説明

接着剤転写シート

【課題】接着剤を患部に対して薄く適当な厚みに転写することができ、例えば25℃において1,000〜5,000,000mPa・sの粘度を有する接着剤の硬化性が良好である接着剤転写シートを提供する。
【解決手段】主な素材が、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂からなり、主面に1〜5,000μmの範囲の深さを有する幾何学的な形状のへこみが形成され、そのへこみの内面がウレタンプレポリマーを含む液状の接着剤に対してその硬化時に非接着性を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤転写シートに関し、特に医療用の接着剤転写シートに関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術では、創傷部、患部、切開部(以下、患部という。)を閉じるために縫合糸が一般的に用いられているが、手術時間を短縮する、抜糸を不要にする又は血管等の細部を接着する等の目的で、縫合に代えて又は縫合と併せてフィブリン糊などの生体適合性に優れた接着剤が塗布されることもある。
接着剤で前記患部を閉じる従来の方法としては、患部に直接接着剤を塗布する直接塗布法;シリコーンシート及びフッ素樹脂シート等の転写シートに接着剤を塗布してから患部に接着剤を転写し、反応後シートを除く転写法;ダクロン、酸化セルロース、コラーゲン、キチン、ポリウレタン、ポリエステル又はPVA等でできた布又は不織布を患部に当て、その上から接着剤を塗布する被覆接着法;生体組織の接合部の一部に縫合糸をかけ、残りの接合部にシールするように接着剤を塗布する縫合固定法等が挙げられる(特許文献1及び2)。また、塗布する方法としては、毛筆、ピンセット又はスパチュラ等を用いる方法及びフレオン又は窒素ガスを使用したスプレイ法等が挙げられる(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−227762号公報
【特許文献2】国際公開第WO03/051952号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、接着剤を必要以上に厚塗りしてしまい、所望の厚さで塗布できない。また、薄く塗布しようとした場合、塗りムラが生じる。さらに、ウレタンプレポリマーを含む接着剤の場合、その粘度が高いので、転写接着法でさえ、必要以上に厚塗りしがちとなり、そのため硬化時間がかかりすぎる。
それ故、本発明の課題は、接着剤を患部に対して薄く適当な厚みに転写することができ、接着剤の硬化性が良好である接着剤転写シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その課題を解決するために、本発明の接着剤転写シートは、
主面に1〜5,000μmの範囲の深さを有する幾何学的な形状のへこみが形成され、そのへこみの内面がウレタンプレポリマーを含む液状の接着剤に対してその硬化時に非接着性を有することを特徴とする。
ここで、幾何学的な形状とは、深さ方向の断面が方形、半円形、V字形、W字形等、硬化後の接着剤が患部上で最適の形状となるように一定の法則性又は規則性をもった形状を指す。この転写シートを使用するときは、へこみに接着剤を適量充填した状態で、へこみの部分を生体の患部に当て、接着剤が硬化する時間経過した後、シートを剥がす。へこみの内面が接着剤に対して非接着性を有するので、接着剤はへこみの形状に倣って患部上に適当な厚さに塗布される。例えば、へこみの断面が方形であるときは、接着剤は均一な厚さに塗布される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の接着剤転写シートは以下の効果を奏する。
(1)接着剤を患部に対して薄く適当な厚みに塗布することができる。
(2)接着剤の硬化性が良好で、短時間で被膜を転写することができる。
(3)患部に透明な被膜を形成できる。
(4)接着剤が硬化するまでの間、接着剤が他の部位に付着するのを転写シートが防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の接着剤転写シートの第一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の接着剤転写シートの第二の実施形態を示す斜視図である。
