説明

接着性の非多孔性の不活性コーティングおよび製造方法

本発明は、基板上に付着される化学的に不活性な高純度ポリオリゴマーの接着性の非多孔性コーティングを含む。コーティングは、比較的低い温度で基板上に塗布されかつ硬化され、比較的低い温度は、コーティングプロセスが、基板上の適所に、磁石、電子装置、およびボンディングパッド等の温度に敏感な構造体に実行できるようにする。センサおよび流体導管などのコーティングされた基板は、流体と接触する基板の表面に化学的に結合される、有効厚みの非多孔性の保護コーティングを有する。基板上の接着性の非多孔性コーティングは、基板を、流体との接触により引き起こされる腐食、粒子生成、スウェリング、または層間剥離から保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2004年2月20日に出願された米国仮特許出願第60/546,680号、および2004年12月16日に出願された米国仮特許出願第60/636,565号の利益を主張し、これらの出願の内容は、全体として参照により本開示に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
コストが低くかつサイズが小さいが、高い信頼性、感度、および線形性によって特徴付けられる、圧力センサ、化学センサ、およびハウジング材料を開発するために、持続的な努力が行われている。例えば、検出ダイアフラム、空洞、および抵抗素子を有する、複数の圧力センサ、温度センサ、および光学センサが、半導体製造プロセスを使用して単一のシリコンウェハ上に製造されることができる。このようなセルの処理では、圧力センサの薄いダイアフラムのようなセンサ素子が、優先的な化学エッチングを通してシリコンウェハ内に形成される。次に、ドーピング元素をダイアフラムに入れるために、イオン注入および拡散技術が使用され、その電気抵抗がひずみとともに変化する抵抗ブリッジ回路素子を形成する。その結果、ダイアフラムのたわみにより、圧電抵抗素子の抵抗値に変化が生じ、この変化は、次にダイアフラムにかけられる圧力の大きさに相関されることができる。
【0003】
標準的な単結晶シリコンウェハおよび標準的な半導体装置製造プロセスを使用すると、単一のウェハから多くのこのようなセルを製造することができ、なんらかの規模の利益を提供する。しかしながら、特に、半導体製造、長期的な医療インプラント、および自動車応用例などの高い圧力、温度、および腐食性流体が検知されなければならない用途では、シリコンは、様々な媒体による化学腐食、粒子生成、および浸食を受けやすい。集積回路、半導体、および金属電極という、1つの特に困難であり且つ敏感な用途は、人間または動物の体内に電気的または電子的な装置を植え込むことである。体内の細胞外の流体は、塩を含み、多くの場合、数多くの他のイオンまたは他の電解質を含む。体温では、厳しい急激な腐食は、装置の急速かつ時期尚早の故障につながる可能性がある。このような応用例の場合、圧力センサ、温度センサ、または化学センサと、これらの流体に接触する流体処理装置(つまり、カテーテル、ポンプ、熱交換器、または導管)は、高い化学的な純度であり、物理的に頑丈で、検知される媒体の厳しい環境に抵抗しなければならない。微細機械加工されたシリコンセンサセルが、化学的に厳しい環境でその優れた動作特性を実現するために、なんらかの形式の保護を含むことが有利であろう。媒体適合性のある高圧センサを製造するための現在の方法は、シリコーン油またはゲルなどの不活性流体内にシリコン検知チップを封入することと、圧力が、金属ダイアフラムおよび流体を通って検知チップに伝わらなければならないように、次に検知チップを金属ダイアフラムで検知される媒体からさらに分離することとを含む。シリコン圧力変換器セルの動作上の利点のいくつかを達成する一方で、これらのセンサのための製造プロセスは、比較的に高価でありかつ複雑である。
【0004】
圧電性圧力センサおよび容量性圧力センサは、通常、コンデンサまたはひずみ検知素子を形成するために、厚膜電極またはブリッジ素子でコーティングされることができる薄いセラミックプレートまたはダイアフラムである。しかしながら、これらそれぞれには、静電容量変化を検出するための複雑な回路、セラミック間の接合の要件、および通常は約1000psi(約7MPa)を超えない最大圧力能力などの特定の不利な点がある。さらに高圧の場合、金属ダイアフラムは、検知素子としての用途があるが、これらのダイアフラムは、一般的には腐食性の水溶液では役に立たない。金属ダイアフラムは、所定の厚さと圧力の場合、一般にセラミックダイアフラムより多くたわむ。金属ダイアフラムを用いると、ブリッジ素子または電極は、ブリッジ構造体または電極構造体を形成するために、薄膜ポリシリコンが続く金属、または金属ダイアフラム上に付着される金属上の誘電絶縁層に付着されることができる。例えば、薄膜ポリシリコン層は、ブリッジのピエゾ抵抗器を形成するために誘電体上に付着され、次に電気相互接続を提供するために薄膜メタライゼーションされる。従来のように、薄膜層は、通常は化学蒸着または物理蒸着等のプロセスによって付着される。これらのプロセスに必要な装置は高価であり、付着速度はきわめて低速であり、ハウジング、ベローズ、または導管などの複雑な構造体および大型の構造体とともに使用するのは困難である。薄膜層の付着は、要求される薄膜フォトレジストおよびメタライゼーションのための、複数のパターン形成ステップ、露光ステップ、現像ステップ、および剥離ステップを必要とし、コーティングされる表面に空気で伝播される粒子が存在していないことを保証するために、制御された環境で実施されなければならない。さらに、このようなプロセスは、通常は10,000オングストロームより厚くない薄膜を付着するため、金属ダイアフラムの表面は、付着された薄膜を貫通する、あるいは付着された薄膜に不連続性を生じさせる粗い表面特徴を回避するために、極端に滑らかでなければならない。最後に、結果として生じるポリシリコン薄膜ピエゾ抵抗器の抵抗は、温度とともに劇的に変化することがある。
【0005】
通常、センサは、化学的および機械的に保護されたハウジング内に入れられている。ハウジングは、センサおよびセンサの励起および信号処理のためのあらゆる関連する電子装置を本質的に取り囲んでいる。これは、機械的な保護をセンサに与えるが、媒体中の危険な化学物質および汚染物質からの保護も提供されなければならない。1つのタイプの圧力センサアセンブリでは、シリコーンゲル、フルオロシリコーン(fluorosilicone)ゲル、またはシリコーン油が、圧力センサの外面に塗布され、圧力センサが取り付けられるハウジングを本質的に部分的に充填する。ゲルまたはオイルは膜で覆われている。これらのセルの製造は、煩雑であり且つ高価である場合がある。
【0006】
電気絶縁の湿度バリヤーを基板上に提供するために、多様な材料が開発されてきた。これらの内の最も顕著なものの中に、デュポン社(E.I.DuPont de Nemours&Co.)による商品名「ケブラー(Kevlar)」で販売されているものなどの芳香族ポリイミドがある。しかしながら、ポリイミドは、きわめて粘性が高く、付着が困難であり、膜の欠陥につながる気泡を容易に取り込むことができる。パリレンNコーティングは、ジ(p−キシリレン)二量体を気化し、p−キシリレンフリーラジカルを生成するために蒸気を熱分解し、蒸気からポリオリゴマーを、比較的に低温、通常環境または環境以下で維持される基板上に凝縮することによって作られる。パリレンCは、ジ−モノクロロ−p−キシリレンから誘導され、パリレンDは、ジ(ジクロロ−p−キシリレン)から誘導されるが、パリレンNは、ジ(p−キシリレン)から誘導される。
【0007】
パリレンは、一般的に有利な電気的、化学的抵抗、および湿度バリヤー特性を有しているが、これらのポリオリゴマーが、特に湿潤状態では多くの基板表面に十分に接着しないことが判明している。これらのポリオリゴマーは、大部分の条件下では液体水にきわめて耐性があるが、それらは、パリレン膜と基板との間の界面で凝縮し、基板から膜を層間剥離させる傾向がある液体水を形成することがある水蒸気の浸透にさらされる。蒸着されたパリレン膜は、一般的にはきわめて結晶質でもあり、基板表面への水分の浸透のための経路も作り出すことがある亀裂を被りやすい。パリレンが、装置とより大きな基板を保護するために使用され、あるいは熱的に結合されたフッ化ポリマーケーシングが、使用されてきた。両方とも、重大な用途で比較的不十分な性能を示すことが判明している。パリレンコーティングは、高い拡散速度を被り、熱的に結合された装置は、装置または基板が処理条件に耐えることができるならば、結合継ぎ目で機械的応力亀裂を受けることが知られている。
【0008】
これらの有機コーティングは、単独でまたはフルオロシリコーンゲルとともにのどちらかで使用されてよい。フルオロシリコーンゲルは、センサ装置、ワイヤボンド、パッケージの部分、およびリードを保護するために使用される。フルオロシリコーンゲルには、(スウェリング等の)燃料との不相溶性を含むいくつかの不利な点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、センサ基板、光学基板、ハウジング、あるいは流体処理基板の保護コーティングに関し、この保護コーティングは、センサ、電極、基板上に付着される他の構造体の表面への流体およびイオンの浸透に対するバリヤーを構成する、頑健で接着性の絶縁コーティングを提供する。保護コーティングは、ハウジング表面、またはインペラ、可撓性ベローズ部材、およびミキサーのような流体と接触する他の構造体にも塗布されてよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、有効厚みの非多孔性の防護コーティングを有する構造体または基板を含み、防護コーティングは、接着性であり、かつ流体と接触する構造体の表面に化学的に結合される。コーティングされた構造体は、センサ、導管、キュベットまたはガス採取セルのような容器、ベローズ、流体処理機器の表面、あるいは透明な窓であってよいが、それらに限定されず、透明な窓は、化学処理中の流体、および好ましくはその特性が測定され、特徴付けられ、または輸送されなければならない流体と接触する。接着性の保護コーティングは、化学的に不活性であり、流体、イオン、および気体に低い浸透性を有する。構造体表面上の接着の非多孔性コーティングは、腐食、粒子生成、層間剥離、およびスウェリングを低減し、またはそれらから構造体表面および電極ならびに電気的構造体などの構造体上に形成される構造体を保護する。構造体の表面のコーティングは、下にある基板と接触する流体の悪影響により引き起こされる、反応、感度、または性能の変化を低減するまたは防止することができる。コーティングは、溶媒、およびポリオリゴマー、あるいはフッ素とポリオリゴマーの一部をセンサ表面に化学的に結合するための反応基とを含むポリオリゴマーを含む、コーティング材料から調製される。接着性コーティングは、非多孔性の膜を形成するために、センサ表面上に付着されるコーティング材料の気泡のない体積から溶媒を蒸発させることによって形成されることができる。非多孔性の膜は、非多孔性の防護コーティングを形成するために硬化されることができる。コーティングは基板表面に接着し、少なくとも一部が、センサの表面に化学的に結合される。硬化は、好ましくは下にある基板に悪影響を及ぼさない温度で生じ、コーティング材料溶媒の沸点未満、かつポリオリゴマー膜のTg未満であり得る。硬化は、全ての残りの溶媒を取り除くため、およびセラミック基板に対するコーティングの接着を強化するために、溶媒の沸点より高く、かつポリオリゴマー材料のTgより高い値まで温度を上げることを含んでよい。硬化された膜は、基板またはセンサが、装置で機能できる、あるいはエネルギー入力に対して測定可能な物理応答を生じさせることができる、密度、厚さ、および質量を有する。コーティングは、下にある基板または検知装置に対する腐食性の流体の影響を保護または削減し、それらを、粒子生成、劣化、スウェリング、または特に高純度腐食性流体における腐食から保護する。
【0011】
本発明の実施形態は、有効厚みの非多孔性の保護コーティングを有する流体接触構造体を含み、非多孔性の保護コーティングは、接着性であり、かつ流体に接触する構造体の表面に化学的に結合される。非多孔性の保護コーティングは、下にある構造体を、腐食、スウェリング、粒子生成、層間剥離、または汚染の発生から保護する。流体と接触する非多孔性の接着コーティングでコーティングされる構造体は、センサ、導管、キュベットなどの容器、ポンプハウジング、ミキサー、攪拌器、インペラ、ガス採取セル、ベローズ、ポンプ、流量計、または流量制御装置のような材料処理機器、または化学処理中に流体と接触することになる透明な窓を含んでよいが、それらに限定されない。ハウジングは、化学的に適切な材料、好ましくは流体に対して化学的に不活性である材料から作られてよい。いくつかのハウジング材料は、ハウジング表面の一部またはすべてに塗布されるポリオリゴマー材料のコーティングを含んでよい。接着性の保護コーティングは、化学的に不活性であり、流体、イオン、およびガスに低い浸透性を有する。様々な基板表面上の接着性の非多孔性コーティングは、腐食、粒子生成、層間剥離、または流体により引き起こされる化学的および物理的な変化から基板を保護する。コーティングは、溶媒、およびポリオリゴマー、あるいはフッ素および基板表面にポリオリゴマーの一部を化学的に結合するための反応基を含むポリオリゴマーを含む、コーティング材料から調製される。接着性コーティングは、非多孔性の膜を形成するために、基板表面に付着されているコーティング材料の気泡がない体積から溶媒を蒸発させることにより形成されることができる。非多孔性の膜は、非多孔性の保護コーティングを形成するために硬化されることができる。コーティングは基板表面に接着し、少なくとも一部が、基板の表面に化学的に結合される。硬化は、好ましくはコーティング材料溶媒の沸点未満であり、かつポリオリゴマー膜のTg未満の温度で生じる。硬化は、全ての残っている溶媒を取り除くため、およびコーティングの基板への接着を強化するために、溶媒の沸点より高く、かつポリオリゴマー材料のTgより高い値まで温度を上げることを含んでよい。硬化された膜は、基板が、材料または流体処理装置内で動作または機能できる、密度、厚さ、および質量を有することができる。接着性の非多孔性の保護コーティングは、材料処理物品のその部分を、粒子生成、劣化、および特に高純度の腐食性流体およびスラリーなどの材料での腐食から保護する。
