説明

接合装置、接合システム、接合方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】被処理基板と支持基板を適切に接合する。
【解決手段】接合装置の接合部113は、被処理ウェハWを保持する第1の保持部200と、第1の保持部200に対向配置され、支持ウェハSを保持する第2の保持部201と、第2の保持部201に保持された支持ウェハSを覆うように設けられた鉛直方向に伸縮自在の圧力容器271を備え、当該圧力容器271内に気体を流入出させることで第2の保持部201を第1の保持部200側に押圧する加圧機構270と、第1の保持部200、第2の保持部201及び圧力容器271を内部に収容し、内部を密閉可能な処理容器290と、処理容器290内の雰囲気を減圧する減圧機構300と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板と支持基板を接合する接合装置、当該接合装置を備えた接合システム、当該接合装置を用いた接合方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいて、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)の大口径化が進んでいる。また、実装などの特定の工程において、ウェハの薄型化が求められている。例えば大口径で薄いウェハを、そのまま搬送したり、研磨処理すると、ウェハに反りや割れが生じる恐れがある。このため、例えばウェハを補強するために、例えば支持基板であるウェハやガラス基板にウェハを貼り付けることが行われている。
【0003】
かかるウェハと支持基板の貼り合わせは、例えば貼り合わせ装置を用いて、ウェハと支持基板との間に接着剤を介在させることにより行われている。貼り合わせ装置は、例えばウェハを保持する第1の保持部と、支持基板を保持する第2の保持部と、第1の保持部と第2の保持部との間の貼り合わせ空間の雰囲気を吸引する吸気機構と、前記貼り合わせ空間の気密性を保持するためのシール材である例えばOリングと、第2の保持部を第1の保持部側に押圧する加圧機構と、を有している。また、第2の保持部は、所定の圧力で当該第2の保持部の一箇所が撓む弾性体である。そして、この貼り合わせ装置では、ウェハと支持基板との間のボイドの発生を避けるため、先ず貼り合わせ空間の雰囲気を吸気し、支持基板を保持した第2の保持部の一箇所を撓ませて、当該支持基板の撓んだ部分をウェハに当接させる。その後、貼り合わせ空間の雰囲気をさらに吸気して、支持基板の全面をウェハの全面に当接させた後、ウェハと支持基板を押圧して貼り合わせている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2010/055730
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の貼り合わせ装置を用いた場合、支持基板をウェハに当接させる際、支持基板が第2の保持部から落下して、ウェハに対する支持基板の位置がずれるおそれがある。そうすると、ウェハと支持基板を適切に貼り合せることができない。
【0006】
なお、かかる場合、第2の保持部から支持基板が落下しないようにするため、第2の保持部が強い力で支持基板を吸引して保持すれば良いとも考えられる。しかしながら、第1の保持部と第2の保持部との間の貼り合わせ空間の雰囲気は所定の真空圧力に吸気されているので、少なくとも貼り合わせ空間の真空圧力よりも大きい力で第2の保持部が支持基板を吸引する必要がある。そうすると、装置構成が複雑で大きくなり、さらにウェハと支持基板の貼り合わせコストも高くなる。
【0007】
また、第1の保持部と第2の保持部との間の貼り合わせ空間の雰囲気は所定の真空圧力に吸気されているので、加圧機構によってウェハと支持基板を押圧する際の圧力は、少なくとも所定の真空圧力より大きくする必要がある。かかる場合、例えばウェハ上のデバイスが損傷を被るおそれがある。
【0008】
さらに、加圧機構によってウェハと支持基板を押圧する際、ウェハ及び支持基板の外方に設けられたOリングも同時に押圧することになる。そうすると、加圧機構による押圧方向と反対方向にOリングの反力が発生する。このOリングの反力によって、ウェハ及び支持基板の外周部にかかる圧力は中心部にかかる圧力よりも小さくなり、加圧機構によってウェハと支持基板を基板面内で均一に押圧することができない。このため、ウェハと支持基板を適切に貼り合せることができない。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、被処理基板と支持基板を適切に接合することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、被処理基板と支持基板を接合する接合装置であって、被処理基板を保持する第1の保持部と、前記第1の保持部に対向配置され、支持基板を保持する第2の保持部と、前記第2の保持部に保持された支持基板を覆うように設けられた鉛直方向に伸縮自在の圧力容器を備え、当該圧力容器内に気体を流入出させることで前記第2の保持部を前記第1の保持部側に押圧する加圧機構と、前記第1の保持部、前記第2の保持部及び前記圧力容器を内部に収容し、内部を密閉可能な処理容器と、前記処理容器内の雰囲気を減圧する減圧機構と、を有することを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、減圧機構によって処理容器内を真空状態に維持した状態で、加圧機構によって第2の保持部を第1の保持部側に押圧し、被処理基板と支持基板を接合することができる。かかる場合、処理容器内が真空状態に維持されているので、被処理基板と支持基板を全面で当接させても、当該被処理基板と支持基板との間にボイドが発生することはない。すなわち、被処理基板が第1の保持部に保持され、支持基板が第2の保持部に保持された状態で、被処理基板と支持基板を全面で当接させることができる。したがって、被処理基板と支持基板の位置ずれが生じない。また、圧力容器が処理容器内に配置されているので、圧力容器内の圧力と処理容器内の圧力との差圧が、加圧機構により第2の保持部を押圧する際の圧力になる。そうすると、所定の真空圧力よりも小さい圧力で被処理基板と支持基板を押圧することができる。したがって、被処理基板上のデバイスの損傷を抑制することができる。また、圧力容器は鉛直方向に伸縮自在でありフレキシブル性を有するため、第1の保持部と第2の保持部の平行度に関わらず、第2の保持部を第1の保持部側に面内均一な圧力で押圧することができる。さらに、圧力容器が処理容器内に配置されているので、加圧機構によって被処理基板と支持基板を押圧する際、従来のようにOリングの反力等の外乱を受けない。したがって、被処理基板と支持基板を基板面内で均一に押圧することができる。以上のように本発明によれば、被処理基板と支持基板を適切に接合することができる。
【0012】
前記接合装置は、前記第1の保持部に保持された被処理基板と、前記第2の保持部に保持された支持基板を全面で当接させた後、当該被処理基板と支持基板を押圧するように、前記第1の保持部、前記第2の保持部及び前記加圧機構を制御する制御部を有していてもよい。
【0013】
前記第1の保持部は被処理基板を静電吸着し、前記第2の保持部は支持基板を静電吸着してもよい。
【0014】
前記第1の保持部又は前記第2の保持部は、被処理基板又は支持基板を吸着保持する吸着保持部を有し、前記吸着保持部の吸着面は、被処理基板又は支持基板を摩擦により保持してもよい。
【0015】
前記圧力容器の平面形状は、支持基板の平面形状と同一であってもよい。
【0016】
前記接合装置は、前記第1の保持部に保持された被処理基板の表面を撮像する第1の撮像部と、前記第2の保持部に保持された支持基板の表面を撮像する第2の撮像部と、前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、を有していてもよい。
【0017】
別な観点による本発明は、前記接合装置を備えた接合システムであって、前記接合装置と、被処理基板又は支持基板に接着剤を塗布する塗布装置と、前記接着剤が塗布された被処理基板又は支持基板を所定の温度に加熱する熱処理装置と、前記塗布装置、前記熱処理装置及び前記接合装置に対して、被処理基板、支持基板、又は被処理基板と支持基板が接合された重合基板を搬送するための搬送領域と、を有する処理ステーションと、被処理基板、支持基板又は重合基板を、前記処理ステーションに対して搬入出する搬入出ステーションと、を有していることを特徴としている。
【0018】
また別な観点による本発明は、接合装置を用いて被処理基板と支持基板を接合する接合方法であって、前記接合装置は、被処理基板を保持する第1の保持部と、前記第1の保持部に対向配置され、支持基板を保持する第2の保持部と、前記第2の保持部に保持された支持基板を覆うように設けられた鉛直方向に伸縮自在の圧力容器を備え、当該圧力容器内に気体を流入出させることで前記第2の保持部を前記第1の保持部側に押圧する加圧機構と、前記第1の保持部、前記第2の保持部及び前記圧力容器を内部に収容し、内部を密閉可能な処理容器と、前記処理容器内の雰囲気を減圧する減圧機構と、を有し、前記接合方法は、前記第1の保持部に保持された被処理基板と前記第2の保持部に保持された支持基板を対向配置し、前記減圧機構によって前記処理容器内を真空状態に減圧する減圧工程と、その後、前記処理容器内を真空状態に維持した状態で、前記加圧機構によって前記第2の保持部を前記第1の保持部側に押圧する押圧工程と、を有することを特徴としている。
【0019】
前記押圧工程において、前記第2の保持部を押圧する圧力は、真空圧力より小さくてもよい。
【0020】
前記押圧工程において、前記第1の保持部に保持された被処理基板と、前記第2の保持部に保持された支持基板を全面で当接させた後、当該被処理基板と支持基板を押圧してもよい。
【0021】
前記第1の保持部は被処理基板を静電吸着し、前記第2の保持部は支持基板を静電吸着してもよい。
【0022】