【図3】図2の接着剤転写シートのXX線断面図である。
【図4】図1の接着剤転写シートのへこみに接着剤を充填し、血管の外周に巻き付けた状態を示す斜視図である。
【図5】接着剤が血管の外周に転写された状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の接着剤転写シートの第三の実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の接着剤転写シートの第四の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面をもとに本発明について詳細に説明する。
本発明において、接着剤転写シートは、図1、または図2及び図3に示すようにウレタンプレポリマーを含む液状の接着剤を被接着物に転写するための接着剤転写シート1であって、少なくとも片面に深さ1〜5,000μmのへこみ2を少なくとも1つ有することを特徴とするものである。
【0009】
接着剤転写シートの素材としては、シート上で接着剤が硬化した際に、シート上から接着剤を剥離することができる樹脂であれば限定なく使用できるが、接着剤に対する剥離性の観点から、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂が好ましい。
【0010】
シリコーン樹脂としては、MQ(メチルシリコーン樹脂)、VMQ(ビニルメチルシリコーン樹脂)、PMQ(フェニルメチルシリコーン樹脂)、FVMQ(フロロシリコーン樹脂)及びニトリルシリコーン樹脂等が挙げられる。
【0011】
フッ素樹脂としては、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂が挙げられ、具体的には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン(四フッ化エチレン(C24)とパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体)及びPVDF(ポリビニリデンフルオライド)等が挙げられる。
【0012】
本発明の接着剤転写シートの厚みは、患部の大きさによって適宜選択されるが、操作性の観点から、10〜20,000μmが好ましく、さらに好ましくは20〜15,000μm、特に好ましくは30〜10,000μmである。
【0013】
本発明の接着剤転写シートの形は、患部を覆う大きさのへこみを有することができれば特に限定されず、例えば、長方形、正方形、円形、楕円形等が挙げられる。
シートの大きさも、患部の大きさ及び操作性の観点によって適宜選択される。例えば、シートの形が長方形である場合、長辺の長さが、2〜100cmであることが好ましく、さらに好ましくは3〜90cm、特に好ましくは4〜80cmである。また、短辺の長さは、0.5〜50cmであることが好ましく、さらに好ましくは1〜40cm、特に好ましくは1.5〜30cmである。
シートの形が正方形の場合、一辺の長さが、2〜100cmであるものが好ましく、さらに好ましくは3〜90cm、特に好ましくは4〜80cmである。
シートの形が円形の場合、直径が2〜100cmの円であるものが好ましく、さらに好ましくは3〜90cm、特に好ましくは4〜80cmである。
シートの形が楕円形の場合、長径の長さが、2〜100cmであるものが好ましく、さらに好ましくは3〜90cm、特に好ましくは4〜80cmである。また、短径の長さは、0.5〜50cmであることが好ましく、さらに好ましくは1〜40cm、特に好ましくは1.5〜30cmである。
【0014】
本発明の接着剤転写シートは、深さ1〜5,000μmのへこみを有している。
本発明の接着剤転写シートのへこみの深さは、1〜5,000μmであるが、5〜4,000μmが好ましく、さらに好ましくは10〜3,000μmである。この範囲にあると、接着剤を被接着物に対して薄く適当な厚みに塗布でき、さらに、短時間で転写することができる。
【0015】
へこみのある面に対して鉛直方向に切断した場合、へこみの断面は、形成したい膜の形によって適宜選択され、V字形、方形及び弧形等が挙げられるが、均一な厚みに塗布する観点及び硬化性の観点から、方形であることが好ましい。
【0016】
