説明

接着剤組成物、半導体装置の製造方法、及び、半導体装置

【課題】ボンディング時にバンプ間にボイドを生じにくく、耐リフロー性及び信頼性に優れた半導体装置を製造するために用いることのできる接着剤組成物を提供する。また、該接着剤組成物を用いた半導体装置の製造方法、及び、該半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置を提供する。
【解決手段】熱硬化性化合物と、前記熱硬化性化合物と反応可能な官能基を有するポリマーと、熱硬化剤とを含有する接着剤組成物であって、ボンディング温度での溶融粘度が10Pa・s以上15000Pa・s以下であり、ボンディング温度でのゲルタイムが10秒以上であり、かつ、240℃でのゲルタイムが1秒以上10秒以下である接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンディング時にバンプ間にボイドを生じにくく、耐リフロー性及び信頼性に優れた半導体装置を製造するために用いることのできる接着剤組成物に関する。また、本発明は、該接着剤組成物を用いた半導体装置の製造方法、及び、該半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ますます進展する半導体装置の小型化、高集積化に対応するために、ハンダ等からなる接続端子(バンプ)を有する半導体チップを用いたフリップチップ実装が多用されている。
フリップチップ実装においては、一般的に、複数のバンプを有する半導体チップを、バンプを介して他の半導体チップ又は基板に接続した後、アンダーフィルを充填する方法が用いられている。しかしながら、近年、半導体チップの小型化が進行するとともにバンプ間のピッチもますます狭くなっており、また、これらに伴って半導体チップ同士又は半導体チップと基板との間のギャップが狭くなっていることから、アンダーフィルの充填時に空気が巻き込まれやすく、ボイドが発生しやすくなっている。
【0003】
この問題を解決するために、複数のバンプを有するウエハ上のバンプが形成された面に接着剤層を形成した後、ウエハを接着剤層ごとダイシングして、個々の接着剤層付き半導体チップに分割する方法が提案されている。ダイシングにより個片化された接着剤層付き半導体チップは、他の半導体チップ又は基板にボンディングされ、バンプを介して電気的に接続される。また、ダイシングする前の接着剤層付き半導体ウエハを、他の半導体ウエハ又は基板に接合して半導体ウエハ接合体を得た後、得られた半導体ウエハ接合体を分割することで、半導体チップ接合体とする方法も提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
このようなウエハ上に形成される接着剤層に用いられる接着剤組成物として、例えば、特許文献2には、(A)エポキシ樹脂、(B)フラックス活性を有する硬化剤を含むプリアプライド用封止樹脂組成物であって、B−ステージ化後のタック値が0gf/5mmφ以上5gf/5mmφ以下であり、かつ、130℃における溶融粘度が0.01Pa・s以上1.0Pa・s以下であるプリアプライド用封止樹脂組成物が記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載のプリアプライド用封止樹脂組成物では、半導体チップ又は基板上にプリソルダー又はボンディングパッド等の凹凸が存在するとバンプ間のボイドを完全に排出することはできず、従来の接着剤組成物では、バンプ間のボイドの発生を充分に抑制するには至っていない。
【0005】
一方、バンプ間のボイドの発生を抑制するためには、例えば、ウエハ上に形成される接着剤層の表面を平滑にすることが有効である。例えば、特許文献3には、バイトを用いた切削加工により、バンプの表面及び絶縁膜の表面が連続して平坦となるように平坦化処理する工程を含む半導体装置の製造方法が記載されている。
しかしながら、特許文献3に記載の半導体装置の製造方法では、ダイシングにより個片化された接着剤層付き半導体チップを、他の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板にボンディングする際、接着剤層が半導体チップの周辺に充分にはみ出すことができず、いわゆるフィレットを充分に形成することができないことが問題である。フィレットは、線膨張係数の異なる部材を接合して得られる半導体装置において、温度サイクル等に曝された場合に発生する応力を分散させ、信頼性を改善するために重要である。従って、充分な量のフィレットを形成して、得られる半導体装置に高い信頼性を付与することのできる接着剤組成物及び半導体装置の製造方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−294382号公報
【特許文献2】特開2007−116079号公報
【特許文献3】特開2009−94545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ボンディング時にバンプ間にボイドを生じにくく、耐リフロー性及び信頼性に優れた半導体装置を製造するために用いることのできる接着剤組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該接着剤組成物を用いた半導体装置の製造方法、及び、該半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、熱硬化性化合物と、前記熱硬化性化合物と反応可能な官能基を有するポリマーと、熱硬化剤とを含有する接着剤組成物であって、ボンディング温度での溶融粘度が10Pa・s以上15000Pa・s以下であり、ボンディング温度でのゲルタイムが10秒以上であり、かつ、240℃でのゲルタイムが1秒以上10秒以下である接着剤組成物である。
以下、本発明を詳述する。
【0009】
本発明者らは、熱硬化性化合物と、熱硬化性化合物と反応可能な官能基を有するポリマーと、熱硬化剤とを含有する接着剤組成物であって、所定の温度における溶融粘度及びゲルタイムが所定の範囲内である接着剤組成物は、ボンディング時にバンプ間にボイドを生じにくいことを見出した。本発明者らは、該接着剤組成物を用いると、耐リフロー性及び信頼性に優れた半導体装置を製造することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明の接着剤組成物は、熱硬化性化合物を含有する。
上記熱硬化性化合物は特に限定されないが、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びビスマレイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0011】
上記エポキシ樹脂は特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するイソシアヌル酸誘導体、及び、これらの変性物、水添化物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記エポキシ樹脂のなかでも、25℃において固体であり、かつ、融点が50〜140℃であるエポキシ樹脂が好ましく、このようなエポキシ樹脂として、例えば、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂が挙げられる。
【0012】
また、上記エポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
本発明の接着剤組成物が上記2官能以上のエポキシ樹脂を含有する場合、上記2官能以上のエポキシ樹脂の含有量は特に限定されないが、上記熱硬化性化合物100重量部中の好ましい下限は60重量部である。上記2官能以上のエポキシ樹脂の含有量が60重量部未満であると、接着剤組成物に充分な耐熱性が発現しないことがある。
