説明

接合組成物

ポリマー基体をヒドロキシル化表面、例えばガラスに接合する方法が開示される。ポリマー基体はエラストマー基体、例えば天然または合成ゴムであってよい。本方法は、少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造、およびニトロソ芳香族またはニトロソ芳香族前駆体から選択される少なくとも1つの部分構造を含む化合物を、基体の1つに塗布するステップを含んでよい。ニトロソ芳香族部分構造は、ニトロソベンゼンであってよい。ニトロソ芳香族前駆体は、ニトロソベンゼン前駆体、例えば、キノンジオキシムまたはキノンオキシムの少なくとも1つであってよい。接合工程で使用するのに適した、新規のプライマーおよび化合物も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
ポリマー基体をヒドロキシル化表面に接合するための接着組成物のような硬化性組成物を開示する。特に、ポリマー対ガラス、例えばエラストマー対ガラス、例えばゴム対ガラスのような接合用途において使用するのに適した接着組成物が提供される。本発明の1つの態様は、ゴム対ガラスの接合用途に適した接着組成物の使用に適する新規の化合物を提供する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の簡単な説明)
強化複合材料は、軽量でありながらも激しい荷重および作業条件を受けるのに充分な強度を必要とする高性能製品の製造において、重要な役割を果たす。一般の強化材料は、木材、ガラス、金属、石英および炭素繊維を含有した。そのような材料と共に強化された複合材料は多くの構造用材料、例えば航空宇宙産業部品およびレーシングカーのボディの製造において、有用性が見出され得る。
【0003】
ガラスは、単位重量当たりでは現存する構造用材料の中で最も強度を有するものの1つであり、例えば、重量ベースではスチールよりも強度を有する。さらに、ガラスは他の多くの一般的な強化媒体と比べて、改善された応力および歪み抵抗を示す。例えば、ガラスコードは、ガラス繊維の固有の特性を生かしてポリマー製品に強度および寸法安定性を付与するために使用することができる。
【0004】
ガラス繊維強化複合材料は、マトリックス中に埋め込まれた高強度ガラス繊維からなる。例えば、ガラス繊維強化コンクリートは、セメントをベースとするマトリックス中に埋め込まれたガラス繊維を含み、ビルおよび他の大建造物で有用性が見出され得る。同様に、ガラス強化プラスチックは、プラスチック材料中に埋め込まれたガラス繊維を含む。ガラス強化プラスチックは、組み合わせて軽量材料に高強度性能を供与する非常に多用途の材料である。ガラス強化プラスチックは、構造工学から電気通信まで多くの種々の領域で有用性が見出されている。
【0005】
エラストマー対ガラスの接合は、ガラスの構造強度とエラストマー/ゴムの弾性とを組み合わせることができる魅力的な手段を提供する。強化繊維、例えばガラス繊維は、ゴム物品、例えばゴムベルト、タイヤおよびホースで、強化材料として使用されてきた。特に、ガラス繊維は、クランク軸から塔頂部のカム軸へ慣性損失なしに力を同期伝達する必要がある自動車タイミングベルトを強化するために採用されてきた。
【0006】
一般に、ゴム部材は、繰り返して屈曲応力に曝される結果、曲げ疲労が生じる。このことは性能の低下、強化繊維とゴムマトリックスとの間の剥離、および強化繊維の摩耗をもたらし得る。従って、ゴム対ガラスの接合のための接着剤は、そのような応力に耐えることができなければならない。
【0007】
従来、そのようなガラスコード複合材料は、ガラス糸の個々のフィラメントを特別な被膜、例えば、レゾルシノール・ホルムアルデヒド・ラテックス(「RFL」)配合物で被覆して製造される。次に、従来のゴム対金属の接合製品を用い、加硫ステップを経てRFLラテックスをゴムに接合する。
【0008】
従来のゴム対金属の接合技術は2ステップシステムを包含し、その第1ステップではプライマーが塗布され、その後の第2ステップでは接着剤が塗布される。プライマーは一般的に、反応性基を含有する塩素化ゴムおよびフェノール樹脂の溶液または懸濁液、およびまた顔料、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラックなどからなる。プライマーは一般に、処理された(洗浄された)金属部品、例えば、処理されたスチール部品、例えば、グリットブラスト仕上げまたは化学的に処理された部品の表面上に薄層として塗布される。接着剤は、通常、広範囲のゴム材料および架橋剤からなる。これらは、塩素化および臭素・塩素化ゴム、架橋剤として芳香族ニトロソベンゼン化合物およびビスマレイミド、溶媒としてキシレン、パークロロエチレンおよびエチルベンゼン、ならびにある種の鉛または亜鉛の塩も含むが、これらに限定されない。接着剤層は、一般に、下塗りされた金属とゴムとの間を結び付けるものである。
【0009】
一般に対象基体への接合は、加硫ステップ、例えば圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、およびオートクレーブ加熱(例えばスチームまたは高温の空気による)の間に達成されることが望ましい。例えば、半固体状ゴムは鋳型に注入することができる。次いで半固体状ゴムは完全に硬化されたゴムに架橋され、同時に基体との接合が形成される。
【0010】
硬化システムについて一定の要求が望まれる。これには、作業の容易性、安定性(例えば、沈降を防ぐこと)、塗布の容易性、高速乾燥(汚染のない取り扱いを可能にする)、良好な濡れ特性、および良好な硬化強度が挙げられる。硬化は、使用されるエラストマー(ゴム)の種類とは無関係に、およびまた、基体の種類とも無関係に達成されなければならない。あるゴムがブレンド材料であり、従って、そのようなブレンド材料で良好な硬化が達成されることが望ましいことは理解されるであろう。好適には、安定した硬化は、様々な工程パラメータの下で達成される。また、耐久性も望まれる。
【0011】
当該技術分野での最新技術が存在するにもかかわらず、ヒドロキシル化基体、例えばガラスにポリマー基体(例えば、エラストマー)を接合するための化合物および組成物を提供するのは望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ヒドロキシル化表面にポリマーを接合する方法を提供する。ポリマー対ガラスの接合、例えば、エラストマー対ガラスの接合、例えば、ゴム対ガラスの接合は、金属の特性、例えば、高分子量、腐食に対する脆弱性、耐久性、およびコストのために特定の用途でその金属が適さない用途で有益であり得る。
【0013】
第1の態様では、本発明は、ポリマーをヒドロキシル化表面に接合する方法を提供し、その方法は:
表面またはポリマーの少なくとも1つに、
a)少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造と、
b)芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体およびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの部分構造と
を含む化合物を塗布するステップ、および
該表面およびポリマーを共に合わせるステップ、
を含む。該化合物は、ヒドロキシル化表面に塗布されてよい。
【0014】
本方法は、さらに、基体を共に合わせることに続いて、加熱するステップを含んでもよい。有利には、加熱は、接合形成の速度を高めることができる。加熱は、接合強度を改善し得る。
【0015】
本明細書で用いる場合、用語:ヒドロキシル化表面とは、ヒドロキシ基に結合した原子を含む表面を有する任意の基体を意味する。適した非限定的な例としては、含水金属酸化物、表面Si−OH結合を含むガラス基体または表面Al−OH結合を含む粘土基体が挙げられる。適したヒドロキシル化表面としては、シリケート、アルミネート、ゲルマネートおよびそれらの組合せの表面が挙げられる。ヒドロキシル化表面は、シリケート、アルミネートまたはそれらの組合せであってよい。本明細書で用いる場合、用語:シリケートとは、Si−OH結合を含む基体を意味する。用語:アルミネートとは、Al−OH結合を有する基体を意味し、用語:ゲルマネートとは、Ge−OH結合を有する基体を意味する。
【0016】
例えば、ヒドロキシル化表面は、ガラス、例えばガラス繊維、石英、粘土、タルク、ゼオライト、磁器、セラミック、シリコン基体、例えばシリコンウエハーおよびそれらの組合せのものであってよい。
【0017】
ポリマーは、ポリマー鎖内にアルケンおよび/またはアリル基を含んでよい。例えば、ジエンおよび/またはアリル基は、ポリマー鎖内に存在してよい。適切には、ポリマーは、アリル基を含んでよい。適したポリマーは、エラストマーを含んでよい。適したエラストマーは、天然または合成ゴムを含んでよい。合成ゴムは、ニトリルブタジエンゴムであってよい。合成ゴムは、水素化ニトリルブタジエンゴム(HNBR)であってよい。ポリマーは、C〜C1,000,000のポリマー、例えば、C〜C10,000のポリマーであってよい。
【0018】
芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体から選択される少なくとも1つの部分構造は、ニトロソベンゼンまたはニトロソベンゼン前駆体およびそれらの組合せであってよい。
【0019】
本発明の方法は、基体に組成物を塗布する前に、追加的に洗浄、例えば、研削による洗浄、例えば、ブラスト、例えば、基体をグリットブラストするステップを含んでもよい。洗浄は、表面上に新しく生じたヒドロキシル基を曝すことができ、それにより、ヒドロキシル化表面とポリマー、例えば、エラストマー、例えば、ゴムとを共に接合する接着剤の性能を非常に増大させることができる。
【0020】
本明細書の文脈中では、用語:芳香族ニトロソ部分構造とは、少なくとも1つのニトロソ基を有する芳香族部分構造を意味する。同様に、用語:芳香族ニトロソ前駆体部分構造とは、少なくとも1つのニトロソ基を有する芳香族ニトロソ部分構造へと変換できる任意の化合物を意味する。用語:芳香族は、縮合および非縮合芳香族環の両方を含む。
【0021】
例えば、本発明に包含される縮合および非縮合芳香族ニトロソ部分構造の非限定的な選択は、以下に詳細に例示される:
【0022】
【化1】

