説明

接着方法

本発明は、a)第1および第2の基板のうち少なくとも1つの、少なくとも1つの透明な表面に、光潜在性塩基を含む紫外線硬化性接着剤樹脂組成物を塗布する工程、b)前記第1および第2の基板を、それらの間の該接着剤組成物と組み合わせる工程、c)前記接着剤組成物を化学線に露光することにより硬化を行う工程を含む、第1の基板を第2の基板に接着する第1の方法、あるいは、a)1つの表面に光潜在性塩基を含む紫外線硬化性接着剤樹脂組成物を塗布する工程、b)前記接着剤組成物を化学線に露光することにより硬化を行う工程、c)第1および第2の基板を、それらの間の前記接着剤組成物と組み合わせる工程を含む、第1の基板を第2の基板に接着する第2の方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光潜在性塩基を含む放射線硬化性接着剤組成物を用いて第1の基板を第2の基板に接着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲雰囲気下、低温での調合物の安定性と反応性との正しいバランスを発見することは、大部分の接着剤系にとって重要な問題である。
【0003】
NCO/OH、NCO/SH、およびエポキシ/アミンを一般的にベースとする2K接着剤は、調合物のポットライフを短縮する、低温、短時間で硬化するための触媒を加えることを必要とする。
【0004】
エポキシまたは水分硬化型イソシアネートを一般的にベースとする1K接着剤も、ここでやはり調合物の安定性に悪影響を与えるという大きな欠点を示す、低温での硬化を速めるための触媒の存在を必要とする。シアノアクリレートまたはシラン変性ポリマーなどの他の1K接着剤調合物は、室温での周囲湿度で反応し、低い安定性の調合物を示す。
【0005】
少量の過酸化物および促進剤を通常含む嫌気性接着剤は、周囲酸素と接触している限り液体のままであるが、一旦不活性雰囲気中に置かれるか、または金属表面と接触すると、一般的には数時間以内に硬化する。保存には、あらゆる早期ゲル化を回避するために、フラスコの半分を空気で充填する必要がある。
【0006】
紫外線硬化性接着剤系は、光活性化の後に室温で反応し、暗中で安定なままである。しかしながら、硬化は、アクリレートの場合において溶存および拡散酸素により部分的に抑制されるか、またはエポキシの場合において水分に感受性があるかのいずれかである。紫外線硬化性基の選択も、これまでのところエポキシまたは二重結合に限定されている。
【0007】
ホットメルトまたはプラスチゾルは、使用前に高温(120℃と240℃との間)で加工する必要があり、それによって応用範囲が耐熱性のある基板に限定される。
【0008】
欧州特許EP898202B1(Ciba)には、α−アミノケトン化合物を潜在性塩基として含む、塩基を触媒とする硬化性組成物、および、エポキシド樹脂をベースとする接着剤中でのその使用が記載されている(段落番号0002を参照)。好適な樹脂は、例えば、3〜5%のカルボン酸官能基およびエポキシフェノールノボラックを有するポリアクリレートである(実施例1を参照)。
【0009】
国際出願WO01/92362(AKZO)は、少なくとも1種のポリイソシアネート、および、イソシアネート反応性基を含む少なくとも1種の化合物を含む、光活性化可能なコーティング組成物に関する。イソシアネート反応性基は、少なくとも1個のチオール基を含み、光開始剤は、光潜在性塩基である。コーティング組成物は、クリアコート、ベースコート、着色トップコート、プライマー、およびフィラーとして特別な有用性を示す。WO01/92362は、任意のそのような共重合体の、接着剤としての、または接着剤中での使用について示唆を与えていないようである。
【0010】
国際出願WO06008251(Ciba)には、光潜在性塩基の塗布のための方法であって、該触媒を含む接着剤をさらに加工する前に照射に供する方法が記載されている。しかしながら、接着性は不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
積層後の露光がより速やかな硬化をもたらすことが今やわかった。
【0012】
さらに、OH/NCOまたはSH/NCO系中に通常存在するジアミン触媒を潜在性塩基で代替することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、
a)第1および第2の基板のうち少なくとも1つの、少なくとも1つの透明な表面に、光潜在性塩基を含む紫外線硬化性接着剤樹脂組成物を塗布する工程、
b)前記第1および第2の基板を、それらの間の前記接着剤組成物と組み合わせる工程、
c)前記接着剤組成物を化学線に露光することにより硬化を行う工程
