説明

接続型低フロー分離技術

キャピラリーカラム、およびキャピラリーカラムを形成するための方法、この方法において、上記キャピラリーカラムは、上記キャピラリーカラムの末端において少なくとも1つの多孔性セグメントを含み、ここで上記少なくとも1つの多孔性セグメントは、上記セグメントを、酸の溶液、塩基の溶液、および機械的ツールのうちの1つ以上に曝す工程によって形成される。本発明の一局面において、本発明のキャピラリーカラムを使用して化学的サンプルもしくは生物学的サンプルを化学的に分析するための方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2006年10月18日に出願された、米国仮特許出願第60/852,800号(これは、参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
少量でかつ制限されたサンプル容量での多数の複雑なサンプルの分析は、迅速な分析時間、高い特異性、高感度、および高分離能を伴う分析技術を要する。エレクトロスプレーイオン化(ESI)技術の下で高分離能および高感度を達成するために、低流速でより狭いカラム/キャピラリーを使用する分離技術(例えば、ナノ液体クロマトグラフィー(ナノ−LC)およびキャピラリー電気泳動(CE))は、大きく拡がった。例えば、高速液体クロマトグラフィー−質量分析(HPLC−MS)において、約250nL/分の低流速での75μm内径の逆相カラム(ナノ−LC)は、プロテオミクス研究のための選択されるカラムになってきた。ナノ液体クロマトグラフィー−質量分析(nLC−MS)において、上記分析キャピラリーにおける流速が>100nL/分である限りにおいて、エレクトロスプレーイオン化のためのこれらキャピラリーの末端に対する電気的接続は、通常、「ゼロデッドボリューム」 接合管/T字形(Union/Tee)を介して達成される。
【0003】
50μm内径または75μm内径のキャピラリーが通常使用される、従来のキャピラリー電気泳動−質量分析(CE−MS)において、キャピラリー出口へ伝導性液体の添加を介して電圧を提供するシース−流れ界面が利用される。より高い分離能およびより高い感度を達成するために、75μm未満のカラム直径を使用するnLC−MSのような低流速を用いるさらに狭いカラム、または代わりに低いnL/分の流速でのより狭いキャピラリー(<30μm内径)を使用するCE−MSは、人気を得つつある[1(非特許文献1)]。しかし、これらの低流速では、従来の接続技術(例えば、接合管を使用してナノスプレーチップを分析キャピラリーに取り付ける)は、界面領域に持ち込まれるデッドボリュームが原因で、もはや有用ではない。
【0004】
年数を経るにつれて、ESIを介してMSに狭いキャピラリーを低流速で接続する必要性に対処するために、3つの一般的技術が開発された:シースフロー(sheath−flow)、シースレス(sheathless)、およびスプリットフローインターフェース(split−flow interface)[2−11(非特許文献2)]。シースフロー技術は、いくつかの欠点に耐える:(1)シース液による分析物の希釈;(2)シースフロー中に存在する種と、ESIプロセスにおける分析物との間の利用可能な電荷についての競合(Gale and Smith 1993);および(3)シース液組成に従って変動する、分離、溶解度、または分子コンホメーションに対する効果(Thompsonら.1993,Foretら.1994,Smithら.1991)。従って、近年においては、シースレスおよびスプリットフロー界面は、検出のより高い感度が原因で(これは、キャピラリー溶出液を希釈するためのシース液がないことから生じる)、低流速キャピラリーをMSに接続するためにより人気が出てきた。
【0005】
スプリットフロー技術において、キャピラリーフローの少量は、キャピラリー出口付近の小孔を介して、キャピラリーの外部にそらされる[12]。しかし、内径<30μmを有するキャピラリーに適用される場合、機械的ツールを用いてスプリット比を制御することは困難であった。この欠点は、多孔性接合器設計で除かれた[2(非特許文献2)]。この多孔性接合器設計において、CEキャピラリー出口への電気的接続は、上記キャピラリーの小さな部分を出口小孔(porous)付近に2つ作ることによって達成された。上記キャピラリー出口チップを鋭くした後に、上記多孔性接合器を、伝導性溶液(バックグラウンド電解質−BGE)を満たした既存のESIニードル(またはシース金属チュービング)に挿入した。BGEを含む上記シース金属への高電圧の印加は、水の酸化(ポジティブモードにおいて)または還元(ネガティブモードにおいて)を引き起こす(水溶液が上記BGEとして使用された場合)。多孔性接合器を介するイオン輸送は、CE回路を接続し、電圧をESIに提供する。この設計において、これは、イオンであり、上記キャピラリー出口に電気的接続を提供する多孔性セクションを介して液体を輸送しない。
【0006】
上記電気回路を接続するためのキャピラリーの多孔性セクションを介するイオン輸送の使用は、以下を含め、かつて使用されてきた:(1)ポリスルホン微小透析(microdialysis)チュービングを使用するCEキャピラリー出口に取り付けられるナノスプレーチップ[13]、(2)上記出口近くにある上記キャピラリーの周辺全体の周りにある多孔性セグメントを介する液体接合器[14]、ならびに(3)多孔性ガラス接合を介する[15]。しかし、ポリスルホン微小透析チュービングを使用してナノキャピラリーチップを上記キャピラリー出口に取り付けることの大きな欠点は、上記キャピラリー内径が、通常、壁厚より小さいので、比較的大きなデッドボリューム(ここで2つのキャピラリーが接続される)が存在することである。上記電気に接続するための液体接合器を使用することの欠点は、上記キャピラリーの周辺全体が、多孔性になるまでエッチングされたので、上記キャピラリーの多孔性セクションは、非常に弱く、そして液体接合器に上記キャピラリーの2つのセグメント(多孔性セクションの前後)をいっしょに保持させることを要することである。