【0023】
当業者によって理解されるように、上で開示されたニトロソ構造は、例えば、C〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアルコキシ、C〜C20のアラルキル、C〜C20のアルカリル、C〜C20のアリールアミン、C〜C20のアリールニトロソ、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲンおよびそれらの組合せの少なくとも1つで任意に1回以上置換されていてもよい。そのような置換基は、化合物を含む組成物の有効な接合または硬化を阻害しないという条件で可能である。
【0024】
本発明の方法で使用される化合物は、ポリマー対ガラスの接合、例えば、エラストマー対ガラスの接合、例えば、ゴム対ガラスの接合形成において役立つことができる。それらは、ゴムとガラスとの間の界面で容易に塗布され、硬化工程の間に強力で耐久性のある接合を生じさせるのに役立つことができる。
【0025】
本発明の方法において、従来のシステムとは対照的に、本発明の方法で使用される化合物は、(接着組成物の一部として)加硫および接合形成の前に非加硫ゴム(非エラストマー基体とは異なる)に塗布されてよく、その後の加硫によって接合が結果としてもたらされる。このことは、化合物/接着剤システムがゴムまたはガラス基体に塗布されてよいことを意味する。化合物は、ガラス基体に塗布されてよい。
【0026】
芳香族ニトロソ前駆体部分構造は、オキシム、ジオキシムおよびそれらの組合せを含んでもよい。例えば、芳香族ニトロソ前駆体部分構造は:
【0027】
【化2】

からなる群より選択される化合物のモノ−またはジオキシムであってよい。
【0028】
当業者によって理解されるように、上で開示されたジケトン構造は、例えば、C〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアルコキシ、C〜C20のアラルキル、C〜C20のアルカリル、C〜C20のアリールアミン、C〜C20のアリールニトロソ、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲンおよびそれらの組合せの少なくとも1つで任意に1回以上置換されていてもよい。そのような置換基は、前駆体化合物を含む組成物の有効な接合または硬化を阻害しないという条件、例えば、イン−サイチュでの芳香族ニトロソ化合物の生成を阻害しないという条件で可能である。
【0029】
本発明の方法で使用される化合物の芳香族ニトロソ部分構造は、ニトロソベンゼン部分構造を含んでよい。ニトロソベンゼン部分構造は、モノニトロソベンゼン、ジニトロソベンゼン、またはそれらの組合せであってよい。同様に、本発明の組成物の芳香族ニトロソ前駆体部分構造は、ニトロソベンゼン部分構造前駆体を含んでよい。ニトロソベンゼン前駆体は、モノニトロソベンゼン前駆体、ジニトロソベンゼン前駆体、またはそれらの組合せであってよい。ニトロソベンゼン前駆体は、イン−サイチュでニトロソベンゼン構造、ジニトロソベンゼン構造またはパラ−ニトロソフェノール構造を形成できることが理解されよう。ニトロソベンゼン前駆体は、キノンジオキシムまたはキノンオキシムの少なくとも1つであってよい。そのような構造は、望ましい接合の形成に役立つことが見出された。
【0030】
当業者によって理解されるように、ニトロソベンゼンおよびニトロソベンゼン前駆体部分構造の参照としては、C〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアルコキシ、C〜C20のアラルキル、C〜C20のアルカリル、C〜C20のアリールアミン、C〜C20のアリールニトロソ、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲンおよびそれらの組合せの少なくとも1つで任意に1回以上置換されてもよいニトロソベンゼンおよびニトロソベンゼン前駆体部分構造が挙げられる。そのような置換基は、これらの化合物を含む組成物の有効な接合または硬化を阻害しないという条件で可能である。例えば、イン−サイチュでのニトロソベンゼン部分構造の生成を阻害しない、という条件である。
【0031】
本発明の方法で使用される化合物のシラン部分構造は、構造:
【0032】
【化3】

で表されるものであってよく、構造中、
「a」は、1〜3であってよく、「b」は、0〜2であってよく、ここで、a+b=3であり、少なくとも1つのアルコキシ基が存在し;
は、H、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルから選択されてよく、好ましくはC〜Cのアルキルから選択されてよく;ここで、a≧1である場合、少なくとも1つのRは、水素ではなく;
は、C〜C24のアルキルおよびC〜C24のアシルから選択されてよく、好ましくはC〜Cのアルキルから選択されてよい。
【0033】
1つの実施形態では、aは3であり、RはC〜C24のアルキルである。Rは、C〜Cのアルキルであってよく、aは、3であってよい。
【0034】
本化合物は、イソシアネートまたはイソチオシアネートと、活性水素化合物、例えば、−NH(ここで、x=1または2である)、−SH、または−OHとから誘導された反応生成物であってよい。このように、その様に記載された化合物は:
【0035】
【化4】

によって記載される少なくとも1つの連結を含んでいなければならず、ここで、Xは、SまたはOであってよく、Yは、−NH(ここでx=1または2である)、−S、または−Oを含む。
【0036】
これらの化合物に対する一般構造は下に示され:
【0037】
【化5】

