説明

接続チューブ

【課題】流量調整器のノズルに対して外嵌しやすく且つ抜けにくい接続チューブを提供すること。
【解決手段】チューブ本体(11)の一端には呼吸同調器(5)の流入口(6)に接続される接続金具(12)が設けられ、他端には流量調整器(2)のノズル(3)に外嵌して接続される筒状のラッパ管部(13)が設けられている。ラッパ管部(13)は、シリコンを主成分とした材料で、且つ、その硬度がA45〜A75(JIS K 6253 デュロメータ タイプA)で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給用気体の供給装置と呼吸同調器との間に接続される接続チューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、慢性呼吸不全患者のための酸素療法として呼吸用気体供給装置が利用されている。例えば、特許文献1の呼吸用気体供給装置は、呼吸用気体である酸素ガスを供給させる酸素供給装置と、該酸素供給装置に設けられ、該酸素供給装置の酸素ガスの供給量を調節する流量調整器(流量調整弁)と、該流量調整弁から出る酸素ガスを患者の呼吸位相に合わせて供給したり遮断する呼吸同調器とを備えている。
【特許文献1】特開2003−38648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1の呼吸用気体供給装置では、酸素供給装置の流量調整器と呼吸同調器とが樹脂製のチューブによって接続されている。このチューブは、一端がラッパ管状の接続部となっており、流量調整器のタケノコ状に突出した酸素流出口(ノズル)に嵌め込まれる。そして、呼吸同調器によって酸素ガスが遮断されるとチューブ内においてガス圧が増大するため、ラッパ管状の接続部が酸素流出口から抜けないように樹脂テープ等を巻いて(いわゆる、ケーブルタイで)固定される。
【0004】
ところが、上記のようにケーブルタイで固定される構成では、チューブの交換が面倒という問題があった。これに対し、ラッパ管状部を硬質材料で形成して抜けにくくしたものもあるが、その場合は、ラッパ管状部の酸素流出口への嵌め込み力が増大してしまい、特に高齢者の患者にとって容易には嵌め込めないという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、呼吸用気体の供給装置のノズルに対して嵌め込みやすく且つ抜けにくい接続チューブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、一端が呼吸同調器に接続されるチューブ本体(11)と、該チューブ本体(11)の他端に設けられ、呼吸用気体を供給する気体供給手段のノズルに外嵌する筒状の接続部(13)とを有する接続チューブを前提としている。そして、上記接続部(13)は、シリコンを主成分とする材料で形成されているものである。
【0007】
第1の発明の接続チューブは、一端が呼吸同調器に接続され、他端が気体供給手段に接続されるものである。接続チューブの接続部(13)は、気体供給手段のノズル(気体流出口)に外嵌される。気体供給手段のノズルから流出した呼吸用気体(例えば、酸素)は接続チューブを通って呼吸同調器へ流れる。そして、呼吸同調器から呼吸用気体が使用者(患者)へ供給される。呼吸同調器では、使用者(患者)の呼吸位相に合わせて流通および遮断を切り換える。ここで、接続部(13)の材質は、シリコンを主成分とするものである。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記接続部(13)は、材料の硬度がA45〜A75(JIS K 6253 デュロメータ タイプA)である。
【0009】
第2の発明では、硬度がA45〜A75(JIS K 6253 デュロメータ タイプA)の材料で上記接続部(13)が形成されている。
【0010】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記気体供給手段のノズルは、タケノコ状に形成されているものである。そして、上記接続部(13)は、上記ノズルに対応するテーパ状のノズル差込孔(15)を有し、該ノズル差込孔(15)の内面には上記ノズルが差し込まれた状態で該ノズルのタケノコ状の段差に懸かるリブ(17)が形成されているものである。
【0011】
第3の発明では、気体供給手段のノズルが接続部(13)のノズル差込孔(15)に差し込まれる。その状態では、ノズル差込孔(15)のリブ(18)がノズルのタケノコ状の段差に懸かるので、接続部(13)がノズルから抜けにくくなる。