【0012】
本発明の一実施形態は、測定される流体に接触するセンサの表面上に、有効厚みの接着性の保護コーティングを有する表面を有するセンサである。測定される流体の特性は、圧力、流量、温度、化学組成、化学純度、またはこれらの組み合わせを含んでよいが、それらに限定されない。コーティングは、好ましくは、センサ表面上の接着性の非多孔性コーティングであり、この接着性の非多孔性コーティングは、センサ表面およびセンサ表面上に形成される構造体を、腐食、粒子生成、層間剥離、または流体により引き起こされるセンサ応答および感度の変化から保護する。コーティングは、接着性の保護コーティングを形成するためにセンサ表面に化学的に結合される、フッ素を含む溶解性のポリオリゴマーを含む。接着性のコーティングは、センサの表面に形成されるまたは置かれるコーティング材料の非多孔性の蒸発膜を硬化することにより形成されることができる。好ましくは、硬化は、コーティング材料溶媒の沸点未満であり、かつポリオリゴマー膜のTg未満の温度で生じる。硬化は、全ての残りの溶媒を取り除くため、およびセラミック基板へのコーティングの接着を強化するために、溶媒の沸点より高く、かつポリオリゴマー材料のTgより高い値まで温度を上げることも含んでよい。装置およびセンサは、電気エネルギー、光エネルギー、機械エネルギー、または化学反応により、センサの状態を調べるための構造体、および前記センサの励起に対する前記物理応答を測定するための手段または構造体を含んでよい。1つまたは複数のセンサ表面上のこのような構造体は、抵抗性、容量性、トランジスタ、電気接点、光学接点、またはこれらの組み合わせを含んでよいが、これらに限定されない。センサは、セラミック材料を含む。好ましくは、センサの表面に形成されるまたは置かれるコーティング材料の非多孔性の膜は、非多孔性の膜を形成するために、基板上に付着されたコーティング材料に10%より多いポリオリゴマーを含む。センサは、温度、流量、化学純度、圧力、またはこれらの組み合わせ等であるが、これらに限定されない、1つまたは複数の流量特性を測定するために使用されてよい。センサ表面に付着されるまたは塗布されるポリオリゴマーコーティング材料は、オルガノシラン接着促進剤を含むことがある。接着性の保護コーティングは、センサの1つまたは複数の表面に形成されることができる。好ましくは、接着性の保護コーティングは、50ミクロンより厚い。センサ表面は、ポリオリゴマーをセンサ表面に化学的に結合するために処理されることができる。ポリオリゴマーは、ポリオリゴマーを含むフッ素をセンサ表面に結合するために、反応性のアミン基、水酸基、カボルキシル基、エステル基、アミド基、またはチオール基を含むが、これらに限定されない表面基に結合してよい。
【0013】
本発明の別の実施形態は、例えば流体サンプルまたは導管中の流体における、圧力、流量、温度、化学組成、化学純度、またはこれらの組み合わせなどの流体特性を測定するための方法である。方法は、測定される流体と接触するように、センサの表面上に有効厚みの接着性の保護コーティングを有する表面を有するセンサと、流体を接触させることを含む。接着性のコーティングは、接着性の保護コーティングを形成するために、ポリオリゴマーの一部がセンサ表面に化学的に結合される、フッ素を含む溶解性のポリオリゴマーを含む。接着性のコーティングは、センサの表面に形成されるまたは置かれるコーティング材料の非多孔性の膜を硬化することによって形成される。好ましくは、硬化は、コーティング材料溶媒の沸点未満であり、かつポリオリゴマー膜のガラス遷移温度Tg未満の温度で生じる。硬化は、全ての残っている溶媒を取り除くため、およびセラミック基板へのコーティングの接着を強化するために、溶媒の沸点より高く、かつポリオリゴマー材料のTgより高い値まで温度を上げることを含んでよい。エネルギーを接着性のコーティングがされた検知装置に加え、センサの物理応答を測定し、物理応答を標準的な関係性と比較することによって、コーティングされたセンサの物理応答を、圧力、温度、純度、流量、またはこれらの組み合わせなどであるが、これらに限定されない、流体特性に相関付けることが可能になる。方法は、ピエゾ抵抗材料、圧電材料、または熱抵抗(thermoresistive)材料である、コーティングされたセンサを使用して実行できる。方法は、容量センサ内に1つまたは複数のプレートを含むコーティングされたセンサを使用して実行されてよく、センサは、2枚のプレートと、流体と接触するプレート表面の1つに位置する接着性の非多孔性のペルフルオロ化された(perfluorinated)コーティングとを有する。
【0014】
本発明の別の実施形態は、センサの化学的に結合可能な流体接触表面に付着されるコーティング材料の非多孔性膜を形成することを含む、コーティングされたセンサを作成する方法である。コーティング材料の非多孔性膜は、フッ素を含む溶解性ポリオリゴマーおよびポリオリゴマーの反応基を含む。ポリオリゴマー反応基の少なくとも一部は、ポリオリゴマーの少なくとも一部を、化学的に結合可能な流体に接触するセンサの表面に結合するために、センサの表面の基と化学的に反応する。センサの化学的に結合可能な流体に接触する表面上の非多孔性フィルムは、非多孔性膜を形成するために、付着されたポリオリゴマーの10%より多くを含み、好ましくはコーティング材料がほとんどまたはまったく無駄にされない。非多孔性の膜は、センサ上に付着されたコーティング材料から溶媒を蒸発させることにより形成されてよく、代わりに非多孔性材料の膜が、センサ表面に置かれてよい。コーディング材料の非多孔性膜は、センサの化学的に結合可能な流体接触表面で硬化され、硬化は、ポリオリゴマー反応基をセンサ表面の化学的に結合可能な表面に化学的に結合し、センサの表面に接着性の保護コーティングを形成する。センサの化学的に結合可能な流体接触表面上のコーティング材料の非多孔性膜は、センサのポリオリゴマーに接触する表面の溶液から溶媒を取り除くことによって形成される。硬化ステップは、好ましくは、コンデンサ、トランジスタ、電気接点、光学接点、またはこれらの組み合わせのような抵抗構造体に対する損傷が、生じる可能性のある温度以下の温度で生じる。好ましくは、硬化は、コーティング材料溶媒の沸点未満であり、かつポリオリゴマー膜のTg未満の温度で生じ、さらに、全ての残っている溶媒を取り除くため、およびセラミック基板へのコーティングの接着を強化するために、溶媒の沸点より高く、かつポリオリゴマー材料のガラス遷移温度Tgより高い値まで温度を上げることを含む。なおさらに好ましくは、硬化は、約120℃未満の温度である。方法は、フッ素を含むポリオリゴマーが、ポリオリゴマーの鎖に脂肪族エーテル環を含む場合に実行される。方法において、流体接触表面は、清浄にされ、表面のプラズマエッチング、接着促進剤による化学的改質、酸化、または水酸化等であるが、これらに限定されない、選ばれた処理により化学的に結合可能にされることができる。方法で使用されるセンサは、抵抗器ブリッジ、抵抗器、コンデンサ、電極、トランジスタ、電気接点、光学接点、ボンディングパッド、またはこれらの組み合わせ等を含むが、これらに限定されない構造体を、その表面の1つまたは複数に含んでよい。コーティング材料は、センサ表面と反応するためにオルガノシラン接着促進剤、およびセンサ表面に接着性の保護コーティングを形成するために、ポリオリゴマーの少なくとも一部をセンサ表面に結合するためにポリオリゴマーの反応基を含む。方法は、50ミクロンより大きい厚さ、100ミクロンより大きい厚さ、2,500ミクロンより大きい厚さを有することがある、接着性の保護コーティングをセンサの表面上に形成するために使用されることができる。複数のコーティングが、基板上に付着され、かつ硬化されることができる。コーティングの方法は、センサダイアフラムをコーティングするために使用されることができる。方法は、コーティングの前、およびコーティング材料の硬化の前に、センサの表面に形成される、電極、抵抗ブリッジ構造体、サーミスタ、光学および電気入出力接続などであるが、これらに限定されない検知手段または構造体を有することができる。方法は、蒸発が帯電防止環境で実行される非多孔性膜を形成するために、センサ表面に塗布されるコーティング材料から溶媒を除去することを必要とする。方法は、化学硬化、熱硬化、光化学硬化、またはこれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されない硬化を使用することができる。
【0015】
本発明の別の実施形態は、圧力、流量、化学純度、化学組成、またはこれらの組み合わせ等であるが、これらに限定されない流体の特性を測定するための検知装置である。装置は、測定される流体に接触するために使用される、センサの表面上に有効厚みの接着性の保護コーティングを有する表面を有するセンサを含む。コーティングは、フッ素を含む溶解性ポリオリゴマーを含み、ポリオリゴマーの少なくとも一部は、接着性の保護コーティングを形成するために、センサ表面に化学的に結合される。接着性のコーティングは、センサの流体接触表面に形成されるまたは塗布されるコーティング材料の非多孔性の蒸発膜を硬化することにより形成されることができる。装置は、励起のために検知装置にエネルギーを加えるための構造体または手段と、励起および流体に対するセンサの物理応答を測定するための手段または構造体を含む。装置は、ハウジングを含み、このハウジングは、ハウジングの内部から、センサの流体と接触するコーティングされた側を隔離する。ハウジングは、センサの流体接触表面上に形成されるコーティング材料の接着性の非多孔性膜と、回路素子、ボンディングパッド、およびその上に付着される他の構造体を有することがあるセンサの第2の流体隔離表面との間の流体連通を防ぐ。装置は、1cmあたり30ダイン未満の表面エネルギーを有する、形成された接着性の保護コーティングを有するセンサを有することがある。1つまたは複数のセンサを取り付けるために使用されるハウジングは、流体入口と流体出口の接続を含んでよい。装置は、ピエゾ抵抗特性、圧電特性、熱抵抗特性、またはこれらの特性の組み合わせを含むが、これらに限定されないセンサ材料を含んでよい。好ましくは、装置は、膜を形成するために、センサの表面に形成されるコーティング材料の非多孔性(蒸発)膜が、センサ上に付着されたコーティング材料のポリオリゴマーの10%より多くを含むセンサを有する。付着および非多孔性膜形成のプロセスの間に、コーティング材料は、ほとんどまたはまったく失われない。さらに好ましくは、コーティング膜を形成するために、センサに付着されたコーティング材料のポリオリゴマーの70%より多く、なおさらに好ましくは約100%が、センサ表面にとどまる。貴重なペルフルオロ化されたコーティング材料またはカップリング剤などの再利用またはリサイクルは必要なく、廃棄物ストリームと関連する過剰な量の揮発性のペルフルオロ化された溶媒も排出されない。装置および取り付けられたセンサは、温度、流量、純度、化学組成、圧力、またはこれらの組み合わせであるが、これらに限定されない、1つまたは複数の流体特性を測定するために使用されてよい。好ましい実施形態の装置は、ポリオリゴマー鎖に脂肪族エーテル環構造を含むフッ素を含むポリオリゴマーでコーティングされるセンサを有する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、1つまたは複数のセンサを備える、流体の流量を測定するための検知装置であり、各センサは、測定される流体に接触する、センサの表面上に有効厚みの接着性の保護コーティングを有する表面を有する。コーティングは、フッ素を含む溶解性ポリオリゴマーを含み、センサ表面に化学的に結合されるポリオリゴマーは、接着性の保護コーティングを形成する。接着性のコーティングは、センサの流体接触表面に付着されるコーティング材料の非多孔性膜を硬化することにより形成される。装置は、流体がコーティングされたセンサ表面に接触するように、流体を導くための導管を含む。検知装置を励起するなどのエネルギーを加えるための構造体または手段、およびセンサからの物理応答を測定するための手段または構造体が、センサの表面に存在することができる。装置は、センサの流体接触表面上に形成されるコーティング材料の接着性の非多孔性膜と、センサの第2の流体隔離面との間の流体連通を妨げるように構成されるハウジングを含む。装置の各センサは、ハウジングに液体密封され、流体導管により互いに分離される。好ましくは、装置内のセンサは、膜を形成するために、センサ上に付着されるコーティング材料にポリオリゴマーの10%以上を含む、センサの表面上に形成されるコーティング材料の膜を有する。装置内のセンサは、1cmあたり30ダイン未満の表面エネルギーを有する、接着性の保護コーティングをそれらの表面に有することができる。装置は、ピエゾ抵抗性、圧電性、セラミック、金属、またはこれらの組み合わせからなるグループから選ばれる材料を含むが、これらに限定されないセンサを有することができる。装置内の前記センサを分離する流体導管は、管であってよく、センサは圧力センサである。装置内の前記センサを分離する流体導管は、ベンチュリ管であってよく、センサは圧力センサである。装置内のセンサを分離する流体導管は、オリフィスである場合があり、センサは圧力センサである。装置内のセンサを分離する流体導管は、管である場合があり、センサは圧力センサである場合がある。流体導管は、熱質量流量計からの層流要素であってよく、導管は、測定される流体に接触するために、センサの表面上に有効厚みの接着性の保護コーティングを形成するために、コーティング材料でその流体に接触する内径にコーティングされる。熱流センサの抵抗加熱および温度検知素子は、管の外側に巻き付けられまたは付着される。
【0017】
