説明

接着剤ビーズまたはプロットでの接合

補強体(100)は、空洞(170)の1以上の内側壁に略一致するキャリア(120)と、前記キャリア(120)と空洞(170)の前記1以上の内側壁との間に1以上のビーズ(130)状に配置される接着剤とを含み、1以上の接着剤ビーズ(130)が硬化される場合に、前記キャリア(120)が、空洞(170)を規定する前記一以上の内側壁(180)に接着されるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、構造補強を提供するための方法及びシステムに向けられたものである。
【背景技術】
【0002】
多くの製品は、その中に中空の空洞を有する本体又は筐体を有している。例えば、様々な消費財及び車両は、例えば、ピラー中に又はフレーム部材内のような、本体又は筐体の内側及び外側パネルの間に形成された中空空洞を有している。特に、自動車のいくつかの構造部材は、1以上のノードに接続された様々なピラー、部材、レール、梁、ポスト、など(集合的に「空洞」と呼ばれる)。そのような中空ピラー、梁等は、しばしば、最終製品の総重量を減少すること、及び材料コストを減少することに役立つ。しかしながら、これらの空洞は、しばしば、十分な強度又はエネルギー吸収特性に欠ける構造部材につながる。
【0003】
弱まった構造部材を補償するための1つの方法は、部材の空洞内に構造補強体を提供することである。構造補強体は、しばしば、構造部材の内側表面に膨張してモールドするように構成された膨張可能な材料を備えたキャリアを含んでいる。キャリア部分は典型的には、ナイロン、ガラス強化ナイロン、金属、又はそれらのいくつかの組み合わせ、から作られたモールドされたコンポーネントであり、軽量であるが堅いように設計されている。キャリアは、また、特定のストレスにキャリアの応答を増加させるように構成された複数のリブを含むことができる。
【0004】
効果的である一方、上述したモールドされたキャリア構造補強体は欠点を有している。例えば、膨張可能な発泡体層は通常相対的に大きく、特に剪断及び引張応力に関して、穏健な強度増加のみを提供する。発泡可能な材料の補強体の部分は、モールドされたキャリア部分と比較して強度が欠けている。さらに、発泡体の十分な膨張を達成するために、そのような補強体は通常、キャリアと補強されるべき空洞の内側壁との間に大きな隙間を必要とする。モールドされたキャリアと空洞を規定する内側壁との間の必要な隙間は通常最小でも6−10mmである。この寸法の隙間では、例えば高いアセンブリ公差、焼成条件の変動等により、発泡体が膨張するときに隙間を適切に密閉することができないことがある。もし、例えば、発泡体が均一に膨張しなければ、隙間の部分が密閉されないままに残るか、キャリアが空洞内に適切に固定されないことになりうる。さらに、空洞内に1以上のチャネルを含む構造補強体を形成し、例えばe-コート(e-coat)流体のような流体をそこを通じて流動させることは困難である。そして、膨張可能な発泡体補強体は、通常、剪断及び引張荷重に関して穏健な補強作用を提供するのみである。
【0005】
他の補強体は、補強体と構造部材の間を流れて補強体をそこに接着する注射用接着剤を使用するように設計されている。全キャリアに渡り膨張可能な発泡体を膨張させるための空間を提供する必要がないので、注射用接着剤の使用は、キャリアと、空洞の1以上の内側壁との間の隙間の部分を減少させる。しかしながら、注射用接着剤を含む方法はまた欠点を有する。注射用接着剤を使用する現在の方法は、注射用接着剤が空洞から流れ出るのを防ぐために、通常、キャリアと空洞の1以上の内側壁との間に密閉材料の導入を必要とする。密閉材料は通常、膨張可能な発泡体又はマスティックからなる。この工程は、このように、追加のステップ、及び、追加の材料を含み、密閉材料の塗布及び密閉材料の硬化を含み、さらに、続いて接着材料の注入及び硬化が含まれる。これは、補強された部分を作るために、追加の時間及び費用を要する。これはまた、通常、密閉材料が少なくとも部分的に硬化するまで接着剤を注入することができないので、タイミングをより細かく制御する必要がある。さらに、接着剤を空洞に注入することは、通常、すべての隙間を接着剤で充填するので、e-coat流れのためのチャネルを提供することが困難になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、構造補強を提供するためのシステム及び方法に向けられている。より詳しくは、開示は、空洞内に接着して固定されるように構成された構造補強体に向けられている。構造補強体は、空洞を規定する一以上の内側壁に通常形状が一致するキャリアを含むことができる。接着剤は、補強体及び/又は構造部材に配置されている。接着剤は、構造部材内に補強体を挿入する前に実質的に安定形状を保持している。本開示は、構造部材内の補強体のキャリアと空洞を規定する内側壁との間をより緊密にすることを可能にする。本開示はまた、接着剤と一緒に密着剤として膨張可能な発泡体又はマスティックスを使用する必要を除去する。本開示はまた、流体の流動のための、補強体と構造体の間のチャネルの含有を容易にし、接着剤の局所的な配置のために簡素化されたデザインを可能にする。これは、補強体が、より少ない接着剤を使用することを可能にして、コスト節減に繋がる。
