説明

接合材料、接合部及び回路基板

【課題】電子部品を実装する際に、より低い実装温度を達成することができるはんだ材料、はんだペースト及び導電性接着剤を提供する。
【解決手段】はんだ材料は、Sn、Bi及びInからなる基本組成を有するはんだ材料を含んでなる。はんだ材料は、Cu、Ge及びNiの群から選ばれる少なくとも1種の金属を更に含むこともできる。この発明のはんだ材料に対してフラックス成分を配合することによって、低温実装が可能なはんだペーストが得られる。この発明のはんだ材料に対して樹脂成分を配合することによって、低温実装が可能な導電性接着剤が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路基板の部品実装または配線形成に用いるためのはんだ材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を実装するための接合材料には、Sn−Pb系はんだ材料、特に63Sn−37Pb共晶組成(Sn63重量%及びPb37重量%の組成)を有するSn−Pb共晶はんだ材料が一般的に用いられていた。
【0003】
図1に、Sn−Pb系はんだ材料を用いた接合構造の構成を示す概要図を示す。図1において、電子部品電極2と電子回路基板のランド3とは、Sn−Pb系はんだ1によって接合されている。ランド3の構成成分はCuである。Sn−Pb系はんだ1とランド3との接合界面にCu−Sn化合物層4が形成されて、電子部品電極2の電子回路基板への実装が行われている。
【0004】
しかし、近年、電子部品実装において、はんだ付け部の機械的強度向上や熱衝撃強度等の信頼性特性向上への要求が高まってきている。
【0005】
一方、地球環境保護の関心が高まる中、電子回路基板などの産業廃棄物の処理についての法規制も進みつつあり、鉛も世界的に法規制の対象となりつつある。
【0006】
そこで、接合材料も、Sn−Pb系はんだ材料から、鉛を含まないはんだ材料、いわゆる鉛フリーはんだ材料への移行が図られつつある。2種の金属を主成分とする鉛フリーはんだの例には、共晶型合金材料である材料として、Sn−Ag系はんだがある(特許文献1、特許文献2)。
【0007】
但し、Sn−Ag系はんだの融点は、Sn−Pb系はんだの融点(約183℃)と比べて30〜40℃程度高く、それに伴って、はんだ付け温度もSn−Pb系はんだを用いる場合よりも高くなる。そのため、Sn−Ag系はんだを用いると、電子部品を実装する際の実装温度が電子部品の耐熱温度以上になる事態が生じることがあり、そのような場合には電子部品を損傷させ得るという問題点を有していた。
【0008】
そこで、電子部品の熱損傷を軽減又は防止するために、このようなはんだに代わる材料として、硬化温度が鉛フリーはんだの融点より比較的低い導電性接着剤が注目されるようになった(特許文献3)。
【特許文献1】特許第3027441号明細書
【特許文献2】米国特許第5520752号明細書
【特許文献3】特開平10-163605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般的な導電性接着剤は、熱硬化性樹脂の中に導電性フィラーとしてのAgフィラー粒子を分散させて含んでいる。そのような導電性接着剤を用いて電子部品の接合又は配線形成を行った場合に、導電性接着剤が硬化して形成した接合部又は配線の部分は、体積抵抗率にばらつきが生じる傾向があった。また、その体積抵抗率は、バルク金属やSn−Pb系はんだの体積抵抗率よりも高くなる傾向があった。
【0010】
そのような体積抵抗率のばらつきや上昇は、硬化した導電性接着剤中で導通経路を形成するAgフィラー粒子の形状及び向きに起因すると考えられる。Agフィラー粒子は、一般に、微小な寸法のフレーク状ないしロッド状の形状を有している。1つのフィラーの3次元的な形状について、最も大きな寸法の長さ(以下、「最大長さ」とも称する)を有する方向を長軸方向(例えば、z軸方向と仮定する)とすると、その長軸方向に対して直交するいずれかの方向(前記z軸に直交するx−y平面内のいずれかの方向)については、前記最大長さよりも遙かに小さい寸法、例えば、最大長さの1重量%以下、0.1重量%以下又は0.01重量%以下の寸法の長さ(以下、「最小長さ」とも称する)を有している、即ち非常に大きなアスペクト比を有している。
【0011】
図2に、電子部品の電極2と電子回路基板のランド3とを、従来の導電性接着剤によって接合した場合の接合部の顕微鏡観察による断面図を模式的に示す。硬化後の導電性接着剤の中で、Agフィラー粒子は、基本的にその長軸方向が3次元のあらゆる方向を向くように分散されている。電極2とランド3との間の導通経路は、隣り合うAgフィラー粒子が互いに接触し、その接触し合うAgフィラー粒子が更に接触点を延ばして、電極2とランド3との間を架橋し電気的に連絡することによって形成される。
【0012】
この場合に、Agフィラー粒子どうしは点又は比較的小さい面積の面で接触しており、安定した接触面積を確保することは困難であるので、Agフィラー粒子どうしの電気的導通は、Sn−Ag系はんだやバルク金属で接合部を形成する場合の電気的導通と比べて、あまり良好ではない。
