説明

接続フィルム、並びに、接合体及びその製造方法

【課題】基板との接続状態を目視にて把握することができる接続フィルム、接合体及びその製造方法の提供。
【解決手段】接続フィルムは、消色性色素、硬化性有機樹脂、硬化剤及び導電性粒子を含有する有機樹脂層を有する。消色性色素が、一般式(1)で表される化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続フィルム、並びに、接合体及びその製造方法に関し、特に、ICチップ、液晶ディスプレイ(LCD)における液晶パネル(LCDパネル)などの回路部材を電気的かつ機械的に接続可能な接続フィルム、並びに、接続フィルムを備える接合体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板(回路部材)を接続する手段として、導電性粒子が分散された硬化性樹脂を剥離フィルムに塗布したテープ状の接続材料(例えば、異方性導電フィルム(ACF;Anisotropic Conductive Film))が用いられている。
この異方性導電フィルム(接続フィルム)は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)やICチップの端子と、LCDパネルのガラス基板上に形成されたITO(Indium Tin Oxide)電極とを接続する場合を始めとして、種々の端子同士を接着すると共に電気的に接続する場合に用いられている。
【0003】
接続フィルムは、エポキシ系樹脂に導電性粒子を分散させたものや、アクリル系樹脂に導電性粒子を分散させたものなどがある。これらの接続フィルム(有機樹脂層)は、加熱により硬化して、基板(回路部材)を接続する。
【0004】
前記基板(回路部材)の接続状態は、通常、IR、DSCなどの分析装置を用いて接続フィルム(有機樹脂層)の硬化度を測定することによって把握される。しかしながら、接続フィルム(有機樹脂層)の硬化度を分析装置を用いて測定するには、接合体から測定サンプルを採取して、分析装置に設定する必要があるため、手間がかかってしまうという問題があった。
【0005】
この問題に対し、従来より、イミダゾール系硬化剤を用いた接続フィルム(有機樹脂層)が硬化すると、赤く変色するという特性を利用して、接続フィルムの赤変を硬化完了の目安としていた(例えば、特許文献1)。
【0006】
ところが、昨今では、接続フィルムを低温短時間で圧着することが要求されており、イミダゾール系硬化剤を用いた接続フィルムに代わって、ラジカル系硬化剤を用いたアクリル系接続フィルムが積極的に用いられるようになっている。そこで、ラジカル系硬化剤を用いたアクリル系接続フィルムにおいても、イミダゾール系硬化剤を用いた接続フィルムと同様に、接続フィルム(有機樹脂層)の硬化度を目視で見積もることができる技術の開発が、特にデバイスメーカーから強く要望されている。
【0007】
ここで、硬化が進行すると発色成分が発色する接続フィルム(例えば、特許文献2及び3)が開示されている。しかし、これらの接続フィルムでは、基板に圧着した後に発色成分が発色した状態となっており、外観検査(導電性粒子の数及び潰れ状態の検査など)及び腐食性試験における腐食部分の判別が困難となるという問題があった。また、これらの接続フィルムでは、圧着する前には発色成分が発色していないので、接着フィルムを仮貼り装置にセッティングした際に、認識センサが認識できないという問題があった。さらに、塗布時では有色であり、塗布後光照射により無色となる消色成分(シアニン系色素と有機ホウ素化合物との塩)が含まれた接着剤(例えば、特許文献4)が開示されているが、特許文献4の消色反応は、本発明のように硬化剤の反応に起因した消色反応ではない。よって、特許文献4の接着剤をそのまま接続フィルムに転用すると、硬化度を表した消色とはならず、また、消色した箇所が必ずしも硬化が進んだ箇所とはならないため、消色ムラの原因ともなる(特許文献4はあくまで塗布状態を消色により識別させる発明である)。
【特許文献1】特開平4−145180号公報
【特許文献2】特開平11−307154号公報
【特許文献3】特開2007−91798号公報
【特許文献4】特開平5−132655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、基板との接続状態を目視にて把握することができると共に、基板に圧着した後の外観検査及び腐食性試験における腐食部分の判別を容易に行うことができる接続フィルム、並びに、該接続フィルムにより接合された接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 消色性色素、硬化性有機樹脂、硬化剤及び導電性粒子を含有する有機樹脂層を有することを特徴とする接続フィルムである。
該<1>に記載の接続フィルムにおいては、有機樹脂層に含有される色素が消色性を有するので、基板との接続状態を目視にて把握することができると共に、基板に圧着した後の外観検査及び腐食性試験を容易に行うことができる。また、前記<1>に記載の接続フィルムは、基板に圧着する前においても着色しているので、仮貼り装置にセッティングする際に、認識センサの読み取りを容易にすることもできる。
<2> 消色性色素が、下記一般式(1)で表される化合物を含む前記<1>に記載の接続フィルムである。
【化31】

