説明

接続構造体の製造方法、接続構造体及び異方性導電材料

【課題】熱衝撃が与えられたり、又は高温高湿下に晒されたりしても、十分な導通信頼性を確保できる接続構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る接続構造体1の製造方法では、複数の第1の電極2bを上面2aに有する第1の接続対象部材2の上面2aに、導電性粒子5を含む異方性導電材料を用いて異方性導電材料層を配置した後、異方性導電材料層の上面3aに、複数の第2の電極4bを下面4aに有する第2の接続対象部材4を積層し、次に異方性導電材料層を硬化させて硬化物層3を形成する。複数の第2の電極4b高さ、複数の第2の電極4b高さの最大値と最小値との差の絶対値、接続前の複数の導電性粒子5の平均粒子径、並びに接続前の複数の導電性粒子5を20%又は50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値はそれぞれ、特定の範囲内である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の導電性粒子を含む異方性導電材料を用いて、例えば、フレキシブルプリント基板、ガラス基板、ガラスエポキシ基板及び半導体チップなどの様々な接続対象部材の電極間を電気的に接続する接続構造体の製造方法及び接続構造体、並びに異方性導電材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースト状又はフィルム状の異方性導電材料が広く知られている。該異方性導電材料では、バインダー樹脂中に複数の導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、各種の接続構造体を得るために、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に使用されている。
【0004】
上記接続構造体の製造方法の一例として、下記の特許文献1では、第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の回路電極を有し、かつテープキャリアパッケージ又はフレキシブルプリント基板を構成する第二の回路部材とを、上記第一の回路電極と上記第二の回路電極とを対向配置させた状態で、異方性導電材料により接続する接続構造体の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−235530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のような従来の接続構造体の製造方法では、第一,第二の回路部材における電極間を電気的に接続したときに、得られる接続構造体における電極間の導通信頼性が低くなることがある。
【0007】
さらに、得られる接続構造体に冷熱サイクルなどの熱衝撃が与えられたり、又は接続構造体が高温高湿下に晒されたりしたときに、十分な接続信頼性を確保できないことがある。
【0008】
本発明の目的は、熱衝撃が与えられたり、又は高温高湿下に晒されたりしても、十分な導通信頼性を確保できる接続構造体を得ることができる接続構造体の製造方法を提供することである。また、本発明の目的は、冷熱サイクルなどの熱衝撃が与えられたり、又は高温高湿下に晒されたりしても、十分な導通信頼性を確保できる接続構造体を提供することである。さらに、本発明の目的は、冷熱サイクルなどの熱衝撃が与えられたり、又は高温高湿下に晒されたりしても、十分な導通信頼性を確保できる接続構造体を得ることができる異方性導電材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の広い局面によれば、複数の第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材の上面に、硬化性成分と複数の導電性粒子とを含む異方性導電材料を用いて異方性導電材料層を配置する工程と、上記異方性導電材料層の上面に、複数の第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材を、複数の上記第1の電極と複数の上記第2の電極とを対向させて積層する工程と、上記異方性導電材料層を硬化させて硬化物層を形成し、該硬化物層により上記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続する工程とを備え、複数の上記第2の電極高さがそれぞれ5μm以上、20μm以下であり、複数の上記第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0.5μm以上、2μm以下であり、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子の平均粒子径が2μm以上、20μm以下であり、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が20%以上、50%以下であり、かつ、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が5%以上、25%以下である、接続構造体の製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明の広い局面によれば、複数の第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材と、複数の第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材と、上記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続しており、かつ硬化性成分と複数の導電性粒子とを含む異方性導電材料を硬化させることにより形成された硬化物層とを備え、複数の上記第2の電極高さがそれぞれ5μm以上、20μm以下であり、複数の上記第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0.5μm以上、2μm以下であり、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子の平均粒子径が2μm以上、20μm以下であり、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が20%以上、50%以下であり、かつ、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が5%以上、25%以下である、接続構造体が提供される。
【0011】
さらに、本発明の広い局面によれば、複数の第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材と、複数の第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材とを、電気的に接続する硬化物層を形成するために用いられる異方性導電材料であって、硬化性成分と複数の導電性粒子とを含み、複数の上記第2の電極高さがそれぞれ5μm以上、20μm以下であり、複数の上記第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0.5μm以上、2μm以下であり、複数の上記導電性粒子の平均粒子径が2μm以上、20μm以下であり、複数の上記導電性粒子を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が20%以上、50%以下であり、かつ、複数の上記導電性粒子を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が5%以上、25%以下である、異方性導電材料が提供される。
【0012】
複数の上記第1の電極高さがそれぞれ0.05μm以上、10μm以下であり、複数の上記第1の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0μm以上、5μm以下であることが好ましい。
【0013】
上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子の平均粒子径は、上記硬化物層により接続された上記第1,第2の接続対象部材における対向し合う複数の上記第1,第2の電極間の隙間の距離の平均値の1.1倍以上、5倍以下であることが好ましい。
【0014】
上記硬化物層により接続された上記第1,第2の接続対象部材における対向し合う複数の上記第1,第2の電極間の隙間の距離の平均値は1μm以上、15μm以下であることが好ましい。
【0015】
上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子の粒子径のCV値が3%以上、10%以下であることが好ましい。
【0016】
上記硬化物層により接続された上記第1,第2の接続対象部材における対向し合う複数の上記第1,第2の電極間の隙間の距離のCV値が10%以上、30%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る接続構造体の製造方法では、複数の第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材の上面に、硬化性成分と複数の導電性粒子とを含む異方性導電材料を用いて異方性導電材料層を配置する工程と、上記異方性導電材料層の上面に、複数の第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材を、複数の上記第1の電極と複数の上記第2の電極とを対向させて積層する工程と、上記異方性導電材料層を硬化させて硬化物層を形成し、該硬化物層により上記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続する工程とを備えており、複数の上記第2の電極高さがそれぞれ5μm以上、20μm以下であり、複数の上記第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0.5μm以上、2μm以下であり、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子の平均粒子径が2μm以上、20μm以下であり、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が20%以上、50%以下であり、かつ、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が5%以上、25%以下であるので、熱衝撃が与えられたり、又は高温高湿下に晒されたりしても、十分な導通信頼性を確保できる接続構造体を得ることができる。