【0007】
防護フィルムは、また、接着剤のいくつか又はすべてにわたって提供されることができ、接着剤を、塵、水分、汚染物質、又は他の部材との接触から保護することができる。これは、例えば、早すぎる接着剤硬化を防ぐ一方、接着剤をサービス部品に、部品が工場を離れる前に、配置することを可能にする。
【0008】
請求項は例示された実施例に限定されないが、様々な態様の認識が、それらの様々な実施例の議論を通じて最もよく得られることができる。ここで図面を参照して、様々な実施例が詳細に示される。図面は様々な例示を現しているが、図面は正確に測られる必要はなく、ある特徴は、よりよい図示をするために誇張されて、実施例の革新的な面が説明されている。さらに、ここに記載された実施例は、網羅的又は図面で示され以下の詳細に説明に記載されている厳密な形態及び構成に限定又は制限することは意図されていない。代表的な例示が、以下の図面を参照して詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的な補強体及び構造部材を示し、接着剤は、キャリア上で平行なビーズの連続に押し出されている。
【図2】例示的な補強体及び構造部材を示し、接着剤は、キャリア上で円状のプロットの連続に押し出されている。
【図3】例示的な補強体及び構造部材を示し、接着剤は、構造部材上に押し出されている。
【図4】構造部材内に位置する例示的な補強体の端面図である。
【図5】例示的な補強体と接着剤ビーズに渡る保護フィルムを含む構造的な部材とを示す図である。
【図6】例示的な補強体と複数の保護フィルムを含む構造部材とを示す図である。
【図7A】例示的な補強体と構造部材を示す図である。
【図7B】例示的な補強体と構造部材を示す図である。
【図8】例示的なアプローチによる補強体を製造する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
それ自体限定なしに、ここに記載された例示的アプローチは、構造部材に補強をもたらすように構成されたキャリアを有する構造補強体を含む。構造部材は、例えば、電化製品、自動車のような車両等内の、梁、チャネル、ピラー等である。補強体は接着剤を使用して構造部材に接着されている。
【0011】
補強体は、例えば、アルミニウム又は鋼鉄、プラスチック、ナイロン、ガラス補強ナイロン、発泡体構造、有機的構造、又はそれらのいくつかの組み合わせから製造されることができる。1つの例示的なアプローチでは、補強体は熱可塑性プラスチック材料からできている。補強体は、押し出しを通じて、射出成形を通じて、または他の適した工程を通じて作られることができる。補強体は、特定の応用を基にして、局所化された強化を提供するために、その中に1以上のリブを含むことができる。少なくとも補強体の一部は、接着される構造部材の一部にきっちりと形状が一致するように構成されることができる。例えば、構造補強体のキャリア部分の1以上の外側面は、構造部材内の空洞を規定する1以上の内側面に通常一致するように構成されることができる。例えば、1つのアプローチによると、構造補強体が、構造部材に近接して配置されるとき、キャリア部分及びキャリアが接着される構造部材の1以上の内側面の間の隙間が、約6ミリメートル(mm)よりも少なくすることができる。隙間の寸法は、応用の要求、製造方法等を元に決定若しくは設計されることができる。1つのアプローチにおいては、隙間は約2mmから約4mmの間で設計される。別の例示的なアプローチでは、隙間は約0.5mm以下になるように設計される。
【0012】
接着剤は補強体を構造部材に固定するために使用される。その接着剤は、例えばキャリアの外側面に沿って補強体に、及び/又は、例えば構造部材中に空洞を規定する1以上の内側壁に沿って構造部材に、適用されることができる。接着剤は構造部材に近接して補強体を配置する前に適用されることができ、それはキャリア部材を空洞内に配置することができる。接着剤は、接着剤が空洞内に配置されている間に、硬化することができ、それにより、構造補強体を構造部材に接着させる。
【0013】