を含む、第1の基板を第2の基板に接着する方法に関するものである。
【0014】
本発明のさらなる主題は、
a)1つの表面に光潜在性塩基を含む紫外線硬化性接着剤樹脂組成物を塗布する工程、
b)前記接着剤組成物を化学線に露光することにより硬化を行う工程、
c)第1および第2の基板を、それらの間の前記接着剤組成物と組み合わせる工程
を含む、第1の基板を第2の基板に接着する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義:
基板
本発明の一態様において、少なくとも1つの基板は透明でなければならず、好ましくは、ガラス、ガラス繊維、セラミック材料、紙、および、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチック、ゴムなどから選択される。
【0016】
もう1つの基板(または、本発明の別の態様において両方の基板)は、例えば不透明であり、さらに、金属、セラミック、木材、ゴム、上記のような不透明プラスチック、例えば着色プラスチックなどでありうる。
【0017】
紫外線硬化性接着剤
紫外線硬化性接着剤は、好ましくはOH/NCOまたはSH/NCO系である。これらの接着剤は、有機ポリイソシアネートと、活性水素含有化合物との縮合反応により製造される。
【0018】
イソシアネート化合物は、任意の芳香族、脂肪族、脂環式、アクリル脂肪族、または複素環式のイソシアネートまたはポリイソシアネート、およびそのプレポリマーまたは混合物であってもよい。「ポリイソシアネート」という用語は、ジイソシアネート、トリイソシアネート、テトライソシアネートなど、およびその混合物を含む。好適なイソシアネート化合物は、例えば、BayerからDesmodur(登録商標)という名称で、またはRhodiaからTolonate(登録商標)という商品名で市販されている。
【0019】
活性水素含有化合物は、例えば−COOH、−OH、−NH、−NH−、−CONH、−SH、および−CONH−からなる群から選択される官能性基を有する。好ましくは、活性水素含有化合物は、OH/NCOおよびSH/NCO樹脂をもたらすOHまたはSHである。
【0020】
例えば、調合物の保存寿命を増大するために、活性水素および/またはイソシアネート成分をブロックすることができる。ブロッキング剤は、熱および/または活性触媒の作用により放出される。好適なブロックされる成分の例は当業者に公知である。
【0021】
OH/NCO系は、ポリウレタン接着剤として公知である。ポリウレタン接着剤は、例えば、一液型ポリウレタン接着剤(1K PU接着剤)または二液型ポリウレタン接着剤(1K PU接着剤)である。
【0022】
OH/NCO樹脂中の活性水素含有化合物として好ましく使用されるポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールは、例えば市販の材料である。
【0023】
好適なポリエステルポリオールは、例えばDesmophen(登録商標)およびBaycoll(登録商標)という商品名で市販されている。
【0024】
場合によっては、多官能性脂肪族アミン連鎖延長剤が接着剤組成物中に存在する。接着剤中のさらなる連鎖延長剤の例は、“Formulierung von Kleb- und Dichtstoffen, B. Muller, W. Rath, Vincentz Network, Hannover, 2004, p.121”において与えられ、例えば、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの、比較的低分子量のジオールまたはトリオールである。そのような化合物は、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、イソホレン(isophorene)ジアミン、トリエチレンテトラアミン、およびトリエチレンオキシドジアミンをさらに含む。
【0025】
さらに、例えばBaylith Lなどの乾燥剤が存在しうる。
【0026】
好適なチオール基含有化合物は、WO01/92362に記載のものである。該明細書に開示されているように、最も好ましいチオール官能性化合物は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)および3−メルカプトプロピオネートである。
【0027】
光潜在性塩基
好適な塩基性を有する任意の光潜在性塩基を、本発明の文脈において適用可能である。
【0028】
したがって、光潜在性塩基は、例えば、EP970085(Ciba)またはWO03/033500(Ciba)において開示されている、式(I):
【0029】
【化1】

