説明

接続構造、接続方法および電子機器

【課題】防水機能を確保しつつ、機械的および電気的な接続の接続構造のサイズの増大を抑制する。
【解決手段】
接続構造は、収容室15を有する第1の部材10と、収容室15を覆うように第1の部材10に取り付け可能な第2の部材20とを備えている。第1の部材10は、第1の係合部11と第1の端子12とを有する。第2の部材20は、第1の係合部11と係合する第2の係合部21と、第1の端子12と電気的に接続される第2の端子22と、を有する。第1の部材10および第2の部材20は、第2の部材20が第1の部材10に取り付けられたときに収容室15を含む防水エリアを形成する。第2の係合部21と第2の端子22とは防水エリアの境界に沿って並んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材を機械的および電気的に接続する接続構造および接続方法と、当該接続構造を備えた電子機器とに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯型の電子機器は、筺体に収容される電池を覆うカバーを備えている。カバーは、筺体に対して着脱自在に構成される。このような電子機器が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1には、外部機器と電磁界信号を介して通信するRFID(Radio Frequency Identification)を搭載した携帯電子機器が開示されている。この携帯電子機器は、機器ケースの電池収納用開口部に取り付けられる電池カバーを備えている。この携帯電子機器では、電池カバーにアンテナが実装されている。電池カバーが機器ケースに取り付けられたとき、機器ケース内に実装された回路と電池カバーに実装したアンテナとが、アンテナの端子に弾接する接点を介して接続される。
【0004】
また、筺体に収容されるバッテリーを覆うカバーを備えた電子機器として、無接点充電式のものがある。カバーには、充電器によって発生した変動磁場を受けて誘導起電力を生じるコイルが設けられている。このような電子機器では、外部の充電器と電子機器との間で接点がなく、充電器の上に電子機器を置くだけで充電ができる。そのため、充電器と電子機器とを接触させて充電する場合に生じる、接点の耐久性、接点不良、短絡および水分による漏電などの虞が解消される。さらに、無接点充電では、1つの充電器で異なる電子機器、例えば携帯電話、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ(PC)などの充電をすることもできるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−54113号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
筺体とカバーの機械的な接続とともに電気的な接続を実現しようとすると、接続構造が複雑化してサイズの増大を招くことがある。接続構造のサイズが大きくなると、電子機器全体のサイズが大きくなるという課題がある。
【0007】
特に、カバーで覆われる収容室内に置かれた電気部品やカバーと筺体との間の電気的接点を防水エリア内に配置する必要がある。電子機器におけるカバーは防水性能における信頼性の低下やコストアップ等の観点から防水エリアが最小限に設定されることが多い。電気的な接点は防水エリア内に配置する必要があるため、電気的な接点の配置や形状に応じて防水エリアを拡大する必要があり、その結果、接続構造のサイズが大きくなることがある。
【0008】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、防水機能を確保しつつ接続構造のサイズの増大を抑制することができる接続構造を提供することにある。また、このような接続構造を備えた電子機器や、このような接続構造を用いた接続方法も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の接続構造は、第1の部材と第2の部材を機械的かつ電気的に接続する接続構造に関する。一形態に係る接続構造は、収容室を有する第1の部材と、収容室を覆うように第1の部材に取り付け可能な第2の部材とを備えている。第1の部材は、第1の係合部と第1の端子とを有する。第2の部材は、第1の係合部と係合する第2の係合部と、第1の端子と電気的に接続される第2の端子と、を有する。第1の部材および第2の部材は、第2の部材が第1の部材に取り付けられたときに収容室を含む防水エリアを形成する。第2の係合部と第2の端子とは防水エリアの境界に沿って並んでいる。
【0010】
本発明の一形態に係る電子機器は、上記接続構造を備えており、上記第1の部材が電子部品を有する筺体であり、上記第2の部材が筺体に着脱可能なカバーである。また、本発明の一形態に係る接続方法は、上記接続構造を用いて、第1の部材に第2の部材を接続するステップを有する。
【発明の効果】
【0011】
接続構造のサイズの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の電子機器の筺体の概略平面図である。
【図2】第1の実施形態の電子機器のカバーの概略斜視図である。
【図3】筺体にカバーを装着する様子を示す概略斜視図である。
【図4】筺体にカバーが装着された状態の第1の実施形態の電子機器を示す概略平面図である。
【図5】図4の5A−5A線に沿った断面図である。
【図6】第2の実施形態の電子機器において、筺体にカバーを装着する様子を示す概略斜視図である。