【0018】
本発明に係る接続構造体は、複数の第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材と、複数の第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材と、上記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続しており、かつ硬化性成分と複数の導電性粒子とを含む異方性導電材料を硬化させることにより形成された硬化物層とを備えており、複数の上記第2の電極高さがそれぞれ5μm以上、20μm以下であり、複数の上記第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0.5μm以上、2μm以下であり、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子の平均粒子径が2μm以上、20μm以下であり、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が20%以上、50%以下であり、かつ、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が5%以上、25%以下であるので、熱衝撃が与えられたり、又は高温高湿下に晒されたりしても、十分な導通信頼性を確保できる。
【0019】
本発明に係る異方性導電材料は、複数の第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材と、複数の第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材とを、電気的に接続する硬化物層を形成するために用いられる異方性導電材料であって、硬化性成分と複数の導電性粒子とを含み、複数の上記第2の電極高さがそれぞれ5μm以上、20μm以下であり、複数の上記第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0.5μm以上、2μm以下であり、複数の上記導電性粒子の平均粒子径が2μm以上、20μm以下であり、複数の上記導電性粒子を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が20%以上、50%以下であり、かつ、複数の上記導電性粒子を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が5%以上、25%以下であるので、熱衝撃が与えられたり、又は高温高湿下に晒されたりしても、十分な導通信頼性を確保できる接続構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法により得られる接続構造体を模式的に示す部分切欠断面図である。
【図2】図2(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法の各工程を説明するための部分切欠断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0022】
本発明に係る接続構造体の製造方法では、複数の第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材の上面に、硬化性成分と複数の導電性粒子とを含む異方性導電材料を用いて異方性導電材料層を配置する工程と、上記異方性導電材料層の上面に、複数の第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材を、複数の上記第1の電極と複数の上記第2の電極とを対向させて積層する工程と、上記異方性導電材料層を硬化させて硬化物層を形成し、該硬化物層により上記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続する工程とを備える。
【0023】
本発明に係る接続構造体は、複数の第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材と、複数の第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材と、上記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続しており、かつ硬化性成分と複数の導電性粒子とを含む異方性導電材料を硬化させることにより形成された硬化物層とを備える。
【0024】
本発明に係る異方性導電材料は、複数の第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材と、複数の第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材とを、電気的に接続する硬化物層を形成するために用いられる。本発明に係る異方性導電材料は、硬化性成分と複数の導電性粒子とを含む。
【0025】
本発明に係る接続構造体の製造方法、本発明に係る接続構造体及び本発明に係る異方性導電材料において、複数の上記第2の電極高さはそれぞれ5μm以上、20μm以下であり、複数の上記第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値は0.5μm以上、2μm以下である。さらに、本発明に係る接続構造体の製造方法、及び本発明に係る接続構造体において、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子の平均粒子径は2μm以上、20μm以下である。また、本発明に係る異方性導電材料に含まれる複数の上記導電性粒子の平均粒子径は2μm以上、20μm以下である。本発明に係る接続構造体の製造方法、及び本発明に係る接続構造体において、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値は20%以上、50%以下であり、かつ、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値は5%以上、25%以下である。また、本発明に係る異方性導電材料において、複数の上記導電性粒子を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値は20%以上、50%以下であり、かつ、複数の上記導電性粒子を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値は5%以上、25%以下である。
【0026】
本発明に係る接続構造体の製造方法、本発明に係る接続構造体及び本発明に係る異方性導電材料では、上述の構成が備えられているので、冷熱サイクルなどの熱衝撃が与えられたり、又は高温高湿下に晒されたりしても、十分な導通信頼性を確保できる接続構造体を提供できる。さらに、導電性粒子を介して第1,第2の電極を接続する際に、該電極表面を導電性粒子が押し込むことにより形成された凹部である圧痕を、電極に形成することもできる。
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0028】
図1に、本発明の一実施形態に係る接続構造体を模式的に部分切欠正面断面図で示す。また、図1に示す接続構造体は、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法により得られる接続構造体でもあり、更に本発明に係る一実施形態に係る異方性導電材料を用いた接続構造体でもある。
【0029】
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材4と、第1,第2の接続対象部材2,4を電気的に接続している硬化物層3とを備える。硬化物層3は、第1,第2の接続対象部材2,4を接続している接続部である。硬化物層3は、硬化性成分と複数の導電性粒子5とを含む異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。
【0030】
第1の接続対象部材2は上面2aに、複数の第1の電極2bを有する。第2の接続対象部材4は下面4aに、複数の第2の電極4bを有する。第1の電極2bと第2の電極4bとが、1つ又は複数の導電性粒子5により電気的に接続されている。
【0031】
複数の第2の電極4b高さはそれぞれ5μm以上、20μm以下である。複数の第2の電極4b高さはそれぞれ好ましくは10μm以上、好ましくは15μm以下である。複数の第2の電極4b高さの最大値と最小値との差の絶対値は0.5μm以上、2μm以下である。従って、複数の第2の電極4bは高さばらつきを有する。このため、接続構造体1において、第1,第2の電極2b,4b間の隙間の距離に一般にばらつきが生じる。図1では、2つの第2の電極4bが示されており、右側の第2の電極4b高さが左側の第2の電極4b高さよりも高くなっている。一方で、図1では、2つの第1の電極2bが示されており、右側の第1の電極2b高さと左側の第1の電極2b高さとは同じである。
【0032】
上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5の平均粒子径は、2μm以上、20μm以下である。導電性粒子5の平均粒子径が2μm以上、20μm以下であると、第1,第2の電極2b,4b間の隙間の距離にばらつきが生じても、導電性粒子5を第1,第2の電極2b,4bに効果的に接触させることができ、第1,第2の電極2b,4b間の導通信頼性を高めることができる。さらに、冷熱サイクルなどの熱衝撃が与えられたり、又は高温高湿下に晒されたりしても、十分な導通信頼性を確保できる。
【0033】
接続構造体の電極間の導通信頼性をより一層高め、かつ熱衝撃が与えられたり又は高温高湿下に晒されたりした場合の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5の平均粒子径は好ましくは3μm以上、より好ましくは10μm以下である。
【0034】
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。上記導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子複数個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。導電性粒子の平均粒子径を測定する際には、導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することが好ましい。
