説明

接着性エポキシ組成物及びその適用方法

【課題】強化剤を含むエポキシ系接着剤及びこのような接着剤の流動プロセス(streaming process)を用いる適用方法を提供する。
【解決手段】1種又はそれ以上のエポキシ樹脂、1種又はそれ以上のゴム変性エポキシ樹脂、1種又はそれ以上のイソシアネート末端プリポリマーと、1個又はそれ以上のフェノール、ベンジルアルコール、アミノフェニル又はベンジルアミノ部分を有する1種又はそれ以上のキャッピング化合物とのキャッピング化合物で末端停止されている反応生成物、および任意的にエポキシ接着剤組成物に有用な、充填材、接着促進剤、湿潤剤又はレオロジー添加剤を含んでなり、100℃又はそれ以上の温度で硬化することにより、45℃で、20Pa.s.〜400Pa.s.の粘度を有する接着組成物およびそれを基体に適用することを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化剤を含むエポキシ系接着剤及びこのような接着剤の流動プロセス(strea
ming process)を用いる適用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂系接着剤は、種々の異なった基体(substrate)を一緒に接合するために
使用される。自動車工業に於いて、エポキシ樹脂接着剤は、ある種の部品を一緒に接合す
るために使用され、そして構造接着剤として知られている。構造接着剤は、自動車の車体
構造物の部品を一緒に接合する接着剤である。接着組成物中に使用するときエポキシ樹脂
に伴う問題点は、エポキシ樹脂が幾らか脆性であり、衝撃を受けたとき破壊されることで
ある。この破壊する傾向は、強化剤を添加することによって減少させることができる。強
化剤の使用に伴う問題点は、このような強化剤が、組成物の粘度を増加させる傾向があり
、そして増加した粘度が、適用方法及び適用速度を制限することである。Muelhau
ptの特許文献1には、(a)少なくとも1種の1,3−ジエン及び少なくとも1種の極
性エチレン性不飽和コモノマーをベースにするコポリマー並びに(b)フェノール末端ポ
リウレタン、ポリウレア又はポリウレアウレタンを含有するエポキシ樹脂が開示されてい
る。Muelhauptに開示されている接着剤は、優れた構造接着剤である。これらの
接着剤は非常に粘稠であるために、これらは、高い適用速度を必要とする幾つかの高体積
適用に於いて有用ではない。
【0003】
特に、これらの材料は、一般的に、表面上に直接、押出ビードとして適用され、45℃
で測定したときに150〜600Pa.s.の粘度を有する。他の適用に於いて、これら
の接着剤は、渦巻き(swirl)技術を使用して、100Pa.s.の粘度で適用される。押
出ビードを使用する接着剤の適用方法は、多くの高速度適用のためには遅すぎる。渦巻き
方法は、より速い適用であるが、高体積構造適用のためには理想的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,278,257号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
必要とされているものは、接着剤を速くそして高体積で適用することができる、エポキ
シ樹脂をベースにする構造接着剤の適用方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基体に、
A)1種又はそれ以上のエポキシ樹脂、
B)1種又はそれ以上のゴム変性エポキシ樹脂、
C)1種又はそれ以上のイソシアネート末端プリポリマーと、1個又はそれ以上のビス
フェノール、フェノール、ベンジルアルコール、アミノフェニル又はベンジルアミノ部分
を有する1種又はそれ以上のキャッピング化合物との、キャッピング化合物で末端停止さ
れている反応生成物を含む1種又はそれ以上の強化用組成物、
D)100℃又はそれ以上の温度で硬化を開始する、1種又はそれ以上の硬化剤及び1
種又はそれ以上のエポキシ樹脂用触媒並びに
E)任意的な、エポキシ接着剤組成物に於いて有用である、充填材、接着促進剤、湿潤
剤又はレオロジー添加剤
を含んでなる接着剤の流れ(ストリーム)を適用することを含んでなる、接着組成物の適
用方法であって、この接着組成物が、45℃で、20Pa.s.〜400Pa.s.、好
ましくは20〜150Pa.s.の粘度を有する方法である。このイソシアネート末端プ
リポリマーは、脂肪族ポリイソシアネートとヒドロキシル又はアミン末端ポリエーテル(
但し、このポリエーテルには、主鎖中にウレア又はウレタン結合が含まれていてよい)と
の反応生成物である。このキャッピング化合物は、1個又はそれ以上の芳香族環に結合さ
れた、1個又はそれ以上のヒドロキシル、アミノ、メチルアミン又はメチロール基を有す
る、1個又はそれ以上の芳香族又はビス芳香族環を含む。キャッピング化合物に、1個よ
り多くの芳香族環が含まれる場合、芳香族環は、芳香族環の2個の炭素の間の炭素−炭素
結合、アルキレン、酸素、カルボニル、カルボニルオキシ又はアミド基によって一緒に結
合されており、そして芳香族環は、以下のような基が、ヒドロキシル及び/又はアミノ基
とイソシアネート基との反応を妨害しないと言う条件で、1個又はそれ以上のアルキル、
アミノ、アルキルアミノ及び/又はヒドロキシル基で更に置換されていてよい。この反応
生成物は、反応生成物の粘度が、45℃でここに記載された通りであるような、架橋密度
を有する。
【0007】
更に、本発明は、接着組成物を基体に接着剤のストリームの形で適用することによる、
接着組成物の適用方法である。これは、高速度流動装置を使用して実施することができる

【発明を実施するための形態】
【0008】
この流動性接着剤は、200〜400ミリメートル(mm)/秒の速度で適用すること
ができる。本発明に於いて使用される接着剤は、比較的低い粘度を有し、なお高強度接合
(又は接着)を与えるように配合することができる。
【0009】
強化材は、1種又はそれ以上のイソシアネート末端プリポリマーと、1種又はそれ以上
のキャッピング剤との反応生成物(但し、プリポリマーを製造するために使用されるイソ
シアネートは、脂肪族及び/又はシクロ脂肪族基を有する)を含む。好ましくは、プリポ
リマーは、低粘度接着組成物になるような分子量を有する。好ましくは、プリポリマーの
粘度は、20Pa.s.又はそれ以上、更に好ましくは100Pa.s.又はそれ以上で
ある。好ましくは、プリポリマーは、1000Pa.s.又はそれ以下、更に好ましくは
800Pa.s.又はそれ以下の粘度を有する。強化剤の所望の粘度を達成するために、
イソシアネートプリポリマーの枝の数及び最終反応生成物の架橋密度を低く保たなくては
