接合構造体及びその製造方法
【課題】 配線基板や実装部品との接合部を形成する際に、半導体製造技術においてはリフロー等の熱処理又は加熱されるため、微小電気機械システム(MEMS)等の耐熱性の低い実装部品の場合には、上手く接合出来ない。
【解決手段】 本発明は、配線基板1と実装部品3の配線導体5,11間を電気的に接続するための接合部2がメッキ処理により析出された金属により形成される接合構造体である。この接合部2は、配線導体5及び/又は配線導体11に形成されたバンプの先端部を近接又は当接させて保持し、電解メッキ液17内で通電させることにより、電解メッキ金属を析出させて形成される。
【解決手段】 本発明は、配線基板1と実装部品3の配線導体5,11間を電気的に接続するための接合部2がメッキ処理により析出された金属により形成される接合構造体である。この接合部2は、配線導体5及び/又は配線導体11に形成されたバンプの先端部を近接又は当接させて保持し、電解メッキ液17内で通電させることにより、電解メッキ金属を析出させて形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路部品を実装する基板と配線基板との接合構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高密度実装を実現するものとして、種々の接続技術が提案されている。その中の1つとして、フリップチップ(FC)実装技術が提案されている。このFC実装技術は、バンプを用いる接合構造であり、大別すると、はんだバンプを用いるものと、金メッキを用いるものと、スタッド金バンプを用いるものとに別れる。はんだバンプを用いる実装は、はんだペーストの供給又は、フラックス塗布を行った後、ハンダリフローにより接続が行われる。また、金バンプによる接続においては、AFCをパターンマッチングさせて介在し、熱と共に荷重をかけて実装を行っている。
【0003】
また、スタッド金バンプは、金線にボールボンディング技術を用いて形成する。このスタッド金バンプにおける接続は、基板側のパターンに当接させて熱を加えると共に荷重を行っている。例えば、特許文献1においては、基板側に銅パターンをプラズマ処理により形成し、チップ側のスタッド金バンプの先端を銅パターンに押しつけると共に熱処理(230〜270℃)を施して、金と銅とを直接反応させて、接合を行う接合技術が開示されている。
また、特許文献2には、回路基板上の基板電極と、半導体素子の突起電極とをメッキ法により形成された接続電極とで構成される半導体素子の実装構造が開示されている。
【特許文献1】特開2001−60602公報
【特許文献2】特開平2−66953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したFC実装技術の実装においては、共にリフローを始めとして、加熱処理が行われている。特許文献1に開示される技術においても、金バンプと銅パターンを当接させた後、230〜270℃の熱を加えた処理が行われている。従って、前述した様な温度による熱処理を含むため、これらの接合方法により微小電気機械システム(MEMS:Micro Electro Mechanical System)等の熱に弱い部品を基板上に実装することは困難である。
【0005】
また特許文献2においては、2つの電気部品例えば、半導体素子と回路基板とを電気的に接合するような通常の実装ではなく、MEMSの組み立て等で電気的接続に加えて、2つの部品間の間隔が比較的離れていた場合には、開示されるメッキ方法を適用することが困難であった。つまり、2つの部品間の間隔が離れていると、マイクロバンプから基板電極へ向けて析出させるメッキ量と、基板電極からマイクロバンプへ向けて析出させるメッキ量を多くしなければならない。これらが当接して接続するためには、2つの部品間の距離に制約があり、自由度の高い設計は出来なかった。
【0006】
そこで本発明は、耐熱性を有していない部品に対して、比較的部品間距離を有している場合でも低温で電気的な接合を実現する接合構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、少なくとも2つの部材の導体部が接合された接合構造体であって、前記導体部上に少なくとも1つのバンプが形成された第1の部材と、前記第1の部材の先端部又は側面で当接する第2の部材と、前記第1の部材の導体部と第2の部材の通電する部分を電気的に接続する、前記バンプを含みメッキ金属により形成された接合部と、で構成される接合構造体を提供する。
【0008】
さらに、少なくとも2つの部材の導体部が接合された接合構造体の製造方法であって、少なくとも1つのバンプを第1の部材の前記導体部上に形成する工程と、前記バンプと、第2の部材の前記導体部とが所定の間隔を隔てて対向するように貼り合せ位置を決める工程と、メッキ液に浸漬され、析出するメッキ金属で前記第1の部材の前記導体部と前記第2の部材の前記導体部とが前記バンプを介して接合する接合部が形成されるメッキ処理工程とを含む接合構造体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品間の間隔が離れた2つの部品の電気的接続を実現し、且つ耐熱性を有していない部品を低温で接合する接合構造体及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1には、本発明の接合構造体に係る第1の実施形態の接合構造例の断面図を示し説明する。
この接合構造体は、大別して、配線基板1と接合部2と実装部品3とで構成される。この実施形態における配線基板1は、基板4と、基板4上に配線パターンを形成する配線導体5と、配線導体5の一部を露出する開口部14が設けられ、基板4の全体を覆うように設けられたレジスト膜6と、配線導体5上に設けられ配線導体11に当接するバンプ7とで構成される。基板4としては、ガラス基板、エポキシ基板又は、主としてポリイミドと銅箔からなるフレキシブル基板等が好適する。実装部品3は、シリコン基板やガラス基板等に形成されている。
【0011】
また実装部品3は、例えば、MEMSやその駆動回路が形成されたチップである。実装部品3は、基体9と、基体9上に形成された絶縁膜10と、絶縁膜10上に配線パターンを形成する配線導体11と、配線導体11の一部を露出する開口部15が設けられ、基板9の全体を覆うように設けられた絶縁膜12と、さらに端部が配線導体11に接し絶縁膜12を覆うように形成される表面保護膜13とで構成される。実装部品3においても公知な半導体製造技術により形成することができる。勿論、これらの構成は、一例であり限定されているものではない。
接合部2は、メッキ処理により生成可能な導電体からなり、先端部が配線導体11に当接するバンプ7の周囲に形成され、且つ配線導体11も覆うように形成され、結果的に配線導体5と配線導体11とを電気的に接続する。
【0012】
次に、図2(a)乃至(c)には、図1に示した接合構造体を作製するための工程を示して詳細に説明する。図2(a)は、実装部品製造工程における実装部品3の断面構造例を示す図であり、図2(b)は、配線基板製造工程における配線基板1の断面構造例を示す図であり、図2(c)は、接合部を形成するためのメッキ処理工程を示している。
【0013】
図2(a)に示す実装部品製造工程において、実装部品3は、公知な技術で微小電気機械システムにより形成する。また、これらの他に半導体製造技術を用いてもよい。配線基板1においても、実装部品3と同様に公知な半導体製造技術を用いて、図2(b)に示すような断面構造に形成することができる。また、配線導体5,11に電解メッキ処理の際に電流を供給できるように、配線導体を延長するように給電用導体(図示せず)が形成されている。なお、配線導体5,11の少なくとも一部が給電用導体となり得る場合には、給電用導体を形成する必要はない。さらに、配線導体5上に所定の高さhのバンプ7を例えば、スタッドバンプ形成装置により形成する。この所定の高さhとは、配線導体5と配線導体との電気的接続時の距離、即ち、配線基板1と実装部品3の部品間距離となる。部品間隔(高さh)は電気特性などの仕様又は設計条件に基づき定められる任意の長さである。
【0014】
次に、図2(c)に示すように、配線基板1と実装部品3の接合箇所が対向するように位置合わせを行い、バンプ7の先端を配線導体11に当接させた状態で固定する。この固定の手法としては、配線基板1と実装部品3とを挟んだ状態を維持させるような治具(後述する第3実施形態における治具)を用いてもよい。この時、バンプ7の先端部は、配線導体11に当接させて電気的に導通した状態でメッキ処理が行われるため、配線導体5又は配線導体11のいずれか一方に電解メッキ処理用電流を導入させる給電用導体(不図示)を形成する。
【0015】