構造中、
「a」は、1〜3であってよく、「b」は、0〜2であってよく;ここで、a+b=3であり、少なくとも1つのアルコキシ基は存在し;
は、H、C〜C24のアルキルまたはC〜C24のアシルから選択されてよく、好ましくはC〜Cのアルキルから選択されてよく、ここで、a≧1である場合、少なくとも1つのRは、水素ではなく;
は、C〜C24のアルキルおよびC〜C24のアシルから選択されてよく、好ましくはC〜Cのアルキルから選択されてよく;
nは、1〜10であってよく;
Xは、OまたはSであってよく;
Yは、−O、−S、または−NH(ここでx=1または2である)であってよく;
は、本明細書で定義されたニトロソ芳香族、またはニトロソ芳香族前駆体を含む部分構造であってよい。
【0038】
は、ニトロソベンゼン、キノンジオキシムまたはキノンオキシムを含む部分構造であってよい。
【0039】
は、C〜C24のアルキルまたはC〜C24のアシルから選択されてよい。Rは、C〜C24のアルキルまたはC〜C24のアシルから選択されてよく、「a」は、3であってよい。Xは、Oであってよい。Yは、Oまたは−NH(ここでx=1である)であってよい。Yは、Oであってよい。XおよびYは、Oであってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、「a」は、3である。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、Oであってよく、「a」は、3であってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、−NH(ここでx=1である)であってよく、「a」は、3であってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、Oであってよく、「a」は、3であってよく、Rは、ニトロソベンゼンを含む部分構造であってよい。
【0040】
Yを介した連結を示す、Rに対する構造として:
【0041】
【化6】

が挙げられ、構造中、
は、C〜C10であってよく、
Zは、上の構造の環が、任意に、C〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアルコキシ、C〜C20のアラルキル、C〜C20のアルカリル、C〜C20のアリールアミン、C〜C20のアリールニトロソ、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲンおよびそれらの組合せからなる基でモノ−、ジ−、トリ−またはテトラ置換されてよいことを示し、さらにここで、置換基は、環の各々の炭素原子上で、同じであるか、または異なっているかのいずれかであってよい。そのような置換基は、組成物の有効な接合または硬化を阻害しないという条件で可能である。例えば、イン−サイチュでのニトロソベンゼン化合物の生成を阻害しないという条件において、である。
【0042】
関連する実施形態では、本発明の方法で使用される化合物は、一般構造:
【0043】
【化7】

を有してよく、構造中、
nは、1〜10であってよく;
「a」は、1〜3であってよく、「b」は、0〜2であってよく;ここで、a+b=3であり、少なくとも1つのアルコキシ基が存在し;
cは、「a」であってよく、または1〜3であってよく;dは、「b」であってよく、または1〜3であってよく;
は、H、C〜C24のアルキルまたはC〜C24のアシルから選択されてよく、好ましくはC〜Cのアルキルから選択されてよく、ここで、a≧1の場合、少なくとも1つのRは、水素ではなく;
は、C〜CのアルキルおよびC〜C24のアシルから選択されてよく、好ましくはC〜Cのアルキルから選択されてよく;
Xは、OまたはSであってよく;
Yは、−O、−S、または−NH(ここで、x=1または2である)であってよい。
【0044】
は、C〜C24のアルキルまたはC〜C24のアシルから選択されてよい。Rは、C〜C24のアルキルまたはC〜C24のアシルから選択されてよく、「a」は、3であってよい。Xは、Oであってよい。Yは、Oであってよく、または−NH(ここで、x=1である)であってよい。Yは、Oであってよい。XおよびYは、Oであってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、「a」は、3である。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、Oであってよく、「a」は、3であってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、−NH(ここで、x=1である)であってよく、「a」は、3であってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、Oであってよく、nは、3であってよく、「a」は、3であってよい。
【0045】
さらに実施形態では、本発明の方法で使用される化合物は、一般構造:
【0046】
【化8】

で表されるオリゴマーまたはコオリゴマーの化合物であってよく、構造中、
mは、1〜100であってよく;nは、1〜10であってよく;pは、1〜10であってよく;qは、0〜50であってよく;q=0の場合、m≧2であり;
は、H、C〜C24のアルキルまたはC〜C24のアシルから選択されてよく、好ましくはC〜Cのアルキルから選択されてよく;
は、OR、C〜C24のアルキルまたはC〜C24のアシルから選択されてよく、ここで、R=ORの場合、少なくとも1つのRは、水素ではなく;
は、アクリレート、アルデヒド、アミノ、無水物、アジド、マレイミド、カルボキシレート、スルホネート、エポキシド、エステル官能性、ハロゲン、ヒドロキシル、イソシアネートまたはブロック化イソシアネート、硫黄官能性、ビニルおよびオレフィン官能性、またはポリマー構造から選択されてよく;
Xは、OまたはSであってよく;
Yは、−O、−S、または−NH(ここで、x=1または2である)であってよく;
は、本明細書で定義される通りのニトロソ芳香族、またはニトロソ芳香族前駆体を含む部分構造であってよい。
【0047】
は、ニトロソベンゼン、キノンジオキシムまたはキノンオキシムを含む部分構造であってよい。
【0048】
は、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルから選択されてよい。Rは、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルから選択されてよく、Rは、ORであってよい。Xは、Oであってよい。Yは、Oまたは−NH(ここで、x=1である)であってよい。Yは、Oであってよい。XおよびYは、Oであってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Rは、ORであってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、Oであってよく、Rは、ORであってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、−NH(ここで、x=1である)であってよく、Rは、ORであってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、Oであってよく、nは、3であってよく、Rは、ORであってよく、Rは、ニトロソベンゼンを含む部分構造であってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、Oであってよく、nは、3であってよく、Rは、ORであってよく、Rは、ニトロソベンゼンを含む部分構造であってよく、qは、0であってよく、mは、≧2であってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、Oであってよく、nは、3であってよく、Rは、ORであってよく、Rは、ニトロソベンゼンを含む部分構造であってよく、qは、0であってよく、mは、≧2であってよく、Rは、ビニルまたはエステルであってよい。
【0049】
本発明の方法で使用される化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる:
【0050】
【化9】

【0051】
本発明の方法で使用される化合物は、組成物の一部として配合されてよいことが理解されよう。
【0052】
そのように記載された化合物および配合物は、結果として多くの利点をもたらすことができる。例えば、1パート接着剤システムが配合されてよい。そのようなシステムは、都合がよい従来の技術、例えば、吹き付け塗りまたは浸漬塗りを使用して単一ステップで基体に容易に塗布される。そのように提供された化合物および配合物は、従来のジニトロソベンゼン配合物と比べて、低減された毒性を有し得る。また、そのように提供された化合物および配合物は、優れた接合強度を達成することもできる。加えて、本発明の硬化組成物は、高温水および溶媒への抵抗を示す。
【0053】
従って、ポリマーをヒドロキシル化表面に接合するための本発明の方法は、ポリマーまたは表面の少なくとも1つに(本発明の)組成物を塗布するステップ、およびポリマーと表面を合わせて接合を形成するステップ、を含んでいてよく、ここで、組成物は、
(i)
a)少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造と、
b)芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体およびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの部分構造と、
を含む少なくとも1つの化合物、および
(ii)前記化合物のための適したキャリアビヒクル、
を含む。任意の適したキャリアビヒクルを使用できることが理解されよう。キャリアビヒクルは、必ず環境に優しいことが望ましい。そのような組成物は、基体、例えばガラス基体を、天然または合成ゴムに接合する場合に有用性が見いだされうる。合成ゴムは、ニトリルブタジエンゴムであってよい。合成ゴムは、水素化ニトリルブタジエンゴム(「HNBR」)であってよい。
【0054】
少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造と、芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体(ニトロソシランとしても公知)から選択される少なくとも1つの部分構造とを含む化合物は、全組成物の1〜20重量%の量で存在してよい。適切には、ニトロソシランは、1〜15重量%、例えば、4〜12重量%の量で存在してよい。ニトロソシランは、全組成物の6重量%の量で存在してよい。
【0055】
本発明の方法で使用される組成物は、イン−サイチュで芳香族ニトロソ部分構造を形成することが望ましいあらゆる用途で有用性が見出され得る。同様に、本発明の組成物は、イン−サイチュで芳香族ジニトロソ部分構造を形成することが望ましいあらゆる用途で有用性が見出され得る。こうした組成物中で、本化合物は、イン−サイチュで反応してニトロソベンゼン部分構造を形成できることが理解されよう。また、本化合物は、イン−サイチュで反応してジニトロソベンゼン部分構造を形成できることも意図される。例えば、特に良好な接合のためには、化合物はイン−サイチュで反応してパラ−ニトロソフェノール部分構造を形成することが望まれ得る。
【0056】
本発明の方法で使用される組成物は、1パート組成物であってよい。本発明の方法で使用される組成物は、2パート組成物であってよい。
【0057】
シランの組合せ(すなわち、ニトロソシランと他のシラン)は、本発明の方法で使用される組成物中に使用されてよい。例えば、1種以上のシランが本発明の方法で使用される組成物中に含まれてよい。こうしたシランは、一般に、式:
【0058】
【化10】