【0013】
上記ベンゾオキサジン樹脂は特に限定されず、市販品として、例えば、ベンゾオキサジンF−a型(四国化成工業社製)、ベンゾオキサジンP−d型(四国化成工業社製)、RLV−100(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。これらのベンゾオキサジン樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0014】
上記ビスマレイミド樹脂は特に限定されず、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド等が挙げられる。これらのビスマレイミド樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0015】
本発明の接着剤組成物は、上記熱硬化性化合物と反応可能な官能基を有するポリマー(以下、反応可能な官能基を有するポリマーともいう)を含有する。上記反応可能な官能基を有するポリマーを含有することで、接着剤組成物の硬化物は靭性をもち、優れた耐衝撃性を発現することができる。
【0016】
上記反応可能な官能基を有するポリマーは特に限定されず、例えば、アミノ基、ウレタン基、イミド基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等を有するポリマー等が挙げられる。なかでも、エポキシ基を有するポリマーが好ましい。
上記エポキシ基を有するポリマーを含有することで、接着剤組成物の硬化物は優れた靭性を発現し、上記熱硬化性化合物に由来する優れた機械的強度、耐熱性及び耐湿性と、上記エポキシ基を有するポリマーに由来する優れた靭性とを兼備して、高い接合信頼性、接続信頼性を発現することができる。
【0017】
上記エポキシ基を有するポリマーは、末端及び/又は側鎖(ペンダント位)にエポキシ基を有するポリマーであれば特に限定されず、例えば、エポキシ基含有アクリルゴム、エポキシ基含有ブタジエンゴム、ビスフェノール型高分子量エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、エポキシ基含有(メタ)アクリル樹脂、エポキシ基含有スチレン樹脂、エポキシ基含有ウレタン樹脂、エポキシ基含有ポリエステル樹脂等が挙げられる。なかでも、エポキシ基を多く含み、得られる接着剤組成物の硬化物の機械的強度、耐熱性等をより高められることから、エポキシ基含有(メタ)アクリル樹脂、エポキシ基含有スチレン樹脂が好ましい。これらのエポキシ基を有するポリマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記反応可能な官能基を有するポリマーとして、上記エポキシ基を有するポリマー、特にエポキシ基含有(メタ)アクリル樹脂、エポキシ基含有スチレン樹脂を用いる場合、該エポキシ基を有するポリマーのエポキシ当量の好ましい下限は200、好ましい上限は2000である。上記エポキシ当量が200未満であると、接着剤組成物の硬化物が堅く、脆くなることがある。上記エポキシ当量が2000を超えると、接着剤組成物の硬化物の機械的強度、耐熱性等が不充分となることがある。上記エポキシ基を有するポリマーのエポキシ当量のより好ましい上限は1000である。
なお、本明細書中、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルとの両方を意味する。
【0018】
上記反応可能な官能基を有するポリマーの重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は9000、好ましい上限は60万である。上記反応可能な官能基を有するポリマーの重量平均分子量が9000未満であると、接着剤組成物の造膜性が不充分となり、例えば、接着剤組成物をフィルム状にしようとしても、フィルムとして形状を保持することができないことがある。上記反応可能な官能基を有するポリマーの重量平均分子量が60万を超えると、接着剤組成物の最低溶融粘度が高くなりすぎることがある。上記反応可能な官能基を有するポリマーの重量平均分子量は、より好ましい上限が30万である。
【0019】
上記反応可能な官能基を有するポリマーのガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、好ましい下限が0℃、好ましい上限が150℃である。上記反応可能な官能基を有するポリマーのガラス転移温度が0℃未満であると、得られる接着剤組成物を用いて、温度サイクル等に曝された場合にも不良の発生しない半導体装置を製造することが困難となることがある。上記反応可能な官能基を有するポリマーのガラス転移温度が150℃を超えると、接着剤組成物の最低溶融粘度が高くなりすぎることがある。上記反応可能な官能基を有するポリマーのガラス転移温度(Tg)は、より好ましい下限が50℃、より好ましい上限が100℃である。
【0020】
本発明の接着剤組成物における上記反応可能な官能基を有するポリマーの配合量は特に限定されないが、上記熱硬化性化合物100重量部に対する好ましい下限が1重量部、好ましい上限が500重量部である。上記反応可能な官能基を有するポリマーの配合量が1重量部未満であると、接着剤組成物の硬化物は、熱によるひずみが発生する際、靭性が不充分となり、接合信頼性が劣ることがある。上記反応可能な官能基を有するポリマーの配合量が500重量部を超えると、接着剤組成物の硬化物の耐熱性が低下することがある。
【0021】
本発明の接着剤組成物は、熱硬化剤を含有する。
上記熱硬化剤は特に限定されず、例えば、アミン化合物、変性アミン、酸無水物、フェノール性水酸基を有する化合物等が挙げられる。
上記熱硬化剤は、フラックス性を有する熱硬化剤であることが好ましく、このような熱硬化剤として、例えば、酸無水物、フェノール性水酸基を有する化合物等が挙げられる。
【0022】
上記酸無水物は特に限定されず、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。なかでも、疎水化されていることから、メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの酸無水物は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
また、上記酸無水物として、3官能以上の酸無水物粒子を用いてもよい。上記3官能以上の酸無水物粒子は特に限定されず、例えば、無水トリメリット酸等の3官能の酸無水物からなる粒子、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物等の4官能以上の酸無水物からなる粒子等が挙げられる。
【0023】
上記3官能以上の酸無水物粒子の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限が0.1μm、好ましい上限が5μmである。上記3官能以上の酸無水物粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、酸無水物粒子の凝集が生じ、接着剤組成物が増粘することがある。上記3官能以上の酸無水物粒子の平均粒子径が5μmを超えると、接着剤組成物中で硬化時に酸無水物粒子が充分に拡散することができず、硬化不良となることがある。
【0024】
また、上記酸無水物が、上記3官能以上の酸無水物粒子とともに2官能酸無水物を含有する場合、これらの配合比は特に限定されないが、上記3官能以上の酸無水物粒子の含有量(重量)を上記2官能酸無水物の含有量(重量)で除した値[=(3官能以上の酸無水物粒子の含有量)/(2官能酸無水物の含有量)]の好ましい下限が0.1、好ましい上限が10である。上記値が0.1未満であると、上記3官能以上の酸無水物粒子を添加する効果が充分に得られないことがある。上記値が10を超えると、接着剤組成物の硬化物が脆くなり、充分な接着信頼性が得られないことがある。上記値のより好ましい下限は0.2、より好ましい上限は8である。
