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探傷装置および探傷方法
説明

探傷装置および探傷方法

【課題】 ケーブル内に充填された注入材の損傷を簡単かつ短時間で検出できる装置を提供する。
【解決手段】 この装置は、ケーブル11が通される通路を有するフレーム部材21と、その通路を通されたケーブル11の外表面に当接して、フレーム部材21をケーブル11に支持し、ケーブル11の長さ方向へ移動させることが可能な走行支持手段22と、フレーム部材21の一端に複数の棒状部材23を介して連結され、ケーブル11が挿通されるリング部材24と、リング部材24に振動を与えて、ケーブル11に衝突させ、音を発生させる振動発生手段25と、発生した音を音波として検出する音波検出手段26と、損傷箇所がない注入材の波形データを記憶する記憶手段と、その波形データから得られる波形と、検査時に音波検出手段26で検出された音波の波形とを、損傷箇所の有無を判定するために表示させる表示手段とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼線を保護管で被覆し、その鋼線の防錆を目的として保護管内に注入材を注入することにより製造されたケーブルの該注入材の損傷を探索するための自走式の探傷装置およびその装置を用いて行う探傷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルは、多数の金属線を寄り合わせて作成した太く、丈夫な縄状のものである。このケーブルには、電導性の高い銅線を寄り合わせて作成した送電用のケーブル、低損失で長距離伝送が可能な光ファイバーを寄り合わせて作成した通信用の光ファイバケーブル、物を吊り下げるために鋼線を寄り合わせて作成した吊り下げ用のケーブル等がある。吊り下げ用のケーブルは、工事現場において、クレーンで重い建材を移動する際、また、斜張橋や吊り橋において、橋桁を支える部材として使用されている。
【0003】
斜張橋は、主塔から真っ直ぐに張られているケーブルが直接橋桁を支え、吊り橋は、主塔間に撓むようにケーブルが設けられ、そのケーブルにぶら下がるハンガーロープにより橋桁を支える構造とされている。これらの橋は、橋の両端の距離が200mを超す場合に選択されることが多い橋である。
【0004】
図1(a)および(b)を参照して、これらの橋の構造について簡単に説明する。斜張橋は、図1(a)に示すように、川や海の底に基礎が構築され、その基礎上に、鋼や鉄筋コンクリート(RC)により主塔10が構築され、この主塔10から斜め方向へ張られたケーブル11により主桁12を直接支える構造とされている。主塔10は、2本であることが多いが、1本や3本以上とされる場合もある。この主塔10には、圧縮力のみが作用する。
【0005】
ケーブル11は、主塔10と主桁12を繋ぎ、主桁12を支える。このケーブル11は、主塔10を挟んで左右に張られ、左右にかかる力のバランスをとり、また、本数を多くすることにより、ケーブル一本あたりに作用する力を小さくしている。主桁12は、人や車が通行する部分である。
【0006】
吊り橋は、図1(b)に示すように、川や海の底に基礎が構築され、その基礎上に、鋼や鉄筋コンクリートにより主塔13が構築され、橋の両岸にはアンカーレッジ14と呼ばれる土台が構築され、メインケーブル15が、主塔13とアンカーレッジ14との間、主塔13間に張られ、そのメインケーブル15から垂らされるハンガーロープ16により橋桁17を支える構造とされている。
【0007】
主塔13は、メインケーブル15を支える塔で、両岸から全長の約1/4の位置に2本設けられる。アンカーレッジ14は、橋の両端にあり、メインケーブル15を繋ぎ止める碇の役割を果たすものである。メインケーブル15は、主塔13に架けられ、鋼製のワイヤが用いられる。ハンガーロープ16は、メインケーブル15から鉛直に垂らされ、橋桁17を支えるもので、その位置により長さが異なり、撚ったワイヤロープが用いられる。橋桁17は、道路や鉄道が設けられ、人や車両等が通行する部分である。
【0008】
これらの橋に用いられるケーブル11や、メインケーブル15およびハンガーロープ16の損傷は、主桁12や、橋桁17が落下するという危険性があることから、定期的な点検が必要とされている。
【0009】
従来、ケーブルの損傷箇所を探すための方法として、主塔の塔頂にロープをセットし、その塔頂から降下し、ケーブルまで到達したところで、滑車をケーブルに取り付け、ハーネスと繋ぎ、この滑車を利用してケーブルに沿って安全かつスムーズに下降し、ケーブルの劣化を近接目視、直接観察する方法が採用されている。
【0010】
また、クレーンが届く位置では、クレーンを使用し、クレーンの先に設けられたバケットに作業員が乗り、それをケーブルに接近させ、そのバケットから目視により損傷箇所を探す方法や、クレーンが届かない位置については、地上あるいは主塔頂上部等から望遠鏡で遠望目視により損傷箇所を探す方法も採用されている。
【0011】
しかしながら、クレーンによる作業は、通行止めにする必要があり、クレーンの移動および設置が必要であるため、点検に時間がかかり、コストもかかる。また、高所作業であるため、安全性にも問題がある。遠望目視による点検は、激しい劣化しか検出することができず、その激しい劣化を検出した場合でも、その位置を正確に特定することができない。また、これらの方法では、劣化状況を写真等により記録することができず、ケーブルの周りを一周にわたって点検することができない場合があり、さらには、主塔頂上部からの点検は安全性に問題があった。
【0012】
