説明

接続装置および分析装置

【課題】より簡素な構成によって、液体容器の開口を塞ぐことが可能な接続装置を提供する。
【解決手段】この接続装置1は、試薬取出管11、21、31、41および廃液吐出管51と、保持部材60と、溶血剤収容容器81、溶血剤収容容器82、染色剤収容容器83、希釈液容器84および廃液容器85側に向かうにつれてそれぞれ横断面積が連続的に小さくなるように構成される蓋部材12、22、32、42および52とを備え、蓋部材12、22、32、42および52の横断面の形状は、対応する開口81a、82a、83a、84aおよび85aの形状と略同一である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接続装置および分析装置に関し、特に、複数の液体容器に複数の管状部材を挿入するように構成された接続装置および分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の液体容器に複数の管状部材を挿入するように構成された接続装置および分析装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、試薬または廃液を収容する複数の容器にそれぞれ挿入される複数の管状部材と、複数の管状部材の各々を保持する複数の保持部材と、複数の保持部材を支持する1つの支持部材と、複数の管状部材を各々に対応する液体容器に個々に挿入するための上下移動機構とを含む接続機構と、血液分析装置本体とを備える血液分析装置が開示されている。この特許文献1に記載の血液分析装置では、液体容器の開口は上方に突出した口部に形成されており、保持部材が口部に覆いかぶさることにより、開口を塞ぐように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−163319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の血液分析装置のように、保持部材が口部に覆いかぶさる構成では、保持部材を開口に対して正確に位置づけなければ、保持部材によって開口を塞ぐことができない。従って、精密に設計された上下移動機構が必要であった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、より簡素な構成によって、液体容器の開口を塞ぐことが可能な接続装置および分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の第1の局面による接続装置は、試薬を用いて検体を分析する分析装置本体と、複数の液体容器とを接続する接続装置であって、複数の液体容器に液体容器の開口を介してそれぞれ挿入されるとともに、内部を液体が通過する複数の管状部材と、複数の管状部材を保持する保持部材と、複数の管状部材の保持部材側に所定の位置関係で配置され、液体容器側に向かうにつれて横断面積が連続的に小さくなるように構成されるとともに、液体容器の開口に装着される複数の蓋部材とを備え、蓋部材の横断面の形状は、対応する液体容器の開口の形状と略同一である。
【0008】
この発明の第1の局面による接続装置では、上記のように、蓋部材を、液体容器側に向かうにつれて横断面積が連続的に小さくなるとともに、液体容器の開口に装着するように構成するとともに、各々の蓋部材の横断面の形状を、各々の蓋部材に対応する液体容器の開口の形状と略同一にすることによって、蓋部材の一部が液体容器の開口を塞ぐように、蓋部材を液体容器の開口に装着することができる。これにより、複数の管状部材の各々を複数の液体容器にそれぞれ挿入する際に、液体容器の開口の各々と対応する蓋部材により液体容器の開口を個々に塞ぐことができるので、精密に設計された上下移動機構などを備えることなく、より簡素な構成によって、液体容器の開口を塞ぐことができる。また、蓋部材を、液体容器側に向かうにつれて横断面積が連続的に小さくなるように構成することによって、蓋部材の側面が液体容器の開口に当接した状態で下降させることにより、蓋部材の側面に沿わせて液体容器の開口を移動させることができるので、蓋部材の所定の位置に対応するように液体容器の開口の位置を調整することができる。
【0009】
上記第1の局面による接続装置において、好ましくは、液体容器の開口は、蓋部材が装着される際に、蓋部材の所定の位置関係に合わせるように移動可能なように構成されている。このように構成すれば、より容易に、蓋部材の所定の位置に対応するように液体容器の開口の位置を調整することができる。
【0010】
上記第1の局面による接続装置において、好ましくは、蓋部材の横断面は、略円形状を有する。このように構成すれば、蓋部材の横断面および液体容器の開口が多角形形状などを有する場合と異なり、液体容器が接続装置に対して水平面内で回転した場合であっても、蓋部材は開口を容易に塞ぐことができる。
【0011】
上記第1の局面による接続装置において、好ましくは、蓋部材には、液体容器の内部と外部とを接続する通気部が設けられている。このように構成すれば、蓋部材によって液体容器の開口を塞いだ場合においても、液体容器の内部と外部とを略同一の気圧に維持することができる。これにより、液体容器を密閉することに起因して、管状部材を介しての液体の吸引などが困難になるのを抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、通気部は、蓋部材の側面に設けられた切り欠きである。このように構成すれば、簡単な構成で、液体容器の内部と外部とを接続することができる。
【0013】
上記第1の局面による接続装置において、好ましくは、複数の液体容器の少なくとも1つは試薬容器であり、試薬容器に挿入される管状部材を通過する異物を取り除くためのフィルタをさらに備える。このように構成すれば、蓋部材装着時に、試薬容器の開口を介して、試薬容器に異物が混入した場合においても、フィルタによって、分析装置本体に異物が到達するのを抑制することができる。
【0014】
上記第1の局面による接続装置において、好ましくは、保持部材には、ユーザによって把持される把持部が設けられている。このように構成すれば、ユーザが把持部を把持することによって、容易に、複数の管状部材を液体容器の開口にそれぞれ挿入することができる。
【0015】
上記第1の局面による接続装置において、好ましくは、保持部材は、管状部材の少なくとも1つを上方から視認可能な形状を有する。このように構成すれば、ユーザは、少なくとも1つの管状部材が対応する液体容器の開口に挿入されているか否かを確認しながら、容易に、接続装置を配置することができるので、接続装置の装着時の作業性を向上させることができる。
【0016】
この場合、好ましくは、保持部材は、複数の液体容器が配置される箱体と係合する第1部分と、第1部分よりも小さい幅を有し、保持部材が配置される側から見て箱体の一部が露出するように箱体を覆う第2部分とを含む。このように構成すれば、箱体の一部が露出しているので、ユーザは、管状部材が対応する液体容器の開口に挿入されているか否かを確認しながら、より容易に、接続装置を配置することができる。
【0017】
