の外周側面へ確実に当接接合することが可能である。
【0056】
傾斜支持板3および側面支持板11の終端3B側には、採血管4の排出部12が設けられている。この排出部12は傾斜支持板3及び側面支持板11の終端側とプーリー8Aとの間の空間領域に設けられている。採血管4が傾斜支持板3及び側面支持板11の終端側に至ることによって、キャップ10の下端面エッジ部が傾斜支持板3との係合を解放されて自然的に自重により落下することで行われる。
【0057】
ところで、排出部12に臨む位置には、第一及び第二のストッパー5,6が設けられている。これらの第一及び第二のストッパー5,6は、図9の平面図に最もよく表されているように、同一の軸13に中間部分を揺動自在に枢支されたアーム14,15の一端側下面に棒状突起が5A及び6Aが直立した状態で設けられている。第一及び第二のストッパー5及び6において、これらの棒状突起5A及び6Aが設けられる部分は、平面視した状態でL型に折れ曲がった部分が前後して相互に入り込み、干渉しないようになされている。第一のストッパー5は、先頭の採血管4のキャップ前面側に当接し得るように進退自在に構成されており、第二のストッパー6は、先頭と第二番目の採血管4,4のキャップどうしの間に形成される隙間に対して進退自在に構成されている。
【0058】
またアーム14,15の他端側下面には、ソレノイド16,17のロッド16A,17Aが連結されている。この場合のソレノイド16,17は、小型化を目的としてボールペンとほぼ同じ外径寸法を有するものが採用され、電源をONにするとロッド16A,17Aが退入動作をし、アーム14,15を図6の鎖線で示すように上昇位置へ揺動させるようになっている。なお、これらのソレノイド16,17は、通常は交互に動作するように設定されている。各アーム14,15の枢軸13と棒状突起5A及び6Aとの間には、それぞれリターンスプリング(引張りばね)18,19が取り付けられている。これはソレノイド16,17の電源をOFFにしたときに、リターンスプリング18,19の引張り力により、アーム14,15が水平の姿勢に復帰するようにするためのものである。またリターンスプリング18及び19は、落下する採血管4が前方側へ飛び出さないようにする働きもある。
【0059】
この実施の形態においては、上記のように構成された吊下げ方式の採血管ストッカー1が、図1及び図10に示すように、6列併設されている。排出部12の下方には、送りベルト2の搬送方向と直行する方向に配設された一本の搬送ベルト20が配設されており、6列の各ストッカー1から落下供給される採血管4を、この搬送ベルト20で図1及び図10の左側から右側方向に向けて搬送する。このとき、採血管4は、図11に示すように、搬送ベルト20により足元を掬われた状態で採血管4の底部のみが進行し、採血管4のキャップ10側は依然として筺体1A内に残っており、しかも筺体1Aの出口側が進行方向に折り曲げられたフラップ1B,1Bを有しており、必ずキャップ10側が最後に排出されて採血管4の向きが常に一定方向を向くようになされている。
【0060】
なお、搬送ベルト20は、図10の実施例では一本の連続したもので構成したが、ストッカー1の領域と、ラベルの印字貼付手段7の領域とに分割して二つの搬送ベルトで構成し、採血管4が自動的に二つの搬送ベルト間を乗り移ることができるようにすることも可能である。このようにした場合、採血管準備装置をストッカー装置と、ラベルの印字貼付装置とに分離する構成をとることができ、ストッカー装置の独立した使用が可能であり、またメンテナンスも分離して行えるので便利である。
【0061】
搬送ベルト20の終端側には、採血管4の到着検知板21が設けられている。到着検知板21は、通常の状態では、図10の鎖線で示すように、斜めに傾斜した姿勢で待機しており、採血管4が送り込まれるとこれに押圧されて実線で示すように直立の状態となり、同時に採血管4の停止位置を決定するようになる。到着検知板21は、コ字状に折曲された部分を有し、傾斜した待機状態では赤外線センサーやフォトセンサー等の投受光器からなる検知センサー(図示せず)の照射光が遮られ、採血管4が到着した直立の状態では投光器から照射された光が受光器で受光されるようになっている。更に、採血管4の停止位置の側面部には、図10及び図12に示すように、搬送ベルト20の搬送方向と直交する方向へ往復動作する採血管4の切出用スライダー22が設けられており、採血管4を搬送ベルト20から押し出してラベル貼付装置7の貼付位置へ落下供給するようになっている。
【0062】
なお、到着検知板21の直前には採血管4の向きを検知するための方向検知手段が設けられている(図示せず)。これは誤ってキャップ10が先頭になって到着検知板21に当接して停止したときに、キャップ10によって投光器からの照射光が遮られ、採血管4の向きを検知することができるようにしたものである。
【0063】
ラベル貼付装置7は、図12に示すように、連続した剥離紙上に貼付されたラベルの供給ロール23と、剥離紙を巻き取るための巻取ロール24とを有している。供給ロール23から繰り出されるラベルと剥離紙は、鋭角的に折り返して移動させることにより、腰が強い(剥離紙より弾力があって折れにくい)ラベルのみが剥離紙から剥離される。ラベルはそのまま直進して貼付手段29側へ供給され、後の残った剥離紙のみが巻取りロール24で巻き取られる。この剥離部の上流側には、ラベルへの患者情報等を印字するための印字装置25が配設されている。印字する情報は、当該採血管準備装置の制御部を内臓されたボードコンピュータ(CPU)のインターフェースを通じて上位の医事システム等のコンピュータ若しくは医師のコンピュータ端末などへ接続してこれらのデータベース若しくはハードディスクなどから取得するようになされている。更に、剥離紙から剥離されたラベルの進行方向には、駆動ローラ26及び支持ローラ27並びに進退自在な加圧ローラ28から成る貼付手段29が配設されている。更に、貼付手段29の斜め下方には、受皿30の載置部が設けられている。
【0064】
また図1乃至図3並びに図12に示すように、ラベル貼付装置7及び印字装置25の隣で受皿30に臨む位置には、内蔵で多目的のプリンタ31が配設されている。この多目的プリンタ31は、例えば、採血指示書をプリントアウトして受皿30へ投入するためのものである。また病棟などにおいて、採血しようとする患者のコンディションが採血を実施できるような状態にあるか不明である場合に、採血管にラベルを貼らずに、ラベルに患者情報や検査情報等の必要事項の印字のみをこの別置き用プリンタ31で行い、ラベルを受皿30へ排出するようにしたものである。これであれば、当該患者の様子に応じて当該患者のベットサイドで直接採血を行い、採血後に前記手貼りラベルを採血管へ貼り付けることが可能である。当該患者が採血できない状態であれば、手貼りラベルは受皿30の中へ入れたままにしておけばよい。
【0065】
更に、ラベル貼付装置7及び印字装置25と、多目的プリンタ31とは、図3及び図12に示すように、スライドテーブル32の上に搭載されてユニット化されており、電気的接続(カプラー)及び位置決めロック機構などを取り外すことで、装置本体33の外部へ引き出すことが可能である。そのため、これらのラベル貼付装置7及び印字装置25と、別置きプリンタ31が故障した場合などにおいては、故障した機器を交換するだけで迅速な修理が行えるという利点がある。これらのラベル貼付装置7及び印字装置25と、別置きプリンタ31は市販されている汎用製品を使用することができ、安価に供給できるという利点もある。またこれらの機器は、装置本体33の外部へ引き出してメンテナンスが行えるのでその作業も容易である。
【0066】
次に、上記の如く構成された採血管準備装置Aの動作態様を説明する。先ず、装置本体33の上面に設けられたストッカー設置部Bの6列の装着部に、それぞれ異なる種類の採血管をストックするための採血管ストッカー1のモジュールMをセットする。モジュールMの固定は、ビス固定式でもよく、ワンタッチクリップ方式等のほかの固定方法であってもよい。然る後は、各採血管ストッカー1の傾斜支持板3及び側面支持板11と、往き側送りベルト2Aとの間に形成される各溝(採血管4のストック部)に、手作業でそれぞれ別々の種類の採血管4をセットする。採血管4のセットは、採血管4をその底部側から前記溝へ挿入するだけでよい。これにより、各採血管4は、そのキャップ10の下端面エッジ部が傾斜支持板3に点接触することで、上下方向において吊下げ支持され、また搬送ベルト20と側面支持板11とで採血管本体4Aの外周側面を挟持することで水平方向の支持がなされ、搬送ベルト20はある押圧力で採血管4の外周側面に当接する。
動作開始前の状態にあって、採血管準備装置の第一のストッパー5の棒状突起5Aは、先頭の採血管4のキャップ10の前面側に当接してその前進移動を拘束している。また第二のストッパー6の棒状突起6Aは、先頭と二番目に位置する採血管4,4のキャップ10,10どうしの間に形成される隙間31に入り込み、第二番目の採血管4の前進移動を拘束している。
【0067】
このような状態で装置本体33の電源スイッチをONにし、内蔵されたボードコンピュータのCPUを動作させて制御ソフトウェアを機能させ、上位のコンピュータ若しくは医師のコンピュータ端末などから採血する患者の採血情報を入手する。なお、採血管準備装置Aの制御部(ファームウェア)は、受皿載置部Eから、前の患者の受皿30が取り出されたことを検知した後であって、そして新たに当該患者のための別の受皿30が準備されていない状態では各機器を動作させないようになされている。これは、前の患者の受皿30へ次の患者の採血管が投入されて混同しないようにするためである。
【0068】
制御部は、前記入手した情報に基づいて、選択する採血管の種類を決定し、該当する種類の採血管4がストックされている採血管ストッカー1の駆動プーリ−8Aを回転駆動させる。これらの設定情報及び上位から入手した情報は、タッチパネルディスプレイ37に表示される。駆動プーリー8Aの駆動により、当該ストッカー1の全ての採血管4は、その外周側面と接合している往き側送りベルト2Aのフィードを受けるようになる。なお、この状態では、第一及び第二のストッパー5及び6の働きにより、先頭と二番目の採血管4がそれぞれ移動を拘束されているので、全ての採血管4は停止したままである。
【0069】
次に、採血管準備装置Aの制御部は、該当するストッカー1の第一のストッパー5のソレノイド16をON動作させる。これにより、ソレノイド16は、そのロッドが退入動作をし、アーム14を枢軸13を支点として図12の半時計方向へ回動させるようになる。そのため、アーム14の一端側に取り付けられた棒状突起5Aが先頭の採血管4のキャップ10の前面側から離れ、先頭の採血管4の拘束を解放する。先頭の採血管4は、フリーの状態となり、往き側の送りベルト2Aのフィードを受けて、停止位置から前進を始める。やがて先頭の採血管4は、傾斜支持板3の終端側の排出部12に至り、傾斜支持板3との係合が解放されるので、自重により搬送ベルト20の上に落下する。そして、採血管4の底部側が先頭となって印刷貼付部の方へ搬送される。
【0070】