本発明の接着剤転写シートのへこみの平面視形状は、患部を覆う大きさのへこみであれば特に限定なく使用でき、例えば、長方形、正方形、円形、楕円形等が挙げられる。
【0017】
接着剤転写シートのへこみが平面視長方形である場合、へこみの大きさは、患部の大きさによって適宜選択されるが、操作性の観点から、長辺の長さが、2〜100cmが好ましく、さらに好ましくは3〜90cm、特に好ましくは4〜80cmである。短辺の長さは、患部の大きさによって適宜選択されるが、操作性の観点から、0.5〜50cmが好ましく、さらに好ましくは1〜40cm、特に好ましくは1.5〜30cmである。
へこみは、その長辺又は短辺の長さをシートの長辺又は短辺の長さと同じにして、一側面が開放されるようにしてもよいし(図1)、全周が閉じられていても良い(図2)。
接着剤転写シートのへこみが楕円形である場合、長軸の長さは、患部の大きさによって適宜選択されるが、操作性の観点から、0.5〜50cmが好ましく、さらに好ましくは1〜40cm、特に好ましくは1.5〜30cmである。
【0018】
接着剤転写シートのへこみの開口面積は、操作性の観点から、シートのへこみのある面の全面積に対して、1〜90%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜85%、特に好ましくは5〜80である。
【0019】
本発明の接着剤転写シートのへこみ部分の底からシートの反対側の面までの厚みは、シートの耐久性及び操作性のの観点から、1〜5,000μmが好ましく、さらに好ましくは5〜4,000μm、特に好ましくは10〜3,000μmである。
【0020】
本発明の接着剤転写シートは、上記へこみを少なくとも1個有すればいいが、操作性の観点から、1〜10個有することが好ましい。
【0021】
ウレタンプレポリマーを含む液状の接着剤は、内臓、皮膚、粘膜及び血管等における外科手術に使用される接着剤であり、血液や体液の漏洩が生じ易い心臓、動脈等の血管、呼吸器及び消化器等の箇所における止血並びに組織の接着等に使用される。なお、接着剤はヒト以外の動物(ペットや家畜)の外科手術にも使用できる。
【0022】
本発明において、接着剤としては、公知のウレタンプレポリマーを含む液状の接着剤が使用でき、例えば、特開昭62−148666、特開昭62−290465、特開平01−227762、特開2003−552828又は特開2005−312935等に記載されているウレタンプレポリマーを含む接着剤等が挙げられる。
【0023】
接着剤の25℃における粘度は、1,000〜5,000,000mPa・sが好ましく、さらに好ましくは3,000〜1,000,000mPa・s、特に好ましくは5,000〜500,000mPa・sである。この範囲であることで、接着剤転写シートのへこみ中に容易に塗布することができ、被接着物である患部に薄く適当な厚みに塗布することができる。
【0024】
接着剤を転写シートのへこみに接着剤を塗布する方法としては、ヘラ、細長い円筒形の棒、毛筆、ピンセット及びスパチュラ等を用いる方法等が挙げられる。均一な膜を形成する観点から、ヘラを用いて塗布する方法が好ましい。
【0025】
本発明において、上記接着剤中のウレタンプレポリマーは、水の存在下で硬化する湿気硬化型ウレタンプレポリマーである。シートのへこみに、接着剤を充填し、充填面を患部に接触させ固定した場合、通常、接着剤が大気中の水から遮断されるため、硬化が遅くなる。しかしながら、本発明の接着剤転写シートを用いて接着剤を塗布した場合、薄く適当な厚みに塗布することができるので、患部表面に存在する水分だけで硬化するほどにウレタンプレポリマーの硬化性が良好で、短時間で接着剤を転写することができる。
また、塗布される接着剤の厚みが薄いので、ウレタンプレポリマーの発泡が起こりにくく、透明な膜を形成することができる。したがって、接合部の剥離及び出血の有無を目視にて確認できる。これにより、接着剤の追加塗布或いは追加縫合等の処置の必要性を判断することができるとともに処置が行い易くなる。接着剤を被接着物に対して薄く適当な厚みに塗布できるため、接着剤の使用量が低減でき、生体への負担を軽減できる。
【0026】
接着剤を塗布する被接着物としては、特に限定なく使用でき、具体的には、内臓、皮膚、粘膜及び血管等が挙げられる。
【0027】
接着剤転写シートを使用した接着剤の塗布方法としては、全周的塗布法及び部分的塗布法が含まれる。
