説明

採血管準備装置

【課題】稼働を停止させることなく採血管を補充することのできる採血管準備装置を提供する。
【解決手段】採血管Yを収容する収容装置5bと、収容装置5bからラベル貼付装置へ採血管を移送する移送装置20と、収容装置5bを収納する筐体とを備える採血管準備装置において、前記筐体内に固定される固定ケース30と、該固定ケース30に対して離近移動可能に配設されて、固定ケース30に近接して筐体内に収納される収納状態と、固定ケース30から離間して筐体外に引き出される引出状態とに変換可能な可動ケース31と、固定ケース30に収容された採血管Yを移送装置20に送出する送出機構35と、可動ケース31の収納状態で、可動ケース31に収容された採血管Yを固定ケース30に供給する供給状態と、固定ケース30に供給しない供給停止状態とに変換可能な供給機構40とによって収容装置5bを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の採血に用いる採血管を準備する採血管準備装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等で患者の血液を採取する際に、採血作業をスムーズに行うために、使用する採血管にラベルを貼り、患者毎にトレイに載せておく採血管準備装置が知られている。特許文献1に記載の採血管準備装置は、採血管用のラベルに印刷し、採血管に貼り付けるラベル印字貼付手段と、ラベル貼付前の採血管を種類毎に収容する採血管収容ケースと、ラベル貼付前の採血管を、採血管収容手段からラベル印字貼付手段に移送する移送手段とを備えている。そして、かかる採血管準備装置では、ケース内の採血管が不足した場合には、採血管収容ケースをハウジングから引き出して採血管を補充するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−77796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の採血管準備装置では、採血管収容ケースをハウジングから引き出すと、引き出した採血管収容ケースから採血管を取り込むことができなくなるため、ケースに採血管を補充している間は装置を稼動させることができない。採血管準備装置には、多数の収容ケースが配設されているため、各ケースに採血管を補充する度に装置を停止させるのは、装置の稼動効率を低下させる大きな要因となっていた。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、稼動を停止させることなく採血管を補充できる採血管準備装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ラベル貼付前の採血管を収容する収容装置と、ラベルに印刷するラベル印刷装置と、該ラベル印刷装置が印刷したラベルを採血管に貼付するラベル貼付装置と、収容装置からラベル貼付装置へ採血管を移送する移送装置と、少なくとも収容装置を収納する筐体とを備える採血管準備装置において、前記収容装置は、前記筐体内に固定される固定ケースと、該固定ケースに対して離近移動可能に配設されて、固定ケースに近接して筐体内に収納される収納状態と、固定ケースから離間して筐体外に引き出される引出状態とに変換可能な可動ケースと、固定ケースに収容された採血管を移送装置に送出する送出機構と、可動ケースの収納状態で、可動ケースに収容された採血管を固定ケースに供給する供給状態と、固定ケースに供給しない供給停止状態とに変換可能な供給機構とを備えることを特徴とする採血管準備装置である。
【0007】
かかる構成にあっては、固定ケースから移送装置へ採血管が送出される構成であるため、可動ケースを筐体から引き出しても、固定ケースに採血管が収容されていれば、採血管準備装置の稼働を停止させることなく可動ケースに採血管を補充することができ、また、引き出した可動ケースを筐体に収納すれば、可動ケースに補充した採血管を固定ケースに供給することができる。したがって、本発明によれば、採血管準備装置を稼動させたまま、採血管の補充作業を適切に行うことが可能となる。
【0008】
また、本発明にあって、前記収容装置は、可動ケースの収納状態で、可動ケースの上側縁と固定ケースの上側縁が近接するよう構成されており、供給機構は、その供給状態で、可動ケース内の採血管を、可動ケースと固定ケースの近接する上側縁の高さまで揚送して固定ケース内へ送出するコンベアを備える構成が提案される。
【0009】