前記一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかであり、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メトキシ基、及びエトキシ基のいずれかであり、Zはカウンターアニオンであり、nが0〜3である。
<3> 消色性色素が、下記一般式(2)で表される化合物を含む前記<1>に記載の接続フィルムである。
【化32】

前記一般式(2)中、R1及びR2は、それぞれ、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかであり、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メトキシ基、及びエトキシ基のいずれかであり、Zはカウンターアニオンであり、nは0〜3のいずれかの整数である。
<4> Zが、ClO、BF、CFSO、下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物のいずれかである前記<2>から<3>のいずれかに記載の接続フィルムである。
【化33】

前記一般式(3)中、Rは水素原子及びフッ素原子のいずれかであり、Xはアルキル基である。
【化34】

前記一般式(4)中、Rは水素原子及びフッ素原子のいずれかである。
【化35】

【化36】

<5> 消色性色素が、下記一般式(5)で表される化合物、下記一般式(6)で表される化合物、下記構造式(3)で表される化合物、下記構造式(4)で表される化合物、及び下記一般式(7)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む前記<1>に記載の接続フィルムである。
【化37】

前記一般式(5)中、nは1〜3のいずれかの整数である。
【化38】

前記一般式(6)中、nは1〜3のいずれかの整数である。
【化39】

【化40】

【化41】

前記一般式(7)中、nは1〜3のいずれかの整数である。
<6> 消色性色素が、下記構造式(5)〜(7)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む前記<1>に記載の接続フィルムである。
【化42】

【化43】

【化44】

<7> 消色性色素が、下記構造式(8)〜(9)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む前記<1>に記載の接続フィルムである。
【化45】

【化46】

<8> 消色性色素が、下記構造式(10)〜(11)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む前記<1>に記載の接続フィルムである。
【化47】

【化48】

<9> 消色性色素が、下記構造式(12)で表される化合物を含む前記<1>に記載の接続フィルムである。
【化49】

<10> 消色性色素が、下記構造式(13)〜(15)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む前記<1>に記載の接続フィルムである。
【化50】

【化51】

【化52】

<11> 消色性色素が、下記構造式(16)〜(17)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む前記<1>に記載の接続フィルムである。
【化53】

【化54】

<12> 消色性色素が、下記構造式(18)〜(19)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む前記<1>に記載の接続フィルムである。
【化55】

【化56】

<13> 消色性色素が、下記構造式(20)〜(21)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む前記<1>に記載の接続フィルムである。
【化57】

【化58】

<14> 消色性色素が、下記構造式(22)〜(23)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む前記<1>に記載の接続フィルムである。
【化59】

【化60】

<15> 硬化性有機樹脂がアクリル樹脂であり、硬化剤がラジカル硬化剤である前記<1>から<14>のいずれかに記載の接続フィルムである。
<16> 硬化性有機樹脂がエポキシ樹脂であり、硬化剤がカチオン硬化剤である前記<1>から<14>のいずれかに記載の接続フィルムである。
<17> 前記<1>から<16>のいずれかに記載の接続フィルムを介して、第1及び第2の基板を加熱乃至光照射しながら圧着して接合する接続工程を含み、前記接続工程において、前記有機樹脂層の硬化反応が終了したときに、前記消色性色素が消色していることを特徴とする接合体の製造方法である。
<18> 前記<17>に記載の接合体の製造方法により製造されたことを特徴とする接合体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、基板との接続状態を目視にて把握することができると共に、基板に圧着した後の外観検査及び腐食性試験における腐食部分の判別を容易に行うことができる接続フィルム、並びに、該接続フィルムにより接合された接合体及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(接合体)
本発明の接合体は、第1の基板(第1の回路部材)と、第2の基板(第2の回路部材)と、接続フィルムとを有してなり、さらに、必要に応じて適宜選択した、その他の部材を有してなる。
例えば、図1に示すように、接合体100は、第1の基板(第1の回路部材)10と、第2の基板(第2の回路部材)11と、接続フィルム12(後述する有機樹脂層21)とを有する。第2の基板(第2の回路部材)11における端子11aと、接続フィルム12中に分散された導電性粒子12aと、第1の基板(第1の回路部材)10における端子(不図示)とが導通されることにより、第1の基板(第1の回路部材)10と第2の基板(第2の回路部材)11とが電気的に接続される。
【0012】
<第1の基板(第1の回路部材)>
前記第1の基板(第1の回路部材)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FPC基板、PWB基板、ガラス製のLCD基板(LCDパネル)、ガラス製のPDP基板(PDPパネル)、ガラス製の有機EL基板(有機ELパネル)等が挙げられる。
【0013】
<第2の基板(第2の回路部材)>
前記第2の基板(第2の回路部材)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FPC基板、COF基板、TCP基板、PWB基板、IC基板等が挙げられる。
【0014】
<接続フィルム>
前記接続フィルムは、有機樹脂層を有してなり、さらに、必要に応じて適宜選択した、その他の層を有してなる。前記有機樹脂層は、導電性粒子を含有する導電性粒子含有有機樹脂層である。
例えば、図2に示すように、接続フィルム12は、剥離層(セパレータ)20と、剥離層(セパレータ)20上に形成された導電性粒子含有有機樹脂層21とを有する。
【0015】
<<有機樹脂層>>
前記有機樹脂層としては、前記第1の基板(第1の回路部材)及び前記第2の基板(第2の回路部材)間に配置され、消色性色素、硬化性有機樹脂、硬化剤及び導電性粒子を含有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、界面活性剤などをさらに含有していてもよい。
また、前記有機樹脂層は、単層であっても複数層であってもよい。有機樹脂層が複数層である場合において、消色性色素、硬化性有機樹脂、硬化剤及び導電性粒子は、それぞれ、同一層に含まれていてもよく、異なる層に含まれていてもよい。
また、有機樹脂層を形成する接合材料は、ペースト状であってもフィルム状であってもよい。
【0016】
<<消色性色素>>
前記消色性色素としては、接続フィルムを圧着した後に消色するもの(無色に変色するもののみならず、後述する導電性微粒子の色(薄黄色)と同系統の色(黄色乃至薄黄色)に変色するもの)であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基または誘導アミノ基を有するジアリールメタン系色素、トリアリールメタン系色素、シアニン系色素、ポリメチン系色素、及びキサンテン、アジン、アクリジン、チアジン、オキサジンのいずれか1つ以上を骨格に有する複素環色素などが挙げられ、より具体的には、下記一般式(1)、(2)及び(5)〜(7)で表される化合物、下記構造式(3)〜(23)で表される化合物などが挙げられる。これらの消色性色素は、1種のみ含まれていてもよく、また、2種以上含まれていてもよい。さらに、これらの消色性色素のカチオン部(カウンターアニオン以外の部分)が複数含まれていてもよい。
また、前記消色性色素の好ましい含有量としては、有機樹脂層に含まれるバインダー(硬化性樹脂及びその他の樹脂を含む)全体100質量部に対して0.5質量部〜3.0質量部が好ましく、有機樹脂層に含まれる硬化性樹脂100質量部に対して3.0質量部〜6.0質量部が好ましい。
【0017】
なお、下記構造式(3)で表される化合物は、接続フィルムを圧着する前においては赤色であるが、接続フィルムを圧着した後に無色となり、下記構造式(5)で表される化合物は、接続フィルムを圧着する前においては青色であるが、接続フィルムを圧着した後に薄黄色となり、下記構造式(7)で表される化合物は、接続フィルムを圧着する前においては紫色であるが、接続フィルムを圧着した後に黄色となり、下記構造式(8)で表される化合物は、接続フィルムを圧着する前においては赤色であるが、接続フィルムを圧着した後に無色となり、下記構造式(9)で表される化合物は、接続フィルムを圧着する前においては赤色であるが、接続フィルムを圧着した後に無色となり、下記構造式(10)で表される化合物は、接続フィルムを圧着する前においては黄色であるが、接続フィルムを圧着した後に薄黄色となり、下記構造式(11)で表される化合物は、接続フィルムを圧着する前においては黄色であるが、接続フィルムを圧着した後に薄黄色となり、下記構造式(12)で表される化合物は、接続フィルムを圧着する前においては青色であるが、接続フィルムを圧着した後に無色となり、下記構造式(13)で表される化合物は、接続フィルムを圧着する前においては青色であるが、接続フィルムを圧着した後に無色となり、下記構造式(14)で表される化合物は、接続フィルムを圧着する前においては青色であるが、接続フィルムを圧着した後に薄黄色となる。
【0018】
【化61】

前記一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかであり、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メトキシ基、及びエトキシ基のいずれかであり、Zはカウンターアニオンであり、nが0〜3である。
【0019】
前記カウンターアニオン(Z)としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、テトラアルキルホウ素陰イオン、テトラフルオロホウ素イオン、しゅう酸イオンなどが挙げられるが、安定性が高い構造であれば何であってもよい。カウンターアニオンの種類によって反応速度や保存安定性などを高めることができ、用途によって使い分けすることができる。
【0020】
前記カウンターアニオンZにおけるZの具体例としては、ClO、BF、CFSO、下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、下記構造式(1)で表される化合物、及び下記構造式(2)で表される化合物などが挙げられる。
【0021】
【化62】

前記一般式(3)中、Rは水素原子及びフッ素原子のいずれかであり、Xはアルキル基である。
【0022】
【化63】

前記一般式(4)中、Rは水素原子及びフッ素原子のいずれかである。
【0023】
【化64】

【0024】
【化65】

【0025】
【化66】

前記一般式(2)中、R1及びR2は、それぞれ、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかであり、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メトキシ基、及びエトキシ基のいずれかであり、Zはカウンターアニオンであり、nは0〜3のいずれかの整数である。
【0026】
前記カウンターアニオン(Z)としては、一般式(1)におけるカウンターアニオンと同様である。
【0027】
【化67】

前記一般式(5)中、nは1〜3のいずれかの整数である。
【0028】
【化68】

前記一般式(6)中、nは1〜3のいずれかの整数である。
【0029】
【化69】

【0030】
【化70】

【0031】
【化71】

前記一般式(7)中、nは1〜3のいずれかの整数である。
【0032】
【化72】

【0033】
【化73】

【0034】
【化74】

【0035】
【化75】

【0036】
【化76】

【0037】
【化77】

【0038】
【化78】

【0039】
【化79】

【0040】
【化80】

【0041】
【化81】

【0042】
【化82】

【0043】
【化83】

【0044】
【化84】

【0045】
【化85】

【0046】
【化86】

【0047】
【化87】

【0048】
【化88】

【0049】
【化89】

【0050】
【化90】

【0051】
また、前記消色性色素に光安定剤を添加してもよい。前記光安定剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系光安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。前記光安定剤を添加することにより、使用前の変色を抑制することができる。
【0052】
<<<<消色性色素の消色原理>>>>
前記消色性色素の消色原理を以下に説明する。
ラジカル反応における消色反応は、下記反応式(1)に示されるように、熱乃至光によりラジカル系硬化剤が解離して、ラジカルを放出し、該放出されたラジカルと消色性色素とが結合することによるものと考えられる。
【0053】
【化91】

【0054】
また、カチオン反応による消色反応は、下記反応式(2)に示される反応によるものと考えられる。また、カチオン反応による消色反応においては、上記ラジカル反応による消色反応も同時に起こっているものと考えられる。
【0055】
【化92】

【0056】
<<<硬化性有機樹脂>>>
前記硬化性有機樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱硬化性有機樹脂が好ましく、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などがより好ましい。
【0057】
<<<<アクリル樹脂>>>>
前記アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレートなどのアクリル樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記アクリレートをメタクリレートにしたものが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0058】
<<<<エポキシ樹脂>>>>
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂や、それらの変性エポキシ樹脂などの熱硬化性エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
<<<硬化剤>>>
前記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、硬化性有機樹脂がアクリル樹脂の場合はラジカル系硬化剤が好ましく、硬化性有機樹脂がエポキシ樹脂の場合はカチオン系硬化剤が好ましい。
【0060】
<<<<ラジカル系硬化剤>>>>
前記ラジカル系硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機過酸化物を挙げることができる。
【0061】
<<<<カチオン系硬化剤>>>>
前記カチオン系硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スルホニウム塩、オニウム塩等を挙げることができ、これらの中でも、芳香族スルホニウム塩が好ましい。
【0062】
<<<導電性粒子>>>
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、従来の異方性導電接着剤(接続フィルム)において用いられているものが利用でき、例えば、粒子の直径が1〜50μmの金属粒子又は金属被覆樹脂粒子を使用することができる。
前記金属粒子としては、ニッケル、コバルト、銅等が挙げられる。それらの表面酸化を防ぐ目的で、表面に金、パラジウムをコーティングした粒子を用いてもよい。さらに、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。
前記金属被覆樹脂粒子としては、ニッケル、コバルト、銅等の1種以上でメッキを施した真球状の粒子が挙げられる。同様に、最外表面に金、パラジウムをコーティングした粒子を用いてもよい。さらに、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。
【0063】
<<その他の層>>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剥離層を挙げることができる。
前記剥離層としては、その形状、構造、大きさ、厚み、材料(材質)などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、剥離性の良好なものや耐熱性が高いものが好ましく、例えば、シリコーン等の剥離剤が塗布された透明な剥離PET(ポリエチレンテレフタレート)シートなどが好適に挙げられる。また、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シートを用いてもよい。
【0064】
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0065】
(接合体の製造方法)
本発明の接合体の製造方法は、少なくとも接合工程を含み、さらに、必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
【0066】
<接合工程>
前記接合工程は、本発明の接続フィルムを介して、第1及び第2の基板を加熱乃至光照射しながら圧着して接合する工程である。
前記加熱は、トータル熱量により決定され、接続時間10秒以下で接合を完了する場合は、加熱温度120℃〜220℃で行われる。
前記光照射は、水銀ランプ、メタルハライドランプ等のUV照射装置で行われる。
前記圧着は、第2の基板の種類によって異なり、第2の基板がFPC、TAB(Tape Automated Bonding)である場合は圧力2MPa〜6MPaで、第2の基板がICチップである場合は圧力30MPa〜150MPaで、それぞれ3秒間〜10秒間行われる。
なお、接合を超音波を用いて行ってもよい。
【実施例】
【0067】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、部は質量部を示す。
【0068】
(ラジカル接合材料R1の作製)
フェノキシ樹脂(品名:YP50、東都化成社製)60部と、硬化性樹脂としてのラジカル重合性樹脂(品名:EB−600、ダイセル・サイテック社製)35部と、シランカップリング剤(品名:KBM−503、信越化学工業社製)2部と、ラジカル硬化剤としての反応開始剤(品名:パーヘキサC、10時間半減期温度90.7℃、日本油脂社製)3部とで構成された接着剤中に導電性粒子(品名:AUL704、積水化学工業社製)を粒子密度10,000個/mmになるよう分散させた厚み15μmのラジカル接合材料R1を得た。このラジカル接合材料R1は導電性粒子の色である薄黄色であった(図3における(1)参照)。
【0069】
(ラジカル接合材料R2の作製)
ラジカル接合材料R1に、キノン系色素(C.I Solvent Blue 35:AMMONIUM,ETHYL(4−(p−(ETHYL(m−SULFOBENZYL)AMINO)−alpha−(o−SULFOPHENYL)BENZYLIDENE)−2,5−CYCLOHEXADIEN−1−YLIDENE)(m−SULFOBENZYL)−,HYDROXIDE、保土谷化学工業製)を1部含有させたラジカル接合材料R2を得た。このラジカル接合材料R2の色は青色であった(図3における(3)参照)。
【0070】
(ラジカル接合材料R3の作製)
ラジカル接合材料R1に、トリフェニルメタン系色素(C.I Solvent Red 18:AMMONIUM,(6−(DIETHYLAMINO)−9−(2,4−DISULFOPHENYL)−3H−XANTHEN−3−YLIDENE)DIETHYL−, HYDROXIDE、保土谷化学工業製)を1部含有させたラジカル接合材料R3を得た。このラジカル接合材料R3の色は赤色であった。(図3における(4)参照)。
【0071】
(カチオン接合材料C1の作製)
フェノキシ樹脂(品名:YP50、東都化成社製)60部と、硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂(品名:EP−828、ジャパンエポキシレジン社製)35部と、シランカップリング剤(品名:KBM−403、信越化学工業社製)2部と、カチオン硬化剤としての反応開始剤(品名:SI−80L、三新化学社製)3部とで構成された接着剤中に導電性粒子(品名:AUL704、積水化学工業社製)を粒子密度10,000個/mmになるよう分散させた厚み15μmのカチオン接合材料C1を得た。このカチオン接合材料C1は導電性粒子の色である薄黄色であった。
【0072】
(ラジカル接合材料A1〜A10の作製)
ラジカル接合材料R1に、R1、R2、Y、n、Zが表1の構造である下記一般式(1)の色素P1〜P10をそれぞれ各1部ずつ含有させたラジカル接合材料A1〜A10を得た。これらのラジカル接合材料A1〜A10の色はどれも青色であった。ラジカル接合材料A2(色素としてP2(1,1,5,5,−テトラキス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−1,4−ペンタジエン−3−イリウム−p−トルエンスルホナート)を用いた接合材料)の写真を図3における(2)に示す。
【0073】
【化93】

【0074】
【表1】

【0075】
(ラジカル接合材料A11の作製)
ラジカル接合材料A1の作製において、反応開始剤としてパーヘキサC(10時間半減期温度90.7℃、日本油脂社製)を用いる代わりに、パーオクタND(10時間半減期温度40.7℃、日本油脂社製)を用いた以外は、ラジカル接合材料A1の作製と同様にして、ラジカル接合材料A11を得た。
【0076】
(ラジカル接合材料A12の作製)
ラジカル接合材料A1の作製において、反応開始剤としてパーヘキサC(10時間半減期温度90.7℃、日本油脂社製)を用いる代わりに、パーヘキシン25B(10時間半減期温度128.4℃、日本油脂社製)を用いた以外は、ラジカル接合材料A1の作製と同様にして、ラジカル接合材料A12を得た。
【0077】
(ラジカル接合材料A13〜A17の作製)
ラジカル接合材料R1に下記構造式(7)〜(9)、(12)、(13)の色素P11〜P15をそれぞれ各1部ずつさらに含有させたラジカル接合材料A13〜A17を得た。
【0078】
【化94】

【0079】
【化95】

【0080】
【化96】

【0081】
【化97】

【0082】
【化98】

【0083】
(カチオン接合材料A18の作製)
カチオン接合材料C1の作製において、下記構造式(12)の色素P14を1部をさらに含有させたカチオン接合材料A18を得た。
【0084】
【化99】

【0085】
(実施例1)
(接合体の作製)
COF基板(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社評価用基材、50μmP、Snメッキされた8μm厚のCu、38μm厚のS’perflex基材)と、ITOコーテティングガラス(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社評価用基材、全表面ITOコート、ガラス厚0.7mm)との接合をおこなった。まず、ITOコーティングガラス上に1.5mm幅にスリットされたラジカル接合材料A1をラミネートし、その上にCOF基板を仮固定した後、1.5mm幅のヒートツールで、緩衝材(100μm厚テフロン(登録商標))を用いて、接合条件190℃‐3MPa−10秒間で接合を行い、接合体AJ1を得た。
【0086】
(実装後の消色確認)
作製した接合体AJ1における接続フィルムについて目視で消色具合を確認した。結果を表2に示す。
【0087】
(接合体の接続抵抗測定)
作製した接合体AJ1について、デジタルマルチメータ(品番:デジタルメルチメータ7555、横河電機社製)を用いて4端子法にて電流1mAを流したときの接合抵抗の抵抗値(Ω)の測定をおこなった。結果を表2に示す。
【0088】
(接合体の接着強度測定)
作製した接合体AJ1について、引っ張り試験機(品番:RTC1201、AND社製)を用いて測定速度50mm/secでCOF基板を引き上げたときのCOF基板とITOコーティングガラスの接着強度測定をおこなった。結果を表2に示す。
【0089】
(実施例2)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A2を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ2を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認(図5参照)、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表2に示す。
【0090】
(実施例3)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A3を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ3を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表2に示す。
【0091】
(実施例4)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A4を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ4を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表2に示す。
【0092】
(実施例5)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A5を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ5を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表2に示す。
【0093】
(実施例6)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A6を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ6を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表2に示す。
【0094】
(実施例7)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A7を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ7を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表2に示す。
【0095】
(実施例8)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A8を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ8を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表2に示す。
【0096】
(実施例9)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A9を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ9を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表2に示す。
【0097】
(実施例10)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A10を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ10を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表2に示す。
【0098】
(実施例11)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A11を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ11を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表2に示す。
【0099】
(実施例12)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A12を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ12を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表2に示す。
【0100】
(比較例1)
比較例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料R1を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体RJ1を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表2に示す。
【0101】
【表2】

【0102】
(実施例13)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A13を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ13を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表3に示す。
【0103】
(実施例14)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A14を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ14を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表3に示す。
【0104】
(実施例15)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A15を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ15を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表3に示す。
【0105】
(実施例16)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A16を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ16を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表3に示す。
【0106】
(実施例17)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料A17を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ17を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表3に示す。
【0107】
(実施例18)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、カチオン接合材料A18を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体AJ18を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表3に示す。
【0108】
(実施例19)
(接合体の作製)
COF基板(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社評価用基材、50μmP、Snメッキされた8μm厚のCu、38μm厚のS’perflex基材)と、ITOコーテティングガラス((ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社評価用基材、全表面ITOコート、ガラス厚0.7mm)との接合をおこなった。まず、ITOコーティングガラス上に1.5mm幅にスリットされたカチオン接合材料A18をラミネートし、その上にCOF基板を仮固定したものをITOコーテティングガラス上に載置し、緩衝材(100μm厚テフロン(登録商標))を被せて、1.5mm幅のツールで5MPaの力でCOF基板を押し込んだ状態で、ITOコーティングガラス側からメタルハライドランプを用いて光量3,000mJ/cmにて20秒間照射して接合を行い、接合体AJ19を得た。
【0109】
(実装後の消色確認)
作製した接合体AJ19における接続フィルム接合材料A18について目視で消色具合を確認した。結果を表3に示す。
【0110】
(接合体の接続抵抗測定)
作製した接合体AJ19について、デジタルマルチメータ(品番:デジタルメルチメータ7555、横河電機社製)を用いて4端子法にて電流1mAを流したときの接合抵抗の抵抗値(Ω)の測定をおこなった。結果を表3に示す。
【0111】
(接合体の接着強度測定)
作製した接合体AJ19について、引っ張り試験機(品番:RTC1201、AND社製)を用いて測定速度50mm/secでCOF基板を引き上げたときのCOF基板とITOコーティングガラスの接着強度測定をおこなった。結果を表3に示す。
【0112】
(比較例2)
実施例18において、カチオン接合材料A18を用いる代わりに、カチオン接合材料C1を用いた以外は、実施例18と同様にして接合体を作製し、接合体CJ1を得た。また、実施例18と同様に、実装後の消色確認、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表3に示す。
【0113】
【表3】

【0114】
(比較例3)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料R2を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体RJ2を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認(図6参照)、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表4に示す。
【0115】
(比較例4)
実施例1において、ラジカル接合材料A1を用いる代わりに、ラジカル接合材料R3を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製し、接合体RJ3を得た。また、実施例1と同様に、実装後の消色確認(図7参照)、接合体の接続抵抗測定、接合体の接着強度測定を行った。結果を表4に示す。
【0116】
【表4】

【0117】
実施例2では、ラジカル接合材料A2は青色(青緑色)であるので(図3における(2)参照)、接着フィルムの貼付位置を明確に判別でき、圧着後は青色(青緑色)が消失するので(図5参照)、目視にて接着フィルムの硬化度が判別できると同時に接合体AJ2の接合面の外観検査(導電性粒子の数及び潰れ状態の検査など)、接合体AJ2の腐食性試験における腐食性部分の判別が行いやすかった。なお、実施例1及び3〜19についても同様であった。
一方、比較例1では、ラジカル接合材料R1には色素が含有されておらず、薄黄色であるため(図3における(1))、接着フィルムの貼付位置を明確に判別することができず、また、圧着後における接着フィルムの硬化度についても目視で確認することができなかった(図4参照)。なお、比較例2についても同様であった。
また、比較例3及び4では、ラジカル接合材料R2及びR3に含有される色素が圧着後においても消色しないため(図6及び図7参照)、接合体RJ2及びRJ3の接合面の外観検査(導電性粒子の数及び潰れ状態の検査など)、接合体RJ2及びRJ3の腐食性試験における腐食性部分の判別が困難であった。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、本発明の接合体を示す概略説明図である。
【図2】図2は、本発明の接続フィルムを示す概略説明図である。
【図3】図3は、接続フィルムの圧着前の状態を示す写真である。(1)はラジカル接合材料R1、(2)はラジカル接合材料A2、(3)はラジカル接合材料R2、(4)はラジカル接合材料R3を示す。
【図4】図4は、比較例1の実装後の消色確認の結果を示す写真である。
【図5】図5は、実施例2の実装後の消色確認の結果を示す写真である。
【図6】図6は、比較例3の実装後の消色確認の結果を示す写真である。
【図7】図7は、比較例4の実装後の消色確認の結果を示す写真である。
【符号の説明】
【0119】
10 第1の基板
11 第2の基板
11a 端子
12 接続フィルム
12a 導電性粒子
20 剥離層(セパレータ)
21 有機樹脂層
100 接合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消色性色素、硬化性有機樹脂、硬化剤及び導電性粒子を含有する有機樹脂層を有することを特徴とする接続フィルム。
【請求項2】
消色性色素が、下記一般式(1)で表される化合物を含む請求項1に記載の接続フィルム。
【化1】

前記一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかであり、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メトキシ基、及びエトキシ基のいずれかであり、Zはカウンターアニオンであり、nが0〜3である。
【請求項3】
消色性色素が、下記一般式(2)で表される化合物を含む請求項1に記載の接続フィルム。
【化2】

前記一般式(2)中、R1及びR2は、それぞれ、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかであり、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メトキシ基、及びエトキシ基のいずれかであり、Zはカウンターアニオンであり、nは0〜3のいずれかの整数である。
【請求項4】
Zが、ClO、BF、CFSO、下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物のいずれかである請求項2から3のいずれかに記載の接続フィルム。
【化3】

前記一般式(3)中、Rは水素原子及びフッ素原子のいずれかであり、Xはアルキル基である。
【化4】

前記一般式(4)中、Rは水素原子及びフッ素原子のいずれかである。
【化5】

【化6】

【請求項5】
消色性色素が、下記一般式(5)で表される化合物、下記一般式(6)で表される化合物、下記構造式(3)で表される化合物、下記構造式(4)で表される化合物、及び下記一般式(7)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む請求項1に記載の接続フィルム。
【化7】

前記一般式(5)中、nは1〜3のいずれかの整数である。
【化8】

前記一般式(6)中、nは1〜3のいずれかの整数である。
【化9】

【化10】

【化11】

前記一般式(7)中、nは1〜3のいずれかの整数である。
【請求項6】
消色性色素が、下記構造式(5)〜(7)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む請求項1に記載の接続フィルム。
【化12】

【化13】

【化14】

【請求項7】
消色性色素が、下記構造式(8)〜(9)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む請求項1に記載の接続フィルム。
【化15】

【化16】

【請求項8】
消色性色素が、下記構造式(10)〜(11)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む請求項1に記載の接続フィルム。
【化17】

【化18】

【請求項9】
消色性色素が、下記構造式(12)で表される化合物を含む請求項1に記載の接続フィルム。
【化19】

【請求項10】
消色性色素が、下記構造式(13)〜(15)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む請求項1に記載の接続フィルム。
【化20】

【化21】

【化22】

【請求項11】
消色性色素が、下記構造式(16)〜(17)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む請求項1に記載の接続フィルム。
【化23】

【化24】

【請求項12】
消色性色素が、下記構造式(18)〜(19)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む請求項1に記載の接続フィルム。
【化25】

【化26】

【請求項13】
消色性色素が、下記構造式(20)〜(21)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む請求項1に記載の接続フィルム。
【化27】

【化28】

【請求項14】
消色性色素が、下記構造式(22)〜(23)で表される化合物から選択された少なくとも1種を含む請求項1に記載の接続フィルム。
【化29】

【化30】

【請求項15】
硬化性有機樹脂がアクリル樹脂であり、硬化剤がラジカル硬化剤である請求項1から14のいずれかに記載の接続フィルム。
【請求項16】
硬化性有機樹脂がエポキシ樹脂であり、硬化剤がカチオン硬化剤である請求項1から14のいずれかに記載の接続フィルム。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の接続フィルムを介して、第1及び第2の基板を加熱乃至光照射しながら圧着して接合する接続工程を含み、
前記接続工程において、前記有機樹脂層の硬化反応が終了したときに、前記消色性色素が消色していることを特徴とする接合体の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の接合体の製造方法により製造されたことを特徴とする接合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−129960(P2010−129960A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306292(P2008−306292)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】