前記第1の保持部又は前記第2の保持部は、被処理基板又は支持基板を吸着保持する吸着保持部を有し、前記吸着保持部の吸着面は、被処理基板又は支持基板を摩擦により保持してもよい。
【0023】
前記圧力容器の平面形状は、支持基板の平面形状と同一であって、前記押圧工程において、前記加圧機構は支持基板を全面で押圧してもよい。
【0024】
前記減圧工程の前に、被処理基板の表面と支持基板の表面をそれぞれ撮像し、撮像された画像における被処理基板の基準点と撮像された画像における支持基板の基準点とが合致するように被処理基板と支持基板の相対的な水平方向の位置を調節してもよい。
【0025】
また別な観点による本発明によれば、前記接合方法を接合装置によって実行させるために、当該接合装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0026】
さらに別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、被処理基板と支持基板を適切に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施の形態にかかる接合システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかる接合システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図3】被処理ウェハと支持ウェハの側面図である。
【図4】接合装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図5】受渡部の構成の概略を示す平面図である。
【図6】受渡アームの構成の概略を示す平面図である。
【図7】受渡アームの構成の概略を示す側面図である。
【図8】反転部の構成の概略を示す平面図である。
【図9】反転部の構成の概略を示す側面図である。
【図10】反転部の構成の概略を示す側面図である。
【図11】保持アームと保持部材の構成の概略を示す側面図である。
【図12】受渡部と反転部の位置関係を示す説明図である。
【図13】搬送部の構成の概略を示す側面図である。
【図14】搬送部が接合装置内に配置された様子を示す説明図である。
【図15】第1の搬送アームの構成の概略を示す平面図である。
【図16】第1の搬送アームの構成の概略を示す側面図である。
【図17】第2の搬送アームの構成の概略を示す平面図である。
【図18】第2の搬送アームの構成の概略を示す側面図である。
【図19】第2の保持部に切り欠きが形成された様子を示す説明図である。
【図20】接合部の構成の概略を示す縦断面図である。
【図21】第1の保持部とその移動機構の構成の概略を示す平面図である。
【図22】接合部の構成の概略を示す縦断面図である。
【図23】塗布装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図24】塗布装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図25】熱処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図26】熱処理装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図27】接合処理の主な工程を示すフローチャートである。
【図28】被処理ウェハと支持ウェハの水平方向の位置を調節する様子を示す説明図である。
【図29】処理容器の内部を真空状態にした様子を示す説明図である。
【図30】被処理ウェハと支持ウェハを接合した様子を示す説明図である。
【図31】他の実施の形態にかかる接合部の構成の概略を示す縦断面図である。
【図32】他の実施の形態にかかる第1の保持部の構成の概略を示す平面図である。
【図33】吸着パッドの構成の概略を示す説明図である。
【図34】(a)は被処理ウェハを保持する前の吸着パッドの様子を示した説明図であり、(b)は被処理ウェハを保持した吸着パッドの様子を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる接合システム1の構成の概略を示す平面図である。図2は、接合システム1の内部構成の概略を示す側面図である。
【0030】
接合システム1では、図3に示すように例えば接着剤Gを介して、被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとを接合する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を表面としての「接合面W」といい、当該接合面Wと反対側の面を裏面としての「非接合面W」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を表面としての「接合面S」といい、接合面Sと反対側の面を裏面としての「非接合面S」という。そして、接合システム1では、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合して、重合基板としての重合ウェハTを形成する。なお、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面Wに複数の電子回路が形成されており、非接合面Wが研磨処理される。また、支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
【0031】
接合システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットC、C、Cが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0032】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、X方向(図1中の上下方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、接合システム1の外部に対してカセットC、C、Cを搬入出する際に、カセットC、C、Cを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、カセットの1つを不具合ウェハの回収用として用いてもよい。すなわち、種々の要因で被処理ウェハWと支持ウェハSとの接合に不具合が生じたウェハを、他の正常な重合ウェハTと分離することができるカセットである。本実施の形態においては、複数のカセットCのうち、1つのカセットCを不具合ウェハの回収用として用い、他方のカセットCを正常な重合ウェハTの収容用として用いている。
【0033】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10に隣接してウェハ搬送部20が設けられている。ウェハ搬送部20には、X方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板11上のカセットC、C、Cと、後述する処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50、51との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0034】
処理ステーション3には、各種処理装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(図1中のX方向負方向側)には、第1の処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1中のX方向正方向側)には、第2の処理ブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1中のY方向負方向側)には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
【0035】
例えば第1の処理ブロックG1には、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合装置30〜33が、搬入出ステーション2側からこの順でY方向に並べて配置されている。
【0036】
例えば第2の処理ブロックG2には、図2に示すように被処理ウェハWに接着剤Gを塗布する塗布装置40と、接着剤Gが塗布された被処理ウェハWを所定の温度に加熱する熱処理装置41〜43と、同様の熱処理装置44〜46とが、搬入出ステーション2側に向かう方向(図1中のY方向負方向)にこの順で並べて配置されている。熱処理装置41〜43と熱処理装置44〜46は、それぞれ下からこの順で3段に設けられている。なお、熱処理装置41〜46の装置数や鉛直方向及び水平方向の配置は任意に設定することができる。
【0037】
例えば第3の処理ブロックG3には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのトランジション装置50、51が下からこの順で2段に設けられている。
【0038】
図1に示すように第1の処理ブロックG1〜第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域60が形成されている。ウェハ搬送領域60には、例えばウェハ搬送装置61が配置されている。なお、ウェハ搬送領域60内の圧力は大気圧以上であり、当該ウェハ搬送領域60において、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいわゆる大気系の搬送が行われる。
【0039】
ウェハ搬送装置61は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置61は、ウェハ搬送領域60内を移動し、周囲の第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2及び第3の処理ブロックG3内の所定の装置に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0040】