本発明の別の実施形態は、有効厚みの接着性の保護コーティングを有する表面を有するセンサを含む検知装置である。コーティングは、ポリオリゴマー鎖に脂肪族エーテル環構造を含むフッ素を含む溶解性ポリオリゴマーを含む。ポリオリゴマーは、接着性のコーティングを形成するためにセンサ表面に化学的に結合する。接着性のコーティングは、コーティングされるセンサの表面に形成されるまたは付着されるコーティング材料の非多孔性の蒸発膜を硬化することによって形成されることができる。好ましくは、硬化は、コーティング材料溶媒の沸点未満であり、かつポリオリゴマー膜のTg未満の温度で生じる。硬化は、全ての残りの溶媒を取り除くため、およびセンサ表面へのコーティングの接着を強化するために、溶媒の沸点より高く、かつポリオリゴマー材料のTgより高い値まで温度を上げることを含んでよく、好ましくは、センサ表面はセラミック基板である。装置内のセンサの表面上に形成されるコーティング材料の非多孔性膜は、好ましくは、非多孔性膜を形成するために、基板に付着されるコーティング材料のポリオリゴマーの10%より多くを含む。検知装置は、好ましくは、腐食、浸食、層間剥離、または粒子生成から、下にあるセンサを保護するために、センサ上の有効厚みのコーティングを有し、接着性の保護コーティングにより、センサは流体特性に対する測定可能な物理応答を生じさせることができる。
【0018】
本発明の別の実施形態は、センサの化学的に結合可能な流体接触表面上のコーティング材料に気泡を取り込まずに、ある量のコーティング材料を塗布または付着することを含む、コーティングされたセンサを作成する方法である。コーティング材料は、溶媒、基を含むフッ素、およびポリオリゴマーの鎖に脂肪族エーテル環を有する溶解性ポリオリゴマーを含み、ポリオリゴマーは、反応基を有する。ポリオリゴマーの反応基は、センサの化学的に結合可能な流体接触表面に、ポリオリゴマーを結合するために使用される。方法は、コーティング材料の非多孔性膜を形成するために、センサの化学的に結合可能な流体接触表面に塗布されるコーティング材料から溶媒を取り除くステップを有する。形成された非多孔性膜は、センサの流体接触表面に初めに塗布されるコーティング材料のポリオリゴマーの10%以上を含む。方法は、センサの化学的に結合可能な流体接触表面上のコーティング材料の非多孔性膜を硬化するステップを有する。硬化は、センサの化学的に結合可能な流体接触表面上に接着性の非多孔性保護コーティングを形成するために、ポリオリゴマーの反応基の少なくとも一部を、センサ表面の化学的に結合可能な表面に化学的に結合する。方法は、セラミック、鉱物、ポリオリゴマー、金属、またはこれらの組み合わせであってよいが、これらに限定されない、センサの化学的に結合可能な流体接触表面で使用されることができる。硬化は、コーティング材料溶媒の沸点未満であり、かつポリオリゴマー膜のTg未満の温度で生じ、全ての残りの溶媒を取り除くため、およびセラミック基板へのコーティングの接着を強化するために、溶媒の沸点より高く、かつポリオリゴマー材料のTgより高い値まで温度を上げることを含んでよい。好ましくは、硬化ステップは、センサの他の表面上の電子構造体に対する損傷が発生することのある温度以下の温度で生じ、より好ましくは、硬化温度は、120℃未満である。非多孔性膜の化学的および光化学的の処理が、センサ表面にそれを硬化するために使用されることができる。方法で使用されるセンサの化学的に結合可能な流体接触表面は、センサの化学的に結合可能な流体に接触表面を形成するために、接着促進剤またはオルガノシランで処理されることができる。方法は、1つまたは複数のセンサをコーティングするために使用されてよく、各センサは、化学的に結合可能な流体接触表面を有する。コーティング材料は、1つまたは複数のノズルを有するディスペンサにより各センサに塗布されることができる。方法で使用されるセンサの化学的に結合可能な流体接触表面は、セラミック材料またはその上にコーティングを有するセラミック材料を含むことができる。方法は、好ましくは、センサの表面上に有効厚みの接着性の非多孔性コーティングを結果として生じ、この接着性の非多孔性コーティングは、センサ表面およびセンサ表面上に形成される構造体を、腐食、粒子生成、層間剥離、スウェリング、または流体によって引き起こされるセンサ応答および感度の変化から保護し、なおさらに好ましくは、50ミクロンより大きい厚さ、およびなおさらに好ましくは100ミクロン以上の厚さを有する。コーティングの方法は、ダイアフラムを含むセンサに使用されてよい。方法の溶媒取り除きステップは、帯電防止環境で実行されてよい。方法の硬化ステップは、化学硬化、光化学硬化、熱硬化、またはこれらの組み合わせを含んでよいが、これらに限定されない。方法によってコーティングされるセンサは、抵抗性、容量性、トランジスタ、電気接点、光学接点、またはこれらの組み合わせからなるグループから選ばれるその1つまたは複数の表面に構造体を含むことができる。
【0019】
本発明の利点は、単一付着ステップで種々の基板に厚い非多孔性の保護コーティングを形成する能力を含む。本発明により、種々のセンサ、キュベット、可撓性ベローズ部材、ガスセル、光学ウィンドウ、材料処理装置、およびハウジングを、コーティングし、かつ厳しく腐食性の環境で使用できる。好ましくは、接着性の非多孔性コーティングは、下にある構造体を、腐食、粒子生成、層間剥離、または流体により引き起こされるセンサ応答および感度の変化から保護する。いくつかの場合には、センサの安価であるがより感度がいいバージョンが、保護膜と接着性膜でコーティングされることができ、腐食性で厳しい環境で使用され、コストを低減しかつ性能を改善することができる。コーティングプロセスは、単純であり、硬化に適したポリオリゴマーの非多孔性膜を形成するために処理できる基板に流体を塗布させる。プロセスは、廃棄物および化学物質の消費を最小限に抑え、全体的な性能を維持しまたは改善しながら、低コストのセンサを使用することにより全体的なコストを低減する。複数のセンサまたは他の流体に接触する構造体をコーティングする能力、および低温硬化プロセス条件を使用して構造体上にすでに形成された、リード、電子装置、およびボンドパッドを有する装置を、コーティングできるため、製造プロセスを簡略化する能力は、有利である。
【0020】
本発明によって作成される欠陥のない接着性の厚いコーティングは、コーティング厚さが増加するにつれ拡散および化学透過性は減少するため、類似する構造体に塗布される薄い方のコーティングより大きな化学および機械抵抗を提供する。複数のセンサがコーティングされ、材料廃棄物が最小限に抑えられるため、単一ステップでこのようなコーティングを行う能力により、それらは、製造が容易で費用効果が高いため、このようなコーティングの使用は有利になる。
【0021】
部分的に、本発明の実施形態の他の態様、特長、利点、および長所は、次の記載、請求項、および添付図面に関して明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本構成および方法が記載される前に、本発明が、記載される特定の分子、組成、方法論、またはプロトコルが変わることができるので、記載される特定の分子、組成、方法論、またはプロトコルに限定されないことが、理解されるべきである。記載で使用される用語が、特定のバージョンまたは実施形態だけを記載するためであり、請求項によってのみ制限される本発明の範囲を制限することを目的としていないことも、理解されるべきである。
【0023】
本明細書および請求項で使用されているように、単数形態の「1つの」および「その」は、文脈が明確に特に他に指示しない限り、複数の参照を含むことも理解されなければならない。したがって、例えば「コーティングポリオリゴマー分子」に対する参照は、1つまたは複数のコーティングポリオリゴマー分子、および当業者に知られているその等価物などに対する参照である。特に規定されない限り、本明細書で使用されているすべての技術的および化学的な用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されている方法および材料に類似するまたは等価なあらゆる方法および材料は、本発明の実施形態の実施または試験で使用できるが、好ましい方法、装置、および材料が、以下に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物は、参照によって組み込まれる。本明細書における何も、本発明が、以前の発明によるこのような開示を予期する資格がない旨の了解として解釈されるべきではない。
【0024】
「任意の」または「任意に」は、後述されるイベントまたは環境が、発生することがあるまたは発生しないことがあり、記載が、イベントが発生するインスタンスとそれが発生しないインスタンスとを含むことを意味する。
【0025】
本発明の実施形態は、センサまたは他の基板上に化学的に不活性な高純度ポリオリゴマーの接着性のコーティングを含むことができる。コーティングは、比較的低い温度でセンサまたは他の基板上に塗布されかつ硬化され、比較的低い温度は、低い融点、磁気特性、または基板特性を電気信号へ変換するための感度のいい電子装置を有する、温度に敏感な基板でコーティングプロセスを実行することを可能にする。本発明の構造体は、有効厚みの非多孔性保護コーティングを有する構造体を含み、この非多孔性保護コーティングは、接着性であり、かつ流体と接触する構造体の表面に化学的に結合される。構造体は、センサ、導管、熱交換導管、キュベットまたはガス採取セルのような容器、ミキサー、ベローズ、インペラ、ダイアフラム、流体材料処理またはウェハ処理機器、または化学処理、輸送、取り扱い、または特徴付け、またはこれらの組み合わせの間に、流体と接触されなければならない透明なウィンドウを別々に含んでよいが、これらに制限されない。流体は、その特性が測定されるまたは特徴付けられるべき流体であり得る。接着性の保護コーティングは、化学的に不活性であり、流体、イオン、およびガスに対して低い浸透性を有する。センサ表面上の有効厚みの接着性の非多孔質コーティングは、センサ表面、および磁石、電極、および電気構造体などの基板上または基板内に形成される構造体を、下にあるコーティングされた基板の性能または動作に悪影響を及ぼす可能性のある、腐食、粒子生成、層間剥離、スウェリング、または他の物理的および化学的な変化から保護する。
【0026】
図1は、コーティング流体124が、ノズル128から基板表面120上に滴または気泡なしに分与される、センサまたは基板表面120を示している。基板に接続されている任意の電気または光学フィードスルー104が、示されている。基板表面は、1つまたは複数のベースまたはバッキングプレート108および112に取り付けられてよく、あるいは単一の基板から機械加工または形成されてよい。
【0027】
図2のAは、分与後に、センサまたは基板表面208に付着されるポリオリゴマーコーティング材料204の気泡がない体積を断面で示している。センサまたは基板208は、1つまたは複数のベース基板212および216に取り付けられ、形成され、あるいは機械加工されることができる。任意の電気または光学フィードスルー220が、示される。図2のBは、ステップ228での溶媒の蒸発後に、現在のセンサまたは基板208を覆う非多孔性膜コーティング224を示している。非多孔性膜224は、硬化に適しており、いくつかの実施形態では基板208上での絶縁保護コーティングである。センサまたは基板208は、1つまたは複数のベース構造体212および216に取り付けられ、または機械加工されることができる。任意の電気フィードスルーまたは光学フィードスルー220が示される。
【0028】
図3は、異なるときに、本発明の接着性の非多孔性コーティングを有するセンサ、および本発明の接着性の非多孔性コーティングを有さないセンサの校正データを示している。校正曲線の傾きは、ほぼ同一であり、コーティングされていないセンサが、コーティング後のセンサとほぼ同じ感度を有し、コーティングされているセンサの感度が、時間の期間にわたって変化しないことを示す。
【0029】
図4は、コーティングプロセスおよび移動ステージ408上で複数の基板をコーティングするための装置の実施形態を描いている。可動ステージ408は、ステージに取り付けられる1つまたは複数のコーティングされていない基板412を有し、コーティングされていない基板412は、滴または気泡なしに、基板表面416に送られる分与ノズル424からのコーティング材料420でコーティングされることができる。ポリオリゴマーでコーティングされた基板404が、可動ステージ408に示されている。コーティングされた基板404は、気泡を有さず、コーティングから溶液を蒸発させるために処理されてよい。
【0030】
図5は、センサの表面上に非多孔性の接着性コーティングを有するセンサを有する断面で示される装置500を示す。センサは、ハウジング504内に構成されている。コーティングされたセンサは、流体の特性を測定するために使用されることができる。ハウジング504は、流体流量回路に取り付けられることができ、流体流量経路への接続のために入口ポート508および出口ポート562を有する。ハウジング504は、流体(図示せず)とセンサとの間の接触を可能にする1つまたは複数のポート554および558を有することができる。ハウジングの表面は、本開示の接着性の非多孔コーティングでコーティングされてよい。センサ516および536に結合される非多孔性の不活性コーティングの層は、1つまたは複数の化学的に適合する弾性のガスケット514および534を使用して、ハウジングまたは本体504に対して液体密封されてよい。ポート554は、流体が、ベース540に取り付けられている基板532の接着性の非多孔性コーティング536を有するセンサと接触するのを可能にする。ベース540は、ハウジングまたは本体504にリテーナ544によって保持されてよい。ポート558は、流体が、ベース520に取り付けられている基板512の接着性の非多孔性コーティング516を有するセンサと接触するのを可能にする。ベース520は、ハウジング504にリテーナ524によって保持されることができる。各センサ528および548の電気接続または光ファイバのためのフィードスルーも示されている。