接着剤は、キャリアの1以上の面上に、及び/又は構造部材の1以上の内側面上に、1以上の接着剤ビーズ、又はプロットとして適用される。接着剤ビーズ又はプロットの長さ、幅、厚さ、形状、断面、表面、量及び配置は、例えば、コストの最小化、強度の最大化、組み立て時間の高速化等の応用パラメーターを基に、任意の特定応用のために適切に変化させることができる。例えば、ビーズは、連続的な半円ビーズ、一連の平行な直線群、一連の隣接するプロット群、一連の丸い接着剤プロット群、一連の同心円群、ジグザグパターン、または他の任意のデザインによって、適用されることができる。接着剤ビーズの厚みは、特定の応用の要求を基に決定されることができる。1つの例示的なアプローチにおいて、ビーズ厚さは、接着剤により繋がる対向面により規定される隙間の幅の最低限約150%である。
【0014】
採用される接着剤は、任意の多くの接着剤であることができる。選ばれた接着剤は実質的に非発泡性であることができる。すなわち、選ばれた接着剤は、硬化する際に約20%よりも少ない膨張をすることができる。1つの例示的アプローチにおいて、接着剤は、硬化する際に約5%よりも少ない膨張をすることができる。別の例示的アプローチにおいては、接着剤は、非膨張性である。選ばれた接着剤は、補強体が構造部材に配置されるまで接着剤がそのビード形状を保持するのに十分高く、一方、補強体を構造部材内に挿入する上で接着剤が少なくとも部分的に変形又は移動することができるのに十分低い粘性を有することができる。1つのアプローチにおいては、接着剤は、硬化の前にペースト状の濃度を有していることができ、且つ/又は粘着性があることができる。別のアプローチにおいては、接着剤は、ビンガムプラスチックのように振舞うことができ、十分なストレスの適用前に、実質的に安定な形状を保持することができる。選ばれた接着剤は、空気、大気水分、別の化学物質、熱、光に晒されて、又は任意の他の適切な効果方法により、硬化することができる。1つのアプローチによれば、接着剤が例えば焼成又はe-coat工程中のように熱に晒されるときに硬化するように、接着剤を選ぶことができる。接着剤は、例えば、少なくとも樹脂及び硬化剤を含むポリマー組成物であることができる。例えば、接着剤は、ポリウレタン組成物、ポリウレタン及びポリオールイソシアネート組成物、アクリレート組成物、エポキシド組成物等であることができる。接着剤は、エポキシ樹脂及び硬化剤、例えば、ポリイソシアネート又はポリアミン硬化剤、マイクロカプセル化したアクリル又はメタクリレート等を含むことができる。適した接着剤には、特許出願番号WO/2008/077944号に記載された接着剤が挙げられる。
【0015】
接着剤は、自動化された工程、例えばアセンブリライン上のロボットにより、又は、手動で、例えば押出機ガンを使用してオペレーターにより、キャリア及び/又は構造部材上に押し出されることができる。接着剤は、押出の際に補助するために加熱されることができ、又は周囲温度で適用されることができる。1つの例示的なアプローチにおいて、接着剤は、ドラム中のアセンブリ場所に提供されることができる。接着剤は、例えば、ペースト又は粘着材料の形態で提供されることができる。
【0016】
防護フィルムは、接着剤全体に適用されることができ、接着剤が早すぎる硬化をすることを防ぐことができ、接着剤に塵又は他の汚染物質がくっ付くことを防ぎ、接着剤が水分又は大気に晒されることを防ぎ、且つ/又は有効期間及び接着特性を確保する。保護フィルムは、接着剤と、共押出されることができ、押出された接着剤の頂上に適用されることができる。1つの例示的なアプローチによれば、保護フィルムはプラスチック、例えばポリエチレンであることができる。保護フィルムは、構造部材の近くに構造補強体を配置する前、中、又は後に除去することができる。保護フィルムは、例えば、保護フィルムを接着剤から剥くことにより、フィルムを接着剤から切断することにより、熱、化学物質、光等を適用することにより、又は、他の適した手段を通じて、除去することができる。
【0017】
図1は、ベース110及びそこに接続されたキャリア120を有する例示的な補強体100を示す。例示的なキャリア部分120は、構造部材160の1以上の内部の壁180により規定される空洞170に形状が通常一致する。ベース110は、1以上の面を含むことができ、その1以上の面は、実質的に構造部材160の1以上の面に同一面上にあって且つ構造部材160に対して接するように構成され、構造部材160の内側壁180により規定される空洞170内の補強体100のキャリア部分120の挿入深さを限定する。ベース110は、図示されたベース110よりも大きいか又は小さくすることができ、ベース110は、特定の応用の要求に応じて、完全に省略することができることが理解されるべきである。