説明

探査装置

【課題】 狭い場所においても隠蔽物を比較的容易に且つ簡単に探知することができる探査装置を提供すること。
【解決手段】 電磁波を送信する送信用アンテナ体122と、隠蔽物により反射された電磁波を受信する受信用アンテナ体124と、受信用アンテナ体124により受信した電磁波を所要の通りに処理して隠蔽物の探知信号を生成する信号処理回路130と、を具備する。信号処理回路130が内蔵された装置本体102Hと、装置本体102Hに着脱自在に取り付けられるアンテナユニット152とから構成され、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124がアンテナユニット152に配設され、装置本体102Hとアンテナユニット152とが接続部材164を介して接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を利用して地中、コンクリート中などに存在する隠蔽物を探査する探査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地中、コンクリート中などに存在する隠蔽物、例えば配管、鋼材などを探査するための探査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この探査装置は、非開削掘削装置の先端部に装備されている。非開削掘削装置は土壌中を推進する推進体を備え、推進体は推進本体とこの推進本体の先端部に設けられた推進先端部とから構成され、探査装置は推進先端部に装備される。
【0003】
この探査装置は、電磁波を送信する送信用アンテナ体と、隠蔽物からの反射電磁波を受信する受信用アンテナ体と、受信用アンテナ体により受信した受信電磁波を所要の通りに処理して探知信号を生成する信号処理手段とを備えており、信号処理手段の探知信号により隠蔽物を探知してその埋設位置を知ることができる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−183636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の探査装置では、次の通りの解決すべき問題がある。第1に、送信用アンテナ体と受信用アンテナ体との配置関係(相互の位置関係、相互の角度関係)が一定であり、それ故に、隠蔽物の隠蔽個所などによっては、送信用アンテナ体から受信用アンテナ体に直接的に入力する電磁波がノイズとなって探知信号と重なり、隠蔽物を精度良く探知することができない。例えば、コンクリートの浅部に隠蔽された配管、鋼材などを探査するとき、送信用アンテナ体から送信された電磁波がアンテナ基板を伝搬して、強い振幅のままの受信用アンテナ体に直接的に入力され、この入力電磁波がコンクリート浅部の隠蔽物からの反射電磁波と重畳し、入力電磁波がノイズとなって隠蔽物を正確に探知することができず、その位置検知精度が低下する。
【0006】
第2に、この種の探査装置は、信号処理手段を含む信号回路部、送信用アンテナ体及び受信用アンテナ体が装置本体に装備されるので、装置本体が大きくなり、狭い場所においては探査装置を所要の通りに移動させるのが難しく、このような場所に隠蔽された隠蔽物を探査することが困難である。
【0007】
第3に、この種の探査装置では、ある程度の深さの個所に隠蔽された隠蔽物を探知することを目的としており、それ故に、例えばコンクリートの浅部に隠蔽された配管などを探査するとき、上述したように、入力電磁波がノイズとなって配管などを正確に探知することができないという問題がある。このような問題を解消するためには、コンクリートの浅部などの配管を探査するための専用の探査装置を開発すればよいが、それには多額の開発費が必要となる。
【0008】
本発明の目的は、狭い場所においても隠蔽物を比較的容易に且つ簡単に探知することができる探査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の探査装置では、電磁波を送信する送信用アンテナ体と、隠蔽物により反射された電磁波を受信する受信用アンテナ体と、前記受信用アンテナ体により受信した電磁波を所要の通りに処理して隠蔽物の探知信号を生成する信号処理手段と、を具備する探査装置であって、
前記信号処理手段が内蔵された装置本体と、前記装置本体に着脱自在に取り付けられるアンテナユニットとから構成され、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体が前記アンテナユニットに配設され、前記装置本体と前記アンテナユニットとが接続部材を介して接続されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の探査装置では、前記装置本体には第1端子部が設けられ、前記アンテナユニットには前記接続部材が接続され、この接続部材の先端部に第2端子部が設けられ、前記第1端子部及び前記第2端子部が相互に着脱自在に接続されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の探査装置では、前記送信用アンテナ体に電磁波を発生するための送信パルス信号を送給するための送信パルス発生器と、前記受信用アンテナ体にて受信した電磁波を増幅するための高周波増幅器を更に備え、前記送信パルス発生器は前記送信用アンテナ体に直接的に取り付けられ、前記高周波増幅器は前記受信用アンテナ体に直接的に取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の探査装置では、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体の偏波方向が実質上同一方向で、且つ前記送信用アンテナ体と前記受信用アンテナ体とを結ぶ仮想直線が前記偏波方向と実質上一致するように、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体が配置されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に記載の探査装置では、前記送信用アンテナ体と前記受信用アンテナ体との離隔距離が1〜8cmであることを特徴とする。