ここで、吊り下げ用のケーブルではないが、地上から昇降器によりケーブル外被観測装置を空中に配線された架空ケーブルに乗せ、地上から制御手段による遠隔操作で架空ケーブル上を移動させながら、カメラで架空ケーブルの所望箇所の外観を撮影しつつ、その外観映像を表示手段に表示させ、架空ケーブルの外被状態を検査するケーブル外被観測装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このように、遠隔操作により架空ケーブルの外観を撮影し、映像として検査することにより、架空ケーブル下の環境に影響をされず、安全かつ連続的に架空ケーブルの外被状態を検査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平7−260453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、斜張橋や吊り橋等のケーブルも、上記の架空ケーブルのように、遠隔操作により、ケーブルの外観を撮影し、映像として検査することで、劣化状況を写真等により記録することができ、作業員の安全性も確保することができる。
【0015】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、遠隔操作によりケーブルの外観を撮影し、映像により検査を行うにしても、カメラの視線をケーブルに対して三次元的に移動させるカメラ支持部およびアームおよびモータからなるカメラ移動部、カメラ移動部をケーブルに沿って移動させる駆動部、それらをケーブルに乗せる昇降器を備える必要があることから、安価で提供することはできず、その移動にも時間がかかり、ケーブルの周りを一周にわたって点検することは難しいという問題があった。また、このような大掛かりなアームを使用した撮影装置では、その撮影位置を簡単に制御することができないという問題もあった。
【0016】
ところで、斜張橋や吊り橋等で使用されるケーブルには、複数本の鋼線の外周を保護管で取り囲み、鋼線の防錆を目的としてグラウトを保護管内へ注入したPC(Prestressed Concrete)鋼線が用いられている。このPC鋼線におけるグラウトの変状や亀裂は、ケーブルの耐久性を損なうことから、点検の際、外表面の保護管のみならず、こういったグラウトの損傷も調査しなければならない。しかしながら、上記の特許文献1に記載の方法では、保護管内部のグラウトの損傷を見つけることはできない。
【0017】
そこで、このPC鋼線のグラウトの損傷を簡単に見つけることができ、その損傷状況や位置を特定することができ、大がかりな装置ではなく、簡易で安価に提供することができる装置の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、鋼線を被覆する保護管内に注入材が充填されたケーブルの該注入材の損傷を探索するための探傷装置が提供される。この探傷装置は、作業員の安全性を確保するために、そのケーブルが通される通路を有するフレーム部材と、そのフレーム部材の長手方向の両端に形成され通路に連続する開口の中心に向けて該フレーム部材から突出するように設けられ、通路を通されたケーブルの外表面に当接して、フレーム部材をケーブルに支持するとともに、フレーム部材をケーブルの長さ方向へ移動させることが可能な走行支持手段とを備える自走式の構成とされる。
【0019】
また、打音検査を行うべく、フレーム部材の一端に上記長さ方向に延びる複数の棒状部材を介して連結され、内部にケーブルが挿通されるリング部材と、リング部材に取り付けられ、リング部材に振動を与えて、リング部材をケーブルに衝突させることにより音を発生させる振動発生手段と、リング部材に取り付けられ、発生した音を音波として検出する音波検出手段と、損傷箇所がない注入材を有するケーブルにおいて、予め音波検出手段により検出された音波の波形データを記憶する記憶手段と、その記憶手段から読み出した波形データから得られる波形と、検査時に音波検出手段で検出された音波の波形とを、損傷箇所の有無を判定するために表示させる表示手段とを含む構成とされる。
【0020】
ケーブルを初めて使用し、緊張させたとき、あるいは補修後に再度緊張させたときに検出した音波の波形を波形データとして取得し記録しておき、その記録された音波の波形と、検査時に上記各手段によって打音検査を行い、得られた音波の波形とを表示させることにより、両波形の周波数や振幅等が近似しているかどうかにより判定することができる。この初めて緊張させたとき、あるいは再度緊張させたときのケーブルは、まだ損傷がない状態であるので、その波形データは、健全なケーブルの波形データであり、このデータの波形と近似すれば、損傷のない健全なケーブルと判定することができる。これに対し、近似しない場合は、何らかの損傷により異なる波形に変化したと考えることができるので、損傷が発生していると判定することができる。
【0021】
探傷装置は、波形を周波数成分ごとに分解してスペクトルを生成し、該スペクトルを表示手段に表示させる解析手段をさらに備えることができる。表示手段が表示した2つのスペクトルの各周波数成分を比較して、損傷の種類や程度といった損傷状況およびその位置を特定することができる。
【0022】
フレーム部材は、ケーブルを中心として探傷装置が回転しないように錘としての姿勢保持部材を備えることが望ましい。このように装置が回転しないように姿勢保持部材で固定した上で、振動発生手段は、リング部材を振動させる方向を、上下や左右等に変えることにより、ケーブルの周方向における複数の箇所にリング部材を衝突させ、音を発生させることができる。これにより、ケーブルの長さ方向の1箇所だけではなく、その周方向に複数箇所にわたって打音検査することができ、より詳細に損傷の有無、損傷状況やその位置の特定といった検査を行うことができる。
【0023】
位置の特定は、後の補修工事において重要である。検査時に音波によって損傷の位置を特定することができても、後の補修工事において正確にその位置を特定することは難しく、時間を要する作業となる。そこで、ローラにエンコーダといったローラの回転数を計測し、その位置までの距離を算出するための距離計測手段をさらに備えることが好ましい。計測された距離は、距離情報として波形データとともに記録され、後の工事における損傷の位置の特定の際に利用することができる。
【0024】
走行支持手段は、フレーム部材の開口が形成された各端部に設けられ、開口の中心に向けて突出する少なくとも3つのローラ支持部と、各ローラ支持部により回転可能に支持され、ケーブルの外表面と当接する少なくとも3つのローラと、少なくとも1つのローラを回転させる動力手段とを備える構成とされる。
【0025】