次に、上述した接合装置30〜33の構成について説明する。接合装置30は、図4に示すように内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口101が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0041】
処理容器100の内部は、内壁102によって、前処理領域D1と接合領域D2に区画されている。上述した搬入出口101は、前処理領域D1における処理容器100の側面に形成されている。また、内壁102にも、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口103が形成されている。
【0042】
前処理領域D1には、接合装置30の外部との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すための受渡部110が設けられている。受渡部110は、搬入出口101に隣接して配置されている。また受渡部110は、後述するように鉛直方向に複数、例えば2段配置され、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいずれか2つを同時に受け渡すことができる。例えば一の受渡部110で接合前の被処理ウェハW又は支持ウェハSを受け渡し、他の受渡部110で接合後の重合ウェハTを受け渡してもよい。あるいは、一の受渡部110で接合前の被処理ウェハWを受け渡し、他の受渡部110で接合前の支持ウェハSを受け渡してもよい。
【0043】
前処理領域D1のY方向負方向側、すなわち搬入出口103側において、受渡部110の鉛直上方には、例えば支持ウェハSの表裏面を反転させる反転部111が設けられている。なお、反転部111は、後述するように支持ウェハSの水平方向の向きを調節することもでき、また被処理ウェハWの水平方向の向きを調節することもできる。
【0044】
接合領域D2のY方向正方向側には、受渡部110、反転部111及び後述する接合部113に対して、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送する搬送部112が設けられている。搬送部112は、搬入出口103に取り付けられている。
【0045】
接合領域D2のY方向負方向側には、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合部113が設けられている。なお、接合部113は、本発明における接合装置としても機能する。
【0046】
次に、上述した受渡部110の構成について説明する。受渡部110は、図5に示すように受渡アーム120とウェハ支持ピン121とを有している。受渡アーム120は、接合装置30の外部、すなわちウェハ搬送装置61とウェハ支持ピン121との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すことができる。ウェハ支持ピン121は、複数、例えば3箇所に設けられ、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを支持することができる。
【0047】
受渡アーム120は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを保持するアーム部130と、例えばモータなどを備えたアーム駆動部131とを有している。アーム部130は、略円板形状を有している。アーム駆動部131は、アーム部130をX方向(図5中の上下方向)に移動させることができる。またアーム駆動部131は、Y方向(図5中の左右方向)に延伸するレール132に取り付けられ、当該レール132上を移動可能に構成されている。かかる構成により、受渡アーム120は、水平方向(X方向及びY方向)に移動可能となっており、ウェハ搬送装置61及びウェハ支持ピン121との間で、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを円滑に受け渡すことができる。
【0048】
アーム部130上には、図6及び図7に示すように被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを支持するウェハ支持ピン140が複数、例えば4箇所に設けられている。またアーム部130上には、ウェハ支持ピン140に支持された被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの位置決めを行うガイド141が設けられている。ガイド141は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの側面をガイドするように複数、例えば4箇所に設けられている。
【0049】
アーム部130の外周には、図5及び図6に示すように切り欠き142が例えば4箇所に形成されている。この切り欠き142により、ウェハ搬送装置61の搬送アームから受渡アーム120に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡す際に、当該ウェハ搬送装置61の搬送アームがアーム部130と干渉するのを防止できる。
【0050】
アーム部130には、X方向に沿った2本のスリット143が形成されている。スリット143は、アーム部130のウェハ支持ピン121側の端面からアーム部130の中央部付近まで形成されている。このスリット143により、アーム部130がウェハ支持ピン121と干渉するのを防止できる。
【0051】
次に、上述した反転部111の構成について説明する。反転部111は、図8〜図10に示すように支持ウェハS、被処理ウェハWを保持する保持アーム150を有している。保持アーム150は、水平方向(図8及び図9中のX方向)に延伸している。また保持アーム150には、支持ウェハS、被処理ウェハWを保持する保持部材151が例えば4箇所に設けられている。保持部材151は、図11に示すように保持アーム150に対して水平方向に移動可能に構成されている。また保持部材151の側面には、支持ウェハS、被処理ウェハWの外周部を保持するための切り欠き152が形成されている。そして、これら保持部材151は、支持ウェハS、被処理ウェハWを挟み込んで保持することができる。
【0052】
保持アーム150は、図8〜図10に示すように例えばモータなどを備えた第1の駆動部153に支持されている。この第1の駆動部153によって、保持アーム150は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向(図8及び図9中のX方向、図8及び図10のY方向)に移動できる。なお、第1の駆動部153は、保持アーム150を鉛直軸周りに回動させて、当該保持アーム150を水平方向に移動させてもよい。第1の駆動部153の下方には、例えばモータなどを備えた第2の駆動部154が設けられている。この第2の駆動部154によって、第1の駆動部153は鉛直方向に延伸する支持柱155に沿って鉛直方向に移動できる。このように第1の駆動部153と第2の駆動部154によって、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWは、水平軸周りに回動できると共に鉛直方向及び水平方向に移動できる。
【0053】
支持柱155には、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWの水平方向の向きを調節する位置調節機構160が支持板161を介して支持されている。位置調節機構160は、保持アーム150に隣接して設けられている。
【0054】
位置調節機構160は、基台162と、支持ウェハS、被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出する検出部163とを有している。そして、位置調節機構160では、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWを水平方向に移動させながら、検出部163で支持ウェハS、被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節して支持ウェハS、被処理ウェハWの水平方向の向きを調節している。
【0055】
なお、図12に示すように、以上のように構成された受渡部110は鉛直方向に2段に配置され、またこれら受渡部110の鉛直上方に反転部111が配置される。すなわち、受渡部110の受渡アーム120は、反転部111の保持アーム150と位置調節機構160の下方において水平方向に移動する。また、受渡部110のウェハ支持ピン121は、反転部111の保持アーム150の下方に配置されている。
【0056】
次に、上述した搬送部112の構成について説明する。搬送部112は、図13に示すように複数、例えば2本の搬送アーム170、171を有している。第1の搬送アーム170と第2の搬送アーム171は、鉛直方向に下からこの順で2段に配置されている。なお、第1の搬送アーム170と第2の搬送アーム171は、後述するように異なる形状を有している。
【0057】
搬送アーム170、171の基端部には、例えばモータなどを備えたアーム駆動部172が設けられている。このアーム駆動部172によって、各搬送アーム170、171は独立して水平方向に移動できる。これら搬送アーム170、171とアーム駆動部172は、基台173に支持されている。
【0058】
搬送部112は、図4及び図14に示すように処理容器100の内壁102に形成された搬入出口103に設けられている。そして、搬送部112は、例えばモータなどを備えた駆動部(図示せず)によって搬入出口103に沿って鉛直方向に移動できる。
【0059】
第1の搬送アーム170は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面(被処理ウェハW、支持ウェハSにおいては非接合面W、S)を保持して搬送する。第1の搬送アーム170は、図15に示すように先端が2本の先端部180a、180aに分岐したアーム部180と、このアーム部180と一体に形成され、且つアーム部180を支持する支持部181とを有している。