【0007】
キャピラリーのセクションを多孔性にすることはまた、CEとMSとを接続する以外の目的で、CEにおいて使用されてきた。例えば、入り口末端にある多孔性キャピラリーは、キャピラリー電気泳動においてタンパク質およびペプチドのオンライン濃縮(on−line concentration)のために近年使用され、上記多孔性キャピラリーにおいて、上記キャピラリーに沿った(上記キャピラリーの周囲全体の周り)短い長さがHFでエッチングされた[16]。電気化学的検出によるCEにおいて、多孔性CEキャピラリーは、CE電場から上記電気化学的検出器を絶縁するために使用されてきた[17−21]。本発明者らが以前提唱した多孔性接合器設計[2(非特許文献2)]において、上記キャピラリーの周辺のうちの非常に小さなセクションのみが多孔性にされるので、上記キャピラリーは、その完全性を維持する。さらに、上記キャピラリーの内壁は、無傷のままであり、従って、上記キャピラリーの中にデッドボリュームは持ち込まれなかった。さらに、上記キャピラリー出口に液体は添加されないので、上記多孔性接合器設計は、高感度を提供した。しかし、上記多孔性接合器設計には、2つの欠点が存在した。機械的ツールは、上記ウェルに対して多孔性接合器を作るために使用されるので、再現性がありかつ大規模での接続の製造は、非実用的である。さらに、上記キャピラリー出口は、別個のプロセスにおいて鋭くされなければならない。さらに、狭いキャピラリーを低流速でMSに接続するための自動化された、強い、かつ再現性のある方法がないことは、例えば、CE−MSが大きく拡がった分離技術になることを妨げてきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Luo,Q.;Shen,Y.;Hixson,K.K.;Zhao,R.;Yang,F.;Moore,R.J.;Mottaz,H.M.;Smith,R.D.;Anal.Chem.(2005)77,5028−5035
【非特許文献2】Whitt,J.T.;Moini,M.;Anal.Chem.(2003)75,2188−2191
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、とりわけ、エレクトロスプレーイオン化を介して、低フロー分離技術(例えば、キャピラリー電気泳動およびナノHPLC)を質量分析に接続するためのアプローチを提供する[22]。より具体的には、本開示は、低フロー分離技術、ならびにこのようなキャピラリーカラムを使用する方法およびシステムを接続するために有用な、多孔性セグメント、または多孔性チップを有するキャピラリーカラムに関する。
【0010】
本開示の多孔性チップの設計は、以前の設計を超えるいくつかの利点を有する。第1に、製造が自動化され得、そして主要部(the mass)は、再現可能な様式で製造され得る。別の利点は、いくつかのキャピラリー出口が、(150μm外径および20μm内径のキャピラリーに関して)約30分でほぼ同じ時間でエッチングされ得ることである。さらに、その境界は、ナノLC−MSおよびCE−MSの両方について使用され得る。さらに、上記エッチングプロセスは、上記チップを鋭くし、上記キャピラリーを1工程で多孔性にするので、以前の設計の別個のチップを鋭くする工程を排除する。最後に、上記多孔性セクションの長さが長い(約1インチ)ことから、上記出口チップがふさがれるかまたは損傷される場合、そのうちの小さなセクション(約1mm)は、上記接続性能を何ら失うことなく、HFを使用して、切断もしくはエッチングされ得るので、その有用な寿命を延長させる。上記多孔性チップのより長いセクション(約0.5〜1インチ)は、同じ壁厚を有する(図1)ので、そのうちの小さなセクション(合計約1cmに関して、各回で約1mm)を除去することは、その性能に影響を及ぼさない。これらの利点に加えて、上記キャピラリーの内壁は無傷のままであり、上記多孔性チップ設計と関連したデッドボリュームが存在しない。このことは、CE分離からの最良の分離能を確実にするのに対して、大部分の設計は、ピークの拡がりをもたらすデッドボリュームを有する。さらに、実際の金属/液体接触は、上記キャピラリーの外側に存在するので、高電圧電極における水の酸化還元反応に起因する泡の形成は、分離にもMS性能にも影響を及ぼさない。上記多孔性チップ設計のチップはガラスであるので、上記多孔性チップが、キャピラリー耐久性を低下させ得るアーク形成(arcing)の危険性を増大させる理由は存在しない。この接続の性能は、アミノ酸、ペプチド、およびタンパク質混合物の分析によって実証される。
【0011】
本開示は、種々の改変および代替形態の影響を受けるが、特定の例示的実施形態は、図面に示されており、本明細書に詳細に記載される。しかし、特定の例示的実施形態の説明は、本発明を開示される特定の形態に限定することを意図しないが、対照的に、本開示は、添付の特許請求の範囲によって一部は示されるすべての改変および等価物を網羅することが理解されるべきである。
【0012】
本開示のいくつかの特定の例示的実施形態は、一部は、以下の説明および添付の図面を参照することによって理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、走査型電子顕微鏡を使用する、キャピラリーの多孔性チップの電顕写真である。
