説明

接着剤を含む弾性生地

多層を含む弾性張り合わせ製品が含まれる。本発明は、100%の弾性繊維と少なくとも1つの接着剤を含む生地を含む、生地の約50〜100重量%の弾性繊維を含んでなる1つのストレッチ生地を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は2009年11月16日出願の米国仮出願第61/261594号明細書からの優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の背景
技術分野
本発明は、接着剤と組み合わせて主として弾性繊維を含む弾性生地を含む製品に関する。接着剤が弾性生地上に塗布される場合は、その製品は本質的に弾性フィルムである。製品は、場合により弾性の生地であってもよいその他の生地に接着または付着することができる。製品を製造する方法も更に含まれる。
【0003】
関連技術の要約
織布を含む様々な基材のための接着剤として、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリウレタン(ポリウレタン尿素を含む)のような種々の重合体を使用することができる。フィルムの例は、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミドおよび、Bemis Associates,Shirley,MAから市販のポリオレフィンフィルムを含む。水性ポリウレタン分散液から成形され、乾燥されるポリウレタンフィルムの例は、その両方がそれらの全体を参照することにより本明細書に引用されたこととされる、特許文献1および特許文献2に開示されている(特許文献1、2参照)。
【0004】
伝統的な接着剤は通気性ではない。接着フィルムで接着された領域内では衣類は通気性でなく、それが、このような衣類の装着者に対して、暑く、不快な感触をもたらす。多数のフィルムは、適切な強度と接着力を得るために、より厚く製造され、それが不快な程度にごわごわした、硬い生地および衣類を与える可能性がある。
【0005】
衣類中に接着されたフィルムの洗濯耐久性は、反復される、家庭の洗濯および/または営業的洗濯に耐えると考えられる、衣類に対する問題である。近年、耐久性接着を達成するために、高い接着温度および長い接着期間が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,240,371号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0004395A1号明細書
【発明の概要】
【0007】
発明の要約
幾つかの態様の接着性の弾性フィルムは接着温度と接着時間の低下をもたらすことができる。これは、エネルギー量、生産時間および繊細な生地を破損する可能性の減少を意味する。
【0008】
幾つかの態様の製品は、接着性重合体のような少なくとも1つの熱活性化接着剤、および約100%までの弾性繊維を含む、生地の重量に基づき約50%以上の弾性繊維を含む弾性生地、を含む。弾性生地は優れた回復力と形状保持能を与え、他方接着剤は強い接着力を与える。接着剤はポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルおよびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される。フィルムに対する弾性生地の付加はフィルムの強度と柔軟性の増加を可能にする。生地/接着剤の製品はまた、フィルムに対し
て他の方法では達成することができない通気性を与えることができる。
【0009】
接着剤との弾性生地の組み合わせは、接着剤の伸長性と回復能の重要性を軽減し、従って、適切な接着剤を選択する選択肢を広くする。これは、回復力と接着性の両方を与えると考えられる従来のフィルムに比較して弾性生地の改善された回復力による。従って、幾つかの態様の製品は高い回復力をもつ高品質の接着フィルムを提供し、そして高い接着力をもたらすことができる。弾性生地内の繊維間の多数の孔および穴により、結合熱はより容易に変換される。生地を、より高い効率、低い温度、短い時間および生地に対する少ない破損を伴って生地を接着することができる。
【0010】
他の態様において、製品は、随伴繊維を含まない100%弾性繊維のような生地の約50%〜約100重量%の弾性繊維の弾性生地を含む。生地は横編みニット(例えば輪状編みニット)、縦編みニット、織物および不織布よりなる群から選択される構造をもつことができる。