かかる構成にあっては、固定ケースと可動ケースの上側縁を乗り越えるようにして、採血管を可動ケースから固定ケースに送出するため、固定ケースと可動ケースを略同じ高さ位置に配置することができ、収容装置をコンパクト化することが可能となる。また、コンベアをON・OFFすることで、供給機構の供給状態と供給停止状態を容易に切換可能となる。
【0010】
また、本発明にあって、前記収容装置は、可動ケースの収納状態で、固定ケースから可動ケースを離間不能とするロック状態と、可動ケースを離間可能とする解除状態とに変換されるロック装置を備え、少なくとも供給機構の供給状態ではロック装置がロック状態となり、筐体の外部に配設されたロック解除スイッチが操作されると、供給機構が供給停止状態となった後に、ロック装置が解除状態となるよう構成されたものであることが提案される。
【0011】
かかる構成にあっては、可動ケースから固定ケースへ採血管を送出している途中に、可動ケースが固定ケースから離間することがなくなるから、可動ケースから送出された採血管が固定ケース外に落下してしまうのを確実に防止できる。
【0012】
また、本発明にあって、前記収容装置は、固定ケース内の採血管の残量を検知する残量検知センサを備えており、可動ケースの収納状態で、固定ケース内の採血管の残量が所定の要供給レベルを下回ると供給機構が供給状態となり、固定ケース内の採血管の残量が所定の満杯レベルを上回ると供給機構が供給停止状態となるよう構成されていることが提案される。
【0013】
かかる構成にあっては、固定ケースの採血管の残量に応じて可動ケースから固定ケースに採血管が供給されることとなるため、固定ケース内に採血管を過不足なく収容可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上に述べたように、本発明によれば、採血管準備装置の稼動を停止させることなく、収容装置に採血管を補充可能となるから、従来構成に比べて、採血管準備装置の稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例の採血管準備装置1の斜視図である。
【図2】本体部2の斜視図である。
【図3】回収部3の斜視図である。
【図4】本体部2の内部構造を示す斜視図である。
【図5】図4から、収容装置5a,5b及びラベル印刷貼付装置6の一部を分離して示す斜視図である。
【図6】ラベル印刷貼付装置6の斜視図である。
【図7】ラベル印刷貼付装置6の構造を示す説明図である。
【図8】フレーム16及び下部移送装置20の斜視図である。
【図9】下部移送装置20の斜視図である。
【図10】下部移送装置20の上部拡大図である。
【図11】下部移送装置20の構造を示す説明図である。
【図12】可動ケース31を収納状態とした下部収容装置5bの斜視図である。
【図13】可動ケース31を引出状態とした下部収容装置5bの斜視図である。
【図14】下部収容装置5bの構造を示す説明図である。
【図15】下部収容装置5bの構造を示す説明図である。
【図16】上部収容装置5aの構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
【0017】
図1は、本実施例の採血管準備装置1を正面側から見た斜視図である。採血管準備装置1は、所要の採血管にラベルを貼付して排出する本体部2と、本体部2から排出されるラベル貼付済の採血管を、トレイに収容する回収部3とを備えている。
【0018】
本体部2は、図2に示すように、上下に長尺な直方体形状をなす筐体4を備えている。筐体4の内部には、採血管を収容する収容装置5a,5bと、ラベルを印刷して採血管に貼付するラベル印刷貼付装置6とが複数収納され、筐体4の正面には、収容装置5a,5bとラベル印刷貼付装置6に夫々取り付けられた前面パネル9a,9bが露出している。また、筐体4の右側面を覆うパネル9には、ラベル貼付済の採血管を排出する採血管排出口7が形成され、さらに、筐体4の上には、各種の情報を表示するモニタ8が配設される。
【0019】
回収部3は、図1,3に示すように、本体部2の右側に隣接するように設置され、本体部2の採血管排出口7の直下に当たる位置を、採血管をトレイXに収納する採血管回収位置Pとしている。そして、回収部3は、採血管回収位置Pに空のトレイXを供給するトレイ供給装置10と、採血管収容済みのトレイXを採血管回収位置Pから排出するトレイ排出装置11と、採血管に貼付しない印刷物を印刷してトレイXに送出する非貼付用紙印刷装置13とを備えている。具体的には、トレイ供給装置10は、空のトレイXを積み重ねて収容するトレイ収容部14と、トレイ収容部14に収容されたトレイXを、送出装置(図示省略)によって一つずつ採血管回収位置Pに送り出すものである。また、トレイ排出装置11は、前後方向のベルトコンベアであり、採血管回収位置Pで採血管を収容したトレイXは、トレイ排出装置11によって採血管回収位置Pの前方に移送される。また、非貼付用紙印刷装置13は、採血管回収位置Pの上方に配設されており、手貼りラベルや採血管指示書等を印刷・切断して、採血管回収位置Pに載置されたトレイXに落下させる。