図1の例示的なアプローチにおいて、複数の接着ビーズ130は、キャリア120の外部に沿って一連の平行な列に配置される。複数の列の接着剤ビーズ130は、キャリア120が空洞170内に配置されるときに、それらが構造部材160の1以上の内側壁180に接触するように配置される。キャリア120が空洞170内に配置されているときにキャリア120と構造部材160の1以上の内側壁180の間で規定された隙間の寸法は、キャリア120のデザインによって決定されることができ、約6mmよりも狭くすることができる。1つの例示的なアプローチにおいて、隙間の寸法は、約2mmから約4mmの間とすることができる。さらなる例示的なアプローチにおいて、隙間は約0.5mmよりも狭くすることができる。隙間のデザインは、一部、構造補強体100及び構造部材160のために使用される製造方法により、使用される接着剤130により、及び他の要因により、影響されるかもしれない。キャリア120が空洞170に配置される場合、接着剤ビーズ130は、初期位置から、変形又は、移動されることができる。接着剤ビーズ130が変形又は移動されるとき、2以上の分離した接着剤ビーズ130が繋がることができ、1以上のさらに大きな接着剤ビーズ130を作る。さらに、又は代替的に、e-coat流体のような流体をその中に流すことを可能にするために、1以上のチャネルが、キャリア120と1以上の内部壁180との間で規定されるように、接着剤ビーズ130を配置することができる。
【0018】
図2は、別の例示的な補強体100を示す。補強体100は、そこに取り付けられたキャリア120を備えたベース110を含む。複数の丸い接着剤ビーズ130は、キャリア120の外部面に沿ってさまざまな場所に配置される。構造補強体100のキャリア部分120が構造部材160の内側壁180により規定される空洞170内に配置されるとき、接着剤ビーズ130が1以上の内側壁180に接触するように、接着剤ビーズ130は配置される。接着剤ビーズ130の寸法、配置及び量は、特定の応用要求に基づいて選ばれることができる。キャリア120の空洞170への挿入において、2以上の接着剤ビーズ130が移動し、互いに接触して、それにより大きな効果的な接着剤ビーズ130を形成するように、2以上の接着剤ビーズ130は配置されることができる。さらに、又は代替的に、接着剤ビーズ130は、キャリア120の空洞170への挿入において、接着剤ビーズ130は、分離したままで、例えばe-coat流体のような流体がそこを流れる1以上のチャネルを提供するように、配置される。
【0019】
図3は、例示的な補強体100を示し、ベース部分110及びキャリア部分120を含み、構造的な部材160に構造的な支持を提供するように構成されている。構造部材160の内側壁180はその中に空洞170を規定する。接着剤ビーズ130は、構造部材160の内側面180に沿って略平行な列で適用されている。補強体100が構造部材160の近くに配置されるとき、キャリア部分120は、空洞170内に1以上の内側壁180の近くに配置される。接着剤ビーズ130は、キャリア120と1以上の内側壁180との間で規定された隙間の幅よりも広いビーズ厚さを含む。キャリア120が空洞170内に配置されるとき、接着剤ビーズ130はこのようにキャリア120と1以上の内側壁180との両方に接触し、それにより接着剤ビーズ130を変形させる。接着剤130は、このように、キャリア120を空洞170内で接着して、構造補強体100を構造部材160に接着する。
【0020】
図4は、ベース部分100とキャリア部分120を有する補強体100を含む例示的なシステムの断面の端部図を示す。図示された補強体100は、構造部材160の近くに配置される。補強体のキャリア部分120は、構造部材160の1以上の内側壁180により規定される空洞170内に配置される。補強体100が構造部材160の近くに位置されるとき、キャリア120の少なくとも一部と構造部材160の少なくとも1つの内側壁180との間で規定された隙間185がある。接着剤ビーズ130が変形され且つ実質的にすべての隙間185を満たすように、構造部材160の内側壁180の近くにキャリア120を配置することにより、接着剤ビーズ130は隙間185内で移動することができる。これは一例であって、キャリア120が空洞170内に配置されるとき、1以上の通路が隙間185内で維持されるように接着剤ビーズ130が配置されて、例えばe-coat流体のような流体が、キャリア120と構造的な部材160の1以上の内側壁180との間を流れることを可能にできることが理解されるべきである。キャリア120と1以上の壁180との間の隙間185は、部分的に、キャリア120、キャリア120及び構造部材160の組み立て許容度、及び特定の応用のデザインにより、決定されることができる。