【0035】
接続構造体の導通信頼性をより一層高める観点からは、複数の第1の電極2b高さはそれぞれ、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは3μm以下である。接続構造体の電極間の導通信頼性をより一層高め、かつ熱衝撃が与えられたり又は高温高湿下に晒されたりした場合の導通信頼性をより一層高める観点からは、複数の第1の電極2b高さの最大値と最小値との差の絶対値が0μm以上、5μm以下であることが好ましい。複数の第1の電極2b高さの最大値と最小値との差の絶対値は、より好ましくは3μm以下である。複数の第1の電極2b高さの最大値と最小値とに差がなく、複数の第1の電極2bは同じ高さであってもよい。
【0036】
上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5の平均粒子径は、硬化物層3により接続された第1,第2の接続対象部材2,4における対向し合う複数の第1,第2の電極2b,4b間の隙間の距離の平均値の1.1倍以上、5倍以下であることが好ましい。上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5の平均粒子径は、硬化物層3により接続された第1,第2の接続対象部材2,4における対向し合う複数の第1,第2の電極2b,4b間の隙間の距離の平均値の1.3倍以上であることがより好ましく、3倍以下であることがより好ましい。導電性粒子5の平均粒子径と上記隙間の距離の平均値とが好ましい上記関係を満足すると、接続構造体の電極間の導通信頼性がより一層高くなり、かつ熱衝撃が与えられたり又は高温高湿下に晒されたりした場合の導通信頼性がより一層高くなる。
【0037】
接続構造体の電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、硬化物層3により接続された第1,第2の接続対象部材2,4における対向し合う複数の第1,第2の電極2b,4b間の隙間の距離の平均値は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは4μm以下である。
【0038】
上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が20%以上、50%以下であり、かつ、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の上記導電性粒子を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が5%以上、25%以下である。上記20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子と電極との接触面積を良好にすることができ、接続構造体の導通信頼性を高めることができる。上記50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物層に熱衝撃が与えられたり又は硬化物層が高温高湿下に晒されたりして、硬化物層の膨張により第1,第2の電極間の距離が拡がっても、圧縮されている導電性粒子が元の形状に戻る結果、接続構造体の導通信頼性を十分に確保できる。さらに、図1に示すように、左側の第1,第2の電極2b,4b間の隙間の距離と右側の第1,第2の電極2b,4b間の隙間の距離とは異なる。左側の第1,第2の電極2b,4b間に配置された導電性粒子5と、右側の第1,第2の電極2b,4b間に配置された導電性粒子5との圧縮度合いは異なる。複数の第1,第2の電極間のうち、隙間の距離が比較的小さい領域では導電性粒子の圧縮度合いが大きいが、圧縮度合いが大きい圧縮変形時(例えば50%圧縮変形時)の圧縮回復率が比較的小さいので、隙間の距離が小さい領域において圧縮されている導電性粒子が元の形状に戻ろうとする反発力が弱くなり、剥離が生じるのを抑制できる。一方で、複数の第1,第2の電極間のうち、隙間の距離が比較的大きい領域では導電性粒子の圧縮度合いが小さいが、圧縮度合いが小さい圧縮変形時(例えば20%圧縮変形時)の圧縮回復率が比較的大きいので、隙間の距離が大きい領域において導電性粒子が第1,第2の電極に接触しなくなるのを抑制できる。また、硬化物層に熱衝撃が与えられたり又は硬化物層が高温高湿下に晒されたりして、硬化物層の膨張により第1,第2の電極間の距離が拡がっても、圧縮されている導電性粒子が適度に元の形状に戻るため、導通不良が生じるのを抑制できる。さらに、上記20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値及び上記50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を介して第1,第2の電極を接続する際に、該電極表面を導電性粒子が押し込むことにより形成された凹部である圧痕を電極に容易に形成することもできる。
【0039】
上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値は、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値は、25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。また、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が20%以上、25%以下である場合には特に、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値は、25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5を20%圧縮変形したときの圧縮回復率は、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5を50%圧縮変形したときの圧縮回復率と同等以上であることが好ましい。上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5を20%圧縮変形したときの圧縮回復率は、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5を50%圧縮変形したときの圧縮回復率よりも大きいことがより好ましく、1%以上大きいことが更に好ましく、5%以上大きいことが特に好ましい。
【0040】
上記圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
【0041】
試料台上に導電性粒子を散布する。散布された導電性粒子1個について、微小圧縮試験機を用いて、導電性粒子の中心方向に、導電性粒子が20%又は50%圧縮変形するまで負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重−圧縮変位を測定し、下記式から圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
【0042】
圧縮回復率(%)=[(L1−L2)/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでのまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの圧縮変位
【0043】
接続構造体の電極間の導通信頼性をより一層高め、かつ熱衝撃が与えられたり又は高温高湿下に晒されたりした場合の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5を20%圧縮変形したときの導電性粒子5の圧縮弾性率(20%K値)の平均値は、好ましくは1GPa以上、より好ましくは2GPa以上、好ましくは7GPa以下、より好ましくは6GPa以下、更に好ましくは5GPa以下である。
【0044】
接続構造体の電極間の導通信頼性をより一層高め、かつ熱衝撃が与えられたり又は高温高湿下に晒されたりした場合の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5を50%圧縮変形したときの導電性粒子5の圧縮弾性率(50%K値)の平均値は、好ましくは0.5GPa以上、より好ましくは0.8GPa以上、好ましくは5GPa以下、より好ましくは4GPa以下、更に好ましくは3GPa以下である。
【0045】
上記導電性粒子の圧縮弾性率は、以下のようにして測定される。
【0046】
微小圧縮試験機を用いて、直径50μmのダイアモンド製円柱の平滑圧子端面で、圧縮速度2.6mN/秒、及び最大試験荷重10gfの条件下で導電性粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
【0047】
K値(N/mm)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:導電性粒子が20%又は50%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:導電性粒子が20%又は50%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:導電性粒子の半径(mm)
【0048】
上記圧縮弾性率は、導電性粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、導電性粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
【0049】
接続構造体の電極間の導通信頼性をより一層高め、かつ熱衝撃が与えられたり又は高温高湿下に晒されたりした場合の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子5の粒子径のCV値は、好ましくは3%以上、より好ましくは4%以上、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下である。
【0050】
上記導電性粒子の粒子径の変動係数(CV値)は下記式で表される。
【0051】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:導電性粒子の粒子径の標準偏差