【0020】
また、回収部3の下部には、採血管準備装置1の作動を統括する制御装置(図示省略)が配設される。制御装置は、採血する患者の情報や、採血に使用する採血管の種類などを含む採血準備情報を外部から受信し、採血準備情報を受信すると、ラベル印刷貼付装置6等を作動させて、所要情報を印刷したラベルを所要の採血管に貼付して、採血管排出口7から排出する。また、これと同時に、制御装置は、採血管回収位置Pに空のトレイXを待機させ、患者一人分の採血管をトレイXに収容すると、採血管回収位置PからトレイXを排出するとともに、空のトレイXを採血管回収位置Pに供給する。
【0021】
このように、採血管準備装置1は、外部から送信される採血準備情報に基づいて、採血に使用する採血管に所要の情報等を印刷したラベルを貼付して、患者一人分の採血管を一トレイに収容する。この採血管準備装置1の基本的な構成は、特許文献1に記載される既存装置と共通するため、詳細な説明は省略する。
【0022】
次に、本体部2の構成について詳細を説明する。図4,5は、筐体4表面のパネル9と、収容装置5a,5b及びラベル印刷貼付装置6の前面パネル9a,9b(図2参照)とを除去して、本体部2の内部構造を示したものである。収容装置5a,5bとラベル印刷貼付装置6は、前後に長尺な略直方体形状にユニット化されており、筐体4のフレーム16の内部に収納されている。具体的には、フレーム16の上部に、三台のラベル印刷貼付装置6が横並びに収納され、各ラベル印刷貼付装置6の上に、収容装置(上部収容装置)5aが1台ずつ隣設される。そして、各ラベル印刷貼付装置6の下方には、収容装置(下部収容装置)5bが三台ずつ段設される。
【0023】
ラベル印刷貼付装置6は、本発明に係るラベル印刷装置60とラベル貼付装置61とを一体化したものである。図6,7に示すように、ラベル印刷装置60は、ラベル印刷貼付装置6の前部から中央部に配設されており、ラベル貼付装置61は、ラベル印刷貼付装置6の後部に配設される。具体的には、図7に示すように、ラベル印刷装置60は、ラベル用紙のロールを保持するロール保持部62と、該ロール保持部62から後方に引き出したラベル用紙に印刷を行う印刷部63と、印刷済みラベルから剥離紙を剥離する剥離部64と、剥離した剥離紙を巻き取る剥離紙回収部65とを備えている。一方、ラベル貼付装置61は、剥離部64から供給される剥離済みラベルを採血管Yに貼付する貼付部66と、ラベル貼付済の採血管Yを排出する排出コンベア67と、ラベル貼付前の採血管Yを外部から受け取る受取部68と、採血管Yの向きを検知する方向検知部70とを備えている。
詳述すると、受取部68は、一本の採血管Yを収容可能な大きさをなし、ラベル貼付装置61の上部に配設される皿状体であり、後述するように、収容装置5a,5bの採血管Yは、この受取部68へ移送される。受取部68に収容された採血管Yは、押出ソレノイド69の作動によって所要のタイミングで受取部68の前方に押し出され、方向検知部70を経由して貼付部66に供給される。排出コンベア67は貼付部66の直下に配設された左右方向のコンベアであり、各ラベル貼付装置61に配設された排出コンベア67が連なることで、採血管排出口7までの運搬経路を形成している。すなわち、ラベル貼付済の採血管Yは、貼付部66から排出コンベア67の上に落とされて、採血管排出口7へと搬出される。なお、かかるラベル印刷貼付装置6の構成は、従来構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0024】
また、図8,9に示すように、筐体4の背面側には、下部収容装置5bの採血管Yをラベル貼付装置61に移送する下部移送装置20が配設される。この下部移送装置20は、左右三列に配設された下部収容装置5bの各列に一台ずつ配設される。各下部移送装置20は、図9に示すように、採血管Yを揚送する第一機構部21と、揚送された採血管Yをラベル貼付装置61の受取部68に送出する第二機構部22とで構成される。
【0025】