1つの例示的なアプローチによれば、キャリア120と構造部材160との隙間185は、約6mmよりも小さくすることができる。別の例示的なアプローチにおいて、隙間185は約2mmから4mmの間であることができる。さらなる例示的なアプローチにおいて、隙間185は約0.5mmよりも小さくすることができる。接着剤ビーズ130の配置は、キャリア120の外側面に沿って1以上の場所で構造補強体100の構造部材160への選択的な接着を可能にすることができ、構造部材160の局所化された強化を可能にする一方、接着剤130を節約する。キャリア120が空洞内に配置されるとき、1以上の個々のビーズ130が、1以上の追加的なビーズ130に結合することができるように、接着剤ビーズ130を配置することができる。
【0021】
図5は、例示的なアプローチによる補強体100の端面図を示す。補強体100は、ベース110と、その上に配置されたキャリア120を含む。キャリア120は、その上に配置された複数の接着剤ビーズ130を含む。図5の例示的なアプローチにおいて、複数の接着剤ビーズ130は、保護フィルム140により覆われる。保護フィルム140は、例えば、接着剤ビーズ130を、塵、水分、又は他の汚染物から保護し、ビーズ130が補強体100を構造部材160内に設置する前に1以上の要素に接着することを防ぐ等することができる。さらに、又は代替的に、フィルム140は、フィルム140が除去される前に接着性ビーズ130が硬化することを防ぐことができる。保護フィルム140は、このように、キャリア120を空洞170に配置する前に、接着剤130が早く硬化することなしに、キャリア120又は構造部材160上に接着性ビーズ130が配置されることを可能にする。そのようなアプローチは、補修部品市場、又はサービス用途、又は空気、又は大気水分に晒されるとき接着剤が硬化するかもしれない他の用途に、特に有用でありうる。例えば、接着剤ビーズ130は、工場でキャリア120に適用されることができ、構造補強体100は、接着剤130が硬化し始めることなしに、続いてサービス場所に運搬されることができる。防護フィルム140は、空洞170内にキャリア120を配置する前に、例えばフィルム140を剥いたり又は切断すること等により、除去することができる。フィルム140は、また、構造補強体100のキャリア120は、空洞170内に配置された後に、例えば熱、圧力、化学物質を加えること、又は他の適した手段を通じて、除去されることができる。
【0022】
図6は、例示のアプローチによる補強体100の端面図を示す。補強体100は、ベース110、及びその上に配置されたキャリア120を含む。複数の接着剤ビーズ130は、キャリア120に渡って配置される。それぞれの複数の接着剤ビーズ130は、それぞれ保護フィルム150により覆われることができる。接着剤ビーズ130のための個々の防護フィルム140を提供することは、補強体100の完全性をさらに保護することができる。例えば、個々の保護フィルム140を提供することにより、個々のフィルム140は破裂されるか、損傷されるかもしれないが、残りのフィルム140、及びそれらを保護するそれぞれの接着剤ビーズ130は、損傷を受けないままにすることができる。
【0023】
図7a及び7bは、補強体100の部分図を示す。補強体100は、それ自体の上に搭載されている1以上の突起190を有するキャリア部分120を含む。1以上の接着剤ビーズ130は、1以上の突起190の近くに配置されることができる。突起190は、例えばキャリア120が空洞170内に配置されるときのような接着剤ビーズ130が変形されるときに、接着剤ビーズ130の流れを導くことを助けることができる。図7aは、補強体100の設置前のキャリア120を図示する。接着剤ビード130は、2つの突起190の間で、変形されていない状態で図示されている。図7bは、キャリア120が空洞170内に配置された後の図7aの補強体100を例示する。接着剤ビード130は変形され、そして部分的に突起190により規定された形状を取る。突起190は、構造補強体100が構造部材160に設置されるとき、このように接着剤130の流れを導くように構成されることができる。
【0024】
図8は、構造要素の空洞、例えば、構造部材160の空洞170を補強する例示的方法200を、例えば補強体100のような補強体を使用して、例示するフローチャートである。ステップ210で、補強体100は、補強体100のキャリア120が構造部材160の内側壁180に緊密に一致するように、デザインされる。
【0025】