で表され、式中、
nは、1または2のいずれかであり;
y=(2−n)であり;
各々のRは、C〜C24のアルキルまたはC〜C24のアシルから選択されてよく;
各々のRは、C〜C30の脂肪族基、置換されたC〜C30の芳香族基、または置換されていないC〜C30の芳香族基から選択されてよく;
は、水素、C〜C10のアルキレン、1つ以上のアミノ基で置換されたC〜C10のアルキレン、1つ以上のアミノ基で置換されたC〜C10のアルケニレン、C〜C10のアリーレン、またはC〜C20のアルキルアリーレンから選択されてよく;
X−Rは、任意であり、Xは:
【0059】
【化11】

のいずれかであり、ここで、
各Rは、水素、C〜C30の脂肪族基、またはC〜C30の芳香族基から選択されてよく;
は、C〜C30の脂肪族基またはC〜C30の芳香族基から選択されてよく;
上記式中、n=1の場合、RおよびRの少なくとも1つは、水素ではない。
【0060】
1つの実施形態では、X−Rが存在する。この実施形態では、Rは、C〜C24のアルキルから選択されてよく、Rは、C〜C30の脂肪族基から選択されてよく、Xは、N−Rであってよく、Rは、水素またはC〜C10のアルキレンから選択されてよい。理解されるように、X−Rが存在しない場合、シランは、一般式:
【0061】
【化12】

(式中、RおよびRは、上の定義の通りである)
で表されるものであってよい。
【0062】
好ましいシランとしては、2つの三置換シリル基を有するもののようなビス−シリルシランが挙げられる。置換基は個々に、C〜C20のアルコキシ、C〜C30のアリールオキシおよびC〜C30のアシルオキシから選択されてよい。本発明での使用のために適したビス−シリルシランとしては:
【0063】
【化13】

が挙げられ、ここで、
各々のRは、C〜C24のアルキルまたはC〜C24のアシルから選択されてよく;
各々のRは、C〜C20の脂肪族基またはC〜C30の芳香族基から選択されてよく;
Xは、任意であり:
【0064】
【化14】

のいずれかであり、ここで、
各々のRは、水素、C〜C20の脂肪族基、またはC〜C30の芳香族基から選択されてよく;
は、C〜C20の脂肪族基またはC〜C30の芳香族基から選択されてよい。
【0065】
1つの実施形態では、Xが存在する。Rは、C〜C24のアルキルから選択されてよく、Rは、C〜C30の脂肪族基から選択されてよく、Xは、N−Rであってよい。理解されるように、Xが存在しない場合、ビス−シランは、一般式:
【0066】
【化15】

(式中、RおよびRは、上の定義の通りである)で表されてよい。
【0067】
本発明の方法で使用するための組成物中で配合される、いくつかのビス−シリルアミノシランの例としては、ビス−(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−[2−(ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、およびアミノエチル−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0068】
(先行する段落に記載された)そのようなシランは、芳香族ニトロソシラン(または芳香族ニトロソ前駆体シラン)に対して、約1:3〜約3:1(化学量論的に)の範囲で含まれてよい。芳香族ニトロソシランおよび/または芳香族ニトロソ前駆体シランと、先行する段落において構造式によって記載されたシランとの混合は、優れたゴムとガラスの接合をもたらし得る。特に、芳香族ニトロソシランおよび/または芳香族ニトロソ前駆体シランに加えて、アミノビス(プロピルトリメトキシシラン)を包含することによって、ゴム対ガラスの接合強度を著しく増強できる。
【0069】
シランは、全組成物の1〜10重量%の量で存在してよい。適切には、シランは、1〜5重量%、例えば、1〜3重量%の量で存在してよい。シランは、全組成物の3重量%の量で存在してよい。
【0070】
一般に、対象基体に塗布される最終溶液は、全シラン濃度および比(ニトロソシランに対するシラン)が広範囲に渡って変化してもよく、なおも有利な結果を提供できる。最終溶液の全シラン濃度、すなわち、最終溶液中のシランとニトロソシランの組合せの濃度は、少なくとも約0.1容積%でなければならない。約0.1容量%〜約10容積%の間の全シラン濃度を有する溶液は一般に、有益なシランを無駄にすることなく強い接合を提供する。
【0071】
エラストマー材料、例えば、ゴム組成物と、ヒドロキシル基を含む表面(例えば、ガラスおよびゼオライト)との間での、シラン溶液の無駄が最小限である優れた接着は、上のように記載された組成物の使用によって実現されうる。
【0072】
例えば、第1の基体は、表面ヒドロキシル基を含む別の基体に接合される天然または合成ゴムから構成されてよい。表面ヒドロキシル基を含む第2の基体は、ガラス基体であってよい。一般に、本化合物のアルコキシシラン部分構造は、ヒドロキシル基を有する表面に固定され得る。芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体から選択される部分構造は、一般に、ゴムに固定され得る。従って、分子の各々の末端が官能基化され、強靭で耐久性のある結合で材料を共に接合することを助ける。
【0073】
従って、前に記載されたような接着組成物で被覆されたガラス基体は、接着組成物で被覆されたガラス上に未硬化の状態にあるエラストマー材料を塗布し、ガラス上のエラストマー材料を硬化してガラスにその材料を接合することによって、ポリマー、例えば、エラストマー材料、例えば、ゴム組成物に接着してよい。ゴムポリマー材料の場合、未硬化ゴムは、イン−サイチュで加硫処理して硬化されてよく、それによってゴムのガラスへのさらなる接合がもたらされる。
【0074】
ガラスへのそのような接合は、ポリマー、特に、ポリマー鎖中にアルケン/アリル基有するポリマーと反応させることが可能であるニトロソ基を介して達成される。例えば、ジエンまたはアリル基を有するポリマーである。適切には、ポリマーは、アリル基を含んでよい。
【0075】
あるいは、適したポリマーは、ニトロソ基と反応させることができるものであり、それによって、アリル基とニトロソ基との間に架橋をもたらす。そのような反応は、例えば、ニトロソ基とゴム材料との間で様々な架橋を生成する。本発明の方法で使用される材料は、ニトロソ基が分子構造中に存在するために、遊離ニトロソ基を低減させると考えられる。芳香族ニトロソシランおよび/または芳香族ニトロソ前駆体シランとガラス基体との反応では、ニトロソは天然ゴム中のアルケン/アリル基と反応することができ、一方、シランはガラスと結合を形成する。
【0076】
さらなる態様では、本発明は、下記の一般構造:
【0077】
【化16】