【0031】
図6のAは、センサ基板608の外表面610にフッ素604を含むポリオリゴマーの接着性の非多孔性コーティング604を有するセンサ基板608を示している。いくつかの実施形態では、流体と接触するセンサ表面608の物理応答を測定するための構造体602は、保護コーティング604によって覆われていない。いくつかの実施形態では、センサ表面608の物理応答を測定するための構造体602は、保護コーティング604によって覆われることができる。センサの物理応答を測定するための構造体602は、基板608に結合されることができ、ベース612を通して光学または電気素子614によって接続されることができる。センサ基板608の内面606の一部は、ベース612に結合されることができる。センサベース612は、通気孔616とともに示されている。図6のBは、基板642に形成されたダイアフラム626を有する基板642を示す。ダイアフラム626の表面630は、フッ素を含むポリオリゴマーの接着性の非多孔性コーティング624を有する。基板642は、第2の基板632に結合されることができ、第2の基板632は、通風孔636と示されている。一実施形態では、基板608およびベース612の縁部が、ベース608と基板612との間の結合領域に、耐食性と保護を提供するためにコーティング材料604でコーティングされることができる。
【0032】
図7は、流体を処理するまたは調節する装置702の平面図を示す。流体処理装置の流体に接触する表面の一部または複数の部分は、フッ素を含むポリオリゴマーの接着性の非多孔性コーティングでコーティングされることができる。流体処理装置は、ベース704、流体に接触するハウジング内部736を含む。図示されるように、装置702は、羽根712およびインペラ磁石740を有するインペラ708を使用して、入口732から出口728に流体を移送するために使用されることができる。代わりに、流体は、管、ギア、ダイアフラム、または他の構造体を使用して移送または調節されることができる。羽根712または他の構造体は、接着性の非多孔性コーティングでコーティングされることができる。装置702は、流体と接触し、かつ流体流れ回路内で導管に接続するために使用されることができる、出口728および入口732を有する。任意に、装置は、フッ素を含むポリオリゴマーの接着性の非多孔性コーティングでコーティングされる1つまたは複数のセンサを含むことができる。リード720を有するセンサ724は、ポート716に取り付けられることができ、装置702によって処理されるまたは調節される流体の特性を測定するために使用されることができる。
【0033】
ハウジングまたはベース704は、流体入口732と流体出口728と流体連通する少なくとも1つの流体チャンバ736を有する。ハウジングまたはベース704は、チャンバ内の流体と接触できる1つまたは複数の構造体712または724を有する。流体712および724と相互作用するハウジング704または構造体の1つまたは複数の表面は、少なくとも一部の表面で、有効厚みのフッ素を含むポリオリゴマーの接着性の非多孔性コーティングを有することができる。
【0034】
コーティングは、少なくとも1つの流体チャンバを有するハウジングを含む様々な装置に適用されてよく、チャンバは、ハウジングへの流体入口と流体連通し、チャンバは、ハウジングからの流体出口と流体連通している。チャンバは、流れセンサ、導管、ハウジング、流体ポンプの要素、流量計または流量コントローラの要素、ベローズなどの可撓部材、またはインペラなどのチャンバ内で流体と相互作用できる1つまたは複数の構造体を含むことができる。ハウジング、チャンバ、入口および出口、ベローズ、インペラ、圧力センサ、導管、およびこれらの組み合わせなどであるが、これらに限定されない装置における構造体の1つまたは複数の表面は、表面の少なくとも一部に、有効厚みの接着性の非多孔性の保護コーティングを有し、コーティングは、流体から表面を保護し、コーティングは、フッ素を含む溶解性のポリオリゴマーを含み、表面に化学的に結合される。装置は、ダイアフラム、ベローズ、インペラ、センサ、またはこれらの組み合わせであり得る、チャンバ内で流体と相互作用する構造体を有することができる。装置ハウジング、チャンバ、および構造体は、ポンプ、弁、流体流量計、熱交換器、または流体流量制御装置を形成するために相互作用できる。ハウジング、チャンバ、および構造体は、弁を形成するために相互作用できる。ハウジング、チャンバ、および構造体は、流体流量計を形成するために相互作用できる。装置のハウジング、チャンバ、および構造体は、流体流量制御装置を形成するために相互作用できる。
【0035】
ベローズは、垂直ドライバなどの可動部品の回りにシールを作り出すために使用でき、ポンプ、弁、またはロボットアームのような種々の装置で使用されることができる。例えば、ポンプ内では、加圧された空気が、弁によって第1の導管を通りベローズにより取り囲まれているピストンと接触するシリンダの内部に導かれると、ベローズは持ち上げられ、ベローズの伸張部は、逆止め弁を介して出口を通して液体を分与するために、および第1の液体チャンバへの接続を通して液体を移送するために使用できる。加圧された空気は、次に弁によって第2の導管に導かれることができ、シリンダ内部にかかる圧力を解放し、液体チャンバ内の液体を排出するため、および接続により第1の液体チャンバから分離される第2の液体チャンバにソースから流体を引き出すために、ベローズを引き下げるまたは収縮させるために使用できる。加圧された空気を第1の導管および第2の導管に導くこのサイクルは、液体をくみ出すために繰り返されることができる。ハウジング内に弁座およびベローズの端部でステムを製造することにより、弁を開閉するために類似するサイクルを使用できる。ベローズは、大きい表面積を有することがあり、それらの運動が、汚染物質を捕まえ、長いパージ時間を必要とし、ベローズ内で応力を生じさせることがある。さらに、ベローズの腐食は、粒子の生成につながることがある。ベローズは、接着性の非多孔性コーティングでコーティングされることができる。接着性コーティングは、ポリオリゴマーの一部が、接着性の保護コーティングを形成するためにベローズ表面に化学的に結合される、フッ素を含む溶解性のポリオリゴマーを含む。接着性コーティングは、ベローズの表面に形成されるまたは設置されるコーティング材料の非多孔性膜を硬化することにより形成されることができる。
【0036】
超高純度であるが腐食性の環境で使用されるときに、容器に入れられた磁気攪拌器、磁気ポンプインペラ、磁気によって浮揚させられるインペラ、または熱交換表面などの他の対象物は、優れた化学耐性があり、非透過で低拡散コーティングを必要とする。これらおよび360度のコーティングを必要とするなど他の装置のためのコーティング方法は、ドリップコーティング(drip coated)、浸漬コーティング、または適所で磁気的に懸架される間にコーティングされることができる。ドリップコーティングまたは浸漬コーティングの場合には、欠陥のない最終的なコーティングを保証するために、支持体が第1のコーティングで使用された場合に、第2のコーティングが必要となることがある。
【0037】
低い表面粗さのウエット化学コーティングを得るためには、クリーンルームでコーティングを実施し、コーティング液体を濾過することが望ましい場合がある。基板の適切な清浄化も、グリース、表面汚染物質、およびコーティング接着に影響を及ぼす可能性がある他の粒子を取り除くために重要である。
【0038】
浸漬コーティング技術は、フッ素を含むコーティング溶液で様々な基板をコーティングするために使用できる。このプロセスでは、コーティングされる基板または基板の一部が、液体に浸され、次に、制御された温度および雰囲気条件下で明確な引出し速度で引出される。条件は、コーティング内のガスまたは気泡の取り込みを低減または排除するために選ばれる。コーティング厚さは、おもに引出し速度により、コーティング濃度(単量体、固体、ゲル、オリゴマー)、および液体の粘度によって定められる。一実施形態では、コーティング厚さは、おもに引出し速度、フッ素を含む溶解性ポリオリゴマーのコーティング濃度、およびフッ素を含む溶解性ポリオリゴマーを含む液体の粘度によって定められる。他の範囲も可能であるが、浸漬コーティングプロセスでコーティングされる基板の引出し速度は、毎分約0.1mmほどの低速から毎分約3cmに及ぶことがある。コーティングされる対象物(導管、センサ、ベローズ、ハウジング、インペラ、攪拌器、ミキサー、これらの部分、およびこれらの組み合わせ)の引出し速度は、コーティング組成物の完全な速度が、層流流れ範囲でシステムを維持できるように選ばれてよい。これらの条件下では、Landau−Levich式および日常的な実験を使用して、所望されるコーティング厚さを推定することが可能であり得る。コーティング厚さの変動は、コーティング溶液の粘度およびまたは溶液密度を変更することによっても達成されることができる。コーティングされるアイテムを取り囲む雰囲気は、溶媒の蒸発速度を制御し、最終的な膜の形成に影響を与える。コーティングされる基板または対象物近くの溶媒蒸気圧の追加、除去、または修正は、コーティング厚さを制御するために使用することもできる。
【0039】
角度に応じる浸漬コーティングプロセスは、対象物または基板をコーティングするために使用できる。このプロセスにおいて、コーティング厚さは、基板と液体表面との間の角度の修正により変更できる。このプロセスでは、基板または対象物は、コーティング材料が入った容器内で所定の角度で回転されることができる。ゆっくりとした回転は、対象物に塗布されるコーティング内に気泡の取り込みを排除するために使用されることができる。層の厚さおよび均一性は、計算され、基板の浸漬角度、引出し速度、および回転速度に関連付けられることができる。これらのコーティング変数は、非多孔性でありかつ化学的に基板に結合されている層を形成するためにさらに硬化されてよい、対象物上のフッ素を含む材料の接着性の非多孔コーティングを得るために変更されることができる。接着性の非多孔層は、下にある対象物の表面を、下にある基板表面に悪い影響を及ぼすであろう流体(腐食、層間剥離、粒子生成、スウェリング、弱化、汚染物の生成)から保護する。
【0040】
コーティング材料は、コーティング材料の廃棄物を好ましくは最小限に抑えるまたは排除する低温コーティングプロセスにより、基板に付着、塗布、または分与されてよい。このようなコーティング方法の例は、ナイフオーバーロールコーティング、ダイカストコーティング、浸漬コーティング、カーテンコーティング、およびエアナイフコーティングを含んでよいが、これらに限定されない。基板のコーティングがノズルを利用する場合、ノズルは、ノズルからのコーティング材料が連続ストリームで基板の表面に接触するように、基板上におよび基板に近接して配置されることができる。基板上に付着されるコーティング材料での気泡の生成を回避する一つの方法は、コーティング溶液が、注意深いピペット操作またはノズル分与技術により、ダイアフラムなどの基板にピペットまたはノズルから移されるときに、コーティング溶液の速度を最小限に抑えることであってよい。マイクロリス社(Mykrolis Corporation)のインテリジェン(Intelligen)(登録商標)のような分与ポンプ、ハーバードモデル(Harvard Model)22のようなシリンジポンプ、または自動化されたマイクロピペッタ(micropipetters)が、基板上に流体を分与するために使用できる。滴が形成されない流体のストリームも、厚いコーティング膜を提供し、膜内での気泡の取り込みを最小限に抑える。滴は、コーティング内の空隙または腐食経路につながる可能性がある。複数の基板をコーティングするために、複数のダイが使用されることができ、あるいは基板は、図4に示されるような移動するまたは回転するテーブルまたはコンベヤの上で金型の下を移動されてよい。コーティングは、液体のメニスカスが基板上に形成されるような速度で、基板上に堆積されることができる。これは、図2のAに図示される基板208上のコーティング体積204によって示されている。
【0041】
コーティングは、好ましくは、コーティングプロセスの間に失われるまたは無駄にされるコーティング材料の量を最小限に抑え、または好ましくは排除する方法またはプロセスによって基板に適用される。例えば、平坦な電極の上へのコーティング材料の塗布において、コーティング材料は、基板がコーティング材料でカバーされるまで、ノズルから静止したまたはゆっくりと回転する電極に単一の連続ストリームで分与されてよい。代わりに、浸漬コーティングプロセスまたは流れコーティングプロセスが、使用できる。液体は、基板上にコーティングの非多孔性の絶縁保護膜を残すように、蒸発できる。比較によって、スピンコーティングプロセスは、基板にわたって分与されたコーティング材料を分配するために使用されることができるが、コーティング表面に分与されるコーティング流量の約99%までが、スピンアップの間に失われるために、あまり望ましくない。
【0042】
基板は、液体コーティング組成物が、コーティングされる基板上に本質的に注がれるフローコーティングプロセスでコーティングされることができる。コーティングの厚さは、液体コーティング組成物の分与ストリームと基板との傾斜角度、コーティング液体の粘度、および溶媒蒸発速度に応じる。フローコーティングプロセスは、基板に付着せず、かつコーティングの無駄を削減しないコーティング材料を回収するために使用されることができる。対象物および浴を有するチャンバの雰囲気は、制御されることができ、蒸発を制御するために溶媒またはガスが追加されることができる。フローコーティングプロセスを使用すると、平坦ではない大きな基板は、かなり容易にコーティングされることができる。このプロセスの変形として、コーティング後の基板のスピニングは、さらに均質のコーティングを得るために役に立つ可能性がある。
【0043】