【0060】
アーム部180上には、図15及び図16に示すように樹脂製のOリング182が複数、例えば4箇所に設けられている。このOリング182が被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面と接触し、当該Oリング182と被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面との間の摩擦力によって、Oリング182は被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面を保持する。そして、第1の搬送アーム170は、Oリング182上に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを水平に保持することができる。
【0061】
またアーム部180上には、Oリング182に保持された被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの外側に設けられたガイド部材183、184が設けられている。第1のガイド部材183は、アーム部180の先端部180aの先端に設けられている。第2のガイド部材184は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの外周に沿った円弧状に形成され、支持部181側に設けられている。これらガイド部材183、184によって、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTが第1の搬送アーム170から飛び出したり、滑落するのを防止することができる。なお、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTがOリング182に適切な位置で保持されている場合、当該被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTはガイド部材183、184と接触しない。
【0062】
第2の搬送アーム171は、例えば支持ウェハSの表面、すなわち接合面Sの外周部を保持して搬送する。すなわち、第2の搬送アーム171は、反転部111で表裏面が反転された支持ウェハSの接合面Sの外周部を保持して搬送する。第2の搬送アーム171は、図17に示すように先端が2本の先端部190a、190aに分岐したアーム部190と、このアーム部190と一体に形成され、且つアーム部190を支持する支持部191とを有している。
【0063】
アーム部190上には、図17及び図18に示すように第2の保持部材192が複数、例えば4箇所に設けられている。第2の保持部材192は、支持ウェハSの接合面Sの外周部を載置する載置部193と、当該載置部193から上方に延伸し、内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているテーパ部194とを有している。載置部193は、支持ウェハSの周縁から例えば1mm以内の外周部を保持する。また、テーパ部194の内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているため、例えば第2の保持部材192に受け渡される支持ウェハSが水平方向に所定の位置からずれていても、支持ウェハSはテーパ部194に円滑にガイドされて位置決めされ、載置部193に保持される。そして、第2の搬送アーム171は、第2の保持部材192上に支持ウェハSを水平に保持することができる。
【0064】
なお、図19に示すように、後述する接合部113の第2の保持部201には切り欠き201aが例えば4箇所に形成されている。この切り欠き201aにより、第2の搬送アーム171から第2の保持部201に支持ウェハSを受け渡す際に、第2の搬送アーム171の第2の保持部材192が第2の保持部201に干渉するのを防止することができる。
【0065】
次に、上述した接合部113の構成について説明する。接合部113は、図20に示すように被処理ウェハWを上面で載置して保持する第1の保持部200と、支持ウェハSを下面で吸着保持する第2の保持部201とを有している。第1の保持部200は、第2の保持部201の下方に設けられ、第2の保持部201と対向するように配置されている。すなわち、第1の保持部200に保持された被処理ウェハWと第2の保持部201に保持された支持ウェハSは対向して配置されている。
【0066】
第1の保持部200は、被処理ウェハWを静電吸着するための静電チャック210を有している。静電チャック210には、伝導性を有するセラミック等が用いられる。また、静電チャック210には、例えば13.56MHzのバイアス用高周波電源211が接続されている。そして、静電チャック210の表面に静電気力を生じさせて、被処理ウェハWを静電チャック210上に静電吸着することができる。
【0067】
静電チャック210の内部には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構212が設けられている。加熱機構212には、例えばヒータが用いられる。
【0068】
また、第1の保持部200は、静電チャック210の下面側に設けられた断熱板213を有している。断熱板213は、加熱機構212により被処理ウェハWを加熱する際の熱が後述する下部チャンバ291側に伝達されるのを防止する。
【0069】
第1の保持部200の周囲には、図21に示すように第1の保持部200を水平方向に移動させる移動機構220が複数、例えば4つ設けられている。移動機構220は、図20に示すように第1の保持部200に当接して第1の保持部200を移動させるカム221と、シャフト222を介してカム221を回転させる、例えばモータ(図示せず)を内蔵した回転駆動部223とを有している。カム221はシャフト222の中心軸に対して偏心して設けられている。そして、回転駆動部223によりカム221を回転させることで、第1の保持部200に対するカム221の中心位置が移動し、第1の保持部200を水平方向に移動させることができる。なお、カム221は後述する下部チャンバ291の内部に設けられ、回転駆動部223は下部チャンバ291の下部に設けられている。そして回転駆動部223は、支持部材230上に設けられている。
【0070】
第1の保持部200の下方には、被処理ウェハW又は重合ウェハTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン240が例えば3箇所に設けられている。昇降ピン240は、昇降駆動部241により上下動できる。昇降駆動部241は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、第1の保持部200の中央部付近には、第1の保持部200及び下部チャンバ291を厚み方向に貫通する貫通孔242が例えば3箇所に形成されている。そして、昇降ピン240は貫通孔242を挿通し、第1の保持部200の上面から突出可能になっている。なお、昇降駆動部241は後述する下部チャンバ291の下部に設けられている。そして昇降駆動部241は、支持部材230上に設けられている。
【0071】
第2の保持部201は、支持ウェハSを静電吸着するための静電チャック250を有している。静電チャック250には、伝導性を有するセラミック等が用いられる。また、静電チャック250には、例えば13.56MHzのバイアス用高周波電源251が接続されている。そして、静電チャック250の表面に静電気力を生じさせて、支持ウェハSを静電チャック250上に静電吸着することができる。
【0072】
静電チャック250の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構252が設けられている。加熱機構252には、例えばヒータが用いられる。
【0073】
また、第2の保持部201は、静電チャック250の下面側に設けられた断熱板253を有している。断熱板253は、加熱機構252により支持ウェハSを加熱する際の熱が後述する支持板260側に伝達されるのを防止する。
【0074】
第2の保持部201の上面側には、支持板260を介して、当該第2の保持部201を支持する支持部材261と第2の保持部201を鉛直下方に押圧する加圧機構270が設けられている。支持部材261は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、例えばマイクロメータとして機能し、さらにリニアシャフトとして機能する。また、支持部材261は、圧力容器271の外側に例えば3箇所に設けられている。加圧機構270は、被処理ウェハWと支持ウェハSを覆うように設けられた圧力容器271と、圧力容器271の内部に流体、例えば圧縮空気を供給する流体供給管272と、内部に流体を貯留し、流体供給管272に流体を供給する流体を流体供給源273とを有している。
【0075】
圧力容器271は、例えば鉛直方向に伸縮自在の例えばステンレス製のベローズにより構成されている。圧力容器271は、その下面が支持板260の上面に固定されると共に、上面が第2の保持部201の上方に設けられた支持板274の下面に固定されている。流体供給管272は、その一端が圧力容器271に接続され、他端が流体供給源273に接続されている。そして、圧力容器271に流体供給管272から流体を供給することで、圧力容器271が伸長する。この際、圧力容器271の上面と支持板274の下面とが当接しているので、圧力容器271は下方向にのみ伸長し、圧力容器271の下面に設けられた第2の保持部201を下方に押圧することができる。またこの際、圧力容器271の内部は流体により加圧されており、さらに圧力容器271の平面形状は被処理ウェハWと支持ウェハSの平面形状と同一であるため、第1の保持部200と第2の保持部201の平行度に関わらず、圧力容器271は第2の保持部201(被処理ウェハWと支持ウェハS)を面内均一に押圧することができる。第2の保持部201を押圧する際の圧力の調節は、圧力容器271に供給する圧縮空気の圧力を調節することで行われる。なお、支持板274は、加圧機構270により第2の保持部201にかかる荷重の反力を受けても変形しない強度を有する部材により構成されているのが好ましい。