【0011】
更なる態様は、
(a)100%弾性繊維、オプションとして可融性繊維、を含む生地を用意し、
(b)生地上に接着性重合体を添加して接着フィルムを形成し、
(c)接着フィルムを衣類の生地と接着する工程:
を含む、基材を製造する方法である。
【0012】
発明の詳細な説明
一般に、生地および衣類に伸びと弾性回復を与えるために、弾性繊維が使用される。「弾性繊維」は、どんな皺とも独立して、100%を超える破断点伸びをもつ、希釈剤を含まない連続フィラメント(場合により凝集多重フィラメント)または複数のフィラメントのいずれかである。弾性繊維は、(1)その長さを2倍に伸長され、(2)1分間保持され、そして(3)解放されると、解放の1分以内にその当初の長さの1.5倍未満に縮む。本明細書の本文に使用される「弾性繊維」は、少なくとも1つの弾性繊維またはフィラメントを意味する。このような弾性繊維は、それらに限定はされないが、ゴムのフィラメント、二成分フィラメント(ゴム、ポリウレタン、等を基材にすることができる)、ラストールおよびスパンデックスを含む。用語「弾性(elastomeric)」と「弾性(elastic)」は本明細書中では互換性に使用される。
【0013】
「スパンデックス」は、その中のフィラメント形成物質が少なくとも85重量%のセグメントポリウレタンからなる長鎖合成重合体である、人造フィラメントである。
【0014】
「エラストエステル」は、その中の繊維形成物質が少なくとも50重量%の脂肪族ポリエーテルと少なくとも35重量%のポリエステルからなる、長鎖合成重合体である、人造フィラメントである。エラストエステルは弾性ではないが、本明細書における幾つかの生地に含まれることができる。
【0015】
「二成分フィラメント」は、フィラメントの長さに沿って相互に接着された少なくとも2つの重合体を含んでなる連続的フィラメントであり、そこで各重合体は異なる一般的クラス、例えば、弾性のポリエーテルアミド・コアおよび、ローブまたはウィングをもつポリアミドの鞘、中にある。二成分ポリウレタン(またはスパンデックス)繊維/フィラメントの例は、その全体を参照することにより本明細書に引用されたこととされる、2009年10月12日出願のPCT/US09/60370号明細書に開示されている。
【0016】
「ラストール(Lastol)」は、少なくとも95重量パーセントのエチレンと少なくとも1つのその他のオレフィン単位からなる、低いが有意な結晶化度をもつ架橋合成重
合体の繊維である。この繊維は弾性で、実質的に熱抵抗性である。
【0017】
「被覆」弾性繊維は、硬い糸により囲まれ、それと一緒に捩じられ、またはそれと混ざりあったものである。弾性繊維と硬い糸を含んでなる被覆糸はまた、本明細書の本文中で「複合糸」とも呼ばれる。硬い糸の被覆は、製織工程中の摩耗から弾性繊維を保護するために役立つ。このような摩耗は結果的な工程の中断および望ましくない生地の不均一性を伴う弾性繊維の破断をもたらす可能性がある。更に、被覆は弾性繊維の弾性動態を安定化する補助になり、それにより複合糸の伸びが、非被覆弾性繊維を使用して可能と考えられるより、製織工程中、より均一に制御され得る。用語「弾性コア・ヤーン」、「弾性コアエンド」、「コアエンド」、「複合糸」、「コア・ヤーン」および「複合弾性コア・ヤーン」はすべて、本明細書中で互換性に使用される。
【0018】
複合糸の製法は、(a)エラストマー繊維を硬い糸で一重に包む、(b)エラストマー繊維を硬い糸で二重に包む、(c)エラストマー繊維をステープル・ファイバーで連続的に被覆し(すなわち、コア紡糸)、次に製織期間中捩じる、(d)エラストマーと硬い糸をエアジェットにより相互に混合し、巻き込む、そして(e)エラストマー繊維と硬い糸を一緒によじる工程:を含む。
【0019】
「圧縮する」または「圧縮された」は実質的に平面の構造を与えるために熱および/または圧力にさらされた製品を意味する。
【0020】
「分散物」は、分散相が微細に粉砕された粒子よりなり、連続相が液体、固体または気体であることができる系を表す。
【0021】
「水性ポリウレタン分散液」は、脱イオン水を含む水性媒質(例えば水)中に分散された、場合により溶媒を含む少なくともポリウレタンまたはポリウレタン尿素重合体またはプレポリマー(例えば、本明細書に記載のポリウレタン・プレポリマー)を含む組成物を表す。
【0022】
「溶媒」は、別記されない限り、非水性媒質が、揮発性有機溶媒(例えばアセトン)および幾らか揮発性の弱い有機溶媒(例えばMEKまたはNMP)を含む有機溶媒を含む、非水性媒質を表す。