また、本発明の請求項6に記載の探査装置では、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体の配置関係を変更するための取付ユニットを備えていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項7に記載の探査装置では、前記取付ユニットは、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体を第1の配置関係に保つための第1取付部と、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体を前記第1の配置関係と異なる第2の配置関係に保つための第2取付部とを備えていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項8に記載の探査装置では、前記取付ユニットを複数個備えており、前記複数個の取付ユニットの一つは、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体を第1の配置関係に保ち、前記複数個の取付ユニットの他の一つは、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体を前記第1の配置関係と異なる第2の配置関係に保つことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に記載の探査装置によれば、送信用アンテナ体及び受信用アンテナ体を備えたアンテナユニットが装置本体に着脱自在に装着されるので、このアンテナユニットを装置本体に取り付けた状態では、装置本体を所要の通りに移動させることによって隠蔽物を探査することができる。また、アンテナユニットを装置本体から取り外した状態では、比較的狭い場所でもアンテナユニットを所要の通りに移動させることができ、これによって、比較的狭い場所においても隠蔽物を探知することができる。
【0017】
また、本発明の請求項2に記載の探査装置によれば、装置本体に第1端子部が設けられ、アンテナユニットに接続された接続部材に第2端子部が設けられているので、第1及び第2端子部を相互に接続することによって、アンテナユニットと装置本体を電気的に接続することができる。また、このように構成することによって、種類の異なる複数のアンテナユニットを選択的に用いることができ、その取付けは第1及び第2端子部を相互に接続すればよく、またその取外しは第1及び第2端子部の接続状態を解除すればよく、比較的簡単に且つ容易に行うことができる。
【0018】
また、本発明の請求項3に記載の探査装置によれば、送信パルス発生器からの送信パルス信号が送信用アンテナ体に送給され、この送信パルス信号による電磁波が送信用アンテナ体から送信されるが、この送信パルス発生器は送信用アンテナ体に直接的に取り付けられているので、送信パルス発生器と送信用アンテナ体とを接続する接続ケーブルを省略することができ、これによって、受信用アンテナ体で受信される受信信号に含まれるノイズ成分(接続ケーブルから発生するノイズ信号)を少なくすることができる。また、受信用アンテナ体からの受信信号は高周波増幅器に送給され、この増幅器で受信信号が増幅されるが、この高周波増幅器は受信用アンテナ体に直接的に取り付けられているので、高周波増幅器と受信用アンテナ体とを接続する接続ケーブルを省略することができ、これによって、受信信号に含まれるノイズ成分(接続ケーブルで受信してしまうノイズ信号)を少なくすることができる。
【0019】
また、本発明の請求項4に記載の探査装置によれば、送信用アンテナ体及び受信用アンテナ体の偏波方向が実質上同一方向で、これらアンテナ体を結ぶ仮想直線がこの偏波方向と実質上一致するように、これらアンテナ体が配置されるので、直接波によるノイズ成分を抑えて隠蔽物を高精度に探知することができる。
【0020】
一般に、探査装置では、ある程度深い個所に埋設などされたものを探知することを主目的とするために、送信用アンテナ体からの電磁波が受信用アンテナ体に最大に受信されるように構成されており、従って、送信用アンテナ体及び受信用アンテナ体は、それらの偏波方向が実質上同一方向で、且つ両アンテナ体を結ぶ仮想直線がこの偏波方向に対して垂直となるように配置されている。このように配置した場合、送信用アンテナ体から受信用アンテナ体に直接的に入力される電磁波(直接波)が大きく、この直接波がノイズ成分として受信電磁波に含まれ、埋設物の探知、特に浅い個所に埋設などされたものの探知が難しくなる。
【0021】
これに対して、この探査装置では、上述した如く配置するので、送信用アンテナ体から受信用アンテナ体に入力される直接波が小さく、この直接波によるノイズ成分が抑えられ、隠蔽物を正確に探知することができる。尚、上述したように配置した場合、受信用アンテナ体に受信される反射電磁波も弱くなるが、比較的浅い個所の隠蔽物の探知では、電磁波の減衰が少なく、隠蔽物の探知に充分な強さの反射電磁波を受信することができ、比較的浅い個所の隠蔽物を探知するのに好都合な装置を提供することができる。
【0022】
また、本発明の請求項5に記載の探査装置によれば、送信用アンテナ体と受信用アンテナ体の離隔装置が1〜8cmであるので、感度の良い状態でS/N比を良くすることができ、携帯型の探査装置に好適であり、狭い場所においても隠蔽物を探査することができる。
【0023】
また、本発明の請求項6に記載の探査装置によれば、送信用アンテナ体及び受信用アンテナ体の相対的配置関係、例えば位置関係、角度関係などを変更するための取付ユニットを備えているので、これらの配置関係を変更することができ、この配置関係を変えることによって、これらアンテナ体の偏波方向に関連して、送信用アンテナ体から受信用アンテナ体に直接的に入力される入力電磁波を少ない状態にすることができ、隠蔽物を正確に探知することができる。尚、送信用アンテナ体及び受信用アンテナ体の位置関係とは、例えば両者間の相対的位置間隔であり、それらの角度関係とは、例えば両者間の相対的角度位置である。
【0024】
また、本発明の請求項7に記載の探査装置によれば、取付ユニットは第1取付部及び第2取付部を有しており、送信用アンテナ体及び受信用アンテナ体を第1取付部に取り付けることによって、これらアンテナ体を第1の配置関係に保持することができ、また送信用アンテナ体及び受信用アンテナ体を第2取付部に取り付けることによって、これらアンテナ体を第2の配置関係に、例えば第1の配置関係から90度回転した配置関係に保持することができ、一つの取付ユニットによってこれらアンテナ体の配置関係を変更することができる。
【0025】
また、本発明の請求項8に記載の探査装置によれば、複数個の取付ユニットが選択的に用いられる。複数個の取付ユニットの一つに送信用アンテナ体及び受信用アンテナ体を取り付けると、これらアンテナ体は第1の配置関係に保持され、また複数個の取付ユニットの他の一つに送信用アンテナ体及び受信用アンテナ体を取り付けると、これらアンテナ体は第2の配置関係、例えば第1の配置関係から90度回転した配置関係に保持され、取付ユニットを換えることによってこれらアンテナ体の配置関係を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、図1〜図12を参照して、本発明に従う探査装置の実施形態について説明する。