この固定状態のまま、メッキ槽18内で温度管理されている電解メッキ液17中に浸漬させる。その後、図示しないメッキ用電源の電極から給電用導体に電流を印加して電解メッキ処理を行う。このメッキ処理により、配線導体11にバンプ7の先端が当初から当接した状態であれば、メッキ処理開始からバンプ7と配線導体11及び配線導体5の3箇所からメッキ金属が析出される。その結果、図1に示したようなバンプ7と配線導体5と配線導体11が連結するように導電体を析出させたメッキ金属とバンプ7による接合部2が形成される。前述したメッキ液17の好ましい管理温度は、例えば電解銅メッキ処理であれば、硫酸銅系のメッキ液17を用いる場合には、メッキ液17を25℃程度に維持管理する。
【0016】
以上説明したように、本実施形態によれば、バンプ7の高さを調整することにより、所望する部品間距離を実現でき、設計時の自由度が増し、且つ既に当接している状態で接続固定(接合)させるための金属を析出させているため、電気的接続の確実性を高くすることができる。
【0017】
また、本実施形態では、配線基板1と実装部品3を電気的に接合する接合部2を常温下で処理可能なメッキ処理を用いて生成する。これにより、従来接続の際に必要であった熱処理が不要となり、加熱による実装部品3の不良化を防止することができる。さらに、電解メッキ処理においては、バンプ7の先端を配線導体11に当接させた状態で実施するため、メッキ処理により析出させる金属量は少なくて済み、比較的短時間で電気的接続ができる。下地となる導電体に電流を印加されることにより、金属を析出させる領域を選択することが比較的容易である。さらに、本実施形態では、配線導体5と配線導体11上にそれぞれ1つのバンプを形成した例を示しているが、これに限定されず、配線導体上に複数のバンプを形成してもよい。また接続する2つの配線導体上に同数のバンプを形成する必要はなく、異なる数のバンプを形成してもよい。
【0018】
次に、図3(a),(b)には、第2の実施形態を示し説明する。
前述した第1の実施形態においては、配線基板1の配線導体5上にバンプ7のみを形成した例であったが、本実施形態は、実装部品3の配線導体11上にもバンプ21を形成し、バンプ7,21のそれぞれの先端部を当接させた状態で接合部2を形成した構成である。
【0019】
これらのバンプ7,21の先端部を当接させた状態で固定し、図3(b)に示すように、電解メッキ液17中に浸漬させる。尚、このバンプ7とバンプ21の各先端部を当接させて電気的に導通した状態でメッキ処理が行われるため、配線導体5又は配線導体11のいずれか一方に電解メッキ処理用電流を導入させる給電用導体(不図示)を形成する。この当接状態で給電用導体に電流を印加して電解メッキ処理を行う。この電解メッキ処理において、電解メッキ液17中に露出しているバンプ7,21及び配線導体5,11の箇所からメッキ金属が析出される。この電解メッキ処理により、図3(b)に示すようなバンプ7,21の周囲を包み込む接合部22が形成される。
【0020】
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、実装部品やその他の接続条件により配線基板1と実装部品3との間隔が長くなる条件下であっても適正且つ、短時間に接続することができる。尚、本実施形態では、バンプ7及びバンプ21は同じ大きさで同形状の例を示したがこれに限定されず、互いに先端部が面で当接する形状が好ましいが、大きさはいずれか一方が大きく、他方が小さくてもよい。さらに、本実施形態では、配線導体5と配線導体11上にそれぞれ1つのバンプを形成した例を示しているが、これに限定されず、配線導体上に複数のバンプを形成してもよい。また接続する2つの配線導体上に同数のバンプを形成する必要はなく、異なる数のバンプを形成してもよい。以下に述べる変形例1乃至3に対してもバンプ数は同様に制限されない。
【0021】
次に図4(a),(b)には、第2の実施形態における変形例1を示し説明する。
この変形例1は、前述した第2の実施形態と同様に、配線基板1と実装部品3にそれぞれ形成したバンプ7及びバンプ21を形成する。図4(a)に示すように、これらのバンプ7及びバンプ21の先端部どうしを近接させて間隔23を開けた状態で保持させて電解メッキ液17中に浸漬させる。この状態で給電用導体に電流を印加して電解メッキ処理を行う。尚、このバンプ7の先端部とバンプ21の先端部は、間隔23分の距離が離れて電気的に接続していないため、配線導体5と配線導体11の双方に電解メッキ処理を行うための電流を導入させる給電用導体(不図示)を形成する。
【0022】
この電解メッキ処理により、図4(b)に示すように、バンプ7及びバンプ21の周囲を含み、配線導体5と配線導体11を電気的に接合する接合部24が形成される。
この変形例1によれば、第2の実施形態において、複数形成したバンプ7及びバンプ21の先端部を当接させた場合に、製造誤差により当接せず、近接した状態のバンプが発生したとしても何ら問題なく、電気的に接合させることができる。
【0023】
また、例えば、バンプが製造上の理由により設計に基づく必要な高さに満たない状態でしか形成できなかった場合においても、所望する接合部24を形成することができ、配線基板1と実装部品3の間隔の調整が容易且つ一義的に実現できる。
【0024】
図5(a),(b)には、第2の実施形態における変形例2を示し説明する。
この変形例2は、配線基板1と実装部品3を接続させる際に、配線導体5と配線導体11とが対向せず横方向にずれた場合に、斜め方向に接合部を形成しなければならない状況に適用したものである。つまり、接続しなければならない配線導体5と配線導体11を形成した際に、回路素子等の形成位置(実装位置)により対向するように配置できない構成であった場合、又はバンプの形成位置の精度により位置ずれが生じた場合に適用される。
【0025】
この変形例2では、前述した第2の実施形態と同様に、配線導体5と配線導体11にそれぞれバンプ7及びバンプ21が形成される。図5(a)に示すように、バンプ7及びバンプ31の側面どうしを当接させた状態で電解メッキ液17中に浸漬し給電用導体に電流を印加する電解メッキ処理により接合部31を形成する。
【0026】
また、位置精度による原因で対向しなかった場合には、図5(b)に示すように、バンプ7及びバンプ21の互いの側面が当接せずに、隙間32を開けて近接した状態となる可能性がある。この近接状態で保持させて電解メッキ処理を行い、接合部31を形成する。
【0027】
以上のように変形例2によれば、設計上の都合や製造時に発生した誤差による接合箇所の位置ずれに対して、導電体上に形成するバンプの側面を当接又は近接させて、メッキ処理を行うことにより、斜め方向であってもバンプ間を電気的に接続する接合部を形成することができる。従って、接続する電極及び接続用バンプが設計上又は製造時の形成精度により対向する位置に設けられない構成であっても容易に接合部を形成することができる。
【0028】
次に図6(a)乃至(c)には、第2の実施形態の変形例3を示し説明する。
この変形例3では、配線導体5と配線導体11にバンプ7及びバンプ21を形成する。これらのバンプ7及びバンプ21は、配線基板1と実装部品3が対向した際に先端部同士は当接せず、互いの先端部が対向する配線導体に当接するように設けられている。
【0029】
図6(a)に示すようにバンプ7及びバンプ21は、側面どうしが接触しない程度に近接し且つ、各バンプ先端部が対向する配線導体5と配線導体11に当接した状態が保持される。この状態を保持させて、電解メッキ液17中で電解メッキ処理を行い、配線導体5と配線導体11を電気的に接続する接合部41が形成される。
この変形例3は、前述した第2の実施形態の効果に加えて、配線導体5と配線導体11の接合する面積が広い場合、つまり接合部41の接合断面が大きくなる場合などに適用できる。
【0030】
図6(b)は、接合するバンプに高さずれが生じた場合に適用される例である。変形例3において、バンプ7及びバンプ21が製造上の都合や、形成精度により設計時よりも低い高さに形成され、いずれか一方のバンプの先端部が配線導体5又は配線導体11に当接していない場合に適用される。このような状態は、設計上の都合により配線基板1と実装部品3に形成するバンプの高さが一律に異なっていた場合、又は製造上の都合や製造時の形成精度により、バンプの高さが一律ではなかった場合に発生する。このような当接しないバンプが発生しても本変形例3においては、メッキ処理により接合部が形成でき、適正に電気的な接続が実現できる。
【0031】
これと同様に、図6(c)は、変形例3において、バンプ7及びバンプ21が共に対向する配線導体5と配線導体11に当接していない場合に適用される例を示している。バンプ7及びバンプ21は、共に図示しないバンプよりも高さが低く、対向させてもバンプ先端部が配線導体に当接しない状態となる。この状態で電解メッキ処理を行い、接合部63を形成してもよい。
【0032】
次に図7(a)乃至(c)には、第2の実施形態の変形例4を示し説明する。
この変形例4は、前述した変形例3と同様に、配線基板1と実装部品3のそれぞれの配線導体5と配線導体11にバンプ7及びバンプ21を形成する。
【0033】
