説明

接着シート

【課題】斑が少なく、緻密性が高く、柔軟で接着性に優れ、かつ取り扱いに十分な強力を有する接着シートを提供する。
【解決手段】エチレン酢酸ビニル共重合体4を主成分とする接着シートであって、目付20〜2000g/m、厚み0.1〜10mm、見掛け密度0.2〜0.6g/cm、通気度20〜100cc/cm/秒である多孔質形状物からなることを特徴とする接着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木、建材、自動車内装材等の用途に有用な接着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン酢酸ビニル共重合体は、例えば、基材上にパウダー状で吹き付けたり、ホットメルト系接着用樹脂として広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、パウダー状では塗布斑による接着力低下を招き、ホットメルトでは、他基材に工程中で直接吹き付けることはできても、十分なネットワーク構造を有しておらず、強度が不十分なために単体で取り扱うことは困難である。
【0003】
一方、エチレン酢酸ビニル共重合体からなるフィルムを接着用シートとして用いられることも検討されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるフィルム状接着シートでは積層接着時にエアーが抜けにくく、気泡を噛みこんだり、接着対象物への追随性、界面におけるアンカー効果が不十分で界面剥離を生じる等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−114697号公報
【特許文献2】特許第3968585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記現状に鑑み、多孔質形状を有し、斑が少なく、緻密性が高く、柔軟で、接着性に優れ、取り扱いに十分な強力を有する、接着シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は鋭意検討した結果、特定範囲の目付、密度、厚み、通気度を有するシートが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明はエチレン酢酸ビニル共重合体を主成分とする接着シートであって、目付20〜2000g/m、厚み0.1〜10mm、見掛け密度0.2〜0.6g/cm、通気度20〜100cc/cm/秒である不織布からなることを特徴とする接着シートであり、好ましくはエチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率が10〜55重量%、融点が40〜100℃、190℃、2.16kg荷重におけるMFRが1〜50g/10minであることを特徴とする上記の接着シートである。
【0008】
また本発明は、好ましくはエチレン酢酸ビニル共重合体よりも融点の高い熱可塑性ポリマーが1〜30重量%含まれてなり、さらにエチレン酢酸ビニル共重合体よりも融点の高い熱可塑性ポリマーがケン化度90モル%以上、エチレン含有率5〜60モル%、190℃、2.16kg荷重におけるMFR0.1〜100g/minのエチレンビニルアルコール共重合体樹脂であることを特徴とする上記の接着シートである。
【0009】
さらに本発明は、好ましくは前記不織布が平均繊維径3〜30μmであり、メルトブロー法またはスパンボンド法により製造される不織布である上記の接着シートである。
【0010】
そして本発明は上記の接着シートと織物、フィルム、不織布等から選択された少なくとも1種類以上のシート基材とが積層されてなる積層体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により得られたエチレン酢酸ビニル共重合体を主成分とする接着シートは斑が少なく、緻密性が高く、柔軟で接着性に優れ、取り扱いに十分な強力を有するので、土木、建築用資材等に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の接着シートはエチレン酢酸ビニル共重合体を主成分とし、酢酸ビニル含有率は10〜55重量%であることが好ましい。酢酸ビニル含有量が10重量%未満では極性が低いため得られる樹脂組成物の耐熱接着性が不十分になり、55重量%を超えると耐熱性がなくなり耐熱接着性が不十分になる。好ましくは20〜40重量%程度、更に好ましくは、25〜35重量%である。なお、酢酸ビニル含有量はJIS K6924−1(1997年版)に準拠して測定される。
