説明

接続構造体

【課題】熱伝導性に優れており、かつ取り扱い性にも優れている両面粘着シートを用いた接続構造体を提供する。
【解決手段】本発明に係る接続構造体で用いられる両面粘着シート1は、基材2と、該基材2の一方の表面2aに積層された第1の粘着剤層3と、該基材2の他方の表面2bに積層された第2の粘着剤層4とを備える。基材2は、25℃での弾性率が50GPa以上、300GPa以下であり、熱伝導率が100W/m・K以上であり、平均厚みが10μm以上、200μm以下である。第1,第2の粘着剤層3,4はそれぞれ、熱伝導率が5W/m・K以上であるアルミニウムを含む。第1,第2の粘着剤層3,4の100体積%中、上記フィラーの含有量は20体積%以上、60体積%以下である。第1,第2の粘着剤層3,4の平均厚みはそれぞれ、20μm以上、200μm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材と、該基材の両面に積層されている粘着剤層とを備える両面粘着シートに関し、より詳細には、熱伝導性及び取り扱い性に優れている両面粘着シートに関する。また、本発明は、上記両面粘着シートを用いた接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器及び通信機器では、該電子機器及び通信機器を構成する部材同士が、両面粘着シートを用いて貼り合わされていることがある。例えば、電子部品とヒートシンクとが両面粘着シートを用いて貼り合わされている。また、液晶表示装置では、該液晶表示装置を構成する部材同士が両面粘着シートを用いて貼り合わされている。
【0003】
上記液晶表示装置は、液晶パネル、液晶パネルの周辺に配置される駆動回路(ドライバーIC)、及び液晶パネルの裏側に貼り付けられるバックライトなどの部材により構成されている。
【0004】
上記バックライトの光源として、従来は冷陰極管が広く用いられていたが、近年は消費電力の小さいLEDが多く用いられるようになっている。
【0005】
LEDは、一般的にはアルミ板と絶縁層と銅箔との積層体に実装される。この積層体は、CCLと呼ばれている。該CCLは幅数mmの細長い板状に切断された後、切断後のCCLにLEDが実装され、LED基板が形成される。バックライト筐体とLED基板とを固定する際には、ネジ止めが一般的に用いられてきたが、近年では作業性を上げるために両面粘着シートが用いられる場合がある。この場合、まず両面粘着シートの一方の表面を、LED基板の裏面に貼り付ける。次に、両面粘着シートの他方の表面をバックライト筐体に押し付けることで、LED基板をバックライト筐体に固定する。
【0006】
上記両面粘着シートの一例として、下記の特許文献1には、軟性金属層と、該軟性金属層の片面又は両面に積層されたゴム層と、少なくとも片側のゴム層の表面を被覆している粘着剤とを有する両面粘着シートが開示されている。上記ゴム層は、好ましくは、疎水化された酸化マグネシウムを含む。
【0007】
下記の特許文献2には、GPC法によりポリスチレン換算分子量として測定された重量平均分子量が50万〜150万であるアクリル酸エステル系樹脂と、アルコール性水酸基を有し且つ軟化点が140〜170℃である粘着付与樹脂と、テルペンフェノール樹脂とを含み、ゲル分率が5〜40重量%であることを特徴とする粘着剤が、基材の両面に積層一体化されている両面粘着シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−204705号公報
【特許文献2】特開2010−65095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、電気機器及び通信機器の小型化及び高性能化が進行している。このため、上記電子機器及び通信機器では、電子部品の実装密度が高くなっている。これに伴って、電子部品から大きな熱量が発生しやすくなっており、発生した熱を放散させる必要が高まっている。熱を放散させるために、電子部品などの部材同士を貼り合わせる両面粘着シートは、高い熱伝導性を有する必要がある。
【0010】
特に上記のLEDバックライトでは、液晶テレビ等の液晶表示装置の大型化及び薄型化に伴い、高出力化及び高密度化が進んでいる。これは、液晶テレビの薄型化には、バックライトを液晶表示装置の周辺部に配置することが効果的であるが、周辺部の長さは面積の2分の1乗に比例するため、LEDの出力や実装数を増やす必要があるためである。LEDの温度が高くなると、発光効率が低下したり、寿命が短くなったりする。このため、LEDから発生する熱を効率的に放散させるため、LED基板とバックライト筐体を接合する両面粘着シートにも、高熱伝導化が要求される。
【0011】
しかしながら、特許文献1,2に記載のような従来の両面粘着シートの熱伝導性は比較的低いことがあり、発生した熱を充分に放散させることが困難なことがある。
【0012】
さらに、従来の両面粘着シートは、意図せずに折れ曲がることがある。例えば、剥離ライナーが両面に積層されている両面粘着シートをLED基板に実装する場合、一方の粘着剤層に積層された剥離ライナーを剥離して、LED基板を貼り付けた後、他方の剥離ライナーを剥離するときに、両面粘着シートがLED基板から剥がれ、折れ曲がることがある。
【0013】
本発明の目的は、熱伝導性に優れており、かつ取り扱い性にも優れている両面粘着シートを提供することである。本発明の限定的な目的は、接着後の使用時又は落下時に衝撃が加わったときに、両面粘着シートと接着対象物のとの密着性の低下を抑制することができる両面粘着シートを提供することである。
【0014】
また、本発明の目的は、熱伝導性に優れており、かつ取り扱い性にも優れている両面粘着シートを用いた接続構造体を提供することである。本発明の限定的な目的は、接着後の使用時又は落下時に衝撃が加わったときに、両面粘着シートと接着対象物のとの密着性の低下を抑制することができる両面粘着シートを用いた接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の広い局面によれば、基材と、該基材の一方の表面に積層された第1の粘着剤層と、該基材の他方の表面に積層された第2の粘着剤層とを備え、上記基材は、25℃での弾性率が50GPa以上、300GPa以下であり、熱伝導率が100W/m・K以上であり、平均厚みが10μm以上、200μm以下であり、上記第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、該第1,第2の粘着剤層100体積%中、アルミニウムを20体積%以上、60体積%以下含み、上記第1,第2の粘着剤層の平均厚みはそれぞれ、20μm以上、200μm以下である、両面粘着シートが提供される。
【0016】
また、本発明の広い局面によれば、発熱部品と、金属筐体又は放熱部品と、上記発熱部品と上記金属筐体又は放熱部品とを接着している両面粘着シートとを有し、上記両面粘着シートが、基材と、該基材の一方の表面に積層された第1の粘着剤層と、該基材の他方の表面に積層された第2の粘着剤層とを備え、上記基材は、25℃での弾性率が50GPa以上、300GPa以下であり、熱伝導率が100W/m・K以上であり、平均厚みが10μm以上、200μm以下であり、上記第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、該第1,第2の粘着剤層100体積%中、アルミニウムを20体積%以上、60体積%以下含み、前記第1,第2の粘着剤層の平均厚みはそれぞれ、20μm以上、200μm以下である、接続構造体が提供される。
【0017】
本明細書では、上述した両面粘着シートに関する発明と、上述した接続構造体に関する発明との双方が開示される。
【0018】
本発明では、上記両面粘着シートは、上記第1の粘着剤層の上記基材側とは反対の表面と上記第2の粘着剤層の上記基材側とは反対の表面との内の少なくとも一方の表面に積層されている剥離ライナーをさらに備えることが好ましい。
【0019】
上記剥離ライナーは、25℃での弾性率が1GPa以上、10GPa以下であり、平均厚みが60μm以上であることが好ましい。上記剥離ライナーが積層された上記粘着剤層に対する該剥離ライナーの25℃での180°最大剥離強度が、0.04N/25mm以上、0.5N/25mm以下であり、上記第1,第2の粘着剤層の上記基材側とは反対の表面にアルミニウム板を貼り付けたときに、上記アルミニウム板に対する上記第1,第2の粘着剤層の25℃での180°平均剥離強度がそれぞれ、6N/25mm以上、50N/25mm以下であることが好ましい。
【0020】
本発明では、上記両面粘着シートは、上記第1の粘着剤層の上記基材側とは反対の表面が、第1の被着体に貼り付けられた後に、上記第2の粘着剤層の上記基材側とは反対の表面が、第2の被着体に貼り付けられて用いられ、先に上記第1の被着体に貼り付けられる上記第1の粘着剤層の平均厚みが、後に上記第2の被着体に貼り付けられる上記第2の粘着剤層の平均厚みよりも10%以上50%以下薄いことが好ましい。
【0021】
上記第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、重量平均分子量が50万以上、150万以下である(メタ)アクリル酸エステル樹脂と、アルコール性水酸基を有しかつ水酸基価が35以上である粘着付与樹脂と、テルペンフェノール樹脂とを含む。上記粘着付与樹脂は、ロジンエステル樹脂であることが好ましい。上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂100重量部に対して、上記粘着付与樹脂の含有量が5〜40重量部かつ上記テルペンフェノール樹脂の含有量が3〜20重量部であることが好ましい。
【0022】