第一機構部21は、採血管Yを載せる複数の乗載板片23と、該乗載板片23を上方に移送する揚送コンベア24とを備えており、図11に示すように、下部収容装置5bから送出される採血管Yを乗載板片23の上に受け取って揚送する。また、揚送コンベア24の上部には前方に迫り出した押出ガイド25が配設されており、揚送コンベア24によって揚送された採血管Yは、押出ガイド25に当接し、その案内作用によって乗載板片23の上から前方に転がり落ちるよう構成されている。
【0026】
第二機構部22は、図10,11に示すように、一本の採血管Yを収容可能な待機部26を備えている。押出ガイド25によって乗載板片23から転がり落ちた採血管Yは、この待機部26に落下する。待機部26の前後を仕切る壁板27は、前方向に移動可能に設けられており、壁板27を前方に駆動させると、待機部26に保持された採血管Yが前方に転がり落ちて、下方に位置する前記受取部68に収容されるよう構成されている。また、待機部26の底部には、左右方向の水平コンベア28が設けられている。採血管移送先のラベル印刷貼付装置6が用紙切れなどで停止している場合には、この水平コンベア28を駆動させて、隣の下部移送装置20の待機部26に採血管Yを搬送することで、当該採血管Yを他のラベル印刷貼付装置6に供給することができる。
【0027】
以下に、本発明の要部に係る収容装置5a,5bのうち、ラベル印刷貼付装置6の下方に配設された下部収容装置5bの構成について説明する。
【0028】
下部収容装置5bは、図12,13に示すように、上方が開放した固定ケース30と可動ケース31とを、スライド機構32,32によって前後にスライド可能に連結してなるものである。固定ケース30は、筐体4のフレーム16に固定されており、可動ケース31は、固定ケース30の前側に近接する収納状態(図12参照)と、固定ケース30の前方に離間する引出状態(図13参照)とに変換可能に構成されている。そして、図1に示すように、可動ケース31の収納状態αでは、固定ケース30と可動ケース31が筐体4に収納され、可動ケース31の前面に取り付けられた前面パネル9aの把手を前方に引いて、可動ケース31を引出状態βに変換すると、可動ケース31が筐体4の前方に引き出されて、可動ケース31に採血管を追加投入可能となる。
【0029】
固定ケース30は、図14,15に示すように、前側の上側縁から後下方に向けて下り傾斜する傾斜底部33が形成されたケース体であり、その後下隅には、採血管Yを送出可能な送出開口部34が形成され、該送出開口部34には、採血管Yを一本ずつ下部移送装置20へ送出する送出機構35が配設される。
【0030】
送出機構35は、図14,15に示すように、採血管Yを取り込む取込ローラー36と、該取込ローラー36を回転させる送出モーター37と、取込ローラー36が取り込んだ採血管Yを下部移送装置20へ案内するガイド39とを備えている。取込ローラー36は、採血管一本を収容可能な大きさの収容凹部38を外周部に備え、送出開口部34を閉塞するように配設されており、送出モーター37が取込ローラー36を回転駆動すると、図15(a)に示すように、送出開口部34近くの採血管Yが収容凹部38に転がり込み、該収容凹部38が後方に移動した位置で採血管Yが放出され、ガイド39の案内作用によって、下部移送装置20の乗載板片23の上に滑り落ちるように案内される。このように、下部収容装置5bでは、固定ケース30内の採血管Yは、傾斜底部33の斜面に沿って固定ケース30の後下隅に移動し、送出機構35によって一本ずつ下部移送装置20へ送出される。
【0031】
可動ケース31は、図14,15に示すように、固定ケース30の2〜3倍程度の前後長を有するケース体であり、固定ケース30よりも多量の採血管Yを収容可能となっている。可動ケース31の底部には、可動ケース31内の採血管Yを固定ケース30へ供給する供給機構40が配設される。供給機構40は、可動ケース31の底部の、前端から中央部にかけて設けられた略平坦な第一コンベア40aと、該第一コンベア40aの後端から、可動ケース31の後上側縁まで上り傾斜する第二コンベア40bとにより構成される。この供給機構40の供給状態では、図14,15(a)に示すように、コンベア40a,40bが駆動することで、可動ケース31内の採血管Yが、第一コンベア40aによって後方に移送され、さらに、第二コンベア40bによって、後上側縁へと揚送される。そして、後上側縁まで揚送された採血管Yは、可動ケース31の後上側縁と、該後上側縁に近接する固定ケース30の前上側縁を越えて、可動ケース31から固定ケース30へと送出される。供給機構40の供給停止状態では、コンベア40a,40bが停止することで、可動ケース31内の採血管Yはケース内に留まることとなる。
