説明

接着フィルム及びダイシング・ダイボンドフィルム

【課題】 短時間で、かつ高温を要しない熱硬化処理であっても被着体に対して十分な接着力を得られると共に、作製後も粘度の上昇を抑制可能な接着フィルム、及び当該接着フィルムを備えたダイシング・ダイボンドフィルムを提供する。
【解決手段】 本発明の接着フィルムは、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位を含む熱可塑性成分と、エポキシ樹脂とを含む接着剤組成物により構成されており、上記熱可塑性成分におけるカルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位の含有率が1.5mol%以上11mol%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体チップを基板やリードフレーム等の被着体上に固定する際に用いられる接着フィルムに関する。また、本発明は、当該接着フィルムとダイシングフィルムとを備えるダイシング・ダイボンドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の製造の際におけるリードフレームや電極部材への半導体チップの固定には、銀ペーストが用いられている。かかる固定処理は、リードフレームのダイパッド等の上にペースト状接着剤を塗工し、それに半導体チップを搭載してペースト状接着剤層を硬化させて行っている。
【0003】
しかしながら、ペースト状接着剤ではその粘度挙動や劣化等により塗工量や塗工形状等に大きなバラツキを生じる。その結果、形成されるペースト状接着剤厚は不均一となるため、半導体チップに係わる固定強度の信頼性が乏しい。このような固定処理における問題は、半導体チップの大型化に伴って特に顕著なものとなっている。そのため、ペースト状接着剤の塗工量の制御を頻繁に行う必要があり、作業性や生産性に支障をきたしている。
【0004】
このペースト状接着剤の塗工工程において、ペースト状接着剤をリードフレームや形成チップに別途塗布する方法がある。しかし、この方法では、ペースト状接着剤層の均一化が困難であり、またペースト状接着剤の塗布に特殊装置や長時間を必要とする。このため、ダイシング工程で半導体ウェハを接着保持するとともに、マウント工程に必要なチップ固定用の接着フィルムをも付与するダイシング・ダイボンドフィルムが開示されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0005】
この種のダイシング・ダイボンドフィルムは、ダイシングフィルム上に接着剤層(接着フィルム)が積層された構造を有している。また、ダイシングフィルムは支持基材上に粘着剤層が積層された構造である。このダイシング・ダイボンドフィルムは次のようにして使用される。すなわち、接着フィルムによる保持下に半導体ウェハをダイシングした後、支持基材を延伸して半導体チップを接着フィルムと共に剥離しこれを個々に回収する。さらに、半導体チップを、接着フィルムを介して、BT基板やリードフレーム等の被着体に接着固定させる。半導体チップを多段階に積層する場合は、接着フィルムを介して固定した半導体チップ上に、さらに接着フィルム付きの半導体チップを接着固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−074144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
接着フィルム付きの半導体チップを基板上又は半導体チップ上にボンディングした後は、接着シートを熱硬化させて半導体チップを固定する。その際に接着フィルムの硬化が不十分であると半導体チップの接着固定が不十分となり、続くワイヤーボンディング工程で半導体チップのずれなどの問題が生じることがある。一方、十分に硬化させるには、例えば熱硬化処理の時間を長くしたり、熱硬化反応を促進させる物質を共存させたりして対応することができるが、熱硬化処理の時間を長くすると歩留まりが低下し、また、熱硬化反応を促進させる物質を共存させると接着シートの作製後に硬化反応が進行して粘度が高くなり接着シートの経時的安定性が低下するなどといった問題が生じることがある。特に半導体チップのずれや熱硬化処理時間の長期化による歩留まりの低下の問題は、半導体チップを多段積層させる場合により顕著になる。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであり、短時間で、かつ高温を要しない熱硬化処理であっても被着体に対して十分な接着力を得られると共に、作製後も粘度の上昇を抑制可能な接着フィルム、及び当該接着フィルムを備えたダイシング・ダイボンドフィルムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者等は、鋭意検討した結果、下記構成を採用することにより上記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の接着フィルムは、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位を含む熱可塑性成分と、エポキシ樹脂とを含む接着剤組成物により構成されており、上記熱可塑性成分におけるカルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位の含有率が1.5mol%以上11mol%以下である。
【0011】
当該接着フィルムによると、例えば1時間程度の短時間で硬化した場合であっても被着体に対して十分なせん断接着力を得られることから、その後のワイヤーボンディング工程や封止工程において良好な作業性を確保することができる。この理由は定かではないが、熱可塑性成分に含まれるカルボキシル基とエポキシ樹脂のエポキシ基との間の反応性が高く、速やかに架橋構造が形成されること、この架橋構造が生じるために凝集力が高まることや、カルボキシル基とエポキシ基カルボキシル基と被着体表面の極性基との間に分子間力が働くこと等が影響していると推察される。上記熱可塑性成分におけるカルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位の含有率が1.5mol%未満であると、接着フィルム中のカルボキシル基の総量が少なくなり、上述の凝集力や分子間力が低下し、その結果、被着体に対するせん断接着力が低下してワイヤーボンディング工程において半導体チップのずれが生じてしまう。一方、上記含有量が11mol%を超えると、接着フィルム中のカルボキシル基の総量の増大によりエポキシ樹脂のエポキシ基との架橋反応が進行することから、接着シートの作製後早期に接着シートの粘度が上昇してしまって経時的安定性が低下したり、実際の接着シートの使用までの貯蔵期間が短くなって製品管理が煩雑となったりする。
【0012】
当該接着フィルムでは、上記熱可塑性成分におけるカルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位の含有率が2.5mol%以上9.5mol%以下であることが好ましい。上記含有率の下限を2.5mol%以上とすることで、凝集力や分子間力を増大させて接着フィルムのせん断接着力をより向上させることができる。一方、上記含有率の上限を9.5mol%以下とすることで、カルボキシル基の総量を適度に抑制でき、接着シートの熱硬化前のカルボキシル基による架橋反応を長期間にわたって抑制することができ、その結果、熱硬化前の接着フィルムの経時的安定性をより向上させることができる。
【0013】
当該接着フィルムでは、シリコンウェハと貼り合わせた後に120℃で1時間熱硬化させた後の175℃における該シリコンウェハに対するせん断接着力が0.2MPa以上であることが好ましい。これにより、熱硬化工程以降のワイヤーボンディング工程や封止工程における高温環境下でもシリコンウェハに代表される被着体に対する接着力を十分に確保することができる。また、接着フィルム上に接着固定した半導体チップに対してワイヤーボンディングを行う際にも、超音波振動や加熱による接着フィルムと被着体との接着面でのずり変形を防止し、ワイヤーボンディングの成功率を向上させることができる。
【0014】
熱硬化前の当該接着フィルムでは、作製直後の120℃における粘度Aと、23℃で336時間保持した後の120℃における粘度Bとの比(粘度B/粘度A)が、0.8以上3.0以下であることが好ましい。このような粘度比とすることで、被着体に対するせん断接着力の経時的な低下を抑制することができる。
【0015】
上記接着フィルムの熱可塑性成分の酸価は10〜80mgKOH/gであることが好ましい。これにより、短時間での熱硬化処理でも十分なせん断接着力を発揮することができるとともに、接着シートの粘度上昇を抑制して経時的安定性を向上させることができる。
【0016】
当該接着フィルムを構成する上記接着剤組成物は、熱硬化触媒を含むことが好ましい。上記接着剤組成物が熱硬化触媒を含むことにより、エポキシ樹脂の硬化反応を比較的温和な条件で容易に進行させることができ、その結果、十分なせん断接着力を短時間で達成することができる。