探査装置の構成の概要
まず、図1を参照して、本発明に従う探査装置の構成の概要について説明する。図1において、図示の探査装置は装置本体2を備え、この装置本体2には、例えばコンクリート4の表面に沿って移動させるための車輪(図示せず)が装備される。装置本体2には各種構成要素、即ち信号回路部6、送信用アンテナ体8、受信用アンテナ体10及び表示手段20が装備され、装置本体2内に内蔵される信号回路部6は、送信パルス発生器12、高周波増幅器14及び信号処理手段16を含んでいる。送信パルス発生器12は送信パルス信号を生成して送信用アンテナ体8に送給し、この送信パルス信号の中心周波数は、例えば0.5〜2GHz程度である。送信用アンテナ体8及び受信用アンテナ体10は装置本体2の底面に配設され、送信用アンテナ体8は、送信パルス信号を電磁波にしてコンクリート4の表面に向けて一点鎖線で示すように送信する。送信された電磁波はコンクリート4中の隠蔽物である例えば配管15により反射され、配管15からの反射電磁波が一点鎖線で示すように受信用アンテナ体10に受信される。受信用アンテナ体10により受信された受信信号は、高周波増幅器14で高周波増幅された後に信号処理手段16に送給され、この信号処理手段16により所要の通りに処理されて探知信号が生成され、この探知信号がメモリ17に記憶される。
【0027】
この探査装置は、更に、入力手段18及び表示手段20を備えている。入力手段18は電源スイッチ、探査スイッチ、探知レンジスイッチなどから構成され、この入力手段18を操作することによって、探査の開始、終了などが行われる。また、表示手段20は例えば液晶表示装置から構成され、探査結果である探知信号による探知データの内容を表示し、この探知データを見ることによって、配管15の埋設位置を知ることができる。
【0028】
探査装置の具体的構成
上述した構成は、図2〜図4に示す具体的構成として、小型探査装置に適用することができる。図2は、小型探査装置の一実施形態を示す斜視図であり、図3は、図2の小型探査装置において、取付ユニットを装置本体に取り付けた状態で示す簡略断面図であり、図4は、図2の小型探査装置において、取付ユニットを装置本体から取り外した状態で示す簡略断面図である。
【0029】
図2〜図4において、この小型探査装置は直方体状の装置本体102を備え、その上端後部に把持部104が一体的に設けられている。装置本体102の前端部下部には一対の前輪106が回転自在に設けられ、その後端部下部には一対の後輪108が回転自在に設けられている。このように構成されているので、把持部104を把持して矢印110で示す前方向(矢印112で示す後方向)にコンクリート4の表面に沿って移動させることにより、その内部を探査して配管などの隠蔽物を探知することができる。
【0030】
この実施形態では、装置本体102の底部に取付ユニット114が着脱自在に装着される。取付ユニット114は肉厚の比較的薄いブロック状のユニット体116を備え、このユニット体116の片側部(図3及び図4において左部)に送信用アンテナ取付部118が設けられ、その他側部(図3及び図4において右部)に受信用アンテナ取付部120が設けられている。この実施形態では、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124は直方体状であり、送信用アンテナ取付部118及び受信用アンテナ取付部120は、これらアンテナ体122,124の形状に対応して矩形状に形成されている。従って、図4に示すように、装置本体102から取付ユニット114を取り外し、その送信用アンテナ取付部118に送信用アンテナ体122を、またその受信用アンテナ取付部120に受信用アンテナ体124を嵌め込むことによって、これらアンテナ体122,124が取付ユニット114に着脱自在に装着される。そして、このようにアンテナ体122,124を装着した取付ユニット114を図3に示すように装置本体2の底部に着脱自在に取り付けることによって、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124が装置本体102に所要の通りに取り付けられる。
【0031】
装置本体102内には、信号回路部を構成する送信パルス発生器126、高周波増幅器128及び信号処理回路130(図1における信号処理手段16及びメモリ17として機能する)が設けられている。送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124は例えばボータイ型のアンテナを備え、このアンテナに複数個の抵抗が装荷され、複数個の抵抗の合成抵抗値が例えば20〜200Ω程度になるように設定され、アンテナ及び複数の抵抗が例えば合成樹脂などでモールドされる。送信用アンテナ体122の上端面には、アンテナに電気的に接続された接続端子132が設けられ、この接続端子132が接続ケーブル134を介して送信パルス発生器126に電気的に接続され、送信パルス発生器126からの送信パルス信号が接続ケーブル134を介して送信用アンテナ体122に送給される。また、受信用アンテナ体124の上端面には、送信用アンテナ体122と同様に、アンテナに電気的に接続された接続端子136が設けられ、この接続端子136が接続ケーブル138を介して高周波増幅器128に電気的に接続され、受信用アンテナ体124にて受信した受信信号が接続ケーブル138を介して高周波増幅器128に送給される。
【0032】
また、装置本体102の上面前部には、液晶表示装置140(図1における表示手段20を構成する)が配設されて、探知信号のデータ内容、即ち探知画像などが表示される。更に、装置本体102の把持部104には、探査スイッチなどの操作スイッチ142(図1における入力手段18を構成する)が配設されている。更にまた、この実施形態では、後輪108の一つに関連して距離センサ143が設けられている。この距離センサ143は、図示していないが、例えば、周方向に等間隔をおいて設けられた多数のスリットを有するスリットプレートと、このスリットプレートの両側に配設された発光素子及び受光素子とから構成されている。探査装置の移動によって後輪108と一体的にスリットプレートが回転すると、発光素子からの光がスリットプレートのスリットを通して受光素子に到達し、このようにスリットを通して光を受光すると受光素子はパルス信号を生成し、発生するパルス信号の数をカウントすることによって、探査装置の移動距離を計測することができる。尚、このような距離センサ143は、一対の前輪106及び一対の後輪108のいずれかに設けることができる。
