採血管用スタンプ
【課題】採血管に対して安価かつ簡易に印を施せるようにしつつ、検体吸引ノズルの汚れや検体へのインクの混入を抑制して適切に検体を検査できるようにする。
【解決手段】本発明は、採血管2におけるキャップ20の上面21に印を施すための採血管用スタンプ1に関する。採血管用スタンプ1は、キャップ20に接触させるための印面14を有しているとともに、インクを保持したインク保持部10と、インク保持部10を収容したホルダ12と、を備えている。インク保持部10は、上面21における中心部22に印面14を接触させるように形成されている。印面14は、たとえば円弧状に形成されている。
【解決手段】本発明は、採血管2におけるキャップ20の上面21に印を施すための採血管用スタンプ1に関する。採血管用スタンプ1は、キャップ20に接触させるための印面14を有しているとともに、インクを保持したインク保持部10と、インク保持部10を収容したホルダ12と、を備えている。インク保持部10は、上面21における中心部22に印面14を接触させるように形成されている。印面14は、たとえば円弧状に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血管におけるキャップの上面に印を施すための採血管用スタンプに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や臨床検査センタにおいて採血管を取り扱う場合、図16(a)および図16(b)に示したように採血管9のキャップ90に印91を施すことが行なわれている。これは、採血管に収容された検体の種類(たとえば感染検体、緊急検体、通常検体、ドック用検体あるいは院内検体)を区別するためである。
【0003】
キャップ90の印91は、たとえば検査技師や看護士がマジックやペンなどの筆記具を用いて施される。このような方法は、筆記具のキャップの着脱を繰り返し行なう必要があるために多くの検体を取り扱う場合には非効率的な作業となる。一方、筆記具の蓋を外して放置すると、筆記具を収容するケースや使用者の手が汚れる恐れがあるばかりか、インクの蒸発を促進してしまう。
【0004】
採血管におけるキャップ90の上面92の中心部93は、通常、採血針や分析装置の検体吸引ノズルが挿入される部分である。そのため、図16(b)に示したように、キャップ90の上面92の中心部93にマジックなどで印が施された場合には、検体吸引ノズルが汚れ、あるいは検体にマジックなどのインクが混入してしまう可能性がある。検体吸引ノズルの汚れや検体へのインクの混入は、測定誤差を生じさせ、あるいは測定エラーを誘発する原因ともなりかねない。
【0005】
その一方で、キャップ90に筆記具により印91を施すことに代えて、採血管9の側面にインクジェット印刷装置を用いて所定の情報を印刷する装置も提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、インクジェット印刷装置は高価かつ比較的に大型なものであるため、印刷装置を使用することは検査コストを上昇させる原因となるばかりか、検査スペースを圧迫することとなる。
【0007】
また、インクジェット印刷装置では、採血管に印刷すべき情報を装置に入力する必要あるために検査する者の負担が大きくなるばかりか、緊急時には不向きな方法である。
【0008】
【特許文献1】特許第2753729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、採血管に対して安価かつ簡易に印を施せるようにしつつ、検体吸引ノズルの汚れや検体へのインクの混入を抑制して適切に検体を検査できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、採血管におけるキャップの上面に印を施すための採血管用スタンプであって、上記キャップに接触させるための印面を有しているとともに、インクを保持した1または複数のインク保持部と、上記インク保持部を収容したホルダと、を備えた採血管用スタンプに関する。
【0011】
上記インク保持部は、上記上面における中心部の周辺領域に上記印面を接触させるように形成されている。
【0012】
上記インク保持部は、上記上面における採血針を挿入する針挿入部の周辺領域に上記印面を接触させるように形成されていてもよい。
【0013】
上記印面は、たとえば円弧状に形成されている。上記印面は、直線状あるいは環状であってもよい。
【0014】
本発明の採血管用スタンプは、たとえば上記インク保持部を上記ホルダに対して相対移動させるための1または複数の操作部をさらに備えている。
【0015】
上記操作部は、たとえば上記ホルダの少なくとも一部を外套し、かつ上記インク保持部に接続されている。
【0016】
上記複数の操作部は、上記インク保持部を支持しているとともに、それぞれ独立して上記ホルダに対して相対動可能とされていてもよい。
【0017】
本発明の採血管用スタンプは、上記ホルダに対して上下方向に相対動可能であり、かつ上記キャップに接触させられる複数の可動体を備えたものであってもよい。この場合、上記複数のインク保持部のそれぞれは、対応する可動体が上記ホルダに対して相対的に上方に移動したときに上記ホルダに対して相対的に下方に移動するように構成されるのが好ましい。上記複数のインク保持部のそれぞれは、たとえば上記複数の可動体のうちの最も離間した位置にある可動体の移動に連動して移動するように構成される。
【0018】
上記複数の可動体は、上記ホルダに対する相対位置を調整可能に構成してもよい。
【0019】
本発明の採血管用スタンプは、上記ホルダに連結され、かつ上記キャップの上面を押圧するための押圧体をさらに備えていてもよい。上記押圧体は、たとえば弾性体を介して上記ホルダに連結されている。
【0020】
上記ホルダは、上記キャップを覆うためのガイドを有していてもよい。上記ガイドは、たとえば下方に向うほど拡径するテーパ状である。
【0021】
上記ホルダは、上記インク保持部を突出させるための開口と、上記開口から上記インク保持部が突出していない状態において上記開口を塞ぐ開閉蓋を有していてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る採血管用スタンプについて、第1ないし第3の実施の形態として、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る採血管用スタンプについて、図1ないし図5を参照して説明する。これらの図では、採血管2として、採血管2のキャップ20の中心部は、採血針や分析装置における検体吸引用のノズルが挿入される凸状に形成されている場合を例にとって説明する。
【0024】
図1ないし図3に示した採血管用スタンプ1は、採血管2のキャップ20における上面21に印を施すためのものである。
【0025】
この採血管用スタンプ1は、一対のインク保持部10、ホルダ11および操作部12を備えている。
【0026】
インク保持部10は、キャップ20の上面21に付着させるべきインクを保持したものであり、横断面が一様な円弧状の形態を有している。インク保持部10の横断面の曲率半径は、キャップ20の中心部22の径よりも大きく設定されている。インク保持部10は、キャップ20をホルダ11で覆った状態において、一対のインク保持部10によってキャップ20の中心部22を囲みように配置されている。
【0027】
インク保持部10は、たとえば多孔質体にインクを含浸させたものである。多孔質体としては、たとえばフェルト、不織布あるいは発泡体が使用される。インクとしては、溶媒に顔料や色素を分散させたものが使用される。溶媒としては、目的とする顔料や色素を適切に分散させることができる水性溶媒や有機溶媒が一般に使用され、安価に入手可能で人体に害がないものを使用するのが好ましい。顔料や色素としては、安価で人体に害がなく、目的とする色を発現できるものを使用するのが好ましい。
【0028】
一対のインク保持部10は、端部が突出した状態で支持体13に支持されており、支持体13とともにホルダ11に収容されている。各インク保持部10における支持体13から突出した部分の端面は、印面14を構成している。印面14は、キャップ20の上面に印を施すときにキャップ20の上面21に接触させられる部分である。印面14は、インク保持部10の横断面が一様な円弧状であることから、曲率半径がキャップ20の中心部22の径よりも大きい円弧状とされており、キャップ20の中心部22を囲むようにキャップ20の上面21に接触させることが可能となっている。
【0029】