【0013】
また、接合部を形成する導電性接着剤におけるAgフィラー粒子全体の中で、導通経路の形成への寄与が低いものの割合が相対的に大きい場合には、その接合部の体積抵抗率はバルク金属やSn−Pb系はんだを用いた場合の体積抵抗率に比べてより高くなり得る。そのために、導電性接着剤によって形成した接合部又は配線部の体積抵抗率にばらつきが生じたり、体積抵抗率が上昇したりすることになると考えられる。
【0014】
このように接合部又は配線部の体積抵抗率がばらついたり上昇したりする傾向があるため、導電性接着剤の用途は限定されていた。
本発明は、このような課題を解決したはんだ材料及び導電性接着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願は第1の発明として、Sn、Bi及びInからなる基本組成を有することを特長とするはんだ材料を提供する。この発明のはんだ材料は、120℃またはそれ以下、好ましくは110℃以下、特に好ましくは100℃以下の低い融点を示すことができる。はんだ材料が特にAgを含まないことによって、そのような特に低い融点を達成することができる。
【0016】
本願は第2の発明として、Sn、Bi及びInからなる基本組成を有するはんだ材料に加えて、フラックス成分を含んでなるはんだペーストを提供する。この発明のはんだペーストは上述したように120℃またはそれ以下の低い融点を示すはんだ材料を含むため、120℃またはそれ以下の低い接合温度を達成することができる。
【0017】
本願は第3の発明として、Sn、Bi及びInからなる基本組成を有するはんだ材料に加えて、フラックス成分及び樹脂成分を含んでなる導電性接着剤を提供する。この発明の導電性接着剤は上述したように100℃以下の低い融点を示すはんだ材料を含むため、120℃またはそれ以下の低い接合温度を達成することができる。使用する樹脂成分を適切に選択することによって、導電性接着剤の接合温度も120℃またはそれ以下の低い温度に設定することができる。
【0018】
本願の各発明に関して、はんだ材料は、Sn−Bi−Inの三元系合金を基本組成として有する。これは、Snに加えて、BiまたはInを単独で含む場合よりも、Bi及びInの両者をそれぞれ所定の割合で含む場合の方が、このはんだ材料を用いて接合部を形成した後に、より高い信頼性と低融点化とを両立させるために好適であることを見出したことに基づいている。従って、Sn−Bi−Inの三元系合金を基本組成とすることによって、上記合金ははんだ材料として低融点化及び伸び特性の向上を達成することができる。
【0019】
はんだ材料がBiを所定の割合で含むと、はんだ材料が固化した後に得られる合金の靱性を特に向上させることができる。合金の靱性が向上すると、この合金による接合部の延び特性(または延性)が向上して、接合部について高い信頼性が得られる。従って、本願のはんだ材料を用いることによって、接合部についての高い信頼性と低融点化とを両立させることができる。Biの含有量は、下限側については、50重量%以上、好ましくは52重量%以上、より好ましくは55重量%以上、更に好ましくは58重量%以上、特に好ましくは58.5重量%以上が好適である。また、Biの含有量の上限側は、70重量%以下、好ましくは65重量%以下、より好ましくは55重量%以下が好適である。Biの含有量の下限側の値を50重量%とするのは、Biの含有量が50重量%よりも小さいと、低融点化の効果が十分に得られないためである。また、Biの含有量の上限側の値を70重量%とするのは、Biの含有量が70重量%を超えると、延び特性を向上する程度が低下するためである。
【0020】
はんだ材料がInを所定の割合で含むと、はんだ材料が固化した後に得られる合金の靱性を特に向上させることができる。合金の靱性が向上すると、この合金による接合部の延び特性(または延性)が向上して、接合部について高い信頼性が得られる。従って、本願のはんだ材料を用いることによって、接合部についての高い信頼性と低融点化とを両立させることができる。Inの含有量は、下限側については、10重量%以上、好ましくは15重量%以上、より好ましくは17.5重量%以上が好適である。また、Inの含有量の上限側は、25重量%以下、好ましくは24.5重量%以下、より好ましくは24重量%以下が好適である。また、場合によっては、Inの含有量の上限側を15.5重量%として、下限側はそれよりも小さい数値、例えば10重量%とすることもできる。Inの含有量の下限側の値を10重量%とするのは、Inの含有量が10重量%よりも小さいと、低融点化の効果が十分に得られないためである。また、Inの含有量の上限側の値を25重量%とするのは、Inの含有量が25重量%を超えると、延び特性を向上する程度が低下するためである。
【0021】
本願のはんだ材料の基本組成については、BiまたはInを単独で含む場合よりも、Bi及びInの両者をそれぞれ所定の割合で含む場合の方が、接合部についての高い信頼性と低融点化とを両立させるために好適であることを見出した。具体的には、基本組成中におけるIn含量の重量%値を[In]とし、Bi含量の重量%値を[Bi]とし、Sn含量の重量%値を[Sn]とすると、本願のはんだ材料は、50.0≦[Bi]≦70.0 、および10.0≦[In]≦24.5 、および残部の[Sn]の組成を有することが最も好ましい。