【0013】
また本発明の接着シートの主成分であるエチレン酢酸ビニル共重合体の融点は40〜100℃であることが好ましく、更に好ましくは55〜85℃である。融点が40℃未満である場合、常温でのタック性が強くなるので取り扱い性が難しくなり、100℃を超えると熱接着時に高温化、エネルギーが必要になる。
【0014】
さらに本発明の接着シートの主成分であるエチレン酢酸ビニル共重合体の190℃、2.16kg荷重におけるMFRが1〜50g/10minであることが好ましく、更に15〜30g/min程度であることが好ましい。MFRが1g/min未満であれば成形時等に高温化が必要でありMFRが50g/minを超えると、加熱時の流動性が高く、成形性等が悪くなる。
【0015】
また本発明の接着シートの主成分であるエチレン酢酸ビニル共重合体は、接着性を向上させるために不飽和カルボン酸、及び/又はその誘導体で変性されていても構わない。不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸等が挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル等が挙げられる。
【0016】
本発明の接着シートの目付は20〜2000g/m、厚みは0.1〜10mmであることが重要である。目付が20g/m未満であると接着性、強度の点で問題があり、逆に2000g/mを超えると柔軟性が低下し、取り扱い性が悪くなる点で問題がある。好ましくは100〜1500g/mであり、より好ましくは200〜1000g/mである。また厚みは0.1mm未満ではシートの剛性が低くなりすぎて取り扱い性の点で問題があり、逆に10mmを超えると熱伝導性が悪くなり、厚み方向で溶着斑が発生する点で問題がある。好ましくは0.2〜8mmであり、より好ましくは0.4〜5mmである。
【0017】
また本発明の接着シートの見掛け密度は0.2〜0.6g/cmであることが重要である。0.2g/cm未満ではシートが粗く、0.6g/cmを超えるとシートが緻密すぎて柔軟性が低下してしまう。好ましくは0.3〜0.5g/cmである。一方、接着シートの通気度は20〜100cc/cm/秒であることが重要である。20cc/cm/秒未満では緻密すぎて、接着時にエアー抜きが不十分となり、100cc/cm/秒を超えるとシートが粗すぎて好ましくない。好ましくは30〜90cc/cm/秒であり、より好ましくは40〜80cc/cm/秒である。
【0018】
本発明に用いるエチレン酢酸ビニル共重合体に対し、被接着対象物に応じ、接着、熱特性等を改質する目的でエチレン酢酸ビニル共重合体よりも融点の高い熱可塑性ポリマーを1〜30重量%含まれていても構わない。混合方法としては、チップブレンドでも構わないし、例えば、紡糸時に芯鞘、サイドバイサイド、海島等の構造で使用することでも構わない。上記熱可塑性ポリマーとしては、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリブチルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体等が挙げられ、それらの中でも、接着性、相溶性の点から、エチレンビニルアルコール共重合体が好ましい。
【0019】
上記エチレンビニルアルコール共重合体としては、接着性の点からケン化度90モル%以上のものであることが好ましい。さらにエチレン含有率は、5〜60モル%であるのが好ましい。エチレン含有量が5モル%未満では、溶融成形性が悪化することがある。EVOHのエチレン含有量は、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上である。一方、エチレン含有量が60モル%を超えると十分な相溶性が得られないことがある。エチレン含有量は、好ましくは55モル%以下であり、より好ましくは50モル%以下である。また、190℃、2.16kg荷重におけるMFRは0.1〜100g/min、より好適には0.5〜50g/10min程度であることが好ましい。
【0020】
本発明の接着シートは接着対象物への追随性、界面におけるアンカー効果の点から平均繊維径3〜30μmの不織布であることが必要である。平均繊維径が3μm未満では繊維強力が弱く、30μmを超えるとシートが粗くなり好ましくない。より好ましくは5〜20μmである。なお、本発明において平均繊維径は、不織布を走査型電子顕微鏡で拡大撮影し。任意の100本の繊維径を測定した値の平均値を指すものである。
【0021】