これらの配線基板1と実装部品3の接合部を形成させる際に、図7(a)に示すようにバンプ7及びバンプ21は、各先端部が対向する配線導体5と配線導体11に当接し、且つ側面どうしを接触させた状態に保持する。この状態を保持して、電解メッキ液17中に浸漬させて、電解メッキ処理を行う。この電解メッキ処理により接合部51が形成される。これと同様に、図7(b)に示すようにバンプ7及びバンプ31は、側面どうしを接触させて且つ、各先端部が対向する配線導体5と配線導体11にそれぞれ当接しない状態に保持する。この状態で電解メッキ処理を行い、接合部51を形成する。また、図7(c)に示すように、バンプ7及びバンプ21の何れか一方の先端部を対向する配線導体5又は配線導体11に当接した状態で電解メッキ処理を行い、接合部51を形成してもよい。
【0034】
次に、第1の実施形態及び第2の実施形態及び各変形例1乃至4に係るメッキ前処理について説明する。
図2(c)及び図3(a)及び図4(a)における電解メッキ処理工程において、電解メッキ液17中に固定した状態の配線基板1及び実装部品3を浸漬された後、直ちに給電用導体に電流を印加せずに所定の待機時間を設け、その待機時間経過後に電流の印加を開始するものである。つまり、電解メッキ処理のための電流を印加する前に、バンプ7,21の表面、配線導体5,11のメッキ領域の金属表面に生じている自然酸化膜などの酸化膜を電解メッキ液17によって除去する。その除去後に、引き続いて電解メッキ処理が行われて接合部を形成する。このように電解メッキ処理面の表面に存在する酸化膜を除去することにより、接合部と配線導体とのコンタクト特性を向上させて、信号の減衰等を防止することができる。
【0035】
従って、配線導体と接合部との間に酸化膜が存在する場合であっても、エッチング装置を別途用いなくとも容易に除去することができる。また、この酸化膜除去が電解エッチング液中で行われ、そのまま電解メッキ処理に移行するため、大気に触れることなく、即ち自然酸化膜を発生させずに接合部を形成することができる。
【0036】
尚、前述した第1,2の実施形態及び変形例1乃至4においては、メッキ処理として電解メッキを例としていたが、これに代わって、無電解メッキであってもよい。無電解メッキを採用する場合には、メッキ液17に浸漬するだけでメッキ処理できる作用効果がある。また、電解メッキの工程と無電解メッキの工程を組み合わせてもよい。
【0037】
次に接合部7の形状における変形例について説明する。
前述した第1,2の実施形態における接合部の例では、径や太さが一定の円柱形状又は角柱形状であったが、電気的な接続が行われていれば、形状には制限がない。例えば、図8(a)に示すように、接合部61は、台形形状(断面)のバンプ7の先端部と配線導体11とが対向するエリアがバンプ7の底部の径(面積)と同等であり、以外のバンプ7の側面と配線導体5,11の露出面が表面を覆う程度の膜厚のメッキ金属が析出される状態でもよい。
【0038】
また、図8(b)に示すように、接合部62は、台形形状(断面)のバンプ7の先端部が配線導体11に当接した状態で、バンプ7の側面と配線導体5,11の露出面が表面を覆う程度の膜厚のメッキ金属が析出される状態でもよい。さらに、図8(c)に示すように、バンプ7の先端部と配線導体11との対向するエリアのみに接合部63が形成されてもよい。
【0039】
このような接合部の形状であっても、第1,2の実施形態や変形例1乃至4で説明した接合部とは、接合強度に対しては若干低くなるが、同等の機能を有しており同様な効果を得ることができる。
次に図9(a)乃至(e)には、バンプの形状例を示して説明する。前述した第1の実施形態におけるバンプの例では、断面形状が台形の円柱又は角柱であったが、形状には制限がない。例えば、図9(a)に示すように、底面が上面より狭い逆台形形状のバンプ71でもよい。また図9(b)に示すように、径(又は面積)が一定で直線的な側面を持つ円柱又は角柱形状のバンプ72でもよい。さらに、図9(c)に示すような側面が凸曲面となる台形形状のバンプ73でもよい。また、図9(d)に示すように、中央部分に突起が設けられたバンプ74もよい。
【0040】
また、図9(e)に示すように、何れか一方の配線導体、例えば配線導体11上に複数、例えば、2つのバンプ75a,75bを形成してもよい。これらのバンプは、形成状況に応じて、適宜数を設定すればよい。
【0041】
次に、図10(a)乃至(c)には、本発明の接合構造体に係る第3の実施形態の接合構造例の工程図を示し説明する。前述した第1,2の実施形態では、バンプ7をスタッドバンプ形成装置により形成した例について説明した。本実施形態では、電解メッキを用いて形成する例である。
【0042】
図10(a)の工程においては、前述した第1の実施形態と同様に、配線基板1を形成する。この配線基板1の配線導体5の一部を露出するように開口部91が開口され、レジスト膜6を含め基板4の全体を覆うようにバンプ形成用レジスト膜92がフォトリソグラフィ技術を用いて形成される。
【0043】
図10(b)の工程においては、この配線基板1をメッキ槽18内の電解メッキ液17に浸漬させて、配線導体5に接続されるように形成されている給電用導体(図示せず)に電流を印加して電解メッキ処理を行う。この電解メッキ処理により、配線導体5に接続し開口部91内を充填するようにバンプ93が形成される。その後、図10(c)に示すように、バンプ形成用レジスト膜92を除去する。
【0044】
このようにメッキ処理で形成されたバンプ93を用いて、前述した第1,2の実施形態及び変形例1乃至4によるメッキ処理により、接合部を形成する。
【0045】
本実施形態によれば、複数の配線基板1に対して、バッチ処理でバンプ93を形成することができる。従って、生産数や所有設備を考慮して製造方法の選択肢が多くなり、より安価・高効率で製造することができる。例えば、製造する配線基板1の数がある一定量より多い場合には、本実施形態のメッキ処理の方が好適することが多い。
【0046】
また、図10(b)の工程で用いるバンプ形成用のメッキ金属と接合部2のメッキ金属とを同じ材料で形成すれば、電解メッキ液17が一種類で済むので設備管理やメッキ液管理の点で製造が容易になる。また、一般的に、同一元素・同一組成同士の金属の密着性は比較的良好であるため、密着性に優れた接合を容易に得ることができる。
【0047】
次に、図11(a)乃至(c)は、第4の実施形態として本発明の接合構造体を形成するための治具の一例を示す図である。この治具は、電解メッキ処理の際に配線基板1と実装部品3上に形成したバンプが当接した状態又は間隔をあけた状態を保持させるために用いられる。
【0048】
図11(a)は、治具111により配線基板1と実装部品3を固定保持した状態を上から見た図である。図11(b)は、図11(a)に示す線分P−Pにおける断面構成を示し、図11(c)は、図11(a)に示す線分Q−Qにおける断面構成を示す図である。 この治具111は、間隔制御板112a,112bと、配線基板用クランプ113と、実装部品用クランプ114と、制御板間隔制御ねじ115a,115b,115cとで構成される。
【0049】
各クランプ113,114は、配線基板1と実装部品3の4辺を間隔制御板112a,112bにそれぞれ固定する。クランプ113,114は、ねじ止めにより固定する構成でもよいし、図示しないコイルバネ等の弾性部材を用いて付勢力により固定する構成でもよい。
【0050】
また制御板間隔制御ねじ115a,115b,115cは、間隔制御板112a,112bに少なくとも3箇所以上で設けられ、例えば、図2(c)で説明したように、バンプ7の先端部と配線導体11とが当接するように調整する。
以上のような構成の治具により、バンプの先端部と配線導体を適正に当接させることができるように微調整可能であり、且つメッキ液17への浸漬や攪拌等により発生する位置ずれを防止することができる。
【0051】
次に図12には、本発明の接合構造体に係る第5の実施形態の接合構造例の断面図を示し説明する。本実施形態は、複数の基板が積層構造を有する際に本発明の接合構造を適用した接合構造例である。尚、図12に示す構成部位で前述した図2に示す構成部位と同等のものには同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0052】
本実施形態は、配線基板121を中央にして両側から2つの実装部品3a,3bで挟んだ積層構造である。配線基板121(下面)と実装部品3aとがそれぞれバンプ7を含む接合部122で接続される。また、配線基板121(上面)と実装部品3bとがバンプ7を含む接合部123で接続される。
【0053】
これらのバンプ7,21及び接合部122,123は、前述した第1の実施形態及び各変形例を用いて形成する。バンプ7,21は、前述した第3の実施形態の手法を用いて形成してもよい。また、図12においては、前述した図2における接合部を例としているが、前述した何れの接合部を適用してもよい。さらに、接合部122,123は同じタイプのものである必要はなく、上下異なったタイプでもよい。適宜選択した接合部をそれぞれに形成してもよい。
【0054】
次に図13には、本発明の接合構造体に係る第6の実施形態の接合構造例の断面図を示し説明する。本実施形態は、複数の基板が積層構造を有する際に本発明の接合構造を適用した接合構造例である。尚、図13に示す構成部位で前述した図2に示す構成部位と同等のものには同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0055】