【0025】
上記フェノール性水酸基を有する化合物は特に限定されず、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエンフェノール、アラルキルフェノール、トリスフェノール、テトラキスフェノール、レゾール型フェノール、ビフェニルジメチレン型フェノール、フェノール樹脂−シリカハイブリッド、及び、これらの誘導体、変性体等が挙げられる。なかでも、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエンフェノール、ビフェニルジメチレン型フェノール、フェノール樹脂−シリカハイブリッド、及び、これらの誘導体、変性体が好ましい。
【0026】
本発明の接着剤組成物における上記熱硬化剤の配合量は特に限定されない。例えば、本発明の接着剤組成物が、上記熱硬化性化合物としてエポキシ樹脂を含有し、上記熱硬化剤としてアミン化合物、変性アミン等のアミン系硬化剤、酸無水物又はフェノール性水酸基を有する化合物を含有する場合、上記熱硬化剤の反応性基のモル数は、上記エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数に対して0.7〜1.3倍であることが好ましい。
【0027】
本発明の接着剤組成物は、融点が120〜260℃の熱硬化促進剤を含有してもよい。
上記熱硬化促進剤の融点が120℃未満であると、接着剤組成物に溶剤を添加し、半導体ウエハに接着剤組成物を塗布後、溶剤を乾燥する工程で、例えば80℃で30分間加熱した後のゲル分率が高くなって、ボンディング時にボイドを生じやすくなり、また、140℃におけるゲルタイムが短縮し、充分な量のフィレットを形成することが困難となる。上記熱硬化促進剤の融点が260℃を超えると、熱硬化促進剤が硬化時の熱で完全に溶けず、半導体装置の信頼性が低下することがある。
【0028】
上記熱硬化促進剤は、融点が120〜260℃であれば特に限定されないが、市販品として、例えば、2MZ、2MZ−P、2PZ、2PZ−PW、2P4MZ、C11Z−CNS、2PZ−CNS、2PZCNS−PW、2MZ−A、2MZA−PW、C11Z−A、2E4MZ−A、2MA−OK、2MAOK−PW、2PZ−OK、2MZ−OK、2PHZ、2PHZ−PW、2P4MHZ、2P4MHZ−PW、2E4MZ・BIS、VT、VT−OK、MAVT、MAVT−OK(以上、四国化成工業社製)等が挙げられる。これらの熱硬化促進剤のなかでも、130℃までは安定で、135〜200℃で活性化する熱硬化促進剤が特に好ましく、このような熱硬化促進剤として、上述したもののなかでは、2MA−OK、2MAOK−PW等が挙げられる。
【0029】
また、本発明の接着剤組成物が、上記熱硬化性化合物としてエポキシ樹脂を含有する場合には、上記熱硬化促進剤として、例えば、イミダゾール化合物、イミダゾールの包摂化合物、イミダゾールのマイクロカプセル、第三級アミン化合物、ジシアンジアミド、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等を用いることができる。
また、本発明の接着剤組成物が、上記熱硬化性化合物としてベンゾオキサジン樹脂を含有する場合には、上記熱硬化促進剤として、例えば、イミダゾール化合物を用いることができ、上記エポキシ樹脂、上記フェノール性水酸基を有する化合物等を併用してもよい。
更に、本発明の接着剤組成物が、上記熱硬化性化合物としてビスマレイミド樹脂を含有する場合には、上記熱硬化促進剤として、例えば、C−C二重結合を有する化合物、グリシジルエーテル化合物、イミダゾール化合物等を用いることができる。
【0030】
本発明の接着剤組成物における上記熱硬化促進剤の配合量は特に限定されないが、上記熱硬化性化合物100重量部に対する好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が20重量部である。上記熱硬化促進剤の配合量が0.1重量部未満であると、接着剤組成物が充分に硬化しないことがある。上記熱硬化促進剤の配合量が20重量部を超えると、接着剤組成物の接続信頼性が低下することがある。本発明の接着剤組成物における上記熱硬化促進剤の配合量は、上記熱硬化性化合物100重量部に対するより好ましい上限が15重量部である。
【0031】
本発明の接着剤組成物は、必要に応じて、溶剤を含有してもよい。
上記溶剤を含有することで、接着剤組成物の作製を容易にすることができ、また、得られる接着剤組成物を半導体ウエハ又はチップに塗布し、接着剤層を形成することを容易にすることができる。更に、これらの目的を達成した後、乾燥することで、上記溶剤を除去することができる。なお、上記溶剤を乾燥する方法は特に限定されないが、例えば、熱風オーブン、赤外線による加熱オーブン、真空乾燥オーブン等を用いる方法が好ましい。
【0032】
上記溶剤は特に限定されないが、上記熱硬化性化合物と、上記熱硬化性化合物と反応可能な官能基を有するポリマーと、上記熱硬化剤とを溶解するが、上記熱硬化促進剤を溶解しない溶剤が好ましく、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アセテート系溶剤、NMP、DMC、DMF、リモネン等が挙げられる。
【0033】
上記溶剤は、除去後の残存量が1%以下であることが好ましい。
上記溶剤の沸点は特に限定されないが、上記熱硬化性化合物の反応率が20%以下である温度で乾燥できることが好ましい。
また、上記溶剤は、接着剤組成物をスピンコートによって塗布する場合には、沸点が110℃以上であることが好ましい。
更に、上記溶剤は、接着剤組成物をスクリーン印刷、スリットコート又はスプレーコートによって塗布する場合には、沸点が140℃〜220℃であることが好ましい。上記溶剤の沸点が140℃未満であると、半導体ウエハ等に塗布される際に接着剤組成物が乾燥してしまい、作業性が低下することがある。上記溶剤の沸点が220℃を超えると、溶剤の乾燥に高温での加熱が必要となり、硬化反応が進行してしまい、半導体ウエハ等を良好にボンディングすることが困難となることがある。
【0034】
本発明の接着剤組成物における上記溶剤の配合量は特に限定されないが、上記熱硬化性化合物と、上記熱硬化性化合物と反応可能な官能基を有するポリマーと、上記熱硬化剤との合計100重量部に対する好ましい下限が20重量部、好ましい上限が1000重量部である。
【0035】
本発明の接着剤組成物は、必要に応じて、無機フィラーを含有してもよい。
上記無機フィラーは特に限定されないが、例えば、金属、金属酸化物、シリカ、アルミナ、窒化アルミ、ガラス、窒化ボロン、窒化ケイ素、シリコン等が挙げられる。
【0036】
上記無機フィラーの形状は特に限定されないが、球形であることが好ましい。
上記無機フィラーの平均粒子径は特に限定されないが、好ましい上限が3μmである。上記無機フィラーの平均粒子径が3μmを超えると、接着剤組成物を用いてバンプを接合する際、無機フィラーをかみ込み、得られる半導体装置の信頼性が低下することがある。上記無機フィラーの平均粒子径は、より好ましい上限が1μm、更に好ましい上限が0.5μmである。また、接着剤組成物の溶融粘度の増加を抑えるために、平均粒子径の異なる2種以上の無機フィラーが併用されてもよい。
【0037】
上記無機フィラーの屈折率は特に限定されないが、透明性に優れた接着剤組成物を得るためには、上記熱硬化性化合物、上記熱硬化性化合物と反応可能な官能基を有するポリマー及び上記熱硬化剤の屈折率との差異が±0.5以内であることが好ましい。
【0038】