支持体13は、上述のように一対のインク保持部10を支持した状態でホルダ11に収容されたものであり、ホルダ11に対して上下方向(AB方向)に相対移動可能とされている。すなわち、一対のインク保持部10もまた支持体13と同様に、ホルダ11に対して上下方向(AB方向)に相対移動可能とされている。
【0030】
ホルダ11は、キャップ20の上面21に印を施すときに上面21を覆うものである。このホルダ11は、一対のインク保持部10および支持体13を収容できるように筒状に形成されている。このホルダ11の下側端部15は、下方(B方向)に向うほど径が大きくなるテーパ状に形成されている。下側端部15は、最大内径をキャップ20の径よりも大きく設定一方で、最少内径をキャップ20の径よりも小さく設定するのが好ましい。そうすれば、下側端部15において、キャップ20を保持しつつ、その位置を規制することができる。これに加えて、下側端部15をテーパ状にすれば、ホルダ11によってキャップ20を覆うときに下側端部15がガイドとしての役割を果すこととなり、キャップ20に対するホルダ11(採血管用スタンプ1)の装着が容易となる。
【0031】
操作部12は、インク保持部10をホルダ11に対して上下方向(AB方向)に相対移動させるためのものであり、ホルダ11の上部側を外套している。この操作部12は、支持体13に対してコイルバネ16を介して連結されている。すなわち、操作部12は、コイルバネ16および支持体13を介してインク保持部10に接続されている。
【0032】
もちろん、コイルバネ16に代えて、コイルバネ以外の形態のバネ、ゴムなどの他の弾性体を用いてもよい。
【0033】
次に、採血管用スタンプ1の使用方法を説明する。
【0034】
図4(a)に示したように、採血管用スタンプ1を用いて採血管2のキャップ20に印M(図5参照)を施す場合、まずホルダ11とキャップ20とを位置合わせしてホルダ11の下側端部(ガイド)15によってキャップ20を覆った状態とする。このような作業は、下側端部15がテーパ状とされていることから、厳格な位置合わせ行なうことなく極めて簡易に行なうことができる。このように、ホルダ11にテーパ状のガイド15を設けた採血管用スタンプ1は、多数の採血管2のキャップ20に印M(図5参照)を施す場合や緊急な検体の検査のために採血管2のキャップ20に印を施す場合に利便性が高いものとなっている。
【0035】
次に、図4(b)に示したように、操作部12に下方(B方向)に向けた負荷を作用させる。このとき、ホルダ11がキャップ20を覆った状態であることから、ホルダ11の移動は制限されている。そのため、操作部12は、ホルダ11に対して相対的に下方(B方向)に移動する。
【0036】
操作部12を下方(B方向)に向けて移動させた場合、操作部12に繋がるコイルバネ16、支持体13および一対のインク保持部10も下方(B方向)に向けて移動する。一対のインク保持部10が一定距離だけ下方(B方向)に移動した場合には、一対のインク保持部10の印面14がキャップ20の上面21に接触する。これにより、キャップ20の上面21に一対のインク保持部10のインクが印面14を介して付着させられる。このとき、印面14は、キャップ20の中心部22の径よりも曲率半径の大きな円弧状であるため、印面14は中心部22を囲むようにキャップ20の上面21に接触する。
【0037】
その一方で、図4(c)に示したように、一対のインク保持部10がキャップ20の上面21に接触することにより一対のインク保持部10および支持体13の移動が制限される。そのため、操作部12は、コイルバネ16を圧縮させつつさらに下方(B方向)に移動する。操作部12の下方(B方向)への移動は、コイルバネ16が完全に圧縮されるまで行なわれる。コイルバネ16が圧縮できない状態では、操作部12に加えられた下方(B方向)への負荷により、支持体13および一対のインク保持部10に対して下方(B方向)に向けた負荷が作用する。そのため、一対のインク保持部10の印面14は、キャップ20の上面に対してさらに強く押し付けられる。その結果、図5に示したように、キャップ20の上面21には、一対のインク保持部10の印面14の形状に倣ってインクが付着され、キャップ20の上面21に一対の円弧状の印Mが施される。一対の円弧状の印Mは、キャップ20の上面21における中心部22を避けたものとなっている。
【0038】
以上の説明から明らかなように、採血管用スタンプ1では、極めて簡易な操作によりキャップ20の上面21に印Mを施すことができるため、キャップ20に印Mを施すための際の検査する者の負担が小さくすむ。
【0039】
採血管用スタンプ1ではさらに、キャップ20の印Mは、キャップ20の中心部22を囲むように形成される。すなわち、印Mは、採血針や検体吸引用のノズルが挿入される部分を避けるように形成される。そのため、採血管用スタンプ1を用いれば、採血針や検体吸引用のノズルが汚れてしまうことや検体へのインクの混入を抑制できる。その結果、測定誤差や測定エラーの発生を抑制することができる。
【0040】
また、採血管用スタンプ1は、極めて簡易な構成で、かつ小型なものであるため、インクジェット印刷装置を使用する場合のような検査コストの上昇を招くこともなく、検査スペースを圧迫することを回避することもできる。
【0041】
以上の実施の形態では、キャップの中心部が凸状に形成された採血管を例にとって説明したが、採血用スタンプ1はキャップの中止部が凹状に形成された採血管についても適用することができる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る採血管用スタンプについて、図6ないし図11を参照して説明する。
【0043】
図6および図7に示した採血管用スタンプ3は、キャップ20の上面21における中心部22が凸状に形成された採血管2(図6ないし図10)および凹状に形成された採血管2(図11(a)および図11(b))の双方に適合するように構成されたものである。この採血管用スタンプ3は、複数(図では4つ)のインク保持部30、ホルダ31、複数(図では4つ)可動ブロック32および押圧ブロック33を備えている。
【0044】
インク保持部30は、横断面が一様な円弧状の形態を有している。インク保持部30の横断面の曲率半径は、キャップ20の中心部22の径よりも大きく設定されており、キャップ20をホルダ31で覆った状態において、複数のインク保持部30によってキャップ20の中心部22を囲むように配置されている。そのため、一対のインク保持部30の印面30Aは、キャップ20の中心部22を囲むようにキャップ20の上面21に接触させることが可能となっている。
【0045】
図8(a)に示したように、インク保持部30は、可動ブロック32の上下動に連動して上下動可能とされている。より具体的には、インク保持部30は、可動ブロック32のうち、最も離れて配置された可動ブロック32の上下動に連動するようになされている。たとえば、インク保持部30は、可動ブロック32の上動に連動して下動する一方で、可動ブロック32の下動に連動して上動する。そのため、インク保持部30は、連動する可動ブロック32を所定距離以上だけ上動させたときに下動してホルダ31の開口34を介して突出することが可能となっている。このようなインク保持部30と可動ブロック32との連動は、たとえばリンク機構を採用することにより達成することができる。
【0046】
図8(a)および図8(b)に示したように、ホルダ31は、インク保持部30、可動ブロック32および押圧ブロック33を収容したものであり、インク保持部30、可動ブロック32および押圧ブロック33に対して相対的に上下方向(AB方向)に移動可能とされている。ホルダ31は、インク保持部30に対応する位置に設けられた開口34を有している。
【0047】
開口34は、インク保持部30がホルダ31から突出するのを許容するものである。この開口34は、開閉蓋35によって開閉可能とされている。
【0048】
開閉蓋35は、バネなどの弾性部材(図示略)によって上方(A方向)に向けて付勢されており、通常時には開口34を塞いでいる。その一方で、開閉蓋35は、インク保持部30を下方(B方向)に向けて移動させたときに、インク保持部30の端部36によって押圧されて回動し、開口34を開放する。すなわち、開口34を開閉する開閉蓋35をも設けることにより、採血管用スタンプ3を使用していないときにインク保持部30が外気に曝されることを抑制できる。これにより、インク保持部30からの不用意なインクの蒸発を抑制することができる。
【0049】