本実施形態は、配線基板131を中央にして両側から2つの実装部品3a,3bで挟んだ積層構造である。配線基板131(下面)と実装部品3aとがそれぞれバンプ7,21を含む接合部132で接続される。また、配線基板131(上面)と実装部品3bとがバンプ133を含む接合部125で接続される。
【0056】
これらのバンプ7,21及び接合部122,123は、前述した第1の実施形態及び各変形例を用いて形成する。また、図13においては、前述した図3における接合部を例としているが、前述した何れの接合部を適用してもよい。さらに、接合部132,133は同じタイプのものである必要はなく、上下異なったタイプでもよい。適宜選択した接合部をそれぞれに形成してもよい。
【0057】
前述した第1乃至6の実施形態及び変形例1乃至4に対して、実装部品3及び配線基板1の接合される部材に対して、製造工程で両方の部材が裁断処理される場合には、一方の部材を裁断して、裁断されていない他方の部材に接合する。その接合の後に、裁断されていない基板を裁断してもよい。また、2つの部材を共に裁断する前に接合して、その接合したものを裁断してもよい。
【0058】
さらに、一方の部材Aが裁断して製造され、もう一方の部材Bが一品ずつ製造される場合も、部材Aと部材Bとを接合した後に部材Aを裁断しても良い。なお基板等が裁断される例としては、シリコン基板をチップにするためにダイサーで裁断する場合や、複数基板分を含むガラス・エポキシ基板を所定の1基板分に切り分ける場合などが挙げられる。製造する製品により、製造効率が向上する作用効果がある。
以上、本発明における第1乃至5の実施形態および変形例1乃至4について説明したが、これらに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜、変形することは容易である。前述した実施形態等では、接合する部材として、実装部品3と配線基板1を例にとって説明したが、勿論これらに限定されない。例えば実装部品同士、配線基板同士を接合させても良い。実装部品は具体的には集積回路やMEMS部品などが例として挙げられる。また、配線基板はガラス・エポキシ基板や、主としてポリイミドと銅箔からなるフレキシブル基板などが例として挙げられる。また接合部は、1組の接合構造体に対して1個に限定されるものではない。また、配線導体間は電気的に接続・接合されている場合に限定されず、各部材が物理的(機械的)にのみ接合・接続されていてもよい。さらに、配線導体間において、電気的に接続・整合されている部分と、物理的(機械的)に接続されている部分とが混在してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の接合構造体に係る第1の実施形態の接合構造例の断面図を示す図ある。
【図2】図2(a)乃至(c)は、図1に示した接合構造体を作製するための工程を示す図である。
【図3】図3(a),(b)は、第2の実施形態を示す図である。
【図4】図4(a),(b)は、第1の実施形態における変形例1を示す図である。
【図5】図5(a),(b)は、第2の実施形態における変形例2を示す図である。
【図6】図6(a)乃至(c)は、第2の実施形態における変形例3を示す図である。
【図7】図7(a)乃至(c)は、第2の実施形態における変形例4を示す図である。
【図8】図8(a)乃至(c)は、第1,2の実施形態及び変形例1乃至4における接合部の変形例を示す図である。
【図9】図9(a)乃至(e)は、バンプの変形例を示す図である。
【図10】図10(a)乃至(c)は、第3の実施形態における工程図を示す図である。
【図11】図11(a)乃至(c)は、第4の実施形態として、接合構造体を形成するための治具の一例を示す図である。
【図12】本発明の接合構造体に係る第5の実施形態の接合構造例の断面図を示す図である。
【図13】本発明の接合構造体に係る第6の実施形態の接合構造例の断面図を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1…配線基板、2…接合部、3…実装部品、4…基板、5,11…配線導体、6,13…表面保護膜、7…バンプ、9…基体、10,12…絶縁膜、14,15…開口部、16…間隔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路部品を実装する基板と配線基板との接合構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高密度実装を実現するものとして、種々の接続技術が提案されている。その中の1つとして、フリップチップ(FC)実装技術が提案されている。このFC実装技術は、バンプを用いる接合構造であり、大別すると、はんだバンプを用いるものと、金メッキを用いるものと、スタッド金バンプを用いるものとに別れる。はんだバンプを用いる実装は、はんだペーストの供給又は、フラックス塗布を行った後、ハンダリフローにより接続が行われる。また、金バンプによる接続においては、AFCをパターンマッチングさせて介在し、熱と共に荷重をかけて実装を行っている。
【0003】
また、スタッド金バンプは、金線にボールボンディング技術を用いて形成する。このスタッド金バンプにおける接続は、基板側のパターンに当接させて熱を加えると共に荷重を行っている。例えば、特許文献1においては、基板側に銅パターンをプラズマ処理により形成し、チップ側のスタッド金バンプの先端を銅パターンに押しつけると共に熱処理(230〜270℃)を施して、金と銅とを直接反応させて、接合を行う接合技術が開示されている。
また、特許文献2には、回路基板上の基板電極と、半導体素子の突起電極とをメッキ法により形成された接続電極とで構成される半導体素子の実装構造が開示されている。
【特許文献1】特開2001−60602公報
【特許文献2】特開平2−66953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したFC実装技術の実装においては、共にリフローを始めとして、加熱処理が行われている。特許文献1に開示される技術においても、金バンプと銅パターンを当接させた後、230〜270℃の熱を加えた処理が行われている。従って、前述した様な温度による熱処理を含むため、これらの接合方法により微小電気機械システム(MEMS:Micro Electro Mechanical System)等の熱に弱い部品を基板上に実装することは困難である。
【0005】
また特許文献2においては、2つの電気部品例えば、半導体素子と回路基板とを電気的に接合するような通常の実装ではなく、MEMSの組み立て等で電気的接続に加えて、2つの部品間の間隔が比較的離れていた場合には、開示されるメッキ方法を適用することが困難であった。つまり、2つの部品間の間隔が離れていると、マイクロバンプから基板電極へ向けて析出させるメッキ量と、基板電極からマイクロバンプへ向けて析出させるメッキ量を多くしなければならない。これらが当接して接続するためには、2つの部品間の距離に制約があり、自由度の高い設計は出来なかった。
【0006】
そこで本発明は、耐熱性を有していない部品に対して、比較的部品間距離を有している場合でも低温で電気的な接合を実現する接合構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、少なくとも2つの部材の導体部が接合された接合構造体であって、前記導体部上に少なくとも1つのバンプが形成された第1の部材と、前記第1の部材の先端部又は側面で当接する第2の部材と、前記第1の部材の導体部と第2の部材の通電する部分を電気的に接続する、前記バンプを含みメッキ金属により形成された接合部と、で構成される接合構造体を提供する。
【0008】
さらに、少なくとも2つの部材の導体部が接合された接合構造体の製造方法であって、少なくとも1つのバンプを第1の部材の前記導体部上に形成する工程と、前記バンプと、第2の部材の前記導体部とが所定の間隔を隔てて対向するように貼り合せ位置を決める工程と、メッキ液に浸漬され、析出するメッキ金属で前記第1の部材の前記導体部と前記第2の部材の前記導体部とが前記バンプを介して接合する接合部が形成されるメッキ処理工程とを含む接合構造体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品間の間隔が離れた2つの部品の電気的接続を実現し、且つ耐熱性を有していない部品を低温で接合する接合構造体及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1には、本発明の接合構造体に係る第1の実施形態の接合構造例の断面図を示し説明する。
この接合構造体は、大別して、配線基板1と接合部2と実装部品3とで構成される。この実施形態における配線基板1は、基板4と、基板4上に配線パターンを形成する配線導体5と、配線導体5の一部を露出する開口部14が設けられ、基板4の全体を覆うように設けられたレジスト膜6と、配線導体5上に設けられ配線導体11に当接するバンプ7とで構成される。基板4としては、ガラス基板、エポキシ基板又は、主としてポリイミドと銅箔からなるフレキシブル基板等が好適する。実装部品3は、シリコン基板やガラス基板等に形成されている。