Dn:導電性粒子の粒子径の平均値
【0052】
接続構造体の電極間の導通信頼性をより一層高め、かつ熱衝撃が与えられたり又は高温高湿下に晒されたりした場合の導通信頼性をより一層高める観点からは、硬化物層3により接続された第1,第2の接続対象部材2,4における対向し合う複数の第1,第2の電極2b,4b間の隙間の距離のCV値は、好ましくは10%以上、より好ましくは14%以上、好ましくは30%以下、より好ましくは26%以下である。
【0053】
上記対向し合う複数の第1,第2の電極2b,4b間の隙間の距離の変動係数(CV値)は下記式で表される。
【0054】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:対向し合う複数の第1,第2の電極間の隙間の距離の標準偏差
Dn:対向し合う複数の第1,第2の電極間の隙間の距離の平均値
【0055】
接続構造体の電極間の導通信頼性をより一層高め、かつ熱衝撃が与えられたり又は高温高湿下に晒されたりした場合の導通信頼性をより一層高める観点からは、第1の接続対象部材2のヤング率は好ましくは10GPa以上、より好ましくは50GPa以上、好ましくは200GPa以下、より好ましくは100GPa以下である。
【0056】
接続構造体の電極間の導通信頼性をより一層高め、かつ熱衝撃が与えられたり又は高温高湿下に晒されたりした場合の導通信頼性をより一層高める観点からは、第2の接続対象部材4のヤング率は好ましくは2GPa以上、より好ましくは10GPa以上、好ましくは200GPa以下、より好ましくは100GPa以下である。第2の接続対象部材4のヤング率は100GPa以上であってもよい。
【0057】
上記第1,第2の接続対象部材のヤング率が高く、上記第1,第2の接続対象部材が硬いと、本発明における熱衝撃が与えられたり又は高温高湿下に晒されたりした場合の導通信頼性をより一層高める効果が効果的に得られる。
【0058】
上記ヤング率は、オートグラフAGS−X装置(島津製作所社製)を用いて、23℃にて、3点曲げ法にて測定される。
【0059】
接続構造体の導通信頼性をより一層高める観点からは、対向し合う1つの第1,第2の電極2b,4b間に、導電性粒子5は平均で、5個以上配置されていることが好ましく、8個以上配置されていることが好ましい。対向し合う1つの第1,第2の電極2b,4b間に配置される導電性粒子5の平均数の上限は特に限定されない。
【0060】
上記第2の電極が銅電極であることが好ましい。また、上記第1の電極及び上記第2の電極の内の少なくとも一方が、銅電極であることも好ましい。上記異方性導電材料は、銅電極を有する接続対象部材を接続するために用いられる異方性導電材料であることが好ましい。接続対象部材に銅電極を形成する場合には、該銅電極では一般に高さばらつきが生じる。特に、銅めっきにより銅電極を形成する際に、銅電極を表面が平滑となるように形成することは困難である。しかし、本発明に係る接続構造体の製造方法、本発明に係る接続構造体及び本発明に係る異方性導電材料では、高さばらつきを有する銅電極であっても、接続構造体の電極間の導通信頼性を高くし、かつ熱衝撃が与えられたり又は高温高湿下に晒されたりした場合の導通信頼性を十分に確保できる。
【0061】
本発明に係る接続構造体の製造方法、本発明に係る接続構造体並びに本発明に係る異方性導電材料は、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、又はフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に使用できる。なかでも、COG又はFOG用途に好適であり、COG用途に好適である。上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材として、半導体チップとガラス基板とを用いるか、又はフレキシブルプリント基板とガラス基板とを用いることが好ましく、半導体チップとガラス基板とを用いることがより好ましい。上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とが、半導体チップとガラス基板とであるか、又はフレキシブルプリント基板とガラス基板とであることが好ましく、半導体チップとガラス基板とであることがより好ましい。
【0062】
COG用途では、特に、半導体チップとガラス基板との電極間を、異方性導電材料の導電性粒子により確実に接続することが困難なことが多い。例えば、COG用途の場合には、半導体チップの隣り合う電極間、及びガラス基板の隣り合う電極間の間隔が10〜20μm程度であることがあり、微細な配線が形成されていることが多い。微細な配線が形成されていても、本発明では、半導体チップとガラス基板との電極間を高精度に接続することができ、導通信頼性を高めることができる。
【0063】
FOG用途では、特に、フレキシブルプリント基板とガラス基板との電極間を、異方性導電ペーストの導電性粒子により確実に接続することが困難なことが多い。例えば、FOG用途の場合には、フレキシブルプリント基板の隣り合う電極間、及びガラス基板の隣り合う電極間の間隔が20〜50μm程度であることがあり、微細な配線が形成されていることが多い。微細な配線が形成されていても、本発明では、導電性粒子を電極間に精度よく配置することができることから、フレキシブルプリント基板とガラス基板との電極間を高精度に接続することができ、導通信頼性を高めることができる。
【0064】
図1に示す接続構造体1は、例えば、図2(a)〜(c)に示す状態を経て、以下のようにして得ることができる。ここでは、上記異方性導電材料として、熱硬化性成分と光硬化性成分と複数の導電性粒子とを含む異方性導電材料を用いた場合の接続構造体1の製造方法を説明する。
【0065】
図2(a)に示すように、第1の電極2bを上面2aに有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、第1の接続対象部材2の上面2aに、複数の導電性粒子5を含む異方性導電材料を配置し、第1の接続対象部材2の上面2aに異方性導電材料層3Aを形成する。このとき、第1の電極2b上に、1つ又は複数の導電性粒子5が配置されていることが好ましい。
【0066】
次に、異方性導電材料層3Aに光を照射することにより、異方性導電材料層3Aの硬化を進行させる。図2(a)〜(c)では、異方性導電材料層3Aに光を照射して、異方性導電材料層3Aの硬化を進行させて、異方性導電材料層3AをBステージ化している。すなわち、図2(b)に示すように、第1の接続対象部材2の上面2aに、Bステージ化された異方性導電材料層3Bを形成している。Bステージ化により、第1の接続対象部材2とBステージ化された異方性導電材料層3Bとが仮接着される。Bステージ化された異方性導電材料層3Bは、半硬化状態にある半硬化物である。Bステージ化された異方性導電材料層3Bは、完全に硬化しておらず、熱硬化がさらに進行され得る。但し、異方性導電材料層3AをBステージ化せずに、異方性導電材料層3Aに光を照射又は異方性導電材料層3Aを加熱して、異方性導電材料層3Aを一度に硬化させてもよい。
【0067】
異方性導電材料層3Aの硬化を適度に進行させるための光照射強度は、例えば、好ましくは0.1〜100mW/cm程度である。また、異方性導電材料層3Aの硬化を適度に進行させるための光の照射エネルギーは、例えば、好ましくは100〜10000mJ/cm程度である。光を照射する際に用いる光源は特に限定されない。該光源としては、例えば、波長420nm以下に充分な発光分布を有する光源等が挙げられる。また、光源の具体例としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ及びLEDランプ等が挙げられる。
【0068】
次に、図2(c)に示すように、Bステージ化された異方性導電材料層3Bの上面3aに、第2の接続対象部材4を積層する。第1の接続対象部材2の上面2aの第1の電極2bと、第2の接続対象部材4の下面4aの第2の電極4bとが対向するように、第2の接続対象部材4を積層する。
【0069】
さらに、第2の接続対象部材4の積層の際に、Bステージ化された異方性導電材料層3Bを加熱することにより、Bステージ化された異方性導電材料層3Bをさらに硬化させ、硬化物層3を形成する。ただし、第2の接続対象部材4の積層の前に、Bステージ化された異方性導電材料層3Bを加熱してもよい。さらに、第2の接続対象部材4の積層の後にBステージ化された異方性導電材料層3Bを加熱してもよい。
【0070】
加熱により異方性導電材料層3A又はBステージ化された異方性導電材料層3Bを硬化させる際の加熱温度は、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。
【0071】
Bステージ化された異方性導電材料層3Bを硬化させる際に、加圧することが好ましい。加圧によって第1の電極2bと第2の電極4bとで導電性粒子5を圧縮することにより、第1,第2の電極2b,4bと導電性粒子5との接触面積を大きくすることができる。このため、導通信頼性を高めることができる。さらに、導電性粒子5を圧縮することで、第1,第2の電極2b,4b間の距離が拡がっても、この拡がりに追従するように導電性粒子5の粒子径が大きくなる。
【0072】
Bステージ化された異方性導電材料層3Bを硬化させることにより、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材4とが、硬化物層3を介して接続される。また、第1の電極2bと第2の電極4bとが、導電性粒子5を介して電気的に接続される。このようにして、図1に示す接続構造体1を得ることができる。ここでは、光硬化と熱硬化とが併用されているため、異方性導電材料を短時間で硬化させることができる。
【0073】
本発明に係る異方性導電材料を硬化させる方法としては、異方性導電材料に光を照射する方法、異方性導電材料を加熱する方法、異方性導電材料に光を照射した後、異方性導電材料を加熱する方法、並びに異方性導電材料を加熱した後、異方性導電材料に光を照射する方法が挙げられる。また、光硬化の速度及び熱硬化の速度が異なる場合などには、光の照射と加熱とを同時に行ってもよい。なかでも、異方性導電材料に光を照射した後、異方性導電材料を加熱する方法が好ましい。光硬化と熱硬化との併用により、異方性導電材料を短時間で硬化させることができる。
【0074】