フレーム部材は、ケーブルへ取り付けるために2つに分離可能とされ、それらを連結するためのジョイントを用いて連結することができる。このフレーム部材は、断面が矩形の角管と、角管同士を連結するための、角管と嵌合する嵌合部を備えるジョイントを用いて構成することができる。同様に、リング部材も、ケーブルへ取り付けるために2つに分離可能とされ、それらを連結するためのジョイント等を用いて連結される構成とすることができる。
【0026】
この探傷装置は、上記のフレーム部材と走行支持手段とリング部材と振動発生手段と音波検出手段と必要に応じて設けられる姿勢保持部材とを備える装置本体と、上記の記憶手段と表示手段とを備える情報処理装置とから構成することができる。この場合、装置本体と情報処理装置とは離間して設置されるため、装置本体は、情報処理装置から無線通信により信号を受信し、その信号に応答して、音波検出手段により検出された音波の波形データを情報処理装置へ送信し、また、動力手段へローラを回転もしくは停止させる信号を出力する制御手段をさらに備えることができる。
【0027】
ケーブルの外表面に砂埃等が付着していると、発生する音が変化し、健全であっても、健全な波形を示さない場合があることから、フレーム部材には、ケーブルが挿通可能な穴を有し、穴の中心へ向けて突出するように設けられ、ケーブルの外表面を清掃するためのブラシを備えるカバーを設けることが好ましい。
【0028】
また、探傷装置は、故障時や、そのケーブルの検査終了時に、この装置を引っ張り、回収するために、フレーム部材に連結されるワイヤをさらに備えることができる。
【0029】
本発明では、上記の探傷装置のほか、その探傷装置により行われる探傷方法も提供することができる。この方法は、探傷装置をケーブルに取り付けるために、探傷装置の両端に形成される開口と該開口に連続する通路を有するフレーム部材および該フレーム部材の一端に前記ケーブルの長さ方向に延びる複数の棒状部材を介して連結されるリング部材を、ケーブルが通路およびリング部材の内部を通るように取り付け、開口の中心に向けてフレーム部材から突出するように設けられる走行支持手段を、通路を通されたケーブルの外表面に当接させ、フレーム部材をケーブルに支持させるステップを含む。
【0030】
そして、打音検査を行うために、リング部材に、該リング部材に取り付けられる振動発生手段により振動を与えて、該リング部材をケーブルに衝突させることにより音を発生させるステップと、リング部材に取り付けられる音波検出手段により音を音波として検出するステップと、損傷箇所がない注入材を有するケーブルにおいて、予め音波検出手段により検出された音波の波形データを記憶する記憶手段から読み出した該波形データから得られる波形と、検査時に音波検出手段で検出された音波の波形とを、損傷箇所の有無を判定するために表示させるステップとを含む。
【0031】
また、この探傷方法は、ケーブルの最後まで振動を検出したかを判断するステップと、最後まで検出していないと判断した場合に、走行支持手段によりケーブルの長さ方向へフレーム部材を一定距離移動させるステップとを含み、一定距離移動させた後、上記音を発生させるステップと、音波を検出するステップと、判定するステップとを実行させ、その後、判断するステップで判断を行い、最後まで検出したと判断されるまで、これらの処理を繰り返す。
【発明の効果】
【0032】
本発明の探傷装置および探傷方法を提供することにより、ケーブルの保護管内に充填され硬化された注入材の損傷を検査することができ、また、視認ではなく音波の波形の違いにより判断することができるため、微細な損傷も発見することができる。また、作業員が離れた場所で損傷状況やその位置を特定することができるため、安全性を向上させることができる。
【0033】
この探傷装置は、小型の装置であり、それを支持するためのアームや昇降器等が不要で、それを移動させるための車両も不要であるため、作業の間、車両を通行止めにする必要がなくなる。また、アームや昇降器、車両が不要であるため、安価で提供することができ、安価に検査を行うことができる。
【0034】
また、この探傷装置は、その波形データを電子データとして保存することができ、これにより、再度確認することができ、適切な対策に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】斜張橋および吊り橋の構成例を示した図。
【図2】本発明の探傷装置の構成例を示した図。
【図3】探傷装置の別の構成例を示した図。
【図4】探傷装置に用いられるカバーの一例を示した図。
【図5】本発明の探傷方法の1つの流れを示したフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図2は、本発明の探傷装置の1つの構成例を示した図である。この探傷装置は、ケーブルの損傷を探索するための自走式の探傷ロボット装置である。
【0037】
この探傷装置を適用して検査されるケーブルは、斜張橋や吊り橋といった吊り下げ用のケーブルであり、複数本を寄り合わせて作製された鋼線の周囲を保護管で覆い、鋼線の防錆を目的としてその保護管内に注入材(グラウト)が充填されてなるPC鋼線である。この探傷装置は、このPC鋼線の保護管内に充填され硬化したグラウトの損傷を探索し、損傷がある場合には、その位置や損傷状況を特定することを目的とした装置である。
【0038】
このPC鋼線は、図1に示した斜張橋の主桁12を支えるために主塔10から斜め方向へまっすぐに張られるケーブル11、吊り橋の橋桁17を支えるために主塔13間に張られるメインケーブル15およびメインケーブル15と橋桁17とを繋ぐハンガーロープ16として採用される。
【0039】
以下、本発明の探傷装置を、図1(a)に示す斜張橋のケーブル11の保護管内のグラウトの損傷を探索するための探傷装置として詳細に説明する。この探傷装置は、ケーブル11が通される通路を有するフレーム部材21と、そのフレーム部材21の長手方向の両端に形成され、その通路に連続する開口20の中心に向けてフレーム部材21から突出するように設けられ、その通路を通されたケーブル11の外表面に当接して、フレーム部材21をケーブル11に支持するとともに、フレーム部材21をケーブル11の長さ方向へ移動させることが可能な走行支持手段22とを含んで構成される。