上記保持部材が第1部分と第2部分とを含む接続装置において、好ましくは、第1部分は、第1部分が配置される位置における箱体の幅よりも大きい幅を有する。このように構成すれば、第1部分を箱体の両側面の上端面上に載置することにより、第1部分により、接続装置が箱体の内部に落ちるのを抑制することができる。
【0018】
上記保持部材が管状部材を上方から視認可能な形状を有する接続装置において、好ましくは、保持部材は、保持部材の水平方向の移動を規制可能な移動規制部を有する。このように構成すれば、移動規制部により、保持部材が水平方向に移動するのを抑制することができるので、保持部材の水平方向の移動に起因して蓋部材と共に複数の管状部材が液体容器から外れてしまうのを抑制することができる。
【0019】
上記第1の局面による接続装置において、好ましくは、蓋部材は、ゴム製である。このように構成すれば、蓋部材がガラスなどからなる場合と比べて、蓋部材をより密着させた状態で液体容器の開口に挿入することができる。これにより、より確実に、蓋部材により液体容器の開口を塞ぐことができる。
【0020】
上記第1の局面による接続装置において、好ましくは、複数の液体容器は、平面的に見て略長方形形状を有する箱体に配置されており、複数の液体容器は、箱体の端部近傍に短手方向に並ぶように配置される開口を有する複数の第1液体容器と、箱体の略中央部に長手方向に並ぶように配置される開口を有する複数の第2液体容器とを含み、蓋部材は、第1液体容器と対応する第1蓋部材と、第2液体容器と対応する第2蓋部材とを含み、保持部材が略水平な状態で箱体の上方から下方に移動されることによって、第1蓋部材および第2蓋部材が、それぞれ、第1液体容器の開口および第2液体容器の開口に装着される場合に、第2液体容器の開口と第2蓋部材とが接触するよりも前に、第1液体容器の開口と第1蓋部材とが接触するように構成されている。このように構成すれば、複数の第1蓋部材と複数の第1液体容器の開口とが先に接触することにより、第1液体容器に対する第1蓋部材の位置合わせが箱体の端部近傍において短手方向に沿って先になされた状態で、箱体の端部近傍の短手方向に沿った軸を基準にして、箱体の略中央部において長手方向に並ぶ第2液体容器の各々に対応する管状部材を第2液体容器に挿入していくことができる。これにより、箱体の略中央部の長手方向に沿った軸を基準にして箱体の端部近傍において短手方向に並ぶ第1液体容器に管状部材を挿入する場合と異なり、長手方向の軸を中心とする回転方向における接続装置の傾きを発生しにくくすることができる。この結果、接続装置の傾きに起因した接続装置の装着位置の位置ずれを抑制することができるので、管状部材を容易に挿入することができる。
【0021】
この発明の第2の局面による分析装置は、分析装置本体と、上記した構成を有する接続装置とを備える。このように構成すれば、より簡素な構成によって、液体容器の開口を塞ぐことが可能な接続装置を備える分析装置を得ることができる。
【0022】
上記第2の局面による分析装置において、好ましくは、分析装置本体は動物の検体を分析する。このように構成すれば、動物の毛などの異物が多い動物病院などにおいて、蓋部材が液体容器の開口を塞ぐように開口に係止した状態で、複数の管状部材を複数の液体容器にそれぞれ挿入することができる。これにより、液体装置に異物が混入するのを抑制することができるので、より安定的に検体の分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態による接続装置、試薬セットおよび検体分析装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による接続装置が試薬セットに配置されている状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態による接続装置が試薬セットから取り外された状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態による接続装置が試薬セットに配置されている状態の図2の300−300線に沿った断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による接続装置を下方側から見た斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態による接続装置の裏面を示す平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による接続装置が試薬セットに配置されている状態を矢印Y1方向側から見た側面図である。
【図8】本発明の第1実施形態による接続装置が試薬セットに配置されている状態を矢印X2方向側から見た側面図である。
【図9】本発明の第1実施形態による接続装置の試薬セットへの配置動作時の図2の300−300線に沿った断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態による蓋部材と開口とが接触した状態を示す蓋部材付近の拡大断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態による開口が移動する状態を示す蓋部材付近の拡大断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態による接続装置、試薬セットおよび検体分析装置の構成を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2実施形態による接続装置が試薬セットに配置されている状態を示す斜視図である。
【図14】本発明の第2実施形態による接続装置が試薬セットから取り外された状態を示す斜視図である。
【図15】本発明の第2実施形態による接続装置が試薬セットに配置されている状態の図13の400−400線に沿った断面図である。
【図16】本発明の第2実施形態による接続装置のフィルタの平面図である。
【図17】本発明の第2実施形態による接続装置のフィルタ付近の状態を示した拡大断面図である。
【図18】本発明の第2実施形態による接続装置の下面側を示す平面図である。
【図19】本発明の第2実施形態による溶血剤収容容器および染色剤収容容器に対応する蓋部材近傍を示す拡大断面図である。
【図20】本発明の第2実施形態による希釈液容器および廃液容器に対応する蓋部材近傍を示す拡大断面図である。
【図21】本発明の第1および第2実施形態による蓋部材の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施形態)
まず、図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態による分析装置100の全体構成について説明する。
【0026】
図1に示すように、第1実施形態による分析装置100は、接続装置1と、接続装置1が上方(矢印Z1方向側)から覆うように配置される試薬セット2と、接続装置1と接続され、動物の血液(検体)を分析する検体分析装置3(第1実施形態では、血液中の血球を計数する血球計数装置)とから構成されている。
【0027】