ステップ220で、1以上の接着剤ビーズ130が、キャリア120の1以上の外側面上に押出される。さらに、又は代替的に、接着剤ビーズ130は、構造部材160の1以上の内側壁180上に押出されることができる。接着剤130は、例えば自動化されたアセンブリラインを使用して自動的に押出されることができ、例えば押出し機ガンを採用する使用者により、手動で押出されることができる。
【0026】
ステップ230で、防護フィルム140が1以上の接着剤ビーズ130上で押出される。防護フィルム140は、1以上の接着剤ビーズ上に、接着剤ビーズ130の押出しにあわせて、押出されることができ、又は、接着剤ビーズ130が押出された後にその上に配置されることができる。
【0027】
ステップ240で、防護フィルム140が除去される。フィルム140は、例えば、フィルム140をはがすことにより、又は例えば熱又は化学物質のような要素をフィルムに適用することにより、除去することができる。構造的な補強体100は、例えば、第1場所から別の所に移送されることができ、又は、ステップ230のフィルム140の適用とステップ240のフィルム140の続く除去の間で時間を置くことができることが理解されるべきである。
【0028】
ステップ250で、補強体100のキャリア120は、構造部材160の1以上の内側壁180により規定される空洞170内に配置される。キャリア120が空洞170内に配置されるので、1以上の接着剤ビーズ130は、キャリア120と構造部材160の1以上の内側壁180との間の隙間が減少されるように、移動される且つ/又は変形されることができる。
【0029】
ステップ260で、接着剤ビーズ130は、硬化し始めることができる。接着剤ビーズ130の硬化は、例えば、接着剤ビーズ130を空気又は水分に晒すことで、自動的に、始めることができる。接着剤ビーズ130の硬化は、また、例えば熱、光、化学物質等のような1以上の要素の適用を通じて、活性化されるか又は促進されることができる。例えば、接着剤ビーズ130は、例えばe-coat又は塗装工程中の焼成と関連付けられた熱のような、熱を通じて活性化される。接着剤ビーズ130を硬化させることで、構造補強体100を構造部材160に接着させることができる。
【0030】
開示された実施形態に加えて、補強体のキャリア120の表面及び/又は構造部材の壁180は、接着剤130の結合を改善するために、表面処理で処理されることができる。さまざまな表面処理には、サンドブラスティング、研磨剤の使用、ピクリング、プラズマの使用、コロナ放電の使用、フレーミング、接着磨耗、クロム酸エッチング、ヨウ素処理、プライマーの使用、ナトリウム処理、表面グラフト、粗面処理、熱処理、トランス結晶成長、及び/又はUV露出が挙げられる。表面処理は、また、他の材料の結合の改善を助けることができる。
【0031】
ここで記載された工程、システム、方法等に関して、そのような工程のステップ等は、ある順序により起こるように記載されているが、そのような工程は、ここに記載された順序以外の順序で実行される記載されたステップで実施することができることが理解されるべきである。さらに、あるステップは同時に実行されることができ、他のステップが追加され、又はここに記載されたあるステップが省略されることができることを理解されるべきである。すなわち、ここの工程の記載は、あるシステムを例示する目的で提供されており、限定するために解釈されてはならない。
【0032】
したがって、上述の記載は例示のためであり制限のためではないことを意図していることが理解されるべきである。上述の記載は、例示的であって制限的ではないことが意図されている。提供された実施例のほかの多くのアプローチ及び応用が、上述の記載を読む当業者には明らかである。本開示の範囲は、上述の説明を参照することなく決定されるべきであり、しかし代わりに、そのような請求項に権利が与えられるのと均等な全範囲に沿って付属の請求項を参照して決定されるべきである。将来の開発がここで議論された分野で起こり、開示されたシステム及び方法はそのような将来のアプローチに組み入れられることが予期され、意図されている。総合すると、開示は修正及び変形することができ、以下の請求項によってのみ限定されることが理解されるべきである。
【0033】
請求項で使用された全ての用語は、ここに反対の明確な表示がない限り、それらの最も広い合理的な解釈及び当業者により理解されるそれらの通常の意味が与えられることが意図されている。特に、「a」「the」「said」等の単数冠詞は、請求項が反対の明確な限定記載しない限り、1以上の指示された要素を記載していると読まれるべきである。
【符号の説明】
【0034】
100 補強体
110 ベース
120 キャリア
130 接着剤ビーズ
140 保護フィルム
150 保護フィルム
160 構造部材
170 空洞
180 壁
185 隙間