【0040】
また、この装置は、フレーム部材21の一端に、ケーブル11の長さ方向と平行に延びる複数の棒状部材23を介して連結され、内部にケーブル11が挿通されるリング部材24と、そのリング部材24に取り付けられ、リング部材24に振動を与えて、リング部材24をケーブル11に衝突させることにより、音を発生させる振動発生手段25と、リング部材24に取り付けられ、発生した音を音波として検出する音波検出手段26とをさらに含んで構成される。
【0041】
さらに、この装置は、図示しない記憶手段および表示手段を含んで構成される。この記憶手段には、損傷箇所がない注入材を有するケーブルにおいて、予め音波検出手段26により検出された音波の波形データを記憶する。表示手段は、記憶手段から読み出した波形データから得られる波形と、検査時に音波検出手段26で検出された音波の波形とを、損傷箇所の有無を判定するために表示させる。
【0042】
フレーム部材21は、図2に示すようなアルミニウム製の角管を用いて2つのリングを形成し、それら2つのリングを複数の棒部材により連結して円筒状のものを作り、各リングにつき2箇所切断して2つの部材に分離した後、切断された角管に形成された開口部に嵌合される嵌合部が一定曲率を有するように円弧状に2方向に延びる図示しない二方向ジョイントにより、これら2つの部材を連結して形成される。角管は、断面矩形で中空とされていて、ジョイントは、先端に行くにつれてわずかにテーパが形成されていて、押し込まれることにより断面の大きい末端が角管の内面に強く密着して、強い締結力を生じさせるものとされる。
【0043】
図2に示す実施形態では、複数の棒部材の長さ方向の両端が、各リングに溶接する等して連結されており、隣り合う棒状部材間が一定曲率で円弧状に曲げられた板により、内部のケーブル11が覆われている。フレーム部材21は、これに限られるものではなく、一定の長さの角管を8本と、それより長い角管を4本用い、3方向に互いに垂直に延びる三方向ジョイントを8つ用いて連結し、角柱状のフレーム部材を作ることも可能である。
【0044】
この場合も、フレーム部材の下側に配置される4本の角管を、所定の切断部で2つに切断し、それらを2方向に延びる二方向ジョイントを用いて連結するように構成される。このときの二方向ジョイントは、180°異なる方向へ嵌合部が延びるものとされる。このジョイントを取り外し、連結を解除することにより、フレーム部材を2つに分離することができ、フレーム部材内へ入れ、再びそのジョイントにより連結することで、ケーブル11が通路を通るように、ケーブル11にフレーム部材を取り付けることができる。
【0045】
フレーム部材21に設けられるケーブル11を覆う板は、角管と同じアルミニウム製の板を用いることができるが、プラスチック樹脂の板や木板等を用いることも可能である。プラスチック樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)等を用いることができ、内部の様子を望遠鏡等により視認することができるように、透明な板とすることも可能である。透明な板としては、強度を考慮して、アクリル板を採用することができる。これらの板は、同じアルミニウム製の板であれば溶接により、プラスチック樹脂の板や木板であれば接着剤やドリルねじ等を使用して接着、連結することができる。
【0046】
上記のように角管を用いなくても、4枚の矩形の板や、一定曲率を有する4枚の板を用い、それらを接合して中空の角柱状あるいは中空の円筒状に形成したものをフレーム部材21として用いることも可能である。このように角柱状あるいは円筒状に形成されたフレーム部材21は、一方の開口から内部を通して他方の開口へと連続する穴を形成し、その穴がケーブル11を通すための通路とされる。この場合も、ケーブル11を内部へ入れる必要があることから、下側に接合される板を2つに切断し、その2つを連結手段により連結するように構成される。ここで使用される連結手段としては、これまでに知られたいかなる手段でも用いることができ、例えば、上記のような2方向に嵌合部が延びるジョイントを複数用いて連結することができる。
【0047】
走行支持手段22は、これに限られるものではないが、フレーム部材21の長手方向の両端に形成されたリングの開口20の中心に向けて、それらリングの内周面から突出するように4つずつ設けられたローラ支持部27と、各ローラ支持部27により回転可能に支持され、ケーブル11の外表面と当接する、ローラ支持部27と同じ数のローラ28と、1つのローラ28を回転させる動力手段としてのモータ29とを含んで構成される。
【0048】
ローラ支持部27は、フレーム部材21から開口20の中心に向けて突出するように互いに離間して設けられ、その先端にローラ28の回転軸が挿入可能な凹部または孔が形成された2本のアームから構成される。これらのアームは、伸縮可能とし、ケーブルの径に合わせて調整することができるようにされていてもよい。ローラ28は、回転軸と、その回転軸を中心として、それに周設される円筒形の接触部とから構成される。回転軸は、接触部からその長手方向へ突出していて、その両端部は、上記のアームの凹部に嵌合またはアームの孔に挿入され、ローラ28を回転可能にしている。モータ29は、図示しないバッテリから電源が供給され、また、図示しない制御手段からの指示、すなわち信号の入力によりローラ28を所定の回転数で回転させる。
【0049】
ローラ支持部27およびローラ28の回転軸は、プラスチック樹脂や、鋼やアルミニウム等の金属により形成することができるが、強度の点から金属のほうが好ましい。ローラ28の接触部は、ケーブル11の外表面と当接し、フレーム部材21をケーブル11に支持することから、密着性が良好で、ケーブル11外表面との摩擦抵抗が大きいほうが好ましく、例えば、弾性材料から形成することができる。弾性材料としては、ゴムを挙げることができ、天然ゴム、イソプレンゴムやウレタンゴムやクロロプレンゴム等の合成ゴムを用いることができる。
【0050】