【0076】
第1の保持部200と第2の保持部201との間には、第1の保持部200に保持された被処理ウェハWの表面を撮像する第1の撮像部280と、第2の保持部201に保持された支持ウェハSの表面を撮像する第2の撮像部281とが設けられている。第1の撮像部280と第2の撮像部281には、例えば広角型のCCDカメラがそれぞれ用いられる。また、第1の撮像部280と第2の撮像部281は、移動機構(図示せず)によって鉛直方向及び水平方向に移動可能に構成されている。
【0077】
接合部113は、内部を密閉可能な処理容器290を有している。処理容器290は、上述した第1の保持部200、第2の保持部201、カム221、支持板260、支持部材261、圧力容器271、支持板274、第1の撮像部280、第2の撮像部281を内部に収容する。
【0078】
処理容器290は、第1の保持部200を支持する下部チャンバ291と、第2の保持部201を支持する上部チャンバ292とを有している。上部チャンバ292は、例えばエアシリンダ等の昇降機構(図示せず)によって鉛直方向に昇降可能に構成されている。下部チャンバ291における上部チャンバ292との接合面には、処理容器290の内部の気密性を保持するためのシール材293が設けられている。シール材293には、例えばOリングが用いられる。そして、図22に示すように下部チャンバ291と上部チャンバ292を当接させることで、処理容器290の内部が密閉空間に形成される。
【0079】
下部チャンバ291には、処理容器290内の雰囲気を減圧する減圧機構300が設けられている。減圧機構300は、処理容器290内の雰囲気を吸気するための吸気管301と、吸気管301に接続された例えば真空ポンプなどの負圧発生装置302とを有している。
【0080】
なお、接合装置31〜33の構成は、上述した接合装置30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0081】
次に、上述した塗布装置40の構成について説明する。塗布装置40は、図23に示すように内部を密閉可能な処理容器310を有している。処理容器310のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0082】
処理容器310内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるスピンチャック320が設けられている。スピンチャック320は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば被処理ウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、被処理ウェハWをスピンチャック320上に吸着保持できる。
【0083】
スピンチャック320の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部321が設けられている。スピンチャック320は、チャック駆動部321により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部321には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック320は昇降自在になっている。
【0084】
スピンチャック320の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ322が設けられている。カップ322の下面には、回収した液体を排出する排出管323と、カップ322内の雰囲気を真空引きして排気する排気管324が接続されている。
【0085】
図24に示すようにカップ322のX方向負方向(図24中の下方向)側には、Y方向(図24中の左右方向)に沿って延伸するレール330が形成されている。レール330は、例えばカップ322のY方向負方向(図24中の左方向)側の外方からY方向正方向(図24中の右方向)側の外方まで形成されている。レール330には、アーム331が取り付けられている。
【0086】
アーム331には、図23及び図24に示すように被処理ウェハWに液体状の接着剤Gを供給する接着剤ノズル332が支持されている。アーム331は、図24に示すノズル駆動部333により、レール330上を移動自在である。これにより、接着剤ノズル332は、カップ322のY方向正方向側の外方に設置された待機部334からカップ322内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム331は、ノズル駆動部333によって昇降自在であり、接着剤ノズル332の高さを調節できる。
【0087】
接着剤ノズル332には、図23に示すように当該接着剤ノズル332に接着剤Gを供給する供給管335が接続されている。供給管335は、内部に接着剤Gを貯留する接着剤供給源336に連通している。また、供給管335には、接着剤Gの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群337が設けられている。
【0088】
なお、スピンチャック320の下方には、被処理ウェハWの裏面、すなわち非接合面Wに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、被処理ウェハWの非接合面Wと被処理ウェハWの外周部が洗浄される。
【0089】
次に、上述した熱処理装置41〜46の構成について説明する。熱処理装置41は、図25に示すように内部を閉鎖可能な処理容器340を有している。処理容器340のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0090】
処理容器340の天井面には、当該処理容器340の内部に例えば窒素ガスなどの不活性ガスを供給するガス供給口341が形成されている。ガス供給口341には、ガス供給源342に連通するガス供給管343が接続されてる。ガス供給管343には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群344が設けられている。
【0091】
処理容器340の底面には、当該処理容器340の内部の雰囲気を吸引する吸気口345が形成されている。吸気口345には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置346に連通する吸気管347が接続されている。
【0092】
処理容器340の内部には、被処理ウェハWを加熱処理する加熱部350と、被処理ウェハWを温度調節する温度調節部351が設けられている。加熱部350と温度調節部351はY方向に並べて配置されている。
【0093】
加熱部350は、熱板360を収容して熱板360の外周部を保持する環状の保持部材361と、その保持部材361の外周を囲む略筒状のサポートリング362を備えている。熱板360は、厚みのある略円盤形状を有し、被処理ウェハWを載置して加熱することができる。また、熱板360には、例えば加熱機構363が内蔵されている。加熱機構363には、例えばヒータが用いられる。熱板360の加熱温度は例えば制御部400により制御され、熱板360上に載置された被処理ウェハWが所定の温度に加熱される。
【0094】
熱板360の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン370が例えば3本設けられている。昇降ピン370は、昇降駆動部371により上下動できる。熱板360の中央部付近には、当該熱板360を厚み方向に貫通する貫通孔372が例えば3箇所に形成されている。そして、昇降ピン370は貫通孔372を挿通し、熱板360の上面から突出可能になっている。
【0095】
温度調節部351は、温度調節板380を有している。温度調節板380は、図26に示すように略方形の平板形状を有し、熱板360側の端面が円弧状に湾曲している。温度調節板380には、Y方向に沿った2本のスリット381が形成されている。スリット381は、温度調節板380の熱板360側の端面から温度調節板380の中央部付近まで形成されている。このスリット381により、温度調節板380が、加熱部350の昇降ピン370及び後述する温度調節部351の昇降ピン390と干渉するのを防止できる。また、温度調節板380には、例えばペルチェ素子などの温度調節部材(図示せず)が内蔵されている。温度調節板380の冷却温度は例えば制御部400により制御され、温度調節板380上に載置された被処理ウェハWが所定の温度に冷却される。
【0096】
温度調節板380は、図25に示すように支持アーム382に支持されている。支持アーム382には、駆動部383が取り付けられている。駆動部383は、Y方向に延伸するレール384に取り付けられている。レール384は、温度調節部351から加熱部350まで延伸している。この駆動部383により、温度調節板380は、レール384に沿って加熱部350と温度調節部351との間を移動可能になっている。
【0097】
温度調節板380の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン390が例えば3本設けられている。昇降ピン390は、昇降駆動部391により上下動できる。そして、昇降ピン390はスリット381を挿通し、温度調節板380の上面から突出可能になっている。
【0098】
なお、熱処理装置42〜46の構成は、上述した熱処理装置41の構成と同様であるので説明を省略する。
【0099】
また、熱処理装置41〜46では、重合ウェハTの温度調節もすることができる。さらに、重合ウェハTの温度調節をするために、温度調節装置(図示せず)を設けてもよい。温度調節装置は、上述した熱処理装置41と同様の構成を有し、熱板360に代えて、温度調節板が用いられる。温度調節板の内部には、例えばペルチェ素子などの冷却部材が設けられており、温度調節板を設定温度に調節できる。