フッ素を含む高純度ポリオリゴマーあるいはそれらから作られるコーティングは、好ましくはコーティングされた基板と接触する流体内で、汚染物質と見なされることができる量の材料を提供しないものである。好ましくは、コーティング材料または硬化されたコーティングは、コーティングされた基板が接触する流体にとって汚染物質と見なされる物質の1000ppbv/v未満を提供する。このような汚染物質の例は、イオン、水、有機溶媒、または粒子を含むことができる。溶解性のコーティング材料または形成されたコーティングは、ニート(neat)サンプルとして、あるいは質量分光技術、元素分析、HPLC、または他の技術を使用して抽出に続いて、分析されることができる。高純度の溶解性コーティング材料を得ることは困難である場合、イオン交換または堆積されたコーティングの抽出は、許容できる純度レベルのコーティングを作るために実行されることができる。いくつかの実施形態では、炭化水素、金属イオン、およびアニオンを含むが、これらに限定されないコーティング材料の純度は、本発明のコーティングされたセンサによって測定される流体の望ましくない汚染を防ぐように選択される。例えば、仕上げられた膜でより高い純度を達成するために、化学抽出または真空焼成および脱ガスによって、堆積された膜を清浄化することも可能であり得る。
【0044】
接着性の保護コーティングは、化学的に不活性であり、流体、イオン、およびガスに対して低い浸透性を有する。センサ表面上の有効厚みの接着性の非多孔コーティングは、センサ表面、および磁石、電極、および電気構造体などの基板上に形成される構造体または基板内に形成される構造体を、下にあるコーティングされた基板の性能と動作に悪影響を及ぼす可能性がある、腐食、粒子生成、層間剥離、スウェリング、または他の物理的および化学的な変化から保護する。一実施形態では、有効厚みのコーティングは、25℃を超える腐食から基板を保護する。別の実施形態では、有効厚みのコーティングが、約50℃以上で腐食から基板を保護する。基板の表面に塗布されるフッ素を含むポリオリゴマーの非多孔性コーティングは、下にある基板を損傷から保護するその能力について、腐食性の流体への露出により試験されることができる。さまざまな厚さのコーティングでコーティングされる基板は、腐食性流体にさらされることができ、流体は、イオン、化学物質、または基板材料からの粒子について分析されることができる。流体およびコーティングされた基板を用いる試験は、室温でまたはさらに高温で実行されることができる。腐食性流体は、粒子カウンタ、ICP質量分光計、またはHPLCを使用して分析されることができる。基板は、顕微鏡検査および重量分析を使用して検査されることができる。
【0045】
コーティング材料は、1cmあたり約40ダイン以下の低い表面エネルギー、溶解したイオン、液体、およびガスに対する低い化学浸透性、低い質量変化を有する化学的に不活性なポリオリゴマー材料であり、本質的に非圧縮性である。ポリオリゴマー鎖は、フッ素を含み、溶媒に溶解されることができるペンダント基を有する。保護膜は、好ましくは、酸素または窒素などの試験ガスについて、テフロン(登録商標)AF未満の気体透過性を有するとして特徴付けることができる膜である。本発明の接着性の非多孔性膜は、流体の温度調節された容積と接触するメンブレン膜のサンプルを通る浸透性について、および温度、流体特性、または膜厚さに応じて測定される膜を通る浸透性または拡散について特徴付けられることができる。検出は、メンブレンの外部を、FTIR分光計またはAPIMSのような検出システムに接続することによって実行されることができる。
【0046】
ボンディングパッドは、基板の1つの面または複数の面上にあってよく、基板からプロセッサ、増幅器に、ワイヤまたは光ファイバを通して電気信号およびまたは光信号の入力および出力を提供するために使用されることができる。バッキングプレートにおけるガラスまたはエポキシ618で充填される穴は、ワイヤまたは光ファイバ614をセンサ素子602に接続できる。このようなセンサの例は、抵抗素子が、測定される流体と接触しない例えば602等のセンサの表面に加えられる、ひずみゲージである。素子602は、図6のAのダイアフラム表面606上に、または図6のBの表面626(図示されない素子)上で製造されることができる。例えば、光圧力センサのケースでは、ボンディングパッドおよびまたは電子装置は、基板の表面に存在していない。このケースでは、基板表面自体または反射コーティングの付いた表面が、測定のために使用されることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、基板は、検知ダイアフラムを有するピエゾ抵抗センサまたは容量センサとして構成されることができる圧力センサである。検知ダイアフラムは、エッチングされたシリコン、セラミック、金属、またはサファイアから作られることができる。センサは、バッキングプレート、検知ダイアフラム、バッキングプレートとダイアフラムとの間のシリカガラスボンド、および検知素子に接続される導線を有することができる。
【0048】
圧力センサは、バッキングプレート、非多孔性ダイアフラム、ダイアフラムの内面に隣接する検知素子、およびバッキングプレートと非多孔性ダイアフラムとにグラッシングによって接着される高強度材料のガラス層を含むことができる。バッキングプレートは、構造体に剛性を提供する。バッキングプレートの剛性は、ハウジングからセンサダイアフラム上の検知素子に伝達される応力に抵抗する。バッキングプレートは、プロセス媒体に直接に接触しないが、バッキングプレートは、高温プロセスに対して機械的に安定でありかつ耐えられる。バッキングプレートの熱膨張率は、検知ダイアフラムの熱膨張率にほぼ近づけることができる。熱の影響を補償できるが、大きな不整合は、製造中に応力を生じ、この応力は、2つの部品間の結合を経時的に降伏させる可能性がある。当業者は、非多孔性ダイアフラムが、それぞれピエゾ抵抗型センサまたは容量型センサの一部として、その上に形成されるホイートストンブリッジまたは導電層を含んでよいことを理解するであろう。
【0049】
ピエゾ抵抗センサを形成するために、シリコン層が、ダイアフラムの内面に形成されることができ、ホイートストンブリッジ等のひずみゲージが形成される。バッキングプレートは、それを通って伸びる開口を含み、開口は、適応され、検知素子に結合される光学および/または電気リードを含んでよい。ダイアフラムの近くの圧力変化は、検知素子によって検出可能である。ダイアフラムに対する圧力の増減により、ダイアフラムのたわみを引き起こし、このたわみは、次にひずみゲージの抵抗を変更する。抵抗の変化は、ダイアフラムに隣接する圧力と相関される。圧力センサは、検知素子が、絶対圧力またはゲージ圧力を検出できるように構成されることができる。
【0050】
圧力センサは、ダイアフラムに付着されるピエゾ抵抗検知素子に形成されるボンドパッドを含んでよい。代替実施形態では、ダイアフラムおよび検知素子は、ピエゾ抵抗センサよりむしろ容量を生じさせるために修正される。圧力がかけられると曲がる薄い検知ダイアフラムは、検知ダイアフラムの内面に形成される容量性プレートを有し、別の容量性プレートは、バッキングプレートの内面に形成される。1本の電気リードは、検知ダイアフラムの内面に形成される容量プレートに接続され、他のリードは、バッキングプレートの内面に電気的に結合される。ダイアフラムとプレートとの間の間隔が、圧力とともに変化すると、プレートの容量が変化する。容量のこの変動は、知られている適切な構成の電気的に接続された回路素子により検出できる。
【0051】
まだ別の代替実施形態において、ダイアフラムおよび検知素子は、光ファイバを受け入れるために修正される。光ファイバは、ダイアフラムの形状が圧力とともに変化するにつれ、その変化を測定する。ダイアフラム形状のこの変動は、ダイアフラムの流体隔離側から反射され、かつ流体圧力に関連付けられる、光ファイバからの光エネルギーによって検出される。
【0052】
センサを励起し、かつ応答を検出するための方法、手段、および構造が、記載される。そのような例は、それらの全体として参照することにより本書に組み込まれる、Tinsleyらの米国特許第6,681,787号、「デジタル質量流量制御装置のシステムおよび操作方法(System and method of operation of digital mass flow controller)」、Tinsleyらの米国特許第6,640,882号、「デジタル質量流量制御装置のシステムおよび操作方法(System and method of operation of digital mass flow controller)」、Pillionらの米国特許第6,617,079号、「流体分与の受容性を決定するためのプロセスおよびシステム(Process and system for determining acceptability of a fluid dispense)」、Belogniaらの米国特許第6,596,148号、「めっき浴の再生およびそのためのシステム(Regeneration of plating baths and system therefore)」、Larsenらの米国特許第6,575,027号、「質量流量センサインタフェース回路(Mass flow sensor interface circuit)」、McLoughlinらの米国特許第6,527,862号、「流量制御装置(Flow Controller)」、Tarigらの米国特許第6,449,571号、「センサ応答線形化のためのシステムおよび方法(System and method for sensor response linearization)」、Vyersの米国特許第6,445,980号、「可変利得比例積分(PI)コントローラのためのシステムおよび方法(System and method for a variable gain proportional−integral(PI)controller)に開示されている。
【0053】
コーティング材料として使用されてよいフッ素を含む溶解性のポリオリゴマーの例は、内容がその全体として参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第6,201,085号に開示されている例を含む。これらのコーティング材料は、ペルフルオロ(アルケニルビニルエーテル)のサイクロポリオリゴマー化(cyclo−poly−oligomerization)によって得られる、ペルフルオロポリオリゴマーであるコーティング材料を含む。これらのフッ素を含むポリオリゴマーは、その非晶質構造のために有機溶媒に溶解可能であり、基板上にコーティングされることができる。一実施形態では、フッ素を含む溶解性のポリオリゴマーが、取り込まれる気泡なく基板上にある。別の実施形態では、フッ素を含む溶解性のポリオリゴマーは、取り込まれる気泡なく基板上にあり、コーティングプロセス間の溶解性のポリオリゴマーの損失は、基板に付着されている量の90%未満または10%未満である。基板は、材料が、接着性の膜を形成できる任意の材料であってよい。例えば、基板は、アミノシランカップリング剤などの接着促進剤で処理されてから、ペルフルオロポリオリゴマーでコーティングされることができる。代わりに、ペルフルオロポリオリゴマーの末端基は、内容がその全体として参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第5,498,657号に開示されるような、基板に接着性を与える化学基を提供するように改質される。例えば、ポリオリゴマー鎖の末端基は、改質されたペルフルオロポリオリゴマーを基板に結合するために使用できる、オルガノシランで改質されることができる。接着促進剤、または基板またはセンサと反応する化学的に改質されたポリオリゴマーを使用すると、ポリオリゴマーは基板に接着される。基板表面と反応することにより、基は、基板表面の腐食を削減するのに役立つ可能性がある。コーティング用のフッ素ペンダント基を含む他の有効な溶解性のポリオリゴマーは、Frenchらのフッ素化学ジャーナル(Journal of Fluorine Chemistry)、第122巻(2003年)に開示されているポリオリゴマーを含むことができる。これらのポリオリゴマーの末端基は、基板表面との結合を促進するために化学的に改質でき、あるいは基板に対する接着性膜を形成するために接着促進剤と結合されることができる。
【0054】
接着促進剤を使用すると、別々の障壁/パッシベーション層、および別個の接着層の形成時に伴う不利な点が回避される。本発明にしたがって、シランベースの有機接着促進剤であるが、これに限定されない、様々な任意の市販されている接着促進剤が利用できる。適切な市販されているシランベースの接着促進剤は、3−APS(3−アミノプロピルトリエソキシシラン(3−aminopropyltriethoxysilane))、またはMOPS(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(3−methacryloxypropyltrimethoxysilane))を含む。ビニル、クロロプロピル、エポキシ、ジアミン、メルカプト、および/またはカチオンスチリル有機官能基を含む、他の市販されているシラン接着促進剤が利用できる。化学的に許容できる場合、例えばアルミニウム、ガリウム、または他の元素を含む非シリコン(non−silicon)接着促進剤が使用されることができる。
【0055】
コーティング材料は、溶媒に溶解する。コーティング材料は、その主鎖に脂環式構造のあるフッ素を含むポリオリゴマーを含み、および好ましくはその主鎖にフッ素を含む脂肪族エーテル環構造を含むことができる。コーティング材料のポリオリゴマーの鎖は、基板への結合のために反応基を有することができる。コーティング材料のポリオリゴマーは、基板に結合でき、かつ基板にポリオリゴマーを結合するためのポリオリゴマー鎖の反応基に結合できる、コーティング材料に溶解するアミノ官能基化されたオルガノシランなどの分子であるが、これらに限定されない分子を有することができる。コーティング材料のポリオリゴマーは、基板への結合のために、および他のポリオリゴマー鎖との結合のために反応基を有することができる。