ならない。プリポリマーの枝の数は、イソシアネート末端プリポリマーを製造するために
使用される原材料の官能度に直接関係する。官能度は、反応剤中の反応性基の数を指す。
好ましくは、プリポリマー中の枝の数は、6又はそれ以下、更に好ましくは4又はそれ以
下である。好ましくは、枝の数は1又はそれ以上、更に好ましくは2又はそれ以上である
。架橋密度は、ポリマーの鎖の間の結合の数である。より高い架橋密度で、反応生成物の
粘度はより高い。架橋密度は、プリポリマーの官能度及びプロセス条件によって影響を受
ける。強化剤を製造するための反応の温度を比較的低く保つ場合、架橋を最小にすること
ができる。好ましくは、架橋密度は、2又はそれ以下、更に好ましくは1又はそれ以下で
ある。好ましくは、プリポリマーの分子量は、8,000(Mw)又はそれ以上、更に好
ましくは15,000(Mw)又はそれ以上である。好ましくは、プリポリマーの分子量
は、40,000(Mw)又はそれ以下、更に好ましくは30,000(Mw)又はそれ
以下である。本明細書で使用される分子量は、GPC分析に従って決定される重量平均分
子量である。プリポリマーと反応されるキャッピング剤の量は、末端イソシアネート基の
実質的に全部に蓋をするために十分でなくてはならない。キャッピング剤で末端イソシア
ネート基をキャッピングすることによって意味されることは、キャッピング剤がイソシア
ネートと反応して、ポリマーの末端にキャッピング剤を置くことである。実質的に全部に
よって意味されることは、少量の遊離イソシアネート基がプリポリマー中に残ることであ
る。少量は、如何なる有意の方法に於いても、組成物の特性に影響を与えない量の、参照
される特徴又は成分が存在することを意味する。好ましくは、キャッピング剤当量対イソ
シアネートプリポリマー当量の比は、1:1又はそれ以上、更に好ましくは1.5:1又
はそれ以上である。好ましくは、キャッピング剤対プリポリマーのイソシアネートの当量
比は、2.5:1又はそれ以下、更に好ましくは2:1又はそれ以下である。
【0010】
好ましくは、反応生成物は、式I又はII:
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R1は、それぞれ独立に、C2〜C20のm価のアルキル部分(moiety)であり、
2は、それぞれ独立に、ポリエーテル鎖であり、
3は、それぞれ独立に、任意的に1個又はそれ以上の酸素又は硫黄原子を含む、アル
キレン、シクロアルキレン又は混合したアルキレン及びシクロアルキレン部分であり、
4は、直接結合又はアルキレン、カルボニル、酸素、カルボキシルオキシ若しくはア
ミド部分であり、
5は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ又はア
リールオキシ部分であるが、p=1の場合にはq=0であり、
Xは、O又は−NR6であるが、pが1である場合にはXはOであり、pが0である場
合にはXは少なくとも1個存在してOであり、
6は、それぞれ独立に、水素又はアルキルであり、
mは、それぞれ独立に、1〜6の数であり、
nは、それぞれ独立に、1又はそれ以上の数であり、
oは、それぞれ独立に、pが0である場合には0又は1であり、そしてpが1である場
合には0であり、
pは、それぞれ独立に、0又は1であり、そして
qは、それぞれ独立に、0〜1の数である)
の1個に対応する。
【0013】
イソシアネート末端プリポリマーは、式III及びIV:
【0014】
【化2】

【0015】
の1個に対応し、そしてキャッピング化合物は、式V:
【0016】
【化3】

【0017】
(上記式中、R1、R2、R3、R4、R5、m、n、o、p及びqは、前記定義の通りであ
る)
に対応する。
【0018】
4は、好ましくは、直接結合又はアルキレン、酸素、カルボニル、カルボニルオキシ
若しくはアミド部分である。更に好ましくは、R4は、直接結合又はC1〜C3の直鎖若し
くは分枝鎖アルキレン部分である。
【0019】
好ましくは、R5は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキルオキシ又はア
リールオキシ部分であるが、p=1の場合にはq=0である。更に好ましくは、R5は、
1〜C20アルキル、C1〜C20アルケニル、C1〜C20アルコキシ又はC6〜C20アリール
オキシ部分である。更に好ましくは、R5は、C3〜C15アルキル又はC3〜C15アルケニ
ル部分である。
【0020】
好ましくは、oは0である。
【0021】
式(III)のイソシアネート末端プリポリマーを製造するために使用されるポリエー
テルポリオール又はポリアミンは、当業者に公知である、任意の一般的なポリエーテルポ
リアミン又はポリオールであってもよい。プリポリマーを製造するために、ポリエーテル
ポリオール又はポリエーテルポリアミンを、当量過剰のポリイソシアネートと、重付加触
媒の存在下で、ヒドロキシル又はアミノ基が、ポリイソシアネートと反応して、式(II
I)のイソシアネート官能性付加物を形成するような条件下で反応させる。出発化合物が
、2個又はそれ以上のアミノ基を有するポリマーである場合、プリポリマーにはウレア基
が含まれる。それがポリエーテルポリオールである場合、得られるプリポリマーにはウレ
タン基が含まれる。式(IV)のプリポリマーを製造するために、出発化合物は、C2
20モノ又はポリアルコール又はアミンである。この場合に、出発化合物を、ポリエーテ
ルポリオール又はポリエーテルポリアミン及び当量過剰のポリイソシアネートと、重付加
触媒の存在下で、イソシアネート官能性プリポリマーが製造されるような条件下で反応さ
せる。この反応工程のためには、一般的な重付加条件を使用する。プリポリマー製造に於
いて、過剰のポリイソシアネートは、イソシアネート官能性プリポリマーの製造を与える
か又は生じるように、ポリエーテルポリオール又はポリアミンと反応させる。好ましくは
、ポリイソシアネートのヒドロキシ及び/又はアミノ基の合計に対する当量比は、1.5
:1又はそれ以上、更に好ましくは2:1又はそれ以上である。好ましくは、この当量比
は、3.5:1又はそれ以下、更に好ましくは3:1又はそれ以下である。
【0022】
本発明に於いて有用なポリエーテルポリオール又はポリアミンは、ポリイソシアネート
と共にプリポリマーを形成することができ、そしてフェノールでキャップをしたとき、前
記の所望の粘度特性を有するプリポリマーを与える、任意のポリエーテル又はポリアミン
であってもよい。このポリエーテルポリオール又はポリアミンは、酸素原子によって分離
されており、ヒドロキシル又は第一級若しくは第二級アミン(好ましくは第一級アミン)
によって末端停止されている一連の炭化水素基を含む。好ましくは、ポリエーテルは、酸