【0030】
[式中、
は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントリル、またはアントラキノニルであり、いずれも非置換であるか、または置換基C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、CN、OR10、SR10、COOR12、ハロゲンのうち1個以上で置換されているか、あるいは構造(II):
【0031】
【化2】

【0032】
で示される置換基であるか、あるいは、
は、式(IIIa)または(IIIb):
【0033】
【化3】

【0034】
(式中、
13は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントリル、またはアントラキノニルであり、いずれも非置換であるか、または置換基C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、CN、OR10、SR10、COR11、COOR12、もしくはハロゲンのうち1個以上で置換されており;
14は、水素であり、
15は、水素またはC〜C−アルキルである)で示される置換基であり;
およびRは、互いに独立して水素またはC〜C−アルキルであり;
およびRは一緒になって、非置換であるか、または1個以上のC〜C−アルキルで置換されている、C〜C−アルキレン橋を形成するか;あるいは
およびRは一緒になって、非置換であるか、または1個以上のC〜C−アルキルで置換されている、C〜C−アルキレン橋を形成し;
10、R11、およびR12は、互いに独立して水素またはC〜C−アルキルである]で示される化合物である(これらの文献の開示は参照により本明細書に組み入れられる)。
【0035】
特に好ましくは、式(I):
【0036】
【化4】

【0037】
[式中、
は、フェニル、ビフェニリル、またはナフチルであり、いずれも非置換であるか、または置換基C〜C−アルキル、CN、OR10、SR10、COOR12のうち1個以上で置換されているか、あるいは構造(II):
【0038】
【化5】

【0039】
で示される置換基であるか、あるいは、
は、式(III):
【0040】
【化6】

【0041】
(式中、
13は、フェニル、ビフェニリル、またはナフチルであり、いずれも非置換であるか、または置換基C〜C−アルキル、CN、OR10、SR10、もしくはCOOR12のうち1個以上で置換されており;
14およびR15は、水素である)で示される置換基であり;
およびRは、互いに独立して水素またはC〜C−アルキルであり;
およびRは一緒になって、非置換であるか、または1個以上のC〜C−アルキルで置換されている、C−アルキレン橋を形成するか;あるいは
およびRは一緒になって、非置換であるか、または1個以上のC〜C−アルキルで置換されている、C〜C−アルキレン橋を形成し;
10およびR12は、互いに独立して水素またはC〜C−アルキルである]で示される化合物である。
【0042】
好ましくは、
【0043】
【化7】

【0044】
[式中、
Arは、フェニル、ビフェニリル、またはナフチルであり、いずれも非置換であるか、または置換基C〜C−アルキル、CN、OH、O−C〜Cアルキル、SH、S−C〜Cアルキル、COOH、COO−C〜Cアルキルのうち1個以上で置換されている]のような化合物である。
【0045】
特に好ましい例は、5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンである。
【0046】
【化8】

【0047】
が式IIIで示される置換基である、式Iで示される化合物に関して、例は下記の通りである。
【0048】
【化9】

【0049】
さらに、本方法において使用される光潜在性塩基は、EP898202(Ciba)において開示されている、式IV:
【0050】
【化10】

【0051】
[式中、
Arは、式VまたはVIII:
【0052】
【化11】

【0053】
で示される芳香族基であり、
Uは、−N(R17)−であり;
Vは、Uの意味を有するか、または直接結合であり;
およびRは、互いに独立して
a)非置換であるか、またはOH、C〜C−アルコキシ、もしくはSHで置換されているC〜C12−アルキル、
b)式:
【0054】
【化12】