上記基材の表面がエンボス加工されており、上記基材が、上記第1,第2の粘着剤層が積層された表面に凸部又は凹部を有し、該凸部の平均高さ又は該凹部の平均深さが、1μm以上、両面粘着シートの厚みの20%以下、かつ上記第1,第2の粘着剤層の各平均厚みの2倍以下であることが好ましい。上記基材の表面は、酸化処理されていることが好ましい。上記基材は金属箔であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る両面粘着シートでは、基材の両側の表面に第1,第2の粘着剤層が積層されており、基材は、25℃での弾性率が50GPa以上、300GPa以下であり、熱伝導率が100W/m・K以上であり、平均厚みが10μm以上、200μm以下であり、第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、該第1,第2の粘着剤層100体積%中、アルミニウムを20体積%以上、60体積%以下含み、第1,第2の粘着剤層の平均厚みはそれぞれ、20μm以上、200μm以下であるので、両面粘着シートの熱伝導性を高めることができ、更に取り扱い性を高めることができる。
【0024】
本発明に係る接続構造体では、基材の両側の表面に第1,第2の粘着剤層が積層されている両面粘着シートが用いられており、上記基材は、25℃での弾性率が50GPa以上、300GPa以下であり、熱伝導率が100W/m・K以上であり、平均厚みが10μm以上、200μm以下であり、第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、該第1,第2の粘着剤層100体積%中、アルミニウムを20体積%以上、60体積%以下含み、第1,第2の粘着剤層の平均厚みはそれぞれ、20μm以上、200μm以下であるので、両面粘着シートの熱伝導性が高く、かつ取り扱い性が高い結果として、良好な接続構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る両面粘着シートを示す部分切欠正面断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係る両面粘着シートを用いて、第1,第2の被着体を貼り合わせた状態を示す部分切欠正面断面図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施形態に係る両面粘着シートを示す部分切欠正面断面図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、図1に示す両面粘着シートにおける基材の変形例を示す部分切欠正面断面図である。
【図5】図5は、図3に示す両面粘着シートを用いた接続構造体の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0027】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る両面粘着テープを部分切欠正面断面図で示す。
【0028】
図1に示す両面粘着シート1は、基材2と、該基材2の一方の表面2a(第1の表面)に積層された第1の粘着剤層3と、該基材2の一方の表面2aとは反対の他方の表面2b(第2の表面)に積層された第2の粘着剤層4とを備える。表面2aは、第1の粘着剤層3が積層された表面である。表面2bは、第2の粘着剤層4が積層された表面である。
【0029】
基材2の両側の表面2a,2bは、エンボス加工されている。それによって、基材2は、両側の表面2a,2bにそれぞれ複数の凸部2cを有する。また、基材2の凸部2cに起因して、第1の粘着剤層3は、基材2側とは反対の表面3aに複数の凸部3bを有する。基材2の凸部2cに起因して、第2の粘着剤層4は、基材2側とは反対の表面4aに複数の凸部4bを有する。第1,第2の粘着剤層の基材側とは反対の表面はそれぞれ、平坦であってもよい。
【0030】
また、両面粘着シート1は、第1の粘着剤層3の基材2側とは反対の表面3aに積層された第1の剥離ライナー5を備える。さらに、両面粘着シート1は、第2の粘着剤層4の基材2側とは反対の表面4aに積層された第2の剥離ライナー6を備える。なお、第1の粘着剤層の上記基材側とは反対の表面と上記第2の粘着剤層の上記基材側とは反対の表面との内の少なくとも一方の表面に剥離ライナーが積層されていればよい。表面3aのみに第1の剥離ライナー5が積層されていてもよく、表面4aのみに第2の剥離ライナー6が積層されていてもよく、表面3aに第1の剥離ライナー5が積層されており、かつ表面4aに第2の剥離ライナー6が積層されていてもよい。
【0031】
基材2の25℃での弾性率は、50GPa以上、300GPa以下である。基材2の熱伝導率は、100W/m・K以上である。基材2の平均厚みは、10μm以上、200μm以下である。
【0032】
第1,第2の粘着剤層3,4はそれぞれ、熱伝導率が5W/m・K以上であるフィラーを含む。第1,第2の粘着剤層3,4の100体積%中、熱伝導率が5W/m・K以上であるフィラーの含有量はそれぞれ、20体積%以上、60体積%以下である。第1,第2の粘着剤層3,4の平均厚みはそれぞれ、20μm以上、200μm以下である。
【0033】
本実施形態に係る両面粘着シート1では、基材2の両側の表面2a,2bに第1,第2の粘着剤層3,4が積層されており、基材2の25℃での弾性率、熱伝導率及び平均厚みが特定の上記範囲内であり、第1,第2の粘着剤層3,4はそれぞれ、アルミニウムを特定の上記含有量で含み、第1,第2の粘着剤層3,4の平均厚みがそれぞれ特定の上記範囲内にあることによって、両面粘着シート1の熱伝導性を高めることができ、更に取り扱い性を高めることができる。
【0034】
上記取り扱い性が高いとは、両面粘着シートが意図せずに折れ曲がり難かったり、ハンドリング性が高かったりすることをいう。上記折れ曲がりが生じる原因としては、剥離ライナーを第1,第2の粘着剤層から剥離するときの基材の端部と剥離ライナーの端部とがひっかかり、及び剥離ライナーを第1,第2の粘着剤層から剥離するときの剥離ライナーと基材及び第1,第2の粘着剤層との伸びの違い等が挙げられる。
【0035】
また、第1,第2の粘着剤層3,4に含まれているフィラーがアルミニウムであることによって、アルミナなどのアルミニウム以外のフィラーを用いた場合と比べて、接着後の使用時又は落下時に衝撃が加わったときに、両面粘着シートと接着対象物との密着性を低下し難くすることができる。
【0036】
両面粘着シート1は、図2に示すように、第1,第2の剥離ライナー5,6を剥離して、両面粘着シート1Aの状態で被着体に貼り付けられる。両面粘着シート1Aは、好ましくは第1の粘着剤層3の基材2側とは反対の表面3aが、第1の被着体11に貼り付けられた後に、第2の粘着剤層4の基材2側とは反対の表面4aが第2の被着体12に貼り付けられて用いられる。この場合に、好ましくは表面3aが第1の被着体11に貼り付けられる前に、第1の剥離ライナー5を第1の粘着剤層3の表面3aから剥離して、第1の粘着剤層3の表面3aを露出させ、次に露出した表面3aに第1の被着体11を貼り付ける。次に、第2の剥離ライナー6を第2の粘着剤層4の表面4aから剥離して、第2の粘着剤層4の表面4aを露出させ、次に露出した表面4aに第2の被着体12を貼り付ける。
【0037】
図3に、本発明の第2の実施形態に係る両面粘着テープを部分切欠正面断面図で示す。
【0038】
図3に示す両面粘着シート21は、基材22と、該基材22の一方の表面22a(第1の表面)に積層された第1の粘着剤層23と、該基材22の一方の面22aとは反対の他方の表面22b(第2の表面)に積層された第2の粘着剤層24とを備える。表面22aは、第1の粘着剤層23が積層された表面である。表面22bは、第2の粘着剤層24が積層された表面である。基材22の両側の表面22a,22bは、エンボス加工されていない。第1,第2の粘着剤層23,24の基材22側とは反対の表面23a,24aはそれぞれ、平坦である。
【0039】
また、両面粘着シート21は、第1の粘着剤層23の基材22側とは反対の表面23aに積層された第1の剥離ライナー25を備える。さらに、両面粘着シート21は、第2の粘着剤層24の基材22側とは反対の表面24aに積層された第2の剥離ライナー26を備える。
【0040】
以下、先ず、基材、第1,第2の粘着剤層及び第1,第2の剥離ライナーの詳細を説明する。その後、両面粘着シートの詳細を説明する。
【0041】
(基材)
上記基材は、第1,第2の粘着剤層を支持するための支持体である。上記基材としては、金属箔、不織布、紙及びプラスチックフィルム等が挙げられる。なかでも、両面粘着シートの熱伝導性をより一層高める観点からは、上記基材は金属箔であることが好ましい。該金属箔の材質としては、アルミニウム、銅、金、及びグラファイトシート等が挙げられる。なかでも、両面粘着テープの熱伝導性がより一層高くなることから、上記金属箔は、金箔、銅箔又はアルミニウム箔であることが好ましく、アルミニウム箔であることがより好ましい。アルミニウム箔の使用により、熱伝導性と加工性と耐腐食性を高くし、かつコストを低くすることができる。また、ヒートシンク又はLEDのメタル基板には、アルミニウムが用いられることが多い。このため、基材がアルミニウム箔であると、熱膨張などにより変形に対する追従性が高くなるため、耐熱性が良好になる。上記アルミニウム箔の純度は高いほど熱伝導率が高くなるので、上記アルミニウム箔の純度は99.9重量%以上であることが好ましい。なお、下記の表1に、一部の基材の弾性率及び熱伝導率を示す。
【0042】
【表1】

【0043】
上記基材の25℃での弾性率は、50GPa以上、300GPa以下である。基材の上記弾性率が50GPa未満であると、両面粘着シートに被着体を貼り合わせる際に両面粘着シートが伸びやすく、両面粘着シートの取り扱いが困難となる。基材の上記弾性率が300GPaを超えると、両面粘着シートを打ち抜き加工した際にバリ又はカエリが生じて両面粘着シートの密着性が低下したり、基材にエンボス加工を施すことが困難になったり、両面粘着シートを切断したときに切断面が鋭利になったりする。両面粘着シートの取り扱い性をより一層高めるために、基材の上記弾性率は、好ましくは1GPa以上である。基材の弾性率が低すぎると、貼り付け作業時に基材が伸びて作業性が低下する。基材の上記弾性率は、好ましくは100GPa以下である。
【0044】