上記異方性導電材料は、加熱により硬化可能な異方性導電材料であり、上記硬化性化合物として、加熱により硬化可能な硬化性化合物(熱硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物)を含んでいてもよい。該加熱により硬化可能な硬化性化合物は、光の照射により硬化しない硬化性化合物(熱硬化性化合物)であってもよく、光の照射と加熱との双方により硬化可能な硬化性化合物(光及び熱硬化性化合物)であってもよい。
【0075】
上記異方性導電材料は、光の照射により硬化可能な異方性導電材料であり、上記硬化性化合物として、光の照射により硬化可能な硬化性化合物(光硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物)を含んでいてもよい。該光の照射により硬化可能な硬化性化合物は、加熱により硬化しない硬化性化合物(光硬化性化合物)であってもよく、光の照射と加熱との双方により硬化可能な硬化性化合物(光及び熱硬化性化合物)であってもよい。
【0076】
また、上記異方性導電材料は、光の照射と加熱との双方により硬化可能な異方性導電材料であることが好ましい。上記硬化性化合物として、光の照射により硬化可能な硬化性化合物と、加熱により硬化可能な硬化性化合物とを含むことが好ましい。この場合には、光の照射により異方性導電材料を半硬化(Bステージ化)させ、異方性導電材料の流動性を低下させた後、加熱により異方性導電材料を容易に硬化させることができる。上記異方性導電材料は、上記硬化性化合物として、熱硬化性化合物と光硬化性化合物とを含むことが好ましい。
【0077】
以下、先ず、本発明に係る異方性導電材料に好適に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0078】
(硬化性化合物)
上記異方性導電材料に含まれている硬化性化合物は特に限定されない。該硬化性化合物として、従来公知の硬化性化合物が使用可能である。上記硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0079】
上記硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物を含有することが好ましい。エポキシ基を有する硬化性化合物は、エポキシ化合物である。チイラン基を有する硬化性化合物は、エピスルフィド化合物である。上記エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0080】
上記硬化性化合物は、チイラン基を有する硬化性化合物を含有することがより好ましい。上記エピスルフィド化合物は、エポキシ基ではなくチイラン基を有するので、低温で速やかに硬化させることができる。すなわち、チイラン基を有するエピスルフィド化合物は、エポキシ基を有するエポキシ化合物と比較して、チイラン基に由来してより一層低い温度で硬化可能である。
【0081】
上記エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化させることができるので好ましい。
【0082】
上記異方性導電材料の硬化性を高める観点からは、上記硬化性化合物の全体100重量%中、上記エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、100重量%以下である。上記硬化性化合物の全量が上記エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物であってもよい。上記エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物と該エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物とは異なる他の硬化性化合物とを併用する場合には、上記硬化性化合物の全体100重量%中、上記エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物の含有量は、好ましくは99重量%以下、より好ましくは95重量%以下、更に好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。
【0083】
上記硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物とは異なる他の硬化性化合物をさらに含有していてもよい。該他の硬化性化合物としては、不飽和二重結合を有する硬化性化合物、フェノール硬化性化合物、アミノ硬化性化合物、不飽和ポリエステル硬化性化合物、ポリウレタン硬化性化合物、シリコーン硬化性化合物及びポリイミド硬化性化合物等が挙げられる。上記他の硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0084】
上記異方性導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性をより一層高めたりする観点からは、上記硬化性化合物は、不飽和二重結合を有する硬化性化合物を含有することが好ましい。上記異方性導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性をさらに一層高めたりする観点からは、上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物であることが好ましい。上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物の使用により、Bステージ化した異方性導電材料全体(光が直接照射された部分と光が直接照射されなかった部分とを含む)で硬化率を好適な範囲に制御することが容易になり、得られる接続構造体における導通信頼性がより一層高くなる。
【0085】
Bステージ化した異方性導電材料層の硬化率を容易に制御し、更に得られる接続構造体の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有することが好ましい。
【0086】
Bステージ化した異方性導電材料層の硬化率を容易に制御し、更に得られる接続構造体の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有することが好ましい。
【0087】
上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物としては、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物、及びエポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物が挙げられる。
【0088】
上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
【0089】
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも使用可能である。
【0090】
上記エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を、(メタ)アクリロイル基に変換することにより得られる硬化性化合物であることが好ましい。この硬化性化合物は、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物又は部分(メタ)アクリレート化エピスルフィド化合物である。
【0091】
上記硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物を含有することが好ましい。この反応物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られる。エポキシ基又はチイラン基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換(転化率)されていることが好ましい。該転化率は、より好ましくは30%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。エポキシ基又はチイラン基の40%以上、60%以下が(メタ)アクリロイル基に変換されていることが最も好ましい。
【0092】
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0093】
上記硬化性化合物として、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有するフェノキシ樹脂の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を(メタ)アクリロイル基に変換した変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。すなわち、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。
【0094】
また、上記硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
【0095】
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0096】
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0097】
熱硬化性化合物と光硬化性化合物とを併用する場合には、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との配合比は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との種類に応じて適宜調整される。上記異方性導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜90:10で含むことが好ましく、5:95〜60:40で含むことがより好ましく、10:90〜40:60で含むことが更に好ましい。
【0098】
(熱硬化剤)
上記異方性導電材料は、上記熱硬化成分として熱硬化剤を含むことが好ましい。該熱硬化剤は特に限定されない。上記熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を用いることができる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、酸無水物、熱カチオン硬化剤及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0099】