で表される化合物に及び、構造中、
「a」は、1〜3であってよく、「b」は、0〜2であってよく;ここで、a+b=3であり、少なくとも1つのアルコキシ基が存在し;
は、H、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルから選択されてよく、好ましくはC〜Cのアルキルから選択されてよく、ここで、a≧1の場合、少なくとも1つのRは、水素ではなく;
は、C〜C24のアルキルおよびC〜C24のアシルから選択されてよく、好ましくはC〜Cのアルキルから選択されてよく;
mおよびnは、同じであってよく、または異なっていてよく、1〜10であってよく;
Xは、OまたはSであってよく;
Yは、−O、−S、または−NH(ここで、x=1または2である)であってよく;
は、C〜C10であってよく;
Zは、上記構造の環が、任意に、C〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアルコキシ、C〜C20のアラルキル、C〜C20のアルカリル、C〜C20のアリールアミン、C〜C20のアリールニトロソ、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲンおよびそれらの組合せからなる群でモノ−、ジ−、トリ−またはテトラ置換されていてよいことを示し、さらにここで、置換基は、環の各々の炭素原子上で、同じであるか、または異なっているかのいずれかであってよい。そのような置換基は、本化合物を含む接合組成物の有効な接合または硬化を阻害しないという条件で可能である。
【0078】
は、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルから選択されてよい。Rは、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルから選択されてよく、「a」は、3であってよい。Xは、Oであってよい。Yは、Oまたは−NH(ここで、x=1である)であってよい。Yは、Oであってよい。XおよびYは、Oであってよい。nは、C〜Cのアルキルであってよい。mは、C〜Cのアルキルであってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、「a」は、3である。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、Oであってよく、「a」は、3であってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、−NH(ここで、x=1である)であってよく、「a」は、3であってよい。Rは、C〜Cのアルキルから選択されてよく、Xは、Oであってよく、Yは、Oであってよく、「a」は、3であってよく、Rは、C〜C10であってよい。
【0079】
本化合物は:
【0080】
【化17】

であってよい。
【0081】
さらなる態様では、本発明は、本発明の化合物を含む接着組成物に及ぶ。組成物は、さらに、化合物のための適したキャリアビヒクルを含んでよい。組成物は、追加的に、(上記のように)シラン、例えば、アミノシランを含んでよい。
【0082】
本発明の組成物は、ポリマー基体、例えば、エラストマー基体を、非エラストマー基体に接合することにおいて有用性が見出され得る。1つの例は、ゴム(天然または合成)を非ゴム基体に接合すること、例えば、ガラスを天然または合成ゴムに接合することである。合成ゴムは、ニトリルブタジエンゴムであってよい。合成ゴムは、HNBRであってよい。
【0083】
本発明は、さらに、ヒドロキシル化表面と、ポリマー鎖(例えば、エラストマー、例えば、天然または合成ゴム)中にジエンおよび/またはアリル基を有するポリマー基体との間の硬化された残留物に及び、この残留物は、ヒドロキシル化表面に固定されたシラン、およびニトロソ基とポリマー基体のジエンまたはアリル基との環化付加反応生成物を含む。ヒドロキシル化表面およびポリマー基体は、残留物の一部ではない。
【0084】
例えば、ポリマー基体がポリマー鎖(例えば、天然または合成ゴム)に付いたアリル基を含む場合、残留物は、下記の一般構造:
【0085】
【化18】