基材の上記弾性率は、例えば、オリエンテック社製「テンシロン」等を用いて測定できる。測定条件は、基材を10mm幅に切り出し、チャック間距離50mm、引っ張り速度50mm/分である。
【0045】
上記基材の熱伝導率は100W/m・K以上である。このため、両面粘着シートの熱伝導性を高くすることができる。上記基材の熱伝導率の上限は特に限定されない。上記基材の熱伝導率は高いほどよく、上限は実質的に存在しない。
【0046】
上記基材の平均厚みは、10μm以上、200μm以下である。基材の平均厚みが10μm以下であると、両面粘着シートの熱伝導性が低くなったり、機械的強度が低くなったり、取り扱い性が低下したりする。基材の平均厚みが200μmを超えると、両面粘着シートの機械的強度が高くなりすぎたり、両面粘着シートを被着体の形状に沿って被着体に密着させることが困難になったり、両面粘着シートを裁断する際にバリが発生し、両面粘着シートと被着体との密着性が低下したりする。更に、両面粘着シートの厚みが必要以上に厚すぎて、該両面粘着シートを用いる電子機器又は通信機器の小型化の要求に対応することが困難になったりする。両面粘着シートの熱伝導性をより一層高めるために、基材の平均厚みは、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上である。両面粘着シートの柔軟性を高め、かつ各種用途での薄型化の要求に対応するために、両面粘着シートの平均厚みは、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下である。
【0047】
上記基材は、少なくとも一方の表面がエンボス加工されていることが好ましい。上記基材は、上記第1,第2の粘着剤層が積層される両側の表面がエンボス加工されていることが好ましい。上記エンボス加工により、基材に、凸部又は凹部が形成されて、厚みが厚い部分と厚みの薄い部分とが形成される。基材の厚みの厚い部分により、両面粘着シートの熱伝導性が高くなる。基材の厚みの薄い部分により、両面粘着シートの被着体に対する密着性が高くなる。従って、エンボス加工により、両面粘着シートの高い熱伝導性と高い密着性とを両立できる。
【0048】
図1に示した両面粘着シート1における基材2は、両側の表面2a,2bにそれぞれ複数の凸部2cを有する。表面2aに設けられた複数の凸部2cの位置と裏側の表面2bに設けられた複数の凸部2cの位置とは、基材2の厚み方向において一致している。すなわち、表面2a,2bの対向する部分においていずれも凸部2cが設けられている。このように、表面2aに設けられた複数の凸部2cの位置と裏側の表面2bに設けられた複数の凸部2cの位置とは、基材2の厚み方向において一致していることが好ましい。この場合には、両面粘着シートの熱伝導性がより一層高くなる。
【0049】
図4(a)及び(b)に基材の変形例を示す。図4(a)に示す基材51は、両側の表面51a,51bにそれぞれ複数の凸部51cを有する。表面51aに設けられた複数の凸部51cの位置と表面51bに設けられた複数の凸部51cの位置とは、基材51の厚み方向において一致していない。表面51aに設けられた複数の凸部51cの位置の表面51bには、凸部51c間の凹部が位置している。すなわち、表面51a,51bの対向する部分において、一方の表面51aに凸部51cが設けられており、他方の表面51bに凹部が設けられている。図4(b)に示す基材52は、は、一方の表面52aのみに複数の凸部52cを有し、他方の表面52bに凸部を有さない。
【0050】
上記エンボスの形状としては、図1、図4(a)及び図4(b)に示す形状に限定されない。上記エンボスの形状としては、断面が三角波、矩形波又は正弦波などの形状、並びに部分的に円柱状の突起が設けられた形状等が挙げられる。
【0051】
上記エンボスを形成する方法としては、例えば、リップエンボス法及びロールエンボス法等が挙げられる。なかでも、ロールエンボス法が好ましい。上記エンボスを形成する方法としては、具体的には、凹部又は凸部を表面に有する賦型ロールと他のロールとの間で、又は2つの該賦型ロールの間で基材を賦型する方法が挙げられる。上記他のロールとしては、ゴムロール及び金属ロール等が挙げられる。上記他のロールの表面は平坦であってもよい。
【0052】
上記基材は、少なくとも一方の表面に凸部又は凹部を有することが好ましい。上記基材は、上記第1,第2の粘着剤層が積層される両側の表面に凸部又は凹部を有することが好ましい。この凸部又は凹部は、エンボス加工により形成されていることが好ましい。上記基材の凸部の平均高さ又は凹部の平均深さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは30μm以下である。上記基材の凸部の平均高さ又は凹部の平均深さは、両面粘着シートの厚みの20%以下であることが好ましく、5%以上であることが好ましい。上記基材の凸部の平均高さ又は凹部の平均深さは、第1,第2の粘着剤層の各平均厚みの0.5倍以下であることが好ましく、0.1倍以上であることが好ましい。上記のような凸部又は凹部が基材の表面に設けられていることにより、両面粘着シートの熱伝導性がより一層高くなり、両面粘着シートと被着体との密着性がより一層良好になる。なお、凸部の先端上に粘着剤層がなく、凸部の断面が三角形状である場合には、凸部の高さの半分が粘着剤層の平均厚みになる。例えば、ヒートシンクと接触しない程度に凸部の先端上に粘着剤層がある場合には、基材の表面がエンボス加工されていない両面粘着シートと比較して、基材の表面がエンボス加工されている両面粘着シートの熱伝導性は高くなる。上記凸部の平均高さ又は上記凹部の平均深さは、基材の厚み方向における値である。
【0053】
凸部のピッチ(隣り合う凸部の中心間の距離)又は凹部のピッチ(隣り合う凹部の中心間の距離)は、被着体の形状により適宜変更できる。凸部のピッチ又は凹部のピッチは、好ましくは100μm以上、より好ましくは1cm以下である。
【0054】
(第1,第2の粘着剤層)
第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、熱伝導率が5W/m・K以上であるフィラーを含む。該フィラーはアルミニウムである。アルミニウムは、熱伝導率が5W/m・K以上であるフィラーである。アルミニウムの使用により、両面粘着シート及び第1,第2の粘着剤層の熱伝導性を高めることができる。第1,第2の粘着剤層が熱伝導率が5W/m・K未満であるフィラーを含むと、両面粘着シートの熱伝導性を充分に高めることは困難である。
【0055】
熱伝導率が5W/m・K以上であるフィラーとしては、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス、鉄及び銅等の金属フィラーが挙げられる。熱伝導率が5W/m・K以上であるフィラーとしては、アルミナ、合成マグネサイト、結晶性シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウム等の金属化合物も挙げられる。これらの好ましいフィラーの使用により、両面粘着シートの熱伝導性がより一層高くなる。
【0056】
本発明では、熱伝導率が5W/m・K以上であるフィラーとして、アルミニウムを用いる。アルミニウムの使用により、両面粘着シートの熱伝導性がより一層高くなる。アルミニウムの使用により、両面粘着シートの熱伝導性が高くなるだけでなく、接着後の使用時又は落下時に衝撃が加わったときに、両面粘着シートと接着対象物との密着性を低下し難くすることができる。なお、以下に記載する「フィラー」の用語には、アルミニウムが含まれる。
【0057】
上記フィラーは球状のフィラーであってもよく、破砕されたフィラーであってもよい。フィラーは、球状であることが特に好ましい。球状フィラーの場合には、高密度で充填可能であるため、両面粘着シートの熱伝導性がより一層高くなる。
【0058】
上記破砕されたフィラーは、例えば、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー又はボールミル等を用いて、塊状の無機物質を破砕することにより得られる。破砕されたフィラーの使用により、粘着剤層中のフィラーが、橋掛け又は効率的に近接された構造となりやすい。従って、破砕されたフィラーの充填量が球状のフィラーの充填量と同じ場合には、両面粘着シートの熱伝導性がより一層高くなる。また、破砕されたフィラーは、一般的に、通常のフィラーに比べて安価である。このため、破砕されたフィラーの使用により、両面粘着シートのコストが低くなる。
【0059】
上記破砕されたフィラーの平均粒子径は、好ましくは12μm以下、より好ましくは10μm以下、好ましくは1μm以上である。破砕されたフィラーの平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、粘着剤層中に破砕されたフィラーを高密度に充填させることが容易である。
【0060】
破砕されたフィラーのアスペクト比は、特に限定されない。破砕されたフィラーのアスペクト比は、1.5以上、20以下であることが好ましい。アスペクト比が1.5未満のフィラーは、比較的高価である。従って、両面粘着シートのコストが高くなる。上記アスペクト比が20以下であると、粘着剤層中における破砕されたフィラーの充填が容易である。
【0061】
上記破砕されたフィラーのアスペクト比は、例えば、デジタル画像解析方式粒度分布測定装置(商品名:FPA、日本ルフト社製)を用いて、フィラーの破砕面を測定することにより求めることができる。
【0062】
上記フィラーが球状のフィラーである場合には、球状のフィラーの平均粒子径は、0.1μm以上、40μm以下であることが好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であると、フィラーを高密度で容易に充填できる。平均粒子径が40μm以下であると、粘着剤層の厚みを薄くすることができる。
【0063】
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
【0064】