素原子と交互になっている一連のアルキレン基である、ポリアルキレンエーテルである。
好ましくは、ポリアルキレンポリエーテルは、400(Mw(重量平均))又はそれ以上
、更に好ましくは1000(Mw)又はそれ以上の分子量を有する。好ましくは、ポリア
ルキレンポリエーテルは、8000又はそれ以下、更に好ましくは3000(Mw)又は
それ以下の分子量(Mw)を有する。本件に関して使用するポリアルキレンは、直鎖又は
分枝鎖アルキレン基を含む繰り返し単位を有するポリエーテルを指す。好ましくは、アル
キレン基は、炭素数2〜6であり、直鎖又は分枝鎖であってよく、更に好ましくは炭素数
2〜4、最も好ましくは炭素数3〜4である。好ましくは、アルキレン基は、エチレンオ
キシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はテトラヒドロフランから誘導される
。好ましくは、プリポリマーを製造するために使用されるポリエーテルポリオール又はポ
リアミンは、2〜6、更に好ましくは2〜4、なお更に好ましくは2〜3、最も好ましく
は2の官能度を有する。ポリエーテルポリオール又はポリアミンには、また、当業者に公
知の技術によってポリアルキレンポリエーテルを製造するために、アルキレンオキシド又
はテトラヒドロフランの重合を開始するために使用された、開始剤化合物の残基が含まれ
ていてよい。好ましい態様に於いて、ポリエーテルはテトラヒドロフランから誘導される

【0023】
本明細書で使用される式に於いて、R2は、そのポリマーのポリエーテルセグメントの
残基を表す。本明細書で使用されるとき、残基は、残留するポリエーテルが、式(I)〜
(IV)中で別々に同定される末端基X以外の部分であることを意味する。
【0024】
ポリエーテル残基は、好ましくは、400又はそれ以上、更に好ましくは1000又は
それ以上、最も好ましくは1500又はそれ以上の分子量(重量平均)を有する。ポリエ
ーテル残基は、8000又はそれ以下、更に好ましくは6000又はそれ以下、最も好ま
しくは3000又はそれ以下の分子量を有する。
【0025】
本発明に於いて式IIのプリポリマーを製造するために有用な出発化合物は、1〜8個
、好ましくは2〜8個、更に好ましくは2〜4個、最も好ましくは2〜3個の活性水素を
有する化合物である。好ましい出発化合物には、例えばアルコール、グリコール、低分子
量ポリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、グルコシ
ド、糖、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等が含まれる。特に、適当なグリコー
ルには、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリ
コール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレン
グリコール、1,2−ペンチレングリコール、1,3−ペンチレングリコール、1,4−
ペンチレングリコール、1,5−ペンチレングリコール、ネオペンチルグリコール及び種
々のヘキサンジオール、これらの混合物等が含まれる。好ましい出発化合物は、トリメチ
ロールプロパンのように三官能性である。
【0026】
本明細書で使用される前記各式に於いて、R1は、それぞれ、当業者に公知である、出
発化合物又はポリエーテルのための重付加開始剤の残基である。本発明に於いて有用であ
る出発化合物及び開始剤は、好ましくは、式:
1(XH)m
(式中、R1、X及びmは、前記定義の通りである)
に対応する。好ましくは、開始剤はヒドロキシル官能性である。好ましくは、R1は、そ
れぞれ独立に、C2〜C20のm価のアルキル基である。更に好ましくは、R1は、それぞれ
独立に、C2〜C8のm価のアルキル基、なお更に好ましくはC2〜C6のアルキル基である
。R1は、それぞれ独立に、2〜6価、更に好ましくは2〜4価、最も好ましくは2〜3
価である。好ましくは、XはOである。好ましくは、mは2〜6の数、更に好ましくは2
〜4の数、最も好ましくは2〜3の数である。
【0027】
本発明のプリポリマー及び強化剤を製造する際に有用なイソシアネートには、全ての脂
肪族ポリイソシアネートが含まれる。本明細書に於いて使用される脂肪族は、イソシアネ
ートが、その主鎖内に、芳香族ではなく、好ましくはアルキレン、シクロアルキレン又は
それらの混合物の部分である部分を有することを意味する。更に、アルキレン及び/又は
シクロアルキレンのような脂肪族部分には、1個又はそれ以上の酸素又は硫黄原子が含有
されていてよい。本明細書で使用されるポリは、2個又はそれ以上を意味する。ポリイソ
シアネートは、平均で2個又はそれ以上のイソシアネート基を有するイソシアネートを意
味する。好ましくは、イソシアネートは、平均で2〜3個のイソシアネート基、更に好ま
しくは平均で2個のイソシアネート部分を有するイソシアネートである。
【0028】
好ましいポリイソシアネートは、式:
3−(NCO)p
(式中、R3は、前記定義の通りである)
に対応する。好ましくは、R3は、それぞれ独立に、任意的に、アルキレン及び/又はシ
クロアルキレン鎖内に、1個又はそれ以上の酸素又は硫黄原子を含有する、C1〜C20
ルキレン、シクロアルキレン又は混合したアルキレン及びシクロアルキレン部分である。
混合したアルキレン及びシクロアルキレンは、直鎖及び/又は分枝鎖並びに環式アルキレ
ン環を含有する部分を意味する。更に好ましくは、R3はエチレン、トリメチレン、テト
ラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、デカ
メチレン、ドデカメチレン、テトラデカメチレン、ヘキサデカメチレン、オクタデカメチ
レン、エイコサメチレン、式:
−(CH2−CH2−O)s−CH2−CH2−、
−(CH(CH3)−CH2−O)s−CH(CH3)−CH2−、
−(CH2−CH2−CH2−O)s−CH2−CH2−CH2−CH2−及び
−(CH2−CH2−S)s−CH2−CH2
(式中、sは、それぞれ独立に、1〜20である)
に対応する部分又はシクロペンタレン、シクロヘキサレン、シクロヘプタレン若しくは直
接結合によって結合された若しくはアルキレン基によって結合されたこのようなシクロア
ルキレン基の2個又はそれ以上である。
【0029】
好ましいイソシアネートの中には、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシ
アネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシ
アネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデ
カメチレンジイソシアネート、ヘキサデカメチレンジイソシアネート、オクタデカメチレ
ンジイソシアネート、エイコサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサメチレンジイソ
シアネート、シクロペンタレンジイソシアネート若しくはシクロヘプタレンジイソシアネ
ート又はビスシクロヘキサレン、シクロヘキシルメチレンジイソシアネート等がある。最
も好ましいイソシアネートはヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0030】
本発明に於いて有用なキャッピング剤は、液体であるか又は使用するポリエーテル中に
溶解させることができ、そして本明細書中の定義された反応条件下でプリポリマーのイソ
シアネート基と反応して、イソシアネート基に蓋をする、本明細書に記載されたような任
意のフェノール、ベンジルアルコール、芳香族アミン又はベンジルアミンである。
【0031】
好ましくは、キャッピング剤は、フェノール又はベンジルアルコールである。一つの好
ましい態様に於いて、フェノールはアルキル置換フェノールであり、好ましくはこのアル
キル基は、C1〜C20アルキル部分、更に好ましくはC2〜C15アルキル部分、最も好まし
くはC8〜C12アルキル部分である。好ましくは、フェノールは、下記の式:
【0032】
【化4】

【0033】
(式中、R5は、更に好ましくはC1〜C20アルキル部分、なお更に好ましくはC2〜C15
アルキル部分、最も好ましくはC8〜C12アルキル部分である)
に対応する。フェノール上のアルキル基の大きさ及び位置は、フェノール基上のヒドロキ
シル基とプリポリマー上のイソシアネート単位との反応を、妨害又は防止してはならない
。他の態様に於いて、フェノールはビスフェノールである。ビスフェノールは、2個の芳
香族環が、お互いに対して、直接結合により又はアルキレン、カルボキシル、スルフィニ
ル、スルホニル若しくはアルキル置換シラン単位により結合されているように構成されて
いる。好ましくは、アルキレン単位は、C1〜C20直鎖又は分枝鎖、更に好ましくはC1
3直鎖又は分枝鎖アルキレンである。好ましくは、ビスフェノール系化合物は、式:
【0034】
【化5】

【0035】
(式中、R4は前記定義の通りである)
に対応する。好ましいフェノール系化合物の中には、ビスフェノールA、ビスフェノール
F、3−(n−ペンタ−8’−デセニル)フェノール及びo−アリルフェノールがある。
【0036】
強化剤は、下記の方法に従って製造される。第一工程は、使用すべきキャッピング剤が
固体であるか又は液体であるかを決定することである。使用すべきキャッピング剤が固体
である場合、これを、使用すべきポリエーテル中に溶解させる。このキャッピング剤を溶
解させるための方法は、上昇した温度、即ちキャッピング剤をポリエーテル中に溶解させ
るために必要な温度で実施することができる。好ましくは、このような温度は、100℃
又はそれ以上、最も好ましくは130℃又はそれ以上で、そして好ましくは150℃又は
それ以下、最も好ましくは140℃又はそれ以下である。キャッピング剤が液体である場
合、これは、プロセスの後半で添加する。
【0037】
その中に溶解させた固体キャッピング剤化合物を含むポリエーテルを、その後、ポリイ
ソシアネートと、ヒドロキシル基とイソシアネート基との間の反応に触媒作用するために
適した触媒(縮合触媒)の存在下で接触させる。この接触は一般には発熱である。キャッ
ピング剤とポリイソシアネートとは、イソシアネート反応性部分を有し、そしてポリアル
キレンポリエーテルからの存在するヒドロキシルを実質的に有しないプリポリマーが生成
されるまで反応させる。一般的に、これを達成するために、当量過剰のイソシアネートを
使用する。好ましくは、0.5又はそれ以上のイソシアネート当量の過剰が好ましく、更
に好ましくは1又はそれ以上が更に好ましく、そして2.5又はそれ以下が好ましく、2
又はそれ以下が更に好ましい。一般的に、この反応は、30分間又はそれ以上、更に好ま
しくは60分間又はそれ以上、好ましくは120分間又はそれ以下、更に好ましくは10
0分間又はそれ以下を要する。
【0038】
この反応は縮合触媒の存在下に実施する。このような触媒の例には、カルボン酸の第一
スズ塩、例えばオクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、酢酸第一スズ及びラウリン酸
第一スズ;二カルボン酸ジアルキルスズ、例えば二ラウリン酸ジブチルスズ及び二酢酸ジ
ブチルスズ;第三級アミン並びにスズメルカプチドが含まれる。この反応のための好まし
い縮合触媒は、二ラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸スズ(II)及びジアザビシクロ
オクタンである。使用する触媒の量は、一般的に、イソシアネートの性質に依存して、触
媒作用される混合物の0.005〜5重量%である。更に好ましくは、この触媒は、反応
混合物の0.002重量%又はそれ以上、最も好ましくは反応混合物の0.01重量%又
はそれ以上の量で使用される。更に好ましくは、この触媒は、反応混合物の0.2重量%
又はそれ以下、最も好ましくは反応混合物の0.05重量%又はそれ以下の量で使用され
る。
【0039】
キャッピング化合物がポリエーテル中に溶解される場合、温度を、プリポリマーが顕著
な架橋を受ける温度よりも低く保持するために、この反応物を冷却することが重要である
。好ましくは、反応混合物を、90℃又はそれ以下、更に好ましくは80℃又はそれ以下
の温度にまで冷却する。使用すべきキャッピング剤が液体である場合、ポリエーテルとポ
リイソシアネートとの反応の完結が起こった後、反応混合物を、顕著な架橋が起こり得る
温度よりも低い温度まで冷却し、そしてキャッピング剤を反応混合物に添加する。好まし
くは、反応混合物を、90℃又はそれ以下、更に好ましくは80℃又はそれ以下の温度に
まで冷却する。キャッピング剤及びイソシアネート官能性プリポリマーは、キャッピング
剤によってイソシアネート単位に蓋をするために十分な時間反応させる。好ましくは、こ
の反応を、20分間又はそれ以上、更に好ましくは50分間又はそれ以上の期間続け、そ
してこの反応を、120分間又はそれ以下、更に好ましくは80分間又はそれ以下の期間
続ける。前の工程からの触媒は、この工程の反応に触媒作用するために存在する。その後
、得られる反応混合物は、エポキシ接着配合物を製造するために有用である。
【0040】
接着組成物の一つの成分は、エポキシド樹脂、例えば米国特許第4,734,332号