【0033】
この実施形態においては、取付ユニット114として種々の形態のものが用いられ、異なる種類の取付ユニット114を用いることによって、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124の配置関係を相互に変更することができる。図5では装置本体102の底部に着脱自在に取り付けられる3種類の取付ユニット114A,114B,114Cが示されている。図5(a)〜(c)に示す取付ユニット114A,114B,114Cでは、図に示すように、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124の長手方向が取付ユニット114A,114B,114Cの長手方向と一致するように、換言すると、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124の幅の短い部位が相互に対向するように、送信用アンテナ取付部118及び受信用アンテナ取付部120が設けられ、図5(a)に示す取付ユニット114Aでは送信用アンテナ取付部118と受信用アンテナ取付部120との間隔が小さく、図5(b)に示す取付ユニット114Bでは送信用アンテナ取付部118と受信用アンテナ取付部120との間隔が中程度であり、図5(c)に示す取付ユニット114Cでは送信用アンテナ取付部118と受信用アンテナ取付部120との間隔が大きくなっており、これらの取付ユニット114A〜114Cを使い分けることによって、これらアンテナ体122,124の長手方向が対向するように配置した状態における両アンテナ体122,124間の距離関係を変更することができる。
【0034】
この実施形態では、図5(a)に示すように、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124の外形にほぼ対応するように矩形状のボータイアンテナ123及び125が内蔵されている。図5(a)〜(c)に示す関係では、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124の偏波方向が同一方向で、且つこれらのアンテナ体122,124を結ぶ仮想直線が上記偏波方向に一致するように構成されている。これらのように配置した場合、後に説明する如く、送信用アンテナ体122から受信用アンテナ体124に直接的に入力される電磁波が弱くなり、この直接的入力電磁波によるノイズ成分が小さくなり、表面近傍の浅い個所に隠蔽された隠蔽物の探知が可能となり、浅い個所の隠蔽物探知に好適なものとなる。
【0035】
図6では装置本体102の底部に着脱自在に取り付けられる他の形態の3種類の取付ユニット114D,114E,114Fが示されている。図6(a)〜(c)に示す取付ユニット114D,114E,114Fでは、図に示すように、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124の長手方向が取付ユニット114A,114B,114Cの長手方向に対して実質上垂直な方向となるように、換言すると、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124の幅の長い部位が相互に対向するように、送信用アンテナ取付部118及び受信用アンテナ取付部120が設けられ、図6(a)に示す取付ユニット114Dでは送信用アンテナ取付部118と受信用アンテナ取付部120との間隔が小さく、図6(b)に示す取付ユニット114Eでは送信用アンテナ取付部118と受信用アンテナ取付部120との間隔が中程度であり、図6(c)に示す取付ユニット114Fでは送信用アンテナ取付部118と受信用アンテナ取付部120との間隔が大きくなっており、これらの取付ユニット114D〜114Fを使い分けることによって、これらアンテナ体122,124の長手方向に対して垂直方向に対向するように配置した状態における両アンテナ体122,124間の距離関係を変更することができる。そして、図6に示す形態の取付ユニット114D〜114Fと図5に示す取付ユニット114A〜114Cとを組み合わせて使い分けることによって、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124の配置位置関係及び配置角度関係を変更することができる。
【0036】
図6(a)〜(c)に示す配置関係では、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124の偏波方向が同一方向で、且つこれらのアンテナ体122,124を結ぶ仮想直線が上記偏波方向に対し垂直な方向となるように構成されている。これらのように配置した場合、送信用アンテナ体122からの強い電磁波が隠蔽物15に向けて送信されるので、後に説明するが如く、送信用アンテナ体122から受信用アンテナ体124に直接的に入力される電磁波が強くなってそのノイズ成分が大きくなり、浅い個所に隠蔽された隠蔽物の探査は不向きであるが、ある程度深い個所の隠蔽物探知に好適なものとなる。
【0037】
この取付ユニットは、図7に示すように構成することもできる。この取付ユニット114Gでは、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124を第1の配置関係、即ち図5(a)〜(c)に示すようにアンテナ体122,124の長手方向と取付ユニット114Gの長手方向とが一致する関係になるように配置するための第1取付部118a,120aが設けられているとともに、この第1取付部118a,120aの配設部位に重ねて、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124を第2の配置関係、即ち図6(a)〜(c)に示すようにアンテナ体122,124の長手方向と取付ユニット114Gの長手方向とが垂直な関係になるように配置するための第2取付部118b,120bが設けられている。このような取付ユニット114Gを用いることによって、一つの取付ユニット114Gでこれらアンテナ体122,124の配置角度関係を変更することができる。
【0038】
尚、送信用アンテナ体122と受信用アンテナ体124との間隔は、上述した取付ユニット114A〜114Gを用いて例えば1〜8cmの範囲で変更可能に構成される。