【0012】
第4の発明は、上記第1乃至第3の何れか1の発明において、上記チューブ本体(11)の材質がポリウレタンである。
【0013】
第4の発明では、チューブ本体(11)がポリウレタンで形成されている。
【0014】
第5の発明は、上記第1乃至第4の何れか1の発明において、上記気体供給手段は、呼吸用気体の量を調節して供給する流量調整器を備えているものである。そして、上記接続部(13)は、上記流量調整器のノズルに差し込まれる。
【0015】
第5の発明では、流量調整器で供給量が調節された呼吸用気体が流量調整器のノズルから接続チューブへ流れる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、接続部(13)をシリコンを主成分とする材料で形成したため、ノズルに対して外嵌しやすく(嵌め込みやすく)且つ抜けにくい柔軟性および硬さとすることができる。したがって、高齢者であっても容易に接続部(13)をノズルに外嵌させることができる。また、呼吸同調器によって呼吸用気体が遮断されて接続チューブ内の圧力が増大しても、接続部(13)がノズルから抜けるのを回避することができる。これらによって、使い勝手がよく信頼性の高い接続チューブを提供することができる。
【0017】
また、第2の発明によれば、接続部(13)の材料の硬度を適切な範囲(A45〜A75(JIS K 6253 デュロメータ タイプA))に規定するようにしたため、ノズルに対して一層外嵌しやすく(嵌め込みやすく)且つ抜けにくい柔軟性および硬さを得ることができる。
【0018】
また、第3の発明によれば、ノズル差込孔(15)の内面にノズルのタケノコ状の段差に懸かるリブ(18)を設けるようにしたため、接続部(13)がノズルから抜けるのを確実に回避することができる。その結果、より信頼性の高い接続チューブを提供することができる。
【0019】
また、第5の発明によれば、流量調整器付きの気体供給手段であっても、その流量調整器のノズルに対して外嵌しやすく(嵌め込みやすく)且つ抜けにくい接続チューブを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0021】
図1に示すように、本実施形態は、本発明に係る接続チューブ(10)が用いられる呼吸用気体供給装置である。呼吸用気体供給装置は、慢性呼吸不全患者のための酸素療法として利用されるものである。
【0022】
上記呼吸用気体供給装置は、酸素ボンベ(1)と、流量調整器(2)と、呼吸同調器(5)と、本発明に係る接続チューブ(10)とを備えている。
【0023】
上記酸素ボンベ(1)は、呼吸用気体である酸素ガスを供給させる酸素供給器である。流量調整器(2)は、酸素ボンベ(1)の流出口に連通し、酸素ガスを適切な量にして供給するものである。この流量調整器(2)には、酸素ガスの流出口であるノズル(3)が設けられている。このノズル(3)は、タケノコ状の先細に形成されている。なお、ノズル(3)は例えばしんちゅうで形成されている。本実施形態では、酸素ボンベ(1)と流量調整器(2)が本発明に係る気体供給手段を構成している。
【0024】
上記呼吸同調器(5)は、上記接続チューブ(10)を介して流量調整器(2)と接続されている。つまり、呼吸同調器(5)の流入口(6)に接続チューブ(10)が接続されている。なお、接続チューブ(10)の詳細については後述する。
【0025】
そして、この呼吸同調器(5)は、使用者である慢性呼吸不全患者の呼吸位相の変化に合わせて酸素ガスを供給するものである。呼吸同調器(5)は、患者が酸素ガスを吸った場合にその圧力変化を検知する圧力センサ(図示せず)が内蔵されており、その圧力変化の検知に伴って例えば酸素ガスを500ミリ秒間に35ミリリットル供給すると共に、次の圧力変化があるまでは酸素ガスを供給しないようにしている。ここで万一、例えば30秒間無呼吸で圧力変化がないときには、呼吸同調器(5)から警告音を発するようになっている。なお、呼吸同調器(5)の流出口(7)には、チューブを介して鼻カニューラが接続されている。最終的に、この鼻カニューラを通して患者に酸素ガスが供給される。
【0026】
次に、上記接続チューブ(10)について、図2および図3も参照しながら説明する。
【0027】
上記接続チューブ(10)は、チューブ本体(11)と、該チューブ本体(11)の一端に設けられたラッパ管部(13)とを備えている。