【0055】
で示される基、あるいは
c)式:
【0056】
【化13】

【0057】
(式中、qは0または1である)で示される基、あるいは
d)式:
【0058】
【化14】

【0059】
で示される基、
e)非置換であるか、またはC〜C−アルキルで置換されているフェニルであるか、あるいは、
およびRは一緒になって、非分岐状または分岐状のC〜C−アルキレンまたはC〜C−オキシアルキレンであり;
Arは、非置換であるか、もしくはハロゲン、OH、C〜C12−アルキルで置換されているか、または、OH、ハロゲン、C〜C12−アルコキシ、−COO(C〜C−アルキル)、−CO(OCHCHOCH、もしくは−OCO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C−アルキルにより置換されているフェニル、あるいは、C〜C−アルコキシ、−(OCHCHOH、もしくは−(OCHCHOCHで置換されている前記フェニル基であり;
nは、1〜5であり;
は、C〜C−アルキル、−OH、−C〜C−アルコキシ、−CN、もしくは−COO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C−アルキルであるか、あるいは、Rは、C〜C−アルケニルまたはフェニル−C〜C−アルキル−であり;
は、C〜C−アルキル、−OH、−C〜C−アルコキシ、−CN、もしくは−COO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C−アルキルであるか、あるいは、Rは、C〜C−アルケニルまたはフェニル−C〜C−アルキル−であるか、あるいは、RおよびRは一緒になって、−O−もしくは−S−により中断されていてもよいC〜C−アルキレンであり;
、R、R、R、およびRは、互いに独立して水素、ハロゲン、C〜C12−アルキル、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、もしくは−OR17、−SR18、−N(R19)(R20)基、または
【0060】
【化15】

【0061】
であり、
Zは、−O−、−S−、−N(R11)−、−N(R11)−R12−N(R11)−、または
【0062】
【化16】

【0063】
であり;
11は、C〜C−アルキルであり;
12は、1個以上の−O−または−S−により中断されていてもよい、非分岐状または分岐状のC〜C16−アルキレンであり;
13は、水素またはC〜C−アルキルであり;
14、R15、およびR16は、互いに独立して水素またはC〜C−アルキルであるか、あるいは、
14およびR15は一緒になってC〜C−アルキレンであり;
17は、水素、C〜C12−アルキル、C〜C−アルケニル、−CN、−OH、もしくは−COO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C−アルキルであり;
18は、水素、C〜C12−アルキル、C〜C−アルケニル、−OH、−CN、−COO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C12−アルキルであり;
19およびR20は、互いに独立してC〜C−アルキル、C〜C−ヒドロキシアルキル、C〜C10−アルコキシアルキル、C〜C−アルケニル、フェニル−C〜C−アルキル、非置換であるか、またはC〜C−アルキルもしくはC〜C−アルコキシで置換されているフェニルであるか、あるいは、R19およびR20は、C〜C−アルカノイルまたはベンゾイルであるか、あるいは、R19およびR20は、−O(CO−C〜C−OHであり;
oは、1〜15であり;あるいは、
19およびR20は一緒になって、−O−、−N(R22)−、または−S−により中断されていてもよいC〜C−アルキレンであるか、あるいは、R19およびR20は一緒になって、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、または−COO(C〜C−アルキル)で置換されていてもよいC〜C−アルキレンであり;
22は、C〜C−アルキル、フェニル−C〜C−アルキル、−CHCH−COO(C〜C−アルキル)、−CHCHCN、−CHCH−COO(CHCHO)−H、または
【0064】
【化17】

【0065】
であり;
qは、1〜8である]で示される化合物である(前記文献の開示は参照により本明細書に組み入れられる)。
【0066】
好ましくは、式(IV):
【0067】
【化18】

【0068】
[式中、
Arは、式VまたはVIII:
【0069】
【化19】

【0070】
で示される芳香族基であり、
およびRは、互いに独立して
a)非置換であるか、またはOH、C〜C−アルコキシ、もしくはSHで置換されているC〜C−アルキル、
b)式:
【0071】
【化20】