【0011】
また実装部品3は、例えば、MEMSやその駆動回路が形成されたチップである。実装部品3は、基体9と、基体9上に形成された絶縁膜10と、絶縁膜10上に配線パターンを形成する配線導体11と、配線導体11の一部を露出する開口部15が設けられ、基板9の全体を覆うように設けられた絶縁膜12と、さらに端部が配線導体11に接し絶縁膜12を覆うように形成される表面保護膜13とで構成される。実装部品3においても公知な半導体製造技術により形成することができる。勿論、これらの構成は、一例であり限定されているものではない。
接合部2は、メッキ処理により生成可能な導電体からなり、先端部が配線導体11に当接するバンプ7の周囲に形成され、且つ配線導体11も覆うように形成され、結果的に配線導体5と配線導体11とを電気的に接続する。
【0012】
次に、図2(a)乃至(c)には、図1に示した接合構造体を作製するための工程を示して詳細に説明する。図2(a)は、実装部品製造工程における実装部品3の断面構造例を示す図であり、図2(b)は、配線基板製造工程における配線基板1の断面構造例を示す図であり、図2(c)は、接合部を形成するためのメッキ処理工程を示している。
【0013】
図2(a)に示す実装部品製造工程において、実装部品3は、公知な技術で微小電気機械システムにより形成する。また、これらの他に半導体製造技術を用いてもよい。配線基板1においても、実装部品3と同様に公知な半導体製造技術を用いて、図2(b)に示すような断面構造に形成することができる。また、配線導体5,11に電解メッキ処理の際に電流を供給できるように、配線導体を延長するように給電用導体(図示せず)が形成されている。なお、配線導体5,11の少なくとも一部が給電用導体となり得る場合には、給電用導体を形成する必要はない。さらに、配線導体5上に所定の高さhのバンプ7を例えば、スタッドバンプ形成装置により形成する。この所定の高さhとは、配線導体5と配線導体との電気的接続時の距離、即ち、配線基板1と実装部品3の部品間距離となる。部品間隔(高さh)は電気特性などの仕様又は設計条件に基づき定められる任意の長さである。
【0014】
次に、図2(c)に示すように、配線基板1と実装部品3の接合箇所が対向するように位置合わせを行い、バンプ7の先端を配線導体11に当接させた状態で固定する。この固定の手法としては、配線基板1と実装部品3とを挟んだ状態を維持させるような治具(後述する第3実施形態における治具)を用いてもよい。この時、バンプ7の先端部は、配線導体11に当接させて電気的に導通した状態でメッキ処理が行われるため、配線導体5又は配線導体11のいずれか一方に電解メッキ処理用電流を導入させる給電用導体(不図示)を形成する。
【0015】
この固定状態のまま、メッキ槽18内で温度管理されている電解メッキ液17中に浸漬させる。その後、図示しないメッキ用電源の電極から給電用導体に電流を印加して電解メッキ処理を行う。このメッキ処理により、配線導体11にバンプ7の先端が当初から当接した状態であれば、メッキ処理開始からバンプ7と配線導体11及び配線導体5の3箇所からメッキ金属が析出される。その結果、図1に示したようなバンプ7と配線導体5と配線導体11が連結するように導電体を析出させたメッキ金属とバンプ7による接合部2が形成される。前述したメッキ液17の好ましい管理温度は、例えば電解銅メッキ処理であれば、硫酸銅系のメッキ液17を用いる場合には、メッキ液17を25℃程度に維持管理する。
【0016】
以上説明したように、本実施形態によれば、バンプ7の高さを調整することにより、所望する部品間距離を実現でき、設計時の自由度が増し、且つ既に当接している状態で接続固定(接合)させるための金属を析出させているため、電気的接続の確実性を高くすることができる。
【0017】
また、本実施形態では、配線基板1と実装部品3を電気的に接合する接合部2を常温下で処理可能なメッキ処理を用いて生成する。これにより、従来接続の際に必要であった熱処理が不要となり、加熱による実装部品3の不良化を防止することができる。さらに、電解メッキ処理においては、バンプ7の先端を配線導体11に当接させた状態で実施するため、メッキ処理により析出させる金属量は少なくて済み、比較的短時間で電気的接続ができる。下地となる導電体に電流を印加されることにより、金属を析出させる領域を選択することが比較的容易である。さらに、本実施形態では、配線導体5と配線導体11上にそれぞれ1つのバンプを形成した例を示しているが、これに限定されず、配線導体上に複数のバンプを形成してもよい。また接続する2つの配線導体上に同数のバンプを形成する必要はなく、異なる数のバンプを形成してもよい。
【0018】
次に、図3(a),(b)には、第2の実施形態を示し説明する。
前述した第1の実施形態においては、配線基板1の配線導体5上にバンプ7のみを形成した例であったが、本実施形態は、実装部品3の配線導体11上にもバンプ21を形成し、バンプ7,21のそれぞれの先端部を当接させた状態で接合部2を形成した構成である。
【0019】
これらのバンプ7,21の先端部を当接させた状態で固定し、図3(b)に示すように、電解メッキ液17中に浸漬させる。尚、このバンプ7とバンプ21の各先端部を当接させて電気的に導通した状態でメッキ処理が行われるため、配線導体5又は配線導体11のいずれか一方に電解メッキ処理用電流を導入させる給電用導体(不図示)を形成する。この当接状態で給電用導体に電流を印加して電解メッキ処理を行う。この電解メッキ処理において、電解メッキ液17中に露出しているバンプ7,21及び配線導体5,11の箇所からメッキ金属が析出される。この電解メッキ処理により、図3(b)に示すようなバンプ7,21の周囲を包み込む接合部22が形成される。
【0020】
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、実装部品やその他の接続条件により配線基板1と実装部品3との間隔が長くなる条件下であっても適正且つ、短時間に接続することができる。尚、本実施形態では、バンプ7及びバンプ21は同じ大きさで同形状の例を示したがこれに限定されず、互いに先端部が面で当接する形状が好ましいが、大きさはいずれか一方が大きく、他方が小さくてもよい。さらに、本実施形態では、配線導体5と配線導体11上にそれぞれ1つのバンプを形成した例を示しているが、これに限定されず、配線導体上に複数のバンプを形成してもよい。また接続する2つの配線導体上に同数のバンプを形成する必要はなく、異なる数のバンプを形成してもよい。以下に述べる変形例1乃至3に対してもバンプ数は同様に制限されない。
【0021】
次に図4(a),(b)には、第2の実施形態における変形例1を示し説明する。
この変形例1は、前述した第2の実施形態と同様に、配線基板1と実装部品3にそれぞれ形成したバンプ7及びバンプ21を形成する。図4(a)に示すように、これらのバンプ7及びバンプ21の先端部どうしを近接させて間隔23を開けた状態で保持させて電解メッキ液17中に浸漬させる。この状態で給電用導体に電流を印加して電解メッキ処理を行う。尚、このバンプ7の先端部とバンプ21の先端部は、間隔23分の距離が離れて電気的に接続していないため、配線導体5と配線導体11の双方に電解メッキ処理を行うための電流を導入させる給電用導体(不図示)を形成する。
【0022】
この電解メッキ処理により、図4(b)に示すように、バンプ7及びバンプ21の周囲を含み、配線導体5と配線導体11を電気的に接合する接合部24が形成される。
この変形例1によれば、第2の実施形態において、複数形成したバンプ7及びバンプ21の先端部を当接させた場合に、製造誤差により当接せず、近接した状態のバンプが発生したとしても何ら問題なく、電気的に接合させることができる。
【0023】
また、例えば、バンプが製造上の理由により設計に基づく必要な高さに満たない状態でしか形成できなかった場合においても、所望する接合部24を形成することができ、配線基板1と実装部品3の間隔の調整が容易且つ一義的に実現できる。
【0024】
図5(a),(b)には、第2の実施形態における変形例2を示し説明する。
この変形例2は、配線基板1と実装部品3を接続させる際に、配線導体5と配線導体11とが対向せず横方向にずれた場合に、斜め方向に接合部を形成しなければならない状況に適用したものである。つまり、接続しなければならない配線導体5と配線導体11を形成した際に、回路素子等の形成位置(実装位置)により対向するように配置できない構成であった場合、又はバンプの形成位置の精度により位置ずれが生じた場合に適用される。
【0025】
この変形例2では、前述した第2の実施形態と同様に、配線導体5と配線導体11にそれぞれバンプ7及びバンプ21が形成される。図5(a)に示すように、バンプ7及びバンプ31の側面どうしを当接させた状態で電解メッキ液17中に浸漬し給電用導体に電流を印加する電解メッキ処理により接合部31を形成する。