【0022】
本発明のはんだ材料として好ましい1つの態様では、基本組成中におけるIn含量[In]及びBi含量[Bi]に注目して、[In]を縦軸にとり、[Bi]を横軸にとって、[In]を[Bi]の関数とするグラフを描いた場合に、10.0≦[In]≦24.5及び50.0≦[Bi]≦70.0である領域(A)と、式(1):
5[Bi]+3[In] ≧ 291・・・(1)
で示される領域とが重なり合う領域の中に、In含量[In]及びBi含量[Bi]が含まれる場合が、本発明のはんだ材料として好適であることを、発明者は見出した。この場合にも、残部は[Sn]である。
この考え方を示すグラフを、図5に示す。
【0023】
図5に示すグラフにおいて、長方形の枠によって囲まれている領域が上記の領域(A)である。また、図5に示すグラフに示す直線は、式(2):
5[Bi]+3[In] = 291・・・(2)
で示される、[In]を[Bi]の関数として表されるグラフである。この式(2)で示される直線は、以下の実施例の部において説明するように実験によって得られた。
【0024】
発明者は、[In]及び[Bi]が、式(2)で示される直線の右上側の領域に含まれる例(本願発明の実施例)は、式(2)で示される直線の左下側の領域に含まれる例(本願発明の比較例)と対比した場合に、より好適な特性を示すことを見出した。従って、1つの態様において、本願のはんだ材料の基本組成として好ましい領域は、図5に示すグラフにおいて、長方形の枠によって囲まれている領域(A)と、式(1):
5[Bi]+3[In] ≧ 291・・・(1)
で示される領域(B)とが重なり合う領域の中に、[In]及び[Bi]が含まれる場合であると表現することもできる。
【0025】
上述のように、はんだ材料がSn−Bi−Inの三元系合金の組成を有する場合に、その組成についてBi及びInの含有量を特定の数値に規定したときは、その残部が実質的なSnの含有量となることに注意されたい。ここで、「実質的な」と表現するのは、はんだ材料のための実用的な材料は、それぞれ所定のレベルで不純物を含み得るため、三成分の含有量の総和が必ずしも100%にならない場合もあり得るということを意味する。
【0026】
本発明のはんだ材料は、上記の基本組成に加えて、Cu、Ge及びNiの群から選ばれる少なくとも1種の金属を更に含むことができる。Cu、Ge及びNiは、合金の機械的特性向上を目的に添加している。
【0027】
はんだ材料中のCuの含有量は、0.1〜1.0重量%の範囲が好ましく、0.5〜0.7重量%のCu含有量がより好適である。はんだ材料中のCu含有量を0.1〜1.0重量%としたのは、0.1重量%よりも少量であれば、その機械的特性に対して有意の効果が認められないためであり、1.0重量%を超えると合金がより脆くなる傾向を示すようになり、機械的特性に関して好ましくないためである。
【0028】
はんだ材料中のGeの含有量は、0.001〜0.1重量%の範囲が好ましく、0.001〜0.01重量%のGe含有量がより好適である。はんだ材料中のGe含有量を0.001〜0.1重量%としたのは、0.001重量%よりも少量であれば、機械的特性に対して有意の効果が認められないためであり、0.1重量%を超えると合金の融点が急激に上昇するためである。
【0029】
はんだ材料へのNiの添加は、Snの酸化抑制を目的としている。はんだ材料中のNiの含有量は、0.001〜0.1重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、更により好ましくは0.05重量%以上であって、0.1重量%以下の範囲が好適である。はんだ材料中のNi含有量を0.001〜0.1重量%としたのは、0.01重量%よりも少量であれば、Sn酸化抑制について有意の効果が認められないためであり、1.0重量%を超えるとNi酸化膜を生じることによって融点が上昇し、Sn酸化抑制について有意の効果が得られないためである。
【0030】
これらのはんだ材料には、種々の粒子状の形態を有するものを用いることができる。例えば、3次元方向の寸法が同程度である粒状ないし塊状の形態、2次元方向の寸法が残りの1次元方向の寸法よりも大きい寸法を有する板状ないし盤状ないしフレーク状の形態、1次元方向の寸法が他の2次元方向の寸法よりも大きい寸法を有する棒状ないし針状ないし線状の形態を有することができる。このような種々の粒子状の形態のはんだ材料は、はんだペースト組成物または導電性接着剤組成物中にも分散させて用いられる。はんだ材料の平均粒子径は、5〜30μmである。
【0031】
本願第2及び第3の発明に関して、フラックス成分としては、JIS Z3283に記載されているようなロジン又は変性ロジンを主剤とし、所望により活性化成分としてアミンのハロゲン塩、有機酸若しくはアミン有機酸塩を含むものを用いることができる。また、フラックス成分は、溶媒としてC−C程度のアルコールを含むこともある。はんだペースト中のはんだ材料とフラックス成分との割合は、はんだペーストの用途、はんだ材料の組成、フラックス成分の種類などに適合させて適切な範囲から選択することができ、一般に、はんだペースト全体の重量に対して、はんだ材料が85〜95重量%、特に88〜93重量%であることが好ましい。はんだの割合が85重量%未満では、ぬれ性が悪く、接合信頼性も悪くなり、95重量%を超えると、フラックス成分中に十分に混ざらないためである。