【図2】図2は、新鮮な49% HF溶液中でエッチングされた、20μm内径キャピラリーの平均エッチング速度のグラフである。
【図3】図3は、多孔性チップの模式図である。
【図4】図4(上)は、ペプチド標準物質(110cm長のキャピラリー):1)酸化−YGGFM、2)YGGFM、3)YGGFL、4)VYV、5)DRVYIHPFの基本ピーククロマトグラムであり、(下)は、図4(上)におけるピーク1の質量スペクトルである。
【図5】図5(上)は、17アミノ酸標準物質の基本ピーク電気泳動図であり、(下)は、グルタミン−クラウンエーテル複合体を表すピークの質量スペクトルである。
【図6】図6は、6つのタンパク質標準物質の基本ピーク電気泳動図(acetropherogram)である(上):1)タンパク質フラグメントピーク,8,297MW、2)Hem−A−β−サブユニット、3)タンパク質フラグメントピーク,8,562MW、4)トリプシノーゲン、5)炭酸脱水素酵素、6)Hem−A−α−サブユニット、および7)シトクローム(cytoclarome)cの質量スペクトル(下)。
【図7】図7は、以下を含む6つのタンパク質消化物の基本ピーク電気泳動図である:ヘモグロビンA(MW64,000)、トリプシノーゲン(MW24,000)、炭酸脱水素酵素(carbonic anliydrase)(MW29,000)、シトクロームc(cytochroine c)(MW12,360)、α−カゼイン(MW23,000)、およびβ−カゼイン(MW24,000)(上)。下のグラフは、*で印を付けたピークの質量スペクトルを示す。
【図8】図8は、33nM PB(パネルA)または33nM PE(パネルB)を含むBGEを使用し、そして1点較正を使用する、上記ペプチド標準物質の分析の実行間、日にち間、および長期(キャピラリー間)の再現性である。
【図9】図9は、(CE−MS−MS)の電気泳動図であり[6]、ここで6つのタンパク質混合物の消化物を、10分間ごとに注入し、続いて、動的排除(dynamic exclusion)を使用するCE−MS−MS分析を行った。
【図10】図10(上)は、流速1μm/分で75μm内径(内径)LCカラムを使用して、エノラーゼ消化物のベースピークナノ−LC−MSクロマトグラムであり、(下)は、上のパネルのピーク#3の質量スペクトルである。
【図11】図11は、ポリE_323(PE)およびポリブレン(PB)の分子構造である。
【図12】図12は、(1)β−ラクトグロビン(ウシ)、(2)ミオグロビン(ウマ)、(3)ヘモグロビン−α(ヒト)、(4)ヘモグロビン−β(ヒト)、(5)リゾチーム(ニワトリ)、および(6)シトクロームc(ウマ)を含む6つのインタクトなタンパク質混合物のCE−MS分析のためのセルフコーティングBGE(self−coating BGE)として、0.1% 酢酸中の33nM PB(A)および0.1% 酢酸中の33nM PE(B)の比較である。挿入図は、パネルAおよびパネルBの平均(1分を超える)バックグラウンド質量スペクトルを示す。
【図13】図13は、(A)コーティングしていないキャピラリーでの0.1% 酢酸BGE、(B)PB予備コーティングキャピラリーでの0.1% 酢酸、(C)コーティングしていないキャピラリーでの0.1% 酢酸中の660fmol PB添加物、(D)PE予備コーティングキャピラリーでの0.1% 酢酸、(E)コーティングされていないキャピラリーでの0.1% 酢酸中の660fmol PE 添加物を使用して、図3からの電気泳動図の平均バックグラウンド質量スペクトル(2〜3分)である。
【図14】図14は、33nM PB(パネルA1)およびPE(パネルB1)を使用する、上記6つのタンパク質消化物のストック溶液および10×希釈タンパク質消化物(パネルA2およびパネルB2)のCE−MS分析の比較である。挿入図は、これらパネルのm/z 737(ラットホスホリラーゼbのプロトン化KEFGVER)のイオン電気泳動図および4つの異なる実験条件下でのこのピークの分離効率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、種々の改変および代替形態の影響を受けるが、特定の例示的実施形態は、図面に示されており、本明細書に詳細に記載される。しかし、特定の例示的実施形態の説明は、本発明を開示される特定の形態に限定することを意図しないが、対照的に、本開示は、添付の特許請求の範囲によって一部は示されるすべての改変および等価物を網羅することが理解されるべきである。
【0015】
(説明)
本開示は、とりわけ、低フロー分離技術(例えば、キャピラリー電気泳動およびナノHPLC)を質量分析に、エレクトロスプレーイオン化を介して接続するためのアプローチを提供する。より具体的には、本開示は、低フロー分離技術、ならびにこのようなキャピラリーカラムを使用する方法およびシステムを接続するために有用な、多孔性セグメント、または多孔性チップを有するキャピラリーカラムに関する。
【0016】
本開示はまた、上記キャピラリーカラムの末端に少なくとも1つの多孔性セグメントを含むキャピラリーカラムを提供し、ここで上記少なくとも1つの多孔性セグメントは、上記セグメントを、酸の溶液、塩基の溶液、および機械的ツールのうちの1つ以上に曝す工程によって作り出される。このようなキャピラリーカラム(多孔性チップを有する)は、上記キャピラリー出口に電気的接続を提供することによって、低フロー分離技術を接続するために使用され得る。本開示のキャピラリーカラムは、例えば、エレクトロンスプレーイオン化(ESI)、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ナノ−LC、および質量分析(MS)を使用する分離技術において使用され得る。さらに、本開示のキャピラリーカラムは、長い注入のために分析物が満たされ得るナノスプレーチップとして使用され得る。1つより多い多孔性セグメントは、キャピラリー上に取り付けられ得る。例えば、第2の多孔性セグメントは、サンプル濃度のための入り口において作製され得るか、または本発明者らの以前の刊行物[23]によって示されるように、上記キャピラリーにおける電圧を劇的に変化させるために中心にある別の入り口において作製され得る。