また、図1〜図3に示すように、接続装置1は、矢印X1方向側において、Y方向に並ぶように設けられた試薬取出部10、20および30と、X方向の中央近傍に設けられた試薬取出部40と、矢印X2方向側に設けられた廃液吐出部50とを含む。また、試薬取出部10、20、30および40と、廃液吐出部50とは、金属製の保持部材60によって固定および保持されている。また、保持部材60のX方向の略中央には、ユーザによって保持された状態で、接続装置1を試薬セット2に配置するための取手状の把持部70が取り付けられている。この把持部70は、X方向に延びるように設けられている。
【0028】
また、図1に示すように、試薬取出部10、20、30、40および廃液吐出部50は、それぞれ、チューブ4a、4b、4c、4dおよび4eを介して、検体分析装置3の吸込口3a、3b、3c、3dおよび3eに接続されている。
【0029】
また、図3に示すように、試薬セット2では、Y方向に幅W1を有する略直方体形状の箱体80の内部に、溶血剤収容容器81、溶血剤収容容器82、染色剤収容容器83、希釈液容器84および廃液容器85が配置されている。溶血剤収容容器81には、ヘモグロビン測定用の試薬(溶血剤)が収容されているとともに、溶血剤収容容器82には、白血球分類測定用の試薬(溶血剤)が収容されている。また、染色剤収容容器83には、網状赤血球測定用の試薬(希釈液)が収容されているとともに、希釈液容器84には、試薬(希釈液)が収容されている。また、廃液容器85には、検体分析装置3において用いられた試薬が検体とともに廃液として回収されるように構成されている。
【0030】
また、箱体80の内部には、溶血剤収容容器81、溶血剤収容容器82、染色剤収容容器83、希釈液容器84および廃液容器85を所定の位置に配置するための固定部材86が配置されている。また、図1に示すように、試薬セット2は、試薬セット2の使用前および使用後に、箱体80を覆うように取り付けることが可能な蓋87を含む。
【0031】
また、図3に示すように、溶血剤収容容器81、溶血剤収容容器82および染色剤収容容器83は、箱体80の矢印X1方向側で短手方向(Y方向)に並ぶように配置されている。また、希釈液容器84は、試薬取出部40に対応するように箱体80のX方向の略中央に配置されているとともに、廃液容器85は、廃液吐出部50に対応するように箱体80の矢印X2方向側に配置されている。また、希釈液容器84および廃液容器85は、長手方向(X方向)に並ぶように配置されている。
【0032】
また、溶血剤収容容器81は、試薬取出部10に対応するように箱体80の矢印Y1方向側に配置されているとともに、溶血剤収容容器82は、試薬取出部20に対応するように箱体80のY方向の中央付近に配置されている。また、染色剤収容容器83は、試薬取出部30に対応するように箱体80の矢印Y2方向側に配置されている。これら溶血剤収容容器81、溶血剤収容容器82および染色剤収容容器83は、略同一の形状を有する容器からなり、溶血剤収容容器81の開口81a、溶血剤収容容器82の開口82aおよび染色剤収容容器83の開口83aは、平面的に見て、内径D1(図4参照)の内側面を有している。
【0033】
また、希釈液容器84および廃液容器85は、略同一の形状を有する容器からなり、希釈液容器84の開口84aおよび廃液容器85の開口85aは、平面的に見て、内径D2(図4参照)の内側面を有している。また、希釈液容器84および廃液容器85は、内部の液体に応じて形状を変化させることができる材料からなることによって、開口84aおよび85aは水平方向にある程度の範囲で移動可能に構成されている。
【0034】
また、図3に示すように、試薬取出部10、20、30および40には、それぞれ、内部を試薬が通過する細長い管状の試薬取出管11、21、31および41が設けられている。この試薬取出管11、21、31および41は、それぞれ対応する溶血剤収容容器81の開口81a、溶血剤収容容器82の開口82a、染色剤収容容器83の開口83aおよび希釈液容器84の開口84aに挿入されるように構成されている。また、廃液吐出部50には、内部を廃液が通過する細長い管状の廃液吐出管51が設けられている。この廃液吐出管51は、対応する廃液が収容される廃液容器85の開口85aに挿入されるように構成されている。なお、試薬取出管11、21、31、41および廃液吐出管51は、同一の内径を有する。
【0035】
また、図4に示すように、試薬取出管11、21、31および41の矢印Z2方向側の先端部11a、21a、31aおよび41aから試薬が吸引されることによって、試薬は、試薬取出管11、21、31および41の内部を矢印Z1方向側に向かって通過するように構成されている。また、廃液吐出管51の内部を矢印Z2方向側に向かって通過する廃液は、廃液吐出管51の矢印Z2方向側の先端部51aから吐出されるように構成されている。なお、試薬取出管11、21、31、41および廃液吐出管51は、保持部材60から各々の先端部11a、21a、31a、41aおよび51aまで、Z方向に略直線状に延びるように設けられている。
【0036】
また、試薬取出管11、21および31において、保持部材60から先端部11a、21aおよび31aまでの長さは、略同一の長さL1になるように構成されている。また、試薬取出管41および廃液吐出管51において、保持部材60から先端部41aおよび51aまでの長さは、略同一の長さL2になるように構成されている。なお、長さL2は、長さL1よりも大きくなるように構成されている。
【0037】
また、図4に示すように、先端部11a、21aおよび31aは、接続装置1が試薬セット2に配置された際に、それぞれ、溶血剤収容容器81の底部(図示せず)の近傍、溶血剤収容容器82の底部82bの近傍および染色剤収容容器83の底部(図示せず)の近傍に位置するように構成されている。同様に、先端部41aおよび51aは、接続装置1が試薬セット2に配置された際に、それぞれ、希釈液容器84の底部84bの近傍および廃液容器85の底部85bの近傍に位置するように構成されている。
【0038】
また、図4〜図6に示すように、試薬取出部10、20および30には、それぞれ、蓋部材12、22および32が設けられている。この蓋部材12、22および32は、試薬取出管11、21および31の保持部材60側(矢印Z1方向側)に配置されているとともに、保持部材60の裏面(矢印Z2方向側の面)に接するように配置されている。また、試薬取出部40および廃液吐出部50には、それぞれ、蓋部材42および52が設けられている。この蓋部材42および52は、試薬取出管41および廃液吐出管51の保持部材60側(矢印Z1方向側)に配置されているとともに、保持部材60の裏面に接するように配置されている。
【0039】
また、蓋部材12、22、32、42および52は、試薬取出管11、21、31、41および廃液吐出管51の各々と保持部材60とに固定されている。なお、蓋部材12、22、32、42および52は、耐薬品性を有するシリコンゴムからなる。
【0040】
ここで、第1実施形態では、図4および図5に示すように、蓋部材12、22、32、42および52は、逆円錐台形状を有している。すなわち、図4に示すように、蓋部材12、22、32、42および52は、横断面(X方向とY方向とによって形成される面)において、円形状の断面形状を有するとともに、矢印Z1方向側から矢印Z2方向側に向かうにつれて横断面積(X方向とY方向とよって形成される面の面積)が連続的に小さくなるように形成されている。