本発明の接着剤組成物における上記無機フィラーの配合量は特に限定されないが、本発明の接着剤組成物中の好ましい下限が30重量部、好ましい上限が80重量部である。上記無機フィラーの配合量が30重量部未満であると、接着剤組成物の硬化後の線膨張係数が大きくなり、温度サイクル等に曝された場合にも不良の発生しない半導体装置を製造することが困難となることがある。上記無機フィラーの配合量が80重量部を超えると、接着剤組成物の半導体ウエハ等への塗布が困難となることがある。
【0039】
また、本発明の接着剤組成物は、実質的に無機フィラーを含有していなくてもよい。
本明細書中、実質的に無機フィラーを含有しないとは、本発明の接着剤組成物における上記無機フィラーの配合量が1重量%以下であることを意味する。上記無機フィラーの配合量が1重量%を超えると、例えば、バンプを有する半導体ウエハのバンプを有する面に接着剤組成物を塗布して、接着剤層を形成し、その後、バンプの表面が接着剤層から露出するように表面平坦化する際、バイトの摩耗等の不具合が生じることがある。
【0040】
本発明の接着剤組成物は、必要に応じて、ポリイミド等のフィラーを含有してもよい。
本発明の接着剤組成物は、更に、必要に応じて、消泡剤、イオントラッパー、フラックス、着色剤、カップリング剤、反応性希釈剤、ゴム成分、ゴム粒子、レベリング剤、難燃剤等を含有してもよい。
【0041】
本発明の接着剤組成物は、ボンディング温度での溶融粘度が10Pa・s以上15000Pa・s以下である。上記ボンディング温度での溶融粘度を上記範囲内とすることで、接着剤組成物は、ボンディング時にバンプ間のボイドを充分に排出でき、このような接着剤組成物を用いて製造される半導体装置は、信頼性に優れる。
上記ボンディング温度での溶融粘度が10Pa・s未満であると、接着剤組成物を塗布した半導体ウエハ又はチップを、凹凸のある他の半導体ウエハ又はチップにボンディングする際、凹凸のある他の半導体ウエハ又はチップ側にボイドを生じやすく、このような接着剤組成物を用いて製造される半導体装置は、信頼性に劣る。上記ボンディング温度での溶融粘度が15000Pa・sを超えると、接着剤組成物を塗布した半導体ウエハ又はチップをボンディングする際、必要な加重が大きくなりすぎ、バンプの位置ズレ又は半導体チップの傾きが生じやすく、このような接着剤組成物を用いて製造される半導体装置は、信頼性に劣る。
【0042】
本発明の接着剤組成物は、ボンディング温度でのゲルタイムが10秒以上である。上記ボンディング温度でのゲルタイムを上記範囲内とすることで、ボンディング時にバンプ間のボイドを充分に排出でき、このような接着剤組成物を用いて製造される半導体装置は、信頼性に優れる。
上記ボンディング温度でのゲルタイムが10秒未満であると、ボイドを排出する前に接着剤組成物が硬化してしまい、ボイドが残ってしまう。
【0043】
なお、本明細書中、ボンディングとは、接着剤組成物を塗布した半導体ウエハ又はチップを、該接着剤組成物を介して、他の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板に接合する工程と、その後バンプの接続を行うために、加重をかけ、加熱する工程とを意味する。
また、本明細書中、ボンディング温度とは、接着剤組成物を塗布した半導体ウエハ又はチップを、該接着剤組成物を介して、他の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板に接合する工程での温度であって、接着剤組成物を流動させ、ボイドのない接合体を製造するための温度である。このようなボンディング温度は、例えば、140〜180℃であることが好ましい。上記ボンディング温度が140℃未満であると、半導体ウエハ等を充分固定できず、位置ズレが発生することがある。上記ボンディング温度が180℃を超えると、次のバンプの接合で、接着剤組成物がバンプ間にかみ込み、導通不良が発生することがある。
【0044】
また、本明細書中、ボンディング温度での溶融粘度とは、溶融粘度計を用いて、昇温速度5℃/分で35℃から200℃まで昇温しながら、周波数1rad秒でコーンプレート剪断時において測定したボンディング温度での溶融粘度を意味する。
更に、本明細書中、ゲルタイムとは、JIS C2161 Bに準拠して測定したゲルタイムを意味する。
【0045】
本発明の接着剤組成物は、240℃でのゲルタイムが1秒以上10秒以下である。上記240℃でのゲルタイムを上記範囲内とすることで、接着剤組成物を用いて製造される半導体装置は、耐リフロー性及び信頼性に優れる。
上記240℃でのゲルタイムが1秒未満であると、接着剤組成物がバンプ間にかみ込みやすくなる。上記240℃でのゲルタイムが10秒を超えると、バンプを接合した後の冷却時にボイドが生じやすくなる。
なお、本明細書中、240℃との温度条件は、本発明の接着剤組成物を用いて半導体装置を製造する場合に、バンプを介して接合を行う際に通常用いられる条件である。
【0046】
本発明の接着剤組成物を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記熱硬化性化合物、上記反応可能な官能基を有するポリマー、上記熱硬化剤等の各材料を所定量配合して混合することにより接着剤組成物を得る方法等が挙げられる。
上記混合する方法は特に限定されず、例えば、遊星式攪拌機、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、3本ロール等を用いて混合する方法等が挙げられる。
【0047】
本発明の接着剤組成物の用途は特に限定されないが、例えば、半導体装置を製造するために用いられる。
なかでも、バンプと、バンプを有する面にバンプの表面が露出するように形成された樹脂層とを有する半導体ウエハ又はチップと、バンプを有する別の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板とを、本発明の接着剤組成物を用いてボンディングすることで、ボイドの発生を抑制しながら、耐リフロー性及び信頼性に優れた半導体装置を製造することができる。
なお、上記バンプと、バンプを有する面にバンプの表面が露出するように形成された樹脂層とを有する半導体ウエハ又はチップを得るためには、例えば、半導体ウエハ又はチップのバンプと、バンプを有する面にバンプが埋もれるように形成された樹脂層とを、例えば、バイトを用いた切削加工により、バンプの表面が樹脂層から露出するように表面平坦化する方法等が用いられる。このような表面平坦化した面に更に本発明の接着剤組成物を用いて樹脂層を形成することで、充分なフィレットを形成することができる。
【0048】
バンプを有する第1の半導体ウエハの前記バンプを有する面に、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物を用いて、バンプ平均高さに対して5〜50μm高い厚みとなるように樹脂層1を形成する工程、バイトを用いて、切削後のバンプ平均高さが切削前の97〜50%となるように、前記樹脂層1及び前記バンプを切削する工程、前記第1の半導体ウエハの切削された面に、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物、又は、30〜80重量%の無機フィラーを含有する本発明の接着剤組成物を用いて、厚み5〜50μmの樹脂層2を形成する工程、必要に応じ、前記第1の半導体ウエハを個片化し半導体チップとする工程、及び、前記第1の半導体ウエハ又は前記個片化された半導体チップを、第2の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板にバンプを介して接続する工程を有する半導体装置の製造方法もまた、本発明の1つである。
このような半導体装置の製造方法を、第1の本発明の半導体装置の製造方法という。
【0049】