【0032】
また、固定ケース30と可動ケース31の内側面には、図14,15に示すように、各ケース内の採血管Yの残量を検知するための残量検知センサ41a〜41dが配設される。固定ケース30の二つの残量検知センサ41a,41bは、夫々光センサからなり、一方の残量検知センサ41aは、送出開口部34の直前位置に配設され、当該位置の採血管Yの有無を検知することで、固定ケース30の採血管Yが、所定の要供給レベルを下回っているか否かを検知するのに用いられる。他方の残量検知センサ41bは、ケース上部に配設され、当該位置の採血管Yの有無を検知することで、採血管Yの残量が所定の満杯レベルに達しているか否かを検知するのに用いられる。また、可動ケース31の二つの残量検知センサ41c,41dも光センサからなるものであり、第一コンベア40aの後端上方位置と、第一コンベア40aの中央部上方位置とに配設されて、当該位置の採血管Yの有無を検知することで、可動ケース31内の採血管Yの残量を検知するのに用いられる。
【0033】
また、図15に示すように、固定ケース30の下部前端には、可動ケース31の位置を検知する引出状態検知センサ42が配設される。引出状態検知センサ42は、リミットスイッチからなり、可動ケース31の収納状態では、可動ケース31の後端部と接触してONとなり、可動ケース31の引出状態では、可動ケース31の後端部が離間することでOFFとなるよう構成されている。
【0034】
また、図15に示すように、固定ケース30の前端部と、可動ケース31の後端部とには、可動ケース31の収納状態で、固定ケース30から可動ケース31を離間不能とするロック状態と、可動ケース31を離間可能とする解除状態とに変換するロック装置44が配設される。このロック装置44は、制御装置により電気的に制御されており、通常は、可動ケース31の収納状態でロック状態となり、前面パネル9aに設けられたロック解除スイッチ45が押圧操作されると解除状態に変換するよう構成されている。
【0035】
以下に、下部収容装置5bの作動について説明する。
採血管準備装置1の稼働状態では、上述のように、採血準備情報に基づいて、採血に用いる採血管が収容装置5a,5bからラベル印刷貼付装置6に移送される。すなわち、下部収容装置5bに収容される採血管Yが必要となる度に、送出機構35が固定ケース30に収容された採血管Yを取り込んで、下部移送装置20の乗載板片23の上に送出し、当該採血管Yを下部移送装置20がラベル印刷貼付装置6まで移送する。
【0036】
ここで、採血管準備装置1の稼動時は、通常は、可動ケース31は収納状態とされており、固定ケース30内の採血管Yが少なくなると、供給機構40によって可動ケース31から固定ケース30へ採血管Yが供給される。詳述すると、固定ケース30内の採血管Yの残量が、上記要供給レベルを下回ると、供給機構40が供給状態となって可動ケース31から固定ケース30に採血管Yが供給される。そして、採血管Yが上記満杯レベルを上回るまで供給されると、供給機構40が供給停止状態となって、残量が再び要供給レベルを下回るまで、採血管Yの供給を停止するよう構成されている。
【0037】
可動ケース31から固定ケース30に採血管Yが供給されて、可動ケース31の採血管Yの残量が減少すると、まず、第一コンベア40aの中央部の残量検知センサ41dがOFFとなる。この時、モニタ8に、当該下部収容装置5bの残量が少なくなったことが報知される。そして、可動ケース31の採血管Yの残量がさらに減少すると、第一コンベア40aの後端部の残量検知センサ41cがOFFとなる。この時は、モニタ8に、当該下部収容装置5bの可動ケース31が空になったことが報知される。このように、採血管準備装置1は、可動ケース31の採血管Yの残量減少を報知するが、可動ケース31の採血管Yの残量に関わらず、固定ケース30が空になるまでは稼働を継続する。
【0038】
採血管準備装置1の稼働中は、ロック装置44がロック状態となり、可動ケース31は、前面パネル9aの把手を引いても引き出せないよう係止される。稼働中に可動ケース31を引き出す場合には、当該下部収容装置5bの前面パネル9aに設けられたロック解除スイッチ45(図1参照)の押圧操作が必要となる。ロック解除スイッチ45を操作すると、制御装置が、まず、可動ケース31の供給機構40を供給停止状態とし、その後にロック装置44をロック解除状態とすることで、可動ケース31を筐体4から引出可能となる。
【0039】