【0041】
また、第1実施形態では、蓋部材12、22および32の上面12a、22aおよび32aは、外径D3を有する一方、下面12b、22bおよび32bは、外径D3よりも小さい外径D4を有するように構成されている。ここで、外径D3は、収容容器81の開口81a、溶血剤収容容器82の開口82aおよび染色剤収容容器83の開口83aの内径D1よりも大きくなるように構成されている。これにより、上面12a、22aおよび32aの面積は、開口81a、82aおよび83aの面積よりも大きくなるように構成されている。一方、外径D4は、開口81a、82aおよび83aの内径D1よりも小さくなるように構成されている。これらにより、蓋部材12、22および32は、各々が装着される開口81a、82aおよび83aの上端の高さ位置における横断面において、それぞれ、開口81aの面積、開口82aの面積および開口83aの面積と同一の面積を有するように構成されている。
【0042】
また、蓋部材42および52の上面42aおよび52aは、外径D5を有する一方、下面42bおよび52bは、外径D5よりも小さい外径D6を有するように構成されている。ここで、外径D5は、希釈液容器84の開口84aおよび廃液容器85の開口85aの内径D2よりも大きくなるように構成されている。これにより、上面42aおよび52aの面積は、開口84aおよび85aの面積よりも大きくなるように構成されている。一方、外径D6は、開口84aおよび85aの内径D2よりも小さくなるように構成されている。これらにより、蓋部材42および52は、各々が装着される開口84aおよび85aの上端の高さ位置における横断面において、それぞれ、開口84aの面積および開口85aの面積と同一の面積を有するように構成されている。なお、外径D3は、外径D5よりも小さくなるように構成されている。
【0043】
また、図4に示すように、蓋部材12、22、32、42および52は、開口81a、82a、83a、84aおよび85aに各々が装着された際に、横断面が水平面内にそろうように構成されている。これにより、蓋部材12、22、32、42および52を介して保持部材60に固定されている試薬取出管11、21、31、41および廃液吐出管51は、接続装置1が装着された際に、傾くのが抑制されるように構成されている。
【0044】
また、図6に示すように、保持部材60は、平面的に見て、アルファベットの「H」のような形状を有している。また、保持部材60は、図6および図7に示すように、矢印X1方向側に設けられ、箱体80(図7参照)に係止可能な係止部分61と、矢印X2方向側に設けられ、箱体80に係止可能な係止部分62と、係止部分61および62を接続するようにX方向の略中央に設けられた非係止部分63とを含む。この係止部分61は、試薬取出部10、20および30を固定および保持するように構成されている。同様に、係止部分62は、廃液吐出部50を固定および保持するように構成されているとともに、非係止部分63は、試薬取出部40および把持部70(図7参照)を固定および保持するように構成されている。
【0045】
また、図8に示すように、係止部分61および62は、Y方向に幅W2を有する一方、非係止部分63は、Y方向に幅W3を有する。ここで、係止部分61および62の幅W2は、箱体80のY方向の幅W1よりも若干大きくなるように構成されている。これにより、箱体80のY方向の両側面(側面80aおよび80b)の上端面上に、係止部分61および62が載置されることが可能なように構成されている。一方、非係止部分63の幅W3は、箱体80の幅W1よりも小さくなるように構成されている。これにより、非係止部分63のY方向の両側には、箱体80の内部を確認することが可能な露出部A(図2参照)が形成されている。
【0046】
また、係止部分61、62および非係止部分63とのY方向の両端部には、それぞれ、矢印Z2方向に折り曲げられた側面部61a、62aおよび63aが設けられている。この側面部61a、62aおよび63aは、保持部材60の機械的強度を向上させる機能を有する。
【0047】
また、側面部61aおよび62aは、図7および図8に示すように、箱体80のY方向の両側面(側面80aおよび80b)に沿うように設けられている。これにより、保持部材60が箱体80に配置された状態でY方向に移動した場合に、側面部61aおよび62aと側面80aおよび80bとが当接(係止)するので、側面部61aおよび62aによって、保持部材60のY方向(短手方向)の移動が規制されるように構成されている。
【0048】
次に、図2〜図4および図9〜図11を参照して、本発明の第1実施形態による接続装置1の試薬セット2への配置動作について説明する。
【0049】
まず、ユーザは、箱体80に取り付けられている蓋87を取り外すとともに、溶血剤収容容器81、溶血剤収容容器82、染色剤収容容器83、希釈液容器84および廃液容器85の各々に螺合されている図示しないキャップを取り外す。
【0050】
そして、図3に示すように、ユーザは、チューブ4a、4b、4c、4dおよび4eを介して検体分析装置3(図1参照)に接続されている接続装置1を準備する。その後、ユーザは、把持部70を保持部材60が水平な状態になるように把持した状態で、接続装置1を箱体80(試薬セット2)の上方(矢印Z1方向側)から下方(矢印Z2方向側)に移動させることによって箱体80に配置する。この際、ユーザは試薬取出管11、21、31、41および廃液吐出管51(先端部11a、21a、31a、41aおよび51a)が、それぞれ対応する開口81a、82a、83a、84aおよび85aに挿入されるように配置する。なお、ユーザは、露出部A(図2参照)を覗きながら、接続装置1の上方から試薬取出管11、21、31、41および廃液吐出管51を確認しながら接続装置1を箱体80に配置する。
【0051】
ここで、第1実施形態では、図9および図10に示すように、廃液容器85の開口85aが所定の位置(二重鎖線)からずれている場合、逆円錐台形状の蓋部材52の側面が、廃液容器85の開口85aの矢印X2方向側の内側面に当接する。この際、開口85aは水平方向にある程度の範囲で移動可能に構成されている。したがって、逆円錐台形状の蓋部材52の傾斜した側面が、開口85aの内側面の上端に当接しながら下降する際に、開口85aの中心が蓋部材52の中心に合うように、逆円錐台形状の蓋部材52の側面から開口85aが水平方向に移動される方向の力を受ける。これにより、接続装置1が下方に移動するのに伴って、図11に示すように、開口85aは蓋部材52の外側面に沿って矢印X2方向に若干移動するので、開口85aは、蓋部材52(廃液吐出部50)が配置される位置に対応する位置に配置されるように自動的に調整される。
【0052】