図2に示す実施形態では、ローラ支持部27およびローラ28は、フレーム部材21の一方の端部に4つ設けられ、他方の端部にも4つ設けられ、合計8つ設けられている。しかしながら、ケーブル11にフレーム部材21を適切に支持することができ、ケーブル11の長さ方向へフレーム部材21を移動させることができれば、合計8つ設ける必要はなく、各端部に3つずつ設ける構成であってもよい。また、それ以上の数設けてもよい。
【0051】
動力手段としてのモータ29は、各ローラ28に設けてもよいが、少なくとも1つのローラ28を回転させることができれば、他のローラは追随して回転するので、1以上の数設ければよい。なお、図2に示す実施形態では、フレーム部材21を移動させるために1つのモータ29が設けられているが、1つのモータ29の動力では不足する場合、必要な数のモータを設けることができる。
【0052】
フレーム部材21の一端を構成するリングには、複数の棒状部材23の一端が溶接される等して連結され、複数の棒状部材23の他端には、ケーブル11の外表面を一周にわたって覆うように設けられるリング部材24が連結される。このリング部材24は、ケーブル11の外表面から離間するように、ケーブル11の径より大きい内径となるように形成され、また、フレーム部材21と同様に、ケーブル11に取り付けることから、2つの部材に分離可能とされている。これも、上述したジョイントにより連結することができるが、ボルト等を用いて連結してもよい。複数の棒状部材23は、可撓性を有し、振動発生手段25により振動を発生させていない状態では、リング部材24がケーブル11の外表面に接しないように支持し、振動を発生させた場合に一定の方向に撓むことにより振動し、リング部材24をケーブル11の外表面に衝突させることができる。リング部材24がケーブル11を構成する保護管の外表面に衝突すると、音が発生するが、その音は、弾性波である音波として空気中を伝播する。
【0053】
リング部材24は、ケーブル11の外表面に衝突することにより音を発生させることができればいかなる材質のものであってもよく、アルミニウムや鋼等の金属のほか、木製、プラスチック樹脂製のものであってもよい。また、ケーブル11の外表面に衝突させることにより音を発生させることができれば、このようなリング状のリング部材24でなくてもよいが、振動発生手段25が振動方向を変えるのみで、ケーブル11の周方向の異なる位置に衝突させることができ、その周方向の複数箇所で打音検査を行うことができる点でリング部材24が好ましい。
【0054】
振動発生手段25は、例えば、振動を発生させる装置である起振機とされ、図示しないバッテリから電源が供給され、リング部材24を振動させ、ケーブル11に衝突させることにより音波を発生させる。打音検査を行うには、同じ条件で検査を行う必要があることから、衝突時間を同一にし、同じ力で衝突させるようにリング部材24を振動させる。起振機は、左右への振動のほか、上下方向への振動も発生させることができる。このため、それらの振動量を調節することにより、ケーブルの周方向のいずれの箇所にでもリング部材24を衝突させることができ、その衝突により音を発生させることができる。音波検出手段26は、例えば、音波を電圧波形等に変換する振動変換器とされ、図示しないバッテリから電源が供給されて、発生した音を音波として検出し、電圧波形の波形データとして出力することができる。
【0055】
本発明では、ケーブル11を初めて用い、主塔10と主桁12とを繋ぎ、主桁12を支えることにより緊張させたとき、あるいは補修後に再緊張させたときに検出した音波の波形を波形データとして取得し記録しておき、その記録された音波の波形と、実際に上記音波の検出を行い、得られた音波の波形とを表示させることにより、作業員が、両波形から打音継続時間、打音周波数、打音の強さ(振幅)が近似しているかどうかを判断することにより判定することができる。
【0056】
この初めて緊張させたとき、あるいは再緊張させたときのケーブルは、まだ割れや損傷がない状態であるので、その波形データは、健全なケーブルの波形データであり、このデータの波形と近似していれば、損傷のない健全なケーブルと判定することができる。近似していない場合は、何らかの損傷により異なる波形に変化したと考えることができるので、損傷が発生していると判定することができる。近似しているかどうかの判断は、上記の打音継続時間、打音周波数、打音の強さが、健全なケーブルの波形データの波形を基準として、それぞれが一定範囲内にあるかを判断することにより行うことができる。ケーブルの設置環境によって周囲の騒音等が異なり、波形は、完全には一致しないと考えられるからである。なお、この範囲は、経験から適切な範囲を定めることができる。
【0057】
上記のフレーム部材21、走行支持手段22、複数の棒状部材23、リング部材24、振動発生手段25、音波検出手段26、複数のローラ支持部27、複数のローラ28、モータ29は、いずれも探傷装置の装置本体に備えられる。健全なケーブルの波形データを記憶する図示しない記憶手段、その波形データから得られる波形と、検査において検出された波形とを表示させる表示手段は、作業員がそれを見て判断を行うために、ケーブル11に取り付けられる装置本体から離間したパーソナルコンピュータ等の情報処理装置に備えられ、この情報処理装置は、作業員がいる地上に配置される。
【0058】
記憶手段としては、データを記録し、保存しておくことができるものであればいかなるものであってもよく、ハードディスク、フラッシュメモリ、SDカード、CD−ROM、DVD、USBメモリ等を挙げることができる。表示手段は、波形データを読み出し、波形を描画するための処理を行うプロセッサおよび波形を表示させるディスプレイを有する。
【0059】
上記のプロセッサは、解析手段としても機能し、波形を周波数成分ごとに分解してスペクトルを生成し、生成したスペクトルを表示手段に表示させることができる。作業員は、表示手段が表示した2つのスペクトルの各周波数成分を比較して、損傷の種類や程度といった損傷状況およびその位置を特定することができる。この解析手段としては、例えば、FFT(Fast Fourier Transform)アナライザを用いることができる。解析手段が行う波形解析は、上述した周波数ごとに分解してスペクトルを生成するFFTのほか、各周波数成分の時間変動も重要な要素であることから、FFTで得られた周波数スペクトルの変化を時間的変化と同時に二次元で表現するウェーブレット解析を行うこともできる。