【0100】
以上の接合システム1には、図1に示すように制御部400が設けられている。制御部400は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、接合システム1における後述の接合処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部400にインストールされたものであってもよい。
【0101】
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理方法について説明する。図27は、かかる接合処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0102】
先ず、複数枚の被処理ウェハWを収容したカセットC、複数枚の支持ウェハSを収容したカセットC、及び空のカセットCが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。その後、ウェハ搬送装置22によりカセットC内の被処理ウェハWが取り出され、処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50に搬送される。このとき、被処理ウェハWは、その非接合面Wが下方を向いた状態で搬送される。
【0103】
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって塗布装置40に搬送される。塗布装置40に搬入された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61からスピンチャック320に受け渡され吸着保持される。このとき、被処理ウェハWの非接合面Wが吸着保持される。
【0104】
続いて、アーム331によって待機部334の接着剤ノズル332を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、スピンチャック320によって被処理ウェハWを回転させながら、接着剤ノズル332から被処理ウェハWの接合面Wに接着剤Gを供給する。供給された接着剤Gは遠心力により被処理ウェハWの接合面Wの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面Wに接着剤Gが塗布される(図27の工程A1)。
【0105】
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって熱処理装置41に搬送される。このとき熱処理装置41の内部は、不活性ガスの雰囲気に維持されている。熱処理装置41に被処理ウェハWが搬入されると、重合ウェハTはウェハ搬送装置61から予め上昇して待機していた昇降ピン390に受け渡される。続いて昇降ピン390を下降させ、被処理ウェハWを温度調節板380に載置する。
【0106】
その後、駆動部383により温度調節板380をレール384に沿って熱板360の上方まで移動させ、被処理ウェハWは予め上昇して待機していた昇降ピン370に受け渡される。その後、昇降ピン370が下降して、被処理ウェハWが熱板360上に載置される。そして、熱板360上の被処理ウェハWは、所定の温度、例えば100℃〜300℃に加熱される(図27の工程A2)。かかる熱板360による加熱を行うことで被処理ウェハW上の接着剤Gが加熱され、当該接着剤Gが硬化する。
【0107】
その後、昇降ピン370が上昇すると共に、温度調節板380が熱板360の上方に移動する。続いて被処理ウェハWが昇降ピン370から温度調節板380に受け渡され、温度調節板380がウェハ搬送領域60側に移動する。この温度調節板380の移動中に、被処理ウェハWは所定の温度に温度調節される。
【0108】
熱処理装置41で熱処理された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって接合装置30に搬送される。接合装置30に搬送された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61から受渡部110の受渡アーム120に受け渡された後、さらに受渡アーム120からウェハ支持ピン121に受け渡される。その後、被処理ウェハWは、搬送部112の第1の搬送アーム170によってウェハ支持ピン121から反転部111に搬送される。
【0109】
反転部111に搬送された被処理ウェハWは、保持部材151に保持され、位置調節機構160に移動される。そして、位置調節機構160において、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調節して、当該被処理ウェハWの水平方向の向きが調節される(図27の工程A3)。
【0110】
その後、被処理ウェハWは、搬送部112の第1の搬送アーム170によって反転部111から接合部113に搬送される。このとき、上部チャンバ292は下部チャンバ291の上方に位置しており、上部チャンバ292と下部チャンバ291は当接しておらず、処理容器290内が密閉空間に形成されていない。接合部113に搬送された被処理ウェハWは、第1の保持部200に載置される(図27の工程A4)。第1の保持部200上では、被処理ウェハWの接合面Wが上方を向いた状態、すなわち接着剤Gが上方を向いた状態で被処理ウェハWが吸着保持される。
【0111】
被処理ウェハWに上述した工程A1〜A4の処理が行われている間、当該被処理ウェハWに続いて支持ウェハSの処理が行われる。支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61によって接合装置30に搬送される。なお、支持ウェハSが接合装置30に搬送される工程については、上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0112】
接合装置30に搬送された支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61から受渡部110の受渡アーム120に受け渡された後、さらに受渡アーム120からウェハ支持ピン121に受け渡される。その後、支持ウェハSは、搬送部112の第1の搬送アーム170によってウェハ支持ピン121から反転部111に搬送される。
【0113】
反転部111に搬送された支持ウェハSは、保持部材151に保持され、位置調節機構160に移動される。そして、位置調節機構160において、支持ウェハSのノッチ部の位置を調節して、当該支持ウェハSの水平方向の向きが調節される(図27の工程A5)。水平方向の向きが調節された支持ウェハSは、位置調節機構160から水平方向に移動され、且つ鉛直方向上方に移動された後、その表裏面が反転される(図27の工程A6)。すなわち、支持ウェハSの接合面Sが下方に向けられる。
【0114】
その後、支持ウェハSは、鉛直方向下方に移動された後、搬送部112の第2の搬送アーム171によって反転部111から接合部113に搬送される。このとき、第2の搬送アーム171は、支持ウェハSの接合面Sの外周部のみを保持しているので、例えば第2の搬送アーム171に付着したパーティクル等によって接合面Sが汚れることはない。接合部113に搬送された支持ウェハSは、第2の保持部201に吸着保持される(図27の工程A7)。第2の保持部201では、支持ウェハSの接合面Sが下方を向いた状態で支持ウェハSが保持される。
【0115】
次に、第1の保持部200に保持された被処理ウェハWと第2の保持部201に保持された支持ウェハSとの水平方向の位置調節を行う。被処理ウェハWの表面と支持ウェハSの表面には、予め定められた複数、例えば4点以上の基準点が形成されている。そして、図28に示すように第1の撮像部280を水平方向に移動させ、被処理ウェハWの表面が撮像される。また、第2の撮像部281を水平方向に移動させ、支持ウェハSの表面が撮像される。その後、第1の撮像部280が撮像した画像に表示される被処理ウェハWの基準点の位置と、第2の撮像部281が撮像した画像に表示される支持ウェハSの基準点の位置とが合致するように、移動機構220によって被処理ウェハWの水平方向の位置(水平方向の向きを含む)が調節される。すなわち、回転駆動部223によってカム221を回転させて第2の保持部201を水平方向に移動させ、被処理ウェハWの水平方向の位置が調節される。こうして被処理ウェハWと支持ウェハSとの水平方向の位置が調節される(図27の工程A8)。
【0116】
その後、図29に示すように第1の撮像部280と第2の撮像部281を第1の保持部200と第2の保持部201との間から退出させた後、移動機構(図示せず)によって上部チャンバ292を下降させる。そして、上部チャンバ292と下部チャンバ291を当接させて、これら上部チャンバ292と下部チャンバ291で構成される処理容器290の内部が密閉空間に形成される。このとき、第1の保持部200に保持された被処理ウェハWと第2の保持部201に保持された支持ウェハSとの間には、微小な隙間が形成されている。すなわち、被処理ウェハWと支持ウェハSは当接していない。
【0117】
その後、減圧機構300によって処理容器290内の雰囲気を吸引し、処理容器290内を真空状態まで減圧する(図27の工程A9)。本実施の形態では、処理容器290内を所定の真空圧、例えば0.01MPaまで減圧する。
【0118】