【図7】(a)は筺体にカバーが装着された状態の第2の実施形態の電子機器を示す概略平面図であり、(b)は(a)の7B−7B線に沿った断面図である。
【図8】図7の領域8Aにおける拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。下記実施形態では、筺体およびカバーを備えた電子機器を例に挙げて説明するが、本発明の接続構造は、収容室を有する第1の部材と、収容室を覆うように第1の部材に取り付け可能な第2の部材と、を備え、第1の部材と第2の部材を機械的かつ電気的に接続する接続構造全般に適用できる。本発明は、例えば、携帯電話機、デジタルカメラおよびPCなどに適用できる。
【0014】
図1は、第1の実施形態における電子機器の筺体(第1の部材)10の概略平面図である。図2は、第1の実施形態における電子機器のカバー(第2の部材)20の概略斜視図である。図3は筺体10にカバー20を装着する様子を示す概略斜視図である。図4は、筺体10にカバー20が装着された状態の電子機器を示す概略平面図である。図5は、図4の5A−5A線に沿った断面図である。
【0015】
電子機器は、筺体10とカバー20を機械的かつ電気的に接続する接続構造を有する。当該接続構造は、収容室15を有する筺体10と、収容室15を覆うように筺体10に取り付け可能なカバー20とを備えている。筺体10は、第1の係合部11と第1の端子12とを有する。本実施形態では、第1の端子12は、筺体10に形成された穴部14内に設けられている。
【0016】
カバー20は、第1の係合部11と係合する第2の係合部21と、第1の端子12と電気的に接続される第2の端子22と、を有する。第2の係合部21と第2の端子22とはカバー20の縁に沿って並んでいる。
【0017】
図に示す例では、第2の端子21は第1の端子11と電気的に接続される突出した爪を有している。筺体10に形成された穴部14は第2の端子22を受け入れ可能な大きさとなっている。
【0018】
カバー20が筺体10に取り付ける際、第1の係合部11と第2の係合部21とが係合して、筺体10とカバー20とが機械的に接続される。このとき、第1の端子12と第2の端子22とが接続されて電気的にも接続されることになる。
【0019】
筺体10およびカバー20は、カバー20が筺体10に取り付けられたときに収容室15を含む防水エリアを形成する。第2の係合部21と第2の端子22とはこの防水エリアの境界に沿って並んでいる。これに合わせて、筺体10の第1の係合部11と第1の端子12も防水エリアの境界に沿って並ぶ。
【0020】
このように、機械的な接続に寄与する係合部11,21と、電気的な接続に寄与する端子12,22とが防水エリアの境界に配置されているため、防水エリアの拡大を防止することができる。その結果、接続構造のサイズの増大を抑制することができ、電子機器のサイズの増大を抑えることができる。
【0021】
本実施形態では、筺体10は閉曲線状の凹部13を有している。この凹部13は、収容室14を取り囲むように閉じた曲線状に形成されている。カバー20は、筺体10に取り付けられた際に閉曲線状の凹部13に嵌る閉曲線状の凸部23を有している。これにより、筺体10とカバー20との間の隙間から水分が進入することを防止することができる。このように、閉曲線状の凹部13と閉曲線状の凸部23とが嵌ることによって上記の防水エリアが形成される。
【0022】
この場合、防水エリアの境界は、閉曲線状の凹部13および閉曲線状の凸部23により規定される。したがって、第1の端子12が設けられた穴部14は、閉曲線状の凹部13に形成されている。第2の端子22は、閉曲線状の凸部23上に形成されている。
【0023】
この形態に代えて、筺体10とカバー20の一方に閉曲線状の凹部が形成されており、筺体10とカバー20の他方に閉曲線状の凹部に嵌る閉曲線状の凸部が形成されていれば良い。この場合であっても、閉曲線状の凹部と閉曲線状の凸部とが嵌ることによって防水エリアを形成することができる。
【0024】
本実施形態では、第1の端子12が穴部14内に設けられているため、ユーザーが直接第1の端子12を触ることができない。そのため、端子12,22同士の接点の破損や不良を低減することができる。
【0025】
また、第2の端子22としての爪を穴部14に挿入して導通する構造となっているため、接続時の接点面積を大きく確保することができる。その結果、落下等による衝撃によるカバー20の浮きあがりやズレ等によって、電気的な接続不良が生じることを防止することができる。
【0026】
特許文献1では、機器ケースと電池カバーとの間の電気的な接点としてバネやポゴピンが用いられている。バネやポゴピンによる接続では、接点面積が小さく、落下等の衝撃による電池カバーの浮きやズレに起因して接点不良を起こす虞がある。本実施形態では、第1の端子12は第2の端子22を挟み込むクリップである。これにより、第1の端子12と第2の端子22との間の接点面積をより大きくすることができる。なお、導通可能であれば、第1の端子12はクリップ以外の形態をとっても良い。
【0027】
本実施形態では、筺体10の収容室14にバッテリーが収容される。しかしながら、収容室14に収容されるものはバッテリー以外のものであっても良い。筺体10は、電子部品を有しており、バッテリーから電子部品に電力が供給される。
【0028】
本発明の接続構造は、無接点充電方式の電子機器に適用することができる。この場合、カバー20は、変動磁場の印加により誘導起電力を発生するコイル28を有している。コイル28は、フレキシブル基板29を介して第2の端子22と電気的に接続されている。なお、コイル28と第2の端子22とは、フレキシブル基板29以外のものを介して接続されていても良い。第2の端子22としての爪は、例えば、カバー20に形成された突起に板金を装着することによって形成することができる。