【0032】
本願第3の発明に関して、樹脂成分としては、当業者に既知の種々の硬化性樹脂、例えば熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、種々の波長の電磁波による硬化性樹脂等を用いることができる。尤も、はんだ材料を溶融させることから、熱硬化性樹脂が好ましい。本発明では、熱硬化性樹脂として、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を用いることができるが、好ましい熱硬化性樹脂はエポキシ系樹脂である。エポキシ系樹脂は一液硬化型、二液硬化型など種々のものを用いることができるが、一液硬化型のものが好ましい。また、本願の第1の発明に用いる樹脂成分が硬化性樹脂である場合には、基本的に当業者に既知の硬化性樹脂の系(特定の硬化性樹脂及びその硬化に必要とされる特定の種類の硬化剤等を必要な量で含む系)を樹脂成分に含めて用いる。
【0033】
導電性接着剤組成物全体に対するはんだ材料の重量の割合は、導電性接着剤の用途、はんだ材料の種類、樹脂成分の種類などに適合させて適切な範囲から選択することができる。但し、導電性接着剤組成物全体に対して、はんだ材料が70〜90重量%、特に80〜85重量%であることが好ましい。はんだ材料の割合が70重量%未満では、硬化後に十分な導電性が得られず、90重量%を超えると、導通経路のまわりを樹脂によって十分に包囲できなくなり得るためである。
【0034】
第3の発明の導電性接着剤を用いて電子部品の接合又は配線形成を行う場合には、使用するはんだ材料中に、実装温度にて溶融しないAgフィラー粒子等の金属材料を含まないため、溶融しない金属成分の粒子の寸法、形状及び向きによって接合部の体積抵抗率が変動する可能性を実質的に排除することができる。
【0035】
更に、このはんだ材料が溶融して得られる合金は、従来の鉛フリーはんだ材料やSn-Pb系はんだ材料よりも低い融点を示すので、より低い実装温度を達成することができる。
【0036】
図3に、本願第3の発明の導電性接着剤を用いて、電極2とランド3とを接合した場合の接合部の顕微鏡観察による断面図を模式的に示す。硬化した導電性接着剤中でのはんだ材料は、使用前の粒子状の形態を残しておらず、電極2とランド3との間で、例えばランド3側から電極2へ向かって電極2に達するまで、ブロック状の塊を不規則的に積み重ねたように連絡して延びる導通経路を形成している。この導通経路は、樹脂の中に分散されていたはんだ材料の粒子が熱によって溶融して液状となり、液状化したはんだ材料どうしが互いに合一化及び連絡し合い、流体が流通し得る流路の形状を保持したまま凝固することによって、樹脂媒体中ではんだ材料がその流路の形状に基づく3次元的ネットワークを形成したものであると考えることができる。従って、この導通経路は、ブロック状の塊どうしが点や比較的小さい面積の面で接触するのではなく、液状化したはんだ材料の流路の形状に基づく3次元的ネットワークによって形成されているので、電極2とランド3との間にははんだ材料の充填密度が非常に高い導通経路が多数形成されている。
【0037】
このように本願の発明の導電性接着剤は、はんだ材料として低融点合金を用いることにより、導電性接着剤の加熱硬化過程において、比較的低い温度にてはんだ材料自体を溶融させることができる。この出願の導電性接着剤は、例えば図3に示すように、所定のランド3と電極2との間に所定量で適用された場合に、樹脂中に分散された状態で溶融したはんだ材料どうしが集まり合って一体化することによって、実質的に金属接合又は金属結合を形成して、ランド3と電極2との間を連絡することができる。その後、接着剤を硬化させると、はんだ材料によって形成される合金の金属塊(インゴット)によって形成された導通経路を得ることができる。このように導通経路がランド3と電極2との間を実質的に切れ目のない金属塊によって形成されているので、本発明の導電性接着剤を用いることによって、バルク金属並みでかつ安定した体積抵抗率を提供することができる。
【0038】
尚、本願の発明の導電性接着剤を用いて、電子回路基板の配線を形成する場合には、図3における電極2は存在しないが、基板上に未硬化の導電性接着剤組成物を所定のパターンにて塗布して加熱硬化させることによって、溶融した状態のはんだ材料がそのパターンに従って合一化及び連絡し合い、その形状を保持したまま固化するので、図3に示す例と同様に、実質的に切れ目のない金属塊の配線パターンが基板上に形成される。従って、この場合にも、本発明の導電性接着剤を用いることによって、バルク金属並みでかつ安定した体積抵抗率を提供することができる。
【0039】