【0017】
また、上記接着剤組成物がフィラーを含むと、接着フィルムの弾性率の調整が容易となり、ワイヤーボンディング工程における半導体チップの固定安定性を向上させることができる。
【0018】
上記熱可塑性成分が、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位を含むアクリル樹脂であることが好ましい。アクリル樹脂の採用により、接着シートに要求されるせん断接着力や弾性率等の調整が容易となり、接着シートの信頼性をより高めることができる。
【0019】
本発明には、基材及び該基材上に形成された粘着剤層を有するダイシングフィルムと、上記粘着剤層上に積層された当該接着フィルムとを備えるダイシング・ダイボンドフィルムも含まれる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カルボキシル基を有する熱可塑性成分とエポキシ樹脂とを含有する接着剤組成物により接着シートを構成し、カルボキシル基の含有率を所定範囲に設定しているので、比較的短時間で、かつ高温を要しない熱硬化工程でも被着体に対して十分な接着力を得られると共に、作製後の経時的安定性の高い接着フィルム及びこれを用いたダイシング・ダイボンドフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の一形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る接着フィルムを介して半導体チップを実装した例を示す断面模式図である。
【図4】上記接着フィルムを介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。
【図5】上記接着フィルムを用いて、2つの半導体チップをスペーサを介して3次元実装した例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施の形態に係る接着フィルムについて、図1に示すように基材1上に粘着剤層2が積層されてなるダイシングフィルム上に、接着フィルム3が積層されたダイシング・ダイボンドフィルムの態様を例にして以下に説明する。
【0023】
<接着フィルム>
接着フィルム3を構成する接着剤組成物は、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位を含む熱可塑性成分と、エポキシ樹脂とを含む。
【0024】
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸及びクロトン酸等のような分子中にカルボキシル基を1個又は複数個含有するモノマーが挙げられる。さらに本発明では、無水マレイン酸や無水イタコン酸等のような酸無水物モノマーもカルボキシル基含有モノマーに含まれる。
【0025】
上記熱可塑性成分としては上記カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位を含む限り特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂が好ましい。さらに、上記アクリル樹脂としては、例えば、炭素数30以下、特に炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体等が挙げられる。上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、又はドデシル基等が挙げられる。
【0026】
また、上記重合体を形成する他のモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のようなヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のようなスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のような燐酸基含有モノマーが挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0027】
接着フィルム3では、上記熱可塑性成分におけるカルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位の含有率を1.5mol%以上11mol%以下としている。上記熱可塑性成分におけるカルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位の含有率が1.5mol%未満であると、接着フィルム中のカルボキシル基の総量が少なくなり、接着フィルムの凝集力や被着体との分子間力が低下する。その結果、被着体に対するせん断接着力が低下してワイヤーボンディング工程において半導体チップのずれが生じてしまう。一方、上記含有量が11mol%を超えると、接着フィルム中のカルボキシル基の総量の増大によりエポキシ樹脂のエポキシ基との架橋反応が進行し、作製した接着シートの粘度が早期に上昇してしまって経時的安定性が低下したり、実際の接着シートの使用までの貯蔵期間が短くなって製品管理が煩雑となったりする。
【0028】
当該接着フィルムでは、上記含有率が2.5mol%以上9.5mol%以下であることが好ましい。上記含有率の下限を2.5mol%以上とすることで、接着フィルムのせん断接着力をより向上させることができる。一方、上記含有率の上限を9.5mol%以下とすることで、カルボキシル基の総量を適度に抑制でき、接着シートの熱硬化前のカルボキシル基による架橋反応を長期間にわたって抑制して、熱硬化前の接着フィルムの経時的安定性をさらに向上させることができる。
【0029】
上記接着フィルムの熱可塑性成分の酸価は10〜80mgKOH/gであることが好ましく、15〜60mgKOH/gであることがさらに好ましく、20〜45mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価が10mgKOH/g以上であると、例えば、120℃で1時間程度の条件下での熱硬化処理で接着シートのせん断接着力を向上させることができる。その一方、酸価が80mgKOH/g以下であると、常温で保管したときの接着シートの粘度上昇を抑えることができる。なお、接着フィルムの酸価の測定方法は実施例の記載による。
【0030】
上記接着フィルム3を構成する接着剤組成物は、上記カルボキシル基含有モノマーの他、熱硬化性成分としてエポキシ樹脂を含む。
【0031】
上記エポキシ樹脂は、接着剤組成物として一般に用いられるものであれば特に限定は無く、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオンレン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型若しくはグリシジルアミン型等のエポキシ樹脂が用いられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのエポキシ樹脂のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型樹脂又はテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらのエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。なお、エポキシ樹脂は、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等の含有が少ない。
【0032】
さらに、上記接着剤組成物はフェノール樹脂を含んでいてもよい。フェノール樹脂は、上記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうち、下記化学式で表されるビフェニル型フェノールノボラック樹脂や、フェノールアラルキル樹脂が好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
【0033】
【化1】

【0034】
なお、上記nは0〜10の自然数であることが好ましく、0〜5の自然数であることがより好ましい。上記数値範囲内にすることにより、接着フィルム3の流動性の確保が図れる。
【0035】
上記エポキシ樹脂とフェノール樹脂は、熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数に対する、上記熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数の割合が0.5〜2の範囲内となるように配合される。また上記割合は、好ましくは0.8〜1.2である。上記割合を0.5以上にすることで、熱硬化型接着フィルム自体の引張弾性率を低下させ、硬化収縮の低減を可能にする。また、上記割合を2以下にすることで、エポキシ樹脂の熱硬化反応が不十分となるのを防止することができる。
【0036】