上述した形態では、装置本体102に送信パルス発生器126及び高周波増幅器128が内蔵され、取付ユニット114(114A〜114G)に送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124が装着され、送信パルス発生器126及び高周波増幅器128が接続ケーブル134,138を介して接続されているが、このような構成に代えて、送信パルス発生器126を送信用アンテナ体122に直接的に取り付けるとともに、高周波増幅器128を受信用アンテナ体124に直接的に取り付けるようにしてもよく、このように構成することによって接続ケーブル134,138を省略することができ、接続ケーブル134から発生してしまうノイズ信号、及び接続ケーブル138により受信してしまうノイズ信号をなくし、受信信号に含まれるノイズ成分を抑えることができる。
【0039】
探査装置の他の形態の具体的構成
次に、図8を参照して、探査装置の他の形態について説明する。図8は、他の形態の小型探査装置を示す簡略断面図である。尚、以下の実施形態において、図2〜図4に示す実施形態と実質上同一の部材には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0040】
図8において、この小型探査装置では、装置本体102Hにアンテナユニット152が着脱自在に装着される。アンテナユニット152はユニット体154を備え、このユニット体154に送信用アンテナ取付部156及び受信用アンテナ取付部158が設けられ、送信用アンテナ取付部156に送信用アンテナ体122が、また受信用アンテナ取付部158に受信用アンテナ体124が取り付けられている。
【0041】
ユニット体154の上端面にはユニット側接続端子部160が設けられ、この接続端子部160は送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124に電気的に接続されている。また、装置本体102Hの一部(この実施形態では、その座面)には装置側接続端子部162(第1端子部を構成する)が設けられ、この接続端子部162が送信パルス発信器126、高周波増幅器128及び信号処理回路130に電気的に接続されている。
【0042】
この実施形態では、アンテナユニット152の接続端子部160と装置本体102Hの接続端子部162とが、例えばケーブルから構成される接続部材164を介して電気的に接続される。接続部材164の一端部には接続端子部166が設けられ、この接続端子部166をユニット側接続端子部160に着脱自在に装着することによって、接続部材164の一端側がアンテナユニット152に接続される。また、接続部材164の他端部には接続端子部168(第2端子部を構成する)が設けられ、この接続端子部168を装置本体側の接続端子部162に接続することによって、接続部材164の他端側が装置本体102Hに接続される。
【0043】
この探査装置では、アンテナユニット152を装置本体102Hの底部に着脱自在に装着することによって、通常の探査装置として用いられ、装置本体102Hを例えばコンクリートの表面に沿って移動させることによって、このコンクリート中に隠蔽された隠蔽物(例えば、配管など)を上述したようにして探知することができる。また、アンテナユニット152を装置本体102Hから取り外し例えばコンクリートの表面に沿って移動させることによって、このコンクリート中の隠蔽物を探知することができる。このとき、コンクリート表面に沿って移動させるのはアンテナユニット152のみであるので、比較的狭いスペースでもアンテナユニット152を移動させて探査することができる。また、このようにアンテナユニット152を装置本体102に着脱自在にするとともに、両者を相互に解除自在に接続される接続端子部162,168を介して接続することによって、アンテナユニット152を容易に交換することが可能となり、送信用アンテナ体122及び受信用アンテナ体124の配置関係の異なる複数種のアンテナユニット152(例えば、図5(a)〜(c)及び図6(a)〜(c)に示す各種形態のアンテナユニット)を用意することによって、隠蔽物の探査に最適なアンテナユニットを選択して探知することができ、隠蔽物を正確に探知することが可能となる。
【0044】
この形態では、アンテナユニット152のみを移動させて探査するので、このアンテナユニット152に距離センサ170が装着され、この距離センサ170を用いてアンテナユニット152の移動距離を計測する。このような距離センサ170を設けた場合、距離センサ170は接続部材164を介して信号処理回路130に電気的に接続され、距離センサ170の検知信号が信号処理回路130で所要の通りに処理されて移動距離が演算される。尚、この距離センサ170の具体的構成については、後述する。
【0045】
この実施形態では、接続部材164の一端側がアンテナユニット152に、その他端側が装置本体102Hに着脱自在に接続されるが、このような構成に代えて、接続部材164の一端側についてはアンテナユニット152に固定的に接続し、その他端側のみを装置本体102Hに着脱自在に装着するようにしてもよい。
【0046】
また、図8の実施形態では一種類の接続部材164しか示していないが、図9に示すような比較的短い接続部材(第1接続部材を構成する)と、比較的長い接続部材(第2接続部材を構成する)とを用い、アンテナユニット152を装置本体102Hに装着して探査する場合には、比較的短い接続部材を用いてアンテナユニット152と装置本体102Hを接続し、装置本体102Hから取り外して探査する場合には、比較的長い接続部材を用いてアンテナユニット152と装置本体102Hとを接続するようにしてもよい。
【0047】
次に、図9を参照して、探査装置の更に他の形態について説明する。図9は、更に他の形態の小型探査装置を示す簡略断面図である。図9において、この小型探査装置では、装置本体102Jの底部に内蔵送信用アンテナ体122aと内蔵受信用アンテナ体124aが取り付けられ、これらアンテナ体122a,124aが装置本体102Jの下部(この形態では、その後面下部)に設けられた内蔵アンテナ端子部172に内蔵アンテナケーブル123a,125aを介して電気的に接続されている。また、装置本体102Jの一対の後輪108に関連して距離センサ143が設けられ、この距離センサ143も上記内蔵アンテナ端子部172に電気的に接続され、内蔵送信用アンテナ体122a及び内蔵受信用アンテナ体124aを用いて探査する場合、この距離センサ143により装置本体102Jの移動距離が計測される。
【0048】