バンプを有する第1の半導体ウエハの前記バンプを有する面に、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物、又は、30〜80重量%の無機フィラーを含有する本発明の接着剤組成物を用いて、バンプ平均高さに対して5〜50μm高い厚みとなるように樹脂層1を形成する工程、前記樹脂層1を硬化させる工程、グラインドにより、切削後のバンプ平均高さが切削前の97〜50%となるように、前記樹脂層1及び前記バンプを切削する工程、前記第1の半導体ウエハの切削された面に、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物、又は、30〜80重量%の無機フィラーを含有する本発明の接着剤組成物を用いて、厚み5〜50μmの樹脂層2を形成する工程、必要に応じ、前記第1の半導体ウエハを個片化し半導体チップとする工程、及び、前記第1の半導体ウエハ又は前記個片化された半導体チップを、第2の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板にバンプを介して接続する工程を有する半導体装置の製造方法もまた、本発明の1つである。
このような半導体装置の製造方法を、第2の本発明の半導体装置の製造方法という。
【0050】
以下、本発明の半導体装置の製造方法について説明する。
まず、第1の本発明の半導体装置の製造方法について説明する。
第1の本発明の半導体装置の製造方法では、まず、バンプを有する第1の半導体ウエハの前記バンプを有する面に、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物を用いて、バンプ平均高さに対して5〜50μm高い厚みとなるように樹脂層1を形成する工程を行う。
上記樹脂層1の厚みがバンプ平均高さに対して5μm未満であると、後の工程にて、バイトを用いて、上記第1の半導体ウエハ全面の上記樹脂層1及び上記バンプを切削することは難しい。上記樹脂層1の厚みがバンプ平均高さに対して50μmを超えると、後の工程にて、バイトを用いて、上記第1の半導体ウエハ全面の上記樹脂層1及び上記バンプを切削するのに時間がかかり、生産性に劣る。
【0051】
上記樹脂層1を形成する工程において、上記樹脂層1には、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物を用いる。上記樹脂層1に無機フィラーを含有する接着剤組成物を用いると、後の工程におけるバイトを用いた切削時にバイトの摩耗が顕著となり、半導体装置の生産性が低下する。
【0052】
上記樹脂層1を形成する方法は特に限定されず、例えば、接着剤組成物を、スピンコート、スプレーコート、スクリーン印刷、スリットコート等の塗布方式で供給した後、必要に応じて溶剤を乾燥する方法、エアディスペンス、ジェットディスペンス等のディスペンス方式で必要とされる箇所に塗布する方法等が挙げられる。
また、上記樹脂層1を形成する方法として、接着剤組成物を離型フィルム上に塗布してシート状にした後、必要に応じて乾燥及びポリマーへの重合を行い、次いで、上記第1の半導体ウエハの上記バンプを有する面に貼り合わせ、上記離型フィルムを剥離する方法等も挙げられる。このような方法において、上記離型フィルムは、BGテープであってもよく、DCテープであってもよい。
なお、上記樹脂層1を形成した後、上記樹脂層1は、室温で流動性を示さないことが好ましい。
【0053】
また、上記樹脂層1を形成する工程において、上記反応可能な官能基を有するポリマーについては、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物に予め混合し、上記第1の半導体ウエハに塗布してもよいし、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物をシート状にした後に、UV又は熱等で一部又は全ての上記反応可能な官能基を有するポリマーを重合して、上記第1の半導体ウエハに貼り合わせてもよいし、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物を上記第1の半導体ウエハに塗布した後に、UV又は熱等で重合してもよい。
【0054】
第1の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、バイトを用いて、切削後のバンプ平均高さが切削前の97〜50%となるように、前記樹脂層1及び前記バンプを切削する工程を行う。
上記切削後のバンプ平均高さが切削前の97%を超えると、上記バンプの高さにはバラツキがあることから、上記第1の半導体ウエハ全面の上記バンプを切削することは難しい。上記切削後のバンプ平均高さが切削前の50%未満であると、上記バンプを切削するのに時間がかかり、生産性に劣る。
【0055】
第1の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、前記第1の半導体ウエハの切削された面に、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物、又は、30〜80重量%の無機フィラーを含有する本発明の接着剤組成物を用いて、厚み5〜50μmの樹脂層2を形成する工程を行う。
上記樹脂層2の厚みが5μm未満であると、後の工程にて、上記第1の半導体ウエハ又は個片化された半導体チップを、第2の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板にバンプを介して接続する際に、ボイドの発生を充分に抑制することができない。上記樹脂層2の厚みが50μmを超えると、後の工程にて、上記第1の半導体ウエハ又は個片化された半導体チップを、第2の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板にバンプを介して接続する際に、バンプ間に上記樹脂層2等がかみ込んだり、接続のために必要な加重が大きくなりすぎたりする。
【0056】
上記樹脂層2は、可視光透過率が50%以上であることが好ましい。上記樹脂層2の可視光透過率が50%未満であると、後の工程にて、上記第1の半導体ウエハ又は個片化された半導体チップを、第2の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板にバンプを介して接続する際に、位置合わせが困難となり、アライメント性が低下することがある。
また、上記樹脂層2は、ヘイズ値が60%以下であることが好ましい。
【0057】
第1の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、必要に応じ、前記第1の半導体ウエハを個片化し半導体チップとする工程を行う。
【0058】
第1の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、前記第1の半導体ウエハ又は前記個片化された半導体チップを、第2の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板にバンプを介して接続する工程を行う。
上記接続する工程では、例えば、半導体ウエハ同士を接続してもよく、半導体チップ同士を接続してもよく、半導体ウエハと半導体チップとを接続してもよく、半導体チップと基板とを接続してもよい。
【0059】
第1の本発明の半導体装置の製造方法では、上記樹脂層1のボンディング温度での溶融粘度が、上記樹脂層2のボンディング温度での溶融粘度の1〜1000倍であることが好ましい。
上記樹脂層1のボンディング温度での溶融粘度が、上記樹脂層2のボンディング温度での溶融粘度の1倍未満であると、ボンディング時に上記樹脂層1が流動しすぎ、バンプ間のボイドの発生を充分に抑制することができないことがある。上記樹脂層1のボンディング温度での溶融粘度が、上記樹脂層2のボンディング温度での溶融粘度の1000倍を超えると、上記樹脂層1は、バンプを接合する際のバンプの変形に充分に追従することができないことがある。