なお、本実施の形態に係る接着フィルム3は、熱硬化性成分としてのエポキシ樹脂(及び必要に応じてフェノール樹脂)により形成されるものであれば、他の熱硬化性成分を含んでもよい。そのような他の熱硬化性成分としては、例えば、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、又は熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、脱溶媒化し、シート化、Bステージ化した熱硬化性成分が好適である。これらの樹脂は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。上記他の熱硬化性成分の配合割合は、熱硬化性成分100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲内が好ましく、0.4〜5重量部の範囲内がより好ましい。
【0037】
ここで、本発明においては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びカルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位を含むアクリル樹脂を含む接着シートが特に好ましい。これらの樹脂は、イオン性不純物が少なく耐熱性が高いので、半導体チップの信頼性を確保できる。この場合の配合比は、アクリル樹脂100重量部に対し、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の混合量が10〜800重量部の範囲内であることが好ましく、20〜600重量部の範囲内であることがより好ましい。
【0038】
本実施の形態においては、上記接着剤組成物は熱硬化触媒を含むことが好ましい。その配合割合としては、有機成分100重量部に対し、0.01〜3.5重量部の範囲内が好ましく、0.01〜1重量部の範囲内がより好ましく、0.01〜0.5重量部の範囲内が特に好ましい。配合割合を0.01重量部以上にすることにより、ダイボンディング時においては未反応であったエポキシ基同士を、例えば、後硬化工程までには重合させ、当該未反応のエポキシ基を低減ないは消失させることができる。その結果、被着体(詳細については後述する。)上に半導体素子を確実に接着固定させ剥離のない半導体装置の製造が可能になる。その一方、配合割合を3.5重量部以下にすることにより、硬化阻害の発生を防止することができる。
【0039】
上記熱硬化触媒としては特に限定されず、例えば、イミダゾール系化合物、トリフェニルフォスフィン系化合物、アミン系化合物、トリフェニルボラン系化合物、トリハロゲンボラン系化合物等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0040】
上記イミダゾール系化合物としては、2−メチルイミダゾール(商品名;2MZ)、2−ウンデシルイミダゾール(商品名;C11Z)、2−ヘプタデシルイミダゾール(商品名;C17Z)、1,2−ジメチルイミダゾール(商品名;1.2DMZ)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(商品名;2E4MZ)、2−フェニルイミダゾール(商品名;2PZ)、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(商品名;2P4MZ)、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(商品名;1B2MZ)、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(商品名;1B2PZ)、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール(商品名;2MZ−CN)、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(商品名;C11Z−CN)、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト(商品名;2PZCNS−PW)、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名;2MZ−A)、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名;C11Z−A)、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名;2E4MZ−A)、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物(商品名;2MA−OK)、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2PHZ−PW)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2P4MHZ−PW)等が挙げられる(いずれも四国化成(株)製)。
【0041】
上記トリフェニルフォスフィン系化合物としては特に限定されず、例えば、トリフェニルフォスフィン、トリブチルフォスフィン、トリ(p−メチルフェニル)フォスフィン、トリ(ノニルフェニル)フォスフィン、ジフェニルトリルフォスフィン等のトリオルガノフォスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(商品名;TPP−PB)、メチルトリフェニルホスホニウム(商品名;TPP−MB)、メチルトリフェニルホスホニウムクロライド(商品名;TPP−MC)、メトキシメチルトリフェニルホスホニウム(商品名;TPP−MOC)、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(商品名;TPP−ZC)等が挙げられる(いずれも北興化学社製)。また、上記トリフェニルフォスフィン系化合物としては、エポキシ樹脂に対し実質的に非溶解性を示すものであることが好ましい。エポキシ樹脂に対し非溶解性であると、熱硬化が過度に進行するのを抑制することができる。トリフェニルフォスフィン構造を有し、かつエポキシ樹脂に対し実質的に非溶解性を示す熱硬化触媒としては、例えば、メチルトリフェニルホスホニウム(商品名;TPP−MB)等が例示できる。なお、上記「非溶解性」とは、トリフェニルフォスフィン系化合物からなる熱硬化触媒がエポキシ樹脂からなる溶媒に対し不溶性であることを意味し、より詳細には、温度10〜40℃の範囲において10重量%以上溶解しないことを意味する。
【0042】
上記トリフェニルボラン系化合物としては特に限定されず、例えば、トリ(p−メチルフェニル)フォスフィン等が挙げられる。また、トリフェニルボラン系化合物としては、さらにトリフェニルフォスフィン構造を有するものも含まれる。当該トリフェニルフォスフィン構造及びトリフェニルボラン構造を有する化合物としては特に限定されず、例えば、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(商品名;TPP−K)、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリボレート(商品名;TPP−MK)、ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(商品名;TPP−ZK)、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン(商品名;TPP−S)等が挙げられる(いずれも北興化学社製)。
【0043】
上記アミノ系化合物としては特に限定されず、例えば、モノエタノールアミントリフルオロボレート(ステラケミファ(株)製)、ジシアンジアミド(ナカライテスク(株)製)等が挙げられる。
【0044】
上記トリハロゲンボラン系化合物としては特に限定されず、例えば、トリクロロボラン等が挙げられる。
【0045】
本発明の接着フィルム3を予めある程度架橋をさせておく場合には、作製に際し、重合体の分子鎖末端の官能基等と反応する多官能性化合物を架橋剤として添加させておくのがよい。これにより、高温下での接着特性を向上させ、耐熱性の改善を図ることができる。
【0046】
上記架橋剤としては、従来公知のものを採用することができる。特に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、多価アルコールとジイソシアネートの付加物等のポリイソシアネート化合物がより好ましい。架橋剤の添加量としては、上記の重合体100重量部に対し、通常0.05〜7重量部とするのが好ましい。架橋剤の量が7重量部より多いと、接着力が低下するので好ましくない。その一方、0.05重量部より少ないと、凝集力が不足するので好ましくない。また、このようなポリイソシアネート化合物と共に、必要に応じて、エポキシ樹脂等の他の多官能性化合物を一緒に含ませるようにしてもよい。
【0047】