第1の粘着剤層100体積%中、アルミニウムの含有量は20体積%以上、60体積%以下である。第2の粘着剤層100体積%中、アルミニウムの含有量は20体積%以上、60体積%以下である。第1,第2の粘着剤層中のアルミニウムの含有量がそれぞれ20体積%未満であると、両面粘着シートの熱伝導性が低くなる。第1,第2の粘着剤層中のアルミニウムの含有量がそれぞれ60体積%を超えると、第1,第2の粘着剤層の表面の粘着力が低くなる。両面粘着シートの熱伝導性をより一層高めるために、第1,第2の粘着剤層中のアルミニウムの含有量はそれぞれ、好ましくは25体積%以上、より好ましくは30体積%以上である。第1,第2の粘着剤層の粘着力をより一層高めるために、第1,第2の粘着剤層中のアルミニウムの含有量はそれぞれ、好ましくは55体積%以下、より好ましくは50体積%以下である。
【0065】
上記第1,第2の粘着剤層に用いられる樹脂としては、シロキサン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂及びポリオレフィン樹脂等が挙げられる。なかでも、粘着性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステル樹脂が好ましい。なお、「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。
【0066】
上記第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、重量平均分子量が50万以上、150万以下である(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含むことが好ましい。上記第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、アルコール性水酸基を有しかつ水酸基価が35以上である粘着付与樹脂を含むことが好ましい。上記第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、テルペンフェノール樹脂を含むことが好ましい。第1の粘着剤層と第2の粘着剤層とは、同一の材料により形成されていてもよく、異なる材料により形成されていてもよい。
【0067】
上記第1,第2の粘着剤層が、上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂、アルコール性水酸基を有しかつ水酸基価が35以上である粘着付与樹脂と、アルコール性水酸基を有しかつ水酸基価が35以上である粘着付与樹脂と、テルペンフェノール樹脂とを含むことにより、両面粘着シートの被着体への密着性がより一層高くなる。
【0068】
上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、重合成分として(メタ)アクリル酸エステルを用いた重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0069】
上記アクリル酸エステル樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを単独重合した(メタ)アクリル酸アルキルエステル樹脂、二種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを共重合した(メタ)アクリル酸アルキルエステル樹脂、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと該(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体などが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと該(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体が好ましい。
【0070】
上記(メタ)アクリル酸エステルは、炭素数1〜12の一級又は二級のアルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得られる(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。
【0071】
上記(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0072】
上記(メタ)アクリル酸エステルを得るための重合成分の他の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等のカルボキシル基含有モノマー、並びにグリシジルアクリレート及びアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
【0073】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーは、粘着剤層の凝集力を高める目的で用いられる。上記他のビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル樹脂のガラス転移温度(Tg)を上昇させるビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステル樹脂の主鎖間に架橋構造を形成するのに寄与するビニルモノマー等が挙げられる。
【0074】
上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂のTgを上昇させるビニルモノマーとしては特に限定されず、カルボキシ基含有モノマー、水酸基含有モノマー、無水マレイン酸、酢酸ビニル及びスチレン等が挙げられる。上記カルボキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸及びイタコン酸等が挙げられる。上記水酸基含有モノマーとしては、n−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸エステル樹脂の分子量の制御に影響を及ぼしにくく、粘着剤層の粘着性を高めることができるので、アクリル酸が好ましい。
【0075】
上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂の全構造単位100重量%中、上記Tgを上昇させるビニルモノマーに由来する構造単位の含有割合は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。上記Tgを上昇させるビニルモノマーに由来する構造単位の含有割合が上記下限以上であると、粘着剤層のTgを十分に上昇させることができ、粘着剤層の凝集力を高くすることができる。上記Tgを上昇させるビニルモノマーに由来する構造単位の含有割合が上記上限以下であると、粘着剤層の粘着力及びタックがより一層良好になる。
【0076】
上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂の主鎖間に架橋構造を形成するのに寄与するビニルモノマーとしては、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0077】
上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、後述するイソシアネート架橋剤又はエポキシ架橋剤とを用いることで、第1,第2の粘着剤層のゲル分率を5〜40重量%に調整しやすく、また粘着剤層の耐反発性能と耐剥離性能とを高めることができる。
【0078】
上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル及びこれらのカプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0079】
上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂の全構造単位100重量%中、上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の含有割合は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の含有割合が上記下限以上であると、粘着剤層のゲル分率を適度な範囲に制御しやすく、粘着剤層のゲル分率を適度な範囲に調整するために多量の架橋剤を用いる必要がなく、更に粘着剤層の耐反発性が良好になる。上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の含有割合が上記上限以下であると、粘着剤層のゲル分率が高くなりすぎず、少量の架橋剤でゲル分率を適度な範囲に調整でき、更に粘着剤層中における架橋剤量のばらつきが少なくなるので均一な架橋構造が得やすくなる。
【0080】
上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂の重量平均分子量は、好ましくは55万以上、より好ましくは300万以下、更に好ましくは90万以下である。上記重量平均分子量が上記下限以上であると、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって、粘着剤層が被着体からより一層剥離し難くなる。上記重量平均分子量が上記上限以下であると、粘着剤層の粘着力がより一層良好になり、更に被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって、粘着剤層が被着体からより一層剥離し難くなる。
【0081】
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。例えば、上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂をテトラヒドロフランで50倍に希釈した希釈液をフィルターでろ過し、得られたろ過液を用いて上記重量平均分子量を測定できる。このゲルパーミエーションクロマトグラフィーには、Water社製の商品名「2690 Separations Model」等が用いられる。また、上記重量平均分子量の測定に用いられるカラムとしては、例えば、Shodex GPC LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0082】