一方、第一のストッパー5は、ソレノイド16がOFF動作するので、アーム14はリターンスプリング18によって、元の水平状態へ復帰する。続いて、第二のストッパー6のソレノイド17がON動作し、アーム15を図12の鎖線で示す位置まで半時計方向へ回動させるようになる。これにより、棒状突起6Aが第二番目の採血管4のキャップ10との接合を解放する。そのため、第二番目以降の残りの全ての採血管4は、往き側送りベルト2Aの駆動力を受けて前進し、新たに先頭になった採血管4が第一のストッパー5の棒状突起5Aにそのキャップ10の前面側を当接して停止するようになる。最後に、第二のストッパー6のソレノイド17がOFF動作し、リターンスプリング19によって水平状態へ復帰し、新たに先頭になった採血管4と二番目に位置する採血管4とのキャップ10どうしの隙間に進入し、次の採血管4の供給指令が発せられるまでこの状態で待機する。
【0071】
前記搬送ベルト20は、第一のストッパー5のソレノイド16がON動作するのと同じタイミングで駆動を開始している。そのため、自重により落下供給された採血管4は、搬送ベルト20により図10の左方向から右方向へ向けて搬送され、到着検知板21を押圧付勢するようになる。なお、採血管4は搬送ベルト20へ直立の状態で落下供給されたとしても、搬送ベルト20が同図の左方向から右方向へ駆動していることにより、足元を掬われるようになる。しかもキャップ10は、フラップ1B,1Bに係合して最後に筺体1Aから排出されるようになっており、必ず採血管の底部側が先頭になって搬送されるようになる。搬送ベルト20上の採血管4は、搬送路の終端側でその底部が到着検知板21に当接してこれを押圧し、到着検知板21を傾斜した姿勢から直立の姿勢に揺動させて停止するようになる。
なお、この停止位置では、図示しない採血管4の方向検知センサーが採血管4のキャップ10を検知するようにしている。キャップが検出された場合は、キャップが先頭になって搬送されたということであり、逆向きであるので音声や発光素子の点滅信号などにより警報を発し、作業者に知らせるようになっている。またタッチパネルディスプレイ37には、採血管4の向きが逆であることがエラーとして表示される。この場合、作業者は採血管4を取り出し、向きを変えて作業を続行するようにすればよい。
【0072】
到着検知板21が直立の姿勢に押圧付勢されることで、投受光センサー等の到着検知手段が働き、採血管4が供給されて来たことを検知することができる。この到着検知信号により、搬送ベルト20の搬送方向に直行する方向へ往復動作するスライダー22が動作を開始し、到着した採血管4を横方向へ押し出してラベル貼付装置7の貼付手段29側へ落下させて供給する。貼付手段29では、加圧ローラ28が後退位置にあり、採血管4を受け取ると前進し、採血管4を駆動ローラ26と支持ローラ27側へ押圧付勢し、駆動ローラ26の駆動力を採血管4に伝達し、採血管4を周方向へ回転させる。
【0073】
一方、ラベルの印字装置25では、供給ローラ23から繰り出されるラベルに上位コンピュータ及び医師のコンピュータ端末等から取得した患者ID、検査項目、採血管種、採血量などの採血情報の必要項目を印字する。印字する内容は、タッチパネルディスプレイ37に表示され、作業者は確認することができる。印字後のラベルは、剥離紙が図10に示すように、鋭角的に折り返して移動することで、腰の強いラベルのみがそのまま直進し、前記剥離紙から自然的に剥離される。そして、剥離されたラベルは、駆動ローラー26と採血管4の外周面との間に進入して巻き取られ、採血管4の外周面に貼付される。ラベル貼付後の採血管4は、加圧ローラ28が斜め下方(図12の左下方)へ後退復帰することにより、貼付部から解放されて自重により落下し、受皿30内へ収容される。
【0074】
以上により、一つの管種の一本の採血管の準備が完了する。以後は、他にも要求されている採血管があれば、その管種のストッカー1を駆動させ、順次、上述の動作を繰り返して採血管4を受皿30内へ収容する。また手挿しの採血管があれば、装置本体の左側面に設けた手挿し開口部Gから個別に搬送ベルと20上へ供給し、ラベルを貼着して受皿30内へ収容すればよい。このようにして、上位コンピュータ及び医師のコンピュータ端末等からの情報で要求されている全ての管種の採血管の準備が完了すれば、一人の患者分についての採血用採血管の準備が完了したことになる。以後は同様にして他の患者の採血管を準備すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
ところで、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜の変更が可能である。例えば、採血管ストッカー1に使用する送りベルト2は、丸ベルトの場合を説明したが、通常の平ベルトであってもよい。また採血管ストッカー1は、6個を併設した場合を説明したが、1個、2個、3個等の6個以下であってもよく、6個以上であってもよい。目的に応じてその数を任意に設定することが可能である。これらの採血管ストッカー1は、モジュール方式で装置本体33に対してセットすることができるので、出荷後であっても、容易に採血管のサイズの変更が可能である。また採血管ストッカー1のモジュールを例えば、10本入りのものや15本入りのもの、20本入りのもの等のように収容できる採血管の本数に変化を持たせて複数種類のものを準備し、簡単に交換できるようにすることも可能である。
【0076】
更に、ソレノイド16,17はON動作時にロッドが退入する場合を説明したが、突出と退入の往復動作をするものであってもよい。この場合、リターンスプリング18,19は省略することが可能である。
【0077】
更にまた、搬送ベルト20をストッカー1の領域と、ラベル貼付装置7の領域とに分割して二つの搬送ベルトが連続するように構成し、採血管4が自動的に乗り移ることができるようにすることも可能である。この場合は、採血管準備装置の筐体を構成する外部カバーを、ストッカー1の領域とラベル貼付装置7の領域とに分離することができ、それぞれの領域で固有のメンテナンス作業を実施することができる。また採血管ストッカー装置と、ラベル貼付装置7とを別々に構成し、採血管ストッカー装置を単独販売し、ラベル貼付装置をオプション製品として両者を連結して採血管準備装置を構成することも可能である。
【0078】
更に、多目的プリンター31は、内臓タイプとして説明したが、本装置Aと通信接続することで、別売りの多目的プリンターを本装置Aの横に載置して別置きラベルをプリントアウトするようにすることも可能である。また多目的プリンタの設置位置は、メインのプリンタ25の隣に併設したが、装置本体内の他の機器と干渉しない位置であれば、任意の場所へ内蔵するようにしてもよく、その場合に手貼りラベルなどの取出し口はトレイ供給口に臨んでいなくてもよい。
【0079】
更に、タッチパネルディスプレイ37に表示される情報及びファンクションキーの割付や数、ボタン表示の例、並びに設定状態表示部38の表示内容や選択するボタンの種類、機能などは適宜の変更が可能であることは言うまでもない。またこれらのタッチパネルディスプレイ37及び設定状態表示部38の設置位置やレイアウト等も適宜の変更が可能である。
更にまた、タッチパネルディスプレイ37は、採血管準備装置Aの本体33の前面板33bに一体的に組み込んだ場合を説明したが、外付けのモニター方式とすることも可能である。この場合、装置本体に支柱を取り付け、該支柱に折りたたみ自在なアームを介してモニターを取り付けることで、モニターを採血作業者の体型個々にマッチした位置にセットして使用することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…採血管ストッカー
2…送りベルト
2A…往き側送りベルト
2B…戻り側送りベルト
3…傾斜支持板
4…採血管
5…第一のストッパー
5A…棒状突起
6…第二のストッパー
6A…棒状突起
7…ラベル貼付装置
8A,8B…プーリー
10…キャップ
11…側面支持板
37…タッチパネルディスプレイ
38…設定状態表示部
A…採血管準備装置
B…ストッカー設置部
C…印字・貼付手段の設置部
D…搬送ベルトの設置部D
E…受皿載置部E
F…PCのボードコンピュータ設置部
G…手差し開口部
M…採血管ストッカーのモジュール
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血検査の前工程における採血工程での採血管の事前準備作業を行なうものであって、送りベルトを採血管本体の外周側面に当接させてこれに送りを与えると共に、この送りベルトの反対側の採血管の外周側面において、側面支持板で点接触によりこれを支持し(水平方向)、また送りベルト側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて吊下げ支持し(上下方向)、これらの機構部を容易に脱着可能なモジュール方式にした採血管ストッカーと、当該採血管ストッカーを利用したオールインワンタイプの採血管準備装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院、診療所その他の医療機関における血液検査部門では、採血作業者(看護師等)により、患者から血液を採血管へ採取収容して検査部門へ移送するようにしている。血液検査では、その血液検査項目に応じて、多種類の採血管が準備されており、通常、一人の患者に対して複数種類の検査が同時に行われる。そのため、採血管の準備も一人の患者に対して複数種類のものが採血管準備装置によって自動的に準備されるようになっている。そして、採血室では多数の患者を取り扱うのが当たり前であり、前記採血管準備装置で準備された各採血管には患者情報、採血検査情報等のバーコードが印刷されたラベルが貼付されている。
また患者には、採血受付時に受付番号等のバーコードが印刷された採血受付票が発行されている。採血作業に際しては、これらのラベルや受付票の内容をバーコードリーダ等の光学的機器により読み取って患者及び採血管の取り間違いが起こらないようにしている。
【0003】
このような採血業務の自動化を図り、採血業務を支援する技術として、特許文献1に示す技術がある。この特許文献1の技術は、水平方向に回転駆動する一つのエンドレス状の送りベルトの往復するベルトどうしの間に、試験管保持部材を配設している。この試験管保持部材は、レール状又は板状部材等の平滑面を有するガイドフレームであって、試験管のキャップ下端面の一方側を支持するものである。キャップの対向する他方側下端面は、往き側送りベルトの上端面に支持されている。従って、試験管は、キャップ下端面を、前記試験管保持部材と往き側の送りベルトの上端面とに支持された状態でこれらの部材上を滑って移動するようになる。試験管に送りを与えるのは、前記往き側の送りベルトの上端面と試験管キャップの下端面との接合によってなされる。なお、送りベルトは、試験管の外周側面とは僅かの隙間を有しており、接触していない。
試験管は、試験管保持部材の終端側において、その係合が解かれ、往き側の送りベルトの上端面に片持支持された状態となり、係合が開放された試験管保持部材の方向へキャップ(頭部)側が傾斜してやがて落下する。そして、排出される。
【0004】