本願は更に、樹脂成分が、第1の成分として硬化性樹脂を含み、第2の成分として還元性を有する樹脂を含む導電性接着剤の発明を提供する。尚、この発明の導電性接着剤としては、樹脂成分が還元性を有する樹脂である態様、場合によっては樹脂成分が還元性を有する樹脂のみである態様も含むことができる。硬化性樹脂及びはんだ材料については上述した本願の第1の発明と同様のものを用いることができる。
【0040】
例えば、導電性接着剤を用いて電子部品を実装する場合に、加熱硬化過程においてはんだ材料の金属粒子が加熱されると、場合によって、はんだ粒子が溶融するよりも先に、はんだ粒子表面が酸化されてしまい、その結果、はんだ粒子の表面に酸化膜が形成されることがある。はんだ粒子の表面に生じた酸化膜は、はんだ粒子の溶融を妨害する一種の保護膜となって、導電性接着剤の加熱硬化過程における所定の温度ではんだ材料が溶融することを妨害し得る。その結果、加熱硬化過程を経た後に、十分に溶融し得なかったはんだ粒子が残り得る。
【0041】
このような場合に、本願の発明に係る導電性接着剤を用いると、導電性接着剤中に還元性のある樹脂成分が存在しているので、加熱硬化過程中でも導電性接着剤組成物内をある程度還元性雰囲気に保つことができる。そのため、加熱硬化過程においてはんだ粒子の表面に酸化膜が生じることを実質的に防止することができる。加熱硬化過程中におけるはんだ粒子表面の酸化を防止することによって、加熱硬化過程におけるはんだ材料の溶融不良を防止することができる。
【0042】
1つの形態において、還元性のある樹脂はカルボキシル基を有する化合物、例えばカルボン酸を含むことが好ましい。樹脂中にそのような化合物を加えることによって、低融点金属の酸化膜を除去し(従って低融点金属の表面に酸化膜が生成することを防止し)、溶融し易くするため還元剤としての作用を発現させることができる。尚、そのような化合物には、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、脂環式カルボン酸等の種々のカルボン酸を用いることができる。そのような化合物の例として、アジピン酸、アビエチン酸、アスコルビン酸、アクリル酸、クエン酸、ポリアクリル酸、リンゴ酸、ピメリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、セバシン酸、スベリン酸、マレイン酸、コハク酸、アゼライン酸、フマル酸、グルタル酸、マロン酸等を挙げることができる。また、そのカルボン酸は、Na、Ag、Cu、K等の金属塩の形態であることが好ましい。
【0043】
もう1つの形態において、第3の樹脂成分として、金属を含む有機化合物を含有することが好ましい場合がある。常温では、金属は遊離することなく安定に有機化合物と化合又は結合しているが、加熱されると金属が有機化合物から遊離又は遊離過程となり、遊離した金属が樹脂の硬化反応を促進するようになる。その結果、短時間硬化及び保存安定性を両立させる硬化剤としての作用を果たすことができる。尚、そのような金属は、Na、Ag、Cu及びKの群の少なくとも1種であることが好ましい。
【0044】
もう1つの形態において、金属を含む有機化合物がカルボキシル基やアミノ基を含むことが好ましい場合がある。この場合には、カルボキシル基やアミノ基に由来する還元剤としての作用と、金属を含む有機化合物に由来する硬化剤としての作用とが、加熱硬化過程において相乗的に発揮され、良好な還元剤として作用させることができる。
【0045】
本願の第3の発明に関して、導電性接着剤組成物全体の重量に対するはんだ材料の重量の割合は、第2の発明の場合と同様であってよい。樹脂成分中において、第1の樹脂成分と第2の樹脂成分との重量の割合は、90:10〜10:90の範囲、特に50:50〜80:20の範囲が好ましい。また、はんだ材料に対する樹脂成分の割合は、20重量%以下が好適である。20重量%を超えると、還元剤及び/又は硬化剤としての作用にそれ以上の変化は認められないためである。尚、上記の効果が認められるためには、樹脂成分の割合は10重量%以上であることが好ましい。尚、第2の樹脂成分が硬化剤として作用する場合には、第1の樹脂成分に用いる硬化剤の使用量を減らすこともできる。
【0046】
本件明細書に記載の発明は以下の[1]〜[10]を含み得る。
[1]
Sn、Bi及びInからなる基本組成を有し、50〜70重量%のBi、10〜24.5重量%のIn及び残部のSnを含むことを特長とするはんだ材料。
[2]
基本組成中におけるIn含量の重量%値[In]を縦軸にとり、基本組成中におけるBi含量の重量%値[Bi]を横軸にとって、In含量[In]をBi含量[Bi]の関数とするグラフを描いた場合に、
10.0≦[In]≦24.5及び50.0≦[Bi]≦70.0で示される領域(A)と、
5[Bi]+3[In] ≧ 291・・・(1)
で示される領域(B)とが重なり合う領域の中に、In含量[In]及びBi含量[Bi]が含まれること、並びに、残部はSnであることを特長とする上記[1]に記載のはんだ材料。
[3]
前記基本組成100部に対して、0.1〜1.0重量部のCu、0.001〜0.1重量部のGe及び0.001〜0.1重量部のNiの群から選ばれる少なくとも1種の金属を更に含む組成を有することを特長とする上記[1]又は[2]に記載のはんだ材料。
[4]