図7、図8(a)および図9(b)に示したように、複数の可動ブロック32は、インク保持部30をホルダ31の開口34から突出させるためのものである。可動ブロック32はまた、押圧ブロック33を囲むように配置されており、押圧ブロック33とともに採血管用スタンプ3によりキャップ20の上面21に印を施すときに、キャップ20の中心部22に接触させるためのものである。複数の可動ブロック32は、それぞれ独立してホルダ31に対して上下方向(AB方向)に移動可能とされており、位置調整ホルダ37に対してコイルバネ38を介して接続されている。
【0050】
図8(b)に示したように、位置調整ホルダ37は、複数の可動ブロック32および押圧ブロック33の高さ位置を調整するためのものである。この位置調整ホルダ37は、たとえば回転させることにより上下し、あるいは公知の係合手段により上下方向にピッチ送り可能とされている。ただし、採血管用スタンプ3によりキャップ20に印を施す際には、位置調整ホルダ37はホルダ31との相対位置が固定され、ホルダ31に対して相対移動せずにホルダ31とともに移動する。
【0051】
図6および図9(a)に示したように、押圧ブロック33は、採血管用スタンプ3によりキャップ20の上面21に印を施すときに、キャップ20の中心部22に接触させるためのものである。すなわち、押圧ブロック33は、採血管用スタンプ3をキャップ20に位置合わせするときに利用されるものであるとともに、開口34から突出させたインク保持部30の印面30Aに負荷が集中するのを抑制するためのものである。この押圧ブロック33は、コイルバネ39を介して位置調整ホルダ37に接続されている
【0052】
もちろん、可動ブロック32や押圧ブロック33とホルダ31とを接続する手段は、コイルバネ38,39には限定されず、コイルバネ以外の形態のバネ、ゴムなどの他の弾性体を用いてもよい。
【0053】
次に、採血管用スタンプ3の使用方法を説明する。
【0054】
図9(a)に示したように、採血管用スタンプ3を用いて採血管2のキャップ20に印を施す場合、複数の可動ブロック32および押圧ブロック33をキャップ20と位置合わせする。この状態において、ホルダ31に対して下方(B方向)に向けた負荷を作用させる。これにより、複数の可動ブロック32および押圧ブロック33がキャップ20の中心部22に干渉する。これに対して、ホルダ31および位置調整ホルダ37は、コイルバネ38,39を圧縮させつつ複数の可動ブロック32および押圧ブロック33に対して相対的に下方(B方向)に移動する。
【0055】
ホルダ31が可動ブロック32に対して相対的に下動した場合、可動ブロック32はホルダ31に対して相対的に上動したことになる。そのため、可動ブロック32に連動するインク保持部30は、ホルダ31に対して相対的に下方(B方向)に移動し、開閉蓋35を押しのけてホルダ31の開口34を介して突出する。その結果、インク保持部30の印面30Aがキャップ20の上面21を押圧し、キャップ20の上面21には、インク保持部30の印面30Aの形状に倣ってインクが付着する。図9(b)に示したようにインクの付着により、キャップ20の上面には4つの円弧状の印Mが施される。これらの円弧状の印Mは、キャップ20の上面21における中心部22を避けたものとなっている。したがって、採血管用スタンプ3を使用してキャップ20に印Mを施せば、採血針や検体吸引用ノズルの汚れあるいは検体へのインクの混入を抑制することができるため、測定誤差や測定エラーの発生を抑制することができる。
【0056】
一方、図10(a)に示したように、キャップ20の中心部22に対する可動ブロック32の位置合わせに失敗し、可動ブロック32のうちの一部がキャップ20の中心部22からずれた場合を想定してみる。押圧ブロック33を囲むように複数の可動ブロック32を配置した構成では、多少の位置ずれが生じても、一部の可動ブロック32はキャップ20の中心部22に接触してホルダ31に対して上動させられる。そのため、複数のインク保持部30の一部は、印面30Aがキャップ20の上面21に接触させられる。したがって、図10(b)に示したように、採血管用スタンプ3では、キャップ20の中心部22に対する可動ブロック(採血管用スタンプ3)の位置合わせに多少の問題があったとしても、キャップ20の上面21に対して印Mを施すことができる。この印Mもまた、キャップ20の上面21における中心部22を避けたものとなっている。
【0057】
上述の例では、キャップ20の上面21における中心部22が凸状に形成されていたが、採血管用スタンプ3は、図11(a)に示したようにキャップ20の上面21の中心部22が窪んだ採血管2であっても適用することができる。この場合、採血管用スタンプ3をキャップ20の中心部22が凸状に形成されたものに適用するときのままでは、キャップ20の中心部(凹部の内面)22に可動ブロック32および押圧ブロック33を十分に接触させることができない恐れがある。そのため、位置調整ホルダ37をホルダ31に対して下方(B方向)に位置変位させて可動ブロック32および押圧ブロック33をホルダ31に対して位置変位させ、ホルダ31に位置調整ホルダ37を固定する。これにより、ホルダ31からの可動ブロック32および押圧ブロック33の突出距離が大きな状態で、これらのブロック32,33をホルダ31に固定することができる。その結果、キャップ20の中心部22が凹状の採血管2であっても、図11(b)に示したようにキャップ20の中心部(凹部の内面)22に可動ブロック32を接触させさることが可能となって、インク保持部30の印面30Aをキャップ20の上面21に接触させることができる。このような中心部22が凹んだキャップ20においても、可動ブロック32の位置合わせが多少不十分であっても、複数の可動ブロック32のうちの一部をキャップ20の中心部22に接触させることができるため、印Mをキャップ20の上面21に施すことができる(図10(b)参照)。
【0058】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る採血管用スタンプについて、図12ないし図15を参照して説明する。これらの図では、採血管2として、採血管2のキャップ20の中心部は、採血針や分析装置における検体吸引用のノズルが挿入される凸状に形成されている場合を例にとって説明する。
【0059】
図12および図13に示した採血管用スタンプ4は、複数(図では4つ)の操作部40、複数のインク保持部41およびホルダ42を備えている。
【0060】
複数の操作部40は、インク保持部41を支持しているとともに、それぞれが独立してホルダ42に対して相対動可能とされている。操作部40の下方には、コイルバネ43が配置されている。コイルバネ43は、操作部40を上方に向けて付勢するものであり、インク保持部41を囲むように配置されている。
【0061】
もちろん、操作部40を上方に向けて付勢する手段は、コイルバネ43には限定されず、コイルバネ以外の形態のバネ、ゴムなどの他の弾性体を用いてもよい。
【0062】
インク保持部41は、横断面が一様な円弧状の形態を有している。インク保持部41の横断面の曲率半径は、キャップ20の中心部22の径よりも大きく設定されており、キャップ20をホルダ42で覆った状態において、一対のインク保持部41によってキャップ20の中心部22を囲むように配置されている。
【0063】
インク保持部41は、操作部40とともに上下方向(AB方向)に移動可能なものである。すなわち、インク保持部41は、操作部40に負荷が作用していない状態ではホルダ42の完全に収容されている一方で、操作部40に対して下方(B方向)に向けた負荷が作用したときにホルダ42の開口44を介して突出することが可能となっている。開口44は、開閉蓋45によって開閉可能とされている。
【0064】
開閉蓋45は、バネなどの弾性部材(図示略)によって上方(A方向)に向けて付勢されており、通常時には開口44を塞いでいる。その一方で、開閉蓋45は、インク保持部41を下方(B方向)に向けて移動させたときに、インク保持部41の端部48によって押圧されて回動し、開口44を開放する。このような開閉蓋45を設けることにより、インク保持部41のインクが不用意に蒸発してしまうことを抑制することができる。
【0065】
ホルダ42にはさらに、コイルバネ46を介して押圧ブロック47が接続されている。この押圧ブロック47は、採血管用スタンプ4によりキャップ20の上面21に印を施すときに、キャップ20の中心部22に接触させるためのものである。すなわち、押圧ブロック47は、採血管用スタンプ4をキャップ20に位置合わせするときに利用されるものであるとともに、開口44から突出させたインク保持部41の印面49に負荷が集中するのを抑制するためのものである。
【0066】