190 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部材を補強するためのシステムであって、
金属、プラスチック、ナイロン、ガラス強化ナイロン、及び有機材料の少なくとも1つから作られた堅いキャリア部分(120)を含む構造補強体(100);
構造的な部材の空洞(170)を規定する1以上の内側壁(180)に略一致するように構成された前記キャリア部分(120)の少なくとも一部であって、構造部材が金属、プラスチック、カーボンファイバー、及び有機材料の少なくとも1つから通常作られる、前記キャリア部分(120)の少なくとも一部;
を備え、
前記キャリア(120)が前記空洞(170)内に配置されるとき、前記キャリア(120)の少なくとも一部及び前記空洞(170)の前記1以上の内側壁(180)の間の隙間(185)が、約6mmよりも小さく、且つ
前記キャリア(120)を前記空洞(170)に挿入する前に、前記キャリア(120)がそこに配置されるときに、前記キャリア(120)を前記空洞(170)の前記1以上の内側壁(180)に接着するために、前記キャリア(120)及び内側壁(180)の少なくとも1つ上の1以上の場所で、通常触ると粘着性である、接着剤(130)が押出され;
前記キャリア(120)を空洞(170)内に接着させることが構造的な部材の強度を増加させることを特徴とする構造部材を補強するためのシステム。
【請求項2】
前記接着剤(130)は、硬化する場合に、約20%よりも少ない膨張率を有していることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記接着剤(130)は、硬化する場合に、約5%よりも少ない膨張率を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記接着剤(130)は、非膨張性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
前記接着剤(130)は、前記キャリア(120)及び前記1以上の内側壁(180)の少なくとも1つ上に1以上のビーズ又はプロットとして押出されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項6】
キャリア(120)が前記1以上の内側壁(180)に接着されるとき、チャネルが前記キャリア(120)の部分及び前記空洞(170)を規定する前記1以上の内側壁(180)の間で維持され、流体がその間で流れることを可能にするように、前記接着剤(130)が配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項7】
前記キャリア(120)及び前記空洞(170)の前記1以上の内側壁(180)の間の前記隙間(185)は、約4mmから約0.5mmの間にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項8】
前記キャリア(120)及び前記空洞(170)の前記1以上の内側壁(180)の間の前記隙間は、約0.5mmよりも小さいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項9】
前記接着剤(130)は、ポリマー組成物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項10】
前記接着剤(130)は、熱可塑性樹脂及びエポキシ樹脂の混合物から形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項11】
キャリア(120)が空洞(170)内に配置されるまで前記接着剤(130)は押出された形状を保持することができるほど十分に高い粘性を有し、キャリア(120)が空洞(170)内に配置されるとき前記接着剤(130)は変形されるか又は移動されることができるほど十分に低い粘性を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記接着剤(130)は、最大初期ビーズ厚さが約12ミリメートルよりも小さいことを有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記接着剤(130)はe−coat工程中で硬化されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
さらに、少なくとも前記接着剤(130)の部分に渡って配置される1以上の保護フィルム(140)を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