上記[1]〜[3]のいずれかに記載のはんだ材料に加えて、更にフラックス成分を含んでなることを特長とするはんだペースト。
[5]
上記[1]〜[3]のいずれかに記載のはんだ材料に加えて、フラックス成分及び樹脂成分を含んでなることを特長とする導電性接着剤。
[6]
樹脂成分は、第1の成分として硬化性樹脂を含むことを特長とする上記[5]記載の導電性接着剤。
[7]
樹脂成分は、第2の成分として還元性を有する樹脂を含むことを特長とする上記[6]記載の導電性接着剤。
[8]
樹脂成分の第2の成分はカルボキシル基を有することを特長とする上記[7]記載の導電性接着剤。
[9]
上記[1]〜[3]のいずれかに記載のはんだ材料、上記[4]に記載のはんだペースト及び上記[5]〜[8]のいずれかに記載の導電性接着剤のいずれかを接合材料として用いたことを特長とする部品接合部。
[10]
上記[9]に記載の部品接合部を有することを特長とする回路基板。
【発明の効果】
【0047】
本願のはんだ材料に係る第1の発明は、Sn、Bi及びInからなる基本組成を有するはんだ材料を採用することによって、120℃またはそれ以下の低い融点を示すことができる。更に、このはんだ材料は、硬化後において、少なくとも80%またはそれ以上、好ましくは85%またはそれ以上、より好ましくは90%またはそれ以上、特に好ましくは95%またはそれ以上という範囲の非常に大きな伸び特性を示すことができる。従って、本願のはんだ材料を用いると、実質的に120℃またはそれ以下の接合温度、従って実装温度を達成することができる。更に、硬化後において、大きな伸び特性を示すため、ストレスに強く、信頼性の高い接合部を形成することができる。
【0048】
本願のはんだペーストに係る第2の発明は、上記第1の発明のはんだ材料にフラックス成分を加えてなるため、120℃またはそれ以下の接合温度、従って実装温度を達成することができる。更に、硬化後において、はんだ材料が大きな伸び特性を示すため、ストレスに強く、信頼性の高い接合部を形成することができる。
【0049】
本願の導電性接着剤に係る第3の発明は、上記第1の発明のはんだ材料に、好適な樹脂成分を加えてなるため、120℃またはそれ以下の接合温度及び120℃程度の硬化温度、従って120℃程度の実装温度を達成することができる。更に、硬化後において、はんだ材料が大きな伸び特性を示すため、ストレスに強く、信頼性の高い接合部を形成することができる。
【0050】
更に、はんだ材料は、加熱過程において十分に溶融した後に硬化するので、実質的に切れ目のない金属塊によって導通経路を形成することができる。従って、本発明のはんだペースト及び導電性接着剤を含めて、本発明のはんだ材料を用いた接合部はバルク金属並みでかつ安定した体積抵抗率を実現することができる。
【0051】
本発明の導電性接着剤は、導電性接着剤中に還元性のある樹脂または硬化剤成分(第2の樹脂成分)を配合することにより、加熱硬化過程で低融点金属が酸化されることによる溶融不良を防止することができる。更に、第2の樹脂成分を加えることによって、低融点の合金をその融点にて十分に溶融させることができるので、この導電性接着剤は比較的低い実装温度で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】従来の電子部品電極の構成を示す概要図である。
【図2】従来の導電性接着剤硬化後のAgフィラー構造を示す模式図である。
【図3】本発明の導電性接着剤硬化後のはんだ構造を示す模式図である。
【図4】繰り返し曲げ強度試験の説明図である。
【図5】In含量[In]を縦軸にとり、Bi含量[Bi]を横軸にとって、[In]及び[Bi]に基づいて実施例及び比較例の組成を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
(第1の実施形態)
本発明の第1の形態において、表1の実施例1〜20及び比較例1〜6にそれぞれ対応する組成を有するはんだ材料について、はんだの融点及び伸びを測定した。
【0054】
融点は、示差熱分析装置を用いて測定した。
伸びは、JIS Z2241(金属材料引張試験方法)に従って測定した。伸び(%)の値は、JIS Z2241の中の破断伸び(%)についての測定値である。
【0055】
また、上記の各実施例に対応する組成のはんだ材料を用いて、はんだペーストを作製した。また、はんだ材料には、工業的に一般的に入手できる粉末ないしフレーク形態の金属微粒子を用いることができる。はんだ材料90重量%にフラックス(ロジン系フラックス)を10重量%を配合したはんだ成分のはんだペーストを調製した。
【0056】
(繰り返し曲げ強度の測定)
また、繰り返し曲げ強度は、以下のようにして測定した。図4左図に示すように、相互に対応する接点を有する2枚のフレキ基板(厚さ0.08mm、長さ30mm、幅20mm)を用意し、フレキ基板の重ね代(接合部の長さ)を5mmとして、一方のフレキ基板の接点部分に本発明のはんだペーストを適量で印刷した。それから、対応する接点どうしを対向させて重ね合わせた後、はんだ付けピーク温度を融点+10℃とし、融点以上を20秒確保した加熱過程に従って加熱処理を行い、2枚のフレキ基板の接合を行った。