このように従来公知の発明にあっては、一つの搬送ベルトの往復するベルトどうしの中に試験管のキャップ下端面を支持するハンガータイプのストッカーを構成している。そのため、ストッカーにおける試験管の搬送装置を、一種類の試験管について一つのもので構成することができ、搬送装置の数を必要最小限のものとすることができる。また一つの搬送ベルトの往復するベルトどうしの中に試験管のストッカーを構成しているので、一つのストッカーの幅は僅か数センチメートルであり、多種類の試験管に対応すべく複数種類のストッカーを併設した場合でも全体としての幅寸法は従来技術に比較して格段に小さくできるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4356096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記特許文献1に示す技術では、搬送ベルトの駆動力は、往き側の搬送ベルトの上端面を通じて当該上端面に載置された採血管のキャップ下端面に伝達される。一方、採血管キャップの下端面における他方側は、支持レール上を滑りながら移動している。そのため、支持レールとキャップ下端面の両者間において、摩擦抵抗が大きいと、往き側搬送ベルトの上端面から採血管キャップの下端面に伝達される採血管搬送のための駆動力よりも当該摩擦抵抗の方が大きくなる。その結果、採血管キャップの下端面と、搬送ベルトの上端面との間で滑りが発生し、採血管の搬送ができなくなるという問題があった。
この問題は摩擦係数が大きいゴムキャップ採血管においては顕著であり、全く搬送できないという問題があった。
【0007】
また従来の前記特許文献1に示す技術では、採血管キャップ下端面の支持を、一方は支持レールで支持し、他方は搬送ベルトの上端面で支持し、搬送ベルトの送りをキャップ下端面との当接により直接伝達している。そのため、キャップ下端面と搬送ベルトの端面との接触による磨耗に起因する耐久性の問題があり、更には搬送ベルトがこじれて採血管のキャップがベルトの中へ引き込まれて採血管が落下するという虞があった。
【0008】
更にまた、採血管の外径寸法よりもわずかに大きい外径寸法を有するシール状のキャップもあるが、この場合はキャップ下端面に搬送ベルトの端面の上に載るために必要な幅寸法の余裕がなく、実施が不可能であるという問題があった。
【0009】
本発明は、従来の前記問題点に鑑みてこれを改良除去したものであって、採血検査の前工程における採血工程での採血管の事前準備作業を行なうものであって、送りベルトを採血管(試験管を含む。)本体の外周側面に当接させてこれに送りを与えると共に、この送りベルトの反対側の採血管本体の外周側面において、側面支持板による点接触で送りベルトに対向して支持し、また送りベルト側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板で点接触させて吊下げ支持し、これらの機構部を容易に脱着可能なモジュール方式にした採血管ストッカーを提供せんとするものである。
また本発明は、医師からの採血指示に応じて種類の異なる採血管を前記モジュール方式のストッカーから選択し、患者IDや前記採血指示内容等の採血情報を印字したラベルを貼り付け、ラベル貼付後の採血管を患者別に受皿へ収容することのできる小型且つ簡単な構造で移動性に優れた採血管準備装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設けると共に、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結したことを特徴とする採血管ストッカーである。
【0011】
本発明が採用した請求項2の手段は、両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設けると共に、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結して成り、これらの送りベルト、傾斜支持板、採血管の排出部、第一と第二のストッパー及び二つのアーム並びにソレノイドが、一つの筐体に収納されたモジュール方式であることを特徴とする採血管ストッカーである。
【0012】
本発明が採用した請求項3の手段は、両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設け、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結し、前記排出部の下方には採血管の搬送ベルトを配設し、該搬送ベルトの終端側にラベルの印字・貼付手段を設け、該印字・貼付手段の排出部近傍に採血管収納用の受皿載置部を設けたことを特徴とする採血管準備装置である。
【0013】
本発明が採用した請求項4の手段は、両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設けると共に、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結して成り、これらの送りベルト、採血管支持部材、採血管の排出部、第一と第二のストッパー及び二つのアーム並びにソレノイドが、一つの筐体であるモジュールに収納されている採血管ストッカーを複数個準備し、当該複数個の採血管ストッカーを複数個の並行して設けられたレーンにモジュール方式で脱着自在に収納し、各採血管ストッカーの排出部の領域におよぶ排出部の下方に搬送ベルトを配設し、該搬送ベルトの終端側にラベルの印字・貼付手段を設け、該印字・貼付手段の排出部近傍に採血管収納用の受皿載置部を設けたことを特徴とする採血管準備装置である。
【0014】
本発明が採用した請求項5の手段は、受皿載置部には、受皿の有無を検出するセンサーが配設されており、一人の患者に対して採血管を受皿へ収容した後、次の患者の採血管を収容するに際しては、一旦受皿が取り出されたことを検知した後、別の受皿が検知された場合でなければ各部の動作が起動しないようになされている前記請求項3及び4に記載の採血管準備装置である。
【0015】
本発明が採用した請求項6の手段は、搬送ベルトの最も上流側に位置する採血管ストッカーの排出部の近傍には、手作業で採血管を前記搬送ベルト上に挿入できる開口部が形成されている前記請求項3乃至5のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【0016】
本発明が採用した請求項7の手段は、印字・貼付手段の近傍で且つ受皿載置部に臨む位置には、他用途の別置きプリンターが内蔵されている前記請求項3乃至6のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【0017】
本発明が採用した請求項8の手段は、採血管準備装置本体には、上位コンピューターと通信可能で、各種のユーザーインターフェースが設けられたボードコンピューターが内臓されている前記請求項3乃至7のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【0018】
本発明が採用した請求項9の手段は、印字・貼付手段は、プリンターユニットとして採血管準備装置本体に対してスライド自在に取り付けられており、プリンターユニットを採血管準備装置本体から引き出して市販品のものに交換して搭載できるようになっている前記請求項3乃至8のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【0019】
本発明が採用した請求項10の手段は、採血管準備装置の起動用のスイッチがリモートコントロールによりON,OFF制御されるようにした前記請求項3乃至9のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【0020】
本発明が採用した請求項11の手段は、装置本体の外表面には当該採血管準備装置の設定状態の表示及び各操作スイッチに連動して設定変更案内の表示をするための設定状態表示部が設けられている前記請求項3乃至10のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【0021】
本発明が採用した請求項12の手段は、当該採血管準備装置は内臓又は外部接続されたCPUを有し、当該CPUには採血管準備装置を制御するためのソフトプログラムがインストールされており、装置本体の外表面若しくは外部側には前記CPUの入力部及びモニターを兼用するタッチパネルディスプレイが設けられている前記請求項3乃至11のいずれか一つに記載の採血管準備装置である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明にあっては、水平方向に回転駆動する一つのエンドレス状の送りベルトの往復するベルトどうしの間に、採血管を吊下げ保持するための傾斜支持板を配設している。この傾斜支持板は、レール状又は板状部材等の平滑面を有するガイドフレームであって、採血管のキャップ下端面の一方側のエッジを点接触で支持するためのものである。この傾斜支持板の下方には、採血管の外周側面に当接してこれを支持する側面支持板が配設されている。傾斜支持板と側面支持板とは連続した一枚の平板を折り曲げ形成して製作することも可能である。
またこれらの傾斜支持板と側面支持板とが配設されているサイドとは、反対側の採血管の外周側面には、エンドレス状の送りベルトが当接している。送りベルトは、その種類は問わないが、平ベルトよりも採血管への駆動力の伝達に優れた丸ベルトを上下方向に複数段設けるようにした方がよい。
採血管は、その上下方向においては、採血管キャップの一方側の下端面のエッジ部が傾斜支持板に点接触で係合して支持されている。また水平方向においては、前記傾斜支持板が配置された側では、折り曲げた側面支持板の先端エッジ部が採血管の外周側面に点接触で接触している。一方、前記傾斜支持板が配置されている側とは反対側では、送りベルトがある程度の付勢力をもって採血管本体の外周側面に当接している。
【0023】
従って、採血管は、送りベルトの付勢力によって側面支持板のエッジ部に押し付けられながら、これらの送りベルトと側面支持板とによって水平方向の支持がなされる。また送りベルトは、採血管の外周側面との接触を通じて採血管に送りを与える。そのため、採血管は、採血管キャップの下端面エッジ部が傾斜支持板に点接触した状態で傾斜支持板上を滑動し、また採血管の外周側面では側面支持板のエッジ部が点接触した状態で滑って移動することになる。このように傾斜支持板と側面支持板とのそれぞれが点接触することで採血管を支持しているので、支持する部材と採血管との間の摩擦力は極めて小さくなる。そのため、送りベルトから採血管へ伝達される駆動力の方が、採血管を支持するための摩擦力よりも大きくなり、スムーズな搬送が可能となり、ゴム管の搬送も実現できるものである。
採血管は、傾斜支持板及び側面支持板の終端側において、その係合が解かれ、落下する。そして、排出される。
【0024】
また、この請求項1の発明は、先頭の採血管を一本ずつ切り出して排出するようにした機構であり、第一のストッパーと第二のストッパーとを有している。第一のストッパーは、先頭の採血管のキャップ前面側に当接し得るように進退自在に構成されている。第二のストッパーは、先頭と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して進退自在に構成されている。
【0025】