で表されるものであってよく(ただし、ヒドロキシル化表面およびポリマー基体は、残留物の一部ではない)、構造中、
「a」は、0〜2であってよく、「b」は、0〜2であってよく、cは、1〜3であってよく、それによってa+b+c=3であり;
は、H、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルから選択されてよく、好ましくはC〜Cのアルキルから選択されてよく、かつここでa≧1の場合、少なくとも1つのRは、水素ではなく;
は、C〜C24のアルキルおよびC〜C24のアシルから選択されてよく、好ましくはC〜Cのアルキルから選択されてよく;
mおよびnは、同じであってよく、または異なっていてよく、かつ1〜10であってよく;
Xは、OまたはSであってよく;
Yは、−O、−S、または−NH(ここで、x=1または2である)であってよく;
は、C〜C10であってよく;および
Zは、上記構造の環が、任意に、C〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアルコキシ、C〜C20のアラルキル、C〜C20のアルカリル、C〜C20のアリールアミン、C〜C20のアリールニトロソ、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲンおよびそれらの組合せでモノ−、ジ−、トリ−またはテトラ置換されていてよいことを示し、さらにここで、置換基は、環の各々の炭素原子上で、同じであるか、または異なっているかのいずれかであってよい。そのような置換基は、本化合物を含む接合組成物の有効な接合または硬化を阻害しないという条件で可能である。
【0086】
さらなる態様では、本発明は、基体および本発明の組成物を含む硬化生成物に及ぶ。本発明は、さらに、本発明の接着組成物によって共に接合された少なくとも2つの基体を含む組立品に及ぶ。
【0087】
なお、さらなる態様では、本発明は:
(i)少なくとも1つの基体に、シリケート、アルミネート、ゲルマネートまたはそれらの組合せを含むプライマーを塗布するステップ、
(ii)少なくとも1つの基体に、
a)少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造と、
b)芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体およびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの部分構造と、
を含む化合物を塗布するステップ、および
(iii)第1および第2の基体を合わせて該組成物で接合するステップ、
を含む2つの基体を共に接合する方法を提供する。
【0088】
本明細書で用いる場合、用語:「シリケート、アルミネート、ゲルマネートまたはそれらの組合せを含むプライマーを塗布する」とは、少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造および少なくとも1つの芳香族ニトロソ前駆体部分構造を含む化合物を引き続いて塗布するために、一定量のシリケート、アルミネート、ゲルマネートまたはそれらの組合せを表面に塗布することを意味する。例えば、シリケート、アルミネート、ゲルマネートまたはそれらの組合せを含むプライマーは、堆積、単層、薄膜、層などとして塗布することができる。適切には、シリケート、アルミネート、ゲルマネートまたはそれらの組合せを含むプライマーは、引き続く第2の基体への接合のために第1の基体を下塗りする目的で、第1の基体表面に塗布することができる。プライマーは、シリケート、アルミネートまたはそれらの組合せを含んでよい。第2の基体は、エラストマー、例えば、天然または合成ゴムであってよい。合成ゴムは、ニトリルブタジエンゴムであってよい。合成ゴムは、HNBRであってよい。
【0089】
シリケート、アルミネート、ゲルマネートまたはそれらの組合せを含むプライマーは、1つの基体または双方の基体に塗布してよい。有利には、シリケート、アルミネート、ゲルマネートまたはそれらの組合せを含むプライマーを基体に塗布することによって、改善された硬化強度、特に、製造および自動工程における改善された硬化強度をもたらす。
【0090】
シリケート、アルミネート、ゲルマネートまたはそれらの組合せを含むプライマーは、適したキャリア中で少なくとも1つの基体に塗布されてよい。例えば、キャリアは溶媒、湿潤剤または分散媒体であってよい。
【0091】
プライマーは、ガラス、例えばガラス繊維、石英、粘土、タルク、ゼオライト、磁器、セラミック、シリコン基体およびそれらの組合せを含む群から選択される成分を含んでよい。プライマーは、シリケートを含んでよい。
【0092】
少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造、ならびに芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体およびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの部分構造を含む化合物は、本明細書で開示された通りの一般式または特定式の任意の化合物を含んでよい。
【0093】
第1の基体は、ポリマーであってよい。ポリマーは、ポリマー鎖中にジエンまたはアリル基を含んでよい。例えば、ポリマーは、エラストマー、例えば、天然または合成ゴムであってよい。合成ゴムは、ニトリルブタジエンゴムであってよい。合成ゴムは、水素化ニトリルブタジエンゴム(HNBR)であってよい。プライマーは、ポリマー基体に塗布されてよい。プライマーは、ジエンおよび/またはアリル基を全くか、または充分に有していない他の基体に塗布してよい。
【0094】
少なくとも1つの基体は、天然または合成ゴムであってよい。本方法は、さらに、ゴムを加硫または架橋するステップを含んでよい。1つの望ましい方法としては、ゴムの加硫および第2の基体への接合を同時に行うことが含まれる。
【0095】
本発明の方法で使用される本発明のプライマーおよび化合物(および組成物)は、事前塗布形式で使用されてよい。本明細書で用いる場合、用語:事前塗布とは、本発明のプライマーまたは化合物または組成物を、基体に固定されたままであるように基体に塗布できることを示し、得られた事前処理基体は保存に適する。プライマーまたは組成物の化合物は経時的にその効果を保持しなければならない。事前処理基体は、第2の基体に引き続き接合するために保存されてよい。
【0096】
例えば、この事前塗布には、第1の基体に、シリケート、アルミネート、ゲルマネートまたはそれらの組合せを含むプライマーを、基体に固定されたままであるように事前塗布することが含まれてよい。有利には、基体は事前処理工程において下塗りされてよく、任意に保存されてよく、(自動化)製造工程で引き続いて利用されてよい。
【0097】
従って、本発明はさらに、少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造と、芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体およびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの部分構造とを含む化合物を使用して基体を第2の基体に引き続き接合するために、基体を下塗りする目的で基体に塗布された、シリケート、アルミネート、ゲルマネートまたはそれらの組合せを含むプライマーを有する基体を提供する。少なくとも1つの基体は、ポリマー鎖中にジエンまたはアリル基を含むポリマーを含んでよく、例えば、ポリマーは、エラストマー、例えば、天然または合成ゴムであってよい。合成ゴムは、ニトリルブタジエンゴムであってよい。合成ゴムは、HNBRであってよい。
【0098】
本発明はさらに、基体を第2の基体に引き続き接合するために、基体に事前塗布された、少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造および芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体およびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの部分構造を含む化合物を有する基体を提供する。第1の基体は、本明細書で定義されたヒドロキシル化表面を含んでよい。第2の基体は、ポリマーを含んでよい。ポリマーは、ジエンまたはアリル基をポリマー鎖中に含んでいてよく、例えば、ポリマーは、エラストマー、例えば、天然または合成ゴムであってよい。合成ゴムは、ニトリルブタジエンゴムであってよい。合成ゴムは、HNBRであってよい。有利には、基体は事前処理され、(自動化)製造工程で引き続いて利用されてよい。
【0099】
本発明のプライマーまたは化合物または組成物は、ポリマー基体(例えば、エラストマー、例えば、天然または合成ゴム)、またはヒドロキシル化表面に事前塗布されてよい。組成物は、ヒドロキシル化表面に事前塗布されてよい。
【0100】
本発明の方法、本発明の化合物および組成物は、下記の非限定的な用途において有用性が見出され得る:自動車タイミングベルトの製造、ガラス/ガラス繊維強化プラスチックおよび複合部品への接合、強化ゴムの製造、タイヤの製造、コンベヤーベルトの製造および、例えば、衣料品、例えば、保護用衣料品のような織物材料の製造。
【0101】
本発明の組成物は、組成物の有効な硬化を阻害しないことを条件として、従来の添加物、例えばフィラー、顔料、安定剤、および/または湿気捕捉剤などを追加的に含んでよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0102】
適する場合、本発明の1つの実施形態のあらゆる任意のおよび/または好ましい特徴は、本発明の別の/他の実施形態(単数または複数)の任意のおよび/または好ましい特徴と組み合わせられてよいことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0103】
(発明の詳細な説明)
本発明の方法による接合で使用されるゴム組成物は、さらに、ゴム組成物に共通する公知の添加物を含んでもよい。これらとしては、強化カーボンブラック;不活性フィラー、例えば、炭酸カルシウム、白墨、タルク、または金属酸化物;促進剤システム;加硫遅延剤;促進剤、例えば、酸化亜鉛またはステアリン酸;可塑剤、例えば、芳香族系、パラフィン系、ナフテン系および合成鉱油のようなもの;老化、光保護、オゾン保護、疲労、着色、および加工助剤;および硫黄が挙げられる。通常、これらの添加物は、ゴム組成物の100重量部当たり、約0.1部〜約80部の量で存在してよい。
【0104】
本シラン溶液を塗布するのに先立って、接着組成物で被覆される表面は、より良好な接着を可能にするために洗浄されてよい。例えば、溶媒またはアルカリ材料を使用する洗浄または研磨剤を使用する洗浄がある。次いで、様々な方法によって塗布が実施されてよく、溶液を基体上に、浸漬塗り、吹き付け塗り、はけ塗りまたは拭き塗りすることが挙げられる。ゴム接着力を改善するために、被膜は加硫の前に部分的に架橋が保持されていることが提案されてきた。このため、加熱乾燥は高度な架橋を起こして接着力を劣らせるという結果となる可能性があるために、被膜は通常、室温で空気乾燥される。
【0105】
本発明の化合物を下に説明するように製造した。
【実施例】
【0106】
下記の実験手順に従い、下の反応スキームに例示するように化合物:A、B、C、DおよびE(上記を参照)を合成した。
【0107】
ニトロシル化反応(1):(以下に)J.J.D’Amico、C.C.Tung、およびL.A.Walkerら、J.Am.Chem.Soc.、1959年、5957頁に記載されているように実施した:
【0108】
【化19】

【0109】
反応(2):γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(GE Bayer Silicones A−1310)(2.35g、9.5ミリモル)を50mlの丸底フラスコ中で10mlの無水THFに溶解した。反応フラスコを窒素で置換し、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−4−ニトロソ−アニリン(2g、9.5ミリモル)を導入し、その後、触媒量のジブチル錫ジラウレート(1.5マイクロモル)を導入した。反応溶液を窒素下で、さらに2時間還流した。イソシアネートの消費を赤外線分光法でモニター(2275cm−1)した。溶媒を減圧下で除去して、定量的な収率で生成物を得た。
【0110】
【化20】

【0111】
反応(3):γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(ABCR GmbH)(1.5g、7.3ミリモル)を50mlの丸底フラスコ中で8mlの無水THFに溶解した。反応フラスコを窒素で置換し、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−4−ニトロソ−アニリン(1.53g、7.3ミリモル)を導入し、その後、触媒量のジブチル錫ジラウレート(1マイクロモル)を導入した。反応溶液を窒素下で、さらに2時間還流した。イソシアネートの消費を赤外線分光法でモニター(2275cm−1)した。溶媒を減圧下で除去して、定量的な収率で生成物を得た。
【0112】
【化21】

【0113】
反応(4):γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(GE Bayer Silicones A−1310)(2.35g、9.5ミリモル)を50mlの丸底フラスコ中で10mlの無水THFに溶解した。反応フラスコを窒素で置換し、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−4−ニトロソ−アニリン(1g、4.75ミリモル)を導入し、その後、触媒量のジブチル錫ジラウレート(1.5マイクロモル)を導入した。反応溶液を窒素下で、さらに5時間還流した。イソシアネートの消費を赤外線分光法でモニター(2275cm−1)した。溶媒を減圧下で除去して、定量的な収率で生成物を得た。
【0114】
【化22】