第1の本発明の半導体装置の製造方法では、上記樹脂層1のボンディング温度での溶融粘度が、上記樹脂層2のボンディング温度での溶融粘度の5倍以上であることがより好ましく、100倍以下であることがより好ましく、50倍以下であることが更に好ましい。
なお、例えば、上記反応可能な官能基を有するポリマーの重量平均分子量、本発明の接着剤組成物における配合量等を調整することで、上記樹脂層1のボンディング温度での溶融粘度を上記範囲とすることができる。
【0060】
次に、第2の本発明の半導体装置の製造方法について説明する。
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、まず、バンプを有する第1の半導体ウエハの前記バンプを有する面に、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物、又は、30〜80重量%の無機フィラーを含有する本発明の接着剤組成物を用いて、バンプ平均高さに対して5〜50μm高い厚みとなるように樹脂層1を形成する工程を行う。
上記樹脂層1の厚みがバンプ平均高さに対して5μm未満であると、後の工程にて、グラインドにより、上記第1の半導体ウエハ全面の上記樹脂層1及び上記バンプを切削することは難しい。上記樹脂層1の厚みがバンプ平均高さに対して50μmを超えると、後の工程にて、グラインドにより、上記第1の半導体ウエハ全面の上記樹脂層1及び上記バンプを切削するのに時間がかかり、生産性に劣る。
【0061】
上記樹脂層1を形成する工程において、上記樹脂層1には、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物を用いてもよく、30〜80重量%の無機フィラーを含有する本発明の接着剤組成物を用いてもよいが、30〜80重量%の無機フィラーを含有する本発明の接着剤組成物を用いることが好ましい。30〜80重量%の無機フィラーを含有する本発明の接着剤組成物を用いることで、後の工程にて、グラインドにより、上記第1の半導体ウエハ全面の上記樹脂層1及び上記バンプを切削する際に、使用する砥石の発刃を促進することもできる。
【0062】
上記樹脂層1を形成する方法は特に限定されず、第1の本発明の半導体装置の製造方法における方法と同様の方法が挙げられる。
【0063】
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、前記樹脂層1を硬化させる工程を行う。
上記樹脂層1を硬化させることにより、上記樹脂層1が充分な硬度を有し、後の工程にて、一般的なグラインドにより、上記樹脂層1及び上記バンプを切削し、上記第1の半導体ウエハの表面を平坦化することができる。
【0064】
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、グラインドにより、切削後のバンプ平均高さが切削前の97〜50%となるように、前記樹脂層1及び前記バンプを切削する工程を行う。
上記切削後のバンプ平均高さが切削前の97%を超えると、上記バンプの高さにはバラツキがあることから、上記第1の半導体ウエハ全面の上記バンプを切削することは難しい。上記切削後のバンプ平均高さが切削前の50%未満であると、上記バンプを切削するのに時間がかかり、生産性に劣る。
【0065】
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、研削した上記バンプ上にハンダバンプを形成する工程を行ってもよい。これにより、上記バンプの高さのバラツキを低減するとともに、ボイドの発生を抑制することができる。
上記ハンダバンプを形成する方法は特に限定されず、例えば、レジストを用いてメッキ等により形成する方法、スクリーン印刷、無電解メッキ、ボール搭載方式等が挙げられる。
【0066】
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、前記第1の半導体ウエハの切削された面に、実質的に無機フィラーを含有しない本発明の接着剤組成物、又は、30〜80重量%の無機フィラーを含有する本発明の接着剤組成物を用いて、厚み5〜50μmの樹脂層2を形成する工程を行う。
上記樹脂層2の厚みが5μm未満であると、後の工程にて、上記第1の半導体ウエハ又は個片化された半導体チップを、第2の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板にバンプを介して接続する際に、ボイドの発生を充分に抑制することができない。上記樹脂層2の厚みが50μmを超えると、後の工程にて、上記第1の半導体ウエハ又は個片化された半導体チップを、第2の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板にバンプを介して接続する際に、バンプ間に上記樹脂層2等がかみ込んだり、接続のために必要な加重が大きくなりすぎたりする。
【0067】
上記樹脂層2の可視光透過率及びヘイズ値は特に限定されないが、第1の本発明の半導体装置の製造方法における上記樹脂層2の可視光透過率及びヘイズ値と同様であることが好ましい。
【0068】
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、必要に応じ、前記第1の半導体ウエハを個片化し半導体チップとする工程を行う。
【0069】
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、前記第1の半導体ウエハ又は前記個片化された半導体チップを、第2の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板にバンプを介して接続する工程を行う。
上記接続する工程では、例えば、半導体ウエハ同士を接続してもよく、半導体チップ同士を接続してもよく、半導体ウエハと半導体チップとを接続してもよく、半導体チップと基板とを接続してもよい。
【0070】
このような本発明の半導体装置の製造方法において、上記第1の半導体ウエハ又は上記個片化された半導体チップは、表面に複数のバンプを有する。また、上記第2の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板は、表面に複数のバンプを有するか、上記第1の半導体ウエハ又は上記個片化された半導体チップに応じた電極を有する。
【0071】
このような本発明の半導体装置の製造方法を用いることで、耐リフロー性及び信頼性に優れた半導体装置を製造することができる。
なかでも、得られる半導体装置は、上記樹脂層1及び上記樹脂層2の硬化物が所定範囲の弾性率を有することで、温度サイクル等に曝された場合にも、応力が分散することにより優れた信頼性を維持することができる。
【0072】
本発明の半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置であって、前記樹脂層1の硬化物は、25℃における弾性率が3〜9GPaであり、上記樹脂層2の硬化物は、25℃における弾性率が2〜5GPaである半導体装置もまた、本発明の1つである。
【0073】
上記樹脂層1の硬化物の25℃における弾性率が3GPa未満であると、上記樹脂層1の硬化物は、温度サイクル等に曝された場合、上記樹脂層1の硬化物の変形が大きくなり、バンプ周りを保護する機能を果たせないことがある。上記樹脂層1の硬化物の25℃における弾性率が9GPaを超えると、温度サイクル等に曝された場合、例えば、半導体チップ周辺において剥離が発生する等の不具合が生じ、半導体装置の信頼性が低下することがある。
また、上記樹脂層2の硬化物の25℃における弾性率が2GPa未満であると、上記樹脂層2の硬化物は、温度サイクル等に曝された場合、上記樹脂層2の硬化物の変形が大きくなり、バンプ周りを保護する機能を果たせないことがある。上記樹脂層2の硬化物の25℃における弾性率が5GPaを超えると、温度サイクル等に曝された場合、半導体装置の信頼性が低下することがある。