もちろん、押圧ブロック47とホルダ42とを接続する手段は、コイルバネ46には限定されず、コイルバネ以外の形態のバネ、ゴムなどの他の弾性体を用いてもよい。
【0067】
次に、採血管用スタンプ4の使用方法を説明する。
【0068】
まず、図14(a)に示したように、目的とするインク保持部41を支持する操作部40を下方(B方向)に向けて押圧する。操作部40を下方(B方向)に向けて移動させた場合には、コイルバネ43を圧縮しつつ操作部40とともにインク保持部41が下方(B方向)に向けて移動する。これにより、インク保持部41の端部48が開閉蓋45を押しのけ、ホルダ42の開口44からインク保持部41が突出する。
【0069】
次いで、図14(b)に示したように、押圧ブロック47をキャップ20の中心部22に位置合わせしつつ、開口44から突出したインク保持部41の印面49をキャップ20の上面21に接触させる。これにより、インク保持部41のインクが印面49を介してキャップ20の上面21に付着させられる。
【0070】
一方、操作部40に対する負荷を解除した場合には、コイルバネ43の弾発力により操作部40およびインク保持部41が上方(A方向)に移動して元の位置に復帰する。これと同時に、開閉蓋45の元の位置に復帰し、開口44が開閉蓋45で閉じられる。
【0071】
このようにして、押圧ブロック47をキャップ20の中心部22に位置合わせするようにすれば、押圧ブロック47がキャップ20の中心部22に接触する。そのため、採血管用スタンプ4では、キャップ20の中心部22にインク保持部41の印面49が接触するのを抑制することができるとともに、印面49を程度な力でキャップ20の上面に押し付けることができる。
【0072】
また、ホルダ42の開口から突出させるべきインク保持部41を選択することにより、図15(a)ないし図15(d)に示したようにキャップ2の上面21に、中心部22を避けて様々なパターンの印Mを施すことができる。
【0073】
採血管用スタンプ4ではさらに、複数のインク保持部41のそれぞれに、互いに異なる色のインクを保持させれば、印Mの色により検体の種類などを区別することも可能となり、また印Mの色と印Mのパターンを組み合わせることにより、さらに多数の種類の情報を区別することが可能となる。
【0074】
以上の実施の形態では、キャップの中心部が凸状に形成された採血管を例にとって説明したが、採血用スタンプ1はキャップの中止部が凹状に形成された採血管についても適用することができる。
【0075】
本発明は、上述した実施の形態には限定されず、種々に変更可能である。たとえば、キャップに形成する印は円弧状に限らず、直線状などの他の形態であってもよい。
【0076】
インク保持部は、必ずしも複数設ける必要はなく、用途に応じて1つであってもよい。この場合、インク保持部の印面は、円弧状、直線状、環状あるいはその他の形状であってもよい。
【0077】
採血管における採血針を挿入する針挿入部分がキャップの上面における中心部でない場合には、針挿入部分を避けて印を施せるように採血管用スタンプを構成すればよく、必ずしもキャップの上面における中心部を避けて印を施すように採血管用スタンプを構成必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る採血管用スタンプの全体斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1に示した採血管用スタンプを底面側から見た斜視図である。
【図4】図4(a)ないし図4(c)は、図1に示した採血管用スタンプの使用方法を説明するための断面図である。
【図5】図1に示した採血管用スタンプを用いてキャップに印を施した採血管の要部の斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る採血管用スタンプの縦断面図である。
【図7】図6に示した採血管用スタンプの横断面図である。
【図8】図8(a)および図8(b)は、図6に示した採血管用スタンプにおける各部の動作を説明するための図6に相当する断面図である。
【図9】図9(a)は位置ずれのない状態で採血管に印を施した場合の動作を説明するための断面図であり、図9(b)は位置ずれのない状態で印を施したキャップの上面図である。
【図10】図10(a)は位置ずれした状態で採血管に印を施した場合の動作を説明するための断面図であり、図10(b)は位置ずれした状態で印を施したキャップの上面図である。
【図11】図11(a)は他の形態の採血管のキャップに位置ずれのない状態で印を施した場合の動作を説明するための断面図であり、図11(b)は他の形態の採血管のキャップに位置ずれした状態で印を施した場合の動作を説明するための断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る採血管用スタンプを示す全体斜視図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】図14(a)および図14(b)は、図12に示した採血管用スタンプの動作を説明するための断面図である。
【図15】図15(a)ないし図15(d)は、図12に示した採血管用スタンプを用いて印を形成したキャップの上面図である。
【図16】採血管のキャップにマジックなどの筆記具を用いて印を施した状態の例を説明するための採血管の要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
1,3,4 採血管用スタンプ
10,30,41 インク保持部
14,30A,49 (インク保持部の)印面
11,31,42 ホルダ
12,40 操作部
15 (ホルダの)下側端部(ガイド)
2 採血管
20 (採血管の)キャップ
21 (キャップの)上面
22 (キャップの)中心部
32 可動ブロック(可動体)
33 押圧ブロック(押圧体)
39,46 コイルバネ(弾性体)
34 開口
35 開閉蓋
M 印
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血管におけるキャップの上面に印を施すための採血管用スタンプに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や臨床検査センタにおいて採血管を取り扱う場合、図16(a)および図16(b)に示したように採血管9のキャップ90に印91を施すことが行なわれている。これは、採血管に収容された検体の種類(たとえば感染検体、緊急検体、通常検体、ドック用検体あるいは院内検体)を区別するためである。
【0003】
キャップ90の印91は、たとえば検査技師や看護士がマジックやペンなどの筆記具を用いて施される。このような方法は、筆記具のキャップの着脱を繰り返し行なう必要があるために多くの検体を取り扱う場合には非効率的な作業となる。一方、筆記具の蓋を外して放置すると、筆記具を収容するケースや使用者の手が汚れる恐れがあるばかりか、インクの蒸発を促進してしまう。
【0004】
採血管におけるキャップ90の上面92の中心部93は、通常、採血針や分析装置の検体吸引ノズルが挿入される部分である。そのため、図16(b)に示したように、キャップ90の上面92の中心部93にマジックなどで印が施された場合には、検体吸引ノズルが汚れ、あるいは検体にマジックなどのインクが混入してしまう可能性がある。検体吸引ノズルの汚れや検体へのインクの混入は、測定誤差を生じさせ、あるいは測定エラーを誘発する原因ともなりかねない。
【0005】
その一方で、キャップ90に筆記具により印91を施すことに代えて、採血管9の側面にインクジェット印刷装置を用いて所定の情報を印刷する装置も提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、インクジェット印刷装置は高価かつ比較的に大型なものであるため、印刷装置を使用することは検査コストを上昇させる原因となるばかりか、検査スペースを圧迫することとなる。
【0007】
また、インクジェット印刷装置では、採血管に印刷すべき情報を装置に入力する必要あるために検査する者の負担が大きくなるばかりか、緊急時には不向きな方法である。
【0008】
【特許文献1】特許第2753729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、採血管に対して安価かつ簡易に印を施せるようにしつつ、検体吸引ノズルの汚れや検体へのインクの混入を抑制して適切に検体を検査できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、採血管におけるキャップの上面に印を施すための採血管用スタンプであって、上記キャップに接触させるための印面を有しているとともに、インクを保持した1または複数のインク保持部と、上記インク保持部を収容したホルダと、を備えた採血管用スタンプに関する。