【0017】
本開示はまた、多孔性セグメント、またはチップを形成するための方法を提供し、この方法は、壁と、キャピラリーカラムの末端においてセグメントとを含むキャピラリーカラムを提供する工程、および上記キャピラリーカラムの末端において多孔性セグメントを作り出す工程を包含する。一般に、上記多孔性セクションは、酸の溶液、塩基の溶液、および機械的ツールを使用して、多孔性になるまで上記先端をエッチングすることによって作り出される。酸溶液または塩基溶液を使用する場合、エッチング時間は、上記酸溶液もしくは塩基溶液の濃度に依存し得る。例えば、より高い濃度は、より短いエッチング時間に対応し、その逆も同様である。いくつかの場合において、上記キャピラリーカラム壁は、ポリマーコーティング(例えば、ポリイミド)を含み、このポリマーコーティングは、上記チップをエッチングする前に少なくとも部分的に除去され得る。
【0018】
一実施形態において、上記キャピラリーは、上記キャピラリー出口の約1インチのポリイミドコーティングを除去する工程、および上記キャピラリー出口を多孔性になるまで49% HFの溶液に浸漬することによってエッチングする工程によって作製される。所定のキャピラリー外径および内径については、上記エッチング時間は、新鮮なHF溶液が各時間に使用される限りにおいて、一定である。例えば、上記エッチング時間は、150μm外径および20μm内径を有するキャピラリーについては、約30分間である。いくつかの場合において、上記チップのわずかな部分が、エッチングされ得る。本開示の方法は、同時にいくつかのキャピラリーを生成するために使用され得る。上記エッチングプロセスはまた、安定なエレクトロスプレーイオン化のために、上記キャピラリー出口のチップを鋭くする。上記電気的接続は、単純に、上記多孔性チップを含む上記キャピラリー出口を既存のESIニードル(シース金属)に挿入する工程、および伝導性溶液(バックグラウンド電解質−BGE)を上記ニードルに満たす工程によって達成される。
【0019】
上記ESIニードルは、電圧が上記BGEに印加されるように、任意の伝導性金属(例えば、ステンレス鋼、白金、金など)から作製され得るか、またはそれは、金属接続を有する非伝導性チューブであり得る。BGEの適切な例としては、水、酸溶液、または塩基溶液(例えば、0.1%の酢酸溶液もしくはギ酸溶液、または酢酸アンモニウム溶液)が挙げられるが、これらに限定されない。BGEのpHおよび濃度は、EOFに影響を及ぼし得るが、圧力支援CEは、上記CEキャピラリーにおけるBGE流速を、分離効率を大きく喪失することなく、改変するために使用され得る。添加物はまた、上記BGE(例えば、ポリブレンもしくはPoly 323)中に含まれ得る。上記シース金属における電気化学的(酸化還元)反応および上記多孔性チップを介した、上記キャピラリーへの小さなイオンの移動は、上記ESIおよび上記CE出口電極についての電気的接続を提供する。この設計は、広い範囲の流速で、すべてのキャピラリーサイズを、ESIを介してMSに接続するのに適しているが、狭い(30μm<内径)キャピラリーおよび低流速(<100nL/分)(例えば、ナノ−液体クロマトグラフィー−質量分析(nLC−MS)もしくはキャピラリー電気泳動(CE−MS)において使用されるもの)を接続するために特に有用である。CE−MSについてのCE流速は、通常、約1〜100nL/分の範囲にある。スプレー安定性は、上記内径および上記CE−出口/ESIチップの壁厚に依存する。より低い流速は、より狭いキャピラリーおよびより鋭いチップを必要とする。例えば、約10μm内径のCEキャピラリーは、約10nL/分未満などの流速のために使用される。
【0020】
特定の実施形態によれば、本開示は、壁と、上記キャピラリーの末端において少なくとも1つの多孔性セグメントとを含むキャピラリーカラム、ならびに電気泳動機器、高速液体クロマトグラフィー機器、および質量分析機器から選択される1つ以上の機器を含むシステムを提供し、ここで上記少なくとも1つの多孔性セグメントは、上記セグメントを、酸の溶液、塩基の溶液、および機械的ツールのうちの1つ以上に曝す工程によって形成され、ここで上記多孔性セグメントは、上記キャピラリーカラムと上記機器との間の境界として機能する。
【0021】
特定の実施形態によれば、本開示は、化学的サンプルもしくは生物学的サンプルを化学的に分析するための方法を提供し、この方法は、壁と、キャピラリーカラムの末端において少なくとも1つの多孔性セグメントとを含む、キャピラリーカラムを提供する工程;上記キャピラリーカラムと操作可能な関連にある質量分析計を提供する工程;上記質量分析計を、上記少なくとも1つの多孔性セグメントと、上記キャピラリーカラムの末端において接続する工程;上記化学的サンプルもしくは生物学的サンプルを含む混合物を、上記キャピラリーカラムに注入する工程;上記混合物の少なくとも一部を、上記質量分析計に移動させる工程;ならびに上記一部を、上記質量分析計で分析して、上記一部において、上記化学的サンプルもしくは生物学的サンプルの組成を同定する工程を包含する。上記多孔性チップのさらに別の適用は、マトリクス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)とともに使用することである。この場合において、上記キャピラリーの出口は、上記多孔性チップを介して接地(ground)され、そしてCE溶出液は、MS分析のために、MALDIプレート上に沈着される。