これにより、箱体80のY方向の両側面(側面80aおよび80b)の上端面上に、係止部分61および62が載置されるとともに、蓋部材12、22、32、42および52が、それぞれ、開口81a、82a、83a、84aおよび85aに装着された状態では、図4に示すように、開口85aは蓋部材52の所定の位置関係に合う位置に配置された状態になる。また、開口85aと同様に、開口81a、82a、83aおよび84aも、それぞれ、蓋部材12、22、32、および42の所定の位置関係に合う位置に配置された状態になる。この際、先端部11a、21a、31a、41aおよび51aは、それぞれ、溶血剤収容容器81の底部(図示せず)の近傍、溶血剤収容容器82の底部82bの近傍、染色剤収容容器83の底部(図示せず)の近傍希釈液容器84の底部84bの近傍および廃液容器85の底部85bの近傍に各々位置する。これにより、接続装置1の試薬セット2への接続が終了する。
【0053】
第1実施形態では、上記のように、蓋部材12、22および32の上面12a、22aおよび32aの各々の面積を、開口81a、82aおよび83aの面積よりも大きくすることによって、上面12a、22aおよび32aは、各々の蓋部材12、22および32に対応する開口81a、82aおよび83aよりも面積が大きい分、開口81a、82aおよび83aに完全に嵌め込まれた状態とはならないので、蓋部材12、22および32を、それぞれ、開口81a、82aおよび83aにおいて係止させることができる。また、蓋部材12、22および32を、矢印Z1方向側から矢印Z2方向側につれて横断面積が連続的に小さくなるとともに、開口81a、82aおよび83aに装着するように構成し、さらに、蓋部材12、22および32の横断面の形状を、各々の蓋部材12、22および32に対応する開口81a、82aおよび83aと略同じ形状(円形状)にすることによって、蓋部材12、22および32の一部が開口81a、82aおよび83aの各々を塞ぐように、蓋部材12、22および32を開口81a、82aおよび83aにそれぞれ装着することができる。これらにより、試薬取出管11、21、31、41および廃液吐出管51の各々を、溶血剤収容容器81、溶血剤収容容器82、染色剤収容容器83、希釈液容器84および廃液容器85にそれぞれ挿入する際に、各々対応する蓋部材12、22および32により開口81a、82aおよび83aを個々に塞ぐことができるので、精密に設計された上下移動機構などを備えることなくより簡素な構成によって、開口81a、82aおよび83aを塞ぐことができる。また、蓋部材52を、矢印Z1方向側から矢印Z2方向側につれて横断面積が連続的に小さくなるように構成することによって、蓋部材52の側面が開口85aに当接した状態で下降させることにより、蓋部材52の側面に沿わせて開口85aを移動させることができるので、蓋部材52の所定の位置に対応するように開口85aの位置を調整することができる。
【0054】
また、第1実施形態では、上記のように、開口85aを接続装置1の蓋部材52(廃液吐出部50)の所定の位置に合わせるように移動可能なように構成することによって、より容易に、蓋部材52の所定の位置に対応するように開口85aの位置を調整することができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上記のように、試薬取出管41を、接続装置1が装着された際に、傾くのが抑制されるとともに、希釈液容器84の底部84bの近傍まで挿入されるように構成することによって、試薬取出管41が傾くことにより底部84b近傍まで挿入されないことに起因して、底部84b近傍に位置する液体(希釈液)が吸引されなくなるのを抑制することができる。
【0056】
また、第1実施形態では、上記のように、蓋部材52の横断面が円形状の断面形状を有するように構成することによって、蓋部材52の横断面が多角形形状などを有する場合と異なり、廃液容器85が接続装置1に対して水平面内で回転した場合であっても、蓋部材52は開口85aを容易に塞ぐことができる。
【0057】
また、第1実施形態では、上記のように、保持部材60のX方向の略中央に、ユーザによって保持された状態で、接続装置1を試薬セット2に配置するための取手状の把持部70を取り付けることによって、ユーザが把持部70を把持することにより、容易に、試薬取出管11、21、31、41および廃液吐出管51の各々を溶血剤収容容器81、溶血剤収容容器82、染色剤収容容器83、希釈液容器84および廃液容器85にそれぞれ挿入することができる。
【0058】
また、第1実施形態では、上記のように、非係止部分63のY方向の両側に、箱体80の内部を確認することが可能な露出部Aを形成することによって、ユーザは、露出部Aを介して、試薬取出管11、21、31、41および廃液吐出管51が対応する開口81a、82a、83a、84aおよび85aにそれぞれ挿入されているか否かを確認しながら、より容易に、接続装置1を配置することができるので、接続装置1の装着時の作業性を向上させることができる。
【0059】
また、第1実施形態では、上記のように、係止部分61および62の幅W2を、箱体80のY方向の幅W1よりも大きくすることによって、係止部分61および62を箱体80の両側面(側面80aおよび80b)の上端面上に載置することにより、係止部分61および62により、接続装置1が箱体80の内部に落ちるのを抑制することができる。
【0060】
また、第1実施形態では、上記のように、保持部材60のY方向の移動を規制することが可能な側面部61aおよび62aを設けることによって、側面部61aおよび62aにより、保持部材60が水平方向(Y方向)に移動するのを抑制することができるので、保持部材60のY方向の移動に起因して蓋部材12、22、32、42および52と共に、試薬取出管11、21、31、41および廃液吐出管51が溶血剤収容容器81、溶血剤収容容器82、染色剤収容容器83、希釈液容器84および廃液容器85から外れてしまうのを抑制することができる。
【0061】
また、第1実施形態では、上記のように、蓋部材12、22、32、42および52がシリコンゴムからなることによって、蓋部材がガラスなどからなる場合と比べて、蓋部材12、22、32、42および52の各々をより密着させた状態で開口81a、82a、83a、84aおよび85aの各々に挿入することができる。これにより、より確実に、蓋部材12、22、32、42および52により開口81a、82a、83a、84aおよび85aの各々を塞ぐことができる。また、蓋部材12、22、32、42および52が耐薬品性を有するシリコンゴムからなることによって、試薬および廃液によって蓋部材12、22、32、42および52が腐食するのを抑制することができる。
【0062】
また、第1実施形態では、上記のように、動物の血液(検体)を分析する検体分析装置3に接続装置1を用いるように構成することによって、動物の毛などの異物が多い動物病院などにおいて、蓋部材12、22、32および42が開口81a、82a、83aおよび84aの各々を塞ぐように開口81a、82a、83aおよび84aに係止した状態で、試薬取出管11、21、31および41を溶血剤収容容器81、溶血剤収容容器82、染色剤収容容器83および希釈液容器84にそれぞれ挿入することができる。これにより、各々の容器に異物が混入するのを抑制することができるので、より安定的に検体の分析を行うことができる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、図12〜図20を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、接続装置の蓋部材に切り欠きを設けた例について説明する。