【0011】
上記インク保持部は、上記上面における中心部の周辺領域に上記印面を接触させるように形成されている。
【0012】
上記インク保持部は、上記上面における採血針を挿入する針挿入部の周辺領域に上記印面を接触させるように形成されていてもよい。
【0013】
上記印面は、たとえば円弧状に形成されている。上記印面は、直線状あるいは環状であってもよい。
【0014】
本発明の採血管用スタンプは、たとえば上記インク保持部を上記ホルダに対して相対移動させるための1または複数の操作部をさらに備えている。
【0015】
上記操作部は、たとえば上記ホルダの少なくとも一部を外套し、かつ上記インク保持部に接続されている。
【0016】
上記複数の操作部は、上記インク保持部を支持しているとともに、それぞれ独立して上記ホルダに対して相対動可能とされていてもよい。
【0017】
本発明の採血管用スタンプは、上記ホルダに対して上下方向に相対動可能であり、かつ上記キャップに接触させられる複数の可動体を備えたものであってもよい。この場合、上記複数のインク保持部のそれぞれは、対応する可動体が上記ホルダに対して相対的に上方に移動したときに上記ホルダに対して相対的に下方に移動するように構成されるのが好ましい。上記複数のインク保持部のそれぞれは、たとえば上記複数の可動体のうちの最も離間した位置にある可動体の移動に連動して移動するように構成される。
【0018】
上記複数の可動体は、上記ホルダに対する相対位置を調整可能に構成してもよい。
【0019】
本発明の採血管用スタンプは、上記ホルダに連結され、かつ上記キャップの上面を押圧するための押圧体をさらに備えていてもよい。上記押圧体は、たとえば弾性体を介して上記ホルダに連結されている。
【0020】
上記ホルダは、上記キャップを覆うためのガイドを有していてもよい。上記ガイドは、たとえば下方に向うほど拡径するテーパ状である。
【0021】
上記ホルダは、上記インク保持部を突出させるための開口と、上記開口から上記インク保持部が突出していない状態において上記開口を塞ぐ開閉蓋を有していてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る採血管用スタンプについて、第1ないし第3の実施の形態として、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る採血管用スタンプについて、図1ないし図5を参照して説明する。これらの図では、採血管2として、採血管2のキャップ20の中心部は、採血針や分析装置における検体吸引用のノズルが挿入される凸状に形成されている場合を例にとって説明する。
【0024】
図1ないし図3に示した採血管用スタンプ1は、採血管2のキャップ20における上面21に印を施すためのものである。
【0025】
この採血管用スタンプ1は、一対のインク保持部10、ホルダ11および操作部12を備えている。
【0026】
インク保持部10は、キャップ20の上面21に付着させるべきインクを保持したものであり、横断面が一様な円弧状の形態を有している。インク保持部10の横断面の曲率半径は、キャップ20の中心部22の径よりも大きく設定されている。インク保持部10は、キャップ20をホルダ11で覆った状態において、一対のインク保持部10によってキャップ20の中心部22を囲みように配置されている。
【0027】
インク保持部10は、たとえば多孔質体にインクを含浸させたものである。多孔質体としては、たとえばフェルト、不織布あるいは発泡体が使用される。インクとしては、溶媒に顔料や色素を分散させたものが使用される。溶媒としては、目的とする顔料や色素を適切に分散させることができる水性溶媒や有機溶媒が一般に使用され、安価に入手可能で人体に害がないものを使用するのが好ましい。顔料や色素としては、安価で人体に害がなく、目的とする色を発現できるものを使用するのが好ましい。
【0028】
一対のインク保持部10は、端部が突出した状態で支持体13に支持されており、支持体13とともにホルダ11に収容されている。各インク保持部10における支持体13から突出した部分の端面は、印面14を構成している。印面14は、キャップ20の上面に印を施すときにキャップ20の上面21に接触させられる部分である。印面14は、インク保持部10の横断面が一様な円弧状であることから、曲率半径がキャップ20の中心部22の径よりも大きい円弧状とされており、キャップ20の中心部22を囲むようにキャップ20の上面21に接触させることが可能となっている。
【0029】
支持体13は、上述のように一対のインク保持部10を支持した状態でホルダ11に収容されたものであり、ホルダ11に対して上下方向(AB方向)に相対移動可能とされている。すなわち、一対のインク保持部10もまた支持体13と同様に、ホルダ11に対して上下方向(AB方向)に相対移動可能とされている。
【0030】
ホルダ11は、キャップ20の上面21に印を施すときに上面21を覆うものである。このホルダ11は、一対のインク保持部10および支持体13を収容できるように筒状に形成されている。このホルダ11の下側端部15は、下方(B方向)に向うほど径が大きくなるテーパ状に形成されている。下側端部15は、最大内径をキャップ20の径よりも大きく設定一方で、最少内径をキャップ20の径よりも小さく設定するのが好ましい。そうすれば、下側端部15において、キャップ20を保持しつつ、その位置を規制することができる。これに加えて、下側端部15をテーパ状にすれば、ホルダ11によってキャップ20を覆うときに下側端部15がガイドとしての役割を果すこととなり、キャップ20に対するホルダ11(採血管用スタンプ1)の装着が容易となる。
【0031】
操作部12は、インク保持部10をホルダ11に対して上下方向(AB方向)に相対移動させるためのものであり、ホルダ11の上部側を外套している。この操作部12は、支持体13に対してコイルバネ16を介して連結されている。すなわち、操作部12は、コイルバネ16および支持体13を介してインク保持部10に接続されている。
【0032】
もちろん、コイルバネ16に代えて、コイルバネ以外の形態のバネ、ゴムなどの他の弾性体を用いてもよい。
【0033】
次に、採血管用スタンプ1の使用方法を説明する。
【0034】
図4(a)に示したように、採血管用スタンプ1を用いて採血管2のキャップ20に印M(図5参照)を施す場合、まずホルダ11とキャップ20とを位置合わせしてホルダ11の下側端部(ガイド)15によってキャップ20を覆った状態とする。このような作業は、下側端部15がテーパ状とされていることから、厳格な位置合わせ行なうことなく極めて簡易に行なうことができる。このように、ホルダ11にテーパ状のガイド15を設けた採血管用スタンプ1は、多数の採血管2のキャップ20に印M(図5参照)を施す場合や緊急な検体の検査のために採血管2のキャップ20に印を施す場合に利便性が高いものとなっている。
【0035】
次に、図4(b)に示したように、操作部12に下方(B方向)に向けた負荷を作用させる。このとき、ホルダ11がキャップ20を覆った状態であることから、ホルダ11の移動は制限されている。そのため、操作部12は、ホルダ11に対して相対的に下方(B方向)に移動する。
【0036】
操作部12を下方(B方向)に向けて移動させた場合、操作部12に繋がるコイルバネ16、支持体13および一対のインク保持部10も下方(B方向)に向けて移動する。一対のインク保持部10が一定距離だけ下方(B方向)に移動した場合には、一対のインク保持部10の印面14がキャップ20の上面21に接触する。これにより、キャップ20の上面21に一対のインク保持部10のインクが印面14を介して付着させられる。このとき、印面14は、キャップ20の中心部22の径よりも曲率半径の大きな円弧状であるため、印面14は中心部22を囲むようにキャップ20の上面21に接触する。
【0037】
その一方で、図4(c)に示したように、一対のインク保持部10がキャップ20の上面21に接触することにより一対のインク保持部10および支持体13の移動が制限される。そのため、操作部12は、コイルバネ16を圧縮させつつさらに下方(B方向)に移動する。操作部12の下方(B方向)への移動は、コイルバネ16が完全に圧縮されるまで行なわれる。コイルバネ16が圧縮できない状態では、操作部12に加えられた下方(B方向)への負荷により、支持体13および一対のインク保持部10に対して下方(B方向)に向けた負荷が作用する。そのため、一対のインク保持部10の印面14は、キャップ20の上面に対してさらに強く押し付けられる。その結果、図5に示したように、キャップ20の上面21には、一対のインク保持部10の印面14の形状に倣ってインクが付着され、キャップ20の上面21に一対の円弧状の印Mが施される。一対の円弧状の印Mは、キャップ20の上面21における中心部22を避けたものとなっている。