全周的塗布法とは、血管等の細長い筒状組織の側面に全周的に接着剤を塗布する方法を意味する。
部分的塗布法とは、組織の表面に部分的に接着剤を塗布する方法を意味する。
【0028】
本発明の接着剤転写シートを全周的塗布法に適用する具体例としては、接着剤を充填したシートを、図4に示すように血管等の筒状組織4の表面に、充填面を内側にして全周的に巻き付け、余った部分を医療用クリップもしくはは鉗子等3で連結するか又は手で挟むことにより、シート1を組織に一定時間固定する方法等が挙げられる。いずれにしても接着剤の硬化時間が経過した後、シート1を剥がすことにより、図5に示すように接着剤5のみが筒状組織4の表面に残り、転写された状態となる。
【0029】
また、本発明の接着剤転写シートは、図6に示すように針金等の変形させやすい延性材料6がシート素材と一体化されていてもいい。図示の如く針金6が埋設されていることにより、針金6によってシート1の湾曲形状が保たれることから、クリップ等を用いずにシート1を患部に固定することができ、操作性が向上する。
【0030】
さらに、図7に示すようにシート1上の向かい合う辺に磁石7を有していてもいい。磁石7を合わせることによってシート1の湾曲形状が保たれることから、クリップ等を用いずに患部に固定することができ、操作性が向上する。
【0031】
本発明の接着剤転写シートを部分的塗布法に適用する具体例としては、心臓等の器官の出血部分に接着剤を塗布したシートをのせ、ヘラ又は鉗子等で固定する方法、手で押さえる方法等が挙げられる。
【0032】
本発明の接着剤転写シートは、工場出荷段階でへこみに接着剤が充填されたものであってもよい。この場合、接着剤への湿気進入や、接着剤の他物への付着などを防止するために、前記へこみを閉塞するようにへこみの開口端面にフィルムを貼り付けておくとよい。フィルムの材質も通常、接着剤に対して非接着性を有するものである。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、部は重量部を、%は重量%示す。
【0034】
<製造例>
ポリオール成分として、数平均分子量4,000、オキシエチレン基の含有量60%のエチレンオキサイド/1,2−プロピレンオキサイドランダム共付加体(以下、エチレンオキサイドをEO、1,2−プロピレンオキサイドをPOと略記する)100部を用い、このEO/POランダム共付加体を窒素雰囲気下、100℃にて2時間減圧下脱水した後、50℃に冷却し、フェノール系ラジカル補足剤として0.5部のテトラキス−[メチレン−3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(イルガノックス1010、チバスペシャリティケミカルズ社製)を添加し、30分間均一に撹拌した。さらに40℃に冷却した後、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)8.7部(NCO基/OH基比=2/1)を加え、均一に撹拌した後、80℃に昇温し、80℃で6時間反応させて、医療用接着剤を得た。この医療用接着剤の粘度は30,000mPa・sであった。
【0035】
<実施例1>
長辺19cm、短辺2.5cmに裁断した平らなシリコーンゴム(主成分:ポリアルキルアルケニルシロキサン架橋物、品名:珪樹一般タイプ、メーカー:三菱樹脂株式会社)の上に厚み50μmのセロハンテープを貼付することにより、本発明のへこみの代用として長辺4cm、短辺1.5cm、厚み50μmとなる平面視方形の枠を作製し、実施例1の転写シートとした。
【0036】
<実施例2>
実施例1で用いたものと同じシリコーンゴムシートの上に厚み50μmのセロハンテープを10枚重ね合わせて厚み500μmとしたものを貼付することにより、長辺4cm、短辺1.5cm、厚み500μmとなる平面視方形の枠を作製し、実施例2の転写シートとした。
【0037】
<実施例3>
実施例1で用いたものと同じシリコーンゴムシートの上に厚み1,500μmの消しゴム片(品名:エアイン、メーカー:プラスステーショナリー株式会社)を厚み90μmの両面テープ(品名:再生紙両面テープナイスタック一般タイプ、メーカー:ニチバン株式会社)で貼付することにより、長辺4cm、短辺1.5cm、厚み1,590μmとなる平面視方形の枠を作製し、実施例3の転写シートとした。
【0038】
<比較例1>
実施例1で用いたものと同じシリコーンゴムシートをそのまま比較例1の転写シートとした。