【0023】
「溶媒を含まない」または「溶媒を含まない系」は、組成物または分散された成分のバルクが溶媒中に溶解または分散されていない組成物または分散物を表す。
【0024】
「成形された」製品は、それにより製品または成形品の形状が熱および/または圧力の適用に反応して変化される結果物を表す。
【0025】
幾つかの態様は、1つの弾性繊維または、異なる弾性繊維、例えばスパンデックスとゴム繊維またはスパンデックスとラストール繊維、の組み合わせ物のいずれかであることができる約50%〜100%の弾性繊維を含む少なくとも1層のストレッチ生地を含む多層製品である。弾性生地は、約70%〜100%、約80%〜100%、約90%〜100%および95%〜100%(ここで各パーセントは生地の総重量に基づく弾性繊維の存在である)を含む生地を含む、約50重量%〜約100重量%の生地の量で存在することができる。
【0026】
生地は弾性繊維のみ、すなわち100%弾性繊維を含むことができる。あるいはまた、生地中の弾性繊維は1つ以上の随伴糸と組み合わせることができる。弾性生地が1つ以上の随伴糸(弾性繊維に加えて)を含む場合は、随伴糸はほとんど伸び/回復を示さない硬
い糸または弾性繊維のいずれかであることができる。硬い糸の例は、天然および合成繊維から製造された糸を含む。適切な天然繊維はなかでも、木綿またはその他のセルロース繊維、絹、あるいは羊毛であることができる。合成繊維はなかでも、ナイロン、ポリエステルを含む。異なる繊維の混合物もまた、含まれる(混合物は異なる天然繊維、異なる合成繊維または双方を含むことができる)。
【0027】
弾性繊維の例は、ポリエステルの二成分繊維(LYCRA(登録商標)T400(登録商標)繊維としてINVISTA,Wichita,KSから市販)、ラストール、ゴムおよびポリブチレン・テレフタレート(PBT)を含む。これらの生地は硬い糸を伴う弾性繊維を含むことができる。あるいはまた、生地はその他の弾性糸を伴う弾性糸を含むことができる。
【0028】
「生地」は、編物、織物または不織材料を表す。編物生地は横編みニット、輪状編みニット、縦編みニット、細幅弾性ニットおよびレースであることができる。織物生地はあらゆる構造物、例えばサテン、ツイル、平織り、オックスフォード織り、バスケット織りおよび細幅弾性生地であることができる。不織材はメルトブローン、スパンボンド、湿式堆積、カード処理繊維基材のステープル・ウェブ等であることができる。
【0029】
製品はまた、少なくとも1層の接着剤重合体を含む。接着剤はフィルム、ウェブ、穴明きシートまたは分散物の形態にあることができると考えられる。それらは弾性繊維と均等に接着する。弾性生地は接着層に隣接してまたはそれらの間に配置することができ、そして更に製品に、伸びと回復、増加した弾性率、成形適性、形状保持性および柔軟性の特性を与えることができる。
【0030】
ポリウレタン(ポリウレタン尿素を含む)分散物またはフィルム以外の接着剤は弾性生地と組み合わせた幾つかの態様の製品中に含まれることができる。接着剤の例は、あらゆるホットメルト接着剤、シアノアクリレート、エポキシ、ポリビニルアセテート、プラスチゾル(ゴムを含む)、熱可塑性物質(ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドを含む)、シリコーン、ラテックス重合体、熱硬化性物質、粘着剤およびそれらの組み合わせ物を含む。
【0031】
接着剤は接着剤/弾性生地の複合製品を調製するために、または生地に複合製品を接着するために使用することができる。複合製品が別の生地または衣類に接着される場合には、場合により、更なる接着剤が含まれることができる。生地または衣類はその他の生地構造を含むことができ、弾性繊維を排除することができる。
【0032】
接着剤は弾性生地/接着剤の複合製品あるいは複合製品が生地または衣類に接着される場合のいずれかに対する連続的または非連続的適用を含むことができる。接着剤の非連続的適用の例は点、垂線、水平線、斜線、格子およびそれらの組み合わせ物よりなる群を含む。
【0033】
点形態の市販のホットメルト接着剤の例はFreudenberg Gygli GmbH,Weinheim,Germanyにより商品名Pinbond(登録商標)として市販され、弾性織物を接着するのに有用である。更に、弾性生地/接着剤の複合製品はまた、2層以上のあらゆる衣類または幾つかの態様に記載されたようなポリウレタン尿素フィルムを接着するための接着剤として使用することができる。