複数のそれぞれの接着剤(130)に渡って配置される複数の保護フィルム(140)を備える請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記保護フィルム(140)はポリエチレンから作られることを特徴とする請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記キャリア(120)の外側表面上に規定された1以上の突起(190)をさらに備え、前記キャリア(120)が前記空洞(170)内に設置されるとき前記1以上の突起(190)が前記接着剤(130)の流れを導くように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
構造部材を補強する方法であって、
金属、プラスチック、ナイロン、ガラス強化ナイロン、及び有機材料の少なくとも1つから作られたキャリア(120)有する補強体(100)を提供することであって、前記キャリア(120)は、構造部材(160)内の空洞(170)を規定する1以上の内側壁(180)に略一致するように構成され、前記構造部材(160)は金属、プラスチック、カーボンファイバー、及び有機材料の少なくとも1つから通常作られる補強体(100)を提供するステップ;
前記キャリア(120)及び前記1以上の内側壁(180)の少なくとも1つの上に1以上の接着剤ビーズ(130)を押出すステップ;及び
前記1以上の接着剤ビーズ(130)を変形させることにより前記空洞(170)内に前記キャリア(120)を前記1以上の内側壁(180)の近くに配置するステップ;
を備え、
前記キャリア(120)が前記空洞(170)内に配置されるときに、前記キャリア(120)の少なくとも一部と前記1以上の内側壁(180)の間の隙間(185)が約6mmよりも小さく;且つ
押出されるときに前記接着剤は通常触ると粘性であることを特徴とする構造部材を補強する方法。
【請求項19】
前記キャリア(120)の少なくとも一部と前記空洞(170)の1以上の内側壁(180)との間の隙間(185)は、約2mmから約4mmの間にあることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記キャリア(120)の少なくとも一部及び前記空洞(170)の1以上の内側壁(180)の間の隙間(185)は、約0.5mmよりも小さいことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記1以上の接着剤ビーズ(130)は、最大初期ビーズ厚さが約12mmよりも小さいことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記1以上の接着剤ビーズ(130)は、熱に晒されて硬化されるように構成されることを特徴とする請求項18〜21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
前記1以上の接着剤ビーズ(130)は、大気水分に晒されて硬化されるように構成されることを特徴とする請求項18〜21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
1以上の接着剤ビーズ(130)を1以上の保護フィルム(140)でコートするステップと同時に前記キャリア(120)及び前記1以上の内側壁(180)の少なくとも1つ上に1以上の接着剤ビーズ(130)を押出すステップとをさらに含むことを特徴とする請求項18〜23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
1以上の接着剤ビーズ(130)を1以上の保護フィルム(140)でコートするステップは、前記1以上の接着剤ビーズ(130)を硬化から防ぐことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記保護フィルム(140)を除去するステップをさらに備える請求項24又は25の方法。
【請求項27】
保護フィルム(140)を除去するステップは、防護フィルム(140)を剥がすこと及び防護フィルム(140)を融かすことの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−501363(P2012−501363A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524415(P2011−524415)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061270
【国際公開番号】WO2010/023324
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】