【0026】
また、位置精度による原因で対向しなかった場合には、図5(b)に示すように、バンプ7及びバンプ21の互いの側面が当接せずに、隙間32を開けて近接した状態となる可能性がある。この近接状態で保持させて電解メッキ処理を行い、接合部31を形成する。
【0027】
以上のように変形例2によれば、設計上の都合や製造時に発生した誤差による接合箇所の位置ずれに対して、導電体上に形成するバンプの側面を当接又は近接させて、メッキ処理を行うことにより、斜め方向であってもバンプ間を電気的に接続する接合部を形成することができる。従って、接続する電極及び接続用バンプが設計上又は製造時の形成精度により対向する位置に設けられない構成であっても容易に接合部を形成することができる。
【0028】
次に図6(a)乃至(c)には、第2の実施形態の変形例3を示し説明する。
この変形例3では、配線導体5と配線導体11にバンプ7及びバンプ21を形成する。これらのバンプ7及びバンプ21は、配線基板1と実装部品3が対向した際に先端部同士は当接せず、互いの先端部が対向する配線導体に当接するように設けられている。
【0029】
図6(a)に示すようにバンプ7及びバンプ21は、側面どうしが接触しない程度に近接し且つ、各バンプ先端部が対向する配線導体5と配線導体11に当接した状態が保持される。この状態を保持させて、電解メッキ液17中で電解メッキ処理を行い、配線導体5と配線導体11を電気的に接続する接合部41が形成される。
この変形例3は、前述した第2の実施形態の効果に加えて、配線導体5と配線導体11の接合する面積が広い場合、つまり接合部41の接合断面が大きくなる場合などに適用できる。
【0030】
図6(b)は、接合するバンプに高さずれが生じた場合に適用される例である。変形例3において、バンプ7及びバンプ21が製造上の都合や、形成精度により設計時よりも低い高さに形成され、いずれか一方のバンプの先端部が配線導体5又は配線導体11に当接していない場合に適用される。このような状態は、設計上の都合により配線基板1と実装部品3に形成するバンプの高さが一律に異なっていた場合、又は製造上の都合や製造時の形成精度により、バンプの高さが一律ではなかった場合に発生する。このような当接しないバンプが発生しても本変形例3においては、メッキ処理により接合部が形成でき、適正に電気的な接続が実現できる。
【0031】
これと同様に、図6(c)は、変形例3において、バンプ7及びバンプ21が共に対向する配線導体5と配線導体11に当接していない場合に適用される例を示している。バンプ7及びバンプ21は、共に図示しないバンプよりも高さが低く、対向させてもバンプ先端部が配線導体に当接しない状態となる。この状態で電解メッキ処理を行い、接合部63を形成してもよい。
【0032】
次に図7(a)乃至(c)には、第2の実施形態の変形例4を示し説明する。
この変形例4は、前述した変形例3と同様に、配線基板1と実装部品3のそれぞれの配線導体5と配線導体11にバンプ7及びバンプ21を形成する。
【0033】
これらの配線基板1と実装部品3の接合部を形成させる際に、図7(a)に示すようにバンプ7及びバンプ21は、各先端部が対向する配線導体5と配線導体11に当接し、且つ側面どうしを接触させた状態に保持する。この状態を保持して、電解メッキ液17中に浸漬させて、電解メッキ処理を行う。この電解メッキ処理により接合部51が形成される。これと同様に、図7(b)に示すようにバンプ7及びバンプ31は、側面どうしを接触させて且つ、各先端部が対向する配線導体5と配線導体11にそれぞれ当接しない状態に保持する。この状態で電解メッキ処理を行い、接合部51を形成する。また、図7(c)に示すように、バンプ7及びバンプ21の何れか一方の先端部を対向する配線導体5又は配線導体11に当接した状態で電解メッキ処理を行い、接合部51を形成してもよい。
【0034】
次に、第1の実施形態及び第2の実施形態及び各変形例1乃至4に係るメッキ前処理について説明する。
図2(c)及び図3(a)及び図4(a)における電解メッキ処理工程において、電解メッキ液17中に固定した状態の配線基板1及び実装部品3を浸漬された後、直ちに給電用導体に電流を印加せずに所定の待機時間を設け、その待機時間経過後に電流の印加を開始するものである。つまり、電解メッキ処理のための電流を印加する前に、バンプ7,21の表面、配線導体5,11のメッキ領域の金属表面に生じている自然酸化膜などの酸化膜を電解メッキ液17によって除去する。その除去後に、引き続いて電解メッキ処理が行われて接合部を形成する。このように電解メッキ処理面の表面に存在する酸化膜を除去することにより、接合部と配線導体とのコンタクト特性を向上させて、信号の減衰等を防止することができる。
【0035】
従って、配線導体と接合部との間に酸化膜が存在する場合であっても、エッチング装置を別途用いなくとも容易に除去することができる。また、この酸化膜除去が電解エッチング液中で行われ、そのまま電解メッキ処理に移行するため、大気に触れることなく、即ち自然酸化膜を発生させずに接合部を形成することができる。
【0036】
尚、前述した第1,2の実施形態及び変形例1乃至4においては、メッキ処理として電解メッキを例としていたが、これに代わって、無電解メッキであってもよい。無電解メッキを採用する場合には、メッキ液17に浸漬するだけでメッキ処理できる作用効果がある。また、電解メッキの工程と無電解メッキの工程を組み合わせてもよい。
【0037】
次に接合部7の形状における変形例について説明する。
前述した第1,2の実施形態における接合部の例では、径や太さが一定の円柱形状又は角柱形状であったが、電気的な接続が行われていれば、形状には制限がない。例えば、図8(a)に示すように、接合部61は、台形形状(断面)のバンプ7の先端部と配線導体11とが対向するエリアがバンプ7の底部の径(面積)と同等であり、以外のバンプ7の側面と配線導体5,11の露出面が表面を覆う程度の膜厚のメッキ金属が析出される状態でもよい。
【0038】
また、図8(b)に示すように、接合部62は、台形形状(断面)のバンプ7の先端部が配線導体11に当接した状態で、バンプ7の側面と配線導体5,11の露出面が表面を覆う程度の膜厚のメッキ金属が析出される状態でもよい。さらに、図8(c)に示すように、バンプ7の先端部と配線導体11との対向するエリアのみに接合部63が形成されてもよい。
【0039】
このような接合部の形状であっても、第1,2の実施形態や変形例1乃至4で説明した接合部とは、接合強度に対しては若干低くなるが、同等の機能を有しており同様な効果を得ることができる。
次に図9(a)乃至(e)には、バンプの形状例を示して説明する。前述した第1の実施形態におけるバンプの例では、断面形状が台形の円柱又は角柱であったが、形状には制限がない。例えば、図9(a)に示すように、底面が上面より狭い逆台形形状のバンプ71でもよい。また図9(b)に示すように、径(又は面積)が一定で直線的な側面を持つ円柱又は角柱形状のバンプ72でもよい。さらに、図9(c)に示すような側面が凸曲面となる台形形状のバンプ73でもよい。また、図9(d)に示すように、中央部分に突起が設けられたバンプ74もよい。
【0040】
また、図9(e)に示すように、何れか一方の配線導体、例えば配線導体11上に複数、例えば、2つのバンプ75a,75bを形成してもよい。これらのバンプは、形成状況に応じて、適宜数を設定すればよい。
【0041】
次に、図10(a)乃至(c)には、本発明の接合構造体に係る第3の実施形態の接合構造例の工程図を示し説明する。前述した第1,2の実施形態では、バンプ7をスタッドバンプ形成装置により形成した例について説明した。本実施形態では、電解メッキを用いて形成する例である。
【0042】
図10(a)の工程においては、前述した第1の実施形態と同様に、配線基板1を形成する。この配線基板1の配線導体5の一部を露出するように開口部91が開口され、レジスト膜6を含め基板4の全体を覆うようにバンプ形成用レジスト膜92がフォトリソグラフィ技術を用いて形成される。
【0043】
図10(b)の工程においては、この配線基板1をメッキ槽18内の電解メッキ液17に浸漬させて、配線導体5に接続されるように形成されている給電用導体(図示せず)に電流を印加して電解メッキ処理を行う。この電解メッキ処理により、配線導体5に接続し開口部91内を充填するようにバンプ93が形成される。その後、図10(c)に示すように、バンプ形成用レジスト膜92を除去する。
【0044】
このようにメッキ処理で形成されたバンプ93を用いて、前述した第1,2の実施形態及び変形例1乃至4によるメッキ処理により、接合部を形成する。
【0045】
本実施形態によれば、複数の配線基板1に対して、バッチ処理でバンプ93を形成することができる。従って、生産数や所有設備を考慮して製造方法の選択肢が多くなり、より安価・高効率で製造することができる。例えば、製造する配線基板1の数がある一定量より多い場合には、本実施形態のメッキ処理の方が好適することが多い。
【0046】