【0074】
なお、本明細書中、上記樹脂層1及び上記樹脂層2の硬化物の25℃における弾性率は、上記樹脂層1及び上記樹脂層2の硬化物について、粘弾性測定機(型式「DVA−200」、アイティー計測制御社製)を用いて、昇温速度5℃/分、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで−50℃から300℃まで昇温し、25℃にて測定して得られる値である。
【発明の効果】
【0075】
本発明によれば、ボンディング時にバンプ間にボイドを生じにくく、耐リフロー性及び信頼性に優れた半導体装置を製造するために用いることのできる接着剤組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該接着剤組成物を用いた半導体装置の製造方法、及び、該半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0077】
(実施例1〜9、比較例1〜3)
(1)接着剤組成物の調製
表1の組成に従って、ホモディスパーを用いて下記に示す各材料を攪拌混合し、接着剤組成物を調製した。
【0078】
(熱硬化性化合物)
(エポキシ樹脂)
HP−7200HH(DIC社製、エポキシ当量275〜280g/eq、軟化点87〜92℃)
NC−3000−H(日本化薬社製、エポキシ当量288g/eq、軟化点91℃)
EPR−4030(ADEKA社製、エポキシ当量380g/eq、60Pa・s(25℃))
YX−8800(ジャパンエポキシレジン社製、205g/eq)
YX−4000HK(ジャパンエポキシレジン社製、187〜197g/eq)
807(ビスF型エポキシ)(ジャパンエポキシレジン社製、160〜175g/eq)
DAMGIC(四国化成工業社製)
【0079】
(ベンゾオキサジン樹脂)
RLV−100(エア・ウォーター・ケミカル社製)
ベンゾオキサジンF−a型(四国化成工業社製、軟化点30℃)
(ビスマレイミド樹脂)
BMI−2300(大和化成工業社製、融点70〜145℃)
【0080】
(反応可能な官能基を有するポリマー)
CP−30(日油社製、重量平均分子量9000、エポキシ当量530g/eq)
G−0250M(日油社製、重量平均分子量20000〜25000、エポキシ当量310g/eq)
G−2050M(日油社製、重量平均分子量20万〜25万、エポキシ当量340g/eq)
ポリマーA(イソボロニルアクリレート13重量部、2−エチルヘキシルアクリレート73重量部、グリシジルメタクリレート14重量部及び光重合開始剤(イルガキュア651)0.2重量部を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行って得られた重量平均分子量60万のアクリル共重合体)
【0081】
(熱硬化剤)
(酸無水物)
YH−307(ジャパンエポキシレジン社製、中和当量113〜121g/eq)
(フェノール性水酸基を有する化合物)
GPH−103(日本化薬社製、OH当量231g/eq、軟化点102℃)
VH−4150(DIC社製、BPAノボラック型樹脂、OH当量118g/eq、軟化点85〜89℃)
【0082】
(熱硬化促進剤)
2MAOK−PW(四国化成工業社製、融点260℃)
2MZA−PW(四国化成工業社製、融点248〜258℃)
【0083】
(シランカップリング剤)
KBM−573(信越化学工業社製)
(無機フィラー)
MT−10(トクヤマ社製、1次平均粒子径15nm)
SE−2050−SPJ(アドマテックス社製)
(溶剤)
MEK(メチルエチルケトン)
【0084】
得られた接着剤組成物について、ボンディング温度(140℃及び180℃)での溶融粘度(Pa・s)及びゲルタイム(秒)を測定した。また、240℃でのゲルタイム(秒)を測定した。なお、ゲルタイムは、JIS C2161 Bに準拠して測定した。結果を表1に示す。
【0085】
(2)半導体装置の作製(工法1)(実施例1、2、4、8、9、比較例1、2、3)
(2−1)樹脂層1の形成、及び、表面平坦化
表1の組成に従って、ホモディスパーを用いて上記に示す各材料を攪拌混合し、接着剤組成物を調製した。
WALTS−TEG MB50−0101JY_PAD15μm(直径200mm、厚さ725μm、PI:4μm厚、Cuピラー30μmt+半田15μmt、ウォルツ社製)のバンプを有する面に、得られた接着剤組成物を、乾燥被膜の厚さが55μmとなり、かつ、バンプが埋もれるように、スピンコートにより塗布した。その後、80℃20分間加熱して、溶剤を揮発させ、バンプと、バンプが埋もれるように形成された樹脂層1とを有するシリコンウエハを得た。
得られたバンプと樹脂層1とを有するシリコンウエハを、切削加工装置(DFS8910、DISCO社製)を用いて、25℃にて、半田部分の平均高さが40μmとなるように切削し表面平坦化した。
【0086】
(2−2)樹脂層2の形成
得られたバンプと樹脂層1とを有するシリコンウエハのバンプと樹脂層1とを有する面に、上記で得られた接着剤組成物を、乾燥被膜の厚さが約10μmとなるようにスピンコートにより塗布し、バンプと樹脂層1と樹脂層2とを有するシリコンウエハを得た。
【0087】
(2−3)ダイシング
得られたバンプと樹脂層1と樹脂層2とを有するシリコンウエハの裏面をダイシングテープで補強した後、ダイシング装置(DFD6362、DISCO社製)に取りつけ、25℃にて、ステップカット(ファーストカット深さ=シリコンウエハ表面から80μm、セカンドカット深さ=ウエハフルカット)にて、シリコンウエハを7.3mm×7.3mmの半導体チップの大きさに個片化し、半導体チップを得た。
【0088】
(3)半導体装置の作製(工法2)(実施例3、5、6、7)
(3−1)樹脂層1の形成、及び、表面平坦化
表1の組成に従って、ホモディスパーを用いて上記に示す各材料を攪拌混合し、接着剤組成物を調製した。
WALTS−TEG MB50−0101JY_PAD15μm(直径200mm、厚さ725μm、PI:4μm厚、Cuピラー30μmt+半田15μmt、ウォルツ社製)のバンプを有する面に、得られた接着剤組成物を、乾燥被膜の厚さが55μmとなり、かつ、バンプが埋もれるように、スピンコートにより塗布した。その後、80℃20分間加熱して、溶剤を揮発させ、バンプと、バンプが埋もれるように形成された樹脂層1とを有するシリコンウエハを得た。
次いで、樹脂層1を170℃30分で硬化した。得られたバンプと樹脂層1とを有するシリコンウエハを、研削加工装置(DFG8560、DISCO社製)を用いて、25℃にて、半田部分の平均高さが40μmとなるように切削し表面平坦化した。更に、(2−2)及び(2−3)と同様にして、樹脂層2の形成及びダイシングを行った。
【0089】
(実施例10〜14)
樹脂層1及び2が、それぞれ、表2に記載の実施例で作製した樹脂層となるようにして、表2に記載のように上記工法1又は2を用いて、半導体チップを得た。
【0090】
<評価>
実施例及び比較例で得られた個片化した半導体チップを、半導体チップを介して電気的に接続されたときに半導体チップ内のメタル配線とデイジーチェーンとなるように銅が配線された20mm×20mm×0.75mm厚の基板(ガラス/エポキシ系FR−4)に、ボンディング装置(FC3000、東レエンジニアリング社製)を用いて、バンプにかかる実温度が180℃、10秒、10N+240℃、10秒、10Nの条件にてボンディングした。その後、オーブンにて170℃30分で完全硬化を行った。
【0091】
樹脂層1及び樹脂層2について、溶融粘度計を用いて、ボンディング温度での溶融粘度を、昇温速度5℃/分で140℃、180℃の一定温度で、周波数1rad秒でコーンプレート剪断時における溶融粘度を測定した、(樹脂層1の溶融粘度)/(樹脂層2の溶融粘度)は、表1及び表2に示すとおりであった。