【0056】
コーティング材料内のポリオリゴマーの分子量は、表面被覆、接着、強度、および化学浸透性に関してコーティングを調整するために使用されることができる。コーティング溶液で使用されるポリオリゴマーの濃度は、その分与、粘度、および基板上に付着される所定量のコーティング材料で形成された膜の厚さに影響を及ぼす。溶液中のポリオリゴマーの濃度は、ポリオリゴマーの分子量に応じるが、約50%未満であってよく、好ましくは約重量25%未満である。基板上の接着性の非多孔性コーティング膜の密度は、その分子量だけではなく、コーティング溶液中のポリオリゴマーの濃度によって制御されることができる。ポリオリゴマー濃度を増加すること、フッ素を含むポリオリゴマーの混合物の使用すること、または分子重量を増加することも、膜密度を変更するために使用されることができる。
【0057】
コーティング材料は、ポリオリゴマー分子を含み、高分子と1つまたは複数の結び付けられたオリゴマー分子との両方を指すために使用されることができる。本発明は、オリゴマー分子、またはオリゴマーとポリオリゴマーの混合物で実施されることができる。使用されてよいオリゴマーは、本明細書に開示されるポリオリゴマーまたはポリオリゴマー分子に存在するものに類似する反応基、および特にオリゴマーコーティング材料の熱硬化、化学硬化、または光化学硬化時に、より大きな分子量のポリオリゴマー種を形成するために使用されることができるそれらの反応基を有するそれらのフッ素を含む分子を含む。
【0058】
本発明の基板および好ましくはセンサ基板をコーティングするための材料は、硬化し、基板に化学的な結合によって接着し、基板に化学的な保護を与えるほど十分な厚さの欠陥のない(例えば、亀裂、空隙、または気泡のない)膜を形成し、センサの感度またはその用途での基板の物理特性を減衰しない、あるいは大幅に減衰しない材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、コーティングの流体との相互作用は最小であり、例えば、センサ応答を変更するであろうスウェリングまたは吸収はない。コーティングは、センサ基板に腐食または劣化に対する化学的な保護を与える。材料は、基板または磁石のような温度に敏感な他の要素の一部に形成される電子回路を有するセンサおよび基板と適合性のある、温度および処理条件で塗布されてよい。非多孔性膜の硬化は、コーティング材料の溶媒の沸点未満であり、かつポリオリゴマー膜のTg未満の温度で生じることができる。この後には、任意に、残りの溶媒を取り除くため、および基板、好ましくはセラミック基板へのコーティングの接着を強化するために、溶媒の沸点より高く、かつポリオリゴマー材料のTgより高い値まで、コーティングを有する基板の温度を上げることが続く場合がある。コーティングが、約200℃以下、および好ましくは約120℃以下の温度で、センサ基板に接着する均一な膜を形成することが望ましい。
【0059】
フッ素を含む溶媒を乾燥する、あるいはフッ素を含むポリオリゴマーから取り除くための温度は、基板の熱抵抗に応じて選択でき、15℃から約150℃に及ぶことがあり、好ましくは35℃以下である。一実施形態では、蒸発中の温度は、約15℃から約50℃の範囲内にあり、センサ基板上に形成するために硬化されていないポリオリゴマーの亀裂のない膜を提供する。非多孔性膜を形成するための蒸発パラメータは、さまざまな温度とガス流量条件でのコーティング材料の熱重量分析によって決定されることができる。蒸発時間は、材料の量、溶媒の蒸気圧、表面積、基板と取り囲む環境の温度、およびガスの流量に応じる。形成される膜には欠点(亀裂、空隙、気泡)はないが、これらは、当業者に知られているように改質されることができる。不規則な膜厚さを防止するために、溶媒は、帯電防止環境で取り除かれてよい。コーティング材料の組成物から溶媒が蒸発すると、基板上にコーティング材料からポリオリゴマーの非多孔性膜が形成される。これは、図2のAと図2のBとの間で、228で示されるステップに概略で示されている。好ましくは、基板上のコーティング材料の膜は、流体または粒子が、浸透または拡散を除き、膜を通過できないように非多孔性である。基板上のコーティング材料の膜、および好ましくは非多孔性膜は、基板の表面にコーティング材料の接着性の非多孔性膜を形成するために硬化されることができる。長い硬化時間は、低温で接着促進剤の反応を達成するために使用されることができる。より低い硬化温度が、電子装置が付着された基板をコーティングし、直接的に処理することができ、低コスト生産方法を提供し、より高価ではない電子装置を使用できるようになる。
【0060】
分与および続く基板に塗布されるコーティング材料から溶媒の蒸発の間、基板およびコーティングを取り囲む雰囲気の組成は制御されることができる。これは、温度、コーティングされた基板をわたるガスの流量、溶媒蒸気だけではなく反応ガスも含むガスの組成、帯電防止環境の使用、あるいはこれらのどれかの組み合わせを含んでよいが、これらに限定されない。
【0061】
ポリオリゴマーが、いったん基板、例えば図2のBの224上に自己支持する膜を形成すると、自己支持する膜は、ポリオリゴマーの基板への接着を促進するために硬化されてよい。例えば、コーティングが、約200℃以下、およびさらに好ましく約120℃以下の温度でセンサ基板に接着する均一な膜を形成することが望ましい。硬化温度は、急激な溶媒のガス抜けおよび気泡形成を回避するために、硬化温度までゆっくりと上げられることができる。温度を溶媒の沸点より高く、フッ素を含むポリオリゴマーのTgより高い値に上げることは、膜内の残りの溶媒を取り除き、フッ素を含むポリオリゴマーの末端基をセラミック基板とさらに反応させ、接着を促進させるか、または内部で架橋して化学抵抗を増大させるために使用されることができる。温度が、溶媒沸点およびポリオリゴマーガラス遷移温度より上に超えられるときに、気泡または亀裂が、膜に形成されないのであれば、このプロセスは、毎時約5℃、または毎時約10℃以上の速度で処理温度を加速することができる炉で実施できる。溶媒沸点およびポリオリゴマーガラス遷移温度を超える温度まで、基板上の非多孔性膜を加熱した後、基板は、約2時間または基板に膜を化学的に結合するのに十分な時間、最終温度で保持されることができる。基板の表面に膜を十分に結合するために必要な時間は、基板、最終温度、および接着促進基の反応性に応じて変化してよいが、加熱のための様様な温度と時間の後に、標準的なテープテストで非多孔性膜の接着性を測定することによって決定されることができる。不活性ガスパージは、蒸発および熱処理プロセスの間に使用されることができる。
【0062】
水蒸気または任意の他の凝縮性蒸気が、ポリオリゴマー膜によって吸収されると、質量、厚さ、表面抵抗、体積抵抗および誘電率なおの膜の物理特性が、変化することがある。様々な技術によって検出できるこれらの変化は、その意図される用途のための様々なコーティング材料の望ましさを特徴付けるために使用されることができる。例えば、湿度に敏感な膜で吸収される水の量の変化は、1)弾性表面波の共鳴周波数または膜でコーティングされた機械的な共鳴構造体における変化、2)膜に接続される2つの電極間の表面または体積抵抗における変化、または3)サンドイッチ電極(sandwich−electrode)または誘電体として膜を利用する互いにかみ合う電極コンデンサの間の容量変化として測定されることができる。
【0063】
非常に広範な範囲の基板が、本発明に従って接着性の非多孔性コーティングを備えることができる。金属、ガラス、セラミック半導体、ゴム、天然樹脂、および合成樹脂を含む、ほとんどあらゆる有機固体材料または無機固体材料が、基板として適切であり得る。一実施形態において、温度に敏感な構成要素および材料を含む基板が基板である。これらの温度に敏感な構成要素は、磁性材料、電子および光学構造体、はんだ、熱膨張率が異なる複合材料、可撓品、成形品、または整形品を含んでよい。特に有効なのは、コーティング材料におけるフッ素を含むポリオリゴマー分子の一部または添加された接着促進剤と化学的に反応し、それに結合するために使用できる水酸基とカルボン酸基であるが、これらに限定されない反応基を有する基板である。本発明のプロセスは、電極および電子部品のカプセル化にも適している。流体と接触する基板の一部をコーティングする接着性の非多孔性膜は、表面に結合し、かつ下にある基板を劣化させるまたは腐食される流体および流体中のイオンを低減するまたは透過しない。劣化は、その意図された目的のために下にある基板の物理または化学特性に影響を及ぼす可能性がある。基板上の非多孔性のフッ素を含むポリオリゴマーコーティングは、下にある基板からプロセス流体へ粒子、分子、およびイオンなどであるが、これらに限定されない分解生成物の放出を妨げるために使用されることができる。
【0064】
本発明の材料および方法によってコーティングされることができるセンサは、好ましくは、ダイカスト、エアロゾールスプレイコート、浸漬コーティング、またはこれらの組み合わせであるが、これらに限定されない、ポリオリゴマーの層が、センサ上にポリオリゴマーの厚い気泡のない膜を形成するために塗布されることができるものである。基板は、単一のステップでコーティングされることができるが、単一のステップで対象物全体をコーティングすることが実際的ではない場合には、所望の膜厚を達成するために、あるいは基板をコーティングするために、複数のコーティングステップが使用されることができる。基板が平坦である場合、それら基板は、それらの表面上に溝または隆起構造体を含むことがある。センサ基板は、反応基を有する、あるいはプラズマ、プレコーティング、あるいはポリオリゴマーの一部またはすべてを基板に結合するために、コーティング材料中のポリオリゴマー分子上の反応基とさらに反応できるセンサ表面に基を形成するための化学的な方法などによって、化学的に処理されてよい表面を有することができる。基板表面との結合に加えて、ポリオリゴマー分子は、架橋構造体を形成するためにも互いに反応することができる。ポリオリゴマーの反応基の互いとの反応、または表面との反応は、熱処理、光化学処理、または化学処理によって開始されることができる。例えば、基板およびポリオリゴマー膜の熱処理は、基板とポリオリゴマー上の反応基との間に加水分解反応を生じさせることがある。
【0065】
コーティングは、コーティングされた基板の機械的な破損があるときに液体密封を維持することによって、流体システムの物理的な完全性を保つために役立つこともある。例えば、ゲージタイプのセラミック圧力センサが、その圧力定格を超える圧力状態にさらされると、脆弱な検知ダイアフラムが破損し、かつプロセス流体が、センサの大気通気口を通って流体システムから漏れ、近傍の装置に損傷を引き起こす、あるいは領域内の人の健康を危険にさらす可能性がある。図6に描かれているように、センサダイアフラム608が、撓みやすくかつ伸張性がある欠陥のない接着性の材料604によってコーティングされる場合、流体システムの完全性は、ダイアフラム損傷および通気口616を通る流体の損失の場合にも維持されることができる。コーティングは、コーティングされた構成部品の損傷の場合にも、流体システムの汚染を防止することができる。
【0066】
基板が、様々な材料間に1つまたは複数の材料界面を含む場合、ポリオリゴマーコーティング材料は、基板および1つまたは複数の界面に塗布され、基板および界面に化学的および機械的な利点を提供することができる。好ましくは、各表面は、基板へのコーティング材料の接着を達成するために、接着促進剤またはポリオリゴマーコーティング材料中のポリオリゴマー分子と反応するように処理されることができ、あるいは処理された。熱反応、光化学反応、または化学反応、あるいはこれらの組み合わせは、接着を達成するためにコーティングと表面を反応させるために使用されることができる。
【0067】
光学的に透明なポリオリゴマー膜の場合、化学的に敏感な材料が、ポリオリゴマー分子の一部に組み込まれてよく、あるいは化学的に敏感な材料が、ポリオリゴマー膜の表面に組み込まれてよい。例えば色または吸収の変化は、流体中の望ましいまたは有害な分子の存在または不在を示すために、コーティングから吸収または反射される光によって検出されることができる。光学ウィンドウは、ウィンドウに化学的な保護および物理的な保護を提供するために、フッ素を含むポリオリゴマーコーティング材料の組成物によってコーティングされることができる。
【0068】
ポリオリゴマーによってコーティングされる基板は、ひずみゲージ、容量ベースの圧力センサ、およびダイアフラム表面から反射される光または電磁エネルギーの強度などの特性変化を測定する光ファイバまたはレーザダイオードベースの圧力センサを含む、圧力センサを含んでよいが、これらに限定されない。基板は、ポリオリゴマー膜およびその上に組み込まれている化学的に敏感な材料のための支持体として働くことができる。光学用途の場合、基板および膜は、検出のために使用される波長領域内で光学的に透明である場合がある。センサは、イオンおよび流体が温度プローブに達するのを防ぐ、あるいは実質的に削減するために使用されるポリオリゴマーコーティング、および流体の温度を測定するために使用されることができる。
【0069】
本発明のセンサは、特性が測定される流体とセンサを接触させるために、ハウジング内に取り付けられることができる。ハウジングは、化学的に適切な材料、好ましくは流体に対して化学的に不活性である材料から作られることができる。いくつかのハウジング材料は、ハウジング表面の一部またはすべてに塗布されるポリオリゴマー材料のコーティングを含むことができる。ハウジングまたは容器中のポリオリゴマーでコーティングされたセンサまたは光学ウィンドウは、Oリング、ガスケット、および溶融ボンディングを使用する圧縮シールを含むが、これらに限定されない当業者に知られている方法および材料を使用して、ハウジングまたは容器に取り付けられ、あるいはハウジングまたは容器内に取り付けられることができる。ハウジングは、浸水によって流体と接触させられることがあり、あるいはハウジングは、導管内の流体と流体連通するセンサを取り付けるために入口流体ポートと出口流体ポートとを有することができる。ウィンドウは、流体の化学組成の分析に使用されるガスセルにおけるウィンドウであることができ、接着性の非多孔性コーティングは、ウィンドウおよびガスセルを腐食および粒子生成から保護する。