【0029】
上記実施形態では、無接点充電方式の電子機器を例に挙げて説明した。これに代えて、電子機器は、外部機器と電磁界信号を介して通信するRFIDを搭載したものであっても良い。この場合、筺体10の収容室14には電池が収容され、カバー20にはRFID用のアンテナが設けられる。カバー20が筺体10に取り付けられたとき、筺体10に実装された回路とカバー20に実装されたアンテナとが、第1および第2の端子12,22を介して電気的に接続される。
【0030】
図6〜図8は、第2の実施形態における電子機器を示している。図6は、筺体10にカバー20を装着する様子を示す概略斜視図である。図7(a)は、筺体10にカバー20が装着された状態の電子機器の概略平面図であり、図7(b)は図7(a)の7B−7B線に沿った断面図である。図8は、図7の領域8Aにおける拡大図である。
【0031】
第2の実施形態における電子機器の接続構造では、筺体に設けられた第1の端子と、カバーに設けられた第2の端子が、第1の実施形態と異なっている。第2の実施形態では、第1の端子32と第2の端子42は、筺体10とカバー20とを機械的に接続するように、互いに係合する形状を有している。この場合、より強固に筺体10とカバー20の機械的に接続することができるという利点がある。
【0032】
第1および第2の実施形態では、電子機器を例に挙げて本発明の接続構造について説明した。本発明は、上記の接続構造を用いて、筺体(第1の部材)10にカバー(第2の部材)20を接続するステップを有する接続方法も含む。
【0033】
以上、本発明の望ましい実施形態および実施例について提示し、詳細に説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない限り、さまざまな変更及び修正が可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0034】
10 筺体(第1の部材)
11 第1の係合部
12,32 第1の端子
13 閉曲線状の凹部
14 穴部
15 収容室
20 カバー(第2の部材)
21 第2の係合部
22,42 第2の端子
23 閉曲線状の凸部
28 コイル
29 フレキシブル基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の係合部と、第1の端子と、収容室と、を有する第1の部材と、
前記収容室を覆うように前記第1の部材に取り付け可能な第2の部材であって、前記第1の係合部と係合する第2の係合部と、前記第1の端子と電気的に接続される第2の端子と、を有する第2の部材と、を備え、
前記第1の部材と前記第2の部材を機械的かつ電気的に接続する接続構造であって、
前記第1の部材および前記第2の部材は、前記第2の部材が前記第1の部材に取り付けられたときに前記収容室を含む防水エリアを形成し、
前記第2の係合部と前記第2の端子とは前記防水エリアの境界に沿って並んでいる、接続構造。
【請求項2】
前記第1の部材と前記第2の部材の一方に閉曲線状の凹部が形成されており、前記第1の部材と前記第2の部材の他方に前記閉曲線状の凹部に嵌る閉曲線状の凸部が形成されており、前記閉曲線状の凹部と前記閉曲線状の凸部とが嵌ることによって前記防水エリアが形成される、請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記第2の端子は前記第1の端子と電気的に接続される突出した爪を有し、前記第1の部材は前記第2の端子を受け入れる穴部を有し、前記第1の端子は前記穴部内に配置されている、請求項1または2に記載の接続構造。
【請求項4】
前記第1の部材に前記閉曲線状の凹部が形成されており、前記第2の部材に前記閉曲線状の凸部が形成されており、
前記第2の端子は、前記閉曲線状の凸部上に形成された、前記第1の端子と電気的に接続される突出した爪を有しており、
前記第1の部材は、前記閉曲線状の凹部に形成された、前記第2の端子を受け入れる穴部を有しており、
前記第1の端子は前記穴部内に配置されている、請求項2に記載の接続構造。
【請求項5】
前記第1の端子は前記第2の端子を挟み込むクリップである、請求項3または4に記載の接続構造。
【請求項6】
前記第1の端子と前記第2の端子は、前記第1の部材と前記第2の部材とを機械的に接続するように、互いに係合する形状を有する、請求項3または4に記載の接続構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の接続構造を備え、
前記第1の部材が電子部品を有する筺体であり、
前記第2の部材が前記筺体に着脱可能なカバーである、電子機器。
【請求項8】
前記第1の端子は、前記収容室に収容されて前記電子部品に電力を供給するバッテリーと電気的に接続され、
前記カバーは、前記第2の端子と電気的に接続された、変動磁場の印加により誘導起電力を発生するコイルを有している、請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の接続構造を用いて、前記第1の部材に前記第2の部材を接続するステップを有する、接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−12903(P2013−12903A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144227(P2011−144227)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】