【0072】
で示される基、
c)式:
【0073】
【化21】

【0074】
で示される基であるか、
あるいは、RおよびRは一緒になって、非分岐状または分岐状のC〜C−アルキレンであり;
Arは、非置換であるか、もしくはOH、C〜C−アルキルで置換されているか、または、OH、C〜C−アルコキシ、−COO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C−アルキルにより置換されているフェニル、あるいは、C〜C−アルコキシ、−(OCHCHOH、もしくは−(OCHCHOCHで置換されている前記フェニル基であり;
nは、1〜3であり;
は、C〜C−アルキル、−OH、−C〜C−アルコキシ、−CN、もしくは−COO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C−アルキルであるか、あるいは、Rは、C−アルケニルまたはフェニル−C−アルキル−であり;
は、C〜C−アルキル、−OH、−C〜C−アルコキシ、−CN、もしくは−COO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C−アルキルであるか、あるいは、Rは、C−アルケニルまたはフェニル−C−アルキル−であるか、あるいは、RおよびRは一緒になって、−O−により中断されていてもよいC〜C−アルキレンであり;
およびRは、水素であり;
、R、およびRは、互いに独立して水素、ハロゲン、C〜C−アルキル、フェニル、ベンジル、または−OR17、−SR18、−N(R19)(R20)基であり;
13は、水素またはメチルであり;
14、R15、およびR16は、互いに独立して水素またはメチルであり;
17は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニルであり;
18は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニルであり;
19およびR20は、互いに独立してC〜C−アルキル、C〜C−ヒドロキシアルキル、C〜C10−アルコキシアルキル、C〜C−アルケニル、フェニル−C〜C−アルキルであるか、あるいは、R19およびR20は、−O(CO−C〜C−OHであるか、
あるいは、R19およびR20は一緒になって、−O−、−N(R22)−、または−S−により中断されていてもよいC〜C−アルキレンであり;
oは、1〜10であり;
22は、C〜C−アルキル、フェニル−C〜C−アルキル、−CHCH−COO(C〜C−アルキル)、−CHCH−COO(CHCHO)−H、または
【0075】
【化22】

【0076】
であり;
qは、1〜6である]で示される化合物である。
【0077】
本発明の文脈において、中断されていないかまたは中断されている、すべての定義されたアルキル、アルキレン、およびオキシアルキレンは、定義中にそのように明示されていないとしても、直鎖状(非分岐状)または分岐状であるよう意図されている。
【0078】
具体的な化合物の例は下記の通りである:
【0079】
【化23】

【0080】
任意的な成分
また、本発明の接着剤組成物は、そのような組成物に関して当技術分野で公知の他の化合物、例えば、酸化防止剤(特にHals化合物)、充填樹脂、増粘剤、流動性調整剤、可塑剤、消泡剤などを場合により含む。
【0081】

光潜在性塩基は、例えば、固体硬化性材料に対して0.01〜10重量%の間、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.05〜3重量%の量で使用される。
【0082】
ポリイソシアネートは、OH/SH官能基を有する化合物と、当技術分野で公知の好適な技術により混合することができる。
【0083】
イソシアネート、および反応性基(保護されているかまたは保護されていない)を含むプレポリマー化接着剤を、例えば高温で加工し、ホットメルトプロセスの後で基板に塗布し、その後、光潜在性触媒(すなわち光潜在性塩基化合物)の光活性化により実現される、反応性基を含むさらなる硬化工程により、完全硬化を達成する。
【0084】
ホットメルト接着剤は、感圧接着剤(PSA)として興味深く、環境の観点からは不利である溶媒系組成物の代わりに使用するために好適である。ホットメルト押出プロセスは、高い流動粘度を達成するために高い塗布温度を必要とする。反応性基を含む本発明の組成物は、ホットメルトコーティングの調製における架橋剤として好適であり、架橋剤は、(メタ)アクリレートPSAの官能性コモノマーと化学反応する。コーティング操作の後、PSAを最初に熱架橋し、あるいは、二重架橋機構を実行することで、PSAを次に紫外線で架橋する。紫外線架橋照射は、例えば、紫外線光開始剤に応じて、200〜400nmの波長範囲内での短波紫外線を用いて行う。そのようなシステムおよびプロセスは、例えばUS2006/0052472に記載されている。
【0085】
放射線
好適な放射線は、例えば、日光、または人工光源からの光において存在する。したがって、多数の非常に異なる種類の光源が使用される。点光源とアレイ(「ランプカーペット」)の両方が好適である。例えば、炭素アークランプ、キセノンアークランプ、おそらく金属ハロゲン化物でドープされている中圧、高圧、および低圧水銀ランプ(金属ハロゲンランプ)、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマランプ、超化学線蛍光灯、蛍光ランプ、アルゴン白熱ランプ、閃光ランプ、写真用照明ランプ(photographic floodlamp)、発光ダイオード(LED、OLED)、シンクロトロンまたはレーザープラズマを用いて生成される電子線およびX線である。UV−A線を生成する蛍光ランプが好ましい。好適なランプは、例えば、300nmと400nmとの間の光を発光する化学線ブルーランプPhilips TL20W/05である。
【0086】
厚さ
形成される接着フィルムの厚さは、好ましくは5〜200μmである。
【0087】
利点
光により接着剤の硬化を開始させる光潜在性塩基を使用することで、接着剤調合物を暗中で安定に保ちながら、低温で速やかに硬化することが可能になると考えられる。硬化は、酸素または水分により抑制されない。
【0088】
下記の実施例により本発明をさらに詳細に例示するが、範囲は該実施例のみに限定されない。部および百分率は、特記なき限り、本明細書の残りおよび特許請求の範囲と同様、重量による。実施例において、3個を超える炭素原子を有するアルキル基に、具体的な異性体へのいかなる言及もなく言及する場合、いずれの場合においてもn−異性体を意図している。
【0089】
下記の光潜在性塩基化合物を実施例において使用する:
【0090】
【化24】