【0070】
コーティングされたセンサは、流量計、および温度補償圧力センサ、流量計、および流量補償化学センサを含むが、これらに限定されない他の測定装置を形成するために、結合されることができる。
【0071】
本発明の様々な態様は、以下の限定されない例に関して示される。
【0072】
例1
この例は、センサ上に接着性の非多孔性コーティングを形成するために、フッ素を含むポリオリゴマーでセンサ基板をコーティングすることを示す。コーティングは、センサの感度に影響を及ぼさない。
【0073】
旭硝子(Asahi Glass)から入手できるCYTOP(登録商標)が、メタラックス(Metallux)セラミック圧力センサ上にコーティングされた。CYTOP(登録商標)は、その主鎖に脂肪族エーテル環構造を含む、フッ素を含むポリマーである。メタラックスセラミック圧力センサ上のCYTOP(登録商標)コーティングが、一体化したコーティングを形成し、気泡を取り込まずにポリオリゴマー溶液をセンサ上に塗布することと、急激な溶媒のガス抜けおよび気泡形成を回避するために、硬化温度までゆっくりと上昇することを含む。
【0074】
コーティングされていない、2.5ミル(0.0063cm)のCYTOPコーティング、および5ミル(0.013cm)CYTOPコーティングを有する、単一のメタラックス圧力センサからの校正データは、図3に示されるような条件(コーティングされていない、2.5ミルまたは5ミル)のどれかの感度の間に大きな差異がなかったことを示した。
【0075】
メタラックスデータは、2,000,000F.S.の圧力サイクル後のオフセットシフト<0.2%F.S.、および82℃での110時間後の<0.05%F.S.というオフセットシフトを示す。
【0076】
例2
この例は、フッ素を含むポリオリゴマーコーティングが、高純度コーティングを提供でき、かつコーティングの厚さが、コーティングされた基板からの汚染物質の浸出を低減するために使用されることができることを示す。コーティングは、下にある基板を流体による腐食から保護する。
【0077】
Cytop(登録商標)樹脂でコーティングされるメタラックス圧力センサの化学適合性の評価。抽出物のデータ、はHCl、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、およびDI水を使用するテストから獲得された。
【0078】
DI水を用いて実行されたテストからの抽出物レベルは、すべて非常に低かった。MTMAHとHClの両方からの結果は、より高いレベルのアルミニウムを示し、TMAHは、高いレベルの鉛を示した。両方の化学物質において、アルミニウムのレベルと鉛のレベルは、厚さ5ミル(0.013cm)のCytop(登録商標)の層でコーティングされたセンサと比較して、厚さ2.5ミル(0.0063cm)のCytop(登録商標)の層でコーティングされたセンサで高かった。両方の化学物質からのアルミニウムレベルは、厚さ5ミルのCytop(登録商標)の層でコーティングされたアルミニウムボタンで最高であった。
【0079】
これらの試験は、それぞれが2つのメタラックス圧力センサを保持するように構成された、10個のテフロン(登録商標)ハウジングを使用して実行された。センサが設置された状態で、各装置は、約1.5mlの流体を保持できる。設置時、各2つのセンサの面が、流体と接触している。
【0080】
4つの異なる材料が試験された。つまり、圧力センサと同じ寸法のテフロン(登録商標)のダミーセンサが、ベースラインに関して使用され、Cytop(登録商標)の5ミル(0.013cm)層でコーティングされた圧力センサと同じ寸法のアルミニウムボタン、Cytop(登録商標)の5ミル(0.013cm)層でコーティングされたメタラックス圧力センサ、およびCytop(登録商標)の2.5ミル(0.0063cm)層を有するメタラックス圧力センサである。3つの異なる化学物質が使用された。つまり、脱イオン水、10%の塩酸、および2.5%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)である。各装置で試験された材料と化学物質の説明は、表1に示されている。
【0081】
実験の開始前に、テフロン(登録商標)エンクロージャ、装置内のセンサを密封するために使用されるKalrez O−リング、およびテフロン(登録商標)ダミーセンサが、10%のHClで一晩事前に抽出された。いったん材料と化学物質が各装置に取り付けられると、10台の装置が、1ヶ月の間50℃の炉内に設置された。月の間に周期的に、アルミニウムボタンが入った装置が、抵抗について試験された。マルチメータは、各これら装置内の2つのアルミニウムボタン両端での抵抗を試験するために使用された。抵抗の増加は、測定のいずれの間にも観察されず、測定可能な量のイオンが、膜を通るイオンの浸透の拡散により生成されなかったことを示した。月の最後に、化学物質サンプルのすべてが、抽出物試験を受けた。
【0082】
センサは、10%のHCl中で30日間抽出された。抽出体積は、1.5mLであった。サンプルは、ICPMSを使用して金属に関して分析された。センサは、TMAH内で30日間抽出された。抽出体積は、1.5mLであった。TMAH抽出は、HNO中のホットプレート蒸発と再構成によって分析のために調製された。サンプルは、ICMPMSを使用して金属について分析された。センサは、水中で30日間抽出された。抽出体積は、1.5mLであった。サンプルは、ICPMSを使用して金属に関して分析された。
【0083】
抽出物の結果は、μg/unitの単位で報告され、装置は、2つのセンサを含む1つのハウジングである。DI水を用いて行われるテストランからの抽出物レベルは、全て1μg/unit未満であった。最高の抽出物は、Cytop(登録商標)でコーティングされたアルミニウムボタンで見られ、ナトリウムレベルは0.63μg/unitであり、カリウムレベルは0.59μg/unitであり、カルシウムレベルは0.24μg/unitであった。
【0084】
HClを用いたテストランの抽出物レベルは、アルミニウムを除きすべて1μg/unit未満であった。アルミニウムレベルは、Cytopでコーティングされたアルミニウムボタンで最も高かった(5.41μg/unit)。2.5ミル(0.0063cm)のCytop(登録商標)でコーティングされたセンサからのアルミニウムレベル(3.51μg/unit)は、5ミル(0.013cm)のCytop(登録商標)でコーティングされたセンサのものよりはるかに高かった(1.5μg/unit)。5ミル(0.013cm)のCytop(登録商標)でコーティングされたセンサのアルミニウムレベルは、テフロン(登録商標)ボタンのものより低かった(0.42μg/unit)。
【0085】
TMAHを用いたテストランの抽出物レベルは、アルミニウムと鉛を除き、すべて1μg/unit未満であった。アルミニウムレベルは、Cytop(登録商標)でコーティングされたアルミニウムボタンで最も高かった(6.59μg/unit)。2.5ミル(0.0063cm)のCytop(登録商標)でコーティングされたセンサのアルミニウムレベル(2.18μg/unit)は、5ミル(0.013cm)のCytop(登録商標)でコーティングされたセンサ(0.42μg/unit)のレベルより5倍高かった。5ミル(0.013cm)のCytop(登録商標)でコーティングされたセンサのアルミニウムレベルは、テフロン(登録商標)ボタンのものに近かった(0.31μg/unit)。鉛レベルは、テフロン(登録商標)ボタンおよびCytop(登録商標)でコーティングされたアルミニウムボタンでは非常に小さかった(0.01μg/unit)。2.5ミル(0.0063cm)のCytop(登録商標)でコーティングされたセンサの鉛レベル(2.9μg/unit)は、5ミル(0.013cm)のCytop(登録商標)でコーティングされたセンサのレベルより3倍高かった(0.69μg/unit)。
【表1】

【0086】
例3
この例は、フッ素を含むポリオリゴマーの気泡がない体積で基板をコーティングするために使用される方法を示す。
【0087】
約200μlより大きいCytop(登録商標)コーティング材料の体積を使用して、コーティング材料の溶液は、センサを横切る縁部から縁部の長さが、約0.654インチ(1.66cm)で、面積が0.35平方インチ(2.26cm)である八角形の形状である、センサ表面全体に広げられることができる。
【0088】
センサ表面に塗布されるCytop(登録商標)コーティング内での小さい気泡の生成を回避するために、これらの気泡は、加熱時に膨張し、空隙または多孔性の膜を作り出し、ピペットが、分与後に噴出されなかった。ピペット先端は、溶液の滴を、気泡を生じさせずに、およびさらに良好には基板上のコーティングの体積に落下するであろう個々の滴を生じさせずに、表面上に広げるために、センサ/コーティング表面のすぐ上に保持された。溶媒は、炉内の加熱の前に少なくとも30分間蒸発するのを許された。第2のおよび続くコーティングには、さらに長い蒸発時間が使用できるであろう。
【0089】
例4
この例は、その主鎖に脂肪族エーテル環構造を有する、フッ素を含むポリオリゴマーの非多孔性コーティングを有する圧力センサであるコーティング基板を説明する。
【0090】
メタラックス(METALLUX)501セラミックセンサは、旭硝子(Asahi Glass Company)から入手できるCytop(登録商標)ペルフルオロポリオリゴマーでコーティングされた。Cytop(登録商標)は、ペルフルオロ(アルケニルビニルエーテル)の環化重合により得られるペルフルオロポリマーであり、炭素鎖に結合されているフッ素を含む。
【0091】
CYTOP(登録商標)ペルフルオロポリオリゴマーでセラミック圧力センサの濡れた表面をコーティングする目的は、これらの表面の化学抵抗を強化し、それによりセンサと接触するプロセス流体を汚染するリスクを最小限に抑えることである。これらのセンサは、圧力センサのためのサファイアダイアフラムより、使用しかつ製造するには費用がかからない。
【0092】
この例のコーティングプロセスは、コーティングされる表面を清浄化しかつ脱水するステップと、CYTOP(登録商標)のP(ペル)F(フルオロ)P(ポリマー)溶液の気泡のないコーティングをセンサ表面に塗布するステップと、溶媒のバルクが室温で蒸発できるようにするステップと、残りの溶媒の大部分を除去するために、コーティング材料の溶媒の沸点未満でありかつCYTOP PFPのTg未満の温度でセンサをソフトベーキングするステップと、残りの溶媒を取り除くため、およびコーティングのセラミック基板への接着性を強化するために、溶媒の沸点より高くかつCYTOP材料のTgより高い値に温度を上げるステップとを含む。1度のコーティングで表面に塗布できるより厚いコーティングの場合、塗布するステップと、蒸発させるステップと、硬化させるステップは、最終的な焼成または硬化サイクルの前に、所望される厚さを達成するために必要に応じて繰り返されることができる。
【0093】
コーティングされる表面を清浄化しかつ脱水するのは、センサとCYTOP(登録商標)コーティングとの間の優れた接着を確実にするために実行することができ、コーティングされる表面(センサダイアフラム)は、有機材料を取り除くためにアセトンで濡らしたワイプでこすり、次に残っている全ての粒子材料を取り除くために、アセトンの噴出(〜1ml)を流す必要がある。センサは、次に、水分を取り除くために、110℃の炉で60分間焼成しなければならない。焼成サイクルの最後に、熱いセンサを冷却するためにデシケータ(dessicator)中に置き、コーティングされるまでデシケータに残すことができる。
【0094】
CYTOP(登録商標)PFP(ペルフルオロポリオリゴマー)溶液の気泡のないコーティングを、ダイアフラムに塗布する。コーティング材料は、CT−SOLV100、ペルフルオロアルカン(おもにペルフルオロオクタン)中の「CTL−107M」、旭(Asahi)の「M」CYTOPペルフルオロポリオリゴマー(低分子量グレード)7(重量)%の溶液である。
【0095】
コーティングプロセスは、装置の位置付けるために18mmの直径のリセスを有する取り付け具で、ダイアフラム上方に取り付けられているセンサを利用する。リセス中心の15.25mm直径のスルーホールが、電気コネクタ/ケーブルに隙間を与える。リセスは、一様なコーティング厚みを提供するために平坦である。センサが、電気ケーブルを有する場合、取り付け具内でのセンサの傾きを防止するために、ケーブルの質量中心は、センサのO.D.の垂直延長部に含まれる。
【0096】
いったんセンサが、適切に取り付けられると、ダイアフラム表面全体を覆うほど十分であるが、ダイアフラムの縁部で表面張力に打ち勝つには十分ではなく、かつ溶液が縁部を越えてこぼれるには十分ではない、CYTOP(登録商標)溶液の体積が、精密マイクロリットルピペッタを使用してダイフラムに塗布される。ダイアフラム表面を完全に覆うためには、少なくとも200μlの溶液が必要とされることが実験で決定された(さらに薄いCYTOP107M溶液を使用すると、明らかに蒸発冷却影響のために、ダイアフラムのアクティブな表面(最小熱質量]でのコーティング厚さの変動が生じた)。
【0097】
気泡は、コーティング内で欠陥(ピンホールまたは薄いスポット)を形成するので、ダイアフラム上の溶液からあらゆる気泡を排除する、あるいはただちに取り除く。気泡の生成を回避する1つの方法は、溶液の速度を、注意深いピペット操作技術によって、それがピペットからダイアフラムに移送されるときに最小限の抑えることである。また、コーティングプロセスで使用される1mlのピペッタ先端が、高い溶液分与速度とコーティング内での気泡の取り込みを生じさせることがある、非常に小さい開口部を先端に有する。先細のピペッタセンタを約5mm短くすることによって、先端開口部の直径は、高い分与速度による気泡の生成を最小限に抑えるのに十分に拡大される。液体コーティング内の可視気泡は、ピペッタ先端でダイアフラムの縁部に移動されることができ、あるいはピペッタに吸い込まれてよい。しかしながら、これらの動作は、コーティングで最終的に欠陥になる、小さな視覚的に検出不可能な気泡を生じさせる可能性がある。