【0022】
本発明のよりよい理解を容易にするために、以下の特定の実施形態の例が与えられる。以下の実施例は、本発明の範囲全体を限定するとも定義するとも、決して読み取られない。
【実施例】
【0023】
(材料および装置)
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等級水および49% HFは、Fischer Scientific,Pittsburgh,PAから市販されている。使用されるすべての他の化学物質は、Sigma Chemical Co.,St.Louis,MOから市販されている。Sigma HPLCペプチド標準物質は、5種のペプチドを含んでいる:GY(MW238)、VYV(MW379)、YGGFL(ロイシン−エンケファリン,MW555)、YGGFM(メチオニン−エンケファリン,MW 573)、およびDRVYIHPF(アンギオテンシンII,MW1046)。バイアルの中身(0.5mgの各ペプチド)を、1mLのHPLC等級水(Fischer)中に溶解した。アミノ酸標準試験において、5×希釈の17アミノ酸標準物質(0.1N HCl中2.5μモル/mL、1.25μモル/mLのL−シスチンを除く)を使用した。上記タンパク質標準物質は、以下のタンパク質の10×希釈物を含んでいた:ヘモグロビンA(MW64,000)、トリプシノーゲン(MW24,000)、炭酸脱水素酵素(MW29,000)、およびシトクロームc(MW12,360)。各々を、10×希釈の下で試験した。上記タンパク質消化物は、以下を含んでいた:ヘモグロビンA(MW64,000)、トリプシノーゲン(MW24,000)、炭酸脱水素酵素(MW29,000)、シトクロームc(MW12,360)、α−カゼイン(MW23,000)、およびβ−カゼイン(MW24,000)。それらを、Takada[24]によって公開された方法に従って消化した。
【0024】
P/ACEシステム MDQ CE機器(Beckman−Coulter Instruments,Fullerton,CA)を、Finnigan LCQ MS(Finnigan,San Jose,CA)とともに使用した。上記質量分析計を、上記ペプチド標準物質の分析については375〜600の質量/電荷(m/z)範囲で、AAI18−C−6−TCA複合体については515〜700で、上記タンパク質標準物質については700〜2000で、そして上記複雑なタンパク質消化物については500〜1500で走査した。
【0025】
上記ペプチド混合物、上記タンパク質消化物、および上記タンパク質混合物の分析のために、上記CE入り口電極は、−30kV(逆極性モード)であり、ESI電圧は、約1.4kVであった。0.1% 酢酸中の0.1% ポリブレンの溶液を、バックグラウンド電解質として使用する。アミノ酸混合物の分析のために、上記CE入り口電極は、−20kVで維持した。15mM 18−クラウン−6−テトラカルボン酸(1M ギ酸中)の溶液を、アミノ酸の検出感度を高めるために、複合体化試薬として使用した[25]。
【0026】
異なる20μm内径および150μm外径の、溶融シリカキャピラリー(Polymicro Technologies,Phoenix,AZ)(60cm〜120cmの長さで変動する)を、実験全体を通じて使用した。上記キャピラリーの出口を多孔性にし、内壁エッチングを最小にするために、Nガスをキャピラリーに通過させながら、49% HFを使用して鋭くした。上記キャピラリー壁上のHFを、重炭酸アンモニウムの飽和溶液によって、連続して、上記キャピラリーの上記出口(エッチングした部分)を最初に、上記重炭酸アンモニウム溶液の中に浸漬し、次いで、蒸留水の中に浸漬することによって(両方ともフード下で)、中和した。次いで、上記キャピラリーを、フード下で除去し、蛇口から蒸留水ですすいだ。ニトリル手袋を、上記プロセスの間に装着し、各々の使用後に廃棄した。
【0027】
(多孔性チップ設計の製造)
本発明の実施への第1の変形(reduction)において、2つのキャピラリーを、同時に多孔性にした。上記製造手順は、以下のとおりであった。上記キャピラリー出口をHF溶液によってエッチングする前に、上記キャピラリー出口のポリイミドコーティングの約1インチを、炎を用いて除去した。ポリイミドコーティングを除去する他の方法(例えば、硫酸を使用する)を使用してもよい。次いで、上記キャピラリーの露出した溶融シリカ部分を、新鮮なHF溶液を含むテフロン(登録商標)容器の中に浸漬した。窒素ガスを、上記キャピラリーの中に導入して、エッチングプロセスの間の上記キャピラリー内壁のエッチングを妨げた。上記テフロン(登録商標)容器を、壁面換気フードの中に置いた。各キャピラリー外径および内径については、上記エッチング時間を、新鮮なHF溶液中で溶融シリカのエッチング速度を最初に測定することによって、経験的に決定した。これは、連続エッチング時間間隔(約5分ごと)後のキャピラリー外径を測定し、上記キャピラリー出口を多孔性について試験することによって達成した。上記多孔性を、上記キャピラリーチップを、ベンチ上のエレクトロスプレー装置の中に設置し、ESTのために上記多孔性チップを試験することによってチェックした。上記キャピラリーを出る酢酸の0.1%溶液を、2kV未満でスプレーした場合、上記チップは多孔性であった。