【0091】
実施例1 SH/NCO系
【0092】
【表1】

【0093】
PLB−1をチオール成分に溶解し、イソシアネートを塗布直前に加える。
【0094】
120μm厚フィルムをガラス板(板A)に塗布する。接着剤でコートされていない第2のガラス板(板B)を板Aに押し付ける。板Aおよび板Bを積層した後、系に対して蛍光ランプ(Philips TL20W/05)下で5分間照射を行う。照射後は、両方のガラス板を分離することはもはや不可能である。比較として、照射する代わりに暗中で5分間保存した系を用いて同じ実験を繰り返す。両方のガラス板は容易に分離でき、調合物は依然として液体である。
【0095】
実施例2 OH/NCO系
成分A(OH成分)
【0096】
【表2】

【0097】
下記の組成を有する調合物を調製する:
【0098】
【表3】

【0099】
上記調合物の10μm厚フィルムを、2個のBaF結晶の間に積層し、さらに紫外線に露光する(中圧水銀ランプAETEK International、ベルト速度5m/分で1回のパス、80W/cmの2個のランプ)。紫外線露光後に室温で2271cm-1のイソシアネートのピークの減少を追跡することで、赤外分光法により反応を監視する。NCO含有率が低いほど、フィルムの接着性は良好である。
【0100】
比較として、非積層フィルムおよび非露光フィルムについて同じ実験を行う。結果は下記の表において与えられ、露光および積層フィルムの方が接着剤の硬化がより速やかであることを明確に示す。
【0101】
【表4】

【0102】
実施例3:
成分A(OH成分):
【0103】
【表5】

【0104】
下記の組成を有する調合物を調製する:
【0105】
【表6】

【0106】
PLB−1を成分Aに溶解し、イソシアネートを塗布直前に加える。
【0107】
100μm厚フィルムをガラス板(板A)に塗布する。フィルムを40℃で10分間乾燥させる。接着剤でコートされていない第2のガラス板(板B)を板Aに押し付ける。板Aおよび板Bを積層した後、系を紫外線に露光する(中圧水銀ランプIST、ベルト速度5m/分で1回のパス、80W/cmの2個のランプ)。
【0108】
照射30分後では、両方のガラス板を分離することはもはや不可能である。比較として、照射する代わりに暗中で30分間保存した系を用いて同じ実験を繰り返す。両方のガラス板は容易に分離でき、調合物は依然として液体である。
【0109】
実施例4:
下記の成分を有する組成物を調製する:
【0110】
【表7】

【0111】
光潜在性塩基をチオール成分に溶解し、イソシアネートを塗布直前に加える。
【0112】
PLB−2、PLB−3、PLB−4、およびPLB−5を有するサンプルを調製する。
【0113】
100μm厚フィルムをガラス板(板A)に塗布する。フィルムを40℃で10分間乾燥させる。接着剤でコートされていない第2のガラス板(板B)を板Aに押し付ける。板Aおよび板Bを積層した後、サンプルを蛍光ランプ(Philips TL40W/05)に5分間露光する。
【0114】
照射後は、すべてのサンプルについて、両方のガラス板を分離することはもはや不可能である。比較として、照射する代わりに暗中で5分間保存した系を用いて同じ実験を繰り返す。両方のガラス板は容易に分離でき、調合物は依然として液体である。
【0115】
実施例5
下記の成分を有する組成物を調製する:
【0116】
【表8】