明細書(引用して本明細書に含める)、特に第2欄第66行〜第4欄第24行に開示され
ているものである。本発明の組成物に於いて使用することができるエポキシド樹脂は、下
記の式:
【0041】
【化6】

【0042】
(式中、R8は水素又はC1〜C4アルキル、好ましくは水素又はメチル、最も好ましくは
水素である)
に示される基を含有するものである。好ましくは、エポキシ樹脂は、硬質エポキシ樹脂又
は硬質エポキシ樹脂と軟質エポキシ樹脂との混合物(但し、エポキシ樹脂の10重量%又
はそれ以下に、軟質エポキシ樹脂が含まれる)である。本明細書で使用する硬質エポキシ
樹脂は、エポキシ樹脂の主鎖中にビスフェノール部分を有するエポキシ樹脂を指す。本発
明に於いて有用である好ましいビスフェノール樹脂の代表は、米国特許第5,308,8
95号明細書、第8欄、第6行(引用して本明細書に含める)に開示され、そして式6に
よって表されるものである。好ましくは、硬質エポキシ樹脂は、液体エポキシ樹脂又は液
体エポキシ樹脂中に分散された固体エポキシ樹脂の混合物である。最も好ましい硬質エポ
キシ樹脂は、ビスフェノール−A系エポキシ樹脂及びビスフェノール−F系エポキシ樹脂
である。
【0043】
本明細書で使用する軟質(flexible)エポキシ樹脂は、主鎖中にエラストマー性鎖を有
するエポキシ樹脂を指す。このようなエラストマー性鎖の代表は、好ましくは、1種又は
それ以上のアルキレンオキシドから製造されたポリエーテル鎖である。これらの軟質エポ
キシ樹脂の代表例は、米国特許第5,308,895号明細書、第8欄、第9行並びに式
9及びそれに続く説明(引用して本明細書に含める)に記載されているものである。好ま
しくは、軟質エポキシ樹脂には、その主鎖中に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド
又はこれらの混合物が含まれる。
【0044】
他の成分は、ゴム変性エポキシ樹脂である。好ましくは、本発明の接着剤には、エポキ
シ樹脂及びジエンゴム又は共役ジエン/ニトリルゴムのエポキシ末端付加物が含まれる。
この付加物は、ポリエポキシド、即ち前記のような平均1個より多いエポキシ基を有する
化合物と、カルボキシ官能性共役ジエンゴム又は共役ジエン/ニトリルゴムとの反応に於
いて、適切に製造される。このジエンゴムは、共役ジエンモノマー、例えばブタジエン及
びイソプレンのポリマーである。ブタジエンゴムが好ましい。共役ジエン/ニトリルゴム
は、共役ジエンとエチレン性不飽和ニトリルモノマー(アクリロニトリルが最も好ましい
ものである)とのコポリマーである。共役ジエン/ニトリルゴムを使用するとき、組成物
中に存在する少なくとも1種のこのようなゴムには、30重量%よりも少ない重合した不
飽和ニトリル、好ましくは26重量%以下の重合した不飽和ニトリルが含まれる。このゴ
ムには、また、エポキシドと反応して、それに対する共有結合を形成する末端基が含まれ
る。好ましくは、このゴムには、平均で、1分子当たり、1.5個から、更に好ましくは
1.8個から、2.5個、更に好ましくは2.2個までのこのような末端基が含まれる。
カルボキシル末端ゴムが好ましい。このゴムは、好ましくは、室温で液体であり、そして
好ましくは、−25℃よりも低い、好ましくは−30℃〜−90℃のガラス転移温度を有
する。このゴムの分子量は、適切には、2000〜6000、更に好ましくは3000〜
5000である。適当なカルボキシル官能性ブタジエン及びブタジエン/アクリロニトリ
ルゴムは、ノベオン社(Noveon)から、商品名ハイカー(Hycar)(登録商標)2000X1
62カルボキシル末端ブタジエンホモポリマー及びハイカー(登録商標)1300X31
カルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーで市販されている。適当なア
ミン末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーは、商品名ハイカー(登録商標)13
00X21で販売されている。ニトリルゴムの例は、ハイカー(登録商標)1300X8
、ハイカー(登録商標)1300X13、ハイカー(登録商標)1300X9、ハイカー
(登録商標)1300X18及びハイカー(登録商標)1300X31カルボキシル末端
ブタジエンアクリロニトリルコポリマーであり、全てノベオン社から市販されている。
【0045】
共役ジエン又は共役ジエン/ニトリルゴムは、過剰のポリエポキシドと反応させること
によって、エポキシ末端付加物に形成される。広範囲の種々のポリエポキシド化合物、例
えばシクロ脂肪族エポキシド、エポキシ化ノボラック樹脂、エポキシ化ビスフェノールA
若しくはビスフェノールF樹脂、ブタンジオールポリグリシジルエーテル、ネオペンチル
グリコールポリグリシジルエーテル又は軟質エポキシ樹脂を使用することができるが、一
般的に、コスト及び入手性に基づいて、ビスフェノールA又はビスフェノールFのような
ビスフェノールの液体又は固体グリシジルエーテルが好ましい。ハロゲン化した、特に臭
素化した樹脂を、所望により難燃性を与えるために使用することができる。付加物を形成
するために、液体エポキシ樹脂(例えばザ・ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Compan
y)から入手できる、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、DER331)が、付加物を製造
する際の取扱いの容易性のために特に好ましい。典型的に、ゴム及び過剰のポリエポキシ
ドを、重合触媒、例えば置換されたウレア又はホスフィン触媒と一緒に混合し、そして1
00〜250℃の温度に加熱して、付加物を形成させる。好ましい触媒には、フェニルジ
メチルウレア及びトリフェニルホスフィンが含まれる。好ましくは、得られる生成物が、
付加物及び遊離のポリエポキシド化合物の混合物である、十分なポリエポキシド化合物が
使用される。
【0046】
エポキシ接着剤組成物は、更に、熱活性化硬化剤を含む。好ましくは、この熱活性化硬
化剤は、ときには潜伏性硬化剤として参照される窒素含有熱活性化硬化剤である。この新
規な組成物中に使用される硬化剤(b)は、一定の「限界(threshold)」温度(これは
、通常少なくとも80℃、好ましくは少なくとも100℃以上)より下でエポキシド樹脂
に対して不活性なままであるが、限界温度を超えると急速に反応して硬化を実行する、ど
のような物質であってもよい。このような物質は、公知であり、市販されており、そして
これには、三塩化ホウ素/アミン及び三フッ化ホウ素/アミン錯体、ジシアンジアミド、
メラミン、ジアリルメラミン、グアナミン、例えばアセトグアナミン及びベンゾグアナミ