上記溶融シリカ材料を、約1.8μm/分の平均速度でエッチングすることを見いだした(図2)。上記キャピラリーは、上記キャピラリーの壁厚が約5μmに近づいた場合に多孔性になった。例えば、名目上150μm外径、20μm内径のキャピラリーは、49% 新鮮HF溶液中で、約28.5分間で多孔性になった。[約150〜20(ポリイミドコーティングについて)=約130〜20(内径について)=約110/2=55=壁厚]。その短いエッチング時間、およびその良好な熱伝導性が原因で、150μm外径は、CE−MS分析のための選択されるキャピラリーであり、この研究において使用した。しかし、他のキャピラリー外径および内径もまた、利用される。例えば、360μm外径のキャピラリーは、より良好な機械的耐久性を提供するが、約82分間のエッチング時間が、30μm内径のキャピラリーのために必要とされる。図3は、多孔性チップ設計の全体の模式図を示す。
【0028】
(性能結果)
以前のCE−MS研究に基づいて、上記Sigma HPLCペプチド混合物は、CE−ESI−MS性能全体を試験するのに適した標準物質である。上記試験混合物の成分のベースライン分離は、種々の混合物の分析のための、上記キャピラリーの十分な性能を示す。図4は、上記ペプチド標準物質の基本ピーク電気泳動図を示す。ペプチド標準物質の分析において、GYは、走査した質量範囲において検出されなかった。アンギオテンシンIIは、二倍に荷電した化合物として認められた(m/z 524)。そしてメチオニン−エンケファリンは、酸化状態で認められた(m/z 590)。示されるように、大部分のペプチドの半値幅(FWHM)は、約5sである。
【0029】
ギ酸の1M溶液がBGEの主要成分であるアミノ酸分析のための上記多孔性チップの有用性を試験するために、17アミノ酸を含むアミノ酸標準物質のCE−MSを分析した。図5は、上記17アミノ酸標準物質の基本ピーク電気泳動図を示す。システインは、上記クロマトグラムで認められなかった唯一のアミノ酸であったとともに、メチオニンおよびプロリンは、同時に移動した。システインは、通常、ダイマーとして分離し(comes off)、これは、18−C−6と複合体化した場合に、走査された質量範囲から外れる(fall out)。示されるように、アミノ酸のベースライン分離が観察され、このことは、低分子(例えば、アミノ酸)の分析についての多孔性チップの可能性を示す[25]。
【0030】
タンパク質混合物およびタンパク質混合物の消化物、インタクトなタンパク質の混合物および6種のタンパク質の混合物のトリプシン消化から得られたペプチド混合物の分析についての上記多孔性チップ設計の性能を、分析した。図6は、最小のピークの拡がりを観察すると同時に、5回のタンパク質混合物注入から得た基本ピーク電気泳動図、および既知の化合物の良好なピーク分離を示す。図7は、6種のタンパク質の混合物のトリプシン消化から得た基本ピーク電気泳動図を示す。スループットを増大させるために、60cm長のキャピラリーを使用した。このことによって、上記タンパク質混合物および上記タンパク質混合物の消化物について、それぞれ、約12分および約8分の分析時間を生じた。ほぼ完全なベースライン分離が、両方の場合において達成された。
【0031】
上記多孔性チップは非常に強く、そして数週間にわたって持ちこたえることができ(図8)、かつ再現性がある。例えば、図9は、(CE−MS−MS)の電気泳動図を示し[6]、ここで6種のタンパク質の混合物の消化物を10分ごとに注入し、続いて、動的排除を使用するCE−MS−MS分析を行った。近年、(CE−MS−MS)を、高性能配列網羅プロテオミクス(high sequence coverage proteomics)[26]のために導入した。上記多孔性チップは、CEをMSに容易に接続することを可能にし得る。
【0032】
(多孔性チップのnLC−MSへの適用)
より高フロー分離技術を接続するための(例えば、ナノ−LCからMSへ)上記多孔性チップの有用性を実証するために、多孔性チップを有する、60cm長さの20μm内径のキャピラリーを、Peek micro−unionを使用して、ナノ−LC C18カラムに接続した。図3の挿入図は、流速250nL/分(小さな吹き出し)および流速1μL/分での2つのESIの吹き出し(plume)を示す。示されるように、均一なスプレーが、いかなる空気の補助もなしに、両方の場合で観察された。鋭いチップ、良好な電気的接続、および最小の泡の形成が、多孔性チップ設計の下での、上記エレクトロスプレー吹き出しの均一性の主な理由である。上記多孔性チップの別の利点は、上記入り口および出口の内径が同じであることである。このことは、チップの詰まりの可能性を低下させる。なぜなら、上記多孔性チップキャピラリーに入る任意の粒状物が、上記キャピラリーの他方の末端から出るからである。対照的に、牽引式チップ(pulled tip)を使用するナノ−スプレー境界の使用は、上記チップ開口部より大きな直径を有する粒子を捕捉し得る。なぜなら、それらのチップは、通常は、10μm内径未満に作製されるからである。上記チップが鋭いことだけで、チップの詰まりは、上記スプレーチップおよび分析の喪失を生じる。上記多孔性チップは、約1インチにわたって類似の外径および内径を有するので、上記チップに対する任意の損傷は、上記チップの約1mmを切断することによって、修理され得る。
【0033】