【0117】
PLB−1をチオール成分に溶解し、イソシアネートを塗布直前に加える。
【0118】
100μm厚フィルムを不透明基板(板A)に塗布する。フィルムを40℃で10分間乾燥させる。系を蛍光ランプ(Philips TL40W/05)に1分間露光する。露光直後に、接着剤でコートされていない第2の不透明基板(板B)を板Aに押し付ける。10分後では、両方の板を分離することはもはや不可能である。
【0119】
実施例6
成分A(OH成分):
【0120】
【表9】

【0121】
下記の組成を有する調合物を調製する:
【0122】
【表10】

【0123】
PLB−6および増感剤を成分Aに溶解し、イソシアネートを塗布直前に加える。
【0124】
100μm厚フィルムをガラス板(板A)に塗布する。フィルムを40℃で10分間乾燥させる。接着剤でコートされていない第2のガラス板(板B)を板Aに押し付ける。板Aおよび板Bを積層した後、系を紫外線に露光する(中圧水銀ランプIST、ベルト速度5m/分で1回のパス、80W/cmの2個のランプ)。
【0125】
照射100分後では、両方のガラス板を分離することはもはや不可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1および第2の基板のうち少なくとも1つの、少なくとも1つの透明な表面に、光潜在性塩基を含む紫外線硬化性接着剤樹脂組成物を塗布する工程、
b)前記第1および第2の基板を、それらの間の前記接着剤組成物と組み合わせる工程、
c)前記接着剤組成物を化学線に露光することにより硬化を行う工程
を含む、第1の基板を第2の基板に接着する方法。
【請求項2】
a)1つの表面に光潜在性塩基を含む紫外線硬化性接着剤樹脂組成物を塗布する工程、
b)前記接着剤組成物を化学線に露光することにより硬化を行う工程、
c)第1および第2の基板を、それらの間の前記接着剤組成物と組み合わせる工程
を含む、第1の基板を第2の基板に接着する方法。
【請求項3】
光潜在性塩基が式(I):
【化25】


[式中、
は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントリル、またはアントラキノニルであり、いずれも非置換であるか、または置換基C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、CN、OR10、SR10、COOR12、ハロゲンのうち1個以上で置換されているか、あるいは構造(II):
【化26】


で示される置換基であるか、あるいは、
は、式(IIIa)または(IIIb):
【化27】


(式中、
13は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントリル、またはアントラキノニルであり、いずれも非置換であるか、または置換基C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、CN、OR10、SR10、COR11、COOR12、もしくはハロゲンのうち1個以上で置換されており;
14は、水素であり、
15は、水素またはC〜C−アルキルである)で示される置換基であり;
およびRは、互いに独立して水素またはC〜C−アルキルであり;
およびRは一緒になって、非置換であるか、または1個以上のC〜C−アルキルで置換されている、C〜C−アルキレン橋を形成するか;あるいは
およびRは一緒になって、非置換であるか、または1個以上のC〜C−アルキルで置換されている、C〜C−アルキレン橋を形成し;
10、R11、およびR12は、互いに独立して水素またはC〜C−アルキルである]で示される化合物である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
光潜在性塩基が、
【化28】


[式中、
Arは、フェニル、ビフェニリル、またはナフチルであり、いずれも非置換であるか、または置換基C〜C−アルキル、CN、OH、O−C〜Cアルキル、SH、S−C〜Cアルキル、もしくはCOOH、COO−C〜Cアルキルのうち1個以上で置換されている]で示される化合物である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
光潜在性塩基が、
【化29】


である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
光潜在性塩基が、Rが式IIIで示される置換基である、式Iで示される化合物である、請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
光潜在性塩基が、
【化30】


である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
光潜在性塩基が式IV:
【化31】


[式中、
Arは、式VまたはVIII:
【化32】


で示される芳香族基であり、
Uは、N(R17)−であり;
Vは、Uの意味を有するか、または直接結合であり;
およびRは、互いに独立して
f)非置換であるか、またはOH、C〜C−アルコキシ、もしくはSHで置換されているC〜C12−アルキル、
g)式:
【化33】