上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、重合開始剤を用いて、上記(メタ)アクリル酸エステルなどの重合成分を重合させることにより得られる。重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合及び塊状重合等が挙げられる。
【0083】
上記重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート及びt−ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。なかでも、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン又はt−ヘキシルパーオキシピバレートが好ましい。上記重合開始剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0084】
第1,第2の粘着剤層における上記フィラーを除く全成分100重量%中、上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、両面粘着シートの熱伝導性を十分に確保でき、両面粘着シートの被着体への密着性がより一層良好になる。
【0085】
上記粘着付与樹脂は、アルコール性水酸基を有する。アルコール性水酸基を有する粘着付与樹脂の使用により、被着体が変形しても、粘着剤層が被着体から剥離し難くなる。上記粘着付与樹脂の水酸基価は35以上であることが好ましい。上記粘着付与樹脂としては、特に限定されず、例えば、ロジンエステル樹脂及び水素化テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。粘着付与樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0086】
両面粘着シートの被着体からの剥離をより一層抑制する観点からは、上記粘着付与樹脂はロジンエステル樹脂であることが好ましく、重合ロジンエステル樹脂であることがより好ましい。
【0087】
上記ロジンエステル樹脂とは、例えば、アビエチン酸を主成分とするロジン樹脂、不均化ロジン樹脂及び水添ロジン樹脂、並びにアビエチン酸などの樹脂酸の二量体(重合ロジン樹脂)などを、アルコール類によってエステル化させて得られる樹脂であって、エステル化に用いたアルコール類の水酸基の一部がエステル化されていないロジンエステル樹脂である。ロジン樹脂のエステル化物がロジンエステル樹脂、不均化ロジン樹脂のエステル化物が不均化ロジンエステル樹脂、水添ロジン樹脂のエステル化物が水添ロジンエステル樹脂、重合ロジン樹脂のエステル化物が重合ロジンエステル樹脂である。
【0088】
上記エステル化に使用されるアルコール類としては、多価アルコール等が挙げられる。該多価アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン及びペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0089】
上記粘着付与樹脂の水酸基価は、好ましくは35以上、より好ましくは40以上、好ましくは60以下、より好ましくは58以下である。上記水酸基価が上記下限以上であると、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって、両面粘着シートが被着体から剥離するのを抑制できる。上記水酸基価が上記上限以下であると、例えばイソシアネート系架橋剤などの架橋剤を添加して粘着剤を架橋させる場合に、架橋不良が生じ難くなる。上記粘着付与樹脂の水酸基価は、JIS K0070に準拠して測定される。
【0090】
上記粘着付与樹脂の軟化点は、好ましくは140℃以上、より好ましくは145℃以上、好ましくは170℃以下、より好ましくは165℃以下である。粘着付与樹脂の軟化点が上記下限以上及び上記上限以下であると、粘着剤層の厚みが薄い場合にあっても、粘着剤層の粘着力、耐反発性、及び被着体への変形追従性が良好になる。上記軟化点が上記下限以上であると、粘着剤層に熱が加わった場合、及び粘着剤層を長時間使用した場合に、粘着剤層の流動性が大きくなりすぎず、両面粘着シートが被着体から剥離し難くなる。粘着付与樹脂の軟化点が上記上限以下であると、粘着剤層が硬くなりすぎず、被着体が変形した場合に、両面粘着シートが被着体から剥離するのを抑制できる。粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K2207に準拠して測定される。
【0091】
上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂100重量部に対して、上記粘着付与樹脂の含有量は、好ましくは5重量部以上、好ましくは8重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは35重量部以下である。粘着付与樹脂の含有量が上記下限以上であると、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって、両面粘着シートが被着体から剥離するのを抑制できる。粘着付与樹脂の含有量が上記上限以下であると、粘着剤層が硬くなりすぎず、粘着剤層の粘着力及びタックがより一層良好になる。
【0092】
上記テルペンフェノール樹脂とは、フェノールの存在下においてテルペンを重合させて得られる樹脂である。上記テルペンフェノール樹脂には、テルペンフェノール樹脂に水添化処理をした水素化テルペンフェノール樹脂は含まれない。上記テルペンフェノール樹脂中の芳香族環は、粘着力の向上に寄与する。
【0093】
上記テルペンフェノール樹脂の軟化点は、好ましくは140℃以上、より好ましくは145℃以上、好ましくは170℃以下である。上記テルペンフェノール樹脂の軟化点が上記下限以上であると、粘着剤層の耐熱性が高くなる。上記テルペンフェノール樹脂の軟化点が上記上限以下であると、粘着剤層が硬くなりすぎず、粘着力及びタックがより一層良好になり、更に、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって、両面粘着シートが被着体から剥離するのを抑制できる。テルペンフェノール樹脂の軟化点は、JIS K2207に準拠して測定される。
【0094】
上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂100重量部に対して、上記テルペンフェノール樹脂の含有量は、好ましくは3重量部以上、より好ましくは5重量部以上、好ましくは20重量部以下、より好ましくは15重量部以下である。テルペンフェノール樹脂の含有量が上記下限以上であると、粘着剤層の耐熱性及び粘着力がより一層良好になる。テルペンフェノール樹脂の含有量が上記上限以下であると、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって、両面粘着シートが被着体から剥離するのを抑制できる。
【0095】
上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含む粘着剤として、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば綜研化学社製エスダインシリーズ、及び東亞合成社製アロンタックシリーズなどが挙げられる。
【0096】
上記第1,第2の粘着剤層では、架橋剤を用いて、粘着剤層を構成する樹脂の主鎖間に架橋構造を形成されていることが好ましい。架橋剤の種類及び含有量を調整することによって、粘着剤層のゲル分率を所望の範囲に容易に調整できる。
【0097】
上記架橋剤としては、イソシアネート架橋剤、アジリジン架橋剤、エポキシ架橋剤及び金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート架橋剤が好ましい。イソシアネート架橋剤中のイソシアネート基と、上記粘着付与樹脂中のアルコール性水酸基との反応により、ウレタン結合が形成される。このウレタン結合により、被着体の変形に伴って生じる剥離応力による両面粘着シートの被着体からの剥離が生じ難くなる。さらに、イソシアネート架橋剤の使用により、上記基材と上記粘着剤層との密着性が高くなる。
【0098】
上記架橋剤の配合量は、架橋剤の種類により適宜調整でき特に限定されない。上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂100重量部に対して、上記架橋剤の含有量は、好ましくは0.05重量部以上、好ましくは1.7重量部以下である。上記架橋剤の含有量が上記下限以上であると、粘着剤層中の樹脂が充分に架橋する。上記架橋剤の含有量が上記上限以下であると、粘着剤層の粘着力及びタックがより一層良好になる。
【0099】
エポキシ架橋剤を用いる場合には、上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂100重量部に対して、上記エポキシ架橋剤の含有量は好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.07重量部以上、好ましくは0.17重量部以下、より好ましくは0.15重量部以下である。上記エポキシ架橋剤の含有量が上記下限以上であると、粘着剤層中の樹脂が充分に架橋する。上記架橋剤の含有量が上記上限以下であると、粘着剤層の粘着力及びタックがより一層良好になる。
【0100】