タンパク質同定のための上記多孔性チップの適用は、図10において実証される。ここで消化した酵母エノラーゼを、FTICR MSとともにnLCを使用して分析した。図10は、流速1μm/分で75μmカラムを使用する上記エノラーゼ消化物のベースピーククロマトグラムを示す。デュアルノズル、デュアルスプレーをこの実験において使用したので、すべてのスペクトルにおいていくつかの参照ピークがあった[27,28]。これら参照ピークを、各スペクトルの内部較正のために使用した。大部分のペプチドm/zにおいて1ppm未満の質量正確性を生じる。例えば、図10(下)は、図10(上)のピーク番号3の質量スペクトルを示す。ここで、上記質量スペクトルは、2つの参照ピークを括弧にいれて1つのペプチドのm/zを含む[29]。上位10個の強いペプチドピークの正確な質量を、以下の表1に列挙する。
【0034】
【表1】

(バックグラウンド電解質−BGE)
CE-MS操作を簡易にするために、ポリマー添加物を含むBGEを導入し得、このBGEは、いかなる予備処置もなしで、誘導体化されていない溶融シリカキャピラリーにおいてペプチドおよびタンパク質混合物の分析を可能にし、スループットを増大させる。適切なBGEの例としては、ポリブレン(PB)およびポリE(PE)が挙げられる。
【0035】
ポリブレン(PB)およびポリE 323(PE)は、溶融シリカキャピラリーの負に荷電した壁に非共有結合的に結合することができるカチオン性ポリマーである。新たに作り出された表面の過剰の正電荷は、4〜8のpH範囲内のpHとは無関係である安定なアノードのEOFを生成する。PBおよびPE両方の分子構造は、図11に示される。PEの構造は、故意に、混合された結合特性を含むように構築される。例えば、PEの骨格中の窒素原子は、3つの原子の長さだけ分離しているのに対して、PB中の窒素原子は、6個の炭素原子だけ分離されている。上記骨格中の窒素原子間のスペーサーアームの長さは、上記ポリマーの可撓性、および疎水性に影響を及ぼしうる。また、PE中のヒドロキシル基は、水素結合によってキャピラリー壁上のポリマー固定化を増大させる[30−32]。PBおよびPEは、上記キャピラリー壁上の電荷を逆転させることにおいて非常に有効である。このことは、上記キャピラリー壁へのペプチドおよびタンパク質結合を妨げ、それによって、分離効率を顕著に改善する(図12)。CE/ESI-MSにおいて有用であるために、目的の分析物に対する添加物試薬の抑制的影響は、些細でなければならない。PEおよびPBは、このような特性を有する。すなわち、これらは、顕著なバックグラウンドシグナルを生じず(図13)、エレクトロスプレーイオン化の下で上記タンパク質およびペプチドのシグナルを顕著に抑制せず(図14)、それによって、ペプチドおよびタンパク質混合物のCE-MS分析のために使用される一般のBGEに対する添加物として使用することを可能にする。さらに、上記溶融シリカキャピラリー内壁は、連続して、上記ポリマー添加物でコーティングされるので、上記キャピラリー内壁コーティングの分解に起因して、CE-MS下での移動再現不能性が最小にされる。検出の高感度、移動再現性、および製造しやすさは、長い分析時間を要するCE-MS分析(例えば、(CE-MS/MS)n)が容易に行われるのを可能にする。近年において、本発明者らは、複雑なタンパク質消化物およびインタクトなタンパク質の分析のためのこれらバックグラウンド電解質の有用性を示した[32]。
【0036】
ポリブレンは、Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO)から購入した。ポリE 323ポリマーは、報告された手順に従って調製した[30]。簡潔には、ポリE 323ポリマーのストック溶液を、0.1molの1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと20mLの水および0.1molのエピクロロヒドリンを合わせることによって合成した。次いで、この混合物を、48時間攪拌し、その後、8℃で保存する前にさらに精製することなく、さらに100mLの水を添加した。ポリブレンのストック溶液(hexadimethrine bromide,平均MW=15,000)を、100mLのHPLC等級水中で5mgのポリブレンを混合することによって作製した(3.3_M)。33nM、66nM、330nM、および660nMの最終濃度にまで、この容器のアリコートを0.1% 酢酸で希釈した。
【0037】
本発明の広い範囲を記載している上記数値範囲およびパラメーターが近似値であるにも拘わらず、上記具体的実施例を記載する数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、任意の数値は、それらそれぞれの試験測定値において見いだされる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0038】
従って、本発明は、言及される目的および利点、ならびにそこで本質的であるものを達成するように十分に適合される。多くの変更が、当業者によって行われうるが、このような変更は、添付の特許請求の範囲によって一部は例示されるような本発明の趣旨内に包含される。
【0039】
参考文献
【0040】
【化1】

【0041】
【化2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性セグメントを形成するための方法であって、該方法は、
壁と、キャピラリーカラムの末端においてセグメントとを含む、キャピラリーカラムを提供する工程;および
該キャピラリーカラムの該末端において多孔性セグメントを作り出す工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記壁は、コーティングを含み、そして前記方法は、多孔性セグメントを作り出す工程の前に、該コーティングの部分を除去する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多孔性セグメントは、該セグメントを、酸の溶液、塩基の溶液、および機械的ツールのうちの1つ以上に曝す工程によって作り出される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