この探査装置は、更に、装置本体102Jに外付けで着脱自在に装着される外付けアンテナユニット152Jを含んでいる。外付けアンテナユニット152Jは、図8に示すアンテナユニット152と実質上同一の構成であり、そのユニット体154に設けられた送信用アンテナ取付部156及び受信用アンテナ取付部158に外付け送信用アンテナ体122b及び外付け受信用アンテナ体124bが取り付けられている。この外付けアンテナユニット152Jの上端面には外付けアンテナ端子部160が設けられ、これらアンテナ体122b,124bが外付けアンテナ端子部160に外付けアンテナケーブル123b,125bを介して電気的に接続されている。また外付けアンテナユニット152Jにも距離センサ170が装着され、この距離センサ170が外付けアンテナ端子部160に電気的に接続されている。外付けアンテナユニット152Jを用いて探査する場合、この距離センサ170を用いて外付けアンテナユニット152Jの移動距離が計測される。
【0049】
また、装置本体102Jの一部(この実施形態では、その後面)には装置側接続端子部162が設けられ、この接続端子部162が内蔵接続ケーブル127,129,131を介して送信パルス発信器126、高周波増幅器128及び信号処理回路130に電気的に接続されている。
【0050】
この実施形態では、外付けアンテナユニット152Jを用いて探査する場合、図9に実線で示すように、外付けアンテナユニット152Jが比較的長い接続部材164a(第2接続部材)を介して装置本体102Jに電気的に接続される。即ち、接続部材164aの一端側の接続端子部166aが外付けアンテナユニット152Jの外付けアンテナ端子部160に、またその他端側の接続端子部168aが装置本体102Jの装置側接続端子部162に電気的に接続され、装置本体102J側の送信パルス発信器126が外付け送信用アンテナ体122bに、高周波増幅器128が外付け受信用アンテナ体124bに、また信号処理回路130が距離センサ170に接続部材164aを介して電気的に接続される。従って、外付けアンテナユニット152Jを例えばコンクリート表面に沿って移動させることによって、コンクリート中の隠蔽物を探知することができ、アンテナユニット152Jを移動させるので狭い場所でも容易に探査することが可能となる。このとき、装置本体102Jの内蔵アンテナ端子部172には何も接続されず、従って、内蔵送信用アンテナ体122a及び内蔵受信用アンテナ体124aは外付け送信用アンテナ体122b及び外付け受信用アンテナ体124bから完全に分離され、使用しないアンテナ体122a,124aによる悪影響を解消することができる。
【0051】
一方、内蔵アンテナ体122a,124aを用いて探査する場合、図9に二点鎖線で示すように、装置本体102Jの内蔵アンテナ端子部172が比較的短い接続部材164b(第1接続部材)を介して装置本体102Jの接続端子部162に電気的に接続される。即ち、接続部材164bの一端側の接続端子部166bが装置本体102Jの下側の内蔵アンテナ端子部172に、またその他端側の接続端子部168bが装置本体102Jの上側の装置側接続端子部162に電気的に接続され、装置本体102J側の送信パルス発生器126が内蔵送信用アンテナ122aに、高周波増幅器128が内蔵受信用アンテナ体124aに、また信号処理回路130が距離センサ143に接続部材164bを介して電気的に接続される。従って、装置本体102Jを例えばコンクリート表面に沿って移動させることによって、コンクリート中の隠蔽物を探知することができる。このとき、外付けアンテナユニット152Jは装置本体102Jとは完全に分離され、外付けアンテナ体122b,124bによる悪影響を解消することができる。
【0052】
このように種類の異なる接続部材164a,164bを用いる場合、送受信される電磁波の伝搬時間の差が所定時間となるようにそれらの長さを設定するのが望ましく、このようにすることによって、内蔵アンテナ体122a,124a及び外付けアンテナ体122b,124bを用いた場合において、用いるアンテナ体に関係なく隠蔽物の探査を所要の通り行うことができる。図9の実施形態においては、内蔵アンテナ体122a,124aを用いる場合の電磁波の伝搬距離、即ち内蔵接続ケーブル127,129、接続部材164b及び内蔵アンテナケーブル123a,125aの合計長さと、外付けアンテナ体122b,124bを用いる場合の電磁波の伝搬距離、即ち内蔵接続ケーブル127,129、接続部材164a及び外付けアンテナケーブル123b,125bの合計長さとが、電磁波の伝搬時間の差が所定時間となるように設定される。
【0053】
尚、接続部材164bは必ずしも必要なものではなく、接続端子部を有する基板でもよい。また、例えば図10に示すように構成することによって、この接続部材164bを省略することもできる。図10において、この変形形態では、装置本体側の接続端子部162が装置本体102Jに固定的に取り付けられておらず、所定範囲において移動可能に、即ちフリーの状態で支持されている。内蔵接続ケーブル127,129,131を外側に引っ張ってこの接続端子部162を図10に示すように装置本体102J外に引き出して内蔵アンテナ端子部172(この接続端子部172は接続部材164aの接続端子部168aにも接続可能である)に直接的に接続することができ、このようにすることによって短い接続ケーブル164bを省略することができる。
【0054】
アンテナユニット152(152J)に装備される距離センサ170は、例えば、図11〜図13に示すように構成することができる。図11(a)及び(b)は、第1の形態のアンテナユニット152Aを示し、この第1の形態では、送信用アンテナ体122と受信用アンテナ体124との間にある程度の間隔が存在し、距離センサ170はこれらアンテナ体122,124の間に配設される。図11(a)及び(b)において、ユニット体154Aの長手方向中央部には従動輪182が回転自在に装着され、この従動輪182はユニット体154Aの底壁に形成された開口を通して下方に幾分突出し、この従動輪182に関連して距離センサ170が配設されている。距離センサ170は、周方向に多数のスリットが設けられたスリットプレート184と、スリットプレート184の片側に配設された発光素子とその他側に配設された受光素子との組合せから構成された光センサ186、例えばフォトインタラプタとから構成され、スリットプレート184が従動輪182と一体的に回動される。
【0055】
このアンテナユニット152Aにおいては、探査のために所定方向に移動すると、この移動によって従動輪182が従動し、この従動によりスリットプレート184が回動する。そして、発光素子と受光素子との間にスリットプレート184のスリットが位置すると、発光素子からの光がこのスリットを通して受光素子に受光され、受光素子はパルス信号を生成する。従って、受光素子が生成するパルス信号の数をカウントすることによって、アンテナユニット152Aの移動距離を計測することができる。