第一のストッパーが先頭の採血管のキャップ前面側に当接し、第二のストッパーが先頭と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に進入している。この状態から第一のストッパーが退出動作をし、先頭の採血管のキャップ前面側との係合を解放すると、先頭の採血管は往き側送りベルトとの接合による送りによって更に前進し、やがて採血管を支持する傾斜支持板及び側面支持板の終端側との係合が解放される。そのため、先頭の採血管は、その自重により落下排出される。二番目以降の採血管は、第二のストッパーによって停止のままである。先頭の採血管が排出された後、第一のストッパーが復帰動作し、第二のストッパーが退出動作をしたときに、残りの採血管は全部のものが押せ押せで採血管一個分だけ前進し、第一のストッパーによって移動が停止される。その後、第二のストッパーが元の状態へ復帰動作する。
【0026】
更に、請求項1の発明にあっては、第一及び第二のストッパーは例えばアームの一端側に取り付けられており、アームの中間部分を揺動自在に枢支されており、アームの他端側にソレノイド(ソレノイドのロッド先端)が連結されている。従って、ソレノイドをON,OFF制御することにより、ソレノイドのロッドが本体ケースに対して突出退入動作をし、アームの一端側に取り付けられた第一及び第二のストッパーが、それぞれ採血管のキャップに対して進退自在の動作を行うように構成されている。
前述した通り、第一及び第二のストッパーの進退動作を制御することにより、先頭の採血管を一本ずつ切り出して排出することが可能である。
【0027】
請求項2の発明にあっては、前記請求項1に記載の採血管ストッカーを構成する送りベルト、傾斜支持板、側面の支持板、採血管の排出部、第一と第二のストッパー及び二つのアーム並びにソレノイドの各構成部材を、一つの筐体に収納したモジュール方式としている。このようなモジュール方式にすることにより、採血管の種類に対応したモジュールを準備しておけば、採血管の管種の変更があった場合でもモジュールを交換するだけでよく、極めて簡単且つ迅速な対処作業が可能である。しかも、故障した場合に、モジュール単位でセンドバック方式による修理が行え、遠隔地対応も容易である。
【0028】
請求項3に記載された採血管準備装置の発明は、請求項1の発明の採血管ストッカーを用い、ストッカーから一本ずつ切り出されて排出された採血管を、その底部側が先になるように寝かしてラベルの印字・貼付手段の位置まで搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトの終端側に設けられたラベルの印字貼付手段と、印字貼付手段の排出部近傍に設けられた採血管収納用受皿の配置部とを有している。ラベルの印字貼付手段では、例えば上位システム又は医師のパソコン端末から当該採血患者の採血情報を入手し、ラベルに印字し、印字後のラベルを採血管の外周面に貼着する。貼着後は、同一の患者ごとに受皿に収容される。
このような採血管用のストッカーを用いた採血管準備装置であれば、多種類の採血管を取り扱うことができるように構成した場合であっても、その大きさは極めて小さく、全体の軽量小型化という点に関して優れた特徴を有している。
【0029】
従って、請求項3に記載の採血管準備装置は、コンパクト且つポータブルで移動も容易である。そのため、災害時などにおいて、現場の救急施設などへ搬入設置することが極めて容易であり、医師が使用するノート型パソコン等のコンピュータ端末に接続して医師が診察した患者の採血に関する情報を取り込み、当該採血に必要な採血管をストッカーから選択的に取り出し、これに患者の採血情報を印字したラベルを貼り付けて患者ごとに受皿へ収容し、採血の準備を自動的に行うことが可能である。また個人経営の病院等においても、採血管準備装置の導入が可能となる等の利点がある。更には、入院病棟においては、移動できるワゴンに当該採血管準備装置を載置し、各病室の患者のベッドサイドまで行って、本装置で採血管を自動的に準備し、採血を行うようにすることも可能である。
【0030】
請求項4に記載の採血管準備装置の発明は、請求項2に記載の発明のモジュール方式の採血管ストッカーと、当該ストッカーから一本ずつ切り出されて排出された採血管を、その底部側が先になるように寝かしてラベルの印字・貼付手段の位置まで搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトの終端側に設けられたラベルの印字貼付手段と、印字貼付手段の排出部近傍に設けられた採血管収納用受皿の配置部とを有している。従って、モジュール方式であることの作用効果と、前記請求項3の発明の作用効果とを併せ持っている。
【0031】
請求項5の発明は、受皿載置部に受皿の有無を検出するセンサーを配置している。そして、一人の患者に対して採血管を受皿へ収容した後、次の患者の採血管を収容するに際しては、一旦受皿が取り出されたことを検知した後、別の受皿が検知された場合でなければ各部の動作が起動しないようになされている。これにより、確実に患者ごとの採血管の収容が可能であり、他の患者との採血管の混同が発生しないようにしている。
【0032】
請求項6の発明は、各採血管ストッカーから排出された採血管をラベルの印字・貼付手段へ供給するための搬送ベルトの上流側に、手作業で採血管を投入できる開口部を設けている。これは、頻度の低い採血検査や特殊な採血検査を必要とする患者に対応するためのものである。各採血管ストッカーでは、頻繁に使用される管種の採血管をストックするようにしている。使用頻度の低い採血検査や特殊な採血検査の場合は、個別に対応する必要がある。そのため、この請求項7の発明においては、使用頻度の低い採血検査や特殊な採血検査に使用する採血管を作業員が手作業で供給できる開口を設け、ラベルの印字・貼付手段の方へ供給するようにしている。
【0033】
請求項7の発明は、採血管準備装置本体内に、他用途の別置きプリンターが内臓されている。これは、例えば、採血指示書をプリントアウトするためのものである。また病棟などにおいて、当該患者が採血を実施できるような状態にあるか不明である場合に、採血管にラベルを貼らずに、ラベルに患者情報や検査情報等の必要事項の印字のみをこの別置き用プリンターで行うようにしたものである。これであれば、当該患者の様子に応じて当該患者のベットで直接採血を行い、採血後に前記手貼りラベルを採血管へ貼り付けることが可能である。当該患者が採血できない状態であれば、手貼りラベルは受皿の中へ入れたままにしておけばよい。
【0034】
請求項8の発明は、上位の医事コンピュータやホストコンピューターなどへLAN接続したり、他のユーザーインターフェースと接続することが可能なコンピューターボードを内臓するようにしている。これにより、上位のコンピュータから患者情報や検査情報等を取得することも可能である。また、オールインワン型の採血管準備装置を構成することが可能である。
【0035】
請求項9の発明は、印字・貼付手段がプリンターユニットとして、装置本体からスライド自在に取り付けられている。そのため、プリンターユニットが故障したとき等においては、これを代替品と交換して装置の機能を維持し、故障したプリンターユニットについてはセンドバック方式で修理の依頼をすることが可能であり、メンテナンス上も便利である。このプリンターユニットは、別置きプリンターが設置されるときは、この別置きプリンターも同じように交換修理及びセンドバック方式の修理が可能である。
【0036】
請求項10の発明にあっては、採血管準備装置の起動用のスイッチがリモートコントロールによりON,OFF制御されるようになっている。例えば、病院などにおいて、採血検査の作業の開始又は終了に際し、採血検査室の技師長又はオペレータは採血管準備装置の起動用のスイッチのON又はOFF操作と、当該採血管準備装置を制御するためのCPUの起動用スイッチのON又はOFF操作とをしなければならない。ところが、この請求項11の発明のようにその起動用スイッチのON,OFFをリモートコントロールできるようにしておけば、CPU及び採血管準備装置の起動又は遮断を上位の操作者が病院内のLANなどを通じてリモートコントロールでき、極めて便利である。
またCPUの入力部から採血管準備装置の起動用スイッチのON,OFF制御を行うことも可能である。この場合は、CPUにおいて、当該CPUと採血管準備装置との電源のON,OFFをCPU側で同時に行うことができ、便利である。
【0037】
請求項11の発明にあっては、装置本体の外表面に設定状態表示部が設けられている。この設定状態表示部は、当該装置の設定状態を表示すると共に、装置本体の各部の機能操作用のスイッチに連動して設定変更の案内表示をするためのものである。これにより、現在の装置の設定状態がどのようになっているかを目視で確認することができ、また設定変更する場合は変更の内容等を表示することができる。
そのため、オペレータは何ら外部付加装置を接続することなく設定状態の確認を確実に行うことができると共に、設定変更が行えるという利点もある。
【0038】
請求項12の発明における採血管準備装置は、内臓又は外部接続されたCPUを有し、当該CPUには採血管準備装置を制御するためのソフトプログラムがインストールされている。そして、装置本体の外表面には、前記CPUの入力部及びモニターを兼用するタッチパネルディスプレイが設けられている。このタッチパネルディスプレイには、当該採血管準備装置の上位システムである病院情報システム(Hospital Information System)及び検査情報システム(Laboratory Information System)から取得した患者情報や検査情報を表示することができる。患者情報としては、患者ID、患者が新型インフルエンザやHIV等の感染症患者であるとかの情報、身障者であるなどの情報である。これにより、オペレータは、患者が誰であるかを認識したり、当該患者用の受皿(トレイ)に特殊病原菌の感染者であるなどの識別用のマークを施したり、通常の患者のトレイと分けて採血現場へ供給するなどの対策を個別に採ることができ、採血作業者にとってもこれらの情報に基づいてそれぞれに対応した対策を採ることができ、安全な採血作業を実施することができる。
【0039】
検査情報としては、例えば、生化学検査、免疫学検査、血糖検査、血液学検査、凝固検査等の検査の種類、患者氏名、採血管の容器の名称、患者に関する任意のIDたるバーコード、採血容量等の採血検査に関する項目を表示することで、オペレータに当該検査用の採血管がセットされているかどうかの確認を目視で行うことができ、セットされていない採血管の場合は手差しの準備を行うことが可能である。
【0040】