また、接着フィルム3には、その用途に応じてフィラーを適宜配合することができる。フィラーの配合は、導電性の付与や熱伝導性の向上、弾性率の調節等を可能とする。上記フィラーとしては、例えば、シリカ、クレー、石膏、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミナ、酸化ベリリウム、炭化珪素、窒化珪素等のセラミック類、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田等の金属、又は合金類、その他カーボン等からなる種々の無機粉末が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、シリカ、特に溶融シリカが好適に用いられる。また、フィラーの平均粒径は、0.1〜80μmの範囲内であることが好ましい。上記フィラーの配合量は、有機樹脂成分100重量部に対し0〜80重量部に設定することが好ましい。特に好ましくは0〜70重量部である。
【0048】
なお、接着フィルム3には、上記フィラー以外に、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば難燃剤、シランカップリング剤又はイオントラップ剤等が挙げられる。上記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。上記シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。上記イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0049】
上記ダイシング・ダイボンドフィルム10、11の接着フィルム3は、セパレータにより保護されていることが好ましい(図示せず)。セパレータは、実用に供するまで接着フィルム3を保護する保護材としての機能を有している。また、セパレータは、さらに、粘着剤層2に接着フィルム3を転写する際の支持基材として用いることができる。セパレータはダイシング・ダイボンドフィルムの接着フィルム3上にワークを貼着する際に剥がされる。セパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙等も使用可能である。
【0050】
当該接着フィルムでは、シリコンウェハとの貼り合わせ後に120℃で1時間熱硬化させた後の175℃における該シリコンウェハに対するせん断接着力が0.2MPa以上であることが好ましく、0.4MPa以上であることがより好ましい。これにより、熱硬化工程以降のワイヤーボンディング工程や封止工程における高温環境下でも被着体であるシリコンウェハに対する接着力を十分に確保することができる。また、接着フィルム上に接着固定した半導体チップに対してワイヤーボンディングを行う際にも、超音波振動や加熱による接着フィルムと被着体との接着面でのずり変形を防止し、ワイヤーボンディングの成功率を向上させることができる。
【0051】
当該接着フィルムでは、熱硬化前の状態において、作製直後の120℃における粘度Aと、23℃で336時間保持した後の120℃における粘度Bとの比(粘度B/粘度A)が、0.8以上3.0以下であることが好ましく、0.9以上2.0以下であることがより好ましい。粘度比が上記範囲にあると、接着フィルムの被着体に対するせん断接着力の経時的な低下を抑制することができる。
【0052】
上記接着フィルム3の熱硬化後のガラス転移温度は180℃以下であることが好ましく、20〜150℃であることがより好ましく、40〜130℃であることが特に好ましい。上記ガラス転移温度が180℃以下にすることにより、接着フィルム3の硬化収縮を一層低減することができる。なお、上記「熱硬化」とは120℃で1時間の加熱処理により熱硬化させた場合を意味する。また、ガラス転移温度は次の測定方法により測定し算出することができる。すなわち、接着フィルム3を120℃で1時間の加熱処理により熱硬化させ、その後厚さ200μm、長さ400mm(測定長さ)、幅10mmの短冊状にカッターナイフで切り出し、固体粘弾性測定装置(RSAIII、レオメトリックサイエンティフィック(株)製)を用いて、−50〜300℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定する。測定条件は、周波数1Hz、昇温速度10℃/minとする。さらに、tanδ(G”(損失弾性率)/G’(貯蔵弾性率))の値を算出することによりガラス転移温度が得られる。
【0053】
上記接着フィルム3の完全熱硬化後の260℃における貯蔵弾性率は1MPa以上であることが好ましく、5〜100MPaであることがより好ましく、10〜100MPaであることが特に好ましい。これにより、例えば、封止工程において半導体チップが傾斜するのを防止し、また、はんだリフロー工程の際に接着フィルムと被着体の間に剥離が生じるのを防止することができる。なお、ここでいう接着フィルム3の完全熱硬化とは、120℃で1時間の熱処理を行った後、さらに175℃で5時間の熱処理を行ったときの状態を意味する。また、貯蔵弾性率の測定は、例えば、固体粘弾性測定装置(レオメトリックサイエンティック社製:形式:RSA−III)を用いることにより可能である。すなわち、サンプルサイズを長さ400mm×幅10mm×厚さ200μmとし、測定試料をフィルム引っ張り測定用治具にセットし−50〜300℃の温度域での引張貯蔵弾性率及び損失弾性率を、周波数1Hz、昇温速度10℃/minの条件下で測定し、260℃での貯蔵弾性率(E’)を読み取ることにより得られる。
【0054】
接着フィルム3の厚さ(積層体の場合は、総厚)は特に限定されないが、例えば、5〜100μm程度、好ましくは5〜50μm程度である。
【0055】
なお、接着フィルム3は、例えば接着剤層の単層のみからなる構成とすることができる。また、ガラス転移温度の異なる熱可塑性樹脂、熱硬化温度の異なる熱硬化性樹脂を適宜に組み合わせて、2層以上の多層構造にしてもよい。半導体ウェハのダイシング工程では切削水を使用することから、接着フィルム3が吸湿して、常態以上の含水率になる場合がある。このような高含水率のまま、基板等に接着させると、アフターキュアの段階で接着界面に水蒸気が溜まり、浮きが発生する場合がある。従って、接着フィルム3としては、透湿性の高いコア材料を接着剤層で挟んだ構成とすることにより、アフターキュアの段階では、水蒸気がフィルムを通じて拡散して、かかる問題を回避することが可能となる。かかる観点から、接着フィルム3はコア材料の片面又は両面に接着剤層を形成した多層構造にしてもよい。
【0056】
上記コア材料としては、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、ミラーシリコンウェハ、シリコン基板又はガラス基板等が挙げられる。
【0057】
<ダイシングフィルム>
上記ダイシングフィルムとしては、例えば基材1上に粘着剤層2を積層したものが挙げられる。接着フィルム3は、粘着剤層2上に積層される。また図2に示すように、半導体ウェハ貼り付け部分3a(図1参照)にのみ接着フィルム3’を形成した構成であってもよい。
【0058】
上記基材1はダイシング・ダイボンドフィルム10、11の強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。粘着剤層2が紫外線硬化型である場合、基材1は紫外線に対し透過性を有するものが好ましい。
【0059】
また基材1の材料としては、上記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。上記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。延伸処理等により熱収縮性を付与した樹脂シートによれば、ダイシング後にその基材1を熱収縮させることにより粘着剤層2と接着フィルム3との接着面積を低下させて、半導体チップの回収の容易化を図ることができる。
【0060】
基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。
【0061】
上記基材1は、同種又は異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。また、基材1には、帯電防止能を付与するため、上記の基材1上に金属、合金、これらの酸化物等からなる厚さが30〜500Å程度の導電性物質の蒸着層を設けることができる。基材1は単層又は2種以上の複層でもよい。
【0062】
基材1の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
【0063】
なお、基材1には、本発明の効果等を損なわない範囲で、各種添加剤(例えば、着色剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、難燃剤等)が含まれていてもよい。
【0064】
粘着剤層2の形成に用いる粘着剤は、接着フィルム3を剥離可能に制御できるものであれば特に制限されない。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性接着剤を用いることができる。上記感圧性接着剤としては、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性などの点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