【0064】
図12〜図20を参照して、本発明の第2実施形態による分析装置200の全体構成について説明する。
【0065】
図12に示すように、第2実施形態による分析装置200は、接続装置201と、試薬セット202と、検体分析装置3とから構成されている。
【0066】
また、図12〜図14に示すように、接続装置201は、矢印X1方向側において、Y方向に並ぶように設けられた試薬取出部210、220および230と、X方向の中央近傍に設けられた試薬取出部240と、矢印X2方向側に設けられた廃液吐出部250とを含む。また、試薬取出部210、220、230および240と、廃液吐出部250とは、金属製の保持部材60によって固定および保持されている。
【0067】
また、図14に示すように、試薬セット202において、略直方体形状の箱体280の内部に、溶血剤収容容器281、溶血剤収容容器282、染色剤収容容器283、希釈液容器284および廃液容器285が、それぞれ、試薬取出部210、220、230、240および廃液吐出部250に対応するように配置されている。また、箱体280の内部には、溶血剤収容容器281、溶血剤収容容器282、染色剤収容容器283、希釈液容器284および廃液容器285を所定の位置に配置するための固定部材286が配置されている。また、図12に示すように、箱体280は、上面を覆うように取り付けることが可能な蓋287を一体的に含む。
【0068】
また、図15に示すように、希釈液容器284および廃液容器285は、略同一の形状を有する容器からなる。また、希釈液容器284および廃液容器285は柔軟性を有する材料からなることによって、開口284aおよび285aはある程度の範囲で移動可能に構成されている。
【0069】
ここで、第2実施形態では、図15に示すように、試薬取出部210、220、230および240には、それぞれ、試薬取出管211、221、231および241と蓋部材212、222、232および242とをそれぞれ接続する接続部材213、223、233および243が設けられている。さらに、図14に示すように、試薬取出部210、220、230および240には、試薬取出管211、221、231および241の先端部211a、221a、231aおよび241aの各々に螺合するフィルタ部材290が設けられている。なお、フィルタ部材290を先端部211a(221a、231aおよび241a)に取り付けることによって、試薬取出管211(221、231および241)の内部に取り付ける場合と比べて、フィルタ部材290の交換をより容易に行うことが可能である。
【0070】
また、図15に示すように、廃液吐出部250には、廃液吐出管251と蓋部材252とを接続する接続部材253が設けられている。また、廃液吐出管251は、保持部材60から先端部251aまで長さL3を有する。すなわち、廃液吐出管251の先端部251aは、廃液容器285の底部285bの近傍ではなく、開口285aの近傍に位置するように構成されている。これにより、廃液内部に廃液吐出管251の先端部251aが位置することに起因して、廃液吐出管251から廃液が吐出された際に廃液が泡立つのを抑制することが可能である。なお、長さL3は、長さL1(試薬取出管211、221および231の長さ)およびL2(試薬取出管241の長さ)よりも小さくなるように構成されている。
【0071】
また、フィルタ部材290は、図16に示すように、異物を取り除くためのフィルタ291と、先端部211a(221a、231aおよび241a(図15参照))と螺合するとともに、フィルタ291を内部に配置可能なアダプタ292とを含む。また、アダプタ292は、先端部211a(221a、231aおよび241a)と螺合する螺合部292aと、台座部292bと、内部を試薬が通過するとともに、フィルタ291が配置される内面部292cとを有する。これにより、内面部292cに配置されたフィルタ291によって、試薬取出管211(221、231および241(図15参照))を通過する異物を前もって取り除くことが可能である。
【0072】
また、台座部292bは、略同じ角度(90度)間隔で4つ配置されている。この台座部292bは、図17に示すように、接続装置201が試薬セット202に配置された際に、溶血剤収容容器281の底部281b(溶血剤収容容器282の底部282b、染色剤収容容器283の底部283bおよび希釈液容器284の底部284b)に接するように構成されている。これにより、溶血剤収容容器281(溶血剤収容容器282、染色剤収容容器283および希釈液容器284)の試薬をより最後まで吸引することが可能である。
【0073】
また、第2実施形態では、図14および図15に示すように、蓋部材212、222、232、242および252は、横断面(X方向とY方向とによって形成される面)において、円形状の断面形状を有するとともに、矢印Z1方向側から矢印Z2方向側に向かうにつれて横断面積(X方向とY方向とよって形成される面の面積)が連続的に小さくなるように形成されている。また、図18に示すように、蓋部材212、222、232、242および252の側面には、それぞれ、上面212a、222a、232a、242aおよび252aから下方(図15の矢印Z2方向)に向かって、切り欠き212c、222c、232c、242cおよび252cが設けられている。
【0074】
これら切り欠き212c、222c、232c、242cおよび252cは、図15に示すように、接続装置201が試薬セット202に配置された際に、それぞれ、溶血剤収容容器281(図14参照)、溶血剤収容容器282、染色剤収容容器283(図14参照)、希釈液容器284および廃液容器285の内部と外部とを各々接続するように構成されている。具体的には、切り欠き212c、222c、232c、242cおよび252cの下端は、それぞれ、溶血剤収容容器281の開口281a(図14参照)、溶血剤収容容器282の開口282a、染色剤収容容器283の開口283a(図14参照)、希釈液容器284の開口284aおよび廃液容器285の開口285aの上端よりも矢印Z2方向側に位置することによって、内部と外部とを各々接続するように構成されている。
【0075】
また、第2実施形態では、保持部材60が略水平な状態で箱体280の上方から下方に移動されることによって、接続装置201が試薬セット202に配置される際に、図19に示すように、蓋部材212、222および232と開口281a、282aおよび283aとは、開口281a、282aおよび283aの上端と保持部材60とが距離H1だけ離れた状態において、それぞれ接触するように構成されている。一方、図20に示すように、開口284aおよび285aの上端と保持部材60とが距離H1だけ離れた状態では、蓋部材242および252と開口284aおよび285aとはそれぞれ接触しておらず、蓋部材242および252と開口284aおよび285aとの間には各々に隙間が形成されている。すなわち、蓋部材212、222および232と開口281a、282aおよび283aとは、蓋部材242および252と開口284aおよび285aとよりも先に接触するように構成されている。