【0038】
以上の説明から明らかなように、採血管用スタンプ1では、極めて簡易な操作によりキャップ20の上面21に印Mを施すことができるため、キャップ20に印Mを施すための際の検査する者の負担が小さくすむ。
【0039】
採血管用スタンプ1ではさらに、キャップ20の印Mは、キャップ20の中心部22を囲むように形成される。すなわち、印Mは、採血針や検体吸引用のノズルが挿入される部分を避けるように形成される。そのため、採血管用スタンプ1を用いれば、採血針や検体吸引用のノズルが汚れてしまうことや検体へのインクの混入を抑制できる。その結果、測定誤差や測定エラーの発生を抑制することができる。
【0040】
また、採血管用スタンプ1は、極めて簡易な構成で、かつ小型なものであるため、インクジェット印刷装置を使用する場合のような検査コストの上昇を招くこともなく、検査スペースを圧迫することを回避することもできる。
【0041】
以上の実施の形態では、キャップの中心部が凸状に形成された採血管を例にとって説明したが、採血用スタンプ1はキャップの中止部が凹状に形成された採血管についても適用することができる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る採血管用スタンプについて、図6ないし図11を参照して説明する。
【0043】
図6および図7に示した採血管用スタンプ3は、キャップ20の上面21における中心部22が凸状に形成された採血管2(図6ないし図10)および凹状に形成された採血管2(図11(a)および図11(b))の双方に適合するように構成されたものである。この採血管用スタンプ3は、複数(図では4つ)のインク保持部30、ホルダ31、複数(図では4つ)可動ブロック32および押圧ブロック33を備えている。
【0044】
インク保持部30は、横断面が一様な円弧状の形態を有している。インク保持部30の横断面の曲率半径は、キャップ20の中心部22の径よりも大きく設定されており、キャップ20をホルダ31で覆った状態において、複数のインク保持部30によってキャップ20の中心部22を囲むように配置されている。そのため、一対のインク保持部30の印面30Aは、キャップ20の中心部22を囲むようにキャップ20の上面21に接触させることが可能となっている。
【0045】
図8(a)に示したように、インク保持部30は、可動ブロック32の上下動に連動して上下動可能とされている。より具体的には、インク保持部30は、可動ブロック32のうち、最も離れて配置された可動ブロック32の上下動に連動するようになされている。たとえば、インク保持部30は、可動ブロック32の上動に連動して下動する一方で、可動ブロック32の下動に連動して上動する。そのため、インク保持部30は、連動する可動ブロック32を所定距離以上だけ上動させたときに下動してホルダ31の開口34を介して突出することが可能となっている。このようなインク保持部30と可動ブロック32との連動は、たとえばリンク機構を採用することにより達成することができる。
【0046】
図8(a)および図8(b)に示したように、ホルダ31は、インク保持部30、可動ブロック32および押圧ブロック33を収容したものであり、インク保持部30、可動ブロック32および押圧ブロック33に対して相対的に上下方向(AB方向)に移動可能とされている。ホルダ31は、インク保持部30に対応する位置に設けられた開口34を有している。
【0047】
開口34は、インク保持部30がホルダ31から突出するのを許容するものである。この開口34は、開閉蓋35によって開閉可能とされている。
【0048】
開閉蓋35は、バネなどの弾性部材(図示略)によって上方(A方向)に向けて付勢されており、通常時には開口34を塞いでいる。その一方で、開閉蓋35は、インク保持部30を下方(B方向)に向けて移動させたときに、インク保持部30の端部36によって押圧されて回動し、開口34を開放する。すなわち、開口34を開閉する開閉蓋35をも設けることにより、採血管用スタンプ3を使用していないときにインク保持部30が外気に曝されることを抑制できる。これにより、インク保持部30からの不用意なインクの蒸発を抑制することができる。
【0049】
図7、図8(a)および図9(b)に示したように、複数の可動ブロック32は、インク保持部30をホルダ31の開口34から突出させるためのものである。可動ブロック32はまた、押圧ブロック33を囲むように配置されており、押圧ブロック33とともに採血管用スタンプ3によりキャップ20の上面21に印を施すときに、キャップ20の中心部22に接触させるためのものである。複数の可動ブロック32は、それぞれ独立してホルダ31に対して上下方向(AB方向)に移動可能とされており、位置調整ホルダ37に対してコイルバネ38を介して接続されている。
【0050】
図8(b)に示したように、位置調整ホルダ37は、複数の可動ブロック32および押圧ブロック33の高さ位置を調整するためのものである。この位置調整ホルダ37は、たとえば回転させることにより上下し、あるいは公知の係合手段により上下方向にピッチ送り可能とされている。ただし、採血管用スタンプ3によりキャップ20に印を施す際には、位置調整ホルダ37はホルダ31との相対位置が固定され、ホルダ31に対して相対移動せずにホルダ31とともに移動する。
【0051】
図6および図9(a)に示したように、押圧ブロック33は、採血管用スタンプ3によりキャップ20の上面21に印を施すときに、キャップ20の中心部22に接触させるためのものである。すなわち、押圧ブロック33は、採血管用スタンプ3をキャップ20に位置合わせするときに利用されるものであるとともに、開口34から突出させたインク保持部30の印面30Aに負荷が集中するのを抑制するためのものである。この押圧ブロック33は、コイルバネ39を介して位置調整ホルダ37に接続されている
【0052】
もちろん、可動ブロック32や押圧ブロック33とホルダ31とを接続する手段は、コイルバネ38,39には限定されず、コイルバネ以外の形態のバネ、ゴムなどの他の弾性体を用いてもよい。
【0053】
次に、採血管用スタンプ3の使用方法を説明する。
【0054】
図9(a)に示したように、採血管用スタンプ3を用いて採血管2のキャップ20に印を施す場合、複数の可動ブロック32および押圧ブロック33をキャップ20と位置合わせする。この状態において、ホルダ31に対して下方(B方向)に向けた負荷を作用させる。これにより、複数の可動ブロック32および押圧ブロック33がキャップ20の中心部22に干渉する。これに対して、ホルダ31および位置調整ホルダ37は、コイルバネ38,39を圧縮させつつ複数の可動ブロック32および押圧ブロック33に対して相対的に下方(B方向)に移動する。
【0055】
ホルダ31が可動ブロック32に対して相対的に下動した場合、可動ブロック32はホルダ31に対して相対的に上動したことになる。そのため、可動ブロック32に連動するインク保持部30は、ホルダ31に対して相対的に下方(B方向)に移動し、開閉蓋35を押しのけてホルダ31の開口34を介して突出する。その結果、インク保持部30の印面30Aがキャップ20の上面21を押圧し、キャップ20の上面21には、インク保持部30の印面30Aの形状に倣ってインクが付着する。図9(b)に示したようにインクの付着により、キャップ20の上面には4つの円弧状の印Mが施される。これらの円弧状の印Mは、キャップ20の上面21における中心部22を避けたものとなっている。したがって、採血管用スタンプ3を使用してキャップ20に印Mを施せば、採血針や検体吸引用ノズルの汚れあるいは検体へのインクの混入を抑制することができるため、測定誤差や測定エラーの発生を抑制することができる。
【0056】
一方、図10(a)に示したように、キャップ20の中心部22に対する可動ブロック32の位置合わせに失敗し、可動ブロック32のうちの一部がキャップ20の中心部22からずれた場合を想定してみる。押圧ブロック33を囲むように複数の可動ブロック32を配置した構成では、多少の位置ずれが生じても、一部の可動ブロック32はキャップ20の中心部22に接触してホルダ31に対して上動させられる。そのため、複数のインク保持部30の一部は、印面30Aがキャップ20の上面21に接触させられる。したがって、図10(b)に示したように、採血管用スタンプ3では、キャップ20の中心部22に対する可動ブロック(採血管用スタンプ3)の位置合わせに多少の問題があったとしても、キャップ20の上面21に対して印Mを施すことができる。この印Mもまた、キャップ20の上面21における中心部22を避けたものとなっている。