その後、図30に示すように圧力容器271に圧縮空気を供給し、当該圧力容器271内を所定の圧力、例えば0.02MPaにする。ここで、処理容器290内は真空状態に維持されており、圧力容器271は処理容器290内の真空雰囲気内に配置されている。このため、加圧機構270によって下方に押圧される圧力、すなわち圧力容器271から第2の保持部201に伝達される圧力は、圧力容器271内の圧力と処理容器290内の圧力との差圧0.01MPaになる。すなわち、加圧機構270によって第2の保持部201を押圧する圧力は、所定の真空圧力より小さい。そして、この加圧機構270によって第2の保持部201が下方に押圧され、被処理ウェハWの全面と支持ウェハSの全面が当接する。被処理ウェハWと支持ウェハSが当接する際、被処理ウェハWと支持ウェハSはそれぞれ第1の保持部200と第2の保持部201に吸着保持されているので、被処理ウェハWと支持ウェハSの位置ずれが生じない。また圧力容器271の平面形状は被処理ウェハWと支持ウェハSの平面形状と同一であるため、加圧機構270は被処理ウェハWと支持ウェハSを全面で押圧することになる。さらにこのとき、加熱機構212、252により被処理ウェハWと支持ウェハSを所定の温度、例えば100℃〜400℃で加熱する。このように被処理ウェハWと支持ウェハSを所定の温度で加熱しながら、加圧機構270により第2の保持部201を所定の圧力で押圧することによって、被処理ウェハWと支持ウェハSがより強固に接着され、接合される(図27の工程A10)。なお、工程A10において、処理容器290内は真空状態に維持されているため、被処理ウェハWと支持ウェハSを当接させても、当該被処理ウェハWと支持ウェハSとの間におけるボイドの発生を抑制することができる。また、本実施の形態では加圧機構270によって0.01MPaで第2の保持部201を押圧したが、この押圧する際の圧力は、接着剤Gの種類や被処理ウェハW上のデバイスの種類等に応じて設定される。
【0119】
被処理ウェハWと支持ウェハSが接合された重合ウェハTは、搬送部112の第1の搬送アーム170によって接合部110から受渡部110に搬送される。受渡部110に搬送された重合ウェハTは、ウェハ支持ピン121を介して受渡アーム120に受け渡され、さらに受渡アーム120からウェハ搬送装置61に受け渡される。
【0120】
次に重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によって熱処理装置42に搬送される。そして、熱処理装置42において、重合ウェハTは所定の温度、例えば常温(23℃)に温度調節される。その後、重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットCに搬送される。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理が終了する。
【0121】
以上の実施の形態によれば、減圧機構300によって処理容器290内を真空状態に維持した状態で、加圧機構270によって第2の保持部201を第1の保持部200側に押圧し、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合することができる。かかる場合、処理容器290内が真空状態に維持されているので、被処理ウェハWと支持ウェハSを全面で当接させても、当該被処理ウェハWと支持ウェハSとの間にボイドが発生することはない。すなわち、被処理ウェハが第1の保持部200に保持され、支持ウェハSが第2の保持部201に保持された状態で、被処理ウェハWと支持ウェハSを全面で当接させることができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの位置ずれが生じない。また、圧力容器271が処理容器290内に配置されているので、圧力容器271内の圧力と処理容器290内の圧力との差圧(本実施の形態では0.01MPa)が、加圧機構300により第2の保持部201を押圧する際の圧力になる。そうすると、所定の真空圧力よりも小さい圧力で被処理ウェハWと支持ウェハSを押圧することができる。したがって、被処理ウェハW上のデバイスの損傷を抑制することができる。さらに、圧力容器271が処理容器290内に配置されているので、加圧機構300によって被処理ウェハWと支持ウェハSを押圧する際、従来のようにOリングの反力等の外乱を受けない。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSをウェハ面内で均一に押圧することができる。以上のように本実施の形態によれば、被処理ウェハWと支持ウェハSを適切に接合することができる。
【0122】
ここで、処理容器290の内部が真空状態に維持されるので、例えば第1の保持部200と第2の保持部201がそれぞれ被処理ウェハWと支持ウェハSを真空引きして保持する場合、非常に強い力で真空引きする必要がある。この点、本実施の形態では、第1の保持部200と第2の保持部201はそれぞれ被処理ウェハWと支持ウェハSを静電吸着しているので、処理容器290の内部が真空状態であっても、被処理ウェハWと支持ウェハSは適切に保持される。
【0123】
また、圧力容器271の平面形状は、被処理ウェハWと支持ウェハSの平面形状と同一であるで、圧力容器271は被処理ウェハWと支持ウェハSをウェハ面内均一に押圧することができる。例えば圧力容器271の平面形状が被処理ウェハWと支持ウェハSの平面形状より大きい場合、被処理ウェハWと支持ウェハSの外縁部に作用する圧力は中心部に作用する圧力に比べて大きくなる。このため、本実施の形態のように圧力容器271の平面形状と被処理ウェハWと支持ウェハSの平面形状とは同一であるのが好ましい。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSを適切に接合することができる。
【0124】
また、接合部113において被処理ウェハWと支持ウェハSを接合する前に、第1の撮像部280によって第1の保持部200に保持された被処理ウェハWの表面を撮像し、第2の保持部281によって第2の保持部201に保持された支持ウェハSの表面を撮像することにより、被処理ウェハWと支持ウェハSの相対的な位置を的確に把握することができる。かかる場合、この撮像された画像に基づいて、移動機構220によって被処理ウェハWと支持ウェハSの水平方向の位置合わせを厳密に行うことができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSをより適切に接合することができる。
【0125】
また、接合システム1は、接合装置30〜31、塗布装置40、熱処理装置41〜46を有しているので、被処理ウェハWを順次処理して当該被処理ウェハWに接着剤Gを塗布して所定の温度に加熱すると共に、接合装置30において支持ウェハSの表裏面を反転させる。その後、接合装置30において、接着剤Gが塗布されて所定の温度に加熱された被処理ウェハWと表裏面が反転された支持ウェハSとを接合する。このように本実施の形態によれば、被処理ウェハWと支持ウェハSを並行して処理することができる。また、接合装置30において被処理ウェハWと支持ウェハSを接合する間に、塗布装置40、熱処理装置41及び接合装置30において、別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を効率よく行うことができ、接合処理のスループットを向上させることができる。
【0126】
以上の実施の形態では、上部チャンバ292を昇降させていたが、上部チャンバ292の昇降に代えて下部チャンバ291を昇降させてもよい。或いは、処理容器290を一の処理容器とし、被処理ウェハW、支持ウェハS及び重合ウェハTの搬入出口にゲートバルブ(図示せず)を設けてもよい。いずれの場合でも、処理容器290の内部を密閉空間に形成することができる。
【0127】
以上の実施の形態において、上部チャンバ292と下部チャンバ291が当接する部分であって、上部チャンバ292と下部チャンバ291の内側面には、メカニカルストッパ(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、上部チャンバ292と下部チャンバ291に必要以上に圧力がかかるのを防止でき、これら上部チャンバ292と下部チャンバ291が損傷を被るのを防止することができる。
【0128】
以上の実施の形態では、移動機構220は第1の保持部200を水平方向に移動させていたが、第2の保持部201を水平方向に移動させてもよい。或いは、図31に示すように第1の保持部200側と第2の保持部201側にそれぞれ移動機構220を設け、第1の保持部200と第2の保持部201を共に水平方向に移動可能にしてもよい。
【0129】
以上の実施の形態において、移動機構220によって第1の保持部200を水平方向に円滑に移動させるため、第1の保持部200を下部チャンバ291から浮上させてもよい。この第1の保持部200を浮上させる手段には種々の手段を取り得るが、例えばエアベアリングを用いてもよいし、昇降ピンを用いてもよい。
【0130】
以上の実施の形態において、上部チャンバ292には、処理容器290の内部を確認するためのメンテナンス用の窓が設けられていてもよい。
【0131】
以上の実施の形態では、被処理ウェハWを下側に配置し、且つ支持ウェハSを上側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを接合していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。かかる場合、上述した工程A1〜A4を支持ウェハSに対して行い、当該支持ウェハSの接合面Sに接着剤Gを塗布する。また、上述した工程A5〜A7を被処理ウェハWに対して行い、当該被処理ウェハWの表裏面を反転させる。そして、上述した工程A8〜A11を行い、支持ウェハSと被処理ウェハWを接合する。但し、被処理ウェハW上の電子回路等を保護する観点から、被処理ウェハW上に接着剤Gを塗布するのが好ましい。
【0132】
以上の実施の形態の第1の保持部200は、図32に示すように被処理ウェハWを吸着保持する吸着保持部としての吸着パッド410を有していてもよい。吸着パッド410は、例えば3箇所に設けられている。各吸着パッド410には、被処理ウェハWを吸引する吸引管411が接続されている。吸引管411は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
【0133】