異方性導電材料を低温でより一層速やかに硬化させる観点からは、上記異方性導電材料は、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤、アミン硬化剤又は熱カチオン硬化剤を含むことが好ましい。
【0100】
また、異方性導電材料の保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。該潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
【0101】
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
【0102】
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0103】
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0104】
上記熱カチオン硬化剤として、ヨードニウム塩やスルフォニウム塩が好適に用いられる。例えば、上記熱カチオン硬化剤の市販品としては、三新化学社製のサンエイドSI−45L、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−150Lや、ADEKA社製のアデカオプトマーSP−150、SP−170等が挙げられる。
【0105】
好ましい熱カチオン硬化剤のアニオン部分としては、PF、BF、及びB(Cが挙げられる。
【0106】
電極間の導通信頼性及び接続構造体の高温高湿下での接続信頼性をより一層高める観点からは、上記異方性導電材料は、熱ラジカル発生剤を含むことが好ましい。上記熱ラジカル発生剤は特に限定されない。上記熱ラジカル発生剤として、従来公知の熱ラジカル発生剤を用いることができる。上記熱ラジカル発生剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。ここで、「熱ラジカル発生剤」とは、加熱によってラジカル種を生成する化合物を意味する。
【0107】
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び過酸化物等が挙げられる。上記過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド化合物、パーオキシエステル化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、パーオキシジカーボネート化合物、パーオキシケタール化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、及びケトンパーオキサイド化合物等が挙げられる。
【0108】
上記アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル−1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2−tert−ブチルアゾ−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)二水和物、及び2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
【0109】
上記ジアシルパーオキサイド化合物としては、過酸化ベンゾイル、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、及びDisuccinic acid peroxide等が挙げられる。上記パーオキシエステル化合物としては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5―ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシオクトエート及びtert−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。上記ハイドロパーオキサイド化合物としては、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。上記パーオキシジカーボネート化合物としては、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、及びジ(2−エチルヘキシル)パーオキシカーボネート等が挙げられる。また、上記過酸化物の他の例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、カリウムパーサルフェイト、及び1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0110】
上記熱ラジカル発生剤の10時間半減期を得るための分解温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下である。上記熱ラジカル発生剤の10時間半減期を得るための分解温度が、30℃未満であると、異方性導電材料の貯蔵安定性が低下する傾向があり、80℃を超えると、異方性導電材料を充分に熱硬化させることが困難になる傾向がある。
【0111】
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記加熱により硬化可能な硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、更に好ましくは5重量部以上、特に好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記熱硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料を充分に熱硬化させることができる。
【0112】
上記熱硬化剤が熱ラジカル発生剤を含む場合に、上記加熱により硬化可能な硬化性化合物100重量部に対して、上記熱ラジカル発生剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。上記熱ラジカル発生剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料を充分に熱硬化させることができる。
【0113】
(光硬化開始剤)
上記異方性導電材料は、上記光硬化成分として光硬化開始剤を含むことが好ましい。該光硬化開始剤は特に限定されない。上記光硬化開始剤として、従来公知の光硬化開始剤を用いることができる。電極間の導通信頼性及び接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記異方性導電材料は、光ラジカル発生剤を含むことが好ましい。上記光硬化開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0114】
上記光硬化開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光硬化開始剤(アセトフェノン光ラジカル発生剤)、ベンゾフェノン光硬化開始剤(ベンゾフェノン光ラジカル発生剤)、チオキサントン、ケタール光硬化開始剤(ケタール光ラジカル発生剤)、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。上記光硬化開始剤として、光カチオン開始剤も挙げられる。
【0115】
上記アセトフェノン光硬化開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光硬化開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0116】
上記異方性導電材料は、光カチオン開始剤を含むことが好ましい。光カチオン開始剤の使用により、光照射後の異方性導電材料の硬化を速やかに進行させることができる。さらに、導電性粒子により光が遮られて光が直接照射されなかった異方性導電材料層部分も、光カチオン開始剤の作用によるカチオン反応によって、硬化を充分に進行させることができる。
【0117】
上記光カチオン硬化剤としては、ヨードニウム系光カチオン硬化剤、オキソニウム系光カチオン硬化剤及びスルホニウム系光カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系光カチオン硬化剤としては、例えば、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系光カチオン硬化剤としては、例えば、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系光カチオン硬化剤としては、例えば、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート及びトリフェニルスルホニウムブロミド等が挙げられる。なかでも、異方性導電材料の硬化性をより一層良好にし、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、スルホニウム系光カチオン硬化剤が好ましい。
【0118】
上記光硬化開始剤の含有量は特に限定されない。上記光の照射により硬化可能な硬化性化合物100重量部に対して、上記光硬化開始剤の含有量(光硬化開始剤が光カチオン開始剤である場合には光カチオン開始剤の含有量)は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記光硬化開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料を適度に光硬化させることができる。異方性導電材料に光を照射し、Bステージ化することにより、異方性導電材料の流動を抑制できる。
【0119】
(導電性粒子)
上記異方性導電材料に含まれている導電性粒子は、第1,第2の接続対象部材の電極間を電気的に接続する。上記の導電層の表面が絶縁層により被覆されていてもよい。導電性粒子の導電層の表面が、絶縁性粒子により被覆されていてもよい。これらの場合には、接続対象部材の接続時に、導電層と電極との間の絶縁層又は絶縁性粒子が排除される。上記導電性粒子としては、例えば、有機粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子もしくは金属粒子等の表面を金属層で被覆した導電性粒子、並びに実質的に金属のみで構成される金属粒子等が挙げられる。上記金属層は特に限定されない。上記金属層としては、金層、銀層、銅層、ニッケル層、パラジウム層及び錫を含有する金属層等が挙げられる。