【0060】
作業員は、表示手段の表示画面に表示された健全なケーブルのスペクトルと、検査において検出された波形のスペクトルとを比較し、亀裂、変状、空洞といった損傷の種類によって現れる周波数成分が異なり、また、その位置によって強度が異なることから、どのような種類の損傷が存在し、どの程度の損傷であるか、ケーブルの径方向に向かう深さがどの程度のものであるか等を特定することができる。
【0061】
このようにして、装置本体をケーブル11に取り付け、自動操縦により打音検査を行い、地上に配置される情報処理装置のモニタ画面に表示させ、解析手段により波形解析を行うことにより、グラウトの損傷の有無を検査することができ、また、損傷状況やその位置も特定することができる。
【0062】
ケーブル11の打音検査は、走行支持手段22によりケーブル11の長さ方向へリング部材24を移動させ、移動させた位置でリング部材24を振動させ、ケーブル11に衝突させて音を発生させ、その音が空気中を伝播する波を検出して、波形を表示させることにより、損傷の有無を判断することを、ケーブル11の一端から他端に至るまで繰り返すことにより行われる。
【0063】
探傷装置は、故障時や1本のケーブルの検査の終了時に、装置本体を引っ張り、回収するために、フレーム部材11に連結されるワイヤをさらに備える。このため、打音検査が、他端に至るまで行われた場合、このワイヤを持ち、装置本体を引っ張ることにより回収し、未検査のケーブルの打音検査を行うことができる。斜張橋は、複数のケーブル11が用いられるため、すべてのケーブル11につき、同様の打音検査が行われる。
【0064】
この探傷装置は、情報処理装置から無線通信により信号を受信し、その信号に応答して、音波検出手段26により検出された振動の波形データを送信し、また、モータ29へローラ28を回転または停止させる信号を出力する制御手段をさらに備える。制御手段は、CPU、メモリ、通信装置を備える制御回路とされ、図示しないバッテリから電源が供給されて動作する。
【0065】
情報処理装置は、アンテナを有する送信機および受信機といった無線通信手段をさらに備えており、制御手段から送信される波形データを無線通信により受信し、表示手段で波形を表示し、また、解析手段で波形解析を行って、損傷の有無を判断し、損傷状況およびその位置を特定する。
【0066】
探傷装置は、情報処理装置からの信号をアンテナにより受信し、制御手段へ送ることができるが、その信号を送信する情報処理装置からの距離が離れると、電波が届きにくくなることから、受信した電波を増幅するべくブースターを備えることができる。これら以外に、無線通信に必要な機器を、必要に応じて設けることができる。
【0067】
図3は、探傷装置の別の構成例を示した図である。この探傷装置は、図2に示す構成とほぼ同じであるが、地面に向いたフレーム部材21の下側部に錘となる姿勢保持部材30が設けられている。これは、斜張橋のケーブル11のような、斜めに延びるケーブルである場合、単に走行支持手段22のみでケーブル11に支持するのでは、この探傷装置がケーブル11を中心として回転してしまい、せっかく検出した損傷箇所が分からなくなってしまう場合があるからである。姿勢保持部材30を設けることで、姿勢保持部材30がその自重により常にフレーム部材21の最下部で停止するので、ケーブル11を中心としてそれ以上回転するのを確実に防止することができる。
【0068】
ここでは、直方体の錘が姿勢保持部材30として取り付けられているが、姿勢を保持するのに適切な質量のものであれば、いかなる材質および形状のものであってもよい。好ましくは、ステンレス鋼等の錘として適切な質量を有し、錆びることがなく、何かに衝突することにより破損することがない充分な強度を有するものが望ましい。
【0069】
このように姿勢保持部材30により探傷装置本体の姿勢を保持することで、振動発生手段25は、リング部材24を振動させる方向を、正確に上下あるいは左右と変えることができ、これにより、ケーブル11の周方向におけるいずれの位置でも音を発生させることができ、より詳細かつ正確な打音検査を行うことができる。
【0070】
この姿勢保持部材30は、フレーム部材21の下側面に接着剤等を用いて直接取り付けることもできるし、紐状物を介して取り付けてもよい。
【0071】
損傷位置の特定は、後の補修工事において重要である。打音検査して損傷位置を特定するのみでは、そのときは特定することができても、後に実際に補修しようとするときに、その位置を特定することはできず、仮にできたとしても時間を要する。そこで、ローラ28にエンコーダといったローラ28の回転数を計測し、その箇所までの距離を算出するための距離計測手段をさらに備えることが好ましい。計測された距離は、距離情報として波形データとともに記録され、後の工事における損傷位置の特定の際に利用することができる。これにより、その損傷位置の特定が正確かつ短時間に行えるようになる。
【0072】
本発明の探傷装置は、フレーム部材21の側部を板で塞ぎ、その両端に形成された開口20のみを大気へ開放した構成とすることができるが、この開口20を閉鎖するべくカバーを設けることも可能である。図4は、図2または図3に示す探傷装置に取り付けることができるカバーの一例を示した図である。
【0073】
カバー40は、フレーム部材21が挿嵌可能な形状、大きさとされていて、嵌め合わせることにより取り付けることができるものとされている。このカバー40も、ケーブル11が通される穴41が設けられ、フレーム部材21と同様、ケーブル11に取り付けるために2つに分離可能とされ、それらが図示しないジョイントにより連結される。
【0074】
図4では、カバー40は、フレーム部材21が挿嵌される円形の蓋状物とされ、円形の中央にケーブル11が通る穴41が形成されたものとされている。
【0075】