ン、アミノトリアゾール、例えば3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドラジド、
例えばアジピン酸ジヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド
、セミカルバジド、シアノアセトアミド並びに芳香族ポリアミン、例えばジアミノジフェ
ニルスルホンが含まれる。ジシアンジアミド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジ
ヒドラジド及び4,4’−ジアミノジフェニルスルホンの使用が特に好ましい。
【0047】
本発明に於いて有用な接着組成物は、更に、接着技術分野で一般的である他の添加剤を
含んでいてよい。本発明に従った混合物に含有されていてよい他の通例の添加剤は、可塑
剤、増量剤、充填材及び強化剤、例えばコールタール、ビチューメン、織物繊維、ガラス
繊維、アスベスト繊維、ホウ素繊維、炭素繊維、鉱物ケイ酸塩、雲母、粉末化石英、アル
ミナ水和物、ベントナイト、ウォラストナイト、カオリン、シリカエーロゲル又は金属粉
末、例えばアルミニウム粉末若しくは鉄粉末並びに顔料及び染料、例えばカーボンブラッ
ク、酸化物カラー及び二酸化チタン、難燃剤、チキソトロピー剤、流動調節剤、例えばシ
リコーン、ワックス及びステアレート(部分的に、離型剤として使用することもできる)
、接着促進剤、酸化防止剤並びに光安定剤である。
【0048】
本発明に於いて使用されるエポキシ樹脂又はエポキシド樹脂は、所望の接着及び強度特
性を与えるために十分な量で使用される。好ましくは、エポキシ樹脂は、接着組成物10
0部当たり30部又はそれ以上、更に好ましくは接着組成物100部当たり40部又はそ
れ以上、最も好ましくは接着組成物100部当たり50部又はそれ以上の量で使用される
。エポキシ樹脂は、好ましくは、接着組成物100部当たり80部又はそれ以下、更に好
ましくは接着組成物100部当たり70部又はそれ以下、最も好ましくは接着組成物10
0部当たり60部又はそれ以下の量で使用される。
【0049】
好ましくは、ゴム変性エポキシ樹脂は、接着組成物100部当たり0部又はそれ以上、
更に好ましくは接着組成物100部当たり5部又はそれ以上、最も好ましくは接着組成物
100部当たり10部又はそれ以上の量で使用する。ゴム変性エポキシ樹脂は、接着組成
物100部当たり25部又はそれ以下、更に好ましくは接着組成物100部当たり20部
又はそれ以下、更に好ましくは接着組成物100部当たり15部又はそれ以下の量で使用
する。硬化剤は、組成物を硬化させるために十分な量で使用する。好ましくは、硬化剤は
、接着組成物100部当たり0部又はそれ以上、更に好ましくは接着組成物100部当た
り3部又はそれ以上、最も好ましくは接着組成物100部当たり5部又はそれ以上の量で
使用する。硬化剤は、好ましくは、接着組成物100部当たり15部又はそれ以下、更に
好ましくは接着組成物100部当たり10部又はそれ以下、最も好ましくは接着組成物1
00部当たり8部又はそれ以下の量で使用する。
【0050】
充填材は、所望のレオロジー特性を与えるために十分な量で使用する。好ましい充填材
は、接着組成物100部当たり0部又はそれ以上、更に好ましくは接着組成物100部当
たり5部又はそれ以上、最も好ましくは接着組成物100部当たり10部又はそれ以上の
量で使用される。充填材は、接着組成物100部当たり25部又はそれ以下、更に好まし
くは接着組成物100部当たり20部又はそれ以下、最も好ましくは接着組成物100部
当たり15部又はそれ以下の量で存在する。
【0051】
強化剤は、動的荷重下で、それを含有する接着組成物の性能を改良するために十分な量
で存在する。好ましくは、本発明の硬化剤は、接着組成物100部当たり5部又はそれ以
上、好ましくは接着組成物100部当たり7部又はそれ以上、最も好ましくは接着組成物
100部当たり10部又はそれ以上の量で存在する。好ましくは、強化材は、接着組成物
100部当たり35部又はそれ以下、好ましくは接着組成物100部当たり25部又はそ
れ以下、更に好ましくは接着組成物100部当たり20部又はそれ以下の量で存在する。
【0052】
本発明の接着組成物は、更に、反応の硬化のための触媒を含む。エポキシ硬化反応のた
めの任意の適当な触媒を使用することができる。エポキシ触媒は、潜伏性硬化剤が硬化を
始める温度に曝露されたとき、硬化反応に触媒作用するために十分な量で存在する。好ま
しいエポキシ触媒の中には、ウレア類、例えばp−クロロフェニル−N,N−ジメチルウ
レア(モヌロン(Monuron))、3−フェニル−1,1−ジメチルウレア(フェヌロン(Phen
uron))、3,4−ジクロロフェニル−N,N−ジメチルウレア(ジウロン(Diuron))、
N−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−N’,N’−ジメチルウレア(クロルトルロ
ン(Chlortoluron))、tert−アクリル−又はアルキレンアミン、例えばベンジルジメ
チルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ピペリジン又は
その誘導体、イミダゾール誘導体、一般的にC1〜C12アルキレンイミダゾール又はN−
アリールイミダゾール、例えば2−エチル−2−メチルイミダゾール又はN−ブチルイミ
ダゾール、6−カプロラクタムがあり、好ましい触媒は、(欧州特許EP0 197 8
92号明細書に記載されているような)ポリ(p−ビニルフェノール)マトリックスの中
に一体化された2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールである。好まし
くは、触媒は、接着組成物中に、接着組成物100部当たり0部又はそれ以上、更に好ま
しくは接着組成物100部当たり0.3部又はそれ以上、最も好ましくは接着組成物10
0部当たり0.5部又はそれ以上の量で存在する。好ましくは、エポキシ硬化触媒は、接
着組成物100部当たり2部又はそれ以下、更に好ましくは接着組成物100部当たり1
.5部又はそれ以下、更に好ましくは接着組成物100部当たり1.3部又はそれ以下の
量で使用する。
【0053】
好ましくは、この接着組成物は、45℃で、150Pa.s.又はそれ以下、更に好ま
しくは100Pa.s.又はそれ以下の粘度を有する。好ましくは、この組成物は、45
℃で20Pa.s.又はそれ以上、最も好ましくは45℃で30Pa.s.又はそれ以上
の粘度を有する。
【0054】
この接着組成物は、当該技術分野で公知の任意の技術によって適用できる。これは、そ
れを、ロボットから基体の上のビード形の中に押し出すことによって適用することができ