キャピラリーカラムであって、該キャピラリーカラムは、
該キャピラリーカラムの末端において少なくとも1つの多孔性セグメント
を含み、ここで該少なくとも1つの多孔性セグメントは、該セグメントを、酸の溶液、塩基の溶液、および機械的ツールのうちの1つ以上に曝す工程によって作り出される、キャピラリーカラム。
【請求項5】
前記キャピラリーカラムは、ポリマーコーティングを含む壁を含む、請求項4に記載のキャピラリーカラム。
【請求項6】
前記キャピラリーカラムは、ポリマーコーティングを含む壁を含み、そして該ポリマーコーティングの少なくとも一部は、前記セグメントを、酸の溶液もしくは塩基の溶液、または機械的ツールに曝す前に除去される、請求項4に記載のキャピラリーカラム。
【請求項7】
伝導性溶液をさらに含む、請求項4に記載のキャピラリーカラム。
【請求項8】
伝導性溶液をさらに含み、ここで該伝導性溶液は、1種以上のカチオン性ポリマーを含む、請求項4に記載のキャピラリーカラム。
【請求項9】
伝導性溶液をさらに含み、ここで該伝導性溶液は、ポリブレンもしくはポリE 323、または両方を含む、請求項4に記載のキャピラリーカラム。
【請求項10】
システムであって、該システムは、
壁と、キャピラリーカラムの末端において少なくとも1つの多孔性セグメントとを含む、キャピラリーカラムであって、ここで該少なくとも1つの多孔性セグメントは、該セグメントを、酸の溶液、塩基の溶液、および機械的ツールのうちの1つ以上に曝す工程によって形成される、キャピラリーカラム;ならびに
電気泳動機器、高速液体クロマトグラフィー機器、および質量分析機器から選択される1種以上の機器であって、ここで該多孔性セグメントは、該キャピラリーカラムと該機器との間の境界として機能する、機器、
を含む、システム。
【請求項11】
化学的サンプルもしくは生物学的サンプルを化学的に分析するための方法であって、該方法は、
壁と、キャピラリーカラムの末端において少なくとも1つの多孔性セグメントとを含む、キャピラリーカラムを提供する工程であって、ここで該少なくとも1つの多孔性セグメントは、該セグメントを、酸の溶液、塩基の溶液、および機械的ツールのうちの1つ以上に曝す工程によって形成される、工程;
該キャピラリーカラムと操作可能な関連にある質量分析計を提供する工程;
該質量分析計を、該少なくとも1つの多孔性セグメントと、該キャピラリーカラムの末端において接続する工程;
該化学的サンプルもしくは生物学的サンプルを含む混合物を、該キャピラリーカラムに注入する工程;
該混合物の少なくとも一部を、該質量分析計に移動させる工程;ならびに
該一部を、該質量分析計で分析して、該一部において、該化学的サンプルもしくは生物学的サンプルの組成を同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項12】
前記キャピラリーカラムを、前記混合物を注入する工程の前に、緩衝液で予め調節する工程、
をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
金属シースを提供する工程;
壁と、前記キャピラリーカラムの末端において少なくとも1つの多孔性セグメントとを有する該キャピラリーカラムを、該金属シースもしくは伝導性溶液を含む容器に挿入する工程であって、前記質量分析計を該キャピラリーカラムの末端における該少なくとも1つの多孔性セグメントと接続する工程の前に、該容器に、電圧が印加される、工程;ならびに
該金属シースに、伝導性溶液を充填する工程、
をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
キャピラリー電気泳動溶出液を、マトリクス支援レーザー脱離イオン化プレート上に沈着させるための方法であって、該方法は、
キャピラリーカラム内で沈着されるキャピラリー電気泳動溶出液を提供する工程であって、該キャピラリーカラムは、壁と、該キャピラリーカラムの末端において少なくとも1つの多孔性セグメントとを含み、ここで該少なくとも1つの多孔性セグメントは、該セグメントを、酸の溶液、塩基の溶液、および機械的ツールのうちの1つ以上に曝す工程によって形成される、工程;
該キャピラリーカラムを、該多孔性先端を通して接地する工程;ならびに
該キャピラリー電気泳動溶出液を、マトリクス支援レーザー脱離イオン化プレートに沈着させる工程、
を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−515923(P2010−515923A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545723(P2009−545723)
【出願日】平成20年1月14日(2008.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/051003
【国際公開番号】WO2008/089143
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(591217403)ボード オブ リージェンツ, ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム (49)
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【Fターム(参考)】