カバー40は、フレーム部材21から容易に外れないように、フレーム部材21の側面に隣接する部分に嵌合溝または突起を設け、フレーム部材21のそれに対応した位置にも突起または嵌合溝を設けて嵌め合わせることができるようにすることが好ましい。また、フレーム部材21から容易に外れないように、これまでに知られたその他の機構を設けることも可能である。
【0076】
また、カバー40は、中央に設けられる穴41の中心に向けて延びるように、ケーブル11の外表面を清掃するためのブラシ42が設けられる。ブラシ42は、穴41の周部から中心へ向けて突出するように設けられる多数の細長い獣毛や繊維からなるものである。このブラシ42により、フレーム部材21を走行支持手段22により移動させる間に、ケーブル11の外表面に付着した土や砂等を取り除くことができる。なお、これらの土や砂等は、ブラシ42に付着し、もしくはカバー40内に堆積し、またはケーブル11に取り付けた探傷装置の下方の地面へと落下することにより、ケーブル11表面から取り除くことができる。
【0077】
ケーブル11の外表面に砂埃等が付着していると、発生する音が変化し、健全であっても、健全な波形を示さない場合があるが、このようにフレーム部材21に、ブラシ42を備えるカバー40を設けることで、健全な状態では同じ音を発生させることができ、正確な検査を実現することができる。
【0078】
次に、上述した探傷装置を使用してケーブル11内のグラウトの損傷の有無を判断し、損傷状況およびその位置を特定するための探傷方法について、図5に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。ステップ500から開始し、まず、ステップ510において、探傷装置の装置本体をケーブル11に取り付け、装置本体が備える走行支持手段22をケーブル11の外表面に当接させ、ケーブル11に支持させる。
【0079】
探傷装置は、円弧状に2方向に延びるジョイントを取り外すことで、走行支持手段22が取り付けられたフレーム部材21、振動発生手段25および音波検出手段26が取り付けられたリング部材24を2つに分離し、上側のフレーム部材およびリング部材をケーブル11の上側へ移動させ、下側のフレーム部材およびリング部材をケーブル11の下側から移動させて、上記のジョイントを用いて連結することにより、ケーブル11がフレーム部材21の通路およびリング部材24の内部を通るように取り付けることができる。このようにして取り付けると、フレーム部材21から開口20の中心に向けて突出する走行支持手段22のゴムローラがケーブル11の外表面と当接し、そのゴムローラとケーブル11間の大きい摩擦抵抗によりフレーム部材21がケーブル11表面に支持される。
【0080】
次に、ステップ520において、フレーム部材21の一端にケーブル11の長さ方向に延びる複数の棒状部材23を介して連結され、内部にケーブル11が挿通されるリング部材24に、リング部材24に取り付けられる振動発生手段25により振動を与えて、ステップ530において、リング部材24をケーブル11に衝突させ、音を発生させる。そして、ステップ540において、リング部材24に取り付けられる音波検出手段26により、その発生した音を音波として検出する。
【0081】
制御手段は、検出された音波の波形データをメモリに記憶するとともに、無線通信等により作業員が使用する情報処理装置へその波形データを送信する。振動方向を変え、ケーブル11の周りにわたってケーブル11にリング部材24を衝突させて打音検査し、ステップ550で、ケーブル11の最後まで打音検査したかを判断する。
【0082】
ステップ550で、最後まで打音検査していないと判断した場合、フレーム部材21がケーブル11の途中にあり、まだ打音検査を行うべき箇所が存在するので、最後でないと判断し、ケーブル11の終端へ到達し、その位置で打音検査が終了していれば、最後と判断する。この判断は、例えば、上記の制御手段が行うことができる。終端に到達した時点では打音検査を行う必要があるが、検査後は、再度打音検査を行う必要はないので、最後と判断し、この検査を終了する。
【0083】
最後ではないと判断した場合は、ステップ560へ進み、走行支持手段22によりケーブル11の長さ方向へフレーム部材21を一定距離だけ移動させる。この一定距離は、適切に打音検査を行うことができればいかなる距離であってもよいが、出来るだけ大きい方が、検査数が少なくて済み、記憶すべきデータ数も少なくなるので、メモリ使用量を減少させることができる点で好ましい。したがって、適切に打音検査を行うことができる距離を予め決定しておき、その距離ほど移動させることができる。一例としては、30cm間隔で移動させることができる。
【0084】
このようにして移動させた後、再びステップ520へ戻り、振動発生手段25によりリング部材24に振動を与え、ステップ530でリング部材24をケーブル11に衝突させることにより音を発生させる。そして、ステップ540において、音波検出手段26により、発生した音を音波として検出する。振動させる方向を変え、ケーブル11の周りにわたってケーブル11にリング部材24を衝突させて打音検査し、ステップ550で、ケーブル11の最後まで打音検査したかを判断する。したがって、ケーブル11の終端に到達し、その終端での打音検査が終了するまでは、ステップ520〜550までの処理が繰り返し行われる。
【0085】
一方、ステップ550で最後まで打音検査を行ったと判断した場合は、このケーブル11には、もはや打音検査を行うべき箇所が存在しないので、ステップ570へ進み、打音検査を終了する。これでケーブル1本の検査が終了する。まだ検査していないケーブル11が存在する場合は、再びステップ500から処理を開始し、同様の検査を行う。
【0086】
これまで本発明の探傷装置および探傷方法について図面に示した実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0087】
したがって、フレーム部材21には、複数の撮像手段が設けられ、ケーブル11の外表面、すなわち保護管の外表面を撮影し、その画像を表示手段に表示させ、また、記憶手段に記憶させることもでき、保護管の損傷の有無、その位置や損傷状況も検査することができる。この撮像手段としては、CCDカメラを採用することができ、ケーブル11の周方向の外表面に対向して取り付けられ、一周にわたって撮影できるように、少なくとも90°間隔で4つ設けることができる。