【0056】
図12は、第2の形態のアンテナユニット152Bを示し、この第2の形態では、送信用アンテナ体122と受信用アンテナ体124との間に間隔がほとんど存在せず、距離センサ170は送信用アンテナ体122(又は受信用アンテナ体124)の外側に配設される。図12において、ユニット体154Bの長手方向両端部には従動輪182が回転自在に装着され、一対の従動輪182はユニット体154Bの底壁より下方に幾分突出し、一対の従動輪182の一方(この形態では、図12において左側)に関連して距離センサ170が配設されている。距離センサ170は、図11と実質上同一で、スリットプレート184及び光センサ186から構成され、スリットプレート184が一方の従動輪182と一体的に回動し、光センサ186がユニット体154Bの天壁内面に取り付けられ、発光素子がスリットプレート184の片側に、受光素子がスリットプレート184の他側に配置される。このような形態のアンテナユニット152Bにおいても、距離センサ170によりアンテナユニット152Bの移動距離を計測することができる。
【0057】
図13は、第3の形態のアンテナユニット152Cを示し、この第3の形態では、送信用アンテナ体122と受信用アンテナ体124との間に間隔がほとんど存在せず、距離センサ170は送信用アンテナ体122(又は受信用アンテナ体124)の上方に配設される。図13において、ユニット体154Cの長手方向両端部には従動輪182が回転自在に装着され、一対の従動輪182の一方(この形態では、図13において左側)に関連して距離センサ170が配設されている。距離センサ170は、図11と実質上同一で、スリットプレート184及び光センサ186から構成され、スリットプレート184及び光センサ186がユニット体154Cの天壁内面に取り付けられ、光センサ186の発光素子がスリットプレート184の片側に、受光素子がスリットプレート184の他側に配置される。また、一方の従動輪182とスリットプレート184との間にはギア機構、例えばフェースギア機構192が配設され、従動輪182からの駆動力がフェースギア機構192の第1ギア194(従動輪182と一体的に回動する)及び第2ギア196(スリットプレート184と一体的に回動する)を介してスリットプレート184に伝達され、スリットプレート184として径の大きなものを用いることができる。このような形態のアンテナユニット152Cにおいても、距離センサ170によりアンテナユニット152Cの移動距離を計測することができる。
【0058】
探査装置を用いた探査実験
上述した探査装置の効果を確認するために、次の通りの探査実験を行った。まず、図14に示す通りのコンクリートサンプル202を製作し、このコンクリートサンプル202に隠蔽物として、直径20mmの金属管204、直径15mmの水入り樹脂管206、直径30mmの水入り樹脂管208及び直径25mmの水入り樹脂管210をコンクリートサンプル202の表面から約50mmの位置に埋め込んだ状態で設けた。このコンクリートサンプル202の幅Wは30cmであり、サンプル202上を走査した距離Lは約40cmであった。探査装置として図2〜図4に示す形態のものを用い、矢印212で示す方向に探査を行った。このとき、送信用アンテナ体214及び受信用アンテナ体216は、図15に示す配置状態(これらアンテナ体214,216を結ぶ仮想直線が偏波方向に対して垂直な方向となるように配置し、それらの間隔がゼロ(零)となるように配置する)にして探査を行った。この探査実験の結果、図16に示す通りの探査画像が得られた。図16において、探査画像の時間帯Wdに存在する白い領域は送信用アンテナ体214から受信用アンテナ体216に直接的に伝わる直接波であり、時間帯Wrに存在する小さい円弧状の4つの領域が隠蔽物である管204〜210からの反射波(探知波)であり、これら管204〜210の位置に対応している。図16の探査画像においては、時間帯Wdと時間帯Wrとの間の時間帯に直接的に入力される入力電磁波の領域が存在している。この領域は上記直接波の影響によるノイズ成分であり、探知信号に多くのノイズ成分が重畳していることを示し、このノイズ成分によって反射波が見え難くなっている。
【0059】
次に、上述したと同様のコンクリートサンプル202を使用し、探査装置として図2〜図4に示す形態のもので、送信用アンテナ体214及び受信用アンテナ体216の配置関係が異なるものを用いて同様に矢印212で示す方向に探査を行った。このとき、送信用アンテナ体214及び受信用アンテナ体216は、図17に示す配置状態(これらアンテナ体214,216を結ぶ仮想直線が偏波方向と一致するように配置し、それらの間隔L1が2cmとなるように配置する)にして探査を行った。この探査実験の結果、図18に示す通りの探査画像が得られた。図18において、探査画像の時間帯Wdに存在する領域は送信用アンテナ体214から受信用アンテナ体216に直接的に伝わる直接波であり、時間帯Wrに存在する小さい円弧状の4つの領域が隠蔽物である管204〜210からの反射波(探知波)であり、これら管204〜210の位置に対応し、時間帯Wdと時間帯Wrとの間の時間帯において直接的に入力される入力電磁波(ノイズ成分)が少なく、時間帯Wrにおける円弧状の領域が明瞭に現れている。
【0060】
図16と図18との対比から明らかなように、送信用アンテナ体214と受信用アンテナ体216との配置関係を変更することによって、受信用アンテナ体216の受信信号に含まれるノイズ成分が大きく変動し、これらアンテナ体214,216を所定の配置関係に保持することによって探査信号に含まれるノイズ成分を大幅に低減できることが確認できた。
【0061】
また、図17に示す配置状態で、アンテナ体214,216の間隔L1を変化させた場合におけるS/N比の変化を調べた。アンテナ体214,216の間隔L1を0〜50mmの範囲で変化させたときのS/N比(時間帯Wrにおける振幅値/時間帯Wdにおける振幅値)は、図19に示す通りであった。図19に示すように、アンテナ体214,216の間隔L1が大きくなればなるほどSN比が良くなっていることがわかる。しかしながら、この間隔L1が大きくなりすぎると探査限界との兼ね合わせで感度の良い受信信号が得られなくなる問題があるため、間隔L1の範囲は1〜8cmまでに設定することが望ましい。
【0062】
以上、本発明に従う探査装置の各種実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0063】