【0028】
上記チューブ本体(11)は、ポリウレタンで形成されている。上記ラッパ管部(13)は、チューブ本体(11)の流量調整器(2)側の端部に設けられている。このラッパ管部(13)は、流量調整器(2)のノズル(3)に外嵌して接続される部分で、本発明に係る接続部を構成している。また、チューブ本体(11)の呼吸同調器(5)側の端部は、接続用の金具等が何も設けられておらず、そのまま呼吸同調器(5)の流入口(6)の金具に対して容易にワンタッチで接続される。なお、本発明では、このチューブ本体(11)の呼吸同調器(5)側の端部は如何なる接続構造であってもよい。
【0029】
上記ラッパ管部(13)は、その長手方向に延びて互いに連通するチューブ接続孔(14)およびノズル差込孔(15)が形成されて、全体として筒状部材を構成している。チューブ接続孔(14)は、孔径が一様に形成され、チューブ本体(11)の端部が挿入されて接合されている。ノズル差込孔(15)は、流量調整器(2)のノズル(3)に対応して、孔径がノズル側の開放端(図2の左側の端部)にいくに従って孔径が漸次大きくなるテーパ状に形成されている。
【0030】
このラッパ管部(13)は、本発明の特徴として、シリコンを主成分とした材料で形成されている。そして、その材料の硬度はA45〜A75(JIS K 6253 デュロメータ タイプA)の範囲となっている。これにより、ノズル(3)に外嵌しやすく(嵌め込みやすく)且つ抜けにくい柔軟性および硬さを備えたラッパ管部(13)を実現することができる。具体的に、このラッパ管部(13)は、上記の構成にすることにより、ノズル(3)に嵌め込みやすい柔らかさを有することとなる。また、ノズル(3)に嵌め込まれた状態では、ラッパ管部(13)は、呼吸同調器(5)による遮断動作によってチューブ本体(11)内の圧力が増大しても、ノズル(3)から抜けない程度にノズル(3)を圧迫する適切な硬さを有すると共に、ノズル(3)との間で適切な摩擦力を発揮する。なお、これら硬さおよび摩擦力は、使用者がラッパ管部(13)をノズル(3)から抜くのにそれほど力を要しない程度のものとなっている。
【0031】
さらに、上記ラッパ管部(13)のノズル差込孔(15)には、ノズル側の開放端寄り(図2の左側の端部寄り)に内面リブ(18)が一体形成されている。この内面リブ(18)は、ノズル差込孔(15)の内面の周方向に亘って設けられており、ノズル(3)に嵌め込まれた状態(即ち、ノズル(3)が差し込まれた状態)で該ノズル(3)のタケノコ状の段差に懸かるように形成されている(図3参照)。つまり、ラッパ管部(13)は、ノズル(3)から抜ける方向に移動しようとしたときに、内面リブ(18)がノズル(3)のタケノコ状の段差に引っ掛かるように構成されている。
【0032】
また、上記ラッパ管部(13)の外面には、その周方向に亘って延びる第1外面リブ(16)および第2外面リブ(17)が一体形成されている。第1外面リブ(16)は、ラッパ管部(13)のノズル側端部寄りの外面に1つ形成されている。第2外面リブ(17)は、ラッパ管部(13)の略中央(言い換えると、ノズル差込孔(15)の小径側端部)の外面に3つ近接して形成されている。これらの外面リブ(16,17)によって、ノズル(3)に対してラッパ管部(13)を抜き差しする際に手の指が掛かりやすいようになっている。これにより、特に高齢者の患者にとってラッパ管部(13)を嵌め込みやすく且つ抜きやすくなる。
【0033】
また、図2に示すように、ラッパ管部(13)は、チューブ本体(11)の端部がチューブ接続孔(14)と接着剤によって接合されている。具体的には、接合面Aとしてのチューブ接続孔(14)の内面とチューブ本体(11)の外面とにプライマーが塗布され、その状態で所定の接着剤が塗布されて接合される。一般にシリコン部材と他の材質の部材とは接着しにくいと言われているが、上記の接着剤を用いることによって、シリコン(主成分)製のラッパ管部(13)とポリウレタン製のチューブ本体(11)とを確実に接着することができる。
【0034】
−実施形態の効果−
この実施形態によれば、ラッパ管部(13)をシリコンを主成分とする材料で形成したため、ノズル(3)に対して外嵌しやすく(嵌め込みやすく)且つ抜けにくい柔軟性や硬さ、摩擦力を発揮させることができる。したがって、高齢者であっても容易に接続チューブ(10)を流量調整器(2)に接続させることができる。また、呼吸同調器(5)によって酸素ガスが遮断されて接続チューブ(10)内の圧力が増大しても、ラッパ管部(13)がノズル(3)から抜けるのを回避することができる。これらによって、使い勝手がよく信頼性の高い接続チューブ(10)を提供することができる。