またタッチディスプレイには、CPUの機能操作を行うためのタッチキーを表示することができるようになされており、CPUの入力部としての機能も有している。従って、オペレータは内臓CPUの場合は、このタッチディスプレイに表示されたタッチキーから採血管準備装置をコントロールすることが可能であり、また外部接続方式のCPUの場合は外部接続されたCPUのキーボードから入力するか又はこのタッチディスプレイに表示されたタッチキーから入力することが可能である。このタッチディスプレイを利用することにより、オペレータは複数の機器の操作とその為の移動をすることなく、当該採血管準備装置ですべての操作を行うことが可能となり、便利であり、作業者の負担も軽減されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態に係る採血管準備装置の全体を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る採血管準備装置の全体を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る採血管準備装置の全体を示す背面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る採血管準備装置の全体を示す左側面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る採血管ストッカーの基本構成を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る採血管ストッカー全体を示す側面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るものであり、図5のA−A線断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るものであり、図7の部分拡大図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係るものであり、第一及び第二のストッパーを示す平面図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る採血管準備装置を示す縦断面正面図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るものであり、採血管の落下排出部を示す縦断面図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係るものであり、ラベル貼付装置を構成する部材の位置関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本発明の構成を図1〜図12に示す一実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。先ず、採血管準備装置Aを構成する機器及び機構などのレイアウトについて、図1乃至図4を参照して説明する。図1乃至図4は採血管準備装置Aの全体を示すものであり、図1は平面図、図2は正面図、図3は背面図、図4は左側面図である。図1の平面図に示すように、この採血管準備装置Aは、複数個の採血管ストッカー1の装着部Bが左側半分程度の領域を占めて設けられている。この実施例では、ストッカー1は、モジュール方式で六個のものが並行して設置されており、装置本体33側の装着部に対してストッカー1のモジュールを脱着自在に装着するようにしている。このストッカー装着部Bの右側で装置本体内部にはラベルの印字・貼付手段の設置部Cが設けられている。そして、ストッカー装着部Bの各ストッカー1の採血管排出部の下方には、各ストッカー1と直交する方向で、装置本体33の左端側から印字・貼付手段の設置部Cの手前側を横切って装置本体33の右端側へ至る搬送ベルト20の設置部Dが設けられている。
【0043】
また装置本体33の手前側の前面板33bには、ディスプレイ設置部Hが設けられている。ディスプレイ設置部Hは、作業者が装置の前面に立った状態でディスプレイに表示された情報を見やすくするために、傾斜面に形成されている。該ディスプレイ設置部Hには、タッチパネルディスプレイ37と、設定状態表示部38との二種類のディスプレイが設けられている。タッチパネルディスプレイ37は、内臓されたボードコンピュータ(CPU)の入力部及びモニターを兼用するものであり、8インチ程度の大きさのものである。このディスプレイ37には、例えば初期動作画面、メイン画面、詳細ステータス画面、メンテナンスメニュー画面がある。初期動作画面にはロゴとメニューとが表示される。メニューとしては、運用開始、メンテナンス、シャットダウン、再起動、プログラム終了などがある。メイン画面には、ファンクションキーの表示と、各ストッカーが正常であるか異常であるかの状態表示と、メインのプリンタ及び多用途の別置きプリンタの各プリンタエンジンが正常であるか異常であるかの表示とがある。ファンクションキーは、例えばF1〜F6までの六つのキーがあり、F1キーはストップ/再開ボタン、F2キーはリセットボタン、F3〜F6は各画面への切り替えボタンなどに機能設定されている。
【0044】
詳細設定画面には、プリンタエンジンの設定と、ストッカーの設定と、ラベルのフォーマット設定と、上位インターフェース設定とを選択できる画面がある。プリンタエンジン設定を選択すると、メインのプリンタエンジン及び内臓する多目的プリンタの各プリンタエンジンの設定を行うことができる。プリンタエンジンの設定項目としては、プリンタエンジン番号設定、エンジンの有効/無効の選択、バーコードスキャナの有効/無効の選択、在管チェックセンサーの有効/無効の選択、ラベル貼付位置の設定などができるようになっている。ストッカーの設定項目としては、ストッカー番号設定、ストッカー表示名の設定、当該ストッカーの有効/無効の選択、管長の設定、ラベル貼付位置の設定が行えるようになっている。ラベルフォーマットの設定は、ラベルに印字する項目の配置を設定できるようになっている。ラベルに印字する項目としては、生化学検査、免疫学検査、血糖検査、血液学検査、凝固検査等の検査の種類、患者氏名、採血管の容器の名称、バーコード、採血容量などがある。上位インターフェースの設定は、シリアル接続であるか又はソケット接続であるかの設定、TCP/IP通信プロトコルの設定などができるようになっている。
【0045】
設定状態表示部38は、採血管準備装置の各部の設定状態を表示したり、設定変更の案内表示を行うためのものである。この設定状態表示部38は、例えば採血管準備装置自体の操作ボタンと連動して設定状態を表示し、設定を変更するようになっており、操作ボタンの例としてはリスタートボタン、フィードボタン、F1〜F3のファンクションキーボタン等がある。表示される設定状態としては、アイドリング中、初期通信コマンド待ち、印刷コマンド受信済み、メンテナンスモード中、カバーオープン、ラベル切れ検出、ヘッドオープン検出、台紙押し付けローラオープン検出、用紙送りモータエラー、押し込みモータエラー、位置決めモータエラー、幅寄せモータエラー、在管チェックエラー、ストッカ空、ストッパーエラー、コンベア搬送タイムアウト、コンベア詰まり検出、採血管落とし込みエラー等がある。
【0046】
更に、図2の正面図に示すように、印字・貼付手段の設置部Cの手前側には受皿載置部Eが設けられており、患者情報や採血検査情報等が印字されたラベル貼付後の採血管を患者ごとにここに準備された受皿(トレイ)30内へ収容するようにしている。この受皿載置部Eには、受皿30の有無を検知するための光学的センサー36a及び36b(図1参照)が配置されている。センサーは、投光器36aから照射された光を受光器36bで検知するタイプのものを図示しているが、反射型のものであってもよい。
【0047】
更にまた、ストッカー装着部Bの下方には、ボードコンピュータ設置部Fが設けられている。ボードコンピュータ(CPU)には、当該装置全体を制御するための制御ソフトがインストールされており、採血管ストッカー1の制御、ラベル貼付装置7及び印字装置25の制御を行う。またこのボードコンピュータは、上位のHIS又はLISとの情報の送受信を行い、上位からの情報を入力することが可能である。また上位システム側の機器から又はLAN接続された医師や検査技師のPCからリモートコントロールされるようになっている。例えば、採血作業の終了時において、LISにおける採血作業管理者側のPCからボードコンピュータの電源及び採血管準備装置の電源をシャットオフできるように構成したり、タッチパネルディスプレイ37の画面に表示されるボードコンピュータの入力画面からボードコンピュータ自体の電源と採血管準備装置の電源とを同時にシャットオフできるように構成することも可能である。
【0048】
図3の背面図に示すように、装置本体33の背面側には前記ボードコンピュータとのインターフェースとして、無線ボードや外部接続機器用ボード等の差込スロットS1〜S3、R232C端子R、音声入出力端子V1,V2、例えば、FAX等との接続やその他の外部機器との接続に用いられるUSBポートU1〜U4、LAN接続ポートL1〜L3、電源端子Xなどが設けられている。
【0049】
更に、図4に示すように、装置本体33の左側面板33aには、前記搬送ベルト20の設置部Dに臨む開口部Gが設けられている。開口部Gは、通常は、下端側を中心にして回動自在な開閉扉34によって閉塞されている。この開口部Gは、手作業で採血管を搬送ベルト20上へ投入するためのものである。開閉扉34は、オープンにした状態では、採血管4の投入案内通路として機能する。これにより、開口部Gを通じて、滅多に使用されない採血管や特殊サイズの採血管を、個別に印字・貼付手段の方へ供給することが可能である。
【0050】
次に、採血管準備装置Aを構成する各機器及び機構について、個別に説明する。先ず、採血管ストッカー1について、図5乃至図9を参照して説明する。図5はストッカー1の平面図、図6は同側面図、図7は図5のA−A線断面図、図8は図7の部分拡大図、図9はストッパーの拡大平面図である。図7の縦断面図に示すように、この実施の形態の採血管ストッカー1は、ステンレスやアルミ合金、鋼板等の薄い金属板を折り曲げることで断面U字状の採血管搬送用の通路(溝)を形成した筐体1Aを有している。この筐体に各構成部材を連結結合して採血管ストッカー1の全体を一つのモジュールMとして構成している。従って、採血管ストッカー1の交換修理などは、モジュールMを単位としてワンタッチ式で行うことが可能であり、モジュールMのみをセンドバックすることにより、遠隔地の保守・交換修理作業が行える。しかも、モジュールMの代替品を先に準備しておくことで、採血業務を停止する必要もない。
【0051】
図5の平面図に示すように、採血管ストッカー1は、両端に平置きで配置した駆動プーリー8A及び従動プーリー8B間に跨ってエンドレス状の送りベルト2が懸架されている。送りベルト2は、この実施の形態では、丸ベルトを二本上下に配置して構成されている。上下に配置する段数は、三本などであってもよい。2Aは往き側送りベルトであり、2Bは戻り側送りベルト2Bである。尚、この送りベルト2は、平ベルトであってもよい。
送りベルト2は、図7の縦断面図に示すように、往き側の送りベルト2Aが採血管ストッカー1の筺体1A内に配置されており、戻り側の送りベルト2Bは筺体1Aの外側に配置されている。他方、筺体1A内にあって、往き側送りベルト2Aと対向する位置には傾斜支持板3と、側面支持板11とが配設されている。この実施の形態では、傾斜支持板3と側面支持板11とは一枚の鋼板を板金により折り曲げて形成している。
【0052】
傾斜支持板3は、筺体1Aの上端面に接合して取り付けられる平坦部を有し、該取付平坦部の長孔3Aを通じて図7の左右方向に進退自在に取り付けられている。また傾斜支持板3は、採血管キャップ10の下端面のエッジ部と点接触し、これを吊下げ支持するようになされている。このように、採血管4はそのキャップ10の下端面エッジ部が傾斜支持板3に点接触することで、上下方向において片持ち状態で吊下げ支持されるようになっている。