【0057】
2枚のフレキ基板の接合部の上にR(半径)=1.0mmのステンレス棒を置いて、接合部を上方から押さえて固定した後、図4左図に示すように、上側の基板を、下側の基板の端部を延長した方向に延びる水平な姿勢から、その棒で押さえた部分を支点としてほぼ垂直上向きの姿勢(図4右図)へ曲げた後、再度水平な姿勢へ戻すという曲げ延ばしを繰り返した。曲げて延ばす1往復の動作を1回とカウントした。接合部に破断が生じるまで曲げ延ばしを繰り返し、破断が認められるに至るまでの回数を表1に示している。また、はんだ成分毎の伸びも調べた。
【0058】
表1から判るように、SnにBi及びInを添加することにより、従来のSn-BiやSn-Inに対して繰り返し曲げ強度は向上している。また、Cu、Ge、Niを添加することにより溶融温度はやや低下し、機械的強度も向上している。
【0059】
このように繰り返し曲げ強度が向上するのは、本発明の範囲において、合金の伸びが著しく向上しているためである。これは、超塑性と呼ばれる現象である。超塑性現象を示さない低温のはんだでは、機械的強度が比較的低く、実用化には、強度向上が課題であったが、低温はんだでも、伸びが著しく向上する組成範囲を選ぶことにより、機械的特性を飛躍的に向上させることが可能になった。従って、ストレスに強く、信頼性の高い接合部を形成することができた。
【0060】
(表1)はんだ成分と接合特性(はんだ:フラックス=90wt%:10wt%)
【表1】

【0061】
図5において、上記表1の実施例1〜14の各例に対応する点(表の第2列に示す点a〜n)をそれぞれ○印の点a〜nとして示しており、同じく表1の比較例1〜6の各例に対応する点をそれぞれ×印の点p〜uとして示している。○印の組成は、硬化後において、少なくとも80%またはそれ以上という伸び特性と、120℃またはそれ以下という低い融点という2つの特性を同時に達成した組成であった。これに対して、×印の組成は、低融点または伸び特性のいずれか一方を達成しても、他方を達成することができなかった組成であった。尚、実施例15〜20は、基本組成以外の第4の成分を含んでいるため、図5に示していない。点a〜nはすべて、上述した10.0≦[In]≦24.5及び50.0≦[Bi]≦70.0の範囲の長方形の領域(A)の中に収まっている。また、点p〜uはいずれも領域(A)には含まれていない。
【0062】
ここで、本願発明のはんだ材料がSn−Bi−Inの三元組成を有しており、BiおよびInの両者を所定の割合で含むことが好ましいことと、図5において点p〜uが一定の傾きを有する直線上にある点の群と捉えることができること、ならびに、点a〜fおよび点jも一定の傾きを有する直線上にある点の群と捉えることができることを、発明者は見出した。即ち、Sn−Bi−Inの三元組成において、[Bi]および[In]の和は所定の値以上であることが好ましいと理解することができる。上記式(1)はこのような考え方に基づいて求めた式である。
【0063】
尚、比較例1〜6に対応する組成を示す点p〜uが存在する直線の式は、最小二乗法によって、
5[Bi]+3[In]=286.5・・・(3)
と求めることができた。従って、本願発明のはんだ材料に関して好ましい基本組成のBi含量[Bi]およびIn含量[In]は、この直線(3)を含まない範囲、従って少なくとも
5[Bi]+3[In]>286.5・・・(4)
の範囲にあると表現することもできる。上述した領域(A)と上記式(1)で示される領域とが重なり合う範囲は、この式(4)で示される範囲に含まれる。
また、点aと点eとを結ぶ直線の式は、
2[Bi]+[In]=120・・・(5)
で示されることから、本願発明のはんだ材料の基本組成は、少なくとも
2[Bi]+[In]≧120・・・(6)
で示される領域と上述した領域(A)とが重なり合う範囲であるとすることもできる。
【0064】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態では、上記第1の形態における実施例1〜20及び比較例1〜6に対応する組成を有するはんだ材料を、それぞれ実施例1〜20及び比較例1〜6として用い、更に、Agのみを金属成分とする例を比較例7として用いて、導電性接着剤を作製した。
【0065】
いずれの実施例についても、樹脂として、熱硬化性エポキシ樹脂を使用した。本発明に用いるのに好ましいエポキシ樹脂として、例えば、エピコート828、エピコート807(ジャパンエポキシレジン(JER)製)を、硬化剤として2PHZ(四国化成製)を挙げることができる。また、はんだ材料には、工業的に一般的に入手できる粉末ないしフレーク形態の金属微粒子を用いることができる。各例において、第1の実施形態で作成したはんだペーストを使用した。この樹脂成分15重量%にはんだ成分85重量%を配合して、導電性接着剤組成物を調製した。
【0066】
(導電性接着剤の体積抵抗率の測定)
各実施例に対応する導電性接着剤組成物を直方体の型の中に入れ、その型を温度150℃に保たれた加熱チャンバー内で5分間加熱して、導電性接着剤組成物を硬化させた。その後、室温まで放冷して、体積抵抗率を測定した。体積抵抗率(ρ)の測定値は、試料について抵抗値R、配線長L及び断面積Sを求めた後、式:ρ=R・L/Sに基づいて求めた。