、これは、機械的適用方法、例えば、コーキングガン又は任意の他の手動適用手段を使用
して適用することができ、これはまた、渦巻き技術を使用して適用することもできる。渦
巻き技術は、当業者に公知である装置、例えばポンプ、制御システム、付与ガンアセンブ
リ、リモート付与装置及び適用ガンを使用して適用される。好ましくは、接着剤は、流動
プロセスを使用して基体に適用される。流動プロセスによる適用によって意味されるもの
は、3〜10mmのノズル−基体間距離で、50〜300バールの圧力、200〜500
mm/秒の速度、20℃〜65℃の適用温度及び0.5〜1.5mmのノズル直径を使用
して、ビードをスプレーすることを意味する。流動プロセスにより接着剤を適用するため
の、当業者に公知の装置を使用することができ、この装置には、ポンプ、制御システム、
付与ガンアセンブリ、リモート付与装置及び適用ガンが含まれる。一般的に、接着剤は、
一方又は両方の基体に適用される。基体を、接着剤が、一緒に結合されるべき基体の間に
位置するように接触させる。その後、接着組成物を、熱硬化性又は潜伏性硬化剤が、エポ
キシ樹脂組成物の硬化を開始する温度まで加熱することに付す。一般的に、この温度は、
80℃又はそれ以上、更に好ましくは100℃又はそれ以上である。好ましくは、この温
度は、220℃又はそれ以下、更に好ましくは180℃又はそれ以下である。
【0055】
本発明の接着剤は、木材、金属、被覆金属、アルミニウム、種々のプラスチック及び充
填材入りプラスチック基体、ガラス繊維等を含む種々の基体を一緒に結合するために使用
することができる。一つの態様に於いて、接着剤は、自動車の部品を一緒に又は自動車に
対して部品を結合するために使用される。このような部品は、スチール、被覆スチール、
アルミニウム、被覆アルミニウム、プラスチック及び充填材入りプラスチック基体であっ
てよい。
【0056】
硬化したこの接着組成物は、好ましくは、下記の試験に従って測定したとき、1200
MPaのe−モジュラスを有する。好ましくは、e−モジュラスは1400MPa又はそ
れ以上である。好ましくは、硬化したこの接着剤は、30MPa又はそれ以上、更に好ま
しくは35MPa又はそれ以上、最も好ましくは40MPa又はそれ以上の引張強度を示
す。好ましくは、この接着剤は、DIN EN ISO527−1に従って測定したとき
、3%又はそれ以上、更に好ましくは5%又はそれ以上、最も好ましくは9%又はそれ以
上の伸びを示す。好ましくは、ボーリン(Bohlin)粘度計で測定し、カソン(Casson)後に計
算した、45℃での降伏点は、200Pa又はそれ以上、更に好ましくは250Pa又は
それ以上、最も好ましくは300Pa又はそれ以上である。好ましくは、DIN EN1
465に従って測定した、1.5mm厚さ硬化接着層の重ね剪断強度は、15MPa又は
それ以上、更に好ましくは20MPa又はそれ以上、最も好ましくは25MPa又はそれ
以上である。好ましくはISO11343に従って測定した、硬化接着剤の室温での衝撃
剥離強度は、15N/mm又はそれ以上、更に好ましくは20N/mm又はそれ以上、最
も好ましくは30N/mm又はそれ以上である。
【0057】
本明細書で引用したとき分子量は、カラム物質として混合ポリスチレン、希釈剤として
THF及び標準物質として線状ポリスチレンを使用し、45℃で、GPC分析に従って測
定した、重量平均分子量である。
【実施例】
【0058】
下記の実施例は、例示目的のみのために記載され、特許請求の範囲に記載された発明の
範囲を限定することを意図しない。他の方法で記載しない限り、全ての%及び部は、重量
基準である。
【0059】
強化剤Aの製造
6000(Mw)分子量の三官能性ポリエーテルポリオール(ポリプロピレンオキシド
系)を、容器の中に注いだ。11.1gのヘキサメチレンジイソシアネートを添加し、そ
してこの混合物を60℃まで加熱した。次いで、0.02gの二ラウリン酸ジブチルスズ
を添加した。発熱反応が開始し、そして温度は80〜90℃まで上昇した。反応が完結す
るまで、攪拌を続けた。混合物を60℃まで冷却した後、13.5gの2−アリルフェノ
ールを添加した。この溶液を、80℃で30分間攪拌した。
【0060】
強化剤Bの製造
66.6gの約2000(Mw)の分子量を有するポリテトラヒドロフランを、90℃
に予熱した。次いで、得られた液体を容器の中に注ぎ、そして20.7gのビスフェノー
ルA及び0.3gのトリメチロールプロパンを添加した。得られた懸濁液を140℃まで
加熱し、そして全てのビスフェノールAが溶解するまで攪拌した。この混合物が60℃ま
で冷却された後、12.3gのヘキサメチレンジイソシアネートを添加した。この混合物
を、均一になるまで攪拌した。次いで、0.02gの二ラウリン酸ジブチルスズを添加し
た。発熱反応が開始し、続いて、20〜30℃の温度は90℃まで上昇した。溶液を冷却
し、そして1時間攪拌して、反応を完成させた。
【0061】
強化剤Cの製造
64.2gの6000(Mw)分子量の三官能性ポリエーテルポリオール(ポリプロピ
レンオキシド系)を、容器の中に注いだ。9.5gのヘキサメチレンジイソシアネートを
添加し、そしてこの混合物を60℃まで加熱した。次いで、0.02gの二ラウリン酸ジ
ブチルスズを添加した。発熱反応が開始し、そして温度は80〜90℃まで上昇した。反
応が完結するまで、攪拌を続けた。混合物を60℃まで冷却し、そして26.3gの3−
(n−ペンタ−8’−デセニル)フェノールを添加した。この溶液を、80℃で30分間
攪拌した。
【0062】
接着剤の製造
12.5のエラストマー変性ビスフェノールF系エポキシプリポリマー、53.6gの
、約360(Mw)のエポキシ当量重量を有するビスフェノールAのジグリシジルエーテ
ル液体エポキシ樹脂、12.5gの強化剤A、B又はCを、実験室遊星形ミキサー内で、
室温で30分間混合した。次いで、1.2gの飽和モノカルボン酸のグリシジルエーテル
、0.7gのグリシジルシリルエーテルを添加し、そしてこの混合物を室温で更に30分
間攪拌した。次いで、9.9gの表面変性ヒュームドシリカ及び2.9gのポリビニルブ
チラールを添加し、そして室温で15分間攪拌した。最後に、ポリマーマトリックス中の
5.7gのジシアナミド及び0.6gのトリス(2,4,6−ジメチルアミノメチル)フ
ェノールを添加し、そしてこの混合物を10分間室温で攪拌した。全ての混合工程を真空
下で実施した。
【0063】
製造した接着組成物を、種々の特性について試験した。これらの試験は、DIN EN
1465に従った重ね剪断強度(1.5mmCRS1403、油5103S)、ISO1
1343に従った衝撃剥離強度(1.0mmCRS1403、油5103S)、ヤング率