【0053】
一方、側面支持板11は、筺体1Aの内側へ向けて折り曲げた部分を有し、その先端部が往き側送りベルト2Aと対向する位置で、採血管本体4Aの外周側面に点接触で当接するようになっている。そして、往き側の送りベルト2Aの上端面と、前記側面支持板11が採血管本体外周面へ接触している点との間に、高低差Hを設けるようにしている。また、往き側送りベルト2Aと、側面支持板11とが採血管本体外周面へ接触している点との間の水平方向の距離を、採血管本体4Aの外径寸法よりも小さくなるようにしている。この間隔調整は、傾斜支持板3の長孔3Aを通じて傾斜支持板3を前後させて行うようにしている。
これにより、採血管の中心線Qは垂線Pに対して角度Rだけ傾斜するようになる。このように設定することにより、採血管4と往き側送りベルト2Aとの接触位置の調整を無調整にすることが可能である。すなわち、採血管4を往き側送りベルト2Aと側面支持板11との間に、若干斜めに挿入するだけで、往き側送りベルト2Aを採血管4の外周側面にある程度の押圧力をもって当接させることが可能であり、両者間の間隔調整は不要である。
【0054】
採血管4のサイズは、一般的には、生化学検査、免疫学検査、血糖検査、血液学検査、凝固検査などについては、直径13mmと、直径16mmのものとがあり、血沈検査用としては直径8mmのものがある。
採血管4は、チューブ状の採血管本体4Aとキャップ10とからなり、キャップ10の下端面は採血管本体4Aの外径寸法よりも大きい外径寸法を有している。図7及び図8に示すように、この採血管4は、往き側の送りベルト2Aと側面支持板11とにより、水平方向での支持がなされ、傾斜支持板3により上下方向の支持がなされている。しかも、傾斜支持板3と側面支持板11とが採血管4を支持しているのは、いずれも点接触方式であり、この接触部における各部材間の摩擦抵抗は非常に小さいものとなる。
そのため、往き側送りベルト2Aから採血管本体4Aに駆動力が伝達されると、採血管4は自転しながら点接触状態で傾斜支持板3と側面支持板11上を滑りながら移動し、搬送されるようになる。このように、搬送ベルト2との駆動伝達部分を除いて、採血管4を支持する部分を点接触方式にすることで、その摩擦抵抗を著しく少なくすることができ、僅かな搬送力でもって採血管4の搬送が可能である。これにより、従来では成し得なかったゴムキャップ管であっても搬送が可能である。
【0055】
往き側送りベルト2Aの背面側は、図7に示すように、モジュールMの筐体1Aを構成する部材がバックアップ部材を兼用しており、ベルトが撓まないようになされている。往き側の送りベルト2Aの背面側をバックアップすることにより、このベルト2Aを採血管4の外周側面へ確実に当接接合することが可能である。
【0056】
傾斜支持板3および側面支持板11の終端3B側には、採血管4の排出部12が設けられている。この排出部12は傾斜支持板3及び側面支持板11の終端側とプーリー8Aとの間の空間領域に設けられている。採血管4が傾斜支持板3及び側面支持板11の終端側に至ることによって、キャップ10の下端面エッジ部が傾斜支持板3との係合を解放されて自然的に自重により落下することで行われる。
【0057】
ところで、排出部12に臨む位置には、第一及び第二のストッパー5,6が設けられている。これらの第一及び第二のストッパー5,6は、図9の平面図に最もよく表されているように、同一の軸13に中間部分を揺動自在に枢支されたアーム14,15の一端側下面に棒状突起が5A及び6Aが直立した状態で設けられている。第一及び第二のストッパー5及び6において、これらの棒状突起5A及び6Aが設けられる部分は、平面視した状態でL型に折れ曲がった部分が前後して相互に入り込み、干渉しないようになされている。第一のストッパー5は、先頭の採血管4のキャップ前面側に当接し得るように進退自在に構成されており、第二のストッパー6は、先頭と第二番目の採血管4,4のキャップどうしの間に形成される隙間に対して進退自在に構成されている。
【0058】
またアーム14,15の他端側下面には、ソレノイド16,17のロッド16A,17Aが連結されている。この場合のソレノイド16,17は、小型化を目的としてボールペンとほぼ同じ外径寸法を有するものが採用され、電源をONにするとロッド16A,17Aが退入動作をし、アーム14,15を図6の鎖線で示すように上昇位置へ揺動させるようになっている。なお、これらのソレノイド16,17は、通常は交互に動作するように設定されている。各アーム14,15の枢軸13と棒状突起5A及び6Aとの間には、それぞれリターンスプリング(引張りばね)18,19が取り付けられている。これはソレノイド16,17の電源をOFFにしたときに、リターンスプリング18,19の引張り力により、アーム14,15が水平の姿勢に復帰するようにするためのものである。またリターンスプリング18及び19は、落下する採血管4が前方側へ飛び出さないようにする働きもある。
【0059】
この実施の形態においては、上記のように構成された吊下げ方式の採血管ストッカー1が、図1及び図10に示すように、6列併設されている。排出部12の下方には、送りベルト2の搬送方向と直行する方向に配設された一本の搬送ベルト20が配設されており、6列の各ストッカー1から落下供給される採血管4を、この搬送ベルト20で図1及び図10の左側から右側方向に向けて搬送する。このとき、採血管4は、図11に示すように、搬送ベルト20により足元を掬われた状態で採血管4の底部のみが進行し、採血管4のキャップ10側は依然として筺体1A内に残っており、しかも筺体1Aの出口側が進行方向に折り曲げられたフラップ1B,1Bを有しており、必ずキャップ10側が最後に排出されて採血管4の向きが常に一定方向を向くようになされている。
【0060】
なお、搬送ベルト20は、図10の実施例では一本の連続したもので構成したが、ストッカー1の領域と、ラベルの印字貼付手段7の領域とに分割して二つの搬送ベルトで構成し、採血管4が自動的に二つの搬送ベルト間を乗り移ることができるようにすることも可能である。このようにした場合、採血管準備装置をストッカー装置と、ラベルの印字貼付装置とに分離する構成をとることができ、ストッカー装置の独立した使用が可能であり、またメンテナンスも分離して行えるので便利である。
【0061】
搬送ベルト20の終端側には、採血管4の到着検知板21が設けられている。到着検知板21は、通常の状態では、図10の鎖線で示すように、斜めに傾斜した姿勢で待機しており、採血管4が送り込まれるとこれに押圧されて実線で示すように直立の状態となり、同時に採血管4の停止位置を決定するようになる。到着検知板21は、コ字状に折曲された部分を有し、傾斜した待機状態では赤外線センサーやフォトセンサー等の投受光器からなる検知センサー(図示せず)の照射光が遮られ、採血管4が到着した直立の状態では投光器から照射された光が受光器で受光されるようになっている。更に、採血管4の停止位置の側面部には、図10及び図12に示すように、搬送ベルト20の搬送方向と直交する方向へ往復動作する採血管4の切出用スライダー22が設けられており、採血管4を搬送ベルト20から押し出してラベル貼付装置7の貼付位置へ落下供給するようになっている。
【0062】
なお、到着検知板21の直前には採血管4の向きを検知するための方向検知手段が設けられている(図示せず)。これは誤ってキャップ10が先頭になって到着検知板21に当接して停止したときに、キャップ10によって投光器からの照射光が遮られ、採血管4の向きを検知することができるようにしたものである。
【0063】
ラベル貼付装置7は、図12に示すように、連続した剥離紙上に貼付されたラベルの供給ロール23と、剥離紙を巻き取るための巻取ロール24とを有している。供給ロール23から繰り出されるラベルと剥離紙は、鋭角的に折り返して移動させることにより、腰が強い(剥離紙より弾力があって折れにくい)ラベルのみが剥離紙から剥離される。ラベルはそのまま直進して貼付手段29側へ供給され、後の残った剥離紙のみが巻取りロール24で巻き取られる。この剥離部の上流側には、ラベルへの患者情報等を印字するための印字装置25が配設されている。印字する情報は、当該採血管準備装置の制御部を内臓されたボードコンピュータ(CPU)のインターフェースを通じて上位の医事システム等のコンピュータ若しくは医師のコンピュータ端末などへ接続してこれらのデータベース若しくはハードディスクなどから取得するようになされている。更に、剥離紙から剥離されたラベルの進行方向には、駆動ローラ26及び支持ローラ27並びに進退自在な加圧ローラ28から成る貼付手段29が配設されている。更に、貼付手段29の斜め下方には、受皿30の載置部が設けられている。
【0064】
また図1乃至図3並びに図12に示すように、ラベル貼付装置7及び印字装置25の隣で受皿30に臨む位置には、内蔵で多目的のプリンタ31が配設されている。この多目的プリンタ31は、例えば、採血指示書をプリントアウトして受皿30へ投入するためのものである。また病棟などにおいて、採血しようとする患者のコンディションが採血を実施できるような状態にあるか不明である場合に、採血管にラベルを貼らずに、ラベルに患者情報や検査情報等の必要事項の印字のみをこの別置き用プリンタ31で行い、ラベルを受皿30へ排出するようにしたものである。これであれば、当該患者の様子に応じて当該患者のベットサイドで直接採血を行い、採血後に前記手貼りラベルを採血管へ貼り付けることが可能である。当該患者が採血できない状態であれば、手貼りラベルは受皿30の中へ入れたままにしておけばよい。
【0065】
更に、ラベル貼付装置7及び印字装置25と、多目的プリンタ31とは、図3及び図12に示すように、スライドテーブル32の上に搭載されてユニット化されており、電気的接続(カプラー)及び位置決めロック機構などを取り外すことで、装置本体33の外部へ引き出すことが可能である。そのため、これらのラベル貼付装置7及び印字装置25と、別置きプリンタ31が故障した場合などにおいては、故障した機器を交換するだけで迅速な修理が行えるという利点がある。これらのラベル貼付装置7及び印字装置25と、別置きプリンタ31は市販されている汎用製品を使用することができ、安価に供給できるという利点もある。またこれらの機器は、装置本体33の外部へ引き出してメンテナンスが行えるのでその作業も容易である。
【0066】
次に、上記の如く構成された採血管準備装置Aの動作態様を説明する。先ず、装置本体33の上面に設けられたストッカー設置部Bの6列の装着部に、それぞれ異なる種類の採血管をストックするための採血管ストッカー1のモジュールMをセットする。モジュールMの固定は、ビス固定式でもよく、ワンタッチクリップ方式等のほかの固定方法であってもよい。然る後は、各採血管ストッカー1の傾斜支持板3及び側面支持板11と、往き側送りベルト2Aとの間に形成される各溝(採血管4のストック部)に、手作業でそれぞれ別々の種類の採血管4をセットする。採血管4のセットは、採血管4をその底部側から前記溝へ挿入するだけでよい。これにより、各採血管4は、そのキャップ10の下端面エッジ部が傾斜支持板3に点接触することで、上下方向において吊下げ支持され、また搬送ベルト20と側面支持板11とで採血管本体4Aの外周側面を挟持することで水平方向の支持がなされ、搬送ベルト20はある押圧力で採血管4の外周側面に当接する。