【0065】
上記アクリル系ポリマーとしては、アクリル酸エステルを主モノマー成分として用いたものが挙げられる。上記アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
【0066】
上記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性などの改質を目的として、必要に応じ、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。このようなモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリルなどがあげられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
【0067】
さらに、上記アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマーなども、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。このような多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
【0068】
上記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは30万以上、さらに好ましくは40万〜300万程度である。
【0069】
また、上記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高めるため、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤などのいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法があげられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、上記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、さらには0.1〜5重量部配合するのが好ましい。さらに、粘着剤には、必要により、上記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤などの添加剤を用いてもよい。
【0070】
粘着剤層2は放射線硬化型粘着剤により形成することができる。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができる。例えば、図2に示す粘着剤層2の部分2aのみに放射線照射することにより、部分2bとの粘着力の差を設けることができる。
【0071】
また、接着フィルム3’に合わせて、放射線硬化型粘着剤層2を硬化させることにより、粘着力が著しく低下した部分2aを容易に形成できる。硬化し、粘着力の低下した部分2aに接着フィルム3’が貼付られているため、部分2aと接着フィルム3’との界面は、ピックアップ時に容易に剥がれる性質を有する。一方、放射線を照射していない部分は十分な粘着力を有しており、部分2bを形成する。
【0072】
上述の通り、図1に示すダイシング・ダイボンドフィルム10の粘着剤層2において、未硬化の放射線硬化型粘着剤により形成されている上記部分2bは接着フィルム3と粘着し、ダイシングする際の保持力を確保できる。このように放射線硬化型粘着剤は、半導体チップを基板等の被着体に固定するための接着フィルム3を、接着・剥離のバランスよく支持することができる。図2に示すダイシング・ダイボンドフィルム11の粘着剤層2においては、上記部分2bがウェハリングを固定することができる。
【0073】
放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、上記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化性粘着剤を例示できる。
【0074】
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどがあげられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系など種々のオリゴマーがあげられ、その重量平均分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、上記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
【0075】
また、放射線硬化型粘着剤としては、上記説明した添加型の放射線硬化性粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化性粘着剤があげられる。内在型の放射線硬化性粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、または多くは含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤在中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができるため好ましい。
【0076】
上記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。このようなベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、上記例示したアクリル系ポリマーがあげられる。
【0077】
上記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計が容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基および炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合または付加反応させる方法があげられる。
【0078】
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基などがあげられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、上記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと上記化合物のいずれの側にあってもよいが、上記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、上記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどがあげられる。また、アクリル系ポリマーとしては、上記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物などを共重合したものが用いられる。
【0079】
上記内在型の放射線硬化性粘着剤は、上記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に上記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
【0080】
上記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させることが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系化合物;べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソンなどのチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどがあげられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
【0081】
粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、部分2aの粘着力<部分2bの粘着力、となるように粘着剤層2の一部を放射線照射するのが好ましい。図2のダイシング・ダイボンドフィルムでは、例えば、被着体としてSUS304板(#2000研磨)に対する関係で、部分2aの粘着力<部分2bの粘着力、となるようにする。
【0082】
上記粘着剤層2に上記部分2aを形成する方法としては、基材1に放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後、上記部分2aに部分的に放射線を照射し硬化させる方法が挙げられる。部分的な放射線照射は、半導体ウェハ貼り付け部分3a以外の部分3b等に対応するパターンを形成したフォトマスクを介して行うことができる。また、スポット的に紫外線を照射し硬化させる方法等が挙げられる。放射線硬化型の粘着剤層2の形成は、セパレータ上に設けたものを基材1上に転写することにより行うことができる。部分的な放射線硬化はセパレータ上に設けた放射線硬化型の粘着剤層2に行うこともできる。
【0083】