第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、必要に応じて、可塑剤、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料及び染料などの添加剤を含んでいてもよい。充填材又は顔料などのフィラーを用いる場合には、フィラーの平均粒子径は第1,第2の粘着剤層の各厚みの5%以下であることが好ましい。フィラーの最大粒子径は第1,第2の粘着剤層の各厚みの10%以下であることが好ましい。
【0101】
また、基材がアルミニウム箔である場合には、アルミニウム箔と粘着剤層との密着性を高めるために、第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、アルミニウム系キレート材又はシランカップリング剤を含んでいてもよい。
【0102】
第1,第2の粘着剤層の平均厚みはそれぞれ、20μm以上、200μm以下である。第1,第2の粘着剤層の平均厚みが上記範囲内であると、両面粘着シートの取り扱い性が高くなる。両面粘着シートの取り扱い性をより一層高める観点からは、第1,第2の粘着剤層の平均厚みはそれぞれ、好ましくは10μm以上、好ましくは200μm以下である。また、第1,第2の粘着剤層の平均厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、第1の粘着剤層の基材側とは反対の表面を第1の被着体に貼り付けた後、第2の粘着剤層の表面に積層された剥離ライナーを剥離する際に、該剥離ライナーをより一層容易に剥離できる。
【0103】
(剥離ライナー)
剥離ライナーの使用により、両面粘着シートの取り扱い性を高めることができ、更に粘着剤層に異物が付着するのを抑制できる。
【0104】
上記剥離ライナーの材質は特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、及び離型紙等があげられる。なかでも、剥離ライナーの剥離を容易にする観点からは、上記剥離ライナーの材質は、ポリエチレン樹脂であることが好ましい。上記剥離ライナーの上記第1,第2の粘着剤層側の表面は、離型処理されていてもよい。さらに、上記剥離ライナーの上記第1,第2の粘着剤層側の表面には、剥離性を高めるためにシリコーンなどの離型剤が塗布されていてもよい。
【0105】
上記剥離ライナーの25℃での弾性率は、1GPa以上、10GPa以下であることが好ましい。剥離ライナーの上記弾性率がこの範囲内であると、両面粘着シートの取り扱い性がより一層高くなる。剥離ライナーの上記弾性率は、より好ましくは2GPa以上、より好ましくは4GPa以下である。また、剥離ライナーの上記弾性率が上記下限以上及び上記上限以下であると、第1の粘着剤層の基材側とは反対の表面を第1の被着体に貼り付けた後、第2の粘着剤層の表面に積層された剥離ライナーを剥離する際に、剥離ライナーを除く両面粘着シートが折れ曲がらずに、該剥離ライナーをより一層容易に剥離できる。なお、下記の表2に、一部の剥離ライナーの弾性率を示す。
【0106】
【表2】

【0107】
剥離ライナーの上記弾性率は、例えば、オリエンテック社製「テンシロン」等を用いて測定できる。測定条件は、基材を10mm幅に切り出し、チャック間距離50mm、及び引っ張り速度50mm/分である。
【0108】
上記剥離ライナーの平均厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは60μm以上、更に好ましい下限は80μm以上である。剥離ライナーの平均厚みが上記下限以上であると、剥離ライナーを第1,第2の粘着剤層からより一層容易に剥離できる。上記剥離ライナーの平均厚みは、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下である。剥離ライナーの平均厚みが上記上限以下であると、両面粘着シートの厚みが厚くなりすぎない。
【0109】
(両面粘着シート)
本発明に係る両面粘着シートは、様々な第1の被着体と様々な第2の被着体とを貼り合わせる用途に用いることができる。
【0110】
本発明に係る両面粘着シートは、好ましくは、第1の粘着剤層の基材側とは反対の表面が第1の被着体に貼り付けられた後に、第2の粘着剤層の基材側とは反対の表面が、第2の被着体に貼り付けられて用いられる。この場合に、先に第1の被着体に貼り付けられる第1の粘着剤層の平均厚みT1(μm)は、後に第2の被着体に貼り付けられる第2の粘着剤層の平均厚みT2(μm)よりも薄いことが好ましく、10%以上50%以下薄いことが好ましい。平均厚みT1は、好ましくは(0.9×T2)以下、より好ましくは(0.8×T2)以下、好ましくは(0.5×T2)以上である。平均厚みT1と平均厚みT2とが上記関係を満たすと、両面粘着シートの高い熱伝導性を確保しつつ、被着体に対する両面粘着シートの密着性を高めることができる。
【0111】
剥離ライナーが積層された粘着剤層に対する該剥離ライナーの25℃での180°最大剥離強度P1は、好ましくは0.04N/25mm以上、より好ましくは0.06N/25mm以上、好ましくは0.5N/25mm以下、より好ましくは0.3N/25mm以下である。第1,第2の粘着剤層の基材側とは反対の表面にアルミニウム板を貼り付けたときに、アルミニウム板に対する第1,第2の粘着剤層の25℃での180°平均剥離強度P2はそれぞれ、好ましくは6N/25mm以上、より好ましくは8N/25mm以上、好ましくは50N/25mm以下、より好ましくは40N/25mm以下である。上記剥離強度P1,P2が上記下限以上及び上記上限以下であると、アルミニウム板などの被着体に第1の粘着剤層を貼り付けて、第2の粘着剤層に積層された剥離ライナーを剥離したときに、両面粘着シートが被着体から部分的に剥離し難くなる。上記剥離強度P1,P2は、JIS Z0237に準拠して測定される。
【0112】
両面粘着シートの製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。ただし、両面粘着シートの製造方法は、以下の第1〜第3の方法に限定されない。
【0113】
第1の方法:粘着剤に溶剤及びフィラーを加えて、粘着剤溶液を調製する。この粘着剤溶液を基材の表面上に塗布し、粘着剤溶液中の溶剤を乾燥により除去して、第1の粘着剤層を形成する。次に、第1の粘着剤層の基材側とは反対の表面上に、第1の剥離ライナー(離型フィルム)を積層し、第1の積層フィルムを得る。続いて、第2の剥離ライナー(離型フィルム)の表面上に、上記粘着剤溶液を塗布し、粘着剤溶液中の溶剤を乾燥により除去して、第2の粘着剤層を形成し、第2の積層フィルムを得る。第2の積層フィルムの第2の粘着剤層の露出した表面と、第1の積層フィルムの基材の露出した表面とを貼り合わせて、積層体を得る。そして、積層体をゴムローラなどによって加圧する。このようにして、第2の剥離ライナー、第1の粘着剤層、基材、第2の粘着剤層及び第2の剥離ライナーがこの順で積層された両面粘着シートが得られる。
【0114】
第2の方法:第1の剥離ライナーの表面上に、上記粘着剤溶液(第1の方法で調製した溶液)を塗布し、粘着剤溶液中の溶剤を乾燥により除去して、第1の粘着剤層を形成し、第1の積層フィルムを得る。また、第2の剥離ライナー(離型フィルム)の表面上に、上記粘着剤溶液を塗布し、粘着剤溶液中の溶剤を乾燥により除去して、第2の粘着剤層を形成し、第2の積層フィルムを得る。基材の一方の表面に、上記第1の積層フィルムを第1の粘着剤層側から積層し、基材の他方の表面に、上記第2の積層フィルムを第2の粘着剤層側から積層し、積層体を得る。得られた積層体を、第1の方法と同様にゴムローラなどによって加圧し、両面粘着シート得る。
【0115】
第3の方法:上記第1の方法に記載の第1の積層フィルムを用意する。この第1の積層フィルムでは、基材の一方の表面に、第1の粘着剤層及び第1の剥離ライナーがこの順で積層されている。第1の積層フィルムの基材の他方の表面に、上記粘着剤溶液(第1の方法で調製した溶液)を塗布し、粘着剤溶液中の溶剤を乾燥により除去して、第2の粘着剤層を形成する。次に、第2の粘着剤層の露出した表面に、第2の剥離ライナー(離型フィルム)を積層し、積層体を得る。得られた積層体を、第1の方法と同様にゴムローラなどによって加圧し、両面粘着シート得る。
【0116】
上記粘着剤溶液を塗布する方法としては、ナイフコーター又はアプリケータが一般に用いられる。連続塗布する場合には、一般に、3本リバースコーター、ダイレクトグラビアコーター、ダイレクトバーコーター、バーリバースコーター又はダイコーター等が好適に用いられる。
【0117】
両面粘着シートを被着体に貼り合わせたときに位置ずれが生じた場合などに、再剥離作業を行う必要があることがある。このとき、基材と粘着剤層とが剥離して、粘着剤層が被着体に転写され、糊残りと呼ばれる現象が起こることがある。これは、被着体の凸部高さ又は凹部深さが基材の凸部高さ又は凹部深さよりも大きい場合に起こりやすい。経時で粘着剤層が被着体の凹凸に馴染んで、アンカー効果が大きくなったり、粘着剤層に存在する官能基がアルミニウム板と結合したりすることが主な原因であると考えられる。上記糊残りを防止する方法としては、例えば、基材にアンカーコート層を設ける方法、基材の表面を紙やすり又はバフ等で研磨して、基材の凸部高さ又は凹部深さを被着体の凸部高さ又は凹部深さよりも大きくする方法、コロナ処理又はプラズマ処理により基材の表面に付着している異物を除去する方法、基材の表面をアルマイト処理等して多孔質の酸化被膜を形成する方法、並びにクロム又はニッケルなどのめっきを行う方法等が挙げられる。
【0118】
上記基材にアンカーコート層を設ける方法としては、具体的には、基材がアルミニウム箔である場合には、シランカップリング剤又はアルミニウム系キレート材を基材の表面に塗布する方法等が挙げられる。
【0119】
両面粘着シートは、必要に応じて、所定の大きさに切断(切り出し加工又は打ち抜き加工)されて、用いられてもよい。
【0120】