【0076】
これにより、図14に示すように、箱体280の矢印X1方向側の端部近傍において、Y方向(短手方向)に並ぶように配置される開口281a、282aおよび283aを通る短手方向に沿った軸Bを基準にして、軸Bを中心とする回転方向Cに接続装置201を動かすことが可能なように構成されている。これにより、箱体280のX方向の略中央部においてX方向(長手方向)に並ぶように配置される開口284aおよび285aに、それぞれ、試薬取出管241および廃液吐出管251が順次挿入されるように構成されている。
【0077】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0078】
次に、図14を参照して、本発明の第2実施形態による接続装置201の試薬セット202への配置動作について説明する。
【0079】
第2実施形態では、図14に示すように、ユーザが接続装置201を箱体280(試薬セット202)の上方(矢印Z1方向側)から下方(矢印Z2方向側)に移動させながら箱体280に配置する際に、箱体280の矢印X1方向側の端部近傍に位置する蓋部材212、222および232と開口281a、282aおよび283aとの接触が、箱体280のX方向の略中央部に位置する蓋部材242および252と開口284aおよび285aとの接触よりも先に行われる。そして、軸Bを中心とする回転方向Cに接続装置201を若干回転させることによって、まず蓋部材242と開口284aとが接触し、その後、蓋部材252と開口285aとが接触する。この結果、試薬取出管211、221、231、241および廃液吐出管251が、それぞれ、溶血剤収容容器281、溶血剤収容容器282、染色剤収容容器283、希釈液容器284および廃液容器285に挿入される。
【0080】
なお、第2実施形態のその他の配置動作は、上記第1実施形態と同様である。
【0081】
第2実施形態では、上記のように、蓋部材212、222、232、242および252の各々の側面に切り欠き212c、222c、232c、242cおよび252cをそれぞれ設けることによって、蓋部材212、222、232、242および252の各々によって開口281a、282a、283a、284aおよび285aの各々を塞いだ場合においても、溶血剤収容容器281、溶血剤収容容器282、染色剤収容容器283、希釈液容器284および廃液容器285の各々の容器の内部と外部とを略同一の気圧に維持することができる。これにより、溶血剤収容容器281、溶血剤収容容器282、染色剤収容容器283および希釈液容器284を密閉することに起因して、試薬取出管211、221、231および241の各々を介しての試薬の吸引が困難になるのを抑制することができる。また、切り欠き212c、222c、232c、242cおよび252cを設けることによって、簡単な構成で溶血剤収容容器281、溶血剤収容容器282、染色剤収容容器283、希釈液容器284および廃液容器285の各々の容器の内部と外部とを接続することができる。
【0082】
また、第2実施形態では、上記のように、試薬取出管211、221、231および241の各々を通過する異物を前もって取り除くことが可能なフィルタ291を設けることによって、蓋部材212、222、232および242の装着時に、開口281a、282a、283aおよび284aの各々を介して、溶血剤収容容器281、溶血剤収容容器282、染色剤収容容器283および希釈液容器284の各々に異物が混入した場合においても、各々に設けられたフィルタ291によって、検体分析装置3に異物が到達するのを抑制することができる。
【0083】
また、第2実施形態では、上記のように、箱体280の矢印X1方向側の端部近傍に位置する蓋部材212、222および232と開口281a、282aおよび283aとが、箱体280のX方向の略中央部に位置する蓋部材242および252と開口284aおよび285aとよりも先に接触するように構成することによって、溶血剤収容容器281、溶血剤収容容器282および染色剤収容容器283に対する蓋部材212、222および232の位置合わせが、箱体280の矢印X1方向側の端部近傍においてY方向(短手方向)に沿って先になされた状態で、軸Bを基準にして、箱体280のX方向の略中央部においてX方向(長手方向)に並ぶ希釈液容器284および廃液容器285の各々に対応する試薬取出管241および廃液吐出管251を、希釈液容器284および廃液容器285にこの順に順次挿入していくことができる。これにより、X方向(長手方向)の軸を中心とする回転方向における接続装置201の傾きを発生しにくくすることができる。この結果、接続装置201の傾きに起因した接続装置201の装着位置の位置ずれを抑制することができるので、試薬取出管211、221、231、241および廃液吐出管251を各容器に容易に挿入することができる。
【0084】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0085】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、接続装置1(201)に試薬取出部10、20、30、40および廃液吐出部50(試薬取出部210、220、230、240および廃液吐出部250)を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、試薬取出部および廃液吐出部は、2つ以上4つ以下設けてもよいし、6つ以上設けてもよい。また、試薬取出部または廃液吐出部のいずれか一方のみを複数設けてもよい。
【0086】
また、上記第1および第2実施形態では、蓋部材12、22、32、42および52(212、222、232、242および252)が、横断面において円形状の断面形状を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、蓋部材は、液体容器の開口と略同一の形状であれば円形状以外のその他の形状でもよい。たとえば、三角形などの多角形形状や楕円形状などでもよい。
【0087】
また、上記第1および第2実施形態では、蓋部材12、22、32、42および52(212、222、232、242および252)の横断面積が、上面12a、22a、32a、42aおよび52a(212a、222a、232a、242aおよび252a)から下面12b、22b、32b、42bおよび52b(212b、222b、232b、242bおよび252b)まで連続的に小さくなる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、蓋部材は、対応する容器の開口と接触する領域において横断面が連続的に小さくなっていればよく、例えば、図21に示す第1および第2実施形態による蓋部材の変形例(蓋部材522)のように、上部においては横断面積が変化せず、中間付近から横断面積が連続的に小さくなってもよい。
【0088】
また、上記第2実施形態では、蓋部材212、222、232、242および252にそれぞれ、切り欠き212c、222c、232c、242cおよび252cを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、液体容器の内部と外部とを接続可能であれば、切り欠きに限られない。たとえば、蓋部材を貫通する穴部を設けてもよい。