また、粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、基材1の少なくとも片面の、半導体ウェハ貼り付け部分3aに対応する部分以外の部分の全部又は一部が遮光されたものを用い、これに放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後に放射線照射して、半導体ウェハ貼り付け部分3aに対応する部分を硬化させ、粘着力を低下させた上記部分2aを形成することができる。遮光材料としては、支持フィルム上でフォトマスクになりえるものを印刷や蒸着等で作成することができる。かかる製造方法によれば、効率よく本発明のダイシング・ダイボンドフィルム10を製造可能である。
【0084】
なお、放射線照射の際に、酸素による硬化阻害が起こる場合は、放射線硬化型の粘着剤層2の表面よりなんらかの方法で酸素(空気)を遮断するのが望ましい。例えば、上記粘着剤層2の表面をセパレータで被覆する方法や、窒素ガス雰囲気中で紫外線等の放射線の照射を行う方法等が挙げられる。
【0085】
粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や接着層の固定保持の両立性等の観点から1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、さらには好ましくは5〜25μmである。
【0086】
なお、粘着剤層2には、本発明の効果等を損なわない範囲で、各種添加剤(例えば、着色剤、増粘剤、増量剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、架橋剤等)が含まれていてもよい。
【0087】
<ダイシング・ダイボンドフィルムの製造方法>
本実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルム10、11は、例えばダイシングフィルム及び接着フィルムを別々に作製しておき、最後にこれらを貼り合わせることにより作成することができる。具体的には、以下のような手順に従って作製することができる。
【0088】
まず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。
【0089】
次に、粘着剤層形成用の粘着剤組成物を調製する。粘着剤組成物には、粘着剤層の項で説明したような樹脂や添加物等が配合されている。調製した粘着剤組成物を基材1上に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ(必要に応じて加熱架橋させて)、粘着剤層2を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度80〜150℃、乾燥時間0.5〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、上記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて粘着剤層2を形成してもよい。その後、基材1上に粘着剤層2をセパレータと共に貼り合わせる。これにより、基材1及び粘着剤層2を備えるダイシングフィルムが作製される。なお、ダイシングフィルムとしては、少なくとも基材及び粘着剤層を備えていればよく、セパレータ等の他の要素を有している場合もダイシングフィルムという。
【0090】
接着フィルム3、3’は、例えば、以下のようにして作製される。まず、接着フィルム3、3’の形成材料である接着剤組成物を調製する。当該接着剤組成物には、接着フィルムの項で説明した通り、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位を含む熱可塑性成分やエポキシ樹脂、各種の添加剤等が配合されている。
【0091】
次に、調製した接着剤組成物を基材セパレータ上に所定厚みとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ、接着フィルムを形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度70〜160℃、乾燥時間1〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に接着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、上記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて接着フィルムを形成してもよい。その後、基材セパレータ上に接着フィルムをセパレータと共に貼り合わせる。なお、本発明には、セパレータ等の他の要素を含む接着フィルムも含まれる。
【0092】
続いて、接着フィルム3、3’及びダイシングフィルムからそれぞれセパレータを剥離し、接着フィルムと粘着剤層とが貼り合わせ面となる様にして両者を貼り合わせる。貼り合わせは、例えば圧着により行うことができる。このとき、ラミネート温度は特に限定されず、例えば30〜50℃が好ましく、35〜45℃がより好ましい。また、線圧は特に限定されず、例えば0.1〜20kgf/cmが好ましく、1〜10kgf/cmがより好ましい。次に、接着フィルム上の基材セパレータを剥離し、本実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムが得られる。
【0093】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルム10を用いた半導体装置の製造方法について、以下に説明する。
【0094】
まず、図1に示すように、ダイシング・ダイボンドフィルム10における接着フィルム3の半導体ウェハ貼り付け部分3a上に半導体ウェハ4を圧着し、これを接着保持させて固定する(貼り合わせ工程)。本工程は、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行う。
【0095】
次に、半導体ウェハ4のダイシングを行う。これにより、半導体ウェハ4を所定のサイズに切断して個片化し、半導体チップ5を製造する(ダイシング工程)。ダイシングは、例えば半導体ウェハ4の回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えばダイシング・ダイボンドフィルム10まで切込みを行なうフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。また、半導体ウェハは、ダイシング・ダイボンドフィルム10により接着固定されているので、チップ欠けやチップ飛びを抑制できると共に、半導体ウェハ4の破損も抑制できる。
【0096】
ダイシング・ダイボンドフィルム10に接着固定された半導体チップを剥離するために、半導体チップ5のピックアップを行う(ピックアップ工程)。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップ5をダイシング・ダイボンドフィルム10側からニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップ5をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
【0097】
ここでピックアップは、粘着剤層2が紫外線硬化型の場合、該粘着剤層2に紫外線を照射した後に行う。これにより、粘着剤層2の接着フィルム3に対する粘着力が低下し、半導体チップ5の剥離が容易になる。その結果、半導体チップを損傷させることなくピックアップが可能となる。紫外線照射の際の照射強度、照射時間等の条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定すればよい。また、紫外線照射に使用する光源としては、高圧水銀灯、マイクロ波励起型ランプ、ケミカルランプ等を使用することができる。
【0098】
次に、図3に示すように、ダイシングにより形成された接着フィルム3a付きの半導体チップ5を、接着フィルム3aを介して被着体6にダイボンドする(ダイボンド工程)。被着体6としては、リードフレーム、TABフィルム、基板又は別途作製した半導体チップ等が挙げられる。被着体6は、例えば、容易に変形されるような変形型被着体であってもよく、変形することが困難である非変形型被着体(半導体ウェハ等)であってもよい。
【0099】
上記基板としては、従来公知のものを使用することができる。また、上記リードフレームとしては、Cuリードフレーム、42Alloyリードフレーム等の金属リードフレームやガラスエポキシ、BT(ビスマレイミド−トリアジン)、ポリイミド等からなる有機基板を使用することができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体素子をマウントし、半導体素子と電気的に接続して使用可能な回路基板も含まれる。
【0100】
ダイボンドは圧着により行われる。ダイボンドの条件としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。具体的には、例えば、ダイボンド温度80〜160℃、ボンディング圧力5N〜15N、ボンディング時間1〜10秒の範囲内で行うことができる。