本発明の好適な接着シートを製造する方法としては、緻密性、均質性、生産性の点から、メルトブロー法、スパンボンド法が好ましい。
メルトブロー法で製造する場合の一例として、紡糸装置は従来公知のメルトブロー装置を用いることができ、紡糸条件としては、紡糸ノズルの孔径は0.2〜0.5mm、単孔吐出量0.3〜2.0g/m、紡糸温度230〜320℃、熱風温度(1次エアー温度)250〜340℃、ノズル長1mあたり、エアー量5〜20Nm/min/mで行うことが好ましい。また、溶融させたエチレン酢酸ビニル共重合体は固化速度が遅く、捕集装置の金網上に、溶着し、金網からの剥離性が悪い場合、織物、編物、不織布等のシート材を巻き出し装置から捕集装置上に巻き出して、敷設し、シート上に吹き付けて紡糸することができる。ノズルと成形機の距離は1〜30cmが好ましく、より好ましくは2〜15cmである。ノズルと成形機の距離が近すぎると風綿飛散が多くなり、距離が大きすぎると得られる不織布の緻密性が低下する。
【0022】
また、本発明にて得られたエチレン酢酸ビニル共重合体を主成分とする接着シートと織物、フィルム、不織布等から選択された少なくとも1種類以上のシート基材を積層し、少なくとも2層以上の積層体を得ることができる。積層方法としては、上記メルトブロー紡糸時にシート基材上に直接吹き付けて接着させても構わないし、エンボスカレンダー等で積層してもよい。
【0023】
以下に実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例により何等限定されるものではない。なお本発明における接着シートの物性は以下の方法により測定されたものを意味する。
【0024】
[接着シートの目付(g/m2)]
JIS L 1906に準じ、接着シート幅1mあたりから、縦20cm×横20cmの試料片を3枚採取し、各試料片の質量を電子天秤にて測定し、3点の平均値を試験片面積400cm2で除して、単位面積当たりの質量を算出し、接着シートの目付とした。
【0025】
[接着シートの厚さ(mm)、見掛け密度(g/cm3)]
JIS L 1906に準じ、目付け測定と同試料片を用い、各試料片において、φ16mm、荷重20gf/cm2のデジタル測厚計((株)東洋精器製作所製:B1型)で各5箇所測定し、15点の平均値をシートの厚みとし、接着シートの目付け(g/m2)/接着シートの厚さ(mm)/1000=接着シートの見掛け密度(g/cm3)とした。
【0026】
[接着シートの通気度(cc/cm/秒)]
JIS L 1096の6.27.1(A法:フラジール法)に準じ、目付け測定と同試料片を用い、各試料片おいて、通気度測定器(TEXTEST製(スイス):FX3300)を使用し、測定面積38cm2、測定圧力125Paの条件で測定し、3点の平均値を接着シートの通気度とした。
【0027】
[接着シートの縦強度、横強度(N/5cm)]
JIS L 1906に準じ、縦方向、横方向それぞれに対し、接着シート幅1mあたりから、幅5cm×長さ20cmの短冊状試料片を6枚採取し、オートグラフ((株)島津製作所製:AG−IS)にて、チャック間10cm、ヘッドスピード20cm/minにて測定し、6点の平均値を接着シートの強度とした。
【0028】
[接着性]
接着シート幅1mあたりから、縦20cm×横20cmの試料片を3枚採取し、その接着シートの両面に縦20cm×横20cm×厚み1mmのポリウレタンシートを配し、プレス機(王子機械(株)製)にて、温度130℃、圧力2.5Mpa、時間10秒で加圧溶融接着させた積層シートから、縦方向に幅3cm×長さ20cmの短冊状試料片を5枚採取し、各試験片に対し、JIS L 1096に準じ、オートグラフ((株)島津製作所製:AG−IS)にて、チャック間10cm、ヘッドスピード20cm/minにて、接着シートとポリウレタンシート間を垂直方向に剥離し、極大点3点の平均値を算出し、15枚の試験片の平均値を接着シートの剥離強力とし、5N/3cm未満は×、5〜10N/3cmを△、10N/3cmを超えれば○とした。
【0029】
[被接着対象物への追随性]
接着シート幅1mあたりから、縦30cm×横30cmの試料片を採取し、その接着シートの下面に縦30cm×横30cm×厚み1mmのポリウレタンシートを配し、接着シートの上面に縦30cm×横30cm×厚み0.5mmのテフロン(登録商標)シートを配し、図1に示すような金型上に敷設し、プレス機(王子機械(株)製)にて、温度130℃、圧力2.5MPa、時間10秒で加圧溶融接着させ、冷却後、型枠から取り外し、上面のテフロン(登録商標)シートを手で剥離、除去し、接着シートとポリウレタンシートの接着状態を観察した際に、接着シートに皺が発生している場合を×、皺が発生していない場合を○とした。