本発明に係る両面粘着シートは、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体の少なくとも片面に、両面粘着シートを介して導電層が積層されている積層構造体の絶縁層を構成するために好適に用いられる。また、本発明に係る両面粘着シートは、発熱部品と金属筐体又は放熱部品とを接着するために好適に用いられる。本発明に係る両面粘着シートは、発熱部品と、金属筐体又は放熱部品と、上記発熱部品と上記金属筐体又は放熱部品とを接着している上記両面粘着シートとを有する接続構造体を得るために好適に用いられる。さらに、本発明に係る両面粘着シートは、LED又はCPU等の発熱体とヒートシンク等の放熱部材とを接着するために好適に用いられる。具体的には、例えば、アルミニウム板−絶縁層−銅箔により形成されたCCLにLEDが実装されたLED基板とヒートシンクとの貼り合わせに用いることができる。
【0121】
上記発熱部品としては、具体的には、CPU、及び基板等が挙げられる。上記放熱部品又は金属筐体としては、具体的には、ヒートスプレッダ、及びヒートシンク等が挙げられる。
【0122】
上記放熱部品は、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体であることが好ましい。この熱伝導体としては、例えば、アルミニウム、銅、アルミナ、ベリリア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム及びグラファイトシート等が挙げられる。中でも、上記熱伝導体は、銅又はアルミニウムであることが好ましい。銅又はアルミニウムは、熱伝導性に優れている。
【0123】
図5に、図3に示す本発明の第2の実施形態に係る両面粘着シートを用いた接続構造体61の一例を断面図で示す。
【0124】
図5では、両面粘着シート21における剥離ライナー25,26が剥離されて、第1の粘着剤層23の外側の表面23aに熱拡散板62が貼り付けられている。熱拡散板62は、例えばCCLである。熱拡散板62の第1の粘着剤層23側とは反対側の表面に、発熱素子63が積層されている。第2の粘着剤層24の外側の表面24aにヒートシンク64が貼り付けられている。
【0125】
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0126】
以下の材料を用意した。
【0127】
[基材]
Al箔A(アルミニウム箔、平均厚み50μm、25℃での弾性率70GPa、熱伝導率237W/m・K)
エンボス加工Al箔B(両側の表面がエンボス加工され凸部が形成されているアルミニウム箔、平均厚み50μm、凸部の平均高さ10μm、25℃での弾性率70GPa、熱伝導率237W/m・K)
【0128】
[粘着剤層]
<粘着剤層を形成するための粘着剤の材料>
熱伝導率が10W/m・K以上である他のフィラー:
(1)破砕アルミナ(破砕フィラー、日本軽金属社製、商品名:LT300C、平均粒子径5μm、最大粒子径15μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12、密度3.9)
(2)球状アルミナ(デンカ社製、商品名:DAM−10、平均粒子径10μm、最大粒子径30μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12、密度3.9)
(3)球状アルミニウム(エカグラニューラジャパン社製、商品名JTF−10:、平均粒子径5.0μm、熱伝導率237W/m・K、新モース硬度2、密度2.69)
【0129】
熱伝導率が10W/m・K未満である他のフィラー:
(1)タルク(日本タルク社製、商品名:K−1、平均粒子径8μm、新モース硬度1、密度2.8)
【0130】
(メタ)アクリル酸エステル樹脂:
(1)アクリル酸エステル樹脂溶液A
エスダインSK1502(綜研化学社製、ロジンエステル系粘着付与材を固形分で30重量%含む)
(2)アクリル酸エステル樹脂溶液B
(下記合成例1で得られた(メタ)アクリル酸エステル樹脂を30重量%含む溶液、アクリル酸エチルに由来する構造単位20重量%、重量平均分子量62000)
【0131】
(合成例1)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意した。この反応器内に、アクリル酸エチル20重量部と、アクリル酸−n−ブチル56.9重量部と、アクリル酸−2−エチルヘキシル20重量部と、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル0.1重量部と、アクリル酸3重量部と、酢酸エチル70重量部とを加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.01重量部を添加し、還流下で重合を開始させた。次に、重合開始から1時間後及び2時間後にも、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを0.01重量部ずつ添加し、更に、重合開始から4時間後にt−ヘキシルパーオキシピバレートを0.05重量部添加して、重合反応を継続させた。重合開始から8時間後に、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、固形分30重量%のアクリル酸エステル樹脂溶液Aを得た。
【0132】
粘着付与樹脂:
(1)水添ロジンエステル樹脂A(荒川化学社製、商品名「パインクリスタルKE359」、水酸基価:40、軟化点:100℃)
(2)テルペンフェノール樹脂A(ヤスハラケミカル社製、商品名「マイティーエースG150」、軟化点:150℃)
【0133】
架橋剤:
イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL45」)
【0134】
上記材料を用いて、下記の調製例に従って、粘着剤を得た。
【0135】
(粘着剤の調製例)
上記のようにして得られたアクリル酸エステル系樹脂溶液A〜Bのいずれかに、アクリル酸エステル系樹脂溶液A〜Bの固形分100重量部に対して、下記の表3,4に示す粘着付与樹脂及びフィラーを、下記の表3,4に示す量で添加し、酢酸エチルを加えて攪拌し、更に、架橋剤を下記の表3,4に示す量で添加し、攪拌することにより、固形分40体積%の粘着剤を得た。なお、下記の表3,4中における各成分の配合量は、各成分の固形分での重量部を示す。
【0136】
[剥離ライナー]
離型PET(離型ポリエチレンテレフタレート、東洋クロス社製、「SP−4106」、片面がシリコーン系離型材により離型処理されている、25℃での弾性率3600MPa、平均厚み100μm)
離型紙(ポリエチレンラミネート離型紙、住化加工社製、「SLB−70WOTP」、両面がシリコーン系離型材により離型処理されている、25℃での弾性率2800MPa、110μm)、剥離力:34mN/25mm
【0137】
(実施例1)
離型PET(第1の剥離ライナー)の離型処理された表面側に、下記表3に示す組成の粘着剤を塗布し、100℃で5分間乾燥して酢酸エチルを除去して、平均厚みが下記表3に示す厚みになるように第1の粘着剤層を形成した。この第1の粘着剤層の表面上に、上記Al箔Aを積層し、第1の積層フィルムを得た。
【0138】
続いて、離型紙(第2の剥離ライナー)の離型処理された表面上に下記表3に示す組成の粘着剤を塗布し、100℃で5分間乾燥して酢酸エチルを除去して、平均厚みが下記表3に示す厚みになるように第2の粘着剤層を形成し、第2の積層フィルムを得た。
【0139】
得られた第2の積層フィルムの第2の粘着剤層の表面に、第1の積層フィルムを基材側から積層し、積層体を得た。
【0140】
積層は、300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることで行い、続けて23℃で7日間保管した。このようにして、離型PET、第1の粘着剤層、Al箔A、第2の粘着剤層及び離型紙がこの順で積層された両面粘着シートを得た。
【0141】
(実施例2〜9、参考例1〜8及び比較例1〜5)
粘着剤の組成、基材の種類及び剥離ライナーの種類を下記の表3,4に示すように設定したこと、並びに第1,第2の粘着剤層の平均厚みを下記の表3,4に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、両面粘着シートを得た。
【0142】
(評価)
上記のようにして得られた両面粘着シートの剥離性、粘着性、剥離ライナーの剥離力を下記の要領で測定した。また、シート取り扱い性(剥離性)について官能評価を行った。結果を表3,4に示した。
【0143】
(1)剥離強度P1(剥離性)
両面粘着シートを5mm幅に切断した。第2の粘着剤層の表面から第2の剥離ライナーを剥離して、第2の粘着剤層の表面を露出させた。第2の粘着剤層の露出した表面上に、厚みが1μmであるJIS H4000 A5052Pのアルミニウム板を積層し、アルミニウム板の表面上を300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、第2の粘着剤層とアルミニウム板とを貼り合わせて、第1の試験サンプルを得た。
【0144】
得られた第1の試験サンプルを用いて、JIS Z0237に準拠して、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、第1の剥離ライナーが積層された第1の粘着剤層に対する第1の剥離ライナーの25℃での180°平均剥離強度P1−1−1および最大剥離強度P1−1−2を測定した。
【0145】
また、両面粘着シートを5mm幅に切断した。第1の粘着剤層の表面から剥離ライナーを剥離して、第1の粘着剤層の表面を露出させた。第1の粘着剤層の露出した表面上に、厚みが1μmであるJIS H4000 A5052Pのアルミニウム板を積層し、アルミニウム板の表面上を300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、第1の粘着剤層とアルミニウム板とを貼り合わせて、第2の試験サンプルを得た。
【0146】
得られた第2の試験サンプルを用いて、JIS Z0237に準拠して、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、第2の剥離ライナーが積層された第2の粘着剤層に対する第2の剥離ライナーの25℃での180°平均剥離強度P1−2−1および最大剥離強度P1−2−2を測定した。