【0101】
続いて、接着フィルム3aを加熱処理することによりこれを熱硬化させ、半導体チップ5と被着体6とを接着させる。加熱処理条件としては、温度80〜180℃の範囲内であり、かつ、加熱時間0.1〜24時間、好ましくは0.1〜4時間、より好ましくは0.1〜1時間の範囲内であることが好ましい。
【0102】
次に、被着体6の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する(ワイヤーボンディング工程)。上記ボンディングワイヤー7としては、例えば金線、アルミニウム線又は銅線等が用いられる。ワイヤーボンディングを行う際の温度は、80〜250℃、好ましくは80〜220℃の範囲内で行われる。また、その加熱時間は数秒〜数分間行われる。結線は、上記温度範囲内となる様に加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧による圧着エネルギーの併用により行われる。
【0103】
なお、ワイヤーボンディング工程は、当該工程より前に加熱処理により接着フィルム3aを熱硬化させることなく行ってもよい。この場合、半導体チップ5は、未硬化又は半硬化(硬化反応が一定程度進行しているものの完全に進行していない状態)の接着フィルム3aにより仮固定されている状態である。
【0104】
また、未硬化又は半硬化の接着フィルム3aは、ワイヤーボンディング工程を行っても完全に熱硬化することはない。さらに、接着フィルム3aのせん断接着力は、80〜250℃の温度範囲内であっても、0.2MPa以上であることが必要である。当該温度範囲内でせん断接着力が0.2MPa未満であると、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動き、ワイヤーボンディングを行うことができず、歩留まりが低下するからである。
【0105】
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する封止工程を行う。本工程は、被着体6に搭載された半導体チップ5やボンディングワイヤー7を保護するために行われる。本工程は、封止用の樹脂を金型で成型することにより行う。封止樹脂8としては、例えばエポキシ系の樹脂を使用する。樹脂封止の際の加熱温度は、通常175℃で60〜90秒間行われるが、本発明はこれに限定されず、例えば165〜185℃で、数分間キュアすることができる。これにより、封止樹脂を硬化させると共に、接着フィルム3aが熱硬化されていない場合(すなわち、半導体チップ5が仮固定されている場合)は当該接着フィルム3aも熱硬化させることができる。すなわち、本発明においては、後述する後硬化工程が行われない場合においても、本工程において接着フィルム3aを熱硬化させて半導体チップ5を被着体6に固定させることが可能であり、製造工程数の減少及び半導体装置の製造期間の短縮に寄与することができる。
【0106】
後硬化工程においては、上記封止工程で硬化不足の封止樹脂8を完全に硬化させる。封止工程において接着フィルム3aが熱硬化されない場合でも、本工程において封止樹脂8の硬化と共に接着フィルム3aを熱硬化させて半導体チップ5の接着固定が可能になる。本工程における加熱温度は、封止樹脂の種類により異なるが、例えば165〜185℃の範囲内であり、加熱時間は0.5〜8時間程度である。
【0107】
また、本発明のダイシング・ダイボンドフィルムは、図4に示すように、複数の半導体チップを積層して3次元実装をする場合にも好適に用いることができる。図4は、接着フィルムを介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。図4に示す3次元実装の場合、まず半導体チップと同サイズとなる様に切り出した少なくとも1つの接着フィルム3aを被着体6上に貼り付けた後、接着フィルム3aを介して半導体チップ5を、そのワイヤーボンド面が上側となる様にしてダイボンドする。次に、接着フィルム13を半導体チップ5の電極パッド部分を避けて貼り付ける。さらに、他の半導体チップ15を接着フィルム13上に、そのワイヤーボンド面が上側となる様にしてダイボンドする。その後、接着フィルム3a、13を加熱することにより熱硬化させて半導体チップ5を接着固定し、耐熱強度を向上させる。加熱条件としては、上述と同様、温度80〜200℃の範囲内であり、かつ、加熱時間0.1〜24時間の範囲内であることが好ましい。
【0108】
なお、本発明においては、接着フィルム3a、13を熱硬化させず、単にダイボンドさせてもよい。その後、熱硬化処理を行うことなくワイヤーボンディングを行い、さらに半導体チップを封止樹脂で封止して、当該封止樹脂をアフターキュアすることもできる。
【0109】
次に、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5及び他の半導体チップ15におけるそれぞれの電極パッドと、被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。なお、本工程は、接着フィルム3a、13の熱硬化を経ることなく実施される。
【0110】
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5等を封止する封止工程を行い、封止樹脂を硬化させる。それと共に、接着フィルムの熱硬化が行われていない場合は、接着フィルム3aの熱硬化により被着体6と半導体チップ5との間を接着固定する。また、接着フィルム13の熱硬化により、半導体チップ5と他の半導体チップ15との間も接着固定させる。なお、封止工程の後、後硬化工程を行ってもよい。
【0111】
半導体チップの3次元実装の場合においても、接着フィルム3a、13の加熱による熱硬化処理を行わないので、製造工程の簡素化及び歩留まりの向上が図れる。また、被着体6に反りが生じたり、半導体チップ5及び他の半導体チップ15にクラックが発生したりすることもないので、半導体素子の一層の薄型化が可能になる。
【0112】
また、図5に示すように、半導体チップ間に接着フィルムを介してスペーサを積層させた3次元実装としてもよい。図5は、2つの半導体チップをスペーサを介して接着フィルムにより3次元実装した例を示す断面模式図である。
【0113】
図5に示す3次元実装の場合、まず被着体6上に接着フィルム3a、半導体チップ5及び接着フィルム21を順次積層してダイボンドする。さらに、接着フィルム21上に、スペーサ9、接着フィルム21、接着フィルム3a及び半導体チップ5を順次積層してダイボンドする。その後、接着フィルム3a、21を加熱することにより熱硬化させて半導体チップ5を接着固定し、耐熱強度を向上させる。加熱条件としては、上述と同様、温度80〜200℃の範囲内であり、かつ、加熱時間0.1〜24時間の範囲内であることが好ましい。
【0114】
また本発明においては、接着フィルム3a、21を熱硬化させず、単にダイボンドさせてもよい。その後、加熱工程を経ることなくワイヤーボンディングを行い、さらに半導体チップを封止樹脂で封止して、当該封止樹脂をアフターキュアすることもできる。
【0115】
次に、図5に示すように、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5における電極パッドと被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。なお、本工程は、接着フィルム3a、21の加熱工程を経ることなく実施される。
【0116】
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する封止工程を行い、封止樹脂8を硬化させると共に、接着フィルム3a、21が未硬化の場合は、これらを熱硬化させることにより、被着体6と半導体チップ5との間、及び半導体チップ5とスペーサ9との間を接着固定させる。これにより、半導体パッケージが得られる。
【0117】
封止工程は、半導体チップ5側のみを片面封止する一括封止法が好ましい。封止は粘着シート上に貼り付けられた半導体チップ5を保護するために行われ、その方法としては封止樹脂8を用いて金型中で成型されるのが代表的である。その際、複数のキャビティを有する上金型と下金型からなる金型を用いて、同時に封止工程を行うのが一般的である。樹脂封止時の加熱温度は、例えば170〜180℃の範囲内であることが好ましい。封止工程の後に、後硬化工程を行ってもよい。
【0118】
なお、上記スペーサ9としては、特に限定されるものではなく、例えば従来公知のシリコンチップ、ポリイミドフィルム等を用いることができる。また、上記スペーサとしてコア材料を用いることができる。コア材料としては特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。具体的には、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、ミラーシリコンウェハ、シリコン基板又はガラス被着体を使用できる。