また、図10(b)の工程で用いるバンプ形成用のメッキ金属と接合部2のメッキ金属とを同じ材料で形成すれば、電解メッキ液17が一種類で済むので設備管理やメッキ液管理の点で製造が容易になる。また、一般的に、同一元素・同一組成同士の金属の密着性は比較的良好であるため、密着性に優れた接合を容易に得ることができる。
【0047】
次に、図11(a)乃至(c)は、第4の実施形態として本発明の接合構造体を形成するための治具の一例を示す図である。この治具は、電解メッキ処理の際に配線基板1と実装部品3上に形成したバンプが当接した状態又は間隔をあけた状態を保持させるために用いられる。
【0048】
図11(a)は、治具111により配線基板1と実装部品3を固定保持した状態を上から見た図である。図11(b)は、図11(a)に示す線分P−Pにおける断面構成を示し、図11(c)は、図11(a)に示す線分Q−Qにおける断面構成を示す図である。 この治具111は、間隔制御板112a,112bと、配線基板用クランプ113と、実装部品用クランプ114と、制御板間隔制御ねじ115a,115b,115cとで構成される。
【0049】
各クランプ113,114は、配線基板1と実装部品3の4辺を間隔制御板112a,112bにそれぞれ固定する。クランプ113,114は、ねじ止めにより固定する構成でもよいし、図示しないコイルバネ等の弾性部材を用いて付勢力により固定する構成でもよい。
【0050】
また制御板間隔制御ねじ115a,115b,115cは、間隔制御板112a,112bに少なくとも3箇所以上で設けられ、例えば、図2(c)で説明したように、バンプ7の先端部と配線導体11とが当接するように調整する。
以上のような構成の治具により、バンプの先端部と配線導体を適正に当接させることができるように微調整可能であり、且つメッキ液17への浸漬や攪拌等により発生する位置ずれを防止することができる。
【0051】
次に図12には、本発明の接合構造体に係る第5の実施形態の接合構造例の断面図を示し説明する。本実施形態は、複数の基板が積層構造を有する際に本発明の接合構造を適用した接合構造例である。尚、図12に示す構成部位で前述した図2に示す構成部位と同等のものには同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0052】
本実施形態は、配線基板121を中央にして両側から2つの実装部品3a,3bで挟んだ積層構造である。配線基板121(下面)と実装部品3aとがそれぞれバンプ7を含む接合部122で接続される。また、配線基板121(上面)と実装部品3bとがバンプ7を含む接合部123で接続される。
【0053】
これらのバンプ7,21及び接合部122,123は、前述した第1の実施形態及び各変形例を用いて形成する。バンプ7,21は、前述した第3の実施形態の手法を用いて形成してもよい。また、図12においては、前述した図2における接合部を例としているが、前述した何れの接合部を適用してもよい。さらに、接合部122,123は同じタイプのものである必要はなく、上下異なったタイプでもよい。適宜選択した接合部をそれぞれに形成してもよい。
【0054】
次に図13には、本発明の接合構造体に係る第6の実施形態の接合構造例の断面図を示し説明する。本実施形態は、複数の基板が積層構造を有する際に本発明の接合構造を適用した接合構造例である。尚、図13に示す構成部位で前述した図2に示す構成部位と同等のものには同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0055】
本実施形態は、配線基板131を中央にして両側から2つの実装部品3a,3bで挟んだ積層構造である。配線基板131(下面)と実装部品3aとがそれぞれバンプ7,21を含む接合部132で接続される。また、配線基板131(上面)と実装部品3bとがバンプ133を含む接合部125で接続される。
【0056】
これらのバンプ7,21及び接合部122,123は、前述した第1の実施形態及び各変形例を用いて形成する。また、図13においては、前述した図3における接合部を例としているが、前述した何れの接合部を適用してもよい。さらに、接合部132,133は同じタイプのものである必要はなく、上下異なったタイプでもよい。適宜選択した接合部をそれぞれに形成してもよい。
【0057】
前述した第1乃至6の実施形態及び変形例1乃至4に対して、実装部品3及び配線基板1の接合される部材に対して、製造工程で両方の部材が裁断処理される場合には、一方の部材を裁断して、裁断されていない他方の部材に接合する。その接合の後に、裁断されていない基板を裁断してもよい。また、2つの部材を共に裁断する前に接合して、その接合したものを裁断してもよい。
【0058】
さらに、一方の部材Aが裁断して製造され、もう一方の部材Bが一品ずつ製造される場合も、部材Aと部材Bとを接合した後に部材Aを裁断しても良い。なお基板等が裁断される例としては、シリコン基板をチップにするためにダイサーで裁断する場合や、複数基板分を含むガラス・エポキシ基板を所定の1基板分に切り分ける場合などが挙げられる。製造する製品により、製造効率が向上する作用効果がある。
以上、本発明における第1乃至5の実施形態および変形例1乃至4について説明したが、これらに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜、変形することは容易である。前述した実施形態等では、接合する部材として、実装部品3と配線基板1を例にとって説明したが、勿論これらに限定されない。例えば実装部品同士、配線基板同士を接合させても良い。実装部品は具体的には集積回路やMEMS部品などが例として挙げられる。また、配線基板はガラス・エポキシ基板や、主としてポリイミドと銅箔からなるフレキシブル基板などが例として挙げられる。また接合部は、1組の接合構造体に対して1個に限定されるものではない。また、配線導体間は電気的に接続・接合されている場合に限定されず、各部材が物理的(機械的)にのみ接合・接続されていてもよい。さらに、配線導体間において、電気的に接続・整合されている部分と、物理的(機械的)に接続されている部分とが混在してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の接合構造体に係る第1の実施形態の接合構造例の断面図を示す図ある。
【図2】図2(a)乃至(c)は、図1に示した接合構造体を作製するための工程を示す図である。
【図3】図3(a),(b)は、第2の実施形態を示す図である。
【図4】図4(a),(b)は、第1の実施形態における変形例1を示す図である。
【図5】図5(a),(b)は、第2の実施形態における変形例2を示す図である。
【図6】図6(a)乃至(c)は、第2の実施形態における変形例3を示す図である。
【図7】図7(a)乃至(c)は、第2の実施形態における変形例4を示す図である。
【図8】図8(a)乃至(c)は、第1,2の実施形態及び変形例1乃至4における接合部の変形例を示す図である。
【図9】図9(a)乃至(e)は、バンプの変形例を示す図である。
【図10】図10(a)乃至(c)は、第3の実施形態における工程図を示す図である。
【図11】図11(a)乃至(c)は、第4の実施形態として、接合構造体を形成するための治具の一例を示す図である。
【図12】本発明の接合構造体に係る第5の実施形態の接合構造例の断面図を示す図である。
【図13】本発明の接合構造体に係る第6の実施形態の接合構造例の断面図を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1…配線基板、2…接合部、3…実装部品、4…基板、5,11…配線導体、6,13…表面保護膜、7…バンプ、9…基体、10,12…絶縁膜、14,15…開口部、16…間隔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された少なくとも2つの部材上にそれぞれ形成された第1,2の導体部が電気的に接合された接合構造体であって、
前記第1の導体部上に所望する高さを有する少なくとも1つのバンプが形成された第1の部材と、
前記第1の部材と対向配置され、前記バンプの先端部が当接する第2の部材と、
当接する前記バンプの周囲を含み前記第1の部材の導体部と第2の部材の導体部を接続するメッキ金属により形成された接合部と、
で構成されることを特徴とする接合構造体。
【請求項2】
対向配置された少なくとも2つの部材上にそれぞれ形成された第1,2の導体部が電気的に接合された接合構造体であって、
前記第1の導体部上に所望する第1の高さを有する少なくとも1つの第1のバンプが形成された第1の部材と、
前記第2の導体部上に所望する第2の高さを有する少なくとも1つの第2のバンプが形成された第2の部材と、
前記対向配置により前記第1のバンプの先端部と前記第2のバンプの先端部を当接させた状態で、該第1,2のバンプの周囲を含み前記第1の導体部と第2の導体部を電気的に接続するメッキ金属により形成された接合部と、
で構成されることを特徴とする接合構造体。
【請求項3】
前記対向配置により前記第1のバンプの先端部と前記第2のバンプの先端部同士が近接した状態で、該第1,2のバンプの先端部間及び周囲を含み前記第1の導体部と第2の導体部を電気的に接続するメッキ金属により形成された接合部と、