【0030】
[エアー溜り評価]
被接着対象物への追随性評価と同様に観察した際に、接着シートとポリウレタンシートの層間にエアーが抜けずに膨れている箇所がある場合を×、エアーの膨れがない場合を○とした。
【0031】
[実施例1]
酢酸ビニル含有率33重量%、融点60℃、MFR30g/minのエチレン酢酸ビニル共重合体(三井デュポンケミカル(株)製「EV150」)を押し出し機にて押し出し、図2に示すような幅1mホール数1000、孔径φ0.4mmのノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.4g/min、樹脂温度270℃、熱風温度285℃、風量12.5Nm/min/m、ノズルと成形機の距離15cmの条件にて、成形機金網上に巻き出したPET系サーマルボンド(シンワ(株)製、目付18g/m)上に、溶融させたエチレン酢酸ビニル共重合体を直接吹き付け、目付30g/mの接着シートを得た。PET系サーマルボンドを剥離させた後、各物性を測定したが、緻密性は良好であり、ポリウレタンシートとの接着性も良好で、接着敷設する際のハンドリングも良好で、エアー溜りもなかった。
【0032】
[実施例2]
実施例1において、単孔吐出量を1.0g/minとする以外は同じ条件・方法にて、目付850g/mの接着シートを得た。
次に実施例1同様に、PET系サーマルボンドを剥離させた後、各物性を測定したが、緻密性は良好であり、ポリウレタンシートとの接着性も良好で、接着敷設する際のハンドリングも良好で、エアー溜りもなかった。
【0033】
[実施例3]
実施例1において、単孔吐出量を1.0g/minとする以外は同じ条件・方法にて、目付1950g/mの接着シートを得た。
次に実施例1同様に、PET系サーマルボンドを剥離させた後、各物性を測定したが、緻密性は良好であり、ポリウレタンシートとの接着性も良好で、接着敷設する際のハンドリングも良好で、エアー溜りもなかった。
【0034】
[実施例4]
実施例2において、エチレン含有率44モル%、ケン化度99.3モル%、MFR6g/minのエチレンビニルアルコール共重合体((株)クラレ製「E105」)を5重量%チップブレンドする以外は、同じ条件・方法にて、目付け850g/mの接着シートを得た。
次に実施例1同様に、PET系サーマルボンドを剥離させた後、各物性を測定したが、緻密性は良好であり、ポリウレタンシートとの接着性も良好で、接着敷設する際のハンドリングも良好で、エアー溜りもなかった。
【0035】
[実施例5]
酢酸ビニル含有率28重量%、融点70℃、MFR15g/minのエチレン酢酸ビニル共重合体(三井デュポンケミカル(株)製「EV250」)を押し出し機にて押し出し、図2に示すような幅1mホール数1000、孔径φ0.4mmのノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量1.0g/min、樹脂温度290℃、熱風温度300℃、15Nm/min/m、ノズルと成形機の距離20cmの条件にて、成形機金網上に巻き出したPET系サーマルボンド(シンワ(株)製、目付18g/m)上に、溶融させたエチレン酢酸ビニル共重合体を直接吹き付け、目付850g/mの接着シートを得た。PET系サーマルボンドを剥離させた後、各物性を測定したが、緻密性は良好であり、ポリウレタンシートとの接着性も良好で、接着敷設する際のハンドリングも良好で、エアー溜りもなかった。
【0036】
[実施例6]
酢酸ビニル含有率19重量%、融点85℃、MFR15g/minのエチレン酢酸ビニル共重合体(三井デュポンケミカル(株)製「EV250」)を押し出し機にて押し出し、図2に示すような幅1mホール数1000、孔径φ0.4mmのノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量1.0g/min、樹脂温度300℃、熱風温度320℃、15Nm/min/m、ノズルと成形機の距離20cmの条件にて、成形機金網上に巻き出したPET系サーマルボンド(シンワ(株)製、目付18g/m)上に、溶融させたエチレン酢酸ビニル共重合体を直接吹き付け、目付850g/mの接着シートを得た。PET系サーマルボンドを剥離させた後、各物性を測定したが、緻密性は良好であり、ポリウレタンシートとの接着性も良好で、接着敷設する際のハンドリングも良好で、エアー溜りもなかった。
【0037】
[比較例1]