【0119】
(その他の事項)
上記被着体上に半導体素子を3次元実装する場合、半導体素子の回路が形成される面側には、バッファーコート膜が形成されている。当該バッファーコート膜としては、例えば窒化珪素膜やポリイミド樹脂等の耐熱樹脂からなるものが挙げられる。
【0120】
また、半導体素子の3次元実装の際に、各段で使用される接着フィルムは同一組成からなるものに限定されるものではなく、製造条件や用途等に応じて適宜変更可能である。
【0121】
また、上記実施の形態において説明した積層方法は単なる例示であって、必要に応じて適宜変更することができる。例えば、図4を参照して説明した半導体装置の製造方法においては、3段目以降の半導体素子を、図5を参照して説明した積層方法で積層することも可能である。
【0122】
また、上記実施の形態においては、被着体に複数の半導体素子を積層させた後に、一括してワイヤーボンディング工程を行う態様について述べたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、半導体素子を被着体の上に積層する度にワイヤーボンディング工程を行うことも可能である。
【実施例】
【0123】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に記載されている材料や配合量等において、限定的な記載がない限り、それらに限定されるものではない。また、部とあるのは重量部を意味する。
【0124】
(実施例1〜6及び比較例1〜2)
表1に示したアクリル樹脂の組成で重合を行うことにより、熱可塑性成分として、重量平均分子量500,000程度のカルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位を含むアクリル樹脂を得た。このアクリル樹脂100重量部に対して表1に示した割合でエポキシ樹脂A、エポキシ樹脂B、フェノール樹脂、シリカ、及び熱硬化触媒をメチルエチルケトンに溶解して濃度40重量%の接着剤組成物を調製した。
【0125】
この接着剤組成物を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmの接着フィルムを作製した。
【0126】
【表1】

【0127】
なお、表1中の略号及び成分の詳細は以下のとおりである。
BA:アクリル酸ブチル
EA:アクリル酸エチル
AA:アクリル酸
AN:アクリロニトリル
エポキシ樹脂A:三菱化学株式会社製 JER 827
エポキシ樹脂B:三菱化学株式会社製 JER 1001
フェノール樹脂:明和化成株式会社製 MEHC−7800H
シリカ:アドマテックス株式会社製 SE−2050MC
熱硬化触媒:北興化学株式会社製 TPP−K
【0128】
(熱可塑性成分の酸価の測定)
熱可塑性成分としてのアクリル樹脂の酸価の測定は、JIS K 0070の中和滴定法に準拠して行った。具体的には、まず、アクリル樹脂1gをメチルエチルケトン100mlと共に容積200mlの三角フラスコに加えた。その後、20分間の超音波溶解を行い、試料溶液をそれぞれ作製した。続いて、上記試料溶液に対し、滴定液として0.025mol/lの水酸化カリウム・エタノール溶液(指示薬:1%フェノールフタレイン溶液)を用いて、酸価の測定を行った。すなわち、各試料溶液にフェノールフタレイン溶液を数滴加え、水浴上で試料が完全に溶解するまで十分に振り混ぜ、さらに、水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定を行い、指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを終点とした。
【0129】
(シリコンウェハとのせん断接着力測定方法)
各実施例及び比較例で得られた接着フィルムを50℃で半導体チップ(5×5×0.5mm)にラミネーターで10mm/sec、圧力0.15MPaで貼り付けて積層体とし、この積層体をさらに50℃で半導体チップ(10×10×0.5mm)にラミ速度10mm/sec、圧力0.15MPaで貼り付けた。その後得られたサンプルに120℃で1時間の熱硬化を行い、これをボンドテスター(dagy4000)にてステージ温度175℃、ヘッド高さ100μm、速度0.5mm/secにおけるせん断接着力(MPa)を測定した。
【0130】
(粘度測定方法)
各実施例及び比較例で得られた接着フィルムの熱硬化前の120℃における溶融粘度をレオメーター(HAAKE社製、RS−1)を用いて、パラレルプレート法により測定した。あらかじめ120℃に熱してあるプレートに試料0.1gを仕込み、測定開始から300秒後の値を溶融粘度とした。また、プレート間のギャップは0.1mmとした。この手順を接着フィルムの作製直後(接着フィルム作製から24時間以内)と作製から336時間後のサンプルに対して行い、それぞれの経過時間での粘度を測定した。作製直後の粘度を作製直後粘度A、336時間経過後の粘度を336時間後粘度Bとして、粘度比(粘度B/粘度A)を算出した。
各評価結果を表2に示す。
【0131】
【表2】

【0132】
実施例に係る接着フィルムでは、熱硬化時間が1時間であってもシリコンウェハに対して十分なせん断接着力を示した。一方、比較例の接着フィルムでは、実施例と比較してシリコンウェハに対するせん断接着力は劣っていた。なお、実施例4のせん断接着力でも十分であるが、アクリル樹脂中のアクリル酸の量を2.5mol%以上とした実施例1の方がより高いせん断接着力を示していることから、せん断接着力の観点からは熱可塑性成分中のカルボキシル基含有モノマーの量を2.5mol%以上とすることが好ましいといえる。また、実施例5のせん断接着力は優れているものの粘度比が3.5と若干高い値を示している。これに対し、アクリル樹脂中のアクリル酸の量を9.5mol%以下とした実施例3では、粘度比が1.9にまで低下していることから、接着フィルムの経時的安定性の観点からは、熱可塑性成分中のカルボキシル基含有モノマーの量を9.5mol%以下とすることが好ましいといえる。
【符号の説明】
【0133】
1 基材
2 粘着剤層
3、13、21 接着フィルム
3a 接着フィルム
3a 部分
3b 部分
5 半導体チップ
6 被着体
7 ボンディングワイヤー
8 封止樹脂
9 スペーサ
10、11 ダイシング・ダイボンドフィルム
15 半導体チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位を含む熱可塑性成分と、エポキシ樹脂とを含む接着剤組成物により構成されており、
上記熱可塑性成分におけるカルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位の含有率が1.5mol%以上11mol%以下である接着フィルム。
【請求項2】
上記熱可塑性成分におけるカルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位の含有率が2.5mol%以上9.5mol%以下である請求項1に記載の接着フィルム。
【請求項3】
シリコンウェハと貼り合わせた後に120℃で1時間熱硬化させた後の175℃における該シリコンウェハに対するせん断接着力が0.2MPa以上である請求項1又は2に記載の接着フィルム。
【請求項4】
熱硬化前において、作製直後の120℃における粘度Aと、23℃で336時間保持した後の120℃における粘度Bとの比(粘度B/粘度A)が、0.8以上3.0以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着フィルム。
【請求項5】
熱可塑性成分の酸価が10〜80mgKOH/gである請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着フィルム。
【請求項6】
上記接着剤組成物が熱硬化触媒を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着フィルム。
【請求項7】
上記接着剤組成物がフィラーを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の接着フィルム。
【請求項8】
上記熱可塑性成分が、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位を含むアクリル樹脂である請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着フィルム。
【請求項9】
基材及び該基材上に形成された粘着剤層を有するダイシングフィルムと、
上記粘着剤層上に積層された請求項1〜8のいずれか1項に記載の接着フィルムとを備えるダイシング・ダイボンドフィルム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−53190(P2013−53190A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190865(P2011−190865)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】