動作開始前の状態にあって、採血管準備装置の第一のストッパー5の棒状突起5Aは、先頭の採血管4のキャップ10の前面側に当接してその前進移動を拘束している。また第二のストッパー6の棒状突起6Aは、先頭と二番目に位置する採血管4,4のキャップ10,10どうしの間に形成される隙間31に入り込み、第二番目の採血管4の前進移動を拘束している。
【0067】
このような状態で装置本体33の電源スイッチをONにし、内蔵されたボードコンピュータのCPUを動作させて制御ソフトウェアを機能させ、上位のコンピュータ若しくは医師のコンピュータ端末などから採血する患者の採血情報を入手する。なお、採血管準備装置Aの制御部(ファームウェア)は、受皿載置部Eから、前の患者の受皿30が取り出されたことを検知した後であって、そして新たに当該患者のための別の受皿30が準備されていない状態では各機器を動作させないようになされている。これは、前の患者の受皿30へ次の患者の採血管が投入されて混同しないようにするためである。
【0068】
制御部は、前記入手した情報に基づいて、選択する採血管の種類を決定し、該当する種類の採血管4がストックされている採血管ストッカー1の駆動プーリ−8Aを回転駆動させる。これらの設定情報及び上位から入手した情報は、タッチパネルディスプレイ37に表示される。駆動プーリー8Aの駆動により、当該ストッカー1の全ての採血管4は、その外周側面と接合している往き側送りベルト2Aのフィードを受けるようになる。なお、この状態では、第一及び第二のストッパー5及び6の働きにより、先頭と二番目の採血管4がそれぞれ移動を拘束されているので、全ての採血管4は停止したままである。
【0069】
次に、採血管準備装置Aの制御部は、該当するストッカー1の第一のストッパー5のソレノイド16をON動作させる。これにより、ソレノイド16は、そのロッドが退入動作をし、アーム14を枢軸13を支点として図12の半時計方向へ回動させるようになる。そのため、アーム14の一端側に取り付けられた棒状突起5Aが先頭の採血管4のキャップ10の前面側から離れ、先頭の採血管4の拘束を解放する。先頭の採血管4は、フリーの状態となり、往き側の送りベルト2Aのフィードを受けて、停止位置から前進を始める。やがて先頭の採血管4は、傾斜支持板3の終端側の排出部12に至り、傾斜支持板3との係合が解放されるので、自重により搬送ベルト20の上に落下する。そして、採血管4の底部側が先頭となって印刷貼付部の方へ搬送される。
【0070】
一方、第一のストッパー5は、ソレノイド16がOFF動作するので、アーム14はリターンスプリング18によって、元の水平状態へ復帰する。続いて、第二のストッパー6のソレノイド17がON動作し、アーム15を図12の鎖線で示す位置まで半時計方向へ回動させるようになる。これにより、棒状突起6Aが第二番目の採血管4のキャップ10との接合を解放する。そのため、第二番目以降の残りの全ての採血管4は、往き側送りベルト2Aの駆動力を受けて前進し、新たに先頭になった採血管4が第一のストッパー5の棒状突起5Aにそのキャップ10の前面側を当接して停止するようになる。最後に、第二のストッパー6のソレノイド17がOFF動作し、リターンスプリング19によって水平状態へ復帰し、新たに先頭になった採血管4と二番目に位置する採血管4とのキャップ10どうしの隙間に進入し、次の採血管4の供給指令が発せられるまでこの状態で待機する。
【0071】
前記搬送ベルト20は、第一のストッパー5のソレノイド16がON動作するのと同じタイミングで駆動を開始している。そのため、自重により落下供給された採血管4は、搬送ベルト20により図10の左方向から右方向へ向けて搬送され、到着検知板21を押圧付勢するようになる。なお、採血管4は搬送ベルト20へ直立の状態で落下供給されたとしても、搬送ベルト20が同図の左方向から右方向へ駆動していることにより、足元を掬われるようになる。しかもキャップ10は、フラップ1B,1Bに係合して最後に筺体1Aから排出されるようになっており、必ず採血管の底部側が先頭になって搬送されるようになる。搬送ベルト20上の採血管4は、搬送路の終端側でその底部が到着検知板21に当接してこれを押圧し、到着検知板21を傾斜した姿勢から直立の姿勢に揺動させて停止するようになる。
なお、この停止位置では、図示しない採血管4の方向検知センサーが採血管4のキャップ10を検知するようにしている。キャップが検出された場合は、キャップが先頭になって搬送されたということであり、逆向きであるので音声や発光素子の点滅信号などにより警報を発し、作業者に知らせるようになっている。またタッチパネルディスプレイ37には、採血管4の向きが逆であることがエラーとして表示される。この場合、作業者は採血管4を取り出し、向きを変えて作業を続行するようにすればよい。
【0072】
到着検知板21が直立の姿勢に押圧付勢されることで、投受光センサー等の到着検知手段が働き、採血管4が供給されて来たことを検知することができる。この到着検知信号により、搬送ベルト20の搬送方向に直行する方向へ往復動作するスライダー22が動作を開始し、到着した採血管4を横方向へ押し出してラベル貼付装置7の貼付手段29側へ落下させて供給する。貼付手段29では、加圧ローラ28が後退位置にあり、採血管4を受け取ると前進し、採血管4を駆動ローラ26と支持ローラ27側へ押圧付勢し、駆動ローラ26の駆動力を採血管4に伝達し、採血管4を周方向へ回転させる。
【0073】
一方、ラベルの印字装置25では、供給ローラ23から繰り出されるラベルに上位コンピュータ及び医師のコンピュータ端末等から取得した患者ID、検査項目、採血管種、採血量などの採血情報の必要項目を印字する。印字する内容は、タッチパネルディスプレイ37に表示され、作業者は確認することができる。印字後のラベルは、剥離紙が図10に示すように、鋭角的に折り返して移動することで、腰の強いラベルのみがそのまま直進し、前記剥離紙から自然的に剥離される。そして、剥離されたラベルは、駆動ローラー26と採血管4の外周面との間に進入して巻き取られ、採血管4の外周面に貼付される。ラベル貼付後の採血管4は、加圧ローラ28が斜め下方(図12の左下方)へ後退復帰することにより、貼付部から解放されて自重により落下し、受皿30内へ収容される。
【0074】
以上により、一つの管種の一本の採血管の準備が完了する。以後は、他にも要求されている採血管があれば、その管種のストッカー1を駆動させ、順次、上述の動作を繰り返して採血管4を受皿30内へ収容する。また手挿しの採血管があれば、装置本体の左側面に設けた手挿し開口部Gから個別に搬送ベルと20上へ供給し、ラベルを貼着して受皿30内へ収容すればよい。このようにして、上位コンピュータ及び医師のコンピュータ端末等からの情報で要求されている全ての管種の採血管の準備が完了すれば、一人の患者分についての採血用採血管の準備が完了したことになる。以後は同様にして他の患者の採血管を準備すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
ところで、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜の変更が可能である。例えば、採血管ストッカー1に使用する送りベルト2は、丸ベルトの場合を説明したが、通常の平ベルトであってもよい。また採血管ストッカー1は、6個を併設した場合を説明したが、1個、2個、3個等の6個以下であってもよく、6個以上であってもよい。目的に応じてその数を任意に設定することが可能である。これらの採血管ストッカー1は、モジュール方式で装置本体33に対してセットすることができるので、出荷後であっても、容易に採血管のサイズの変更が可能である。また採血管ストッカー1のモジュールを例えば、10本入りのものや15本入りのもの、20本入りのもの等のように収容できる採血管の本数に変化を持たせて複数種類のものを準備し、簡単に交換できるようにすることも可能である。
【0076】
更に、ソレノイド16,17はON動作時にロッドが退入する場合を説明したが、突出と退入の往復動作をするものであってもよい。この場合、リターンスプリング18,19は省略することが可能である。
【0077】
更にまた、搬送ベルト20をストッカー1の領域と、ラベル貼付装置7の領域とに分割して二つの搬送ベルトが連続するように構成し、採血管4が自動的に乗り移ることができるようにすることも可能である。この場合は、採血管準備装置の筐体を構成する外部カバーを、ストッカー1の領域とラベル貼付装置7の領域とに分離することができ、それぞれの領域で固有のメンテナンス作業を実施することができる。また採血管ストッカー装置と、ラベル貼付装置7とを別々に構成し、採血管ストッカー装置を単独販売し、ラベル貼付装置をオプション製品として両者を連結して採血管準備装置を構成することも可能である。
【0078】
更に、多目的プリンター31は、内臓タイプとして説明したが、本装置Aと通信接続することで、別売りの多目的プリンターを本装置Aの横に載置して別置きラベルをプリントアウトするようにすることも可能である。また多目的プリンタの設置位置は、メインのプリンタ25の隣に併設したが、装置本体内の他の機器と干渉しない位置であれば、任意の場所へ内蔵するようにしてもよく、その場合に手貼りラベルなどの取出し口はトレイ供給口に臨んでいなくてもよい。
【0079】
更に、タッチパネルディスプレイ37に表示される情報及びファンクションキーの割付や数、ボタン表示の例、並びに設定状態表示部38の表示内容や選択するボタンの種類、機能などは適宜の変更が可能であることは言うまでもない。またこれらのタッチパネルディスプレイ37及び設定状態表示部38の設置位置やレイアウト等も適宜の変更が可能である。
更にまた、タッチパネルディスプレイ37は、採血管準備装置Aの本体33の前面板33bに一体的に組み込んだ場合を説明したが、外付けのモニター方式とすることも可能である。この場合、装置本体に支柱を取り付け、該支柱に折りたたみ自在なアームを介してモニターを取り付けることで、モニターを採血作業者の体型個々にマッチした位置にセットして使用することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…採血管ストッカー
2…送りベルト
2A…往き側送りベルト
2B…戻り側送りベルト
3…傾斜支持板
4…採血管
5…第一のストッパー
5A…棒状突起
6…第二のストッパー
6A…棒状突起
7…ラベル貼付装置
8A,8B…プーリー
10…キャップ
11…側面支持板
37…タッチパネルディスプレイ
38…設定状態表示部
A…採血管準備装置
B…ストッカー設置部
C…印字・貼付手段の設置部
D…搬送ベルトの設置部D
E…受皿載置部E
F…PCのボードコンピュータ設置部
G…手差し開口部
M…採血管ストッカーのモジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設けると共に、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結したことを特徴とする採血管ストッカー。
【請求項2】