【0057】
上述の例では、キャップ20の上面21における中心部22が凸状に形成されていたが、採血管用スタンプ3は、図11(a)に示したようにキャップ20の上面21の中心部22が窪んだ採血管2であっても適用することができる。この場合、採血管用スタンプ3をキャップ20の中心部22が凸状に形成されたものに適用するときのままでは、キャップ20の中心部(凹部の内面)22に可動ブロック32および押圧ブロック33を十分に接触させることができない恐れがある。そのため、位置調整ホルダ37をホルダ31に対して下方(B方向)に位置変位させて可動ブロック32および押圧ブロック33をホルダ31に対して位置変位させ、ホルダ31に位置調整ホルダ37を固定する。これにより、ホルダ31からの可動ブロック32および押圧ブロック33の突出距離が大きな状態で、これらのブロック32,33をホルダ31に固定することができる。その結果、キャップ20の中心部22が凹状の採血管2であっても、図11(b)に示したようにキャップ20の中心部(凹部の内面)22に可動ブロック32を接触させさることが可能となって、インク保持部30の印面30Aをキャップ20の上面21に接触させることができる。このような中心部22が凹んだキャップ20においても、可動ブロック32の位置合わせが多少不十分であっても、複数の可動ブロック32のうちの一部をキャップ20の中心部22に接触させることができるため、印Mをキャップ20の上面21に施すことができる(図10(b)参照)。
【0058】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る採血管用スタンプについて、図12ないし図15を参照して説明する。これらの図では、採血管2として、採血管2のキャップ20の中心部は、採血針や分析装置における検体吸引用のノズルが挿入される凸状に形成されている場合を例にとって説明する。
【0059】
図12および図13に示した採血管用スタンプ4は、複数(図では4つ)の操作部40、複数のインク保持部41およびホルダ42を備えている。
【0060】
複数の操作部40は、インク保持部41を支持しているとともに、それぞれが独立してホルダ42に対して相対動可能とされている。操作部40の下方には、コイルバネ43が配置されている。コイルバネ43は、操作部40を上方に向けて付勢するものであり、インク保持部41を囲むように配置されている。
【0061】
もちろん、操作部40を上方に向けて付勢する手段は、コイルバネ43には限定されず、コイルバネ以外の形態のバネ、ゴムなどの他の弾性体を用いてもよい。
【0062】
インク保持部41は、横断面が一様な円弧状の形態を有している。インク保持部41の横断面の曲率半径は、キャップ20の中心部22の径よりも大きく設定されており、キャップ20をホルダ42で覆った状態において、一対のインク保持部41によってキャップ20の中心部22を囲むように配置されている。
【0063】
インク保持部41は、操作部40とともに上下方向(AB方向)に移動可能なものである。すなわち、インク保持部41は、操作部40に負荷が作用していない状態ではホルダ42の完全に収容されている一方で、操作部40に対して下方(B方向)に向けた負荷が作用したときにホルダ42の開口44を介して突出することが可能となっている。開口44は、開閉蓋45によって開閉可能とされている。
【0064】
開閉蓋45は、バネなどの弾性部材(図示略)によって上方(A方向)に向けて付勢されており、通常時には開口44を塞いでいる。その一方で、開閉蓋45は、インク保持部41を下方(B方向)に向けて移動させたときに、インク保持部41の端部48によって押圧されて回動し、開口44を開放する。このような開閉蓋45を設けることにより、インク保持部41のインクが不用意に蒸発してしまうことを抑制することができる。
【0065】
ホルダ42にはさらに、コイルバネ46を介して押圧ブロック47が接続されている。この押圧ブロック47は、採血管用スタンプ4によりキャップ20の上面21に印を施すときに、キャップ20の中心部22に接触させるためのものである。すなわち、押圧ブロック47は、採血管用スタンプ4をキャップ20に位置合わせするときに利用されるものであるとともに、開口44から突出させたインク保持部41の印面49に負荷が集中するのを抑制するためのものである。
【0066】
もちろん、押圧ブロック47とホルダ42とを接続する手段は、コイルバネ46には限定されず、コイルバネ以外の形態のバネ、ゴムなどの他の弾性体を用いてもよい。
【0067】
次に、採血管用スタンプ4の使用方法を説明する。
【0068】
まず、図14(a)に示したように、目的とするインク保持部41を支持する操作部40を下方(B方向)に向けて押圧する。操作部40を下方(B方向)に向けて移動させた場合には、コイルバネ43を圧縮しつつ操作部40とともにインク保持部41が下方(B方向)に向けて移動する。これにより、インク保持部41の端部48が開閉蓋45を押しのけ、ホルダ42の開口44からインク保持部41が突出する。
【0069】
次いで、図14(b)に示したように、押圧ブロック47をキャップ20の中心部22に位置合わせしつつ、開口44から突出したインク保持部41の印面49をキャップ20の上面21に接触させる。これにより、インク保持部41のインクが印面49を介してキャップ20の上面21に付着させられる。
【0070】
一方、操作部40に対する負荷を解除した場合には、コイルバネ43の弾発力により操作部40およびインク保持部41が上方(A方向)に移動して元の位置に復帰する。これと同時に、開閉蓋45の元の位置に復帰し、開口44が開閉蓋45で閉じられる。
【0071】
このようにして、押圧ブロック47をキャップ20の中心部22に位置合わせするようにすれば、押圧ブロック47がキャップ20の中心部22に接触する。そのため、採血管用スタンプ4では、キャップ20の中心部22にインク保持部41の印面49が接触するのを抑制することができるとともに、印面49を程度な力でキャップ20の上面に押し付けることができる。
【0072】
また、ホルダ42の開口から突出させるべきインク保持部41を選択することにより、図15(a)ないし図15(d)に示したようにキャップ2の上面21に、中心部22を避けて様々なパターンの印Mを施すことができる。
【0073】
採血管用スタンプ4ではさらに、複数のインク保持部41のそれぞれに、互いに異なる色のインクを保持させれば、印Mの色により検体の種類などを区別することも可能となり、また印Mの色と印Mのパターンを組み合わせることにより、さらに多数の種類の情報を区別することが可能となる。
【0074】
以上の実施の形態では、キャップの中心部が凸状に形成された採血管を例にとって説明したが、採血用スタンプ1はキャップの中止部が凹状に形成された採血管についても適用することができる。
【0075】
本発明は、上述した実施の形態には限定されず、種々に変更可能である。たとえば、キャップに形成する印は円弧状に限らず、直線状などの他の形態であってもよい。
【0076】
インク保持部は、必ずしも複数設ける必要はなく、用途に応じて1つであってもよい。この場合、インク保持部の印面は、円弧状、直線状、環状あるいはその他の形状であってもよい。
【0077】
採血管における採血針を挿入する針挿入部分がキャップの上面における中心部でない場合には、針挿入部分を避けて印を施せるように採血管用スタンプを構成すればよく、必ずしもキャップの上面における中心部を避けて印を施すように採血管用スタンプを構成必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る採血管用スタンプの全体斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1に示した採血管用スタンプを底面側から見た斜視図である。
【図4】図4(a)ないし図4(c)は、図1に示した採血管用スタンプの使用方法を説明するための断面図である。
【図5】図1に示した採血管用スタンプを用いてキャップに印を施した採血管の要部の斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る採血管用スタンプの縦断面図である。