で構成されることを特徴とする請求項2に記載の接合構造体。
【請求項4】
前記対向配置により前記第1のバンプの先端部が前記前記第2の導体部に当接し、前記第2のバンプの先端部が前記第1の導体部に当接させた状態で、該第1,2のバンプの周囲を含み前記第1の導体部と第2の導体部を電気的に接続するメッキ金属により形成された接合部と、
で構成されることを特徴とする請求項2に記載の接合構造体。
【請求項5】
前記対向配置により前記第1のバンプの側面と前記前記2のバンプの側面とが当接又は近接させた状態で、該第1,2のバンプの周囲を含み前記第1の導体部と第2の導体部を電気的に接続するメッキ金属により形成された接合部と、
で構成されることを特徴とする請求項2に記載の接合構造体。
【請求項6】
前記第1,2の導体部が電気的に接合されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の接合構造体。
【請求項7】
少なくとも2つの部材の導体部が接合された接合構造体の製造方法であって、
少なくとも1つのバンプを第1の部材の前記導体部上に形成する工程と、
前記 バンプの先端部が第2の部材の前記導体部に当接するように対向させた位置を決める工程と、
メッキ液に浸漬され、析出するメッキ金属で前記第1の部材の前記導体部と前記第2の部材の前記導体部とが前記バンプを介して接合する接合部が形成されるメッキ処理工程と、
を含むことを特徴とする接合構造体の製造方法。
【請求項8】
少なくとも1つの第1のバンプを第1の部材の前記導体部上に形成する工程と、
少なくとも1つの第2のバンプを第2の部材の前記導体部上に形成する工程と、
前記第1のバンプと、前記第2のバンプとが当接する又は所定の間隔を隔てて対向するように貼り合せ位置を決める工程と、
メッキ液に浸漬され、析出するメッキ金属で前記第1の部材の前記導体部と前記第2の部材の前記導体部とが、前記第1,第2のバンプを含んで接合する接合部が形成されるメッキ処理工程と、
を含むことを特徴とする接合構造体の製造方法。
【請求項9】
前記メッキ処理工程におけるメッキ処理は、電解メッキ処理であることを特徴とする請求項7又は8に記載の接合構造体の製造方法。
【請求項10】
前記メッキ処理工程におけるメッキ処理は、無電解メッキ処理であることを特徴とする請求項7又は8に記載の接合構造体の製造方法。
【請求項11】
前記接合構造体の製造方法において、
前記第1の部材の導体部と第2の部材の導体部とを電気的に接合することを特徴とする
請求項7又は8に記載の接合構造体の製造方法。
【請求項12】
前記バンプを前記第1の部材の前記導体部上に形成する工程において、
前記導体部の一部が開口して露出するように選択的に表面保護膜が形成され、前記バンプは該導体部の一部上にメッキ処理により析出された金属により形成されることを特徴とする請求項7又は8に記載の接合構造体の製造方法。
【請求項13】
前記メッキ処理工程において、
前記メッキ液内に浸漬してから電解メッキ用の電流を印加しない所定の待機時間を設けてメッキ金属が形成されるべき前記第1、第2の部材の各導体部と前記バンプの表面を露呈させた後に電流の印加を開始することを特徴とする請求項9に記載の接合構造体の製造方法。
【請求項14】
前記接合構造体の製造方法において、
前記メッキ処理の後に前記第1,第2の部材の少なくとも一方を裁断する工程を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の接合構造体の製造方法。
【請求項1】
対向配置された少なくとも2つの部材上にそれぞれ形成された第1,2の導体部が電気的に接合された接合構造体であって、
前記第1の導体部上に所望する高さを有する少なくとも1つのバンプが形成された第1の部材と、
前記第1の部材と対向配置され、前記バンプの先端部が当接する第2の部材と、
当接する前記バンプの周囲を含み前記第1の部材の導体部と第2の部材の導体部を接続するメッキ金属により形成された接合部と、
で構成されることを特徴とする接合構造体。
【請求項2】
対向配置された少なくとも2つの部材上にそれぞれ形成された第1,2の導体部が電気的に接合された接合構造体であって、
前記第1の導体部上に所望する第1の高さを有する少なくとも1つの第1のバンプが形成された第1の部材と、
前記第2の導体部上に所望する第2の高さを有する少なくとも1つの第2のバンプが形成された第2の部材と、
前記対向配置により前記第1のバンプの先端部と前記第2のバンプの先端部を当接させた状態で、該第1,2のバンプの周囲を含み前記第1の導体部と第2の導体部を電気的に接続するメッキ金属により形成された接合部と、
で構成されることを特徴とする接合構造体。
【請求項3】
前記対向配置により前記第1のバンプの先端部と前記第2のバンプの先端部同士が近接した状態で、該第1,2のバンプの先端部間及び周囲を含み前記第1の導体部と第2の導体部を電気的に接続するメッキ金属により形成された接合部と、
で構成されることを特徴とする請求項2に記載の接合構造体。
【請求項4】
前記対向配置により前記第1のバンプの先端部が前記前記第2の導体部に当接し、前記第2のバンプの先端部が前記第1の導体部に当接させた状態で、該第1,2のバンプの周囲を含み前記第1の導体部と第2の導体部を電気的に接続するメッキ金属により形成された接合部と、
で構成されることを特徴とする請求項2に記載の接合構造体。
【請求項5】
前記対向配置により前記第1のバンプの側面と前記前記2のバンプの側面とが当接又は近接させた状態で、該第1,2のバンプの周囲を含み前記第1の導体部と第2の導体部を電気的に接続するメッキ金属により形成された接合部と、
で構成されることを特徴とする請求項2に記載の接合構造体。
【請求項6】
前記第1,2の導体部が電気的に接合されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の接合構造体。
【請求項7】
少なくとも2つの部材の導体部が接合された接合構造体の製造方法であって、
少なくとも1つのバンプを第1の部材の前記導体部上に形成する工程と、
前記 バンプの先端部が第2の部材の前記導体部に当接するように対向させた位置を決める工程と、
メッキ液に浸漬され、析出するメッキ金属で前記第1の部材の前記導体部と前記第2の部材の前記導体部とが前記バンプを介して接合する接合部が形成されるメッキ処理工程と、
を含むことを特徴とする接合構造体の製造方法。
【請求項8】
少なくとも1つの第1のバンプを第1の部材の前記導体部上に形成する工程と、
少なくとも1つの第2のバンプを第2の部材の前記導体部上に形成する工程と、
前記第1のバンプと、前記第2のバンプとが当接する又は所定の間隔を隔てて対向するように貼り合せ位置を決める工程と、
メッキ液に浸漬され、析出するメッキ金属で前記第1の部材の前記導体部と前記第2の部材の前記導体部とが、前記第1,第2のバンプを含んで接合する接合部が形成されるメッキ処理工程と、
を含むことを特徴とする接合構造体の製造方法。
【請求項9】
前記メッキ処理工程におけるメッキ処理は、電解メッキ処理であることを特徴とする請求項7又は8に記載の接合構造体の製造方法。
【請求項10】
前記メッキ処理工程におけるメッキ処理は、無電解メッキ処理であることを特徴とする請求項7又は8に記載の接合構造体の製造方法。
【請求項11】
前記接合構造体の製造方法において、
前記第1の部材の導体部と第2の部材の導体部とを電気的に接合することを特徴とする
請求項7又は8に記載の接合構造体の製造方法。
【請求項12】
前記バンプを前記第1の部材の前記導体部上に形成する工程において、
前記導体部の一部が開口して露出するように選択的に表面保護膜が形成され、前記バンプは該導体部の一部上にメッキ処理により析出された金属により形成されることを特徴とする請求項7又は8に記載の接合構造体の製造方法。
【請求項13】
前記メッキ処理工程において、
前記メッキ液内に浸漬してから電解メッキ用の電流を印加しない所定の待機時間を設けてメッキ金属が形成されるべき前記第1、第2の部材の各導体部と前記バンプの表面を露呈させた後に電流の印加を開始することを特徴とする請求項9に記載の接合構造体の製造方法。
【請求項14】
前記接合構造体の製造方法において、
前記メッキ処理の後に前記第1,第2の部材の少なくとも一方を裁断する工程を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の接合構造体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−36022(P2007−36022A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218923(P2005−218923)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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