探査装置の探査装置本体102Jとアンテナユニット152Jとを接続する接続部材164aは適宜の長さに設定されるが、その使用状態は図20に示すようになり、アンテナユニット152Jを用いて架空配管の下など、狭い場所における探査作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に従う探査装置の構成の概要を示す簡略図である。
【図2】小型探査装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】図2の小型探査装置において、取付ユニットを装置本体に取り付けた状態で示す簡略断面図である。
【図4】図2の小型探査装置において、取付ユニットを装置本体から取り外した状態で示す簡略断面図である。
【図5】図5(a)〜(c)は、それぞれ、種々の異なる形態の取付ユニットを示す斜視図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、それぞれ、更に異なる形態の取付ユニットを示す斜視図である。
【図7】更に異なる他の形態の取付ユニットを示す斜視図である。
【図8】小型探査装置の他の実施形態を示す簡略図である。
【図9】小型探査装置の更に他の実施形態を示す簡略図である。
【図10】小型探査装置の変形形態を示す簡略図である。
【図11】図11(a)及び(b)は、それぞれ、第1の形態のアンテナユニットを示す平面図及び正面図である。
【図12】第2の形態のアンテナユニットを示す正面図である。
【図13】第3の実施形態のアンテナユニットを示す正面図である。
【図14】探査実験に用いたコンクリートサンプルを示す図である。
【図15】送信用アンテナ体及び受信用アンテナ体の配置関係を示す斜視図である。
【図16】図15の配置関係のアンテナ体を用いて探査したときに得られた探査画像を示す図である。
【図17】送信用アンテナ体及び受信用アンテナ体の他の配置関係を示す斜視図である。
【図18】図17の配置関係のアンテナ体を用いて探査したときに得られた探査画像を示す図である。
【図19】送信アンテナと受信アンテナとの離隔距離とS/N比との関係を示す図である。
【図20】探査装置の使用例を示す使用説明図である。
【符号の説明】
【0065】
2,102,102J 装置本体
4 コンクリート
6 信号回路部
8,122,122a,122b 送信用アンテナ体
10,124,124a,124b 受信用アンテナ体
12,126 送信用パルス発生器
14 高周波増幅器
15 配管
16 信号処理手段
114,114A,114B,114C,114D,114E,114F,1 14G 取付ユニット
130 信号処理回路
143,170 距離センサ
152,152A,152B,152C,152J アンテナユニット
160,162,166,166a,166b,168,168a,168b 172 接続端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を送信する送信用アンテナ体と、隠蔽物により反射された電磁波を受信する受信用アンテナ体と、前記受信用アンテナ体により受信した電磁波を所要の通りに処理して隠蔽物の探知信号を生成する信号処理手段と、を具備する探査装置であって、
前記信号処理手段が内蔵された装置本体と、前記装置本体に着脱自在に取り付けられるアンテナユニットとから構成され、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体が前記アンテナユニットに配設され、前記装置本体と前記アンテナユニットとが接続部材を介して接続されていることを特徴とする探査装置。
【請求項2】
前記装置本体には第1端子部が設けられ、前記アンテナユニットには前記接続部材が接続され、この接続部材の先端部に第2端子部が設けられ、前記第1端子部及び前記第2端子部が相互に着脱自在に接続される請求項1に記載の探査装置。
【請求項3】
前記送信用アンテナ体に電磁波を発生するための送信パルス信号を送給するための送信パルス発生器と、前記受信用アンテナ体にて受信した電磁波を増幅するための高周波増幅器を更に備え、前記送信パルス発生器は前記送信用アンテナ体に直接的に取り付けられ、前記高周波増幅器は前記受信用アンテナ体に直接的に取り付けられている請求項1又は2に記載の探査装置。
【請求項4】
前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体の偏波方向が実質上同一方向で、且つ前記送信用アンテナ体と前記受信用アンテナ体とを結ぶ仮想直線が前記偏波方向と実質上一致するように、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体が配置される請求項1に記載の探査装置。
【請求項5】
前記送信用アンテナ体と前記受信用アンテナ体との離隔距離が1〜8cmである請求項4に記載の探査装置。
【請求項6】
前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体の配置関係を変更するための取付ユニットを備えている請求項1に記載の探査装置。
【請求項7】
前記取付ユニットは、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体を第1の配置関係に保つための第1取付部と、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体を前記第1の配置関係と異なる第2の配置関係に保つための第2取付部とを備えている請求項6に記載の探査装置。
【請求項8】
前記取付ユニットを複数個備えており、前記複数個の取付ユニットの一つは、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体を第1の配置関係に保ち、前記複数個の取付ユニットの他の一つは、前記送信用アンテナ体及び前記受信用アンテナ体を前記第1の配置関係と異なる第2の配置関係に保つ請求項6に記載の探査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−232735(P2007−232735A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112046(P2007−112046)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【分割の表示】特願2003−117533(P2003−117533)の分割
【原出願日】平成15年4月22日(2003.4.22)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】