採血管準備装置1の稼働中に可動ケース31を引き出すと、引出状態検知センサ42がOFFとなって、モニタ8に当該可動ケース31が引き出されたことが報知される。しかしながら、かかる可動ケース31の引出状態にあっても採血管準備装置1は停止せず、固定ケース30が空にならない限りは、固定ケース30から採血管Yを取り込んで稼働継続する。そして、引き出した可動ケース31を筐体4に収納すると、引出状態検知センサ42がONとなり、これにより、ロック装置44がロック状態に変換して可動ケース31が引出不能に係止される。
【0040】
次に、ラベル印刷貼付装置6の上に隣設される上部収容装置5aの構成について説明する。この上部収容装置5aは、上述の下部収容装置5bと比べて、固定ケース30から採血管Yを送出する送出機構35の構成のみが相違するものであり、その他の構成は同一であるため、構成の共通する部分については、図中で同一符号を用いて説明を省略する。上部収容装置5aでは、図16に示すように、送出機構35は、固定ケース30の送出開口部34から取込ローラー36の収容凹部38に取り込んだ採血管Yを、送出開口部34の直下に放出するよう構成される。そして、取込ローラー36から放出された採血管Yは、放出位置の下方に配設された上部移送装置50によって、ラベル印刷貼付装置6の受取部68へと移送されるよう構成されている。上部移送装置50は、採血管Yを受入可能な凹部を備えた管受部材51と、該管受部材51を、取込ローラー36から凹部に採血管Yを受入可能とする上向き位置と、凹部に受け入れた採血管Yを受取部68へ落下させる下向き位置とに変換駆動する変換モータ52とからなるものである。このように、上部収容装置5aは、上記下部収容装置5bと送出機構35のみが異なるものであり、固定ケース30や可動ケース31、供給機構40などのその他の構成は、下部収容装置5bと同じである。
【0041】
以上のように、本実施例の採血管準備装置1では、収容装置5a,5bの可動ケース31を筐体4から引き出して採血管Yを補充するよう構成されているが、可動ケース31を引き出しても、採血管準備装置1は固定ケース30から採血管Yを取り込むことで稼働し続けることができる。また、可動ケース31を収納状態とすれば、可動ケース31に補充した採血管Yを固定ケース30に随時供給することができる。したがって、本実施例の採血管準備装置1によれば、稼働を停止させることなく採血管Yを補充することができ、従来よりも高い稼働効率を実現できる。
【0042】
特に、本実施例では、可動ケース31の収納状態にあって、可動ケース31の後側の上側縁を固定ケース30の前側の上側縁に近接させて、可動ケース31の採血管Yを、コンベア40a,40bによって当該上側縁の高さに揚送して固定ケース30へ送出するようにしているから、固定ケース30と可動ケース31とを略同じ高さ位置に配置して、収容装置5a,5bをコンパクトな構成とすることができる。
【0043】
また、本実施例では、可動ケース31の収納状態では、ロック装置44によって可動ケース31を引出不能とし、ロック解除スイッチ45が操作された時に、まず、供給機構40を供給停止状態としてから、ロック装置44を解除状態に変換するようにしているから、採血管準備装置1の稼働中に可動ケース31を引き出して固定ケース30から分離させても、可動ケース31から送出される採血管Yが固定ケース30外に転がり出ることがない。
【0044】
また、本実施例では、固定ケース31の採血管Yの残量が所定の要供給レベルを下回ると、供給機構40が供給状態となって可動ケース31から固定ケース30に採血管Yが供給され、固定ケース31の採血管Yの残量が所定の満杯レベルを上回ると、供給機構40が供給停止状態となって、固定ケース30への採血管Yの供給が停止するよう構成されているため、固定ケース30内に採血管Yを過不足なく収容することができ、これにより、収容装置5a,5bの採血管Yを移送装置20,50に滞り無く送り出すことができる。
【0045】
なお、本発明の採血管準備装置は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、上記実施例では、採血管準備装置1に配設される全ての収容装置5a,5bについて、採血管準備装置1の稼働を停止させることなく採血管を補充可能な構成となっているが、本発明の採血管準備装置は、少なくとも一部の収容装置に関して、採血管準備装置の稼働を停止させることなく採血管を補充可能な構成であればよい。採血管の使用頻度が高く、補充作業の回数が多い収容装置について、採血管準備装置の稼動を停止させずに採血管を補充可能とするだけでも、稼働効率を十分改善できるためである。