【0035】
さらに、ラッパ管部(13)の硬度を適切な範囲(A45〜A75(JIS K 6253 デュロメータ タイプA))に規定するようにしたため、ノズル(3)に対して外嵌しやすく且つ抜けにくい柔軟性や硬さをより適切にすることができる。
【0036】
また、ノズル差込孔(15)の内面において、ノズル(3)のタケノコ状の段差に懸かる内面リブ(18)を設けるようにしたため、ラッパ管部(13)がノズル(3)から抜けるのを確実に回避することができる。その結果、より信頼性の高い接続チューブ(10)を提供することができる。
【0037】
また、チューブ本体(11)をポリウレタンで形成しているため、シリコン(主成分)製のラッパ管部(13)に対して接着性がよく、確実に且つ強固に接合させることができる。しかも、ポリウレタンは安価なので低コスト化を図ることができる。
【0038】
〈その他の実施形態〉
上記実施形態については以下のような構成としてもよい。
【0039】
例えば、上記実施形態では、ノズル差込孔(15)の内面リブ(18)をノズル(3)のタケノコ状の段差の数に応じて複数設けるようにしてもよい。内面リブ(18)の数量が多いほど、ラッパ管部(13)がノズル(3)から抜けにくくなる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明したように、本発明は、呼吸用気体の供給装置と呼吸同調器とを繋ぐ接続チューブについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、実施形態に係る呼吸用気体供給装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、接続チューブを示す断面図である。
【図3】図3は、ノズルに差し込まれた接続チューブを示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 酸素ボンベ(気体供給手段)
2 流量調整器(気体供給手段)
3 ノズル
5 呼吸同調器
10 接続チューブ
11 チューブ本体
13 ラッパ管部(接続部)
15 ノズル差込孔
18 内面リブ(リブ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が呼吸同調器に接続されるチューブ本体(11)と、該チューブ本体(11)の他端に設けられ、呼吸用気体を供給する気体供給手段のノズルに外嵌する筒状の接続部(13)とを有する接続チューブであって、
上記接続部(13)は、シリコンを主成分とする材料で形成されている
ことを特徴とする接続チューブ。
【請求項2】
請求項1において、
上記接続部(13)は、材料の硬度がA45〜A75(JIS K 6253 デュロメータ タイプA)である
ことを特徴とする接続チューブ。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記気体供給手段のノズルは、タケノコ状に形成されており、
上記接続部(13)は、上記ノズルに対応するテーパ状のノズル差込孔(15)を有し、該ノズル差込孔(15)の内面には上記ノズルが差し込まれた状態で該ノズルのタケノコ状の段差に懸かるリブ(17)が形成されている
ことを特徴とする接続チューブ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項において、
上記チューブ本体(11)の材質は、ポリウレタンである
ことを特徴とする接続チューブ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項において、
上記気体供給手段は、呼吸用気体の量を調節して供給する流量調整器を備え、
上記接続部(13)は、上記流量調整器のノズルに外嵌する
ことを特徴とする接続チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−51378(P2010−51378A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216964(P2008−216964)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)