【符号の説明】
【0088】
10…主塔、11…ケーブル、12…主桁、13…主塔、14…アンカーレッジ、15…メインケーブル、16…ハンガーロープ、17…橋桁、20…開口、21…フレーム部材、22…走行支持手段、23…棒状部材、24…リング部材、25…振動発生手段、26…音波検出手段、27…ローラ支持部、28…ローラ、29…モータ、30…姿勢保持部材、40…カバー、41…穴、42…ブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼線を被覆する保護管内に注入材が充填されたケーブルの該注入材の損傷を探索するための探傷装置であって、
前記ケーブルが通される通路を有するフレーム部材と、
前記フレーム部材の両端に形成され前記通路に連続する開口の中心に向けて突出するように設けられ、前記通路を通された前記ケーブルの外表面に当接して、前記フレーム部材を前記ケーブルに支持するとともに、前記フレーム部材を前記ケーブルの長さ方向へ移動させることが可能な走行支持手段と、
前記フレーム部材の一端に、前記ケーブルの長さ方向と同じ方向に延びる複数の棒状部材を介して連結され、内部に前記ケーブルが挿通されるリング部材と、
前記リング部材に取り付けられ、該リング部材に振動を与えて、該リング部材を前記ケーブルに衝突させることにより音を発生させる振動発生手段と、
前記リング部材に取り付けられ、発生した前記音を音波として検出する音波検出手段と、
損傷箇所がない前記注入材を有する前記ケーブルにおいて、予め前記音波検出手段により検出された音波の波形データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出した前記波形データから得られる波形と、検査時に前記音波検出手段で検出された前記音波の波形とを、前記損傷箇所の有無を判定するために表示させる表示手段とを含む、探傷装置。
【請求項2】
前記波形を周波数成分ごとに分解してスペクトルを生成し、該スペクトルを前記表示手段に表示させる解析手段をさらに備える、請求項1に記載の探傷装置。
【請求項3】
前記フレーム部材は、前記ケーブルを中心として前記探傷装置が回転しないように錘としての姿勢保持部材を備える、請求項1または2に記載の探傷装置。
【請求項4】
前記振動発生手段は、前記リング部材を振動させる方向を変えることにより、前記ケーブルの周方向における複数の箇所に前記リング部材を衝突させ、前記音を発生させる、請求項3に記載の探傷装置。
【請求項5】
前記探傷装置が移動した距離を計測する距離計測手段をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の探傷装置。
【請求項6】
前記走行支持手段は、前記フレーム部材の前記開口が形成された各端部に設けられ、前記開口の中心に向けて突出する少なくとも3つのローラ支持部と、各前記ローラ支持部により回転可能に支持され、前記ケーブルの外表面と当接する少なくとも3つのローラと、少なくとも1つの前記ローラを回転させる動力手段とを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の探傷装置。
【請求項7】
前記探傷装置は、前記フレーム部材と、前記走行支持手段と、前記リング部材と、前記振動発生手段と、前記音波検出手段とを含む装置本体と、
前記記憶手段と、前記表示手段とを含む情報処理装置とから構成され、
前記装置本体は、前記情報処理装置から無線通信により信号を受信し、前記信号に応答して、前記音波検出手段により検出された前記音波の波形データを前記情報処理装置へ送信し、または前記動力手段へ前記ローラを回転もしくは停止させる信号を出力する制御手段をさらに備える、請求項6に記載の探傷装置。
【請求項8】
探傷装置を用い、鋼線を被覆する保護管内に注入材が充填されたケーブルの該注入材の損傷箇所を検出する探傷方法であって、
前記探傷装置の両端に形成される開口と該開口に連続する通路を有するフレーム部材および該フレーム部材の一端に前記ケーブルの長さ方向に延びる複数の棒状部材を介して連結されるリング部材を、前記ケーブルが前記通路および前記リング部材の内部を通るように取り付け、前記開口の中心に向けて前記フレーム部材から突出するように設けられる走行支持手段を、前記通路を通された前記ケーブルの外表面に当接させ、前記フレーム部材を前記ケーブルに支持させるステップと、
前記リング部材に、該リング部材に取り付けられる振動発生手段により振動を与えて、該リング部材を前記ケーブルに衝突させることにより音を発生させるステップと、
前記リング部材に取り付けられる音波検出手段により前記音を音波として検出するステップと、
前記損傷箇所がない前記注入材を有する前記ケーブルにおいて、予め前記音波検出手段により検出された前記音波の波形データを記憶する記憶手段から読み出した該波形データから得られる波形と、検査時に前記音波検出手段で検出された前記音波の波形とを、前記損傷箇所の有無を判定するために表示させるステップとを含む、探傷方法。
【請求項9】
前記探傷装置が備える距離計測手段により該探傷装置が移動した距離を計測するステップをさらに含む、請求項8に記載の探傷方法。
【請求項10】
前記フレーム部材を前記ケーブルの長さ方向の終端まで移動し、前記終端の位置における前記音波の検出を終了したかを判断することにより、前記ケーブルの最後まで音波を検出したかを判断するステップと、
最後まで検出していないと判断した場合に、前記走行支持手段により前記フレーム部材を前記ケーブルの長さ方向へ移動させるステップとをさらに含み、
前記判断するステップで最後まで検出したと判断されるまで、前記移動させるステップ、前記音を発生させるステップ、前記音を音波として検出するステップ、前記表示させるステップ、前記判断するステップを繰り返す、請求項8または9に記載の探傷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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