【0115】
反応(5):γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(GE Bayer Silicones A−1310)(10.68g、43.18ミリモル)を100mlの丸底フラスコ中で30mlの無水THFに溶解した。反応フラスコを窒素で置換し、p−ベンゾキノンジオキシム(Sigma−Aldrich)(3g、21.72ミリモル)を導入し、その後、触媒量のジブチル錫ジラウレート(1.5マイクロモル)を導入した。反応溶液を窒素下で、さらに5時間還流した。イソシアネートの消費を赤外線分光法でモニター(2275cm−1)した。溶媒を減圧下で除去して、定量的な収率で生成物を得た。
【0116】
【化23】

【0117】
反応(6):γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(GE Bayer Silicones A−1310)(2.35g、9.5ミリモル)を50mlの丸底フラスコ中で10mlの無水THFに溶解した。反応フラスコを窒素で置換し、2−(N−エチルアニリノ)エタノール(0.78g、4.75ミリモル)を導入し、その後、触媒量のジブチル錫ジラウレート(1.5マイクロモル)を導入した。反応溶液を窒素下で、さらに5時間還流した。イソシアネートの消費を赤外線分光法でモニター(2275cm−1)した。溶媒を減圧下で除去して、定量的な収率で生成物を得た。
【0118】
【化24】

【0119】
本発明の化合物を含む配合物を下の説明のように製造した。ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma Aldrichから市販品が入手可能であり、式:
【0120】
【化25】

で表される。
【0121】
【表1】

【0122】
【表2】

【0123】
<試験>
ゴムの多くの基体に対する接合における本発明の接着剤システムの有効性を評価するために、角度45°に調整したASTM 429−B標準に従って、一連の試験を実施した。基体(2.54cm(1インチ)幅、10.16cm(4インチ)長のパネルまたはクーポン)を接着剤で被覆し、加硫工程で天然ゴムに接着した。天然ゴム組成物は、上記の配合物表に説明した通りの硫黄硬化組成物であった。
【0124】
典型的には、乾燥した布で基体を拭いた。また、基体をグリットブラスティングに掛け、その後、乾燥した布で基体の2回目の拭き取りを行った。接着剤を塗布する前に基体/クーポンの両端の長さ2.54cm(1インチ)、幅2.54cm(1インチ)をマスクして、その領域を接着剤で塗布しないようにした。
【0125】
典型的には、乾燥した布で基体を拭いた。また、基体をグリットブラスティングに掛け、その後、乾燥した布で基体の2回目の拭き取りを行った。接着剤を塗布する前に基体/クーポンの両端の長さ2.54cm(1インチ)、幅2.54cm(1インチ)をマスクして、その領域をゴムへの接合に利用できないようにし、幅2.54cm(1インチ)、長さ5.08cm(2インチ)の中心領域をゴムへの接合に利用できるように残した。
【0126】
本発明の接合操作では、被覆を確実に均一にするために、好ましくは基体を洗浄した後、浸漬塗り、吹き付け塗りまたはブラシをかける方法のいずれかで基体に組成物を塗布する。
【0127】
乾燥を環境室温条件下で実施してよい。溶媒の蒸発速度を熱、強制空気またはその両方で速めることができる。
【0128】
次いで、未硬化ゴムの層を各クーポンに配置し、ゴムの硬化プロファイルで特定される時間、標準的な液圧加硫押圧で硬化した。本発明の接合工程で使用した天然ゴムの場合、20〜30トンの圧力下、150℃で20分間、ゴムを硬化し、接合する表面と接着剤との接触を確実にした。
【0129】
接合した試料を硬化した後、室温で24時間エージングして、試験に掛けて裂けパターンを確認した。角度45°に改変したASTM 429−B標準で、インストロン装置(Instron試験機、モデル番号5500R)を用い、50mm/分の荷重速度で各試料を分離が完結するまで試験した。
【0130】
<結果>
下の表1に説明するように、多くの種々の基体を試験した。
【0131】
【表3】

【0132】
エントリ1のスライドガラス基体はコントロール反応を意味する。非常に強い接合が観察され、典型的に接合破壊の前にゴム破壊をもたらした。ゴム被覆率とは、剥離試験の後、接合基体上に残っているゴムの割合である。100%ゴム破壊とは、基体の表面から剥離するゴム部分がなく、ゴムが完全に破壊することを意味する(100%ゴムが破壊するのと同じである)。一般に基体対ゴムの接合が破壊する前にゴム基体が破壊することが望ましい。エントリ2、すなわち、ポリプロピレン基体は第2のコントロール反応である。ゴム組成物と基体との間に接合が形成されていない。
【0133】
表1のエントリ1および3は、硬化の前に基体をグリットブラスト処理したかどうかに関係なくゴムへの良好な接合強度を示す。しかしながら、エントリ4〜6は、基体をグリットブラスト処理したかどうかに大いに依存する。グリットブラスト処理した基体は良好な接合強度を示す。しかしながら、事前のグリットブラスティング処理がない場合、その同一基体はゴム基体への接合を全く示さない。この観察に対する1つの可能性ある示唆として、グリットブラストを施すことは基体中のヒドロキシル基を新たに曝し、それによって、基体とゴムとを共に接合するための接着剤の性能を非常に増強する、ということである。
【0134】
また、本発明のある特徴は、明確にするために別の実施形態の文脈において記載されているが、単一の実施形態を組み合わせて提供してよいことも理解される。逆に、本発明の様々な特徴は、簡潔さのために単一の実施形態の文脈において記載されているが、別々にまたは任意の適した下位の組合せで提供してよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシル化表面にポリマーを接合するための方法であって、
表面またはポリマーの少なくとも1つに、
a)少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造と、
b)芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体およびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの部分構造と
を含む化合物を塗布するステップ、および
前記表面とポリマーとを合わせるステップ、
を含む、方法。
【請求項2】
さらに、前記表面とポリマーとを共に合わせた後に、加熱するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体から選択される前記少なくとも1つの部分構造が、ニトロソベンゼンまたはニトロソベンゼン前駆体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ニトロソベンゼン前駆体が、キノンジオキシムまたはキノンオキシムの少なくとも1つである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アルコキシシラン部分構造が、構造:
【化1】

(構造中、
「a」は、1〜3であってよく、「b」は、0〜2であってよく、ここで、a+b=3であり、少なくとも1つのアルコキシ基が存在し;
は、H、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルからなる群より選択されてよく、ここで、a≧1の場合、少なくとも1つのRは、水素ではなく;
は、C〜C24のアルキルおよびC〜C24のアシルから選択されてよく、好ましくはC〜Cのアルキルから選択されてよい)
で表される、前記請求項の一項に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が、イソシアネートまたはイソチオシアネートと活性水素化合物との反応生成物の形態をなす、前記請求項の一項に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、一般構造:
【化2】

(構造中、
nは、1〜10であってよく;
「a」は、1〜3であってよく、「b」は、0〜2であってよく;ここで、a+b=3であり、少なくとも1つのアルコキシ基が存在し;
は、H、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルからなる群より選択されてよく、ここで、a≧1の場合、少なくとも1つのRは、水素ではなく;
は、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルから選択されてよく;
Xは、OまたはSであってよく;
Yは、−O、−S、または−N(R)であってよく;
は、ニトロソ芳香族、またはニトロソ芳香族前駆体を含む部分構造であってよい)
によって包含される、前記請求項の一項に記載の方法。
【請求項8】
が、ニトロソベンゼン、キノンジオキシムまたはキノンオキシムを含む部分構造である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
が:
【化3】