【0067】
(繰り返し曲げ強度の測定)
また、繰り返し曲げ強度は、はんだペーストを用いた場合と同様に測定した。
表2から判るように、SnにBi及びInを添加することにより、導電性接着剤の体積抵抗率はAgのみを用いた比較例よりも比較的大きく低下し、はんだ合金並となっている。また、Cu、Geを添加することにより、繰り返し曲げ強度は向上している。Niを添加することにより溶融温度はやや上昇し、機械的強度も向上している。
【0068】
(表2)はんだ成分と導電性接着剤特性
【表2】

【0069】
(第3の実施形態)
本発明の第3の形態では、上記実施例1で用いたはんだペーストに、表3において実施例21〜25として示す還元性を有する第2の樹脂成分を更に配合して導電性接着剤組成物を調製した。樹脂成分とはんだ材料との重量比を15:85とし、樹脂成分中での第1の樹脂成分と第2の樹脂成分との重量比は80:20とした。
【0070】
第2の成分の還元性を有する樹脂として、アジピン酸、アビエチン酸、アスコルビン酸、アクリル酸、クエン酸、ポリアクリル酸等を用いると、Snを含む合金フィラーの溶融性が向上し、体積抵抗率が低下することが確認された。また、硬化後のフィラーを観察すると、Sn含有フィラーが十分に溶融し、金属的な結合が得られていることが確認できた。
【0071】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の導電性接着剤は、電子部品の接合の用途及び配線形成の用途に有用である。
本発明の導電性接着剤は、硬化温度が鉛フリーはんだの融点よりも比較的低い温度にて実装に用いることができ、硬化後において、バルク金属並みでかつ安定した体積抵抗率を示すことができるので、許容耐熱温度が比較的低い電子部品の実装を、熱損傷を与える可能性を最小限度に小さくして、又は実質的に防止して、行う用途に特に有用である。
【0073】
また、本発明の導電性接着剤は、CCD素子、フォログラム素子、チップ部品等の電子部品の接続用及びそれらを接合する基板の配線形成に用いることができる。その結果、これらの素子、部品及び/又は基板を内蔵する製品、例えば、DVD、携帯電話、ポータブルAV機器、ノートPC、デジタルカメラ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1:Sn−Pb系はんだ、2:部品電極、3:電子回路基板のランド、4:CuSn化合物層、5:Agフィラー、6:溶融及び凝固した後のはんだ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
50〜70重量%のBi、10〜24.5重量%のIn及び残部のSnからなる100重量%のはんだ材料に対して、
0.001〜0.1重量%のGeを添加して成る組成を有することを特長とするはんだ材料。
【請求項2】
50〜70重量%のBi、10〜24.5重量%のIn及び残部のSnからなる100重量%のはんだ材料に対して、
0.001〜0.01重量%のGeを添加して成る組成を有することを特長とする請求項1に記載のはんだ材料。
【請求項3】
50〜70重量%のBi、10〜24.5重量%のIn及び残部のSnからなる100重量%のはんだ材料に対して、
0.001〜0.1重量%のNiを添加して成る組成を有することを特長とするはんだ材料。
【請求項4】
50〜70重量%のBi、10〜24.5重量%のIn及び残部のSnからなる100重量%のはんだ材料に対して、
0.01〜0.1重量%のNiを添加して成る組成を有することを特長とする請求項3に記載のはんだ材料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のはんだ材料に加えて、フラックス成分及び樹脂成分を含んでなることを特長とする導電性接着剤。
【請求項6】
樹脂成分は、第1の成分として硬化性樹脂、第2の成分として還元性を有する樹脂を含むことを特長とする請求項5記載の導電性接着剤。
【請求項7】
樹脂成分の第2の成分はカルボキシル基を有することを特長とする請求項6記載の導電性接着剤。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載のはんだ材料、及び請求項5〜7のいずれかに記載の導電性接着剤のいずれかを接合材料として用いたことを特長とする部品接合部。
【請求項9】
請求項8に記載の部品接合部を有することを特長とする回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−35066(P2013−35066A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−200626(P2012−200626)
【出願日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【分割の表示】特願2008−527804(P2008−527804)の分割
【原出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】