【0039】
<比較例2>
実施例1で用いたものと同じシリコーンゴムシートの上に厚み6,000μmの消しゴム片(品名:エアイン、メーカー:プラスステーショナリー株式会社)を厚み90μmの両面テープ(品名:再生紙両面テープナイスタック一般タイプ、メーカー:ニチバン株式会社)で貼付することにより、長辺2cm、短辺1cm、厚み6,090μmとなる平面視方形の枠を作製し、比較例2の転写シートとした。
【0040】
<評価1:硬化時間>
製造例で得た医療用接着剤を転写シート(実施例1〜3及び比較例2)の枠の内側にへらで塗り広げた。比較例1の転写シートに対しては、転写シートの中央部(長辺4cm、短辺1.5cm)に0.9ml塗り広げた。転写シートをステンレス製バット内に移した後、イオン交換水を素早く注ぎ、イオン交換水で医療用接着剤の液面を全て覆った。
医療用接着剤を指で10秒間隔で接触し、医療用接着剤が液状でなくなったことが確認できた時点を硬化完了と判定した。イオン交換水に接触させてから、硬化完了までの時間を硬化時間として測定した。
【0041】
【表1】

【0042】
表1の結果から、本発明の転写シート(実施例1〜3)及び比較例1は比較例2に比べ、硬化時間が早いことが分かる。
【0043】
<評価2:気泡数>
製造例で得た医療用接着剤を転写シート(実施例1〜3及び比較例2)の枠の内側に塗り広げた。比較例1の転写シートに対しては、転写シートの中央部(長辺4cm、短辺1.5cm)に0.9ml塗り広げた。転写シートをステンレス製バット内に移した後、イオン交換水を素早く注ぎ、イオン交換水で医療用接着剤の液面を全て覆った。60分経過した後、硬化した医療用接着剤に発生した気泡の数を目測で計った。そして、気泡の発生数をへこみの面積で除し、面積単位当りの気泡数を算出した。
【0044】
【表2】

【0045】
表2の結果から、本発明の転写シート(実施例1〜3)は比較例1及び2に比べ、気泡発生数が少ないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の転写シートは、医療用接着剤を被接着物に対して薄く適当な厚みに転写することができ、医療用接着剤の硬化性が良好で、短時間で硬化被膜を転写することができる。また、気泡の発生数が少ない透明な被膜を形成することができる。したがって、ヒト及びヒト以外の動物(ペットや家畜)の内臓、皮膚、粘膜及び血管等の患部に医療用接着剤を塗布するシートとして使用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 接着剤転写シート
2 へこみ
3 医療用クリップ
4 血管等の筒状組織
5 接着剤
6 針金
7 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面に1〜5,000μmの範囲の深さを有する幾何学的な形状のへこみが形成され、そのへこみの内面がウレタンプレポリマーを含む液状の接着剤に対してその硬化時に非接着性を有することを特徴とする接着剤転写シート。
【請求項2】
前記シートの主な素材が、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂である請求項1に記載の接着剤転写シート。
【請求項3】
前記接着剤が、25℃において1,000〜5,000,000mPa・sの粘度を有する請求項1又は2に記載の接着剤転写シート。
【請求項4】
主面に1〜5,000μmの範囲の深さを有する幾何学的な形状のへこみが形成され、そのへこみの内面がウレタンプレポリマーを含む液状の接着剤に対してその硬化時に非接着性を有する転写シートと、
前記へこみに充填された前記接着剤と
を備えることを特徴とする接着剤充填済み転写シート。
【請求項5】
更に、前記へこみを閉塞するようにへこみの開口端面に貼り付けられたフィルムを備える請求項4に記載の接着剤充填済み転写シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−32470(P2013−32470A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169923(P2011−169923)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】