【0120】
電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有することが好ましい。
【0121】
上記導電性粒子の含有量は特に限定されない。異方性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは19重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡をより一層防止できる。
【0122】
(他の成分)
上記異方性導電材料は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーの使用により、異方性導電材料の硬化物の熱線膨張率を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム、アルミナ、ガラス、窒化ボロン、窒化ケイ素、シリコーン、カーボン、グラファイト、グラフェン及びタルク等が挙げられる。フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱伝導率が高いフィラーを用いると、本硬化時間が短くなる。
【0123】
上記異方性導電材料は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、異方性導電材料の粘度を容易に調整できる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
【0124】
(異方性導電材料の詳細及び用途)
上記異方性導電材料は、ペースト状又はフィルム状の異方性導電材料であり、ペースト状の異方性導電材料であることが好ましい。ペースト状の異方性導電材料は、異方性導電ペーストである。フィルム状の異方性導電材料は、異方性導電フィルムである。異方性導電材料が異方性導電フィルムである場合、該導電性粒子を含む異方性導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されてもよい。
【0125】
上記異方性導電材料は、異方性導電ペーストであって、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗布される異方性導電ペーストであることが好ましい。
【0126】
上記異方性導電ペーストの25℃での粘度は、好ましくは20Pa・s以上、より好ましくは100Pa・s以上、好ましくは700Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記粘度が上記下限以上であると、異方性導電ペースト中での導電性粒子の沈降を抑制できる。上記粘度が上記上限以下であると、導電性粒子の分散性がより一層高くなる。塗布前の上記異方性導電ペーストの上記粘度が上記範囲内であれば、第1の接続対象部材上に異方性導電ペーストを塗布した後に、硬化前の異方性導電ペーストの流動をより一層抑制でき、さらにボイドがより一層生じ難くなる。
【0127】
異方性導電材料の硬化後の23℃での弾性率は、好ましくは0.8GPa以上、好まし
くは3GPa以下である。硬化後の上記弾性率は、アイティー計測制御社製「粘弾性測定
機DVA−200」を用いて、昇温速度5℃/分、変形率0.1%及び10Hzの条件で測定される。
【0128】
また、導電性粒子の50%K値(GPa)の異方性導電材料の硬化後の上記弾性率(GPa)に対する比(50%K値/弾性率)は、好ましくは0.2以上、好ましくは1.8以下である。
【0129】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0130】
表1,2に示す導電性粒子A〜Sを用意した。なお、導電性粒子A〜Sはいずれも、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子である。なお、圧縮回復率及び圧縮弾性率(20%K値及び50%K値)は、ジビニルベンゼン樹脂粒子のモノマー組成を変えて調整した。
【0131】
(実施例1)
(1)異方性導電ペーストの調製
レゾルシノールジグリシジルエーテル70重量%と、下記式(1B)で表される構造を有するエピスルフィド化合物30重量%とを含むエピスルフィド化合物含有混合物を用意した。
【0132】
【化1】

【0133】
上記エピスルフィド化合物含有混合物15重量部と、熱硬化剤であるアミンアダクト(味の素ファインテクノ社製「PN−23J」)3重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)8重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.2重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、フィラーである平均粒子径0.25μmのシリカ20重量部及び平均粒子径0.5μmのアルミナ20重量部とを配合し、さらに導電性粒子Aを得られる異方性導電ペースト100重量%中での含有量が10重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストを得た。異方性導電ペーストの硬化後の弾性率は、2.8GPaであった。
【0134】
(2)接続構造体の作製
接続構造体(COG)の作製:
ピッチ30μm、電極サイズ20μm×100μm、電極間距離10μmのAl−Si電極(厚み500nm)を上面に有するガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、ピッチ30μm、電極サイズ20μm×100μm、電極間距離10μmのAu電極(高さ12μm)をチップ外周部の下面に726個有するSiチップ(サイズ15,1mm×1.6mm×0.3mm)(第2の接続対象部材)を用意した。なお、第1,第2の接続対象部材における第1,第2の電極高さ、第1の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値、第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値、及び第1,第2の接続対象部材のヤング率を下記の表1に示した。
【0135】
上記ガラス基板上に、作製直後の異方性導電ペーストを幅1.5mm、厚さ40μmとなるようにディスペンサーを用いて塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、LED−UV照射機により、波長365nmにおいて200mWの条件にて10秒UV照射し、異方導電ペーストをBステージ化した。Bステージ化された異方性導電ペースト層上に上記Siチップを、電極同士が対向するように積層した。その後、大橋製作所社製「BD−02」を用い、異方性導電ペースト層の温度が170℃(本圧着温度)となるように加熱圧着ヘッドの温度を調整しながら、Siチップの上面に加圧圧着ヘッドを載せ、1MPaの圧力をかけて170℃で10秒間異方性導電ペースト層を硬化させ、接続構造体(COG)を得た。
【0136】
得られた接続構造体(COG)の断面を露出させ、断面を観察した。第1,第2の電極間の隙間の距離の平均値と、該隙間の距離のCV値とを求めた。
【0137】
(実施例2〜10及び比較例1,2)
異方性導電ペーストに用いた導電性粒子の種類、並びに第1,第2の接続対象部材における第1,第2の電極高さ、第1の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値、第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値、及び第1,第2の接続対象部材のヤング率を下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを調製し、該異方性導電ペーストを用いて接続構造体(COG)を得た。
【0138】
(実施例11)
導電性粒子Aを導電性粒子Jに変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。
【0139】
接続構造体(FOG)の作製:
L/Sが17μm/17μm、長さ1mmのアルミニウム電極(第1の電極)パターンを上面に有するガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが17μm/17μm、長さ2mmの金メッキされたNi電極(第2の電極)パターンを下面に有するフレキシブルプリント基板(第2の接続対象部材)を用意した。なお、第1,第2の接続対象部材における第1,第2の電極高さ、第1の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値、第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値、及び第1,第2の接続対象部材のヤング率を下記の表2に示した。
【0140】
これらの第1,第2の接続対象部材を用いたこと以外は実施例1の接続構造体(COG)と同様にして、接続構造体(FOG)を得た。
【0141】
得られた接続構造体(FOG)の断面を露出させ、断面を観察した。第1,第2の電極間の隙間の距離の平均値と、該隙間の距離のCV値とを求めた。
【0142】
(実施例12〜18及び比較例3〜5)
異方性導電ペーストに用いた導電性粒子の種類、並びに第1,第2の接続対象部材における第1,第2の電極高さ、第1の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値、第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値、及び第1,第2の接続対象部材のヤング率を下記の表2に示すように変更したこと以外は実施例11と同様にして、異方性導電ペーストを調製し、該異方性導電ペーストを用いて接続構造体(FOG)を得た。
【0143】
(評価)
(1)電極間における導電性粒子の捕捉率(導電性粒子の配置精度)
得られた接続構造体における対向する上下の電極間に存在する導電性粒子の数を光学顕微鏡にてカウントした。導電性粒子の捕捉率を下記の基準で判定した。
【0144】
[導電性粒子の捕捉率の判定基準]
○:各電極間に存在する粒子が10個以上
△:各電極間に存在する粒子が8個又は9個
×:各電極間に存在する粒子が7個以下
【0145】
(2)導通性
得られた接続構造体を用いて、20箇所の抵抗値を4端子法にて評価した。導通信頼性を下記の基準で判定した。
【0146】