また、完全硬化後の樹脂層1及び樹脂層2の25℃における弾性率(MPa)は、表1に示す通りであった。弾性率は、粘弾性測定機(型式「DVA−200」、アイティー計測制御社製)を用いて、昇温速度5℃/分、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで−50℃から300℃まで昇温し、25℃にて測定した。また、tanδのピーク温度をTg(℃)とした。
結果を表1に示す。
【0092】
(1)ボイド観察1(SAT)
得られた半導体装置について、超音波映像装置(SAT)(mi−scope hyper、日立建機ファインテック社製)を用いてボイドの有無を確認した。ボイドの面積が1%以上であった場合を×、1%未満であった場合を○とした。
(2)ボイド観察2(光学顕微鏡)
得られた半導体装置をチップ側から、チップと水平に、チップがなくなるまで研磨し、光学顕微鏡でバンプ間のボイドを観察した。全バンプ間に30μm以上のボイドが1つ以上あった場合を×、30μm以上のボイドがみられなかった場合を○とした。
【0093】
(3)導通試験
得られた半導体装置のデイジーチェーンの導通を確認し、導通抵抗値が25〜35Ωであった場合を○、25Ω未満又は35Ω以上であった場合を×とした。
【0094】
(4)リフロー試験
得られた半導体装置について、60℃、60%RH、120時間吸湿させ、ピーク温度260℃のリフローオーブンに3回通し、チップ−樹脂層1及び樹脂層2−基板の剥がれの評価及び導通試験を行った。
上記剥がれ評価については、ボイドの面積が1%以上であった場合を×、1%未満であった場合を○とした。上記導通試験については、導通抵抗値が25〜35Ωであった場合を○、25Ω未満又は35Ω以上であった場合を×とした。
【0095】
(5)温度サイクル試験
得られた半導体装置について、−55〜125℃(30分/1サイクル)、1000サイクルの温度サイクル試験を行い、チップ−樹脂層1及び樹脂層2−基板の剥がれの評価及び導通試験を行った。実施例10〜14については、同様に5000サイクルの温度サイクル試験も行った。
上記剥がれ評価については、ボイドの面積が1%以上であった場合を×、1%未満であった場合を○とした。上記導通試験については、導通抵抗値が25〜35Ωであった場合を○、25Ω未満又は35Ω以上であった場合を×とした。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明によれば、ボンディング時にバンプ間にボイドを生じにくく、耐リフロー性及び信頼性に優れた半導体装置を製造するために用いることのできる接着剤組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該接着剤組成物を用いた半導体装置の製造方法、及び、該半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性化合物と、前記熱硬化性化合物と反応可能な官能基を有するポリマーと、熱硬化剤とを含有する接着剤組成物であって、
ボンディング温度での溶融粘度が10Pa・s以上15000Pa・s以下であり、
ボンディング温度でのゲルタイムが10秒以上であり、かつ、
240℃でのゲルタイムが1秒以上10秒以下である
ことを特徴とする接着剤組成物。
【請求項2】
熱硬化性化合物は、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びビスマレイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1記載の接着剤組成物。
【請求項3】
熱硬化剤は、酸無水物又はフェノール性水酸基を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の接着剤組成物。
【請求項4】
熱硬化性化合物と反応可能な官能基を有するポリマーは、重量平均分子量が9000〜60万であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の接着剤組成物。
【請求項5】
実質的に無機フィラーを含有しないことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の接着剤組成物。
【請求項6】
更に、30〜80重量%の無機フィラーを含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の接着剤組成物。
【請求項7】
バンプを有する第1の半導体ウエハの前記バンプを有する面に、請求項5記載の接着剤組成物を用いて、バンプ平均高さに対して5〜50μm高い厚みとなるように樹脂層1を形成する工程、
バイトを用いて、切削後のバンプ平均高さが切削前の97〜50%となるように、前記樹脂層1及び前記バンプを切削する工程、
前記第1の半導体ウエハの切削された面に、請求項5又は6記載の接着剤組成物を用いて、厚み5〜50μmの樹脂層2を形成する工程、
必要に応じ、前記第1の半導体ウエハを個片化し半導体チップとする工程、及び、
前記第1の半導体ウエハ又は前記個片化された半導体チップを、第2の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板にバンプを介して接続する工程を有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
樹脂層1のボンディング温度での溶融粘度が、樹脂層2のボンディング温度での溶融粘度の1〜1000倍であることを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
バンプを有する第1の半導体ウエハの前記バンプを有する面に、請求項5又は6記載の接着剤組成物を用いて、バンプ平均高さに対して5〜50μm高い厚みとなるように樹脂層1を形成する工程、
前記樹脂層1を硬化させる工程、
グラインドにより、切削後のバンプ平均高さが切削前の97〜50%となるように、前記樹脂層1及び前記バンプを切削する工程、
前記第1の半導体ウエハの切削された面に、請求項5又は6記載の接着剤組成物を用いて、厚み5〜50μmの樹脂層2を形成する工程、
必要に応じ、前記第1の半導体ウエハを個片化し半導体チップとする工程、及び、
前記第1の半導体ウエハ又は前記個片化された半導体チップを、第2の半導体ウエハ若しくはチップ、又は、基板にバンプを介して接続する工程を有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
グラインドにより、切削後のバンプ平均高さが切削前の97〜50%となるように、樹脂層1及びバンプを切削する工程の後、
第1の半導体ウエハの切削された面に、請求項5又は6記載の接着剤組成物を用いて、厚み5〜50μmの樹脂層2を形成する工程の前に、
研削したバンプ上にハンダバンプを形成する工程を有する
ことを特徴とする請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項7、8、9又は10記載の半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置であって、
樹脂層1の硬化物は、25℃における弾性率が3〜9GPaであり、
樹脂層2の硬化物は、25℃における弾性率が2〜5GPaである
ことを特徴とする半導体装置。

【公開番号】特開2011−157529(P2011−157529A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22513(P2010−22513)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】