【0098】
室温で溶媒のバルクが蒸発できるようにする。CYTOP(登録商標)PFP溶液の気泡がないコーティングが、センサダイアフラムに塗布された後、CT−SOLV−100のバルクは、センサを移動する前に、約30分間室温で蒸発するのを許される。これは、「ソフトベーク」または硬化炉に安全に移されることができる、物理的に安定したコーティング先駆体を有するセンサを生じさせる。
【0099】
溶媒の大部分を取り除くために、溶媒の沸点未満でありかつCYTOP(登録商標)のTg未満の温度で、センサを「ソフト」ベーキングする。CT−SOLV100の溶媒の沸点は、約100℃であり、CYTOPポリオリゴマーのTgは、108℃である。このプロセスステップの目的は、追加のコーティングまたは最終的な焼成ステップに備えて、ポリオリゴマーの末端基の追加の反応を開始しないで、コーティング中の溶媒の大部分を取り除くことである。このステップは、好ましくは、40℃の温度から60分間に亘って60℃の温度まで高める一方で、センサを本質的に水平に保つために、コーティングプロセスで使用されるのと同じ(または類似した)取り付け具中のセンサを用いて実施される。
【0100】
3つの前のコーティング、蒸発、およびソフトベークのステップは、所望される最終的なコーティング厚さを達成するために必要に応じて繰り返されることができる。
【0101】
溶媒の沸点より高くかつCYTOPのTgより高い値まで温度を上げると、膜中に残る溶媒が取り除かれ、コーティング膜の基板への接着が強化される。このステップの目的は、ダイアフラムのコーティングから残る溶媒を取り除き、CYTOP「M」ポリオリゴマーの末端基が、セラミック基板とさらに反応させ、接着を促進するか、または内部で架橋して化学抵抗を増大させる。このプロセスは、毎時約5℃の速度で、60℃から125℃にプロセス温度を上昇させ、次に125℃で2時間の「保持」が続くことができる炉で実施される。
【0102】
例5
この予想的な例は、接着性の非多孔性コーティングでコーティングされた1つまたは複数の構造体を有する、流体を移送するために使用される材料処理装置の例を示している。装置は、ハウジングを含み、ハウジングは、1つまたは複数の任意のセンサを取り付けるために使用され、流体入口接続および流体出口接続を含むハウジングを含むことができる。
【0103】
材料処理装置は、厳しく腐食性の環境でコーティングされかつ使用されることができる。装置に塗布される接着性の非多孔性コーティングは、腐食、粒子生成、層間剥離、または流体により引き起こされる変更動作から、下にある構造体を保護する。構造体にすでにある、または構造体上にすでに形成されているリード、電子装置、ボンドパッド、または温度に敏感な磁気要素を有する装置が、コーティングされることができるため、複数の流体に接触する構造体をコーティングする能力、および製造プロセスを簡略する能力は、低温硬化プロセス条件の使用することによって可能である。より低コストの材料が、例えば、インペラを作成するために使用されることができ、インペラは、次に、フッ素を含むコーティングでコーティングされることができる。完全にカプセル化されたインペラは、低温で準備されることができる。
【0104】
図7に示されている材料処理装置は、インペラポンプである。フッ素を含むオリゴマーの接着性の非多孔性コーティングでコーティングされることができるインペラポンプの構造体は、ハウジング704に取り付けられる1つまたは複数の任意のセンサ724、入口導管732または出口導管723の内部、ハウジング容器736の内表面、および流体処理インペラ712を含んでよいが、これらに限定されない。インペラは、固定されるか、あるいは撓みやすくてよい。
【0105】
インペラ構造体、またはその一部、例えば羽根712、または羽根と磁石740を有する支持構造体が、コーティングされることができる。接着促進剤は、インペラ表面を事前に処理するために使用されることができる。インペラは、CYTOP(登録商標)PFP(ペルフルオロポリオリゴマー)の溶液中で、インペラの回転軸(図7に図示されない軸)の下でインペラの部分のゆっくりとした回転を伴う、角度に応じる浸漬コーティングによってコーティングされることができる。このコーティング材料は、CT−SOLV100、ペルフルオロアルカン(おもにペルフルオロオクタン)に、CTL−107M、つまり旭(Asahi)の「M」CYTOPペルフルオロポリオリゴマー(低分子量グレード)の7(重量)%の溶液であり得る。コーティングのための回転速度は、対象物の浸漬間にガスの取り込みを防ぎ、コーティング溶液中でインペラ上の気泡の結合および上昇を容易にするように選ぶことができる。回転軸用のスルーホールを有する台が、第1のコーティングを硬化させるために使用されることができる。回転軸は、第2のステップで同じ溶液内で浸漬コーティングされることができる。
【0106】
インペラポンプは、スラリーおよび腐食性液体などの流体を処理するために使用されることができる。この例のコーティング方法は、ダイアフラムポンプ表面、ベローズポンプ表面、混合羽根、金属熱交換器、および流体処理装置の他の表面など、他の材料処理装置に適用されることができく、低コストの保護コーティングが、下にある基板を、粒子生成、腐食、または劣化から保護するために必要とされる。
【0107】
本発明は、その特定の好ましい実施形態に関してかなり詳細に記載されてきたが、他のバージョンが可能である。したがって、特許請求の範囲の精神および範囲は、記載に限られる必要なく、好ましいバージョンは、本明細書の範囲内に含む。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】ノズルから基板表面上に気泡を含まずに分与されるコーティング材料を有するセンサまたは基板を示し、基板に接続される電気または光学フィードスルーも示される。
【図2】Aは、基板の表面上に付着されるコーティング材料の気泡がない体積を示し、Bは、硬化に適した非多孔性膜を形成するために、溶媒の蒸発後に本発明のセンサ基板を覆うその絶縁保護コーティングを示す。
【図3】異なるときに、本発明の接着性の非多孔コーティングを有するセンサ、および本発明の接着性の非多孔コーティングを有さないセンサの校正データを示す。
【図4】基板上に接着性の非多孔性コーティングを形成するために、ノズルから基板表面に分与されるコーティング材料で、回転可能なステージ上の複数の基板をコーティングするためのプロセスおよび機器を示す。
【図5】断面で示される、流体の特性を測定するためのハウジングに構成される接着性の非多孔性コーティングを有するセンサを示し、ハウジングは、流体流れ回路に取り付けることができ、流体流路への接続のために入口ポートと出口ポートとを有する。
【図6】センサベースとは反対側の表面上に接着性の非多孔性コーティングを有する基板を示す。
【図7】1つまたは複数のセンサを有する流体処理装置を示し、センサおよびまたは流体処理装置の表面の部分は、接着性の非多孔性不活コーティングでコーティングされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を備える物品であって、基板が、基板の表面の一部に接着性の非多孔性の保護コーティングを含み、保護コーティングが、保護コーティングと接触する流体による腐食から基板を保護し、保護コーティングが、基板表面に化学的に結合される、フッ素を含むポリオリゴマーを含む、物品。
【請求項2】
保護コーティングが、25℃以上で腐食から基板を保護する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
接着促進剤を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
保護コーティング材料が、脂環式構造を有するフッ素を含むポリオリゴマーを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
基板が、磁石、検知要素、または流れ要素をさらに含む、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
基板が、回転可能シャフトまたは可撓性部材を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
保護コーティングが、50ミクロンを超える厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
物品であって、
流体入口および流体出口と流体連通する少なくとも1つの流体チャンバを有するハウジングと、
チャンバ内で流体と相互作用する1つまたは複数の構造体と、
流体と相互作用するハウジングまたは構造体の1つまたは複数の表面とを備え、該1つまたは複数の表面が、表面の少なくとも一部に有効厚みのフッ素を含むポリオリゴマーの接着性の非多孔性コーティングを有する、物品。
【請求項9】
チャンバ内の流体と相互作用する構造体が、ダイアフラム、ベローズ、インペラ、またはこれらの組み合わせである、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
流体と相互作用するハウジング、チャンバ、および構造体が、ポンプ、弁、流体流量計、または流体流量制御装置を形成する、請求項8に記載の物品。
【請求項11】
流体と相互作用するハウジング、チャンバ、および構造体が、ポンプを形成する、請求項8に記載の物品。
【請求項12】
流体と相互作用するハウジング、チャンバ、および構造体が、流体流量制御装置を形成する、請求項8に記載の物品。
【請求項13】
流体と相互作用するハウジング、チャンバ、および構造体が、流体流量計を形成する、請求項8に記載の物品。
【請求項14】
ポリオリゴマーコーティング材料が、脂環式構造を有するフッ素を含むポリオリゴマーを含む、請求項8に記載の物品。
【請求項15】
センサを備える物品であって、流体に接触するセンサの表面上に有効厚みの接着性の非多孔性コーティグを有し、非多孔性コーティングが、センサ表面に化学的に結合されるフッ素を含むポリオリゴマーを含む、物品。
【請求項16】
基板が、センサを調べるための構造体と、流体と接触するセンサの物理応答を測定するための構造体とを含む、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
センサ基板が、セラミック検知材料である、請求項15に記載の物品。
【請求項18】
センサが、温度センサ、流量センサ、化学純度センサ、圧力センサ、またはそれらの組み合わせである、請求項15に記載の物品。
【請求項19】
非多孔性コーティングが、25℃以上で腐食から基板を保護する、請求項15に記載の物品。
【請求項20】
非多孔性膜を形成するために、基板の化学的に結合可能な流体接触表面に塗布されるある量の気泡がないコーティング材料の溶媒を取り除くことを含み、溶剤および可溶性のフッ素を含むポリオリゴマーを含むコーティング材料、フッ素を含むポリオリゴマーが、基板の表面にポリオリゴマーを化学的に結合する反応基を有する、方法。
【請求項21】
非多孔性膜が、基板の表面に塗布されるコーティング材料中に10%より多いポリオリゴマーを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
基板の化学的に結合可能な流体接触表面上のコーティング材料の非多孔性膜を硬化することをさらに含み、硬化が、基板の化学的に結合可能な流体接触表面に接着の非多孔性コーティングを形成するために、ポリオリゴマーの反応基を基板の化学的に結合可能な流体接触表面に化学的に結合する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
基板の化学的に結合可能な流体接触表面が、センサ、導管、ハウジング、ポンプの要素、またはこれらの組み合わせである、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
硬化が、コーティング材料の溶媒の沸点未満であり、かつポリオリゴマーのTg未満の温度で生じる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
溶媒の沸点より高く、かつポリオリゴマー材料のTgより高い値まで、非多孔性膜の温度を高めることをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項26】
前記センサの化学的に結合可能な流体接触表面が、フッ素を含むポリオリゴマーと反応できるオルガノシランを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
溶媒除去が、帯電防止環境で生じる、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
コーティング材料が、接着促進剤を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
センサ表面上の前記接着性の保護コーティングが、50ミクロンより大きい厚さを有し、腐食から基板を保護する、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−527315(P2007−527315A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554288(P2006−554288)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/005574
【国際公開番号】WO2005/083020
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】