[導通信頼性の判定基準]
○:全ての箇所で抵抗値が3Ω以下である
△:抵抗値が3Ω以上の箇所が1箇所以上ある
×:全く導通していない箇所が1箇所以上ある
【0147】
(3)熱衝撃を受けた場合の接続信頼性
得られた接続構造体100個を、−40℃で5分間保持し、次に125℃まで25分で昇温し、125℃で5分間保持した後、−40℃まで25分で降温する過程を1サイクルとする冷熱サイクル試験を実施した。1000サイクル後に、接続構造体を取り出した。
【0148】
冷熱サイクル試験後の100個の接続構造体について、上下の電極間の導通不良が生じているか否かを評価した。100個の接続構造体のうち、導通不良が生じている個数が1個以下である場合を「○」、2個以上、3個以下である場合を「△」、4個以上である場合を「×」と判定した。
【0149】
(4)耐湿熱試験
得られた接続構造体15個を、85℃及び85%RHの条件で1000時間放置した後、同様に導通性を評価した。上記(2)の導通性の判定基準における結果が「○」である場合を「○」、導通性の判定基準における結果が「△」になる場合を「△」、導通性の判定基準における結果が「×」になる場合を「×」と判定した。
【0150】
(5)圧痕状態
得られた接続構造体における導電性粒子と電極との接続部分について、電極に形成された圧痕の状態を観察した。
【0151】
偏光顕微鏡を使用し、電極200μmあたりに明らかな球状の圧痕が確認できる場合を、良好な圧痕が形成されていると判断した。圧痕状態を下記の基準で判定した。
【0152】
[圧痕状態の判定基準]
○○:圧痕が非常に濃い
○:圧痕が濃い
×:圧痕が薄い
【0153】
結果を下記の表1,2に示す。
【0154】
【表1】

【0155】
【表2】

【符号の説明】
【0156】
1…接続構造体
2…第1の接続対象部材
2a…上面
2b…第1の電極
3…硬化物層
3a…上面
3A…異方性導電材料層
3B…Bステージ化された異方性導電材料層
4…第2の接続対象部材
4a…下面
4b…第2の電極
5…導電性粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材の上面に、硬化性成分と複数の導電性粒子とを含む異方性導電材料を用いて異方性導電材料層を配置する工程と、
前記異方性導電材料層の上面に、複数の第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材を、複数の前記第1の電極と複数の前記第2の電極とを対向させて積層する工程と、
前記異方性導電材料層を硬化させて硬化物層を形成し、該硬化物層により前記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続する工程とを備え、
複数の前記第2の電極高さがそれぞれ5μm以上、20μm以下であり、
複数の前記第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0.5μm以上、2μm以下であり、
前記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の前記導電性粒子の平均粒子径が2μm以上、20μm以下であり、
前記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の前記導電性粒子を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が20%以上、50%以下であり、かつ、
前記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の前記導電性粒子を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が5%以上、25%以下である、接続構造体の製造方法。
【請求項2】
複数の前記第1の電極高さがそれぞれ0.05μm以上、10μm以下であり、
複数の前記第1の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0μm以上、5μm以下である、請求項1に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項3】
前記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子の平均粒子径が、前記硬化物層により接続された前記第1,第2の接続対象部材における対向し合う複数の前記第1,第2の電極間の隙間の距離の平均値の1.1倍以上、5倍以下である、請求項1又は2に接続構造体の製造方法。
【請求項4】
前記硬化物層により接続された前記第1,第2の接続対象部材における対向し合う複数の前記第1,第2の電極間の隙間の距離の平均値が1μm以上、15μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項5】
前記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の前記導電性粒子の粒子径のCV値が3%以上、10%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項6】
前記硬化物層により接続された前記第1,第2の接続対象部材における対向し合う複数の前記第1,第2の電極間の隙間の距離のCV値が10%以上、30%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項7】
複数の第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材と、
複数の第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材と、
前記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続しており、かつ硬化性成分と複数の導電性粒子とを含む異方性導電材料を硬化させることにより形成された硬化物層とを備え、
複数の前記第2の電極高さがそれぞれ5μm以上、20μm以下であり、
複数の前記第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0.5μm以上、2μm以下であり、
前記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の前記導電性粒子の平均粒子径が2μm以上、20μm以下であり、
前記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の前記導電性粒子を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が20%以上、50%以下であり、かつ、
前記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の前記導電性粒子を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が5%以上、25%以下である、接続構造体。
【請求項8】
複数の前記第1の電極高さがそれぞれ0.05μm以上、10μm以下であり、
複数の前記第1の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0μm以上、5μm以下である、請求項7に記載の接続構造体。
【請求項9】
前記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の導電性粒子の平均粒子径が、前記硬化物層により接続された前記第1,第2の接続対象部材における対向し合う複数の前記第1,第2の電極間の隙間の距離の平均値の1.1倍以上、5倍以下である、請求項7又は8に接続構造体。
【請求項10】
前記硬化物層により接続された前記第1,第2の接続対象部材における対向し合う複数の前記第1,第2の電極間の隙間の距離の平均値が1μm以上、15μm以下である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の接続構造体。
【請求項11】
前記異方性導電材料に含まれる接続前の複数の前記導電性粒子の粒子径のCV値が3%以上、10%以下である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の接続構造体。
【請求項12】
前記硬化物層により接続された前記第1,第2の接続対象部材における対向し合う複数の前記第1,第2の電極間の隙間の距離のCV値が10%以上、30%以下である、請求項7〜11のいずれか1項に記載の接続構造体。
【請求項13】
複数の第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材と、複数の第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材とを、電気的に接続する硬化物層を形成するために用いられる異方性導電材料であって、
硬化性成分と複数の導電性粒子とを含み、
複数の前記第2の電極高さがそれぞれ5μm以上、20μm以下であり、
複数の前記第2の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0.5μm以上、2μm以下であり、
複数の前記導電性粒子の平均粒子径が2μm以上、20μm以下であり、
複数の前記導電性粒子を20%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が20%以上、50%以下であり、かつ、
複数の前記導電性粒子を50%圧縮変形したときの圧縮回復率の平均値が5%以上、25%以下である、異方性導電材料。
【請求項14】
複数の前記第1の電極高さがそれぞれ0.05μm以上、10μm以下であり、
複数の前記第1の電極高さの最大値と最小値との差の絶対値が0μm以上、5μm以下である、請求項13に記載の異方性導電材料。
【請求項15】
複数の前記導電性粒子の粒子径のCV値が3%以上、10%以下である、請求項13又は14に記載の異方性導電材料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−55045(P2013−55045A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173068(P2012−173068)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】