両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設けると共に、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結して成り、これらの送りベルト、傾斜支持板、採血管の排出部、第一と第二のストッパー及び二つのアーム並びにソレノイドが、一つの筐体に収納されたモジュール方式であることを特徴とする採血管ストッカー。
【請求項3】
両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設け、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結し、前記排出部の下方には採血管の搬送ベルトを配設し、該搬送ベルトの終端側にラベルの印字・貼付手段を設け、該印字・貼付手段の排出部近傍に採血管収納用の受皿載置部を設けたことを特徴とする採血管準備装置。
【請求項4】
両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設けると共に、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結して成り、これらの送りベルト、採血管支持部材、採血管の排出部、第一と第二のストッパー及び二つのアーム並びにソレノイドが、一つの筐体であるモジュールに収納されている採血管ストッカーを複数個準備し、当該複数個の採血管ストッカーを複数個の並行して設けられたレーンにモジュール方式で脱着自在に収納し、各採血管ストッカーの排出部の領域におよぶ排出部の下方に搬送ベルトを配設し、該搬送ベルトの終端側にラベルの印字・貼付手段を設け、該印字・貼付手段の排出部近傍に採血管収納用の受皿載置部を設けたことを特徴とする採血管準備装置。
【請求項5】
受皿載置部には、受皿の有無を検出するセンサーが配設されており、一人の患者に対して採血管を受皿へ収容した後、次の患者の採血管を収容するに際しては、一旦受皿が取り出されたことを検知した後、別の受皿が検知された場合でなければ各部の動作が起動しないようになされている前記請求項3及び4に記載の採血管準備装置。
【請求項6】
搬送ベルトの最も上流側に位置する採血管ストッカーの排出部の近傍には、手作業で採血管を前記搬送ベルト上に挿入できる開口部が形成されている前記請求項3乃至5のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項7】
本発明が採用した請求項7の手段は、印字・貼付手段の近傍で且つ受皿載置部に臨む位置には、他用途の別置きプリンターが内蔵されている前記請求項3乃至6のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項8】
採血管準備装置本体には、上位コンピューターと通信可能で、各種のユーザーインターフェースが設けられたボードコンピューターが内臓されている前記請求項3乃至7のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項9】
印字・貼付手段は、プリンターユニットとして採血管準備装置本体に対してスライド自在に取り付けられており、プリンターユニットを採血管準備装置本体から引き出して市販品のものに交換して搭載できるようになっている前記請求項3乃至8のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項10】
採血管準備装置の起動用のスイッチがリモートコントロールによりON,OFF制御されるようにした前記請求項3乃至9のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項11】
装置本体の外表面には当該採血管準備装置の設定状態の表示及び各操作スイッチに連動して設定変更案内の表示をするための設定状態表示部が設けられている前記請求項3乃至10のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項12】
当該採血管準備装置は内臓又は外部接続されたCPUを有し、当該CPUには採血管準備装置を制御するためのソフトプログラムがインストールされており、装置本体の外表面若しくは外部側には前記CPUの入力部及びモニターを兼用するタッチパネルディスプレイが設けられている前記請求項3乃至11のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項1】
両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設けると共に、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結したことを特徴とする採血管ストッカー。
【請求項2】
両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設けると共に、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結して成り、これらの送りベルト、傾斜支持板、採血管の排出部、第一と第二のストッパー及び二つのアーム並びにソレノイドが、一つの筐体に収納されたモジュール方式であることを特徴とする採血管ストッカー。
【請求項3】
両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設け、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結し、前記排出部の下方には採血管の搬送ベルトを配設し、該搬送ベルトの終端側にラベルの印字・貼付手段を設け、該印字・貼付手段の排出部近傍に採血管収納用の受皿載置部を設けたことを特徴とする採血管準備装置。
【請求項4】
両端側に配設されたプーリー間に懸架され、水平方向に回転駆動するエンドレス状の送りベルトを、採血管の外周側面に当接させて採血管に送りを与えると共に、前記送りベルトの往復するベルトどうしの間にあって且つ送りベルトの上端よりも上方に位置し、送りベルトとは反対側の採血管の外周側面を側面支持板の端面一部等において点接触により支持し、また送りベルトとは反対側の採血管キャップの下端面エッジを傾斜支持板により点接触させて採血管を吊下げ支持し、採血管を吊下げ支持する傾斜支持板の終端側を通過した位置において採血管が自重により落下排出される排出部を設けると共に、傾斜支持板の終端側に、先頭の採血管のキャップ前面に対して進入退出自在な第一のストッパーと先頭から第一番目と第二番目の採血管のキャップどうしの間に形成される隙間に対して上方から進入退出自在な第二のストッパーとを配設し、前記第一のストッパーと第二のストッパーとを同一の軸に枢支された二つのアームの先端側に取り付けると共に、各アームの後端側にはソレノイドを連結して成り、これらの送りベルト、採血管支持部材、採血管の排出部、第一と第二のストッパー及び二つのアーム並びにソレノイドが、一つの筐体であるモジュールに収納されている採血管ストッカーを複数個準備し、当該複数個の採血管ストッカーを複数個の並行して設けられたレーンにモジュール方式で脱着自在に収納し、各採血管ストッカーの排出部の領域におよぶ排出部の下方に搬送ベルトを配設し、該搬送ベルトの終端側にラベルの印字・貼付手段を設け、該印字・貼付手段の排出部近傍に採血管収納用の受皿載置部を設けたことを特徴とする採血管準備装置。
【請求項5】
受皿載置部には、受皿の有無を検出するセンサーが配設されており、一人の患者に対して採血管を受皿へ収容した後、次の患者の採血管を収容するに際しては、一旦受皿が取り出されたことを検知した後、別の受皿が検知された場合でなければ各部の動作が起動しないようになされている前記請求項3及び4に記載の採血管準備装置。
【請求項6】
搬送ベルトの最も上流側に位置する採血管ストッカーの排出部の近傍には、手作業で採血管を前記搬送ベルト上に挿入できる開口部が形成されている前記請求項3乃至5のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項7】
本発明が採用した請求項7の手段は、印字・貼付手段の近傍で且つ受皿載置部に臨む位置には、他用途の別置きプリンターが内蔵されている前記請求項3乃至6のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項8】
採血管準備装置本体には、上位コンピューターと通信可能で、各種のユーザーインターフェースが設けられたボードコンピューターが内臓されている前記請求項3乃至7のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項9】
印字・貼付手段は、プリンターユニットとして採血管準備装置本体に対してスライド自在に取り付けられており、プリンターユニットを採血管準備装置本体から引き出して市販品のものに交換して搭載できるようになっている前記請求項3乃至8のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項10】
採血管準備装置の起動用のスイッチがリモートコントロールによりON,OFF制御されるようにした前記請求項3乃至9のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項11】
装置本体の外表面には当該採血管準備装置の設定状態の表示及び各操作スイッチに連動して設定変更案内の表示をするための設定状態表示部が設けられている前記請求項3乃至10のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【請求項12】
当該採血管準備装置は内臓又は外部接続されたCPUを有し、当該CPUには採血管準備装置を制御するためのソフトプログラムがインストールされており、装置本体の外表面若しくは外部側には前記CPUの入力部及びモニターを兼用するタッチパネルディスプレイが設けられている前記請求項3乃至11のいずれか一つに記載の採血管準備装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−252887(P2011−252887A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128717(P2010−128717)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【特許番号】特許第4662193号(P4662193)
【特許公報発行日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(709005094)株式会社エーエフシー (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【特許番号】特許第4662193号(P4662193)
【特許公報発行日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(709005094)株式会社エーエフシー (4)
【Fターム(参考)】
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