【0034】
幾つかの態様の生地および衣類とともに、様々な異なる繊維および糸を使用することができる。これらは木綿、羊毛、アクリル、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、スパンデックス、再生セルロース、ゴム(天然または合成)、竹、絹、大豆またはそれらの組
み合わせ物を含む。生地の更なる層を弾性生地に付着させる/接着させること、等ができる。
【0035】
これらの製品はあらゆる適当な方法により生地および/または衣類に形成することができる。複合製品中の接着剤は付着物の形態であることができるが、接着または縫い込みもまた有用であることができる。
【0036】
分析法
以下の実施例において、以下の分析法を使用した。
【0037】
接着層の剥離強度
全体の開示が参照することにより本明細書に引用されたこととされるASTM D903−93をフィルム張り付け生地の試験用に改良した。試験に使用されたサンプル寸法は1インチ×6インチ(2.5cm×15cm)であった。分離速度は毎分2インチ(毎分5センチメートル)であった。データは表に示されるように1インチのサンプル幅に対するポンドの力(ミリメーター当たりのキログラム)で報告される。
【実施例】
【0038】
実施例
以下の表は幾つかの態様に記載された幾つかの適当な弾性生地/接着剤の複合製品につき説明する。“LYCRA(登録商標)タイプ”の分類は100%の“LYCRA(登録商標)繊維を使用して調製された各生地とともに使用された”LYCRA(登録商標)繊維(INVISTA,Wichita,KSから入手できる)につき説明している。“LYCRA(登録商標)分散物はそれから、”LYCRA(登録商標)2.0テープおよびフィルム(INVISTA,Wichita,KSから入手できる)を調製する分散物を表す。
【0039】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)生地の約100重量%の弾性繊維を含んでなる1つのストレッチ生地および
(b)少なくとも1つの接着剤:
を含んでなる多層を含む製品。
【請求項2】
接着剤がホットメルト接着剤、コンタクト型接着剤、熱可塑性物資、またはポリウレタン尿素の水性分散液(ホットメルトの不織物および点状接着物を含む)である、請求項1の製品。
【請求項3】
分散物が実質的に溶媒を含まない、請求項2の製品。
【請求項4】
接着剤がポリウレタン尿素の水性分散液とホットメルト重合体の混合物である、請求項1の製品。
【請求項5】
ストレッチ生地が輪編みニット、縦編みニット、織物および/または不織布である、請求項1の製品。
【請求項6】
弾性繊維がスパンデックスである、請求項1の製品。
【請求項7】
請求項1の製品を含んでなる生地および衣類。
【請求項8】
請求項1の製品を製造する方法。
【請求項9】
(a)少なくとも2層、および
(b)請求項1の少なくとも1つの製品:
を含んでなる多層、を含む生地。
【請求項10】
少なくとも2層が、(a)2枚の生地の層、(b)2枚の発泡体層、(c)1枚の生地の層および1枚の発泡体層、並びにそれらの組み合わせ物、よりなる群から選択される、請求項9の製品。
【請求項11】
製品が成形されている、請求項10の製品。
【請求項12】
製品が圧縮成形されている、請求項10の製品。
【請求項13】
請求項1の製品が多層製品の領域全体に広がっている、請求項10の製品。
【請求項14】
請求項1の製品が多層製品の領域の一部分に広がっている、請求項10の製品。
【請求項15】
(a)生地の約50%〜100重量%の弾性繊維を含んでなる1つのストレッチ生地および
(b)少なくとも1つの接着剤:
を含んでなる多層、を含む製品。
【請求項16】
弾性繊維が生地の95%〜約100重量%存在する、請求項15の製品。
【請求項17】
ストレッチ生地が本質的に1つ以上の弾性繊維よりなる、請求項15の製品。

【公表番号】特表2013−510739(P2013−510739A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538862(P2012−538862)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/055559
【国際公開番号】WO2011/059884
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】