で示される基、あるいは
h)式:
【化34】


(式中、qは0または1である)で示される基、あるいは
i)式:
【化35】


で示される基;
j)非置換であるか、またはC〜C−アルキルで置換されているフェニルであるか;
あるいは、RおよびRは一緒になって、非分岐状または分岐状のC〜C−アルキレンまたはC〜C−オキシアルキレンであり、
Arは、非置換であるか、もしくはハロゲン、OH、C〜C12−アルキルで置換されているか、または、OH、ハロゲン、C〜C12−アルコキシ、−COO(C〜C−アルキル)、−CO(OCHCHOCH、もしくは−OCO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C−アルキルにより置換されているフェニル、あるいは、C〜C−アルコキシ、−(OCHCHOH、もしくは−(OCHCHOCHで置換されている前記フェニル基であり;
nは、1〜5であり、
は、C〜C−アルキル、−OH、−C〜C−アルコキシ、−CN、もしくは−COO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C−アルキルであるか、あるいは、Rは、C〜C−アルケニルまたはフェニル−C〜C−アルキル−であり;
は、C〜C−アルキル、−OH、−C〜C−アルコキシ、−CN、もしくは−COO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C−アルキルであるか、あるいは、Rは、C〜C−アルケニルまたはフェニル−C〜C−アルキルであるか、あるいは、RおよびRは一緒になって、−O−もしくは−S−により場合によって中断されているC〜C−アルキレンであり;
、R、R、R、およびRは、互いに独立して水素、ハロゲン、C〜C12−アルキル、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、もしくは−OR17、−SR18、−N(R19)(R20)基、または
【化36】


であり;
Zは、−O−、−S−、−N(R11)−、−N(R11)−R12−N(R11)−、または
【化37】


であり;
11は、C〜C−アルキルであり;
12は、1個以上の−O−または−S−により中断されていてもよい、非分岐状または分岐状のC〜C16−アルキレンであり;
13は、水素またはC〜C−アルキルであり;
14、R15、およびR16は、互いに独立して水素またはC〜C−アルキルであるか、あるいは、R14およびR15は一緒になってC〜C−アルキレンであり;
17は、水素、C〜C12−アルキル、C〜C−アルケニル、−CN、−OH、もしくは−COO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C−アルキルであり;
18は、水素、C〜C12−アルキル、C〜C−アルケニル、−OH、CN、−COO(C〜C−アルキル)で置換されているC〜C12−アルキルであり;
19およびR20は、互いに独立してC〜C−アルキル、C〜C−ヒドロキシアルキル、C〜C10−アルコキシアルキル、C〜C−アルケニル、フェニル−C〜C−アルキル、非置換であるか、またはC〜C−アルキルもしくはC〜C−アルコキシで置換されているフェニルであるか、あるいは、R19およびR20は、C〜C−アルカノイルまたはベンゾイルであるか、あるいは、R19およびR20は、−O(CO−C〜C−OHであり;
oは、1〜15であるか;あるいは、
19およびR20は一緒になって、−O−、−N(R22)−、または−S−により中断されていてもよいC〜C−アルキレンであるか、あるいは、R19およびR20は一緒になって、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、または−COO(C〜C−アルキル)で置換されていてもよいC〜C−アルキレンであり;
22は、C〜C−アルキル、フェニル−C〜C−アルキル、−CHCH−COO(C〜C−アルキル)、−CHCHCN、−CHCH−COO(CHCHO)−H、または
【化38】


であり;
qは、1〜8である]で示される化合物である、請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
光潜在性塩基が、
【化39】


[式中、n=0〜10]である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
ポリウレタン接着剤樹脂組成物が、SH/NCO樹脂であり、光潜在性塩基が、
【化40】


である、請求項1または2記載の方法。
【請求項11】
【化41】


の、接着剤中の光潜在性塩基としての使用。

【公表番号】特表2009−543913(P2009−543913A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519918(P2009−519918)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056917
【国際公開番号】WO2008/009575
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】