【図7】図6に示した採血管用スタンプの横断面図である。
【図8】図8(a)および図8(b)は、図6に示した採血管用スタンプにおける各部の動作を説明するための図6に相当する断面図である。
【図9】図9(a)は位置ずれのない状態で採血管に印を施した場合の動作を説明するための断面図であり、図9(b)は位置ずれのない状態で印を施したキャップの上面図である。
【図10】図10(a)は位置ずれした状態で採血管に印を施した場合の動作を説明するための断面図であり、図10(b)は位置ずれした状態で印を施したキャップの上面図である。
【図11】図11(a)は他の形態の採血管のキャップに位置ずれのない状態で印を施した場合の動作を説明するための断面図であり、図11(b)は他の形態の採血管のキャップに位置ずれした状態で印を施した場合の動作を説明するための断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る採血管用スタンプを示す全体斜視図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】図14(a)および図14(b)は、図12に示した採血管用スタンプの動作を説明するための断面図である。
【図15】図15(a)ないし図15(d)は、図12に示した採血管用スタンプを用いて印を形成したキャップの上面図である。
【図16】採血管のキャップにマジックなどの筆記具を用いて印を施した状態の例を説明するための採血管の要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
1,3,4 採血管用スタンプ
10,30,41 インク保持部
14,30A,49 (インク保持部の)印面
11,31,42 ホルダ
12,40 操作部
15 (ホルダの)下側端部(ガイド)
2 採血管
20 (採血管の)キャップ
21 (キャップの)上面
22 (キャップの)中心部
32 可動ブロック(可動体)
33 押圧ブロック(押圧体)
39,46 コイルバネ(弾性体)
34 開口
35 開閉蓋
M 印
【特許請求の範囲】
【請求項1】
採血管におけるキャップの上面に印を施すための採血管用スタンプであって、
上記キャップに接触させるための印面を有しているとともに、インクを保持した1または複数のインク保持部と、
上記インク保持部を収容したホルダと、
を備えていることを特徴とする、採血管用スタンプ。
【請求項2】
上記インク保持部は、上記上面における中心部の周辺領域に上記印面を接触させるように形成されている、請求項1に記載の採血管用スタンプ。
【請求項3】
上記インク保持部は、上記上面における採血針を挿入する針挿入部の周辺領域に上記印面を接触させるように形成されている、請求項1に記載の採血管用スタンプ。
【請求項4】
上記印面は、円弧状に形成されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の採血管用スタンプ。
【請求項5】
上記インク保持部を上記ホルダに対して相対移動させるための1または複数の操作部をさらに備えている、請求項1ないし4のいずれかに記載の採血管用スタンプ。
【請求項6】
上記操作部は、上記ホルダの少なくとも一部を外套し、かつ上記インク保持部に接続されている、請求項5に記載の採血管用スタンプ。
【請求項7】
上記複数の操作部は、上記インク保持部を支持しているとともに、それぞれ独立して上記ホルダに対して相対動可能とされている、請求項5に記載の採血管用スタンプ。
【請求項8】
上記ホルダに対して上下方向に相対動可能であり、かつ上記キャップに接触させられる複数の可動体を備えており、
上記複数のインク保持部のそれぞれは、対応する可動体が上記ホルダに対して相対的に上方に移動したときに上記ホルダに対して相対的に下方に移動するように構成されている、請求項1ないし7のいずれかに記載の採血管用スタンプ。
【請求項9】
上記複数のインク保持部のそれぞれは、上記複数の可動体のうちの最も離間した位置にある可動体の移動に連動して移動するように構成されている、請求項8に記載の採血管用スタンプ。
【請求項10】
上記複数の可動体は、上記ホルダに対する相対位置が調整可能とされている、請求項8または9に記載の採血管用スタンプ。
【請求項11】
上記ホルダに連結され、かつ上記キャップの上面を押圧するための押圧体をさらに備えている、請求項1ないし10のいずれかに記載の採血管用スタンプ。
【請求項12】
上記押圧体は、弾性体を介して上記ホルダに連結されている、請求項11に記載の採血管用スタンプ。
【請求項13】
上記ホルダは、上記キャップを覆うためのガイドを有している、請求項1ないし12のいずれかに記載の採血管用スタンプ。
【請求項14】
上記ガイドは、下方に向うほど拡径するテーパ状である、請求項13に記載の採血管用スタンプ。
【請求項15】
上記ホルダは、上記インク保持部を突出させるための開口と、上記開口から上記インク保持部が突出していない状態において上記開口を塞ぐ開閉蓋を有している、請求項1ないし14のいずれかに記載の採血管用スタンプ。
【請求項1】
採血管におけるキャップの上面に印を施すための採血管用スタンプであって、
上記キャップに接触させるための印面を有しているとともに、インクを保持した1または複数のインク保持部と、
上記インク保持部を収容したホルダと、
を備えていることを特徴とする、採血管用スタンプ。
【請求項2】
上記インク保持部は、上記上面における中心部の周辺領域に上記印面を接触させるように形成されている、請求項1に記載の採血管用スタンプ。
【請求項3】
上記インク保持部は、上記上面における採血針を挿入する針挿入部の周辺領域に上記印面を接触させるように形成されている、請求項1に記載の採血管用スタンプ。
【請求項4】
上記印面は、円弧状に形成されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の採血管用スタンプ。
【請求項5】
上記インク保持部を上記ホルダに対して相対移動させるための1または複数の操作部をさらに備えている、請求項1ないし4のいずれかに記載の採血管用スタンプ。
【請求項6】
上記操作部は、上記ホルダの少なくとも一部を外套し、かつ上記インク保持部に接続されている、請求項5に記載の採血管用スタンプ。
【請求項7】
上記複数の操作部は、上記インク保持部を支持しているとともに、それぞれ独立して上記ホルダに対して相対動可能とされている、請求項5に記載の採血管用スタンプ。
【請求項8】
上記ホルダに対して上下方向に相対動可能であり、かつ上記キャップに接触させられる複数の可動体を備えており、
上記複数のインク保持部のそれぞれは、対応する可動体が上記ホルダに対して相対的に上方に移動したときに上記ホルダに対して相対的に下方に移動するように構成されている、請求項1ないし7のいずれかに記載の採血管用スタンプ。
【請求項9】
上記複数のインク保持部のそれぞれは、上記複数の可動体のうちの最も離間した位置にある可動体の移動に連動して移動するように構成されている、請求項8に記載の採血管用スタンプ。
【請求項10】
上記複数の可動体は、上記ホルダに対する相対位置が調整可能とされている、請求項8または9に記載の採血管用スタンプ。
【請求項11】
上記ホルダに連結され、かつ上記キャップの上面を押圧するための押圧体をさらに備えている、請求項1ないし10のいずれかに記載の採血管用スタンプ。
【請求項12】
上記押圧体は、弾性体を介して上記ホルダに連結されている、請求項11に記載の採血管用スタンプ。
【請求項13】
上記ホルダは、上記キャップを覆うためのガイドを有している、請求項1ないし12のいずれかに記載の採血管用スタンプ。
【請求項14】
上記ガイドは、下方に向うほど拡径するテーパ状である、請求項13に記載の採血管用スタンプ。
【請求項15】
上記ホルダは、上記インク保持部を突出させるための開口と、上記開口から上記インク保持部が突出していない状態において上記開口を塞ぐ開閉蓋を有している、請求項1ないし14のいずれかに記載の採血管用スタンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−286056(P2009−286056A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143074(P2008−143074)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
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