【0046】
また、上記実施例では、可動ケース31から固定ケース30へ採血管Yを供給する供給機構40を、可動ケース31と固定ケース30の上側縁を越えるように採血管Yを揚送する機構によって実現しているが、本発明に係る供給機構は、かかる構成に限らず、例えば、可動ケースと固定ケースの間に形成される採血管供給路と、該採血管供給路を開閉するシャッタとで構成することも提案される。すなわち、かかる構成では、可動ケースの収納状態で採血管供給路を開放することで、可動ケースから固定ケースに採血管が供給可能となり、また、採血管供給路を閉鎖することで、採血管供給路から採血管を流出させることなく、可動ケースを固定ケースから離間させることが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1 採血管準備装置
2 本体部
3 回収部
4 筐体
5a 上部収容装置(収容装置)
5b 下部収容装置(収容装置)
6 ラベル印刷貼付装置
16 フレーム
20 下部移送装置(移送装置)
23 乗載板片
30 固定ケース
31 可動ケース
32 スライド機構
33 傾斜底部
34 送出開口部
35 送出機構
36 取込ローラー
37 送出モーター
38 収容凹部
39 ガイド
40 供給機構
40a 第一コンベア
40b 第二コンベア
41a〜41d 残量検知センサ
42 引出状態検知センサ
44 ロック装置
45 ロック解除スイッチ
50 上部移送装置(移送装置)
60 ラベル印刷装置
61 ラベル貼付装置
68 受取部
α 収納状態
β 引出状態
X トレイ
Y 採血管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル貼付前の採血管を収容する収容装置と、
ラベルに印刷するラベル印刷装置と、
該ラベル印刷装置が印刷したラベルを採血管に貼付するラベル貼付装置と、
収容装置からラベル貼付装置へ採血管を移送する移送装置と、
少なくとも収容装置を収納する筐体とを備える採血管準備装置において、
前記収容装置は、
前記筐体内に固定される固定ケースと、
該固定ケースに対して離近移動可能に配設されて、固定ケースに近接して筐体内に収納される収納状態と、固定ケースから離間して筐体外に引き出される引出状態とに変換可能な可動ケースと、
固定ケースに収容された採血管を移送装置に送出する送出機構と、
可動ケースの収納状態で、可動ケースに収容された採血管を固定ケースに供給する供給状態と、固定ケースに供給しない供給停止状態とに変換可能な供給機構とを備えることを特徴とする採血管準備装置。
【請求項2】
前記収容装置は、可動ケースの収納状態で、可動ケースの上側縁と固定ケースの上側縁が近接するよう構成されており、供給機構は、その供給状態で、可動ケース内の採血管を、可動ケースと固定ケースの近接する上側縁の高さまで揚送して固定ケース内へ送出するコンベアを備えることを特徴とする請求項1に記載の採血管準備装置。
【請求項3】
前記収容装置は、可動ケースの収納状態で、固定ケースから可動ケースを離間不能とするロック状態と、可動ケースを離間可能とする解除状態とに変換されるロック装置を備え、
少なくとも供給機構の供給状態ではロック装置がロック状態となり、筐体の外部に配設されたロック解除スイッチが操作されると、供給機構が供給停止状態となった後に、ロック装置が解除状態となるよう構成されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の採血管準備装置。
【請求項4】
前記収容装置は、固定ケース内の採血管の残量を検知する残量検知センサを備えており、可動ケースの収納状態で、固定ケース内の採血管の残量が所定の要供給レベルを下回ると供給機構が供給状態となり、固定ケース内の採血管の残量が所定の満杯レベルを上回ると供給機構が供給停止状態となるよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の採血管準備装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−251883(P2012−251883A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124869(P2011−124869)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000186566)小林クリエイト株式会社 (169)
【Fターム(参考)】