、伸び及びDIN EN ISO527−1に従った剪断強度であった。
【0064】
本発明の生成物及び比較生成物を用いた試験の結果を、下記の表に含める。
【0065】
【表1】

【0066】
1 Muelhauptの特許文献1の実施例16に従って製造した、バンチコ(Vantico)
から入手できるRAM965強化剤を使用して製造した接着剤を指す。
【0067】
本発明の強化剤B及びCを使用する接着剤を、下記速度、即ち40〜65℃のノズルで
の温度及び50〜200バールの圧力を使用して150〜400mm/秒で、インテック
(Intec)機械上で流動化について試験した。線条挙動(thread behavior)及びスクィーズ
性は優れていると判定された。この接着剤を、金属基体に15mm×0.4mmサイズの
ビードで適用した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)1種又はそれ以上のエポキシ樹脂、
B)1種又はそれ以上のゴム変性エポキシ樹脂、
C)1種又はそれ以上のイソシアネート末端プリポリマーと、1個又はそれ以上のビス
フェノール、フェノール、ベンジルアルコール、アミノフェニル又はベンジルアミノ部分
を有する1種又はそれ以上のキャッピング化合物との、キャッピング化合物で末端停止さ
れている反応生成物を含む1種又はそれ以上の強化用組成物、
D)100℃又はそれ以上の温度で硬化を開始する、1種又はそれ以上の硬化剤及び1
種又はそれ以上のエポキシ樹脂用触媒並びに
E)任意的な、エポキシ接着剤組成物に有用な、充填材、接着促進剤、湿潤剤又はレオ
ロジー添加剤
を含んでなり、45℃で、20Pa.s.〜400Pa.s.の粘度を有する組成物。
【請求項2】
キャッピング化合物のモノ芳香族フェノール、アミン、フェニル、ベンジルアミノ又は
ベンジルアルコール基が、1個の芳香族部分及びアミノ基又はヒドロキシル基とイソシア
ネート基との反応を妨害しない、芳香族環上の1個の脂肪族置換基を含む請求項1に記載
の組成物。
【請求項3】
イソシアネート末端プリポリマーが式:
【化1】

の1個に対応し、そしてキャッピング化合物が、式:
【化2】

(式中、R1は、それぞれ独立に、C2〜C20のm価のアルキル部分であり、
2は、それぞれ独立に、ポリエーテル鎖であり、
3は、それぞれ独立に、アルキレン、シクロアルキレン又は混合したアルキレン及び
シクロアルキレン部分であり、
4は、直接結合又はアルキレン、カルボニル、酸素、カルボキシルオキシ若しくはア
ミド部分であり、
5は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキルオキシ又はアリールオキシ
部分であるが、p=1の場合にはq=0であり、
Xは、O又は−NR6であるが、pが1である場合にはXはOであり、pが0である場
合、Xは少なくとも1個存在してOであり、
6は、それぞれ独立に、水素又はアルキルであり、
mは、それぞれ独立に、1〜6の数であり、
nは、それぞれ独立に、1以上の数であり、
oは、それぞれ独立に、pが0である場合には0又は1であり、そしてpが1である場
合には0であり、
pは、それぞれ独立に、0又は1であり、そして
qは、それぞれ独立に、0〜1の数である)
に対応する請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記強化組成物が式:
【化3】

(式中、R1は、それぞれ独立に、C2〜C20のm価のアルキル部分であり、
2は、それぞれ独立に、ポリエーテル鎖であり、
3は、それぞれ独立に、任意的に1個又はそれ以上の酸素又は硫黄原子を含む、アル
キレン、シクロアルキレン又は混合したアルキレン及びシクロアルキレン部分であり、
4は、直接結合又はアルキレン、カルボニル、酸素、カルボキシルオキシ若しくはア
ミド部分であり、
5は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキルオキシ又はアリールオキシ
部分であるが、p=1の場合にはq=0であり、
Xは、O又は−NR6であるが、pが1である場合にはXはOであり、pが0である場
合にはXは少なくとも1個存在してOであり、
6は、それぞれ独立に、水素又はアルキルであり、
mは、それぞれ独立に、1〜6の数であり、
nは、それぞれ独立に、1又はそれ以上の数であり、
oは、それぞれ独立に、pが0である場合には0又は1であり、そしてpが1である場
合には0であり、
pは、それぞれ独立に、0又は1であり、そして
qは、それぞれ独立に、0〜1の数である)
の1個に対応する請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
1が、それぞれ独立に、2〜3価のC2〜C8アルキル部分であり、
2が、400〜4000の重量平均分子量を有するポリアルキレンポリエーテル鎖で
あり、
3が、それぞれ独立に、C2〜C20アルキレン、シクロアルキレン又は混合したアルキ
レン及びシクロアルキレン部分であり、
4が、C1〜C20直鎖又は分枝鎖アルキレン部分であり、
5が、それぞれ独立に、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C1〜C20アルコ
キシ又はC6〜C20アリールオキシ部分であるが、pが0である場合にはR5はC1〜C20
アルキル部分である、
6が、それぞれ独立に、水素又はC1〜C4アルキル部分であり、
mが、それぞれ独立に、2〜4であり、
nが、それぞれ独立に、1〜3であり、
pが、それぞれ独立に、0又は1の数であり、そして
qが、0又は1である
請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
1個又はそれ以上の基体に、請求項1に記載の方法に従った接着剤を適用し、この基体
を、1個又はそれ以上の基体の間に配置させた接着剤と接触させ、そして、この接着剤を
接着組成物が硬化する温度まで加熱することを含んでなる2個又はそれ以上の基体の接着
方法。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載の接着剤のストリームを基体に適用することを含んで
なる接着組成物の適用方法。

【公開番号】特開2013−47340(P2013−47340A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−179307(P2012−179307)
【出願日】平成24年8月13日(2012.8.13)
【分割の表示】特願2006−518850(P2006−518850)の分割
【原出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】