【0089】
また、上記第1および第2実施形態では、保持部材60が平面的に見てアルファベットの「H」のような形状を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、保持部材は、平面的に見て、箱体の一部が露出されていれば、「H」以外の形状でもよい。
【0090】
また、上記第2実施形態では、試薬取出管211、221、231および241の先端部211a、221a、231aおよび241aの各々にフィルタ291を含むフィルタ部材290を螺合した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フィルタを試薬取出管の内側面に対して嵌合させるように設けてもよい。
【0091】
また、上記第2実施形態では、箱体280の矢印X1方向側の端部近傍に、Y方向(短手方向)に並ぶように開口281a、282aおよび283aを設けるとともに、箱体280のX方向の略中央部に、X方向(長手方向)に並ぶように開口284aおよび285aを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、箱体の略中央部において短手方向に並ぶように複数の開口を配置してもよいし、箱体の端部近傍において長手方向に並ぶように複数の開口を配置してもよい。
【0092】
また、上記第1および第2実施形態では、接続装置1(201)を所定の経路で上下移動させるための移動機構は設けられていないが、本発明はこれに限られない。本発明では、接続装置を所定の経路で上下移動させるための上下移動機構を設けてもよい。この場合であっても、蓋部材により、各液体容器の開口の位置が微調整されるので、上下移動機構を精密に設計する必要はない。
【符号の説明】
【0093】
1、201 接続装置
3 検体分析装置(分析装置本体)
11、21、31、41、211、221、231、241 試薬取出管(管状部材)
12、22、32、212、222、232 蓋部材(第1蓋部材)
42、52、242、252 蓋部材(第2蓋部材)
51、251 廃液吐出管(管状部材)
61、62 係止部分(第1部分)
61a、62a 側面部(移動規制部)
63 非係止部分(第2部分)
70 把持部
81、82、281、282 溶血剤収容容器(液体容器、試薬容器、第1液体容器)
81a、82a、83a、84a、85a、281a、282a、283a、284a、285a 開口
83、283 染色剤収容容器(液体容器、試薬容器、第1液体容器)
84、284 希釈液容器(液体容器、試薬容器、第2液体容器)
85、285 廃液容器(液体容器、第2液体容器)
100、200 分析装置
212c、222c、232c、242c、252c 切り欠き
291 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬を用いて検体を分析する分析装置本体と、複数の液体容器とを接続する接続装置であって、
前記複数の液体容器に前記液体容器の開口を介してそれぞれ挿入されるとともに、内部を液体が通過する複数の管状部材と、
前記複数の管状部材を保持する保持部材と、
前記複数の管状部材の前記保持部材側に所定の位置関係で配置され、前記液体容器側に向かうにつれて横断面積が連続的に小さくなるように構成されるとともに、前記液体容器の開口に装着される複数の蓋部材とを備え、
前記蓋部材の横断面の形状は、対応する前記液体容器の開口の形状と略同一である、接続装置。
【請求項2】
前記液体容器の開口は、前記蓋部材が装着される際に、前記蓋部材の所定の位置関係に合わせるように移動可能なように構成されている、請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記蓋部材の横断面は、略円形状を有する、請求項1または2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記蓋部材には、前記液体容器の内部と外部とを接続する通気部が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項5】
前記通気部は、前記蓋部材の側面に設けられた切り欠きである、請求項4に記載の接続装置。
【請求項6】
前記複数の液体容器の少なくとも1つは試薬容器であり、
前記試薬容器に挿入される前記管状部材を通過する異物を取り除くためのフィルタをさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項7】
前記保持部材には、ユーザによって把持される把持部が設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項8】
前記保持部材は、前記管状部材の少なくとも1つを上方から視認可能な形状を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項9】
前記保持部材は、前記複数の液体容器が配置される箱体と係合する第1部分と、前記第1部分よりも小さい幅を有し、前記保持部材が配置される側から見て前記箱体の一部が露出するように前記箱体を覆う第2部分とを含む、請求項8に記載の接続装置。
【請求項10】
前記第1部分は、前記第1部分が配置される位置における前記箱体の幅よりも大きい幅を有する、請求項9に記載の接続装置。
【請求項11】
前記保持部材は、前記保持部材の水平方向の移動を規制可能な移動規制部を有する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項12】
前記蓋部材は、ゴム製である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項13】
前記複数の液体容器は、平面的に見て略長方形形状を有する箱体に配置されており、
前記複数の液体容器は、前記箱体の端部近傍に短手方向に並ぶように配置される開口を有する複数の第1液体容器と、前記箱体の略中央部に長手方向に並ぶように配置される開口を有する複数の第2液体容器とを含み、
前記蓋部材は、前記第1液体容器と対応する第1蓋部材と、前記第2液体容器と対応する第2蓋部材とを含み、
前記保持部材が略水平な状態で前記箱体の上方から下方に移動されることによって、前記第1蓋部材および前記第2蓋部材が、それぞれ、前記第1液体容器の開口および前記第2液体容器の開口に装着される場合に、前記第2液体容器の開口と前記第2蓋部材とが接触するよりも前に、前記第1液体容器の開口と前記第1蓋部材とが接触するように構成されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項14】
前記分析装置本体と、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の接続装置とを備える、分析装置。
【請求項15】
前記分析装置本体は動物の検体を分析する、請求項14に記載の分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate