説明

接続ユニット及び接続構造

【課題】常温絶縁型超電導ケーブル同士の接続などに好適な接続ユニットと接続構造を提供する。
【解決手段】複数の接続対象の各々が挿入される複数の差込口を有し、導電ブロック410、冷媒容器420、断熱容器430、絶縁成形体440を備える。導電ブロック410は、導体を有する超電導ケーブル100や常電導ケーブル300を接続対象として各差込口に挿入した場合、導体と電気的に接続される。冷媒容器420は、冷媒流路を構成すると共に電圧印加部位である断熱管214を有する冷媒輸送管200を接続対象として各差込口に挿入した場合、導電ブロック410の外面との間に空間を形成すると共に断熱管214とつながれて、空間内に冷媒流路を形成する。断熱容器430は、差込口につながる開口を有し、冷媒容器420の外周を覆う。絶縁成形体440は、差込口を有し、断熱容器430の周囲を覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温絶縁型の超電導ケーブルとその導体を冷却する冷媒を供給したり排出したりする輸送管との接続や、超電導ケーブル同士の接続、輸送管同士の接続、上記両者に加えさらに常電導ケーブルを前記超電導ケーブルに接続することに好適な接続ユニットと、そのユニットを用いた接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
超電導ケーブルでは、一般にフォーマの外周上に超電導導体層を有する導体を二重の金属管で構成される断熱管内に収納してなる構成を備える。このような超電導ケーブルにおいて、超電導ケーブルを外部から電気的に絶縁する構成には以下の二つが挙げられる。一つ目の構成は、超電導導体層の上にケーブル絶縁層が形成され、当該ケーブル絶縁層も冷媒により冷却される低温絶縁型の構成である。二つ目の構成は、断熱管の上にケーブル絶縁層が形成され、当該ケーブル絶縁層が冷媒により冷却されない常温絶縁型の構成である(例えば、特許文献1の明細書0003を参照)。特に、後者の常温絶縁型超電導ケーブルは、既存の常電導ケーブルの絶縁材料および構造が適用できるという利点があり、注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−064041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記常温絶縁型超電導ケーブルを複数繋ぎ合せて超電導ケーブル線路を構築する場合、当該超電導ケーブル同士を突き合わせて接続する超電導ケーブルの中間接続構造を構築する必要がある。或いは、この超電導ケーブルから常電導ケーブルにつなげるには、終端接続構造を構築する必要がある。しかし、中間接続構造や終端接続構造については、そのコンパクト化や施工簡素化などについて現在のところ十分に検討されていない。
【0005】
ところで、超電導ケーブルは、常温絶縁型、低温絶縁型ともに、主に、既設の常電導ケーブルが布設される管路内に布設されることで、コンパクトな大容量送電を実現することが期待されている。常温絶縁型超電導ケーブルを用いて形成される中間・終端接続構造についても、コンパクトな構造を開発することが望まれる。また、これら接続構造を組み立てる際の作業も、できるだけ簡易に行えることが望ましい。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、主に常温絶縁型超電導ケーブル線路において、常温絶縁型超電導ケーブル同士の接続や、常温絶縁型超電導ケーブルと常電導送電機器との接続を容易に行うことに好適な接続ユニットを提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記接続ユニットを用いた接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の接続ユニットは、複数の接続対象の各々が挿入される複数の差込口を有し、以下の導電ブロック、冷媒容器、断熱容器、絶縁成形体を備える。導電ブロックは、導体を有する長尺材αを接続対象として前記各差込口に挿入した場合、前記導体と電気的に接続される。冷媒容器は、冷媒流路を構成すると共に電圧印加部位である断熱管を有する長尺材βを接続対象として前記各差込口に挿入した場合、前記導電ブロックの外面との間に空間を形成すると共に長尺材βの断熱管とつながれて、前記空間内に冷媒流路を形成する。断熱容器は、前記差込口につながる開口を有し、前記冷媒容器の外周を覆う。絶縁成形体は、前記差込口を有し、前記断熱容器の周囲を覆う。
【0008】
この構成によれば、接続対象の各差込口への挿入を主たる作業とすることで、現場における接続対象同士の接続構造の構築を容易に行うことができる。また、このユニットは、絶縁成形体と冷媒容器とを備えるため、接続対象同士の電気的接続に加え、接続対象が有する冷媒の流路同士の接続もまとめて行うことが可能である。それに伴い、ユニット自体、つまり接続構造そのものをコンパクト化できる。さらに、ユニットにおける各差込口の数と設ける向きを適宜選択することで、I型、Y型、T型、H型(X型)など接続対象の数に応じた各種の接続形態を実現することができる。特に、より多数の差込口を接続ユニットに設ける構造は、当該接続ユニットを低電圧超電導ケーブルと多数の常電導ケーブルとを分岐接続するのに好適な分岐接続箱とすることができる。
【0009】
本発明の接続ユニットに好適な形態を以下に説明する。
【0010】
本発明の接続ユニットの一形態として、上記断熱容器が接続ユニットにおける内部シールド電極を構成していることが挙げられる。
【0011】
この構成によれば、断熱容器自体が接続ユニットにおける内部シールド電極を構成しているため、断熱容器と別部材で内部シールド電極を構成する必要がない。そのため、よりコンパクトなユニットとすることができる。
【0012】
本発明の接続ユニットの一形態として、前記導電ブロックは、前記長尺体αの導体の端部が差し込まれる接続凹部と、その接続凹部の内側から導電ブロックと冷媒容器との間の空間に連通する連通孔とを備えることが挙げられる。
【0013】
この構成によれば、接続対象を常温絶縁型超電導ケーブルとした場合に、当該超電導ケーブルから接続ユニットの冷媒容器内に導入された冷媒を接続ユニット内で折り返し、当該超電導ケーブル自体で冷媒を送り返すことができる。例えば、長尺体αを、フォーマの外周に超電導導体層を形成してなる導体と、その導体を内部に収納して導体を極低温に維持する多重管構造の断熱管と、この断熱管の外周を取り囲む電気絶縁層とを備える常温絶縁型超電導ケーブルとする。この断熱管内は、導体が収納されると共に、その導体を冷却する冷媒の流路となっている。さらに、この超電導ケーブルのフォーマを中空管として、その内部も冷媒流路とする。このような超電導ケーブルの導体を接続ユニットの接続凹部に挿入した際、フォーマ内の冷媒を、上記連通孔を介して導電ブロックと冷媒容器との間の空間に流通可能にすれば、同空間は上記断熱管内と連通しているため、フォーマ内と断熱管内のいずれか一方を冷媒の往路とし、他方を冷媒の復路とすることができる。
【0014】
本発明の接続ユニットの一形態として、差込口の軸方向から見た導電ブロックの輪郭が外側に向かって突部となる曲線で構成されていることが挙げられる。
【0015】
差込口の軸方向から見た導電ブロックの輪郭は、直線および凹部を含まず、できるだけ均一な曲率の曲面で形成されることが望ましい。理想的には導体ブロックは差込口の軸方向から見て円形であり、差込口の中心位置は、導体ブロックの中心と一致する、或いは導体ブロックの中心から同芯円状に均等に配置されることが望ましい。3つの差込口の場合、各差込口の中心点を結んでできる形状が三角形で、その三角形が正三角形に近いほど理想的な形状ができる。
【0016】
この構成によれば、導体ブロックの外周を覆う冷媒容器、断熱容器の輪郭も軸方向から見て同様の直線および凹部となる部位を含まない形状とできるため、絶縁成形体の樹脂を成形・硬化する際、断熱容器と樹脂との間の接着性を阻害する平面部を断熱容器から少なくすることができ、硬化時の樹脂の収縮に伴う断熱容器との密着度の低減を抑制することができる。
【0017】
本発明の接続ユニットにおいて、個々の差込口の内部の寸法や構造は、共通していることが好ましい。全ての差込口の内部の寸法や構造が共通していれば、いずれの差込口にも異なる接続対象、例えば、常温絶縁型超電導ケーブル、常電導ケーブル、冷媒輸送管などの端部を各差込口のサイズや構造に適合させることで、いずれの接続対象をも差し込むことができる。もちろん、個々の差込口の内部の寸法が異なっていても良い。この場合、差込口のサイズに応じた接続対象を差し込めばよい。特に、常電導ケーブルなどの常電導送電機器を接続する場合、超電導ケーブルよりも導体の断面積が大きくなる傾向にあることから、常電導機器用の差込口は、超電導ケーブル用の差込口よりも大きくしておくことが挙げられる。また、この場合、差込口の長さを長くしたり、熱絶縁距離を長く確保するための延長部材を別途用意して、差込口に挿入するなどすると、侵入熱を低減できて好ましい。
【0018】
本発明の接続ユニットは、その利用時において、全ての差込口に接続対象が差し込まれる場合もあれば、いずれかの差込口を未使用とし、適宜な栓で未使用の差込口を塞ぐことも挙げられる。その場合、栓は、断熱材料からなる断熱部と電気絶縁材料からなる絶縁部とを具えるものが挙げられ、所定の断熱性能及び絶縁性能を有することが好ましい。
【0019】
本発明の接続ユニットに差し込まれる接続対象としては、導体を備える長尺体αと断熱管を備える長尺体βの少なくとも一方があるが、両長尺体が異なる接続対象の場合と、共通する接続対象の場合がある。例えば、異なる接続対象としては、長尺体αが常温絶縁型超電導ケーブルや常電導ケーブルなどの常電導送電機器で、長尺体βが冷媒輸送管の場合である。一方、長尺体αと長尺体βが共通する場合としては、両長尺体が常温絶縁型超電導ケーブルの場合が挙げられる。常温絶縁型超電導ケーブルは、超電導導体層からなる導体を備えると共に、その導体を冷却するための冷媒の流路も断熱管として備えているからである。
【0020】
これらの接続対象は、差込口の数や配置に応じて、種々の組合せにて本発明の接続ユニットに接続できる。必要に応じて、各種接続対象に加え、上述した栓を差込口に差し込む利用形態も可能である。以下、本発明の接続ユニットを利用して、より具体的な接続対象を接続する接続構造を説明する。なお、下記の説明において、各長尺材が有する断熱管と断熱容器(又は後述する断熱筒部)との接続は、断熱管の断熱層と断熱容器(断熱筒部)の断熱層とが連通される状態とする場合の他、断熱容器(断熱筒部)の開口から断熱容器内に挿入された断熱管の断熱層が断熱容器(断熱筒部)の断熱層と部分的に重なり合った状態とされる場合も含む。
【0021】
本発明の接続構造の一形態として、本発明の接続ユニットと、この接続ユニットのある差込口に差し込まれる長尺材αと、他の差込口に差し込まれる長尺材βとを備える形態が挙げられる。その場合、前記長尺材αと長尺材βがいずれも常温絶縁型超電導ケーブルであり、その常温絶縁型超電導ケーブルは、フォーマの外周に超電導導体層を形成してなる導体と、その導体を内部に収納して導体を極低温に維持する多重管構造の断熱管と、前記断熱管の外周を取り囲む電気絶縁層とを備えることが挙げられる。
【0022】
この構成によれば、本発明の接続ユニットを介することで常温絶縁型の超電導ケーブル同士を接続した接続構造を容易に構築することができる。その際、各ケーブルの超電導導体層同士は導電ブロックを介して接続され、各ケーブルの断熱管同士は断熱容器と接続され、これら断熱管内を流れる冷媒は断熱容器と導電ブロックとの間に形成される空間を介して流通される。
【0023】
本発明の接続構造の一形態として、本発明の接続ユニットと、この接続ユニットのある差込口に差し込まれる一方の長尺材βと、他の差込口に差し込まれる他方の長尺材βとを備える形態が挙げられる。その場合、前記両長尺体βが冷媒輸送管である接続対象が複数の長尺材βで、その長尺材βがいずれも冷媒輸送管であることが挙げられる。
【0024】
この構成によれば、本発明のユニットを介することで冷媒輸送管同士を容易に接続することができる。この場合、導電ブロックは使用されないが、冷媒輸送管の断熱管が電圧印加部位であっても、絶縁成形体により接続ユニットにおける絶縁を確保することができる。また、常温絶縁型の超電導ケーブル同士やこの超電導ケーブルと常電導ケーブルとを接続する場合に用いる接続ユニットと同様の構成の接続ユニットで、冷媒輸送管同士を接続することもできる。
【0025】
本発明の接続構造の一形態として、本発明の接続ユニットであって、第一差込口から第三差込口の少なくとも3つの差込口を有するものと、前記第一差込口に差し込まれる一方の長尺材αと、前記第二差込口に差し込まれる長尺材βと、前記第三差込口に差し込まれる他方の長尺材α(以下、長尺材γと呼ぶ)とを備える形態が挙げられる。ここで、一方の長尺材αが常温絶縁型超電導ケーブルであり、その常温絶縁型超電導ケーブルは、フォーマの外周に超電導導体層を形成してなる導体と、その導体を内部に収納して導体を極低温に維持する多重管構造の断熱管と、前記断熱管の外周を取り囲む電気絶縁層とを備える。また、長尺材βが一方の長尺材αから排出された、又は一方の長尺材αに供給される冷媒を流す冷媒輸送管である。さらに、長尺材γが常電導送電機器である。
【0026】
この構成によれば、常温絶縁型超電導ケーブルと、常電導ケーブルなどの常電導送電機器と、冷媒輸送管の三者の接続構造を、本発明の接続ユニットを介して容易に構築することができる。この場合、電気は常温絶縁型超電導ケーブルと、常電導ケーブルなどの常電導送電機器との間で送電され、冷媒は常温絶縁型超電導ケーブルと冷媒輸送管との間で流通される。
【0027】
本発明の接続構造の一形態として、本発明の接続ユニットであって、第一差込口から第三差込口の少なくとも3つの差込口を有するものと、前記第一差込口に差し込まれる一方の長尺材αと、前記第二差込口に差し込まれる長尺材βと、前記第三差込口に差し込まれる他方の長尺材α(以下、長尺材δと呼ぶ)とを備える形態が挙げられる。ここで、前記一方の長尺材α及び長尺材δが常温絶縁型の超電導ケーブルであり、その常温絶縁型超電導ケーブルは、フォーマの外周に超電導導体層を形成してなる導体と、その導体を内部に収納して導体を極低温に維持する多重管構造の断熱管と、前記断熱管の外周を取り囲む電気絶縁層とを備える。また、長尺材βが常電導送電機器である。
【0028】
この構成によれば、複数の常温絶縁型超電導ケーブルと、常電導ケーブルなどの常電導送電機器との接続構造を本発明の接続ユニットを介して容易に構築することができる。この場合、電気は各常温絶縁型超電導ケーブルと、常電導ケーブルなどの常電導送電機器との間で送電され、冷媒は各常温絶縁型超電導ケーブルの断熱管の間で流通される。
【0029】
本発明の接続構造の一形態として、本発明の接続ユニットであって、第一差込口から第三差込口の少なくとも3つの差込口を有するものと、前記第一差込口に差し込まれるある長尺材αと、前記第二差込口に差し込まれる別の長尺材α(以下、長尺材γと呼ぶ)と、前記第三差込口に差し込まれる更に別の長尺材α(以下、長尺材εと呼ぶ)とを備える形態が挙げられる。ここで、前記長尺材αが常温絶縁型超電導ケーブルであり、その常温絶縁型超電導ケーブルは、フォーマの外周に超電導導体層を形成してなる導体と、その導体を内部に収納して導体を極低温に維持する多重管構造の断熱管と、前記断熱管の外周を取り囲む電気絶縁層とを備える。また、長尺材γ及び長尺材εが常電導送電機器である。
【0030】
この構成によれば、本発明の接続ユニットを介することで、常温絶縁型超電導ケーブルと複数の常電導ケーブルなどの常電導送電機器との接続構造を容易に構築することができる。この形態では、冷媒容器を利用して、常温絶縁型超電導ケーブル内で冷媒の往復流通が可能な構成とするとよい。
【0031】
本発明の接続構造の一形態として、本発明の接続ユニットであって、さらに前記断熱容器の外側を覆うように形成された分流用導体層を備えるものと、複数の差込口に差し込まれる各長尺材であって、冷媒流路を構成すると共に電圧印加部位である断熱管と、異常時電流を分担する分流導体とを有する長尺材ζとを備える形態が挙げられる。この複数の長尺材ζは、次の常温絶縁型超電導ケーブルと冷媒輸送管とから選択された組み合わせで構成される。
(1)フォーマの外周に超電導導体層を形成してなる導体と、その導体を内部に収納して導体を極低温に維持する多重管構造の断熱管と、前記断熱管の外周を取り囲む電気絶縁層と、前記断熱管と電気絶縁層との間に配される分流導体とを備える常温絶縁型超電導ケーブル
(2)金属パイプと、その外周に設けられる輸送管用絶縁層と、前記金属パイプと輸送管用絶縁層との間に配される分流導体とを備える冷媒輸送管
そして、前記接続ユニットの分流用導体層と前記長尺材ζの分流導体とが接続されている。
【0032】
この構成によれば、長尺材が分流導体を有する場合でも、その分流導体の異常時電流の流路が、接続ユニット内に分流用導体層で確保された接続構造を容易に構築することができる。分流用導体層の構成材料は、接続ユニットの断熱容器の構成材料よりも高導電率の材料が好ましい。長尺材ζの組み合わせ例としては、上記常温絶縁型超電導ケーブル同士、上記冷媒輸送管同士が挙げられる。その他、さらに接続対象として別の送電ケーブル(常電導ケーブルでも常温絶縁型超電導ケーブルでも可)を有する場合、長尺材ζは上記常温絶縁型超電導ケーブルと上記冷媒輸送管との組み合わせであっても良い。
【0033】
接続対象となる常電導送電機器としては、CVケーブル、OFケーブル、GIL(Gas insulated transmission line;管路気中送電線)、又はGIS(Gas insulated switchgear;ガス絶縁開閉装置)が挙げられる。
【0034】
これらの接続対象を選択することで、常温絶縁型の超電導ケーブルとこれらの常電導送電機器との接続構造を本発明の接続ユニットを介して容易に構築することができる。
【0035】
本発明の接続構造の一形態として、本発明の接続ユニットと長尺材βとを、両者の間にアタッチメントを介して接続する接続構造が挙げられる。この接続構造は、本発明の接続ユニットと、接続ユニットのある差込口に差し込まれる筒状のアタッチメントと、このアタッチメントに接続される長尺材βとを備える。そして、このアタッチメントは、その一端に形成されて長尺材βの断熱管と接続される断熱筒部と、その他端に突出して前記接続ユニットの差込口に挿入される差込用断熱管と、前記長尺材βの断熱管と差込用断熱管とを絶縁する絶縁筒とを備える。
【0036】
この構成によれば、アタッチメントの絶縁筒により、接続ユニットと長尺材βの断熱管とを電気的に絶縁することができる。そのため、絶縁接続部を容易に構築することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の接続ユニットにおける各差込口への接続対象の挿入を主たる作業とすることで、接続対象同士の接続構造の構築を容易に行うことができる。また、本発明の接続ユニットはコンパクト化しやすい。
【0038】
本発明の接続構造は、本発明の接続ユニットを備えることで、常温絶縁型超電導ケーブル、常電導ケーブル、冷媒輸送管などの各種の接続対象を種々の組合せにて接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】3つの差込口を備える本発明の実施形態1に係る接続ユニットの概略構成図である。
【図2】図1のユニットにおける破線楕円内の拡大図である。
【図3】図1のユニットを用いた常温絶縁型超電導ケーブル線路の概略構成図である。
【図4】実施形態2に係る接続ユニットの概略構成図である。
【図5】2つの差込口に常温絶縁型超電導ケーブルが差し込まれる実施形態3に係る接続ユニットの概略構成図である。
【図6】2つの差込口に冷媒輸送管が差し込まれる実施形態4に係る接続ユニットの概略構成図である。
【図7】実施形態4の変形例に用いる縁切り用アタッチメントの概略構成図である。
【図8】本発明接続ユニットの利用形態を示す模式図で、(A)は実施形態1のY型のユニットについて、(B)は2本の常温絶縁型超電導ケーブルと、1本の冷媒輸送管が差し込まれるY型のユニットについて、(C)は(B)図と同様の接続対象が差し込まれるT型のユニットについて、(D)は3本の常温絶縁型超電導ケーブルが差し込まれるY型のユニットについて示す。
【図9】本発明接続ユニットの利用形態を示す模式図で、2本の常電導ケーブルと、1本の常温絶縁型超電導ケーブルと、1本の冷媒輸送管が差し込まれるH型のユニットについて示す。
【図10】図9の接続ユニットを用いた利用形態の変形例を示す模式図である。
【図11】常温絶縁型超電導ケーブルの横断面図で、(A)は組立後、(B)は組立時の状態を示す。
【図12】分流導体を有する常温絶縁型超電導ケーブルの横断面図で、(A)は組立後、(B)は組立時の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0041】
〔実施形態1〕
[接続ユニットの概要]
図1〜図3に基づいて、3つの差込口を備える接続ユニットを例として本発明の実施の形態を説明する。この接続ユニット400は、図1に示すように、第一差込口400A、第二差込口400B、第三差込口400Cの計3つの差込口を備え、各差込口400A、400B、400Cには、常温絶縁型の超電導ケーブル100、冷媒輸送管200、常電導ケーブル300が接続される。また、この接続ユニット400は、導電ブロック410、冷媒容器420、断熱容器430、絶縁成形体440を備える。このユニット400の説明に先立って、各接続対象を説明する。
【0042】
[常温絶縁型超電導ケーブル]
まず、常温絶縁型超電導ケーブル100の基本構造を図11に基づいて説明する。常温絶縁型超電導ケーブル(以下、単に超電導ケーブルとする)100は、導体部10と、導体部10を内部に収納する断熱管14と、断熱管14を収納する常温絶縁部を備え、この常温絶縁部は、内側から順に保形用のパイプ状構造物15、及びケーブル絶縁層(電気絶縁層)17を備える。
【0043】
{導体部}
導体部10は、代表的には、フォーマ11と、フォーマ11の外周に形成される超電導導体層12(導体)と、保護層13とを備える。フォーマ11は、超電導導体層12の支持体に利用される部材であり、例えば、エナメルなどの絶縁被覆を備える複数の金属線を撚り合わせた中実体や、金属パイプなどの中空体を利用することができる。このフォーマ11は異常電流の分流路として利用されることがあるが、その異常電流が小さい場合は絶縁材料をフォーマ11に適用する場合がある。本例では、被覆金属線を撚り合わせた中実体とした。なお、フォーマ11と超電導導体層12の間にクッション層(図示せず)を設けても良い。
【0044】
超電導導体層12としては、例えば、酸化物超電導体を備えるテープ状線材が好適に利用できる。テープ状線材は、例えば、Bi2223系超電導テープ線(Ag−MnやAgなどの安定化金属中に酸化物超電導体からなるフィラメントが配されたシース線)、RE123系薄膜線材(RE:希土類元素、例えばY、Ho、Nd、Sm、Gdなど。金属基板に酸化物超電導相が成膜された積層線材)が挙げられる。超電導導体層12は、上記テープ状線材を螺旋状に巻回して形成した単層構造、または多層構造のものが挙げられる。本実施形態では、多層構造の超電導導体層12とした。
【0045】
保護層13は、超電導導体層12の外周を覆い、超電導導体層12を保護すると共に、断熱管14との絶縁を確保する。この保護層13は、クラフト紙などを巻回することで形成できる。
【0046】
{断熱管}
断熱管14は、導体部10を内部に収納する内管14aと、内管14aを内部に収納する外管14bとを備える二重管構造である。内管14aは、その内部に、超電導導体層12を超電導状態に維持するための冷媒20(代表的には、液体窒素や液体ヘリウム、ヘリウムガスなど)が充填され、冷媒流路として機能する。この内管14aと、内管14aの外周に設けられる外管14bとで断熱管14を構成することで、外部からの侵入熱などにより冷媒20の温度が上昇することを抑制する。内管14aと外管14bとの間は真空引きされ、それによって真空断熱層が形成されている。その他、内管14aと外管14bとの間にスーパーインシュレーションといった断熱材や、内管14aと外管14bとを離隔させるスペーサを配置すると、断熱管14の断熱性を高められる。
【0047】
本例における断熱管14を構成する内管14aと外管14bは、共にコルゲート管である。両管14a,14bをコルゲート管にすることで、断熱管14(即ち、超電導ケーブル100)の曲げ剛性を小さくすることができ、管路内などへの超電導ケーブル100の布設をより容易にすることができる。なお、両管14a,14bは、ストレート管であっても良い。常温絶縁型超電導ケーブルでは、断熱管14の外側にケーブル絶縁層17があるため、断熱管14は電圧印加部位である。
【0048】
{パイプ状構造物}
パイプ状構造物15は、その外周面に形成される分流導体16(後述)やケーブル絶縁層17を保形する部材であり、高強度であることが重要である。また、超電導ケーブル100に所定の可撓性を持たせるために、パイプ状構造物15も所定の可撓性を有することが求められる。これらの点を考慮して、パイプ状構造物15としては、アルミニウムのストレートパイプや、SUSのコルゲートパイプなどを利用することができる。その他、パイプ状構造物15は、樹脂などの非導電材料でできていても良い。ここで、このパイプ状構造物15が導電材料であれば、後述する分流導体16を有する場合、それ自身も分流導体16の機能の一部を分担できる。このパイプ状構造物15は、必要に応じて設ければ良い。パイプ状構造物15があれば、断熱管がコルゲートパイプであっても、分流導体16やケーブル絶縁層17を容易に形成できる。一方、パイプ状構造物を設けずに断熱管14の上に直接ケーブル絶縁層を形成しても良いし、後述する分流導体16を有する場合、断熱管14の上に分流導体16、ケーブル絶縁層を順次形成しても良い。
【0049】
{ケーブル絶縁層}
ケーブル絶縁層17は、超電導ケーブル100が適用するケーブル線路に要求される絶縁性能を満足するために必要である。このケーブル絶縁層17には、常電導ケーブルで実績がある電気絶縁強度に優れる材料、代表的にはCVケーブルに利用される架橋ポリエチレンなどを利用できる。架橋ポリエチレンなどの絶縁性樹脂であれば、断熱管14の外周、又は断熱管14を収納するパイプ状構造物15、若しくは後述する分流導体16の上に絶縁性樹脂を押し出すだけでケーブル絶縁層17を容易に形成できる。
【0050】
{その他のケーブル構成}
{分流導体}
必要に応じて、図12に示すようにパイプ状構造物15とケーブル絶縁層17との間に分流導体16を設けることができる。分流導体16は、異常時電流が生じたときに、その異常時電流を分担する常電導導体である。この分流導体16は、超電導ケーブル線路の長手方向の接続部(超電導ケーブル100の中間接続構造や終端接続構造など)で超電導導体層12、およびフォーマ11に接続されている。そのため、分流導体16と、超電導導体層12およびフォーマ11と、で異常時電流を分担できるようになっている。なお、分流導体16は、必須の構成要素ではない。
【0051】
分流導体16は、異常時電流を分担する役割を担う観点から、パイプ状構造物15よりも高導電性の金属材料、つまり電気抵抗値が低い銅やアルミニウム、銀などの金属材料から構成される。特に、銅は、銀に次ぐ高い導電率を有し、銀よりも格段に安価である点で、分流導体16として好適である。
【0052】
上記分流導体16は、銅撚り線で構成されるセグメント導体など既存の常電導ケーブルの導体に準じた部材をパイプ状構造物15上に巻回することで形成することができる。
【0053】
ケーブル絶縁層17の内側、外側には安定した電気特性を得るのに有効な半導電層(図示せず)が設けられるのが一般的である。また、ケーブル絶縁層17の外周には、代表的には、銅やアルミニウムなどの常電導材料から構成された外側遮蔽層(図示せず)が設けられる。外側遮蔽層は、ケーブル絶縁層17の外側の電位を与えるもので、従来の電力ケーブルと同様に常電導材料を利用できる。また、外側遮蔽層の外周には、外気の水分を遮断する遮水層や、所定の絶縁特性を有し、外側遮蔽層を保護する防食層(図示せず)が設けられている。
【0054】
[冷媒輸送管]
冷媒輸送管200には、上述した超電導ケーブル100における断熱管14と同様に、輸送管用断熱管214と、その断熱管214を収納する金属パイプ216の外周に設けられた輸送管用絶縁層215とを有する構成が利用できる。この断熱管214も電圧印加部位である。その他、上記金属パイプ216の外周に、又は断熱管214の外周に直接、短絡電流などの異常時電流を分担する分流導体(図示略)を設けても良い。その場合、分流導体(図示略)の外周には輸送管用絶縁層215を設ける。本例では、金属パイプ216、及び輸送管用絶縁層215を備える冷媒輸送管200としている。
【0055】
[常電導ケーブル]
常電導ケーブル300は、公知のCVケーブルやOFケーブルが好適に利用できる。一般に、これらのケーブルは、中心から順に、導体310、内部半導電層、絶縁層315、外部半導電層、遮蔽層、遮水層、防食層などを備えている。その他、適宜なアタッチメントを介するなどして、GISやGILの導体を接続ユニットに接続する構造も可能である(図示せず)。本例では、CVケーブルを常電導ケーブルとしている。
【0056】
[ユニットの各部の構成]
{導電ブロック}
導電ブロック410は、複数の接続対象を電気的に接続するための導電部材である。
【0057】
この導電ブロック410は、複数の接続凹部412を備え、各接続凹部412には、接続対象の導体(超電導導体層12、導体310)の端部を端末処理した接続凸部30が差し込まれる。この接続凸部30は銅などの導電材料からなり、接続凹部412に差し込むことで、両者は互いに係合して、接続対象の導体が導電ブロック410に確実に接続される。接続凸部は、単一の部材で構成されても良いし、フォーマ11や超電導導体層12と接続される第一部材と、その第一部材をそれぞれ、又は一体に覆う第二部材など、複数の部材を組み合わせて構成しても良い。この分割の仕方や数は特に限定されない。
【0058】
接続凹部412の数は、複数であれば特に限定されない。本例では3つの接続凹部412を形成しているが、他の実施形態で説明するように、2つや4つでも、それ以上であっても良い。もっとも、本例で示すように、全ての接続凹部412に接続対象の導体につながる接続凸部30が差し込まれるわけではない。使用しない差込口があっても良い。使用しない差込口には、後述する実施形態2に示すように、差込口に栓が差し込まれる。
【0059】
この接続凹部412の配置は、各差込口400A、400B、400Cに向くようにされている。接続対象の導体に接続した接続凸部30を差し込めるようにするためである。本例では、ユニット400の一面(図1の左側)に2つの接続凹部412を並列して設け、この一面に対向する面(図1の右側)に一つ設けている。この配置は、差込口400A、400B、400Cの配置に応じて適宜変更できる。例えば、(1)一面に2つの接続凹部を設け、この一面に対向する面にも2つの接続凹部を設けたり、(2)一面と対向面に一つずつの接続凹部を設け、さらにこの両面に直交する面にも一つの接続凹部を設けても良い。
【0060】
この接続凹部412と接続凸部30との具体例としては、常電導ケーブルの導体接続で一般的なチューリップコンタクトやマルチコンタクトが挙げられる。
【0061】
導電ブロック410の形状としては、各接続凹部412が同一面上で並列される薄型とすることが挙げられる。この形状であれば、ユニット400の厚み(図1の紙面と直交する方向の寸法)を小さくすることができる。その他、このユニットを接続対象の軸方向から見た場合、3つの接続凹部を三角形状に配置しても良い。そして、三角形状の導電ブロックの輪郭を、外周側に突出する曲面で構成することが好ましい。それにより、断熱容器に対して密着性の高い絶縁成形体(後述)を形成しやすい。
【0062】
導電ブロック410の材質には、低温で高い導電性を有する金属、例えば、銅やアルミニウムが好適に利用できる。
【0063】
{冷媒容器}
この導電ブロック410は冷媒容器420に収納されている。冷媒容器420は、導電ブロック410の外面との間に空間を形成するように配置されている。この空間の確保は、導電ブロック410と冷媒容器420との間に図示しないスペーサを両者の間に介在させるなどすれば良い。本例では、導電ブロック410に接続凸部30を差し込んだ状態の輪郭にほぼ応じた形状の容器で冷媒容器420を構成し、FRP製のスペーサを複数箇所設けている。この冷媒容器420内、即ち、冷媒容器420と導電ブロック410との間の空間は、超電導ケーブル100の冷却に用いる冷媒20の循環経路となる。但し、冷媒容器420の差込口側は、接続対象が各接続凹部412に至る差込経路を確保するため開口され、この開口が各差込口400A、400B、400Cに向いている。
【0064】
この冷媒容器420は、冷媒の温度で劣化せず、気密構造に適した材料が好適に利用できる。本例では、ステンレスで冷媒容器420を構成している。
【0065】
{断熱容器}
さらに冷媒容器420の外側は、断熱容器430に囲まれている。この断熱容器430は、冷媒容器420の外周に断熱空間を形成し、冷媒容器420内の冷媒に対する熱侵入を抑制する。本例では、図1の楕円で囲んだ箇所を図2に拡大して示すように、冷媒容器420の外側に重なるように断熱容器430を配置し、その断熱容器430内の閉鎖空間を真空引きして断熱空間を形成している。その他、断熱容器の内側面が冷媒容器を兼ねた構造としても良い。この断熱空間内には、輻射による熱侵入を抑制するため、スーパーインシュレーションなどの断熱材(図示略)を配置しても良い。勿論、この断熱容器430も、接続対象が差し込まれる箇所は開口されている。
【0066】
この断熱容器430の形状は、接続ユニット400における内部シールド電極の機能を有する形に成形することが好ましい。常電導ケーブル同士の接続部で使用されるプレモールド絶縁ユニットなどと同様に、導体の接続部と電気的につながる内部シールド電極を設けることで、接続対象の導体や導電ブロック410の表面における電界を小さくすると共に、ユニットの絶縁成形体440に加わる電界の集中を抑制している。すなわち、内部シールド電極に相当する形状に断熱容器430を成形している。具体的には、接続対象が挿入される開口の周囲を湾曲面で突出させた断熱容器430としている。断熱容器430が接続ユニットにおける内部シールド電極の機能を持てば、断熱容器430とは別部材で内部シールド電極を構成する必要がない。
【0067】
この断熱容器430は、導電ブロック410側から開口までの距離を長く採っている。接続対象が有する断熱管14(冷媒輸送管200の場合は断熱管214)を冷媒容器420内に挿入することで、断熱容器430と断熱管14(214)とを重複させ、冷媒への熱侵入を効果的に抑制するためである。上述の断熱容器430と断熱管14(214)との重複距離は、断熱容器430の開口部が過度に低温にならないような適切な値を選択することが好ましい。なお、図2に模式的に示すように、接続対象の断熱管14(214)を断熱容器430内に挿入する場合、挿入された断熱管14(214)と冷媒容器420との間には、断熱管14(214)を挿入することで封止可能な適宜なシール手段を設ければ良い。断熱管14(214)がコルゲート管の場合、その端部のみに短いストレート管を被せるなどして平滑な円筒面とすれば、上記封止を行い易い。このシール手段による接続対象と冷媒容器420との封止は、差込口400Cに挿入される常電導ケーブル300(接続凸部30)と冷媒容器420との間においても同様に行われる。
【0068】
この断熱容器430の材質は、気密性に優れる金属材料が好適に利用できる。本例ではステンレスを用いている。冷媒容器420と同じ材質であれば、断熱容器430と冷媒容器420の接合或いは一体構造が容易になる。
【0069】
その他、接続対象が図12に示したように分流導体16を持つ場合、この分流導体16に流れる電流の流路を接続ユニット400に設ければよい。例えば、断熱容器430の外側を覆うように、銅などの分流用導体層(図示略)を設けて、この分流用導体層を分流導体16に流れる電流の接続ユニット内における流路とすれば良い。その場合、この分流用導体層が内部シールド電極としての形態を備えるようにすることが好ましい。また、常温絶縁型超電導ケーブル100を第一差込口400Aに差し込むと、分流導体16の端部が分流用導体層に接続されるように構成すれば良い。
【0070】
{絶縁成形体}
この断熱容器430は、絶縁成形体440で覆われている。絶縁成形体440は、樹脂により断熱容器430の開口以外を覆うように成形された部材で、断熱容器430をユニット400の外部に対して絶縁する。本例ではエポキシ樹脂により断熱容器430の外周を覆い、断熱容器430の開口につながる差込口を成形した絶縁成形体440としている。
【0071】
この差込口400A、400B、400Cの数と配置が適宜選択できることは、導電ブロック410の接続凹部412の配置に関して前述した通りである。差込口400A、400B、400Cの形状は、断熱容器430側が一様な内径の小径部、開口側は一様な内径の大径部であり、この小径部と大径部の間が断熱容器側に向かって内径が小さくなるテーパー部でつながれている。このテーパー部には、接続対象の絶縁層17、215、315の外側に嵌め込まれたストレスコーン450(プレモールド絶縁体)が挿入される。
【0072】
{その他}
さらに、絶縁成形体440の外周は、金属製のケース(二点鎖線で表示)で保護されている。その他、図示していないが、上述したストレスコーンは、この金属ケースに支持される押し金具で、それぞれユニット400の中央側に押圧される。
【0073】
[接続構造の組立手順とユニットの利用形態]
{組立手順}
まず、各接続対象の端末処理を行う。例えば、常温絶縁型超電導ケーブル100の場合、露出したフォーマ11及び超電導導体層12と接続凸部30とを電気的に接続する。断熱管14、及び冷媒輸送管200の断熱管214を所定の位置で切断して密閉処理をした後に真空処理がなされる。常電導ケーブルでも、露出させた導体310に接続凸部30を圧着する。但し、超電導ケーブルに適用する接続凸部30と常電導ケーブルに適用する接続凸部30とは構造が異なってもよい。超電導・常電導のいずれのケーブルにおいても、接続凸部30の外周にはマルチバンドが嵌め込まれている。接続凸部30と接続凹部412との電気的接続手段は、マルチバンドに限定されない。
【0074】
各接続対象をそれぞれ差込口400A、400B、400Cに差し込む。超電導ケーブル100は第一差込口400Aに、冷媒輸送管200は第二差込口400Bに、常電導ケーブル300は第三差込口400Cに差し込む。このとき、超電導ケーブル100と常電導ケーブル300の各接続凸部30は接続凹部412に嵌め込まれ、機械的・電気的に接続される。
【0075】
常温絶縁型超電導ケーブルの断熱管14も第一差込口400Aに差し込まれ、冷媒容器420との間がシールされる。常電導ケーブルの場合、接続凸部30の第三差込口400Cへの差込により冷媒容器420から冷媒が漏洩しないためのシール機能を接続凸部30に設ける。これらの冷媒容器420とのシールについては極低温容器などに適用されるシール構造が適用され、そのシール構造を設ける位置は、低温から常温の間のどの位置でも良く、複数のシール構造を設けても良い。
【0076】
冷媒輸送管200も、その断熱管214が冷媒容器420内に差し込まれる。冷媒輸送管200と冷媒容器420との支持・固定は、金属に比して熱伝導率の小さいエポキシやFRPなどの絶縁材料を用いて行うことが好ましい。さらに、超電導ケーブルの断熱管14と同様に、断熱管214と冷媒容器420との間から冷媒が漏洩しないようにシールを行う。
【0077】
これらの接続により、超電導ケーブル100と冷媒輸送管200の各断熱管14、214は断熱容器430と十分な長さに亘って重複される。それにより、冷媒側への熱侵入を抑制すると共に、各接続対象の絶縁層17、215が過度に冷却されないようにすることができる。このとき、導電ブロック410の接続凹部412の一つには、何も接続されず、空き状態となっている。
【0078】
各接続対象の絶縁層(ケーブル絶縁層17、輸送管用絶縁層215、絶縁層315)については、従来の常電導ケーブルの接続手法を適用することができる。すなわち、各絶縁層17、215、315の外側にストレスコーン450S、450C、450Nの押し金具とストレスコーン450(450S、450C、450N)を嵌め込み、押し金具でストレスコーンを各差込口400A、400B、400Cの奥(白抜き矢印方向)に押し込む。それにより、各接続対象の絶縁層17、215、315、ストレスコーン450、及び接続ユニットの絶縁成形体440の界面を密着させることができ、所定の電気性能を得ることができる。押し金具は、絶縁成形体440の外側に形成したケースに支持される。常電導ケーブル300がOFケーブルであれば、ストレスコーン450の代わりに補強絶縁紙及びエポキシベルマウスを用いればよい。
【0079】
{利用形態}
このような接続ユニット400は、図3に示す超電導ケーブル線路の端部に好適に利用できる。この線路では、一端側(図の右側)の終端接続構造から常温絶縁型の超電導ケーブル100がいくつかの接続ユニット500を介して接続されている。また、線路の他端側からは複数の冷媒輸送管200が接続ユニット600、610を介して接続され、一端側に設置された冷媒の冷却・循環機構900に接続されている。
【0080】
各ケーブル100内には、冷却・循環機構900から供給された冷媒が、図の右側から左側に向かって流通され、同じ方向に送電も行われる。このケーブルの両端には、図1の接続ユニット400が接続されている。例えば、図3の左側の接続ユニット400を例にすると、超電導ケーブル100が第一差込口400Aに差し込まれ、冷媒輸送管200が第二差込口400Bに差し込まれ、常電導ケーブル300が第三差込口400Cに差し込まれている(図1)。この接続ユニット400の利用により、超電導ケーブル100内を通って一端側から他端側に流通された冷媒は、接続ユニットを経て冷媒輸送管200に排出される。その際、接続ユニット400内で、冷媒20は導電ブロック410の周囲を囲む空間を流通する。冷媒輸送管200に排出された冷媒20は、線路の他端側から一端側の冷却・循環装置900に復帰され、この循環を連続させることができる。そして、第三差込口400Cに差し込まれた常電導ケーブル300から常電導機器への送電が行われる。
【0081】
[作用効果]
上記の接続ユニット400によれば、次の効果を奏することができる。
【0082】
各接続対象を接続ユニット400の各差込口400A、400B、400Cに挿入するという簡易な作業により、接続ユニット400を介して各接続対象を接続することができる。
【0083】
接続ユニット400は、絶縁成形体440と冷媒容器430とを備えるため、接続対象同士の電気的接続に加え、接続対象が有する冷媒の流路同士の接続もまとめて行うことが可能である。よって、小型の接続ユニット400とできる。
【0084】
接続ユニット400の断熱容器430と、接続対象の断熱管14(輸送管用断熱管214)とを重複させることで、導電ブロック410側への熱侵入と、接続対象の絶縁層17(輸送管用絶縁層215)の過剰な冷却を効果的に抑制できる。
【0085】
断熱容器430が内部シールド電極の機能を備えているため、別途内部シールド電極を構成する必要がなく、部品点数を削減できる。
【0086】
この接続ユニット400の利用により、超電導ケーブル100内の冷媒20の流通方向を逆転させることができ、その冷媒20を、冷媒輸送管200を介して冷却・循環装置900に復帰させることができる。
【0087】
〔実施形態2〕
次に、実施形態1の変形例である実施形態2を図4に基づいて説明する。実施形態1では、常温絶縁型超電導ケーブルの断熱管内を流れる冷媒は、接続ユニットの冷媒容器内を介して、冷媒輸送管の断熱管内に流通されたが、本例では、1本の常温絶縁型超電導ケーブル内で冷媒の往復流通を可能にする。以下、実施形態1との相違点を中心に説明し、共通する構成については説明を省略する。
【0088】
まず、第一の相違点としては、接続対象である常温絶縁型超電導ケーブルのフォーマ11が中空パイプである点が挙げられる。このフォーマ11の内部が冷媒20の往路又は復路であり、断熱管14と導体部10との間の空間が冷媒20の復路又は往路である。このフォーマ11の端部に接続凸部30を取り付ける際、例えば、フォーマ11の内部に鋼芯管31を挿入し、その外周に接続凸部30を形成する。鋼芯管31は、接続凸部30が圧縮によりフォーマ11と接続される構成であっても、その圧縮によりフォーマ11の中空が圧壊されないようにするための部材である。図4に示すように接続凸部30に鋼芯管31を挿通配置させた形態としてもよいし、接続凸部30に貫通孔を設けて、この貫通孔に連通するようにフォーマ11(鋼芯管31)に接続凸部30を取り付けてもよい。
【0089】
第二の相違点としては、導電ブロック410に連通孔414を備えることが挙げられる。この導電ブロック410は、接続凹部412の底面と導電ブロック410の外表面との間を貫通する連通孔414を有する。この連通孔414は、フォーマ11内の冷媒を接続凹部412の内側から外側、又はその逆に流通させるための孔である。この連通孔414は、いずれの接続凹部412にも形成されている。フォーマ11(鋼芯管31)は、この連通孔414に連続するように配置すると、冷媒20を流通し易い。連通孔414に鋼芯管31の一部を挿入してもよい。
【0090】
第三の相違点としては、栓460が第二差込口400Bに差し込まれている点が挙げられる。実施形態1では第二差込口400Bに冷媒輸送管200を差し込んでいたが、本例ではその代わりに絶縁材料からなる栓460がはめ込まれている。この栓460は断熱材料で構成され、冷媒容器420側に配置される断熱部462と、断熱部462に一体に成形され、差込口400B側に配置される絶縁部464とを具える。断熱部462は、例えば、断熱容器、公知の断熱材など、所望の断熱特性を有する適宜なものが利用できる。絶縁部464は、エポキシなどの絶縁性の樹脂で構成され、各差込口400A、400B、400Cに嵌合可能な形状に成形された部材である。差込口400Bに栓460を差し込むことで、冷媒容器420と導電ブロック410との間の空間を封止する。ここでは、絶縁部464の外周にストレスコーンを配置した状態を示すが、ストレスコーンを省略し、絶縁部464の外形を差込口に適合した形状に成形してもよい。
【0091】
このような接続ユニット400は、常温絶縁型超電導ケーブルの接続凸部30を導電ブロック410の接続凹部412に挿入した際、フォーマ11(鋼芯管31)が連通孔414と連通するように挿入する。これにより、接続凹部412の内側を介して、フォーマ11内の冷媒を導電ブロック410と冷媒容器420との間の空間に流通させることができる。一方、この空間は、断熱管14の内部とも連通している。よって、フォーマ11の内部を冷媒20の往路、導体部10の外側で断熱管14の内側を冷媒20の復路として、1条の超電導ケーブルにて冷媒20の往復流通を行うことができる。
【0092】
また、電気絶縁性及び熱絶縁性の栓460により、未使用の差込口400Bを塞ぎ、冷媒20が差込口400Bから漏洩することを防止できる。
【0093】
実施形態2の変形例として、栓460を取り外し、差込口400Bに、別の常電導ケーブルを挿入した形態、即ち、1条の超電導ケーブルと2条の常電導ケーブルとを接続ユニット400により接続した形態とすることができる。上述した冷媒20の往復流通が可能な構成を具える超電導ケーブル100を利用することで、このように複数の常電導ケーブルと、超電導ケーブルとを接続可能である。
【0094】
〔実施形態3〕
次に、2つの差込口を備える接続ユニットを用い、これら差込口の各々に常温絶縁型の超電導ケーブルを差し込んだ接続構造を例として本発明の実施の形態を説明する。
【0095】
このユニット500は、図5に示すように、2つの差込口500A、500Bが互いに反対向きに備えられている。このユニット500の構成を概略的に述べれば、図1のユニット400における第一差込口400Aから導電ブロック410までの構成を左右反転させて一体にしたような構成である。
【0096】
差込口500A、500Bが一対であることに対応して、導電ブロック510の接続凹部512も一対となっている。導電ブロック510の形状に対応した冷媒容器520であること、冷媒容器520を覆う断熱容器530がユニット500の内部シールド電極を兼ねている点も実施形態1と同様である。断熱容器520の形状に対応した絶縁成形体540を具えること、絶縁層17とこの絶縁成形体540との間にストレスコーン550Sを介在させることも実施形態1と同様である。このユニット500の各差込口500A、500Bに常温絶縁型の超電導ケーブル100R,100Lを差し込むことで、超電導ケーブル100R,100Lの中間接続構造を容易に形成できる。
【0097】
このようなユニット500は、図3の超電導ケーブル線路において、常温絶縁型の超電導ケーブル100を接続する接続ユニット500として好適に利用できる。
【0098】
〔実施形態4〕
次に、2つの差込口を備える接続ユニットを用い、これら差込口の各々に冷媒輸送管を差し込んだ接続構造を例として本発明の実施の形態を説明する。
【0099】
本例の場合、図6に示すように、接続ユニット600自体は実施形態2と同様であり、一対の接続凹部612を具える導電ブロック610、冷媒容器620、断熱容器630、絶縁成形体640を具えるが、接続対象が冷媒輸送管200である点が異なる。つまり、輸送管用断熱管214を各差込口600A、600Bから冷媒容器620内にまで差し込む。これにより、一方の冷媒輸送管200から排出された冷媒20は、ユニット600内の冷媒容器620内を通って、他方の冷媒輸送管200に流通される。その際、冷媒輸送管200は送電路ではないため、導電ブロック610自体は利用されないが、実施形態2と同様のユニット600を用いることで、冷媒輸送管200同士を接続することができる。
【0100】
このようなユニット600は、図3の超電導ケーブル線路において、冷媒輸送管200を接続する接続ユニット600として好適に利用できる。
【0101】
〔実施形態5〕
次に、実施形態4の変形例に用いる縁切り用アタッチメントを図7に基づいて説明する。
【0102】
このアタッチメント250は、筒状の部材で、実施形態4における接続ユニット600(図6)と冷媒輸送管200との間に介在される。アタッチメント250は、一端側に冷媒輸送管200の断熱管214が挿入される断熱筒部252を、他端側に接続ユニットの差込口に挿入される差込用断熱管254、中間部に断熱管214と差込用断熱管254とを絶縁する絶縁筒256とを備える。断熱筒部252と差込用断熱管254は、真空断熱層で構成することが好ましい。絶縁筒256は、エポキシなどの適宜な樹脂で構成することができる。
【0103】
例えば、図6の差込口600Aに差し込まれた冷媒輸送管200が高圧側であった場合、差込口600Bに上記アタッチメント250の差込用断熱管254を差し込む。その際、差込用断熱管254にはストレスコーン650Cを装着しておく。そして、断熱筒部252に冷媒輸送管200の断熱管214を差し込む。
【0104】
この構成により、差込口600Aに差し込まれた高圧側の断熱管214及び差込用断熱管254は電圧印加部位となるが、断熱筒部252に差し込まれた断熱管214は絶縁筒256により差込用断熱管254とは絶縁されるため、低圧側となる。そのため、図6の接続ユニット600にアタッチメント250を組み合わせて用いれば、図3における接続ユニット610として利用できる。つまり、この接続ユニット610は絶縁継手としての機能を備えるため、低圧側の断熱管214を支障なく冷却・循環装置900に接続することができる。
【0105】
〔実施形態6〕
実施形態1〜5では、常温絶縁型の超電導ケーブル、冷媒輸送管、及び常電導ケーブルの接続、当該超電導ケーブル同士の接続、並びに冷媒輸送管同士の接続について述べた。本例では、他の接続対象の組合せ、又は他の接続形態を実現するための接続ユニットの構成について、図8〜図10に基づいて説明する。各図において、白抜き矢印は冷媒の流通方向を、矢印は送電方向を示し、括弧書きされた矢印は括弧書きされていない矢印とは異なる方向に冷媒や電流を流すことができることを示している。また、SCは常温絶縁型超電導ケーブルを、NCはCVケーブルなどの常電導ケーブルを、CPは冷媒輸送管を示す。
【0106】
まず、図8(A)の接続形態は、図1のユニットと同一の接続形態を示している。つまり、電流は、超電導ケーブル100から常電導ケーブル300に流れ、冷媒は超電導ケーブル100から接続ユニット400で折り返され、冷媒輸送管200に導かれることで流通方向が逆転される。
【0107】
次に、図8(B)の接続形態は、第一・第二差込口の各々には、いずれも超電導ケーブル100G、100Rが差し込まれ、第三差込口には冷媒輸送管200が差し込まれている。即ち、一方の超電導ケーブル100Gの電流は導電ブロック410を介して他方の超電導ケーブル100Rに送電方向を反転して送電される。一方、冷媒は一対の超電導ケーブル100G、100Rから接続ユニット400に導入され、冷媒輸送管200へと集約して排出される。
【0108】
次に、図8(C)はT型の接続ユニット700を示している。このユニット700では、その左右に超電導ケーブル100L、100Rが導電ブロック710を挟んで直線状に接続され、これら超電導ケーブル100L、100Rの軸方向と直交する方向に冷媒輸送管200が接続されている。この接続形態では、冷媒輸送管200から接続ユニット700に冷媒を供給し、同ユニット700から各超電導ケーブル100L、100Rに分岐して冷媒が供給される。一方、電気は超電導ケーブル100Lから導電ブロック710を経由して超電導ケーブル100Rに向かって直線状に送電される。
【0109】
次に、図8(D)は、実施形態1と同じ接続ユニットに対し、全ての差込口に超電導ケーブル100Lα、100Lβ、100Rを差し込んだ接続形態を示している。この場合、第一・第二差込口に差し込まれた一対の超電導ケーブル100Lα、100Lβから導電ブロック410を経て、第三差込口に差し込まれた1本の超電導ケーブル100Rに集約して送電される。冷媒の流通方向も電流と同様である。逆に、一本の超電導ケーブル100Rから一対の超電導ケーブル100Lα、100Lβに分岐して送電することもできる。
【0110】
図9は、4つの差込口を備える接続ユニット800を用いた接続構造示している。図の左側の一対の差込口には、各々常電導ケーブル300α、300βが接続され、図の右側の一対の差込口には、一方には超電導ケーブル100が、他方には冷媒輸送管200が接続されている。本例では、冷媒容器と導電ブロック810との間に仕切板860を設けて、ユニット800の右側に冷媒を区画している。本例の場合、2条の常電導ケーブル300α、300βからの電流は、導電ブロック810を介して1条の超電導ケーブル100へと流れる。一方、冷媒は、冷媒輸送管200からユニット800の冷媒容器内に導入され、さらに超電導ケーブル100へと導かれることで、流通方向が逆転される。
【0111】
次に、図10は、図9の接続構造の変形例を示している。この接続ユニット800Aにおける図の左側の一対の差込口には、各々超電導ケーブル100Lと冷媒輸送管200Lが接続され、図の右側の一対の差込口にも、各々超電導ケーブル100Rと冷媒輸送管200Rが接続されている。そして、冷媒容器と導電ブロック810との間に仕切板860を設けて、冷媒流路を導電ブロックの左右に区画している。この場合、例えば冷媒輸送管200Lで超電導ケーブル100Lに冷媒を供給し、冷媒輸送管200Rで超電導ケーブル100Rに冷媒を供給する。仕切板860により、各超電導ケーブル100L、100Rの冷媒流路を区画することができるため、各々の冷媒流路に流れる冷媒を、独立した冷却・循環装置にて冷却・循環することができる。
【0112】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明のユニットは、常温絶縁型の超電導ケーブル、常電導送電路、及び冷媒輸送管の3つを接続するのに好適に利用できる。特に、このユニットにつながる常電導送電路として、CVケーブル、OFケーブルの他、GILも利用することができる。
【符号の説明】
【0114】
100、100L、100R、100G、100Lα、100Lβ 常温絶縁型超電導ケーブル
10 導体部
11 フォーマ 12 超電導導体層 13 保護層
14 断熱管
14a 内管 14b 外管
15 パイプ状構造物 16 分流導体 17 ケーブル絶縁層
20 冷媒 30 接続凸部 31 鋼芯管
200、200L、200R 冷媒輸送管
214 輸送管用断熱管 215 輸送管用絶縁層 216 金属パイプ
250 アタッチメント
252 断熱筒部 254 差込用断熱管 256 絶縁筒
300、300α、300β 常電導ケーブル
310 導体 315 絶縁層
400、500、600、610、700、800、800A 接続ユニット
400A 第一差込口 400B 第二差込口 400C 第三差込口
500A、500B、600A、600B 差込口
410、510、610、710、810 導電ブロック
412、512、612 接続凹部 414 連通孔
420、520、620 冷媒容器 430、530、630 断熱容器
440、540、640 絶縁成形体
450、450S、450N、450C、550S、650C ストレスコーン
460 栓 462 断熱部 464 絶縁部
860 仕切板
900 冷却・循環装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接続対象の各々が挿入される複数の差込口を有する接続ユニットであって、
導体を有する長尺材αを接続対象として前記各差込口に挿入した場合、前記導体と電気的に接続される導電ブロックと、
冷媒流路を構成すると共に電圧印加部位である断熱管を有する長尺材βを接続対象として前記各差込口に挿入した場合、前記導電ブロックの外面との間に空間を形成すると共に長尺材βの断熱管とつながれて、前記空間内に冷媒流路を形成する冷媒容器と、
前記差込口につながる開口を有し、前記冷媒容器の外周を覆う断熱容器と、
前記差込口を有し、前記断熱容器の周囲を覆う絶縁成形体とを備えることを特徴とする接続ユニット。
【請求項2】
前記断熱容器が接続ユニットにおける内部シールド電極を構成していることを特徴とする請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項3】
前記導電ブロックは、
前記長尺体αの導体の端部が差し込まれる接続凹部と、
その接続凹部の内側から導電ブロックと冷媒容器との間の空間に連通する連通孔とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の接続ユニット。
【請求項4】
前記導電ブロックの外周面は、外側に向かって突部となる曲面で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の接続ユニット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続ユニットと、
この接続ユニットのある差込口に差し込まれる長尺材αと、
他の差込口に差し込まれる長尺材βとを備え、
前記長尺材αと長尺材βがいずれも常温絶縁型超電導ケーブルであり、
その常温絶縁型超電導ケーブルは、フォーマの外周に超電導導体層を形成してなる導体と、その導体を内部に収納して導体を極低温に維持する多重管構造の断熱管と、前記断熱管の外周を取り囲む電気絶縁層とを備えることを特徴とする接続構造。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続ユニットと、
この接続ユニットのある差込口に差し込まれる一方の長尺材βと、
他の差込口に差し込まれる他方の長尺材βとを備え、
前記両長尺体βが冷媒輸送管であることを特徴とする接続構造。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続ユニットであって、第一差込口から第三差込口の少なくとも3つの差込口を有するものと、
前記第一差込口に差し込まれる一方の長尺材αと、
前記第二差込口に差し込まれる長尺材βと、
前記第三差込口に差し込まれる他方の長尺材α(以下、長尺材γと呼ぶ)とを備え、
前記一方の長尺材αが常温絶縁型超電導ケーブルであり、その常温絶縁型超電導ケーブルは、フォーマの外周に超電導導体層を形成してなる導体と、その導体を内部に収納して導体を極低温に維持する多重管構造の断熱管と、前記断熱管の外周を取り囲む電気絶縁層とを備え、
前記長尺材βが一方の長尺材αから排出された、又は一方の長尺材αに供給される冷媒を流す冷媒輸送管であり、
前記長尺材γが常電導送電機器であることを特徴とする接続構造。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続ユニットであって、第一差込口から第三差込口の少なくとも3つの差込口を有するものと、
前記第一差込口に差し込まれる一方の長尺材αと、
前記第二差込口に差し込まれる長尺材βと、
前記第三差込口に差し込まれる他方の長尺材α(以下、長尺材δと呼ぶ)とを備え、
前記一方の長尺材α及び長尺材δが常温絶縁型の超電導ケーブルであり、その常温絶縁型超電導ケーブルは、フォーマの外周に超電導導体層を形成してなる導体と、その導体を内部に収納して導体を極低温に維持する多重管構造の断熱管と、前記断熱管の外周を取り囲む電気絶縁層とを備え、
前記長尺材βが常電導送電機器であることを特徴とする接続構造。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続ユニットであって、第一差込口から第三差込口の少なくとも3つの差込口を有するものと、
前記第一差込口に差し込まれるある長尺材αと、
前記第二差込口に差し込まれる別の長尺材α(以下、長尺材γと呼ぶ)と、
前記第三差込口に差し込まれる更に別の長尺材α(以下、長尺材εと呼ぶ)とを備え、
前記長尺材αが常温絶縁型超電導ケーブルであり、その常温絶縁型超電導ケーブルは、フォーマの外周に超電導導体層を形成してなる導体と、その導体を内部に収納して導体を極低温に維持する多重管構造の断熱管と、前記断熱管の外周を取り囲む電気絶縁層とを備え、
前記長尺材γ及び長尺材εが常電導送電機器であることを特徴とする接続構造。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続ユニットであって、さらに前記断熱容器の外側を覆うように形成された分流用導体層を備えるものと、複数の差込口に差し込まれる各長尺材であって、冷媒流路を構成すると共に電圧印加部位である断熱管と、異常時電流を分担する分流導体とを有する長尺材ζとを備え、
前記複数の長尺材ζが、次の常温絶縁型超電導ケーブルと冷媒輸送管とから選択された組み合わせで構成され、
(1)フォーマの外周に超電導導体層を形成してなる導体と、その導体を内部に収納して導体を極低温に維持する多重管構造の断熱管と、前記断熱管の外周を取り囲む電気絶縁層と、前記断熱管と電気絶縁層との間に配される分流導体とを備える常温絶縁型超電導ケーブル
(2)金属パイプと、その外周に設けられる輸送管用絶縁層と、前記金属パイプと輸送管用絶縁層との間に配される分流導体とを備える冷媒輸送管
前記接続ユニットの分流用導体層と前記長尺材ζの分流導体とが接続されていることを特徴とする接続構造。
【請求項11】
前記常電導送電機器が、CVケーブル、OFケーブル、GIL、又はGISであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の接続構造。
【請求項12】
前記接続ユニットは、さらに別の差込口を備え、
その差込口に差し込まれる栓を備え、この栓は、断熱材料からなる断熱部と絶縁材料からなる絶縁部とを具えることを特徴とする請求項5〜11のいずれか1項に記載の接続構造。
【請求項13】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続ユニットと、
この接続ユニットのある差込口に差し込まれる筒状のアタッチメントと、
このアタッチメントに接続される長尺材βとを備え、
前記アタッチメントは、
その一端に形成されて長尺材βの断熱管と接続される断熱筒部と、
その他端に突出して前記接続ユニットの差込口に挿入される差込用断熱管と、
前記長尺材βの断熱管と差込用断熱管とを絶縁する絶縁筒とを備えることを特徴とする接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−209134(P2012−209134A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73928(P2011−73928)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】