吸着パッド410は、図33に示すように、被処理ウェハWの非接合面Wを吸着保持する吸着面420aを備えた保持部材420と、保持部材420を支持し、鉛直方向に延伸する支持部材421と、支持部材421を支持する基台422とを有している。保持部材420は、支持部材421を基点として上下動可能になっている。なお、吸着パッド410には例えば耐熱ゴムが用いられ、吸着面420aは摩擦により被処理ウェハWを保持することができる。
【0134】
吸着パッド410は、図34(a)に示すように被処理ウェハWを保持しない状態において、その吸着面420aが第1の保持部200の表面から斜め上方に突出している。このとき、支持部材421と基台422は第1の保持部200の内部に埋設されている。そして、図34(b)に示すように吸着パッド410が被処理ウェハWを保持する際、吸着パッド410の保持部材420は、被処理ウェハWの自重により支持部材421を基点として下方に移動して第1の保持部200の内部に移動する。このとき、吸着面420aは第1の保持部200の表面と同一高さになる。そして、被処理ウェハWは、第1の保持部200の表面に載置されると共に、吸着面420aに吸着保持される。このとき、吸引管411によって被処理ウェハWは吸引されて保持されるが、例えばこの吸引管411からの吸引力が処理容器290内の雰囲気と同じ真空圧であっても、吸着面420aと被処理ウェハWとの摩擦により、被処理ウェハWが移動することがない。このように被処理ウェハWは第1の保持部200に適切に吸着保持される。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSを適切に接合することができる。
【0135】
なお、本実施の形態では、第1の保持部200は静電チャック210を省略してもよいし、静電チャック210と吸着パッド410を両方備えていてもよい。第1の保持部200が静電チャック210と吸着パッド410を両方備える場合には、第1の保持部200はより適切に被処理ウェハWを吸着保持することができる。
【0136】
また、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態、すなわち第2の保持部201が第1の保持部200の下方に配置された場合には、第2の保持部201は上述した吸着パッド410と吸引管411を有していてもよい。
【0137】
また、以上の実施の形態では、塗布装置40において被処理ウェハWと支持ウェハSのいずれか一方に接着剤Gを塗布していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの両方に接着剤Gを塗布してもよい。
【0138】
以上の実施の形態では、工程A3において被処理ウェハWを所定の温度100℃〜300℃に加熱していたが、被処理ウェハWの熱処理を2段階で行ってもよい。例えば熱処理装置41において、第1の熱処理温度、例えば100℃〜150℃に加熱した後、熱処理装置44において第2の熱処理温度、例えば150℃〜300℃に加熱する。かかる場合、熱処理装置41と熱処理装置44における加熱機構自体の温度を一定にできる。したがって、当該加熱機構の温度調節をする必要がなく、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理のスループットをさらに向上させることができる。
【0139】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0140】
1 接合システム
2 搬入出ステーション
3 処理ステーション
30〜33 接合装置
40 塗布装置
41〜46 熱処理装置
60 ウェハ搬送領域
113 接合部
200 第1の保持部
201 第2の保持部
210 静電チャック
220 移動機構
250 静電チャック
270 加圧機構
271 圧力容器
272 流体供給管
273 流体供給源
280 第1の撮像部
282 第2の撮像部
290 処理容器
291 下部チャンバ
292 上部チャンバ
300 減圧機構
301 吸気管
302 負圧発生装置
400 制御部
410 吸着パッド
G 接着剤
S 支持ウェハ
T 重合ウェハ
W 被処理ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板と支持基板を接合する接合装置であって、
被処理基板を保持する第1の保持部と、
前記第1の保持部に対向配置され、支持基板を保持する第2の保持部と、
前記第2の保持部に保持された支持基板を覆うように設けられた鉛直方向に伸縮自在の圧力容器を備え、当該圧力容器内に気体を流入出させることで前記第2の保持部を前記第1の保持部側に押圧する加圧機構と、
前記第1の保持部、前記第2の保持部及び前記圧力容器を内部に収容し、内部を密閉可能な処理容器と、
前記処理容器内の雰囲気を減圧する減圧機構と、を有することを特徴とする、接合装置。
【請求項2】
前記第1の保持部に保持された被処理基板と、前記第2の保持部に保持された支持基板を全面で当接させた後、当該被処理基板と支持基板を押圧するように、前記第1の保持部、前記第2の保持部及び前記加圧機構を制御する制御部を有することを特徴とする、請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記第1の保持部は被処理基板を静電吸着し、
前記第2の保持部は支持基板を静電吸着することを特徴とする、請求項1又は2に記載の接合装置。
【請求項4】
前記第1の保持部又は前記第2の保持部は、被処理基板又は支持基板を吸着保持する吸着保持部を有し、
前記吸着保持部の吸着面は、被処理基板又は支持基板を摩擦により保持することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の接合装置。
【請求項5】
前記圧力容器の平面形状は、支持基板の平面形状と同一であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の接合装置。
【請求項6】
前記第1の保持部に保持された被処理基板の表面を撮像する第1の撮像部と、
前記第2の保持部に保持された支持基板の表面を撮像する第2の撮像部と、
前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の接合装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の接合装置を備えた接合システムであって、
前記接合装置と、被処理基板又は支持基板に接着剤を塗布する塗布装置と、前記接着剤が塗布された被処理基板又は支持基板を所定の温度に加熱する熱処理装置と、前記塗布装置、前記熱処理装置及び前記接合装置に対して、被処理基板、支持基板、又は被処理基板と支持基板が接合された重合基板を搬送するための搬送領域と、を有する処理ステーションと、
被処理基板、支持基板又は重合基板を、前記処理ステーションに対して搬入出する搬入出ステーションと、を有していることを特徴とする、接合システム。
【請求項8】
接合装置を用いて被処理基板と支持基板を接合する接合方法であって、
前記接合装置は、
被処理基板を保持する第1の保持部と、
前記第1の保持部に対向配置され、支持基板を保持する第2の保持部と、
前記第2の保持部に保持された支持基板を覆うように設けられた鉛直方向に伸縮自在の圧力容器を備え、当該圧力容器内に気体を流入出させることで前記第2の保持部を前記第1の保持部側に押圧する加圧機構と、
前記第1の保持部、前記第2の保持部及び前記圧力容器を内部に収容し、内部を密閉可能な処理容器と、
前記処理容器内の雰囲気を減圧する減圧機構と、を有し、
前記接合方法は、
前記第1の保持部に保持された被処理基板と前記第2の保持部に保持された支持基板を対向配置し、前記減圧機構によって前記処理容器内を真空状態に減圧する減圧工程と、
その後、前記処理容器内を真空状態に維持した状態で、前記加圧機構によって前記第2の保持部を前記第1の保持部側に押圧する押圧工程と、を有することを特徴とする、接合方法。
【請求項9】
前記押圧工程において、前記第2の保持部を押圧する圧力は、真空圧力より小さいことを特徴とする、請求項8に記載の接合方法。
【請求項10】
前記押圧工程において、前記第1の保持部に保持された被処理基板と、前記第2の保持部に保持された支持基板を全面で当接させた後、当該被処理基板と支持基板を押圧することを特徴とする、請求項8又は9に記載の接合方法。
【請求項11】
前記第1の保持部は被処理基板を静電吸着し、
前記第2の保持部は支持基板を静電吸着することを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の接合方法。
【請求項12】
前記第1の保持部又は前記第2の保持部は、被処理基板又は支持基板を吸着保持する吸着保持部を有し、
前記吸着保持部の吸着面は、被処理基板又は支持基板を摩擦により保持することを特徴とする、請求項8〜11のいずれかに記載の接合方法。
【請求項13】
前記圧力容器の平面形状は、支持基板の平面形状と同一であって、
前記押圧工程において、前記加圧機構は支持基板を全面で押圧することを特徴とする、請求項8〜12のいずれかに記載の接合方法。
【請求項14】
前記減圧工程の前に、被処理基板の表面と支持基板の表面をそれぞれ撮像し、撮像された画像における被処理基板の基準点と撮像された画像における支持基板の基準点とが合致するように被処理基板と支持基板の相対的な水平方向の位置を調節することを特徴とする、請求項8〜13のいずれかに記載の接合方法。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれかに記載の接合方法を接合装置によって実行させるために、当該接合装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2013−115124(P2013−115124A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257876(P2011−257876)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】