(Yを介する連結を示す)(構造中、
は、C〜C10であってよく;
Zは、上の構造の環が、任意に、C〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアルコキシ、C〜C20のアラルキル、C〜C20のアルカリル、C〜C20のアリールアミン、C〜C20のアリールニトロソ、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲンおよびそれらの組合せからなる基でモノ−、ジ−、トリ−またはテトラ置換されてよいことを示し、さらにここで、前記置換基は、前記環の各炭素原子上で同じであってよく、または異なっていてよい)
を含む群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、一般構造:
【化4】

(構造中、
nは、1〜10であってよく;
「a」は、1〜3であってよく、「b」は、0〜2であってよく;ここで、a+b=3であり、少なくとも1つのアルコキシ基が存在し;
cは、「a」であってよく、または1〜3であってよく;dは、「b」であってよく、または1〜3であってよく;
は、H、C〜C24のアルキルまたはC〜C24のアシルからなる群より選択されてよく;ここで、a≧1の場合、少なくとも1つのRは、水素ではなく;
は、C〜CのアルキルおよびC〜C24のアシルから選択されてよく;
Xは、OまたはSであってよく;
Yは、−O、−S、または−NHであってよく、ここで、x=1または2である)
で表されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、一般構造式:
【化5】

(式中、
mは、1〜100であってよく;nは、1〜10であってよく;pは、1〜10であってよく;qは、0〜50であってよく;qが=0の場合、m≧2であり;
は、H、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルからなる群より選択されてよく;
は、OR、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルからなる群より選択されてよく、ここで、R=ORの場合、少なくとも1つのRは、水素ではなく;
は、アクリレート、アルデヒド、アミノ、無水物、アジド、マレイミド、カルボキシレート、スルホネート、エポキシド、エステル官能性、ハロゲン、ヒドロキシル、イソシアネートまたはブロック化イソシアネート、硫黄官能性、ビニルおよびオレフィン官能性、またはポリマー構造からなる群より選択されてよく;
Xは、OまたはSであってよく;
Yは、−O、−S、または−NH(ここで、x=1または2である)であってよく;
は、ニトロソ芳香族、またはニトロソ芳香族前駆体を含む部分構造であってよい)
で表されるオリゴマーまたはコオリゴマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
が、ニトロソベンゼン、キノンジオキシムまたはキノンオキシムを含む部分構造である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒドロキシル化表面が、含水金属酸化物、シリケート、アルミネート、ゲルマネートおよびそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ヒドロキシル化表面が、ガラス、石英、粘土、タルク、ゼオライト、磁器、セラミック、シリコン基体およびそれらの組合せの内の1つから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマーが、エラストマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマーが、天然または合成ゴムである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ニトロソ芳香族またはニトロソ芳香族前駆体から選択される前記部分構造が、ゴムに固定される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ゴム基体が、表面に接合される前に加硫または架橋される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ゴムが、表面に接合されると同時に加硫または架橋される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が、イン−サイチュで反応してニトロソベンゼン部分構造、ジニトロソベンゼン部分構造、またはパラ−ニトロソフェノール部分構造の内の1つを形成することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
一般式:
【化6】

(式中、
「a」は、1〜3であってよく、「b」は、0〜2であってよく;ここで、a+b=3であり、少なくとも1つのアルコキシ基が存在し;
は、H、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルからなる群より選択されてよく、ここで、a≧1の場合、少なくとも1つのRは、水素ではなく;
は、C〜C24のアルキルおよびC〜C24のアシルから選択されてよく;
mおよびnは、同じであってよく、または異なっていてよく、1〜10であってよく;
Xは、OまたはSであってよく;
Yは、−O、−S、または−NHであってよく;
は、C〜C10であってよく;
Zは、上記の構造の環が、C〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアルコキシ、C〜C20のアラルキル、C〜C20のアルカリル、C〜C20のアリールアミン、C〜C20のアリールニトロソ、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲンおよびそれらの組合せからなる基でモノ−、ジ−、トリ−またはテトラ置換されてよいことを示し、さらにここで、前記置換基は、前記環の各々の炭素原子上で、同じであるか、または異なっているかのいずれかであってよい)
で表される化合物。
【請求項22】
前記化合物が:
【化7】

である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
ヒドロキシル化表面と、ポリマー鎖中にジエンおよび/またはアリル基を有するポリマー基体との間の硬化残留物であって、前記残留物は、前記ヒドロキシル化表面に固定されたシラン、およびニトロソ基と前記ポリマー基体のジエンまたはアリル基との環化付加反応生成物を含む、硬化残留物。
【請求項24】
前記ポリマーが、前記ポリマー鎖中にアリル基を有し、前記残留物が、下記の一般構造:
【化8】

(構造中、
「a」は、0〜2であってよく、「b」は、0〜2であってよく、cは、1〜3であってよく;ここで、a+b+c=3であり;
は、H、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルからなる群より選択されてよく、ここで、a≧1の場合、少なくとも1つのRは、水素ではなく;
は、C〜C24のアルキル、C〜C24のアシルから選択されてよく;
mおよびnは、同じであってよく、または異なっていてよく、1〜10であってよく;
Xは、OまたはSであってよく;
Yは、−O、−S、または−NH(ここで、x=1または2である)であってよく;
ここで、Rは、C〜C10であってよく;
Zは、上記の構造の環が、C〜C20のアルキル、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20のアルコキシ、C〜C20のアラルキル、C〜C20のアルカリル、C〜C20のアリールアミン、C〜C20のアリールニトロソ、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲンおよびそれらの組合せからなる群でモノ−、ジ−、トリ−またはテトラ置換されていてよいことを示し、さらにここで、前記置換基は、前記環の各々の炭素原子上で、同じであるか、または異なっているかのいずれかであってよい)
で表される、請求項23に記載の硬化残留物。
【請求項25】
請求項23に記載の組成物によって共に接合された少なくとも2つの基体を含む、組立品。
【請求項26】
(i)シリケート、アルミネート、ゲルマネートまたはそれらの組合せを含むプライマーを少なくとも1つの基体に塗布するステップ、
(ii)少なくとも1つの基体に、
a)少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造と、
b)芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体およびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの部分構造と、
を含む化合物を塗布するステップ、および
(iii)前記第1および第2の基体を合わせて、前記組成物で接合を形成するステップ、
を含む、2つの基体を共に接合する方法。
【請求項27】
第1の基体が、エラストマーまたは天然もしくは合成ゴムを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
さらに、ゴム加硫または架橋ステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造と、
芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体およびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの部分構造と、
を含む化合物を使用して前記基体を第2の基体に引き続き接合するために、前記基体を下塗りする目的で前記基体に塗布された、シリケート、アルミネート、ゲルマネートまたはそれらの組合せを含むプライマーを有する基体。
【請求項30】
前記基体が、天然または合成ゴムに引き続き接合されるために下塗りされる、請求項29に記載の基体。
【請求項31】
第2の基体に引き続き接合するために、事前塗布された、
少なくとも1つのアルコキシシラン部分構造と、
芳香族ニトロソまたは芳香族ニトロソ前駆体およびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの部分構造と、
を含む化合物を有する、基体。
【請求項32】
前記基体が、ヒドロキシル化表面を含む、請求項31に記載の基体。
【請求項33】
請求項1に記載の方法を使用して製造された、製造物品。
【請求項34】
前記物品が、自動車タイミングベルト、ガラス繊維強化プラスチックおよび複合材料、強化ゴム、タイヤ、コンベヤーベルトならびに織物物品を含む群から選択される、請求項33に記載の物品。

【公表番号】特表2013−504636(P2013−504636A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528316(P2012−528316)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062756
【国際公開番号】WO2011/029751
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(501194879)ロックタイト (アール アンド ディー) リミテッド (25)
【氏名又は名称原語表記】LOCTITE (R & D) LIMITED
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】