【0147】
(2)剥離強度P2(粘着性)
両面粘着シートを5mm幅に切断した。第1の粘着剤層の表面から剥離ライナーを剥離して、第1の粘着剤層の表面を露出させた。第1の粘着剤層の露出した表面上に、厚みが1μmであるJIS H4000 A5052Pのアルミニウム板を積層し、アルミニウム板の表面上を300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、第1の粘着剤層とアルミニウム板とを貼り合わせた。
【0148】
続けて、第2の粘着剤層の表面から剥離ライナーを剥離して、第2の粘着剤層の表面を露出させた。第2の粘着剤層の露出した表面上に、厚さ12μmのアルミニウム箔を積層し、アルミニウム箔の表面上を300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、第2の粘着剤層とアルミニウム箔とを貼り合わせ、第1の試験サンプルを得た。
【0149】
得られた第1の試験サンプルを用いて、JIS Z0237に準拠して、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、アルミニウム板に対する第1の粘着剤層の25℃での180°平均剥離強度P2−1を測定した。
【0150】
両面粘着シートを5mm幅に切断した。第2の粘着剤層の表面から剥離ライナーを剥離して、第2の粘着剤層の表面を露出させた。第2の粘着剤層の露出した表面上に、厚みが1μmであるJIS H4000 A5052Pのアルミニウム板を積層し、アルミニウム板の表面上を300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、第2の粘着剤層とアルミニウム板とを貼り合わせた。
【0151】
続けて、第1の粘着剤層の表面から剥離ライナーを剥離して、第1の粘着剤層の表面を露出させた。第1の粘着剤層の露出した表面上に、厚さ12μmのアルミニウム箔を積層し、アルミニウム箔の表面上を300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、第1の粘着剤層とアルミニウム箔とを貼り合わせ、第2の試験サンプルを得た。
【0152】
得られた第2の試験サンプルを用いて、JIS Z0237に準拠して、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、アルミニウム板に対する第2の粘着剤層の25℃での180°平均剥離強度P2−2を測定した。
【0153】
(3)十字剥離試験
両面粘着シートを20mm×20mmに切り出し、試験片を得た。試験片の第1の粘着剤層の表面から第1の剥離ライナーを剥がし、長さ50mm、幅30mm、厚さ3mmのアルミニウム板の中央に乗せ、上記試験片の裏面上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを1往復させることにより、試験片とホットプレートとを貼り付けた。第2の粘着剤層の表面から第2の剥離ライナーを剥離し、同じサイズのアルミニウム板を2つのアルミニウム板のなす角度が90°であるように乗せ、100gの荷重を1分間かけて接着させたのち、荷重を除去した。第2の粘着剤層に貼り付けられたアルミニウム板が垂直方向に剥離するように、剥離速度1mm/分で垂直剥離試験を行い、最大剥離強度P3を測定した。
【0154】
(4)熱伝導性
両面粘着シートを30mm×30mmに切り出し、試験片を得た。試験片の第1の粘着剤層の表面から第1の剥離ライナーを剥がし、ホットプレートに乗せ、上記試験片の裏面上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを1往復させることにより、試験片とホットプレートとを貼り付けた。第2の粘着剤層の表面から第2の剥離ライナーを剥離し、20mm×20mm×厚さ20mmのアルミニウム板を乗せ、1kgの荷重を1分間かけて接着させたのち、荷重を除去した。ホットプレートを80℃に設定し、30分後の第2の粘着剤層に貼り付けられたアルミニウム板の表面温度を測定した。アルミニウム板の表面温度が高いほど、両面粘着シートの熱伝導率が高いと言える。
【0155】
(5)両面粘着シートの取り扱い性(高速剥離性)
基材に粘着剤層を積層する作業、及び、シートをカットする際の作業の容易さを以下の基準で評価した。
【0156】
両面粘着シートを5mm×300mmに切り出し、試験片を得た。試験片の第1の粘着剤層の表面から第1の剥離ライナーを剥がし、幅4mm、長さ300mm、厚さ1mmのアルミニウム板に乗せ、上記試験片の裏面上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを1往復させることにより、試験片とアルミニウム板とを貼り付けた。続けて1分以内に第2の粘着剤層の表面から第2の剥離ライナーを1秒かけて高速で剥離した。
【0157】
[取り扱い性(高速剥離性)の判定基準]
○:試験片とアルミニウム板とが剥離せず、全面が均一に接着されている
△:直径2mm程度の剥離が起きている
×:試験片とアルミニウム板の界面で、大きく剥離が起きている
【0158】
なお、離型PETを用いた場合は、剥離面に欠点があるためか、所々に剥離強度が高くなる場所があった。
【0159】
(6)両面粘着シートのアルミニウム板に対する密着性
上記(5)両面粘着シートの取り扱い性の評価の後、試験片とアルミニウム板との積層体を用いて、落下衝撃試験を実施(1500G、0.5ms、正弦半波、30回(JEDEC JESD22−B111))した。この落下衝撃試験を行ったときに、試験片とアルミニウム板との剥離強度が低下するか否かを評価した。
【0160】
[両面粘着シートのアルミニウム板に対する密着性の判定基準]
○○:上記(5)両面粘着シートの取り扱い性の判定結果が「○」であり、かつ落下衝撃試験を行ったときに剥離強度が90%以上維持される
○:上記(5)両面粘着シートの取り扱い性の判定結果が「○」又は「△」であり、かつ落下衝撃試験を行ったときに剥離強度が50%以上90%未満に低下する
×:上記(5)両面粘着シートの取り扱い性の判定結果が「×」である
【0161】
結果を下記の表3,4に示す。
【0162】
【表3】

【0163】
【表4】

【0164】
なお、実施例7と参考例8とでは、上記(6)両面粘着シートのアルミニウム板に対する密着性の判定結果はいずれも「○」であるが、剥離強度の低下は、実施例7の方が参考例8よりもかなり小さかった。
【符号の説明】
【0165】
1,1A,21…両面粘着シート
2,22…基材
2a,2b,22a,22b…表面
2c…凸部
3,23…第1の粘着剤層
3a,23a…表面
3b…凸部
4,24…第2の粘着剤層
4a,24a…表面
4b…凸部
5,25…第1の剥離ライナー
6,26…第2の剥離ライナー
11…第1の被着体
12…第2の被着体
51,52…基材
51a,51b,52a,52b…表面
51c,52c…凸部
61…接続構造体
62…熱拡散板
63…発熱素子
64…ヒートシンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品と、
金属筐体又は放熱部品と、
前記発熱部品と前記金属筐体又は放熱部品とを接着している両面粘着シートとを有し、
前記両面粘着シートが、基材と、該基材の一方の表面に積層された第1の粘着剤層と、該基材の他方の表面に積層された第2の粘着剤層とを備え、
前記基材は、25℃での弾性率が50GPa以上、300GPa以下であり、熱伝導率が100W/m・K以上であり、平均厚みが10μm以上、200μm以下であり、
前記第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、前記第1,第2の粘着剤層100体積%中、アルミニウムを20体積%以上、60体積%以下含み、
前記第1,第2の粘着剤層の平均厚みはそれぞれ、20μm以上、200μm以下である、接続構造体。
【請求項2】
前記第1,第2の粘着剤層はそれぞれ、重量平均分子量が50万以上、150万以下である(メタ)アクリル酸エステル樹脂と、アルコール性水酸基を有しかつ水酸基価が35以上である粘着付与樹脂と、テルペンフェノール樹脂とを含む、請求項1に記載の接続構造体。
【請求項3】
前記粘着付与樹脂がロジンエステル樹脂である、請求項2に記載の接続構造体。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂100重量部に対して、前記粘着付与樹脂の含有量が5〜40重量部かつ前記テルペンフェノール樹脂の含有量が3〜20重量部である、請求項2又は3に記載の接続構造体。
【請求項5】
前記基材の表面がエンボス加工されており、
前記基材が、前記第1,第2の粘着剤層が積層された表面に凸部又は凹部を有し、
前記凸部の平均高さ又は前記凹部の平均深さが、1μm以上、両面粘着シートの厚みの20%以下、かつ前記第1,第2の粘着剤層の各平均厚みの2倍以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続構造体。
【請求項6】
前記基材の表面が酸化処理されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の接続構造体。
【請求項7】
前記基材が金属箔である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の接続構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−53294(P2013−53294A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−62943(P2012−62943)
【出願日】平成24年3月20日(2012.3.20)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】