実施例1において、風量を17.0Nm/min/m、ノズルと成形機の距離を11cmにする以外は同じ条件・方法にて、目付600g/mの接着シートを得た。
次に実施例1同様に、PET系サーマルボンドを剥離させた後、各物性を測定したところ、接着性は良好も、一部エアー溜り、皺が発生した。
【0038】
[比較例2]
実施例1と同じ条件、方法にて、目付10g/mの接着シートを得た。PET系サーマルボンドを剥離させた後、各物性を測定したが、地合が粗く、ポリウレタンシートとの接着において、シートとの追随性、エアー溜りはなかったものの、強度が弱く、ハンドリングが悪く、接着力も不十分であった。
【0039】
[比較例3]
実施例1において、単孔吐出量を1.8g/min、ノズルと成形機の距離を23cmとする以外は同じ条件・方法にて、目付2480g/mの接着シートを得た。
次に実施例1同様に、PET系サーマルボンドを剥離させた後、各物性を測定したが、緻密性は良好でありものの、厚みが大きく、ポリウレタンシートとの接着評価において、熱伝導性が悪く、一部溶融不十分な箇所が発生し、接着力が不十分であった。また、ウレタンシートへの追随性も悪かった。
【0040】
[比較例4]
酢酸ビニル含有率33重量%、融点60℃、MFR30g/minのエチレン酢酸ビニル共重合体(三井デュポンケミカル(株)製「EV150」)を使用し、目付650g/m、厚み0.691mmのフィルムを作成し、各物性を測定した。ウレタン系シートとの接着力は十分であったが、一部エアー溜り、皺が発生し、エアー溜りの部分の接着力が低下した。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明により得られたエチレン酢酸ビニル共重合体を主成分とする接着シートは斑が少なく、緻密性が高く、柔軟で、接着性に優れ、かつ取り扱いに十分な強力を有するので、土木、建築用資材等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の被接着対象物への追随性、エアー溜りの評価用の試験体を作成するための金型を示す図。
【図2】本発明の実施の態様を示す工程の一例を示す図。
【符号の説明】
【0045】
1:巻き出しロール
2:シート基材
3:ノズル
4:エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂
5:成形機
6:金網
7:サクション
8:サクションブロア
9:巻取りロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン酢酸ビニル共重合体を主成分とする接着シートであって、目付20〜2000g/m、厚み0.1〜10mm、見掛け密度0.2〜0.6g/cm、通気度20〜100cc/cm/秒である不織布からなることを特徴とする接着シート。
【請求項2】
エチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率が15〜45重量%、融点が40〜100℃、190℃、2.16kg荷重におけるMFRが1〜50g/10minであることを特徴とする請求項1記載の接着シート。
【請求項3】
エチレン酢酸ビニル共重合体よりも融点の高い熱可塑性ポリマーが1〜30重量%含まれてなる請求項1または2記載の接着シート。
【請求項4】
エチレン酢酸ビニル共重合体よりも融点の高い熱可塑性ポリマーがケン化度90モル%以上、エチレン含有率5〜60モル%、190℃、2.16kg荷重におけるMFR0.1〜100g/minのエチレンビニルアルコール共重合体樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の接着シート。
【請求項5】
不織布が平均繊維径3〜30μmの不織布である請求項1〜4のいずれかに記載の接着シート。
【請求項6】
請求項5記載の不織布がメルトブロー法またはスパンボンド法により製造される接着シート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の接着シートと織物、フィルム、不織布等から選択された少なくとも1種類以上のシート基材とが積層されてなる積層体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−40290(P2013−40290A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178688(P2011−178688)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】